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特開2023-177803ハンド装置およびこのハンド装置を用いた食品盛り付け装置と食品群形成装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177803
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】ハンド装置およびこのハンド装置を用いた食品盛り付け装置と食品群形成装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/00 20060101AFI20231207BHJP
   B65G 47/90 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
B25J15/00 F
B65G47/90 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090675
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000152815
【氏名又は名称】株式会社日本キャリア工業
(72)【発明者】
【氏名】山田 裕
【テーマコード(参考)】
3C707
3F072
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS12
3C707BT05
3C707CT05
3C707CV08
3C707CW08
3C707DS01
3C707EU02
3C707EU11
3C707HS14
3C707HS24
3C707HS27
3C707JS02
3C707KS03
3C707KS17
3C707KT01
3C707KT06
3C707KT18
3C707KV01
3C707LT06
3C707LV07
3C707LV22
3C707LV23
3C707MT04
3C707NS26
3F072AA12
3F072GD01
3F072KA01
3F072KD01
3F072KD17
3F072KD19
3F072KD28
(57)【要約】      (修正有)
【課題】採取した食品の端部を折り畳んで適正な位置に安定した姿勢で置くことができるハンド装置を実現すること。
【解決手段】ロボットアーム等に備えるハンド装置に、上下に略平行に配置した上部ベルトおよび下部ベルトと、この上部ベルトで掬い上げられることによって垂れ下がった食品の端部を、下部ベルトの下面側に折り畳んでから押し上げるか、または、下部ベルトの下面側に折り畳みながら押し上げる折り畳み部とを備える。また、折り畳み部による食品の端部の押し上げを解除した後に、または、押し上げを解除しながら、上部ベルトおよび下部ベルトを駆動して折り畳まれた食品を降ろす構成とする。また、上部ベルトの上側に、この上部ベルトで掬い上げられた食品の上方膨出を規制する棒状ないし駆動ベルト式の規制部材を配置する。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアーム等に備えるハンド装置であって、このハンド装置には、上下に略平行に配置した上部ベルトおよび下部ベルトと、前記上部ベルトで掬い上げられることによって垂れ下がった食品の端部を、前記下部ベルトの下面側に折り畳んでから押し上げるか、または、下部ベルトの下面側に折り畳みながら押し上げる折り畳み部とを備えたことを特徴とするハンド装置。
【請求項2】
前記折り畳み部による食品の端部の押し上げを解除した後に、または、押し上げを解除しながら、前記上部ベルトおよび下部ベルトを駆動して折り畳まれた食品を降ろす構成とした請求項1に記載のハンド装置。
【請求項3】
前記上部ベルトの上側に、この上部ベルトで掬い上げられた食品の上方膨出を規制する規制部材を配置した請求項2に記載のハンド装置。
【請求項4】
前記規制部材を上部ベルトに対して上下動自在な構成とし、この規制部材の下動完了と略同時か、または、この規制部材の下動が完了した後に、前記折り畳み部による食品の端部の折り畳みが行われる構成とした請求項3に記載のハンド装置。
【請求項5】
前記規制部材を、その長手方向が前記上部ベルトの移送方向に沿う単数または複数の棒状部材から形成した請求項4に記載のハンド装置。
【請求項6】
前記規制部材を、前記上部ベルトの上側に間隔をおいて略平行に配置される駆動ベルトとした請求項3に記載のハンド装置。
【請求項7】
前記駆動ベルトと上部ベルトおよび下部ベルトが同調して駆動される構成とした請求項6に記載のハンド装置。
【請求項8】
前記折り畳み部によって、食品の両端の折り畳み及び押し上げを行なう第1状態と、食品の一端部のみの折り畳み及び押し上げを行なう第2状態とを選択可能とし、前記第1状態が選択された場合には、食品の長さ方向での中央部を上部ベルトで掬い上げ、前記第2状態が選択された場合には、前記食品の長さ方向での中央部から設定距離偏倚した部位を上部ベルトで掬い上げる制御装置を設けた請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のハンド装置を用いた食品盛り付け装置。
【請求項9】
採取位置にある食品を上部ベルトの上面側で掬い上げながら、または掬い上げた後に、この食品の端部を折り畳み部によって前記下部ベルトの下面側に折り畳むと共に押し上げる工程と、前記ハンド装置を採取位置から離間した設定領域上に移動させる工程と、掬い上げた食品を、前記折り畳み部による押し上げを解除した後に、または、押し上げを解除しながら、上部ベルトおよび下部ベルトから離脱させて前記設定領域に載置する工程を含み、これらの工程を自動的に反復して実行し、前記設定領域内に複数の食品からなる食品群を形成する制御装置を設けた請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のハンド装置を用いた食品群形成装置。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットアーム等に備えるハンド装置、および、このハンド装置を用いて食品を盛り付ける食品盛り付け装置および食品群を形成する食品群形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば食品加工工場では、生肉等の塊状食品を切断装置によってその先端部から所定間隔で切断し、これによって所定の厚さに形成された複数の食品(薄肉片等)を、手作業によってコンベア上から掬い上げ、食品用のトレーに盛り付ける。
トレーに盛り付けられて群を形成した食品(食品群)は、このトレーごと包装され、食品の種類、計測された総重量、価格等のラベルが貼られて、商品として出荷される。
【0003】
近年、このような食品群の形成を自動化する試みがなされており、特許文献1には、コンベア上の食品をロボットアームに備えた吸着ヘッドによって採取して移動させ、これを繰り返して食品群を形成する技術が開示されている。
また、この食品群をハンド装置に備えた一対の把持部材で把持して採取し、トレーに盛り付ける技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6626411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような技術によって、例えば生肉のような油脂を含有する食品や粘着性を有する食品等を吸着ないし把持して採取した場合、この食品が吸着ヘッドや把持部材に付着する。
このため、吸着や把持を解除しても食品が離脱しにくく、この採取した食品を適正な位置に安定した姿勢で置くことができにくくなる問題がある。
【0006】
また、特許文献1のような技術は、単に食品を採取して移動させるだけのものであり、採取した食品の端部を折り畳んだ状態に整えることはできない。
また、例えば冷凍状態ないしチルド状態の低温の生肉や、脂身の多い生肉のような可撓性の低い食品の場合、その端部を下側に折り畳もうとすると、その中間部が上方へ膨出してしまう。
このため、このような食品を所定の折り畳み状態に整えることが困難となる問題を抱えていた。
【0007】
本発明は、上述のような課題を解決し、採取した食品を所定の状態に折り畳んで適正な位置に安定した姿勢で置くことができるハンド装置と、このハンド装置を用いて食品を所定の状態に折り畳んで適正な位置に盛り付けることができる食品盛付装置と、複数の食品を所定の状態に折り畳んで設定された範囲に盛り付けて食品群を形成することができる食品群形成装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、上述の課題を解決するために、以下の技術的手段を講じる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、ロボットアーム等に備えるハンド装置であって、このハンド装置には、上下に略平行に配置した上部ベルトおよび下部ベルトと、前記上部ベルトで掬い上げられることによって垂れ下がった食品の端部を、前記下部ベルトの下面側に折り畳んでから押し上げるか、または、下部ベルトの下面側に折り畳みながら押し上げる折り畳み部とを備えたことを特徴とするハンド装置とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記折り畳み部による食品の端部の押し上げを解除した後に、または、押し上げを解除しながら、前記上部ベルトおよび下部ベルトを駆動して折り畳まれた食品を降ろす構成とした請求項1に記載のハンド装置とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記上部ベルトの上側に、この上部ベルトで掬い上げられた食品の上方膨出を規制する規制部材を配置した請求項2に記載のハンド装置とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記規制部材を上部ベルトに対して上下動自在な構成とし、この規制部材の下動完了と略同時か、または、この規制部材の下動が完了した後に、前記折り畳み部による食品の端部の折り畳みが行われる構成とした請求項3に記載のハンド装置とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記規制部材を、その長手方向が前記上部ベルトの移送方向に沿う単数または複数の棒状部材から形成した請求項4に記載のハンド装置とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、前記規制部材を、前記上部ベルトの上側に間隔をおいて略平行に配置される駆動ベルトとした請求項3に記載のハンド装置とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、前記駆動ベルトと上部ベルトおよび下部ベルトが同調して駆動される構成とした請求項6に記載のハンド装置とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、前記折り畳み部によって、食品の両端の折り畳み及び押し上げを行なう第1状態と、食品の一端部のみの折り畳み及び押し上げを行なう第2状態とを選択可能とし、前記第1状態が選択された場合には、食品の長さ方向での中央部を上部ベルトで掬い上げ、前記第2状態が選択された場合には、前記食品の長さ方向での中央部から設定距離偏倚した部位を上部ベルトで掬い上げる制御装置を設けた請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のハンド装置を用いた食品盛り付け装置とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、採取位置にある食品を上部ベルトの上面側で掬い上げながら、または掬い上げた後に、この食品の端部を折り畳み部によって前記下部ベルトの下面側に折り畳むと共に押し上げる工程と、前記ハンド装置を採取位置から離間した設定領域上に移動させる工程と、掬い上げた食品を、前記折り畳み部による押し上げを解除した後に、または、押し上げを解除しながら、上部ベルトおよび下部ベルトから離脱させて前記設定領域に載置する工程を含み、これらの工程を自動的に反復して実行し、前記設定領域内に複数の食品からなる食品群を形成する制御装置を設けた請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のハンド装置を用いた食品群形成装置とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明のハンド装置によれば、採取した食品を適正な位置に安定した姿勢で置くことができる。
また、採取した食品を所定の状態に折り畳むことができる。
さらに、このハンド装置を用いた食品盛り付け装置によれば、採取した食品を適正な位置に所定の状態に折り畳んで盛り付けることができる。
そして、このハンド装置を用いた食品群形成装置によれば、複数の食品を適正な位置に所定の状態に折り畳んで盛り付けて食品群を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態における食品盛り付け装置(食品群形成装置)の概略側面図。
図2】実施形態における食品盛り付け装置の概略平面図。
図3】第1実施形態のハンド装置の説明用右側面図。
図4】第1実施形態のハンド装置の説明用左側面図。
図5】第1実施形態のハンド装置の説明用平面図。
図6】第1実施形態のハンド装置の説明用底面図。
図7】第1実施形態のハンド装置の要部の説明用正面図。
図8】第1実施形態のハンド装置の説明用背面図。
図9】第1実施形態のハンド装置の一部を示す説明図であって、(a)は説明用背面図、(b)は説明用側面図。
図10】第1実施形態におけるベルトの平面図。
図11】第1実施形態のハンド装置による食品盛り付け制御装置のブロック図。
図12】第1実施形態のハンド装置による食品盛り付け制御のメインフローチャート。
図13】第1実施形態のハンド装置による食品盛り付け制御のフローチャート。
図14】第1実施形態のハンド装置による食品折り畳み状態の説明図。
図15】第1実施形態のハンド装置の軌道を側面視した説明図。
図16】第1実施形態のハンド装置による食品盛り付け状態の説明図であって、(a)は盛り付け開始状態の説明図、(b)は盛り付け途中の状態の説明図。
図17】第2実施形態のハンド装置の説明用右側面図。
図18】第2実施形態のハンド装置の説明用左側面図。
図19】第2実施形態のハンド装置の要部の説明用正面図。
図20】第2実施形態のハンド装置の説明用平面図。
図21】第2実施形態におけるベルトの平面図。
図22】第2実施形態のハンド装置による食品盛り付け制御装置のブロック図。
図23】第2実施形態のハンド装置による食品盛り付け制御のフローチャート。
図24】第2実施形態のハンド装置による食品折り畳み状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に詳述する実施形態において、本発明のハンド装置にて扱う食品を、チルド状態の塊状肉をスライサー1によってスライスし、その一部を互いに重ねて並列させた複数枚の生の薄肉からなる薄肉群E1として説明する。
また、この薄肉は、スライサー1によって、切断後に二つ折りに折り畳まれたものであってもよい。
なお、この食品は、他の食品であってもよく、柔軟性や粘着性を有する食品生地等であってもよい。
【0020】
(第1搬送装置及び第2搬送装置)
図1図2に示すように、スライサー1から切り出された薄肉群E1は、スライサー1に備えた第1搬送装置2によって搬送される。
【0021】
(方向の定義)
なお、上述の第1搬送装置2の搬送方向において、スライサー1側を上流側とし、その反対側を下流側とする。
以下の各図において、「-Y」は上流側の方向を示し、「+Y」は下流側の方向を示す。
「+X」はスライサー1側から下流側に向いた状態での右手側の方向を示し、「-X」はスライサー1側から下流側に向いた状態での左手側の方向を示す。
「+Z」は上方向、「-Z」は下方向を示す。
X、Y、Zで示す方向は相互に直交し、それぞれが三次元座標軸となる。
【0022】
しかして、スライサー1から切り出されて並列された薄肉群E1は、そのX軸方向における長さ(幅)が、そのY軸方向における長さよりも長い状態で、第1搬送装置2におけるベルト3の搬送面3a上に載置される。
食品盛り付け装置(ないし食品群形成装置)4は、第1搬送装置2に対して、その下流側の左側の位置に配置する。
【0023】
第1搬送装置2は、従動ローラー群と駆動ローラー(共に図示省略)にわたって無端状のベルト3を巻回したベルトコンベアとする。
この第1搬送装置2の終端側には、第1搬送装置2の搬送方向と平面視で直交し、左右方向に延在した第2搬送装置5を配置する。
この第2搬送装置5は、後述するように食品用のトレー6を第1搬送装置2の搬送終端に臨む待機位置へ搬送するものであり、従動スプロケットと駆動スプロケット(共に図示省略)にわたって無端状のチェーン7を巻回したチェーンコンベアとする。
なお、この第2搬送装置5を、トレー6を載置状態で搬送するベルト式のコンベアとしてもよい。
【0024】
また、第1搬送装置2のベルト3は、図11に示すサーボモータ8によって駆動される。
このサーボモータ8の回転位相は、図11に示すエンコーダ9により検出され、この検出値がスライサーコントローラ10に入力される。
このスライサーコントローラ10からの出力によってサーボモータ8を制御し、ベルト3を駆動することにより、このベルト3上の薄肉群E1を図2に示す採取位置Tまで搬送する。
【0025】
ベルト3の駆動によって薄肉群E1が採取位置Tまで搬送されると、ベルト3が一時的に(微小時間)停止し、この停止状態において、採取位置Tにある薄肉群E1が採取される。
また、第2搬送装置5は、食品盛り付け装置4によって、トレー6への設定数の薄肉群E1の盛り付けが完了するまで(食品群の形成が完了するまで)は、このトレー6の搬送を停止している。
そして、トレー6への薄肉群E1の盛り付けが完了した後に、第2搬送装置5を駆動してこのトレー6を搬出し、次の空のトレーを上述の待機位置まで送り出すように構成する。
【0026】
(カメラ)
また、図1及び図2に示すように、採取位置Tよりも上流側の上方の位置に、採取位置Tに搬送される前(採取される前)の搬送面3a上の薄肉群E1を撮像するカメラ11を配置する。
【0027】
(ロボットアーム)
図1図2に示すように、食品盛り付け装置4は、ロボットアーム12を備えたロボットである。
このロボットアーム12は、複数の能動関節の軸J1~J6を中心として、全体の旋回および各部の回動を自在に構成する。
図11に示すように、この能動関節の軸J1~J6の全てに、サーボモータ13~18を備え、これらのサーボモータ13~18のそれぞれに、回転位置検出器としてのエンコーダ19~23Sを備える。
【0028】
また、このロボットアーム12は、基台25、旋回ベース26、ロアアーム27、アッパアーム28、リスト29、及びハンド取付座30から構成する。
基台25は、加工工場のフロアまたはスライサー1側に連結された支持台24上に固定し、この基台25には、鉛直方向の軸J1周りに旋回ベース26を旋回自在に設ける。
この旋回ベース26には、水平方向の軸J2周りにロアアーム27を上下回動自在に軸支し、このロアアーム27の上端には、水平方向の軸J3周りにアッパアーム28の基部28aを上下方回動自在に軸支する。
【0029】
基部28aの先端に取り付ける回転体28bは、基部28aの軸線に沿う軸J4の周りに回転自在に支持する。なお、軸J4は、軸J3と直交する。
回転体28bの先端には、リスト29を横方向の軸J5周りに回動自在に支持する。この軸J5は、軸J4と直交する。
リスト29の先端には、ハンド取付座30を上下方向の軸J6周りに旋回自在に装着する。
【0030】
各軸J1~J6に備えたサーボモータ13~18は、後述する食品盛り付け制御装置31のロボットコントローラ34からの出力によって駆動するように構成する。
【0031】
(設定領域R)
図2に示すように、第2搬送装置5によって搬送され、第1搬送装置2の終端よりも下流側に離間する位置に待機させたトレー6の底面上に、設定領域(盛り付け領域)Rを設定する。
この設定領域Rは矩形の領域として設定し、この設定領域R内において、X軸方向に「行」を設定し、Y軸方向に「列」を設定する。
【0032】
なお、この設定領域Rを設定する位置は、トレー6の底面上以外に、スライサー1周辺の固定位置など、適宜の位置に設定可能とする。
この設定領域R内に複数の薄肉群E1が置かれることで、薄肉群E1の再編成群(請求項の「食品群」)が形成される。
【0033】
(第1実施形態のハンド装置)
まず、ハンド装置33は、その基本姿勢をY軸方向に沿わせて配置し、「-Y」側から「+Y」側へ移動させながら、搬送面3a上の薄肉群E1を掬い上げるものである。
このため、このハンド装置33の構成については、「+Y」方向を「前」、「-Y」方向を「後」、「+X」方向を「右」、「-X」方向を「左」として説明する。
【0034】
まず、図3図10に第1実施形態のハンド装置33を示す。
(掬い上げ部)
図3図5図6図8に示すように、左側の側板40Lと、右側上部の側板40RUおよび右側下部の側板40RDとを左右方向に間隔をおいて配置する。
そして、左側の側板40Lの上端部と、右側上部の側板40RUの上端部との間に平面視で矩形の上板41を配置し、この上板41の左右両端部における前後2箇所を、左側の側板40Lおよび右側上部の側板40RUの夫々に螺子部材42Nで締結固定する。
【0035】
この上板41の上面には、側面視で直角三角形状のスペーサ41Sを固定する。
また、左側の側板40Lの後端下部と、右側下部の側板40RDの後端部との間を、連結棒42Gで連結する。
そして、平面視で長方形状に形成した上部支持板43Uと下部支持板43Dを上下に略平行に配置する。
この状態で、図5に示すように、上部支持板43Uの基部に形成した左右の上方屈折部43UKを、左側の側板40Lの前端部内側面と右側上部の側板40RUの前端部内側面に当接させ、前後の螺子部材44,44で締結固定する。
【0036】
また、図6に示すように、下部支持板43Dの基部に形成した左右の下方屈折部43DKを、左側の側板40Lの前端部内側面と右側下部の側板40RDの前端部内側面に当接させ、前後の螺子部材44,44で締結固定する。
なお、図3に示すように、右側上部の側板40RUと右側下部の側板40RDの間には上下方向の隙間を形成し、各側板40RU,40RDの前端部外側面にわたって上下方向の連結板45を当接させ、上述の螺子部材44,44で共締め固定する。
【0037】
この連結板45を共締め固定する螺子部材44,44は蝶螺子とし、連結板45を容易に着脱できる構成とする。
以上によって、上板41と、左側の側板40Lと、右側上部の側板40RUと、右側下部の側板40RDと、上部支持板43Uの基部と、下部支持板43Dの基部とが枠組みされる。
【0038】
しかして、図6図8に示すように、左側の側板40Lと右側上部の側板40RUとの間、および、左側の側板40Lと右側下部の側板40RDとの間に、上部ローラー46Uおよび下部ローラー46Dの夫々を、左右の軸受47,47で軸受する。
また、図5図6図8に示すように、複数の支持ピン48の基部を左側の側板40Lの左側面に固定し、これらの支持ピン48を左方向へ延在させ、その先端部に取付板49を締結固定する。
【0039】
そして、図4図8に示すように、取付板49の左側面に電動モータ50を固定し、この電動モータ50の出力軸に取り付けた出力ギヤ51と、上部ローラー46Uの回転軸に取り付けた上部入力ギヤ52Uとを噛み合わせる。
また、この上部入力ギヤ52Uと、下部ローラー46Dの回転軸に取り付けた下部入力ギヤ52Dとを噛み合わせる。
これにより、電動モータ50の駆動によって、上部ローラー46Uと下部ローラー46Dとは互いに逆方向へ回転することとなる。
【0040】
なお、図8に示すように、左側の側板40Lの左側面に複数の取付ピン53の基部を固定し、これらの取付ピン53の先端部にカバー54を締結固定する。
このカバー54によって、出力ギヤ51、上部入力ギヤ52U、下部入力ギヤ52D等を備えた連動機構が覆われる。
【0041】
そして、図3図5図6に示すように、上部ローラー46Uの回転軸を軸心として上下揺動自在に軸支された左右の板状の上部テンションアーム55Uを、左側の側板40Lの内側面と右側上部の側板40RUの内側面との夫々に沿わせて配置する。
この左右の上部テンションアーム55Uの先端部間を上部支持軸56Uで連結し、この上部支持軸56Uに広幅の上部テンションローラー57Uを回転自在に軸支する。
【0042】
また、下部ローラー46Dの回転軸を軸心として上下揺動自在に軸支された左右の板状の下部テンションアーム55Dを、左側の側板40Lの内側面と右側下部の側板40RDの内側面との夫々に沿わせて配置する。
この左右の下部テンションアーム55Dの先端部間を下部支持軸56Dで連結し、この下部支持軸56Dに広幅の下部テンションローラー57Dを回転自在に軸支する。
【0043】
また、図3に示すように、右側上部の側板40RUの前部には上下方向の円弧状の上部貫通孔40RUNを形成し、右側下部の側板40RDの前部には上下方向の円弧状の下部貫通孔40RDNを形成する。
そして、上部ノブボルト58Uを、右側上部の側板40RUの右側から、上部貫通孔40RUNを貫通させて上部テンションアーム55Uの前部に螺合させ、右側上部の側板40RUと上部テンションアーム55Uとを共締めする。
【0044】
また、下部ノブボルト58Dを、右側下部の側板40RDの右側から、下部貫通孔40RDNを貫通させて下部テンションアーム55Dの前部に螺合させ、右側下部の側板40RDと下部テンションアーム55Dとを共締めする。
そして、上部テンションローラー57Uと下部テンションローラー57Dは、後述する上部ベルトの上面および下部ベルトの下面に夫々当接させる。
この構成により、各ノブボルト58U,58Dを緩めてテンションローラー57U,57Dを上下揺動させ、上部ベルトおよび下部ベルトのテンション調節を行なうことができる。
【0045】
一方、図8図9に示すように、上述の上部ローラー46Uおよび下部ローラー46Dは、中空の円筒または中実の円柱から形成し、外周面における所定の部位に平面部46UH,46DHを形成する。
また、この平面部46UH,46DHは、回転軸心方向における中央部と左右両端部の3箇所に形成し、各平面部46UH,46DHにバネ材で形成された係止部材46Kを螺子部材46Nで取り付ける。
【0046】
この係止部材46Kは、上部ローラー46Uおよび下部ローラー46Dの回転方向の一側を向く部位を侵入部46Sとしたクリップ状に形成する。
なお、中央部に取り付けた係止部材46Kの侵入部46Sと、左右両端部に設けた2つの係止部材46Kの侵入部46Sとは、上部ローラー46Uおよび下部ローラー46Dの回転方向において対向する方向(逆方向)を向いた姿勢で取り付ける。
【0047】
しかして、図10に示すように、上部ベルト59Uおよび下部ベルト59Dは以下の形状に形成する。
すなわち、帆布等で形成された薄いベルトに対して、その一端側の左右方向(幅方向)中央部を切り欠いて単一の切り欠き部59Sを形成し、この単一の切り欠き部59Sの左右両側に、左右の幅狭部59T,59Tを形成する。
【0048】
一方、このベルトの他端側の左右両側部を切り欠いて左右の切り欠き部59S,59Sを形成し、この左右の切り欠き部59S,59Sの間に単一の幅狭部59Tを形成する。
そして、このベルトの一端側に形成した切り欠き部59Sの幅B1を、このベルトの他端側に形成した幅狭部59Tの幅B2よりも大きく設定する。
同様に、このベルトの他端側に形成した左右の切り欠き部59S,59Sの幅A2を、このベルトの一端側に形成した左右の幅狭部59Tの幅A1よりも大きく設定する。
【0049】
これにより、ベルトの一端側の左右の幅狭部59T,59Tと他端側の単一の幅狭部59Tとが、互いの間に左右方向の隙間を形成した状態で、上部ローラー46Uおよび下部ローラー46Dの夫々における回転軸心方向で隣接する部位に巻き掛かる。
したがって、ベルトの一端側の左右の幅狭部59T,59Tと他端側の幅狭部59Tの巻き取り・繰り出しにおいて、互いの干渉が防止される。
【0050】
また、ベルトの一端側の左右の幅狭部59T,59Tの端部に、矩形枠状の取付部材59Wを取り付け、ベルトの他端側の幅狭部59Tの端部に、同じく矩形枠状の取付部材59Xを取り付ける。
以上のようにして形成した上部ベルト59Uと下部ベルト59Dの夫々を、上部支持板43Uと下部支持板43Dの各上面から各先端部を迂回して各下面に巻き掛け、各取付部材59W,59Xを係止部材46Kの侵入部46Sから侵入させて係止する。
【0051】
なお、図8に示すように、上部ローラー46Uに対する上部ベルト59Uの一端側の巻き掛け方向と他端側の巻き掛け方向を逆方向とし、上部ローラー46Uの回転による上部ベルト59Uの一端側の繰り出し長さと他端側の巻き取り長さを略同じ長さに設定する。
すなわち、上部ベルト59Uの両端側のいずれか一方が所定長さだけ巻き取られ、いずれか他方がこの所定長さだけ繰り出される関係に設定する。
【0052】
下部ローラー46Dに対する下部ベルト59Dの巻き掛けについても同様とする。
これによって、掬い上げ部SPが構成される。
なお、図10以外の図面では、上部ベルト59Uおよび下部ベルト59Dの実体を省略し、その存在位置のみを仮想線ないし仮想矢線で示している。
【0053】
(折り畳み部)
図3図5に示すように、前方へ延在する支持部材60の基部を、上板41の上面に固定したスペーサ41Sの前面にボルト61で締結固定する。
そして、この支持部材60の前端部に、折り畳み部62を上下動自在に支持する。
すなわち、支持部材60の前端部に、上下動用エアシリンダ63を固定し、この上下動用エアシリンダ63のピストンの上端部に連結板64を固定する。
【0054】
そして、この連結板64の前端部を、左右方向に配置された支持枠65の中央上部にボルト66で締結固定する。
この支持枠65の前端部には、上下方向の面を有する第1取付板67が、左右方向に延在するように一体形成される。
なお、支持枠65の左右両側部には、後方へ開放する囲繞部68が形成されており、支持枠65側に固定される左右のエア式のロータリーアクチュエータ69L,69Rの前部が、この囲繞部68によって囲繞される。
【0055】
そして、左右のロータリーアクチュエータ69L,69Rの出力軸69LS,69RSは、第1取付板67に貫通形成した孔に挿通し、この第1取付板67の前側に延出させ、この各延出端部に左右の出力ギヤ69LG,69RGを固定する。
また、第1取付板67における左右の出力軸69LS,69RSの下側の部位に、左右の中間軸70LS,70RSの基部を固定し、各中間軸70LS,70RSに左右の中間ギヤ70LG,70RGを軸受する。
【0056】
そして、第1取付板67の前側に、所定の間隔をおいて第2取付板71を配置し、これら第1取付板67と第2取付板71における上下および左右の部位間を連結棒72で連結する。
また、第1取付板67と第2取付板71との下部における左右両端部に、前後方向に沿う左右の回転軸73L,73Rを貫通状態で軸受する。
そして、これら左右の回転軸73L,73Rにおける第1取付板67と第2取付板71の間の部位に、左右の入力ギヤ74LG,74RGを夫々固定する。
【0057】
しかして、上述の左側の出力ギヤ69LGと左側の中間ギヤ70LGを噛み合わせ、この左側の中間ギヤ70LGと左側の入力ギヤ74LGを噛み合わせる。
同様に、右側の出力ギヤ69RGと右側の中間ギヤ70RGを噛み合わせ、この右側の中間ギヤ70RGと右側の入力ギヤ74RGを噛み合わせる。
そして、左右の回転軸73L,73Rにおける第2取付板71よりも前側へ突出した各先端部に、左右の回動アーム75L,75Rの基部に形成したボス部75LB,75RBを嵌合し、このボス部75LB,75RBを、各回転軸73L,73Rに対して蝶螺子76で夫々締結固定する。
【0058】
図7に示すように、この左右の回動アーム75L,75Rは、それぞれ逆L字形状に屈折形成し、各自由端部に、左右方向内側へ延在する支持部材75LS,75RSをボルト77で締結固定する。
なお、この左右の支持部材75LS,75RSは、左右の回動アーム75L,75Rに対して正面視で(左右の回転軸73L,73Rの軸心方向視で)直角に固定される。
また、図3図4に示すように、左右の回動アーム75L,75Rの自由端部に長孔77Nを形成し、この長孔77Nにボルト77を挿通して締結固定する構成とする。
これにより、ボルト77を緩めて、回動アーム75L,75Rに対する支持部材75LS,75RSの固定位置を、各回動アーム75L,75Rの長手方向に調節することができる。
【0059】
また、左右の支持部材75LS,75RSには、左右方向に所定の間隔をおいて各5本の支持杆78の前後方向中間部を固定する。
この支持杆78は、その後端部が後下がり傾斜姿勢に屈折した形状とする。
以上により、折り畳み部62がアッセンブリーとして構成される。
これによって、上下動用エアシリンダ63が伸長作動すると、左右の回動アーム75L,75Rを含む折り畳み部62全体が上動し、上下動用エアシリンダ63が短縮作動すると、左右の回動アーム75L,75Rを含む折り畳み部62全体が下動する。
【0060】
(規制部材)
また、図3図4に示すように、上下動用エアシリンダ63の左右両側面に、上下方向へ伸縮作動する左右の規制部材用エアシリンダ79L,79Rを固定する。
そして、この左右の規制部材用エアシリンダ79L,79Rのピストンの先端部(下端部)に、左右方向に所定の間隔をおいて配置した6本の棒状部材(請求項の「規制部材」)80を備えた規制枠81を固定する。
【0061】
なお、各棒状部材80は、その前端部が前上がり傾斜姿勢に屈折した形状に形成し、その前端部よりも後側の部位は、上部支持板43Uの上側に間隔をおいて略平行に配置する。
また、複数の棒状部材80を備えた規制枠81を、ハンド装置33に対して定位置に固定する構成としてもよい。
また、この棒状部材80を1本のみ設ける構成としてもよい。
【0062】
(着脱装置)
なお、図3図4に示すように、ハンド装置33におけるスペーサ41Sの斜面(斜辺)と、ロボットアーム12のリスト29に設けたハンド取付座30との間に、着脱装置82を設ける。
この着脱装置82によって、ハンド装置33をリスト29に対して容易に着脱できるものとし、ハンド装置33の洗浄や、形態の異なるハンド装置33の交換等の作業を容易に行なうことができる。
【0063】
(第1実施形態の食品盛り付け制御装置)
図11に示すように、演算部、記憶部等を備えたロボットコントローラ34に対して、その入力側に、上述のエンコーダ19~23Sと、カメラ11を接続する。
一方、ロボットコントローラ34の出力側には、上述のサーボモータ13~18と、上下動用エアシリンダ63用のバルブソレノイド84、左側のロータリーアクチュエータ69L用のバルブソレノイド85、右側のロータリーアクチュエータ69R用のバルブソレノイド86と、左側の規制部材用エアシリンダ79L用のバルブソレノイド87と、右側の規制部材用エアシリンダ79R用のバルブソレノイド88と、電動モータ50を連繋する。
【0064】
なお、図示を省略しているが、ロボットコントローラ34の出力側には、各サーボモータ13~18および電動モータ50を作動させる個別のリレー回路が介在している。
なお、エアシリンダおよびロータリーアクチュエータ用の空圧源は、工場内の圧縮空気供給設備、または、スライサー1に備えたエアポンプである。
【0065】
一方、スライサー1側のスライサーコントローラ10には、その入力側に上述のエンコーダ9を接続し、その出力側は上述のサーボモータ8を接続する。
なお、スライサー1の作動制御に関する他のセンサー類およびアクチュエータ類は図示を省略している。
そして、ロボットコントローラ34とスライサーコントローラ10を、通信線SLを介して接続する。
【0066】
以上により、食品盛り付け制御装置(食品群形成制御装置)31が構成される。
この食品盛り付け制御装置(食品群形成制御装置)31、及び、これによって制御されるロボットアーム12およびハンド装置33から、本願発明の食品盛り付け装置および食品群形成装置が構成される。
【0067】
(盛り付け制御)
本発明を実施する盛り付け制御(食品群形成制御)について説明する。
図2に示すように、スライサー1によって塊状肉が所定の厚さに切断され、切断された薄肉(または二つに折り畳まれた薄肉)Eが第1搬送装置2におけるベルト3の搬送面3a上に順次載置される。
【0068】
搬送面3a上に載置された設定枚数の薄肉Eは、その一部が互いに重なるように並列されて薄肉群E1を形成し、この薄肉群E1どうしの間に既定の隙間を形成した状態で搬送される。
この薄肉群E1が採取位置Tに到達したことがエンコーダ9によって検出されたときに、スライサーコントローラ10からロボットコントローラ34へ採取開始信号を出力する。
【0069】
これにより、搬送面3a上に載置された薄肉群E1の移動状態と、この搬送面3a上の薄肉群E1を採取するタイミングとが同期する。
なお、設定数の薄肉群E1を採取しその盛り付けが全て完了したときには、ロボットコントローラ34からスライサーコントローラ10へ盛付完了信号が出力される。
しかして、図12図13に盛り付け制御のフローチャートを示し、図14にハンド装置33による薄肉群E1の折り畳み状態を示し、図15にハンド装置33の移動軌跡を示す。
【0070】
(S10A)
図12に示すように、盛り付け制御が開始されると、S10Aにおいて、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を駆動制御し、ハンド装置33を格納位置から移動させて、制御点を初期位置であるポイントP0に位置付ける。
このポイントP0は、薄肉群E1の採取位置Tにおいて、搬送面3aから直上方へ所定距離離間した位置に設定される。
【0071】
また、このポイントP0において、ハンド装置33の左右の回動アーム75L,75Rは上方回動した位置に待機している。
すなわち、図14におけるaおよびbの状態と同様に、左右の支持部材75LS,75RSが下部ベルト59Dの下側から外側上方へ退避した開放状態となる。
この状態において、電動モータ50は停止しており、上部ベルト59Uおよび下部ベルト59Dの駆動は停止している。
【0072】
(S12)
S12では、スライサーコントローラ10によって、採取位置Tへ搬送中の薄肉群E1の属性の取得を行う。
すなわち、ロボットコントローラ34は、カメラ11で撮像した薄肉群E1の画像を処理し、この結果に基づいて薄肉群E1の大きさ(薄肉群E1のX軸方向での長さ(幅)と面積)を取得する。
【0073】
(S14)
S14では、ロボットコントローラ34により、固定値として記憶された複数の所定列数Nのうち、使用するトレー6の大きさに対応する所定列数Nが選択される。
また、塊状肉の先端部の厚さ(高さ)及び画像処理に基づく薄肉群E1の大きさに基づいて、所定行数Mが自動的に算出される。
【0074】
これにより、トレー6の内底面の設定領域R内に、所定行数Mの行と、所定列数Nの列が設定される。
なお、各行、および、各行における各列は、それぞれが等間隔で設定される。
【0075】
(S16)
S16では、ロボットコントローラ34により、列カウンタのカウント値nおよび行カウンタのカウント値mにそれぞれ1をセットし、S18Aの「薄肉群盛り付け処理」に移行する。
【0076】
(S18A:薄肉群盛り付け処理)
図13に示すS100~S111は、S18Aにおける薄肉群盛り付け処理のフローチャートである。
図16に示すように、最も+X側の列において、最も+Y側の行から-Y側の行へ薄肉群E1の盛り付け処理がなされ、1つの列が終了すると、この列に対して-X側に隣接する次の列において、同様の盛り付け処理がなされる。
【0077】
(盛り付け処理)
(S100)
ロボットコントローラ34によって「採取目標位置設定処理」および「軌道生成処理」を実行する。
採取目標位置設定処理では、カメラ11で得られた薄肉群(食品)E1の大きさに基づいて、この薄肉群E1の長さ方向の中心部または中心部の近傍の位置を、採取時の目標点BPとして設定する。
この実施形態における制御点は、上部ベルト59Uの先端部における幅方向の中心位置である。
【0078】
軌道生成処理では、図15に示すポイントP0からP7への移動、およびポイントP7からP0へ戻る軌道を生成する。
ポイントP0はハンド装置33の初期位置であり、固定値として設定される。
すなわち、このポイントP0は、スライサー1の第1搬送装置2に備えたベルト3の幅の中心線tの直上方の位置に設定される。
【0079】
ポイントP1は、ポイントP0の下方に位置し、採取位置Tにある薄肉群E1の目標点BPへアプローチするときのハンド装置33の位置として設定される。
このポイントP1は、上部ベルト59Uの先端が搬送面3aに対して摺動可能な高さに設定される。
【0080】
ポイントP2は、ポイントP1のX軸座標およびZ軸座標と同じ位置であって、ポイントP1のY軸座標よりも下流側(+Y側)の位置に設定される。
このポイントP1からポイントP2までハンド装置33が移動するときに、コントローラ34から電動モータ50への出力によって上部ベルト59Uが正方向へ駆動し、採取位置Tにある薄肉群E1を、この上部ベルト59Uの上面に掬い上げる。
【0081】
ポイントP3のX軸座標およびY軸座標は、ポイントP2と同一に設定し、ポイントP3のZ軸座標はポイントP2のZ軸座標よりも大きく(高く)設定する。このポイントP3の搬送面3aからの高さは、ハンド装置33が薄肉群E1を掬い上げた状態で、この薄肉群E1の両端が搬送面3aに接触しない高さとする。
【0082】
ポイントP5は、トレー6の内底面上に設定された設定領域Rの上方に所定距離だけ離間した位置に配置し、ハンド装置33に保持した薄肉群E1の載置開始位置として設定する。
ポイントP4はポイントP5の直上方の位置に設定する。
【0083】
ポイントP6は、ポイントP5のZ軸座標と同一の位置において、ポイントP5のY軸座標よりも-Y側に配置し、薄肉群E1の載置終了位置として設定する。
ポイントP7はポイントP6の直上方の位置に設定する。
【0084】
(S101)
ロボットコントローラ34は、スライサーコントローラ10から薄肉群E1が採取位置Tに位置した際に出力される採取開始信号の受信を待つ。採取信号を受信すると、ロボットコントローラ34はS102に移行する。
【0085】
(S102)
ロボットコントローラ34によって、ポイントP1のX軸座標値をS100で得られた採取目標位置のX軸座標に変更する。
【0086】
(S103)
ロボットコントローラ34からサーボモータ13~18への出力によってロボットアーム12を制御し、ハンド装置33に備えた上部ベルト59Uの幅方向での中心点である制御点をポイントP0からポイントP1へ下降させて、上部ベルト59Uの先端を搬送面3aに接触ないし近接させる。
【0087】
(S104)
ロボットコントローラ34からサーボモータ13~18への出力によってロボットアーム12を制御し、制御点をポイントP1からポイントP2まで移動させる。
すなわち、ハンド装置33に備えた上部ベルト59Uの先端部の幅方向での中心点(制御点)が、目標点BP(薄肉群E1における幅方向(X軸方向)での中心位置)に一致するように、ハンド装置33をY軸方向に沿って-Y側から+Y側へ移動させ、上部ベルト59Uの先端部を薄肉群E1側へ進出させる。
【0088】
このとき、ロボットコントローラ34から電動モータ50へ出力がなされ、上部ベルト59Uが正方向へ駆動して(このとき下部ベルト59Dは上部ベルト59Uに対して逆方向へ駆動される)、薄肉群E1の掬い上げを開始する。
なお、薄肉群E1の掬い上げが完了したとき、または、完了する直前に、前下がりに傾斜していたハンド装置33を水平姿勢へピッチングさせる構成としてもよい。
【0089】
(S105)
そして、薄肉群E1の掬い上げが完了するまでの設定時間の経過後に、電動モータ50への出力を終了して上部ベルト59Uの駆動を停止してから、ロボットコントローラ34からサーボモータ13~18への出力によって、ロボットアーム12を制御し、制御点をポイントP3へ移動させる。
なお、上部ベルト59Uの駆動継続によって薄肉群E1を掬い上げながら、制御点のポイントP3への移動を開始するように制御することも可能である。
このポイントP3への移動時において、規制部材の下動と、折り畳み部の閉作動と、折り畳み部の上動とが実行される。
【0090】
(規制部材の下動)
ロボットコントローラ34からバルブソレノイド87,88へ出力がなされ、左右の規制部材用エアシリンダ79L,79Rが同調して伸長作動し、各ピストン先端に固定された規制枠81が設定位置まで下動する。
これによって、図14におけるaからbへの変化に示すように、上部ベルト59U上に掬い上げられることで上方へ膨出した(上部ベルト59Uの上面から浮上した)薄肉群E1の左右方向中間部が、規制枠81に備えた棒状部材80の当接によって押し下げられる。
【0091】
この状態において、薄肉群E1の左右方向中間部は、上部ベルト59Uの上面に略沿う姿勢、または密着した状態となり、この薄肉群E1の左右両端部は、上部ベルト59Uの左右端部から斜め下方向へ傾斜した姿勢で垂れ下がる。
【0092】
(折り畳み部の閉作動)
また、この規制枠81の設定位置までの下動完了と略同時か、または、この下動が完了した後に、ロボットコントローラ34からバルブソレノイド85,86へ出力がなされる。
これにより、左右のロータリーアクチュエータ69L,69Rが出力回転し、略水平な姿勢にあった左右の回動アーム75L,75Rが、起立姿勢に近付く方向へ回動(閉作動)する。
【0093】
これによって、図14のbからcへの変化に示すように、垂れ下がっていた薄肉群E1の左右両端部が、左右の支持部材75LS,75RSに備えた支持杆78上に載るようにして持ち上げられ、下部ベルト59Dの下面に近接する位置まで折り畳まれる。
【0094】
(折り畳み部の上動)
そして、このようにして薄肉群E1の左右両端部が折り畳まれた後に、または、この折り畳みの途中で、ロボットコントローラ34からバルブソレノイド84へ出力がなされ、折り畳み部62が設定ストロークSSだけ上動する。
これに伴い、図14のcからdへの変化に示すように、上部ベルト59Uおよび下部ベルト59Dが定位置に保持された状態で、折り畳み部62側に左右の回動アーム75L,75Rを介して支持された左右の支持部材75LS,75RSが、設定ストロークSSだけ上動する。
【0095】
これによって、折り畳まれた薄肉群E1の左右両端部、または、折り畳まれる途中にある薄肉群E1の左右両端部が、左右の支持部材75LS,75RSに備えた支持杆78によって押し上げられ、下部ベルト59Dの下面に押し付けられる。
すなわち、上述の規制枠81に備えた棒状部材80の当接による薄肉群E1の左右方向中間部の押し下げと、左右の支持部材75LS,75RSに備えた支持杆78による薄肉群E1の左右両端部の押し上げとによって、この薄肉群E1が上下から挟まれるようにして適切な状態に折り畳まれ、保持される。
【0096】
(S106)
そして、ロボットコントローラ34からサーボモータ13~18への出力によってロボットアーム12を制御し、折り畳んだ薄肉群E1を保持したまま、制御点をポイントP3からポイントP4まで移動させる。
【0097】
(S107)
この後、ロボットコントローラ34からサーボモータ13~18への出力によってロボットアーム12を制御し、折り畳んだ薄肉群E1を保持したまま、制御点をポイントP4からポイントP5まで移動させる。
【0098】
(S108)
そして、ロボットコントローラ34からサーボモータ13~18への出力によってロボットアーム12を制御し、制御点をポイントP5からポイントP6へ移動させる。
また、この移動時に、規制部材の上動と、折り畳み部の下動と、上部ベルト59Uおよび下部ベルト59Dの逆方向への駆動が実行される。
【0099】
(規制部材の上動)
ロボットコントローラ34からバルブソレノイド87,88へ逆出力がなされ、左右の規制部材用エアシリンダ79L,79Rが同調して短縮作動し、各ピストン先端に固定された規制枠81が設定位置まで上動する。
これによって、図14におけるdからeへの変化に示すように、規制枠81に備えた棒状部材80が、上部ベルト59U上の薄肉群E1の左右方向中間部から離脱し、上方へ退避する。
この状態において、薄肉群E1の左右方向中間部は、上部ベルト59Uの上面に略沿う姿勢、または密着した状態のままとなる。
【0100】
(折り畳み部の下動)
そして、ロボットコントローラ34からバルブソレノイド84へ逆出力がなされ、折り畳み部62が設定ストロークSSだけ下動する。
これにより、図14のeからfへの変化に示すように、上部ベルト59Uおよび下部ベルト59Dが定位置に保持された状態で、折り畳み部62側に支持された左右の支持部材75LS,75RSが、設定ストロークSSだけ下動する。
【0101】
すなわち、左右の支持部材75LS,75RSに備えた支持杆78が、折り畳まれた薄肉群E1の左右両端部から離脱するように下方移動し、下部ベルト59Dの下面への押し付けが解除される。
【0102】
(上部ベルトおよび下部ベルトの逆方向への駆動)
このようにして支持杆78による薄肉群E1の左右両端部の押し付けを解除した後に、または、この押し付けを解除する途中で、ロボットコントローラ34から、サーボモータ13~18への出力と電動モータ50への逆出力がなされる。
【0103】
これによって、ハンド装置33を-Y方向へ移動させながら上部ベルト59Uを逆方向へ駆動して、保持していた薄肉群E1を設定領域R内に降ろす(載置する)。(図14のfからgへの変化。gは薄肉群Eを降ろした後の状態。)
このとき、下部ベルト59Dの下面によって、薄肉群E1における折り畳まれた部位にも移送力が作用し得て、この薄肉群E1が円滑に降ろされる。
【0104】
(S109)
この後、ロボットコントローラ34からサーボモータ13~18へ出力がなされ、制御点をポイントP6からポイントP7へ上昇させる。
【0105】
(S110)
このポイントP6からP7への上昇の途中で、または上昇後に、ロボットコントローラ34からバルブソレノイド85,86へ逆出力がなされる。
これにより、左右のロータリーアクチュエータ69L,69Rが逆方向へ出力回転し、起立姿勢にあった左右の回動アーム75L,75Rが、略水平な姿勢に近付く方向へ回動(閉作動)し、初期状態に復帰する。
【0106】
(S111)
この後、ロボットコントローラ34からサーボモータ13~18へ出力がなされ、制御点をポイントP7からポイントP0へ移動させ、一つの薄肉群E1の盛り付け処理を完了し、図12のフローにおけるS20Aへ移行する。
【0107】
(S20A)
上述のようにして一つの薄肉群E1の盛り付け処理が終了した後、S20Aで行カウンタのカウント値mをインクリメントし、S22Aへ移行する。
【0108】
(S22A)
S22Aでは、ロボットコントローラ34によって、行カウンタのカウント値mが所定列数Mを超えているか否かを判定する。
カウント値mが所定行数Mを超えていない場合には、S18Aにリターンして、現在の列nにおいて、次の行順の肉降下点に対する薄肉Eの盛り付け処理を行なう。
カウント値mが、所定行数Mを超えている場合には、S24Aに移行する。
【0109】
(S24A)
S24Aでは、列カウンタのカウント値nをインクリメントし、S26Aへ移行する。
(S26A)
S26Aでは、列カウンタのカウント値nが、所定列数Nを超えていない場合には、S28Aに移行し、列カウンタのカウント値nが、所定列数Nを超えている場合には、このフローチャートの処理を一旦終了する。
【0110】
(S28A)
S28Aでは、行カウンタのカウント値mを1にセットし、S18Aにリターンする。
S18Aにリターンすると、次の列の最初の行の肉降下点に対する薄肉群E1の盛り付け処理が開始される。
【0111】
以上によって、例えば図16に示すように、2列目の薄肉群E1が、その両端部を下側に折り畳まれた状態で、1列目の薄肉群E1の一部に重なるようにして盛り付けられる。
この2列目の最終行に対する盛り付けが完了した時点で、設定領域Rへの薄肉群E1の盛り付けを完了し、この設定領域R上に薄肉群E1の群(この複数の薄肉群E1から成る群が請求項の「食品群」に相当する)が形成される。
【0112】
なお、第2搬送装置5は、トレー6への薄肉群E1の盛り付けが完了するまでは、このトレー6の搬送を停止している。
そして、トレー6への薄肉群E1の盛り付けが完了した後に、第2搬送装置5を駆動してこのトレー6を搬出し、次の空のトレーを上述の待機位置まで送り出す。
【0113】
(第1状態と第2状態の選択)
上述した例では、折り畳み部62によって薄肉群E1の左右両端の折り畳み及び押し上げを行なう第1状態について説明した。
この第1状態と、折り畳み部62によって薄肉群E1の左右一端のみの折り畳み及び押し上げを行なう第2状態とを選択可能な構成としてもよい。
【0114】
すなわち、第2状態が選択された場合には、上述した採取目標位置設定処理において、薄肉群E1の長さ方向の中心部から設定距離偏倚した部位を、採取時の目標点BPとして設定し、この部位を上部ベルト59Uで掬い上げる。
そして、S105、S108、S110において、左右一側の回動アーム75L/75Rのみを作動させ、薄肉群E1の左右一端の折り畳み及び押し上げを行なうものである。
【0115】
(第2実施形態のハンド装置)
この第2実施形態のハンド装置90も、その基本姿勢をY軸方向に沿わせて配置し、「-Y」側から「+Y」側へ移動させながら、搬送面3a上の薄肉群E1を掬い上げるものである。
このため、このハンド装置90の構成についても、「+Y」方向を「前」、「-Y」方向を「後」、「+X」方向を「右」、「-X」方向を「左」として説明する。
【0116】
以下に第2実施形態のハンド装置90について詳述する。
(掬い上げ部)
図17図20に示すように、逆L字形状に形成した主支持板91Lの右側方に、間隔をおいて上下の副支持板91RU,91RDを平行に配置する。
そして、この主支持板91Lと各副支持板91RU,91RDの間を、上下の連結棒91Bで連結する。
そして、上下の枠状ローラー93U,93Dの夫々の回転軸92U,92Dを、主支持板91Lと上下の副支持板91RU,91RDとの間に、夫々回転自在に軸受する。
【0117】
なお、この上下の枠状ローラー93U,93Dは、左右の円盤94の間における外周部に、回転軸92U,92Dの軸心方向に沿う各8本の棒体95の左右両端部を溶接固定して形成する。
また、この各8本の棒体95のうちの各1本の棒体95Aについては、その左端部を左側の円盤94の基部に固定し、その右端部を右側の円盤94の外周部に形成した切り欠き部に臨ませる。これにより、棒体95Aは片持状態に支持される。
【0118】
そして、主支持板91Lの前方延在部と上下の副支持板91RU,91RDの前端部との間に、上部支持板96Uの後端部に形成した上方屈折部96UKと、下部支持板96Dの後端部に形成した下方屈折部96DKを接合する。
この状態で、主支持板91Lの前方延在部と左側の上方屈折部96UKとをボルト97で締結固定し、上側の副支持板91RUと右側の上方屈折部96UKとをボルト97で締結固定する。
【0119】
また、主支持板91Lの前方延在部と左側の下方屈折部96DK とをボルト97で締結固定し、下側の副支持板91RDと右側の下方屈折部96DKとをボルト97で締結固定する。
これによって、上部支持板96Uと下部支持板96Dが、前方へ延在し、かつ、上下方向に所定の隙間を有した状態で平行に配置される。
【0120】
また、上下のテンションローラー98U,98Dを回転自在に軸支した上下のテンションアーム99U,99Dの夫々を、主支持板91Lの右側面(内側面)に摺接ないし近接した位置に配置する。
そして、この上下のテンションアーム99U,99Dの各基部を、上述の上下の支持軸92U,92Dに上下回動自在に夫々軸支する。
【0121】
また、図20に示すように、主支持板91Lの左側に間隔をおいて支持板100を配置し、この支持板100と主支持板91Lの左側面部との間を、連結ピン100Pを介して連結し、主支持板91Lと支持板100の間に空間部を形成する。
また、上下の枠状ローラー93U,93Dの回転軸92U,92Dの各端部に固定した上側の入力ギヤ101Uと下側の入力ギヤ101Dとを噛み合わせる。
【0122】
また、支持板100の左側面に固定した電動モータ102によって駆動される出力ギヤ102Gを、上述の空間部内において上側の入力ギヤ101Uに噛み合わせる。
これによって、電動モータ102が駆動されると、上下の枠状ローラー93U,93Dが互いに逆方向へ回転する。
【0123】
しかして、図21に示すように、薄肉群E1を移載可能な帆布等で2つのベルト103を形成し、各ベルト103の両端側に、切り欠き部103Sと幅狭部103Tをベルト103の幅方向に隣接させて形成する。
そして、各ベルト103の一端側に形成した切り欠き部103Sの幅B1を、このベルト103の他端側に形成した幅狭部103Tの幅B2よりも大きく設定する。
【0124】
同様に、各ベルト103の他端側に形成した切り欠き部103Sの幅A2を、このベルト103の一端側に形成した幅狭部103Tの幅A1よりも大きく設定する。
このようにして上部ベルト103Uおよび下部ベルト103Dが形成される。
そして、上部ベルト103Uおよび下部ベルト103Dの一端側の幅狭部103Tの端部に、ループ状の係合部103Rを夫々形成し、この係合部103Rを上述の上下の枠状ローラー93U,93Dの各棒体95Aの基部に貫通状態で装着する。
【0125】
そして、上部ベルト103Uの他端側を、上部支持板96Uの上面側から、この上部支持板96Uの先端部で折り返して上部支持板96Uの下面側へ巻回す。
さらに、この上部ベルト103Uの他端側を上側の枠状ローラー93Uに所定長巻回した後、この上部ベルト103Uの他端側の幅狭部103Tに形成した係合部103Rを、上側の枠状ローラー93Uの棒状体95Aの先端部側の部位に貫通装着する。
【0126】
一方、下部ベルト103Dの他端側を、下部支持板96Dの上面側から、この下部支持板96Dの先端部で折り返して下部支持板96Dの下面側へ巻回す。
さらに、この下部ベルト103Dの他端側を下側の枠状ローラー93Dに所定長巻回した後、この下部ベルト103Dの他端側の幅狭部103Tに形成した係合部103Rを、下側の枠状ローラー93Dの棒状体95Aの先端側の部位に貫通装着する。
【0127】
以上により、上部ベルト103Uおよび下部ベルト103Dにおける一端側の幅狭部103Tと他端側の幅狭部103Tとが、互いの間に左右方向の隙間を形成した状態で、各枠状ローラー93U,93Dにおける回転軸心方向で隣接する部位に巻き掛かる。
すなわち、上部ベルト103Uおよび下部ベルト103Dにおける一端側の幅狭部103Tと他端側の幅狭部103Tの巻き取り・繰り出しにおいて、互いの干渉が防止される。
【0128】
なお、各枠状ローラー93U,93Dに対する上部ベルト103Uおよび下部ベルト103Dの一端側の幅狭部103Tの巻き掛け方向と、他端側の幅狭部103Tの巻き掛け方向を、逆方向に設定する。
また、各枠状ローラー93U,93Dの回転による上部ベルト103Uおよび下部ベルト103Dの一端側の繰り出し長さと他端側の巻き取り長さを、略同じ長さに設定する。
すなわち、上部ベルト103Uおよび下部ベルト103Dの両端側のいずれか一方が所定長さだけ巻き取られ、いずれか他方がこの所定長さだけ繰り出される関係に設定する。
【0129】
なお、図17図18に示すように、各枠状ローラー93U,93Dの直前の位置において、上部ベルト103Uおよび下部ベルト103Dにおける一端側の幅狭部103Tの外面に、各テンションローラー98U,98Dを当接させ、各ベルト103U,103Dに張力を与える。
このテンションローラー98U,98Dの上下位置を調節することにより、上部ベルト103Uおよび下部ベルト103Dの張力を調節することができ、また、作業によって生じる各ベルト103U,103Dの伸びを吸収することができる。
【0130】
以上、上部支持板96U、上部ベルト103U、下部支持板96D、下部ベルト103D、電動モータ102等により、掬い上げ部PSが形成される。
なお、図21以外の図面では、上部ベルト103Uおよび下部ベルト103Dの実体を省略し、その存在位置のみを仮想線ないし仮想矢線で示している。
【0131】
(折り畳み部)
図17図18に示すように、前方へ延在する支持部材104の基部を、主支持板91Lの上面に固定したスペーサ91Sの前面にボルト105で締結固定する。
そして、この支持部材104の前端部に、折り畳み部106を上下動自在に支持する。
【0132】
すなわち、支持部材104の前端部に、上下動用エアシリンダ107を固定し、この上下動用エアシリンダ107のピストンの上端部に連結板108を固定する。
そして、この連結板108の前端部を、左右方向に配置された支持枠109の中央上部にボルト110で締結固定する。
【0133】
この支持枠109の前端部には、上下方向の面を有する第1取付板111が、左右方向に延在するように一体形成される。
なお、支持枠109の左右両側部には、後方へ開放する囲繞部109Kが形成されており、支持枠109側に固定される左右のエア式のロータリーアクチュエータ112L,112Rの前部が、この囲繞部109Kによって囲繞される。
【0134】
そして、左右のロータリーアクチュエータ112L,112Rの出力軸112LS,112RSは、第1取付板111に貫通形成した孔に挿通し、この第1取付板111の前側に延出させ、この各延出端部に左右の出力ギヤ112LG,112RGを固定する。
また、第1取付板111における左右の出力軸112LS,112RSの下側の部位に、左右の中間軸113LS,113RSの基部を固定し、各中間軸113LS,113RSに左右の中間ギヤ113LG,113RGを軸受する。
【0135】
そして、第1取付板111の前側に、所定の間隔をおいて第2取付板114を配置し、これら第1取付板111と第2取付板114における上下および左右の部位間を連結棒115で連結する。
また、第1取付板111と第2取付板114との下部における左右両端部に、前後方向に沿う左右の回転軸116L,116Rを貫通状態で軸受する。
そして、これら左右の回転軸116L,116Rにおける第1取付板111と第2取付板114の間の部位に、左右の入力ギヤ117LG,117RGを夫々固定する。
【0136】
しかして、上述の左側の出力ギヤ112LGと左側の中間ギヤ113LGを噛み合わせ、この左側の中間ギヤ113LGと左側の入力ギヤ117LGを噛み合わせる。
同様に、右側の出力ギヤ112RGと右側の中間ギヤ113RGを噛み合わせ、この右側の中間ギヤ113RGと右側の入力ギヤ117RGを噛み合わせる。
そして、左右の回転軸116L,116Rにおける第2取付板114よりも前側へ突出した各先端部に、左右の回動アーム118L,118Rの基部に形成したボス部118LB,118RBを嵌合し、このボス部118LB,118RBを、各回転軸116L,116Rに対して蝶螺子119で夫々締結固定する。
【0137】
図19に示すように、この左右の回動アーム118L,118Rは、それぞれ逆L字形状に屈折形成し、各自由端部に、左右方向内側へ延在する支持部材118LS,118RSをボルト120で締結固定する。
なお、この左右の支持部材118LS,118RSは、左右の回動アーム118L,118Rに対して正面視で(左右の回転軸116L,116Rの軸心方向視で)直角に固定される。
【0138】
また、図17図18に示すように、左右の回動アーム118L,118Rの自由端部に長孔118Nを形成し、この長孔118Nにボルト120を挿通して締結固定する構成とする。
これにより、ボルト120を緩めて、回動アーム118L,118Rに対する支持部材118LS,118RSの固定位置を、各回動アーム118L,118Rの長手方向に調節することができる。
【0139】
また、左右の支持部材118LS,118RSには、左右方向に所定の間隔をおいて各4本の支持杆121の前後方向中間部を固定する。
この支持杆121は、その後端部が後下がり傾斜姿勢に屈折した形状とする。
以上により、折り畳み部106がアッセンブリーとして構成される。
これによって、上下動用エアシリンダ107が伸長作動すると、左右の回動アーム118L,118Rを含む折り畳み部106全体が上動し、上下動用エアシリンダ107が短縮作動すると、左右の回動アーム118L,118Rを含む折り畳み部106全体が下動する。
【0140】
(規制部材)
また、図17図18に示すように、支持部材104の左右外側面に、逆へ字形状の左右の支持アーム123L,123Rの基部をボルト124で締結固定する。
そして、この左右の支持アーム123L,123Rの前端部に駆動ベルト125の基部を支持し、この駆動ベルト125を、上部ベルト96Uの上面と所定の間隔をおいた略平行な姿勢で、この上部ベルト96Uの前端部付近まで延在させる。
【0141】
すなわち、図18に示すように、左側の支持アーム123Lの前端部に、左側の支持側板125Lの基部をボルト125Bで締結固定する。
また、図17に示すように、右側の支持側板125Rの基部に取付板125RTを固定し、この取付板125RTを、右側の支持アーム123Rの前端部にノブボルト125NBで締結固定する。
【0142】
また、上述の左右の支持側板125L,125Rの間を複数の連結棒126によって連結して枠組みする。
そして、この左右の支持側板125L,125Rにおける後端部間に入力軸127を回転自在に軸架し、この入力軸127に幅広の駆動ローラー128を固定する。
一方、左右の支持側板125L,125Rにおける前端部外側の部位に、テンション調節機構129を備えた左右の調節板130L,130Rを固定する。
このテンション調節機構129により、左右の調節板130L,130Rの前端部間に軸架された従動ローラー131の回転軸131Sの前後位置を調節することができる。
【0143】
しかして、上述の駆動ローラー128と従動ローラー131にわたって無端状のベルト132を巻き掛ける。
なお、駆動ローラー128と従動ローラー131の間において、ベルト132の下側巻回域の内周面に摺接するガイド部材(図示省略)を設ける。
【0144】
そして、図18に示すように、下側の回転軸92Dの左側端部に固定した出力プーリー133と、入力軸127の左側端部に固定した入力プーリー134とにわたってタイミングベルト135を巻き掛ける。
これによって、上側の枠状ローラー93Uと、下側の枠状ローラー93Dと、駆動ローラー128とが同調して駆動される(同タイミング・同速度で駆動される)。
【0145】
(着脱装置)
なお、図17に示すように、ハンド装置33におけるスペーサ91Sの斜面(斜辺)と、ロボットアーム12のリスト29に設けたハンド取付座30との間に、着脱装置82を設ける。
この着脱装置82によって、ハンド装置33をリスト29に対して容易に着脱できるものとし、ハンド装置33の洗浄や、形態の異なるハンド装置33の交換等の作業を容易に行なうことができる。
【0146】
(第2実施形態の食品盛り付け制御装置)
図22に示すように、演算部、記憶部等を備えたロボットコントローラ34に対して、その入力側に、上述のエンコーダ19~23Sと、カメラ11を接続する。
一方、ロボットコントローラ34の出力側には、上述のサーボモータ13~18と、上下動用エアシリンダ107用のバルブソレノイド140と、左側のロータリーアクチュエータ112L用のバルブソレノイド141と、右側のロータリーアクチュエータ112R用のバルブソレノイド142と、電動モータ102を連繋する。
【0147】
なお、図示を省略しているが、ロボットコントローラ34の出力側には、各サーボモータ13~18および電動モータ102を作動させる個別のリレー回路が介在している。
なお、エアシリンダおよびロータリーアクチュエータ用の空圧源は、工場内の圧縮空気供給設備、または、スライサー1に備えたエアポンプである。
【0148】
一方、スライサー1側のスライサーコントローラ10には、その入力側に上述のエンコーダ9を接続し、その出力側は上述のサーボモータ8を接続する。
なお、スライサー1の作動制御に関する他のセンサー類およびアクチュエータ類は図示を省略している。
そして、ロボットコントローラ34とスライサーコントローラ10を、通信線SLを介して接続する。
【0149】
以上により、第2実施形態の食品盛り付け制御装置(食品群形成制御装置)143が構成される。
この食品盛り付け制御装置(食品群形成制御装置)143、及び、これによって制御されるロボットアーム12およびハンド装置33から、本願発明の食品盛り付け装置および食品群形成装置が構成される。
【0150】
(盛り付け制御)
本発明を実施する盛り付け制御(食品群形成制御)について説明するにあたり、スライサー1による薄肉群E1の形成および搬送、スライサーコントローラ10からロボットコントローラ34への採取開始信号の出力、搬送面3a上の薄肉群E1の採取タイミングについては、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
また、盛り付け制御のフローチャートについても、第1実施形態において図12に示したフローのうちのS18A(薄肉群盛り付け処理)以外のステップについては同様であるため、説明を省略する。
【0151】
しかして、図23に示すS200~S211は、S18Aにおける薄肉群盛り付け処理のフローチャートである。
なお、図24に本第2実施形態におけるハンド装置33による薄肉群E1の折り畳み状態を示すが、ハンド装置33の移動軌跡、および、ハンド装置33による食品盛り付け状態は、図15図16に示す第1実施形態と同様である。
すなわち、図16に示すように、最も+X側の列において、最も+Y側の行から-Y側の行へ薄肉群E1の盛り付け処理がなされ、1つの列が終了すると、この列に対して-X 側に隣接する次の列において、同様の盛り付け処理がなされる。
【0152】
(盛り付け処理)
(S200)
ロボットコントローラ34によって「採取目標位置設定処理」および「軌道生成処理」を実行する。
採取目標位置設定処理では、カメラ11で得られた薄肉群(食品)E1の大きさに基づいて、この薄肉群E1の長さ方向の中心部または中心部の近傍の位置を、採取時の目標点BPとして設定する。
この実施形態における制御点は、上部ベルト103Uの先端部における幅方向の中心位置である。
【0153】
軌道生成処理では、図15に示すポイントP0からP7への移動、およびポイントP7からP0へ戻る軌道を生成する。
ポイントP0はハンド装置33の初期位置であり、固定値として設定される。
すなわち、このポイントP0は、スライサー1の第1搬送装置2に備えたベルト3の幅の中心線tの直上方の位置に設定される。
【0154】
ポイントP1は、ポイントP0の下方に位置し、採取位置Tにある薄肉群E1の目標点BPへアプローチするときのハンド装置33の位置として設定される。
このポイントP1は、上部ベルト103Uの先端が搬送面3aに対して摺動可能な高さに設定される。
【0155】
ポイントP2は、ポイントP1のX軸座標およびZ軸座標と同じ位置であって、ポイントP1のY軸座標よりも下流側(+Y側)の位置に設定される。
このポイントP1からポイントP2までハンド装置33が移動するときに、採取位置Tにある薄肉群E1を上部ベルト103Uの上面に掬い上げる。
【0156】
また、ポイントP3のX軸座標およびY軸座標は、ポイントP2と同一に設定し、ポイントP3のZ軸座標はポイントP2のZ軸座標よりも大きく(高く)設定する。
このポイントP3の搬送面3aからの高さは、ハンド装置33が薄肉群E1を掬い上げた状態で、この薄肉群E1の両端が搬送面3aに接触しない高さとする。
【0157】
ポイントP5は、トレー6の内底面上に設定された設定領域Rの上方に所定距離だけ離間した位置に配置し、ハンド装置33に保持した薄肉群E1の載置開始位置として設定する。
ポイントP4はポイントP5の直上方の位置に設定する。
【0158】
ポイントP6は、ポイントP5のZ軸座標と同一の位置において、ポイントP5のY軸座標よりも-Y側に配置し、薄肉群E1の載置終了位置として設定する。
ポイントP7はポイントP6の直上方の位置に設定する。
【0159】
(S201)
ロボットコントローラ34は、スライサーコントローラ10から薄肉群E1が採取位置Tに位置した際に出力される採取開始信号の受信を待つ。採取信号を受信すると、ロボットコントローラ34はS202に移行する。
【0160】
(S202)
ロボットコントローラ34によって、ポイントP1のX軸座標値をS200で得られた採取目標位置のX軸座標に変更する。
【0161】
(S203)
ロボットコントローラ34からサーボモータ13~18への出力によってロボットアーム12を制御し、ハンド装置33に備えた上部ベルト103Uの幅方向での中心点である制御点を、ポイントP0からポイントP1へ下降させ、上部ベルト103Uの先端を搬送面3aに接触ないし近接させる。
【0162】
(S204)
ロボットコントローラ34からサーボモータ13~18への出力によってロボットアーム12を制御し、制御点をポイントP1からポイントP2まで移動させる。
すなわち、ハンド装置33に備えた上部ベルト103Uの先端部の幅方向での中心点(制御点)が、目標点BP(薄肉群E1における幅方向(X軸方向)での中心位置)に一致するように、ハンド装置33をY軸方向に沿って-Y側から+Y側へ移動させ、上部ベルト103Uの先端部を薄肉群E1側へ進出させる。
【0163】
このとき、ロボットコントローラ34から電動モータ102へ出力がなされ、上部ベルト103Uの上面と駆動ベルト125の下面が正方向(同方向)へ駆動して、薄肉群E1の掬い上げを開始する。(下部ベルト103Dは上部ベルト103Uに対して逆方向へ駆動される。)
このとき、図24におけるaの状態のように、薄肉群E1は上部ベルト103Uの上面と駆動ベルト125の下面との間に導入され、掬い上げられた薄肉群E1の上方への膨出が、駆動ベルト125の下面との当接によって規制される。
【0164】
または、掬い上げられる薄肉群E1を、駆動ベルト125の下面に敷き込むようにして上部ベルト103Uの上面側へ押圧し、この薄肉群E1の中間部の上方への膨出を積極的に抑える。
なお、このようにして掬い上げられた薄肉群E1の左右両端部は、上部ベルト103Uの左右端部から斜め下方向へ傾斜した姿勢で垂れ下がる。
また、薄肉群E1の掬い上げが完了したとき、または、完了する直前に、ハンド装置33を水平姿勢へピッチングさせる構成としてもよい。
【0165】
(S205)
そして、薄肉群E1の掬い上げが完了するまでの設定時間の経過後に、電動モータ102への出力を終了して上部ベルト103Uの駆動を停止してから、ロボットコントローラ34からサーボモータ13~18への出力によってロボットアーム12を制御し、制御点をポイントP3へ移動させる。
【0166】
なお、上部ベルト103Uと駆動ベルト125の駆動継続によって薄肉群E1を掬い上げながら、制御点のポイントP3への移動を開始するように制御することも可能である。
このポイントP3への移動時において、折り畳み部の閉作動と、折り畳み部の上動とが実行される。
【0167】
(折り畳み部の閉作動)
ロボットコントローラ34からバルブソレノイド141,142へ出力がなされる。
これにより、左右のロータリーアクチュエータ112L,112Rが出力回転し、略水平な姿勢にあった左右の回動アーム118L,118Rが、起立姿勢に近付く方向へ回動(閉作動)する。
これによって、図24のaからbへの変化に示すように、垂れ下がっていた薄肉群E1の左右両端部が、左右の支持部材118LS,118RSに備えた支持杆121上に載るようにして持ち上げられ、下部ベルト103Dの下面に近接する位置まで折り畳まれる。
【0168】
(折り畳み部の上動)
このようにして薄肉群E1の左右両端部が折り畳まれた後に、または、この折り畳みの途中で、ロボットコントローラ34からバルブソレノイド140へ出力がなされ、折り畳み部106が設定ストロークPPだけ上動する。
これに伴い、図24のbからcへの変化に示すように、駆動ベルト125と上部ベルト103Uおよび下部ベルト103Dが定位置に保持された状態で、折り畳み部106側に左右の回動アーム118L,118Rを介して支持された左右の支持部材118LS,118RSが、設定ストロークPPだけ上動する。
【0169】
これによって、折り畳まれた薄肉群E1の左右両端部、または、折り畳まれる途中にある薄肉群E1の左右両端部が、左右の支持部材118LS,118RSに備えた支持杆121によって押し上げられ、下部ベルト103Dの下面に押し付けられる。
すなわち、上述の駆動ベルト125の下面と上部ベルト103Uとの間で薄肉群E1の中間部を挟み、左右の支持杆121によって薄肉群E1の左右両端部を下部ベルト103Dの下面に押し付けることによって、この薄肉群E1が適切な状態に折り畳まれ、保持される。
【0170】
(S206)
そして、ロボットコントローラ34からサーボモータ13~18への出力によってロボットアーム12を制御し、折り畳んだ薄肉群E1を保持したまま、制御点をポイントP3からポイントP4まで移動させる。
【0171】
(S207)
この後、ロボットコントローラ34からサーボモータ13~18への出力によってロボットアーム12を制御し、折り畳んだ薄肉群E1を保持したまま、制御点をポイントP4からポイントP5まで移動させる。
【0172】
(S208)
そして、ロボットコントローラ34からサーボモータ13~18への出力によってロボットアーム12を制御し、制御点をポイントP5からポイントP6へ移動させる。
また、この移動時に、折り畳み部の下動と、駆動ベルト125と上部ベルト103Uおよび下部ベルト103Dの逆方向への駆動が実行される。
【0173】
(折り畳み部の下動)
ロボットコントローラ34からバルブソレノイド140へ逆出力がなされ、折り畳み部106が設定ストロークPPだけ下動する。
これにより、図24のcからdへの変化に示すように、駆動ベルト125と上部ベルト103Uおよび下部ベルト103Dが定位置に保持された状態で、折り畳み部106側に支持された左右の支持部材118LS,118RSが、設定ストロークPPだけ下動する。
【0174】
すなわち、左右の支持部材118LS,118RSに備えた支持杆121が、折り畳まれた薄肉群E1の左右両端部から離脱するように下方移動し、下部ベルト103Dの下面への押し付けが解除される。
【0175】
(駆動ベルトと上部ベルトおよび下部ベルトの逆方向への駆動)
このようにして支持杆121による薄肉群E1の左右両端部の押し付けを解除した後に、または、この押し付けを解除する途中で、ロボットコントローラ34から、サーボモータ13~18への出力と電動モータ102への逆出力がなされる。
【0176】
これによって、ハンド装置33を-Y方向へ移動させながら、駆動ベルト125の下面と上部ベルト103Uの上面を掬い上げ時とは逆方向へ駆動して、保持していた薄肉群E1を設定領域R内に降ろす。(図24のdからeへの変化。eは薄肉群Eを降ろした後の状態。)
このとき、駆動ベルト125の下面によっても薄肉群E1の中間部上面に移送力が作用し得、また、下部ベルト103Dの下面によって薄肉群E1における折り畳まれた部位にも移送力が作用し得て、この薄肉群E1が円滑に降ろされる。
【0177】
(S209)
この後、ロボットコントローラ34からサーボモータ13~18へ出力がなされ、ロボットアーム12を制御して制御点をポイントP6からポイントP7へ上昇させる。
【0178】
(S210)
この制御点のポイントP6からP7への上昇の途中で、または上昇後に、ロボットコントローラ34からバルブソレノイド141,142へ逆出力がなされる。
これにより、左右のロータリーアクチュエータ112L,112Rが逆方向へ出力回転し、起立姿勢にあった左右の回動アーム118L,118Rが、略水平な姿勢に近付く方向へ回動(閉作動)し、初期状態に復帰する。
【0179】
(S211)
この後、ロボットコントローラ34からサーボモータ13~18へ出力がなされ、制御点をポイントP7からポイントP0へ移動させ、一つの薄肉群E1の盛り付け処理を完了し、図12のフローにおけるS20Aへ移行する。
以降は第1実施形態と同様の処理がなされる。
【0180】
以上によって、例えば図16に示すように、2列目の薄肉群E1が、その両端部を下側に折り畳まれた状態で、1列目の薄肉群E1の一部に重なるようにして盛り付けられる。
この2列目の最終行に対する盛り付けが完了した時点で、設定領域Rへの薄肉群E1の盛り付けを完了し、この設定領域R上に薄肉群E1の群(この複数の薄肉群E1から成る群が請求項の「食品群」に相当する)が形成される。
【符号の説明】
【0181】
E1 薄肉群(請求項の「食品」)
T 採取位置
R 設定領域
SP 掬い上げ部
4 食品盛り付け装置(食品群形成装置)
12 ロボットアーム
31 食品盛り付け制御装置(食品群形成制御装置)
33 ハンド装置
59U 上部ベルト
59D 下部ベルト
62 折り畳み部
63 上下動用エアシリンダ
69L 左側のロータリーアクチュエータ
69R 右側のロータリーアクチュエータ
75L 左側の回動アーム
75R 右側の回動アーム
78 支持杆
80 棒状部材(規制部材)
81 規制枠
PS 掬い上げ部
103U 上部ベルト
103D 下部ベルト
106 折り畳み部
107 上下動用エアシリンダ
112L 左側のロータリーアクチュエータ
112R 右側のロータリーアクチュエータ
118L 左側の回動アーム
118R 右側の回動アーム
121 支持杆
125 駆動ベルト(規制部材)



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