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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177903
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】スライド式棚装置
(51)【国際特許分類】
   A47F 5/00 20060101AFI20231207BHJP
   A47B 57/42 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
A47F5/00 C
A47B57/42 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090866
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 佳伸
(72)【発明者】
【氏名】室伏 信彦
【テーマコード(参考)】
3B118
【Fターム(参考)】
3B118BB04
3B118BB13
3B118BB15
(57)【要約】
【課題】棚板の取付け高さの変更作業を容易に行うことができるようにしたスライド式棚装置を提供する。
【解決手段】前面に上下複数の係止孔7を有する左右一対の支柱2と、上下の係止孔7に選択的に係止可能なフック83を後端部に有する左右一対のブラケット8,8と、一対のブラケット8,8同士を連結する連結部材10と、棚受けフレーム52を介して一対のブラケット8,8に前後にスライド可能に支持される棚板51と、を備える棚装置1であって、連結部材10とブラケット8とは、少なくとも左右方向に相対移動可能に連結した。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に上下複数の係止孔を有する左右一対の支柱と、前記上下の係止孔に選択的に係止可能なフックを後端部に有する左右一対のブラケットと、一対の前記ブラケット同士を連結する連結部材と、棚受けフレームを介して一対の前記ブラケットに前後にスライド可能に支持される棚板と、を備えるスライド式棚装置であって、
前記連結部材と前記ブラケットとは、少なくとも左右方向に相対移動可能に連結されていることを特徴とするスライド式棚装置。
【請求項2】
前記連結部材と前記ブラケットとは、一方に設けられた左右方向に延びる長孔と他方に設けられた移動片により連結されていることを特徴とする請求項1に記載のスライド式棚装置。
【請求項3】
前記移動片はピンであることを特徴とする請求項2に記載のスライド式棚装置。
【請求項4】
前記連結部材は長手方向端部にコ字状の連結端部を有し、前記ブラケットは前記連結端部に上下方向に相対回動可能に案内されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のスライド式棚装置。
【請求項5】
前記棚受けフレームは、左右に伸長自在であることを特徴とする請求項1に記載のスライド式棚装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を陳列するためのスライド式棚装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な棚装置は、前面に上下複数の係止孔が形成された左右一対の支柱と、各支柱の係止孔に係止されるフックを後端に有する左右一対のブラケットと、左右のブラケットに載置される棚板とを備え、上下の係止孔にブラケットを選択的に係止することにより、棚板の取付高さを変更できるようになっている。このような棚装置は、左右のブラケットは棚板によって連結され、棚段の構造が1段毎に安定している。
【0003】
また、左右一対のブラケットに棚板が前後方向にスライド可能に支持されている棚装置もあり(例えば特許文献1参照)、このようなスライド式棚装置においても上下の係止孔にブラケットを選択的に係止することにより、棚板の取付高さを変更できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-092912号公報(第4頁~第5頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されるようなスライド式棚装置においては、棚板はブラケット上に取り付けられた棚受部材により前後方向にスライド可能となっている構造から、左右のブラケットの左右方向への揺動を防止するために、左右のブラケットの後端部同士が連結部材により連結されている。しかしながら、左右のブラケットと連結部材の両側端部同士が固定状態で連結されているため、次のような問題が生じる。すなわち、棚板の取付高さを変更しようとする際に、左右のブラケットを左右の支柱の係止孔から同時に取り外し、所望の高さの係止孔に同時に係止させる必要があるため、ブラケット及び棚板の取付高さの変更作業が面倒であるとともに、作業者への労力負担も大きくなる。特に、左右幅の大きな棚装置においては二人がかりで左右のブラケットの取り外し、取り付け作業を行わなければならず、省力化が図れない。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、棚板の取付け高さの変更作業を容易に行うことができるようにしたスライド式棚装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明のスライド式棚装置は、
前面に上下複数の係止孔を有する左右一対の支柱と、前記上下の係止孔に選択的に係止可能なフックを後端部に有する左右一対のブラケットと、一対の前記ブラケット同士を連結する連結部材と、棚受けフレームを介して一対の前記ブラケットに前後にスライド可能に支持される棚板と、を備えるスライド式棚装置であって、
前記連結部材と前記ブラケットとは、少なくとも左右方向に相対移動可能に連結されていることを特徴としている。
この特徴によれば、連結部材による連結状態を保持したまま一対のブラケット間の離間距離の変化に対応できるため、左右のブラケットの高さの変更を片側ずつ行うことができ、棚板の取付け高さの変更作業を容易に行うことができる。
【0008】
前記連結部材と前記ブラケットとは、一方に設けられた左右方向に延びる長孔と他方に設けられた移動片により連結されていることを特徴としている。
この特徴によれば、簡素な構造で連結部材とブラケットとを、長孔の範囲内で左右に相対移動可能に連結することができる。
【0009】
前記移動片はピンであることを特徴としている。
この特徴によれば、ピンと長孔とが上下方向に回動できるため、位置関係に応じて連結部材とブラケットの角度が微調整され、応力集中による破損を防止できる。
【0010】
前記連結部材は長手方向端部にコ字状の連結端部を有し、前記ブラケットは前記連結端部に上下方向に相対回動可能に案内されていることを特徴としている。
この特徴によれば、連結部材とブラケットは上下方向に相対回動がガイドされて、かつ水平方向の相対回動が規制されて、一対のブラケットの揺動を効果的に防止することができる。
【0011】
前記棚受けフレームは、左右に伸長自在であることを特徴としている。
この特徴によれば、棚受けフレームごと一対のブラケットの取付け位置を変更することができ、作業性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例に係る棚装置の斜視図である。
図2】ブラケットと連結部材との連結前の斜視図である。
図3】ブラケットと連結部材との連結後の斜視図である。
図4図3のA-A線に沿う拡大縦断面図である。
図5】ブラケットと連結部材との連結部分を示す平面視拡大図である。
図6】棚受けフレームの側部可動フレームと連結フレームとの連結前の斜視図である。
図7】棚受けフレームの側部可動フレームと連結フレームとの連結後の斜視図である。
図8】右方のブラケットを取り付けたまま、左方のブラケットの取付け高さを変更した状態の棚装置の一部の斜視図である。
図9】(a)及び(b)は左右のブラケットを片側ずつ交互に着脱して棚板の取付け高さを変更する要領を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の棚装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0014】
実施例に係る棚装置につき、図1から図9を参照して説明する。なお、以下においては、図1の矢印で示す方向を棚装置の前後左右として説明する。
【0015】
実施例1に係る図1は、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストア等において商品を陳列したり、倉庫等において物品を載置する際等に使用されるものであり、棚板51を前後方向にスライド可能なスライド式棚装置(以下、単に「棚装置」という。)である。
【0016】
図1に示されるように、棚装置1は、左右に離間する一対の支柱2,2と、両支柱2の上端部と下端部との対向面同士を連結している横連結杆3,3と、支柱2,2と上下の横連結杆3,3とにより囲まれた内部空間に嵌め込まれた背面パネル4と、上下複数段の棚体5とを備えている。左右の支柱2,2は、下端に前方を向く脚杆6,6を固定することにより自立可能となっている。棚体5は、棚板51とそれを支持するための後述する棚受けフレーム52(図7図8参照)とから構成され、後述する左右のブラケット8により前後方向にスライド可能に支持されている。
【0017】
支柱2,2の前面には、多数の係止孔7が上下方向に所定間隔おきに列設されており、左右等高をなす複数の係止孔7には、棚体5を支持するための金属製の左右一対のブラケット8,8が着脱可能に取り付けられている。
【0018】
図2に示されるように、左右のブラケット8(左右対称であるため右側のみ図示する)は、上下寸法が前端から後端に向かって漸次大とされた前後方向を向く垂直基片81と、その後端部を除いた上縁から内側方に突出する内向水平片82とを有し、垂直基片81の後端には、支柱2における複数の係止孔7に着脱可能に係止される下向き鉤状のフック83が連設されている。
【0019】
内向水平片82の前端部の下面には、棚体5を後限位置(図1における最上段の棚体5を示す実線参照)及び前限位置(図1における最上段の棚体5を示す鎖線参照)で停止させるための正面視L字状のストッパ片84が、内向水平片82の内方及び上方に突出するように溶接により固着されている。内向水平片82の前端部の上面には、棚体5を前後方向にスムーズにスライドさせるための合成樹脂等よりなる下向きコ字状の低摩擦部材9が固着されている。
【0020】
図2図3図8及び図9に示されるように、左右のブラケット8,8の後端部同士は、左右方向を向く連結部材10により次のようにして連結されている。なお、左右のブラケット8,8と連結部材10との連結構造は左右対称で同一構造であるため、右方の連結構造のみ説明する。
【0021】
ブラケット8の後端部には、内方に突出する金属製の内向き突部11が固着されている。この内向き突部11は、ブラケット8の内向水平片82の下面に水平部が溶接された正面視L字状の取付基部111(図9(a)参照)と、取付基部111の上端に連設され、内向水平片82の上面より上方に位置し内向き方向に突出する内向き水平部112と、内向き水平部112の前後縁から下向きに垂下する前後一対の垂直部113,113とからなっている。前後の垂直部113,113には、拡径頭部付きの前後方向を向くヒンジ軸12を挿通するための軸孔13,13が形成されている。
【0022】
連結部材10は、金属板材を側面視において扁平な山形状をなすように折曲して形成され、側端部の前後縁には、外向き突部である前後一対の垂直部101,101が一体に連設されている。この垂直部101,101の対向面間の寸法と内向き突部11の垂直部113,113の外面間の寸法はほぼ等しくされている。垂直部101,101には、ヒンジ軸12が左右方向に摺動可能に嵌合される左右方向に延びる軸孔である長孔14,14が形成されている。
【0023】
ブラケット8と連結部材10とを連結するには、図3から図5に示されるように、内向き突部11の垂直部113,113に連結部材10の垂直部101,101を摺動可能に外嵌した後、ヒンジ軸12を、垂直部101,101の長孔14,14と垂直部113,113の軸孔13,13とに前方から挿入し、ヒンジ軸12の先端部外周面に形成された環状溝にスナップリング15を嵌合して抜け止めする。これにより、連結部材10の側端部がブラケット8に上下方向に相対回動可能かつ左右水平方向に揺動不能に連結される。
【0024】
次に、前述した棚受けフレーム52について説明する。図6ないし図8に示されるように、棚受けフレーム52は、ブラケット8,8に前後方向に移動可能に支持される前後方向を向く左右一対の側部可動フレーム521,521と、左右の側部可動フレーム521,521の前部同士を連結する左右方向を向く連結フレーム522とからなり、全体の形状は平面視後向きコ字状をなしている。
【0025】
側部可動フレーム521は、金属板材によりブラケット8の全長よりも所定寸法短寸に形成され、左右に対向する側片521a,521aと、両側片521aの前端部と後端部の上縁同士を連結する水平の上片521b,521bと、前部側の上片521bの前縁より垂下する前片521cとを有し、前後の上片521b,521bを除いた部分は上下両方向に開口している。側片521a,521aの対向面間の寸法は、ブラケット8の内向水平片82を含む上端部の左右寸法よりも若干大とされている。
【0026】
また、内側の側片521aの後方側には、下方に垂下する垂片524aと垂片524aから外側に向けて延設される水平片524bと水平片524bの上面に配される低摩擦部材524cを備えてL字状に形成される係合部524が設けられており、係合部524はブラケット8の水平片82の裏面に摺接可能にブラケット8に対して係合されている。詳しくは、側部可動フレーム521は、ブラケット8の水平片82に外嵌されるとともに、前方に棚体5を引き出した状態において、係合部524が水平片82の裏面に当接することで棚体5の落下が防止されている。
【0027】
内方の側片521aの前部には、フレームブラケット523が内側方を向くように固着されている。詳しくは、内方の側片521aの前部に形成された切欠部には連結フレーム522の端部が嵌め込まれている。連結フレーム522を取り付けられる連結フレーム522は、金属板材により側面視上向きコ字状(樋状)に形成され、側端部には、段付きねじ16の拡径軸部16aが左右方向に摺動可能に嵌合される左右方向に延びる長孔17が形成されている。また、長孔17より所定寸法離間する左右内方には、後述するフレームブラケット523の位置決め片523bが左右方向に移動可能に嵌合される角形孔18が形成されている。なお、拡径軸部16aの上下寸法は、長孔17が形成された部分の連結フレーム522の板厚よりも僅かに大とされている。
【0028】
フレームブラケット523には、板状の操作部材525がフレームブラケット523に対して前方自由端525aが上下に傾動可能に取り付けられている。詳しくは、フレームブラケット523の正面側に形成されたスリット523cに、操作部材525の根元部525bが挿通されている。この根元部525bはスリット523cの裏側に離脱不能に係止されている。操作部材525には、上下に貫通する開口525cが形成されており、棚体5が後限位置にある場合において、開口525cにはブラケット8のストッパ片84が下方から嵌挿されるようになっている。これにより、棚体5が後限位置で停止するようになっている。なお、棚受けフレーム52には、ここでは図示しない前限規制手段が設けられており、棚受けフレーム52を前限位置まで前方に引き出すと、前限規制手段がブラケット8と当接し、棚受けフレーム52はその位置で停止するようになっている。
【0029】
フレームブラケット523の基端部には、段付きねじ16の雄ねじ部16bが挿通される円形孔523aが形成されている。また遊端には位置決め片523bが上向きに突設されている。
【0030】
側部可動フレーム521と連結フレーム522とを連結するには、図6及び図7に示されるように(左右同一構造であるため右方のみ図示する)、まず、連結フレーム522の角形孔18をフレームブラケット523の位置決め片523bに嵌合させ、連結フレーム522を前後方向に位置決めしてフレームブラケット523に載置する。次いで、上方より段付きねじ16の拡径軸部16aを連結フレーム522の長孔17に嵌合するとともに、雄ねじ部16bをフレームブラケット523の円形孔523aに挿入し、下方に突出する雄ねじ部16bにナット19を螺合する。これにより、連結フレーム522が側部可動フレーム521に左右方向に相対移動可能かつ位置決め片523bにより前後方向に移動規制かつ水平方向に回動規制されて連結される。
【0031】
このように連結して構成された棚受けフレーム52は、左右の側部可動フレーム521,521を左右のブラケット8,8の上端部に上方より外嵌することにより、両ブラケット8に取り外し可能かつ前後方向にスライド可能に支持される(図8参照)。
【0032】
棚板51は、その前端部下面に設けられた左右方向に延びる側面視上向きコ字状の補強部材(図示略)を連結フレーム522の上面に嵌合することにより、棚受けフレーム52に取り外し可能かつ前後方向に移動不能に支持される。また、このとき棚板51は左右の側板51a,51a(図1参照)が左右の側部可動フレーム521,521に外嵌される。尚、棚板51は左右の側板51a,51aの対向面間の離間寸法は、左右の側部可動フレーム521,521の外方の側片521a,521aの外面同士の離間寸法よりも若干大になっている。詳しくは、後述する棚受けフレーム52の左右方向への伸長時における棚受けフレーム52の最大の左右幅と同寸または若干大になっている。
【0033】
次に、図9を参照してブラケット8の取付高さを変更する際の要領について説明する。なお、ブラケット8は中間部を縦断して示してある。ブラケット8の取付高さの変更は、棚体5をブラケット8に載置した状態または取り外した状態で行うことができる。例えば棚体5の取付高さを高くする際には、まず、左右いずれか一方のブラケット8(実施例では左方)を支柱2の係止孔7から前方に取り外す。この際、右方のブラケット8には連結部材10を介して外側方への力が加わるが、ブラケット8のフック83は係止孔7に僅かな遊びを有して係止されているので、右方のブラケット8は係止孔7を中心として外側方に若干回動する。従って、左方のブラケット8を支障なく前方に取り外すことができる。
【0034】
次いで、図9(a)に示されるように、取り外した左方のブラケット8を所望の高さの係止孔7に係止する(図7の状態)。この際、連結部材10は斜めに傾斜することになるが、連結部材10の両側端部が左右のブラケット8,8に上下方向に相対回動可能かつ左右方向に相対移動可能に連結されているため、左右のブラケット8,8は図8の状態よりも僅かに離間し、右方のブラケット8を支柱2に取り付けたままの状態で、左方のブラケット8を所望の高さの係止孔7に支障なく係止させることができる。
【0035】
次いで、図9(b)に示されるように、右方のブラケット8を支柱2の係止孔7より取り外し、左方の係止孔7と同じ高さの係止孔7に係止する。この際にも、連結部材10の両側端部が左右のブラケット8,8に対し上下方向に相対回動するとともに、左右方向に相対移動するので、左右のブラケット8,8は図9(a)の状態から僅かに近接し、右方のブラケット8を所望の高さの係止孔7に支障なく係止させることができる。これにより、左右のブラケット8,8の取付高さを高く変更することができる。
【0036】
また、図示は省略するが、左方のブラケット8の取付け高さを変更する際、棚受けフレーム52の連結フレーム522も左右のブラケット8,8に対し左右方向に相対移動する、言い換えると棚受けフレーム52が左右に伸長するため、棚受けフレーム52をブラケット8,8から取り外すことなく左右のブラケット8,8の取付け高さを変更することができる。
【0037】
以上説明したように、実施例1に係る棚装置1においては、左右の支柱2,2からのブラケット8,8の取り外し、取り付け作業を片側ずつ行うことができるので、棚板51の取付け高さの変更作業を容易に行うことができる。
【0038】
また、ブラケット8の内向き突部11の垂直部113,113と連結部材10の垂直部101,101同士を前後方向を向くヒンジ軸12により連結することにより、左右のブラケット8,8に連結部材10の両端部を上下方向に相対回動可能に連結することができる。そのため、位置関係に応じて連結部材10とブラケット8,8の角度が微調整され、応力集中による破損を防止できる。
【0039】
また、ヒンジ軸12が挿通される垂直部101,101側の軸孔を左右方向に延びる長孔14とする簡素な構造で、ブラケット8,8に対し連結部材10を左右方向に向けて長孔の範囲内で相対移動させることができる。
【0040】
さらに、内向き突部11の垂直部113,113と連結部材10の垂直部101,101同士が互いに嵌合し合っているので、ブラケット8に図3の矢印等で示す左右方向の外力が加わった際に、内向き突部11の垂直部113,113と連結部材10の垂直部101,101の対向面同士、具体的には対角線方向の対向面同士が強く接触し、摩擦抵抗が増大してヒンジ軸12が長孔14に沿って左右方向に移動することが規制される。従って、ブラケット8,8やそれに支持される棚体5が左右方向にぐらつくことが防止される。
【0041】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内における追加や変更があっても、本発明に含まれる。
【0042】
例えば、前記実施例のスライド式棚装置においては、連結部材10の長手方向両端部と左右のブラケット8,8とが、それぞれ左右方向に相対移動可能に連結されているが、これに限らず、少なくとも左右片側のブラケット8と連結部材10の長手方向一方端部が相対移動可能に連結されていればよい。
【0043】
また、棚体5は、棚板51と棚板51と着脱自在な平面視H字状の棚受けフレーム52とから構成される物に限らず、例えば棚板51の左右両側に側部可動フレーム521,521を左右方向に相対移動可能に取り付け、連結フレーム522を省略した構成であってもよい。
【0044】
また、前記実施例では、連結部材10の側端部の長孔14と、ブラケット8の内向き突部11の軸孔13とをヒンジ軸12で接続し、連結部材10とブラケット8とを上下方向に相対回動可能する構成で説明したが、これに限らず、例えば連結部材10の側端部とブラケット8とを若干のクリアランスが生まれるように連結することで、ヒンジ軸によって積極的に上下方向に相対回動可能な構成を採用しなくてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 棚装置
2 支柱
3 横連結杆
4 背面パネル
5 棚体
6 脚杆
7 係止孔
8 ブラケット
9 低摩擦部材
10 連結部材
11 内向き突部
12 ヒンジ軸
13 軸孔
14 長孔(軸孔)
15 スナップリング
16 段付きねじ
16a 拡径軸部
16b 雄ねじ部
17 円形孔
18 角形孔
19 ナット
51 棚板
52 棚受けフレーム
81 垂直基片
82 内向水平片
83 フック
84 ストッパ片
101 垂直部(外向き突部)
111 取付基部
112 内向き水平部
113 垂直部
521 側部可動フレーム
521a 側片
521b 上片
521c 前片
521d 段付きスリット
521e 段部
522 連結フレーム
523 フレームブラケット
523a 長孔
523b 位置決め片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9