(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177817
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
H10B 43/27 20230101AFI20231207BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20231207BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
H01L27/11582
H01L29/78 371
H01L25/08 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090702
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 久詞
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP42
5F083EP47
5F083EP48
5F083EP76
5F083ER03
5F083ER09
5F083ER14
5F083ER19
5F083ER22
5F083GA10
5F083GA27
5F083JA03
5F083JA04
5F083JA05
5F083JA19
5F083JA32
5F083JA36
5F083JA37
5F083JA39
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083LA12
5F083LA16
5F083LA20
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083PR03
5F083PR06
5F101BA45
5F101BB04
5F101BC02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
(57)【要約】
【課題】一つの実施形態は、複数のチップが適切に接合されることに適した半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【解決手段】一つの実施形態によれば、半導体記憶装置において、第3のチップは、第1の積層体と複数の第1の半導体膜と複数の第1の絶縁膜とを有する。第1の積層体は、複数の第1の導電層が第1の絶縁層を介して第1の方向に積層される。第2のチップは、第2の積層体と複数の第2の半導体膜と複数の第2の絶縁膜とを有する。第2の積層体は、複数の第2の導電層が第2の絶縁層を介して第1の方向に積層される。第1の導電層は、第2の方向を長手方向とする。第2の導電層は、第2の方向を長手方向とする。第4のチップは、複数のラインパターンを有する。複数のラインパターンのそれぞれは、第2の方向に延びる。複数のラインパターンは、互いに第3の方向に並ぶ。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のチップと、
前記第1のチップに接合される第2のチップと、
前記第1のチップと反対側で前記第2のチップに接合される第3のチップと、
前記第2のチップと反対側で前記第1のチップに接合される第4のチップと、
を備え、
前記第3のチップは、
複数の第1の導電層が第1の絶縁層を介して第1の方向に積層される第1の積層体と、
前記第1の積層体内を前記第1の方向にそれぞれ延びる複数の第1の半導体膜と、
前記第1の積層体内を前記第1の半導体膜の外側で前記第1の方向にそれぞれ延びる複数の第1の絶縁膜と、
を有し、
前記第2のチップは、
複数の第2の導電層が第2の絶縁層を介して前記第1の方向に積層される第2の積層体と、
前記第2の積層体内を前記第1の方向にそれぞれ延びる複数の第2の半導体膜と、
前記第2の積層体内を前記第2の半導体膜の外側で前記第1の方向にそれぞれ延びる複数の第2の絶縁膜と、
を有し、
前記第1の導電層は、前記第1の方向に垂直な第2の方向と前記第1の方向及び前記第2の方向に垂直な第3の方向とに延び、前記第2の方向を長手方向とし、
前記第2の導電層は、前記第2の方向と前記第3の方向とに延び、前記第2の方向を長手方向とする
前記第4のチップは、
それぞれが前記第2の方向に延び、互いに前記第3の方向に並ぶ複数のラインパターンを有する
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第3のチップは、
それぞれが前記第2の方向に延び、互いに前記第1の方向に並ぶ複数のビット線を有し、
前記ラインパターンの幅は、前記ビット線の幅より広い
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第3のチップは、
それぞれが前記第2の方向に延び、互いに前記第1の方向に並ぶ複数のビット線を有し、
前記ラインパターンの膜厚は、前記ビット線の膜厚より厚い
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記複数のラインパターンは、前記第1の積層体に対応する位置に配される
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第4のチップは、
開口で露出された表面を有する電極をさらに有し、
前記複数のラインパターンは、前記第1のチップの表面から透視した場合に前記電極に重ならない位置に配される
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第4のチップは、
前記複数のラインパターンの上方で且つ前記電極と同じ深さに配される導電膜をさらに有する
請求項5に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第4のチップは、前記ラインパターンの周囲に配される絶縁膜をさらに有し、
前記ラインパターンは、前記絶縁膜と組成が異なる
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記第4のチップは、前記ラインパターンの周囲に配される絶縁膜をさらに有し、
前記ラインパターンは、前記絶縁膜と膜密度が異なる
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置は、複数のチップが接合されて構成されることがある。半導体記憶装置では、複数のチップが適切に接合されることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一つの実施形態は、複数のチップが適切に接合されることに適した半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの実施形態によれば、第1のチップと第2のチップと第3のチップと第4のチップとを有する半導体記憶装置が提供される。第2のチップは、第1のチップに接合される。第3のチップは、第1のチップと反対側で第2のチップに接合される。第4のチップは、第2のチップと反対側で第1のチップに接合される。第3のチップは、第1の積層体と複数の第1の半導体膜と複数の第1の絶縁膜とを有する。第1の積層体は、複数の第1の導電層が第1の絶縁層を介して第1の方向に積層される。複数の第1の半導体膜のそれぞれは、第1の積層体内を第1の方向に延びる。複数の第1の絶縁膜のそれぞれは、第1の積層体内を第1の半導体膜の外側で第1の方向に延びる。第2のチップは、第2の積層体と複数の第2の半導体膜と複数の第2の絶縁膜とを有する。第2の積層体は、複数の第2の導電層が第2の絶縁層を介して第1の方向に積層される。複数の第2の半導体膜のそれぞれは、第2の積層体内を第1の方向に延びる。複数の第2の絶縁膜のそれぞれは、第2の積層体内を第2の半導体膜の外側で第1の方向に延びる。第1の導電層は、第2の方向と第3の方向とに延びる。第2の方向は、第1の方向に垂直な方向である。第3の方向は、第1の方向及び第2の方向に垂直な方向である。第1の導電層は、第2の方向を長手方向とする。第2の導電層は、第2の方向と第3の方向とに延びる。第2の導電層は、第2の方向を長手方向とする。第4のチップは、複数のラインパターンを有する。複数のラインパターンのそれぞれは、第2の方向に延びる。複数のラインパターンは、互いに第3の方向に並ぶ。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態にかかる半導体記憶装置の構成を示すブロック図。
【
図2】実施形態におけるブロックの構成を示す回路図。
【
図3】実施形態にかかる半導体記憶装置の構成を示す積層方向の断面図。
【
図4】実施形態にかかる半導体記憶装置の構成を示す積層方向の断面図。
【
図5】実施形態にかかる半導体記憶装置の構成を示す積層方向の断面図。
【
図6】実施形態におけるメモリセルの構成を示す平面方向及び積層方向の断面図。
【
図7】実施形態にかかる半導体記憶装置の構成を示す分解斜視図。
【
図8】実施形態における支持チップの機能を示す図。
【
図9】実施形態における支持チップの機能を示す図。
【
図10】実施形態の第1の変形例にかかる半導体記憶装置の構成を示す断面図。
【
図11】実施形態の第1の変形例にかかる半導体記憶装置の構成を示す断面図。
【
図12】実施形態の第1の変形例にかかる半導体記憶装置の構成を示す断面図。
【
図13】実施形態の第1の変形例にかかる半導体記憶装置の構成を示す分解斜視図。
【
図14】実施形態の第2の変形例にかかる半導体記憶装置の製造方法を示す断面図。
【
図15】実施形態の第2の変形例にかかる半導体記憶装置の製造方法を示す断面図。
【
図16】実施形態の第2の変形例における支持基板の各チップ領域におけるパターンを示す平面図。
【
図17】実施形態の第2の変形例にかかる半導体記憶装置の製造方法を示す断面図。
【
図18】実施形態の第2の変形例にかかる半導体記憶装置の製造方法を示す断面図。
【
図19】実施形態の第3の変形例にかかる半導体記憶装置の製造方法を示す断面図。
【
図20】実施形態の第3の変形例にかかる半導体記憶装置の製造方法を示す断面図。
【
図21】実施形態の第3の変形例にかかる半導体記憶装置の製造方法を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる半導体記憶装置を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0008】
(実施形態)
実施形態にかかる半導体記憶装置は、複数のチップが接合されて構成されるが、複数のチップが適切に接合されるための工夫が施される。例えば、半導体記憶装置1は、
図1に示すように構成され得る。
図1は、半導体記憶装置1の構成を示すブロック図である。
【0009】
半導体記憶装置1は、複数のチップ10,20_1,20_2,30を有する。チップ20_1,20_2は、メモリセルアレイ21_1,21_2を含み、アレイチップとも呼ばれる。チップ10は、メモリセルアレイ21_1,21_2を制御するための回路を含み、回路チップとも呼ばれる。チップ30は、他のチップ10,20_1,20_2を平坦に支持するためのパターンを含み、支持チップとも呼ばれる。
【0010】
なお、チップ20_1,20_2は、互いに区別しない場合、チップ20と表記する。メモリセルアレイ21_1,21_2は、互いに区別しない場合、メモリセルアレイ21と表記する。また、
図1では、半導体記憶装置1が2個のチップ(アレイチップ)20_1,20_2を含む構成が例示されるが、半導体記憶装置1は3個以上のアレイチップを含んでもよい。
【0011】
半導体記憶装置1は、データを不揮発に記憶する不揮発性メモリ(例えば、NAND型フラッシュメモリ)であってもよく、メモリカード、SSD(Solid State Drive)等のメモリシステム3に適用され得る。メモリシステム3は、半導体記憶装置1及びメモリコントローラ2を有する。
【0012】
半導体記憶装置1は、メモリコントローラ2から電源Vss、電源Vcc、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号WEn、リードイネーブル信号REn、レディビジー信号RBn、および入出力信号I/O等を受ける。これらの信号等を介して、半導体記憶装置1は、メモリコントローラ2により制御される。
【0013】
入出力信号I/Oは、コマンドCMD、アドレス情報ADD、データ信号DATを含み得る。電源Vssは、基準電位(例えば、グランド電位)を有する。電源Vccは、所定電位(例えば、電源電位)を有する。コマンドラッチイネーブル信号CLEは、入出力信号I/OがコマンドCMDであることを示す。アドレスラッチイネーブル信号ALEは、出力信号I/Oがアドレス情報ADDであることを示す。ライトイネーブル信号WEnは、ライト動作をイネーブルする際に用いられ得る。リードイネーブル信号REnは、リード動作をイネーブルする際に用いられ得る。レディビジー信号RBnは、半導体記憶装置1がリディ―状態・ビジー状態にあることを示す。
【0014】
チップ20_1は、メモリセルアレイ21_1及び電源線22_1,23_1を含む。メモリセルアレイ21_1では、メモリセルトランジスタ(以下、単にメモリセル)が3次元的に複数配列される。チップ10_2は、メモリセルアレイ21_2及び電源線22_2,23_2を含む。メモリセルアレイ21_2では、メモリセルが3次元的に複数配列される。各メモリセルアレイ21は、複数のブロックBKを含む。
【0015】
チップ30は、電源線31,32を有する。電源Vssは、電源線31,22_2,22_1経由でチップ10へ伝達される。電源Vccは、電源線32,23_2,23_1経由でチップ10へ伝達される。
【0016】
各ブロックBKは、ワード線WLが共通接続される複数のメモリセルの集合に相当し、
図2に示すように構成され得る。
図2は、ブロックBKの構成を示す回路図である。
【0017】
ブロックBKは、例えば4つのストリングユニットSU0~SU3を含む。各ストリングユニットSUは、複数のメモリストリングMSを含む。複数のメモリストリングMSは、複数のビット線BL0~BL(m-1)に対応する(mは、任意の2以上の整数)。各メモリストリングMSは、対応するビット線BLに接続される。各メモリストリングMSは、メモリセルMT0~MT7及び選択トランジスタST1,ST2を含む。
【0018】
各メモリストリングMSにおいて、選択トランジスタST1のドレインは、ビット線BLに接続される。選択トランジスタST1のソースと、選択トランジスタST2のドレインとの間に、メモリセルMT0~MT7が直列接続される。選択トランジスタST2のソースは、ソース線SLに接続される。
【0019】
ストリングユニットSUに含まれる各メモリストリングMSの選択トランジスタST1のゲートは、セレクトゲート線SGDに共通して接続される。ブロックBKに含まれる各メモリストリングMSの選択トランジスタST2のゲートは、セレクトゲート線SGSに共通して接続される。ブロックBKに含まれる各メモリストリングMSのメモリセルMTのゲートは、ワード線WLに共通して接続される。
【0020】
1つのストリングユニットSU内で、1つのワード線WLに接続される複数のメモリセルMTの集合は、セルユニットCUと称される。例えば、メモリセルMTがpビットデータ(pは1以上の整数)を記憶する場合、セルユニットCUの記憶容量はpページデータとして定義される。
【0021】
各ビット線BLは、ブロックBKの各ストリングユニットSUの対応するメモリストリングMSの選択トランジスタST1のドレインに接続される。ソース線SLは、ブロックBKに含まれる各メモリストリングMSの選択トランジスタST2のソースに共通して接続され、ブロックBKのストリングユニットSU間で共有される。ソース線SLは、ブロックBK間で共有されてもよい。
【0022】
図1に示すチップ10(回路チップ)は、ロウデコーダ12、センスアンプ13、シーケンサ14、電圧発生回路15及び電源回路16を有する。
【0023】
電源回路16は、チップ30から受ける電源Vss,Vccを各部へ供給する。例えば、電源回路16は、電源Vss,Vccを電圧発生回路15へ供給する。
【0024】
シーケンサ14は、コマンドCMDに応じて、各部を統括的に制御する。例えば、シーケンサ14は、ライトコマンドCMDに応じて、ライト動作を制御する。シーケンサ14は、ライト動作の制御において、メモリセルアレイ21におけるアドレス指定されたメモリセルMTにデータDATをライトし、ライト完了通知をメモリコントローラ2へ返す。シーケンサ14は、リードコマンドCMDに応じて、リード動作を制御する。シーケンサ14は、リード動作の制御において、メモリセルアレイ21におけるアドレス指定されたメモリセルMTからデータDATをリードし、リードデータDATをメモリコントローラ2へ返す。
【0025】
電圧発生回路15は、電源Vss,Vccを用いて、シーケンサ14の制御に応じた電圧を発生させロウデコーダ12及びセンスアンプ13へ供給する。
【0026】
ロウデコーダ12は、アドレス情報ADDをデコードし、デコード結果に応じてメモリセルアレイ21におけるライト・リードすべきメモリセルに対応するワード線WLを選択し、選択ワード線WLに電圧を供給する。
【0027】
センスアンプ13は、アドレス情報ADDをデコードし、デコード結果に応じてメモリセルアレイ21におけるライト・リードすべきメモリセルに対応するビット線BLを選択する。センスアンプ13は、ライト動作において、選択ビット線BLに電圧を供給する。センスアンプ13は、リード動作において、選択ビット線BLに電圧を供給し、選択ビット線BLの電位をセンスする。
【0028】
半導体記憶装置1は、
図3~
図5に示すように、複数のチップ10,20_1,20_2,30が積層されて構成される。以下では、チップの積層方向をZ方向とし、Z方向に垂直な平面内で互いに直交する2方向をX方向及びY方向とする。
図3は、半導体記憶装置1の構成を概略的に示すXZ断面図である。
図4は、半導体記憶装置1の構成を示すXZ断面図であり、
図3のA部分を詳細に示す断面図である。
図5は、半導体記憶装置1の構成を概略的に示すYZ断面図である。
【0029】
半導体記憶装置1では、複数のチップ10,20_1,20_2が積層される。チップ10の+Z側に、チップ20_1が配される。チップ20_1の+Z側に、チップ20_2が配される。チップ20_2の+Z側に、チップ30が配される。すなわち、チップ10の+Z側に、チップ20_1,20_2,30が順に積層される。チップ10の+Z側にチップ20_1,20_2が順に接合される構造は、メモリセルアレイ21_1,21_2が順に積層され、マルチスタックアレイとも呼ばれる。
図3~
図5に示す構造は、マルチスタックアレイにチップ(支持チップ)30が積層された構造となっている。
【0030】
なお、マルチスタックアレイにおける積層されるチップ(アレイチップ)20の個数は、2個に限定されず、3個以上であってもよい。
【0031】
チップ10の+Z側の面に、チップ20_1が接合される。チップ20_1は、直接接合で接合されてもよい。チップ10は、+Z側に絶縁膜(例えば、酸化膜)DL1と電極PD1とを有する。チップ20_1は、-Z側に絶縁膜(例えば、酸化膜)DL2と電極PD2とを有する。チップ10,20_1の接合面BF1では、チップ10の絶縁膜DL1とチップ20_1の絶縁膜DL2とが接合され、チップ10の電極PD1とチップ20_1の電極PD2とが接合される。
【0032】
チップ20_1の+Z側の面に、チップ20_2が接合される。チップ20_2は、チップ10の反対側でチップ20_1に接合される。チップ20_2は、直接接合で接合されてもよい。チップ20_1は、+Z側に絶縁膜(例えば、酸化膜)DL2と電極PD3とを有する。チップ20_2は、-Z側に絶縁膜(例えば、酸化膜)DL3と電極PD4とを有する。チップ20_1,20_2の接合面BF2では、チップ20_1の絶縁膜DL2とチップ20_2の絶縁膜DL3とが接合され、チップ20_1の電極PD3とチップ20_2の電極PD4とが接合される。
【0033】
チップ20_2の+Z側の面に、チップ30が接合される。チップ30は、チップ20_1の反対側でチップ20_2に接合される。チップ30は、直接接合で接合されてもよい。チップ20_2は、+Z側に絶縁膜(例えば、酸化膜)膜DL3を有する。チップ30は、-Z側に絶縁膜(例えば、酸化膜)DL4を有する。チップ20_2,30の接合面BF3では、チップ20_2の絶縁膜DL3とチップ30の絶縁膜DL4とが接合される。
【0034】
チップ10は、基板4、トランジスタTr、電極PD1、配線構造WS、絶縁膜DL1を有する。基板4は、チップ10における-Z側に配され、XY方向に板状延びる。基板4は、半導体基板であってもよく、半導体(例えば、シリコン)を主成分とする材料で形成され得る。基板4は、+Z側の表面4aを有する。トランジスタTrは、メモリセルアレイ21を制御するための回路(ロウデコーダ12、センスアンプ13、シーケンサ14、電圧発生回路15及び電源回路16など)の回路素子として機能する。トランジスタTrは、基板4の表面4aに導電膜として配されるゲート電極、基板4内の表面4a近傍に半導体領域として配されるソース電極・ドレイン電極などを含む。電極PD1は、前述のように、チップ10,20_1の接合面BF1にその表面が露出するように配される。配線構造WSは、主としてZ方向に延びて、トランジスタTrのゲート電極、ソース電極・ドレイン電極などを電極PD1へ接続する。配線構造WSは、一例として、-Z側から+Z側へ、プラグC0、導電膜D0、プラグC1、導電膜D1、プラグC2、導電膜D2、プラグC3、導電膜D3を順に含んでもよい。
【0035】
チップ20_1は、積層体SST1、導電層7、複数の柱状体CL、複数のプラグCC、複数の導電膜BL、電極PD2、電極PD3、絶縁膜DL2を有する。
【0036】
積層体SST1は、XZ断面視で略等脚台形状を有し、YZ断面視で略矩形状を有する。略等脚台形状は、上底が下底より長い。
【0037】
積層体SST1では、複数の導電層5が絶縁層6を介してZ方向に積層される。導電層5は、XY方向に板状に延びる。導電層5は、タングステン等の金属を主成分とする材料で形成され得る。絶縁層6は、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。導電層7は、積層体SST1の+Z側に配される。導電層7は、XY方向に板状に延びる。
【0038】
各柱状体CLは、複数の導電層5を通ってZ方向に延びる。各柱状体CLは、積層体SST1をZ方向に貫通してもよい。各柱状体CLは、Z方向に柱状に延びる。各柱状体CLは、チャネル領域として機能する半導体膜CH(
図6参照)を含む。半導体膜CHは、Z方向に沿った軸を有する柱状に(例えば、柱形状又は筒形状で)延びる。複数の導電層5と複数の柱状体CLとが交差する複数の交差位置、すなわち複数の導電層5と複数の半導体膜CHとが交差する複数の交差位置に複数のメモリセルMTが形成される。
【0039】
各柱状体CLは、
図6(a)、
図6(b)に示すように、絶縁膜CR、半導体膜CH、絶縁膜TNL、電荷蓄積膜CT、絶縁膜BLK1、絶縁膜BLK2を含む。
図6(a)は、メモリセルMTの構成を示すXZ断面図であり、
図4のB部分の拡大断面図である。
図6(b)は、メモリセルMTの構成を示すXY断面図であり、
図6(a)をC-C線に沿って切った場合の断面を示す。絶縁膜CRは、Z方向に延び、Z方向に沿った軸を有する柱形状を構成する。絶縁膜CRは、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。半導体膜CHは、絶縁膜CRをXY方向外側から覆うようにZ方向に延び、Z方向に沿った軸を有する筒形状を構成する。半導体膜CHは、ポリシリコン等の半導体で形成され得る。絶縁膜TNLは、半導体膜CHをXY方向外側から覆うようにZ方向に延び、Z方向に沿った軸を有する筒形状を構成する。絶縁膜TNLは、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。電荷蓄積膜CTは、絶縁膜TNLをXY方向外側から覆うようにZ方向に延び、Z方向に沿った軸を有する筒形状を構成する。電荷蓄積膜CTは、シリコン窒化物等の絶縁物で形成され得る。絶縁膜BLK1は、電荷蓄積膜CTをXY方向外側から覆うようにZ方向に延び、Z方向に沿った軸を有する筒形状を構成する。絶縁膜BLK1は、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。絶縁膜BLK2は、絶縁膜BLK1をXY方向外側から覆うようにZ方向に延び、Z方向に沿った軸を有する筒形状を構成する。絶縁膜BLK2は、アルミニウム酸化物等の絶縁物で形成され得る。
図6(a)、
図6(b)に点線で囲って示す部分がメモリセルMTとして機能する。
【0040】
柱状体CLにおける半導体膜CHは、
図4に示すように、+Z側端で導電層7に接続され、-Z側端でプラグを介して導電膜BLに接続される。導電膜BLは、ビット線BL(
図2参照)として機能する。導電層7は、導電性を付与された半導体(例えば、ポリシリコン)で形成され得る。導電層7の+Z側には導電体8が配される。導電体8は、-Z方向に延びる凸部を有し、凸部の-Z側端が導電層7に接触している。導電体8は、Z方向から透視した場合、導電層52に重なる領域からその外側までXY方向に延びる。導電体8は、導電層52に重なる領域の外側において-Z側にプラグCCが接続される。導電層7は、ソース線SL(
図2参照)におけるセルソース部CSLとして機能する。導電体8は、ソース線SLの他の一部として機能する。半導体膜CHは、メモリストリングMS(
図2参照)におけるチャネル領域として機能する。
【0041】
また、各導電層5は、Y方向幅が互いに均等であってもよい。複数の導電層5は、-Z側から+Z側にかけて、X方向幅が段階的に大きくなっている。複数の導電層5は、-Z側から+Z側にかけて、X方向端が徐々に外側に位置するように構成される。これにより、メモリセルアレイ11_1におけるプラグ接続部に、-Z側から+Z側へ順に、選択ゲート線SGD、複数のワード線WL0~WL5、選択ゲート線SGSが階段状に引き出された階段構造が構成される。
【0042】
複数のプラグCCは、それぞれZ方向に延びる。プラグCCは、-Z側端が電極PD2に電気的に接続され、Z方向に延び、+Z側端が導電層5に接続されてもよい。これにより、導電層5がプラグCC、電極PD2、電極PD1、配線構造WS経由でチップ10のトランジスタTrに接続され得る。あるいは、プラグCCは、-Z側端が電極PD2に電気的に接続され、Z方向に延び、+Z側端が電極PD3に電気的に接続されてもよい。これにより、プラグCCは、チップ10及びチップ20_2の間で電源・信号等を伝達することができる。
【0043】
複数の導電膜BLは、積層体SST1の-Z側に配される。複数の導電膜BLは、互いにX方向に配列される。各導電膜BLは、Y方向に延びる。複数の導電膜BLは、複数の柱状体CLに対応する。各導電膜BLは、対応する柱状体CLの-Z側端に電気的に接続され、ビット線BLとして機能する。導電膜BLは、電極PD2に電気的に接続される。これにより、ビット線BLが電極PD2、電極PD1、配線構造WS経由でチップ10のトランジスタTrに接続され得る。
【0044】
電極PD2は、前述のように、チップ10,20_1の接合面BF1にその表面が露出するように配される。電極PD3は、前述のように、チップ20_1,20_2の接合面BF2にその表面が露出するように配される。
【0045】
チップ20_2は、積層体SST2、導電層7、複数の柱状体CL、複数のプラグCC、複数の導電膜BL、電極PD4、絶縁膜DL3を有する。
【0046】
積層体SST2は、XZ断面視で略等脚台形状を有し、YZ断面視で略矩形状を有する。略等脚台形状は、上底が下底より長い。
【0047】
積層体SST2では、複数の導電層5が絶縁層6を介してZ方向に積層される。導電層5は、XY方向に板状に延びる。導電層5は、タングステン等の金属を主成分とする材料で形成され得る。絶縁層6は、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。導電層7は、積層体SST2の+Z側に配される。導電層7は、XY方向に板状に延びる。
【0048】
各柱状体CLは、積層体SST2をZ方向に貫通してもよい。各柱状体CLは、Z方向に柱状に延びる。各柱状体CLは、チャネル領域として機能する半導体膜CH(
図6参照)を含む。半導体膜CHは、Z方向に沿った軸を有する柱状に(例えば、柱形状又は筒形状で)延びる。複数の導電層5と複数の柱状体CLとが交差する複数の交差位置、すなわち複数の導電層5と複数の半導体膜CHとが交差する複数の交差位置に複数のメモリセルMTが形成される。
【0049】
各柱状体CLは、
図6(a)、
図6(b)に示すように、絶縁膜CR、半導体膜CH、絶縁膜TNL、電荷蓄積膜CT、絶縁膜BLK1、絶縁膜BLK2を含む。絶縁膜CRは、Z方向に延び、Z方向に沿った軸を有する柱形状を構成する。絶縁膜CRは、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。半導体膜CHは、絶縁膜CRをXY方向外側から覆うようにZ方向に延び、Z方向に沿った軸を有する筒形状を構成する。半導体膜CHは、ポリシリコン等の半導体で形成され得る。絶縁膜TNLは、半導体膜CHをXY方向外側から覆うようにZ方向に延び、Z方向に沿った軸を有する筒形状を構成する。絶縁膜TNLは、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。電荷蓄積膜CTは、絶縁膜TNLをXY方向外側から覆うようにZ方向に延び、Z方向に沿った軸を有する筒形状を構成する。電荷蓄積膜CTは、シリコン窒化物等の絶縁物で形成され得る。絶縁膜BLK1は、電荷蓄積膜CTをXY方向外側から覆うようにZ方向に延び、Z方向に沿った軸を有する筒形状を構成する。絶縁膜BLK1は、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。絶縁膜BLK2は、絶縁膜BLK1をXY方向外側から覆うようにZ方向に延び、Z方向に沿った軸を有する筒形状を構成する。絶縁膜BLK2は、アルミニウム酸化物等の絶縁物で形成され得る。
図6(a)、
図6(b)に点線で囲って示す部分がメモリセルMTとして機能する。
【0050】
柱状体CLにおける半導体膜CHは、
図4に示すように、+Z側端で導電層7に接続され、-Z側端でプラグを介して導電膜BLに接続される。導電膜BLは、ビット線BL(
図2参照)として機能する。導電層7は、導電性を付与された半導体(例えば、ポリシリコン)で形成され得る。導電層7の+Z側には導電体8が配される。導電体8は、-Z方向に延びる凸部を有し、凸部の-Z側端が導電層7に接触している。導電体8は、Z方向から透視した場合、導電層52に重なる領域からその外側までXY方向に延びる。導電体8は、導電層52に重なる領域の外側において-Z側にプラグCCが接続される。導電層7は、ソース線SL(
図2参照)におけるセルソース部CSLとして機能する。導電体8は、ソース線SLの他の一部として機能する。半導体膜CHは、メモリストリングMS(
図2参照)におけるチャネル領域として機能する。
【0051】
また、各導電層5は、Y方向幅が互いに均等であってもよい。複数の導電層5は、-Z側から+Z側にかけて、X方向幅が段階的に大きくなっている。複数の導電層5は、-Z側から+Z側にかけて、X方向端が徐々に外側に位置するように構成される。これにより、メモリセルアレイ11_1におけるプラグ接続部に、-Z側から+Z側へ順に、選択ゲート線SGD、複数のワード線WL0~WL5、選択ゲート線SGSが階段状に引き出された階段構造が構成される。
【0052】
複数のプラグCCは、それぞれZ方向に延びる。プラグCCは、-Z側端が電極PD4に電気的に接続され、Z方向に延び、+Z側端が導電層5に接続されてもよい。これにより、導電層5がプラグCC、電極PD4、電極PD3、プラグCC、電極PD2、電極PD1、配線構造WS経由でチップ10のトランジスタTrに接続され得る。
【0053】
複数の導電膜BLは、積層体SST2の-Z側に配される。複数の導電膜BLは、互いにX方向に配列される。各導電膜BLは、Y方向に延びる。複数の導電膜BLは、複数の柱状体CLに対応する。各導電膜BLは、対応する柱状体CLの-Z側端に電気的に接続され、ビット線BLとして機能する。導電膜BLは、電極PD4に電気的に接続される。これにより、ビット線BLが電極PD4、電極PD3、プラグCC、電極PD2、電極PD1、配線構造WS経由でチップ10のトランジスタTrに接続され得る。
【0054】
電極PD4は、前述のように、チップ20_1,20_2の接合面BF1にその表面が露出するように配される。
【0055】
チップ30は、電極BP、複数のラインパターンSP-1~SP-4、複数の導電膜LP、複数のプラグCC、絶縁膜DL4を有する。
【0056】
電極BPは、Z方向から透視した場合、積層体SST1,SST2に重ならない位置に配される。電極BPは、+Z側の面が開口OPで露出され、-Z側の面にプラグCCが接続される。電極BPは、+Z側の面に、ワイヤボンディング実装のワイヤが接合される。
【0057】
複数の導電膜LPは、複数のラインパターンSP-1~SP-4の+Z側に配される。複数の導電膜LPは、電極BPと均等なZ位置(深さ)に配される。複数の導電膜LPは、互いにX方向に並ぶ。各導電膜LPは、Y方向に延びる。各導電膜LPは、例えば、電源線31,32(
図1参照)として機能するパターンである。
図3~
図5では、導電膜LPの本数が6本の構成が例示されるが、導電膜LPの本数は、2~5本でもよいし、7本以上でもよい。
【0058】
複数のラインパターンSP-1~SP-4は、Z方向から透視した場合、積層体SST1,SST2に重なる位置に配される。複数のラインパターンSP-1~SP-4は、Z方向から透視した場合、電極BPに重ならない位置に配される。複数のラインパターンSP-1~SP-4は、互いにY方向に並ぶ。各ラインパターンSPは、X方向に延びる。各ラインパターンSPは、他のチップ20_1,20_2を平坦に支持するためのパターンである。各ラインパターンSPは、X方向の剛性がY方向の剛性より大きい。これにより、他のチップ20_1,20_2がX方向に反っているがY方向にほとんど沿っていない場合、各ラインパターンSPは、他のチップ20_1,20_2のX方向の反りを選択的に矯正することができる。
図3~
図5では、ラインパターンSPの本数が4本の構成が例示されるが、ラインパターンSPの本数は、2~3本でもよいし、5本以上でもよい。
【0059】
各ラインパターンSPのY方向幅は、導電膜LPのX方向幅より大きい。各ラインパターンSPのX方向長さは、導電膜LPのY方向長さより長い。各ラインパターンSPのZ方向厚さは、導電膜LPのZ方向厚さより厚い。
【0060】
各ラインパターンSPのY方向幅は、チップ20_1の導電膜BLのX方向幅より大きく、チップ20_2の導電膜BLのX方向幅より大きい。各ラインパターンSPのX方向長さは、チップ20_1の導電膜BLのY方向長さより長く、チップ20_2の導電膜BLのY方向長さより長い。各ラインパターンSPのZ方向厚さは、チップ20_1の導電膜BLのZ方向厚さより厚く、チップ20_2の導電膜BLのZ方向厚さより厚い。
【0061】
各ラインパターンSPのY方向幅は、チップ20_1の導電層5のY方向幅より大きく、チップ20_2の導電層5のY方向幅より大きい。各ラインパターンSPのX方向長さは、チップ20_1の導電層5のX方向長さより長く、チップ20_2の導電層5のX方向長さより長い。各ラインパターンSPのZ方向厚さは、チップ20_1の導電層5のZ方向厚さより厚く、チップ20_2の導電層5のZ方向厚さより厚い。
【0062】
各ラインパターンSPのY方向幅は、チップ20_1の導電層7のY方向幅より大きく、チップ20_2の導電層7のY方向幅より大きい。各ラインパターンSPのX方向長さは、チップ20_1の導電層7のX方向長さより長く、チップ20_2の導電層7のX方向長さより長い。各ラインパターンSPのZ方向厚さは、チップ20_1の導電層7のZ方向厚さより厚く、チップ20_2の導電層7のZ方向厚さより厚い。
【0063】
複数のプラグCCは、それぞれZ方向に延びる。プラグCCは、-Z側端が導電膜LPに電気的に接続され、Z方向に延び、+Z側端がチップ20_2のプラグCCに接続されてもよい。これにより、導電膜LPがプラグCC、プラグCC、電極PD4、電極PD3、プラグCC、電極PD2、電極PD1、配線構造WS経由でチップ10のトランジスタTrに接続され得る。これにより、プラグCCは、チップ30及びチップ20_2の間で電源等を伝達することができる。プラグCCは、-Z側端が電極BPに電気的に接続され、Z方向に延び、+Z側端がチップ20_2のプラグCCに接続されてもよい。これにより、電極BPがプラグCC、プラグCC、電極PD4、電極PD3、プラグCC、電極PD2、電極PD1、配線構造WS経由でチップ10のトランジスタTrに接続され得る。これにより、プラグCCは、チップ30及びチップ20_2の間で信号等を伝達することができる。
【0064】
図7は、半導体記憶装置1の構成を示す分解斜視図であり、半導体記憶装置1の構成をチップ単位で分解して示している。
図8は、チップ(アレイチップ)20で-Z側に凸の反りが生じ得る場合のチップ(支持チップ)30の機能を示す図である。
図9は、チップ(アレイチップ)20で+Z側に凸の反りが生じ得る場合のチップ(支持チップ)30の機能を示す図である。
【0065】
半導体記憶装置1では、
図7に示すように、-Z側から+Z側へ順に、チップ10,20_1,20_2,30が積層される。
【0066】
チップ20_1には、複数の積層体SST1が配される。各積層体SST1は、X方向を長手方向とし、互いに熱膨張率の異なる層が交互に複数回積層される構造である。積層体SST1は、その製造過程で熱処理等により複数層の間で熱膨張率の差による応力を持ちやすい。積層体SST1は、+Z側のX方向幅が-Z側のX方向幅より大きい。
【0067】
例えば、チップ20_1において、
図8(b)に点線の矢印で示すように、+Z側の面近傍でX方向にテンサイル応力が作用すれば、Y方向の反りがほとんど発生せず、X方向の反りが発生する可能性がある。チップ20_1は、YZ断面視で比較的平坦であるが、XZ断面視で-Z側に凸に反る可能性がある。
【0068】
チップ20_2には、
図7に示すように、複数の積層体SST2が配される。各積層体SST2は、X方向を長手方向とし、互いに熱膨張率の異なる層が交互に複数回積層される構造である。積層体SST2は、その製造過程で熱処理等により複数層の間で熱膨張率の差による応力を持ちやすい。積層体SST2は、+Z側のX方向幅が-Z側のX方向幅より大きい。
【0069】
例えば、チップ20_2において、
図8(b)に点線の矢印で示すように、+Z側の面近傍でX方向にテンサイル応力が作用すれば、Y方向の反りがほとんど発生せず、X方向の反りが発生する可能性がある。チップ20_2は、YZ断面視で比較的平坦であるが、XZ断面視で-Z側に凸に反る可能性がある。
【0070】
これに対して、チップ30には、
図7に示すように、複数のラインパターンSPが配される。各ラインパターンSPは、X方向に延び、X方向の剛性がY方向の剛性より大きい。各ラインパターンSPは、
図8(a)に点線の矢印で示すように、コンプレッシブ応力を有してもよい。各ラインパターンSPは、第1の成膜条件で成膜されたシリコン酸化物、ポリシリコン、第2の成膜条件で成膜されたシリコン窒化物などで形成されることで、コンプレッシブ応力を有することができる。第1の成膜条件は、絶縁膜DL4の成膜条件に比べて、膜密度がより高くなる条件である。
【0071】
各ラインパターンSPの材料として第1の成膜条件で成膜されたシリコン酸化物が選択された場合、各ラインパターンSPの膜密度は、その周囲の絶縁膜DL4の膜密度より高い。各ラインパターンSPの材料としてポリシリコン、第2の成膜条件で成膜されたシリコン窒化物などが選択された場合、各ラインパターンSPの組成は、その周囲の絶縁膜DL4の組成と異なる。
【0072】
各ラインパターンSPがコンプレッシブ応力を有すれば、チップ30は、チップ20_1,20_2に接合されることで反りを平坦に戻す方向の応力を及ぼすことができる。すなわち、チップ30は、チップ20_1,20_2の反りを矯正できる。
【0073】
あるいは、チップ20_1において、
図9(b)に点線の矢印で示すように、+Z側の面近傍でX方向にコンプレッシブ応力が作用すれば、Y方向の反りがほとんど発生せず、X方向の反りが発生する可能性がある。チップ20_1は、YZ断面視で比較的平坦であるが、XZ断面視で+Z側に凸に反る可能性がある。
【0074】
例えば、チップ20_2において、
図9(b)に点線の矢印で示すように、+Z側の面近傍でX方向にコンプレッシブ応力が作用すれば、Y方向の反りがほとんど発生せず、X方向の反りが発生する可能性がある。チップ20_2は、YZ断面視で比較的平坦であるが、XZ断面視で+Z側に凸に反る可能性がある。
【0075】
これに対して、チップ30において、各ラインパターンSPは、
図9(a)に点線の矢印で示すように、テンサイル応力を有してもよい。各ラインパターンSPは、タングステン、チタン、酸化アルミニウム、アモルファスシリコンが熱処理されたポリシリコン、第3の成膜条件で成膜されたシリコン窒化物などで形成されることで、テンサイル応力を有することができる。第3の成膜条件は、第2の成膜条件に比べて、シリコン窒化物の膜密度が低くなる成膜条件である。
【0076】
各ラインパターンSPの材料としてタングステン、チタン、酸化アルミニウム、アモルファスシリコンが熱処理されたポリシリコン、第3の成膜条件で成膜されたシリコン窒化物が選択された場合、各ラインパターンSPの組成は、その周囲の絶縁膜DL4の組成と異なる。
【0077】
各ラインパターンSPがテンサイル応力を有すれば、チップ30は、チップ20_1,20_2に接合されることで反りを平坦に戻す方向の応力を及ぼすことができる。すなわち、チップ30は、チップ20_1,20_2の反りを矯正できる。
【0078】
以上のように、実施形態では、半導体記憶装置1において、チップ30が複数のラインパターンSP-1~SP-4を有する。各ラインパターンSP-1~SP-4は、チップ20_1,20_2の反りの方向に沿って延びる。これにより、チップ30がチップ20_1,20_2に接合されることでチップ20_1,20_2の反りを矯正して平坦にすることができる。この結果、チップ10,20_1,20_2の接合時における接合位置を容易に適正化でき、電極PD1~PD4の接合ずれ・接合不良を低減できる。すなわち、複数のチップ10,20_1,20_2を適切に接合することができる。
【0079】
なお、チップ(支持チップ)30による反りの矯正は、実施形態で例示されるような不揮発性メモリのアレイチップへの適用に限定されず、
図8(b)、
図9(b)に示すような反りを生じえる任意のチップ(揮発性メモリのアレイチップ、ロジックチップ、撮像センサチップなど)に適用可能である。すなわち、
図8(b)、
図9(b)に示すような反りを生じえるチップに、+Z側からチップ(支持チップ)30を接合することで、実施形態と同様に反りの矯正された半導体装置を得ることができる。
【0080】
また、実施形態の第1の変形例として、
図10~
図12に示すように、半導体記憶装置1iの複数のアレイチップの間で積層体の向きが異なっていてもよい。
図10は、実施形態の第1の変形例にかかる半導体記憶装置1iの構成を概略的に示すXZ断面図である。
図11は、実施形態の第1の変形例にかかる半導体記憶装置1iの構成を示すXZ断面図であり、
図10のD部分を詳細に示す断面図である。
図12は、実施形態の第1の変形例にかかる半導体記憶装置1iの構成を概略的に示すYZ断面図である。
【0081】
半導体記憶装置1iでは、チップ(アレイチップ)20_1における積層体SST1とチップ(アレイチップ)20_2iにおける積層体SST2iとで向きが異なる。積層体SST1の向きと積層体SST2iの向きとは、Z方向に互いに逆向きである。
【0082】
チップ20_2iは、積層体SST2(
図3~
図5参照)に代えて積層体SST2iを有する。積層体SST2iは、XZ断面視で略等脚台形状を有し、YZ断面視で略矩形状を有する。略等脚台形状は、下底が上底より長い。導電層7は、積層体SST2iの-Z側に配される。複数の導電膜BLは、積層体SST2iの+Z側に配される。柱状体CLにおける半導体膜CH(
図6参照)は、
図11に示すように、-Z側端で導電層7に接続され、+Z側端でプラグを介して導電膜BLに接続される。
【0083】
また、各導電層5は、Y方向幅が互いに均等であってもよい。複数の導電層5は、+Z側から-Z側にかけて、X方向幅が段階的に大きくなっている。複数の導電層5は、+Z側から-Z側にかけて、X方向端が徐々に外側に位置するように構成される。これにより、メモリセルアレイ11_2におけるプラグ接続部に、+Z側から-Z側へ順に、選択ゲート線SGD、複数のワード線WL0~WL5、選択ゲート線SGSが階段状に引き出された階段構造が構成される。
【0084】
半導体記憶装置1iでは、
図13に示すように、チップ20_1における積層体SST1の向きとチップ20_2iにおける積層体SST2iの向きとがZ方向に互いに逆向きである。積層体SST1は、+Z側のX方向幅が-Z側のX方向幅より大きい。積層体SST2iは、+Z側のX方向幅が-Z側のX方向幅より小さい。これに応じて、チップ20_1で発生し得る反りの向きとチップ20_2iで発生し得る反りの向きとが逆向きになり得る。
【0085】
この場合、チップ20_1とチップ20_2iとが接合された状態で、チップ20_2iにおける+Z側の面近傍で
図8(b)に点線の矢印で示すようにX方向にテンサイル応力が作用すれば、チップ(支持チップ)30を
図8(a)に示すように構成してもよい。すなわち、チップ30において、各ラインパターンSPは、X方向に延び、X方向の剛性がY方向の剛性より大きい。各ラインパターンSPは、膜密度が絶縁膜DL4より高くなる条件で成膜されたシリコン酸化物、ポリシリコン、第2の成膜条件で成膜されたシリコン窒化物などで形成される。これにより、各ラインパターンSPは、
図8(a)に点線の矢印で示すように、X方向にコンプレッシブ応力を有するように構成され得る。
【0086】
あるいは、チップ20_1とチップ20_2iとが接合された状態で、チップ20_2における+Z側の面近傍で
図9(b)に点線の矢印で示すようにX方向にコンプレッシブ応力が作用すれば、チップ(支持チップ)30を
図9(a)に示すように構成してもよい。すなわち、チップ30において、各ラインパターンSPは、X方向に延び、X方向の剛性がY方向の剛性より大きい。各ラインパターンSPは、タングステン、チタン、酸化アルミニウム、アモルファスシリコンが熱処理されたポリシリコン、第3の成膜条件で成膜されたシリコン窒化物などで形成されることで、テンサイル応力を有することができる。第3の成膜条件は、第2の成膜条件に比べて、シリコン窒化物の膜密度が低くなる成膜条件である。これにより、各ラインパターンSPは、
図9(a)に点線の矢印で示すように、X方向にテンサイル応力を有するように構成され得る。
【0087】
このように、半導体記憶装置1iにおいて、チップ30における各ラインパターンSP-1~SP-4は、チップ20_1,20_2iで合成された反りの方向に沿って延びる。各ラインパターンSP-1~SP-4は、チップ20_1,20_2iで合成された反りに応じた応力を有してもよい。これにより、チップ30がチップ20_1,20_2に接合されることでチップ20_1,20_2の反りを矯正して平坦にすることができる。
【0088】
【0089】
半導体記憶装置1の製造方法では、
図14(a)~
図14(e)に示す工程と
図16(a)~
図16(c)に示す工程とが並行して行われ、その後、
図17(a)~
図17(c)、
図18(a)~
図18(b)に示す工程が行われる。各工程は、実際には、
図15(a)に示すように、複数のチップ領域CPが搭載された基板WFを用いて行わるが、簡略化のため、各XZ断面図では、1つのチップ領域CPが搭載された基板WFの断面を例示する。
【0090】
図14(a)に示す工程では、基板104が用意される。基板104は、半導体(例えば、シリコン)を主成分とする材料で形成され得る。基板104は、-Z側に主面104aを有する。
【0091】
基板104の主面104aに絶縁膜を堆積した後、導電膜を堆積し、導電膜をパターニングして導電層8を形成する。導電層8は、アルミニウム等の金属を主成分とする材料で形成され得る。その後、導電膜を堆積し、導電膜をパターニングして導電層7を形成する。導電層7は、ポリシリコン等の半導体で形成され得る。その後、導電層7の-Z側に、絶縁層6(
図4参照)と犠牲層(図示せず)とを交互に複数回堆積して積層体SST2aを形成する。絶縁層6は、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。犠牲層は、シリコン窒化物等の絶縁層6との間でエッチング選択比を確保可能な絶縁物で形成され得る。各絶縁層6及び各犠牲層は、概ね同様な膜厚で堆積され得る。
【0092】
分断膜の形成位置がX方向に延びるライン状に開口されたレジストパターンを最も-Z側の絶縁層6の上に形成する。レジストパターンを形成する際に、基板104の露光処理が行われるが、露光処理の前及び/又は後において基板104が熱処理される。レジストパターンをマスクとしてRIE(Reactive Ion Etching)法などの異方性エッチングを行い、積層体SST2aをXZ方向に貫通する溝を形成する。そして、溝に分断膜SLTが埋め込まれる。分断膜SLTは、絶縁物(例えば、シリコン酸化物)を主成分とする材料で形成され得る。分断膜SLTは、積層体SST2a内をXZ方向に延びてY方向に分断する。分断膜SLTは、-Y側の積層体SST2と+Y側の積層体SST2とに分断される。各積層体SST2では、絶縁層6及び各犠牲層が交互に複数回積層されている。
【0093】
メモリホールMHの形成位置が開口されたレジストパターンを各積層体SST2の最も-Z側の絶縁層6の-Z側及び分断膜SLTの-Z側に形成する。レジストパターンを形成する際に、基板104の露光処理が行われるが、露光処理の前及び/又は後において基板104が熱処理される。レジストパターンをマスクとしてRIE法などの異方性エッチングを行い、分断膜SLT、積層体SST2を貫通し導電層7に到達するメモリホールMHを形成する。
【0094】
メモリホールMHの側面及び底面に、絶縁膜BLK2、絶縁膜BLK1、絶縁膜TNL(
図6参照)が順に堆積される。絶縁膜BLK2は、アルミニウム酸化物等の絶縁物で形成され得る。絶縁膜BLK1は、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。絶縁膜TNLにおけるメモリホールMHの底面の部分が選択的に除去される。
【0095】
メモリホールMHの側面及び底面に半導体膜CH(
図6参照)が堆積される。半導体膜CHは、実質的に不純物を含まない半導体(例えば、ポリシリコン)を主成分とする材料で形成され得る。そして、メモリホールMHにコア部材CR(
図6参照)が埋め込まれる。コア部材CRは、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。これにより、積層体SST2をZ方向に貫通する柱状体CLが形成される。
【0096】
積層体SST2の犠牲層が除去される。除去によって形成された空隙に導電層5(
図4参照)が埋め込まれる。導電層5は、導電物(例えば、タングステンなどの金属)を主成分とする材料で形成され得る。これにより、導電層5と絶縁層6とが交互に繰り返し積層された積層体SST2が形成される。
【0097】
また、絶縁膜DL31が堆積され、絶縁膜DL31における積層体SST2からXY方向にシフトした位置にホールが形成される。ホールに導電物(例えば、銅等を主成分とする材料)が埋め込まれてプラグCCが形成される。さらに、プラグCCの-Z側に導電膜が堆積され、導電膜がパターニングされる。これにより、導電膜CFが形成される。
【0098】
図14(b)に示す工程では、基板204が用意される。基板204は、半導体基板であってもよく、半導体(例えば、シリコン)を主成分とする材料で形成され得る。基板204は、+Z側に主面204aを有する。
【0099】
基板204の主面204aに絶縁膜DL32を堆積する。その後、絶縁膜DL31の-Z側の面と絶縁膜DL32の+Z側の面とをそれぞれプラズマ照射等により活性化してもよい。基板104と基板204とを、主面104aと主面204aとが対向するように配置させる。
【0100】
図14(c)に示す工程では、基板104と基板204とをZ方向に互いに近付け、絶縁膜DL31の-Z側の面と絶縁膜DL32の+Z側の面とを接合させる。このとき、基板104、基板204が加熱・加圧されてもよい。これにより、絶縁膜DL31及び絶縁膜DL32を含む絶縁膜DL3が形成される。すなわち、チップ20_2に対応するチップ領域CP_20_2を含む基板(アレイ基板)WF_20_2の構造が形成される。
【0101】
その後、基板104が除去される。基板104の除去は、基板104が+Z側から研磨されることで行われてもよい。
【0102】
図14(d)に示す工程では、基板304が用意される。基板304は、半導体基板であってもよく、半導体(例えば、シリコン)を主成分とする材料で形成され得る。基板304は、-Z側に主面304aを有する。
【0103】
基板304の主面304aにラインパターンSPとなるべき材料の膜が堆積され、その膜がパターニングされることで複数のラインパターンSP-1~SP-4が形成される。ラインパターンSPとなるべき材料及びラインパターンSPが延びる方向は、チップ領域CP_20_2で生じ得る反りに応じて決められ得る。その後、絶縁膜DL4が堆積される。
【0104】
例えば、チップ領域CP_20_2において、
図8(b)に点線の矢印で示すように、+Z側の面近傍でX方向にテンサイル応力が作用すれば、Y方向の反りがほとんど発生せず、X方向の反りが発生する可能性がある。チップ20_2は、YZ断面視で比較的平坦であるが、XZ断面視で-Z側に凸に反る可能性がある。
【0105】
この場合、ラインパターンSPとなるべき材料は、
図8(a)に点線の矢印で示すようなコンプレッシブ応力を有する材料が選択され得る。各ラインパターンSPは、第1の成膜条件で成膜されたシリコン酸化物、ポリシリコン、第2の成膜条件で成膜されたシリコン窒化物などで形成されることで、コンプレッシブ応力を有することができる。第1の成膜条件は、絶縁膜DL4の成膜条件に比べて、膜密度がより高くなる条件である。また、各ラインパターンSPは、
図15(b)に示すように、X方向に延びるようにパターニングされる。複数のラインパターンSP-1~SP-4は、互いにY方向に並んでもよい。
【0106】
あるいは、チップ20_1において、
図9(b)に点線の矢印で示すように、+Z側の面近傍でX方向にコンプレッシブ応力が作用すれば、Y方向の反りがほとんど発生せず、X方向の反りが発生する可能性がある。チップ20_1は、YZ断面視で比較的平坦であるが、XZ断面視で+Z側に凸に反る可能性がある。
【0107】
この場合、ラインパターンSPとなるべき材料は、
図9(a)に点線の矢印で示すようなテンサイル応力を有する材料が選択され得る。各ラインパターンSPは、タングステン、チタン、酸化アルミニウム、アモルファスシリコンが熱処理されたポリシリコン、第3の成膜条件で成膜されたシリコン窒化物などで形成されることで、テンサイル応力を有することができる。第3の成膜条件は、第2の成膜条件に比べて、シリコン窒化物の膜密度が低くなる成膜条件である。また、各ラインパターンSPは、
図15(b)に示すように、X方向に延びるようにパターニングされる。複数のラインパターンSP-1~SP-4は、互いにY方向に並んでもよい。
【0108】
これにより、チップ30に対応するチップ領域CP_30を含む基板(支持基板)WF_30の構造が形成される。
【0109】
その後、絶縁膜DL3の+Z側の面と絶縁膜DL4の-Z側の面とをそれぞれプラズマ照射等により活性化してもよい。基板204と基板304とを、主面204aと主面304aとが対向するように配置させる。
【0110】
図14(e)に示す工程では、基板204と基板304とをZ方向に互いに近付け、絶縁膜DL3の+Z側の面と絶縁膜DL4の-Z側の面とを接合させる。このとき、基板204、基板304が加熱・加圧されてもよい。これにより、チップ領域CP_20_2を含む基板WF_20_2とチップ領域CP_30を含む基板WF_30とが接合面BF3で接合された接合体BB1が得られる。
【0111】
その後、基板204が除去される。基板204の除去は、基板204が-Z側から研磨されることで行われてもよい。
【0112】
一方、
図16(a)に示す工程では、基板404が用意される。基板404は、半導体基板であってもよく、半導体(例えば、シリコン)を主成分とする材料で形成され得る。基板404は、-Z側に主面404aを有する。
【0113】
基板404の主面404aに絶縁膜を堆積した後、導電膜を堆積し、導電膜をパターニングして導電層8を形成する。導電層8は、アルミニウム等の金属を主成分とする材料で形成され得る。その後、導電膜を堆積し、導電膜をパターニングして導電層7を形成する。導電層7は、ポリシリコン等の半導体で形成され得る。その後、導電層7の-Z側に、絶縁層6と犠牲層(図示せず)とを交互に複数回堆積して積層体SST1aを形成する。絶縁層6は、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。犠牲層は、シリコン窒化物等の絶縁層6との間でエッチング選択比を確保可能な絶縁物で形成され得る。各絶縁層6及び各犠牲層は、概ね同様な膜厚で堆積され得る。
【0114】
分断膜の形成位置がX方向に延びるライン状に開口されたレジストパターンを最も-Z側の絶縁層6の上に形成する。レジストパターンを形成する際に、基板404の露光処理が行われるが、露光処理の前及び/又は後において基板404が熱処理される。レジストパターンをマスクとしてRIE法などの異方性エッチングを行い、SST1aをXZ方向に貫通する溝を形成する。そして、溝に分断膜SLTが埋め込まれる。分断膜SLTは、絶縁物(例えば、シリコン酸化物)を主成分とする材料で形成され得る。分断膜SLTは、積層体SST1a内をXZ方向に延びてY方向に分断する。分断膜SLTは、-Y側の積層体SST1と+Y側の積層体SST1とに分断される。各積層体SST1では、絶縁層6及び各犠牲層が交互に複数回積層されている。
【0115】
メモリホールMHの形成位置が開口されたレジストパターンを各積層体SST1の最も-Z側の絶縁層6の-Z側及び分断膜SLTの-Z側に形成する。レジストパターンを形成する際に、基板404の露光処理が行われるが、露光処理の前及び/又は後において基板404が熱処理される。レジストパターンをマスクとしてRIE法などの異方性エッチングを行い、分断膜SLT、積層体SST1を貫通し導電層7に到達するメモリホールMHを形成する。
【0116】
メモリホールMHの側面及び底面に、絶縁膜BLK2、絶縁膜BLK1、絶縁膜TNLが順に堆積される。絶縁膜BLK2は、アルミニウム酸化物等の絶縁物で形成され得る。絶縁膜BLK1は、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。絶縁膜TNLにおけるメモリホールMHの底面の部分が選択的に除去される。
【0117】
メモリホールMHの側面及び底面に半導体膜CHが堆積される。半導体膜CHは、実質的に不純物を含まない半導体(例えば、ポリシリコン)を主成分とする材料で形成され得る。そして、メモリホールMHにコア部材CRが埋め込まれる。コア部材CRは、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。これにより、積層体SST1をZ方向に貫通する柱状体CLが形成される。
【0118】
積層体SST1の犠牲層が除去される。除去によって形成された空隙に導電層5が埋め込まれる。導電層5は、導電物(例えば、タングステンなどの金属)を主成分とする材料で形成され得る。これにより、導電層5と絶縁層6とが交互に繰り返し積層された積層体SST1が形成される。
【0119】
また、積層体SST1からXY方向にシフトした位置に導電膜が堆積され、導電膜がパターニングされる。これにより、導電膜CFが形成される。その+Z側に絶縁膜DL2が堆積され、絶縁膜DL2におけるホールが形成される。ホールに導電物(例えば、銅等を主成分とする材料)が埋め込まれてプラグCCが形成される。さらに、絶縁膜DL2が堆積され、絶縁膜DL2におけるホールが形成される。ホールに導電物(例えば、銅等を主成分とする材料)が埋め込まれて電極PD2が形成される。これにより、チップ20_1に対応するチップ領域CP_20_1を含む基板(アレイ基板)WF_20_1の構造が形成される。
【0120】
図16(b)に示す工程では、基板4が用意される。基板4は、半導体(例えば、シリコン)を主成分とする材料で形成され得る。基板4は、-Z側に主面4aを有する。
【0121】
基板4の主面4aにトランジスタTrのゲート電極となるべき導電体(例えば、導電性を付与されたポリシリコンなど)の導電膜が堆積され、導電膜がパターニングされることでトランジスタTrのゲート電極が形成される。その後、絶縁膜DL1が堆積され、絶縁膜DL1にホールが形成され、ホールに導電物(例えば、タングステン等を主成分とする材料)が埋め込まれてプラグCCが形成される。さらに、絶縁膜DL1が堆積され、絶縁膜DL1におけるホールが形成される。ホールに導電物(例えば、銅等を主成分とする材料)が埋め込まれて電極PD1が形成される。これにより、チップ10に対応するチップ領域CP_10を含む基板(回路基板)WF_10の構造が形成される。
【0122】
その後、絶縁膜DL2の-Z側の面と絶縁膜DL1の+Z側の面とをそれぞれプラズマ照射等により活性化してもよい。基板404と基板4とを、主面404aと主面4aとが対向するように配置させる。このとき、電極PD2のXY位置と電極PD1のXY位置とが合うように、基板404と基板4とを対向配置させる。
【0123】
図16(c)に示す工程では、基板404と基板4とをZ方向に互いに近付け、絶縁膜DL2の-Z側の面と絶縁膜DL1の+Z側の面とを接合させる。このとき、基板404、基板4を加熱・加圧してもよい。これにより、チップ領域CP_20_1を含む基板WF_20_1とチップ領域CP_10を含む基板WF_10とが接合面BF1で接合された接合体BB2が得られる。このとき、電極PD2と電極PD1とが接合される。
【0124】
その後、基板404が除去される。基板404の除去は、基板404が+Z側から研磨されることで行われてもよい。
【0125】
図17(a)に示す工程では、
図14(e)で得られた接合体BB1の-Z側に絶縁膜DL3をさらに堆積し、チップ領域CP_20_2ごとに絶縁膜DL3におけるホールが形成される。ホールに導電物(例えば、銅等を主成分とする材料)が埋め込まれて電極PD4が形成される。その後、接合体BB1の-Z側の面をプラズマ照射等により活性化してもよい。
【0126】
図17(b)に示す工程では、
図16(c)で得られた接合体BB2の+Z側に絶縁膜DL2をさらに堆積し、チップ領域CP_20_1ごとに絶縁膜DL2におけるホールが形成される。ホールに導電物(例えば、銅等を主成分とする材料)が埋め込まれて電極PD3が形成される。その後、接合体BB2の+Z側の面をプラズマ照射等により活性化してもよい。
【0127】
図17(c)に示す工程では、
図17(a)の接合体BB1と
図17(b)の接合体BB2とを、主面304aと主面4aとが対向するように配置させる。このとき、電極PD4のXY位置と電極PD3のXY位置とが合うように、接合体BB1と接合体BB2とを対向配置させる。
【0128】
図18(a)に示す工程では、接合体BB1と接合体BB2とをZ方向に互いに近付け、絶縁膜DL3の-Z側の面と絶縁膜DL2の+Z側の面とを接合させる。このとき、接合体BB1、接合体BB2を加熱・加圧してもよい。これにより、接合体BB1と接合体BB2とが接合面BF2で接合された接合体BB3が得られる。このとき、電極PD4と電極PD3とが接合される。
【0129】
図18(b)に示す工程では、接合体BB3から基板304を除去する。基板304の除去は、接合体BB3が+Z側から研磨されることで行われてもよい。接合体BB3iにおける絶縁膜DL4の+Z側の面が露出される。絶縁膜DL4にホールが形成され、ホールに導電物(例えば、タングステン等を主成分とする材料)が埋め込まれてプラグCCが形成される。絶縁膜DL4に導電物(例えば、アルミニウム等を主成分とする材料)の導電膜が堆積され、パターニングされる。これにより、導電膜LP及び電極BPが形成される。その後、絶縁膜DL4がさらに堆積され、電極BPに対応する領域に開口OPが形成される。開口OPは、電極BPの+Z側の面を露出するように形成される。これにより、複数のチップ領域CPを含む接合体BB3が得られる。
【0130】
各チップ領域CPでは、チップ領域CP_10,CP_20_1,CP_20_2,CP_30がZ方向に積層される。接合体BB3をチップ領域CPの境界でダイシングすることで、複数のチップ領域CPを個片化する。これにより、チップ領域CPを含む半導体記憶装置1が得られる。
【0131】
【0132】
半導体記憶装置1iの製造方法では、
図19(a)~
図19(c)に示す工程と
図16(a)~
図16(c)に示す工程とが並行して行われ、その後、
図20(a)~
図20(c)、
図21(a)~
図21(b)に示す工程が行われる。各工程は、実際には、
図15(a)に示すように、複数のチップ領域CPが搭載された基板WFを用いて行わるが、簡略化のため、各XZ断面図では、1つのチップ領域CPが搭載された基板WFの断面を例示する。
【0133】
図19(a)に示す工程では、基板504が用意される。基板504は、半導体(例えば、シリコン)を主成分とする材料で形成され得る。基板504は、-Z側に主面504aを有する。その後、
図14(a)に示す工程と同様にして、導電層8、導電層7、積層体SST2iがZ方向に積層された構造が形成される。積層体SST2iからXY方向にシフトした位置にプラグCC、導電膜CFが形成される。これにより、チップ20_2iに対応するチップ領域CP_20_2iを含む基板(アレイ基板)WF_20_2iの構造が形成される。
【0134】
図19(b)に示す工程では、
図14(d)に示す工程と同様にして、チップ30に対応するチップ領域CP_30を含む基板(支持基板)WF_30の構造が形成される。
【0135】
その後、絶縁膜DL3の+Z側の面と絶縁膜DL4の-Z側の面とをそれぞれプラズマ照射等により活性化してもよい。基板504と基板304とを、主面504aと主面304aとが対向するように配置させる。
【0136】
図19(c)に示す工程では、基板504と基板304とをZ方向に互いに近付け、絶縁膜DL3の+Z側の面と絶縁膜DL4の-Z側の面とを接合させる。このとき、基板504、基板304が加熱・加圧されてもよい。これにより、チップ領域CP_20_2iを含む基板WF_20_2iとチップ領域CP_30を含む基板WF_30とが接合面BF3で接合された接合体BB1iが得られる。
【0137】
その後、基板504が除去される。基板504の除去は、基板504が-Z側から研磨されることで行われてもよい。
【0138】
一方、
図16(a)~
図16(c)に示す工程が実施形態の第2の変形例と同様に行われ、接合体BB2が得られ、基板404が接合体BB2から除去される。
【0139】
図20(a)に示す工程では、
図19(c)で得られた接合体BB1iの-Z側に絶縁膜DL3をさらに堆積し、チップ領域CP_20_2iごとに絶縁膜DL3におけるホールが形成される。ホールに導電物(例えば、銅等を主成分とする材料)が埋め込まれて電極PD4が形成される。その後、接合体BB1iの-Z側の面をプラズマ照射等により活性化してもよい。
【0140】
図20(b)に示す工程では、
図16(c)で得られた接合体BB2の+Z側に絶縁膜DL2をさらに堆積し、チップ領域CP_20_1ごとに絶縁膜DL2におけるホールが形成される。ホールに導電物(例えば、銅等を主成分とする材料)が埋め込まれて電極PD3が形成される。その後、接合体BB2の+Z側の面をプラズマ照射等により活性化してもよい。
【0141】
図20(c)に示す工程では、
図20(a)の接合体BB1iと
図20(b)の接合体BB2とを、主面304aと主面4aとが対向するように配置させる。このとき、電極PD4のXY位置と電極PD3のXY位置とが合うように、接合体BB1iと接合体BB2とを対向配置させる。
【0142】
図21(a)に示す工程では、接合体BB1iと接合体BB2とをZ方向に互いに近付け、絶縁膜DL3の-Z側の面と絶縁膜DL2の+Z側の面とを接合させる。このとき、接合体BB1i、接合体BB2を加熱・加圧してもよい。これにより、接合体BB1iと接合体BB2とが接合面BF2で接合された接合体BB3iが得られる。このとき、電極PD4と電極PD3とが接合される。
【0143】
図21(b)に示す工程では、接合体BB3iから基板304を除去する。基板304の除去は、接合体BB3iが+Z側から研磨されることで行われてもよい。接合体BB3iにおける絶縁膜DL4の+Z側の面が露出される。絶縁膜DL4にホールが形成され、ホールに導電物(例えば、タングステン等を主成分とする材料)が埋め込まれてプラグCCが形成される。絶縁膜DL4に導電物(例えば、アルミニウム等を主成分とする材料)の導電膜が堆積され、パターニングされる。これにより、導電膜LP及び電極BPが形成される。その後、絶縁膜DL4がさらに堆積され、電極BPに対応する領域に開口OPが形成される。開口OPは、電極BPの+Z側の面を露出するように形成される。これにより、複数のチップ領域CPを含む接合体BB3iが得られる。
【0144】
各チップ領域CPでは、チップ領域CP_10,CP_20_1,CP_20_2i,CP_30がZ方向に積層される。接合体BB3iをチップ領域CPの境界でダイシングすることで、複数のチップ領域CPを個片化する。これにより、チップ領域CPを含む半導体記憶装置1iが得られる。
【0145】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0146】
1 半導体記憶装置、10,20,20_1,20_2,20_2i チップ、BL ビット線(導電膜)、BLK1,BLK2 絶縁膜、BP 電極、CH 半導体膜、CT 電荷蓄積膜、LP 導電膜、OP 開口、SP,SP-1~SP-4 ラインパターン、SST1,SST2,SST2i 積層体、TNL 絶縁膜。