(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177857
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】仕分制御システム、配送システムにおける拠点の荷物の仕分制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20230101AFI20231207BHJP
B65G 1/137 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
G06Q10/08
B65G1/137 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090795
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】永原 聡士
(72)【発明者】
【氏名】石橋 和哉
(72)【発明者】
【氏名】賀沢 唯
(72)【発明者】
【氏名】小林 雄一
(72)【発明者】
【氏名】細田 順子
【テーマコード(参考)】
3F522
5L049
【Fターム(参考)】
3F522AA02
3F522BB01
3F522BB33
3F522CC03
3F522GG13
3F522GG16
3F522GG46
3F522LL32
3F522LL55
3F522LL57
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】複数の拠点の仕分けを考慮して、制御対象の拠点の仕分けを制御する。
【解決手段】仕分制御システムは、ターゲット拠点における荷物の仕分けを制御するための仕分制御パターンを複数生成し、各仕分制御パターンについて、複数の出荷台車への荷物の積み付けをシミュレーションし、シミュレーションの結果に基づいて、ターゲット拠点の後続の拠点の荷物の仕分けの作業量を用いて算出される指標を算出し、指標に基づいて、採用する仕分制御パターンを選択する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の拠点にて荷物を仕分けて配送を行う配送システムにおける拠点の荷物の仕分けを制御する仕分制御システムであって、
制御対象となる前記拠点は、入荷した前記荷物を積載する複数の入荷台車、仕分けされた前記荷物を積載する複数の出荷台車、及び前記入荷台車に積載される前記荷物を宛先に基づいて仕分ける仕分け装置を含み、
前記仕分け装置は、前記荷物を搬送する搬送装置と、搬送された前記荷物を宛先に応じて出力する複数のシュートとを有し、
前記仕分制御システムは、
少なくとも一つの計算機を含み、
ターゲット拠点における前記複数の入荷台車に積載された前記荷物の宛先を管理するための拠点稼働情報と、前記複数の拠点における前記荷物の仕分けを管理するための拠点仕分管理情報と、を保持し、
前記少なくとも一つの計算機は、
前記拠点稼働情報に基づいて、前記ターゲット拠点における前記荷物の仕分けを制御するための仕分制御パターンを複数生成し、
前記複数の仕分制御パターンの各々について、前記複数の出荷台車への前記荷物の積み付けをシミュレーションし、
前記シミュレーションの結果及び前記拠点仕分管理情報に基づいて、前記ターゲット拠点の後続の前記拠点の前記荷物の仕分けの作業量を用いて算出される指標を算出し、
前記指標に基づいて、前記複数の仕分制御パターンの中から採用する前記仕分制御パターンを選択し、出力することを特徴とする仕分制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の仕分制御システムであって、
前記少なくとも一つの計算機は、前記仕分け装置への前記入荷台車の投入順番である投入パターンと、前記複数のシュートの各々から出力する前記荷物の宛先を定義したシュート条件の適用順番である切替パターンと、を組み合わせることによって、前記仕分制御パターンを生成することを特徴とする仕分制御システム。
【請求項3】
請求項1に記載の仕分制御システムであって、
前記指標は、前記ターゲット拠点の後続の前記拠点の前記荷物の仕分けの作業量と、前記ターゲット拠点に含まれる前記仕分け装置に対する制約の違反の程度と、を用いて算出されることを特徴とする仕分制御システム。
【請求項4】
請求項1に記載の仕分制御システムであって、
前記指標に基づいて採用する前記仕分制御パターンを選択するための評価定義情報を保持し、
前記少なくとも一つの計算機は、前記複数の仕分制御パターンの各々の前記指標及び前記評価定義情報に基づいて、採用する前記仕分制御パターンを選択することを特徴とする仕分制御システム。
【請求項5】
請求項4に記載の仕分制御システムであって、
前記評価定義情報は、前記配送システム全体の前記荷物の仕分けの作業量を最小化する前記仕分制御パターン、任意の拠点の前記荷物の仕分けの作業量を最小化する前記仕分制御パターン、及び前記複数の拠点の各々の前記荷物の仕分けの作業量を平準化する前記仕分制御パターンを選択するための情報であることを特徴とする仕分制御システム。
【請求項6】
請求項1に記載の仕分制御システムであって、
前記少なくとも一つの計算機は、
選択された前記仕分制御パターンに基づいて、前記ターゲット拠点を制御するための制御情報を生成し、
前記配送システムに前記制御情報を送信することを特徴とする仕分制御システム。
【請求項7】
仕分制御システムが実行する、複数の拠点にて荷物を仕分けて配送を行う配送システムにおける拠点の荷物の仕分制御方法あって、
制御対象となる前記拠点は、入荷した前記荷物を積載する複数の入荷台車、仕分けされた前記荷物を積載する複数の出荷台車、及び前記入荷台車に積載される前記荷物を宛先に基づいて仕分ける仕分け装置を含み、
前記仕分け装置は、前記荷物を搬送する搬送装置と、搬送された前記荷物を宛先に応じて出力する複数のシュートとを有し、
前記仕分制御システムは、
少なくとも一つの計算機を含み、
ターゲット拠点における前記複数の入荷台車に積載された前記荷物の宛先を管理するための拠点稼働情報と、前記複数の拠点における前記荷物の仕分けを管理するための拠点仕分管理情報と、を保持し、
前記配送システムにおける拠点の荷物の仕分制御方法は、
前記少なくとも一つの計算機が、前記拠点稼働情報に基づいて、前記ターゲット拠点における前記荷物の仕分けを制御するための仕分制御パターンを複数生成するステップと、
前記少なくとも一つの計算機が、前記複数の仕分制御パターンの各々について、前記複数の出荷台車への前記荷物の積み付けをシミュレーションするステップと、
前記少なくとも一つの計算機が、前記シミュレーションの結果及び前記拠点仕分管理情報に基づいて、前記ターゲット拠点の後続の前記拠点の前記荷物の仕分けの作業量を用いて算出される指標を算出するステップと、
前記少なくとも一つの計算機が、前記指標に基づいて、前記複数の仕分制御パターンの中から採用する前記仕分制御パターンを選択し、出力するステップと、を含むことを特徴とする配送システムにおける拠点の荷物の仕分制御方法。
【請求項8】
複数の拠点にて荷物を仕分けて配送を行う配送システムにおける拠点の荷物の仕分けを制御する計算機に実行させるためのプログラムであって、
制御対象となる前記拠点は、入荷した前記荷物を積載する複数の入荷台車、仕分けされた前記荷物を積載する複数の出荷台車、及び前記入荷台車に積載される前記荷物を宛先に基づいて仕分ける仕分け装置を含み、
前記仕分け装置は、前記荷物を搬送する搬送装置と、搬送された前記荷物を宛先に応じて出力する複数のシュートとを有し、
前記計算機は、ターゲット拠点における前記複数の入荷台車に積載された前記荷物の宛先を管理するための拠点稼働情報と、前記複数の拠点における前記荷物の仕分けを管理するための拠点仕分管理情報と、を保持し、
前記プログラムは、
前記拠点稼働情報に基づいて、前記ターゲット拠点における前記荷物の仕分けを制御するための仕分制御パターンを複数生成する手順と、
前記複数の仕分制御パターンの各々について、前記複数の出荷台車への前記荷物の積み付けをシミュレーションする手順と、
前記シミュレーションの結果及び前記拠点仕分管理情報に基づいて、前記ターゲット拠点の後続の前記拠点の前記荷物の仕分けの作業量を用いて算出される指標を算出する手順と、
前記指標に基づいて、前記複数の仕分制御パターンの中から採用する前記仕分制御パターンを選択し、出力するする手順と、
を前記計算機に実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の拠点間で荷物を輸送する配送システムにおける拠点の荷物の仕分制御に関する。
【背景技術】
【0002】
大規模な物流網では、荷物の集荷、仕分け、及び輸送が複数の拠点で行われ、最終的な宛先に荷物が輸送される。このような大規模な物流網では上流の拠点における仕分けが重要となる。
【0003】
一般的に、拠点では仕分け装置(ソータ)を用いて荷物の仕分けが行われる。拠点のスループットの向上等を実現するための仕分け装置の制御方法として、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。
【0004】
特許文献1には、「本仕分システムは、投入された商品を搬送して複数の配送先に対応する複数のシュートに振り分けて排出するソータ10と、指定された商品を保管部からピッキングしてソータに投入するピッキングゾーン100と、多数の配送先への商品の配送に関するオーダ情報を受け、ピッキングゾーンに設置された表示器により作業者に対するピッキング作業指示を制御すると共にソータにおける仕分制御を行うための制御装置とを備える。複数のシュートに対応してそれぞれ、当該シュートが空きシュートであることを制御装置に報知するための報知手段が設置され、制御装置は、複数の報知手段からの報知情報に基づいて空きシュートの数が所定数以上であるかを判定し、配送先別のオーダ情報の割り当てを行う。」ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術は、一つの拠点に着目した仕分け装置の制御を実現する技術である。しかし、大規模な物流網では、複数の拠点の仕分けも考慮する必要がある。そのため、従来技術をそのまま適用しても、物流網全体の仕分けのスループットの向上等は困難である。
【0007】
本発明は、複数の拠点の仕分けを考慮して、制御対象の拠点における仕分けを制御するシステム、方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、複数の拠点にて荷物を仕分けて配送を行う配送システムにおける拠点の荷物の仕分けを制御する仕分制御システムであって、制御対象となる前記拠点は、入荷した前記荷物を積載する複数の入荷台車、仕分けされた前記荷物を積載する複数の出荷台車、及び前記入荷台車に積載される前記荷物を宛先に基づいて仕分ける仕分け装置を含み、前記仕分け装置は、前記荷物を搬送する搬送装置と、搬送された前記荷物を宛先に応じて出力する複数のシュートとを有し、前記仕分制御システムは、少なくとも一つの計算機を含み、ターゲット拠点における前記複数の入荷台車に積載された前記荷物の宛先を管理するための拠点稼働情報と、前記複数の拠点における前記荷物の仕分けを管理するための拠点仕分管理情報と、を保持し、前記少なくとも一つの計算機は、前記拠点稼働情報に基づいて、前記ターゲット拠点における前記荷物の仕分けを制御するための仕分制御パターンを複数生成し、前記複数の仕分制御パターンの各々について、前記複数の出荷台車への前記荷物の積み付けをシミュレーションし、前記シミュレーションの結果及び前記拠点仕分管理情報に基づいて、前記ターゲット拠点の後続の前記拠点の前記荷物の仕分けの作業量を用いて算出される指標を算出し、前記指標に基づいて、前記複数の仕分制御パターンの中から採用する前記仕分制御パターンを選択し、出力する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の拠点の仕分けを考慮して、制御対象の拠点における仕分けを制御できる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1のシステムの構成例を示す図である。
【
図2】実施例1の仕分制御システムを構成する計算機の一例を示す図である。
【
図3】実施例1の配送システムにおける荷物の配送の一例を示す図である。
【
図4】実施例1の拠点の構成の一例を示す図である。
【
図5】実施例1の仕分制御システムの機能構成の一例を示す図である。
【
図6】実施例1の拠点仕分管理情報の一例を示す図である。
【
図7】実施例1のシュート管理情報の一例を示す図である。
【
図8】実施例1の仕分制御システムが実行する処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図9】実施例1の仕分制御システムによって生成される仕分制御パターンを表す情報の一例を示す図である。
【
図10A】実施例1の配送システムにおける荷物の配送の一例を示す図である。
【
図10B】実施例1の配送システムにおける荷物の配送の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を、図面を用いて説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし趣旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
【0012】
以下に説明する発明の構成において、同一又は類似する構成又は機能には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」等の表記は、構成要素を識別するために付するものであり、必ずしも、数又は順序を限定するものではない。
【0014】
図面等において示す各構成の位置、大きさ、形状、及び範囲等は、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、及び範囲等を表していない場合がある。したがって、本発明では、図面等に開示された位置、大きさ、形状、及び範囲等に限定されない。
【0015】
各種情報の例として、「テーブル」、「リスト」、「キュー」等の表現にて説明することがあるが、各種情報はこれら以外のデータ構造で表現されてもよい。例えば、「XXテーブル」、「XXリスト」、「XXキュー」等の各種情報は、「XX情報」としてもよい。識別情報について説明する際に、「識別情報」、「識別子」、「名」、「ID」、「番号」等の表現を用いるが、これらについてはお互いに置換が可能である。
【実施例0016】
図1は、実施例1のシステムの構成例を示す図である。
図2は、実施例1の仕分制御システムを構成する計算機の一例を示す図である。
【0017】
システムは、仕分制御システム100及び配送システム101から構成される。仕分制御システム100及び配送システム101は、LAN(Local Area Network)及びWAN(Wide Area Network)等のネットワーク102を介して接続される。なお、仕分制御システム100は、配送システム101に含まれてもよい。
【0018】
配送システム101は、複数の拠点110から構成される。拠点110では、荷物の集荷、仕分け、及び輸送が行われる。本実施例では、階層的に拠点間で荷物が配送される配送システム101を想定する。拠点110の詳細については後述する。
【0019】
仕分制御システム100は、配送システム101(物流網)の仕分けのスループットの向上等を実現するために、上流層の拠点110の荷物の仕分けを制御する。仕分制御システム100は少なくとも一つの計算機200から構成される。計算機200は、プロセッサ201、主記憶装置202、副記憶装置203、入力装置204、出力装置205、及びネットワークインタフェース206を有する。
【0020】
プロセッサ201は、主記憶装置202に格納されるプログラムを実行する。プロセッサ201がプログラムにしたがって処理を実行することによって、特定の機能を実現する機能部(モジュール)として動作する。以下の説明では、機能部を主語に処理を説明する場合、プロセッサ201が当該機能部を実現するプログラムを実行していることを示す。
【0021】
なお、プログラムを実行する演算装置は、プロセッサ201に限定されず、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(ApplicationSpecific Integrated Circuit)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)等でもよい。
【0022】
主記憶装置202は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等であり、プロセッサ201が実行するプログラム及びプログラムが使用する情報を格納する。また、主記憶装置202はワークエリアとしても用いられる。
【0023】
副記憶装置203は、HDD(Hard Disk Drive)及びSSD(Solid State Drive)等であり、大容量のデータを格納する。主記憶装置202に格納されるプログラム及び情報は、副記憶装置203に格納されてもよい。この場合、プロセッサ201が副記憶装置203からプログラム及び情報を読み出し、主記憶装置202にロードする。
【0024】
入力装置204は、キーボード、マウス、及びタッチパネル等である、出力装置205は、ディスプレイ等である。ネットワークインタフェース206は、ネットワークを介して外部の装置と通信するためのインタフェースである。
【0025】
なお、計算機200は、入力装置204及び出力装置205を有していなくてもよい。
【0026】
図3は、実施例1の配送システム101における荷物の配送の一例を示す図である。
【0027】
拠点(1)が最上流の拠点110であり、拠点(1)では、A、B、C、D、E、Fの六つの宛先の荷物が集荷され、A宛ての荷物、(B、C)宛ての荷物、及び(D、E、F)宛ての荷物に仕分けされる。A宛ての荷物はそのままAに輸送される。(B、C)宛ての荷物は拠点(2)に輸送され、(D、E、F)宛ての荷物は拠点(3)に輸送される。
【0028】
拠点(2)では、B宛ての荷物及びC宛ての荷物に仕分けされ、各宛先に荷物が輸送される。拠点(3)では、D宛ての荷物及び(E、F)宛ての荷物に仕分けされ、D宛ての荷物はそのままDに輸送され、(E、F)宛ての荷物は拠点(4)に輸送される。
【0029】
拠点(4)では、E宛ての荷物及びF宛ての荷物に仕分けされ、各宛先に荷物が輸送される。
【0030】
実施例1の仕分制御システム100は、
図3に示すような階層的な荷物の配送において、最上流の拠点(1)における荷物の仕分けを制御する。なお、中間の拠点110の荷物の仕分けを制御してもよい。
【0031】
図4は、実施例1の拠点110の構成の一例を示す図である。
【0032】
拠点110は、複数の入荷台車400、仕分け装置401、及び複数の出荷台車402を有する。
【0033】
入荷台車400は、集荷された荷物を積載する台車である。出荷台車402は、仕分けされた荷物を積載する台車である。入荷台車400及び出荷台車402のボックスは荷物を表す。また、荷物のアルファベットは宛先を表す。
【0034】
仕分け装置401は、荷物の仕分けを行う装置であり、投入部410、複数のシュート411、及び搬送装置412を有する。また、仕分け装置401は、荷物の宛先を識別する識別装置も有する。投入部410は荷物の投入部分である。シュート411は、宛先に応じて荷物を出力する装置である。搬送装置412は、荷物をシュート411まで搬送する装置であり、例えば、ベルトコンベアである。
【0035】
拠点110では以下のような手順で荷物の仕分けが行われる。
【0036】
(手順1)輸送車に積載された荷物が入荷台車400に積載される。
【0037】
(手順2)入荷台車400が所定の順番でシュート411まで搬送され、入荷台車400に積載された荷物が所定の順番で投入部410に投入される。投入部410への荷物の投入は、ロボット又は人が行う。
【0038】
(手順3)仕分け装置401は、荷物に付されたバーコード等に基づいて荷物の宛先を識別し、宛先に応じて所定のタイミングでシュート411から荷物を出力する。
【0039】
(手順4)シュート411から出力された荷物は出荷台車402に積載され、積載数が所定数になった場合、輸送車に出荷台車402が搬送される。
図4では、出荷台車402に四つの荷物が積載された場合、当該出荷台車402が輸送車に搬送される。出荷台車402への荷物の積載は、ロボット又は人が行う。
【0040】
(手順5)出荷台車402に積載された荷物が輸送車に積み込まれ、輸送車によって宛先又は次の拠点110に荷物が輸送される。輸送車への荷物の積載は、ロボット又は人が行う。
【0041】
なお、制御対象となる拠点110が
図4に示すような構成であればよく、全ての拠点110が
図4に示すような構成でなくてもよい。
【0042】
図5は、実施例1の仕分制御システム100の機能構成の一例を示す図である。
【0043】
仕分制御システム100は、仕分制御パターン生成部500、積付シミュレータ501、仕分指標算出部502、及び制御情報生成部503を有し、また、拠点仕分管理情報510、シュート管理情報511、拠点稼働情報512、関数定義情報513、及び評価定義情報514を保持する。
【0044】
仕分制御パターン生成部500は、仕分制御パターンを生成する。仕分制御パターンは、制御対象の拠点110の仕分けを制御するためのパターンであり、入荷台車400の投入パターン及びシュート条件の切替パターンから構成される。入荷台車400の投入パターンは、仕分け装置401への入荷台車400の投入順番である。シュート条件は、シュート411から出力する荷物の宛先に関する条件である。シュート条件の切替パターンは、シュート条件の適用順番である。
【0045】
積付シミュレータ501は、仕分制御パターンに基づいて荷物の仕分けがされた場合の出荷台車402の荷物の積み付けをシミュレーションする。
【0046】
仕分指標算出部502は、仕分制御パターンに基づく荷物の仕分けに対する評価指標(仕分指標)を算出する。仕分指標は、例えば、以下のようなものが考えられる。
(指標1)後続の拠点110の仕分けの作業量を表す項と、制御対象の拠点110の制約の違反の程度を表す項との和。
(指標2)ある拠点110の仕分けの作業量。
【0047】
ここで、拠点110の制約は、例えば、仕分け装置401に滞留する荷物の数の上限である。
【0048】
制御情報生成部503は、仕分制御パターンに基づいて、制御対象の拠点110を制御するための制御情報を生成する。
【0049】
なお、計算機が有する各機能部については、複数の機能部を一つの機能部にまとめてもよいし、一つの機能部を機能毎に複数の機能部に分けてもよい。
【0050】
拠点仕分管理情報510は、各拠点110の仕分けを管理するための情報である。シュート管理情報511は、制御対象の拠点110における仕分け装置401の各シュート411が担当する宛先を管理するための情報である。
【0051】
拠点稼働情報512は、制御対象の拠点110の稼働状態を管理するための情報である。拠点稼働情報512には、入荷台車400の荷物の積載状態、仕分け装置401への入荷台車400の投入状態、仕分け装置401における荷物の滞留状態、及び出荷台車402の荷物の積載状態等を示す情報が格納される。
【0052】
関数定義情報513は、仕分指標を算出するための関数を管理するための情報である。評価定義情報514は、仕分指標に基づく仕分制御パターンの評価方法を管理するための情報である。
【0053】
拠点仕分管理情報510、シュート管理情報511、関数定義情報513、及び評価定義情報514は、予め設定されてもよいし、また、後述する処理の実行時に設定されてもよい。拠点稼働情報512は、処理の実行時に設定される。
【0054】
なお、仕分制御システム100は、各拠点110の仕分けに関する履歴を保持してもよい。
【0055】
図6は、実施例1の拠点仕分管理情報510の一例を示す図である。
【0056】
拠点仕分管理情報510は、拠点ID601、配送先602、及び宛先603を含むエントリを格納する。一つの拠点の一つの荷物の仕分けに対して一つのエントリが存在する。なお、エントリに含まれるフィールドは前述したものに限定されない。前述したフィールドのいずれかを含まなくてもよいし、また、他のフィールドを含んでもよい。
【0057】
拠点ID601は、拠点110の識別情報を格納するフィールドである。配送先602は、仕分けされた荷物の配送先の情報を格納するフィールドである。宛先603は、配送先に輸送する荷物の宛先の情報を格納するフィールドである。
【0058】
拠点110間で荷物が輸送される場合、配送先602及び宛先603の値は異なる。拠点110から宛先に荷物が輸送される場合、配送先602及び宛先603の値は同じである。
【0059】
例えば、1番目のエントリは、拠点(TC_1)からAに、A宛ての荷物を輸送するための仕分けを意味する。2番目のエントリは、拠点(TC_1)から拠点(TC_2)に、B宛て及びC宛ての荷物を輸送するための仕分けを意味する。
【0060】
拠点仕分管理情報510から
図3に示すような配送システム101の荷物の仕分け及び配送の関係を把握することができる。
【0061】
図7は、実施例1のシュート管理情報511の一例を示す図である。
【0062】
シュート管理情報511は、シュートID701及び宛先702を含むエントリを格納する。一つのシュート411に対して一つのエントリが存在する。なお、エントリに含まれるフィールドは前述したものに限定されない。前述したフィールドのいずれかを含まなくてもよいし、また、他のフィールドを含んでもよい。
【0063】
シュートID701は、シュート411の識別情報を格納するフィールドである。宛先702は、シュート411が担当する宛先の情報を格納するフィールドである。なお、シュート411からの荷物の出力はシュート条件に基づいて制御される。後述するように、シュート条件はシュート管理情報511を用いて生成される。
【0064】
図8は、実施例1の仕分制御システム100が実行する処理の一例を説明するフローチャートである。
図9は、実施例1の仕分制御システム100によって生成される仕分制御パターンを表す情報の一例を示す図である。
【0065】
仕分制御システム100は、実行イベントを検出した場合、以下で説明する処理を開始する。実行イベントは、例えば、ユーザによる実行指示の入力である。
【0066】
仕分制御システム100は各種情報を読み込む(ステップS101)。具体的には、拠点仕分管理情報510、シュート管理情報511、拠点稼働情報512、関数定義情報513、及び評価定義情報514が読み込まれる。
【0067】
仕分制御パターン生成部500は、シュート管理情報511及び拠点稼働情報512に基づいて、複数の仕分制御パターンを生成する(ステップS102)。
【0068】
ここで、仕分制御パターンの生成方法について説明する。まず、
図9を用いて、仕分制御パターンを表す情報について説明する。
【0069】
図9は、仕分制御パターン情報900の一例を示している。仕分制御パターン情報900は、投入パターン901及び切替パターン902を含む。一つの仕分制御パターンに対して一つの仕分制御パターン情報900が生成される。
【0070】
投入パターン901は、入荷台車400の投入パターンを表す。本実施例では、上から順に入荷台車400が投入されるものとする。切替パターン902は、シュート条件の切替パターンを表す。本実施例では、入荷台車400の投入と同期するように、シュート条件が切り替えられるものとする。なお、シュート条件の切り替えタイミングは、入荷台車400の投入と非同期でもよい。
【0071】
仕分制御パターン生成部500は、以下のような手順で仕分制御パターンを生成する。
【0072】
(S102-1)仕分制御パターン生成部500は、拠点稼働情報512に基づいて、各入荷台車400の荷物の積載状態を特定する。入荷台車400の荷物の積載状態は、積載される荷物の宛先及び配置である。仕分制御パターン生成部500は、各入荷台車400の荷物の積載状態に基づいて、入荷台車400の投入パターンを複数生成する。
【0073】
なお、仕分制御パターン生成部500は、仕分けに関する履歴を用いて入荷台車400の投入パターンを生成してもよい。
【0074】
(S102-2)仕分制御パターン生成部500は、シュート管理情報511に基づいて、複数のシュート条件を生成する。このとき、拠点稼働情報512等、他の情報が参照されてもよい。仕分制御パターン生成部500は、シュート条件を時系列順に組み合わせることによって、シュート条件の切替パターンを複数生成する。
【0075】
なお、切替パターンに含めるシュート条件の数は予め設定されてもよいし、入荷台車400の数に基づいてランダムに設定されてもよい。なお、シュート条件の切替パターンには同じシュート条件が二つ以上含まれてもよい。なお、仕分制御パターン生成部500は、仕分けに関する履歴を用いてシュート条件の切替パターンを生成してもよい。
【0076】
なお、シュート管理情報511を用いずにシュート条件が生成されてもよい。例えば、仕分けに関する履歴を用いてシュート条件を生成する方法が考えられる。この場合、仕分制御システム100は、シュート管理情報511を保持していなくてもよい。
【0077】
(S102-3)仕分制御パターン生成部500は、一つの入荷台車400の投入パターンと一つのシュート条件の切替パターンとを組み合わせることによって、仕分制御パターンを生成する。仕分制御パターン生成部500は、生成された仕分制御パターンを表す仕分制御パターン情報900を生成する。
【0078】
以上が、仕分制御パターンの生成方法の説明である。
【0079】
積付シミュレータ501は、仕分制御パターン毎に、出荷台車402への荷物の積み付けをシミュレーションする(ステップS103)。例えば、以下のような処理が実行される。
【0080】
(S103-1)積付シミュレータ501は、仕分制御パターンを選択する。
【0081】
(S103-2)積付シミュレータ501は、仕分制御パターンに含まれる入荷台車400の投入パターン及び拠点稼働情報512に基づいて、仕分け装置401への荷物の投入順番を決定する。本発明は、仕分け装置401への荷物の投入順番の決定方法に限定されない。例えば、入荷台車400の荷物の積載位置に基づいて、入荷台車400の荷物の投入順番を決定することが考えられる。
【0082】
(S103-3)積付シミュレータ501は、拠点稼働情報512、荷物の投入順番、仕分制御パターンに含まれるシュート条件の切替パターンに基づいて、出荷台車402への荷物の積み付けをシミュレーションする。
【0083】
荷物の投入順番及びシュート条件の切替パターンを制御することによって、出荷台車402に同じ宛先の荷物を積み付けることができる。これによって、後続の拠点110での仕分けの作業量を減らすことができる。
【0084】
(S103-4)全ての仕分制御パターンについて処理が完了していない場合、積付シミュレータ501は、S103-1に戻り、同様の処理を実行する。全ての仕分制御パターンについて処理が完了した場合、積付シミュレータ501はシミュレーションを終了する。
【0085】
以上が、出荷台車402への荷物の積み付けのシミュレーションの説明である。
【0086】
仕分指標算出部502は、仕分制御パターン毎に、シミュレーション結果、拠点仕分管理情報510、及び関数定義情報513に基づいて仕分指標を算出する(ステップS104)。
【0087】
例えば、関数定義情報513に指標1を算出する関数が定義されている場合、仕分指標算出部502は、シミュレーション結果及び拠点仕分管理情報510に基づいて、後続の拠点110の仕分けの作業量を算出し、仕分け装置401の荷物の滞留数と上限数との差を、制約の違反度として算出する。仕分指標算出部502は、仕分けの作業量及び制約の違反度に基づいて仕分指標を算出する。
【0088】
仕分指標算出部502は、各仕分制御パターンの仕分指標及び評価定義情報514に基づいて、採用する仕分制御パターンを選択する(ステップS105)。例えば、仕分指標が最小の仕分制御パターンが選択される。
【0089】
なお、仕分指標算出部502は、仕分指標に基づいて、所定数の仕分制御パターンを選択し、ユーザに提示してもよい。この場合、ユーザが採用する仕分制御パターンを決定する。
【0090】
制御情報生成部503は、選択された仕分制御パターンに基づいて制御情報を生成し、制御対象の拠点110に当該制御情報を送信し(ステップS106)、処理を終了する。
【0091】
なお、制御情報の生成は、配送システム101側で行われてもよい。この場合、仕分制御システム100は、選択された仕分制御パターンを配送システム101に送信する。
【0092】
次に、具体例を用いて本発明の効果について説明する。
図10A及び
図10Bは、実施例1の配送システム101における荷物の配送の一例を示す図である。まず、荷物の配送の前提について説明する。
【0093】
拠点(1)には、宛先がA、B、C、D、E、Fである荷物が100個入荷されるものとする。A宛ての荷物が20個、B宛ての荷物が20個、C宛ての荷物が10個、D宛ての荷物が20個、E宛ての荷物が15個、F宛ての荷物が15個である。拠点(2)には、拠点(1)から、B宛て及びC宛ての荷物が入荷される。拠点(3)には、拠点(1)から、D宛て、E宛て、及びF宛ての荷物が入荷される。拠点(4)には、拠点(3)から、E宛て及びF宛ての荷物が入荷される。
【0094】
拠点(1)では、A宛ての荷物と、(B、C)宛ての荷物と、(D、E、F)宛ての荷物とに仕分けされる。拠点(2)では、B宛ての荷物と、C宛ての荷物とに仕分けされる。拠点(3)では、D宛ての荷物と、(E、F)宛ての荷物とに仕分けされる。拠点(4)では、E宛ての荷物と、F宛ての荷物とに仕分けされる。
【0095】
図10Aは、本発明が適用されていない配送システム101における荷物の配送の一例を示す。
【0096】
後続に拠点110の仕分けを考慮して、出荷台車402への荷物の積み付けが制御されていない場合、荷物の仕分けの作業は荷物の数だけ必要となる。すなわち、延べ210個の荷物の仕分けが必要となる。
【0097】
図10Bは、本発明が適用された配送システム101における荷物の配送の一例を示す。
【0098】
拠点(1)において、10個のB宛ての荷物がまとめられ、20個の(E、F)宛ての荷物がまとめられたものとする。このとき、
図10Bに示すように、拠点(2)では、20個の荷物の仕分けをすればよく、拠点(3)では、30個の荷物の仕分けを行えばよい。すなわち、延べ180個の荷物の仕分けが必要となる。このように、本発明を適用することによって配送システム101全体の仕分けの作業量を削減することができる。
【0099】
また、仕分指標及び評価方法を変更することによって、様々な観点で仕分けを制御することができる。例えば、拠点(2)等、特定の拠点110の仕分けの作業量を最小化する仕分制御パターンを適用することもできる。これによって、ボトルネックとなっている拠点の仕分けの作業量を削減できるため、ボトルネックを解消できる。また、各拠点110の仕分けの作業量を平準化する仕分制御パターンを適用することもできる。
【0100】
以上で説明したように、本発明によれば、仕分制御システムは、複数の拠点の仕分けを考慮して、制御対象の拠点における仕分けを制御することができる。
【0101】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。また、例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために構成を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成に追加、削除、置換することが可能である。
【0102】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、本発明は、実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードによっても実現できる。この場合、プログラムコードを記録した記憶媒体をコンピュータに提供し、そのコンピュータが備えるプロセッサが記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施例の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそれを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、光ディスク、光磁気ディスク、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどが用いられる。
【0103】
また、本実施例に記載の機能を実現するプログラムコードは、例えば、アセンブラ、C/C++、perl、Shell、PHP、Python、Java(登録商標)等の広範囲のプログラム又はスクリプト言語で実装できる。
【0104】
さらに、実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを、ネットワークを介して配信することによって、それをコンピュータのハードディスクやメモリ等の記憶手段又はCD-RW、CD-R等の記憶媒体に格納し、コンピュータが備えるプロセッサが当該記憶手段や当該記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行するようにしてもよい。
【0105】
上述の実施例において、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。全ての構成が相互に接続されていてもよい。