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特開2023-177866蓋閉め治具、蓋閉め装置および蓋閉め方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177866
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】蓋閉め治具、蓋閉め装置および蓋閉め方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 7/28 20060101AFI20231207BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
B65B7/28 N
B25J13/00 Z
B65B7/28 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090810
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100173428
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】今井 貴之
【テーマコード(参考)】
3C707
3E049
【Fターム(参考)】
3C707BS15
3C707DS01
3C707FS01
3C707FT02
3C707KS03
3C707KS36
3C707KT01
3C707KT04
3C707NS02
3E049AA05
3E049AB02
3E049CA02
3E049CA04
3E049DA01
3E049EA01
3E049EB01
3E049EB02
(57)【要約】
【課題】蓋体に対する負荷を抑えつつ、蓋閉めを行うことができる蓋閉め治具、蓋閉め装置および蓋閉め方法を提供すること。
【解決手段】容器本体に対して蓋体を閉めるために用いる治具であって、前記容器本体に前記蓋体が閉められた状態で、前記容器本体と前記蓋体とが並ぶ方向を第1方向とするとき、前記蓋体は、前記容器本体と嵌合する嵌合部と、前記第1方向に沿う成分を持って広がっていて、かつ、前記第1方向からの平面視で前記嵌合部に沿って配置されている壁部と、を有し、前記治具は、前記蓋体を前記容器本体に閉める際に、前記第1方向において前記壁部の前記容器本体とは反対側の部分に接触して押圧する押圧部を備えることを特徴とする蓋閉め治具。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体に対して蓋体を閉めるために用いる治具であって、
前記容器本体に前記蓋体が閉められた状態で、前記容器本体と前記蓋体とが並ぶ方向を第1方向とするとき、前記蓋体は、前記容器本体と嵌合する嵌合部と、前記第1方向に沿う成分を持って広がっていて、かつ、前記第1方向からの平面視で前記嵌合部に沿って配置されている壁部と、を有し、
前記治具は、前記蓋体を前記容器本体に閉める際に、前記第1方向において前記壁部の前記容器本体とは反対側の部分に接触して押圧する押圧部を備えることを特徴とする蓋閉め治具。
【請求項2】
前記押圧部は、前記第1方向に沿って延在する軸を中心とし、周方向に連続する環状をなしている請求項1に記載の蓋閉め治具。
【請求項3】
前記押圧部は、前記第1方向に沿って延在する軸を中心とし、周方向に断続する環状をなしている請求項1に記載の蓋閉め治具。
【請求項4】
前記押圧部は、前記第1方向からの平面視において円形または多角形をなしている請求項2または3に記載の蓋閉め治具。
【請求項5】
前記第1方向からの平面視において前記押圧部の内側に配置され、前記第1方向と直交する第2方向における前記蓋体の位置を規制する規制部を備える請求項2または3に記載の蓋閉め治具。
【請求項6】
前記規制部は、前記第1方向と直交する第2方向に貫通する窓部を有する請求項5に記載の蓋閉め治具。
【請求項7】
前記規制部は、前記押圧部より弾性率が低い低弾性部を有する請求項5に記載の蓋閉め治具。
【請求項8】
積層造形体である請求項1に記載の蓋閉め治具。
【請求項9】
ロボットアームを有するロボットと、
前記ロボットアームに取り付けられている請求項1に記載の蓋閉め治具と、
を備えることを特徴とする蓋閉め装置。
【請求項10】
前記容器本体に対して前記蓋体を閉める方法であって、
請求項1に記載の蓋閉め治具で前記蓋体を保持する工程と、
前記蓋閉め治具で保持されている前記蓋体を、前記容器本体に被せる工程と、
前記蓋閉め治具で前記蓋体を押圧することにより、前記容器本体に対し、前記蓋体が有する前記嵌合部を嵌合させる工程と、
を含むことを特徴とする蓋閉め方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋閉め治具、蓋閉め装置および蓋閉め方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、各種の生産現場においてロボットの導入が検討されているが、その一例として、弁当のような箱状の容器に対し、蓋閉じを行う蓋閉じ装置が用いられている。弁当に用いられる容器では、容器本体の開口部に対して蓋体を被せ、嵌合させる態様が一般的である。
【0003】
例えば、特許文献1には、容器本体に蓋を内嵌合させることにより、容器本体の開口を閉塞する蓋閉装置が開示されている。この蓋閉装置は、容器本体を下方から支持する支持部材と、蓋を搬送する蓋搬送部と、容器本体を囲む枠体と、枠体の内壁面から出没する複数の爪と、を備える。そして、蓋搬送部によって容器本体の開口に対面する位置に蓋を搬送した後、複数の爪で蓋面の外周にある溝部を押圧することにより、蓋を容器本体に圧入する。これにより、蓋が容器本体に嵌合し、蓋閉めがなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-100424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の蓋閉装置では、爪が蓋に傷を付けたり、強度的に弱い溝部を破損させる恐れがある。このため、蓋に対する負荷を抑えつつ、蓋閉めを行う蓋閉め治具が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の適用例に係る蓋閉め治具は、
容器本体に対して蓋体を閉めるために用いる治具であって、
前記容器本体に前記蓋体が閉められた状態で、前記容器本体と前記蓋体とが並ぶ方向を第1方向とするとき、前記蓋体は、前記容器本体と嵌合する嵌合部と、前記第1方向に沿う成分を持って広がっていて、かつ、前記第1方向からの平面視で前記嵌合部に沿って配置されている壁部と、を有し、
前記治具は、前記蓋体を前記容器本体に閉める際に、前記第1方向において前記壁部の前記容器本体とは反対側の部分に接触して押圧する押圧部を備える。
【0007】
本発明の適用例に係る蓋閉め装置は、
ロボットアームを有するロボットと、
前記ロボットアームに取り付けられている本発明の適用例に係る蓋閉め治具と、
を備える。
【0008】
本発明の適用例に係る蓋閉め方法は、
容器本体に対して蓋体を閉める方法であって、
本発明の適用例に係る蓋閉め治具で前記蓋体を保持する工程と、
前記蓋閉め治具で保持されている前記蓋体を、前記容器本体に被せる工程と、
前記蓋閉め治具で前記蓋体を押圧することにより、前記容器本体に対し、前記蓋体が有する前記嵌合部を嵌合させる工程と、
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る蓋閉め装置を示す概略図である。
図2図1の蓋閉め装置が適用される容器の形状の一例を示す断面図である。
図3図1に示す蓋閉め治具の斜視図である。
図4】実施形態に係る蓋閉め方法を説明するためのフローチャートである。
図5図4に示す蓋閉め方法を説明するための断面図である。
図6図4に示す蓋閉め方法を説明するための断面図である。
図7図4に示す蓋閉め方法を説明するための断面図である。
図8図4に示す蓋閉め方法を説明するための断面図である。
図9図4に示す蓋閉め方法を説明するための断面図である。
図10】第1変形例に係る蓋閉め治具および図2とは異なる形状の容器を示す断面図である。
図11】第2変形例に係る蓋閉め治具および図2とは異なる形状の容器を示す断面図である。
図12】第3変形例に係る蓋閉め治具および図11とは異なる形状の容器を示す断面図である。
図13】第4変形例に係る蓋閉め治具を示す斜視図である。
図14】第5変形例に係る蓋閉め治具を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の蓋閉め治具、蓋閉め装置および蓋閉め方法を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0011】
1.蓋閉め装置
まず、実施形態に係る蓋閉め装置について説明する。
図1は、実施形態に係る蓋閉め装置1を示す概略図である。
【0012】
図1に示す蓋閉め装置1は、ロボットアーム22を有するロボット2と、ロボットアーム22に取り付けられている蓋閉め治具3と、を備える。蓋閉め装置1は、図1に示す容器本体8に対して蓋体9を閉める操作を行う装置である。容器本体8は、例えば食品等を収容し、上方が開口する箱体である。蓋体9は、容器本体8の開口部83に被せられ、開口部83を閉じる部材である。
【0013】
また、蓋閉め装置1の周囲には、2つのベルトコンベアー42、44が設けられている。ベルトコンベアー44は、蓋保持位置43を通過するように、図1に示す矢印に沿って蓋体9を搬送する。蓋閉め装置1は、蓋保持位置43において蓋体9を蓋閉め治具3で保持する。ベルトコンベアー42は、図1に示す矢印に沿って蓋閉め位置41を通過するように、食品等を収容した容器本体8を上流側から搬送する。なお、容器本体8の収容物は、特に限定されない。
【0014】
蓋閉め装置1は、蓋閉め位置41に容器本体8が搬送されたタイミングで、蓋閉め治具3で保持された蓋体9を容器本体8に被せて閉める蓋閉め操作を行う。蓋体9が閉められた容器本体8は、ベルトコンベアー42で下流側に搬送される。
【0015】
なお、容器本体8や蓋体9の搬送方法は、ベルトコンベアーを用いた方法に限定されず、いかなる方法であってもよい。
【0016】
1.1.ロボット
図1に示すロボット2は、ロボットアーム22を有する水平多関節ロボットである。なお、ロボット2の形態は、これに限定されず、垂直多関節ロボットであってもよいし、複数のロボットアームを有する双腕ロボットであってもよい。
【0017】
ロボットアーム22は、各種のエンドエフェクターを取り付け可能な先端部220を有する。そして、図1に示す先端部220には、蓋閉め治具3が取り付けられている。ロボットアーム22は、蓋閉め治具3を動作範囲内の任意の位置に移動させる。また、ロボットアーム22の動作範囲は、蓋閉め位置41および蓋保持位置43を含むように設定されている。
【0018】
また、ロボット2は、図示しないセンサー、制御部等を有する。センサーとしては、例えば、画像センサー、距離センサー、変位センサー等が挙げられる。センサーは、ベルトコンベアー42で搬送される容器本体8やベルトコンベアー44で搬送される蓋体9の位置を検出する。制御部は、ロボットアーム22を動作させることで、センサーによって検出された蓋体9に合わせて蓋閉め治具3を移動させる機能、センサーによって検出された容器本体8に蓋体9を被せ、蓋閉め操作を行うように蓋閉め治具3を移動させる機能、を有する。
【0019】
1.2.容器
図2は、図1の蓋閉め装置1が適用される容器10の形状の一例を示す断面図である。なお、本願の各図では、互いに直交する2つの軸として、Z軸およびX軸を設定している。Z軸は、容器本体8に対して蓋体9が閉められた状態で、容器本体8と蓋体9とが並ぶ方向(第1方向)に沿って延在している。なお、ここでは、Z軸を鉛直軸と平行な軸とし、Z軸を表す矢印の先端側を「上」、基端側を「下」として説明するが、Z軸は鉛直軸に対して傾いていてもよい。また、X軸は、Z軸と直交する軸である。なお、以下の説明では、Z軸と平行な方向を「第1方向」、X軸と平行な方向を「第2方向」ともいう。第2方向は、Z軸を中心とし、Z軸に直交する円の径方向に相当する。
【0020】
図2に示す容器10は、容器本体8と、蓋体9と、で構成される。容器10は、容器本体8の内側に蓋体9を嵌合させるタイプ、いわゆる内嵌合タイプの容器である。図2は、蓋体9を閉じる前の状態を示している。
【0021】
容器本体8は、下端に位置する底部82と、底部82の外縁に接続されている円筒部84と、円筒部84の上端に接続されている鍔部86と、を有する。そして、円筒部84によって内部空間S1が画定されている。内部空間S1は、収容物を収容する空間である。また、鍔部86により、内部空間S1の上方に位置する開口部83が画定されている。
【0022】
容器本体8は、平面視で、第1方向に沿って延在する軸A1を中心とする円形をなしている。なお、本明細書において「平面視」とは、第1方向から見ること、つまり、軸A1上の位置から見ることをいう。また、底部82も、軸A1を中心とし、軸A1と直交する面内に広がる円形をなしている。
【0023】
円筒部84は、底部82の外縁から上方に向かって立ち上がるとともに、軸A1まわりの周方向に連続している。
【0024】
鍔部86は、円筒部84の上端から第2方向の外側に向かって突出するとともに、周方向に連続している。鍔部86は、被嵌合部862と、フランジ部864と、で構成される。被嵌合部862は、蓋体9と嵌合する部位である。フランジ部864は、被嵌合部862の上端から外側に突出している。
容器本体8の構成材料は、特に限定されないが、例えば、発泡ポリスチレン等である。
【0025】
蓋体9は、基部92と、基部92の外縁に接続されている円筒部94と、円筒部94の下端に接続されている鍔部96と、を有する。
【0026】
蓋体9は、平面視で、軸A1を中心とする円形をなしている。そして、基部92も、軸A1を中心とし、軸A1と直交する面内に広がる円形をなしている。
【0027】
円筒部94は、基部92の外縁から下方に向かって立ち下がるとともに、周方向に連続している。また、円筒部94の下端の外径は、円筒部94の上端の外径よりも大きくなっている。さらに、下端と上端との間で、外径が連続的に変化している。このように、円筒部94の外面は、第1方向に沿って外径が連続して変化するテーパー形状になっている。
【0028】
鍔部96は、円筒部94の下端から第2方向の外側に向かって突出するとともに、周方向に連続している。鍔部96は、溝部960と、嵌合部962と、壁部963と、フランジ部964と、で構成される。
【0029】
溝部960は、円筒部94の下端に接続されている。溝部960は、軸A1と直交する面内に広がり、軸A1を中心とする円環状をなしている。
【0030】
嵌合部962は、溝部960の外側の端部に接続されている。嵌合部962は、容器本体8の被嵌合部862と嵌合する。
【0031】
壁部963は、嵌合部962の上端に接続されている。壁部963は、第1方向に沿う成分を持って広がる部位であり、平面視において軸A1を取り囲むように嵌合部962に沿って配置されている。第1方向に沿う成分を持って広がるとは、軸A1を含む平面で壁部963を切断したとき、壁部963と軸A1とのなす角度が90°未満であることをいうが、この角度は、45°以下であることが好ましく、30°以下であることがより好ましい。また、壁部963が嵌合部962に沿って配置されているとは、例えば嵌合部962が円環状をなしている場合、壁部963も嵌合部962と同心の円環状をなしていることをいう。
【0032】
フランジ部964は、壁部963の上端に接続されている。フランジ部964は、壁部963との接続部から第2方向の外側に向かって突出している。
【0033】
容器本体8に対して蓋体9を閉じる前の状態において、蓋体9の嵌合部962の外径φ9は、容器本体8の被嵌合部862の内径φ8よりもわずかに大きくなるように設定されている。蓋体9を閉じるときは、蓋体9を押圧することにより、被嵌合部862の内側に嵌合部962を圧入する。このとき、嵌合部962の外径φ9は、一旦、縮径するように変形し、圧入後には被嵌合部862の内径φ8よりわずかに大きくなる。これにより、被嵌合部862に対する嵌合部962の嵌合が完了する。なお、嵌合の完了後、嵌合部962の外径φ9は、嵌合前よりもわずかに小さくなっていてもよい。これにより、嵌合部962は、嵌合の完了後において、第2方向の外側に向かって弾性復帰しようとする。これが嵌合力を生み、蓋体9を容器本体8に対してより良好に密着させることができる。
【0034】
蓋体9の構成材料は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂である。
【0035】
以上、容器10について説明したが、上述した容器10は、蓋閉め治具3が適用される容器の一例であり、蓋体9が嵌合部962および壁部963を有し、容器本体8が被嵌合部862を有していれば、上記の形状に限定されない。
【0036】
2.蓋閉め治具
次に、実施形態に係る蓋閉め治具3について説明する。
【0037】
図3は、図1に示す蓋閉め治具3の斜視図である。なお、図3では、図示の便宜上、一部を切り欠いて断面を示している。
図3に示す蓋閉め治具3は、基部32と、規制部34と、押圧部36と、を有する。
【0038】
基部32は、平面視で、軸A2を中心とし、軸A2と直交する面内に広がる円形をなしている。また、基部32は、ロボットアーム22の先端部220に取り付けるための構造、例えばボルト孔、クリップ等を有していてもよい。
【0039】
規制部34は、基部32の外縁から下方に向かって立ち下がるとともに、周方向に連続している。また、規制部34の下端の内径は、規制部34の上端の内径よりも大きくなっている。さらに、下端と上端との間で、内径が連続的に変化している。このように、規制部34の内面は、第1方向に沿って内径が連続して変化するテーパー形状になっている。そして、規制部34によって内部空間S2が画定されている。内部空間S2には、蓋体9の一部が収容され、かつ、蓋体9と規制部34とが接触することにより、蓋体9が保持されるとともに、蓋体9の位置が所定の位置に規制される。
【0040】
軸A2を含む平面で規制部34を切断したとき、規制部34と軸A2とのなす角度は、0°超60°以下であることが好ましく、5°以上45°以下であることがより好ましい。これにより、テーパー形状が最適化され、蓋体9の位置を規制する機能がより強化される。なお、規制部34の形状は、上記の形状に限定されず、例えばテーパー形状になっていなくてもよい。
【0041】
押圧部36は、規制部34の下端から第2方向の外側に向かって突出するとともに、周方向に連続している。押圧部36は、軸A2と直交する面内に広がり、軸A2を中心とする円環状をなしている。また、押圧部36は、第2方向の中央部が両端部に比べて下方に突出した湾曲形状をなしている。この湾曲形状により、蓋体9の目的とする部位を的確に押圧することができる。なお、押圧部36の形状は、蓋体9を押圧可能な形状であればよく、上記の形状に限定されない。
【0042】
また、規制部34は、低弾性部342を有する。低弾性部342は、規制部34の第1方向における一部であり、押圧部36よりも弾性率が低くなっている。このため、低弾性部342は、蓋体9と接触すると圧縮され、元に戻ろうとする復元力を発生させる。この復元力は、後述するように、規制部34が蓋体9を保持したり、蓋体9の位置を規制したりすることに寄与する。さらに、低弾性部342は、軸A2まわりの円環状をなし、規制部34の内壁面から内側に突出している。このため、蓋閉め治具3を蓋体9に近づけたとき、他の部位に優先して低弾性部342を蓋体9に接触させることができる。したがって、低弾性部342は、蓋閉め治具3が有する機能である、規制部34が蓋体9を保持する機能、および、規制部34が蓋体9の位置を規制する機能、をより強化することに寄与する。
【0043】
低弾性部342の構成材料としては、例えば、ゴム材料、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。ゴム材料としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、1,2-ポリブタジエン(1,2-BR)、スチレンーブタジエン(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンープロピレンゴム(EPM、EPDM)、クロロスルホン化プリエチレン(CSM)、アクリルゴム(ACM、ANM)、エピクロルヒドリンゴム(CO、ECO)、多硫化ゴム(T)、シリコーンゴム、フッ素ゴム(FKM)、ウレタンゴム(U)等が挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPE)、オレフィン系TPE、塩化ビニル系TPE、ウレタン系TPE、エステル系TPE、アミド系TPE、塩素化ポエチレン系TPE、Syn-1,2-ポリブタジエン系TPE、Trans-1,4-ポリイソプレン系TPE、フッ素系TPEのような各種熱可塑性エラストマー等が挙げられる。このような低弾性部342には、一例として、Oリングのようなシールリングが挙げられる。
【0044】
また、低弾性部342の構成材料は、発泡樹脂であってもよい。発泡樹脂は、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を成形時に発泡させ、多孔質化させたものである。このような低弾性部342には、一例として、スポンジが挙げられる。
【0045】
低弾性部342の構成材料のヤング率は、押圧部36の構成材料のヤング率の10%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましい。また、低弾性部342の構成材料のヤング率は、具体的には、100MPa以下であることが好ましく、0.5MPa以上10MPa以下であることがより好ましい。
【0046】
また、図3に示す蓋閉め治具3では、規制部34が押圧部36の内側に配置されている。これにより、例えば、蓋体の外縁を利用して位置合わせを行う治具、つまり、押圧部36の外側に規制部34が設けられた治具に比べて、蓋閉め治具3の小型化および軽量化が容易に図られる。その結果、可搬重量が大きくないロボットアーム22であっても、高い運動性能を発揮させることができ、蓋閉め操作のタクトタイムを容易に縮めることができる。
【0047】
蓋閉め治具3は、いかなる方法で製造されたものであってもよく、例えば射出成形体であってもよいし、切削加工体であってもよいし、積層造形体であってもよい。このうち、蓋閉め治具3は、積層造形体であることが好ましい。積層造形体は、3Dプリンターを用いた積層造形法で製造される。積層造形法は、複雑な形状の物体であっても、安価に効率よく製造可能な方法である。したがって、蓋閉め治具3を積層造形体とすることで、例えば蓋体9の形状が変わった場合でも、速やかに新たな蓋閉め治具3の製造が可能になる。その結果、蓋閉め装置1のダウンタイムを最小限に抑えることができる。
【0048】
蓋閉め治具3の構成材料としては、例えば、樹脂材料が挙げられるが、他の材料、例えば金属材料、セラミック材料、ガラス材料等であってもよい。
【0049】
また、蓋閉め治具3は、全体が一体になっていてもよいし、複数の部品の集合体であってもよい。
【0050】
3.蓋閉め方法
次に、実施形態に係る蓋閉め方法について説明する。
【0051】
図4は、実施形態に係る蓋閉め方法を説明するためのフローチャートである。図5ないし図9は、それぞれ図4に示す蓋閉め方法を説明するための断面図である。
【0052】
図4に示す蓋閉め方法は、蓋体保持工程S102と、蓋体配置工程S104と、嵌合工程S106と、を含む。以下、各工程について順次説明する。
【0053】
3.1.蓋体保持工程
蓋体保持工程S102では、蓋閉め治具3で蓋体9を保持する。
【0054】
具体的には、まず、蓋保持位置43に蓋体9が移動してきたタイミングで、ロボットアーム22を動作させる。そして、蓋保持位置43の上方から蓋体9に向けて蓋閉め治具3を被せる。
【0055】
図5は、蓋体9の上方から蓋閉め治具3を被せる様子を示している。蓋閉め治具3を下降させると、まず、蓋閉め治具3の内部空間S2に蓋体9の基部92が収容される。そして、さらに蓋閉め治具3を下降させると、図6に示すように、蓋閉め治具3の低弾性部342と、蓋体9の円筒部94と、が接触する。図6は、蓋閉め治具3の低弾性部342と蓋体9の円筒部94とが接触している様子を示している。その後、さらに蓋閉め治具3を下降させると、図7に示すように、蓋体9に押圧された低弾性部342が圧縮される。
【0056】
圧縮された低弾性部342には、元に戻ろうとする復元力が生じる。この復元力が蓋体9に作用し、蓋体9を落下させることなく保持することができる。また、低弾性部342は、前述したように、軸A2まわりの円環状をなしている。このため、低弾性部342から蓋体9に作用する復元力は、蓋閉め治具3に対して蓋体9の位置を調整するように作用する。例えば、蓋閉め治具3の軸A2の位置と蓋体9の軸A1の位置とが重なるように、復元力が寄与する。したがって、低弾性部342を有する規制部34は、蓋閉め治具3が有する、蓋体9を保持する機能と、蓋体9の位置を規制する機能(蓋体9の位置合わせを行う機能)と、を実現する。これらの機能により、後述する工程において蓋体9を容器本体8に被せるとき、蓋体9の位置精度を高めることができる。
【0057】
また、蓋体9の円筒部94がテーパー形状になっていることを利用することで、蓋体9の位置を規制する機能がより強化される。つまり、円筒部94の外側面と規制部34とが接触することにより、円筒部94のテーパー形状を利用することができ、蓋体9の位置合わせが容易になる。
【0058】
また、低弾性部342と蓋体9との間の摩擦係数は、蓋閉め治具3の押圧部36等と蓋体9との間の摩擦係数に比べて大きいことが好ましい。低弾性部342の構成材料としてゴム、エラストマー、発泡樹脂等を選択することで、低弾性部342と蓋体9との間の摩擦係数を大きくすることができる。摩擦係数を大きくすることにより、蓋体9を保持する機能をより高めることができる。
【0059】
なお、低弾性部342が省略されている場合でも、例えば、規制部34と蓋体9との間に摩擦力が発生したり、規制部34と蓋体9との間に粘着力が発生したりしている場合には、規制部34にこれらの機能を生じさせることができる。
【0060】
3.2.蓋体配置工程
蓋体配置工程S104では、ロボットアーム22を動作させ、蓋体9を保持した状態の蓋閉め治具3を、蓋閉め位置41まで移動させる。次に、蓋閉め位置41に容器本体8が移動してきたタイミングで、ロボットアーム22を動作させ、容器本体8の上方から蓋体9を被せるように蓋閉め治具3を移動させる。
【0061】
図7は、容器本体8の上方から蓋体9を被せる様子を示している。図7に示すように、ロボットアーム22の動作により、蓋閉め治具3を下降させ、蓋体9を容器本体8に被せる。そして、蓋体9の嵌合部962と容器本体8の被嵌合部862とを接触させる。図8は、蓋体9の嵌合部962と容器本体8の被嵌合部862とが接触した状態を示している。本工程では、この状態になるように蓋体9を配置する。
【0062】
3.3.嵌合工程
嵌合工程S106では、図8に示す状態から、蓋閉め治具3によって蓋体9を押圧すると、図9に示すように、嵌合部962と被嵌合部862との嵌合が完了する。図9は、蓋体9の嵌合部962と容器本体8の被嵌合部862とが嵌合した状態を示している。
【0063】
壁部963は、嵌合部962に沿って嵌合部962の上方に配置されており、また、押圧の作用点である壁部963の上部965は、壁部963の容器本体8とは反対側の部分である。このため、蓋閉め治具3によって壁部963の上部965が下方に押圧されると、押圧力を効率よく嵌合部962に伝えることができ、嵌合部962を被嵌合部862の内側に圧入することができる。なお、壁部963は、第1方向に沿う成分を持って広がっているため、壁部963に加えられた押圧力は、壁部963の曲げや捻り等をほとんど生じさせることなく嵌合部962へ伝達される。これにより、壁部963に対する負荷を抑えつつ、嵌合部962が圧入され、嵌合させることができる。その結果、蓋閉め操作に伴う蓋体9の塑性変形や破損の発生を抑制することができる。
【0064】
また、壁部963の上部965は、壁部963とフランジ部964との接続部でもある。この接続部では、壁部963とフランジ部964とがほぼ直角に接続されており、角が形成されている。このような形状をなす上部965は、耐変形性(剛性)が比較的高い部位である。したがって、上部965を押圧部36で押圧することは、蓋体9の意図しない変形を抑制するという観点で、特に有効である。なお、壁部963とフランジ部964とがなす角度は、90°(直角)に限定されず、30°以上150°以下程度であってもよい。
【0065】
また、押圧部36は、軸A2を中心とし、周方向に連続する円環状をなしている。これにより、押圧部36は、蓋体9をより安定して押圧することができる。その結果、蓋閉め操作が失敗する確率を下げることができる。
【0066】
なお、押圧部36の形状は、蓋体9の形状に合わせて設定される。このため、押圧部36の平面視形状は、円環状以外の環状、例えば、外縁が多角形、楕円形、長円形等をなす環状であってもよい。
【0067】
蓋閉め操作の完了後、ロボットアーム22を動作させ、蓋閉め治具3を上昇させる。蓋体9と容器本体8とは嵌合しているため、蓋閉め治具3の上昇に伴って蓋体9が引き上げられるとき、蓋体9が蓋閉め治具3から脱離する。これにより、蓋閉め操作が完了する。
【0068】
4.第1変形例
次に、第1変形例に係る蓋閉め治具について説明する。
【0069】
図10は、第1変形例に係る蓋閉め治具3Aおよび図2とは異なる形状の容器10Aを示す断面図である。
【0070】
以下、第1変形例について説明するが、以下の説明では、前記実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図10において前記実施形態と同様の構成には同一の符号を付している。
【0071】
図10に示す蓋閉め治具3Aは、形状が異なる以外、図5に示す蓋閉め治具3と同様である。また、図10に示す容器10Aも、蓋体9Aの形状が異なる以外、図2に示す容器10と同様である。
【0072】
図10に示す蓋体9Aは、第1方向における円筒部94の長さが図2よりも短くなっている。その結果、蓋体9Aでは、第1方向における溝部960から基部92までの距離と、溝部960からフランジ部964までの距離と、が等しくなっている。つまり、蓋体9Aは、基部92の上方への突出が、図2に示す蓋体9に比べて抑えられている。
【0073】
このような形状の蓋体9Aに対応するため、図10に示す蓋閉め治具3Aは、規制部34と押圧部36との間に位置する屈曲部35を有している。屈曲部35は、規制部34の下端と押圧部36の内縁とを接続するとともに、周方向に連続している。このような屈曲部35が設けられたことにより、第1方向における押圧部36の位置が、規制部34の下端よりも上方にシフトしている。
【0074】
図10に示す蓋閉め治具3Aにおいても、図5に示す蓋閉め治具3と同様、規制部34が蓋体9Aの円筒部94を保持するとともに位置を規制し、押圧部36が蓋体9Aの壁部963の上部965を押圧する。これにより、蓋閉め治具3Aにおいても、規制部34による蓋体9Aを保持する機能および位置を規制する機能と、押圧部36による蓋体9Aを押圧する機能と、が得られる。
以上のような第1変形例においても、前記実施形態と同様の効果が得られる。
【0075】
5.第2変形例
次に、第2変形例に係る蓋閉め治具について説明する。
【0076】
図11は、第2変形例に係る蓋閉め治具3Bおよび図2とは異なる形状の容器10Bを示す断面図である。
【0077】
以下、第2変形例について説明するが、以下の説明では、前記実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図11において前記実施形態と同様の構成については同一の符号を付している。
【0078】
図11に示す蓋閉め治具3Bは、形状が異なる以外、図5に示す蓋閉め治具3と同様である。また、図11に示す容器10Bも、形状が異なる以外、図2に示す容器10と同様である。
【0079】
図11に示す容器10Bは、容器本体8Bの外側に蓋体9Bを嵌合させるタイプ、いわゆる外嵌合タイプの容器である。
【0080】
容器本体8Bは、底部82と、円筒部84と、鍔部86と、を有する。蓋体9Bは、基部92と、円筒部94と、鍔部96と、を有する。このうち、鍔部96は、段差部961と、嵌合部962と、壁部963と、フランジ部964と、を有する。
【0081】
図11に示す段差部961は、円筒部94の下端に接続されている。段差部961は、軸A1と直交する面内に広がり、軸A1を中心とする円環状をなしている。
【0082】
図11に示す壁部963は、段差部961の外側の端部に接続されている。壁部963は、第1方向に沿う成分を持って広がる部位であり、平面視において軸A1を取り囲むように嵌合部962に沿って配置されている。
【0083】
図11に示す嵌合部962は、壁部963の下端に接続されている。嵌合部962は、容器本体8Bの被嵌合部862と嵌合する。
【0084】
図11に示すフランジ部964は、嵌合部962の外側の端部に接続されている。フランジ部964は、嵌合部962との接続部から下方に向かって突出している。
【0085】
図11に示す蓋閉め治具3Bにおいても、規制部34が蓋体9Bの円筒部94を保持するとともに位置を規制し、押圧部36が蓋体9Bの壁部963の上部965を押圧する。これにより、蓋閉め治具3Bにおいても、規制部34による蓋体9Bを保持する機能および位置を規制する機能と、押圧部36による蓋体9Bを押圧する機能と、が得られる。
【0086】
容器本体8Bに対して蓋体9Bを閉じる前の状態において、蓋体9Bの嵌合部962の内径は、容器本体8Bの被嵌合部862の外径よりもわずかに小さくなるように設定されている。蓋体9Bを閉じるときは、蓋体9Bを押圧することにより、嵌合部962の内側に被嵌合部862が圧入される。このとき、嵌合部962の内径は、一旦、拡径するように変形し、圧入後には被嵌合部862の外形よりわずかに小さくなる。これにより、被嵌合部862に対する嵌合部962の嵌合が完了する。
以上のような第2変形例においても、前記実施形態と同様の効果が得られる。
【0087】
6.第3変形例
次に、第3変形例に係る蓋閉め治具について説明する。
【0088】
図12は、第3変形例に係る蓋閉め治具3Cおよび図11とは異なる形状の容器10Cを示す断面図である。
【0089】
以下、第3変形例について説明するが、以下の説明では、前記第2変形例との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図12において前記実施形態および前記第2変形例と同様の構成については同一の符号を付している。
【0090】
図12に示す蓋閉め治具3Cは、形状が異なる以外、図11に示す蓋閉め治具3Bと同様である。また、図12に示す容器10Cも、形状が異なる以外、図11に示す容器10Bと同様である。
【0091】
図12に示す容器10Cも、図11に示す容器10Bと同様、外嵌合タイプの容器である。図12に示す容器本体8Cは、底部82と、円筒部84と、鍔部86と、を有する。鍔部86は、軸A1を中心とする円の円周を軸として外側に巻かれた形状をなしている。また、鍔部86は、被嵌合部862を有する。
【0092】
図12に示す蓋体9Cは、基部92と、円筒部94と、鍔部96と、を有する。図12に示す円筒部94は、第1方向に沿って外径が略一定になっている。図12に示す鍔部96は、段差部961と、嵌合部962と、壁部963と、フランジ部964と、を有する。
【0093】
図12に示す壁部963は、段差部961の外側の端部に接続されている。壁部963は、第1方向と略平行に広がる部位であり、平面視において軸A1を取り囲むように嵌合部962に沿って配置されている。
【0094】
図12に示す嵌合部962は、壁部963の下端に接続されている。嵌合部962は、容器本体8Cの被嵌合部862と嵌合する。
【0095】
図12に示す蓋閉め治具3Cにおいても、規制部34が蓋体9Cの円筒部94を保持するとともに位置を規制し、押圧部36が蓋体9Cの壁部963の上部965を押圧する。これにより、蓋閉め治具3Cにおいても、規制部34による蓋体9Cを保持する機能および位置を規制する機能と、押圧部36による蓋体9Cを押圧する機能と、が得られる。
以上のような第3変形例においても、前記実施形態と同様の効果が得られる。
【0096】
7.第4変形例
次に、第4変形例に係る蓋閉め治具について説明する。
図13は、第4変形例に係る蓋閉め治具3Dを示す斜視図である。
【0097】
以下、第4変形例について説明するが、以下の説明では、前記実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図13において前記実施形態と同様の構成については同一の符号を付している。
【0098】
図13に示す蓋閉め治具3Dは、形状が異なる以外、図3に示す蓋閉め治具3と同様である。
【0099】
図3に示す蓋閉め治具3は、前述したように、軸A2まわりの周方向に連続する円筒状をなす規制部34と、連続する円環状をなす押圧部36と、を有する。これに対し、図13に示す蓋閉め治具3Dは、軸A2まわりの周方向に断続する円筒状をなす規制部34Dと、断続する円環状をなす押圧部36Dと、を有する。具体的には、図13に示す規制部34Dは、4つに分割された円筒状をなしている。また、図13に示す押圧部36Dは、4つに分割された円環状をなしている。
【0100】
このような形状をなす蓋閉め治具3Dでは、規制部34Dの分割された部位同士の間、および、押圧部36Dの分割された部位同士の間に、4つの窓部37を有する。窓部37は、蓋閉め治具3Dを第2方向に貫通しているので、規制部34Dで画定されている内部空間S2を外部空間に露出させる。このため、内部空間S2に蓋体9の一部が収容されたとき、蓋閉め装置1のユーザーは、収容されている蓋体9を窓部37から視認することができる。これにより、ユーザーは、蓋閉め治具3Dに保持されている蓋体9の姿勢等を直接視認することができ、蓋体9の姿勢の乱れ等を把握しやすくなる。したがって、第4変形例に係る蓋閉め治具3Dは、より効率の高い蓋閉め操作の実現に寄与する。なお、窓閉め治具3Dが有する窓部37の数は、4つに限定されず、それより多くても少なくてもよい。また、窓部37の形状も、図示した形状に限定されない。例えば、規制部34Dの形状のみが断続的になっていてもよいし、押圧部36Dの形状のみが断続的になっていてもよい。
以上のような第4変形例においても、前記実施形態と同様の効果が得られる。
【0101】
なお、窓部37は、必要に応じて、透明または半透明の部材で塞がれていてもよい。この場合、ユーザーによる視認を可能にしつつ、蓋閉め治具3Dの剛性を高めることができる。
【0102】
8.第5変形例
次に、第5変形例に係る蓋閉め治具について説明する。
図14は、第5変形例に係る蓋閉め治具3Eを示す断面図である。
【0103】
以下、第5変形例について説明するが、以下の説明では、前記実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図14において前記実施形態と同様の構成については同一の符号を付している。
【0104】
図14に示す蓋閉め治具3Eは、蓋体9を吸引する吸引部38を有する。吸引部38は、吸着パッド382と、配管384と、を有する。吸着パッド382は、柔軟性を有し、切頭円錐形をなす吸着部386を含んでいる。吸着パッド382は、蓋閉め治具3Eの基部32の下面から下方に向かって突出するように配置されている。配管384は、吸着パッド382と、図示しない真空発生装置と、を接続する。真空発生装置の動作により、配管384を介して吸着パッド382の内部を減圧することができる。これにより、吸着パッド382は、下方に位置する蓋体9を吸引、吸着することができる。また、真空発生装置の動作を切り替えて、内部の減圧を停止または緩和することにより、吸着パッド382は、蓋体9の吸着を停止することができる。したがって、吸引部38を有する蓋閉め治具3Eは、蓋体9を保持する機能を有する。
【0105】
また、蓋閉め治具3Eでは、図5に示す低弾性部342が省略されている。しかし、このような蓋閉め治具3Eでも、規制部34と蓋体9の円筒部94との接触により、蓋体9の位置を規制することができる。したがって、蓋閉め治具3Eは、蓋体9の位置を規制する機能も有する。
【0106】
吸着パッド382の構成材料としては、例えば、前述した各種ゴム材料、各種熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0107】
また、図14に示す蓋閉め治具3Eは、複数の吸引部38を有する。吸引部38を複数にすることで、蓋体9を安定した姿勢で保持することができる。これにより、蓋閉め操作の安定化を図ることができる。なお、蓋閉め治具3Eが有する吸引部38の数は、1つであってもよい。
【0108】
また、図14に示す吸引部38の構成は、吸着パッド382を有する構成に限定されず、例えば、Oリングのようなシール部材を用いた構成であってもよいし、その他の構成であってもよい。
以上のような第5変形例においても、前記実施形態と同様の効果が得られる。
【0109】
9.各形態が奏する効果
以上のように、前記実施形態またはその変形例に係る蓋閉め治具3、3A、3B、3C、3D、3Eは、容器本体8、8B、8Cに対して蓋体9、9A、9B、9Cを閉めるために用いる治具であって、押圧部36、36Dを備える。蓋体9、9A、9B、9Cは、嵌合部962と、壁部963と、を有する。嵌合部962は、容器本体8、8B、8Cと嵌合する。壁部963は、第1方向に沿う成分を持って広がっていて、かつ、第1方向からの平面視で嵌合部962に沿って配置されている。第1方向とは、容器本体8、8B、8Cに蓋体9、9A、9B、9Cが閉められた状態で、容器本体8、8B、8Cと蓋体9、9A、9B、9Cとが並ぶ方向である。そして、蓋体9、9A、9B、9Cを容器本体8、8B、8Cに閉める際に、押圧部36、36Dは、第1方向において壁部963の容器本体8、8B、8Cとは反対側の部分(上部965)に接触して押圧する。
【0110】
壁部963は、第1方向に沿う成分を持って広がっているため、壁部963に加えられた押圧力は、壁部963の曲げや捻り等をほとんど生じさせることなく嵌合部962へ伝達される。これにより、壁部963に対する負荷を抑えつつ、嵌合させることができる。その結果、蓋体9、9A、9B、9Cに対する負荷、具体的には、蓋体9、9A、9B、9Cの塑性変形や破損の発生を抑えつつ、蓋閉めを行うことができる蓋閉め治具が得られる。
【0111】
また、壁部963の上部965は、壁部963とフランジ部964との接続部でもある。この接続部では、壁部963とフランジ部964とがほぼ直角に接続されており、角が形成されている。このような形状をなす上部965は、例えば樹脂板をプレス成形して得られるため、耐変形性が比較的高い部位である。したがって、角になっている上部965を押圧部36、36Dで押圧することにより、上部965の意図しない変形を抑制することができ、蓋閉め操作が失敗する確率を十分に下げることができる。
【0112】
なお、蓋体の形状は、嵌合部962および壁部963を有していれば、各図に示す形状に限定されない。そして、蓋閉め治具の形状も、壁部963の上部965を押圧可能な押圧部を有していれば、各図に示す形状に限定されない。また、容器本体の形状も、嵌合部962に嵌合する被嵌合部862を有していれば、各図に示す形状に限定されない。
【0113】
また、前記実施形態またはその変形例では、押圧部36が、第1方向に沿って延在する軸A2を中心とし、周方向に連続する環状をなしている。
【0114】
このような構成によれば、蓋体9、9A、9B、9Cをより安定して押圧可能な蓋閉め治具が得られる。
【0115】
また、前記実施形態またはその変形例では、押圧部36Dが、第1方向に沿って延在する軸A2を中心とし、周方向に断続する環状をなしている。
【0116】
このような構成によれば、蓋体9、9A、9B、9Cを安定して押圧可能であるとともに、断続する押圧部36Dに形成される窓部37を介して、保持されている蓋体9、9A、9B、9Cの視認が可能になる。その結果、保持されている蓋体9、9A、9B、9Cの姿勢の乱れ等をユーザーが把握しやすくなり、より効率の高い蓋閉め操作の実現に寄与する蓋閉め治具が得られる。
【0117】
また、前記実施形態またはその変形例では、押圧部36、36Dが、第1方向からの平面視において円形または多角形をなしている。
【0118】
このような構成によれば、蓋体9、9A、9B、9Cの形状が円形または多角形である場合でも、安定して蓋閉め操作を行い得る蓋閉め治具が得られる。
【0119】
また、前記実施形態またはその変形例に係る蓋閉め治具3、3A、3B、3C、3D、3Eは、規制部34、34Dを備える。規制部34、34Dは、第1方向からの平面視において押圧部36、36Dの内側に配置され、第1方向と直交する第2方向における蓋体9、9A、9B、9Cの位置を規制する。
【0120】
このような構成によれば、例えば、蓋体の外縁を利用して位置合わせを行う治具に比べて、蓋閉め治具3、3A、3B、3C、3D、3Eの小型化および軽量化が容易に図られる。その結果、可搬重量が大きくないロボットアーム22であっても、高い運動性能を発揮させることができ、蓋閉め操作のタクトタイムを容易に縮めることができる。
【0121】
また、前記実施形態またはその変形例では、規制部34Dが、第1方向と直交する第2方向に貫通する窓部37を有する。
【0122】
このような構成によれば、断続する規制部34Dに形成される窓部37を介して、保持されている蓋体9の視認が可能になる。その結果、保持されている蓋体9の姿勢の乱れ等をユーザーが把握しやすくなり、より効率の高い蓋閉め操作の実現に寄与する蓋閉め治具が得られる。
【0123】
また、前記実施形態またはその変形例では、規制部34、34Dは、押圧部36、36Dより弾性率が低い低弾性部342を有する。
【0124】
低弾性部342は、弾性率が低いため、蓋体9、9A、9B、9Cと接触すると圧縮され、元に戻ろうとする復元力を発生させる。この復元力は、規制部34、34Dが蓋体9、9A、9B、9Cを保持したり、蓋体9の位置を規制したりすることに寄与する。
【0125】
また、前記実施形態またはその変形例に係る蓋閉め治具3、3A、3B、3C、3D、3Eは、積層造形体であることが好ましい。これにより、例えば蓋体9、9A、9B、9Cの形状が変わった場合でも、速やかに新たな蓋閉め治具3、3A、3B、3C、3D、3Eの製造が可能になる。その結果、蓋閉め装置1のダウンタイムを最小限に抑えることができる。
【0126】
また、前記実施形態に係る蓋閉め装置1は、ロボット2と、蓋閉め治具3、3A、3B、3C、3D、3Eと、を備える。ロボット2は、ロボットアーム22を有する。蓋閉め治具3、3A、3B、3C、3D、3Eは、ロボットアーム22に取り付けられている。
【0127】
このような構成によれば、蓋体9、9A、9B、9Cに対する負荷を抑えつつ、蓋閉めを行うことができる蓋閉め装置1が得られる。
【0128】
また、前記実施形態に係る蓋閉め方法は、容器本体8、8B、8Cに対して蓋体9、9A、9B、9Cを閉める方法であって、蓋体保持工程S102と、蓋体配置工程S104と、嵌合工程S106と、を含む。蓋体保持工程S102では、蓋閉め治具3、3A、3B、3C、3D、3Eで蓋体9、9A、9B、9Cを保持する。蓋体配置工程S104では、蓋閉め治具3、3A、3B、3C、3D、3Eで保持されている蓋体9、9A、9B、9Cを、容器本体8、8B、8Cに被せる。嵌合工程S106では、蓋閉め治具3、3A、3B、3C、3D、3Eで蓋体9、9A、9B、9Cを押圧することにより、容器本体8、8B、8Cに対し、蓋体9、9A、9B、9Cが有する嵌合部962を嵌合させる。
【0129】
このような蓋閉め方法によれば、蓋体9、9A、9B、9Cに対する負荷、具体的には、蓋体9、9A、9B、9Cの塑性変形や破損の発生を抑えつつ、蓋閉めを行うことができる。また、蓋体9、9A、9B、9Cの意図しない変形を抑制することができ、蓋閉め操作が失敗する確率を十分に下げることができる。
【0130】
以上、本発明に係る蓋閉め治具、蓋閉め装置および蓋閉め方法を図示の実施形態および変形例に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0131】
例えば、本発明に係る蓋閉め治具および蓋閉め装置は、前記実施形態および変形例の各部が同様の機能を有する任意の構成物に置換されたものであってもよく、前記実施形態および変形例に任意の構成物が付加されたものであってもよい。また、本発明に係る蓋閉め方法は、前記実施形態および変形例に任意の目的の工程が付加されたものであってもよい。さらに、本発明は、前記実施形態および変形例のうち、2つ以上を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0132】
1…蓋閉め装置、2…ロボット、3…蓋閉め治具、3A…蓋閉め治具、3B…蓋閉め治具、3C…蓋閉め治具、3D…蓋閉め治具、3E…蓋閉め治具、8…容器本体、8B…容器本体、8C…容器本体、9…蓋体、9A…蓋体、9B…蓋体、9C…蓋体、10…容器、10A…容器、10B…容器、10C…容器、22…ロボットアーム、32…基部、34…規制部、34D…規制部、35…屈曲部、36…押圧部、36D…押圧部、37…窓部、38…吸引部、41…蓋閉め位置、42…ベルトコンベアー、43…蓋保持位置、44…ベルトコンベアー、82…底部、83…開口部、84…円筒部、86…鍔部、92…基部、94…円筒部、96…鍔部、220…先端部、342…低弾性部、382…吸着パッド、384…配管、386…吸着部、862…被嵌合部、864…フランジ部、960…溝部、961…段差部、962…嵌合部、963…壁部、964…フランジ部、965…上部、A1…軸、A2…軸、S1…内部空間、S102…蓋体保持工程、S104…蓋体配置工程、S106…嵌合工程、S2…内部空間、φ8…内径、φ9…外径
図1
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