IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社SCREENホールディングスの特許一覧

<>
  • 特開-基板処理装置および基板処理方法 図1
  • 特開-基板処理装置および基板処理方法 図2
  • 特開-基板処理装置および基板処理方法 図3
  • 特開-基板処理装置および基板処理方法 図4
  • 特開-基板処理装置および基板処理方法 図5
  • 特開-基板処理装置および基板処理方法 図6
  • 特開-基板処理装置および基板処理方法 図7
  • 特開-基板処理装置および基板処理方法 図8
  • 特開-基板処理装置および基板処理方法 図9
  • 特開-基板処理装置および基板処理方法 図10
  • 特開-基板処理装置および基板処理方法 図11
  • 特開-基板処理装置および基板処理方法 図12
  • 特開-基板処理装置および基板処理方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177909
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20231207BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
H01L21/304 642Z
H01L21/304 651H
H01L21/304 651J
H01L21/304 648A
H01L21/304 642A
H01L21/304 648G
H01L21/304 648L
B08B3/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090876
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】山本 滋
(72)【発明者】
【氏名】秋山 剛志
(72)【発明者】
【氏名】藤井 大樹
(72)【発明者】
【氏名】枝光 建治
【テーマコード(参考)】
3B201
5F157
【Fターム(参考)】
3B201AA03
3B201AB01
3B201BB02
3B201BB22
3B201BB88
3B201BB93
3B201CB12
3B201CC11
5F157AB03
5F157AB13
5F157AB34
5F157BB03
5F157BB09
5F157CB14
5F157CC11
5F157CE51
5F157CE61
5F157CE62
5F157CF04
5F157CF22
5F157CF90
5F157DB32
5F157DB33
5F157DC90
(57)【要約】
【課題】パーティクルが基板に付着することを防止することができる基板処理装置および基板処理方法を提供する。
【解決手段】基板処理装置1は、処理液を貯留する処理槽2と、処理槽2を囲うチャンバ3と、チャンバ3内に溶剤蒸気を供給する溶剤蒸気ノズル27と、洗浄液を供給する洗浄液ノズル5,16と、制御部81と、を備える。制御部81は、予め設定された期間、処理槽2に貯留された処理液に基板Wを浸漬させる浸漬処理を行い、溶剤蒸気ノズル27から供給された溶剤蒸気を用いて、処理液で処理されて前記処理槽から引き上げられた基板Wを乾燥させる乾燥処理を行う。制御部81は、洗浄液ノズル5,16からチャンバ3内に洗浄液を供給し、チャンバ3に貯留された洗浄液に処理槽2を浸漬させることで、処理槽2の外壁を含むチャンバ3内を洗浄するチャンバ洗浄処理を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液を貯留する処理槽と、
前記処理槽を囲うチャンバと、
前記チャンバ内に溶剤蒸気を供給する溶剤蒸気ノズルと、
前記チャンバ内に洗浄液を供給する洗浄液ノズルと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、予め設定された期間、前記処理槽に貯留された前記処理液に基板を浸漬させる浸漬処理を行い、前記溶剤蒸気ノズルから供給された前記溶剤蒸気を用いて、前記処理液で処理されて前記処理槽から引き上げられた前記基板を乾燥させる乾燥処理を行い、
前記制御部は、前記洗浄液ノズルから前記チャンバ内に前記洗浄液を供給し、前記チャンバに貯留された前記洗浄液に前記処理槽を浸漬させることで、前記処理槽の外壁を含む前記チャンバ内を洗浄するチャンバ洗浄処理を行うことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記制御部は、前記浸漬処理を行った後に前記チャンバ洗浄処理を行い、
前記制御部は、前記チャンバ洗浄処理を行った後に前記乾燥処理を行うことを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の基板処理装置において、
前記チャンバ内に撥水剤蒸気を供給する撥水剤蒸気ノズルを更に備え、
前記制御部は、前記浸漬処理を行った後に、前記基板を撥水性にするために、前記撥水剤蒸気ノズルから前記チャンバ内に前記撥水剤蒸気を供給する撥水剤蒸気供給処理を行い、
前記制御部は、前記撥水剤蒸気供給処理を行った後に前記チャンバ洗浄処理を行うことを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記チャンバ内を排気する排気ポンプを更に備え、
前記洗浄液ノズルは、前記チャンバ内の下部に設けられ、前記チャンバ内に前記洗浄液を供給し、
前記制御部は、前記排気ポンプにより前記チャンバ内を減圧した状態で、前記チャンバ洗浄処理を行うことを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の基板処理装置において、
前記排気ポンプは、前記処理槽の側方の前記チャンバの側壁に設けられた排気口を通じて、前記チャンバ内を排気し、
前記制御部は、前記排気ポンプにより前記チャンバ内を排気しながら前記チャンバ内を減圧した状態で、前記チャンバ洗浄処理を行うことを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項4に記載の基板処理装置において、
前記処理槽の外側壁と前記チャンバの内側壁との間に設けられ、前記チャンバ内の上部と前記チャンバ内の下部との間で雰囲気を遮蔽するシールド板であって、前記処理槽から溢れた処理液を前記チャンバ内の下部に流通させる開口を有する前記シールド板を更に備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
請求項4に記載の基板処理装置において、
前記洗浄液ノズルは、前記チャンバ内の底部であって、平面視で前記処理槽と重なる位置に設けられていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
請求項4に記載の基板処理装置において、
前記制御部は、前記溶剤蒸気ノズルから前記溶剤蒸気が前記チャンバ内に供給されているときに、前記チャンバ洗浄処理を行うことを特徴とする基板処理装置。
【請求項9】
請求項4に記載の基板処理装置において、
前記制御部は、前記排気ポンプにより前記チャンバを減圧した状態で、前記チャンバに設けられた排出口から前記洗浄液を排出する排出処理を行い、
前記制御部は、前記チャンバ洗浄処理と前記排出処理とを予め設定された回数繰り返すことを特徴とする基板処理装置。
【請求項10】
請求項4に記載の基板処理装置において、
前記チャンバ内に不活性ガスを供給する不活性ガスノズルを更に備え、
前記制御部は、前記乾燥処理を行った後に、前記不活性ガスノズルから前記チャンバ内に不活性ガスを供給することで、減圧状態の前記チャンバ内を大気圧に戻すことを特徴とする基板処理装置。
【請求項11】
請求項4に記載の基板処理装置において、
前記洗浄液ノズルは、前記処理槽の外壁を向く姿勢で配置されており、
前記制御部は、前記排気ポンプにより前記チャンバを減圧した状態で、前記処理槽の外壁に前記洗浄液を当てながら前記洗浄液ノズルから前記チャンバ内に前記洗浄液を供給することを特徴とする基板処理装置。
【請求項12】
請求項4に記載の基板処理装置において、
前記洗浄液ノズルの上向きの吐出口に対向するように、前記チャンバ内の底部に設けられたノズルカバーを更に備え、
前記ノズルカバーは、天井壁と、前記天井壁に接続すると共に前記洗浄液を通す孔部が形成された複数の側壁とを備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項13】
請求項1から3のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記洗浄液ノズルは、前記処理槽内の底部に設けられ、前記処理槽内に前記洗浄液を供給し、
前記制御部は、前記チャンバ内が大気圧である状態で、前記洗浄液ノズルから前記処理槽内に前記洗浄液を供給しながら前記処理槽から溢れた前記洗浄液を前記チャンバに貯留させ、更に、前記チャンバに貯留された前記洗浄液に前記処理槽を浸漬させることで前記処理槽の外壁を含む前記チャンバを洗浄するチャンバ洗浄処理を行うことを特徴とする基板処理装置。
【請求項14】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記制御部は、予め設定された枚数または予め設定されたロット数の基板に対して前記浸漬処理および前記乾燥処理を含む一連の基板処理を行うごとに、連続する2つの前記一連の基板処理の間において、前記チャンバ洗浄処理を行うことを特徴とする基板処理装置。
【請求項15】
請求項14に記載の基板処理装置において、
前記洗浄液ノズルは、前記処理槽内の底部に設けられ、前記処理槽内に前記洗浄液を供給し、
前記制御部は、前記チャンバ内が大気圧である状態で、前記洗浄液ノズルから前記処理槽内に前記洗浄液を供給すると共に、前記処理槽から溢れた前記洗浄液を前記チャンバに貯留させることを特徴とする基板処理装置。
【請求項16】
処理液を貯留する処理槽と、
前記処理槽を囲うチャンバと、
を備えた基板処理装置の基板処理方法において、
予め設定された期間、前記処理槽に貯留された前記処理液に基板を浸漬させる浸漬工程と、
溶剤蒸気ノズルから供給された溶剤蒸気を用いて、前記処理液で処理されて前記処理槽から引き上げられた前記基板を乾燥させる乾燥工程と、
洗浄液ノズルから前記チャンバ内に洗浄液を供給し、前記チャンバに貯留された前記洗浄液に前記処理槽を浸漬させることで前記処理槽の外壁を含む前記チャンバを洗浄するチャンバ洗浄工程と、
を備えていることを特徴とする基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理するための基板処理装置および基板処理方法に関する。基板は、例えば、半導体基板、FPD(Flat Panel Display)用の基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などが挙げられる。FPDは、例えば、液晶表示装置、有機EL(electroluminescence)表示装置などが挙げられる。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置は、純水などの処理液を貯留する処理槽と、処理槽を囲うチャンバと、基板を保持するリフタと、窒素ガスをチャンバ内に供給する窒素ノズルと、イソプロピルアルコール(IPA)の蒸気をチャンバ内に供給する溶剤ノズルと、チャンバ内を排気して減圧する排気ポンプと、を備える(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
基板処理装置は、例えば、次のように動作する(例えば、特許文献1参照)。リフタは、処理槽内の処理液に基板を浸漬させる。その後、溶剤ノズルからIPAの蒸気が供給されることで、チャンバ内をIPAの蒸気の雰囲気にする。その後、リフタは、処理槽内の処理液から基板を取り出して、チャンバ内の乾燥位置に基板を移動させる。その後、排気ポンプは、チャンバ内を減圧する。これにより、基板に付着するIPA等が活発に揮発し、基板が乾燥処理される。その後、排気ポンプを停止すると共に、窒素ノズルから窒素ガスを供給することで、チャンバ内を大気圧に戻す。
【0004】
特許文献2には、「酸性薬液」または「アルカリ性薬液」を貯留する薬液槽と、薬液槽を収容するチャンバとを備えた基板処理装置の中和洗浄装置が開示されている。中和洗浄装置は、純水ノズル、循環ノズルおよび循環配管を備える。循環配管は、循環ノズルに接続される。純水ノズルおよび循環ノズルは各々、チャンバの内壁と薬液槽の外壁との間に向けて設置される。中和洗浄装置は、純水ノズルを介してチャンバの内部に純水を貯留させ、その後、循環配管を介してチャンバの内部に貯留された純水を循環させる。これにより、薬液槽の外壁に付着した薬液成分は、純水の流れによって付着面から遊離する。
【0005】
特許文献3には、ハンドシャワーを用いてチャンバ内に純水を供給することで、希塩酸の蒸気の凝結分を洗い流して除去することが開示されている。
【0006】
特許文献4には、基板の表面を疎水化処理する工程が開示されている。また、特許文献5には、減圧した溶剤雰囲気下であってもチャンバから処理液を排出することができる基板処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2015-070148号公報
【特許文献2】特開2008-251779号公報
【特許文献3】特開2010-093097号公報
【特許文献4】特開2018-056155号公報
【特許文献5】特開2008-004874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の基板処理装置は次の問題がある。装置の使用によりチャンバ内の下部(処理槽の外壁を含む)にパーティクルが蓄積されて汚染される。チャンバ内の下部が汚染されると、例えば窒素ガスを供給する際に窒素ガスがチャンバ内の下部のパーティクルを巻き上げ、そのパーティクルが基板に付着する問題がある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、パーティクルが基板に付着することを防止することができる基板処理装置および基板処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。すなわち、本発明に係る基板処理装置は、処理液を貯留する処理槽と、前記処理槽を囲うチャンバと、前記チャンバ内に溶剤蒸気を供給する溶剤蒸気ノズルと、前記チャンバ内に洗浄液を供給する洗浄液ノズルと、制御部と、を備え、前記制御部は、予め設定された期間、前記処理槽に貯留された前記処理液に基板を浸漬させる浸漬処理を行い、前記溶剤蒸気ノズルから供給された前記溶剤蒸気を用いて、前記処理液で処理されて前記処理槽から引き上げられた前記基板を乾燥させる乾燥処理を行い、前記制御部は、前記洗浄液ノズルから前記チャンバ内に前記洗浄液を供給し、前記チャンバに貯留された前記洗浄液に前記処理槽を浸漬させることで、前記処理槽の外壁を含む前記チャンバ内を洗浄するチャンバ洗浄処理を行うものである。
【0011】
本発明に係る基板処理装置によれば、洗浄液ノズルからチャンバ内に洗浄液を供給し、チャンバに貯留された洗浄液に処理槽を浸漬させることで、処理槽の外壁を含むチャンバ内を洗浄するチャンバ洗浄処理を行う。これにより、処理槽の外壁だけでなくチャンバ内の側壁および底壁に付着したパーティクルを洗浄することができる。そのため、チャンバ内の下部のパーティクルが巻き上げられて基板に付着することを防止することができる。
【0012】
また、上述の基板処理装置において、前記制御部は、前記浸漬処理を行った後に前記チャンバ洗浄処理を行い、前記制御部は、前記チャンバ洗浄処理を行った後に前記乾燥処理を行うことが好ましい。これにより、一連の基板処理の途中で、チャンバ内の洗浄処理を行うことができる。
【0013】
また、上述の基板処理装置は、前記チャンバ内に撥水剤蒸気を供給する撥水剤蒸気ノズルを更に備え、前記制御部は、前記浸漬処理を行った後に、前記基板を撥水性にするために、前記撥水剤蒸気ノズルから前記チャンバ内に前記撥水剤蒸気を供給する撥水剤蒸気供給処理を行い、前記制御部は、前記撥水剤蒸気供給処理を行った後に前記チャンバ洗浄処理を行うことが好ましい。
【0014】
基板を撥水性にするための撥水剤蒸気供給処理は、撥水剤の由来のパーティクルを多く発生させる。このパーティクルがチャンバ内の下部に蓄積される。そして、チャンバ内の下部のパーティクルが巻き上げられ、そのパーティクルが基板に付着する問題がある。本発明によれば、一連の基板処理の途中で、チャンバ内の洗浄処理を行うことができる。そのため、チャンバ内の下部のパーティクル(撥水剤由来のパーティクルを含む)が巻き上げられて基板に付着することを防止することができる。
【0015】
また、上述の基板処理装置は、前記チャンバ内を排気する排気ポンプを更に備え、前記洗浄液ノズルは、前記チャンバ内の下部に設けられ、前記チャンバ内に前記洗浄液を供給し、前記制御部は、前記排気ポンプにより前記チャンバ内を減圧した状態で、前記チャンバ洗浄処理を行うことが好ましい。
【0016】
これにより、排気ポンプでチャンバ内を減圧した状態で、チャンバ内の洗浄処理を行うことができる。また、処理槽に洗浄液を供給しながら処理槽から洗浄液を溢れさせて、チャンバ内に洗浄液を貯留させる場合があるとする。チャンバ内が減圧された状態では、処理槽に貯留された洗浄液からミストが発生し易く、発生したミストが基板に付着し易くなる問題がある。また、付着したミストが基板に悪影響を与える可能性がある。本発明によれば、チャンバの下部に設けられた洗浄液ノズルからチャンバ内に直接供給できるため、洗浄液を基板から離すことができる。そのため、発生したミストが基板に付着することを抑制できる。
【0017】
また、上述の基板処理装置において、前記排気ポンプは、前記処理槽の側方の前記チャンバの側壁に設けられた排気口を通じて、前記チャンバ内を排気し、前記制御部は、前記排気ポンプにより前記チャンバ内を排気しながら前記チャンバ内を減圧した状態で、前記チャンバ洗浄処理を行うことが好ましい。洗浄液からミストが発生しても、排気ポンプにより排気口からミストを排出できる。
【0018】
また、上述の基板処理装置は、前記処理槽の外側壁と前記チャンバの内側壁との間に設けられ、前記チャンバ内の上部と前記チャンバ内の下部との間で雰囲気を遮蔽するシールド板であって、前記処理槽から溢れた処理液を前記チャンバ内の下部に流通させる開口を有する前記シールド板を更に備えていることが好ましい。シールド板を備えることにより、チャンバに貯留した洗浄液からミストが生じても、チャンバの下部から上部にミストが向かうことを抑制することができる。また、巻き上げられるパーティクルがチャンバの下部から上部に向かうことを抑制することができる。
【0019】
また、上述の基板処理装置において、前記洗浄液ノズルは、前記チャンバ内の底部であって、平面視で前記処理槽と重なる位置に設けられていることが好ましい。これにより、処理槽の陰に洗浄液ノズルを隠すことができる。また、チャンバ上部の基板からより離すことができるので、ミストが発生しても、基板に付着することを抑制できる。
【0020】
また、上述の基板処理装置において、前記制御部は、前記溶剤蒸気ノズルから前記溶剤蒸気が前記チャンバ内に供給されているときに、前記チャンバ洗浄処理を行うことが好ましい。溶剤蒸気をチャンバ内に供給する処理と並行して、チャンバ洗浄処理を行うことができるので、効率的に基板を処理することができる。
【0021】
また、上述の基板処理装置において、前記制御部は、前記排気ポンプにより前記チャンバを減圧した状態で、前記チャンバに設けられた排出口から前記洗浄液を排出する排出処理を行い、前記制御部は、前記チャンバ洗浄処理と前記排出処理とを予め設定された回数繰り返すことが好ましい。チャンバ洗浄処理を繰り返すほど、チャンバ内を良好に洗浄することができる。
【0022】
また、上述の基板処理装置は、前記チャンバ内に不活性ガスを供給する不活性ガスノズルを更に備え、前記制御部は、前記乾燥処理を行った後に、前記不活性ガスノズルから前記チャンバ内に不活性ガスを供給することで、減圧状態の前記チャンバ内を大気圧に戻すことが好ましい。チャンバ内の洗浄処理が行われることで、不活性ガスにより巻き上げられるパーティクルを低減することができる。
【0023】
また、上述の基板処理装置において、前記洗浄液ノズルは、前記処理槽の外壁を向く姿勢で配置されており、前記制御部は、前記排気ポンプにより前記チャンバを減圧した状態で、前記処理槽の外壁に前記洗浄液を当てながら前記洗浄液ノズルから前記チャンバ内に前記洗浄液を供給することが好ましい。
【0024】
チャンバ内の底面は比較的に液が流れるので、チャンバ内の底面には、パーティクルが比較的蓄積しにくい。しかし、例えば処理槽の外壁は、浮遊したパーティクルが付着しても液が流れにくい部分であるので、パーティクルが蓄積される。その部分に洗浄液を当てながらチャンバ内に洗浄液を貯留させるので、処理槽の外壁に付着したパーティクルを除去しやすい。
【0025】
また、上述の基板処理装置において、前記洗浄液ノズルの上向きの吐出口に対向するように、前記チャンバ内の底部に設けられたノズルカバーを更に備え、前記ノズルカバーは、天井壁と、前記天井壁に接続すると共に前記洗浄液を通す孔部が形成された複数の側壁とを備えることが好ましい。ミストの拡散を抑えながらチャンバ内に洗浄液を貯留させることができる。
【0026】
また、上述の基板処理装置において、前記洗浄液ノズルは、前記処理槽内の底部に設けられ、前記処理槽内に前記洗浄液を供給し、前記制御部は、前記チャンバ内が大気圧である状態で、前記洗浄液ノズルから前記処理槽内に前記洗浄液を供給しながら前記処理槽から溢れた前記洗浄液を前記チャンバに貯留させ、更に、前記チャンバに貯留された前記洗浄液に前記処理槽を浸漬させることで前記処理槽の外壁を含む前記チャンバを洗浄するチャンバ洗浄処理を行うことが好ましい。これにより、チャンバ内が大気圧である状態において、チャンバ内の洗浄処理を行うことができる。また、処理槽にも洗浄液が供給されるので、処理槽の洗浄処理とチャンバ内の洗浄処理を並行して行うことができる。
【0027】
また、上述の基板処理装置において、前記制御部は、予め設定された枚数または予め設定されたロット数の基板に対して前記浸漬処理および前記乾燥処理を含む一連の基板処理を行うごとに、連続する2つの前記一連の基板処理の間において、前記チャンバ洗浄処理を行うことが好ましい。予め設定された枚数または予め設定されたロット数の基板に対して一連の基板処理を行うごとに、連続する2つの一連の基板処理の間において、チャンバ内の洗浄処理を行うことができる。
【0028】
また、上述の基板処理装置において、前記洗浄液ノズルは、前記処理槽内の底部に設けられ、前記処理槽内に前記洗浄液を供給し、前記制御部は、前記チャンバ内が大気圧である状態で、前記洗浄液ノズルから前記処理槽内に前記洗浄液を供給すると共に、前記処理槽から溢れた前記洗浄液を前記チャンバに貯留させることが好ましい。処理槽およびチャンバを同時に洗浄することができる。
【0029】
また、本発明に係る基板処理方法は、処理液を貯留する処理槽と、前記処理槽を囲うチャンバと、を備えた基板処理装置の基板処理方法であって、予め設定された期間、前記処理槽に貯留された前記処理液に基板を浸漬させる浸漬工程と、前記溶剤蒸気ノズルから供給された前記溶剤蒸気を用いて、前記処理液で処理されて前記処理槽から引き上げられた前記基板を乾燥させる乾燥工程と、前記洗浄液ノズルから前記チャンバ内に前記洗浄液を供給し、前記チャンバに貯留された前記洗浄液に前記処理槽を浸漬させることで前記処理槽の外壁を含む前記チャンバを洗浄するチャンバ洗浄工程と、を備えているものである。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る基板処理装置および基板処理方法によれば、パーティクルが基板に付着することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】実施例1に係る基板処理装置の概略構成図である。
図2】実施例1に係る基板処理装置の動作を説明するための図である。
図3】実施例1に係る基板処理装置の動作を示すタイミングチャートである。
図4】(a)は、ミストの問題を説明するための図であり、(b)は、基板処理装置1の効果を説明するための図である。
図5】実施例2に係る基板処理装置の概略構成図である。
図6】実施例2に係る基板処理装置の動作を説明するための図である。
図7】実施例2に係る基板処理装置の動作を示すタイミングチャートである。
図8】実施例3に係る基板処理装置の動作を説明するための図である。
図9】実施例3に係る基板処理装置の動作(一連の基板処理)を示すタイミングチャートである。
図10】実施例3に係る基板処理装置の動作(チャンバ内の洗浄)を示すタイミングチャートである。
図11】変形例に係るノズルカバーを備えたチャンバを示す図である。
図12】変形例に係る2本の洗浄液ノズルを備えたチャンバを示す図である。
図13】変形例に係る2本の洗浄液ノズルを備えたチャンバを示す図である。
【実施例0032】
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。図1は、実施例1に係る基板処理装置の概略構成図である。
【0033】
(1)基板処理装置1の構成
図1を参照する。基板処理装置1は、処理液を貯留する処理槽2と、処理槽2を囲うチャンバ3と、リフタ4とを備える。処理槽2は、起立姿勢(鉛直姿勢)とされた複数枚の基板Wを収容可能に構成される。処理槽2は、チャンバ3の底面から離れて配置される。
【0034】
リフタ4は、起立姿勢でY方向に等間隔に並べられた複数枚の基板Wを保持する保持部材4Aと、保持部材4Aを上下方向(Z方向)に昇降させる昇降機構4Bとを備える。昇降機構4Bは、例えば電動モータまたはエアシリンダを備える。昇降機構4Bは、チャンバ3の上方にあたる「待機位置H1」と、処理槽2の上方であってチャンバ3内の「乾燥位置H2」と、処理槽2の内部の「処理位置H3」との間で、基板Wを昇降させる。
【0035】
処理槽2内の底部には、処理槽2内に処理液を供給する2本の噴出管5が設けられる。各噴出管5は、複数枚の基板Wが整列されるY方向(紙面の奥手前方向)に沿って直線状に形成される。各噴出管5は、Y方向に並ぶ複数の吐出口を有する。
【0036】
各噴出管5には、処理液配管7の先端が接続される。処理液配管7の基端は、処理液供給源9に接続される。処理液供給源9は、処理液として純水を処理液配管7に送る。純水として、例えば脱イオン水(DIW:Deionized Water)が用いられる。処理液配管7には、開閉弁V1が設けられる。開閉弁V1は、純水の供給およびその停止を行う。具体的には、開閉弁V1が開状態になると、2本の噴出管5から処理槽2に純水が供給される。また、開閉弁V1が閉状態になると、2本の噴出管5からの純水の供給が停止される。
【0037】
また、2本の噴出管5と開閉弁V1の間の処理液配管7には、第2処理液配管11の先端が接続される。第2処理液配管11の基端は、第2処理液供給源13に接続される。第2処理液供給源13は、第2処理液として、純水(例えばDIW)で希釈されたイソプロピルアルコール液(すなわち、イソプロピルアルコールと純水の混合液)を第2処理液配管11に送る。なお、純水で希釈されたイソプロピルアルコール液は、以下、「希釈IPA液」と呼ぶ。第2処理液配管11には、開閉弁V2が設けられている。開閉弁V2は、希釈IPA液の供給およびその停止を行う。2本の噴出管5は、2つの開閉弁V1,V2により、純水と希釈IPA液とを選択的に供給できるように構成される。
【0038】
処理槽2の底部には、処理槽2内の処理液をチャンバ3内の底面に放出するQDR弁(開閉弁)14が設けられている。QDR弁14を開状態にすると、処理槽2内の処理液がチャンバ3内の底面に急速放出される。QDR弁14を閉状態にすると、処理槽2に処理液を貯留することができる。
【0039】
チャンバ3の底部には、2本の洗浄液ノズル16が設けられる。2本の洗浄液ノズル16は、平面視で処理槽2と重なる位置に設けられる。なお、平面視で、2本の洗浄液ノズル16の全体が処理槽2と重なるように設けられてもよい。2本の洗浄液ノズル16は、チャンバ3内に洗浄液を直接供給する。各洗浄液ノズル16は、噴出管5と同様に構成される。各洗浄液ノズル16は、Y方向に沿って直線状に形成された管である。各洗浄液ノズル16は、Y方向に並ぶ複数の吐出口を有する。
【0040】
2本の洗浄液ノズル16には、洗浄液配管18の先端が接続される。洗浄液配管18の基端は、洗浄液供給源20に接続される。洗浄液供給源20は、洗浄液として、純水、希釈IPA液または、純水(例えばDIW)で希釈された過酸化水素水(以下、「希釈H液)と呼ぶ)を洗浄液配管18に供給する。洗浄液配管18には、開閉弁V3が設けられる。開閉弁V3は、洗浄液の供給およびその停止を行う。
【0041】
チャンバ3は、処理槽2を収容する。チャンバ3は、その上面に開閉自在の上部カバー23を備えている。チャンバ3内には、2本の不活性ガスノズル25、2本の溶剤蒸気ノズル27および2本の撥水剤蒸気ノズル29が設けられる。上部カバー23と処理槽2との間には、2本の不活性ガスノズル25、2本の溶剤蒸気ノズル27および2本の撥水剤蒸気ノズル29は、この順番で上から配置される。
【0042】
6本のノズル25,27,29は、Y方向に沿って延びるように直線状に形成される。2本の不活性ガスノズル25は各々、不活性ガスを吐出するために、Y方向に沿って並ぶ複数の吐出口(図示しない)を有する。同様に、4本のノズル27,29も複数の吐出口を有する。
【0043】
2本の不活性ガスノズル25は各々、チャンバ3内に不活性ガスを供給する。各不活性ガスノズル25には、供給管31の先端が接続される。供給管31の基端は、不活性ガス供給源33に接続される。不活性ガス供給源33は、不活性ガスとして例えば窒素ガスを供給管31に送る。供給管31には、開閉弁V4が設けられる。開閉弁V4は、不活性ガスの供給およびその停止を行う。
【0044】
2本の溶剤蒸気ノズル27は各々、チャンバ3内に溶剤蒸気を供給する。各溶剤蒸気ノズル27には、供給管35の先端が接続される。供給管35の基端は、溶剤蒸気供給源37に接続される。溶剤蒸気供給源37は、溶剤蒸気として例えばイソプロピルアルコール蒸気(以下「IPA蒸気」と呼ぶ)を供給管35に送る。溶剤蒸気は、ヒータによって液体の溶剤を蒸発させて生成される。溶剤蒸気は、キャリアガスとして不活性ガス(窒素ガス)を含んでいてもよい。供給管35には、開閉弁V5が設けられる。開閉弁V5は、溶剤蒸気の供給およびその停止を行う。
【0045】
2本の撥水剤蒸気ノズル29は各々、チャンバ3内に撥水剤蒸気を供給する。各撥水剤蒸気ノズル29には、供給管39の先端が接続される。供給管39の基端は、撥水剤蒸気供給源41に接続される。撥水剤蒸気供給源41は、撥水剤蒸気を供給管39に送る。撥水剤蒸気は、ヒータによって液体の撥水剤を蒸発させて生成される。撥水剤蒸気は、キャリアガスとして不活性ガス(窒素ガス)を含んでいてもよい。供給管39には、開閉弁V6が設けられる。開閉弁V6は、撥水剤蒸気の供給およびその停止を行う。
【0046】
撥水剤(シリル化剤)は、シリコン自体およびシリコンを含む化合物を含む疎水化させるシリコン系撥水剤、または金属自体および金属を含む化合物を疎水化させるメタル系撥水剤である。撥水剤は、IPA等の親水性有機溶媒と相溶解性のある溶媒とで希釈した状態で使用することが好ましい。
【0047】
メタル系撥水剤は、たとえば、疎水基を有するアミン、および有機シリコン化合物の少なくとも一つを含む。
【0048】
シリコン系撥水剤は、たとえば、シランカップリング剤である。シランカップリング剤は、たとえば、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)、TMS(テトラメチルシラン)、フッ素化アルキルクロロシラン、アルキルジシラザン、および非クロロ系撥水剤の少なくとも一つを含む。
【0049】
チャンバ3の側壁には、排気口43が設けられている。排気口43は、処理槽2の外側面2Aに対向するような高さに配置される。言い換えると、排気口43は、後述するシールド板63と処理槽2の下面2Bとの間の高さに配置される。これにより、排気口43よりも低い位置で例えば洗浄液を貯留させながら、チャンバ3内の気体を排気口43から排気することができる。排気口43には、排気管45が接続される。排気管45には、排気口43側から順番に、開閉弁V7および排気ポンプ47が設けられる。排気ポンプ47は、チャンバ3内の気体を排気して、チャンバ3内を減圧する。
【0050】
さらに、チャンバ3の底壁には、排出口49が設けられる。排出口49には、排出管51の上端が接続される。排出管51の下端は、排液タンク53の上部外壁に接続される。排出管51には、開閉弁V8が設けられる。開閉弁V8は、チャンバ3内の処理液または洗浄液などを排液タンク53に送るときに用いられる。排液タンク53は、チャンバ3内から排出された処理液を貯留する容器である。排液タンク53には、排気管55が接続されている。排気管55には、排液タンク53側から順番に開閉弁V9および排気ポンプ57が設けられる。
【0051】
また、排液タンク53には、気体配管59および排出管61が接続される。気体配管59には、開閉弁V11が設けられる。また、排出管61には、開閉弁V12が設けられる。気体配管59は、不活性ガス(例えば窒素ガス)または外気を排液タンク53に送る。開閉弁V11は、不活性ガス等の供給およびその停止を行う。排出管61は、排液タンク53内の処理液などを排出する。
【0052】
排液タンク53は、適当なタイミングで処理液などを排出する。排液タンク53に貯留された処理液を排出する場合、例えば、開閉弁V8,V9,V12を閉じた状態で、開閉弁V11を開いて排液タンク53内を大気圧に戻す。その後、開閉弁V8,V9を閉じた状態で、開閉弁V11,V12を開いて排液タンク53内の処理液などを排出する。
【0053】
また、チャンバ3は、シールド板63を備える。シールド板63は、処理槽2の上縁(または開口2C)からやや下方に、処理槽2の外側面2Aの全周にわたって設けられる。言い換えると、シールド板63は、処理槽2の外側壁とチャンバ3の内側壁との間に設けられる。シールド板63は、チャンバ3内の上部(上部空間)とチャンバ3内の下部(下部空間)との間で雰囲気を遮蔽する。シールド板63は、処理槽2から溢れた処理液をチャンバ3内の下部に流通させる隙間G1,G2(開口)を有する。すなわち、シールド板63は、処理槽2の外側壁との間に隙間G1を有すると共に、チャンバ3の内側壁との間に隙間G2を有する。なお、必要により、隙間G1,G2の一方は設けられていなくてもよい。シールド板63は、処理槽2の外側壁またはチャンバ3の内側壁に取り付けられていてよい。
【0054】
チャンバ3には、チャンバ3内の圧力を測定する圧力センサPS1が設けられる。また、排液タンク53には、排液タンク53内の圧力を測定する圧力センサPS2が設けられる。更に、チャンバ3には、チャンバ3内に貯留された例えば洗浄液の液面の高さを検出する液面センサLSが設けられる。圧力センサPS1,PS2で測定された圧力値、および液面センサLSで検出された液面高さの値は、後述する制御部81に送信される。
【0055】
基板処理装置1は、制御部81と記憶部(図示しない)を備えている。制御部81は、基板処理装置1の各構成を制御する。制御部81は、例えば中央演算処理装置(CPU)などの1つまたは複数のプロセッサを備える。記憶部は、例えば、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random-Access Memory)、およびハードディスクの少なくとも1つを備えている。記憶部は、基板処理装置1の各構成を制御するために必要なコンピュータプログラムを記憶する。
【0056】
なお、基板処理装置1は、2本の洗浄液ノズル16を備えている。この点、基板処理装置1は、1本又は3本以上の洗浄液ノズル16を備えていてもよい。2本の噴出管5、2本の不活性ガスノズル25、2本の溶剤蒸気ノズル27および2本の撥水剤蒸気ノズル29も同様である。
【0057】
(2)基板処理装置1の動作
次に、図2図3を参照しつつ、基板処理装置1の動作を説明する。なお、図2において、リフタ4の図示を省略する。なお、図2において、排気ポンプ47等による排気動作を符号「VAC」で示す。図3において、希釈IPA液を「dIPA液」と記す。
【0058】
〔ステップS01〕第1の浸漬処理(チャンバへの基板の搬入)
処理槽2内には、処理液として純水が貯留されている。純水は、噴出管5から供給される。まず、上部カバー23が移動されてチャンバ3の上面開口が解放される。リフタ4は、保持部材4Aで保持された基板Wを待機位置H1から処理位置H3に下降させる。すなわち、リフタ4は、予め設定された時間、処理槽2に貯留された純水に基板W全体を浸漬させる。基板Wを純水に浸漬させることにより、基板Wは洗浄される。基板Wが純水に浸漬された後、上部カバー23が移動されてチャンバ3の上面開口が塞がれる。
【0059】
〔ステップS02〕窒素ガスの供給
その後、開閉弁V4を開いて、不活性ガスノズル25から窒素をチャンバ3内に供給する。更に、排気ポンプ47を作動させながら開閉弁V7を開くことで、排気口43および排気管45を通じて、チャンバ3内の気体が排気される。これにより、チャンバ3内が大気圧より低い圧力である減圧状態になる。
【0060】
〔ステップS03〕第1のIPA蒸気の供給(IPA蒸気の雰囲気の形成)
排気ポンプ47等によるチャンバ3内の排気が継続される。開閉弁V4を閉じて、不活性ガスノズル25からの窒素ガスの供給を停止する。更に、チャンバ3内をIPA蒸気の雰囲気にするため、開閉弁V5を開いて、溶剤蒸気ノズル27からIPA蒸気をチャンバ3内に供給する。
【0061】
〔ステップS04〕第1のIPA蒸気の供給(IPA置換)
排気ポンプ47を停止させると共に、開閉弁V7を閉じる。チャンバ3内は減圧された状態である。また、溶剤蒸気ノズル27からのIPA蒸気の供給は継続される。このような状態において、リフタ4は、処理槽2の純水から基板Wを引き上げながら、処理位置H3から乾燥位置H2に基板Wを上昇させる。基板WがIPA蒸気に曝されると、基板Wに付着した純水がIPAに置換される。なお、撥水剤と水とが接触すると撥水剤の効力が落ちる。しかし、IPA置換を行うことで、効力が落ちることを防止できる。
【0062】
〔ステップS05〕第1のIPA蒸気の供給(処理槽からの処理液の放出)
チャンバ3内は減圧された状態である。また、溶剤蒸気ノズル27からのIPA蒸気の供給は継続される。このような状態において、QDR弁14を開いて、処理槽2内からチャンバ3内の底面に純水を急速放出する。その後、処理槽2内が空になった後、QDR弁14は、閉じられる。
【0063】
〔ステップS06〕撥水剤蒸気の供給
排気ポンプ47を作動させながら開閉弁V7を開くことで、チャンバ3内の気体が排気される。これにより、チャンバ3内が減圧される。また、開閉弁V5を閉じて、溶剤蒸気ノズル27からの溶剤蒸気の供給を停止する。更に、開閉弁V6を開いて、撥水剤蒸気ノズル29からチャンバ3内に撥水剤蒸気を供給する。この際、基板Wは、リフタ4によって、2本の撥水剤蒸気ノズル29の間を上下動される。これにより、基板W全体に均一に撥水剤蒸気を供給する。これにより、基板Wに付着したIPAを撥水剤に置換する。撥水剤により、基板Wの表面は、改質される。
【0064】
〔ステップS07〕第2のIPA蒸気の供給
排気ポンプ47等によるチャンバ3内の排気が継続される。開閉弁V6を閉じて、撥水剤蒸気ノズル29からの撥水剤蒸気の供給を停止する。また、開閉弁V5を開いて、溶剤蒸気ノズル27からIPA蒸気を供給する。IPA蒸気の供給(IPA蒸気によるリンス)は、ステップS07(本ステップ)からステップS11まで行われる。これにより、チャンバ3内の雰囲気が撥水剤蒸気からIPA蒸気に置換される。更に、基板WがIPA蒸気に曝されると、基板Wに液化したIPAが付着する。これにより、基板Wの表面に付着した撥水剤がIPAに置換されながら、撥水剤由来のパーティクル、および有機物が基板WからIPAにより洗い流される。撥水剤由来のパーティクル(異物)は、例えば、水分と撥水剤が直接接触されることで発生する。
【0065】
〔ステップS08〕第2のIPA蒸気の供給と、チャンバ外への処理液の排出
排気ポンプ47等によるチャンバ3内の排気が継続される。また、溶剤蒸気ノズル27からのIPA蒸気の供給が継続される。このような状態において、チャンバ洗浄のために、チャンバ3の底部に貯留する純水をチャンバ3の外部に排出する。
【0066】
具体的に説明する。図1において、例えば、排液タンク53内の圧力値P2がチャンバ3内の圧力値P1よりも高い場合に開閉弁V8を開くと、排液タンク53からチャンバ3に向かう逆向きの流れが生じる。そのため、チャンバ3内の純水を排液タンク53に排出することができない。そこで、まず、3つの開閉弁V8,V11,12が閉じた状態において、開閉弁V9を開けると共に、排気ポンプ57を作動して、排液タンク53内を排気する。
【0067】
チャンバ3内の圧力値P1は、圧力センサPS1により測定される。また、排液タンク53内の圧力値P2は、圧力センサPS2により測定される。排気ポンプ57は、排液タンク53内の圧力値P2がチャンバ3内の圧力値P1よりも低くなるように、排液タンク53内を排気する。排液タンク53内の圧力値P2がチャンバ3内の圧力値P1よりも低くなった後に、開閉弁V8を開くことで、チャンバ3内の純水を排液タンク53に排出することができる。
【0068】
なお、チャンバ3内の圧力値P1は、排気ポンプ47が排気の流量を制御することで行ってもよい。また、チャンバ3内の圧力値P1は、開閉弁V7が排気管45を通過する気体の流量を制御することで行ってもよい。また、排液タンク53の圧力値P2は、排気ポンプ57が排気の流量を制御することで行ってもよい。また、排液タンク53の圧力値P2は、開閉弁V9が排気管55を通過する気体の流量を制御することで行ってもよい。
【0069】
〔ステップS09〕第2のIPA蒸気の供給と、チャンバ外への処理液の排出の停止
排気ポンプ47等によるチャンバ3内の排気が継続される。また、溶剤蒸気ノズル27からのIPA蒸気の供給が継続される。チャンバ3内が空になると、開閉弁V8を閉じる。
【0070】
〔ステップS10〕第2のIPA蒸気の供給と、チャンバ内の洗浄処理
制御部81は、排気ポンプ47によりチャンバ3を減圧した状態で、洗浄液ノズル16からチャンバ3内に純水(洗浄液)を供給し、チャンバ3に貯留された純水に処理槽2を浸漬させることで処理槽2の外壁を含むチャンバ3内を洗浄する。
【0071】
具体的に説明する。排気ポンプ47等によるチャンバ3内の排気が継続される。また、溶剤蒸気ノズル27からのIPA蒸気の供給が継続される。このような状態において、開閉弁V3を開くことで、洗浄液ノズル16からチャンバ3内に純水(洗浄液)を供給する。液面センサLSが排気口43よりも少し下の高さに純水の液面が到達したことを検出すると、開閉弁V3を閉じることで、洗浄液ノズル16からの純水の供給を停止する。
【0072】
予め設定された期間、処理槽2の外壁を浸漬させる。チャンバ3内の下部に貯留された純水により、チャンバ3内の下部(処理槽2の外側面2Aおよび下面2B、並びにチャンバ3の内側面3A)を洗浄することができる。
【0073】
ここで、洗浄液ノズル16により、チャンバ3に純水(洗浄液)を直接供給することの効果を説明する。チャンバ3内の下部に純水(洗浄液)を供給するために、噴出管5から処理槽2に純水を供給しながら、処理槽2から溢れた純水をチャンバ3の下部に送る方法がある。この場合、図4(a)に示すように、大気圧よりも低い減圧下において、処理槽2に貯留される純水から生じたミストが基板Wに付着しやすい。ミストが基板Wに付着すると、ミストの水分が撥水剤と直接接触することにより、撥水剤の効力を低下させ、また、パーティクル(異物)を発生させるおそれがある。そのため、基板Wにミストが付着することは好ましくない。
【0074】
そこで、チャンバ3の底部に洗浄液ノズル16を設けている。これにより、チャンバ3に純水を貯留させても、純水の水面から基板Wまで比較的離れているので、ミストが生じても、ミストが基板Wに付着することを抑制できる(図4(b)参照)。また、シールド板63により、ミストがチャンバ3の上部に移動すること妨げる。また、チャンバ3内は、排気ポンプ47により排気されている。そのため、ミストが排気口43から排気される。また、チャンバ3の上部では、溶剤蒸気ノズル27からIPA蒸気が供給されており、排気ポンプ47により排気されている。そのため、シールド板63の隙間G1,G2に下向きの気流が生じ、ミストがチャンバ3の上部に移動することを妨げることができる。
【0075】
〔ステップS11〕第2のIPA蒸気の供給と、チャンバ外への洗浄液の排出
制御部81は、排気ポンプ47によりチャンバ3を減圧した状態で、チャンバ3の底壁に設けられた排出口49から純水(洗浄液)を排出する排出処理を行う。すなわち、排気ポンプ47等によるチャンバ3内の排気が継続される。また、溶剤蒸気ノズル27からのIPA蒸気の供給が継続される。このような状態において、開閉弁V8を開いて、チャンバ3内の純水を排液タンク53に排出する。この際、排気ポンプ57により、排液タンク53内の圧力値P2は、チャンバ3内の圧力値P1よりも低くなっている。チャンバ3内が空になると、開閉弁V8は閉じられる。
【0076】
また、2つのステップS10,S11は、予め設定された回数(1回または2回以上)繰り返されてもよい。すなわち、ステップS10とステップS11が交互に行われる。なお、ステップS10,S11は各々、1回のみ行い、ステップS10,S11は繰り返して行われなくてもよい。
【0077】
〔ステップS12〕処理槽の洗浄(窒素ガス供給)
排気ポンプ47を停止させると共に、開閉弁V7を閉じる。また、開閉弁V5を閉じて、溶剤蒸気ノズル27からのIPA蒸気の供給を停止する。更に、開閉弁V4を開いて、不活性ガスノズル25から窒素ガスを供給する。これにより、チャンバ3内を減圧状態から大気圧に戻す。
【0078】
〔ステップS13〕処理槽の洗浄(洗浄液の供給)
不活性ガスノズル25からの窒素ガスの供給が継続される。このような状態において、開閉弁V1を開いて、噴出管5から処理槽2内に洗浄液として純水を供給する。処理槽2に貯留された純水によって、処理槽2内が洗浄される。なお、処理槽2内に純水を貯留させる際に、噴出管5から処理槽2内に供給された純水を、処理槽2から溢れさせてもよい。
【0079】
〔ステップS14〕処理槽の洗浄(洗浄液の排出)
不活性ガスノズル25からの窒素ガスの供給が継続される。このような状態において、QDR弁14を開いて、処理槽2内からチャンバ3内の底面に純水を急速放出する。また、開閉弁V8を開いて、チャンバ3内の底部に貯留する純水(洗浄液)を排液タンク53に排出する。処理槽2内が空になった後、QDR弁14は閉じられる。また、チャンバ3内が空になった後、開閉弁V8は閉じられる。
【0080】
〔ステップS15〕第2の浸漬処理
不活性ガスノズル25からの窒素ガスの供給が継続される。このような状態において、開閉弁V2を開いて、噴出管5から処理槽2内に希釈IPA液が供給される。処理槽2に予め設定された量の希釈IPA液が貯留されると、リフタ4は、乾燥位置H2から処理位置H3に基板Wを下降させることで、予め設定された期間、処理槽の希釈IPA液に基板Wを浸漬させる。これにより、基板Wを更に洗浄する。希釈IPA液の供給後は、開閉弁V2を閉じる。
【0081】
〔ステップS16〕第3のIPA蒸気の供給(乾燥処理)
排気ポンプ47を作動させながら開閉弁V7を開くことで、チャンバ3内の気体が排気される。これにより、チャンバ3内が減圧される。また、開閉弁V5を開いて、溶剤蒸気ノズル27からIPA蒸気を供給する。そして、チャンバ3内がIPA蒸気の雰囲気になった後、リフタ4は、処理槽2の希釈IPA液から基板Wを取り出しながら、処理位置H3から乾燥位置H2に基板Wを上昇させる。これにより、基板Wに付着した希釈IPA液がIPAに置換される。
【0082】
排気ポンプ47等によるチャンバ3内の排気を継続させた状態で、開閉弁V5を閉じて溶剤蒸気ノズル27からのIPA蒸気の供給を停止する。IPA蒸気の供給が停止され、かつ、チャンバ3内が減圧されていることで、基板Wに付着したIPAが活発に揮発して基板Wが乾燥処理される。なお、図3の符号NSに示すように、IPA蒸気の供給が停止された後、不活性ガスノズル25から窒素ガスを供給してもよい。
【0083】
〔ステップS17〕窒素の供給
排気ポンプ47を停止させると共に、開閉弁V7を閉じる。また、開閉弁V4を開いて、不活性ガスノズル25から窒素ガスを供給する。これにより、チャンバ3内を減圧状態から大気圧に戻す。
【0084】
なお、チャンバ3内が汚染されている場合に、チャンバ3内が大気圧の状態で窒素ガスを供給すると、チャンバ3内の下部のパーティクルが巻き上げられて、シールド板63が設けられているにも関わらず、隙間G1,G2を通過したパーティクルが基板Wに付着することがあった。チャンバ3の洗浄処理が行われることで、窒素ガスにより巻き上げられるパーティクルを低減させることができ、その結果、パーティクルが基板に付着することを防止できる。
【0085】
〔ステップS18〕チャンバからの基板の搬出
上部カバー23が移動されてチャンバ3の上面開口が解放される。リフタ4は、保持部材4Aで保持された基板Wを乾燥位置H2から待機位置H1に基板Wを上昇させる。待機位置H1に上昇された基板Wは、図示しない搬送ロボットにより、次の目的地に移動される。
【0086】
なお、ステップS10,S11において、チャンバ3の洗浄処理と洗浄液の排出処理は、第2のIPA蒸気の供給処理と並行に行われていた。この点、ステップS07~S11の第2のIPA蒸気の供給処理の後に、ステップS10,S11のチャンバ3の洗浄処理と洗浄液の排出処理を行ってもよい。並列で行うことで、一連の基板処理を効率よく行うことができる。
【0087】
すなわち、制御部81は、溶剤蒸気ノズル27から溶剤蒸気がチャンバ3内に供給されているときに(ステップS10,S11)、チャンバ洗浄処理を行う。溶剤蒸気をチャンバ3内に供給する処理と並行して、チャンバ洗浄処理を行うことができるので、効率的に基板Wを処理することができる。
【0088】
本実施例によれば、洗浄液ノズル16からチャンバ3内に洗浄液を供給し、チャンバ3に貯留された洗浄液に処理槽2を浸漬させることで、処理槽2の外壁を含むチャンバ3内を洗浄するチャンバ洗浄処理を行う。これにより、処理槽2の外壁(外側面2Aと下面2B含む)だけでなくチャンバ3内の側壁および底壁に付着したパーティクルを洗浄することができる。そのため、チャンバ3内の下部のパーティクルが巻き上げられて基板Wに付着することを防止することができる。
【0089】
また、基板処理装置1は、チャンバ3内に撥水剤蒸気を供給する撥水剤蒸気ノズル29を更に備える。制御部81は、浸漬処理(ステップS01)を行った後に、基板Wを撥水性にするために、2本の撥水剤蒸気ノズル29からチャンバ3内に撥水剤蒸気を供給する撥水剤蒸気供給処理を行う(ステップS06)。制御部81は、撥水剤蒸気供給処理を行った後にチャンバ洗浄処理を行う(ステップS10)。
【0090】
これにより、一連の基板処理(ステップS01~S18)の途中で、チャンバ3の洗浄処理を行うことができる。また、基板Wを撥水性にするための撥水剤蒸気供給処理(ステップS06)は、撥水剤の由来のパーティクルを多く発生させる。このパーティクルがチャンバ3内の下部に蓄積される。そして、チャンバ3内の下部のパーティクルが巻き上げられ、そのパーティクルが基板Wに付着する問題がある。本実施例によれば、一連の基板処理の途中で、チャンバ3の洗浄処理を行うことができる。そのため、チャンバ3内の下部のパーティクル(撥水剤由来のパーティクルを含む)が巻き上げられて基板Wに付着することを防止することができる。
【0091】
また、基板処理装置1は、チャンバ3内を排気する排気ポンプ47を更に備える。洗浄液ノズル16は、チャンバ3内の下部に設けられ、チャンバ3内に洗浄液を供給する。制御部81は、排気ポンプ47によりチャンバ3内を減圧した状態で、チャンバ洗浄処理を行う。
【0092】
これにより、排気ポンプ47でチャンバ3内を排気しながらチャンバ3が減圧された状態で、チャンバ3の洗浄処理を行うことができる。また、処理槽2に洗浄液を供給しながら処理槽2から洗浄液を溢れさせて、チャンバ3内に洗浄液を貯留させる場合があるとする。この場合、チャンバ3が減圧された状態において、処理槽2に貯留された洗浄液からミストが発生し易く、発生したミストが基板Wに付着し易くなる問題がある。例えば、ミストの水分が基板Wに付着した撥水剤に直接触れると、撥水剤の効力が低下してしまう可能性がある。また、水分が撥水剤に直接触れると、パーティクルが発生する場合がある。また、その他のパーティクル付着の原因になる場合がある。本実施例によれば、チャンバ3の下部に設けられた洗浄液ノズル16からチャンバ3内に直接供給できるため、洗浄液を基板Wから離すことができる。そのため、発生したミストが基板に付着することを抑制できる。
【0093】
また、排気ポンプ47は、処理槽2の側方のチャンバ3の側壁に設けられた排気口43を通じて、チャンバ3内を排気する。制御部81は、排気ポンプ47によりチャンバ3内を排気しながらチャンバ3内を減圧した状態で、チャンバ洗浄処理を行う。洗浄液からミストが発生しても、排気ポンプ47により排気口43からミストを排出できる。
【0094】
また、基板処理装置1は、処理槽2の外側壁とチャンバ3の内側壁との間に設けられ、チャンバ3内の上部とチャンバ3内の下部との間で雰囲気を遮蔽するシールド板63を備えている。シールド板63は、処理槽2から溢れた処理液をチャンバ3内の下部に流通させる隙間(開口)G1,G2を有する。シールド板63を備えることにより、チャンバ3に貯留した洗浄液からミストが生じても、チャンバ3の下部から上部にミストが向かうことを抑制することができる。また、巻き上げられるパーティクルがチャンバ3の下部から上部に向かうことを抑制することができる。
【0095】
また、洗浄液ノズル16は、チャンバ3内の底部であって、平面視で処理槽2と重なる位置に設けられている。これにより、処理槽2の陰に洗浄液ノズル16を隠すことができる。また、チャンバ3上部の基板Wからより離すことができるので、ミストが発生しても、基板Wに付着することを抑制できる。
【0096】
また、制御部81は、排気ポンプ47によりチャンバ3を減圧した状態で、チャンバ3に設けられた排出口49から洗浄液を排出する排出処理を行う。制御部81は、チャンバ洗浄処理(ステップS10)と排出処理(ステップS11)とを予め設定された回数繰り返す。チャンバ洗浄処理を繰り返すほど、チャンバ3内を良好に洗浄することができる。
【0097】
また、基板処理装置1は、チャンバ3内に不活性ガスを供給する不活性ガスノズル25を更に備える。制御部81は、乾燥処理(ステップS16)を行った後に、不活性ガスノズル25からチャンバ3内に不活性ガスを供給することで、減圧状態のチャンバ3内を大気圧に戻す(ステップS17)。チャンバ3の洗浄処理が行われるので、不活性ガスにより巻き上げられるパーティクルを低減することができる。
【実施例0098】
次に、図面を参照して本発明の実施例2を説明する。なお、実施例1と重複する説明は省略する。実施例1では、図2のステップS01~S18に示される一連の基板処理の途中で、第2のIPA蒸気の供給(ステップS07~S11)と並行して、チャンバ3内が減圧された状態で、チャンバ3の洗浄を行った。この点、実施例2では、処理槽2の洗浄(ステップS28~S31)と並行して、チャンバ3内が大気圧となっている状態で、チャンバ3の洗浄を行う。
【0099】
図5は、実施例2に係る基板処理装置1の概略構成図である。図5に示す基板処理装置1は、図1に示す実施例1の基板処理装置1と異なり、チャンバ3の底部に設けられた洗浄液ノズル16等が設けられていない。これ以外の構成は、実施例1の基板処理装置1と同じである。なお、噴出管5は、本発明の洗浄液ノズルに相当する。
【0100】
(3)基板処理装置1の動作
次に、図6図7を参照しつつ、基板処理装置1の動作を説明する。なお、図6に示すステップS21~S27,S32~S35は、図2に示す実施例1のステップS01~S07,S15~S18と同じなので、これらの詳細な説明は省略する。なお、ステップS27では、IPA蒸気の供給が十分に行われる。
【0101】
リフタ4は、処理槽2内に貯留された純水に基板Wを浸漬させる(ステップS21)。その後、上部カバー23が閉じた状態で、不活性ガスノズル25から窒素ガスを供給する(ステップS22)。その後、溶剤蒸気ノズル27からIPA蒸気を供給する(ステップS23)。その後、リフタ4は、処理槽2から基板Wを取り出し、IPA蒸気の雰囲気に基板Wを曝す(ステップS24)。その後、QDR弁14を開いて処理槽2内の純水をチャンバ3の下面に放出する(ステップS25)。
【0102】
その後、撥水剤蒸気ノズル29から撥水剤蒸気を供給し、基板Wを撥水性にする(ステップS26)。その後、溶剤蒸気ノズル27からIPA蒸気を供給して、基板Wの表面に付着した撥水剤および撥水剤由来のパーティクル等をIPA蒸気により洗い流す(ステップS27)。なお、ステップS22,S23,S26,S27は、排気ポンプ47によりチャンバ3内が排気されて減圧される。また、ステップS22~S27において、チャンバ3内は減圧状態である。
【0103】
〔ステップS28〕処理槽の洗浄(窒素ガス供給)および処理液の排出
排気ポンプ47を停止させると共に、開閉弁V7を閉じる。また、開閉弁V5を閉じて、溶剤蒸気ノズル27からのIPA蒸気の供給を停止する。更に、開閉弁V4を開いて、不活性ガスノズル25から窒素ガスを供給する。これにより、チャンバ3内を減圧状態から大気圧に戻す。
【0104】
チャンバ3内を大気圧に戻した後、開閉弁V8を開いてチャンバ3内に貯留される純水(処理液)を排液タンク53に排出する。チャンバ3内に貯留された純水を全て排出すると、すなわち、チャンバ3内が空になったことを液面センサLSが検出すると、開閉弁V8を閉じる。
【0105】
〔ステップS29〕処理槽の洗浄(処理槽への洗浄液の供給)
その後、不活性ガスノズル25からの窒素ガスの供給が継続される。チャンバ3内は、大気圧の状態である。このような状態において、開閉弁V1を開いて、噴出管5から処理槽2内に洗浄液として純水を供給する。純水は処理槽2に貯留される。
【0106】
〔ステップS30〕処理槽の洗浄(チャンバへの洗浄液の供給、チャンバ内の洗浄)
その後、噴出管5から純水を供給しながら、処理槽2の開口2Cから溢れた純水をチャンバ3に貯留させる。なお、処理槽2の側方には、シールド板63が設けられる。シールド板63の隙間G1,G2は、処理槽2から溢れた純水をチャンバ3内の下部に流通させる。処理槽2の開口2Cの少し下、具体的には、シールド板63の少し下の位置まで純水を貯留する。予め設定された液面高さになったことを液面センサLSが検出すると、開閉弁V1を閉じて噴出管5からの純水の供給を停止する。そして、処理槽2およびチャンバ3に純水が貯留された状態を予め設定された時間、保持する。
【0107】
〔ステップS31〕処理槽の洗浄(洗浄液の排出)
その後、不活性ガスノズル25からの窒素ガスの供給が継続される。開閉弁V8を開いて、チャンバ3内に貯留された純水を排液タンク53に排出する。更に、QDR弁14を開いて、処理槽2内からチャンバ3内の底面に純水を放出する。処理槽2内の純水も排出管51を介して排液タンク53に排出される。処理槽2内が空になった後、QDR弁14は閉じられる。また、チャンバ3内が空になった後、開閉弁V8は閉じられる。なお、処理槽2の清浄度を保つために、最初に、チャンバ3内の純水を排液タンク53に排出し、その後、処理槽2内の純水を排液タンクに排出してもよい。
【0108】
また、3つのステップS29~S31は、予め設定された回数(1回または2回以上)繰り返されてもよい。ステップS29,30の処理槽2およびチャンバ3の洗浄処理と、ステップS31の排出処理とを予め設定された回数繰り返す。なお、ステップS29~S31は各々、1回のみ行い、ステップS29~S31は繰り返して行われなくてもよい。
【0109】
その後、噴出管5から処理槽2内に希釈IPA液を供給させ、処理槽2に貯留された希釈IPA液に基板Wを浸漬させる(ステップS32)。その後、溶剤蒸気ノズル27から供給されたIPA蒸気を用いて、純水で処理された基板Wを乾燥させる(ステップS33)。その後、窒素ガスを供給してチャンバ3内を大気圧に戻す(ステップS34)。その後、基板Wをチャンバ3から取り出して、次の目的地に移動させる(ステップS35)。
【0110】
本実施例によれば、噴出管5は、処理槽2内の底部に設けられる。噴出管5は、処理槽2内に洗浄液を供給し、処理槽2を介してチャンバ3内に洗浄液を供給する。制御部81は、チャンバ3内が大気圧である状態で、噴出管5から処理槽2内に洗浄液を供給すると共に、処理槽2から溢れた洗浄液をチャンバ3に貯留させ、更に、チャンバ3に貯留された洗浄液に処理槽2を浸漬させることで処理槽2の外壁を含むチャンバ3を洗浄するチャンバ洗浄処理を行う。これにより、チャンバ3内が大気圧である状態において、チャンバ3の洗浄処理を行うことができる。そのため、チャンバ3内の下部のパーティクルが巻き上げられて基板Wに付着することを防止することができる。また、処理槽2にも洗浄液が供給されるので、処理槽2の洗浄処理とチャンバ3の洗浄処理を並行して行うことができる。
【0111】
なお、ステップS29~S31において、処理槽2への洗浄液の供給、チャンバ3への洗浄液の供給(チャンバ3の洗浄)および洗浄液の排出は、処理槽2の洗浄と並列で行っていた。この点、処理槽2の洗浄の前後に、チャンバ3への洗浄液の供給(チャンバ3の洗浄)等を行ってもよい。並列で行うことで、一連の基板処理を効率よく行うことができる。
【実施例0112】
次に、図面を参照して本発明の実施例3を説明する。なお、実施例1,2と重複する説明は省略する。実施例1では、図2のステップS01~S18に示される一連の基板処理の途中で、チャンバ3の洗浄を行った。この点、実施例3では、連続する2つの一連の基板処理の間で、チャンバ3の洗浄を行う。
【0113】
実施例3の基板処理装置1の構成は、図5に示す実施例2の基板処理装置1の構成と同じである。
【0114】
(4)基板処理装置1の動作
次に、図8図10を参照しつつ、基板処理装置1の動作を説明する。図8は、実施例3に係る基板処理装置の動作を説明するための図である。図9は、実施例3に係る基板処理装置の動作(一連の基板処理)を示すタイミングチャートである。図10は、実施例3に係る基板処理装置の動作(チャンバ3の洗浄)を示すタイミングチャートである。
【0115】
本実施例において、チャンバ3の洗浄処理は、所定の一連の基板処理(図9のステップS41~S54)と、次の一連の基板処理(図9のステップS41~S54)との間に行われる。また、チャンバ3の洗浄処理は、予め設定された枚数または予め設定されたロット数の基板Wに対して浸漬(ステップS41)および乾燥処理(ステップS52)を含む一連の基板処理(ステップS41~S54)を行うごとに行われる。
【0116】
基板Wの処理は、ロット単位で行われる。例えば、基板Wを搬送するためのキャリアに収容される25枚の基板Wは、1ロットとして扱われる。
【0117】
図9に示す一連の基板処理において、図9に示すステップS41~S54は、図3に示す実施例1のステップS01~S07,S13~S18および、図7に示す実施例2のステップS28と同じなので、これらの説明は省略する。なお、ステップS47では、IPA蒸気の供給が十分に行われる。
【0118】
次に、本実施例のチャンバ3の洗浄処理を説明する。図8図10を参照する。制御部81は、例えば、一連の基板処理を行った基板Wの枚数をカウントする。そして、所定(例えば5回目)の一連の基板処理を行ったときに、一連の基板処理を行った基板Wの枚数が予め設定された枚数以上になったとする。このとき、制御部81は、その所定(5回目)の一連の基板処理と次(6回目)の一連の基板処理との間で、チャンバ3の洗浄処理を行う。なお、基板Wの枚数のカウント数はリセットされる(0枚になる)。ロット数の場合も同様である。すなわち、制御部81は、一連の基板処理を行ったロット数をカウントする。そして、そして、所定(例えば5回目)の一連の基板処理を行ったときに、一連の基板処理を行ったロット数が予め設定されたロット数以上になったとする。このとき、制御部81は、その所定(5回目)の一連の基板処理と次(6回目)の一連の基板処理との間で、チャンバ3の洗浄処理を行う。
【0119】
〔ステップS61〕洗浄の準備
チャンバ3内は、大気圧の状態になっている。なお、ステップS61からステップS65までの間は、チャンバ3内は大気圧の状態である。また、ステップS61において、チャンバ3内は、処理液などが貯留されておらず空になった状態である。
【0120】
〔ステップS62〕洗浄液の供給
その後、QDR弁14および開閉弁V7,V8が閉じられた状態で、開閉弁V2を開いて、噴出管5から処理槽2に洗浄液として例えば希釈IPA液を供給する。更に、処理槽2の開口2Cから希釈IPA液を溢れさせて、処理槽2から溢れた希釈IPAをチャンバに貯留する。そして、チャンバ3内の希釈IPAが予め設定された液面高さになったことを液面センサLSが検出すると、開閉弁V2を閉じて希釈IPA液の供給を停止する。その後、処理槽2およびチャンバ3に希釈IPA液が貯留された状態を予め設定された時間、保持する。本実施例では、洗浄液として希釈IPA液が供給されるが、この点、希釈H液または純水であってもよい。
【0121】
〔ステップS63〕洗浄液の排出
その後、開閉弁V8を開いて、チャンバ3内に貯留された希釈IPA液を排液タンク53に排出する。更に、QDR弁14を開いて、処理槽2内からチャンバ3内の底面に希釈IPA液を放出する。処理槽2内の希釈IPA液も排出管51を介して排液タンク53に排出する。処理槽2内が空になった後、QDR弁14は閉じられる。また、チャンバ3内が空になった後、開閉弁V8は閉じられる。
【0122】
これらのステップS62,S63は、予め設定された回数(1回または複数回)繰り返されてもよい。なお、必要により、ステップS62,S63を1回ずつ行い、ステップS62,63の繰り返しを行わなくてもよい。
【0123】
〔ステップS64〕リンス液の供給
ステップS63の後、QDR弁14および開閉弁V7,V8が閉じられた状態で、開閉弁V1を開いて、噴出管5から処理槽2にリンス液として例えば純水を供給する。更に、処理槽2の開口2Cから純水を溢れさせて、処理槽2から溢れた純水をチャンバ3に貯留させる。そして、チャンバ3内の純水が予め設定された液面高さになったことを液面センサLSが検出すると、開閉弁V1を閉じて純水の供給を停止する。その後、処理槽2およびチャンバ3に純水が貯留された状態を予め設定された時間、保持する。
【0124】
〔ステップS65〕リンス液の排出
その後、開閉弁V8を開いて、チャンバ3内に貯留された純水を排液タンク53に排出する。更に、QDR弁14を開いて、処理槽2内からチャンバ3内の底面に純水を放出する。処理槽2内の純水も排出管51を介して排液タンク53に排出する。処理槽2内が空になった後、QDR弁14は閉じられる。また、チャンバ3内が空になった後、開閉弁V8は閉じられる。
【0125】
これらのステップS64,S65は、予め設定された回数(1回または複数回)繰り返されてもよい。なお、必要により、ステップS64,S65を1回ずつ行い、ステップステップS64,S65の繰り返しを行わなくてもよい。
【0126】
ステップS61~S65のチャンバ3の洗浄処理を行った後、次の一連の基板処理(S41~S54)が行われる。
【0127】
本実施例によれば、制御部81は、予め設定された枚数または予め設定されたロット数の基板Wに対して浸漬および乾燥処理を含む一連の基板処理を行うごとに、連続する2つの一連の基板処理の間において、チャンバ洗浄処理を行う。予め設定された枚数または予め設定されたロット数の基板Wに対して一連の基板処理を行うごとに、連続する2つの一連の基板処理の間において、チャンバ3の洗浄処理を行うことができる。そのため、チャンバ3内の下部のパーティクルが巻き上げられて基板Wに付着することを防止することができる。
【0128】
また、噴出管5は、処理槽2内の底部に設けられ、処理槽2内に洗浄液を供給する。制御部81は、チャンバ3内が大気圧である状態で、噴出管5から処理槽2内に洗浄液を供給すると共に、処理槽2から溢れた洗浄液をチャンバ3に貯留させ、更に、チャンバ3に貯留された洗浄液に処理槽2を浸漬させることで、処理槽2の外壁を含むチャンバ3内を洗浄する。これにより、処理槽2およびチャンバ3を同時に洗浄することができる。
【0129】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0130】
(1)上述した実施例3では、ステップS62で噴出管5から洗浄液として希釈IPA液を供給していた。洗浄液として純水を用いる場合、ステップS64,S65を省略してもよい。
【0131】
(2)上述した実施例1,2では、連続する2つの一連の基板処理の間で、チャンバ3の洗浄処理を行っていない。この点、実施例1,2の各々において、一連の基板処理の途中にチャンバ3の洗浄処理を行うことに加えて、実施例3のように、連続する2つの一連の基板処理の間で、チャンバ3の洗浄処理を行ってもよい。
【0132】
すなわち、図8図10において、一連の基板処理(ステップS41~S54)は、一連の基板処理(図2図3に示すステップS01~S18)に置き換えられてもよい。また、一連の基板処理(ステップS41~S54)は、一連の基板処理(図6図7に示すステップS21~S35)に置き換えられてもよい。
【0133】
(3)上述した実施例2,3では、洗浄液は、噴出管5のみから供給された(図5参照)。この点、チャンバ3の底部には、図1に示す洗浄液ノズル16が設けられてもよい。洗浄液(例えば純水)を供給する際、噴出管5および洗浄液ノズル16から処理槽2およびチャンバ3に洗浄液をそれぞれ供給してもよい。これにより、洗浄液を供給する時間を短縮できる。
【0134】
また、実施例3において、噴出管5および洗浄液ノズル16から処理槽2およびチャンバ3にリンス液をそれぞれ供給してもよい。
【0135】
(4)上述した実施例1および変形例(2)、(3)では、洗浄液ノズル16は、遮るものがない状態で、チャンバ3内に洗浄液(例えば純水)が供給された。この点、図11に示すように、洗浄液ノズル16の上向きの吐出口16Aに対向するように、チャンバ3内の底部には、洗浄液ノズル16を覆うノズルカバー71が設けられてもよい。ノズルカバー71は、チャンバ3内の底部に取り付けられていてよい。
【0136】
ノズルカバー71は、その下面が開口しており、箱状の部材である。ノズルカバー71は、天井壁71Aと、天井壁71Aに接続する複数(例えば2枚または4枚)の側壁71Bとを備える。天井壁71Aには、孔部71Cが形成されていないが、側壁71Bには、洗浄液を通す孔部71Cが形成されている。側壁71Bは、Y方向に延びるように長手に形成される。孔部71Cの面積は、吐出口16Aよりも大きい。
【0137】
洗浄液ノズル16の吐出口は例えば上向きであり、上向きに吐出された洗浄液は、天井壁71Aで遮蔽されるが、側壁71Bの孔部71Cからノズルカバー71の外部に洗浄液が供給される。チャンバ3内が減圧されたときに、洗浄液ノズル16は、ミストの発生源になりやすい。そのため、洗浄液ノズル16の吐出口16Aにノズルカバー71を対向させる。そのため、洗浄液ノズル16付近でミストが発生しても、ノズルカバー71で保持でき、ミストの拡散を抑えながらチャンバ3内に洗浄液を貯留させることができる。また、側壁71Bの孔部71Cから洗浄液が通されるので、洗浄液の流れの勢いを抑えることができる。
【0138】
なお、チャンバ3の底面で流れを妨げないように、ノズルカバー71と、チャンバ3の底面との間には、隙間G3が形成されていてもよい。
【0139】
(5)上述した実施例1および各変形例(2)~(4)では、2本の洗浄液ノズル16は各々、チャンバ3内の底部であって、平面視で処理槽2と重なる位置に設けられていた。この点、2本の洗浄液ノズル16は各々、図12に示すように、チャンバ3の下部の隅に設けられてもよい。隅に設けられた洗浄液ノズル16は、横方向に向いて吐出口が形成されてもよい。そのため、洗浄液ノズル16から横向きに洗浄液が吐出される。
【0140】
(6)上述した実施例1および各変形例(2)~(4)では、2本の洗浄液ノズル16は各々、チャンバ3の底部またはチャンバ3内の底面に設けられた。この点、図13に示すように、2本の洗浄液ノズル16は各々、チャンバ3内の底面から離れて設けられてもよい。また、2本の洗浄液ノズル16は各々、シールド板63よりも下位置であって、チャンバ3内の底面よりも上位置のチャンバ3の内側壁に設けられてもよい。すなわち、2本の洗浄液ノズル16は各々、チャンバ3内の下部に設けられてもよい。
【0141】
また、制御部81は、排気ポンプによりチャンバ3を減圧した状態で、処理槽3の外壁に洗浄液を当てながら洗浄液ノズル16からチャンバ3内に洗浄液を供給してもよい。チャンバ3内の底面に液が流れるので、チャンバ3内の底面には、パーティクルが比較的蓄積しにくい。しかし、例えば処理槽2の外壁は、浮遊したパーティクルが付着しても液が流れにくい部分であるので、パーティクルが蓄積される。その部分に洗浄液を当てながらチャンバ3内に洗浄液を貯留させるので、処理槽2の外壁に付着したパーティクルを除去しやすい。
【0142】
(7)上述した各実施例および各変形例では、基板処理装置1は、2つの排気ポンプ47,57を備えていた。この点、基板処理装置1は、例えば排気ポンプ57を備えなくてもよい。すなわち、排気ポンプ47は、排気管45を介してチャンバ3内を排気すると共に排気管55を介して排液タンク53内を排気してもよい。
【0143】
例えば開閉弁V7は、排気管45を通過する気体の流量を制御できるように構成されている。また、開閉弁V9は、排気管55を通過する気体の流量を制御できるように構成されている。そして、制御部81は、2つの開閉弁V7,V9を操作することにより、2つの排気管45,55を通過する気体の流量を制御する。これにより、排液タンク53内の圧力値P2をチャンバ3内の圧力値P1よりも小さくする。
【0144】
(8)上述した各実施例および各変形例では、チャンバ3内の下部のパーティクルの巻き上げは、窒素ガスを供給してチャンバ3内を大気圧に戻すときに生じると説明した(ステップS17,S34,S53)。この点、例えば、ステップS12,S28,S48などでもパーティクルの巻き上げが生じる可能性がある。
【0145】
(9)上述した各実施例および各変形例では、例えば図2に示すステップS06において、撥水剤の蒸気を供給して基板Wを撥水性にした。この点、基板Wを撥水性にする必要がない場合は、撥水剤の蒸気を供給するステップS06およびこれに関連するステップを省略してもよい。図6のステップS26および図9のステップS46も同様である。
【符号の説明】
【0146】
1 … 基板処理装置
2 … 処理槽
3 … チャンバ
5 … 噴出管
14 … QDR弁
16 … 洗浄液ノズル
25 … 不活性ガスノズル
27 … 溶剤蒸気ノズル
29 … 撥水剤蒸気ノズル
43 … 排気口
47 … 排気ポンプ
63 … シールド板
G1,G2 … 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13