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特開2023-177833キャリブレーション装置、キャリブレーション方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177833
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】キャリブレーション装置、キャリブレーション方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/40 20060101AFI20231207BHJP
   G01S 13/931 20200101ALI20231207BHJP
   G01S 13/86 20060101ALI20231207BHJP
   G06T 7/80 20170101ALI20231207BHJP
【FI】
G01S7/40 126
G01S13/931
G01S13/86
G06T7/80
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090736
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松元 利裕
【テーマコード(参考)】
5J070
5L096
【Fターム(参考)】
5J070AC04
5J070AC11
5J070AC13
5J070AE07
5J070AF03
5J070BD08
5L096BA04
5L096CA02
5L096DA02
5L096FA06
5L096FA67
5L096FA69
(57)【要約】
【課題】動的環境下で高精度なキャリブレーションを実現することが可能なキャリブレーション装置、キャリブレーション方法、及びプログラムを提供すること。
【解決手段】上記目的を達成するため、本技術の一形態に係るキャリブレーション装置は、算出部と第1の生成部と第2の生成部と実行部とを具備する。算出部は第1及び第2のセンサを搭載した移動体の移動量を算出する。第1の生成部は移動時の第1の時刻における第1のセンサにより取得される第1の検出結果と第2の時刻における第1のセンサにより取得される第2の検出結果と移動量とに基づいて周辺環境における静止物体のエッジに関する第1のエッジ情報を生成する。第2の生成部は第2のセンサにより取得される第3の検出結果に基づいて第2のエッジ情報を生成する。実行部は、第1及び第2のエッジ情報に基づいて第1及び第2のセンサのキャリブレーションを実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のセンサ及び第2のセンサを搭載した移動体の移動量を算出する算出部と、
前記移動体の移動時の第1の時刻における前記第1のセンサにより取得される第1の検出結果と、前記移動体の移動時の第2の時刻における前記第1のセンサにより取得される第2の検出結果と、前記移動量とに基づいて、前記移動体の周辺環境における静止物体のエッジに関する第1のエッジ情報を生成する第1の生成部と、
前記第2のセンサにより取得される第3の検出結果に基づいて、前記エッジに関する第2のエッジ情報を生成する第2の生成部と、
前記第1のエッジ情報と前記第2のエッジ情報とに基づいて、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサのキャリブレーションを実行する実行部と
を具備するキャリブレーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のキャリブレーション装置であって、
前記エッジ情報は、前記第1のセンサと前記エッジとの位置関係、前記第2のセンサと前記エッジとの位置関係、及び前記エッジの形状を含む
キャリブレーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のキャリブレーション装置であって、
前記エッジ情報は、前記第1のセンサと前記エッジ間との距離、前記第1のセンサと前記エッジ間との相互位置、前記エッジを含む撮影画像、又は前記撮影画像のピクセル上の位置の少なくとも1つを含む
キャリブレーション装置。
【請求項4】
請求項2に記載のキャリブレーション装置であって、
前記エッジ情報は、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサの移動による視差、又は前記第1のセンサ及び前記第2のセンサの移動による時間積算に基づいて生成される
キャリブレーション装置。
【請求項5】
請求項1に記載のキャリブレーション装置であって、さらに、
前記第1のエッジ情報及び前記第2のエッジ情報に基づいて、前記エッジをキャリブレーションターゲットとするキャリブレーションターゲット検出部を具備する
キャリブレーション装置。
【請求項6】
請求項3に記載のキャリブレーション装置であって、さらに、
前記第1のエッジ情報及び前記第2のエッジ情報に基づいて、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサ間のキャリブレーションパラメータを算出する算出部を具備する
キャリブレーション装置。
【請求項7】
請求項1に記載のキャリブレーション装置であって、
前記キャリブレーションパラメータは、前記第1のセンサの互いに直行する3軸方向の相対位置、及び前記3軸の相対角度に関する6軸のパラメータを少なくとも含む
キャリブレーション装置。
【請求項8】
請求項6に記載のキャリブレーション装置であって、
前記算出部は、前記第1のセンサと前記エッジとの相互位置、及び前記第2のセンサと前記エッジとの相互位置の差分に基づいて、前記キャリブレーションパラメータを算出する
キャリブレーション装置。
【請求項9】
請求項1に記載のキャリブレーション装置であって、
前記第1のセンサ及び前記第2のセンサは、前記移動体の移動により視差が生じるように前記移動体に搭載される
キャリブレーション装置。
【請求項10】
請求項1に記載のキャリブレーション装置であって、
前記第1のセンサ及び前記第2のセンサは、前記移動体の移動方向と直行する方向に向かって照射する
キャリブレーション装置。
【請求項11】
請求項1に記載のキャリブレーション装置であって、
前記第1のセンサは、距離及び角度の計測が可能なセンサを含み、
前記第2のセンサは、前記第2のセンサの位相差に基づいて、前記静止物体の前記エッジの角度を推定するセンサを含む
キャリブレーション装置。
【請求項12】
請求項11に記載のキャリブレーション装置であって、
前記第1のセンサは、ミリ波レーダであり、
前記第2のセンサは、カメラである
キャリブレーション装置。
【請求項13】
第1のセンサ及び第2のセンサを搭載した移動体の移動量を算出し、
前記移動体の移動時の第1の時刻における前記第1のセンサにより取得される第1の検出結果と、前記移動体の移動時の第2の時刻における前記第1のセンサにより取得される第2の検出結果と、前記移動量とに基づいて、前記移動体の周辺環境における静止物体のエッジに関する第1のエッジ情報を生成し、
前記第2のセンサにより取得される第3の検出結果に基づいて、前記エッジに関する第2のエッジ情報を生成し、
前記第1のエッジ情報と前記第2のエッジ情報とに基づいて、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサのキャリブレーションを実行する
ことをコンピュータシステムが実行するキャリブレーション方法。
【請求項14】
第1のセンサ及び第2のセンサを搭載した移動体の移動量を算出するステップと、
前記移動体の移動時の第1の時刻における前記第1のセンサにより取得される第1の検出結果と、前記移動体の移動時の第2の時刻における前記第1のセンサにより取得される第2の検出結果と、前記移動量とに基づいて、前記移動体の周辺環境における静止物体のエッジに関する第1のエッジ情報を生成するステップと、
前記第2のセンサにより取得される第3の検出結果に基づいて、前記エッジに関する第2のエッジ情報を生成するステップと、
前記第1のエッジ情報と前記第2のエッジ情報とに基づいて、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサのキャリブレーションを実行するステップと
をコンピュータシステムに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、動的環境下におけるキャリブレーションに適用可能なキャリブレーション装置、キャリブレーション方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の走行中に周囲物体を検出し、カメラとレーザレーダとをそれぞれを使用して、検出された静的物体の特徴を抽出し、抽出された特徴に基づいてカメラとレーザレーダとの外部パラメータをキャリブレーションするセンサーキャリブレーション方法が記載される。これにより、走行中の車両のセンサーキャリブレーションを実現することが図られている(特許文献1の明細書段落[0013]~[0025]図1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-47276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような、走行中又は移動中等の動的環境下において、高精度なキャリブレーションを実現することが可能な技術が求められている。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、高精度なキャリブレーションを実現することが可能なキャリブレーション装置、キャリブレーション方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係るキャリブレーション装置は、算出部と、第1の生成部と、第2の生成部と、実行部とを具備する。
前記算出部は、第1のセンサ及び第2のセンサを搭載した移動体の移動量を算出する。
前記第1の生成部は、前記移動体の移動時の第1の時刻における前記第1のセンサにより取得される第1の検出結果と、前記移動体の移動時の第2の時刻における前記第1のセンサにより取得される第2の検出結果と、前記移動量とに基づいて、前記移動体の周辺環境における静止物体のエッジに関する第1のエッジ情報を生成する。
前記第2の生成部は、前記第2のセンサにより取得される第3の検出結果に基づいて、前記エッジに関する第2のエッジ情報を生成する。
前記実行部は、前記第1のエッジ情報と前記第2のエッジ情報とに基づいて、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサのキャリブレーションを実行する。
【0007】
このキャリブレーション装置では、第1のセンサ及び第2のセンサを搭載した移動体の移動量と、移動時の第1の時刻における第1のセンサにより取得される第1の検出結果と、第2の時刻における第1のセンサにより取得される第2の検出結果とに基づいて、移動体の周辺環境における静止物体のエッジに関する第1のエッジ情報が生成される。第2のセンサにより取得される第3の検出結果に基づいて、エッジに関する第2のエッジ情報が生成される。第1のエッジ情報と第2のエッジ情報とに基づいて、第1のセンサ及び第2のセンサのキャリブレーションが実行される。
【0008】
前記エッジ情報は、前記第1のセンサと前記エッジとの位置関係、前記第2のセンサと前記エッジとの位置関係、及び前記エッジの形状を含んでもよい。
【0009】
前記エッジ情報は、前記第1のセンサと前記エッジ間との距離、前記第1のセンサと前記エッジ間との相互位置、前記エッジを含む撮影画像、又は前記撮影画像のピクセル上の位置の少なくとも1つを含んでもよい。
【0010】
前記エッジ情報は、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサの移動による視差、又は前記第1のセンサ及び前記第2のセンサの移動による時間積算に基づいて生成されてもよい。
【0011】
前記キャリブレーション装置であって、さらに、前記第1のエッジ情報及び前記第2のエッジ情報に基づいて、前記エッジをキャリブレーションターゲットとするキャリブレーションターゲット検出部を具備してもよい。
【0012】
前記キャリブレーション装置であって、さらに、前記第1のエッジ情報及び前記第2のエッジ情報に基づいて、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサ間のキャリブレーションパラメータを算出する算出部を具備してもよい。
【0013】
前記キャリブレーションパラメータは、前記第1のセンサの互いに直行する3軸方向の相対位置、及び前記3軸の相対角度に関する6軸のパラメータを少なくとも含んでもよい。
【0014】
前記算出部は、前記第1のセンサと前記エッジとの相互位置、及び前記第2のセンサと前記エッジとの相互位置の差分に基づいて、前記キャリブレーションパラメータを算出してもよい。
【0015】
前記第1のセンサ及び前記第2のセンサは、前記移動体の移動により視差が生じるように前記移動体に搭載されてもよい。
【0016】
前記第1のセンサ及び前記第2のセンサは、前記移動体の移動方向と直行する方向に向かって照射してもよい。
【0017】
前記第1のセンサは、距離及び角度の計測が可能なセンサを含んでもよい。この場合、前記第2のセンサは、前記第2のセンサの位相差に基づいて、前記静止物体の前記エッジの角度を推定するセンサを含んでもよい。
【0018】
前記第1のセンサは、ミリ波レーダであってもよい。この場合、前記第2のセンサは、カメラであってもよい。
【0019】
本技術の一形態に係るキャリブレーション方法は、コンピュータシステムが実行する情報処理方法であって、第1のセンサ及び第2のセンサを搭載した移動体の移動量を算出ことを含む。前記移動体の移動時の第1の時刻における前記第1のセンサにより取得される第1の検出結果と、前記移動体の移動時の第2の時刻における前記第1のセンサにより取得される第2の検出結果と、前記移動量とに基づいて、前記移動体の周辺環境における静止物体のエッジに関する第1のエッジ情報が生成される。前記第2のセンサにより取得される第3の検出結果に基づいて、前記エッジに関する第2のエッジ情報が生成される。前記第1のエッジ情報と前記第2のエッジ情報とに基づいて、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサのキャリブレーションが実行される。
【0020】
本技術の一形態に係るプログラムは、コンピュータシステムに以下のステップを実行させる。
第1のセンサ及び第2のセンサを搭載した移動体の移動量を算出するステップ。
前記移動体の移動時の第1の時刻における前記第1のセンサにより取得される第1の検出結果と、前記移動体の移動時の第2の時刻における前記第1のセンサにより取得される第2の検出結果と、前記移動量とに基づいて、前記移動体の周辺環境における静止物体のエッジに関する第1のエッジ情報を生成するステップ。
前記第2のセンサにより取得される第3の検出結果に基づいて、前記エッジに関する第2のエッジ情報を生成するステップ。
前記第1のエッジ情報と前記第2のエッジ情報とに基づいて、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサのキャリブレーションを実行するステップ。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】キャリブレーション装置を模式的に示す図である。
図2】キャリブレーション装置の構成例を示すブロック図である。
図3】キャリブレーションパラメータの算出を示すフローチャートである。
図4】第2のセンサにより取得された画像データ上でのエッジの位置関係を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本技術に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1は、本技術に係るキャリブレーション装置を模式的に示す図である。
【0024】
キャリブレーション装置(図示せず)は、移動体1に搭載された第1のセンサ2及び第2のセンサ3のキャリブレーションを実行する。本実施形態では、移動体1が移動している際に、第1のセンサ2及び第2のセンサ3により周辺環境における静止物体4のエッジ5(図1参照)が検出されることで、キャリブレーションが実行される。
【0025】
第1のセンサ2は、ミリ波帯の電波を照射し、対象物から反射して戻ってくるまでの時間から対象物までの距離を測定することが可能なミリ波レーダである。第2のセンサ3は、静止物体4のエッジ5を撮影可能なカメラである。
【0026】
図1に示すように、第1のセンサ2及び第2のセンサ3は、移動体1の側面に、静止物体4のエッジ5を検出できるように同方向を向いて配置される。
【0027】
本実施形態では、第1のセンサ2から取得される検出結果から、合成開口レーダ(Synthetic Aperture Radar)やOGM(Occupancy Grid Map)等が用いられることで、静止物体4のエッジ情報が取得される。すなわち、静止物体4のエッジ5がキャリブレーションターゲットとなる。
【0028】
エッジ情報とは、第1のセンサ2と静止物体4のエッジ5との位置関係、第2のセンサ3と静止物体4のエッジ5との位置関係、及びエッジ5の形状を含む情報である。本実施形態では、エッジ情報は、相互距離、相対位置(座標)等のエッジと各センサとの互いの位置情報、エッジの形状情報、エッジを含む撮影画像(画像データ)、及び撮影画像のエッジに関するピクセル上の位置情報を含む。
【0029】
なお、第1のセンサ2は、エッジ情報を取得可能なセンサであればミリ波レーダ以外にも、距離や角度が計測可能なセンサが用いられてもよい。また図1では移動体1の側面のみに設けられているが、これに限定されず、正面や他の側面、後方に設けられてもよい。また第1のセンサ2の数も限定されない。
【0030】
図1に示すように、第1のセンサ2及び第2のセンサ3を搭載した移動体1は、各センサの照射方向と直行する方向(矢印6の方向)へと移動する。本実施形態では、第1のセンサ2及び第2のセンサ3は、移動体1が移動している際に、周辺環境における静止物体のエッジ5a、エッジ5b、エッジ5c及びエッジ5dを検出する。
【0031】
第1のセンサ2により取得された各エッジのエッジ情報と、第2のセンサ3により取得された各エッジのエッジ情報とに基づいて、第1のセンサ2及び第2のセンサ3のキャリブレーションが実行される。
【0032】
本実施形態では、第1の時刻に第1のセンサ2により取得されたエッジ5a及びエッジ5bの第1の検出結果と、第2の時刻に第1のセンサ2により取得されたエッジ5c及びエッジ5dの第2の検出結果と、移動体1の移動量とに基づいて、エッジ情報が生成される。以下、第1のセンサ2により取得された情報から生成されたエッジ情報を第1のエッジ情報と記載する。
【0033】
同様に第2のセンサ3により、第1の時刻及び第2の時刻にエッジ5a、エッジ5b、エッジ5c及びエッジ5dが撮影される。撮影された画像データ(第3の検出結果)からエッジ情報が生成される。以下、第2のセンサ3により取得された情報から生成されたエッジ情報を第2のエッジ情報と記載する。
【0034】
キャリブレーション装置は、第1のエッジ情報と第2のエッジ情報とに基づいて、第1のセンサ2及び第2のセンサ3のキャリブレーションを実行する。本実施形態では、第1のセンサ2及び第2のセンサ3の同時刻に検出されたエッジ5a、エッジ5b、エッジ5c及びエッジ5dの相互位置関係の差分から、第1のセンサ2及び第2のセンサ3間のキャリブレーションパラメータが算出される。
【0035】
また本実施形態では、キャリブレーションの対象となるパラメータは、互いに直行する3軸方向(XYZ方向)の相対位置と、pitch、yaw、及びrollの3軸の相対角度とを合わせた6軸のパラメータである。
【0036】
図2は、キャリブレーション装置の構成例を示すブロック図である。
【0037】
図2に示すように、キャリブレーション装置10は、センサ部11、ターゲット検出部12、移動量計算部13、形状計算部14、キャリブレーションターゲット検出部15、パラメータ算出部16、及びキャリブレーション実行部17を有する。
【0038】
センサ部11は、第1のセンサ2及び第2のセンサ3を有する。本実施形態では、キャリブレーションの対象である第1のセンサ2及び第2のセンサ3は、移動により視差が生じるように移動体1に配置される。
【0039】
ターゲット検出部12は、センサ部11により取得された検出結果から、周辺環境におけるキャリブレーションターゲットの候補を検出する。本実施形態では、移動体1が移動している際にセンサ部11による検出が複数回行われる。これらの検出により、周辺環境からキャリブレーションターゲットとしての候補として静止物体のエッジが検出される。
【0040】
移動量計算部13は、センサ部11の移動量を計算する。本実施形態では、センサ部11である第1のセンサ2及び第2のセンサ3の移動量が計算される。センサ部11の移動量を計算する方法は限定されず、移動体1の移動速度や路面の状況等がフィードバックされてもよい。
【0041】
形状計算部14は、ターゲット検出部12及び移動量計算部13の出力に基づいて、ターゲットの形状を計算する。本実施形態では、形状計算部14は、周辺環境における静止物体のエッジの形状情報を、移動体1の移動による視差、又は時間積算を用いて作成する。例えば、SARやOGM等が用いられてもよい。これ以外にも、他センサとのキャリブレーションに使用可能な周辺環境のエッジや形状情報が得られるのであれば使用されるアルゴリズムは限定されない。
【0042】
キャリブレーションターゲット検出部15は、形状計算部14により計算されたターゲットのエッジの形状情報に基づいて、検出されたターゲットをキャリブレーションターゲットとして検出する。本実施形態では、ターゲット(静止物体)の形状やエッジがキャリブレーションターゲットとして検出される。
【0043】
すなわち、キャリブレーションターゲット検出部15により、静止物体4の各エッジがキャリブレーションターゲットとなり、形状計算部14により各エッジのエッジ情報が生成される。
【0044】
パラメータ算出部16は、第1のセンサ2及び第2のセンサ3のキャリブレーションパラメータを算出する。本実施形態では、パラメータ算出部16は、第1のエッジ情報及び第2のエッジ情報に基づいて、各センサの相対位置と相対角度とを算出することでキャリブレーションパラメータを算出する。
【0045】
キャリブレーション実行部17は、パラメータ算出部16により算出されたキャリブレーションパラメータを第1のセンサ2及び第2のセンサ3に反映する。
【0046】
なお、本実施形態において、移動量計算部13は、第1のセンサ及び第2のセンサを搭載した移動体の移動量を算出する算出部に相当する。
なお、本実施形態において、形状計算部14は、移動体の移動時の第1の時刻における第1のセンサにより取得される第1の検出結果と、移動体の移動時の第2の時刻における第1のセンサにより取得される第2の検出結果と、移動量とに基づいて、移動体の周辺環境における静止物体のエッジに関する第1のエッジ情報を生成する第1の生成部と、第2のセンサにより取得される第3の検出結果に基づいて、エッジに関する第2のエッジ情報を生成する第2の生成部とに相当する。
なお、本実施形態において、ターゲット検出部15は、第1のエッジ情報及び第2のエッジ情報に基づいて、エッジをキャリブレーションターゲットとするキャリブレーションターゲット検出部に相当する。
なお、本実施形態において、パラメータ算出部16は、第1のエッジ情報及び第2のエッジ情報に基づいて、第1のセンサ及び第2のセンサ間のキャリブレーションパラメータを算出する算出部に相当する。
【0047】
図3は、キャリブレーションパラメータの算出を示すフローチャートである。
【0048】
図3に示すように、第1のセンサ2及び第2のセンサ3を搭載した移動体1が移動を開始する(ステップ101)。
【0049】
移動体1が移動している際に、第1のセンサ2及び第2のセンサ3により周辺環境の反射データが取得される(ステップ102)。本実施形態では、キャリブレーションに必要な情報として、反射データ以外に、第1のセンサ2及び第2のセンサ3により取得されたデータの取得時間、取得された際の位置情報、又は位置の差分情報が取得される。
【0050】
移動体1は移動を繰り替えし(ステップ103)、キャリブレーションの処理に必要なデータの取得が完了したか判定される(ステップ104)。
【0051】
例えば、図1に示すように、第1のセンサ2は、移動体の移動時の第1の時刻にエッジ5a及びエッジ5bの反射データ(第1の検出結果)を取得する。また第1のセンサ2は、第2の時刻にエッジ5c及びエッジ5dの反射データ(第2の検出結果)を取得する。
【0052】
また例えば、第2のセンサ3は、エッジ5a、エッジ5b、エッジ5c及びエッジ5dを持つ静止物体4を撮像し、画像データ(第3の検出結果)を取得する。
【0053】
データが十分に取得されていない場合(ステップ104のNO)、再度、第1のセンサ2及び第2のセンサ3により周辺環境の反射データが取得される(ステップ102)。なおキャリブレーション装置10は、キャリブレーションパラメータの算出に十分なデータが取得できた場合に、完了と判定してもよい。これ以外にも、取得されたデータに対して信頼度が設定され、信頼度が所定の閾値を超えたデータが十分に取得できた場合に、完了と判定してもよい。
【0054】
データが十分に取得された場合(ステップ104のYES)、形状計算部14により、周辺環境のエッジ及びエッジの形状が取得される(ステップ105)。取得されたエッジ及びエッジの形状がキャリブレーションターゲットとされ、パラメータ算出部16により、第1のセンサ2及び第2のセンサ3により検出された、各センサ間のエッジ及びエッジの形状の相互位置関係が算出される(ステップ106)。
【0055】
本実施形態では、例えば一例として、領域を格子状に分割し、各格子に割り当てられた確率変数で格子状の反射物の有無を判定するOGMが用いられる。センサの移動に伴う時間積算を用いてOGMのアルゴリズムで設定した領域上の周辺の反射物に位置をプロットし、カメラ(第2のセンサ3)との親和性の高いエッジ情報が取得される。
【0056】
図4は、第2のセンサ3により取得された画像データ上でのエッジの位置関係を模式的に示す図である。
【0057】
図1に示すように、第1のセンサ2及び第2のセンサ3の照射方向と直行する方向(矢印6の方向)に移動体1が移動し、第1のセンサ2により取得されたデータの時間積算によりOGMが実施される。これにより、図1の静止物体4からエッジ5a、エッジ5b、エッジ5c及びエッジ5dの位置が算出される。
【0058】
また図4に示すように、第2のセンサ3によりエッジ25a、エッジ25b、エッジ25c及びエッジ25dを含む静止物体4の画像データが取得される。
【0059】
OGM等のアルゴリズムによって得られたエッジ5a、エッジ5b、エッジ5c及びエッジ5dは、第1のセンサ2の移動方向と照射方向の軸上での相互位置及び相互距離が明確である。これに対し、画像データから得られたエッジ25a、エッジ25b、エッジ25c及びエッジ25dの相互位置及び相互距離は明確ではないが、画像データが取得された際の第2のセンサ3の位置と画像データ像のピクセル上での各エッジの相互位置は明確である。
【0060】
すなわち、エッジ5a、エッジ5b、エッジ5c及びエッジ5dと、エッジ25a、エッジ25b、エッジ25c及びエッジ25dと各センサ間との対応関係が算出される(ステップ107)。
【0061】
またパラメータ算出部16により、各エッジの対応関係(マッチング)から各センサの相対位置と相対角度とが算出される(ステップ108)。すなわち、エッジ5a、エッジ5b、エッジ5c及びエッジ5dと、エッジ25a、エッジ25b、エッジ25c及びエッジ25dとから計算される各センサの同時刻での相互位置関係の差分から第1のセンサ2及び第2のセンサ3間のキャリブレーションパラメータが算出される。
【0062】
以上、本実施形態に係るキャリブレーション装置10は、第1のセンサ2及び第2のセンサ3を搭載した移動体1の移動量と、移動時の第1の時刻における第1のセンサ2により取得される第1の検出結果と、第2の時刻における第1のセンサ2により取得される第2の検出結果とに基づいて、移動体1の周辺環境における静止物体4のエッジ5に関する第1のエッジ情報が生成される。第2のセンサ3により取得される第3の検出結果に基づいて、エッジ5に関する第2のエッジ情報が生成される。第1のエッジ情報と第2のエッジ情報とに基づいて、第1のセンサ2及び第2のセンサ3のキャリブレーションが実行される。これにより、高精度なキャリブレーションを実現することが可能となる。
【0063】
従来、ミリ波レーダ及びカメラ等の複数種類のセンサを設置し、情報を組み合わせることで単体のセンサより高い精度を実現することが図られている。しかし、機器の使用中の振動や経年劣化により、センサの位置がずれ、組み合わせた情報の精度が低下してしまう。そのため、静的環境で特殊なキャリブレーションターゲットを用いて高精度なキャリブレーションを行う必要がある。
【0064】
また周辺物をキャリブレーションターゲットに見立て、機器の使用中のセンサ間の相互位置情報を補正し相互にキャリブレーションが行われる場合、事前情報として地図データが必要であり、キャリブレーションの精度はセンサ単体の推定精度に依存する。
【0065】
本技術では、合成開口レーダ(SAR)やOGMのように、レーダデータから立体的なエッジを得て、周辺環境のエッジや形状を取得する。そのエッジをキャリブレーションターゲットとすることで、カメラ画像のエッジとの相対位置を算出することで、センサ単体の角度推定精度以上の高精度なキャリブレーションを実行する。すなわち、地図データ等の事前情報を用いず、キャリブレーションターゲットの位置が未知の場合でも、ミリ波レーダ及びカメラ間のキャリブレーションを実行することが可能である。
【0066】
<その他の実施形態>
本技術は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態を実現することができる。
【0067】
上記の実施形態では、センサ単体でXYZ軸の検出が可能なセンサのキャリブレーションが実行されたが、これに限定されず、検出可能な座標軸が少ないセンサ間でもキャリブレーションが行われてもよい。この場合、キャリブレーション対象の軸を対象のセンサに合わせて減らしてもよい。また不足している次元の方向の位置の異なるデータが複数回取得され、データの次元数が増やされてもよい。
【0068】
上記の実施形態では、第1のセンサ2にミリ波レーダが用いられた。これに限定されず、時間積算により周辺環境のエッジ及びエッジの形状を検知可能であればレーダ以外のセンサでも上記のキャリブレーションが実施されてもよい。例えば、単フレームの情報では周辺環境の形状を取得できない画像センサの場合、視差と対応するエッジの相対的な位置関係からキャリブレーションが実施される。また、画像センサでも移動視差から任意のアルゴリズムで周辺環境の形状を取得できる場合、エッジだけでなく周辺環境の形状のマッチングからキャリブレーションパラメータが算出可能である。
【0069】
上記の実施形態では、第1のセンサ2及び第2のセンサ3は、移動体(車両)に搭載された。これに限定されず、ドローン等の飛行体にも搭載されてもよい。この場合、飛行体は斜め方向等に移動する場合でも上記のキャリブレーションが実行されてもよい。
【0070】
各図面を参照して説明したターゲット検出部、形状計算部、パラメータ算出部等の各構成、通信システムの制御フロー等はあくまで一実施形態であり、本技術の趣旨を逸脱しない範囲で、任意に変形可能である。すなわち本技術を実施するための他の任意の構成やアルゴリズム等が採用されてよい。
【0071】
なお、本開示中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。上記の複数の効果の記載は、それらの効果が必ずしも同時に発揮されるということを意味しているのではない。条件等により、少なくとも上記した効果のいずれかが得られることを意味しており、もちろん本開示中に記載されていない効果が発揮される可能性もある。
【0072】
以上説明した各形態の特徴部分のうち、少なくとも2つの特徴部分を組み合わせることも可能である。すなわち各実施形態で説明した種々の特徴部分は、各実施形態の区別なく、任意に組み合わされてもよい。
【0073】
なお、本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)
第1のセンサ及び第2のセンサを搭載した移動体の移動量を算出する算出部と、
前記移動体の移動時の第1の時刻における前記第1のセンサにより取得される第1の検出結果と、前記移動体の移動時の第2の時刻における前記第1のセンサにより取得される第2の検出結果と、前記移動量とに基づいて、前記移動体の周辺環境における静止物体のエッジに関する第1のエッジ情報を生成する第1の生成部と、
前記第2のセンサにより取得される第3の検出結果に基づいて、前記エッジに関する第2のエッジ情報を生成する第2の生成部と、
前記第1のエッジ情報と前記第2のエッジ情報とに基づいて、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサのキャリブレーションを実行する実行部と
を具備するキャリブレーション装置。
(2)(1)に記載のキャリブレーション装置であって、
前記エッジ情報は、前記第1のセンサと前記エッジとの位置関係、前記第2のセンサと前記エッジとの位置関係、及び前記エッジの形状を含む
キャリブレーション装置。
(3)(2)に記載のキャリブレーション装置であって、
前記エッジ情報は、前記第1のセンサと前記エッジ間との距離、前記第1のセンサと前記エッジ間との相互位置、前記エッジを含む撮影画像、又は前記撮影画像のピクセル上の位置の少なくとも1つを含む
キャリブレーション装置。
(4)(2)に記載のキャリブレーション装置であって、
前記エッジ情報は、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサの移動による視差、又は前記第1のセンサ及び前記第2のセンサの移動による時間積算に基づいて生成される
キャリブレーション装置。
(5)(1)に記載のキャリブレーション装置であって、さらに、
前記第1のエッジ情報及び前記第2のエッジ情報に基づいて、前記エッジをキャリブレーションターゲットとするキャリブレーションターゲット検出部を具備する
キャリブレーション装置。
(6)(3)に記載のキャリブレーション装置であって、さらに、
前記第1のエッジ情報及び前記第2のエッジ情報に基づいて、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサ間のキャリブレーションパラメータを算出する算出部を具備する
キャリブレーション装置。
(7)(1)に記載のキャリブレーション装置であって、
前記キャリブレーションパラメータは、前記第1のセンサの互いに直行する3軸方向の相対位置、及び前記3軸の相対角度に関する6軸のパラメータを少なくとも含む
キャリブレーション装置。
(8)(6)に記載のキャリブレーション装置であって、
前記算出部は、前記第1のセンサと前記エッジとの相互位置、及び前記第2のセンサと前記エッジとの相互位置の差分に基づいて、前記キャリブレーションパラメータを算出する
キャリブレーション装置。
(9)(1)に記載のキャリブレーション装置であって、
前記第1のセンサ及び前記第2のセンサは、前記移動体の移動により視差が生じるように前記移動体に搭載される
キャリブレーション装置。
(10)(1)に記載のキャリブレーション装置であって、
前記第1のセンサ及び前記第2のセンサは、前記移動体の移動方向と直行する方向に向かって照射する
キャリブレーション装置。
(11)(1)に記載のキャリブレーション装置であって、
前記第1のセンサは、距離及び角度の計測が可能なセンサを含み、
前記第2のセンサは、前記第2のセンサの位相差に基づいて、前記静止物体の前記エッジの角度を推定するセンサを含む
キャリブレーション装置。
(12)(11)に記載のキャリブレーション装置であって、
前記第1のセンサは、ミリ波レーダであり、
前記第2のセンサは、カメラである
キャリブレーション装置。
(13)
第1のセンサ及び第2のセンサを搭載した移動体の移動量を算出し、
前記移動体の移動時の第1の時刻における前記第1のセンサにより取得される第1の検出結果と、前記移動体の移動時の第2の時刻における前記第1のセンサにより取得される第2の検出結果と、前記移動量とに基づいて、前記移動体の周辺環境における静止物体のエッジに関する第1のエッジ情報を生成し、
前記第2のセンサにより取得される第3の検出結果に基づいて、前記エッジに関する第2のエッジ情報を生成し、
前記第1のエッジ情報と前記第2のエッジ情報とに基づいて、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサのキャリブレーションを実行する
ことをコンピュータシステムが実行するキャリブレーション方法。
(14)
第1のセンサ及び第2のセンサを搭載した移動体の移動量を算出するステップと、
前記移動体の移動時の第1の時刻における前記第1のセンサにより取得される第1の検出結果と、前記移動体の移動時の第2の時刻における前記第1のセンサにより取得される第2の検出結果と、前記移動量とに基づいて、前記移動体の周辺環境における静止物体のエッジに関する第1のエッジ情報を生成するステップと、
前記第2のセンサにより取得される第3の検出結果に基づいて、前記エッジに関する第2のエッジ情報を生成するステップと、
前記第1のエッジ情報と前記第2のエッジ情報とに基づいて、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサのキャリブレーションを実行するステップと
をコンピュータシステムに実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0074】
1…移動体
2…第1のセンサ
3…第2のセンサ
4…静止物体
5…エッジ
10…キャリブレーション装置
14…形状計算部
15…キャリブレーションターゲット検出部
16…パラメータ算出部
17…キャリブレーション実行部
図1
図2
図3
図4