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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177908
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】記録装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20231207BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
B41J2/165
B41J2/01 305
B41J2/01 107
B41J2/01 301
B41J2/165 101
B41J2/01 451
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090875
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】服部 優奈
(72)【発明者】
【氏名】佐原 昭慶
(72)【発明者】
【氏名】仁戸田 健吾
(72)【発明者】
【氏名】吉田 正仁
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB06
2C056EB29
2C056EC13
2C056FA11
2C056HA28
2C056JA01
2C056JB00
(57)【要約】
【課題】複数のフェーズからなるメンテナンス処理中にその動作が停止されても、適正にメンテナンス処理を実行可能な技術を提供する。
【解決手段】複数のメンテナンス動作からなる複数のフェーズを備えたメンテナンス処理において、記録手段の移動によるメンテナンス動作の切り換えがある前記フェーズ中にカバー部材が開かれると、前記フェーズにおける前記メンテナンス動作を中断し、前記記録手段の移動によりメンテナンス動作の切り換えがない前記フェーズ中にカバー部材が開かれると、前記フェーズにおける前記メンテナンス動作を継続して実行するようにした。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段による記録媒体の搬送方向と交差する方向に移動しながらインクを吐出して、記録媒体に対して記録する記録手段と、
前記記録手段の所定位置への移動によって前記搬送手段における駆動力が伝達されるようになり、該駆動力によって、前記記録手段からのインクの吐出を良好に維持、回復するためのメンテナンス動作を切り替えて、複数の前記メンテナンス動作からなるフェーズを複数備えたメンテナンス処理を実行可能なメンテナンス手段と、
閉じることで内部構成を外部から遮断し、開くことで内部構成を外部に露出させるカバー部材と、
前記カバー部材の開閉に応じて前記メンテナンス手段による前記メンテナンス処理を制御可能な制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
実行中の前記メンテナンス動作を含む前記フェーズにおいて、前記記録手段の移動による前記メンテナンス動作の切り替えがある場合、前記フェーズにおける前記メンテナンス動作を中断する第1制御を実行し、
実行中の前記メンテナンス動作を含む前記フェーズにおいて、前記記録手段の移動による前記メンテナンス動作の切り替えがない場合、実行中の前記メンテナンス動作を含む前記フェーズでの処理を継続して実行する第2制御を実行する、ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記第1制御では、前記記録手段が前記所定位置まで移動すると、前記フェーズにおける前記メンテナンス動作を中断する、ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記第1制御では、前記カバー部材が閉じられると、前記フェーズの最初の前記メンテナンス動作から前記メンテナンス処理を再開する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記カバー部材が閉じると、前記記録手段の移動経路から退避して前記記録手段の移動を許容し、前記カバー部材が閉じると、前記移動経路上に突出して前記記録手段の移動を規制する規制手段をさらに有する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
【請求項5】
記録媒体を保持する保持手段と、
前記保持手段に保持された記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段による記録媒体の搬送方向と交差する方向に移動しながらインクを吐出して、記録媒体に対して記録する記録手段と、
前記記録手段の所定位置への移動によって前記搬送手段における駆動力が伝達されるようになり、該駆動力によって、前記記録手段においてインクを吐出するノズルが形成されたノズル面をキャッピングするキャップと、
閉じることで、前記保持手段において記録媒体を収容する収容部を外部から遮断し、開くことで前記収容部を外部に露出させるカバー部材と、
記録待機中に所定時間が経過すると、前記ノズル面をキャッピングするよう前記キャップを制御可能な制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
記録媒体の前記保持手段へのセット開始が指示されていると、前記ノズル面を前記キャップによりキャッピングした後に、記録媒体のセットを促す処理を実行し、
記録媒体のセット開始が指示されていない状態で前記カバー部材が開かれると、前記キャップの動作を規制し、前記カバー部材が閉じられると該規制を解除して前記ノズル面を前記キャップによりキャッピングする、ことを特徴とする記録装置。
【請求項6】
通知可能な通知手段をさらに有し、
前記セットを促す処理は、記録媒体をセットするための処理手順および処理内容の少なくともどちらか一方を前記通知手段により通知する処理である、ことを特徴とする請求項5に記載の記録装置。
【請求項7】
セットされる記録媒体は、シート状の記録媒体が巻き回されたロールである、ことを特徴とする請求項5または6に記載の記録装置。
【請求項8】
記録媒体を保持する保持手段と、
前記保持手段に保持された記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段による記録媒体の搬送方向と交差する方向に移動しながらインクを吐出して、記録媒体に対して記録する記録手段と、
前記記録手段の所定位置への移動によって前記搬送手段における駆動力が伝達されるようになり、該駆動力によって、前記記録手段からのインクの吐出を良好に維持、回復するためのメンテナンス動作を切り替えてメンテナンス処理を実行可能なメンテナンス手段と、
閉じることで内部構成を外部から遮断し、開くことで内部構成を外部に露出させるカバー部材と、
前記カバー部材の開閉に応じて前記メンテナンス手段による前記メンテナンス処理を制御可能な制御手段と、を有し、
前記メンテナンス処理中に前記カバー部材が開かれると、前記制御手段は、現時点での処理内容に応じて、前記メンテナンス動作を中断する第1制御および前記メンテナンス動作を実行する第2制御のどちらか一方を実行する、ことを特徴とする記録装置。
【請求項9】
記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段による記録媒体の搬送方向と交差する方向に移動しながらインクを吐出して、記録媒体に対して記録する記録手段と、
前記記録手段の所定位置への移動によって前記搬送手段における駆動力が伝達されるようになり、該駆動力によって、前記記録手段からのインクの吐出を良好に維持、回復するためのメンテナンス動作を切り替えて、複数の前記メンテナンス動作からなるフェーズを複数備えたメンテナンス処理を実行可能なメンテナンス手段と、
閉じることで内部構成を外部から遮断し、開くことで内部構成を外部に露出させるカバー部材と、を有する記録装置の制御方法であって、
前記メンテナンス処理に含まれる複数のフェーズのうち、前記記録手段の移動による前記メンテナンス動作の切り換えがあるフェーズの実行中に前記カバー部材が開けられると、前記フェーズにおける前記メンテナンス動作を中断し、前記記録手段の移動による前記メンテナンス動作の切り換えがないフェーズの実行中に前記カバー部材が開けられると、前記フェーズにおける前記メンテナンス動作を継続して実行する、ことを特徴とする制御方法。
【請求項10】
記録媒体を保持する保持手段と、
前記保持手段に保持された記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段による記録媒体の搬送方向と交差する方向に移動しながらインクを吐出して、記録媒体に対して記録する記録手段と、
前記記録手段の所定位置への移動によって前記搬送手段における駆動力が伝達されるようになり、該駆動力によって、前記記録手段においてインクを吐出するノズルが形成されたノズル面をキャッピングするキャップと、
閉じることで、前記保持手段において記録媒体を収容する収容部を外部から遮断し、開くことで前記収容部を外部に露出させるカバー部材と、を有する記録装置の制御方法であって、
記録媒体の前記保持手段へのセット開始が指示されていると、前記ノズル面を前記キャッピングによりキャッピングした後に、記録媒体のセットを促す処理を実行し、
記録媒体の前記保持手段へのセット開始が指示されていない状態で前記カバー部材が開かれると、前記キャップの動作を規制し、前記カバー部材が閉じられると該規制を解除して前記ノズル面を前記キャップによりキャッピングする、ことを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクの吐出を良好に維持、回復可能なメンテナンス機構を備えた記録装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、キャリッジの移動により、記録ヘッドからのインクの吐出性能を良好に維持、回復するためのメンテナンス動作を切り替えることが可能な記録装置が開示されている。こうした記録装置では、複数のメンテナンス動作から構成される複数のフェーズを備えたメンテナンス処理が実行される。
【0003】
特許文献2には、メンテナンス動作中にインクカートリッジが脱落すると、実行中のメンテナンス動作を中断し、インクカートリッジが適切に装着されると、メンテナンス動作を再開することが可能な記録装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-020460号公報
【特許文献2】特開2004‐276391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の記録装置において、複数のフェーズを備えたメンテナンス処理中に実行中の動作が停止されると、メンテナンス動作やキャリッジの移動を制御しなければ、適切にメンテナンス処理を実行することができない。しかしながら、こうした技術については、特許文献1および特許文献2には、開示されていない。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、複数のフェーズからなるメンテナンス処理中にその動作が停止されても、適正にメンテナンス処理を実行可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明による記録装置の一実施形態は、記録媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段による記録媒体の搬送方向と交差する方向に移動しながらインクを吐出して、記録媒体に対して記録する記録手段と、前記記録手段の所定位置への移動によって前記搬送手段における駆動力が伝達されるようになり、該駆動力によって、前記記録手段からのインクの吐出を良好に維持、回復するためのメンテナンス動作を切り替えて、複数の前記メンテナンス動作からなるフェーズを複数備えたメンテナンス処理を実行可能なメンテナンス手段と、閉じることで内部構成を外部から遮断し、開くことで内部構成を外部に露出させるカバー部材と、前記カバー部材の開閉に応じて前記メンテナンス手段による前記メンテナンス処理を制御可能な制御手段と、を有し、前記制御手段は、実行中の前記メンテナンス動作を含む前記フェーズにおいて、前記記録手段の移動による前記メンテナンス動作の切り替えがある場合、前記フェーズにおける前記メンテナンス動作を中断する第1制御を実行し、実行中の前記メンテナンス動作を含む前記フェーズにおいて、前記記録手段の移動による前記メンテナンス動作の切り替えがない場合、実行中の前記メンテナンス動作を含む前記フェーズでの処理を継続して実行する第2制御を実行する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数のフェーズからなるメンテナンス処理中にその動作が停止されても、適正にメンテナンス処理を実行することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】記録装置の斜視構成図
図2】記録装置の記録部を中心とした要部の概略構成図
図3】記録装置の内部の概略構成図
図4】メンテナンス部のメンテナンス部材を切り替える機構を中心とした要部の概略構成図
図5】メンテナンス部材を切り替える機構の動作を説明する図
図6】アクセスカバーの開閉に応じた突出部材の位置を説明する図。
図7】アクセスカバー開閉時の突出部材を示す斜視図
図8】噛合位置にあるキャリッジを示す図
図9】記録装置の制御系の構成を示すブロック図
図10】メンテナンス処理の詳細な処理ルーチンを示すフローチャート
図11】ロールカバーの開いた状態を示す図
図12】第1キャピング処理の詳細な処理ルーチンを示すフローチャート
図13】ロールセット処理の詳細な処理ルーチンを示すフローチャート
図14】第2キャッピング処理の詳細な処理ルーチンを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照しながら、記録装置および制御方法の実施形態の一例を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を限定するものではなく、また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせのすべてが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。また、実施形態に記載されている構成要素の位置、形状などはあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0011】
(第1実施形態)
まず、図1乃至図10を参照しながら第1実施形態による記録装置について説明する。
【0012】
<記録装置の構成>
図1は、記録装置の斜視構成図である。図2は、記録装置の記録部を中心とした要部の概略構成図である。図3(a)(b)は、記録装置の内部の概略構成図である。本実施形態による記録装置は、Y方向に搬送される記録媒体に対して、記録ヘッドがY方向と交差(本実施形態では直交)するX方向に移動しながらインクを吐出して画像を記録するインクジェット記録装置である。以下の説明では、X方向およびY方向は互いに直交する水平方向を示し、Z方向は、鉛直方向(上下方向)を示す。「記録」とは、文字、図形など有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターンなどを形成する、または媒体の加工を行う場合も含まれ、人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かは問わない。
【0013】
記録装置10は、全体として扁平な直方体形状となっており、本体部12と、開閉することで、本体部12の内部構成を、外部に露出または外部から遮断させる複数のカバーを有するカバー部14とを備えている。また、記録装置10は、ユーザの操作によって各種の入力が可能であり、かつ、各種の情報を出力することが可能な入出力部16を備えている。入出力部16は、例えば、各種情報を表示可能な表示部16a、各種設定などの種々の操作を行うためのハードキー16bなどを備えている。入出力部16は、例えば、タッチパネルとしてもよい。また、入出力部16は、スピーカーなどを設け音声情報(ブザー、音声など)を出力する構成としてもよい。
【0014】
=本体部=
まず、本体部12の構成について詳細に説明する。本体部12は、シート状の記録媒体Mを巻き回して形成されたロールRを保持する保持部18と、ロールRから巻き解かれた記録媒体MをY方向に搬送する搬送部20と、搬送部20により搬送された記録媒体Mに記録を行う記録部22とを備えている。また、本体部12は、記録後の記録媒体を所定の位置で切断可能な切断部24と、記録部22からのインクの吐出性能を良好に維持、回復するためのメンテナンス動作を行うメンテナンス部26とが設けられている。
【0015】
保持部18は、記録部22のY方向、つまり、記録媒体の搬送方向の上流側に設けられ、切断部24は、記録部22のY方向下流側に設けられている。なお、本実施形態では、保持部18においてロールRを保持し、ロールRから巻き解いた記録媒体Mに記録するようにしたが、記録媒体としてカットシートを保持するようにしてもよいし、ロールおよびカットシートの両方を保持するようにしてもよい。また、保持部18は、記録部22による記録媒体Mへの記録を実行しないときには、巻き解かれた記録媒体Mを搬送部20から引き戻す方向にロールを回転可能に構成される。
【0016】
搬送部20は、搬送モータ922(図9参照)の駆動によって回転する搬送ローラ202と、搬送ローラ202に圧接して、搬送ローラ202の回転に柔道して回転する従動ローラ302とを備えている。保持部18においてロールRから巻き解かれて給送された記録媒体Mは、搬送ローラ202と従動ローラ302とにニップされて、搬送ローラ202の回転に応じて、Y方向に搬送されることとなる。つまり、記録装置10では、記録時には、記録媒体が搬送ローラ202にニップされた状態とされる。また、非記録時には、保持部18が記録媒体Mを引き戻すことにより、記録媒体が搬送ローラ202にニップされない、つまり、搬送ローラ202から離間した状態とされる。
【0017】
記録部22は、搬送部20により搬送された記録媒体Mを支持可能なプラテン204と、プラテン204に支持された記録媒体Mに対してインクを吐出する記録ヘッド206とを備えている。また、記録部22は、記録ヘッド206を搭載して、X方向に移動可能に構成されたキャリッジ208を備えている。記録ヘッド206は、インクを吐出する複数のノズルが形成されたノズル面206aがプラテン204と対向するように、キャリッジ208に搭載される。キャリッジ208は、X方向に延在するガイドレール211に摺動可能に設けられており、キャリッジモータ926(図9参照)の駆動によって、+X方向および-X方向に移動可能に構成される。従って、記録装置10では、記録ヘッド206は、キャリッジ208を介して、+X方向および-X方向に移動可能な構成となっている。
【0018】
そして、記録装置10では、搬送部20により搬送された記録媒体Mを記録開始位置まで移動すると、記録ヘッド206をX方向で移動しながら記録媒体Mに対してインクを吐出して記録する記録動作を行う。次に、搬送部20により記録媒体Mを所定量だけY方向に移動する搬送動作を行い、記録ヘッド206のノズル面206aと対向する位置に未だ記録されていない領域を位置させて、再度記録動作を行う。このようにして記録動作と搬送動作とを交互に繰り返し実行することで、記録装置10では、記録媒体Mに対して記録データに基づく記録が行われる。その後、記録媒体Mは、1ページ分の画像ごとに切断部24によって切断されて、排出口17から排出される。
【0019】
メンテナンス部26は、プラテン204よりも+X方向下流側であって、記録ヘッド206が記録を行わないタイミングで位置する待機位置にあるときに、記録ヘッド206に対してメンテナンス可能な位置に設けられている。なお、メンテナンス部26は、プラテン204よりも+X方向上流側に位置するようにしてもよい。メンテナンス部26は、記録ヘッド206におけるインクの吐出性能を良好に維持、回復するためのメンテナンス部材を備えている。例えば、メンテナンス部26は、記録ヘッド206のノズル面206aをキャッピングするキャップ210を備えている。なお、メンテナンス部26に設けられたメンテナンス部材としては、キャップ210に限定されるものではなく、例えば、ノズル面206aをワイピングするワイピング部材など公知の種々のメンテナンス部材を含む。
【0020】
メンテナンス部26に設けられたキャップ210は、Z方向で移動可能、つまり、昇降可能な構成となっている。キャップ210を上昇させることで、キャップ210が、待機位置に位置する記録ヘッド206のノズル面206aをキャッピングし、当該ノズル面206aを保護するとともに、ノズルからのインクの液体成分の蒸発を抑制する。なお、記録装置10では、例えば、次の記録指示を待っている記録待機中に、一定時間が経過すると、CPU902(後述する)の制御により、記録ヘッド206のノズル面206aをキャップ210によりキャッピングするよう制御される。
【0021】
また、キャップ210は、その内部にインクを受けることができる構成となっている。このため、待機位置に位置する記録ヘッド206のノズル面206aと、キャップ210が離間した状態とし、この状態でノズルからインクを吐出することで、記録に寄与しないインク吐出である予備吐出を行うことができる。予備吐出を定期的に実行することにより、記録ヘッド206のノズル面206aをキャッピングしていないときに、当該ノズル面206aにおける各ノズルにおいて増粘や固化が促進されたインクを排出することができる。
【0022】
さらに、キャップ210は、チューブなどを介してポンプ402(図4参照)が接続されている。そして、キャップ210と記録ヘッド206のノズル面206aとが当接した状態、つまり、キャッピングした状態で、ポンプ402を駆動することにより、当該ノズル面206aにおける各ノズルからインクを強制的に吸引することができる。これにより、記録ヘッド206内のインク中に生じた泡などを除去することができる。さらに、キャップ210と記録ヘッド206のノズル面206aとが離間した状態でポンプ402を駆動することにより、予備吐出などでキャップ210内部に溜まったインクを廃インク回収体(不図示)などに回収する空吸引動作を行うことができる。この空吸引動作により、キャップ210からインクが溢れたり、キャッピング時にキャップ210内のインクがノズル面206aやノズル近傍に付着したりすることを防止することができる。
【0023】
メンテナンス部26は、搬送モータ922の駆動による搬送ローラ202の回転によって、実行するメンテナンス動作を変更可能な構成となっている。ここで、メンテナンス動作を変更する構成について説明する。図4および図5は、メンテナンス部において実行するメンテナンス動作を変更可能な機構を説明する図である。
【0024】
搬送ローラ202は、搬送ローラ202の+X方向下流側の端部近傍に設けられたギア212が、メンテナンス部26に駆動力を伝達可能なギア214に噛合している(図2参照)。これにより、搬送ローラ202の駆動力がギア212を介して、ギア214に伝達する。ギア212とギア214とは直接噛合する構成に限定されるものではなく、ギア212を介してギア214に搬送ローラ202の駆動力が伝達可能であれば、ギア212とギア214との間に1つ以上のギアが存在するようにしてもよい。
【0025】
ギア214は、ギア404と噛合する位置と、ギア404から離間する位置と、の間で移動可能な構成となっている。例えば、キャリッジ208が、記録を実行可能な記録領域よりも、+X方向下流側の所定位置(噛合位置)まで移動すると、キャリッジ208によりギア214の移動機構が押圧され、当該移動機構により、ギア214がギア404と噛合する位置まで移動する。また、キャリッジ208が所定位置よりも+X方向上流側に移動すると、キャリッジ208による移動機構への押圧が解除され、ギア214がギア404から離間する位置まで移動する。
【0026】
ギア404はガイド403を介して、板状のプレート部材406と接続されている。そして、ギア214の回転によるギア404の回転によって、プレート部材406をY方向に移動可能に構成されている。メンテナンス部26では、このプレート部材406の移動によって、キャッピング動作や空吸引動作などのメンテナンス動作を変更可能となっている。従って、搬送ローラ202の駆動力が、ギア212、ギア214、およびギア404を介してプレート部材406に伝達され、プレート部材406は、この駆動力によってY方向に移動することとなる。
【0027】
具体的には、キャリッジ208が所定位置まで移動すると、ギア214とギア404とが離間した状態(図5(a)参照)から、ギア214とギア404とが噛合した状態(図5(b)参照)に移行する。そして、ギア214とギア404とが噛合した状態で、搬送モータ922の駆動により搬送ローラ202が回動すると、その駆動力がギア212、214、404を介して伝達されて、プレート部材406が+Y方向に移動する。従って、プレート部材406に搬送モータ922の駆動力が伝達しないようにするには、キャリッジ208を所定位置まで移動させないようにすることで、ギア212とギア214とが離間した状態を維持することとなる。
【0028】
そして、プレート部材406は、ガイド502を備えており、搬送モータ922の駆動によって、プレート部材406が+Y方向に移動すると、ガイド502によって、ギア214をギア404側(+X方向下流側)に押し込む力が生じる。これにより、搬送モータ922の駆動力を伝達する状態が維持されることとなる。なお、記録などの際には、搬送モータ922の駆動によってプレート部材406を-Y方向に移動させることで、ガイド502によるギア214へのギア404側へ押し込む力が生じないようにする(図5(b)参照)。さらに、キャリッジ208を-X方向に移動させて所定位置から離間させ、ギア214とギア404とを離間させる(図5(a)参照)ことで、メンテナンス部26に駆動力が伝達しない状態とする。
【0029】
なお、本実施形態では、プレート部材406を、図5(c)に示す位置まで移動させ、メンテナンス部26によるメンテナンス動作の駆動源となるメンテナンスモータ924(図9参照)を駆動すると、空吸引動作を行う。また、プレート部材406を、図5(d)に示す位置まで移動させ、メンテナンスモータ924を駆動すると、キャップ210が上昇して記録ヘッド206のノズル面206aをキャッピングするキャッピング動作を行う。図4および5を用いた説明では、理解を容易にするために、キャップ210を用いたメンテナンス動作を例として説明している。しかしながら、記録装置10では、プレート部材406を移動して、その他のメンテナンス部材によるメンテナンス動作、例えば、ワイピング部材によるワイピングなどを実行可能となっている。なお、搬送モータ922の駆動力を利用して、メンテナンス部材を駆動させる構成としてもよい。
【0030】
=カバー部=
次に、カバー部14の構成について詳細に説明する。カバー部14は、複数のカバー部材を備えており、本体部12の上面を覆うように設けられており、記録装置10の天部を構成している(図1参照)。カバー部14は、保持部18にロールをセットする際に開閉するロールカバー102と、装置内部のユーザによるメンテナンス作業を実行する際に開閉するアクセスカバー104とを備えている。また、カバー部14は、インクタンク108にインクを供給する際に開閉するタンクカバー106と、原稿の画像を読み取り可能な読取部110とを備えている。この読取部110は、アクセスカバー104と同様に開閉することが可能となっており、装置内部のメンテナンス作業する際などに開閉される。
【0031】
カバー部14には、アクセスカバー104の開閉に応じて、キャリッジの移動経路上に突出する突出位置と、移動経路から退避する退避位置との間で移動可能な突出部材112が設けられている。以下、図6乃至図8を参照しながら、突出部材112について詳細に説明する。図6は、アクセスカバー開閉時の突出部材の位置を示す図である。図6(a)はアクセスカバーが閉じたときの突出部材の位置である。図6(b)はアクセスカバーが一定量だけ開いたときの突出部材の位置である。図6(c)はアクセスカバーが図6(b)より開いたときの突出部材の位置である。図6(d)はアクセスカバーが図6(c)よりも開いた位置、つまり、完全に開いたときの突出部材の位置である。図7は、突出部材近傍の斜視図であり、(a)はアクセスカバーが閉じた状態であり、図6(a)に対応し、(b)はアクセスカバーが完全に開いた状態であり、図6(d)に対応する。図8は、キャリッジが噛合位置に到達した際の突出部材近傍の斜視図である。
【0032】
突出部材112は、アクセスカバー104が閉じた状態のときに、最も高い位置、つまり、退避位置に位置する(図6(a)参照)。突出部材112は、アクセスカバー104が開かれると、アクセスカバー104の開かれた程度に応じて、連続的あるいは段階的に低い位置に移行する(図6(b)(c)参照)。そして、アクセスカバー104が完全に開かれた状態となると、突出部材112は、最も低い位置、つまり、突出位置に位置することとなる(図6(d)参照)。アクセスカバー104が閉じた状態であると、図7(a)のように、突出部材112がキャリッジ208の移動経路から完全に離間した状態なっている。そして、アクセスカバー104が図6(c)の位置まで開くと、突出部材112の一部は、キャリッジ208の移動経路上に位置し、アクセスカバー104が完全に開かれると、突出部材112が十分に移動経路上に位置するようになる(図7(b)参照)。
【0033】
突出部材112が突出位置にあるときには、突出部材112によって、移動経路上にある突出部材112よりも+X方向下流側へのキャリッジ208の移動を規制できるようになる。なお、以下の説明では、移動経路における、突出位置にある突出部材112が位置する位置を、「規制位置」と適宜に称する。また、突出部材112が退避位置にあるときには、移動経路に突出部材112が位置しないため、規制位置よりも+X方向下流側へのキャリッジ208の移動を許容するようになる。なお、移動経路における、規制位置よりも+X方向下流側には、メンテナンス部26と、キャリッジ208によってギア214をギア404と噛合する位置とギア404から離間する位置との間で移動させる移動機構と、が位置している。
【0034】
従って、記録装置10では、アクセスカバー104が完全に開いた状態のときには、キャリッジ208は規制位置Reよりも+X方向下流側に移動することができない。また、アクセスカバー104が閉じられたときには、キャリッジ208は規制位置Reよりも+X方向下流側に移動することができる。そして、キャリッジ208は、規制位置Reよりも+X方向下流側へ移動することで、移動機構を押圧して、移動機構を介してギア214とギア404とを噛合させる噛合位置Maに移動することができる(図8参照)。
【0035】
<記録装置の制御系の構成>
次に、記録装置10の制御系の構成について説明する。図9は、記録装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【0036】
記録装置10は、CPU(Central Processing Unit)902、FlashROM904、およびRAM906を備えている。CPU902は、マイクロプロセッサ(マイクロコンピュータ)形態の中央演算処理部であり、プログラムの実行やハードウェアの起動により記録装置10全体の動作を制御する。また、CPU902は、システムバス950を介して、以下の説明する各構成に接続されている。FlashROM904は、ROMインターフェースI/F903を介してCPU902と接続されており、CPU902が実行するためのプログラムや記録装置10の各種動作に必要な種々のデータを格納する。RAM906は、メモリコントローラ905を介してCPU902と接続されており、CPU902のワークエリアとして用いられたり、種々の受信データの一時格納領域として用いられたり、各種設定データを記憶させたりする。
【0037】
記録装置10は、ホストI/F908を備えており、CPU902は、ホストI/F908を介してネットワーク980に接続され、ネットワーク980を介してホストコンピュータ982に接続可能となっている。入出力部16の機能を、ホストコンピュータ982が保持するようにしてもよい。また、入出力部16を、ネットワーク980を介して、ホストコンピュータ982および記録装置10と別体で設けられるようにしてもよい。ホストコンピュータ982は、画像データの供給源となり、例えば、プリンタドライバがインストールされている。なお、ネットワーク980を介して記録装置10と接続される外部装置としては、ホストコンピュータ982に限定されるものではない。例えば、画像読取装置、デジタルカメラ、およびスマートフォンなどの画像データの供給源となるようなデータ提供装置であってもよい。ホストI/F908は、ホストコンピュータ982よりストリーム通知による画像データの受信を行い、供給された画像データは、メモリコントローラ905を介してRAM906に記憶される。記録装置10と外部装置との接続形態は、ネットワーク980を介したものに限定されず、例えば、無線通信にて直接接続されるようにしてもよい。
【0038】
記録装置10は、入出力部I/F910を備えており、CPU902は、入出力部I/F910を介して入出力部16に接続されている。これにより、CPU902は、入出力部16からの情報を受信するとともに、表示部16aの表示内容を変更する。さらに、記録装置10は、画像処理部912を備えている。画像処理部912は、画像データに対し、構文解析、有効な画素数への解像度変換、画像解析、画像補正など、種々の画像処理を必要に応じて施す。また、画像処理部912は、必要な画像処理が施された画像データにおける色空間(例えば、YCbCr)を、標準的なRGB色空間(例えば、sRGB)に変換する。さらに、画像処理部912は、こうして色補正された画像データを、記録データ(画素におけるインクの吐出、非吐出を表すデータ)に変換する処理などを行う。画像処理部912によって得られた記録データは、RAM906に格納される。
【0039】
CPU902は、ヘッドI/F914を介して読取ヘッド916と記録ヘッド206とに接続されている。CPU902は、読取ヘッド916により、読取部110にセットされた原稿を読み取る。読取ヘッド916で読み取った読取データは、RAM906などの記憶領域に格納される。CPU902は、記録データに基づいて、搬送部20による記録媒体Mの搬送およびキャリッジ208のX方向における位置に応じて、記録ヘッド206における各ノズルからインクを吐出して記録媒体M上に画像を記録する。
【0040】
CPU902は、モータドライバ918を介して、切断部24を駆動するためのカッタモータ920と、搬送ローラ202を駆動させるための搬送モータ922と、メンテナンス部26を駆動させるためのメンテナンスモータ924とに接続されている。また、CPU902は、キャリッジ208を移動させるためのキャリッジモータ926と、保持部18において保持するロールRを回転させるための給送モータ928とに接続されている。給送モータ928は、搬送モータ922と協働して記録媒体Mを送出可能なモータである。記録の終了後などの所定のタイミングでは、給送モータ928は、記録する際の搬送時とは逆方向にロールRを回転させて、記録媒体Mを引き戻して、記録媒体Mを搬送ローラ202から離間させることが可能な構成となっている。このように、記録装置10に設けられた各モータ(図9に示していないモータを含む)は、モータドライバ918を介してその駆動がCPU902によって制御されることとなる。
【0041】
CPU902は、センサI/F930を介して、カバー部14における各カバーの開閉を検知可能な開閉センサ932と、キャリッジ208のX方向における位置を検知可能な位置センサ934とを備えている。なお、記録装置10は、これらのセンサのほかに、公知の各種のセンサを備えており、各センサは、センサI/F930を介してCPU902に接続されている。
【0042】
<メンテナンス処理>
以上の構成において、記録装置10では、予め設定された所定のタイミングになると、メンテナンス部26による記録部22へのメンテナンス動作を行うメンテナンス処理が実行される。なお、本実施形態では、メンテナンス処理は、複数のメンテナンス動作から構成されるフェーズが複数組み合わされて実行されることとなる。また、以下の説明では、記録ヘッド206にインクタンク108からのインクを充填するメンテナンス処理を実行する場合を例として説明する。
【0043】
図10は、メンテナンス処理の詳細な処理ルーチンを示すフローチャートである。図10のフローチャートで示される一連の処理は、CPU902がFlashROM904に記憶されているプログラムコードをRAM906に展開して実行されることにより行われる。あるいはまた、図10におけるステップの一部または全部の機能をASICまたは電気回路などのハードウェアで実行してもよい。なお、各処理の説明における符号「S」は、フローチャートにおけるステップであることを意味する。以下、本願明細書においては同様である。
【0044】
メンテナンス処理が開始されると、まず、CPU902は、メンテナンス処理で実行するフェーズの順番を表す変数nを「1」に設定し(S1002)、第n番目のフェーズを実行する(S1004)。メンテナンス処理を構成するフェーズには、処理を実行する順に番号が付されており、S1004では、この情報に対応したフェーズを実行することとなる。
【0045】
次に、CPU902は、第n番目のフェーズでの処理が終了したか否かを判定する(S1006)。S1006では、第n番目のフェーズにおけるすべてのメンテナンス動作が終了したか否かを判定することとなる。S1006において、第n番目のフェーズでの処理が終了したと判定されると、CPU902は、次のフェーズがあるか否かを判定し(S1008)、次のフェーズがないと判定されると、このメンテナンス処理を終了する。また、S1008において、次のフェーズがあると判定されると、nをインクリメントして(S1010)、S1004に進む。
【0046】
また、S1006において、第n番目のフェーズでの処理が終了していないと判定されると、CPU902は、開閉センサ932の検知結果に基づいて、アクセスカバー104が開けられたか否かを判定する(S1012)。なお、本実施形態では、理解を容易にするために、アクセスカバー104のみの開閉を検知する場合について説明するが、アクセスカバー104と同様に開閉可能な読取部110についても、開けられたか否かを判定するようにしてもよい。この場合、S1012では、アクセスカバー104および読取部110の少なくともどちらか一方が開けられたか否かを判定することとなる。
【0047】
S1012において、アクセスカバー104が開けられていないと判定されると、S1006に戻る。また、S1012において、アクセスカバー104が開けられたと判定されると、CPU902は、第n番目のフェーズは、キャリッジ208の移動によってメンテナンス動作を切り替える必要のあるフェーズか否かを判定する(S1014)。なお、S1012において、アクセスカバー104が開けられたと判定されると、アクセスカバー104を閉じるように促す通知を行うようにしてもよい。また、S1014では、キャリッジ208の移動によってメンテナンス動作を切り替える必要のあるフェーズか否かを判定するようにしたが、これに限定されるものではない。メンテナンス処理中は、キャリッジ208が移動する際は、メンテナンス動作を切り替えるときなので、S1014では、キャリッジ208の移動を伴うフェーズであるか否かを判定するようにしてもよい。
【0048】
ここで、インクタンク108のインクを記録ヘッド206に充填するメンテナンス処理は、例えば、準備フェーズ、第1充填フェーズ、第2充填フェーズ、および後処理フェーズの4つのフェーズにより構成される。準備フェーズは、記録ヘッド206にインクを充填するための前処理であり、例えば、記録ヘッド206をキャッピングし、記録ヘッド206へインクが流入可能な状態とする。この準備フェーズでは、例えば、記録ヘッド206のノズル面206aをキャップ210によりキャッピングするメンテナンス動作が含まれる。このメンテナンス動作は、キャリッジ208の移動によるメンテナンス動作の切り替えによって実行可能となる。第1充填フェーズは、記録ヘッド206に実際にインクを充填する処理である。この、第1充填フェーズでは、キャリッジ208の移動によるメンテナンス動作の切り替えを実行する必要はない。第2充填フェーズは、インク充填後の記録ヘッド206の状態を整えるための処理である。後処理フェーズは、記録ヘッド206からのインクの吐出を適正に実行可能とするための処理である。この第2充填フェーズおよび後処理フェーズでは、例えば、記録ヘッド206のノズル面206aをワイピングするメンテナンス動作、キャップ210の内部へ予備吐出するメンテナンス動作などが含まれる。これらのメンテナンス動作は、キャリッジ208の移動によるメンテナンス動作の切り替えによって実行可能となる。
【0049】
従って、S1014では、第n番目のフェーズが、準備フェーズ、第2充填フェーズ、および後処理フェーズであれば、キャリッジ208の移動によってメンテナンス動作を切り替える必要のあるフェーズであると判定される。また、S1014では、第n番目のフェーズが第1充填フェーズであれば、キャリッジ208の移動によってメンテナンス動作を切り替える必要のあるフェーズでないと判定される。
【0050】
S1014において、第n番目のフェーズがキャリッジ208の移動によってメンテナンス動作を切り替える必要のあるフェーズでないと判定されると、CPU902は、第n番目のフェーズが終了したか否かを判定する(S1016)。S1016において、第n番目のフェーズが終了していないと判定されると、S1016に戻る。また、S1016において、第n番目のフェーズが終了したと判定されると、S1008に進む。
【0051】
一方、S1014において、第n番目のフェーズがキャリッジ208の移動によってメンテナンス動作を切り替える必要のあるフェーズであると判定されると、CPU902は、キャリッジ208が設定位置に達したか否かを判定する(S1018)。S1018では、位置センサ934の検知結果に基づいて、キャリッジ208が設定位置に達したか否かを判定することとなる。設定位置については、キャリッジ208と、移動経路上に突出した突出部材112とが接触する位置(規制位置)、または、当該接触する位置よりも一定量だけ+X方向上流側の位置であり、RAM906などの記憶領域に格納されている。
【0052】
S1018において、キャリッジ208が設定位置に達していないと判定されると、CPU902は、第n番目のフェーズでの処理が終了したか否かを判定する(S1020)。S1020において、第n番目のフェーズでの処理が終了したと判定されると、S1008に進む。また、S1018において、第n番目のフェーズでの処理が終了していないと判定されると、アクセスカバー104が閉じられたか否かを判定し(S1022)、アクセスカバー104が閉じられていないと判定されると、S1018に戻る。また、S1022において、アクセスカバー104が閉じられたと判定されると、S1006に進む。S1022では、開閉センサ932の検知結果に基づいて、アクセスカバー104が閉じたか否かを判定することとなる。
【0053】
一方、S1018において、キャリッジ208が設定位置に達したと判定されると、CPU902は、現時点で実行されているメンテナンス動作を中断し(S1024)、アクセスカバー104が閉じられたか否かを判定する(S1026)。S1026での具体的な処理内容は、S1022と同じである。S1026において、アクセスカバー104が閉じられていないと判定されると、S1026に戻る。また、S1026において、アクセスカバー104が閉じられたと判定されると、S1004に戻る。例えば、第n番目のフェーズが3つのメンテナンス動作により構成され、S1024において3つ目のメンテナンス動作が中断されたとする。この場合、S1026でのアクセスカバー104が閉じられたと判定後には、S1004に戻り、1番目のメンテナンス動作から第n番目のフェーズが開始されることとなる。本実施形態では、CPU902が、メンテナンス処理の実行を制御可能な制御手段として機能している。
【0054】
以上において説明したように、本実施形態では、複数のメンテナンス動作を実行するフェーズを複数備えたメンテナンス処理中に、アクセスカバー104が開けられると、実行中のフェーズの内容に応じて、処理を継続または中断するようにした。具体的には、実行中のフェーズに、キャリッジ208の移動によるメンテナンス動作の切り替えが必要なメンテナンス動作が存在しない場合には、実行中のフェーズでの処理を継続するようにした。また、実行中のフェーズに、キャリッジ208の移動によるメンテナンス動作の切り替えが必要なメンテナンス動作が存在する場合には、キャリッジ208が突出部材112によりその移動が規制される規制位置まで移動すると、実行中の処理を中断するようにした。その後、アクセスカバー104が閉じられると、処理が中断されたフェーズにおける最初のメンテナンス動作から再度当該フェーズにおける各メンテナンス動作を実行するようにした。
【0055】
これにより、メンテナンス処理中にアクセスカバー104が開けられると、突出部材112によりキャリッジ208の移動を規制することができるようになる。また、実行中の処理が中断されると、中断した処理を含むフェーズの最初の動作から処理を再開するため、メンテナンス動作を適正に実行することができるようになる。さらに、メンテナンス動作を含まないフェーズ中にアクセスカバー104が開かれても、当該フェーズでの処理は中断されることなく実行されるため、メンテナンス処理に要する時間の増大が抑制される。
【0056】
(第2実施形態)
次に、図11乃至図14を参照しながら、第2実施形態による記録装置について説明する。なお、以下の説明では、上記した第1実施形態による記録装置と同一または相当する構成については、第1実施形態で用いた符号と同一の符号を用いることにより、その詳細な説明を省略する。
【0057】
記録装置10では、搬送モータ922の駆動力を、搬送ローラ202やギア212などを介してメンテナンス部26に伝達し、メンテナンス動作を変更するようにしている。従って、こうした複数のメンテナンス動作からなるフェーズを複数含むメンテナンス処理を実行する際には、搬送ローラ202が回転する。このため、記録媒体Mは、非記録時には、保持部18によってロールR側に引き戻されて、搬送ローラ202から離間した位置まで移動される。
【0058】
また、記録装置10では、次の記録指示を待っている記録待機中に、記録ヘッド206のノズル面206aがキャップ210によりキャッピングされていない状態が一定時間を超えると、ノズル面206aをキャッピングするキャッピング処理を行う。また、記録装置10では、ロールRを保持部18のロール収容部1102(図11(a)参照)にセットするために、ロールカバー102が開閉可能な構成となっている(図11(b)参照)。図11(a)(b)は、ロールカバーを開けた状態の斜視図である。
【0059】
従って、記録装置10では、記録待機中であり、かつ、ノズル面206aがキャッピングされていない状態のときに、ロールRをロール収容部1102にセットする作業が開始されたり、ロールカバー102が開けられたりすると、以下の状況が懸念される。
【0060】
ロールRをロール収容部1102にセットする場合、ロールカバー102を開けてロール収容部1102を外部に露出させ、ロール収容部1102に紙管を挿通したロールRを装着する。その後、ロールRから記録媒体Mを巻き解き、記録媒体Mを搬送路1104に挿入し搬送ローラ202に当接しない所定の位置まで引き出しおく。このため、ロールRのセット中に、キャッピング処理が実行されると、搬送ローラ202が回転して、ロールRから引き出した記録媒体Mが、搬送ローラ202により引き込まれてしまう虞がある。
【0061】
また、ロールRがロール収容部1102にセットされた状態でロールカバー102が開けられた場合、ロールRから搬送路1104内に引き出された記録媒体Mが搬送ローラ202から離間した位置した状態となっている。このため、ユーザがロールRに接触している状態のときに、キャピング処理が開始されると、当該接触によって離間した位置からずれて搬送ローラ202に当接した記録媒体Mが搬送ローラに引き込まれる虞がある。
【0062】
そこで、第2実施形態では、ロールカバー102の開閉に応じて、記録待機中に実行されるメンテナンス処理であるキャッピング処理の実行を制御するようにした。
【0063】
<第1キャッピング処理>
まず、記録待機中に実行される第1キャッピング処理について説明する。記録装置10では、例えば、受け付けた記録指示に基づく記録が終了し、ノズル面206aがキャッピングされていない状態で、次の記録指示を待つ記録待機状態となると、第1キャッピング処理を実行する。図12は、記録待機中での第1キャッピング処理の詳細な処理内容を示すフローチャートである。図12のフローチャートで示される一連の処理は、CPU902がFlashROM904に記憶されているプログラムコードをRAM906に展開して実行されることにより行われる。あるいはまた、図12におけるステップの一部または全部の機能をASICまたは電気回路などのハードウェアで実行してもよい。
【0064】
第1キャッピング処理が開始されると、まず、CPU902は、前回の記録指示に基づく記録が終了してから所定時間が経過したか否かを判定する(S1202)。所定時間については、記録ヘッド206の各ノズルからのインクの吐出を良好に維持可能な時間であり、例えば、使用するインクに応じて実験的に求められる。S1202において、所定時間が経過していないと判定されると、S1202に戻る。また、S1202において、所定時間が経過したと判定されると、CPU902は、入出力部16の表示部16aに、記録ヘッド206に対してキャップ210によりキャッピングを行う旨を通知する(S1204)。なお、S1204の処理は省略されてもよい。その後、CPU902は、記録ヘッド206に対してキャップ210によりキャッピングを行い(S1206)、この第1キャッピング処理を終了する。記録待機中には、記録ヘッド206は待機位置に位置するように、キャリッジ208が所定位置まで移動している。従って、S1206では、搬送モータ922およびメンテナンスモータ924を駆動して、待機位置にある記録ヘッド206のノズル面206aをキャップ210によりキャッピングすることとなる。
【0065】
<ロールセット処理>
次に、ロールRをロール収容部1102に収容する際に実行されるロールセット処理について説明する。ロールRをロール収容部1102に収容する際には、ユーザは、例えば、入出力部16にあるセット開始ボタン(不図示)を押下することとなる。記録装置10では、このセット開始ボタンが押下されると、セット開始が指示されたものと判定し、ロールセット処理が開始される。
【0066】
図13は、ロールセット処理の詳細な処理内容を示すフローチャートである。図13のフローチャートで示される一連の処理は、CPU902がFlashROM904に記憶されているプログラムコードをRAM906に展開して実行されることにより行われる。あるいはまた、図13におけるステップの一部または全部の機能をASICまたは電気回路などのハードウェアで実行してもよい。
【0067】
ロールセット処理が開始されると、まず、CPU902は、記録ヘッド206のノズル面206aがキャッピングされているか否かを判定する(S1302)。例えば、記録装置10には、ノズル面206aにキャップ210によりキャッピングされていることを検知可能なセンサが設けられている。従って、S1302では、このセンサの検知結果に基づいて判定する。なお、記録ヘッド206のノズル面206aがキャップ210によりキャッピングされているか否かの判定については、公知の種々の技術を適用することができる。
【0068】
S1302において、ノズル面206aがキャッピングされていると判定されると、後述するS1308に進む。また、S1302において、ノズル面206aがキャッピングされていないと判定されると、CPU902は、ロールRをセットするための準備中である旨を通知する(S1304)。S1304では、例えば、入出力部16を介して、ロールRをセットするための準備中である旨を表示したり、音声ガイダンスを流したりする。このように、本実施形態では、入出力部16が、ユーザに対して各種の情報を通知可能な通知部として機能している。次に、CPU902は、ノズル面206aをキャッピングするとともに、ユーザがロール収容部1102にロールRを収容可能な状態とする(S1306)。ここで、前述の第1キャッピング処理の実行中で図12におけるS1206が完了していない状態でロールセット処理が開始された場合には、S1302においてノズル面206aがキャッピングされていないと判定される。したがって、第1キャッピング処理中にロールセット処理が開始した場合においても、通常のロールセット処理と同様にS1302からS1304、S1306の順で処理が実行される。
【0069】
その後、CPU902は、ロールRをセットするための処理手順および具体的な処理内容などの画像を表示部16aに表示する(S1308)。S1308にて表示部16aに表示された情報を確認したユーザはロールRをロール収容部1102に挿入し、ロールカバー102を閉じて、表示部16aに表示されているセット終了ボタン(不図示)を押下する。S1308の後に処理はS1310に進み、CPU902はロールRのロール収容部1102へのセットが終了したか否かを判定する(S1310)。ここで、S1310でのロールRのセット終了は、セット終了ボタンをユーザが押下したことに伴って行われる機械的処理、例えば、ロールRの先端位置を所定の位置まで搬送する動作を行うなど、が終了したことに基づいてCPU902により判定される。S1308では、上記処理手順および処理内容の少なくとも一方を表示するようにしてもよく、ユーザにロールRのセットを促す通知であれば、どのような通知を行ってもよい。
【0070】
このように、ロールセット処理では、ノズル面206aをキャッピングした後に、ロールRをロール収容部1102にセットするように誘導するようにしている。このため、ユーザがロールRをセットする際には、ノズル面206aが既にキャッピングされているようになる。これにより、ロールRのセット中に、搬送ローラ202が回転することがなくなり、セットしたロールRから引き出された記録媒体Mが搬送ローラ202に引き込まれることはなくなる。
【0071】
<第2キャッピング処理>
次に、ロールカバー102が開かれた際に実行される第2キャッピング処理について説明する。なお、ロールRをロール収容部1102にセットする際には、セット開始ボタンが押下されているため、ロールカバー102が開けられても、第2キャッピング処理は開始されず、ロールセット処理が開始されることとなる。従って、この第2キャッピング処理は、ロールカバー102が不用意に開けられた場合などに開始されることとなる。なお、第1キャッピング処理が実行中に第2キャッピング処理が開始されると、第1キャッピング処理は強制的に終了する。
【0072】
図14は、ロールカバー102が開かれた際に実行される第2キャッピング処理の詳細な処理内容を示すフローチャートである。図14のフローチャートで示される一連の処理は、CPU902がFlashROM904に記憶されているプログラムコードをRAM906に展開して実行されることにより行われる。あるいはまた、図14におけるステップの一部または全部の機能をASICまたは電気回路などのハードウェアで実行してもよい。
【0073】
第2キャッピング処理が開始されると、まず、CPU902は、ロールカバー102を閉じるように促す通知を行う(S1402)。S1402では、例えば、表示部16aにロールカバー102を閉じるように促す文言や画像を表示してもよいし、スピーカーなどを介して音声ガイダンスを流すようにしてもよい。次に、CPU902は、キャップ210の動作を禁止する(S1404)。S1404では、例えば、キャップ210の動作を物理的に規制する構成を設け、当該構成により、キャップ210の動作を規制するようにしてもよいし、例えば、CPU902が、搬送モータ922やメンテナンスモータ924を駆動しないようにしてもよい。なお、S1402とS1404とは、並行して実行されるようにしてもよいし、S1404の処理後にS1402の処理を実行するようにしてもよい。
【0074】
その後、CPU902は、ロールカバー102が閉じられたか否かを判定する(S1406)。S1406では、開閉センサ932の検知結果に基づいて判定することとなる。S1406において、ロールカバー102が閉じられていないと判定されると、S1406に戻る。また、S1406において、ロールカバー102が閉じられたと判定されると、CPU902は、キャップ210の動作の禁止を解除し(S1408)、記録ヘッド206のノズル面206aがキャッピングされているか否かを判定する(S1410)。S1410の具体的な処理内容については、上記したS1302と同じである。
【0075】
S1410において、ノズル面206aがキャッピングされていると判定されると、この第2キャッピング処理を終了する。また、S1410において、ノズル面206aがキャッピングされていないと判定されると、CPU902は、ノズル面206aへのキャッピング準備中である旨を通知する(S1412)。S1412では、入出力部16を介して、キャッピング準備中である旨を通知する。そして、CPU902は、ノズル面206aへのキャッピングを実行し(S1414)、この第2キャッピング処理を終了する。
【0076】
このように、第2キャッピング処理では、ロールカバー102が開かれて、キャップ210の動作を規制した後に、ロールカバー102が閉じられると、ノズル面206aをキャッピングするようにしている。このため、ロールカバー102が開かれも、ユーザがロールRに接触した状態でキャッピングが実行されることはなくなる。これにより、ロールカバー102が開けられているときには、キャッピングが実行されなくなり、記録媒体Mが搬送ローラ202に引き込まれることはなくなる。
【0077】
以上において説明したように、本実施形態では、第1キャッピング処理中に、単に、ロールカバー102が開けられると、キャップ210の動作を規制し、ロールカバー102が閉じられると、ノズル面206aへのキャッピングを実行するようにした。また、第1キャッピング中に、ロールRのセット開始が指示されると、ノズル面206aへのキャッピングを実行し、その後、ロールRをロール収容部1102にセットするよう誘導するようにした。これにより、記録待機中にロールカバー102が開けられる場合であっても、メンテナンス処理であるキャッピング処理の際に、記録媒体Mが搬送ローラ202に引き込まれることがなくなり、適正にメンテナンス動作を実行することができるようになる。
【0078】
上記実施形態の開示は、以下の構成および方法を含む。
【0079】
(構成1)
記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段による記録媒体の搬送方向と交差する方向に移動しながらインクを吐出して、記録媒体に対して記録する記録手段と、
前記記録手段の所定位置への移動によって前記搬送手段における駆動力が伝達されるようになり、該駆動力によって、前記記録手段からのインクの吐出を良好に維持、回復するためのメンテナンス動作を切り替えて、複数の前記メンテナンス動作からなるフェーズを複数備えたメンテナンス処理を実行可能なメンテナンス手段と、
閉じることで内部構成を外部から遮断し、開くことで内部構成を外部に露出させるカバー部材と、
前記カバー部材の開閉に応じて前記メンテナンス手段による前記メンテナンス処理を制御可能な制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
実行中の前記メンテナンス動作を含む前記フェーズにおいて、前記記録手段の移動による前記メンテナンス動作の切り替えがある場合、前記フェーズにおける前記メンテナンス動作を中断する第1制御を実行し、
実行中の前記メンテナンス動作を含む前記フェーズにおいて、前記記録手段の移動による前記メンテナンス動作の切り替えがない場合、実行中の前記メンテナンス動作を含む前記フェーズでの処理を継続して実行する第2制御を実行する、ことを特徴とする記録装置。
【0080】
(構成2)
前記第1制御では、前記記録手段が前記所定位置まで移動すると、前記フェーズにおける前記メンテナンス動作を中断する、ことを特徴とする構成1に記載の記録装置。
【0081】
(構成3)
前記第1制御では、前記カバー部材が閉じられると、前記フェーズの最初の前記メンテナンス動作から前記メンテナンス処理を再開する、ことを特徴とする構成1または2に記載の記録装置。
【0082】
(構成4)
前記カバー部材が閉じると、前記記録手段の移動経路から退避して前記記録手段の移動を許容し、前記カバー部材が閉じると、前記移動経路上に突出して前記記録手段の移動を規制する規制手段をさらに有する、ことを特徴とする構成1から3のいずれか1つに記載の記録装置。
【0083】
(構成5)
記録媒体を保持する保持手段と、
前記保持手段に保持された記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段による記録媒体の搬送方向と交差する方向に移動しながらインクを吐出して、記録媒体に対して記録する記録手段と、
前記記録手段の所定位置への移動によって前記搬送手段における駆動力が伝達されるようになり、該駆動力によって、前記記録手段においてインクを吐出するノズルが形成されたノズル面をキャッピングするキャップと、
閉じることで、前記保持手段において記録媒体を収容する収容部を外部から遮断し、開くことで前記収容部を外部に露出させるカバー部材と、
記録待機中に所定時間が経過すると、前記ノズル面をキャッピングするよう前記キャップを制御可能な制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
記録媒体の前記保持手段へのセット開始が指示されていると、前記ノズル面を前記キャップによりキャッピングした後に、記録媒体のセットを促す処理を実行し、
記録媒体のセット開始が指示されていない状態で前記カバー部材が開かれると、前記キャップの動作を規制し、前記カバー部材が閉じられると該規制を解除して前記ノズル面を前記キャップによりキャッピングする、ことを特徴とする記録装置。
【0084】
(構成6)
通知可能な通知手段をさらに有し、
前記セットを促す処理は、記録媒体をセットするための処理手順および処理内容の少なくともどちらか一方を前記通知手段により通知する処理である、ことを特徴とする構成5に記載の記録装置。
【0085】
(構成7)
セットされる記録媒体は、シート状の記録媒体が巻き回されたロールである、ことを特徴とする構成5または6に記載の記録装置。
【0086】
(構成8)
記録媒体を保持する保持手段と、
前記保持手段に保持された記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段による記録媒体の搬送方向と交差する方向に移動しながらインクを吐出して、記録媒体に対して記録する記録手段と、
前記記録手段の所定位置への移動によって前記搬送手段における駆動力が伝達されるようになり、該駆動力によって、前記記録手段からのインクの吐出を良好に維持、回復するためのメンテナンス動作を切り替えてメンテナンス処理を実行可能なメンテナンス手段と、
閉じることで内部構成を外部から遮断し、開くことで内部構成を外部に露出させるカバー部材と、
前記カバー部材の開閉に応じて前記メンテナンス手段による前記メンテナンス処理を制御可能な制御手段と、を有し、
前記メンテナンス処理中に前記カバー部材が開かれると、前記制御手段は、現時点での処理内容に応じて、前記メンテナンス動作を中断する第1制御および前記メンテナンス動作を実行する第2制御のどちらか一方を実行する、ことを特徴とする記録装置。
【0087】
(構成9)
記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段による記録媒体の搬送方向と交差する方向に移動しながらインクを吐出して、記録媒体に対して記録する記録手段と、
前記記録手段の所定位置への移動によって前記搬送手段における駆動力が伝達されるようになり、該駆動力によって、前記記録手段からのインクの吐出を良好に維持、回復するためのメンテナンス動作を切り替えて、複数の前記メンテナンス動作からなるフェーズを複数備えたメンテナンス処理を実行可能なメンテナンス手段と、
閉じることで内部構成を外部から遮断し、開くことで内部構成を外部に露出させるカバー部材と、を有する記録装置の制御方法であって、
前記メンテナンス処理に含まれる複数のフェーズのうち、前記記録手段の移動による前記メンテナンス動作の切り換えがあるフェーズの実行中に前記カバー部材が開けられると、前記フェーズにおける前記メンテナンス動作を中断し、前記記録手段の移動による前記メンテナンス動作の切り換えがないフェーズの実行中に前記カバー部材が開けられると、前記フェーズにおける前記メンテナンス動作を継続して実行する、ことを特徴とする制御方法。
【0088】
(構成10)
記録媒体を保持する保持手段と、
前記保持手段に保持された記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段による記録媒体の搬送方向と交差する方向に移動しながらインクを吐出して、記録媒体に対して記録する記録手段と、
前記記録手段の所定位置への移動によって前記搬送手段における駆動力が伝達されるようになり、該駆動力によって、前記記録手段においてインクを吐出するノズルが形成されたノズル面をキャッピングするキャップと、
閉じることで、前記保持手段において記録媒体を収容する収容部を外部から遮断し、開くことで前記収容部を外部に露出させるカバー部材と、を有する記録装置の制御方法であって、
記録媒体の前記保持手段へのセット開始が指示されていると、前記ノズル面を前記キャッピングによりキャッピングした後に、記録媒体のセットを促す処理を実行し、
記録媒体の前記保持手段へのセット開始が指示されていない状態で前記カバー部材が開かれると、前記キャップの動作を規制し、前記カバー部材が閉じられると該規制を解除して前記ノズル面を前記キャップによりキャッピングする、ことを特徴とする制御方法。
【符号の説明】
【0089】
10 記録装置
20 搬送部
22 記録部
26 メンテナンス部
104 アクセスカバー
902 CPU
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