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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177830
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】DC-DCコンバータ
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20231207BHJP
【FI】
H02M3/155 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090733
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 悠二
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 健太郎
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730AS01
5H730AS04
5H730AS05
5H730AS08
5H730BB13
5H730BB14
5H730BB57
5H730DD03
5H730DD12
5H730FD01
5H730FD11
5H730FD41
5H730FG05
5H730FG22
5H730FG30
(57)【要約】
【課題】DC-DCコンバータにおいて、昇圧動作を実行せずに、低電圧端から高電圧端に向けて電力を供給する際に電力損失を抑制する技術を提供する。
【解決手段】
DC-DCコンバータは、高電圧端から直列に接続される第1スイッチング素子、第2スイッチング素子、第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子と、第2スイッチング素子と、第3スイッチング素子との接続点と、低電圧端との間に配置されるリアクトルと、第1スイッチング素子と第2スイッチング素子の接続点と、第3スイッチング素子と第4スイッチング素子の接続点の間に接続されている充放電コンデンサと、低電圧端と高電圧端とを、第1スイッチング素子と、第2スイッチング素子と、リアクトルと、をバイパスして接続する配線部であって、低電圧端から高電圧端への電流を許容し、高電圧端から低電圧端への電流を禁止可能である、配線部と、を備えていてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧端から直列に接続される第1スイッチング素子、第2スイッチング素子、第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子と、
前記第2スイッチング素子と、前記第3スイッチング素子との接続点と、低電圧端との間に配置されるリアクトルと、
前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子の接続点と、前記第3スイッチング素子と前記第4スイッチング素子の接続点の間に接続されている充放電コンデンサと、
前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、前記第3スイッチング素子及び前記第4スイッチング素子のそれぞれに与えるゲート信号を生成するコントローラと、
前記低電圧端と前記高電圧端とを、前記第1スイッチング素子と、前記第2スイッチング素子と、前記リアクトルと、をバイパスして接続する配線部であって、前記低電圧端から前記高電圧端への電流を許容し、前記高電圧端から前記低電圧端への電流を禁止可能である、前記配線部と、を備える、DC-DCコンバータ。
【請求項2】
前記配線部は、第5スイッチング素子と、前記第5スイッチング素子と並列に配置され、前記低電圧端から前記高電圧端への電流を許容し、前記高電圧端から前記低電圧端への電流を禁止するダイオードと、を備え、
前記コントローラは、前記第5スイッチング素子に与えるゲート信号をさらに生成する、請求項1に記載のDC-DCコンバータ。
【請求項3】
前記コントローラは、前記DC-DCコンバータが昇圧動作を実行する場合に、前記第5スイッチング素子を非導通状態に維持させる、請求項2に記載のDC-DCコンバータ。
【請求項4】
前記コントローラは、前記DC-DCコンバータが非昇圧動作を実行しており、前記低電圧端と前記高電圧端との電位差が所定値以下である場合、前記第5スイッチング素子を導通状態に維持させる、請求項3に記載のDC-DCコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、リアクトルとスイッチング素子を用いたスイッチドキャパシタ型のDC-DCコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、スイッチドキャパシタ型のDC-DCコンバータが開示されている。DC-DCコンバータは、4個のスイッチング素子、リアクトル及び充放電コンデンサを備える。4個のスイッチング素子は、DC-DCコンバータの高電圧端から直列に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-192383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
DC-DCコンバータにおいて、昇圧動作を実行せずに、電源から負荷に電力を供給する場合がある。この場合、リアクトル及び2個のスイッチング素子を介して電力が供給されると、電力損失が大きい。
【0005】
本明細書では、DC-DCコンバータにおいて、昇圧動作を実行せずに、低電圧端から高電圧端に向けて電力を供給する際に電力損失を抑制する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、DC-DCコンバータを開示する。DC-DCコンバータは、高電圧端から直列に接続される第1スイッチング素子、第2スイッチング素子、第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子と、前記第2スイッチング素子と、前記第3スイッチング素子との接続点と、低電圧端との間に配置されるリアクトルと、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子の接続点と、前記第3スイッチング素子と前記第4スイッチング素子の接続点の間に接続されている充放電コンデンサと、前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、前記第3スイッチング素子及び前記第4スイッチング素子のそれぞれに与えるゲート信号を生成するコントローラと、前記低電圧端と前記高電圧端とを、前記第1スイッチング素子と、前記第2スイッチング素子と、前記リアクトルと、をバイパスして接続する配線部であって、前記低電圧端から前記高電圧端への電流を許容し、前記高電圧端から前記低電圧端への電流を禁止可能である、前記配線部と、を備えていてもよい。
【0007】
この構成によると、低電圧端から高電圧端に向けて、配線部を介して電力を供給することができる。これにより、昇圧動作を実行しない場合に、電流が、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子と、リアクトルと、を通過せずに済む。これにより、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子と、リアクトルと、において電力損失が発生することを抑制することができる。
【0008】
前記配線部は、第5スイッチング素子と、前記第5スイッチング素子と並列に配置され、前記低電圧端から前記高電圧端への電流を許容し、前記高電圧端から前記低電圧端への電流を禁止するダイオードと、を備え、前記コントローラは、前記第5スイッチング素子に与えるゲート信号をさらに生成してもよい。
【0009】
この構成によると、第5スイッチング素子を導通状態にすることによって、配線部を介して高電圧端から低電圧端へ電力を供給することができる。
【0010】
前記コントローラは、前記DC-DCコンバータが昇圧動作を実行する場合に、前記第5スイッチング素子を非導通状態に維持させてもよい。
【0011】
この構成によると、昇圧動作時に、配線部を介して高電圧端から低電圧端へ電力を供給することを禁止することができる。
【0012】
前記コントローラは、前記DC-DCコンバータが非昇圧動作を実行しており、前記低電圧端と前記高電圧端との電位差が所定値以下である場合、前記第5スイッチング素子を導通状態に維持させてもよい。
【0013】
この構成によると、非昇圧動作時に、導通状態に維持することによって、配線部を介して高電圧端から低電圧端へ電力を供給することを許容することができる。
【0014】
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施例のDC-DCコンバータの回路図である。
図2】昇圧動作における電流経路を示した図である。
図3】非昇圧動作における電流経路を示した図である。
図4】電力損失を示す検証結果である。
図5】昇圧動作における電圧及び電流値を示す検証結果である。
図6】非昇圧動作における電圧及び電流値を示す検証結果である。
図7】第2実施例のDC-DCコンバータの回路図である。
図8】配線部のスイッチング素子の切替処理を示すフローチャートである。
図9】変形例のDC-DCコンバータの回路図である。
図10】変形例のDC-DCコンバータの回路図である。
図11】変形例のDC-DCコンバータの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施例)
図1に、第1実施例のDC-DCコンバータ10の回路図を示す。以下、説明の便宜上、「DC-DCコンバータ」を単に「コンバータ」と表記する。コンバータ10は、駆動用の電気モータを備える車両に搭載される。コンバータ10は、スイッチドキャパシタ型のコンバータである。コンバータ10は、低電圧端12に印加された電圧を昇圧して高電圧端20から出力する昇圧コンバータである。コンバータ10は、低電圧端12に接続された電源2の電圧を昇圧し、高電圧端20に接続された負荷4に供給する。負荷4は、車両の駆動用の電気モータ及びインバータを含む。
【0017】
コンバータ10は、高電圧端20とグランド11の間に直列に接続されている4個のスイッチング素子42、44、46、48と、リアクトル32と、充放電コンデンサ36と、平滑コンデンサ30、38と、コントローラ100と、配線部60と、を備える。
【0018】
スイッチング素子42、44、46、48は、電力変換用のトランジスタである。電力変換用のトランジスタはパワートランジスタと呼ばれることがある。スイッチング素子42、44、46、48は、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(即ち「IGBT」)である。
【0019】
4個のスイッチング素子42、44、46、48のそれぞれには、グランド11の側から高電圧端20の側へは常に電流の流れを許容し、逆方向の電流の流れは常に遮断する還流ダイオード52、54、56、58のそれぞれが接続されている。なお、還流ダイオード52、54、56、58のそれぞれの機能は、スイッチング素子42、44、46、48のそれぞれに内包されていてよい。
【0020】
リアクトル32は、スイッチング素子44、46の接続点16と低電圧端12との間に接続されている。充放電コンデンサ36は、スイッチング素子42、44の接続点18と、スイッチング素子46、48の接続点19と、の間に接続されている。平滑コンデンサ30は、低電圧端12とグランド11との間に接続されている。平滑コンデンサ38は、高電圧端20とグランド11との間に接続されている。
【0021】
コンバータ10は、リアクトル32に流れる電流と、低電圧端12の電圧と、高電圧端20の電圧と、を計測するセンサをさらに備える。コントローラ100は、コンバータ10の外部に配置される車両のメインコントローラの指令に従って、コンバータ10を制御する。コントローラ100は、CPU及びメモリを含む。コントローラ100は、スイッチング素子42、44、46、48と信号通信可能に接続されている。コントローラ100は、センサからのリアクトル32に流れる電流、低電圧端12の電圧及び高電圧端20の電圧の計測結果を用いて、4個のスイッチング素子42、44、46、48を駆動する。スイッチング素子42、44、46、48は、所定のデューティを有するPWM信号で駆動される。スイッチング素子42、44、46、48を駆動するPWM信号を本明細書ではゲート信号と称する。コントローラ100は、低電圧端12の電圧と高電圧端20の電圧比が目標電圧比に追従するように、ゲート信号を生成する。
【0022】
配線部60は、低電圧端12と高電圧端20とに接続されている。配線部60は、リアクトル32と、スイッチング素子42、44とをバイパスして、低電圧端12と高電圧端20とに接続されている。配線部60には、ダイオード62が配置されている。ダイオード62は、低電圧端12の側から高電圧端20の側へは常に電流の流れを許容し、逆方向の電流の流れは常に遮断する。
【0023】
図2及び図3を参照して、コンバータ10の動作について説明する。コンバータ10では、昇圧動作と非昇圧動作との2種類の動作を行う。車両では、電気モータで走行している間、コンバータ10にて昇圧せずに、電源2の電力を負荷4に供給すべき場合がある。図2に示す昇圧動作では、コントローラ100は、スイッチング素子42、44、46、48のそれぞれのオンとオフを切り替えることによって、コンバータ10を第1モードと第2モードとの間で切り替える。
【0024】
第1モードにおいて、コントローラ100は、スイッチング素子44、48をオンにし、スイッチング素子42、46をオフにする。これにより、電源2の出力電流は、リアクトル32、スイッチング素子44、充放電コンデンサ36、スイッチング素子48を通る。これにより、リアクトル32にエネルギが蓄積されるとともに、充放電コンデンサ36が充電される。
【0025】
第2モードでは、コントローラ100は、スイッチング素子44、48をオフにし、スイッチング素子42、46をオンにすることによって、矢印IUで示されるように、電源2の出力電流は、リアクトル32、スイッチング素子46、充放電コンデンサ36、スイッチング素子42を通り、高電圧端20へ至る。これにより、第2モードでは、第1モードにおいてリアクトル32に蓄積されたエネルギ及び充放電コンデンサ36に蓄積された電荷によって、電源2の電圧から上昇された電圧が負荷4に印加される。
【0026】
図3に示す非昇圧動作では、コントローラ100は、スイッチング素子42、44、46、48をオフにする。この結果、電源2の出力電流は、矢印INで示されるように、配線部60を通る一方、リアクトル32及びスイッチング素子42、44、46、48を通らず、低電圧端12から高電圧端20に流れる。
【0027】
図4には、本実施例のコンバータ10及び配線部60が配置されていない比較例のコンバータにおいて、非昇圧動作の際の電力損失を検証したシミュレーション結果を示す。比較例のコンバータは、配線部60が配置されていないこと以外、コンバータ10と同様の構成を有する。
【0028】
比較例のコンバータでは、非昇圧動作において、スイッチング素子42、44がオンにされ、スイッチング素子46、48がオフにされる。これにより、電源2の出力電流は、リアクトル32及びスイッチング素子42、44を通る。図4のグラフの横軸はコンバータを流れる電流の電流値(単位:アンペア)であり、右に進むほど電流値が大きくなる。縦軸は電力の損失量(単位:ワット)であり、上に進むほど損失量が大きくなる。結果110は比較例のコンバータの電力損失量を表し、結果112はコンバータ10の電力損失量を表す。
【0029】
コンバータ10と比較例のコンバータとの電力損失量を比較すると、コンバータ10では、比較例のコンバータの電力損失量からおよそ半減されている。なお、結果114は、参考として、リアクトル32を通過することによる電力損失量が表されている。結果110、114を比較すると、リアクトル32による電力損失よりも、スイッチング素子42、44による電力損失が大きいことが分かる。
【0030】
図5には、コンバータ10の昇圧動作における高電圧端20の電圧値、配線部60の電流値、及び、スイッチング素子42の電流値のシミュレーション結果を示す。図5(a)の横軸は時間であり、縦軸は電圧値である。結果120は高電圧端20の電圧値を表し、結果122は低電圧端12の電圧値を表す。昇圧動作では、コンバータ10において、結果122から結果120まで昇圧される。図5(b)、(c)の横軸は時間であり、縦軸は電流値である。結果124は、配線部60の電流値である。結果126は、スイッチング素子42の電流値である。昇圧動作では、配線部60に電流は流れず、スイッチング素子42を通して昇圧に必要な電流が供給されていることが分かる。
【0031】
一方、図6には、コンバータ10の非昇圧動作における高電圧端20の電圧値、配線部60の電流値、及び、スイッチング素子42の電流値のシミュレーション結果が表されている。図6(a)の横軸は時間であり、縦軸は電圧値である。結果132は高電圧端20の電圧値及び低電圧端12の電圧値を表す。非昇圧動作では、コンバータ10は、昇圧されていないことが分かる。図6(b)、(c)の横軸は時間であり、縦軸は電流値である。結果134は、配線部60の電流値である。結果136は、スイッチング素子42の電流値である。非昇圧動作では、配線部60にほとんどの電流が流れ、スイッチング素子42には流れていないことが分かる。
【0032】
コンバータ10によると、非昇圧動作では、低電圧端12から高電圧端20に向けて、配線部60を介して負荷4に電力を供給することができる。これにより、スイッチング素子42、44、46、48及びリアクトル32を通過せずに済み、スイッチング素子42、44、46、48及びリアクトル32において電力損失が発生することを抑制することができる。
【0033】
配線部60には、ダイオード62が配置されている。このため、配線部60において、低電圧端12の側から高電圧端20の側へは常に電流の流れを許容し、逆方向の電流の流れを常に遮断することができる。
【0034】
(第2実施例)
本実施例のコンバータ210について、第1実施例のコンバータ10と異なる点を説明する。図7に示すように、コンバータ210では、配線部60のダイオード62に替えて、スイッチング素子262が配置されている。コンバータ210では、コンバータ10と同一の構成に対して、コンバータ10と同一の符号が付されている。コントローラ200は、スイッチング素子262を制御する点で、コントローラ100と異なる。その他のコンバータ210の構成は、コンバータ10の構成と同一である。
【0035】
スイッチング素子262は、スイッチング素子42、44、46、48と同様の構成を有している。スイッチング素子262には、低電圧端12の側から高電圧端20の側へは常に電流の流れを許容し、逆方向の電流の流れは常に遮断する還流ダイオード264が接続されている。
【0036】
コントローラ200は、非昇圧動作の際に、ゲート信号を生成して供給し、スイッチング素子262をオンにすることによって、コンバータ10と同様の効果を奏することができる。
【0037】
コンバータ210は、車両が回生動作(即ち負荷4から電源2への電力供給)を実行している間に、スイッチング素子262をオンにすることによって、回生動作中の電力損失を低減することができる。具体的には、図8に示すスイッチング素子262の制御処理を実行する。スイッチング素子262の制御処理は、車両の電源がオンである間、繰り返し実行される。S12では、コントローラ200は、車両が回生動作中であるか否かを判断する。具体的には、コントローラ200は、車両のメインコントローラから回生動作を実行することを示す信号を受信する場合に、車両が回生動作中であると判断する(S12でYES)。コントローラ200は、車両のメインコントローラから回生動作を実行することを示す信号を受信していない場合に、車両が回生動作中でないと判断して(S12でNO)、S20に進む。
【0038】
S12でYESの場合、S14において、コントローラ200は、昇圧動作中であるか否かを判断する。昇圧動作中であると判断される場合(S14でYES)、S20に進む。一方、昇圧動作中でないと判断される場合(S14でNO)、即ち、非昇圧動作(即ちスイッチング素子42、44、46、48がオフ)であると判断される場合、S16において、コントローラ200は、高電圧端20の電圧値VHと低電圧端12の電圧値VLとの差(即ち電位差VH-VL)が、所定電圧VS以下であるか否かを判断する。VH-VL≦VSと判断される場合(S16でYES)、S18において、コントローラ200は、スイッチング素子262をオンにして、制御処理を終了する。一方、VH-VL>VSと判断される場合(S16でNO)、S20に進む。S20では、コントローラ200は、スイッチング素子262をオフにして、制御処理を終了する。なお、S18、S20において、スイッチング素子262が既にオン又はオフであり、切り替える必要が無い場合には、スイッチング素子262をオン又はオフで維持する。
【0039】
なお、所定電圧VSは、電源2に印加することが許容される電圧に基づいて予め決定されている。
【0040】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0041】
例えば、図9に示すように、コンバータ10において、ダイオード62を、RG-IGBT362に置換してもよい。
【0042】
また、図10に示すように、コンバータ10には、4個以上のスイッチング素子42、44、46、48、441、449が配置されていてもよい。この場合、スイッチング素子441、449のそれぞれに、還流ダイオード451、459のそれぞれが接続されていていてもよい。また、スイッチング素子441とスイッチング素子42との接続点と、スイッチング素子48とスイッチング素子449との接続点と、の間に、充放電コンデンサ439が配置されていてもよい。コントローラ100は、スイッチング素子42、44、46、48、441、449のオンとオフを切り替えることによって、電源2の電圧を複数の電圧値に昇圧可能であってもよい。
【0043】
また、図11に示すように、コンバータ510に配線部560を配置してもよい。コンバータ510は、降圧動作と非降圧動作とを実行してもよい。コンバータ510は、高電圧端520に印加された電圧を降圧して低電圧端512から出力する降圧コンバータであってもよい。コンバータ510は、高電圧端520に接続された電源502の電圧を降圧し、低電圧端512に接続された負荷504に供給してもよい。
【0044】
コンバータ510は、高電圧端520とグランド511の間に直列に接続されている4個のスイッチング素子542、544、546、548と、還流ダイオード552、554、556、558と、リアクトル532と、充放電コンデンサ536と、平滑コンデンサ530、538と、コントローラ500と、配線部560と、を備えていてもよい。
【0045】
コントローラ500は、コンバータ510の外部に配置される車両のメインコントローラの指令に従って、コンバータ510を制御してもよい。コントローラ500は、リアクトル532に流れる電流、高電圧端520及び低電圧端512の電圧の計測結果を用いて、4個のスイッチング素子542、544、546、548を駆動することによって、電源502の電圧を降圧して負荷504に供給してもよい。
【0046】
配線部560は、低電圧端512と高電圧端520との間に接続されていてもよい。配線部560には、ダイオード562が配置されている。ダイオード562は、低電圧端512の側から高電圧端520の側へは常に電流の流れを許容し、逆方向の電流の流れは常に遮断してもよい。
【0047】
コンバータ510では、回生動作(即ち負荷504から電源502に電力が供給される動作)の際に、スイッチング素子542、544、546、548をオフにすることによって、負荷504からの出力電流を、配線部560を通じて電源502に流してもよい。これにより、スイッチング素子542、544、546,548及びリアクトル532を通じずにバイパスして、電流を流すことができる。これにより、電力損失を低減することができる。
【0048】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0049】
2:電源、4:負荷、10:DC-DCコンバータ、12:低電圧端、16、18、19:接続点、20:高電圧端、30、38:平滑コンデンサ、32:リアクトル、36:充放電コンデンサ、42、44、46、48:スイッチング素子、60:配線部、62:ダイオード、100:コントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11