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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177785
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】液体収容容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20231207BHJP
【FI】
B41J2/175 131
B41J2/175 171
B41J2/175 141
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090644
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石澤 卓
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 成吾
(72)【発明者】
【氏名】小林 淳
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA19
2C056KC02
2C056KC13
2C056KC16
2C056KC27
2C056KC30
(57)【要約】
【課題】インク注入処理において、インク収容室内のインクが大気開放口を通じて流出する可能性を低減する。
【解決手段】液体収容容器は、液体収容室と、液体供給口と、液体供給口と液体収容室を接続する液体供給路と、下流圧力が上流圧力よりも小さいときに液体供給路を導通させる差圧弁と、大気開放口と、大気開放口と液体収容室とを接続する大気導入路と、を備える。液体収容容器は、大気導入路の一部を構成する捕捉部と、液体を流通させず空気を流通させる素材で構成され、捕捉部より大気開放口側の部位で大気導入路を塞ぐ通気フィルムと、を含む。液体収容室に液体収容容器の外部から連通する穴を、液体収容容器に設ける。穴が連通する部位よりも大気開放口側の部位において、治具により捕捉部を塞ぐ。穴を介して液体収容室内に液体を流入させる。液体収容室内に液体を流入させる。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体収容容器の製造方法であって、
前記液体収容容器は、
筐体と、
前記筐体内に設けられ、液体を収容する液体収容室と、
前記液体収容室内の液体を前記液体収容容器の外部に供給する液体供給口であって、前記筐体に設けられる液体供給口と、
前記筐体内に設けられ、前記液体供給口と前記液体収容室とを接続する液体供給路と、
前記液体供給路に設けられる差圧弁であって、
前記液体供給路のうち前記差圧弁と前記液体供給口との間の流路部分である下流流路部の圧力である下流圧力が、前記液体供給路のうち前記差圧弁と前記液体収容室との間の流路部分である上流流路部の圧力である上流圧力よりも、小さく、かつ前記下流圧力と前記上流圧力の差があらかじめ定められた値より大きいときに、前記液体供給路を導通させ、
前記下流圧力と前記上流圧力の差が前記あらかじめ定められた値よりも小さいか、前記下流圧力が前記上流圧力よりも大きいときに、前記液体供給路を遮断する、差圧弁と、
大気を前記液体収容室内に導入するための大気開放口であって、前記筐体に設けられる大気開放口と、
前記筐体内に設けられ、前記大気開放口と前記液体収容室とを接続する大気導入路と、を備え、
前記液体収容容器は、
前記大気導入路の一部を構成する捕捉部であって、
1以上の柱状の空間を含み、前記大気開放口から導入された空気を前記柱状の空間に流通させる第1領域と、
前記第1領域とは異なる方向に伸びており、前記第1領域に接続されている第2領域と、を含む、捕捉部と、
前記液体を流通させず空気を流通させる素材で構成され、前記捕捉部よりも前記大気開放口側の部位において前記大気導入路を塞ぐ通気フィルムと、を含み、
前記方法は、
前記液体供給路のうち前記下流流路部よりも上流の流路部分と、前記液体収容室と、前記大気導入路のうち前記捕捉部または前記捕捉部よりも下流の流路部分と、のうちの少なくとも一つに前記液体収容容器の外部から連通する穴を、前記液体収容容器に設ける工程と、
前記穴が連通する部位よりも前記大気開放口側の部位において、治具により前記捕捉部を塞ぐ工程と、
前記捕捉部を塞ぐ工程の後に、前記穴を介して前記液体収容室内に液体を流入させる工程と、
前記液体収容室内に液体を流入させる工程の後に、前記穴を封止する工程と、を含む、液体収容容器の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の液体収容容器の製造方法であって、
前記第2領域は、
前記液体収容容器の一部を構成する壁部に設けられる開口を介して、前記1以上の柱状の空間のうち前記第2領域よりも前記液体収容室側にある柱状の空間に接続されており、
前記開口が設けられている前記壁部と、前記壁部から突出している周囲壁であって前記開口を囲んでいる周囲壁と、前記周囲壁の上端に接合され前記周囲壁に囲まれた空間と前記液体収容容器の外部との間を隔てている隔壁フィルムと、により画定されている領域を含み、
前記捕捉部を塞ぐ工程は、前記治具に、前記隔壁フィルムを貫通させて、前記開口を塞がせる工程を含む、液体収容容器の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の液体収容容器の製造方法であって、
前記液体収容室内に液体を流入させる工程の後に、前記治具が貫通していた前記隔壁フィルムの穴を囲む領域を含む前記隔壁フィルムの少なくとも一部の領域に、前記液体を流通させない封止フィルムを接着することにより、前記隔壁フィルムの前記穴を塞ぐ工程を含む、液体収容容器の製造方法。
【請求項4】
請求項2に記載の液体収容容器の製造方法であって、
前記開口は、円形の形状を有し、
前記治具は、円錐台状の形状部分を含み、
前記捕捉部を塞ぐ工程は、前記治具の前記円錐台状の形状部分の先端部を前記開口に挿入し、前記円錐台状の形状部分のテーパ面と、前記開口の内周とを密着させることにより、前記捕捉部を塞ぐ工程である、液体収容容器の製造方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の液体収容容器の製造方法であって、
前記捕捉部を塞ぐ工程の後であって、前記液体収容室内に液体を流入させる工程の前に、前記液体収容室内の液体と空気との少なくとも一方を前記液体収容室から排出することにより、前記液体収容室内の圧力を低減する工程を含む、液体収容容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体収容容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用済みのインクカートリッジにインクを再充填する技術が存在する。特許文献1の技術においては、インクカートリッジ内において、インク吐出口と差圧弁収容室とは連通している。また、インク吐出口と第1インク収容室と第2インク収容室とはその順に連通している。第1インク流通口を介して第1インク収容室と第2インク収容室とを連通する流路は、差圧弁の膜弁に対して、差圧弁収容室とは逆の側に位置する。
【0003】
特許文献1の技術においては、まず、インクカートリッジの外部から、インクカートリッジ内において差圧弁収容室とインク吐出口を接続する流路に至る挿入路を、ドリルを用いて形成する。挿入路に封止栓を挿入することにより、差圧弁収容室とインク吐出口との間を遮断する。インク吐出口からインクを注入する。インクは差圧弁収容室には流入しないため、インク吐出口から、第1インク収容室を経て、差圧弁が封止している第1インク流通口に至る経路の圧力が、差圧弁収容室内に比べて高くなる。すると、膜弁が変形して第1インク流通口が開く。その結果、インク吐出口から注入されたインクが第1インク収容室および第2インク収容室に充填される。その後、封止栓が除去され、挿入路が封止される。
【0004】
特許文献2の技術においては、以下のように、インクカートリッジにインクが再充填される。インクカートリッジの吐出口が上を向く姿勢にインクカートリッジを配する。大気開放口を密封する。大気開放口から液体インク収容室までの流路の途中に注入口を開口する。注入口を介して内部を負圧にして、注入口から液体インクを注入する。その後、インクカートリッジの液体インク流路の屈曲に合わせてインクカートリッジを回転させつつ、インク吐出口を吸引して、各室およびインク収容室に注入された液体インクを移動させて、液体残量センサー室内の気泡を排出させる。
【0005】
一般に、インクカートリッジには、印刷に伴うインク収容室からのインクの流出に応じてインク収容室に大気を導入するための大気導入路が設けられている。大気導入路を介したインク収容室からのインクの流出を防止するため、大気導入路は、空気を流通させインクを流通させない通気フィルムで、塞がれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-89790号公報
【特許文献2】特開2013-241012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のいずれの技術においても、インク収容室にインクを注入する処理において、インク収容室内のインクが大気導入路を逆流して、通気フィルムに達するおそれがある。たとえば、インク収容室にインクが想定よりも多く残留している場合には、インク収容室内のインクが大気導入路を逆流しやすい。通気フィルムがインクで濡れると、通気フィルムは、空気を流通させることができなくなる。その結果、インク収容室へのインクの充填を完了した後、印刷において、インク収容室からインクをインクカートリッジの外部に流出させることができなくなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一形態によれば、液体収容容器の製造方法が提供される。前記液体収容容器は、筐体と、前記筐体内に設けられ、液体を収容する液体収容室と、前記液体収容室内の液体を前記液体収容容器の外部に供給する液体供給口であって、前記筐体に設けられる液体供給口と、前記筐体内に設けられ、前記液体供給口と前記液体収容室とを接続する液体供給路と、前記液体供給路に設けられる差圧弁であって、前記液体供給路のうち前記差圧弁と前記液体供給口との間の流路部分である下流流路部の圧力である下流圧力が、前記液体供給路のうち前記差圧弁と前記液体収容室との間の流路部分である上流流路部の圧力である上流圧力よりも、小さく、かつ前記下流圧力と前記上流圧力の差があらかじめ定められた値より大きいときに、前記液体供給路を導通させ、前記下流圧力と前記上流圧力の差が前記あらかじめ定められた値よりも小さいか、前記下流圧力が前記上流圧力よりも大きいときに、前記液体供給路を遮断する、差圧弁と、大気を前記液体収容室内に導入するための大気開放口であって、前記筐体に設けられる大気開放口と、前記筐体内に設けられ、前記大気開放口と前記液体収容室とを接続する大気導入路と、を備える。
前記液体収容容器は、前記大気導入路の一部を構成する捕捉部であって、1以上の柱状の空間を含み、前記大気開放口から導入された空気を前記柱状の空間に流通させる第1領域と、前記第1領域とは異なる方向に伸びており、前記第1領域に接続されている第2領域と、を含む、捕捉部と、前記液体を流通させず空気を流通させる素材で構成され、前記捕捉部よりも前記大気開放口側の部位において前記大気導入路を塞ぐ通気フィルムと、を含む。
前記方法は、前記液体供給路のうち前記下流流路部よりも上流の流路部分と、前記液体収容室と、前記大気導入路のうち前記捕捉部または前記捕捉部よりも下流の流路部分と、のうちの少なくとも一つに前記液体収容容器の外部から連通する穴を、前記液体収容容器に設ける工程と、前記穴が連通する部位よりも前記大気開放口側の部位において、治具により前記捕捉部を塞ぐ工程と、前記捕捉部を塞ぐ工程の後に、前記穴を介して前記液体収容室内に液体を流入させる工程と、前記液体収容室内に液体を流入させる工程の後に、前記穴を封止する工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の液体収容容器ICを示す斜視図である。
図2】本実施形態の液体収容容器ICの分解斜視図である。
図3図1および図2と略同じ方向から見た液体収容容器ICの側面図である。
図4図3のIV-IV断面図である。
図5図3とは逆の方向から見た液体収容容器ICの側面図である。
図6】封止フィルムFLe、隔壁フィルムFLp、通気フィルムFLv、供給口フィルムFLspが貼付されていない状態の液体収容容器ICを示す斜視図である。
図7図3および図6に示される捕捉部4C近傍の部分を拡大して示す拡大図である。
図8】使用済みの液体収容容器ICにインクを再充填する際に使用される吸引装置700の構成を示すブロック図である。
図9】使用済みの液体収容容器ICにインクを再充填する際に使用される充填装置800の構成を示すブロック図である。
図10】液体収容容器にインクを再充填する処理を示すフローチャートである。
図11】液体収容容器ICの筐体900に開けられる穴IH1を示す斜視図である。
図12】捕捉部4Cの円柱状の空間412,413近傍の構造を示す部分断面図である。
図13図10のステップS200後における空間412,413近傍の構造を示す部分断面図である。
図14】液体収容容器にインクを再充填する際の各バルブの開閉状態を示す表である。
図15A】ステップS500後における空間412,413近傍の構造を示す部分断面図である。
図15B】ステップS600後における空間412,413近傍の構造を示す部分断面図である。
図16図10のステップS600の処理後における隔壁フィルムFLpの穴FLpOの近傍の状態を示す説明図である。
図17図10のステップS600における処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
A.実施形態:
A1.液体収容容器の構成:
図1は、本実施形態の液体収容容器ICを示す斜視図である。液体収容容器ICは、内部にインクを収容している。液体収容容器ICは、プリンターに装着されて、液体供給口200からプリンターにインクを供給する。液体収容容器ICは、直方体状の外形形状を有する筐体900を備える。筐体900は、ポリプロピレン(PP)により構成されている。液体収容容器ICは、プリンターに装着されて使用される際の姿勢において、側面である面の一つにメモリーチップMCを備える。メモリーチップMCは端子を備えており、端子を介してプリンターの回路と電気的に接続される。以下、プリンターに装着されて使用される際の姿勢を基準に、筐体900の「底面」、筐体900の「上面」、筐体900の「側面」の呼称を用いる。
【0011】
図2は、本実施形態の液体収容容器ICの分解斜視図である。液体収容容器ICは、内部に、ゴム膜GMと、コイルバネSP3と、バルブ蓋VCとを備える(図2の中央部参照)。ゴム膜GMと、コイルバネSP3と、バルブ蓋VCとは、液体収容容器IC内において、その順に重ねられて、差圧弁325を構成する。差圧弁325については、後に説明する。
【0012】
液体収容容器ICは、筐体900の底面近傍であって、メモリーチップMCが取り付けられている側面の近傍の部位に、コイルバネSP2、バルブV2、シールゴムSR、供給口フィルムFLspを備える(図2の中央部参照)。コイルバネSP2、バルブV2、シールゴムSRは、液体供給口200の近傍の液体供給路300内において、その順に配される。供給口フィルムFLspは、液体供給口200を封止する。供給口フィルムFLspは、液体収容容器ICが使用される際には、筐体900から剥がされる。
【0013】
液体収容容器ICは、筐体900の底面であって、メモリーチップMCが取り付けられている側面と向かい合う側面の近傍の部位に、プリズムPRを備える(図2の中央部参照)。プリズムPRの一部は、液体収容容器IC内の液体収容室121内に露出している。プリズムPRは、プリンターから照射された光を反射することにより、液体収容室121内のインクの量に関する情報を、プリンターに提供する。
【0014】
液体収容容器ICは、筐体900の一つの側面であって、メモリーチップMCが取り付けられている側面と接続されている側面において、メモリーチップMCが取り付けられている側面と向かい合う側面の近傍の部位に、大気開放口401を備える(図2の上段左部参照)。大気開放口401は、剥離可能な封止フィルムFLeによって、封止されている(図1の上段左部参照)。封止フィルムFLeは、表面に剥離可能なウレタン粘着剤の層を有する。封止フィルムFLeは、ウレタン粘着剤によって、筐体900に剥離可能に貼付されている。封止フィルムFLeは、液体収容容器IC内の液体収容室117,121に収容されるインクを流通させない。
【0015】
このような構成とすることにより、液体収容容器ICの使用が開始される前の状態において、大気導入路400内において、捕捉部4Cからさらに大気開放口401側の部位に流出するインクについても、大気開放口401を通じて外部に流出しないようにすることができる。なお、捕捉部4Cについては、後に説明する。
【0016】
封止フィルムFLeは、液体収容容器ICが使用される際には、筐体900から剥がされる。すなわち、大気開放口401が開口される。大気開放口401は、大気導入路400を介して、液体収容容器ICの外部と液体収容室117,121との間に、空気を流通させることができるようになる。その結果、液体収容室117,121から液体供給口200に適切にインクが送出されることができる。
【0017】
封止フィルムFLeが貼付される筐体900の一つの側面の他の部位は、隔壁フィルムFLpによって、封止されている(図1、および図2の下段左部参照)。なお、使用前の液体収容容器ICにおいては、隔壁フィルムFLpは、第1隔壁フィルムFLp1によって構成される。液体収容容器ICが使用された後に液体収容容器ICにインクが再充填された状態においては、隔壁フィルムFLpは、第1隔壁フィルムFLp1と第2隔壁フィルムFLp2とによって構成される(図2の下段左部、および図1の下段右部参照)。
【0018】
封止フィルムFLeが貼付される筐体900の一つの側面と向かい合う一つの側面は、内フィルムFLiによって、封止されている(図2の上段右部参照)。内フィルムFLiによって封止されている一つの側面は、さらに、蓋910によって、覆われている。
【0019】
筐体900の上面には、ラベルLbが貼付されている(図2の上段中央部参照)。ラベルLbには、液体収容容器ICが収容しているインクの色を示す情報が印刷されている。
【0020】
図3は、図1および図2と略同じ方向から見た液体収容容器ICの側面図である。図4は、図3のIV-IV断面図である。図5は、図3とは逆の方向から見た液体収容容器ICの側面図である。図6は、封止フィルムFLeと、隔壁フィルムFLpと、通気フィルムFLvと、供給口フィルムFLspと、が貼付されていない状態の液体収容容器ICを示す斜視図である。
【0021】
液体収容容器ICは、液体収容室117,121と、液体供給口200と、液体供給路300と、大気開放口401と、大気導入路400と、を備える。液体収容室117,121は、筐体900内に設けられ、インクを収容する(図5の上段右部および下段右部参照)。液体収容室117,121は、液体収容容器IC内に設けられている連通路120によって接続されている。具体的には、連通路120は、液体収容室117から受け取ったインクを、流通孔118,119を通して流通させ、液体収容室121に供給する(図3の中段左部および図5の中段右部参照)。
【0022】
液体供給口200は、筐体900の底面に設けられている(図3の下段右部、図5の下段左部、および図6の下段右部参照)。液体供給口200は、液体収容室117,121内のインクを液体収容容器ICの外部に供給する。
【0023】
液体供給路300は、筐体900内に設けられる。液体供給路300は、液体供給口200と液体収容室117,121とを接続する。具体的には、液体供給路300は、液体収容室121から受け取ったインクを、流通孔322,323,324,326,327、ならびに流路部分328を通して流通させ、液体供給口200に供給する(図5の下段中央部および中段左部、ならびに図4参照)。
【0024】
液体供給路300は、差圧弁325を備える(図4の上段参照)。差圧弁325は、筐体900を構成する壁部と、ゴム膜GMと、コイルバネSP3と、バルブ蓋VCと、により構成される。差圧弁325は、液体供給路300のうち差圧弁325と液体供給口200との間の流路部分の圧力である下流圧力が、液体供給路300のうち差圧弁325と液体収容室117,121との間の流路部分の圧力である上流圧力よりも、小さく、かつ下流圧力と上流圧力の差があらかじめ定められた値より大きいときに、液体供給路300を導通させる。差圧弁325は、下流圧力と上流圧力の差が上記のあらかじめ定められた値よりも小さいか、下流圧力が上流圧力よりも大きいときに、液体供給路300を遮断する。
【0025】
このような構成とすることにより、液体収容室117,121から液体供給口200に向けて、インクを適切に供給でき、かつ、逆向きのインクの流通を防止できる。
【0026】
大気開放口401は、前述のように、筐体900の一つの側面であって、メモリーチップMCが取り付けられている側面と向かい合う側面の近傍の部位に、設けられる(図3の上段左部および図6の上段左部参照)。大気開放口401は、大気を液体収容室117,121内に導入する。
【0027】
大気導入路400は、筐体900内に設けられる。大気導入路400は、大気開放口401と液体収容室117,121とを接続する。具体的には、大気導入路400は、大気開放口401を介して空気を導入し、流通孔402,405,406,407,415,416を通して流通させ、液体収容室117に供給する(図3、および図5参照)。
【0028】
大気導入路400は、大気開放口401から液体収容室117に向かう向きに、順に、屈曲流路部403と、障壁流路部4Hと、空気室408,409と、捕捉部4Cと、空気室414と、を備える(図3、および図5参照)。
【0029】
捕捉部4Cは、大気導入路400の一部を構成する(図3の下段右部、図5の下段左部、および図6の下段右部参照)。捕捉部4Cは、大気導入路400に侵入したインクを捕捉する機能を奏する。捕捉部4Cの構成については、後に詳細に説明する。
【0030】
大気導入路400は、捕捉部4Cよりも大気開放口401側の部位において、通気フィルムFLvによって、塞がれている(図3の上段中央部参照)。通気フィルムFLvは、流通孔405を囲む壁であって、周りの壁部よりも高さが低い壁の上端に溶着されて、その高さが低い壁に囲まれた空間と、高さが低い壁を囲む空間とを仕切っている。通気フィルムFLvは、空気を流通させることができかつ液体収容室117,121に収容されるインクを流通させない素材で構成されている。具体的には、通気フィルムFLvは、気体の酸素や窒素の分子を流通させ、液体の分子を流通させない大きさの微細孔を有するフィルムで構成されている。
【0031】
このような態様とすることにより、大気導入路400内において、捕捉部4Cからさらに大気開放口401側の部位に流出する液体についても、大気開放口401を通じて外部に流出しないようにすることができる。
【0032】
障壁流路部4Hは、大気導入路400において、捕捉部4Cと通気フィルムFLvとの間の部位に、位置する。障壁流路部4Hは、液体収容容器ICの液体供給口200から外部にインクを供給するときの液体収容容器ICの姿勢において、捕捉部4Cよりも鉛直上方に位置する。具体的には、障壁流路部4Hは、流通孔405と流通孔406の間の流路部分4H1、および流通孔406と流通孔407の間の流路部分4H2である(図5の上段左部、図3の上段右部、および図6の上段右部参照)。
【0033】
このような態様とすることにより、捕捉部4Cを通過したインクが存在した場合にも、そのインクは、重力に逆らって上昇して、鉛直上方に位置する障壁流路部4Hを乗り越えない限り、通気フィルムFLvには到達しない。このため、捕捉部4Cを通過したインクが通気フィルムFLvに接触する可能性を低減することができる。その結果、通気フィルムFLv全体がインクで濡れることにより、大気導入路400において空気が流通できなくなる可能性を低減することができる。
【0034】
屈曲流路部403は、大気導入路400において、捕捉部4Cと通気フィルムFLvとの間に位置する(図3の上段左部および図6の上段左部参照)。屈曲流路部403は、その前後の流路部分よりも断面積が小さく相互に180度異なる向きに空気を流通させる一対の流路部分を含む。本実施形態においては、屈曲流路部403は、そのような3組の流路部分を含む。なお、大気導入路400は、捕捉部4Cと液体収容室117,121との間には、そのような屈曲流路部403を備えない。
【0035】
このような構成とすることにより、大気導入路400を介して液体収容室117,121内のインクの揮発成分が蒸発する量を、低減することができる。
【0036】
空気室408,409,414は、大気導入路400の途中において、空気を滞留させるための部屋である(図5の上段左部および下段左部参照)。
【0037】
図7は、図3および図6に示される捕捉部4C近傍の部分を拡大して示す拡大図である。捕捉部4Cは、大気導入路400の一部を構成する。捕捉部4Cは、第1領域4C1と、第2領域4C2と、第3領域4C3と、を含む。
【0038】
第1領域4C1は、具体的には、4個の円柱状の空間410,411,412,413である。円柱状の空間410,411,412,413は、互いに平行な方向に伸びている。円柱状の空間410,411,412,413は、液体収容容器ICがプリンターに装着されて使用される際の姿勢において、水平方向と一致する方向に伸びている。円柱状の空間410,411,412,413を「第1領域」とも呼ぶ。大気開放口401から導入された空気は、捕捉部4Cにおいて、第1領域410,411,412,413を順に流通される。
【0039】
第2領域4C2は、筐体900において、第1隔壁フィルムFLp1と向かい合う側に設けられている(図2、および図3の下段右部参照)。第2領域4C2は、第1領域4C1とは異なる方向に伸びている流路部分4C21,4C22である。より具体的には、流路部分4C21,4C22は、第1領域410,411,412,413が伸びる方向と垂直な方向に伸びている。流路部分4C21,4C22は、液体収容容器ICがプリンターに装着されて使用される際の姿勢において、鉛直方向と一致する方向に伸びている。流路部分4C21,4C22を、「第2領域」とも呼ぶ。
【0040】
第2領域4C21は、液体収容容器ICの一部を構成する壁部1402に設けられ円形の形状を有する円開口410oを介して、第1領域410に接続されている(図7の上段右部参照)。第2領域4C21は、壁部1402に設けられ円形の形状を有する円開口411oを介して、第1領域411に接続されている。
【0041】
第2領域4C21は、壁部1402と、周囲壁1403と、隔壁フィルムFLpと、により画定されている(図7の上段右部参照)。壁部1402は、筐体900の構成要素のうち、円開口410oが設けられている壁部である。周囲壁1403は、壁部1402から突出している壁部である。周囲壁1403は、円開口410oを囲んでいる。隔壁フィルムFLpは、周囲壁1403の上端に接合されている。隔壁フィルムFLpは、周囲壁1403に囲まれた空間と液体収容容器ICの外部との間を隔てている(図2の下段左部参照)。なお、技術の理解を容易にするため、図7において、隔壁フィルムFLpは、示されていない。
【0042】
第2領域4C22は、壁部1402に設けられ円形の形状を有する円開口412oを介して、第1領域412に接続されている(図7の中段左部参照)。第2領域4C22は、液体収容容器ICの一部を構成する壁部1402に設けられ円形の形状を有する円開口413oを介して、第1領域413に接続されている。このような構成を有するため、円開口413oは、液体収容容器ICの向きによらず、第2領域4C2との間でインクのやりとりを行うことができる。
【0043】
第2領域4C22は、壁部1402と、周囲壁1404と、隔壁フィルムFLpと、により画定されている(図7の中段左部参照)。壁部1402は、筐体900の構成要素のうち、円開口412oが設けられている壁部である。
【0044】
周囲壁1404は、壁部1402から突出している壁部である。周囲壁1404は、円開口412oを囲んでいる。周囲壁1404は、第1部分壁1404aと、第2部分壁1404bと、を含む。
【0045】
第1部分壁1404aは、円開口412oを囲む部分壁である。円開口412oを介して、円柱状の空間412が、第2領域4C22と接続されている。円柱状の空間412は、大気導入路400において第2領域4C22よりも大気開放口401の側に位置する。第2部分壁1404bは、円開口413oを囲む部分壁である。円開口413oを介して、円柱状の空間413が、第2領域4C22と接続されている。円柱状の空間413は、大気導入路400において第2領域4C22よりも液体収容室117,121の側に位置する。
【0046】
第2領域4C22のうち、第2部分壁1404bによって囲まれる空間は、第1部分壁1404aによって囲まれる空間よりも大きい。なお、「第1部分壁1404aによって囲まれる空間の大きさ」は、円開口412oの開口面に垂直な方向から見たときに、第1部分壁1404aによって囲まれる領域内に収容され得る最大の仮想円の直径で規定される。「第2部分壁1404bによって囲まれる空間の大きさ」は、円開口413oの開口面に垂直な方向から見たときに、第2部分壁1404bによって囲まれる領域内に収容され得る最大の仮想円の直径で規定される。第2部分壁1404bによって囲まれる空間、および第1部分壁1404aによって囲まれる空間に関する寸法については、後にさらに説明する。
【0047】
このような態様とすることにより、第2領域4C22のうち、第1部分壁1404aに囲まれる空間よりも液体収容室117,121に近い位置にある第2部分壁1404bに囲まれる空間に、インクを収集しやすい。言い換えれば、第2部分壁1404bに囲まれる空間に、より多くの液体を捕捉することができる。このため、第2部分壁1404bによって囲まれる空間が、第1部分壁1404aによって囲まれる空間よりも小さい態様に比べて、第2領域4C2にインクを誘導しやすい。言い換えれば、大気開放口401にインクがより到達しにくい。
【0048】
隔壁フィルムFLpは、周囲壁1404の上端に接合されている。隔壁フィルムFLpは、周囲壁1404に囲まれた空間と液体収容容器ICの外部との間を隔てている(図2の下段左部参照)。なお、技術の理解を容易にするため、図7において、隔壁フィルムFLpは、示されていない。
【0049】
第3領域4C3は、筐体900において、内フィルムFLiと向かい合う側に設けられている(図5の下段左部参照)。第3領域4C3は、第1領域4C1および第2領域4C2とは異なる方向に伸びている流路部分である。より具体的には、第3領域4C3は、第1領域410,411,412,413が伸びる方向と垂直な方向であって、第2領域4C21,4C22が伸びる方向とねじれの位置にある方向に伸びている。
【0050】
第3領域4C3は、円形の形状を有する円開口を介して、第1領域411に接続されている(図5の下段左部参照)。第3領域4C3は、円形の形状を有する円開口を介して、第1領域412に接続されている。
【0051】
その結果、大気開放口401から導入された空気は、捕捉部4Cにおいて、第1領域410、第2領域4C21、第1領域411、第3領域4C3、第1領域412、第2領域4C22、第1領域413を、順に流通される。
【0052】
このような構成とすることにより、液体収容容器ICが様々な向きに配された場合にも、大気導入路400の一部を構成する捕捉部4Cに含まれ互いに異なる方向に伸びている第1領域4C1と第2領域4C2と、第3領域4C3とにより、インクを捕捉することができる。その結果、液体収容室117,121内のインクが大気開放口401を通じて外部に流出する可能性を低減することができる。
【0053】
また、照明とカメラの組み合わせや、超音波センサーなどにより、捕捉部4C内に存在するインクを、外部から隔壁フィルムFLpを介して容易に検知することができる。このため、捕捉部4Cに捕捉されたインクが大気開放流路を封止していることが検知できた場合には、その液体収容容器ICを使用する対象から除外することにより、液体収容容器ICから外部にインクが適切に供給できない液体収容容器ICを、使用対象から除外することができる。
【0054】
壁部1402において、円開口413oの外周と周囲壁1404の基部との間の距離dは、0.6mmである。このような構成とすることにより、周囲壁1404の内壁面と、円開口413oとの間には、壁部1402による段差が存在する。このため、液体収容容器ICの向きが変わった場合に、第1領域4C1としての円柱状の空間413から、液体収容室117,121につながる第2領域4C2に移動したインクが、再び大気開放口401につながる第1領域4C1としての円柱状の空間413に戻る可能性を低減できる。このため、第2領域4C2においてより確実にインクを捕捉することができる。その結果、大気開放口401に向かってインクが逆流するリスクをより抑えることができる。
【0055】
壁部1402において、円開口412oの外周と周囲壁1404の基部との間の距離は、0.3mmである。円開口410oの外周と周囲壁1403の基部との間の距離は、0.3mmである。円開口411oの外周と周囲壁1403の基部との間の距離は、0.3mmである。このような構成とすることにより、円開口413o周辺の構造と同様に、第1領域4C1としての円柱状の空間410,411,412から第2領域4C21,4C22に移動したインクが、再び円柱状の空間410,411,412に戻る可能性を低減できる。このため、第2領域4C2においてより確実にインクを捕捉することができる。
【0056】
筐体900は、壁部1402から周囲壁1404と同じ方向に突出しており周囲壁1404に隣接する他の壁部1406を備える。なお、二つの壁部が「隣接する」とは、二つの壁部の間に、それら二つの壁部と同じ方向に突出する他の壁部がないことを意味する。周囲壁1404の高さは、壁部1406の高さよりも高い。なお、周囲壁1404の高さは、壁部1402から突出方向に測った寸法である。このような態様とすることにより、捕捉部4C内に存在するインクを、他の壁部1406に邪魔されることなく、照明とカメラの組み合わせや、超音波センサーなどにより、外部から隔壁フィルムFLpを介して容易に検知することができる。
【0057】
本実施形態の液体収容容器ICは、上記の構成を有するため、後述するように、使用済みの液体収容容器ICに容易にインクを収容させることができる。すなわち、隔壁フィルムFLpに穴FLpOを設け、円錐台状の形状部分630tを有する治具600を、穴FLpOを介して捕捉部4Cに入れ、円開口413oに円錐台状の形状部分630tを挿入することができる。そして、円開口413oを治具600で封止できる。一方、液体収容容器ICの筐体900に開けられた穴IH1に、円錐台状の部分830tを有する注入ノズル830を挿入することができる。液体供給口200を介して液体収容室IC内のインクを吸引できる。その結果、注入ノズル830からインクを送出し、穴IH1を介して液体収容室117内にインクを流入させることができる。すなわち、液体収容室117内の圧力を低下させて、穴IH1を介して液体収容室117内にインクを流入させることができる。以下で、そのための構成および処理について詳細に説明する。
【0058】
A2.液体収容容器の周辺機器の構成:
図8は、使用済みの液体収容容器ICにインクを再充填する際に使用される吸引装置700の構成を示すブロック図である。吸引装置700は、液体収容容器ICの液体供給口200に接続されて、液体収容容器IC内部のインクおよび空気を吸引する(図6の下段右部参照)。
【0059】
吸引装置700は、真空ポンプ710と、インクトラップ720と、圧力計730とを備える。真空ポンプ710は、吸引装置700内の吸引路701を介して液体収容容器ICの液体供給口200に接続されて、液体収容容器IC内部のインクおよび空気を吸引する。
【0060】
インクトラップ720は、真空ポンプ710と、液体収容容器ICに接続される吸引路701の開口端701oと、の間の吸引路701の部位に接続されている。具体的には、インクトラップ720は、真空ポンプ710による吸引が行われる際の吸引装置700の姿勢において吸引路701よりも下方に位置する部屋である。真空ポンプ710によって吸引が行われ、吸引路701内をインクと空気が通過する際に、インクが重力にひかれて、下方のインクトラップ720に落下する。その結果、空気のみが真空ポンプ710に到達する。
【0061】
インクトラップ720と、吸引路701の開口端701oと、の間の吸引路701の部位には、バルブV71が設けられている。バルブV71は、吸引路701を連通させまたは遮断することができる。
【0062】
圧力計730は、バルブV71と、吸引路701の開口端701oと、の間の吸引路701の部位に接続されている。圧力計730は、吸引路701内の圧力を測定する。
【0063】
図9は、使用済みの液体収容容器ICにインクを再充填する際に使用される充填装置800の構成を示すブロック図である。充填装置800は、液体収容容器ICの筐体900に開けられた穴IH1に接続されて、液体収容容器ICに新たなインクを供給する。
【0064】
充填装置800は、インクタンク810と、プランジャーポンプ820と、注入ノズル830と、大気開放部840と、を備える。
【0065】
プランジャーポンプ820は、充填装置800内の供給路801および注入ノズル830を介して、インクタンク810内部のインクを液体収容容器ICに供給する。プランジャーポンプ820と注入ノズル830の間の供給路801の部位には、バルブV82が設けられている。バルブV82は、供給路801を連通させまたは遮断することができる。
【0066】
インクタンク810は、液体収容容器ICに供給すべきインクを貯留している。インクタンク810は、注入ノズル830に対して、プランジャーポンプ820と並列に接続されている。インクタンク810は、バルブV82とプランジャーポンプ820との間の供給路801の部位に、接続されている。インクタンク810と供給路801の間には、バルブV83が設けられている。バルブV83は、供給路801に対して、インクタンク810を連通させまたは遮断することができる。
【0067】
大気開放部840は、注入ノズル830に対して、プランジャーポンプ820およびインクタンク810と並列に接続されている。大気開放部840は、バルブV82と注入ノズル830との間の供給路801の部位に、接続されている。大気開放部840は、供給路801を充填装置800の外部と連通させる。大気開放部840と供給路801の間には、バルブV81が設けられている。バルブV81は、供給路801に対して、大気開放部840を連通させまたは遮断することができる。
【0068】
注入ノズル830は、供給路801の先端に設けられている。注入ノズル830は、中心軸を同じくする円錐台状の形状部分830tと円柱状の部分とを含む外形を有する。注入ノズル830は、外形の中心軸に沿った連通路を備える。注入ノズル830連通路は、供給路801と接続されている。円錐台状の形状部分830tの先端の直径は、液体収容容器ICの筐体900に開けられる穴IH1の直径よりも小さい。注入ノズル830の円錐台状の外形の末尾の直径は、穴IH1の直径よりも大きい。
【0069】
注入ノズル830は、液体収容容器ICの筐体900に開けられる穴IH1に挿入されて、液体収容容器ICの液体収容室117と、充填装置800内の供給路801とを接続する。その際、穴IH1が設けられている液体収容容器ICの筐体900の壁部が弾性変形することにより、注入ノズル830は、穴IH1の外周を構成する壁部に密着する。その結果、液体収容容器ICの液体収容室117と、充填装置800内の供給路801とは、外部に対してシールされる。
【0070】
上記の構成を備えることにより、注入ノズル830の円錐台部分の外面で穴IH1の外周をシールしつつ、充填装置800の供給路801と、液体収容容器ICの液体収容室117と、を接続することができる。
【0071】
A3.液体収容容器へのインクの再充填:
図10は、液体収容容器にインクを再充填する処理を示すフローチャートである。図10の処理の結果、使用済みの液体収容容器ICにインクが収容され、新たな液体収容容器ICが製造される。
【0072】
図10のステップS100において、穴IH1が、液体収容容器ICに設けられる。
【0073】
図11は、液体収容容器ICの筐体900に開けられる穴IH1を示す斜視図である。技術の理解を容易にするため、図11において、内フィルムFLi、蓋910、およびラベルLbは、示されていない(図2の上段右部参照)。図10のステップS100においては、液体収容室117に液体収容容器ICの外部から連通する穴IH1が、液体収容容器ICの筐体900に設けられる。穴IH1は、略直方体の筐体900の上面を構成する壁部に設けられる(図11の上段中央部参照)。
【0074】
図10のステップS200において、作業者は、治具600に、隔壁フィルムFLpを貫通させて、円開口413oを塞がせる(図7の中央部参照)。その結果、治具600により捕捉部4Cが塞がれる。捕捉部4Cは、大気導入路400の一部を構成する(図3の下段右部、図5の下段左部、および図6の下段右部参照)。このため、治具600により塞がれる部位は、大気導入路400において、穴IH1が連通する液体収容室117よりも大気開放口401側の部位である。
【0075】
図12は、捕捉部4Cの円柱状の空間412,413近傍の構造を示す部分断面図である。図10のステップS200において、作業者は、隔壁フィルムFLpに穴FLpOを設ける。具体的には、隔壁フィルムFLpとしての第1隔壁フィルムFLp1に穴FLpOが開けられる(図12参照)。
【0076】
図13は、図10のステップS200後における空間412,413近傍の構造を示す部分断面図である。ステップS200において、作業者は、円錐台状の形状部分630tを有する治具600を穴FLpOを介して捕捉部4Cに入れる(図6の下段右部、および図9参照)。そして、作業者は、治具600の円錐台状の形状部分630tの先端部を開口413oに挿入し、円錐台状の形状部分630tのテーパ面と、開口413oの内周とを密着させることにより、捕捉部4Cを塞ぐ。治具600は、その状態で筐体900に対して固定される。このような処理を行うことにより、容易に、捕捉部4Cを塞ぐことができる。
【0077】
本実施形態においては、円開口413oは、空間である第2領域4C22を挟んで、樹脂製の隔壁フィルムFLpと向かい合う位置にある。このため、円開口413oが筐体900と同様の材質で構成された蓋で覆われている態様とは異なり、隔壁フィルムFLpに穴FLpOを空けることにより、円開口413oに治具600を挿入して、液体収容容器ICの外部から容易に捕捉部4Cを塞ぐことができる。
【0078】
この状態において、円開口413oの内周は、治具600の円錐台状の形状部分630tのテーパを構成する外面で封止されている。その結果、液体収容室117に至る大気導入路400のうちの捕捉部4Cの円開口413oより下流の部分は、大気開放口401に至る大気導入路400のうちの捕捉部4Cの円開口413oより上流の部分から、遮断される。
【0079】
液体収容容器ICの壁部1402において、円開口413oの外周と周囲壁1404の基部との間の距離は、円開口412oの外周と周囲壁1404の基部との間の距離よりも大きい(図7参照)。より具体的には、円開口413oの外周と周囲壁1404の基部との間の距離は、0.6mmである。このため、治具600を周囲壁1404内に進入させて、円錐台状の形状部分630tを容易に円開口413oに挿入することができる。
【0080】
図10のステップS300において、作業者は、円錐台状の部分830tを有する注入ノズル830を、ステップS100で筐体900に開けられた穴IH1に入れる(図9の下段左部および図11の上段中央部参照)。そして、作業者は、穴IH1に円錐台状の部分830tを挿入することにより、穴IH1の内周を注入ノズル830の円錐台状の部分830tのテーパを構成する外面で封止する。この状態において、液体収容室117は、充填装置800内の供給路801に接続される。
【0081】
図14は、液体収容容器にインクを再充填する際の各バルブの開閉状態を示す表である。図10のステップS300において、作業者は、さらに、液体収容室117,121内のインクと空気とを液体収容室117,121から排出する。その結果、液体収容室117,121内の圧力が低減される。
【0082】
作業者は、まず、液体収容容器ICの液体供給口200に、吸引装置700を接続する(図6の下段右部、および図8参照)。その後、バルブV71,V81が開けられ、バルブV82,V83は閉じられる(図8図9、および図14の第1行目参照)。この状態において、液体収容室117は、筐体900の穴IH1、充填装置800内の供給路801、バルブV81、大気開放部840を介して、大気に開放されている(図9参照)。
【0083】
その後、作業者は、液体供給口200に接続されている吸引装置700の真空ポンプ710を駆動させて、液体供給口200を介して液体収容室117,121内のインクを吸引する(図8参照)。その結果、液体収容室117,121内のインクは吸引されて、インクトラップ720に格納される。この処理を、図14において、「残インク排出」と表記する。
【0084】
液体収容容器ICからインクが排出されなくなると、筐体900の穴IH1に接続されている充填装置800のバルブV81が閉じられる(図9、および図14の第2行目参照)。その結果、液体収容室117,121、および液体供給路300は、吸引装置700の吸引路701との接続を除いて、外部に対して密閉される。
【0085】
その間、液体供給口200に接続されている吸引装置700の真空ポンプ710は駆動され続ける。その結果、液体供給口200を介して液体収容室117,121内の空気が吸引される。液体収容室117,121、および液体供給路300は、外部に対して密閉されていることから、それらの内部の圧力は、大気圧よりも低くなる。この処理を、図14において、「減圧」と表記する。
【0086】
このような処理を行うことにより、その後、液体収容室117,121内の圧力が低減された状態で、液体収容室117,121内にインクを流入させることができる。このため、スムーズに液体収容室117,121内にインクを流入させることができ、液体収容室117,121内のインク中に気泡が混入する可能性を低減できる。
【0087】
その後、吸引装置700の吸引路701のバルブV71が閉じられる(図8、および図14の第3行目参照)。その結果、液体収容室117,121、および液体供給路300は、外部に対して密閉される。吸引装置700の圧力計730は、液体収容容器IC内のそれらの流路と接続されている吸引路701内の圧力を測定する。圧力の上昇速度があらかじめ定められた値より大きい場合には、インクの再充填作業は、中止される。圧力の上昇速度があらかじめ定められた値より大きいことは、充填装置800内の供給路801、注入ノズル830と穴IH1との接続部分、液体収容室117,121、および液体供給路300、それらの構成をつなぐ流路部分のいずれかに、漏れがあることを表している。圧力の上昇速度があらかじめ定められた値より小さい場合には、インクの再充填作業は、続行される。以上の処理を、図14において、「リークチェック」と表記する。
【0088】
図10のステップS400において、筐体900の穴IH1に接続されている充填装置800のバルブV82が開かれる(図9、および図14の第4行目参照)。なお、この段階において、プランジャーポンプ820には、あらかじめインクが充填されているものとする。プランジャーポンプ820へのインクの充填については、後に説明する。
【0089】
バルブV82が開かれると、注入ノズル830からインクが送出され、筐体900の穴IH1を介して液体収容室117,121内に、プランジャーポンプ820内のインクが流入する(図6および図5参照)。
【0090】
その後、筐体900の穴IH1に接続されている充填装置800のバルブV82が閉められ、バルブV81が開かれる(図9、および図14の第5行目参照)。すると、筐体900の穴IH1に接続されている充填装置800の大気開放部840を介して、液体収容室117,121内に外部の空気が導入される。この処理を、図14において、「大気開放」と表記する。
【0091】
本実施形態においては、通気フィルムFLvは、捕捉部4Cよりも大気開放口401側の部位にある(図3の上段左部および下段右部参照)。そして、穴IH1が連通する液体収容室117よりも大気開放口401側の大気導入路400において、捕捉部4Cを塞いだ後に、穴IH1を介して液体収容室117内にインクが流入される(図10のS200,S400参照)。このため、液体収容室117にインクを流入させる処理において、液体収容室117内のインクが大気導入路400を逆流しても、インクが通気フィルムFLvに達する可能性が低い。
【0092】
図10のステップS500において、作業者は、注入ノズル830を、筐体900に開けられた穴IH1の外部に退出させる。その後、充填装置800のバルブV81が閉じられ、バルブV83が開かれる(図9、および図14の最終行参照)。そして、プランジャーポンプ820が駆動され、インクタンク810からインクが吸引されて、プランジャーポンプ820に充填される。プランジャーポンプ820内のインクは、次の液体収容容器ICへのインクの充填に使用される。
【0093】
図10のステップS550において、作業者は、液体収容容器ICの筐体900に開けられた穴IH1を封止する。より具体的には、円錐台状の外形を有するゴム製の栓PLが穴IH1に挿入され、接着されることにより、穴IH1が封止される(図11の上段中央部参照)。
【0094】
図15Aは、ステップS500後における空間412,413近傍の構造を示す部分断面図である。図15Bは、ステップS600後における空間412,413近傍の構造を示す部分断面図である。
【0095】
図10のステップS600において、作業者は、捕捉部4Cおよび隔壁フィルムFLpの穴FLpOから治具600を退出させる。本実施形態において、治具600で封止される開口は、捕捉部4Cが備える円開口410o~413oのうちの最も液体収容室117に近い開口である。このため、仮に液体収容室117から大気導入路400内にインクが逆流した場合にも、そのインクによって捕捉部4Cが濡れる部分を小さくすることができる。
【0096】
作業者は、隔壁フィルムFLpとしての第1隔壁フィルムFLp1に設けられた穴FLpOを封止する(図15Aの中段右部参照)。より具体的には、作業者は、治具600が貫通していた隔壁フィルムFLpの穴FLpOを囲む領域を含む隔壁フィルムFLpの一部の領域に、液体を流通させない第2隔壁フィルムFLp2を接着する。その結果、隔壁フィルムFLpの穴FLpOは塞がれる(図15Bの中段右部参照)。
【0097】
このような処理を行うことにより、治具600を退出させた後、容易に隔壁フィルムFLpの穴FLpOを塞ぐことができる。なお、この状態においては、隔壁フィルムFLpは、第1隔壁フィルムFLp1と第2隔壁フィルムFLp2とによって構成される(図2の下段左部、および図1の下段右部参照)。
【0098】
以上の処理を行うことにより、差圧弁325を備える液体収容容器ICにおいても、液体収容室117,121内の圧力を低下させて、穴IH1を介して液体収容室117,121内にインクを流入させることができる。すなわち、使用済みの液体収容容器ICに容易にインクを収容させることができる。
【0099】
図10のステップS700において、作業者は、液体収容容器ICの大気開放口401を、液体収容室117,121に収容されるインクを流通させない封止フィルムFLeによって、封止する(図1の上段左部参照)。封止フィルムFLeは、液体収容容器ICの筐体900に対して剥離可能なフィルムである。
【0100】
この処理を行うことにより、インクの充填後、再充填後の液体収容容器ICの使用が開始される前の状態において、大気導入路400内において、捕捉部4Cからさらに大気開放口401側の部位に流出する液体についても、大気開放口401を通じて外部に流出しないようにすることができる。
【0101】
図16は、図10のステップS600の処理後における隔壁フィルムFLpの穴FLpOの近傍の状態を示す説明図である。穴FLpOを空けられる前の状態において隔壁フィルムFLpとして機能する第1隔壁フィルムFLp1は、第1層L1と、第2層L2と、を備える。第2層L2は、第1層L1の素材よりも融点が高い素材で構成されている。より具体的には、第1層L1は、ポリオレフィン(PO)系の合成樹脂で構成されている。第2層L2は、ポリエチレンテレフタレート(PET)系の合成樹脂で構成されている。
【0102】
第1層L1は、捕捉部4Cの第2領域4C22を囲む周囲壁1404の上端に接合されている(図7の中段左部参照)。より具体的には、第1層L1は、周囲壁1404の上端に溶着されている。なお、周囲壁1404の「上端」とは、周囲壁1404が壁部1402から突出している方向についての、先端を意味する。第1層L1と周囲壁1404との溶着部分を、図16において、溶着部WP1としてハッチングを付して示す。
【0103】
第2隔壁フィルムFLp2は、第1隔壁フィルムFLp1の穴FLpOを塞ぐために第1隔壁フィルムFLp1に接合される。第2隔壁フィルムFLp2は、第3層L3と、第4層L4と、を備える。第3層L3は、第2層L2の素材よりも融点が低い素材で構成されている。第4層L4は、第3層L3の素材よりも融点が高い素材で構成されている。より具体的には、第3層L3は、ポリオレフィン(PO)系の合成樹脂で構成されている。第4層L4は、ポリエチレンテレフタレート(PET)系の合成樹脂で構成されている。
【0104】
図17は、図10のステップS600における処理を示すフローチャートである。図10のステップS600においては、隔壁フィルムFLpが有する穴FLpOが、第2隔壁フィルムFLp2により封止される。
【0105】
ステップS610において、作業者は、第1隔壁フィルムFLp1の第2層L2の一部を第1層L1が露出するまで除去する。より具体的には、第1隔壁フィルムFLp1の一部であって、穴FLpOを囲む環状の領域に位置する部分が、除去される。
【0106】
ステップS620において、作業者は、第2隔壁フィルムFLp2の第3層L3が第1隔壁フィルムFLp1と向かい合うように、第2隔壁フィルムFLp2を配する。そして、作業者は、ヒーターを使用して、第2隔壁フィルムFLp2の第3層L3を、第1隔壁フィルムFLp1の第1層L1と溶着させる。より具体的には、第1隔壁フィルムFLp1のうち第1層L1が露出している部分において、第2隔壁フィルムFLp2の第3層L3が、隔壁フィルムFLpの第1層L1と溶着される。第2隔壁フィルムFLp2の第3層L3と、隔壁フィルムFLpの第1層L1と、の溶着部分を、図16において、溶着部WP2としてハッチングを付して示す。
【0107】
このような処理を行うことにより、インクを再充填した後の液体収容容器ICにおいて、融点が高い第1隔壁フィルムFLp1の第2層L2と、融点が高い第2隔壁フィルムFLp2の第4層L4とにより、隔壁フィルムFLpの強度を担保することができる。一方で、穴FLpOを囲む領域において、第2隔壁フィルムFLp2の第3層L3と第1隔壁フィルムFLp1の第1層L1とが溶着されるため、第2隔壁フィルムFLp2と第1隔壁フィルムFLp1との接合を強固にすることができる。また、第2領域4C22から穴FLpOを介してインクが外部に漏出することを防止できる。
【0108】
第2隔壁フィルムFLp2の第3層L3が隔壁フィルムFLpの第1層L1と溶着される際に、周囲壁1404の一部は熱により溶融され、下方に流動する。しかし、周囲壁1404の高さは、壁部1402から突出しており周囲壁1404に隣接する他の壁部1406の高さよりも高い。このため、流動した素材が円開口413oを塞ぐ可能性が低い。また、円開口413oの外周と周囲壁1404の基部との間の距離は、円開口412oの外周と周囲壁1404の基部との間の距離よりも大きい(図7参照)。よって、この点からも、流動した素材が円開口413oを塞ぐ可能性が低い。
【0109】
図10および図17の処理の後、液体収容容器ICは、図1に示す状態となる。図1に示す液体収容容器ICにおいて、隔壁フィルムFLpは、第1隔壁フィルムFLp1と、第2隔壁フィルムFLp2と、を備える。第1隔壁フィルムFLp1は、周囲壁1404の上端に接合され周囲壁1404に囲まれた空間と液体収容容器ICの外部との間を隔てており、穴FLpOを有する。第2隔壁フィルムFLp2は、第1隔壁フィルムFLp1が有する穴FLpOを封止している。より具体的には、第2隔壁フィルムFLp2の第3層L3は、第1隔壁フィルムFLp1のうち第2層L2が設けられていない部分において、第1隔壁フィルムFLp1の第1層L1と溶着されている(図16参照)。第1隔壁フィルムFLp1の第2層L2は、第2隔壁フィルムFLp2に接触している。第2隔壁フィルムFLp2の第3層L3は、第1隔壁フィルムFLp1の第2層L2に接触している。
【0110】
本実施異形態におけるインクを、「液体」とも呼ぶ。注入ノズル830を、「ノズル」とも呼ぶ。円開口413oを「開口」とも呼ぶ。第2隔壁フィルムFLp2を「封止フィルム」とも呼ぶ。
【0111】
B.他の実施形態:
B1.他の実施形態1:
(1)上記実施形態においては、差圧弁325は、下流圧力が上流圧力よりも小さく、かつ下流圧力と上流圧力の差があらかじめ定められた値より大きいときに、液体供給路300を導通させる。そして、差圧弁325は、下流圧力と上流圧力の差が上記のあらかじめ定められた値よりも小さいか、下流圧力が上流圧力よりも大きいときに、液体供給路300を遮断する。この「あらかじめ定められた値」は、実験的および/または経験的に、定めることができる。「あらかじめ定められた値」は、0であってもよい。
【0112】
(2)上記実施形態においては、大気導入路400は、障壁流路部4Hを備える(図5の上段左部、図3の上段右部、および図6の上段右部参照)。障壁流路部4Hは、液体収容容器ICの液体供給口200から外部にインクを供給するときの液体収容容器ICの姿勢において、捕捉部4Cよりも鉛直上方に位置する。しかし、液体収容容器は、大気導入路にそのような構成を備えない態様とすることもできる。
【0113】
(3)上記実施形態においては、大気導入路400は、屈曲流路部403を備える(図3の上段左部および図6の上段左部参照)。屈曲流路部403は、前後の流路部分よりも断面積が小さく相互に180度異なる向きに空気を流通させる一対の流路部分を含む。しかし、液体収容容器は、大気導入路に屈曲流路部を備えない態様とすることもできる。また、大気導入路は、捕捉部と液体収容室との間に、そのような屈曲流路部を備えてもよい。
【0114】
(4)上記実施形態においては、大気開放口401は、剥離可能な封止フィルムFLeによって、封止されている(図1の上段左部参照)。しかし、液体収容容器は、大気開放口を封止する封止フィルムを備えない態様とすることもできる。
【0115】
(5)上記実施形態においては、大気開放口から導入された空気が流通する柱状の空間は円柱状の空間410~413である(図7参照)。第1領域と第2領域とを接続する開口は、円形の外形を有する円開口410o~413oである。しかし、柱状の空間は、三角柱や四角柱、楕円柱など、他の形状を有していてもよい。開口は、三角形や四角形、楕円形など、他の形状を有していてもよい。
【0116】
(6)上記実施形態においては、第1領域4C1は、4個の円柱状の空間410,411,412,413を含む(図7参照)。しかし、第1領域は、1個のみの円柱状空間を備える態様とすることもできる。また、第1領域が備える円柱状の空間の数は、2個、3個、5個など、他の数であってもよい。
【0117】
(7)上記実施形態においては、第1領域4C1は、具体的には、4個の円柱状の空間410,411,412,413である(図7参照)。しかし、第1領域4C1は、さらに、円柱状の空間以外の領域を含んでいてもよい。
【0118】
(8)上記実施形態においては、第2領域4C2は、第1領域4C1とは異なる方向に伸びている流路部分4C21,4C22である(図7参照)。しかし、第2領域は、さらに、第1領域とは異なる方向に伸びている流路部分以外の部分を含んでいてもよい。
【0119】
(9)上記実施形態においては、周囲壁1404の高さは、隣接する他の壁部1406の高さよりも高い(図7参照)。しかし、周囲壁の高さは、隣接する他の壁部の高さと同じであってもよいし、隣接する他の壁部の高さよりも低くてもよい。
【0120】
(10)上記実施形態においては、第2領域4C22のうち、第2部分壁1404bによって囲まれる空間は、第1部分壁1404aによって囲まれる空間よりも大きい(図7参照)。しかし、より液体収容室117,121の側に位置する第2部分壁1404bによって囲まれる空間は、第1部分壁1404aによって囲まれる空間よりも、小さくてもよい。
【0121】
(11)上記実施形態においては、壁部1402において、円開口413oの外周と周囲壁1404の基部との間の距離は、0.6mmである(図7参照)。また、壁部1402において、円開口412oの外周と周囲壁1404の基部との間の距離は、0.3mmである。円開口410oの外周と周囲壁1403の基部との間の距離は、0.3mmである。円開口411oの外周と周囲壁1403の基部との間の距離は、0.3mmである。しかし、これらの寸法は、0.4mm、0.5mm、0.8mmなど、他の寸法であってもよい。ただし、円開口413oの外周と周囲壁1404の基部とが接しておらず、壁部1402を介して離れていることが好ましい。
【0122】
(12)上記実施形態においては、壁部1402において、円開口413oの外周と周囲壁1404の基部との間の距離dは、0.6mmである(図7参照)。しかし、開口の外周と周囲壁の基部との間の距離は、0.4mm、0.8mmなど、他の値であってもよい。
【0123】
(13)上記実施形態のステップS100においては、液体収容室117に液体収容容器ICの外部から連通する穴IH1が、液体収容容器ICの筐体900に設けられる。より具体的には、穴IH1は、略直方体の筐体900の上面を構成する壁部に設けられる(図11の上段中央部参照)。しかし、液体収容容器に液体を注入するための穴は、液体収容容器の他の部位に開けられてもよい。たとえば、液体収容室117に液体収容容器ICの外部から連通する穴IH2が、略直方体の筐体900の側面を構成する壁部に設けられてもよい(図11の上段右部参照)。液体収容室121に液体収容容器ICの外部から連通する穴IH3が、略直方体の筐体900の底面を構成する壁部に設けられてもよい(図11の下段右部参照)。図11において、穴IH2,IH3を破線で示す。また、円柱状の空間413、筐体900の隔壁を挟んでメモリーチップMCとは逆の側に位置する空気室414、液体収容室117,121、差圧弁325などに連通する穴が、隔壁フィルムFLp、または蓋910および内フィルムFLiに設けられることもできる(図11および図2参照)。
【0124】
また、液体収容容器に液体を注入するための穴は、液体収容容器に複数設けられることもできる。すなわち、液体収容容器に液体を注入するための穴は、液体供給路のうち下流流路部よりも上流の流路部分と、液体収容室と、大気導入路のうち捕捉部または捕捉部よりも下流の流路部分と、のうちの少なくとも一つに、設けられることができる。なお、「液体供給路のうち下流流路部よりも上流の流路部分」には、上記実施形態の差圧弁325が含まれる。
【0125】
(14)上記実施形態のステップS100においては、液体収容室117に液体収容容器ICの外部から連通する穴IH1が、液体収容容器ICの筐体900に設けられる(図11の上段中央部参照)。そして、ステップS200において、治具600により、捕捉部4Cの円開口413oが塞がれる(図7の中央部および図13参照)。治具600により塞がれる部位は、大気導入路400において、穴IH1が連通する液体収容室117よりも大気開放口401側の部位である。たとえば、液体収容容器に液体を注入するための穴が、捕捉部と連通する穴として設けられる場合には、同様に、捕捉部のうちその穴が連通する部位よりも、大気開放口側の部位において、捕捉部が塞がれることが好ましい。
【0126】
(15)上記実施形態のステップS200においては、円錐台状の形状部分を有する治具600により捕捉部4Cが塞がれる。しかし、捕捉部は、他の形状を有する治具によって塞がれてもよい。すなわち、治具の形状は、治具によって塞がれる捕捉部の部位に応じて、決定されることができる。ただし、治具の形状は、治具によって塞がれる捕捉部の部位を自身でシールできる形状であることが好ましい。また、治具によって塞がれる捕捉部の部位を囲む構成は、さらにその部位を囲む部位に比べて、薄く設けられていることが好ましい。そのような態様とすることにより、治具によって塞がれる捕捉部の部位が弾性変形して、治具との接続箇所を効果的にシールすることができる。また、そのような態様において、治具は、捕捉部を形成する部位よりも剛性が高い素材、たとえば金属で構成されていることが好ましい。ただし、治具は、捕捉部を形成する部位と同じ素材で構成されていてもよい。
【0127】
(16)上記実施形態のステップS200においては、作業者は、治具600に、隔壁フィルムFLpを貫通させて、円開口413oを塞がせる(図7の中央部参照)。具体的には、作業者は、隔壁フィルムFLpに穴FLpOを設け、円錐台状の形状部分630tを有する治具600を穴FLpOを介して捕捉部4Cに入れる。しかし、作業者は、隔壁フィルムFLpに穴FLpOが設けられていない状態で、円錐台状の形状部分630tを有する治具600を隔壁フィルムFLpに向かって押し込むことにより、隔壁フィルムFLpを破るとともに、治具600を捕捉部4Cに入れてもよい。
【0128】
(17)上記実施形態のステップS550においては、円錐台状の外形を有する栓PLが穴IH1に挿入され接着されることにより、穴IH1が封止される(図11の上段中央部参照)。しかし、液体収容容器に液体を注入するための穴は、他の方法で塞がれることもできる。たとえば、第2隔壁フィルムFLp2で隔壁フィルムFLpの穴FLpOを塞ぐ方法と同様の方法で、筐体900の上面のラベルLbに封止フィルムを接着することで、液体収容容器に液体を注入するための穴を塞いでもよい(図16、および図17参照)。また、液体収容容器に液体を注入するための穴は、粘着剤が付されたテープで、塞がれてもよい。
【0129】
(18)上記実施形態においては、第1隔壁フィルムFLp1の第1層L1は、ポリオレフィン(PO)系の合成樹脂で構成されている(図16参照)。第2隔壁フィルムFLp2の第3層L3は、ポリオレフィン(PO)系の合成樹脂で構成されている。しかし、これらの層は、エステル系の樹脂など、他の素材で構成されていてもよい。
【0130】
(19)上記実施形態においては、第1隔壁フィルムFLp1の第2層L2は、ポリエチレンテレフタレート(PET)系の合成樹脂で構成されている(図16参照)。第2隔壁フィルムFLp2の第4層L4は、ポリエチレンテレフタレート(PET)系の合成樹脂で構成されている。しかし、これらの層は、ナイロン系の樹脂など、他の素材で構成されていてもよい。
【0131】
(20)上記実施形態においては、第1隔壁フィルムFLp1は、第1層L1と、第2層L2と、を備える。しかし、第1隔壁フィルムは、1個のみの層で構成されてもよく、3個以上の層で構成されてもよい。ただし、周囲壁と接する部分は、周囲壁の上端に接合可能な素材で構成されていることが好ましい。
【0132】
上記実施形態においては、第2隔壁フィルムFLp2は、第3層L3と、第4層L4と、を備える。しかし、第2隔壁フィルムは、1個のみの層のみで構成されてもよく、3個以上の層で構成されてもよい。ただし、第1隔壁フィルムに接する部分は、第1隔壁フィルムと接合可能な素材で構成されていることが好ましい。
【0133】
(21)上記実施形態のステップS600においては、作業者は、第1隔壁フィルムFLp1の第2層L2の一部を第1層L1が露出するまで除去し、第2隔壁フィルムFLp2の第3層L3を、隔壁フィルムFLpの第1層L1と溶着させる(図16および図17参照)。しかし、第2隔壁フィルムFLp2は、他の方法で第1隔壁フィルムFLp1に接着されてもよい。たとえば、第1隔壁フィルムの全体および第2隔壁フィルムの全体を、熱溶着が容易な素材で構成して、第1隔壁フィルムの一部の除去を伴わずに、第2隔壁フィルムを第1隔壁フィルムに溶着してもよい。また、接着剤や粘着剤を介して、第2隔壁フィルムFLp2が第1隔壁フィルムFLp1に接着されてもよい。
【0134】
(22)上記実施形態で説明した図10の処理において、さらに、液体収容容器ICの通気フィルムFLvに、液体収容室117,121に収容されるインクが流通できる穴FLvOを空ける工程を含むこともできる。その際、筐体900の一面を覆っている第1隔壁フィルムFLp1にも、不可避的に穴が空けられる。第1隔壁フィルムFLp1に設けられた穴については、図10のステップS600の処理と同様の処理により塞がれる。
【0135】
そのような処理を含む再充填の処理を経た液体収容容器ICにおいては、大気導入路400は、捕捉部4Cよりも大気開放口401側の部位において、インクが流通できる穴FLvOを備える通気フィルムFLvによって、仕切られている。図3において、穴FLvOを破線で示す。
【0136】
そのような処理を行うことにより、インクの再充填の処理において、大気導入路400内にあったインクにより通気フィルムFLvが濡れて、空気を通さなくなった場合にも、通気フィルムFLvに設けられた穴FLvOを介して大気導入路400に空気が流通することができる。このため、インクを再充填した後の液体収容容器ICを適切に使用することができる。
【0137】
(23)上記実施形態においては、液体収容容器ICは、インクを収容している。しかし、液体収容容器に収容される液体は、たとえば、以下の液体でもよい。
(i)液晶ディスプレー等の画像表示装置用のカラーフィルターの製造に用いられる色材。
(ii)有機EL(Electro Luminescence)ディスプレーや、面発光ディスプレー(Field Emission Display、FED)等の電極形成に用いられる電極材。
(iii)バイオチップ製造に用いられる生体有機物を含む液体。
(iv)精密ピペットとしての試料。
(v)潤滑油。
(vi)樹脂液。
(vii)光通信素子等に用いられる微小半球レンズを形成するために紫外線硬化樹脂液等の透明樹脂液。
(viii)基板などをエッチングするために酸性又はアルカリ性のエッチング液を噴射する液体。
(ix)他の任意の液体。
【0138】
B2.他の実施形態2:
上記実施形態においては、作業者は、治具600に、隔壁フィルムFLpを貫通させて、円開口413oを塞がせる(図7の中央部参照)。その結果、治具600により捕捉部4Cが塞がれる。しかし、作業者は、たとえば、第1隔壁フィルムFLp1のうち第2領域4C2を画定する部分をあらかじめすべて除いた後に、治具600に円開口413oを塞がせてもよい(図7の中央部参照)。その後、周囲壁1404の上端部に第2隔壁フィルムFLp2を接着することにより、周囲壁1404によって画定される円開口413o上の穴を塞ぐことができる。
【0139】
B3.他の実施形態3:
上記実施形態のステップS600において、作業者は、治具600が貫通していた隔壁フィルムFLpの穴FLpOを囲む領域を含む隔壁フィルムFLpの一部の領域に、液体を流通させない第2隔壁フィルムFLp2を接着する。その結果、隔壁フィルムFLpの穴FLpOは塞がれる(図15Bの中段右部参照)。しかし、第2隔壁フィルムFLp2は、隔壁フィルムFLp全体に接着されてもよい。また、上記第2隔壁フィルムFLp2よりも高い剛性を有する蓋部材を接着することで、穴FLpOが塞がれてもよい。
【0140】
B4.他の実施形態4:
上記実施形態のステップS200において、作業者は、治具600の円錐台状の形状部分630tの先端部を開口413oに挿入し、円錐台状の形状部分630tのテーパ面と、開口413oの内周とを密着させることにより、捕捉部4Cを塞ぐ(図6の下段右部、および図9参照)。しかし、たとえば、通気性を有さず、弾性を有するシール部材を介して、治具を捕捉部に押圧することにより、捕捉部が塞がれる態様とすることもできる。
【0141】
B5.他の実施形態5:
(1)上記実施形態のステップS300においては、作業者は、液体供給口200に接続されている吸引装置700の真空ポンプ710を駆動させて、液体供給口200を介して液体収容室117,121内のインクを吸引する(図8参照)。しかし、液体収容室117,121内のインクおよび/または空気の吸引は、液体供給口200ではなく、たとえば、穴IH1~IH3など、別途、筐体900に設けられる穴から行われることもできる。
【0142】
(2)上記実施形態のステップS300において、作業者は、液体収容室117,121内のインクと空気とを液体収容室117,121から排出する。その結果、液体収容室117,121内の圧力が低減される。しかし、液体供給口200を介して液体収容室117,121内のインクと空気とが排出される工程を備えず、注入ノズル830を、筐体900の穴IH1に挿入した後、液体収容容器ICの穴IH1を介して液体収容室117,121内にインクが流入されてもよい(図11参照)。また、液体供給口200を介して液体収容室117,121内のインクと空気との一方のみが排出された後、液体収容容器ICの穴IH1を介して液体収容室117,121内にインクが流入されてもよい(図11参照)。そのような態様としても、液体収容室内に液体を流入させることができる。
【0143】
C.他の形態:
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0144】
(1)本開示の一形態によれば、液体収容容器の製造方法が提供される。前記液体収容容器は、筐体と、前記筐体内に設けられ、液体を収容する液体収容室と、前記液体収容室内の液体を前記液体収容容器の外部に供給する液体供給口であって、前記筐体に設けられる液体供給口と、前記筐体内に設けられ、前記液体供給口と前記液体収容室とを接続する液体供給路と、前記液体供給路に設けられる差圧弁であって、前記液体供給路のうち前記差圧弁と前記液体供給口との間の流路部分である下流流路部の圧力である下流圧力が、前記液体供給路のうち前記差圧弁と前記液体収容室との間の流路部分である上流流路部の圧力である上流圧力よりも、小さく、かつ前記下流圧力と前記上流圧力の差があらかじめ定められた値より大きいときに、前記液体供給路を導通させ、前記下流圧力と前記上流圧力の差が前記あらかじめ定められた値よりも小さいか、前記下流圧力が前記上流圧力よりも大きいときに、前記液体供給路を遮断する、差圧弁と、大気を前記液体収容室内に導入するための大気開放口であって、前記筐体に設けられる大気開放口と、前記筐体内に設けられ、前記大気開放口と前記液体収容室とを接続する大気導入路と、を備える。
前記液体収容容器は、前記大気導入路の一部を構成する捕捉部であって、1以上の柱状の空間を含み、前記大気開放口から導入された空気を前記柱状の空間に流通させる第1領域と、前記第1領域とは異なる方向に伸びており、前記第1領域に接続されている第2領域と、を含む、捕捉部と、前記液体を流通させず空気を流通させる素材で構成され、前記捕捉部よりも前記大気開放口側の部位において前記大気導入路を塞ぐ通気フィルムと、を含む。
前記方法は、前記液体供給路のうち前記下流流路部よりも上流の流路部分と、前記液体収容室と、前記大気導入路のうち前記捕捉部または前記捕捉部よりも下流の流路部分と、のうちの少なくとも一つに前記液体収容容器の外部から連通する穴を、前記液体収容容器に設ける工程と、前記穴が連通する部位よりも前記大気開放口側の部位において、治具により前記捕捉部を塞ぐ工程と、前記捕捉部を塞ぐ工程の後に、前記穴を介して前記液体収容室内に液体を流入させる工程と、前記液体収容室内に液体を流入させる工程の後に、前記穴を封止する工程と、を含む。
このような態様においては、通気フィルムは、捕捉部よりも大気開放口側の部位にある。そして、穴が連通する部位よりも大気開放口側の大気導入路において、捕捉部を塞いだ後に、穴を介して液体収容室内に液体が流入される。このため、液体収容室に液体を流入させる処理において、液体収容室内の液体が大気導入路を逆流しても、液体が通気フィルムに達する可能性が低い。
【0145】
(2)上記形態の方法において、前記第2領域が、前記液体収容容器の一部を構成する壁部に設けられる開口を介して、前記1以上の柱状の空間のうち前記第2領域よりも前記液体収容室側にある柱状の空間に接続されており、前記開口が設けられている前記壁部と、前記壁部から突出している周囲壁であって前記開口を囲んでいる周囲壁と、前記周囲壁の上端に接合され前記周囲壁に囲まれた空間と前記液体収容容器の外部との間を隔てている隔壁フィルムと、により画定されている領域を含み、前記捕捉部を塞ぐ工程は、前記治具に、前記隔壁フィルムを貫通させて、前記開口を塞がせる工程を含む、態様とすることもできる。
このような態様とすれば、治具に隔壁フィルムを貫通させることにより、液体収容容器の外部から容易に捕捉部を塞ぐことができる。
【0146】
(3)上記形態の方法において、前記液体収容室内に液体を流入させる工程の後に、前記治具が貫通していた前記隔壁フィルムの穴を囲む領域を含む前記隔壁フィルムの少なくとも一部の領域に、前記液体を流通させない封止フィルムを接着することにより、前記隔壁フィルムの前記穴を塞ぐ工程を含む、態様とすることもできる。
このような態様とすれば、治具を退出させた後、容易に隔壁フィルムの穴を塞ぐことができる。
【0147】
(4)上記形態の方法において、前記開口が、円形の形状を有し、前記治具が、円錐台状の形状部分を含み、前記捕捉部を塞ぐ工程は、前記治具の前記円錐台状の形状部分の先端部を前記開口に挿入し、前記円錐台状の形状部分のテーパ面と、前記開口の内周とを密着させることにより、前記捕捉部を塞ぐ工程である、態様とすることもできる。
このような態様とすることにより、容易に、捕捉部を塞ぐことができる。
【0148】
(5)上記形態の方法において、前記捕捉部を塞ぐ工程の後であって、前記液体収容室内に液体を流入させる工程の前に、前記液体収容室内の液体と空気との少なくとも一方を前記液体収容室から排出することにより、前記液体収容室内の圧力を低減する工程を含む、態様とすることもできる。
このような態様とすれば、液体収容室内の圧力が低減された状態で、液体収容室内に液体を流入させることができる。このため、スムーズに液体収容室内に液体を流入させることができ、液体収容室内の液体中に気泡が混入する可能性を低減できる。
【0149】
本開示は、液体収容容器の製造方法以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、液体の補充方法や、液体収容容器の再利用方法、液体収容容器等の形態で実現することができる。
【符号の説明】
【0150】
117…液体収容室、119…流通孔、118…流通孔、120…連通路、121…液体収容室、200…液体供給口、300…液体供給路、322…流通孔、323…流通孔、324…流通孔、325…差圧弁、326…流通孔、327…流通孔、328…流路部分、400…大気導入路、401…大気開放口、402…流通孔、403…屈曲流路部、405…流通孔、406…流通孔、407…流通孔、408…空気室、409…空気室、410…第1領域、410o…円開口、411…第1領域、411o…円開口、412…第1領域、412o…円開口、413…第1領域、413o…円開口、414…空気室、415…流通孔、416…流通孔、4C…捕捉部、4C1…第1領域、4C2…第2領域、4C21…流路部分、4C22…流路部分、4C3…第3領域、4H…障壁流路部、4H1…流路部分、4H2…流路部分、600…治具、630t…円錐台状の形状部分、700…吸引装置、701…吸引路、701o…開口端、710…真空ポンプ、720…インクトラップ、730…圧力計、800…充填装置、801…供給路、810…インクタンク、820…プランジャーポンプ、830…注入ノズル、830t…形状部分、840…大気開放部、900…筐体、910…蓋、1402…壁部、1403…周囲壁、1404…周囲壁、1404a…第1部分壁、1404b…第2部分壁、1406…壁部、FLe…封止フィルム、FLi…内フィルム、FLp…隔壁フィルム、FLp1…第1隔壁フィルム、FLp2…第2隔壁フィルム、FLpO…穴、FLsp…供給口フィルム、FLv…通気フィルム、GM…ゴム膜、IC…液体収容容器、IH1…穴、IH2…穴、IH3…穴、L1…第1層、L2…第2層、L3…第3層、L4…第4層、Lb…ラベル、MC…メモリーチップ、PL…栓、PR…プリズム、SP2…コイルバネ、SP3…コイルバネ、SR…シールゴム、V2…バルブ、V71…バルブ、V81…バルブ、V82…バルブ、V83…バルブ、VC…バルブ蓋、WP1…溶着部、WP2…溶着部、d…円開口の外周と周囲壁の基部との間の距離
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