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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177890
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】除電装置
(51)【国際特許分類】
   H05F 3/02 20060101AFI20231207BHJP
【FI】
H05F3/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090848
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】藤田 信宏
(72)【発明者】
【氏名】中尾 多通夫
(72)【発明者】
【氏名】中島 健二
【テーマコード(参考)】
5G067
【Fターム(参考)】
5G067AA27
5G067DA02
(57)【要約】
【課題】移動体に対して作業者による搬送対象物の積み込み作業が行われる場合でも、当該移動体に対する効果的な除電を行うことができる除電装置を提供する。
【解決手段】除電装置(1)は、自己放電素材からなるテープ部と、テープ部を保持する保持部であって、導電性素材からなりアースに電気的に接続される保持部と、保持部を固定する固定部(3)と、を備える。固定部(3)は、テープ部が移動体の最上部に近接するか、または、テープ部近傍が移動体の最上部に接するように、テープ部を保持した保持部を固定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体から静電気を放電させる除電装置であって、
自己放電素材からなり、柔軟性を持ったテープ状の部材であるテープ部と、
前記テープ部を、前記テープ部の一方の長辺である第1長辺において保持する保持部であって、導電性素材からなりアースに電気的に接続される保持部と、
前記保持部を固定する固定部と、を備え、
前記固定部は、
(1)前記第1長辺に対向する前記テープ部の長辺である第2長辺が水平であり、(2)更に、前記テープ部の前記第2長辺が前記移動体の最上部に近接するか、または、前記テープ部の前記第2長辺近傍が前記移動体の最上部に接するように、
前記テープ部を保持した前記保持部を固定する、除電装置。
【請求項2】
前記保持部に保持された複数の前記テープ部を備える、請求項1に記載の除電装置。
【請求項3】
前記テープ部の前記第2長辺の高さが、前記移動体の最上部の高さより5mm低い位置から5mm高い位置の範囲内にある、請求項1に記載の除電装置。
【請求項4】
前記固定部には、前記テープ部の前記第2長辺の高さを調整可能とする調整機構が設けられている、請求項1に記載の除電装置。
【請求項5】
前記テープ部は、前記第2長辺近傍が鋸歯状の端部となるように形成されている、請求項1に記載の除電装置。
【請求項6】
前記テープ部は、ポリエステル繊維またはアクリル繊維のうちの少なくともいずれかを含む、編地または布地を含んでなる、請求項1に記載の除電装置。
【請求項7】
前記固定部は、天井に固定され、前記天井から前記保持部を懸下する部材である、請求項1に記載の除電装置。
【請求項8】
前記固定部は、前記保持部を支持する柱部を有する、請求項1に記載の除電装置。
【請求項9】
前記固定部は、前記保持部を支持する梁部と、前記梁部を支持する一対の柱部とを有する、請求項1に記載の除電装置。
【請求項10】
前記移動体は、カゴ台車である、請求項1から9のいずれか1項に記載の除電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、除電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来文献には、工場作業者や、車両(移動体)が通る出入り口に吊り下げて、通過のときに除電し得る、すだれ式の除電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭56-027680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、例えば、工場、倉庫などの生産現場、物流現場では、カゴ台車や天秤台車などの、作業者が搬送対象物の積み込み作業を行い、当該搬送対象物の移送作業が行える、移動体が広く用いられている。
【0005】
また、上記のような移動体では、積み込み作業によって、当該移動体が帯電することが問題となっている。
【0006】
それ故、上記のような積み込み作業が実施可能な移動体に対して、作業者の作業の負担にならず、効果的な除電を行える除電装置の実現が望まれる。
【0007】
本開示は、移動体に対して作業者による搬送対象物の積み込み作業が行われる場合でも、当該移動体に対する効果的な除電を行うことができる除電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本開示の除電装置は、移動体から静電気を放電させる除電装置であって、自己放電素材からなり、柔軟性を持ったテープ状の部材であるテープ部と、前記テープ部を、前記テープ部の一方の長辺である第1長辺において保持する保持部であって、導電性素材からなりアースに電気的に接続される保持部と、前記保持部を固定する固定部と、を備え、前記固定部は、(1)前記第1長辺に対向する前記テープ部の長辺である第2長辺が水平であり、(2)更に、前記テープ部の前記第2長辺が前記移動体の最上部に近接するか、または、前記テープ部の前記第2長辺近傍が前記移動体の最上部に接するように、前記テープ部を保持した前記保持部を固定する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、移動体に対して作業者による搬送対象物の積み込み作業が行われる場合でも、当該移動体に対する効果的な除電を行うことができる除電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施形態1に係る除電装置の構成例を説明する図である。
図2図1に示した除電部材の具体的な構成例を説明する図である。
図3】(A)は、図1に示したカゴ台車の構成例を示す上面図であり、(B)は、カゴ台車の構成例を示す斜視図であり、(C)は、パレットが搭載された状態のカゴ台車の具体例を示す斜視図である。
図4】除電装置による除電を実施していない場合における、カゴ台車の各部での帯電量を計測した検証試験の結果例を示す表である。
図5】本開示の実施形態2に係る除電装置の構成例を説明する図である。
図6図5に示した除電装置の構成例を示す斜視図である。
図7】本開示の実施形態3に係る除電装置の構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
以下、本開示の実施形態1について図1図3を参照しつつ説明する。図1は、本開示の実施形態1に係る除電装置1の構成例を説明する図である。図2は、図1に示した除電部材2の具体的な構成例を説明する図である。図3(A)は、図1に示したカゴ台車Dの構成例を示す上面図であり、図3(B)は、カゴ台車Dの構成例を示す斜視図であり、図3(C)は、パレットPAが搭載された状態のカゴ台車Dの具体例を示す斜視図である。
【0012】
(カゴ台車Dの構成概要)
まず、図3を用いて、本開示の除電装置1の除電対象となるカゴ台車Dについて具体的に説明する。カゴ台車Dは、移動体の一例である。
【0013】
図3(A)及び図3(B)に示すように、カゴ台車Dは、工場、倉庫などの床面US(図1)に対向する矩形状の底板D2と、矩形状の底板D2のうち、例えば、底板D2の三辺からそれぞれ鉛直方向に立設された3つの柵体D1と、を備えている。底板D2には、例えば、4つの車輪D3が設けられている。柵体D1は金属(導電性)からなる。また、底板D2、及び車輪D3は、金属材料または合成樹脂(絶縁性)材料の少なくとも一方の材料を用いて構成されている。
【0014】
図3(C)に示すように、カゴ台車Dにおいては、例えば、空コンテナである、パレットPAが底板D2上に順次積層される。具体的いえば、カゴ台車Dにおいては、柵体D1が設けられていない、開放口から作業者SによってパレットPAが底板D2上の3つの柵体D1に囲まれた収納空間に搬入される。そして、カゴ台車Dでは、3つの柵体D1によって搬送対象物Pの転落防止を行いつつ、柵体D1に作用する作業者Sからの力に応じて、車輪D3が回動することにより、パレットPAを載置した状態で、カゴ台車Dは作業者Sの所望する方向に移動する。
【0015】
なお、上記の説明以外に、例えば、カゴ台車Dにおいて、上記開放口を開閉する扉を設ける構成でもよい。
【0016】
(除電装置1の構成概要)
次に、図1及び図2を用いて、本実施形態1の除電装置1について具体的に説明する。なお、以下の説明では、作業者Sが床面USの上方に設けられたコンベアC上の搬送対象物Pをカゴ台車Dに搬入または搬出する作業現場において、本実施形態1の除電装置1が適用されてカゴ台車Dから静電気を除電する場合について説明する。
【0017】
図1に示すように、本実施形態1の除電装置1は、工場、倉庫などの天井TSに固定されている。除電装置1は、除電部材2と、固定部3と、を備えている。固定部3は、金属材料などの導電性素材を用いて構成されており、アースされて使用される。より具体的には、固定部3にはアース線を接続するための接続端子が設けられ、建物に設けられたアース端子にアース線が接続されることによって、固定部3が電気的にアースに接続されてもよい。
【0018】
図2に示すように、除電部材2は、テープ部2aと、保持部2bと、を備えている。テープ部2aは、自己放電素材からなり、柔軟性を持ったテープ状の部材である。具体的には、テープ部2aは、例えば、ポリエステル繊維またはアクリル繊維のうちの少なくともいずれかを含む、編地または布地を含んでなる。尚、自己放電素材とは、除電対象のカゴ台車D(移動体)との間で、コロナ放電を発生させることにより、電源を用いることなく、カゴ台車Dから静電気を除電し得る素材をいう。
【0019】
保持部2bは、その一辺がテープ部2aの一方の長辺である第1長辺2a11に連続的に接続されることにより、第1長辺2a11においてテープ部2aを保持する。保持部2bは、導電性素材からなり、固定部3を介在させて上記アースに電気的に接続される。
【0020】
また、テープ部2aでは、第1長辺2a11に対向する長辺である第2長辺2a12の近傍が鋸歯状の端部となるように形成されている。つまり、テープ部2aでは、第2長辺2a12近傍において、図2の下方側に突出した突出部2a2と開口部2a3とが、第2長辺2a12に沿って交互に設けられている。突出部2a2は、平面視で、例えば、三角形状に構成されている。また、開口部2a3は、平面視で、例えば、三角形状に開口されている。
【0021】
図1及び図2に示すように、固定部3は、除電部材2の保持部2bに接続されることにより、保持部2bを固定する。具体的には、固定部3は、フレーム部材3aと、懸下部材3bと、を備えている。フレーム部材3aには、保持部2bが取り付けられている。フレーム部材3aは、懸下部材3bにより、例えば、天井TS及び床面USと平行となるように、天井TSに固定されている。つまり、本実施形態1の除電装置1では、固定部3は、天井TSに固定され、天井TSから保持部2bを懸下する部材である。
【0022】
具体的にいえば、固定部3は、テープ部2aの第2長辺2a12が水平であり、かつ、第2長辺2a12がカゴ台車Dの最上部に近接するか、または、第2長辺2a12近傍がカゴ台車Dの最上部に接するように、テープ部2aを保持した保持部2bを固定する。より詳細にいえば、固定部3は、テープ部2aの第2長辺2a12の高さが、カゴ台車Dの最上部の高さより、例えば、5mm低い位置から5mm高い位置の範囲内にあるように、除電部材2を固定する。また、このような範囲内にあるように、テープ部2aの第2長辺2a12の高さ設定を行うことにより、テープ部2aとカゴ台車Dとの間で、コロナ放電を確実に発生させることができる。
【0023】
なお、上記の説明では、固定部3において、懸下部材3bにより、フレーム部材3aを天井TSに固定した場合を説明した。しかしながら、本開示の実施形態はこれに限定されない。例えば、天井TSに対して、高さ方向の寸法、つまりカゴ台車Dに対する第2長辺2a12の高さを調整可能に構成された架台を吊り下げて、架台に懸下部材3bを取り付けることによって当該架台を介在させて固定部3を天井TSに固定してもよい。
【0024】
また、上記の説明以外に、懸下部材3bに対して、第2長辺2a12の高さを調整可能とする調整機構を設置する構成でもよい。この場合、床面USからのカゴ台車Dの高さが変更された場合でも、カゴ台車Dの確実な除電を容易に行うことができる。
【0025】
以上のように、本実施形態1の除電装置1は、自己放電素材からなるテープ部2aと、テープ部2aを保持する保持部2bであって、導電性素材からなりアースに電気的に接続される保持部2bと、保持部2bを固定する固定部3と、を備えている。また、固定部3は、(1)テープ部2aの第2長辺2a12が水平であり、(2)更に、テープ部2aの第2長辺2a12がカゴ台車(移動体)Dの最上部に近接するか、または、テープ部2aの第2長辺2a12近傍がカゴ台車Dの最上部に接するように、テープ部2aを保持した保持部2bを固定している。これにより、本実施形態1の除電装置1では、カゴ台車Dに対して作業者Sによる搬送対象物Pの積み込み作業が行われる場合でも、当該積み込み作業の邪魔になることなく、積み込み作業を継続しつつ、カゴ台車Dに対する効果的な除電を行うことができる。
【0026】
すなわち、本実施形態1の除電装置1では、除電部材2のテープ部2aは、カゴ台車Dと近接、または接触することにより、カゴ台車Dとの間でコロナ放電を発生させることができ、除電部材2の保持部2b及び固定部3を介して、カゴ台車Dに帯電された静電気を上記アースに放電して除電することができる。このため、本実施形態1の除電装置1では、上記従来例と異なり、積み込み作業などの作業中に継続して放電させることができ、カゴ台車Dの確実な除電を行うことができる。この結果、本実施形態1の除電装置1では、作業者Sによる搬送対象物Pのカゴ台車Dへの搬入出作業やカゴ台車Dの移動作業などの作業を邪魔することなく、当該作業の効率低下が生じるのを極力抑制することができる。
【0027】
また、本実施形態1の除電装置1では、テープ部2aがカゴ台車Dの柵体D1の最上部に近接、または接触することにより、カゴ台車Dの除電を行うように構成されているので、作業者等は手間をかけることなく、カゴ台車Dに対する除電装置1のセッティングを行うことができる。
【0028】
また、本実施形態1の除電装置1では、除電対象のカゴ台車Dの設置位置についてある程度許容でき、作業者は、作業の内容や作業者Sの癖に応じて、カゴ台車Dの位置をある程度調整することが可能となる。
【0029】
また、本実施形態1の除電装置1では、除電部材2により、コロナ放電を発生させてカゴ台車Dの除電を行っているので、カゴ台車Dからの静電気に起因する火花の発生などを抑えることができ、安全にカゴ台車Dの除電を行うことができる。
【0030】
ここで、本実施形態1の除電装置1の具体的な効果について具体的に説明する。図4は、除電装置1による除電を実施していない場合における、カゴ台車Dの各部での帯電量を計測した検証試験の結果例を示す表である。この検証試験では、カゴ台車Dに複数のパレットPAを順次積載した場合において、静電気の帯電量を検出するセンサにより、柵体D1の上部、中央部、及び下部での帯電量を計測した。また、この検証試験での測定箇所の上部、中央部、及び下部の各位置は、図3(C)に例示する位置である。
【0031】
本開示の発明者の検証試験によれば、カゴ台車DのパレットPAの積載数が増加するにつれて、カゴ台車Dの静電気の帯電量が大きくなることが確認された。具体的にいえば、検証試験において、カゴ台車Dに積み込まれたパレットPAの積載数(段数)を変化させた場合における、柵体D1の上部、中央部、及び下部での静電気の帯電量は、図4に示す値となった。なお、図4では、使用したセンサの測定可能な帯電量である、20kVを超える測定結果については、「>20.00」で示している。
【0032】
図4から明らかなように、カゴ台車Dでは、パレットPAの積載数に関わらず、柵体D1の上部の方が下部よりも帯電量が大きいことが確認された。更に、カゴ台車Dでは、柵体D1での位置に関わらず、パレットPAの積載数を増加させるにつれて、帯電量もまた大きくなることが確かめられた。
【0033】
これに対して、本実施形態1の除電装置1を用いた場合には、パレットPAの積載数及び柵体D1での位置に関わらず、作業者Sに電撃発生による不快感を与えない、3kV以下の帯電量に抑制できることが実証された。つまり、パレットPAの積み込み作業を進めるにつれてカゴ台車Dの帯電量が増加し、作業者に電撃による不快感を与えてしまう問題が、本実施形態1の除電装置1を用いることによって防止できることが実証された。
【0034】
また、本実施形態1の除電装置1では、テープ部2aは柔軟性を持ったテープ状の自己放電素材からなるので、テープ部2aがカゴ台車Dと接触している場合でも、作業者Sのカゴ台車Dの移動作業などの作業において、テープ部2aが柔軟に変形することにより、カゴ台車Dの移動の妨げとなるのを抑えることができる。この結果、本実施形態1の除電装置1では、作業者Sの作業効率が低下するのを極力抑えることができる。
【0035】
また、本実施形態1の除電装置1では、テープ部2aの第2長辺2a12の高さがカゴ台車Dの最上部の高さより5mm低い位置から5mm高い位置の範囲内に設定されている。これにより、本実施形態1の除電装置1では、カゴ台車Dの最上部に対して、テープ部2aの第2長辺2a12を確実に近接、または第2長辺2a12近傍を確実に接することができる。この結果、本実施形態1の除電装置1では、作業者Sへの負担を確実に抑制しつつ、カゴ台車Dの除電をより確実に行うことができる。
【0036】
また、本実施形態1の除電装置1では、テープ部2aは第2長辺2a12近傍が鋸歯状の端部となるように形成されているので、テープ部2aの第2長辺2a12近傍とカゴ台車Dの最上部との間でコロナ放電を確実に発生させることができる。これにより、本実施形態1の除電装置1では、作業者Sへの負担を確実に抑制しつつ、カゴ台車Dの除電をより確実に行うことができる。
【0037】
また、本実施形態1の除電装置1では、テープ部2aはポリエステル繊維またはアクリル繊維のうちの少なくともいずれかを含む、編地または布地を含んでいる。これにより、本実施形態1の除電装置1では、カゴ台車Dの最上部に確実に近接、または確実に接して、カゴ台車Dの確実な除電を容易に行うことができる。
【0038】
また、本実施形態1の除電装置1では、固定部3は天井TSに固定され、天井TSから保持部2bを懸下する部材であるので、作業者Sは、カゴ台車Dへの除電装置1のセッティングを容易に行うことができる。この結果、本実施形態1の除電装置1では、作業者Sへの負担をより抑制することができる。更に、本実施形態1の除電装置1では、カゴ台車Dの衝突による除電装置1の破損の発生を防止することができる。
【0039】
〔実施形態2〕
本開示の実施形態2について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0040】
図5は、本開示の実施形態2に係る除電装置1の構成例を説明する図である。図6は、図5に示した除電装置1の構成例を示す斜視図である。図5及び図6において、本実施形態2と実施形態1との主な相違点は、固定部31において、除電部材2を支持する柱部4を設けた点である。
【0041】
図6に示すように、本実施形態2の除電装置1では、固定部31は枠状に構成されており、互いに対向する2つの長辺部材31aと、互いに対向する2つの短辺部材31bと、を備えている。2つの各長辺部材31aには、除電部材2が接続されている。具体的には、長辺部材31aは、テープ部2aを保持する保持部2bが取り付けられている。これにより、本実施形態2の除電装置1は、保持部2bに保持された2つのテープ部2aを備えている。この結果、本実施形態2の除電装置1では、カゴ台車Dの除電をより確実に行うことができる。
【0042】
また、本実施形態2の除電装置1では、固定部31は、保持部2bを支持する柱部4を有している。具体的にいえば、柱部4は、柱部本体4aと、載置板4bと、を備えている。柱部本体4aは、例えば、角状の柱体を用いて構成されており、下端部は載置板4bに固定されている。載置板4bは、床面USに対して、移動可能に取り付けられるとともに、柱部本体4aを安定した状態で支持する。
【0043】
柱部本体4aは、その上端部側に調整機構4a1が上下方向に移動可能に取り付けられている。調整機構4a1には、床面USに設けられたアース(図示せず)に繋がれたアース線(図示せず)が電気的に接続されている。また、調整機構4a1には、固定部31の短辺部材31bが脱着可能に取り付けられている。以上の構成により、本実施形態2の除電装置1では、テープ部2aの第2長辺2a12の高さを調整可能とする調整機構4a1が固定部31に設けられることとなる。この結果、本実施形態2の除電装置1では、作業者Sの操作に応じて、調整機構4a1を動作させることにより、カゴ台車Dの最上部に対する、テープ部2aの第2長辺2a12の高さを調整することができる。従って、本実施形態2の除電装置1では、カゴ台車Dの高さの変更に対応して、カゴ台車Dの確実な除電を容易に行うことができる。
【0044】
また、柱部本体4aは、ガイド5が、例えば、固定部31の下方で、カゴ台車Dに対向するように設けられている。つまり、本実施形態2の除電装置1では、ガイド5がカゴ台車Dと当接可能に構成されており、カゴ台車Dの柱部本体4aへの衝突を防いだり、カゴ台車Dの暴走を抑えたりすることができる。
【0045】
以上の構成により、本実施形態2では、実施形態1と同様な効果を奏する。また、本実施形態2では、固定部31は保持部2bを支持する柱部4を有しているので、除電装置1の設置の自由度を高めることができる。すなわち、本実施形態2では、天井TSの高さ寸法などの現場の構造に関わらず、除電装置1を移動可能に設置することができる。
【0046】
〔実施形態3〕
本開示の実施形態3について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0047】
図7は、本開示の実施形態3に係る除電装置1の構成例を説明する図である。図7において、本実施形態3と実施形態1との主な相違点は、固定部31において、除電部材2を支持する梁部7cと、梁部7cを支持する一対の柱部7a、7bを設けた点である。
【0048】
図7に示すように、本実施形態3の除電装置1では、固定部31は、保持部2bを支持する梁部7cと、梁部7cを支持する一対の柱部7a、7bとを有している。具体的にいえば、柱部7aは、柱部本体7a1と、載置板7daと、を備えている。柱部本体7a1は、例えば、角状の柱体を用いて構成されており、下端部は載置板7daに固定されている。載置板7daは、床面USに対して、移動可能に取り付けられるとともに、柱部本体7aを安定した状態で支持する。
【0049】
同様に、柱部7bは、柱部本体7b1と、載置板7dbと、を備えている。柱部本体7b1は、例えば、角状の柱体を用いて構成されており、下端部は載置板7dbに固定されている。載置板7dbは、床面USに対して、移動可能に取り付けられるとともに、柱部本体7bを安定した状態で支持する。
【0050】
柱部本体7a1、7b1の各上端部には、調整機構7a2、7b2が上下方向に移動可能に取り付けられている。調整機構7a2、7b2には、梁部7cの一端部及び他端部が接続されている。梁部7cには、固定部31の短辺部材31bが脱着可能に取り付けられている。また、梁部7cには、図示しないアース線が電気的に接続されており、床面USに設けられたアース(図示せず)に繋がれてカゴ台車Dの静電気を放電するようになっている。
【0051】
以上の構成により、本実施形態3では、実施形態2と同様な効果を奏する。また、本実施形態3では、固定部31において、一対の柱部7a、7bにより、除電部材2の保持部2bを支持する梁部7cを支持している。これにより、本実施形態3の除電装置1では、実施形態2に比べて、テープ部2a及び保持部2bを安定して配置することができ、カゴ台車Dに対する確実な除電をより安定した状態で実施することができる。
【0052】
〔まとめ〕
本開示の第1態様の除電装置は、移動体から静電気を放電させる除電装置であって、自己放電素材からなり、柔軟性を持ったテープ状の部材であるテープ部と、前記テープ部を、前記テープ部の一方の長辺である第1長辺において保持する保持部であって、導電性素材からなりアースに電気的に接続される保持部と、前記保持部を固定する固定部と、を備え、前記固定部は、(1)前記第1長辺に対向する前記テープ部の長辺である第2長辺が水平であり、(2)更に、前記テープ部の前記第2長辺が前記移動体の最上部に近接するか、または、前記テープ部の前記第2長辺近傍が前記移動体の最上部に接するように、前記テープ部を保持した前記保持部を固定する。
【0053】
本開示の第2態様は、第1態様の除電装置であって、前記保持部に保持された複数の前記テープ部を備えてもよい。
【0054】
本開示の第3態様は、第1態様または第2態様の除電装置であって、前記テープ部の前記第2長辺の高さが、前記移動体の最上部の高さより5mm低い位置から5mm高い位置の範囲内にあってもよい。
【0055】
本開示の第4態様は、第1態様から第3態様のいずれか1つの除電装置であって、前記固定部には、前記テープ部の前記第2長辺の高さを調整可能とする調整機構が設けられてもよい。
【0056】
本開示の第5態様は、第1態様から第4態様のいずれか1つの除電装置であって、前記テープ部は、前記第2長辺近傍が鋸歯状の端部となるように形成されてもよい。
【0057】
本開示の第6態様は、第1態様から第5態様のいずれか1つの除電装置であって、前記テープ部は、ポリエステル繊維またはアクリル繊維のうちの少なくともいずれかを含む、編地または布地を含んでもよい。
【0058】
本開示の第7態様は、第1態様から第6態様のいずれか1つの除電装置であって、前記固定部は、天井に固定され、前記天井から前記保持部を懸下する部材でもよい。
【0059】
本開示の第8態様は、第1態様から第6態様のいずれか1つの除電装置であって、前記固定部は、前記保持部を支持する柱部を有してもよい。
【0060】
本開示の第9態様は、第1態様から第6態様のいずれか1つの除電装置であって、前記固定部は、前記保持部を支持する梁部と、前記梁部を支持する一対の柱部とを有してもよい。
【0061】
本開示の第10態様は、第1態様から第9態様のいずれか1つの除電装置であって、前記移動体は、カゴ台車でもよい。
【0062】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、各実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる構成についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1 除電装置
2 除電部材
2a テープ部
2a11 第1長辺
2a12 第2長辺
2b 保持部
3、31 固定部
4、7a、7b 柱部
4a1、7a2、7b2 調整機構
7c 梁部
D カゴ台車(移動体)
TS 天井
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7