(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177840
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】ロボット制御装置及びロボット制御システム
(51)【国際特許分類】
B25J 19/06 20060101AFI20231207BHJP
【FI】
B25J19/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090750
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 功
(74)【代理人】
【識別番号】100169225
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 明
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 達朗
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS10
3C707KS02
3C707KS03
3C707KS04
3C707KS11
3C707KS36
3C707KW06
3C707KX19
3C707LU10
3C707LV15
3C707MS07
3C707MS09
3C707MS10
3C707MS27
(57)【要約】
【課題】協働ロボットの動作状態が協働状態と非協働状態とのうちのいずれであるかを精度良く判定できるロボット制御装置を提供する。
【解決手段】ロボット制御装置は、所定の検出範囲内に居る人を検出する検出装置から検出範囲を取得する取得部と、取得部が取得した検出範囲が、人と協働する協働ロボットに関する所定範囲を含むように協働ロボットに対して設定されている設定範囲を含むか否かを判定する範囲判定部と、協働ロボットの動作速度と第一速度との大小関係を判定する速度判定部と、範囲判定部及び速度判定部の判定結果に従って、協働ロボットの動作状態が、所定範囲内に人が入り得る場合において人と一緒に動作できる状態である協働状態と所定範囲内に人が入り得る場合において人と一緒に動作できない状態である非協働状態とのうちのいずれであるかを判定する協働状態判定部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の検出範囲内に居る人を検出する検出装置から前記検出範囲を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記検出範囲が、人と協働する協働ロボットに関する所定範囲を含むように前記協働ロボットに対して設定されている設定範囲を含むか否かを判定する範囲判定部と、
前記協働ロボットの動作速度と第一速度との大小関係を判定する速度判定部と、
前記範囲判定部及び前記速度判定部の判定結果に従って、前記協働ロボットの動作状態が、前記所定範囲内に人が入り得る場合において人と一緒に前記協働ロボットが動作できる状態である協働状態と、前記所定範囲内に人が入り得る場合において人と一緒に前記協働ロボットが動作できない状態である非協働状態とのうちのいずれであるかを判定する協働状態判定部と、
を備えることを特徴とするロボット制御装置。
【請求項2】
前記協働状態判定部は、前記範囲判定部の判定結果が前記検出範囲が前記設定範囲を含む判定である肯定判定であり、かつ前記動作速度が前記第一速度以下であると前記速度判定部が判定する場合に、前記動作状態が前記協働状態であると判定することを特徴とする請求項1に記載のロボット制御装置。
【請求項3】
前記速度判定部は、前記動作速度と前記第一速度より遅い第二速度との大小関係をさらに判定し、
前記協働状態判定部は、前記動作速度が前記第二速度以下であると前記速度判定部が示す場合に、前記動作状態が前記協働状態であると判定することを特徴とする請求項2に記載のロボット制御装置。
【請求項4】
前記所定範囲は、前記協働ロボットからの所定の協働範囲であり、
前記範囲判定部は、前記動作速度が前記第一速度から前記第二速度まで減速する時間、人の移動速度に関する第三速度、及び前記協働範囲に従って前記設定範囲を設定することを特徴とする請求項3に記載のロボット制御装置。
【請求項5】
前記所定範囲は、前記協働ロボットが動作する動作範囲であり、
前記範囲判定部は、前記動作速度が前記第一速度から前記第二速度まで減速する時間、人の移動速度に関する第三速度、及び前記動作範囲に従って前記設定範囲を設定することを特徴とする請求項3に記載のロボット制御装置。
【請求項6】
人と協働する協働ロボットと、
所定の検出範囲内に居る人を検出する検出装置から前記検出範囲を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記検出範囲が、前記協働ロボットに関する所定範囲を含むように前記協働ロボットに対して設定されている設定範囲を含むか否かを判定する範囲判定部と、前記協働ロボットの動作速度と第一速度との大小関係を判定する速度判定部と、前記範囲判定部及び前記速度判定部の判定結果に従って、前記協働ロボットの動作状態が、前記所定範囲内に人が入り得る場合において人と一緒に前記協働ロボットが動作できる状態である協働状態と、前記所定範囲内に人が入り得る場合において人と一緒に前記協働ロボットが動作できない状態である非協働状態とのうちのいずれであるかを判定する協働状態判定部と、
を備えることを特徴とするロボット制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、協働ロボットの動作を制御するロボット制御装置及びロボット制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、検出装置と、ロボット制御装置とを具備するロボット制御システムが知られている。検出装置は、ロボットから所定の距離内であり、かつ内側に人が存在し得る範囲である協働範囲において動作する協働ロボットから所定の検出範囲内に存在する人を検出する。また、ロボット制御装置は、検出装置の検出結果に従って協働ロボットの動作を制御する。協働ロボットは、協働範囲内に人が存在する場合、動作速度を下げて動作する。なお、検出範囲は、通常、範囲内に協働範囲全体を含むように検出装置に設定される。
【0003】
これに関し、特許文献1には、制御装置が、所定時間後までのロボットの動作領域を逐次予測し、予測された動作領域を包含する領域におけるセンサの検出結果を有効に設定し、センサの検出結果が有効に設定された領域内において人の侵入が検出されたときにロボットの動作を制限する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、制御装置は、検出範囲内に人が侵入した場合、協働範囲内に人が侵入するまでに協働ロボットの動作速度を所定の速度まで低下させるか又は協働ロボットの動作そのものを一旦停止させる。ここで、検出範囲は、通常、協働範囲に対して、協働ロボットの動作速度を所定の速度まで低下させるのにかかる時間内に人が移動できる距離よりも広くなるように検出装置に設定されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、制御装置が、検出装置に設定されている検出範囲を把握できない。このため、協働ロボットの動作状態が、人が協働ロボットに関する所定範囲(例えば協働範囲)内に入り得る場合において人と一緒に動作できる状態である協働状態(以下、単に協働状態と称す)と、人が所定範囲内(例えば協働範囲)に入り得る場合において人と一緒に動作できない状態である非協働状態(以下、単に非協働状態と称す)とのうちのいずれであるかを精度よく判定できないという問題があった。
【0007】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、協働ロボットの動作状態が協働状態と非協働状態とのうちのいずれであるかを精度よく判定できるロボット制御装置及びロボット制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のロボット制御装置は、所定の検出範囲内に居る人を検出する検出装置から前記検出範囲を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記検出範囲が、人と協働する協働ロボットに関する所定範囲を含むように前記協働ロボットに対して設定されている設定範囲を含むか否かを判定する範囲判定部と、前記協働ロボットの動作速度と第一速度との大小関係を判定する速度判定部と、前記範囲判定部及び前記速度判定部の判定結果に従って、前記協働ロボットの動作状態が、前記所定範囲内に人が入り得る場合において人と一緒に前記協働ロボットが動作できる状態である協働状態と、前記所定範囲内に人が入り得る場合において人と一緒に前記協働ロボットが動作できない状態である非協働状態とのうちのいずれであるかを判定する協働状態判定部と、を備える。
【0009】
また、前記協働状態判定部は、前記範囲判定部の判定結果が前記検出範囲が前記設定範囲を含む判定である肯定判定であり、かつ前記動作速度が前記第一速度以下であると前記速度判定部が判定する場合に、前記動作状態が前記協働状態であると判定する。
【0010】
また、前記速度判定部は、前記速度判定部は、前記動作速度と前記第一速度より遅い第二速度との大小関係をさらに判定し、前記協働状態判定部は、前記動作速度が前記第二速度以下であると前記速度判定部が示す場合に、前記動作状態が前記協働状態であると判定する。
【0011】
また、前記所定範囲は、前記協働ロボットからの所定の協働範囲であり、前記範囲判定部は、前記動作速度が前記第一速度から前記第二速度まで減速する時間、人の移動速度に関する第三速度、及び前記協働範囲に従って前記設定範囲を設定する。
【0012】
また、前記所定範囲は、前記協働ロボットが動作する動作範囲であり、前記範囲判定部は、前記動作速度が前記第一速度から前記第二速度まで減速する時間、人の移動速度に関する第三速度、及び前記動作範囲に従って前記設定範囲を設定する。
【0013】
また、本発明のロボット制御システムは、人と協働する協働ロボットと、所定の検出範囲内に居る人を検出する検出装置から前記検出範囲を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記検出範囲が、前記協働ロボットに関する所定範囲を含むように前記協働ロボットに対して設定されている設定範囲を含むか否かを判定する範囲判定部と、前記協働ロボットの動作速度と第一速度との大小関係を判定する速度判定部と、前記範囲判定部及び前記速度判定部の判定結果に従って、前記協働ロボットの動作状態が、前記所定範囲内に人が入り得る場合において人と一緒に前記協働ロボットが動作できる状態である協働状態と、前記所定範囲内に人が入り得る場合において人と一緒に前記協働ロボットが動作できない状態である非協働状態とのうちのいずれであるかを判定する協働状態判定部と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ロボット制御装置及びロボット制御システムは、協働ロボットの動作状態が協働状態と非協働状態とのうちのいずれであるかを精度良く判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第一実施形態に係るロボット制御システムの構成を概略的に示す図である。
【
図2】
図1に示すロボット制御システムの回路構成を示す図である。
【
図3】
図1に示すロボット制御システムにおいて、検出範囲が不適切に設定されている場合の検出範囲及び減速範囲の関係を概略的に示す図である
【
図4】
図1に示すロボット制御装置の一連の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】第二実施形態に係るロボット制御システムの構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態(以下、「本実施形態」という。)について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素及びステップに対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0017】
―――第一実施形態―――
まず、第一実施形態について説明する。
【0018】
<構成>
図1は、第一実施形態に係るロボット制御システム1の構成を概略的に示す図である。
図1に示すように、ロボット制御システム1は、例えば、ロボット制御装置10と、協働ロボット20と、検出装置30とを含んで主要部が構成される。
【0019】
ロボット制御装置10は、検出装置30から送信される情報を取得し、取得した情報に従って、協働ロボット20の動作を制御する装置である。また、ロボット制御装置10は、協働ロボット20を中心とする範囲である協働範囲A1と、協働範囲A1から所定の距離だけ広い範囲である減速範囲A2とを協働ロボット20に対して設定する。また、ロボット制御装置10は、検出装置30から送信される情報のうち、内側に人40が居るか否かを検出するために検出装置30に設定されている検出範囲A3を取得する。また、ロボット制御装置10は、協働ロボット20から送信される情報に従って、協働ロボット20の動作速度を算出する。さらに、ロボット制御装置10は、検出範囲A3、減速範囲A2、及び協働ロボット20の動作速度に従って、協働ロボット20の状態が協働状態と非協働状態とのいずれであるかを判定し、判定した結果を人40が確認できるように外部に出力する。なお、ロボット制御装置10は、協働ロボット20が動作した場合に協働ロボット20が有する多関節アーム22が届く範囲を全て含むように、協働範囲A1を設定する。
【0020】
なお、第一実施形態において、協働状態は、人40が協働ロボット20に関する所定範囲(第一実施形態では協働範囲A1)内に入り得る場合において人40と一緒に動作できる状態である。また、非協働状態は、人40が所定範囲(第一実施形態では協働範囲A1)内に入り得る場合において人40と一緒に動作できない状態である。
【0021】
協働ロボット20は、ロボット制御装置10の動作制御に従って、ワーク(図示せず)などに対して所定の処理作業を行うロボットであり、人40が作業を行うために居得る空間に検出装置30と一緒に配置される。また、協働ロボット20は、周知のように、同じ空間に居る人40において、柵などで協働ロボット20が囲われることなく人40と一緒に動作(協働)する。協働ロボット20は、例えば、基台21と、多関節アーム22とを含んで主要部が構成される。
【0022】
検出装置30は、例えば、エリアセンサであり、検出範囲A3を設定し、設定した検出範囲A3の内側に人40が居るか否かを検出する。検出装置30は、人40が作業を行うために居得る空間に協働ロボット20と一緒に配置される。また、検出装置30は、検出範囲A3に関する情報(位置や広さなど)及び検出結果をロボット制御装置10に送信する。
【0023】
図2は、
図1に示すロボット制御システム1の回路構成を示す図である。
図2に示すように、ロボット制御装置10は、例えば、取得部11と、範囲判定部12と、速度判定部13と、協働状態判定部14と、出力部15と、入力部16と、制御部17と、記憶部100とを含んで主要部が構成される。
【0024】
記憶部100には、検出範囲A3が検出装置30に正しく設定されているか否かを判定するために必要な情報が記憶されている。具体的には、記憶部100には、例えば、速度情報110と、協働範囲情報111と、時間情報112とが記憶されている。
【0025】
速度情報110は、協働ロボット20の動作速度に関する情報である。速度情報110は、例えば、協働範囲A1内に人40が居る場合においても協働ロボット20が動作できる動作速度である第二速度v2と、第二速度v2より速い動作速度であり、人40が減速範囲A2の外周から協働範囲A1内に到達するまでに協働ロボット20が第二速度v2まで減速可能な動作速度である第一速度v1と、人40の移動速度に関する第三速度v3とを含む。ここで、第三速度v3は、人40が車などの移動手段を用いずに自力で移動する場合に発揮できる最大の移動速度vmに対して所定のマージン分だけ速い速度である。
【0026】
協働範囲情報111は、協働ロボット20を含む範囲に関する情報である。協働範囲情報111は、例えば、協働範囲A1に関する情報(位置や広さなど)と、減速範囲A2に関する情報(位置や広さなど)とを含む。
【0027】
時間情報112は、協働ロボット20が減速する際にかかる時間に関する情報である。時間情報112は、例えば、協働ロボット20が第一速度v1から第二速度v2まで動作速度を減速させる場合にかかる減速時間tsを含む。
【0028】
取得部11は、検出範囲A3内に居る人40を検出する検出装置30から検出範囲A3に関する情報(位置や広さなど)を取得する。取得部11は、取得した検出範囲A3に関する情報を範囲判定部12に送信する。また、取得部11は、検出範囲A3内に人40が居るか否かの検出結果を検出装置30から取得する。取得部11は、取得した検出結果を制御部17に送信する。
【0029】
範囲判定部12は、取得部11が取得した検出範囲A3が、協働ロボット20に関する所定範囲を含むように協働ロボット20に対して設定されている設定範囲を含むか否かを判定する。第一実施形態において、所定範囲は、協働範囲A1である。また、第一実施形態において、設定範囲は、減速範囲A2である。具体的には、第一実施形態において、設定範囲は、減速範囲A2である。範囲判定部12は、取得部11から送信される検出範囲A3が、記憶部100に記憶されている協働範囲情報111に含まれる減速範囲A2(設定範囲)の全範囲を含むか否か判定する。範囲判定部12は、当該判定の結果を協働状態判定部14に出力する。
【0030】
また、範囲判定部12は、減速時間ts、第三速度v3及び協働範囲A1(所定範囲)に従って減速範囲A2(設定範囲)を設定する。具体的には、範囲判定部12は、記憶部100から減速時間ts及び第三速度v3を読み出して、減速時間tsに対して第三速度v3を乗算する。範囲判定部12は、協働範囲A1(所定範囲)の外周から少なくとも乗算結果以上離れた位置が外周となるように減速範囲A2(設定範囲)を設定し、設定した減速範囲A2(設定範囲)を記憶部100に記憶する。
【0031】
速度判定部13は、協働ロボット20の動作速度と第一速度v1との大小関係を判定する。具体的には、速度判定部13は、協働ロボット20の位置検出部25から送信される位置検出部25の位置情報に従って、協働ロボット20の動作速度を算出する。続いて、速度判定部13は、記憶部100から第一速度v1を読み出して、第一速度v1と、算出した協働ロボット20の動作速度との大小関係を判定する。また、速度判定部13は、記憶部100から第二速度v2を読み出して、第二速度v2と、算出した協働ロボット20の動作速度との大小関係を判定する。速度判定部13は、各判定の結果を協働状態判定部14に出力する。
【0032】
協働状態判定部14は、範囲判定部12及び速度判定部13の判定結果に従って協働ロボット20の動作状態が協働状態と非協働状態とのうちのいずれであるかを判定する。具体的には、協働状態判定部14は、範囲判定部12の判定結果が検出範囲A3が上述した設定範囲を含むといった肯定判定であり、かつ協働ロボット20の動作速度が第一速度v1以下であると速度判定部13が判定する場合に、協働ロボット20の動作状態が協働状態であると判定する。また、協働状態判定部14は、協働ロボット20の動作速度が第二速度v2以下であると速度判定部13が示す場合にも、協働ロボット20の動作状態が協働状態であると判定する。
【0033】
協働ロボット20が協働状態である場合における減速範囲A2及び検出範囲A3の関係を、
図1を参照して説明する。
図1において、検出範囲A3は、減速範囲A2の全ての範囲を含むように検出装置30に設定されている。
図1において、協働ロボット20の動作速度が第一速度v1以下であると仮定した場合、協働状態判定部14は、検出範囲A3が設定範囲(減速範囲A2)を含むため、協働ロボット20の動作状態が協働状態であると判定する。
【0034】
図2に戻って、協働状態判定部14は、範囲判定部12の判定結果が検出範囲A3が上述した設定範囲を含まないといった否定判定である場合に、協働ロボット20の動作状態が非協働状態であると判定する。また、協働状態判定部14は、範囲判定部12の判定結果が上述した肯定判定であり、かつ協働ロボット20の動作速度が第一速度v1より速い速度であると速度判定部13が判定する場合にも、協働ロボット20の動作状態が非協働状態であると判定する。協働状態判定部14は、判定結果を制御部17及び出力部15に出力する。
【0035】
協働ロボット20が非協働状態である場合における減速範囲A2及び検出範囲A3の関係の一例を、
図3を参照して説明する。
図3は、
図1に示すロボット制御システム1において、検出範囲A3が不適切に設定されている場合の検出範囲A3及び減速範囲A2の関係を概略的に示す図である。
図3において、検出範囲A3は、減速範囲A2の一部が含まれないように検出装置30に設定されている。
図3において、協働状態判定部14は、検出範囲A3が減速範囲A2(設定範囲)の一部を含まないため、協働ロボット20の動作状態が非協働状態であると判定する。
【0036】
図2に戻って、出力部15は、協働状態判定部14の判定結果を出力する。出力部15は、例えば、ディスプレイやランプ、スピーカなどであり、協働状態判定部14の判定結果を表示したり音を発したりすることによって、協働ロボット20の動作状態が協働状態と非協働状態とのいずれであるかを人40に対して示す。なお、出力部15は、単なる出力端子であってもよい。この場合、出力部15は、ロボット制御装置10とは異なる外部の装置(協働ロボット20が配置されている工場などの施設のコントロールシステムやディスプレイ、ランプ、スピーカなど。図示せず)に協働状態判定部14の判定結果を出力する。
【0037】
入力部16は、人40による操作によって入力される命令を受け付け、受け付けた命令を制御部17に出力する。入力部16は、例えば、ティーチングペンダントと呼ばれる入力デバイスやキーボード、スイッチ、マウスなどである。なお、入力部16は、単なる入力端子であっても良い。この場合、入力部16は、ロボット制御装置10とは異なる外部の入力装置(ティーチングペンダントやキーボード、スイッチ、マウスなど。図示せず)から入力される命令を受け付け、受け付けた命令を制御部17に出力する。
【0038】
制御部17は、検出装置30から送信される検出結果、及び入力部16から出力される命令のうちいずれかに従って、協働ロボット20の動作を制御する。具体的には、制御部17は、入力部16から協働ロボット20の動作を開始又は停止させる命令を受け付けた場合、命令に従って協働ロボット20の動作を開始又は停止させる。また、制御部17は、入力部16から協働ロボット20の動作速度を変更する命令を受け付けた場合、命令に従って協働ロボット20の動作速度を変更する。また、制御部17は、入力部16から協働ロボット20及びロボット制御装置10に関する情報(協働ロボット20の動作速度及び動作時間、速度情報110、協働範囲情報111や時間情報112など)の提供を行う命令を受け付けた場合、命令に従って協働ロボット20及びロボット制御装置10に関する情報を出力部15に出力する。
【0039】
協働状態判定部14が協働ロボット20の動作状態が協働状態であると判定する場合における制御部17の動作について説明する。制御部17は、検出装置30から送信される検出結果が検出範囲A3内に人40がいることを示す場合、協働ロボット20の動作速度を第二速度v2まで減速させるように、協働ロボット20の動作を制御する。
【0040】
協働状態判定部14が協働ロボット20の動作状態が非協働状態であると判定する場合における制御部17の動作について説明する。制御部17は、検出装置30から送信される検出結果が検出範囲A3内に人40がいることを示す場合、協働ロボット20の動作を停止させるように、協働ロボット20の動作を制御する。
【0041】
協働ロボット20は、例えば、位置検出部25を含んでいる。協働ロボット20は、ロボット制御装置10の制御部17の動作制御に従って、多関節アーム22の動作が制御される。
【0042】
位置検出部25は、協働ロボット20における多関節アーム22に少なくとも1つ以上設けられているセンサである。位置検出部25は、協働ロボット20が配置されている空間内における位置検出部25の位置を検出し、検出した位置情報をロボット制御装置10の速度判定部13に送信する。
【0043】
検出装置30は、例えば、記憶部31と、検出部32と、制御部33と、入出力部34とを含んで主要部が構成される。
【0044】
記憶部31には、内側に人40が居るか否かを検出するための検出範囲A3に関する情報が記憶されている。具体的には、記憶部31には、例えば、検出範囲情報310が記憶されている。
【0045】
検出範囲情報310は、検出範囲A3に関する情報である。検出範囲情報310は、例えば、検出範囲A3に関する情報(位置や広さなど)を含む。
【0046】
検出部32は、記憶部31に記憶されている検出範囲A3内に人40が居るか否かを検出する。検出部32は、制御部33を介して、検出結果をロボット制御装置10の取得部11に送信する。
【0047】
制御部33は、入出力部34から出力される命令に従って、検出装置30の動作を制御する。具体的には、制御部33は、入出力部34から検出装置30による検出動作を開始又は停止させる命令を受け付けた場合、命令に従って検出装置30による検出動作を開始又は停止させる。制御部33は、検出装置30が検出動作を行っている場合、検出部32から検出範囲A3内に人40が居るか否かの検出結果を受け付け、受け付けた検出結果をロボット制御装置10の取得部11に送信する。
【0048】
また、制御部33は、入出力部34から検出範囲A3の位置及び広さを設定又は変更する命令を受け付けた場合、命令に従って検出範囲A3の位置及び広さを設定又は変更し、設定又は変更した内容を記憶部31に記憶させる。また、制御部33は、入出力部34から検出装置30に関する情報(検出範囲情報310や検出結果など)の提供を行う命令を受け付けた場合、命令に従って検出装置30に関する情報を入出力部34に出力する。
【0049】
入出力部34は、人40による操作を受け付けたり、人40に対して画面表示や音などによって情報を示したりするためのインターフェースである。入出力部34は、例えば、入力インターフェースとしてキーボードやスイッチ、マウスなどを含んで構成される。また、入出力部34は、例えば、出力インターフェースとして、ディスプレイやランプ、スピーカなどを含んで構成される。入出力部34は、人40によって入力される命令を受け付け、受け付けた命令を制御部33に出力する。また、入出力部34は、制御部33から出力される検出装置30に関する情報(検出範囲情報310や検出結果など)を画面や音として出力することによって、人40に対して当該情報を示す。
【0050】
なお、入出力部34は、単なる入出力端子であってもよい。この場合、入出力部34は、検出装置30とは異なる外部の装置(キーボードやスイッチ、マウス、コンピュータシステムなど。図示せず)から入力される命令を受け付け、受け付けた命令を制御部33に出力する。また、入出力部34は、検出装置30とは異なる外部の装置(ディスプレイやランプ、スピーカ、コンピュータシステムなど。図示せず)に検出装置30に関する情報(検出範囲情報310や検出結果など)を出力する。
【0051】
<一連の処理の流れ>
以上、ロボット制御装置10の回路構成について説明した。次に、ロボット制御装置10の一連の処理の流れについて詳しく説明する。
図4は、
図1に示すロボット制御装置10の一連の処理の流れを示すフローチャートである。
【0052】
(ステップSP10)
ロボット制御装置10は、速度判定部13によって、協働ロボット20の動作速度と、第一速度v1及び第二速度v2との大小関係を判定する。一方、速度判定部13によって、協働ロボット20の動作速度が第一速度v1以下であり、かつ第二速度v2より速い速度であると判定される場合、処理は、ステップSP12の処理に移行する。他方、速度判定部13によって、協働ロボット20の動作速度が第二速度v2以下であるか、又は第一速度v1より速い速度であると判定される場合、処理は、ステップSP20の処理に移行する。
【0053】
(ステップSP12)
ロボット制御装置10は、範囲判定部12によって、減速範囲A2(設定範囲)を設定する。具体的には、ロボット制御装置10は、範囲判定部12によって、記憶部100から減速時間ts及び第三速度v3を読み出して、減速時間tsに対して第三速度v3を乗算する。さらに、ロボット制御装置10は、範囲判定部12によって、協働範囲A1(所定範囲)の外周から少なくとも乗算結果以上離れた位置が外周となるように減速範囲A2(設定範囲)を設定し、設定した減速範囲A2(設定範囲)を記憶部100に記憶する。そして、処理は、ステップSP14の処理に移行する。
【0054】
(ステップSP14)
ロボット制御装置10は、範囲判定部12によって、検出範囲A3が減速範囲A2(設定範囲)を含むか否かを判定する。一方、検出範囲A3が減速範囲A2(設定範囲)を含むと範囲判定部12が判定する場合、処理は、ステップSP16の処理に移行する。他方、検出範囲A3が減速範囲A2(設定範囲)を含まないと範囲判定部12が判定する場合、処理は、ステップSP18の処理に移行する。
【0055】
(ステップSP16)
ロボット制御装置10は、協働状態判定部14によって、協働ロボット20の動作速度が協働状態であると判定する。そして、処理は、ステップSP26の処理に移行する。
【0056】
(ステップSP18)
ロボット制御装置10は、協働状態判定部14によって、協働ロボット20の動作速度が非協働状態であると判定する。そして、処理は、ステップSP26の処理に移行する。
【0057】
(ステップSP20)
一方、ステップSP10の処理において、速度判定部13によって、協働ロボット20の動作速度が第二速度v2以下の速度であると判定される場合、処理は、ステップSP22の処理に移行する。他方、ステップSP10の処理において、速度判定部13によって、協働ロボット20の動作速度が第二速度v2より速い速度であると判定される場合、処理は、ステップSP24の処理に移行する。
【0058】
(ステップSP22)
ロボット制御装置10は、協働状態判定部14によって、協働ロボット20の動作速度が協働状態であると判定する。そして、処理は、ステップSP26の処理に移行する。
【0059】
(ステップSP24)
ロボット制御装置10は、協働状態判定部14によって、協働ロボット20の動作速度が非協働状態であると判定する。そして、処理は、ステップSP26の処理に移行する。
【0060】
(ステップSP26)
ロボット制御装置10は、出力部15によって、協働状態判定部14が判定した協働ロボット20の動作状態を外部又は人40に対して出力する。そして、
図4に示す一連の処理は、終了する。
【0061】
<効果>
以上、第一実施形態では、ロボット制御装置10は、検出範囲A3が協働ロボット20に対して設定されている減速範囲A2(設定範囲)を含むか否かを判定し、協働ロボット20の動作速度と第一速度v1との大小関係を判定する。さらに、ロボット制御装置10は、各判定結果に従って協働ロボット20の動作状態が協働状態と非協働状態とのうちのいずれであるかを判定する。したがって、ロボット制御装置10は、協働ロボット20の動作状態が協働状態と非協働状態とのうちのいずれであるかを精度良く判定できる。
【0062】
また、第一実施形態では、ロボット制御装置10は、検出範囲A3が減速範囲A2(設定範囲)を含み、かつ協働ロボット20の動作速度が第一速度v1以下である場合に、協働ロボット20の動作状態が協働状態であると判定する。したがって、ロボット制御装置10は、検出範囲A3の設定及び協働ロボット20の動作速度が適正であるか否かにしたがって、協働ロボット20の動作状態を判定することができる。
【0063】
また、第一実施形態では、ロボット制御装置10は、協働ロボット20の動作速度が第二速度v2以下である場合に、協働ロボット20の動作状態が協働状態であると判定する。したがって、ロボット制御装置10は、協働ロボット20の動作速度が第二速度v2以下であれば、検出範囲A3の設定に関わらず、協働ロボット20の動作状態を協働状態であると判定することができる。
【0064】
また、第一実施形態では、ロボット制御装置10は、減速時間ts、人40の移動に関する第三速度v3、及び協働範囲A1(所定範囲)に従って減速範囲A2(設定範囲)を協働ロボット20に対して設定する。したがって、ロボット制御装置10は、人40の移動速度を考慮した上で、減速範囲A2を協働ロボット20に対して設定することができる。
【0065】
―――第二実施形態―――
続いて、第二実施形態について説明する。なお、以下に示す第二実施形態において、第一実施形態と同じ構成に関しては、同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0066】
<構成>
図5は、第二実施形態に係るロボット制御システム1の構成の概略を示す図である。
図5に示すように、第二実施形態では、設定範囲が減速範囲A2から減速範囲A5に変更されており、さらに所定範囲が協働範囲A1から協働ロボット20が動作する範囲である動作範囲A4に変更されていることを除いて、第一実施形態におけるロボット制御システム1と、第二実施形態におけるロボット制御システム1との間に構成の差はない。すなわち、第二実施形態において、所定範囲は、動作範囲A4である。また、第二実施形態において、設定範囲は、減速範囲A5である。
【0067】
なお、第二実施形態において、協働状態は、人40が協働ロボット20に関する所定範囲(第二実施形態では動作範囲A4)内に入り得る場合において人40と一緒に動作できる状態である。また、非協働状態は、人40が所定範囲(第二実施形態では動作範囲A4)内に入り得る場合において人40と一緒に動作できない状態である。
【0068】
第二実施形態におけるロボット制御装置10の動作について説明する。ロボット制御装置10は、協働範囲A1のうち協働ロボット20の多関節アーム22が動作する範囲である動作範囲A4(所定範囲)と、動作範囲A4から所定の距離だけ広い範囲である減速範囲A5(設定範囲)とを協働ロボット20に対して設定する。また、ロボット制御装置10は、検出装置30から送信される情報のうち、検出装置30に設定されている検出範囲A3を取得する。また、ロボット制御装置10は、協働ロボット20から送信される情報に従って、協働ロボット20の動作速度を算出する。さらに、ロボット制御装置10は、検出範囲A3、減速範囲A5(設定範囲)、及び協働ロボット20の動作速度に従って、協働ロボット20の状態が協働状態と非協働状態とのうちのいずれであるかを判定し、判定した結果を人40が確認できるように外部に出力する。なお、ロボット制御装置10は、協働ロボット20の状態が協働状態と非協働状態とのうちのいずれであるかの判定結果をロボット制御装置10とは異なる外部の装置(協働ロボット20が配置されている工場などの施設のコントロールシステムやディスプレイやランプ、スピーカなど。図示せず)に出力しても良い。
【0069】
第二実施形態において、記憶部100に記憶されている協働範囲情報111は、さらに、動作範囲A4に関する情報(位置や広さなど)と、減速範囲A5に関する情報(位置や広さなど)を含む。
【0070】
第二実施形態において、範囲判定部12は、協働ロボット20の動作速度が第一速度v1から第二速度v2まで減速する時間である減速時間ts、人40の移動速度に関する第三速度v3、及び動作範囲A4に従って減速範囲A5(設定範囲)を設定する。具体的には、範囲判定部12は、記憶部100から減速時間ts及び第三速度v3を読み出して、減速時間tsに対して第三速度v3を乗算する。範囲判定部12は、動作範囲A4(所定範囲)の外周から少なくとも乗算結果以上離れた位置が外周となるように減速範囲A5(設定範囲)を設定し、設定した減速範囲A5(設定範囲)を記憶部100に記憶する。
【0071】
<効果>
以上、第二実施形態では、ロボット制御装置10は、範囲判定部12によって、協働ロボット20が動作する範囲である動作範囲A4(所定範囲)、減速時間ts及び第三速度v3に従って、減速範囲A5(設定範囲)を設定する。したがって、ロボット制御装置10は、協働ロボット20が動作する範囲である動作範囲A4を考慮して、協働ロボット20に対して減速範囲A5(設定範囲)を設定することができる。
【0072】
―――変形例―――
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。すなわち、上記の実施形態に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。また、上記実施形態及び後述する変形例が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【0073】
例えば、検出装置30から送信される検出結果が検出範囲A3内に人40がいることを示したことを受けて、制御部17が協働ロボット20の動作速度を第二速度v2まで減速させた後に、検出装置30から送信される検出結果が検出範囲A3内に人40がいないことを示した場合、制御部17は、協働ロボット20の動作速度を第一速度v1以下の所定の速度まで加速させても良い。この構成によれば、ロボット制御装置10は、検出範囲A3内に人40が居るか否かに従って効率良く協働ロボット20を動作させることができる。
【0074】
また、ロボット制御装置10は、検出装置30が検出範囲A3を設定する際に用いることができるように、協働範囲情報111が含む減速範囲A2に関する情報を検出装置30に送信しても良い。この構成によれば、ロボット制御装置10は、検出装置30の検出範囲A3の設定の補助を行うことができる。
【0075】
なお、
図1、
図3及び
図5において、協働範囲A1、減速範囲A2及びA5、動作範囲A4並びに検出範囲A3は、協働ロボット20の設置面に対して水平な平面上の範囲として描かれているが、これに限られるものではない。協働範囲A1、減速範囲A2及びA5、動作範囲A4並びに検出範囲A3は、協働ロボット20の設置面に対して水平な平面上における範囲だけでなく、協働ロボット20が設けられる空間内における全ての方向に対する範囲である。
【符号の説明】
【0076】
1…ロボット制御システム、10…ロボット制御装置、11…取得部、12…範囲判定部、13…速度判定部、14…協働状態判定部、15…出力部、20…協働ロボット、30…検出装置、40…人、A1…協働範囲(所定範囲)、A2…減速範囲(設定範囲)、A3…検出範囲、A4…動作範囲(所定範囲)、A5…減速範囲(設定範囲)