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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177767
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】植物飾りの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B44C 5/06 20060101AFI20231207BHJP
   A01N 3/00 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
B44C5/06 B
A01N3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090618
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】308016507
【氏名又は名称】株式会社メイプル・ノブ
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】杉野 宣雄
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011CB12
4H011CC01
4H011CD13
4H011DB01
(57)【要約】
【課題】空気が外部から流入することを防止でき、かつ、収納容器等を破損させることなく内部の植物等を取り出す又は配置の変更ができる植物飾りの製造方法を提供すること。
【解決手段】 防湿シートに乾燥植物を配置する植物配置工程と、前記乾燥植物を配置した部位の周囲又は透明板の前記乾燥植物を配置した部位の周囲に対向する一側面のいずれか一方に、薄く環状に皮膜剤を塗り皮膜を形成する皮膜形成工程と、前記皮膜形成工程で前記皮膜剤を塗った部位に接着剤が位置するように、少なくとも前記乾燥植物を配置した部位の周囲又は前記透明板の一側面のいずれか一方に、環状に前記接着剤を塗布すると共に、前記乾燥植物を密封し、これによって前記皮膜と前記接着剤が重なり合うように前記透明板を接着する接着工程とを含むことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防湿シートに乾燥植物を配置する植物配置工程と、前記乾燥植物を配置した部位の周囲又は透明板の前記乾燥植物を配置した部位の周囲に対向する一側面のいずれか一方に、薄く環状に皮膜剤を塗り皮膜を形成する皮膜形成工程と、前記皮膜形成工程で前記皮膜剤を塗った部位に接着剤が位置するように、少なくとも前記乾燥植物を配置した部位の周囲又は前記透明板の一側面のいずれか一方に、環状に前記接着剤を塗布すると共に、前記乾燥植物を密封し、これによって前記皮膜と前記接着剤が重なり合うように前記透明板を接着する接着工程とを含む植物飾りの製造方法。
【請求項2】
防湿シートの外周部付近を、折り曲げた部分の内面がやや凹所状或いは内側が凹所状の撓み部分となるように環状に折り曲げる折り目を形成し、植物収納容器を作成する植物収納容器作成工程と、前記植物収納容器作成工程で形成した前記折り目の内側の凹所状の撓み部分よりも内側に乾燥植物を配置する植物配置工程と、前記折り目の周囲又は透明板の前記折り目の周囲に対向する一側面のいずれか一方に、薄く環状に皮膜剤を塗り皮膜を形成する皮膜形成工程と、前記皮膜形成工程で前記皮膜剤を塗った部位に接着剤が位置するように、少なくとも前記折り目の周囲又は前記透明板の一側面のいずれか一方に、環状に前記接着剤を塗布すると共に、前記乾燥植物を密封し、これによって前記皮膜と前記接着剤が重なり合うように前記透明板を接着する接着工程とを含む植物飾りの製造方法。
【請求項3】
前記折り目は二重線状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の植物飾りの製造方法。
【請求項4】
少なくとも袋状の植物収納容器の一側表面に形成された開口部の周囲又は透明板の前記周囲に対向する一側面のいずれか一方に、薄く環状に皮膜剤を塗り皮膜を形成する皮膜形成工程と、前記皮膜形成工程で前記皮膜剤を塗った部位に接着剤が位置するように、少なくとも前記開口部の周囲又は前記透明板の一側面のいずれか一方に、環状に前記接着剤を塗布すると共に、前記開口部を塞ぎ、これによって前記皮膜と前記接着剤が重なり合うように前記透明板を接着する接着工程と、前記植物収納容器の内部に乾燥植物を配置する植物配置工程と、前記植物収納容器を密封する密封工程とを含む植物飾りの製造方法。
【請求項5】
前記皮膜形成工程では前記皮膜剤としてワセリンを塗布することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の植物飾りの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に押し花等の乾燥植物を用いた植物飾りを製造する植物飾りの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、押し花等の植物飾りを製造する方法としては「アルミ箔等の防湿シートの外周部を除く部位に脱酸素剤や乾燥剤等の押し花保存剤を位置させるとともに、台板を位置させる台板等の配置工程と、この台板等の配置工程の前後に台板上に押し花を配置する押し花の配置工程と、この押し花の配置工程の前後のいずれかに前記台板の外周部に位置する前記防湿シートにリング状に接着剤あるいは粘着剤を塗布する接着剤あるいは粘着剤の塗布工程と、この接着剤あるいは粘着剤の塗布工程および前記押し花の配置工程後に前記防湿シートを覆うようにガラス板あるいはアクリル板等の透明板を位置させ、外周部を前記接着剤あるいは粘着剤で一部の空気抜き部を除いて固定する密封工程と、この密封工程後に前記空気抜き部よりストロー等のパイプ材を用いて真空ポンプや口で透明板と防湿シート間の空気を外部へ排出して空気を抜き取り、パイプ材を抜き取り、空気抜き部を固定する空気抜き取り工程と、この空気抜き取り工程後に前記防湿シートの接着剤あるいは粘着剤が塗布された背面部位に硬化樹脂を枠状に塗布あるいはしわ防止板を接着剤、粘着剤あるいは両面接着テープ等で枠状に固定するしわ防止密封工程とを含むことを特徴とする押し花飾の製造方法」が知られている(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、このような押し花飾の製造方法では、アルミ箔等の防湿シートにシワが生じて空気が流入することは防止できるものの、一旦接着剤でガラス板等の透明板を貼り付けると、強固に接着してしまい、例えば防湿シート等を切断しなければ内部の押し花を取り出すことができない、内部の押し花の配置を変更することもできない等の問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-063199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、空気が外部から流入することを防止でき、かつ、収納容器等を破損させることなく内部の植物等を取り出す又は配置の変更ができる植物飾りの製造方法を提供することである。
【0006】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の植物飾りの製造方法は、防湿シートに乾燥植物を配置する植物配置工程と、前記乾燥植物を配置した部位の周囲又は透明板の前記乾燥植物を配置した部位の周囲に対向する一側面のいずれか一方に、薄く環状に皮膜剤を塗り皮膜を形成する皮膜形成工程と、前記皮膜形成工程で前記皮膜剤を塗った部位に接着剤が位置するように、少なくとも前記乾燥植物を配置した部位の周囲又は前記透明板の一側面のいずれか一方に、環状に前記接着剤を塗布すると共に、前記乾燥植物を密封し、これによって前記皮膜と前記接着剤が重なり合うように前記透明板を接着する接着工程とを含むことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の植物飾りの製造方法は、防湿シートの外周部付近を、折り曲げた部分の内面がやや凹所状或いは内側が凹所状の撓み部分となるように環状に折り曲げる折り目を形成し、植物収納容器を作成する植物収納容器作成工程と、前記植物収納容器作成工程で形成した折り目の内側の凹所状の撓み部分よりも内側に乾燥植物を配置する植物配置工程と、前記折り目の周囲又は透明板の前記折り目の周囲に対向する一側面のいずれか一方に、薄く環状に皮膜剤を塗り皮膜を形成する皮膜形成工程と、前記皮膜形成工程で前記皮膜剤を塗った部位に接着剤が位置するように、少なくとも前記折り目の周囲又は前記透明板の一側面のいずれか一方に、環状に前記接着剤を塗布すると共に、前記乾燥植物を密封し、これによって前記皮膜と前記接着剤が重なり合うように前記透明板を接着する接着工程とを含むことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の植物飾りの製造方法の前記折り目は二重線状に形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の植物飾りの製造方法は、少なくとも袋状の植物収納容器の一側表面に形成された開口部の周囲又は透明板の前記周囲に対向する一側面のいずれか一方に、薄く環状に皮膜剤を塗り皮膜を形成する皮膜形成工程と、前記皮膜形成工程で前記皮膜剤を塗った部位に接着剤が位置するように、少なくとも前記開口部の周囲又は前記透明板の一側面のいずれか一方に、環状に前記接着剤を塗布すると共に、前記開口部を塞ぎ、これによって前記皮膜と前記接着剤が重なり合うように前記透明板を接着する接着工程と、前記植物収納容器の内部に乾燥植物を配置する植物配置工程と、前記植物収納容器を密封する密封工程とを含むことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の植物飾りの製造方法の前記皮膜形成工程ではワセリンを塗布することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1乃至請求項5に記載の各発明においては、凹所を形成した防湿シートからなる植物収納容器又は袋状の植物収納容器の一側表面に形成した折り目や開口部の周囲又は透明板のいずれかに、薄く環状に油脂又は熱溶解樹脂を塗って皮膜を形成し、その部位に接着剤を塗布して植物収納容器と透明板を接着するので、接着後であっても熱を加える等の作業を行うことにより、皮膜部分が溶け、透明板と植物収納容器を剥がすことができる。
したがって、植物収納容器を破損等することなく内部の植物等を取り出し、又はその配置の変更をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1乃至図7は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
図8乃至図13は本発明の第2の実施形態を示す説明図である。
図14乃至図16は本発明の第3の実施形態を示す説明図である。
図1】第1の実施形態の植物飾りの製造方法の工程図。
図2】植物収納容器作成工程の説明図。
図3】植物配置工程の説明図。
図4】皮膜形成工程の説明図。
図5】接着工程の説明図。
図6】収納工程の説明図。
図7】額縁に収納した状態の植物飾りの説明図。
図8】第2の実施形態の植物飾りの製造方法の工程図。
図9】接着工程の説明図。
図10】植物配置工程の説明図。
図11】密封工程の説明図。
図12】収納工程の説明図。
図13】額縁に収納した状態の植物飾りの説明図。
図14】第3の実施形態の植物飾りの製造方法の工程図。
図15】植物配置工程の説明図。
図16】接着工程の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
図1乃至図7に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は押し花やドライフラワー、プリザーブドフラワー等の乾燥植物2を用いた植物飾り3を製造する植物飾りの製造方法である。
【0015】
植物飾りの製造方法1は、防湿シート20の外周部付近を、折り曲げた部分の内面がやや凹所状或いは内側が凹所状の撓み部分となるように環状に折り曲げる折り目21を形成し、植物収納容器5を作成する植物収納容器作成工程22と、前記植物収納容器作成工程22で形成した前記折り目21の内側の凹所状の撓み部分よりも内側に乾燥植物2を配置する植物配置工程11と、前記折り目21の周囲又は透明板6の前記折り目21の周囲に対向する一側面のいずれか一方に、薄く環状に油脂又は熱溶解樹脂等の皮膜剤7を塗り皮膜7aを形成する皮膜形成工程8と、前記皮膜形成工程8で前記皮膜剤7を塗った部位に接着剤9が位置するように、少なくとも前記折り目21の周囲又は前記透明板6の一側面のいずれか一方に、環状に前記接着剤9を塗布すると共に、前記乾燥植物2を密封し、これによって前記皮膜7aと前記接着剤9が重なり合うように前記透明板6を接着する接着工程10とを含むものである。
【0016】
植物収納容器作成工程22では、アルミ箔、金属蒸着フィルム等の折り曲げることで折り目21が生じる防湿シート20の外周部付近を折り曲げ、防湿シート20に環状に折り目21を形成する。この折り目21の内側(外の第1折り目21と内の第2折り目21に囲まれた環状部分)はやや凹所或いは内側が凹所状の撓み部分となるように複数本の折り目21、21を形成することが望ましい。この凹所を形成した防湿シート20が本実施形態においては植物収納容器5となり、前記折り目21の内側の凹所状の部位が乾燥植物2を配置する部位となる。
【0017】
なお、ここで「外周部付近」とは、乾燥植物2を配置する部位よりも外側の部位を含むものであり、必ずしも防湿シート20の外縁部の近傍のみを指すものではない。
【0018】
折り目21は、三角形や四角形等の多角形状又は円形状等の環状となるように形成され、本実施形態においては、平面視において略四角形状となるように折り目を形成している。また、折り目21は1mm~10mm程度、好ましくは5ミリ程度の間隔を有した二重(二重線状)に形成されており、本実施形態においては、例えば図2で示すように、5mm幅の定規状の板材23を用い、この板材23の一側底面(長辺側の面)を防湿シート20に押し当て、板材23の一側底面の縁に沿って防湿シート20を折り曲げることにより、略5mmの間隙を有した二重線状の折り目が形成される。このとき、指により折り目20の内側20aを抑えながら折り目を形成することにより、防湿シート20が若干たわみつつ折り目が形成されるため、内側20a部分がやや凹所状に形成される。このように、板材23を使い指で押さえることで任意の大きさで凹面を手作りで作ることができる。折り目21は2本(二重線状)が望ましいが1本でもよい。
【0019】
植物配置工程11では、図4に示すように、押し花等の乾燥植物2を必要に応じて台紙15の上面(表面)に接着剤や接着テープ等を用いて仮止めし、植物収納容器5、すなわち防湿シート20の凹所状の部位に配置する。なお、台紙15の裏面には、乾燥剤や脱酸素剤等の植物保存剤や除湿剤等も収納するとよい。
【0020】
皮膜形成工程8では、例えば図2及び図3に示すように、植物収納容器5の折り目21の周囲又は透明板6の適宜部位(例えば折り目21の周囲に対向する周端部寄りの部位)のいずれか一方に、薄く環状に油脂又は熱溶解樹脂等の皮膜剤7を塗り、薄い皮膜7aを透明板6の表面又は植物収納容器5の折り目21の周囲に形成する工程である。本実施形態ではガラスやアクリル板等の透明板6に環状に皮膜剤7としてのワセリンを薄く塗布する。具体的には、ガラス等の透明板6に塗布する場合、ガラス板がうっすら曇る程度の薄さに塗布する。
【0021】
ところで、皮膜剤7としては、ワセリン、グリセリン、蜜蝋、ワックス等の油脂や、ウレタン樹脂や酢酸ビニル等の熱で溶ける熱溶解樹脂を塗布することができる。また、本工程において折り目21の周囲とは、折り目21の位置を含むものであり好ましくは乾燥植物2を配置する凹所状の部位(折り目21の内側20a)を除く部位である。この皮膜形成工程8と、植物配置工程11はどちらを先に行ってもよい。
【0022】
接着工程10は、図3に示すように、まず皮膜形成工程8で皮膜剤7を塗った部位に接着剤9が位置するように、すなわち、透明板6を接着した際に皮膜剤7と接着剤9が重なり合うように接着剤9を塗布する。接着剤9は、本実施形態では折り目21の周囲に環状に塗布している。なお、皮膜剤7と接着剤9は、折り目21の周囲又は透明板6のいずれかにまとめて塗布してもよいし、本実施形態のように、皮膜剤7を塗布していない方の部材に接着剤9を塗布してもよい。
【0023】
この接着剤9は、空気中の水分を吸収して固化するものが望ましく、本実施形態ではレジンやシリル化ウレタン樹脂等を接着剤9として用いている。ところで、接着剤9としていわゆる接着剤だけでなく、粘着剤等も用いることができる。
【0024】
接着剤9を塗布した後、前記開口部4を密封状態で塞ぐように前記透明板6と植物収納容器5の折り目21の周囲を接着する。このように皮膜剤7と接着剤9が重なり合う状態で折り目21の周囲と透明板6とを接着することにより、例えば、接着部分を加熱することにより、皮膜剤7が溶解する等して接着力が弱くなり、植物収納容器5を切断等することなく内部の乾燥植物2を取り出し、配置換え等をすることができる。また、皮膜剤7や接着剤9をアルコール等で拭い、再び皮膜形成工程8や接着工程10を行うことで、植物飾り3を再生することができる。
【0025】
ところで、この接着工程10においては、植物収納容器5の乾燥植物2を配置した凹所状の部位の空気を抜きながら密封する密封工程12も同時に行うことが望ましい。
【0026】
密封工程12は、植物収納容器5の凹所状の部位の内部(乾燥植物2が配置されている部位)の空気を除去するための空気抜き部を形成するために、凹所状の部位の一部の角部等に、ストロー等を配置した後、透明板6を位置させストローの内部以外の隙間が生じないように植物収納容器5Aの開口部の周囲と透明板6とを接着剤9で固定する。その後、ストローより内部の空気を吸引し、十分に空気が抜き取れたところで、空気が内部に入らないようにストローを抜き取りながら接着剤9でストローが配置されていた穴を塞ぎ、密封する。
【0027】
収納工程14は、図6に示すように、植物飾り3(植物収納容器5及び透明板6を固定したもの)を額縁13に収納する工程で、この工程が完了したものを植物飾り3Aとしてもよい。ところで、額縁13に収めた状態で植物収納容器5等が見えないように、透孔16を有するカバー板17等を植物飾り3と額縁13の間に介装し、裏板18を用いて額縁13の内部に収納することが望ましい。
【0028】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図8乃至図16に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0029】
図8乃至図13示す本発明を実施するための第2の形態において、前記第1の実施形態と主に異なる点は、一側表面に、正方形又は矩形状の開口部4を有すると共に、一端部に入口が形成された袋状の植物収納容器5Aを用い、前記フランジ4aの上面と透明板6の前記上面に対応する一側面を接着剤9にて固定する接着工程10Aを行った後にこの植物収納容器5Aに前記入口又は開口部4から乾燥植物2を配置する植物配置工程11Aを行い、密封工程12を行う点で、このような植物飾りの製造方法1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0030】
植物飾りの製造方法1は、例えば一側表面に、正方形又は矩形状の開口部4を有すると共に、一端部に入口が形成された袋状の植物収納容器5Aの前記開口部4の周囲、又は前記開口部4よりも大きい正方形又は矩形状の透明板6の一側面のいずれかに、薄く環状に油脂又は熱溶解樹脂等の皮膜剤7を塗り皮膜7aを形成する皮膜形成工程8と、前記皮膜形成工程8で前記油脂又は熱溶解樹脂等の皮膜剤7を塗った部位に接着剤9が位置するように、前記開口部4の周囲又は透明板6の一側面いずれかに環状に前記接着剤9を塗布すると共に、前記開口部4を密封状態で塞ぎ、これによって前記皮膜7aと前記接着剤9が重なり合うように前記透明板6を接着する接着工程10と、植物収納容器5Aの内部に乾燥植物2を配置する植物配置工程11Aと、前記植物収納容器5Aの内部から空気を吸い出し、密封する密封工程12と、植物収納容器5を額縁13に収納する収納工程14とで構成されている。
【0031】
皮膜形成工程8は、本実施形態では、少なくとも扁平状態の植物収納容器5の一側表面の開口部4の周囲又は透明板6の適宜部位(例えば開口部4の周囲に対向する周端部寄りの部位)のいずれか一方に、薄く環状に油脂又は熱溶解樹脂等の皮膜剤7を塗り、薄い皮膜7aを透明板6の表面又は植物収納容器5の開口部4の周囲に形成する。
【0032】
接着工程10は、図9に示すように、まず皮膜形成工程8で皮膜剤7を塗った部位に接着剤9が位置するように、すなわち、透明板6を接着した際に皮膜剤7と接着剤9が重なり合うように接着剤9を塗布する。接着剤9は、本実施形態では開口部4の周囲に環状に塗布している。
【0033】
接着剤9を塗布した後、前記開口部4を密封状態で塞ぐように前記透明板6と植物収納容器5の開口部4の周囲を接着する。このように皮膜剤7と接着剤9が重なり合う状態で開口部4の周囲と透明板6とを接着することにより、例えば、接着部分を加熱することにより、皮膜剤7が溶解する等して接着力が弱くなり、植物収納容器5を切断等することなく内部の乾燥植物2を取り出し、配置換え等をすることができる。
【0034】
また、皮膜剤7や接着剤9をアルコール等で拭い、再び皮膜形成工程8や接着工程10を行うことで、植物飾り3を再生することができる。
【0035】
植物配置工程11Aでは、図10に示すように、押し花等の乾燥植物2を必要に応じて台紙15の上面(表面)に接着剤や接着テープ等を用いて仮止めし、袋状の植物収納容器5に配置する。このとき乾燥植物2が開口部4から視認できるように配置する。また、植物収納容器5Aの内部には、乾燥剤や脱酸素剤等の植物保存剤や除湿剤等も収納するとよい。
【0036】
なお、本実施形態では植物配置工程11Aを接着工程10の後に行っているが、最初又は皮膜形成工程8Aの後に植物配置工程11Aを行ってもよい。また、この乾燥植物2を配置する際に、植物配置工程11Aを接着工程10の前に行う場合には、前記開口部4から配置してもよいし、開口部4以外に開口を形成し、その開口から乾燥植物2を配置してもよい。本実施形態では開口部4以外の部位で植物収納容器5Aの端部を切り取り、その開口から乾燥植物2を挿入して配置している。
【0037】
密封工程12は、図11に示すように、植物収納容器5Aの内部を密封する工程で、植物配置工程11Aで使用した植物収納容器5Aの一端部側の開口を植物収納容器5A内の空気を脱気しながらヒートシール等により密封する。本実施形態では、袋状の植物収納容器5Aの一端部に開口を形成してその開口から乾燥植物2を挿入しているので、この開口を接着、溶着等により密封する。
【0038】
なお、開口部4から乾燥植物2等を配置し、この開口部4以外に開口がない場合には、前記第1の実施形態と同様に接着工程10を行う際に、脱気しながら透明板6と開口部4の周囲を接着することで、密封工程12も同時に行う。
【0039】
収納工程14は、図12に示すように、植物飾り3B(植物収納容器5及び透明板6を固定したもの)を額縁13に収納する工程で、この工程が完了したものを植物飾り3Cとしてもよい。ところで、図13に示すように、額縁13に収めた状態で植物収納容器5等が見えないように、透孔16を有するカバー板17等を植物飾り3Bと額縁13の間に介装し、裏板18を用いて額縁13の内部に収納することが望ましい。
【0040】
図14乃至図16示す本発明を実施するための第3の形態において、前記第1の実施形態と主に異なる点は、平坦な防湿シート20に乾燥植物を配置する乾燥植物配置工程11Bを行い、この植物配置工程11Bで乾燥植物2を配置した部位又は透明板6の前記乾燥植物2を配置した部位の周囲に対向する一側面のいずれか一方に、薄く環状に皮膜剤7を塗り皮膜7aを形成する皮膜形成工程8と、前記皮膜形成工程8で前記皮膜剤7を塗った部位に接着剤9が位置するように、少なくとも前記乾燥植物2を配置した部位の周囲又は前記透明板6の一側面のいずれか一方に、環状に前記接着剤9を塗布すると共に、前記乾燥植物2を密封し、これによって前記皮膜7aと前記接着剤9が重なり合うように前記透明板6を接着する接着工程10Bを行って植物飾り3Dを製造する点で、このような植物飾りの製造方法1Bにしても前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。本実施形態においても第1の実施形態や第2の実施形態と同様に、収納工程14を行い額縁に収納されたものを植物飾りとしてもよい。
【0041】
なお、本発明の実施形態においては、収納工程を行ったが、収納工程は必ずしも行わなくても良い。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は植物飾りを製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0043】
1、1A、1B:植物飾りの製造方法、
2:乾燥植物、
3、3A、3B、3C、3D:植物飾り、
4:開口部、
5、5A:植物収納容器、 6:透明板、
7:皮膜剤、 8:皮膜形成工程、
9:接着剤、 10、10A、10B:接着工程、
11、11A、11B:植物配置工程、12:密封工程、
13:額縁、 14:収納工程、
15:台紙、 16:透孔、
17:カバー板、 18、18A:裏板、
19:貫通孔、 20:防湿シート、
21:折り目、 22:植物収納容器作成工程、
23:板材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16