(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177823
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】ウルトラファインバブル製造装置及び製造方法
(51)【国際特許分類】
B01F 23/23 20220101AFI20231207BHJP
B01F 23/2375 20220101ALI20231207BHJP
B01F 25/45 20220101ALI20231207BHJP
B01F 31/85 20220101ALI20231207BHJP
B01F 35/221 20220101ALI20231207BHJP
B01F 35/93 20220101ALI20231207BHJP
B01F 35/75 20220101ALI20231207BHJP
【FI】
B01F23/23
B01F23/2375
B01F25/45
B01F31/85
B01F35/221
B01F35/93
B01F35/75
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090715
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三原 弘明
(72)【発明者】
【氏名】山本 輝
(72)【発明者】
【氏名】樫野 俊雄
【テーマコード(参考)】
4G035
4G036
4G037
【Fターム(参考)】
4G035AB04
4G035AB28
4G035AC26
4G035AE13
4G035AE15
4G036AB22
4G037AA11
4G037CA11
4G037EA01
(57)【要約】
【課題】ウルトラファインバブルを効率的に生成し回収することができるウルトラファインバブル製造装置及び製造方法を提供する。
【解決手段】気体導入流路106を設け、気流導入流路106から流入した気流108をフェイス面102に沿って流動させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するための吐出口が形成されたフェイス面と、
前記吐出口から吐出された液体を回収するための回収容器と、
を備え、前記吐出の圧力によって前記液体中にウルトラファインバブルを生成するウルトラファインバブル製造装置であって、
前記フェイス面に沿って気流を流動させるように構成された流動手段を更に備えることを特徴とするウルトラファインバブル製造装置。
【請求項2】
前記流動手段は、前記回収容器に気体を供給する気体供給路と気体を排出する気体排出路とを有することを特徴とする請求項1に記載のウルトラファインバブル製造装置。
【請求項3】
前記フェイス面には、複数の前記吐出口が設けられており、
前記吐出口と対応して、液体に膜沸騰を生じさせる発熱素子が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のウルトラファインバブル製造装置。
【請求項4】
前記フェイス面には、複数の前記吐出口が設けられており、
前記吐出口と対応して、液体に圧力を生じさせる圧電素子が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のウルトラファインバブル製造装置。
【請求項5】
前記流動手段は、前記フェイス面に沿って流速10m/s以上の気流を流すことを特徴とする請求項1に記載のウルトラファインバブル製造装置。
【請求項6】
前記流動手段は、前記フェイス面に沿って流速40m/s以上の気流を流すことを特徴とする請求項1に記載のウルトラファインバブル製造装置。
【請求項7】
前記フェイス面が設けられた生成ユニットと、
前記生成ユニットに液体を供給可能に設けられた液体供給タンクと、を更に備え、
前記液体供給タンクでは、液体にガスが溶解され、
前記流動手段は、前記ガスと同じ気体を前記フェイス面に沿って流動させることを特徴とする請求項1に記載のウルトラファインバブル製造装置。
【請求項8】
前記回収容器は、前記流動手段によって吹き飛ばされた液体が衝突する回収用壁を備えていることを特徴とする請求項1に記載のウルトラファインバブル製造装置。
【請求項9】
前記流動手段は、前記回収容器の内部を減圧するポンプによって、前記フェイス面に沿って気流を流動させることを特徴とする請求項1に記載のウルトラファインバブル製造装置。
【請求項10】
前記流動手段は、フィルタを介して前記フェイス面に沿って気流を流動させることを特徴とする請求項1に記載のウルトラファインバブル製造装置。
【請求項11】
フェイス面に形成された吐出口から液体を吐出する吐出工程と、
前記吐出口から吐出された液体を回収する回収工程と、
を備え、前記吐出の圧力によって前記液体中にウルトラファインバブルを生成するウルトラファインバブルの製造方法であって、
前記フェイス面に沿って気流を流動させる工程、
を更に備えることを特徴とするウルトラファインバブルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直径が1.0μm未満のウルトラファインバブルの製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、気体溶解液をヒータにより加熱して膜沸騰を生じさせることによりウルトラファインバブルを生成し、生成したウルトラファインバブルを液滴と共に吐出口から排出する技術が開示されている。特許文献1では、回収容器を吐出口下に配置して、吐出された液滴を溜める構成、或いはポンプを使ってミスト状の液体を回収している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のように、吐出口から吐出した液滴を単に容器で回収する方法では、液滴の吐出時に吐出口の周囲に液滴が付着することが有り、付着した液滴によって吐出口の一部が塞がれることがある。一部が液滴で塞がれた吐出口ではウルトラファインバブルの生成効率が低下する虞がある。
【0005】
よって本発明は、ウルトラファインバブルを効率的に生成し回収することができるウルトラファインバブル製造装置及び製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため本発明のウルトラファインバブル製造装置は、液体を吐出するための吐出口が形成されたフェイス面と、前記吐出口から吐出された液体を回収するための回収容器と、を備え、前記吐出の圧力によって前記液体中にウルトラファインバブルを生成するウルトラファインバブル製造装置であって、前記フェイス面に沿って気流を流動させるように構成された流動手段を更に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ウルトラファインバブルを効率的に生成し回収することができるウルトラファインバブル製造装置及び製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】吐出された液滴と気体導入流路から流入した気流とを示した図である。
【
図3】一般的なUFB生成装置の構成において吐出された液滴を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第1の実施形態について説明する。
【0010】
図1は、本実施形態におけるウルトラファインバブル(Ultra Fine Bubble;以下、「UFB」ともいう)を生成するUFB生成装置100を示した概略構成図である。UFB生成装置100は、UFBを生成するUFB生成ユニット101、UFB生成ユニット101と液体供給管103で接続された液体供給タンク104、UFB生成ユニット101から吐出されたUFB含有液滴115を受ける回収容器109を備えている。更に、UFB生成装置100は、回収容器109と液体フィルタ113を介して接続された第2の回収容器114を備えている。
【0011】
液体供給タンク104は、UFB生成ユニット101に液体を供給可能に構成されており、UFB生成ユニット101には、液体供給管103を通して、液体供給タンク104から液体が送られる。UFB生成ユニット101で生成されたUFB含有液滴115は、UFB生成ユニット101のフェイス面102上に複数形成されている吐出口からUFB生成ユニット101の外へと排出される。液体供給タンク104は、気体導入口105から所望の気体を導入することで、液体供給タンク104内の液体の気体濃度を上げることができる。
【0012】
回収容器109には、気体導入流路(気体供給路)106と気体排出流路(気体排出路)111とが接続されており、気体導入流路106から回収容器109に気体を流入させることができ、気体排出流路111から気体を排出するように構成されている。気流導入流路106から流入した気流108は、フェイス面102に沿って流動するように構成されており、UFB生成ユニット101から吐出されたUFB含有液滴115に対して気体を吹き付けることが可能に構成されている。UFB生成ユニット101から吐出されたUFB含有液滴115は、気流導入流路106及び導入部フィルタ107を通過した気流108によって吹き飛ばされる。気流108によって吹き飛ばされたUFB含有液滴115は、気体導入流路106における気流108の吹き出し口と対向する回収容器109の回収用壁110に衝突し、回収用壁110を伝わり回収容器109内に貯蔵される。
【0013】
前述の通り、気流導入流路106から流入した気流108は、フェイス面102に沿って流れる。これにより、吐出口から吐出されたUFB含有液滴115は、気流108によってフェイス面102に沿って吹き飛ばされ、吐出口の周囲やフェイス面102に付着することなく回収用壁110に衝突する。回収容器109内に流入した気流108は、吐出されたUFB含有液滴115を吹き飛ばした後、気体排出流路111を介して排出される。気体排出流路111の入口部には、入口部を覆うように囲い部材112を設け、液体が気体排出流路111内に入り込むことを防止する。なお、囲い部材112は、液体が気体排出流路111に入り込むことを防止する構成であれば、
図1に示す構成でなくてもよい。また、気体排出流路111の入口部に気液分離膜等を配置することで、回収容器109内の液体が気体排出流路111に入り込むことを防止してもよい。回収容器109に貯蔵された液体は、回収容器109下部に配された液体フィルタ113を介して第2の回収容器114に収納される。
【0014】
液体供給タンク104に供給される液体であり、UFB含有液の生成に使用する液体としては、例えば、純水、イオン交換水、蒸留水、生理活性水、磁気活性水、化粧水、水道水、海水、川水、上下水、湖水、地下水、雨水などが使用可能である。また、これらの液体等を含む混合液体も可能である。また、水と水溶性有機溶剤との混合溶媒も使用できる。水と混合して使用される水溶性有機溶剤としては特に限定されないが、具体例として、以下のものを挙げることができる。メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコールなどの炭素数1乃至4のアルキルアルコール類。N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどのアミド類。アセトン、ジアセトンアルコールなどのケトン又はケトアルコール類。テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類。エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール。1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジグリコールなどのグリコール類。エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルなどの多価アルコールの低級アルキルエーテル類。ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類。グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、トリメチロールプロパンなどのトリオール類。これらの水溶性有機溶剤は、単独で用いてもよく、または2種以上を併用してもよい。
【0015】
また、液体内に溶解させる気体としては、例えば、水素、ヘリウム、酸素、窒素、メタン、フッ素、ネオン、二酸化炭素、オゾン、アルゴン、塩素、エタン、プロパン、空気、および、それらを含む混合気体等が使用可能である。
【0016】
また、気流に用いる気体は、例えば、水素、ヘリウム、酸素、窒素、メタン、フッ素、ネオン、二酸化炭素、オゾン、アルゴン、塩素、エタン、プロパン、空気、および、それらを含む混合気体等が使用可能である。液体内に溶解させる気体と気流とが同じでも、同じでなくてもよい。
【0017】
UFBの生成メカニズムは以下のように考えられる。UFB生成ユニット101内の液体に非常に高い圧力を付与することで吐出口から液体が吐出される。吐出液は液中から高い圧力によって吐出され大気に出ることで、一気に圧力開放されて圧力が低下する。圧力が低下することで飽和溶存ガス量が下がり、吐出された液滴内の溶存ガスが気化することでUFBが生成される。高い圧力を付与するための構成は特に限定されないが、例えば、ヒータを用いて液体中に膜沸騰を生じさせる構成や、圧電素子を用いる構成が好適に利用可能である。本実施形態では、ヒータを用いて液体中に膜沸騰を生じさせる構成を採用する。
【0018】
このように、UFBの生成過程では、気体を溶解した液体を一気に圧力開放されて圧力を低下させることが必要である。しかし、吐出口の周囲に液滴が付着して吐出口の一部が塞がれた場合、吐出する液滴は、吐出口周囲の液滴によって吐出が妨げられることで一気に圧力開放されないことがある。その場合、液滴においてUFBは効率よく生成されず、生成されたUFB含有液におけるUFBの濃度が低下することがある。
【0019】
そのため本実施形態では、上記の通り、気体導入流路106を設け、気流導入流路106から流入した気流108がフェイス面102に沿って流れる。そして、吐出口から吐出したUFB含有液滴115を、気流108によって吹き飛ばして回収用壁110に衝突させる。これによって、吐出口から吐出された液滴は、吐出口の周囲やフェイス面102に付着することなく、回収容器109で回収されることから、UFB含有濃度を低下させることなく、効率よくUFB含有液を生成することができる。
【0020】
図2は、吐出口202から吐出された液滴と、気体導入流路106から流入した気流108とを示した図である。吐出した液滴は、その大部分を構成する主滴204とサテライト205とがあり、どちらも気流108により吹き飛ばされ、フェイス面102に付着することなく回収される。
【0021】
図3は、比較例として一般的なUFB生成装置の構成における吐出口302から吐出された液滴を示した図である。気体導入流路が設けられていない一般的な構成では、吐出口302から吐出された主滴304とサテライト305とは、吐出口302が設けられたフェイス面102に対して略垂直に吐出され飛翔する。また、吐出された一部の主滴304やサテライト305は、フェイス面102や吐出口302の周囲に付着して液溜まり303を形成する。フェイス面102や吐出口302の周囲に液溜まり303が形成されると吐出口302が塞がれて、液滴の飛翔がうまくできず液溜まり303が大きく成長する。フェイス面102に液溜まり303があると、吐出される液滴は、吐出時に一気に圧力開放されないことからUFBを効率よく生成することができない。
【0022】
図4は、本実施形態におけるUFB生成部を示した図である。UFB生成部には、発熱抵抗素子であるヒータ401が形成された素子基板400とノズル部材403との間には、ヒータ401が位置する圧力室(液体を保持する液室)が設けられている。圧力室は、液体を供給する液流路(供給路)402と接続されている。ヒータ401と対向するノズル部材403の位置には、圧力室と連通する吐出口404が形成されており、この吐出口404からUFB410を含む液体405が吐出される。
【0023】
ヒータ401には、不図示の電気配線を通して一定電力のパルス信号が供給される。本実施形態の場合、ヒータ401に対しては、パルス幅が0.1μsec~10.0μsec程度の極めて短いパルスによって電力が供給される。このような短パルスをヒータ401に印加することにより、極めて高い熱流束がヒータ401に付与される。そして、ヒータ401の表面温度が約300℃付近となったときに、極めて初期の段階(数ピコ秒程度)においてヒータ401上に核沸騰らしき形態が観察された。そして、そのサブμ秒~数μ後には、
図4(a)のように、膜沸騰による気泡407が発生する。その後、
図4(b)のように、液体の発泡エネルギーを利用して、吐出口404から液体405が吐出され、UFB410が生成される。
【0024】
図5は、本実施形態における素子基板500(400)の断面を示した図である。素子基板500は、シリコン基板501の表面に、蓄熱層としての熱酸化膜502と、蓄熱層を兼ねる層間膜503と、が積層されている。層間膜503としては、SiO
2膜、またはSiN膜を用いることができる。層間膜503の表面には、抵抗層504が形成され、その抵抗層504の表面に、配線505が部分的に形成されている。配線505としては、Al、Al-Si、またはAl-CuなどのAl合金配線を用いることができる。これらの配線505、抵抗層504、および層間膜503の表面には、SiO
2膜、またはSi
3N
4膜から成る保護層506が形成されている。
【0025】
保護層506の表面において、発熱部である熱作用部508に対応する部分、およびその周囲には、抵抗層504の発熱に伴う化学的、および物理的な衝撃から保護層506を保護するための耐キャビテーション膜507が形成されている。抵抗層504の表面において、配線505が形成されていない領域は、抵抗層504が発熱する熱作用部508である。
【0026】
配線505が形成されていない抵抗層504の発熱部分は、発熱素子(ヒータ)502として機能する。このように素子基板502における層は、半導体の製造技術によってシリコン基板501の表面に順次に形成され、これにより、シリコン基板501に熱作用部508が備えられる。図に示す構成は一例であり、その他の各種構成が適用可能である。例えば、抵抗層504と配線505との積層順が逆の構成、および抵抗層504の下面に電極を接続させる構成(所謂プラグ電極構成)が適用可能である。つまり、熱作用部508により液体を加熱して、液体中に膜沸騰を生じさせることができる構成であればよい。
【0027】
上記構成のUFB発生装置を使い、下記条件にてUFBを生成し、UFB濃度の測定を行った。使用した液体は純水であり、純水中に溶解させたガスは酸素を用いた。液体供給タンク104内に入れた常温の純水の量は1L、酸素を約100mL/minの流量で送り込み、ガス溶解槽101内で1時間バブリングすることで純水内に酸素を溶解させた。溶存酸素計で溶存酸素量を測定したところ40mg/Lであった。酸素溶解前の常温の純水で溶存酸素量測定値は8mg/Lであり、酸素の溶解が十分にされていることがわかる。
【0028】
UFB生成ユニットには、吐出口が6144個配され、駆動周波数は10kHz、1つの吐出口から吐出される液滴量は2pl、吐出される液滴の速度は5~20m/sであった。気流108には空気を用いて、流量は15L/min、気流108が回収容器109内へ流入する開口面積は25mm2、吐出される液滴に吹き付けられる気流108の流速は10m/sであった。気流108は流速10m/s以上であることが好ましい。
【0029】
UFBの発生濃度をSALD7500nano(島津製作所製)で測定を行い、1μm以下のUFB濃度が約3億個/mL、平均粒径110nmであることを確認した。
【0030】
(比較例1)
比較例1として、第1の実施形態と同じ条件で吐出した液滴に、気体の吹き付けを行わない状態で液滴の回収を行い、UFBの発生濃度を確認したところ約1億個/mL、平均粒径110nmであった。そして、フェイス面上には吐出した一部の液体が付着して液溜まりができていた。気体の吹き付けを行わない場合には、気体の吹き付けを行った場合と比較してUFB濃度が低下することが確認された。
【0031】
このように、気体導入流路106を設け、気流導入流路106から流入した気流108をフェイス面102に沿って流す。これによって、ウルトラファインバブルを効率的に生成し回収することができるウルトラファインバブル製造装置及び製造方法を提供することができる。
【0032】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態を説明する。なお、本実施形態の基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、以下では特徴的な構成について説明する。
【0033】
本実施形態では、流速を40m/sとした以外は第1の実施形態と同じ条件でUFB生成状態を確認した。生成されたUFB含有液におけるUFB濃度は、約5億個/mLであり、第1の実施形態よりも向上した。平均粒径は110nmであり、第1の実施形態と同じであった。気流108は流速40m/s以上であることが好ましい。本実施形態においては、第1お実施形態よりも気流の流速を上げたことにより、フェイス面に付着する液溜まりが低減したためにUFB濃度が向上したと考えられる。なお、流速を80m/sの条件とした場合、UFB濃度は変わらなかった。
【0034】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態を説明する。なお、本実施形態の基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、以下では特徴的な構成について説明する。
【0035】
本実施形態では、気流108となる気体、及び純水中に溶解させたガスを共に酸素にして、他の条件は第1の実施形態と同じ条件で確認を行った。この条件で生成されたUFB含有液におけるUFB濃度は約3億個/mL、平均粒径110nmであり、どちらも第1の実施形態と同じであった。その後、回収容器109を密閉して1週間保管した。気流108を空気で行った場合には、1週間の保管で液中の溶存酸素量は9mg/Lであったが、本実施形態の場合30mg/Lと高い溶存酸素量を維持していた。
【0036】
(第4の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第4の実施形態を説明する。なお、本実施形態の基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、以下では特徴的な構成について説明する。
【0037】
図6は、本実施形態におけるUFB生成装置600を示した概略構成図である。本実施形態のUFB生成装置600は、回収容器612と接続された減圧ポンプ610を備えており、減圧ポンプ610によって回収容器612の内部を減圧することができる。減圧ポンプ610によって減圧状態になった回収容器612内には、導入部フィルタ607および液体フィルタ611を通って空気(外気)が流入する。その際、導入部フィルタ607を通った空気は気流608となり、UFB生成ユニット601から吐出されたUFB含有液滴609を吹き飛ばす。気流608によって吹き飛ばされた液滴609は、UFB含有液体613として回収容器612内に収容される。フェイス面602に沿って気流608が吹き付けているため、吐出した液滴及びミストの殆どがフェイス面602に付着することなく、回収容器612で回収することができる。
【0038】
第1の実施形態と同様にUFB生成ユニット601には、液体供給管603を通して、液体供給タンク604から液体が送られる。UFB生成ユニット601で生成されたUFB含有液体613は、UFB生成ユニット601のフェイス面602上に複数形成されている吐出口からUFB生成ユニット601の外へと排出される。液体供給タンク604は、気体導入口605から所望の気体を導入することで、液体供給タンク604内の液体において、その気体濃度を上げることができ、UFBの生成効率の向上を図ることができる。
【0039】
第1の実施形態と同じ条件で液滴を吐出し、吐出される液滴に吹き付けられる気流108の流速が13m/sの条件でUFB生成状態を確認した。生成されたUFB含有液におけるUFB濃度は、約3億個/mL、平均粒径110nmであり、第1の実施形態と同じであったが、気流108が大気を吸い込むことで発生させているため、流入用の気体を用意する必要がなくコストダウンが可能である。
【0040】
本実施形態の開示は、以下の構成および方法を含む。
【0041】
(構成1)
液体を吐出するための吐出口が形成されたフェイス面と、
前記吐出口から吐出された液体を回収するための回収容器と、
を備え、前記吐出の圧力によって前記液体中にウルトラファインバブルを生成するウルトラファインバブル製造装置であって、
前記フェイス面に沿って気流を流動させるように構成された流動手段を更に備えることを特徴とするウルトラファインバブル製造装置。
【0042】
(構成2)
前記流動手段は、前記回収容器に気体を供給する気体供給路と気体を排出する気体排出路とを有することを特徴とする構成1に記載のウルトラファインバブル製造装置。
【0043】
(構成3)
前記フェイス面には、複数の前記吐出口が設けられており、
前記吐出口と対応して、液体に膜沸騰を生じさせる発熱素子が設けられていることを特徴とする構成1または2に記載のウルトラファインバブル製造装置。
【0044】
(構成4)
前記フェイス面には、複数の前記吐出口が設けられており、
前記吐出口と対応して、液体に圧力を生じさせる圧電素子が設けられていることを特徴とする構成1または2に記載のウルトラファインバブル製造装置。
【0045】
(構成5)
前記流動手段は、前記フェイス面に沿って流速10m/s以上の気流を流すことを特徴とする構成1ないし4のいずれか1つに記載のウルトラファインバブル製造装置。
【0046】
(構成6)
前記流動手段は、前記フェイス面に沿って流速40m/s以上の気流を流すことを特徴とする構成1ないし4のいずれか1つに記載のウルトラファインバブル製造装置。
【0047】
(構成7)
前記フェイス面が設けられた生成ユニットと、
前記生成ユニットに液体を供給可能に設けられた液体供給タンクと、を更に備え、
前記液体供給タンクでは、液体にガスが溶解され、
前記流動手段は、前記ガスと同じ気体を前記フェイス面に沿って流動させることを特徴とする構成1ないし6のいずれか1つに記載のウルトラファインバブル製造装置。
【0048】
(構成8)
前記回収容器は、前記流動手段によって吹き飛ばされた液体が衝突する回収用壁を備えていることを特徴とする構成1ないし7のいずれか1つに記載のウルトラファインバブル製造装置。
【0049】
(構成9)
前記流動手段は、前記回収容器の内部を減圧するポンプによって、前記フェイス面に沿って気流を流動させることを特徴とする構成1に記載のウルトラファインバブル製造装置。
【0050】
(構成10)
前記流動手段は、フィルタを介して前記フェイス面に沿って気流を流動させることを特徴とする構成1ないし9のいずれか1つに記載のウルトラファインバブル製造装置。
【0051】
(方法1)
フェイス面に形成された吐出口から液体を吐出する吐出工程と、
前記吐出口から吐出された液体を回収する回収工程と、
を備え、前記吐出の圧力によって前記液体中にウルトラファインバブルを生成するウルトラファインバブルの製造方法であって、
前記フェイス面に沿って気流を流動させる工程、
を更に備えることを特徴とするウルトラファインバブルの製造方法。
【符号の説明】
【0052】
100 UFB生成装置
101 UFB生成ユニット
102 フェイス面
106 気体導入流路
108 気流
109 回収容器
401 ヒータ
610 減圧ポンプ