(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177784
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】結束機
(51)【国際特許分類】
B65B 13/34 20060101AFI20231207BHJP
B65B 27/08 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
B65B13/34
B65B27/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090643
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】田口 聡
(72)【発明者】
【氏名】大川 洋之
【テーマコード(参考)】
3E052
【Fターム(参考)】
3E052AA05
3E052BA20
3E052CA17
3E052CB04
3E052CB05
3E052CB07
3E052GA20
3E052HA14
3E052LA05
(57)【要約】
【課題】ドライバ及び送り爪を容易に連携動作させることのできる結束機、を提供する。
【解決手段】結束機10は、ステープル80を袋BGに向けて押し出すドライバ30と、押し出されたステープル80をドライバ30と共に挟み込むことで、ステープル80を変形させるクリンチャ400と、複数のステープル80が互いに連結された連結体800を、ドライバ30の可動範囲内の所定位置に向けて送り込む送り爪282と、ドライバ30からの力を送り爪282に伝達することで、ドライバ30の動作に連動して送り爪282を動作させる伝達機構と、を備える。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステープルによって被結束物を結束する結束機であって、
前記ステープルを前記被結束物に向けて押し出すドライバと、
押し出された前記ステープルを前記ドライバと共に挟み込むことで、前記ステープルを変形させるクリンチャと、
複数の前記ステープルが互いに連結された連結体を、前記ドライバの可動範囲内の所定位置に向けて送り込む送り爪と、
前記ドライバからの力を前記送り爪に伝達することで、前記ドライバの動作に連動して前記送り爪を動作させる伝達機構と、を備える結束機。
【請求項2】
前記伝達機構は、
前記ドライバの動作方向に対し垂直な方向、に沿って前記送り爪を動作させる、請求項1に記載の結束機。
【請求項3】
前記伝達機構は、回転軸の周りに回転しながら、前記ドライバからの力を前記送り爪に伝達するリンク部材、を含む、請求項2に記載の結束機。
【請求項4】
前記連結体が前記所定位置から遠ざかる方向に移動することを妨げる逆止爪、を更に備える、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の結束機。
【請求項5】
前記逆止爪は、前記連結体を挟んで前記送り爪とは反対側となる位置に配置されている、請求項4に記載の結束機。
【請求項6】
前記ドライバによって前記ステープルが送り出される前の待機状態において、
前記送り爪は、
前記連結体が送り出される方向に沿って前記逆止爪よりも下流側の位置であり、且つ、
前記逆止爪との間に、前記連結体に含まれる前記ステープルを少なくとも1つ以上挟み込む位置にある、請求項4に記載の結束機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被結束物を結束する結束機に関する。
【背景技術】
【0002】
結束機は、例えば青果を入れる袋の入り口部分を、ステープルを用いて結束するための装置である。結束機は、ステープルを被結束物に向けて押し出すように動作するドライバと、ドライバと共にステープルを挟み込んで変形させるクリンチャと、を備える。被結束物の結束を連続して行い得るように、複数のステープルは予め互いに連結された状態となっており、結束機のうち所定の位置へと順次送り込まれる。下記特許文献1には、互いに連結された状態のステープル(クリップ組立体)を送り込むための装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の装置は、クリップ組立体を送り出す送り爪と、送り爪を駆動するエアーシリンダと、を備えている。当該エアーシリンダは、送り爪を駆動するための専用の駆動源であって、ドライバを駆動するための駆動源とは別のものである。従って、ドライバ及び送り爪のそれぞれを適切なタイミングで動作させるためには、それぞれの駆動源の制御を互いに連携させながら行う必要がある。しかしながら、例えばエアー配管の詰まり等が生じると、ドライバや送り爪の動作タイミングはそれぞれ変化する。このため、ドライバ及び送り爪を、常に適切に連携動作させることは難しいと考えられる。
【0005】
本発明は、ドライバ及び送り爪を容易に連携動作させることのできる結束機、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る結束機は、ステープルによって被結束物を結束する結束機であって、ステープルを被結束物に向けて押し出すドライバと、押し出されたステープルをドライバと共に挟み込むことで、ステープルを変形させるクリンチャと、複数のステープルが互いに連結された連結体を、ドライバの可動範囲内の所定位置に向けて送り込む送り爪と、ドライバからの力を送り爪に伝達することで、ドライバの動作に連動して送り爪を動作させる伝達機構と、を備える。
【0007】
上記構成の結束機は、ドライバの動作に連動して送り爪を動作させるための伝達機構を備えている。伝達機構は、ドライバからの力を送り爪に伝達することで送り爪を動作させるものである。このような構成においては、ドライバ及び送り爪の連携動作が、機械的な動力の伝達のみによって実現される。従って、複数の駆動源の動作タイミングを合わせる制御等を行うことなく、ドライバ及び送り爪を容易に且つ確実に連携動作させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ドライバ及び送り爪を容易に連携動作させることのできる結束機、が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る結束機の外観を示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る結束機の外観を示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る結束機の外観を示す図である。
【
図4】
図4は、入り口部分が結束された状態の被結束物、を示す図である。
【
図6】
図6は、複数のステープルが互いに連結された連結体、の構成を示す図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る結束機の外観を示す図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る結束機のうち、連結体を案内する部分の構成を示す図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係る結束機の内部構成を示す図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態に係る結束機の内部構成を示す図である。
【
図11】
図11は、ドライバを動作させるための機構を示す図である。
【
図12】
図12は、送り爪を動作させるためのリンク部材、及びその周囲の構成を示す図である。
【
図14】
図14は、送り爪を動作させるためのリンク部材、及びその周囲の構成を示す図である。
【
図16】
図16は、送り爪を動作させるためのリンク部材、及びその周囲の構成を示す図である。
【
図18】
図18は、比較例に係る結束機の、送り爪や逆止爪等の動作を模式的に示す図である。
【
図19】
図19は、第2実施形態に係る結束機の、送り爪や逆止爪等の動作を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0011】
第1実施形態について説明する。本実施形態に係る結束機10は、青果等を入れる袋の入り口部分を結束するための装置であって、例えばスーパーのバックヤード等において使用されるものである。
図1乃至
図3には、結束機10の外観が示されている。
【0012】
図4には、結束機10を用いて結束が行われた後の袋BGが示されている。袋BGは、内部に青果等を収容した状態で、その入り口部分がステープル80によって結束されている。ステープル80は、例えば樹脂により形成された略棒状の部材である。ステープル80は、結束機10によって袋BGの入り口部分に巻き付けられ、当該入り口部分を結束する。尚、結束の対象である被結束物は、本実施形態のように袋BGでもよいが、それ以外の物であってもよい。以下に説明する結束機10の構成は、例えば、複数の部材を一つに束ねるための結束機等にも適用することができる。
【0013】
図5には、結束前の当初の状態におけるステープル80の形状が示されている。同図に示されるように、ステープル80は、一対の脚部81を接続部82で繋いだ形状を有しており、全体が略U字型となっている。接続部82の反対側においては、それぞれの脚部81の間が開放されている。
【0014】
結束機10による結束を連続して行い得るように、ステープル80は、
図5における紙面奥行き方向に沿って複数個並んだ状態で、それぞれの間が接続部83を介して互いに連結されている。換言すれば、複数のステープル80が、接続部83を介して互いに連結され一本の紐状となるように、全体が一体に成形されている。連結され紐状となった複数のステープル80のことを、以下では「連結体800」とも称する。連結体800は、
図6に示されるようなボビン700に巻き付けられた状態で、結束機10の連結体保持部170(
図1を参照)によって保持される。
【0015】
図1等を参照しながら、結束機10の構成について説明する。尚、
図1においては、紙面左側から右側へと向かう方向をx方向としており、当該方向に沿ってx軸を設定してある。また、x方向に対し垂直な方向であって、紙面奥側から手前側に向かう方向をy方向としており、当該方向に沿ってy軸を設定してある。更に、x方向及びy方向のいずれに対しても垂直な方向であって、紙面下方から紙面上方に向かう方向をz方向としており、当該方向に沿ってz軸を設定してある。他の図においても、
図1と対応するようにx軸、y軸、及びz軸の各軸を設定してある。以下においては、上記の「x方向」、「y方向」、及び「z方向」を適宜用いながら説明を行う。
図1は、結束機10をy方向側から見て描いた図であり、
図2は、結束機10を-y方向側から見て描いた図であり、
図3は、結束機10をx方向側から見て描いた図である。
【0016】
先ず、結束機10のうち外観に表れている部分の構成について説明する。結束機10は、本体フレーム100と、連結体保持部170と、モーターユニット20と、蓄電池ユニット60と、カッターユニット500と、を備えている。
【0017】
本体フレーム100は、結束機10の本体部分であって、結束機10の各構成部材を保持している。本体フレーム100は、
図1の紙面に平行な略平板状の部材等を、複数組み合わせることにより構成されている。本体フレーム100の上端には、結束機10の使用者によって把持される取手150が設けられている。
【0018】
本体フレーム100には、その上端から下方側に向かって伸びるように案内溝110が形成されている。案内溝110の下端部にはスイッチ部材111が設けられている。結束機10の使用者は、袋BGのうち結束したい部分を案内溝110に通した状態で、袋BGを案内溝110に沿って下降させて行く。袋BGがスイッチ部材111に当たり、スイッチ部材111を回動させると、内部のドライバ30(
図1においては不図示、
図9を参照)等が後に説明するように動作して、袋BGの入り口部分をステープル80によって結束する。
【0019】
連結体保持部170は、連結体800が巻き付けられたボビン700を保持する部分である。連結体保持部170は、y方向(つまり、結束機10の幅方向)に沿って伸びる棒状の軸として形成されており、
図1における奥側の端部が本体フレーム100に接続されている。
図6に示されるように、ボビン700の中央には貫通穴701が形成されている。
図1に示されるように、ボビン700は、貫通穴701を連結体保持部170に通すことによって結束機10に対し取り付けられる。その結果、連結体800は、連結体保持部170の周りにおいて巻回された状態で保持される。尚、結束機10の使用時においては、
図7に示されるように、ボビン700から引き出された連結体800がローラー161や案内レール162まで伸びているのであるが、
図1乃至
図3においてはその図示が省略されている。
【0020】
ローラー161及び案内レール162は、いずれも、上記のようにボビン700から引き出された連結体800を、本体フレーム100の所定位置まで導くための部材である。
図1及び
図3に示されるように、ローラー161及び案内レール162は、本体フレーム100のy方向側となる位置に設けられている。
【0021】
図8には、
図3のうちローラー161や案内レール162及びその近傍部分の構成が拡大して示されると共に、これらによって案内される連結体800も併せて示されている。尚、
図8においては、連結体800を視認しやすくするために、
図3にある構造物のうち一部の図示が省略されている。
【0022】
ローラー161は、略円柱形状の回転体であって、その回転中心軸をz方向に沿わせた状態で配置されている。連結体800は、ボビン700から引き出され概ねx方向側に引き出された後、ローラー161の側面に沿って概ね-y方向側へと向きを変えるように案内される。
図8に示されるように、連結体800は、それぞれのステープル80の接続部82を内側に向け、脚部81の先端を外側に向けた状態で、ローラー161によって案内される。
【0023】
図1に示されるように、案内レール162は、ローラー161よりも僅かにx方向側となる位置に配置されている。
図8に示されるように、案内レール162は、ローラー161の近傍から-y方向側に向かって直線状に伸びている。案内レール162は、概ね平板状の部材であって、その法線方向をz方向に沿わせた状態で配置されている。
【0024】
連結体800は、ステープル80が有する一対の脚部81の間に、案内レール162をx方向側から入り込ませた状態とされる。これにより、連結体800は、案内レール162に沿って-y方向側へとスライド可能な状態で保持される。連結体800のうち最も先端にあるステープル80は、本体フレーム100のうち、後述のドライバ30が通過する領域(つまり、ドライバ30の可動範囲内の領域)に配置されており、次の動作時において袋BGの結束に供される。案内レール162は、連結体保持部170から引き出された連結体800を、幅方向(y方向)に沿ってドライバ30の可動範囲内へと案内するもの、ということができる。
【0025】
図8に示されるように、案内レール162の上方側には送り部材280が設けられており、案内レール162の下方側には逆止部材290が設けられている。
【0026】
送り部材280は、その先端に送り爪282が形成された板状の部材である。送り部材280は、軸281を介してリンク部材270に取り付けられている。送り部材280は、軸281の周りにおいて回転可能となっており、不図示のばねによって
図8における時計回り方向に付勢されている。
【0027】
リンク部材270は、本体フレーム100に対し動作可能な状態で取り付けられた部材である。リンク部材270のうち送り部材280が取り付けられている部分(後述の折り返し部274)は、
図8においては不図示のばねにより-y方向側へと付勢されている。送り部材280は、送り爪282を連結体800の一部に入り込ませた状態で、上記のように-y方向側へと付勢されている。このため、連結体800も、送り爪282からの力によって-y方向側へと付勢されている。
【0028】
結束機10による結束が行われると、連結体800のうち最も先端側にあったステープル80が存在しなくなるので、送り爪282からの力によって連結体800は-y方向側へと送り込まれる。その後、後に説明する機構によってリンク部材270がy方向側へと移動する。送り爪282は、リンク部材270と共にy方向側へと移動しながら、連結体800から一度外れた後、前回よりも一段y方向側となる位置において、連結体800の一部に再び入り込んだ状態となる。
【0029】
逆止部材290は、その先端に逆止爪292が形成された板状の部材である。逆止部材290は、軸291を介してベース部材102に取り付けられている。ベース部材102は、本体フレーム100に対し取り付けられた部材である。逆止部材290は、軸291の周りにおいて回転可能となっており、不図示のばねによって
図8における反時計回り方向に付勢されている。逆止部材290は、逆止爪292を連結体800の一部に入り込ませた状態となっている。
【0030】
結束機10による結束が行われると、先に述べたように送り爪282が動作して、連結体800が-y方向側へと送り込まれる。逆止部材290は、その際において連結体800が逆方向へと移動してしまうことを、逆止爪292によって防止するための部材である。
【0031】
上記のように、結束のためにドライバ30が動作すると、これに続いてリンク部材270や送り爪282等が動作し、連結体800を本体フレーム100の内部へと送り込む。送り爪282は、ドライバ30と共に連携動作しながら、連結体800に含まれるそれぞれのステープル80を、ドライバ30の可動範囲内にある所定位置に向けて送りこむための部材、ということができる。ドライバ30及び送り爪282を連携動作させるための具体的な構成については後に説明する。
【0032】
図1に戻って説明を続ける。モーターユニット20は、その内部に電動モーター50等を収容するものである。電動モーター50は、結束機10を動作させるための駆動源として設けられた回転電機である。電動モーター50は、蓄電池ユニット60から電力の供給を受けて動作し、後述のドライバ30を駆動する。モーターユニット20の内部には、電動モーター50の他、結束機10の動作を制御するための制御基板(不図示)も収容されている。
【0033】
モーターユニット20は、本体フレーム100のうち、y方向側であり且つ下方側の部分に設けられている。モーターユニット20のうちy方向側の側面には、スイッチ25が設けられている。使用者によってスイッチ25が操作されると、上記の制御基板が起動し、結束機10はスタンバイ状態となる。
【0034】
蓄電池ユニット60は、結束機10の動作に必要な電力を蓄えておくための蓄電池(例えばリチウムイオンバッテリー)に、当該蓄電池の充放電を制御するための制御基板62(
図3を参照)等を組み合わせてユニット化したものである。蓄電池ユニット60は、外部の充電器によって予め充電された後、結束機10が備える電池取り付け部600に装着される。電池取り付け部600を介して蓄電池ユニット60から供給される電力は、電動モーター50に供給されるほか、結束機10の動作を制御するための制御基板にも供給される。
図3に示されるように、蓄電池ユニット60の外表面には、表示部61が設けられている。表示部61は、蓄電池の残量等の情報を、LEDの点灯状態により表示するものである。
【0035】
電池取り付け部600は、本実施形態ではモーターユニット20の一部として結束機10に設けられている。具体的には、モーターユニット20のうちx方向側であり且つ-y方向側の部分が、電池取り付け部600として構成されている。
図3に示されるように、電池取り付け部600と本体フレーム100との間には、蓄電池ユニット60を配置するための空間が形成されている。使用者は、蓄電池ユニット60を、電池取り付け部600に対して-y方向側から対向させながら、-x方向側へとスライドさせて行くことで、蓄電池ユニット60を電池取り付け部600に取り付けることができる。蓄電池ユニット60は、その内部の制御基板62がy方向(幅方向)に対し垂直となっている状態で、電池取り付け部600によって保持される。
【0036】
カッターユニット500は、袋BGの結束が完了した後に、袋BGのうちステープル80から先の余剰部分を切断するためのものである。カッターユニット500には、直線状の溝501が形成されており、溝501の内面に沿って刃510が設けられている。
【0037】
袋BGの結束が完了すると、使用者は、案内溝110に沿って袋BGを引き上げた後、そのまま袋BGを溝501の内側へと移動させ、刃510によって袋BGの余剰部分を切断することができる。尚、袋BGの結束が完了した後、不図示の機構によって袋BGの切断まで自動的に行われるような構成であってもよい。
【0038】
結束機10の内部構成について、
図9を主に参照しながら説明する。同図に示されるように、結束機10は、減速ギヤ210、220と、カムギヤ230と、クランク240と、結合リンク250と、ドライバ30と、クリンチャ400と、を備えている。これらはいずれも、本体フレーム100の内側に配置されており、本体フレーム100によって保持されている。
【0039】
減速ギヤ210、220は、互いに噛み合った一対の歯車であって、電動モーター50の駆動軸51の回転を、減速しながら後述のカムギヤ230へと伝達するものである。駆動軸51は、その長手方向を幅方向(y方向)に沿わせた状態で設けられており、その一部が本体フレーム100の内側に入り込んでいる。尚、駆動軸51のうち本体フレーム100の内側に入り込んでいる部分には、減速ギヤ210に噛み合うギヤが設けられているのであるが、
図9においては当該ギヤの図示が省略されている。
【0040】
カムギヤ230は、減速ギヤ220から力を受けることにより回転し、クランク240を動作させるための部材である。カムギヤ230の外周側近傍となる位置には、軸231を介して、クランク240が回転可能な状態で取り付けられている。カムギヤ230が回転すると、クランク240はその角度を適宜変化させながら、x軸に沿って往復する。
図9に示されるのは、クランク240が最も-x方向側にあるときの状態であり、
図10に示されるのは、クランク240が最もx方向側にあるときの状態である。結束が行われる前の待機状態においては、
図9の状態となっている。
【0041】
結合リンク250は、クランク240とドライバ30との間を繋ぐ部材である。結合リンク250の一端は、クランク240のうち軸231とは反対側の端部に対し、軸251を介して回転可能な状態で取り付けられている。結合リンク250の他端は、ドライバ30のうち-x方向側の端部に対し、軸261を介して回転可能な状態で取り付けられている。クランク240からの力は、結合リンク250を介してドライバ30へと伝達される。
【0042】
ドライバ30は、ステープル80を、案内溝110に通された袋BG(被結束物)に向けて押し出すための部材である。本体フレーム100の内側には、z方向に沿って互いに対向する一対のガイド部材121、122が設けられており、両者の間にドライバ30の一部が挟み込まれている。ガイド部材121、122により、ドライバ30は、x軸に沿った方向にのみ移動可能な状態で保持されている。つまり、ドライバ30の移動方向はx軸に沿った方向となっている。ガイド部材121、122が設けられている位置は、
図9の状態において、ドライバ30のうちx方向側の先端部分を上下に挟み込む位置であって、先に述べた案内レール162に対応する位置となっている。
【0043】
電動モーター50の駆動力によってクランク240が動作すると、ドライバ30は、
図9の位置から
図10の位置まで移動する。このとき、ドライバ30のうちx方向側の端部は、連結体800のうち最も先端(つまり、最も-y方向側)にあるステープル80に当たり、当該ステープル80をx方向側へと押し出す。当該ステープル80は、接続部83が切断されることによって他のステープル80から分離された後、ドライバ30の先端と共にx方向側へと移動する。
【0044】
クリンチャ400は、上記のように押し出されたステープル80をドライバ30と共に挟み込むことで、ステープル80を変形させるための部材である。
図9に示されるように、クリンチャ400が設けられている位置は、ドライバ30の先端に対してx方向側から対向する位置であり、且つ、案内溝110よりも更にx方向側となる位置である。クリンチャ400のうち-x方向側の面、すなわち、ドライバ30の先端と対向する面には、ステープル80の脚部81の変形を案内するための不図示の溝が形成されている。
【0045】
ステープル80は、脚部81の先端をクリンチャ400側に向けた状態で、ドライバ30によってx方向に押し出される。ドライバ30が、その可動範囲のうち最もx方向側の位置まで到達したときには、脚部81の先端はクリンチャ400に当たり、上記の溝に案内されながら所定形状となるよう変形する。このとき、脚部81の間には袋BGの入り口部分が挟み込まれた状態となっている。従って、袋BGの入り口部分は、変形したステープル80によって結束され、
図4に示される状態となる。
【0046】
本体フレーム100の内側には、上記のようなドライバ30やクリンチャ400等に加えて、収束部材300と、リンク部材260と、が更に設けられている。
【0047】
収束部材300は、袋BG(被結束物)のうち案内溝110に通されている部分を、ステープル80の脚部81の間に挟み込まれ得る程度の大きさとなるよう、結束前において予め収束させておくための部材である。収束部材300は、x-z平面に平行な略平板状となっている。収束部材300のうちその長手方向に沿った一端側には、袋BGに当接し押圧する部分である押圧部320が設けられている。収束部材300のうちその長手方向に沿った他端側の部分には回転穴が形成されており、当該回転穴に軸311が通されている。軸311は、y方向に沿って伸びる円柱形状の軸であり、そのy方向側の端部が本体フレーム100に取り付けられている。収束部材300は、軸311の周りにおいて回転可能な状態で支持されている。
【0048】
略平板状である収束部材300には、これをy方向に貫く長穴312が形成されている。長穴312は、軸311側から押圧部320側に向かって伸びるように形成された細長い穴である。長穴312には、後述のリンク部材260に設けられた軸262が挿通されている。収束部材300は、軸262から受ける力によって、軸311の周りにおいて回転する。尚、結束動作が行われる前の待機時(
図9)においては、収束部材300は、ばね351からの力によって、可動範囲のうち最も時計周り方向側となる位置において待機している。当該状態においては、収束部材300の全体は案内溝110と重なっておらず、押圧部320が案内溝110の上方側に配置された状態となっている。
【0049】
リンク部材260は、ドライバ30の動作に連動して収束部材300を動作させるための部材である。リンク部材260は、x軸に沿った方向にのみ平行移動し得る状態で保持されている。リンク部材260は、収束部材300と同様に、x-z平面に平行な略平板状となっている。リンク部材260のうちその長手方向に沿った一端側の部分は、収束部材300の一部に対しy方向側から重なっている。当該部分には、先に述べた軸262が設けられており、この軸262が長穴312に挿通されている。
【0050】
リンク部材260のうちその長手方向に沿った他端側の部分には、円形の穴が形成されており、当該穴には軸261が挿通されている。軸261は、先に述べたように、結合リンク250とドライバ30のとの間を回転可能な状態で繋いでいる軸である。
【0051】
以上のような構成において、ドライバ30がx方向側に移動すると、ドライバ30と共にリンク部材260もx方向側に移動する。リンク部材260の軸262は、収束部材300の長穴312に挿通された状態のままx方向側に移動する。収束部材300は、長穴312の縁がリンク部材260から受ける力によって、ばね351の力に抗しながら
図9における反時計回り方向に回転する。これにより、収束部材300の押圧部320は、案内溝110に沿って下方側へと移動して行き、
図10の状態となる。
【0052】
結束機10が袋BGを結束する際における一連の動作について、改めて説明する。使用者が、袋BG分を案内溝110に通して下降させ、スイッチ部材111を回動させると、電動モーター50が駆動される。電動モーター50の駆動力により、カムギヤ230やクランク240が動作することで、ドライバ30がx方向側に移動する。ドライバ30は、
図9に示される待機状態の位置から、
図10に示される結束完了状態の位置まで移動する。
【0053】
これと並行して、ドライバ30と共にリンク部材260がx方向側へと移動することで、収束部材300が反時計回り方向に回転する。収束部材300の押圧部320は、案内溝110に沿って下方側へと移動し、その先端が袋BGに当接する。袋BGのうち案内溝110に通されている部分は、押圧部320から押圧されることによって変形し、ステープル80が到達するよりも前の時点において予め収束した状態となる。
【0054】
ドライバ30は、上記のようにx方向側へと移動しながら、連結体800の先端にあったステープル80をx方向側へと押し出す。当該ステープル80は、脚部81の先端をクリンチャ400に向けた状態で、x方向側にある袋BGに向かって移動する。
【0055】
ステープル80が袋BGの位置に到達する時点においては、袋BGは、上記のように押圧部320から押圧されることによって収束しており、脚部81の間に挟まれ得る程度の大きさとなっている。このため、ステープル80は、脚部81の間に袋BGを入り込ませながらクリンチャ400の位置に到達する。その後、ステープル80は、ドライバ30とクリンチャ400との間で挟み込まれることによって変形し、袋BGを結束した状態となる。
【0056】
結束が完了した後も、電動モーター50は引き続き動作を継続する。ドライバ30は、
図10の位置から-x方向側へと移動する。それに伴い、収束部材300は時計回り方向に回転する。最終的には、
図9に示される待機状態の位置まで各部材が戻り、この時点で電動モーター50が動作を停止する。結束のために電動モーター50が動作し始めてから停止するまでの期間においては、カムギヤ230は360度回転することとなる。
【0057】
送り爪282を動作させるための構成について説明する。先ず、リンク部材260の具体的な形状について説明する。先に述べたように、リンク部材260は、ドライバ30と共に移動することで、収束部材300を動作させる部材である。
図11には、リンク部材260と、これに接続されたドライバ30や結合リンク250等が、斜視図として描かれている。同図に示されるように、リンク部材260のうち-z方向側の端部では、板状部材の一部を折り返すことにより、y方向側に突出するよう折り返し部263が形成されている。折り返し部263にはローラー264が設けられている。ローラー264は略円柱形状の部材であって、その中心軸をz方向に沿わせた状態で、当該回転軸の周りにおいて回転可能な状態で保持されている。
【0058】
続いて、リンク部材270の具体的な形状について説明する。先に述べたように、リンク部材270は、軸281を介して送り部材280を保持している部材である。
図12に示されるように、リンク部材270は、概ねx方向に沿って伸びている略平板状態の部材である。リンク部材270は、x方向に沿った略中央となる位置において、軸271によって支持されている。軸271は、本体フレーム100に対して固定されており、z方向に沿って伸びている。リンク部材270は、軸271の周りにおいて回転可能な状態で支持されている。
【0059】
リンク部材270は、被付勢部272と、折り返し部274と、を有している。
【0060】
被付勢部272は、リンク部材270のうち-x方向側の端部近傍となる位置から、-y方向側に向かって伸びている。被付勢部272には、-y方向側からばね273が挿通されている。ばね273は、その-y方向側の端部が本体フレーム100に当接しており、y方向側の端部がリンク部材270に当接している。ばね273は圧縮された状態となっているので、被付勢部272をy方向側に向けて付勢している。このため、リンク部材270は、軸271の周りにおいて、
図12の反時計回り方向に回転するように付勢されている。
【0061】
折り返し部274は、リンク部材270のうち最もx方向側の部分であって、z方向側に向けて突出するよう折り返されている部分である。折り返し部274のうちx方向側の側面には、
図8を参照しながら先に述べたように、軸281を介して送り部材280が取り付けられている。
【0062】
図12に示されるように、リンク部材270の近傍には、リンク部材260のローラー264が配置されている。ローラー264は、リンク部材270のうち-y方向側の縁275に対し、y方向に沿って対向する位置に配置されている。縁275は、x方向側に行くほど-y方向側に向かうよう、x軸に対して僅かに傾斜している。
【0063】
図12において、結束機10は、結束を行う前の待機状態(
図9の状態)となっている。待機状態においては、ローラー264は被付勢部272の近くにあり、ローラー264と縁275との間は離間している。
【0064】
図13には、
図12の待機状態における送り部材280や逆止部材290の状態が示されている。
図13に示されるように、待機状態においては、送り爪282及び逆止爪292のそれぞれが、連結体800のうち互いに隣り合う一対のステープル80の間に入り込んでいる。
【0065】
リンク部材270は、
図12のばね273によって付勢されているので、折り返し部274は、送り部材280と共に-y方向側へと移動しようとしている。また、送り部材280の送り爪282は、連結体800の一部に入り込んでいる。このため、連結体800には、-y方向側に向かう力が送り爪282から加えられている。しかしながら、
図12や
図13のような待機状態においては、連結体800は最も奥側(-y方向側)まで入り込んでいる。このため、折り返し部274や送り部材280、及び連結体800等は、
図13の位置において静止している。
【0066】
図14、15には、ドライバ30が動作してステープル80をx方向側へと打ち出した直後における結束機10の状態が、
図12、13のそれぞれの同様の視点で描かれている。尚、ドライバ30の先端やステープル80は、この時点においては未だクリンチャ400の位置までは到達していない。
【0067】
連結体800の先端にあったステープル80がドライバ30によって打ち出されると、送り爪282からの力によって、連結体800は-y方向側へと移動する。
図14に示されるように、リンク部材270は軸271の周りにおいて反時計回り方向にわずかに回転する。また、
図15に示されるように、折り返し部274及び送り爪282は、ステープル80の概ね1個分だけ-y方向側へと移動する。逆止部材290は、逆止爪292が連結体800から力を受けることにより、
図15における時計回り方向に回転する。これにより、連結体800の移動中においては、連結体800から逆止爪292が一時的に外れた状態となる。連結体800の移動が完了すると、逆止爪292は、連結体800の一部に再び入り込んだ状態となる。
【0068】
尚、
図12の待機状態において、逆止爪292のうち-y方向側の縁は、連結体800の送り方向(y方向)に対して垂直となっており、逆止爪292のうちy方向側の縁は、連結体800の送り方向(y方向)に対して斜めとなっている。連結体800の移動に伴う逆止部材290の上記動作は、このような逆止爪292の形状に起因して生じるものである。
【0069】
図14に示されるように、待機状態からドライバ30がx方向側に移動すると、リンク部材260及びローラー264もx方向側へと移動する。
図14の状態においては、リンク部材270が反時計回り方向に回転したことと、ローラー264がx方向側へと移動したこととに伴って、ローラー264がリンク部材270の縁275に当接している。
【0070】
図16、17には、ドライバ30が更にx方向側へと動作して、ステープル80による袋BGの結束が完了した時点における結束機10の状態が、
図12、13のそれぞれの同様の視点で描かれている。
【0071】
図14の状態からドライバ30が更にx方向側へと移動すると、リンク部材260及びローラー264もx方向側へと移動する。
図16に示されるように、リンク部材270は、縁275がローラー264から力を受けることにより、軸271の周りにおいて時計回り方向に回転する。その結果、リンク部材270の折り返し部274は、送り部材280と共にy方向側へと移動する。
【0072】
図17に示されるように、送り部材280は、送り爪282が連結体800から力を受けることにより、
図15における反時計回り方向に回転する。これにより、連結体800から送り爪282が一時的に外れた状態となる。
【0073】
尚、
図12の待機状態において、送り爪282のうち-y方向側の縁は、連結体800の送り方向(y方向)に対して垂直となっており、送り爪282のうちy方向側の縁は、連結体800の送り方向(y方向)に対して斜めとなっている。折り返し部274の移動に伴う送り部材280の上記動作は、このような送り爪282の形状に起因して生じるものである。
【0074】
折り返し部274と共に送り部材280がy方向側へと移動する際には、送り爪282から受ける力により、連結体800もy方向側へと移動してしまうことが懸念される。しかしながら、この時点では、連結体800の一部に逆止爪292が入り込んだ状態となっているので、上記のような連結体800の移動は防止される。このように、逆止爪292は、連結体800がy方向(つまり、ドライバ30の可動範囲から遠ざかる方向)に移動することを妨げるためのものとして設けられている。
【0075】
袋BGの結束が完了すると、ドライバ30やローラー264は-x方向側へと移動する。これにより、結束機10は
図12、13の待機状態に戻る。
【0076】
以上に述べたように、本実施形態に係る結束機10では、ドライバ30からの力が、リンク部材260のローラー264やリンク部材270を介して送り爪282に伝達され、その結果として、ドライバ30と連動するように送り爪282を動作させる。ローラー264及びリンク部材270は、ドライバ30の動作に連動して送り爪282を動作させる「伝達機構」を構成している。
【0077】
このような構成においては、ドライバ30及び送り爪282の連携動作が、機械的な動力の伝達のみによって実現される。従って、複数の駆動源の動作タイミングを合わせる制御等を行うことなく、ドライバ30及び送り爪282を容易に且つ確実に連携動作させることが可能となっている。
【0078】
本実施形態の伝達機構は、リンク部材270が、回転軸である軸271の周りに回転しながら、ドライバ30からの力を送り爪282に伝達する。これにより、ドライバ30の動作方向(x方向)に対し垂直な方向(y方向)、に沿って送り爪282を動作させる。ただし、ドライバ30と送り爪282との機械的な連動が実現されるのであれば、上記とは異なる構成を採用してもよい。
【0079】
以上に説明した機能を実現するにあたっては、送り爪282及び逆止爪292のそれぞれの配置は、
図8に示される態様に限定される必要はなく、様々な配置を採用することができる。例えば、送り爪282及び逆止爪292の両方を、連結体800のz方向側となる位置に配置してもよい。
【0080】
その場合、送り部材280及び逆止部材290はy方向に沿って並ぶこととなる。そのような構成においては、結束機10の幅方向(y方向)に沿った寸法が大型化してしまい、結束機10の設置場所等に制約が生じてしまう可能性があるので、好ましくない。
【0081】
そこで、本実施形態に係る結束機10では、連結体800を挟んで送り爪282とは反対側となる位置に、逆止爪292を配置することとしている。送り部材280及び逆止部材290が、z方向に沿って概ね対向するように配置される結果として、結束機10の幅方向(y方向)に沿った寸法を抑制することができる。尚、上記における「連結体800を挟んで送り爪282とは反対側となる位置」とは、逆止爪292のy座標と送り爪282のy座標とが互いに概ね一致するような逆止爪292の位置のみならず、逆止爪292のy座標と送り爪282のy座標とが互いに異なるような逆止爪292の位置をも含む。
【0082】
送り爪282及び逆止爪292の配置は、上記のような態様に限定されず、様々な配置を採用することができる。例えば、逆止部材290の全体をy軸の周りに90度回転させた上で、当該逆止部材290を、連結体800の-x方向側となる位置に配置してもよい。
【0083】
第2実施形態について説明する。以下では、第1実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。
【0084】
まず、比較例について説明する。
図18(A)には、比較例に係る結束機10のうち、連結体800及びその周囲の構成が模式的に示されている。同図において符号「123」が付されているのは、連結体800を案内する部材の一つであって、連結体800の可動範囲のうち-y方向側の端部位置を規定している部材である。当該部材のことを、以下では「ガイド部材123」とも称する。
【0085】
この比較例では、
図8等に示される第1実施形態の場合と同様に、送り爪282の位置が、待機状態においては逆止爪292よりもy方向側の位置となっている。尚、
図18(A)において符号「282A」で示されているのは、可動範囲のうち最も-y方向まで移動した場合における、送り爪282の位置である。換言すれば、案内レール162から連結体800を取り外して、リンク部材270の折り返し部274が自由に動き得る状態としたときに、送り爪282が静止する位置である。当該位置は、逆止爪292よりも-y方向側の位置となっている。つまり、この比較例では、y方向に沿った送り爪282の可動範囲の内側となる位置に、逆止爪292が配置されている。
【0086】
このような構成の比較例において、袋BGの結束が繰り返し行われると、連結体800は次第に短くなって行く。最終的には、
図18(B)に示されるように、送り爪282よりもy方向側には連結体800が存在しない状態となる。
図18(B)は、上記のように連結体800が短くなってから、送り爪282が最も-y方向側に移動したときの状態を表している。当該状態において、送り爪282は逆止爪292よりも-y方向側の位置にあるので、逆止爪292は連結体800に入り込んでいない。連結体800は、送り爪282とガイド部材123との間に挟まれた状態となっている。
【0087】
図18(B)の状態の後、ドライバ30が動作して次の結束が行われると、
図18(C)に示されるように、連結体800は更に短くなる。連結体800は、最も-y方向側に移動したときの送り爪282からガイド部材123までの距離、よりも短くなっている。また、連結体800は、送り爪282及び逆止爪292のどちらにも保持されていないので、自由に動き得る状態となっており、そのy方向に沿った位置が不安定となっている。
【0088】
このような状態で、ドライバ30が再度動作して次の結束が行われると、ドライバ30の可動範囲においてステープル80が詰まってしまうことがある。例えば、連結体800のうち最も-y方向側にあるステープル80が、
図18(C)の状態から0.5個分だけ-y方向がに移動した状態で結束が行われると、当該ステープル80が詰まってしまう可能性が高い。
【0089】
そこで、本実施形態に係る結束機10では、待機状態における送り爪282の位置を変更することで、上記問題が生じることを防止している。
【0090】
図19(A)には、本実施形態に係る結束機10のうち、待機状態における連結体800及びその周囲の構成が、
図18(A)と同様の方法で模式的に示されている。本実施形態では、待機状態における送り爪282の位置が、逆止爪292の位置よりも-y方向側の位置となっている。結束動作が行わた際には、送り爪282は、
図19(A)の位置から更に-y方向側へと移動し、同図の符号「282A」が付された位置まで移動する。このように、本実施形態では、y方向に沿った送り爪282の可動範囲の外側(y方向側)となる位置に、逆止爪292が配置されている。
【0091】
本実施形態でも、袋BGの結束が繰り返し行われると、連結体800は次第に短くなって行く。最終的には、
図19(B)に示されるように、連結体800に送り爪282のみが入り込んでおり、且つ、逆止爪292は入り込んでいない状態となる。比較例(
図18(B))のように、送り爪282及び逆止爪292の両方の係止が外れた状態とならないのは、本実施形態では、逆止爪292による係止が先に外れてしまい、送り爪282による係止を外すような動作が生じないからである。
【0092】
図19(B)の状態の後、ドライバ30が動作して次の結束が順次行われて行くと、
図19(C)に示されるように、連結体800は更に短くなる。ただし、この時点においても、連結体800には送り爪282が入り込んでいるので、連結体800が更に-y方向側へと移動してしまうことはない。
図19(C)の後は、連結体800は送り爪282と共にy方向側へと移動することとなる。仮に、その後においてドライバ30が動作したとしても、所謂「空打ち」となり、ステープル80が打ち出されることはない。
【0093】
使用者は、連結体800が短くなったことに気が付いて、新たな連結体800Aを補充する。使用者は、新たな連結体800Aの先端を、送り爪282及び逆止爪292の部分に挿入し、短くなっている連結体800の端部に押し付ける。
図19(D)には、このように連結体800Aが補充された状態が示されている。この状態では、連結体800Aに逆止爪292が入り込んでおり、
図19(A)と同様の状態となっているので、以降は通常時と同じように袋BGの結束を繰り返し行うことができる。
【0094】
以上のような動作を実現するためには、
図19(A)の待機状態において、送り爪282が、連結体800が送り出される方向に沿って逆止爪292よりも下流側(つまり-y方向)の位置であり、且つ、逆止爪292との間に、連結体800に含まれるステープル80を少なくとも1つ以上挟み込むような位置、にある構成とすればよい。
【0095】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0096】
10:結束機
30:ドライバ
80:ステープル
264:ローラー
270:リンク部材
271:軸
282:送り爪
400:クリンチャ
450:当接部材
800:連結体
BG:袋