(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177852
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】読取システム
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20231207BHJP
H04B 5/02 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
G06K7/10 128
G06K7/10 264
H04B5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090786
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】深瀬 裕之
【テーマコード(参考)】
5K012
【Fターム(参考)】
5K012AC08
5K012AC10
(57)【要約】
【課題】測定対象の視認性を確保することによって無線タグの読取精度をさらに向上できる読取システムを提供する。
【解決手段】読取システム1は、RFIDタグ12が貼付される複数の物品11を含む測定対象10を開口部21から内部に載置可能であり、開口部21が扉部材22によって開閉可能に構成される検査室2と、検査室2に設けられ、測定対象10を載置する載置台3と、載置台3を少なくとも水平方向に移動する駆動装置5と、検査室2の内部に設けられ、載置台3に載置されたい状態で駆動装置5により移動される複数の物品11に貼付されているRFIDタグ12から情報を読み取るRFIDアンテナ4と、検査室2の扉部材22の外面に設けられ、検査室2の内部を外部から視認可能とする透明性部材24とを備える。検査室2、扉部材22、及び透明性部材24は、電波を遮蔽できる性状をもつよう構成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグが貼付される複数の物品を含む測定対象を開口部から内部に載置可能であり、前記開口部が扉部材によって開閉可能に構成される検査室と、
前記検査室に設けられ、前記測定対象を載置する載置台と、
前記載置台を少なくとも水平方向に移動する駆動装置と、
前記検査室の内部に設けられ、前記載置台に載置された状態で前記駆動装置により移動される前記複数の物品に貼付されている前記無線タグから情報を読み取る読取装置と、
前記検査室または前記扉部材の外面の少なくとも一部として設けられ、前記検査室の内部を外部から視認可能とする透明性部材と、
を備え、
前記検査室、前記扉部材、及び前記透明性部材は、電波を遮蔽できる性状をもつよう構成される、
読取システム。
【請求項2】
前記透明性部材は、前記扉部材に設けられる、
請求項1に記載の読取システム。
【請求項3】
前記駆動装置は、
前記検査室の床面に水平方向の一方向に沿って設けられるレールと、
前記載置台の底面に設けられ、前記レールに篏合されるローラと、
前記載置台に連結されて前記検査室の外部に延在して設けられ、外力を入力可能なハンドルと、
を有し、
前記ハンドルを介して入力された外力に応じて、前記ローラが回転して前記レールに沿って移動することによって、前記載置台を往復移動させる、
請求項1または2に記載の読取システム。
【請求項4】
前記駆動装置に動力を供給する駆動源と、
前記透明性部材を介して前記検査室の内部の前記複数の物品を撮像する撮像装置と、
前記駆動源及び前記撮像装置の動作を制御する制御装置と、
を有し、
前記制御装置は、前記撮像装置により撮像された前記複数の物品の前記載置台上の配置状況に応じて、前記駆動源による前記駆動装置の制御量を調整する、
請求項1または2に記載の読取システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、読取システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFID(Radio Frequency Identification)タグなどの無線タグを用いて物品の管理を行う技術が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、無線タグが貼付される複数の物品を含む測定対象を開口部から内部に載置可能であり、開口部が扉部材によって開閉可能に構成される検査室と、検査室に設けられ、測定対象を載置した状態で少なくとも水平方向に移動可能に構成される載置台と、検査室の内部に設けられ、載置台に載置されて載置台の移動によって少なくとも水平方向に移動された複数の物品に貼付されている無線タグから情報を読み取る読取装置と、を備える読取システムについて開示されている。
【0004】
特許文献1に記載の読取システムによれば、検査室内の載置台を移動可能に構成することで、載置台上の測定対象を揺動させて、複数の物品の相対的な位置関係を変化させることができる。これにより、測定対象の各物品の無線タグが読取装置によって読み取りにくい配置の場合であっても、これらの配置を解消して無線タグを読み取りやすい配置に遷移させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、特許文献1に記載の読取システムでは、読取装置による無線タグの読取精度を向上させるために、検査室や扉部材の内壁の表面は、電波を遮蔽できる性状をもつ電波遮蔽材で覆われる。電波遮蔽材としては金属物質など非透明性の材質が主に使用される。このため、従来の読取システムでは検査室内部の視認性に改善の余地がある。外部から検査室内部を視認できないと、載置台上の複数の物品の配置状況を把握できないので、載置台を揺動させても、すべての物品を読み取れる状態にできない場合が生じ得る。
【0007】
本開示は、測定対象の視認性を確保することによって無線タグの読取精度をさらに向上できる読取システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態の一観点に係る読取システムは、無線タグが貼付される複数の物品を含む測定対象を開口部から内部に載置可能であり、前記開口部が扉部材によって開閉可能に構成される検査室と、前記検査室に設けられ、前記測定対象を載置する載置台と、前記載置台を少なくとも水平方向に移動する駆動装置と、前記検査室の内部に設けられ、前記載置台に載置された状態で前記駆動装置により移動される前記複数の物品に貼付されている前記無線タグから情報を読み取る読取装置と、前記検査室または前記扉部材の外面の少なくとも一部として設けられ、前記検査室の内部を外部から視認可能とする透明性部材と、を備え、前記検査室、前記扉部材、及び前記透明性部材は、電波を遮蔽できる性状をもつよう構成される。
【0009】
この態様によれば、検査室に透明性部材を設けることにより、透明性部材を介して検査室の内部を外部から視認させることが可能となる。これにより、例えば揺動作業を作業者が行う場合には、作業者は、測定対象の各物品の配置状態を逐次確認しながら、無線タグの読取処理にとって適切な配置となるように揺動を行うことができる。この結果、測定対象のすべての物品を読取装置により読み取れる配置状態により確実に、より容易に、かつ、より迅速に遷移させることが可能となる。また、透明性部材が検査室及び扉部材と同様の電波遮蔽性状をもつことにより、検査室に透明性部材を設けても、読取装置の読み取り能力を阻害することもない。この結果、測定対象の視認性を確保することによって無線タグの読取精度をさらに向上できる。
【0010】
本発明の実施形態の他の観点に係る読取システムでは、前記透明性部材は、前記扉部材に設けられる構成でもよい。この態様によれば、検査室内の各物品の配置状況を、透明性部材を介して視認しやすくでき、測定対象のすべての物品を読取装置により読み取れる配置状態へと、より効率良く遷移させることが可能となる。
【0011】
本発明の実施形態の他の観点に係る読取システムでは、前記駆動装置は、前記検査室の床面に水平方向の一方向に沿って設けられるレールと、前記載置台の底面に設けられ、前記レールに篏合されるローラと、前記載置台に連結されて前記検査室の外部に延在して設けられ、外力を入力可能なハンドルと、を有し、前記ハンドルを介して入力された外力に応じて、前記ローラが回転して前記レールに沿って移動することによって、前記載置台を往復移動させる構成でもよい。この態様によれば、載置台の揺動を手動操作で容易に行うことができる。
【0012】
本発明の実施形態の他の観点に係る読取システムは、前記駆動装置に動力を供給する駆動源と、前記透明性部材を介して前記検査室の内部の前記複数の物品を撮像する撮像装置と、前記駆動源及び前記撮像装置の動作を制御する制御装置と、を有し、前記制御装置は、前記撮像装置により撮像された前記複数の物品の前記載置台上の配置状況に応じて、前記駆動源による前記駆動装置の制御量を調整する構成でもよい。
【0013】
この態様によれば、駆動源や撮像装置を用いて揺動を自動制御することにより、より適切な揺動を行わせることが可能となるので、無線タグの読取精度をさらに向上できる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、測定対象の視認性を確保することによって無線タグの読取精度をさらに向上できる読取システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態に係る読取システムの概略構成を示す断面図
【
図2】
図1中の載置台及び駆動装置の概略構成を示す平面図
【
図6】透明性部材を適用することによる第1の効果を説明する模式図
【
図7】透明性部材を適用することによる第2の効果を説明する模式図
【
図9】第2実施形態に係る読取システムの概略構成を示す断面図
【
図10】第2実施形態の読取システムによる揺動制御のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0017】
なお、以下の説明において、x方向、y方向、z方向は互いに垂直な方向である。x方向及びy方向は水平方向であり、z方向は鉛直方向である。x方向は、読取システム1の前後方向であり、y方向は、読取システム1の幅方向である。また、以下では説明の便宜上、z正方向側を上側、z負方向側を下側とも表現する場合がある。
【0018】
[第1実施形態]
<読取システムの構成>
まず
図1~
図3を参照して、第1実施形態に係る読取システム1の基本構成について説明する。
【0019】
図1は、第1実施形態に係る読取システム1の概略構成を示す断面図である。
図2は、
図1中の載置台3及び駆動装置5の概略構成を示す平面図である。
図3は、
図1に示す読取システム1の正面図である。
図3は、読取システム1を前面側(x正方向側)から視たものである。なお、
図2では、図面右側が読取システム1の前面側(x正方向側)となるように図示されている。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の読取システム1は、複数の物品11を含む測定対象10から各物品11の情報を読み取るための装置である。各物品11にはRFIDタグ12(無線タグ)が貼付されており、読取システム1はRFIDタグ12に記憶されている情報を読み取ることで各物品11の情報を取得することができる。
【0021】
測定対象10の具体例としては、例えば病院の薬品棚から持ち出されてトレイ13に乗せられた複数の医療用医薬品11などが挙げられる。
【0022】
読取システム1は、検査室2と、載置台3と、RFIDアンテナ4(読取装置)と、駆動装置5と、制御装置6とを備える。
【0023】
検査室2は、測定対象10から情報を読み取るために利用される空間である。検査室2は、例えば六面体形状であり、その表面に外部から測定対象10を内部に搬入して載置可能な開口部21が設けられる。開口部21は例えば
図1に示すように検査室2のx正方向側の前面2Aに設けられる。また、開口部21には扉部材22が回動可能に取り付けられ、開口部21は扉部材22によって開閉可能に構成される。
図1、
図2に示すように、検査室2には、z負方向側の略矩形状の底板2Bの四つの角部から下方に脚部23が延在して設けられており、これにより底板2Bの下方に空間が形成されている。
【0024】
図1~
図3に示すように、扉部材22の一部には透明性部材24が設けられている。透明性部材24は、検査室2の内部を外部から視認可能とする部材である。透明性部材24は、半透明なものも含む。本実施形態では、透明性部材24は、
図3に示すように、扉部材22を前方(x正方向側)から視たときに、扉部材22の外枠に囲まれた中央の矩形状の部分)に設けられる。
【0025】
載置台3は、検査室2の内部に設けられ、測定対象10を載置可能な板状部材である。載置台3は、駆動装置5によって、水平方向の一方向(
図1の例ではx方向)に往復移動可能に構成される。
【0026】
駆動装置5は、例えば
図1、
図2に示す構成をとり、レール51と、ローラ52と、ハンドル53とを有する。レール51は、検査室2の底板2Bの上面(床面)に、載置台3の移動方向に沿って設けられる。レール51は例えば
図2に示すように載置台3の幅方向に2本並設される。
【0027】
ローラ52は、載置台3の底面3Aに設けられ、レール51に篏合されてレール51に沿ってx方向に回転移動可能に設けられる。ローラ52は例えば
図2に示すように、1本のレール51ごとに載置台3の前後方向(x方向)に沿って2個設けられ、合計4個設けられる。各ローラ52は、例えばベアリングを介して軸支されており、これにより載置台3が前後方向に外力を受けたときに円滑に回転してレール51上を移動できるよう構成される。
【0028】
ハンドル53は、載置台3に前後方向の外力を入力可能な部材である。ハンドル53は、載置台3に連結されて検査室2の外部に延在して設けられる。検査室2の底板2Bには載置台3の直下(例えば
図2に示すように二本のレール51の間)に、x方向に延在するよう開口部54が設けられる。ハンドル53は、棒状部材であってその一方の端部53Aが載置台3の底面3Aに接続されている。ハンドル53は底面3Aから真下に延びて開口部54を通過して底板2Bの下方に進出した後に、x正方向側に屈曲して水平に延びて検査室2の前側に進出する。ハンドル53の他方の端部53Bには操作者が把持するグリップ56が連結される。ハンドル53を介して入力された外力に応じて、ローラ52が回転してレール51に沿って移動することによって、載置台3がx方向に往復移動する。
【0029】
上述のように脚部23を設けて検査室2の下方に空間を形成することによって、この空間に駆動装置5のハンドル53を配置することが可能となるので、RFIDアンテナ4による測定対象10の読み取りに影響が出にくいように駆動装置5を配置することができる。また、この配置の場合、ハンドル53を検査室2から外部へ引き出すための開口部54は、載置台3によってRFIDアンテナ4から遮蔽される。このため、RFIDアンテナ4による読み取り動作時に電波が開口部54から漏れることを防止できる。
【0030】
また、検査室2において、載置台3が一の方向(x負方向)に移動したときに突き当たる位置にストッパ55Aが設けられる。また、載置台3の移動方向(x方向)の両側の端面にもストッパ55Bが設けられる。駆動装置5によって載置台3が往復運動する際に、載置台3のx負方向側の端面がストッパ55Aと突き当たって反力を受けることができ、また、載置台3のx正方向側及びx負方向側の端面にそれぞれ設けられるストッパ55Bが検査室の内壁と突き当たって反力を受けることができるので、載置台3の往復運動の反転をスムーズにできる。また、載置台3が検査室2の内壁に衝突するのを回避できるので、載置台3の破損などの消耗を抑制でき、また、衝撃によって載置台3上の物品11が載置台3の外へ飛び出すのを抑制できる。
【0031】
なお、ストッパ55A、55Bは、ゴムやばねなどの弾性部材であるのが好ましい。ストッパ55A、55Bが弾性部材であると、載置台3が突き当たる際に弾性収縮することで衝撃を吸収できるので載置台3の消耗をさらに抑制できる。また、弾性復帰することで載置台3に移動反転方向に力を付与できるので、載置台3の往復運動の判定をよりスムーズにできる。また、ストッパ55A、55Bの配置は
図1、
図2の構成に限られず、載置台3が検査室2の内壁と突き当たる際に両者の間に介在できれば他の配置でもよい。例えば、載置台3のx方向両側の端面のみにストッパを配置する構成でもよいし、検査室2の内壁の載置台3が突き当たる位置のみにストッパを配置する構成でもよい。
【0032】
RFIDアンテナ4は、検査室2の内部に設けられ、載置台3に載置されて往復運動された複数の物品11に貼付されているRFIDタグ12から情報を読み取る。RFIDアンテナ4は、読み取った情報を制御装置6に送信することができる。RFIDアンテナ4は、例えば検査室2の天板2Cに設置されて、受信領域Rが載置台3の上面に向くように配置されている。
【0033】
なお、RFIDタグ12とRFIDアンテナ4との間の通信は、通信距離を考慮すると短距離通信に適するHF帯を用いるのが好ましいが、タグのICチップの小型化に有利なUHF帯を用いてもよい。また、RFIDタグ12は、RFIDアンテナ4から放射された電波により駆動するパッシブタグでもよいし、内部電源により駆動して通信するアクティブタグでもよい。
【0034】
また、RFIDアンテナ4の読取精度を向上させるため、検査室2及び扉部材22の内壁の表面を、電波を吸収するような性状としてもよい。これにより、例えば、載置台3上の単一の物品11のRFIDタグ12から発せられた電波が検査室2の内壁に反射して、RFIDアンテナ4が複数の方向から電波を受信することになり、この結果、RFIDアンテナ4が複数のRFIDタグ12から電波を受信したと誤って認識するようなケースを回避できる。また、例えば検査室2の内部に載置された物品11のものではなく、検査室2の外部にある別のRFIDタグ12から発せられた電波をRFIDアンテナ4が誤って読み取ることも防止できる。
【0035】
言い換えると、検査室2及び扉部材22の内壁の表面は、電波を遮蔽できる性状をもつ電波遮蔽材で覆うことができる。電波遮蔽材としては、例えば金属物質など非透明性の材質が主に使用される。検査室2及び扉部材22の全体を電波遮蔽材で形成して、これにより内壁において電波を遮蔽する構成としてもよい。
【0036】
また、透明性部材24も、上記の電波遮蔽材と同様の電波遮蔽性状をもつよう構成されるのが好ましい。このような透明性部材24の性状を満たす構造としては、例えば、透明性をもつガラス板と、透明性と電波遮断性を併せ持つ金網やパンチングメッシュプレートなどの有孔金属部材とを積層する構造が挙げられる。有孔金属部材に形成される孔の大きさは、RFIDタグ12とRFIDアンテナ4との間の通信に用いる周波数帯に応じて、所望の周波数帯の電波を遮断できるように調整すればよい。
【0037】
制御装置6は、RFIDアンテナ4など読取システム1の構成要素の動作を制御する。また、制御装置6は、RFIDアンテナ4により取得された物品11に係る情報を集約して記憶したり、情報に基づき計数や在庫管理などの処理を実行する構成であってもよい。 制御装置6は、物理的には、CPU(Central Processing Unit)、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)、通信モジュール、補助記憶装置、などを含むコンピュータシステムとして構成することができる。上述した制御装置6の各機能は、CPUやRAMなどに所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPUの制御のもとで各種ハードウェアを動作させると共に、RAMにおけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0038】
本実施形態の読取システム1による測定対象10の情報読取手順を説明する。まず作業者は、読取システム1の外部で、RFIDタグ12が貼付された複数の物品11をトレイ13に投入して測定対象10を用意する。次に作業者は扉部材22を開けて、開口部21から検査室2の内部の載置台3に測定対象10を載置する。その後、作業者が扉部材22を閉じて検査室2が閉じられる。
【0039】
なお、載置台3とトレイ13との間には、載置台3の往復運動によりトレイ13が載置台3から外れないように、固定(保持)手段を設けるのが好ましい。また載置台3とトレイ13とを一体的に構成して、物品11を開口部21から、または図示しない検査室2の上部の開口部(投入口)からトレイ13に収納してもよい。載置台3とトレイ13とを別体とする場合は、投入される物品11の種類に適合した大きさや形状を有するトレイ13を用意しておくことで、対象物品を広げることができる。
【0040】
制御装置6は、例えば作業者によるスイッチ押下などの指令に応じて、RFIDアンテナ4を作動させて、RFIDアンテナ4によって載置台3上の測定対象10の各タグから情報の読み取りを行う。RFIDアンテナ4は、読み取った各タグの情報を制御装置6に出力する。
【0041】
次に作業者がハンドル53を操作して載置台3を前後方向(x方向)に往復運動させる。これにより、トレイ13上の各物品11が揺動して、各物品11の配置状態が変化する。なお、本実施形態では、「揺動」とは、載置台3の水平方向の往復運動に起因する外力が付加されることによって、測定対象10の各物品11の位置が水平方向または垂直方向またはこれらの合成方向に不規則に変動することをいう。
【0042】
その後に、制御装置6は、例えば作業者によるスイッチ押下などの指令に応じて、RFIDアンテナ4を作動させて、RFIDアンテナ4によって載置台3上の測定対象10の各タグから情報の読み取りを再度行い、RFIDアンテナ4は読み出した情報を制御装置6に出力する。
【0043】
作業者は、必要に応じて上記の物品11の揺動とRFIDタグ12の読み出しの工程を繰り返す。
【0044】
なお、本実施形態では、検査室2の扉部材22に透明性部材24が設けられているので、
図3に示すように、作業者は透明性部材24を介して検査室2の内部を外部から視認可能である。このため、作業者は、トレイ13上の各物品11の配置状態を逐次確認しながら、RFIDタグ12の読取処理にとって適切な配置となるように上記の物品11の揺動作業を行うことができる。
【0045】
<揺動の効果>
図4は、測定対象10を揺動させる効果を説明する模式図である。
図4の(A)は揺動前における測定対象10の複数の物品11の配置状況の一例を示し、(B)は揺動後の配置状況の一例を示す。
図4の例では、測定対象10として5つの物品11A、11B、11C、11D、11Eを含む構成が例示され、各物品にはそれぞれRFIDタグ12A、12B、12C、12D、12Eが貼付されている。
【0046】
図4(A)に示すように、5つの物品11A、11B、11C、11D、11Eの配置状況によっては、測定対象10が受信領域Rにあっても少なくとも一部のRFIDタグの読み取りができない場合がある。例えば、このような状況は、例えばRFIDアンテナ4とRFIDタグ12との相対的な位置関係(例えばRFIDタグ12がヌルポイントにある場合)や、RFIDタグ12の周囲の他物品との密接度合い、物品同士の重なり具合などによって生じ得る。
図4(A)の例では、物品11AのRFIDタグ12Aが、隣接する物品11Bとの距離が近すぎてRFIDアンテナ4と通信できない状況となっている。また、物品11C、11EのRFIDタグ12C、12Eは、物品11とRFIDアンテナ4との間に別の物品11Dが介在しているため、RFIDアンテナ4と通信できない状況となっている。
【0047】
これに対して本実施形態では、駆動装置5によって載置台3に水平方向の一方向(x方向)に往復運動をさせることによって、載置台3上の測定対象10を揺動させることができる。これにより、測定対象10の複数の物品11A~11Eの相対的な位置関係を変化させることができ、RFIDタグ12A~12EとRFIDアンテナ4との相対的な位置関係を変更して、RFIDアンテナ4が読み出すことができるRFIDタグ12A~12Eの数を増やすことができる。
図4(B)の例では、揺動によって物品11Aと物品11Bとの間の隙間Aが広がって、RFIDタグ12AがRFIDアンテナ4と通信可能となる。また、揺動によって物品11Dが矢印Bの方向に回動して物品11Cと物品11Eとの間に進入して、物品11C~11Eが並列の状態となり、RFIDタグ12C、12EがRFIDアンテナ4と通信可能となる。
【0048】
このように、本実施形態の読取システム1によれば、検査室2内の載置台3を水平方向に往復運動可能に構成することで、載置台3上の測定対象10を揺動させて、複数の物品11の相対的な位置関係を変化させることができる。これにより、測定対象10の各物品11のRFIDタグ12がRFIDアンテナ4によって読み取りにくい配置の場合であっても、これらの配置を解消してRFIDタグ12を読み取りやすい配置に遷移させることができる。この結果、本実施形態の読取システム1は、測定対象10のRFIDタグ12の読み取り精度を向上できる。
【0049】
また、読取システム1は、載置台3に測定対象10が載置されたことを検知する検知部を備える構成でもよい。この場合、制御装置6は、検知部により測定対象10の載置が検知されたとき、RFIDアンテナ4によるRFIDタグ12の読み取り動作を所定時間ごとに実行させ、検知部により測定対象10が載置台3から取り出されたことが検知されたとき、RFIDアンテナ4による読み取り動作を終了する。
【0050】
これにより、操作者が測定対象10を検査室2に入れるだけで自動的に読み取り動作を実施できるので、作業者の指示忘れなどによる読み取りの失敗を回避でき、より確実にRFIDタグ12の読み取りを行うことができる。
【0051】
また、読取システム1は、
図1に示すようにさらに表示装置7を備え、制御装置6によって集約されたRFIDアンテナ4の読取結果を表示する構成としてもよい。
【0052】
制御装置6は、RFIDアンテナ4による読み出した情報に基づき、測定対象10に所望の物品がすべて含まれているか否かを判定することもできる。この場合、測定対象10に所望の物品の少なくとも一部が含まれていないと判定した場合、例えば表示装置7にその旨を表示して、作業者に載置台3を再度往復運動させるよう促し、RFIDアンテナ4により、再度往復運動された複数の物品11に貼付されているRFIDタグ12から情報を読み取らせる構成としてもよい。
【0053】
図5は、表示装置7の表示内容の一例を示す図である。
図5の(A)は、揺動前の表示例を示し、(B)は揺動後の再計測後の表示例を示す。
図5に示すように、表示装置7には、RFIDタグ12の読取結果を表示する読取結果表示領域71と、読取結果に応じた操作者への提供情報を表示する報知領域72とを含めることができる。
【0054】
例えば
図5(A)に示すように、揺動前には5つの物品のうち2つの物品(商品B、商品D)のみが検出された場合、読取結果表示領域71には、検出された2つの商品B,Dのみが表示される。報知領域72には、例えば「一部の商品を検出できません。ハンドルで揺らしてください」などのメッセージを表示して、作業者に載置台3の揺動を促す。
【0055】
例えば
図5(B)に示すように、揺動後には5つの物品のすべて(商品A~E)が検出された場合には、読取結果表示領域71には、検出されたすべての商品A~Eが表示される。このとき報知領域72には、例えば「全ての商品を検出できました」などのメッセージを表示して、作業者に情報読み出しが成功したことを報知する。
【0056】
また、制御装置6は、測定対象10に所望の物品の少なくとも一部が含まれていないと判定した場合、「情報欠損状態」であることを表示装置7に表示させて、作業者に報知する構成でもよい。この場合、作業者はこの表示に応じて載置台3を再度往復運動させる。制御装置6は、「情報欠損状態」の表示後に、再度往復運動された複数の物品11に貼付されているRFIDタグ12から情報を読み取らせることで、読み取った情報を追加情報として表示装置7に表示させる。そして、制御装置6は、これらの追加情報をもとに測定対象10に所望の物品の全てが含まれていると判定した場合、「情報充足状態」であることを表示装置7に表示させて、作業者に報知する。これにより、作業者に適切に読取状況を報知することができ、RFIDタグ12からの情報の読み取りをより確実に行うことができる。
【0057】
<透明性部材の効果>
図6は、透明性部材24を適用することによる第1の効果を説明する模式図である。
図6の(A)は揺動前における測定対象10の複数の物品11の配置状況の一例を示し、この例では概ね
図4(A)と同様である。(B)は、測定対象10に加わる揺動が不足している場合の複数の物品11の配置状況の一例を示す。(C)は測定対象10に加わる揺動が充分な場合の複数の物品11の配置状況の一例を示し、この例では概ね
図4(B)と同様である。
【0058】
図6(A)に示すように、5つの物品11A、11B、11C、11D、11Eの配置状況によっては、測定対象10が受信領域Rにあっても少なくとも一部のRFIDタグの読み取りができない場合がある。このような場合に、本実施形態では、上述のように駆動装置5によって載置台3に水平方向の一方向(x方向)に往復運動をさせることによって、載置台3上の測定対象10を揺動させる。このとき、検査室2に透明性部材24を設けない構成の場合、外部から検査室2の内部を視認できないので、載置台3上の複数の物品11の配置状況を作業者は把握できない。このため、載置台3を揺動させても、例えば
図6(B)に示すように、測定対象10に加わる揺動が不足し、すべての物品11A、11B、11C、11D、11Eを読み取れる状態にできない場合が生じ得る。
【0059】
図6(B)の例では、揺動によって物品11Aと物品11Bとの間の隙間A1が広がって、RFIDタグ12AがRFIDアンテナ4と通信可能となる。しかし、揺動によって物品11Dも矢印B1の方向に回動するが、物品11Dは依然として物品11CとRFIDアンテナ4との間に介在している。このため、物品11CのRFIDタグ12Cは、依然としてRFIDアンテナ4と通信できない状況となっている。
【0060】
これに対して本実施形態では、作業者は透明性部材24を介して検査室2の内部を外部から視認可能である。このため、作業者は、トレイ13上の各物品11の配置状態を逐次確認しながら、例えば
図6(C)に示すように、すべての物品11A、11B、11C、11D、11Eを読み取れる状態になるように、測定対象10に充分な揺動が加わるよう駆動装置5を操作することができる。例えば
図6(B)の状態を視認した場合には、さらに物品11Dを動かすように揺動を追加する。これにより、物品11Dが矢印C1の方向に回動して物品11Cと物品11Eとの間に進入して、物品11C~11Eが並列の状態となり、RFIDタグ12CがRFIDアンテナ4と通信可能となる。
【0061】
このように、本実施形態の読取システム1は、検査室2の扉部材22に透明性部材24を設けることにより、測定対象10の視認性を確保することが可能となり、これによりRFIDタグ12の読取精度をさらに向上できる。
【0062】
図7は、透明性部材24を適用することによる第2の効果を説明する模式図である。
図7の(A)は揺動前における測定対象10の複数の物品11の配置状況の一例を示し、この例では概ね
図4(A)、
図6(A)と同様である。(B)は、測定対象10に加わる揺動が大き過ぎる場合の複数の物品11の配置状況の第1の例を示す。(C)は、測定対象10に加わる揺動が大き過ぎる場合の複数の物品11の配置状況の第2の例を示す。
【0063】
図7(A)に示すように、5つの物品11A、11B、11C、11D、11Eの配置状況によっては、測定対象10が受信領域Rにあっても少なくとも一部のRFIDタグの読み取りができない場合がある。このような場合に、本実施形態では、上述のように駆動装置5によって載置台3に水平方向の一方向(x方向)に往復運動をさせることによって、載置台3上の測定対象10を揺動させる。このとき、検査室2に透明性部材24を設けない構成の場合、外部から検査室2の内部を視認できないので、どの程度の力を駆動装置5に付加して載置台3を揺動させれば物品11を適切に移動させることができるのか、作業者が直感的に把握するのが困難である。このため、測定対象10に加わる揺動が過多となる場合が生じ得る。
【0064】
揺動過多となった場合、例えば
図7(B)に示すように、揺動によって物品11Aが矢印A2の方向に倒れて物品11Bに衝突し、これにより衝突された物品11Bが破損する状況が生じ得る。同様に、揺動によって物品11Dが矢印B2の方向に倒れてトレイ13の底面に衝突し、これにより物品11Dが自重等により破損する状況も生じ得る。
【0065】
このように、検査室2に透明性部材24を設けない構成の場合には、作業者がハンドル53を介して駆動装置5に付加する力の加減によっては、載置台3上の物品11が散乱したり、物品11同士の衝突や、積層状態の物品11の崩落などによって、物品11が破損することが生じ得る。
【0066】
また、揺動過多となった場合、例えば
図7(C)に示すように、揺動によって物品11Dが矢印C2の方向に移動して載置台3上から検査室2の底板2B上に落下する状況も生じ得る。この場合、落下した物品11Dが底板2Bと載置台3との隙間に入り込むので、この状態で駆動装置5を動かすと、例えばローラ52が物品11Dを噛み込んだり、載置台3の移動が物品11Dによって阻害されるなど、駆動装置5の動作に不具合が起き、以後の揺動操作を実施できないことが生じ得る。また、落下した物品11Dが駆動装置5に接触することで物品11Dの破損も生じ得る。
【0067】
このように、検査室2に透明性部材24を設けない構成の場合には、作業者がハンドル53を介して駆動装置5に付加する力の加減によっては、載置台3から落下した物品11が検査室2の底板2Bや側板などと載置台3との隙間に入り込み、駆動装置5に不具合が生じることがあるとともに、駆動装置5に接することで物品11が破損してしまうことが生じ得る。
【0068】
これに対して本実施形態では、作業者は透明性部材24を介して検査室2の内部を外部から視認可能である。このため、作業者は、トレイ13上の各物品11の配置状態を逐次確認しながら、すべての物品11A、11B、11C、11D、11Eが載置台3上にある状態を維持しつつ、各物品11A~11Eが破損しない程度に、測定対象10に適度な揺動が加わるよう駆動装置5を操作することができる。これにより、本実施形態の読取システム1は、検査室2の扉部材22に透明性部材24を設けることにより、
図7(B)のような物品11同士の衝突による破損や、
図7(C)のような物品11の載置台3からの落下による駆動装置5の不具合や物品11の破損などの発生を抑制できる。
【0069】
このように、第1実施形態の読取システム1は、RFIDタグ12が貼付される複数の物品11を含む測定対象10を開口部21から内部に載置可能であり、開口部21が扉部材22によって開閉可能に構成される検査室2と、検査室2に設けられ、測定対象10を載置する載置台3と、載置台3を少なくとも水平方向に移動する駆動装置5と、検査室2の内部に設けられ、載置台3に載置されたい状態で駆動装置5により移動される複数の物品11に貼付されているRFIDタグ12から情報を読み取るRFIDアンテナ4と、検査室2の扉部材22の外面に設けられ、検査室2の内部を外部から視認可能とする透明性部材24とを備える。検査室2、扉部材22、及び透明性部材24は、電波を遮蔽できる性状をもつよう構成される。
【0070】
検査室2の扉部材22に透明性部材24を設けることにより、揺動操作を行う作業者に、透明性部材24を介して検査室2の内部を外部から視認させることが可能となる。これにより、作業者は、測定対象10の各物品11の配置状態を逐次確認しながら、RFIDタグ12の読取処理にとって適切な配置となるように揺動を行うことができる。この結果、測定対象10のすべての物品11をRFIDアンテナ4により読み取れる配置状態により確実に、より容易に、かつ、より迅速に遷移させることが可能となる。また、透明性部材24が検査室2及び扉部材22と同様の電波遮蔽性状をもつことにより、検査室2に透明性部材24を設けても、RFIDアンテナ4の読み取り能力を阻害することもない。この結果、第1実施形態の読取システム1は、測定対象10の視認性を確保することによってRFIDタグ12の読取精度をさらに向上できる。
【0071】
さらには、透明性部材24を介して検査室2の内部を外部から視認可能とすることにより、揺動操作の作業者は、透明性部材24を見ながら各物品11の種類に対する搖動の仕方(例えばストロークの大きさ、速さ等)を工夫して、より正確に早く読み取りができる仕方を容易に見いだすことができる。その結果、操作する人の個人差を少なくすることが可能となる。これにより、RFIDタグ12の読取精度をより安定化できる。
【0072】
また、本実施形態では、
図1、
図3などに示すように、透明性部材24は検査室2の扉部材22に設けられる。一方、作業員が揺動操作を行うためのハンドル53のグリップ56も検査室2の前面2A側、つまり扉部材22と同じ側に配置されている。このため、グリップ56を操作する作業員の視線を透明性部材24に向きやすくできるので、作業員は検査室2内の各物品11の配置状況の視覚フィードバックを容易に得ながら揺動操作を行うことが可能となる。この結果、検査室2内の各物品11の配置状況を、透明性部材を介して視認しやすくでき、測定対象10のすべての物品11をRFIDアンテナ4により読み取れる配置状態へと、より効率良く遷移させることが可能となる。
【0073】
また、本実施形態では、駆動装置5は、検査室2の床面(底板2Bの上面)に水平方向の一方向に沿って設けられるレール51と、載置台3の底面3Aに設けられ、レール51に篏合されるローラ52と、載置台3に連結されて検査室2の外部に延在して設けられ、外力を入力可能なハンドル53と、を有する。駆動装置5は、ハンドル53を介して入力された外力に応じて、ローラ52が回転してレール51に沿って移動することによって、載置台3を往復移動させる。この構成により、載置台3の揺動を手動操作で容易に行うことができる。
【0074】
図8は、透明性部材の配置の変形例を示す模式図である。本実施形態では、例えば
図3に図示したように、検査室2の前面に設けられる扉部材22の大半の部分に透明性部材24を設ける構成を例示した。しかしながら、透明性部材24は少なくとも検査室2の内部を外部から視認可能であればよく、設置位置は
図3の例に限られない。透明性部材24は、検査室2または扉部材22の外面の少なくとも一部として設けられればよい。
【0075】
例えば
図8に示す透明性部材24Aのように、検査室2の天板2Cに配置することによって、検査室2内の複数の物品11の配置状況を上方からも視認できる。また、
図8に示す透明性部材24Bのように、検査室2のy方向の側板2Dに配置することによって、検査室2内の複数の物品11の配置状況を側方からも視認できる。また、
図8に示す透明性部材24Cのように、扉部材22の全面ではなく、例えば上半分など一部のみに配置する構成でもよい。
【0076】
さらに、上記実施形態の透明性部材24や、変形例の透明性部材24A、24Bを組み合わせて適用してもよい。これにより、検査室2内の複数の物品11の配置状況を多角的に視認できるので、揺動操作の調整をより的確に行うことが可能となる。
【0077】
[第2実施形態]
図9は、第2実施形態に係る読取システム1Aの概略構成を示す断面図である。第1実施形態の読取システム1では、駆動装置5による載置台3の揺動を作業者の手動操作により行っていたが、第2実施形態の読取システム1Aでは載置台3上の物品11の配置状況に応じて自動制御する。
【0078】
図9に示す世に、読取システム1Aは、第1実施形態の読取システム1の構成要素に加えて、駆動源8と、撮像装置9とを備える。また、第1実施形態の制御装置6の代わりに制御装置6Aを備える。
【0079】
駆動源8は、駆動装置5に動力を供給する。駆動源8は、例えば動力を出力するアクチュエータや、速度やトルクを変換させるギヤ系を含む。駆動源8は、第1実施形態のハンドル53の代わりに設けられる。
【0080】
撮像装置9は、透明性部材24を介して検査室2の内部の測定対象10の複数の物品11を撮像する。撮像装置9は、検査室2の外部から透明性部材24を向いて設置され、かつ、その光軸方向が検査室2内部の載置台3上の領域を撮像可能となるように設置される。撮像装置9は、例えば動画や静止画を撮像するカメラなど、載置台3上の複数の物品11の配置状況を判別可能な情報を取得可能な任意の要素を適用できる。
【0081】
制御装置6Aは、駆動源8及び撮像装置9の動作を制御する。制御装置6Aは、撮像装置9により撮像された複数の物品11の載置台3上の配置状況に応じて、駆動源8による駆動装置5の制御量を調整する。
【0082】
また、制御装置6Aは、第1実施形態の制御装置6と同様に、RFIDアンテナ4や表示装置7、検知部などの読取システム1Aの他の構成要素の動作も制御する。
【0083】
図10は、第2実施形態の読取システム1Aによる揺動制御のフローチャートである。
【0084】
ステップS1では、作業者により、検査室2の内部の載置台3に測定対象10の複数の物品11が載置される。制御装置6は、例えば作業者によるスイッチ押下などの指令に応じて、測定対象10が検査室2内に設置された状態となったことを検知する。
【0085】
ステップS2では、撮像装置9により、載置台3上の複数の物品11が撮像される。撮像装置9は撮像した物品の画像情報を制御装置6Aに送信する。
【0086】
ステップS3では、制御装置6Aにより、ステップS2にて取得した画像情報に基づき、駆動源8の制御量が決定される。制御装置6Aは、例えば画像情報から複数の物品11の載置台3上の配置状況を判断し、RFIDアンテナ4によりすべての物品11を読み取れる状態に遷移させるために必要な制御量を推定する。制御量は、例えば載置台3の所望の揺動パターンを実現するための駆動源8への制御指令を含む。なお、制御装置6Aによる画像情報に基づく制御量の推定処理には、機械学習分野の予測器(モデル)を用いる手法や、線形計画法などの最適化手法や、シミュレーションによる探索手法、所定の関数を用いて算出する手法、ルックアップテーブルを用いる手法など、任意の手法を適用できる。制御装置6Aは、決定した制御量の情報を駆動源8に出力する。
【0087】
ステップS4では、駆動源8により、ステップS3にて決定された制御量に基づき駆動装置5に動力が供給されて、この動力によって載置台3の揺動が実施される。
【0088】
ステップS5では、制御装置6Aにより、揺動後の物品11の配置状況が検証される。制御装置6Aは、例えば撮像装置9により、載置台3上の複数の物品11を再度撮像させて、揺動後の物品の画像情報を取得する。そして、この画像情報から、RFIDアンテナ4によりすべての物品11を読み取れる配置状況にとなっているか否かを推定する。なお、制御装置6Aは、併せてRFIDアンテナ4による載置台3上の測定対象10の各タグから情報の読み取りも行い、この読取結果も考慮して推定を行ってもよい。
【0089】
ステップS6では、ステップS5の推定の結果、RFIDアンテナ4によりすべての物品11を読み取れる配置状況となっているか否かが判定される。すべての物品11を読み取れる配置状況ではない場合(ステップS6のNO)には、ステップS2に戻りステップS2~S5の処理が繰り返される。一方、すべての物品11を読み取れる配置状況である場合(ステップS6のYES)には本制御フローを終了する。
【0090】
制御装置6Aは、
図10のフローチャートの処理が完了した後に、RFIDアンテナ4によって載置台3上の測定対象10の各タグから情報の読み取りを行ってもよいし、上述のようにステップS5にてタグ情報の読み取りも行う場合には、このタグ情報を利用してもよい。
【0091】
第2実施形態の読取システム1Aは、駆動源8や撮像装置9を用いて揺動を自動制御することにより、第1実施形態のように作業者の目視による手動操作の場合と比較して、より適切な揺動を行わせることが可能となるので、RFIDタグ12の読取精度をさらに向上できる。
【0092】
なお、第2実施形態の読取システム1Aは、作業員が情報を制御装置6Aに入力可能な入力装置を備える構成でもよい。この場合、撮像装置9の画像情報の代わりに、作業員が透明性部材24を介して検査室2内部の物品11の配置状況を目視し、目視した配置状況に応じて入力装置を用いて駆動源8の制御量の指令値を制御装置6Aに入力する。制御装置6Aは、入力された指令値に応じて駆動源8を制御する。
【0093】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【0094】
なお、上記実施形態では、載置台3の往復運動の方向がx方向の一方向である構成を例示したが、往復運動の方向は水平方向であればy方向など他の方向でもよい。また、往復運動の方向は一方向に限られず、例えばx方向かつy方向のように複数方向としてもよい。なお、水平方向とは、鉛直方向(重力の方向)と直交する方向だけでなく、若干の傾斜を有する場合も含まれる。
【0095】
また、上記実施形態では載置台3や物品11を往復運動や周期的な運動などの規則的な運動を行わせたときにRFIDアンテナ4が物品11に貼付されたRFIDタグ12から情報を読み取る構成を例示したが、載置台3や物品11は少なくとも水平歩行に移動可能であればよく、不規則な運動を行わせてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1、1A 読取システム
2 検査室
21 開口部
22 扉部材
24 透明性部材
3 載置台
4 RFIDアンテナ(読取装置)
5 駆動装置
51 レール
52 ローラ
53 ハンドル
55A、55B ストッパ
6、6A 制御装置
7 表示装置
8 駆動源
9 撮像装置
10 測定対象
11 物品
12 RFIDタグ(無線タグ)