(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177876
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】給水装置
(51)【国際特許分類】
F04D 9/02 20060101AFI20231207BHJP
F04D 29/00 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
F04D9/02 101E
F04D29/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090829
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】松坂 太智
(72)【発明者】
【氏名】伊吹 脩
(72)【発明者】
【氏名】豊田 耕司
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA03
3H130AB13
3H130AB22
3H130AB25
3H130AC06
3H130BA13A
3H130BA91A
3H130CA22
3H130CA24
3H130DA02Z
3H130DD01Z
3H130DJ01Z
3H130EA04A
3H130EA07A
(57)【要約】
【課題】騒音や振動が低減でき、メンテナンス性に優れた給水装置を提供する。
【解決手段】一態様に係る給水装置は、流路を構成する流路部と、ポンプ室を構成するポンプケーシングと、一方側に開口するとともに前記流路に連通する自吸室を構成する自吸室ケースと、を一体に備える流路ベースと、前記自吸室ケースの前記開口を塞ぐ自吸室蓋と、前記流路ベースを支持する座部を有するとともに、前記自吸室蓋が挿通可能な自吸部用開口を有するベースと、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路を構成する流路部と、ポンプ室を構成するポンプケーシングと、開口を有するとともに前記流路に連通する自吸室を構成する自吸室ケースと、を一体に備える流路ベースと、
前記自吸室ケースの前記開口を塞ぐ自吸室蓋と、
前記流路ベースを支持する座部を有するとともに、前記自吸室蓋が挿通可能な自吸部用開口を有するベースと、を備える、給水装置。
【請求項2】
前記ベースは、樹脂材により成型され、
前記流路ベースは、樹脂材により成型され、
前記ベースは、前記ベースの一方側に前記流路ベースが支持された状態で、前記ベースの他方側から前記自吸室蓋を着脱可能に構成された、請求項1に記載の給水装置。
【請求項3】
前記自吸室ケースは、前記自吸室蓋と締結される固定座を備え、
前記自吸室蓋は前記固定座と締結される蓋フランジを備え、
前記自吸室蓋は前記自吸室内に配される気液分離板を一体に備え、
前記自吸部用開口の内側に、前記固定座及び前記蓋フランジが配置可能に構成される、請求項1に記載の給水装置。
【請求項4】
前記ポンプケーシングに収納されるインペラと前記インペラに接続されるモータと、
前記ポンプケーシングの二次側の前記流路部に設けられる蓄圧装置と、
前記モータを制御する電装箱と、を備え、
前記流路ベースは、前記モータを固定するポンプ取付部と、前記流路部に形成され前記蓄圧装置を取り付ける蓄圧装置取付部と、を一体に備え、
前記自吸室ケースは、検出器を取付ける検出器取付部を一体に備え、
前記ベースは、前記電装箱を取付ける電装箱取付部を一体に備える、請求項1に記載の給水装置。
【請求項5】
前記座部は、インサートボルトを備え、前記座部に、弾性部材を介して、前記流路ベースが配置される、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給水装置において、井戸や槽等の給水源から、負荷に応じた高効率のポンプ運転を行なうために、モータが接続(連結)されたポンプにインバータ等の制御装置を組み合わせた給水装置が知られている。
【0003】
このような給水装置として、例えば、金属製や樹脂製のベース上に、ポンプと制御装置等の構成品を載置し、各構成品をカバーで覆うことで構成されたものが知られている。この給水装置は、各構成品をベース上に配置するため、小型化、軽量化が可能となり、設置や移動も容易となる。また、流路管及び自吸室を有するケーシングとベースを一体に構成した給水装置も知られている。例えば、樹脂材によって射出成型でケーシングを構成する場合、下側に開口する自吸室を一体に形成し、自吸室内部に配される気液分離板や自吸室の下側の開口を閉止するための蓋を別体として取付ける構成もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したようにケーシングとベースを樹脂材で一体成型した給水装置においては、モータの振動がベースやポンプカバーに伝達するため、振動や騒音が大きくなる。一方、ケーシングとベースを分割した場合は、分割した間に弾性体を挟むことで騒音や振動を小さくできるが、射出成型で立形の自吸ポンプを製造する場合は,気液分離用の壁と自吸室空洞部を閉止するための蓋を設ける必要がある。この蓋はケーシングとベースに挟まれているため、メンテナンス時はケーシングをベースから外す必要があり、メンテナンス作業が煩雑となる。
【0006】
そこで本発明は、騒音や振動が低減でき、メンテナンス性に優れた給水装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る給水装置は、流路を構成する流路部と、ポンプ室を構成するポンプケーシングと、開口を有するとともに前記流路に連通する自吸室を構成する自吸室ケースと、を一体に備える流路ベースと、前記自吸室ケースの前記開口を塞ぐ自吸室蓋と、前記流路ベースを支持する座部を有するとともに、前記自吸室蓋が挿通可能な自吸部用開口を有するベースと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、騒音や振動が低減でき、メンテナンス性に優れた給水装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る給水装置の構成を示す正面図。
【
図6】同給水装置の本体部の一部の構成を示す断面図。
【
図7】本発明の他の実施形態に係る給水装置の構成を示す下面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、第1実施形態に係る給水装置1について、
図1乃至
図6を参照して説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係る給水装置1の構成を示す正面図、
図2は同給水装置の構成を示す平面図である。
図3は同給水装置の流路部の構成を示す断面図である。
図4は給水装置1の流路部とベースの構成を示す側面図、
図5は本体部の一部の構成を示す断面図、
図6は同給水装置の下面図である。図中、B1はインサートボルトを、F、F1は水の流れを、Pはプラグを、それぞれ示している。例えば、給水装置1は、縦軸モータの自吸カスケードポンプである。また、各図において説明のため、適宜構成を拡大、縮小又は省略して示す。
【0011】
図1に示すように、給水装置1は、ベース10と、本体部2と、本体部2を覆うカバー4と、を備える。
図1及び
図4に示すように、ベース10上に流路ベース20が組付けられ、流路ベース20に、モータ12と、アキュムレータ(蓄圧装置)14と、検出器15と、電装箱16と、フランジ部17と、が組付けられる。
【0012】
ベース10は、樹脂材で一体成型される。ベース10は、その上面に各構成品を配置させる凹凸を適宜有し、給水装置1の設置の際にその下部で接地させる。ベース10は、接地側が開口する箱状に形成され、その上壁部が、流路ベース20や電装箱16を支持する座部10aを構成する。座部10aは、給水装置1の設置面よりも所定高さ上方の位置に位置する。座部10aは、各構成部品を取付ける取付部として、流路取付部25b、及び電装箱取付部を、一体に備える。
【0013】
流路取付部25bは、例えば複数の座面部27bと、複数の固定手段26bと、を備える。固定手段26bは例えばインサートボルトB1であり、固定手段26bに弾性部材19を介して、流路ベース20が組付けられる。なお、ベース10に設けられるインサートボルトB1は、ベース10の成型時に、ベース10に一体に成型される。
【0014】
電装箱取付部は座面部27dを有し、座面部27dに、ボルトやビス等のような固定手段を用いて電装箱16が取付けられる。
【0015】
座部10aは、後述する自吸室蓋42が挿通可能な自吸部用開口10bが形成されている。自吸部用開口10bは、流路ベース20が上から座部10a上に設置され取付けられた状態で、自吸室蓋42がベース10の裏側となる下面側から着脱することが可能に形成される。具体的には、自吸部用開口10bは、蓋フランジ部53を含む自吸室蓋42の外縁部の形状に沿うか、自吸室ケース36及び自吸室蓋42の外形よりも大きく構成される。自吸部用開口10bは、例えば自吸室ケース36の一部が自吸部用開口10b内に配される位置関係であってもよく、その場合、自吸部用開口10bは、自吸室蓋42が装着された固定座48を含む自吸室ケース36の外形に沿い、あるいは自吸室蓋42及び自吸室ケース36の外形よりも大きく構成されていてもよい。
【0016】
ベース10の接地側の面には補強用のリブ10cが複数成型されている。
【0017】
本体部2は、流路ベース20と、自吸部11と、モータ12と、ポンプ13と、アキュムレータ(蓄圧装置)14と、検出器15と、電装箱16と、フランジ部17と、を備える。自吸部11の自吸室ケース36、及びポンプ13のポンプケーシング34は、流路ベース20の一部として一体に構成される。すなわち、流路ベース20は、その一部として、自吸部11の自吸室ケース36やポンプ13のポンプケーシング34を一体に有する。
【0018】
本体部2は、ベース10の外周面より内側であって、互いに当接しない間隔を有して自吸部11、ポンプ13、アキュムレータ14、検出器15及び電装箱16が配置されている。また、本体部2は、フランジ部17の端部がベース10の外周面より外側に若干突出する位置に設けられている。
【0019】
流路ベース20は、樹脂材により一体に成型され、ポンプ部に接続される流路を形成する流路部21と、ポンプ室を形成するポンプケーシング34と、自吸室36cを形成する自吸室ケース36と、を一体に備える。
【0020】
流路ベース20は、各構成部品を取付ける取付部として、ポンプ取付部25a、検出器取付部25c、アキュムレータ取付部25e(蓄圧装置取付部)、を一体に備える。
【0021】
流路部21は、ポンプ13の一次側に配される吸込流路を形成する吸込流路部31と、ポンプ13の二次側に配される吐出流路を形成する吐出流路部40と、自吸室と吐出流路の間に配される連通流路を構成する連通部38と、を一体に備える。
【0022】
吸込流路部31は、吸込口30を有し、吸込流路を形成する管状に構成される。
【0023】
連通部38は、自吸室ケース36の開口部と隣接する開口部を有する。
【0024】
吐出流路部40は、管状に構成されるとともに、連通部38に接続される。吐出流路部40は2つの吐出口39を有する。吐出流路部40は、吸込流路部31と並行に延び、その両端に吐出口39が形成される。吐出流路部40には、アキュムレータ14が取付けられるアキュムレータ取付部25eが形成される。アキュムレータ取付部25eは例えばアキュムレータ14の螺子部が螺合する固定手段としての螺子孔を備える。
【0025】
ポンプケーシング34は、吸込流路部31に連通する吸込孔32と、下流に連通する吐出孔33と、をその側面に有する。
【0026】
自吸室ケース36は、吐出流路部40とポンプケーシング34との間に自吸室を構成する。自吸室ケース36は、ポンプケーシング34の吐出孔33に連通する。自吸室ケース36は、上面に開口する開口部を有する。自吸室ケース36は、下部において下方に向けて、内側面積と同一、又は、内側面積より拡口して開口する下部開口47を備える。
【0027】
自吸部11は、上部開口及び下部開口47を有する自吸室ケース36と、自吸室ケース36の下部開口47を閉塞させるとともに気液分離板(気液分離部材)41を有する自吸室蓋42と、を備える。
【0028】
自吸部11は、気液分離板41により、自吸室ケース36の内部空間が第1空間43及び第2空間44の2つの連続する空間に仕切られている。なお、開口部は自吸室ケース36の第2空間44に位置するように配置されている。
【0029】
自吸室ケース36は、流路ベース20の一部である。自吸室ケース36の内部は下端部から天井面迄の高さが2つの異なる高さに形成され、この天井面により高さの異なる2段状の空間が形成されている。なお、自吸室ケース36のポンプケーシング34と隣り合う空間の天井面(以下、「第1天井面」)は、ポンプケーシング34の吐出孔33及び吸込孔32の上端位置(天井面)の少なくとも一方と略同一の高さに形成されている。これに対し、自吸室ケース36のポンプケーシング34から一定の距離離間した位置からの天井面(以下、「第2天井面」)は、第1天井面に対してより高く形成されている。
【0030】
自吸室ケース36は、ポンプケーシング34の内側面と隣り合う内側面(同一の側面)を有し、この側面に上述したポンプケーシング34の吐出孔33が位置することでポンプケーシング34と連通する。自吸室ケース36は、その上面に第2天井面を貫通することで自吸室ケース36内部と連通する呼水用の呼水穴36a及び上述した開口部を有している。なお、呼水穴36aは、その内周面に雌螺子部が形成され、自吸室ケース36の第1空間43側に位置して設けられる。また、呼水穴36aには、雌螺子部に着脱自在なプラグPが螺合されている。
【0031】
自吸室ケース36の内面には、気液分離板41と当接することで、自吸室ケース36の内面と気液分離板41との隙間を低減させる溝部が設けられている。尚、自吸室ケース36の上面の開口部及び開口部に隣り合う連通部38の開口部の周囲に検出器取付部25cが設けられる。検出器取付部25cは検出器15を配置させる検出器座面部27cと検出器15を固定する固定手段26cと、を有する。例えば固定手段26cとしてインサートボルトB1やボルト貫通孔を備える。なお、流路ベース20に設けられるインサートボルトB1は、流路ベース20の成型時に、流路ベース20に一体に成型される。
【0032】
自吸室ケース36の下部には、自吸室蓋42を固定する固定座48と、この固定座48の周囲に複数設けられ内部に雌螺子が形成された螺子孔部49と、が形成される。また、自吸室ケース36は、固定座48にシール部材、例えばOリング等を挿入するシール溝が設けられている。
【0033】
自吸室蓋42は、自吸室ケース36の内底面を形成する上面51及び上面51の周縁から下方に延出する周壁部を有し自吸室ケース36の下側の開口を塞ぐ蓋部54と、蓋部54の外周に配され、固定座48に対応して設けられ固定座48に締結される蓋フランジ部53と、上面51に一体成型された気液分離板41と、を備えている。
【0034】
蓋フランジ部53は、螺子孔部49に対応して設けられ、締結部材56としての複数の螺子が挿入される挿入孔53aを有する。なお、蓋フランジ部53に締結されるボルトやナット等の締結部材56も、ベース10に形成された自吸部用開口10bの内側に配され、例えば外形が蓋フランジ部53のアーチ状部分よりも小さい接円のボルトやナットが用いられる。
【0035】
自吸室蓋42は、蓋部54の上面51が吐出孔33の下端と高さ方向で略同一位置となるように、蓋フランジ部53の固定座48との対向面から蓋部54の上面51までの周壁部の高さが設定されている。蓋部54の下面側は、下方に開口し、その内部に補強リブ55を有する中空形状に形成されている。自吸室蓋42は、ベース10の一方側に流路ベース20が支持された状態でベース10の他方側から着脱可能に構成される。
【0036】
気液分離板41は、吐出孔33の開口面積及び自吸室ケース36内部空間を第1空間43及び第2空間44に仕切ることが可能な板状に形成されており、自吸室ケース36の内面沿ってその高さは2つの異なる高さに形成されている。
【0037】
気液分離板41の高さが低い部位(以下、「第1板部41a」)は、その上部が自吸室ケース36の第1天井面と略同一の高さに形成され、自吸室ケース36の溝部に挿入することとなる。
【0038】
これに対し、気液分離板41の高さが高い部位(以下、「第2板部41b」)は、その上部が、自吸室ケース36の第2天井面と一定距離離間する高さに形成され、自吸室ケース36の内面に設けられた溝部にその側面が挿入されることとなる。即ち、自吸室ケース36に自吸室蓋42を組み合わせた場合に、自吸室ケース36の第2天井面との間の天井部に隙間が形成される。なお、気液分離板41の厚さは、自吸室ケース36内面に設けられた溝部に挿入可能、且つ、溝部の幅と略同一の幅に形成されている。
【0039】
このように、自吸室ケース36は、気液分離板41の最上部となる第2板部41bの上部と第2天井面との間の隙間により第1空間43と第2空間44とが連通することで流路が形成され、気液分離板41により仕切られることとなる。
【0040】
ポンプ13は、例えばカスケードポンプ(渦流れポンプ)が用いられる。ポンプ13は、鉛直方向に配置される回転軸を有するモータ12と、回転軸に固定されるインペラと、流路ベース20の一部を構成するポンプケーシング34と、ポンプケーシング34に固定され、その内部にインペラインペラが配置されるインナーケーシング58と、を備える。なお、モータ12には、ポンプ取付部25aに固定される固定手段として、インサートボルトB1が挿入されるボルト挿入孔等の固定手段26bが設けられている。
【0041】
即ち、ポンプ13は、流路ベース20に設けられたポンプケーシング34とインペラインペラ及びインナーケーシング58とがパッキンを介して組み合わさることで一体に形成される。
【0042】
なお、ポンプ13は、モータ12の回転軸の軸心方向と、流路ベース20の上面(主面)とが直交する状態、即ち、回転軸の軸心方向が鉛直方向となるようにモータ12がポンプ座部27aの座面に当接し、インサートボルトB1等の固定手段26aに固定される。
【0043】
ポンプケーシング34は流路ベース20の一部として一体成型される。ポンプケーシング34は、その内周面がインナーケーシング58の外形状と略同一に形成され、例えばポンプケーシング34とインナーケーシング58とが接着剤等により固定されている。また、ポンプケーシング34の外周にポンプ取付部25aが一体に形成される。例えばポンプ取付部25aは、例えばモータ12に設けられるボルト孔に締結されるインサートボルトB1等の固定手段26aを備える。
【0044】
図3に示すように、インナーケーシング58は、例えば金属材料により形成され、吸込孔32に位置する側面に設けられた吸込孔部を備えている。また、インナーケーシング58は、気液分離板41に仕切られた一方の吐出孔33の第1空間43側に位置する側面に設けられた吐出孔部と、気液分離板41に仕切られた他方の吐出孔33である第2空間44側に位置する側面に設けられた逆流孔部と、を備えている。
【0045】
なお、逆流孔部は、吐出孔部、及び、気液分離板41に仕切られた他方(第2空間44側)の吐出孔の開口面積よりも小さな開口面積に形成されている。即ち、逆流孔部は、吐出孔部から水が吐出されるため、吐出孔部の下流に位置するように気液分離板41に仕切られた第2空間44側の吐出孔に配置されている。
【0046】
検出器15は、その下面が、自吸部11の開口部及び連通部38の開口部との周囲に設けられた検出器座面部27cにシール溝に設けられたOリング等のパッキンを挟んで接続されている。
【0047】
検出器15は、電装箱16に接続された信号線と、その内部に設けられた流量及び圧力の少なくとも一方を検出する検出部と、を備えている。このような検出器15は、自吸部11の開口部と連通部38の開口部とを、その内部で連通させる流路を有し、この流路の途中に検出部が設けられている。検出器15には、ボルトを挿入可能なボルト挿入孔等の固定手段15aが設けられる。検出器15は、固定手段15aが検出器取付部25cの固定手段26cに固定され、流路ベース20に固定される。
【0048】
即ち、流路部21は、ポンプケーシング34の一次側(上流側)に吸込流路部31が、自吸室ケース36の二次側(下流側)の連通部38に吐出流路部40が接続それぞれされ、自吸室ケース36内の自吸室及び連通部38の連通室が検出器15により連通されることとなる。これにより、吸込流路部31からポンプケーシング34及び自吸室ケース36を介して吐出流路部40まで水の流路が水の流れFに示すように形成される。
【0049】
電装箱16は、例えばインバータや各種回路が形成された回路基板を備える。電装箱16は、信号線を介して検出器15に接続され、電装箱取付部に固定されている。電装箱16は、ボルトやビス等の固定手段を用いて、電装箱取付部に固定される。
【0050】
また、電装箱16は、モータ12と信号線により電気的に接続されている。このような電装箱16は、検出器15からの検出結果(以下、信号)を、信号線を介して受信し、この受信した信号に基いてモータ12を制御可能に形成されている。
【0051】
また、電装箱16は、外部との情報の入出力が可能に形成されており、外部との接続を行なう端子部と、運転状況やエラー等を外部へと光等で報知する報知手段と、外部から電装箱16へ電力を供給する電源ケーブルと、を備えている。なお、このような電装箱16は、例えば家庭用電源に電源ケーブルを接続することで電力が供給されることとなる。また、電装箱16には、電装箱16のアースをとるアース線が設けられている。
【0052】
フランジ部17は、吸込口30に接続され、吸込フランジ70と、吐出口39に接続される吐出フランジ71と、を備えている。これら吸込フランジ70及び吐出フランジ71は、それぞれ配管等を接続可能な雌螺子部が形成された接続部70a、71aと、ボルト等を挿入可能なボルト挿入孔等を有する固定手段26を有している。
【0053】
吸込フランジ70は、吸込口30に設けられたフランジ座面27fに、固定される。また、吸込フランジ70には、その内面に螺子山が設けられた水抜き及び空気抜き用の孔部70bが設けられ、この孔部70bを閉塞するプラグ70cが設けられている。また、吸込フランジ70と吸込口30のフランジ座面27fとの間には、逆止弁が一体成形されたパッキンが設けられる。
【0054】
吐出フランジ71は、2つの吐出口39にそれぞれ設けられたフランジ座面27fに、ボルトやナットなどの締結具が取付けられる固定手段26を備える。吐出フランジ71及び吐出口39との間には、フランジパッキンが設けられる。なお、一方の吐出フランジ71には、供給先へ続く配管等が接続され、他方の吐出フランジ71は、例えばキャップが取付可能に形成されており、このキャップを取り付けることで閉塞される。なお、他方の吐出フランジ71は、接続部71aが雌螺子であっても、異なる接続部、例えば雄螺子であってもどちらでも良く、キャップ等により閉塞可能であれば適宜設定可能である。
【0055】
カバー4は、その下端部をベース10の外周縁に形成されたカバー座面に配置可能に形成されている。また、カバー4は、フランジ部17に配管等を接続時に、配管等に干渉しないようにフランジ部17を覆い、且つ、フランジ部17の外形状よりも若干大きい開口部を有する。また、カバー4は、締結手段としてビスを挿入するビス挿入部と、クランプを引きかけるフックとを備えるとともに、電源ケーブル及びアース線をベース10から外部へと配設させる開口孔等を備える。
【0056】
このように構成された給水装置1は、先ず、井戸や受水層等と吸込フランジ70が配管等を介して接続され、さらに、吐出フランジ71と給水先とが配管等により接続される。また、電装箱16の電源ケーブルが家庭用電源に接続されることで設置される。
【0057】
運転指示が電装箱16に与えられると、電装箱16を介してモータ12に電力が供給され、モータ12が駆動されることとなる。モータ12が駆動することで、回転軸が回転し、この回転軸に接続・固定されているインペラが回転軸に追従して回転する。
【0058】
ポンプケーシング34内に、前回運転時等の水が逆止弁により吸込フランジ70で塞き止められることで水が充満している場合には、この水がインペラにより増圧されて圧送される。このとき、水は、インナーケーシング58の吐出孔部からポンプケーシング34の吐出孔33を介して自吸部11に圧送されることとなる。
【0059】
圧送された水は、自吸部11の第1空間43から第2空間44へと気液分離板41を介して移動し、開口部から検出器15へと圧送され、検出器15から連通部38の開口部を介して吐出口39へと移動する。このように、ポンプ13のインペラにより水が圧送されると、ポンプケーシング34の吸込孔32側(一次側)は低圧となり、逆止弁が開放され、ポンプケーシング34内に水が吸込まれる。この繰返しにより、水が下流側に圧送されて、吐出フランジ71から水が給水される。
【0060】
また、検出器15を通過する際に、圧送された水の流量及び圧力の少なくとも一方が検出され、この検出結果が信号線を介して電装箱16へと送付される。電装箱16は、この検出結果を基に、モータ12を制御することで、ポンプ13の吐出量を変化させる。この繰返しで、給水装置1が運転されることとなる。
【0061】
次に、給水装置1設置後の初運転時等の、ポンプケーシング34内及び吸込フランジ70に接続された配管内に空気が充満、又は、ポンプケーシング34内の水が少量のみ貯留されている場合の自吸を含む水及び空気の流れの説明を行なう。
【0062】
先ず、使用者は、呼水穴36aのプラグPを外し、自吸室ケース36内に水を注入する。注入された水は、吐出孔33から、インナーケーシング58の吐出孔部及び逆流孔部を介して、ポンプケーシング34内に水が移動(逆流)する。
【0063】
このように、水をポンプケーシング34内に充満するように呼水を行なったら、呼水穴36aにプラグPを螺合し、ポンプ13を運転させる。ポンプ13により、ポンプケーシング34(インナーケーシング58)内の水が吐出孔部から自吸室ケース36内部の第1空間43へと圧送される。第1空間43へ圧送された水は、自吸室ケース36の第2板部41bの上部を超えて、第2空間44へ移動する。
【0064】
このように、ポンプ13により水を圧送させると、吸込孔32側の圧力は、吸込フランジ70の上流側の圧力に対して低圧となる。このため、逆止弁は開となり、吸込フランジ70に接続された配管の空気がポンプケーシング34へと吸込まれることとなる。吸込まれた空気は、ポンプケーシング34の水と混合されるとともにポンプ13により圧送されて自吸室ケース36の第1空間43へ移動する(圧送される)。
【0065】
第1空間43へ移動した空気は、水よりも優先的に上方へ移動するため、第2空間44へと移動するとともに、その上方の開口部から下流へと移動する。このとき、空気と一緒に圧送された水は、一部が第1空間43に留まり、残りは第2空間44へと移動する。第2空間44へ移動した水は、優先的に空気が開口部から下流へと移動するため、一部の水が開口部から下流に移動し、その他の水は、第2空間44へと留まるとともに、逆流孔部から、水の流れF1に示すように再度ポンプケーシング34内へと逆流することとなる。
【0066】
このような水の移動により、ポンプケーシング34内に空気が充満することが防止され、ポンプケーシング34内に水が一定以上供給され続けることとなる。このように、ポンプ13から吸込フランジ70に設けられた配管までの間の空気が順次下流へと圧送される。これにより、ポンプ13に吸込まれる流体に気体が混入していても、自吸部11により自吸が行なわれるため、ポンプ13が機能停止に陥ることがない。
【0067】
このような給水装置1の組付け時には、まず流路ベース20の自吸室36cの下部開口47に自吸室蓋42を取付け、ボルトやナット等の締結部材により締結する。そして、自吸部用開口10bに自吸室蓋42が対向配置されるように位置合わせし、自吸室蓋42を一体に備える流路ベース20を、ベース10の上から、パッキンを介して、座部10aに配置して、流路取付部25bにおいて固定する。このとき、ベース10上面に、流路ベース20が支持され、自吸室蓋42は、ベース10の自吸部用開口10b内に配置される。あるいは流路ベース20との位置関係によって自吸室蓋42が自吸部用開口10bの直上部であって下側から見てその外縁が自吸部用開口10bの内側に配置されていてもよい。給水装置1の自吸部11をメンテナンスする際には、ベース10の下側から、自吸部用開口10bの内側に配される固定座48及び蓋フランジ部53を締結する締結部材を取り外し、自吸室蓋42を着脱することが可能である。
【0068】
本実施の形態に係る給水装置1によれば、自吸室ケース36を備える流路ベース20と、自吸室蓋42と、自吸室蓋42が挿通可能な開口を有するベース10とに分けて構成したことで、騒音や振動が低減でき、メンテナンス性に優れた給水装置を提供することが可能となる。すなわち、ポンプケーシングや自吸室ケース36をベースに一体に成型した構成においては、モータの振動がベースやポンプカバーに伝達し、振動や騒音が大きくなるが、上記給水装置1は自吸室ケース36を一体に有する流路ベース20と、自吸室ケース36に着脱される自吸室蓋42を挿入可能な開口を有するベース10と、をそれぞれ一体成形により形成し、組付けることで、モータ等からの振動がベース10に伝達することを抑制し、騒音や振動が低減できる。また、ポンプケーシングや自吸室ケースをベースに一体に成型した構成においては、ケーシングとベースの間に挟まれる蓋を取り外すメンテナンス時にはまずケーシングをベースからはずす作業が必要であり煩雑であったが、上記給水装置1によれば、自吸部11のメンテナンスの際に、他の部品を分解せずにベース10の裏側から自吸室蓋42を取り外すことができ、着脱可能であり、メンテナンス性に優れる。
【0069】
さらに、自吸部11の自吸室ケース36を流路部31,40等と一体成型し、自吸室蓋42を別体とする構成とすることで、自吸室ケース36の型抜きは、自吸室ケース36の下部の開口部から型抜きを行えば良い。そして、ボルト等により自吸室ケース36に自吸室蓋42を組み付ければ、自吸部11の組立工程も最小限で済む。また、ポンプケーシング34と自吸室ケース36等の流路部21と一体とすることで、鋳造や樹脂成型加工等の加工工程を低減させるとともに、各構成品の組立工数を低減することが可能となる。
【0070】
ベース10を樹脂により一体成形することから、金属材料で鋳造を行なう場合に比べ、ベース10を軽量とすることが可能となる。また、ベース10を樹脂により成型する際に、ベース10の補強用のリブ10cも成型するため、ベース10を補強することが可能となる。また、流路ベース20やベース10は、量産に適しており、また、金属材料と比較して樹脂材料は安価である。このため、給水装置1の製造コストの低減が可能となる。
【0071】
また、ベース10や流路部21において、金属材料はボルトやナット等のみを用いればよく、ベース10及び流路部21の軽量化が可能となる。また流路ベース20に直接各構成品を配置・固定することが可能となり、給水装置1を小型とすることが可能となる。また、給水装置1は、ベース10上をカバー4で覆うことで、本体部2のベース10上に設けられた各構成品を外部から保護することが可能となる。
【0072】
また、ベース10や流路部21をそれぞれ樹脂材で成型することで、ベース10や流路部21を軽量とすることが可能となり、給水装置1の軽量化が可能となる。これにより、給水装置1の運搬等も容易となり、給水装置1の設置等の作業性を向上させることも可能となる。
【0073】
さらに、ベース10や流路部21は、成型用の型を一度製作すれば、ベース10及び流路部21の成型が可能となるため、量産に適しており、また、金属材料と比較して樹脂材料は安価である。また、組立工程及び加工工程を低減させることが可能となり、製造コストの低減も可能となる。
【0074】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。
【0075】
例えば自吸室開口の形状は上記に限られるものではなく適宜変更可能である。例えば上記実施形態においては自吸部用開口10bが自吸室ケース36の外縁部の形状に沿う形状である例を示したが、これに限られるものではない。
図7は、本発明の他の実施形態に係る給水装置の構成を示す下面図である。例えば
図7に示す給水装置1Aは、自吸部用開口10bが、自吸室ケース36よりも大きく、自吸室ケース36を組付けた状態において自吸室ケース36の外周部に開口部10dが形成されている。この場合さらに開口部10dにて水漏れの有無を確認しやすい。
【0076】
また、固定手段は、直接ナットをインサートする等により設ける構成でもよく、あるいはボルト孔、ナット孔、を備えてもよい。また、ベース10及び流路ベース20を樹脂材により一体成型する例を示したが、これらのいずれかあるいは両方を金属材料により一体成型してもよい。この場合、樹脂材で成型する場合より重量が重くなるが、高圧に増圧した水を圧送する給水装置に用いることが可能となる。
【0077】
また、ベース10について、リブ10cを全体に配する例を示したがこれに限られるものではない。例えばベース10の支持面の裏側に形成される空間に制御箱が収納される構成としてもよく、この場合、自吸部用開口は制御箱に接続される配線等を通す配線孔としても利用できる。これらの場合においても、上記実施形態と同様に、自吸室ケース36を備える流路ベース20と、自吸室蓋42と、自吸室蓋42及び自吸室ケース36が挿入可能な開口を有するベース10とに分けて構成したことで、騒音や振動が低減でき、メンテナンス性に優れた給水装置を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0078】
1…給水装置、1A…給水装置、2…本体部、4…カバー、10…ベース、10a…座部、10b…自吸部用開口、10c…リブ、10d…開口部、11…自吸部、12…モータ、13…ポンプ、14…アキュムレータ、15…検出器、15a…固定手段、16…電装箱、17…フランジ部、19…弾性部材、20…流路ベース、21…流路部、25a…ポンプ取付部、25b…流路取付部、25c…検出器取付部、25e…アキュムレータ取付部、26…固定手段、26a…固定手段、26b…固定手段、26c…固定手段、27b…座面部、27c…検出器座面部、27d…座面部、27f…フランジ座面、30…吸込口、31…吸込流路部(流路部)、32…吸込孔、33…吐出孔、34…ポンプケーシング、36…自吸室ケース、36a…呼水穴、36c…自吸室、38…連通部、39…吐出口、40…吐出流路部(流路部)、41…気液分離板、41a…板部、41b…板部、42…自吸室蓋、43…空間、44…空間、47…下部開口、48…固定座、49…螺子孔部、51…上面、53…蓋フランジ部、53a…挿入孔、54…蓋部、55…補強リブ、56…締結部材、58…インナーケーシング、70…吸込フランジ、70a…接続部、70b…孔部、70c…プラグ、71…吐出フランジ、71a…接続部、B1…インサートボルト。