(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177930
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】情報提供装置、情報提供方法、および情報提供プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20231207BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20231207BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20231207BHJP
G16Y 40/10 20200101ALI20231207BHJP
【FI】
G08G1/00 J
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090903
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 信大
(72)【発明者】
【氏名】藤野 孝政
(72)【発明者】
【氏名】澁田 恭平
(72)【発明者】
【氏名】真下 裕梨
(72)【発明者】
【氏名】上村 浩明
(72)【発明者】
【氏名】丸山 健太
(72)【発明者】
【氏名】大久保 亜美
(72)【発明者】
【氏名】藤森 啓汰
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA21
5H181AA26
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB13
5H181CC04
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181MB01
5H181MB11
5H181MC16
5H181MC20
(57)【要約】
【課題】より安全に通行できる雪道の情報を通行人や自動車の運転者に提供することを可能にする。
【解決手段】通行に支障が生じた道路の移動体の位置を示す位置情報を取得し、取得の結果に基づいて、位置の通行の危険度合いを算出し、算出の結果に基づいて、位置の危険度合いの情報を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通行に支障が生じた道路の移動体の位置を示す位置情報を取得する取得部と、
前記取得の結果に基づいて、前記位置の通行の危険度合いを算出する算出部と、
前記算出の結果に基づいて、前記位置の前記危険度合いの情報を提供する提供部と、
を備える情報提供装置。
【請求項2】
前記算出部は、単位時間当たりに、同じ位置を示す位置情報を取得した数に基づいて危険度合いを算出する
請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記算出部は、単位時間当たりに、同じ位置を示す位置情報を取得した数のうち、通行に支障が生じた道路の移動体から受信した位置情報の数の割合に基づいて危険度合いを算出する
請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記移動体は自動車に搭載され、
前記取得部は、自動車に搭載されている安全装置の作動を検知したときの位置情報を取得し、
前記算出部は、前記安全装置の作動を検知したときの位置情報に基づいて危険度合いを算出する
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記移動体は通行人によって携行され、
前記取得部は、通行人の転倒を検知したときの位置情報を取得し、
前記算出部は、前記転倒を検知したときの位置情報に基づいて危険度合いを算出する
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報提供装置。
【請求項6】
通行に支障が生じた道路の移動体の位置を示す位置情報を取得し、
前記取得の結果に基づいて、前記位置の通行の危険度合いを算出し、
前記算出の結果に基づいて、前記位置の前記危険度合いの情報を提供する、
情報提供方法。
【請求項7】
コンピュータに、
通行に支障が生じた道路の移動体の位置を示す位置情報を取得する取得処理と、
前記取得の結果に基づいて、前記位置の通行の危険度合いを算出する算出処理と、
前記算出の結果に基づいて、前記位置の前記危険度合いの情報を提供する提供処理と、
を実行させるための情報提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置、情報提供方法、および情報提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
積雪がある地域で、通行人や自動車が安全に通行できるように、除雪車の軌跡を図示した電子地図を提供する自治体がある。
【0003】
特許文献1に記載の方法では、除雪車の車載記録装置が、位置を計測する。除雪業務管理システムは、車載記録装置によって計測された位置を用いて除雪車の軌跡を図示した電子地図を作成する。
【0004】
特許文献2に記載の方法では、サーバ装置が、位置情報を除雪車のGPS(Global Positioning System)ユニットから取得する。特許文献2に記載の方法では、サーバ装置が、位置情報によって示される軌跡と当該位置情報を受信した時刻とに基づいて、除雪車による除雪作業から経過した時間を道路区間ごとに算出する。そして、サーバ装置が、算出結果に基づいて道路区間の色を分けたマップを作成する。
【0005】
特許文献3に記載の方法では、管理サーバが、除雪車に設置された移動端末から位置情報を取得する。管理サーバは、既に除雪車が通過した経路と除雪予定の経路とを対比できるように図示した電子地図を除雪作業の発注者の端末に表示させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-198824号公報
【特許文献2】特開2017-137649号公報
【特許文献3】特開2021-64107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
除雪済みの道路であっても、その後の気象状況によっては路面の凍結や雪道の轍によって通行人が転倒してしまったり自動車がスリップしてしまったりする。しかし、特許文献1に記載の方法、特許文献2に記載の方法、および特許文献3に記載の方法では、より安全に通行できる雪道の情報を通行人や自動車の運転者に提供していない。
【0008】
本発明の目的の一例は、上述した課題を鑑み、より安全に通行できる雪道の情報を通行人や自動車の運転者に提供することを可能にする情報提供装置、情報提供方法、および情報提供プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様において、情報提供装置は、通行に支障が生じた道路の移動体の位置を示す位置情報を取得する取得部と、取得の結果に基づいて、位置の通行の危険度合いを算出する算出部と、算出の結果に基づいて、位置の危険度合いの情報を提供する提供部と、を備える。
【0010】
また、本発明の他の態様において、情報提供方法は、通行に支障が生じた道路の移動体の位置を示す位置情報を取得し、取得の結果に基づいて、位置の通行の危険度合いを算出し、算出の結果に基づいて、位置の危険度合いの情報を提供する。
【0011】
また、本発明の他の態様において、情報提供プログラムは、コンピュータに、通行に支障が生じた道路の移動体の位置を示す位置情報を取得する取得処理と、取得の結果に基づいて、位置の通行の危険度合いを算出する算出処理と、算出の結果に基づいて、位置の危険度合いの情報を提供する提供処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の情報提供装置、情報提供方法、および情報提供プログラムにより、より安全に通行できる雪道の情報を通行人や自動車の運転者に提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明における第一の実施形態の情報提供装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】本発明における第一の実施形態の情報提供装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図3】本発明における第二の実施形態の情報提供システムの構成例を示すブロック図である。
【
図4】本発明における第二の実施形態の端末の表示部に表示される道路状態確認画面の一例を示す図である。
【
図5】本発明における第二の実施形態の情報提供システムの動作例を示すシーケンス図である。
【
図6】本発明における第三の実施形態の情報提供システムの構成例を示すブロック図である。
【
図7】本発明における第三の実施形態の端末の表示部に表示される道路状態確認画面の一例を示す図である。
【
図8】本発明における第三の実施形態の情報提供システムの動作例を示すシーケンス図である。
【
図9】本発明における第四の実施形態の情報提供システムの構成例を示すブロック図である。
【
図10】本発明における第四の実施形態の端末の表示部に表示される道路状態確認画面の一例を示す図である。
【
図11】本発明における第四の実施形態の情報提供システムの動作例を示すシーケンス図である。
【
図12】本発明における各実施形態のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第一の実施形態]
本発明の第一の実施形態について説明する。危険度合いの情報を提供するための手順は、情報処理装置(コンピュータ)が、情報提供プログラムに従って処理を実行することより実現可能である。情報処理装置は、情報提供装置1として機能する。情報提供プログラムは、情報提供装置1の機能を実現させる。
【0015】
図1は、本実施形態の情報提供装置1の構成例を示すブロック図である。本実施形態の情報提供装置1は、取得部11と算出部12と提供部13とを含む。
【0016】
取得部11は、通行に支障が生じた道路の移動体(図示せず)の位置を示す位置情報を取得する。
【0017】
算出部12は、取得の結果に基づいて、位置の通行の危険度合いを算出する。
【0018】
提供部13は、算出の結果に基づいて、位置の危険度合いの情報を提供する。
【0019】
このように、情報提供装置1は、通行に支障が生じた道路の移動体の位置を示す位置情報を取得する。情報提供装置1は、取得の結果に基づいて、位置の通行の危険度合いを算出する。情報提供装置1は、算出の結果に基づいて、位置の危険度合いの情報を提供する。これにより、情報提供装置1は、より安全に通行できる雪道の情報を通行人や自動車の運転者に提供することができる。
【0020】
次に、
図2を参照して、本実施形態の情報提供装置1の動作例を説明する。
図2は、情報提供装置1の動作例を示すフローチャートである。
【0021】
取得部11は、通行に支障が生じた道路の移動体の位置を示す位置情報を取得する(ステップS101)。
【0022】
算出部12は、ステップS101における取得の結果に基づいて、位置の通行の危険度合いを算出する(ステップS102)。
【0023】
提供部13は、ステップS102における算出の結果に基づいて、位置の危険度合いの情報を提供する(ステップS103)。
【0024】
以上説明したように、情報提供装置1が、危険度合いの情報を提供する。これにより、情報提供装置1は、より安全に通行できる雪道の情報を通行人や自動車の運転者に提供することができる。
【0025】
なお、取得部11は、SNS(Social Networking Service)に投稿された情報であるSNS投稿情報を取得してもよい。例えば、取得部11がSNS投稿情報を取得する場合、取得部11は、取得したSNS投稿情報を分析して、通行に支障が生じた道路の移動体についてのSNS投稿情報を特定する。取得部11は、特定したSNS投稿情報から位置を示す位置情報を取得する。なお、例えば、取得部11は、SNS投稿情報に含まれる、SNSへの投稿を行った端末(図示せず)の位置を示す位置情報を取得してもよい。また、例えば、取得部11は、SNS投稿情報から位置を示す情報を抽出する(例えば、地名を表す文字列を抽出する等)ことにより、位置情報を取得してもよい。
【0026】
[第二の実施形態]
次に、本発明の第二の実施形態における情報提供装置3について具体的に説明する。本実施形態の情報提供装置3は、第一の実施形態の情報提供装置1の機能を備える。
【0027】
図3は、第二の実施形態の情報提供システムの構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、情報提供システムは、移動体2-1,・・・,2-n(nは1以上の自然数)と情報提供装置3と端末4とを含む。以降、移動体2-1,・・・,2-nの各々を、「移動体2」という。例えば、移動体2は、自動車のカーナビゲーションシステムや運転者が所持する情報処理端末等である。
【0028】
図3を参照して、本実施形態の移動体2の構成について、移動体2-1を例に説明する。
【0029】
移動体2-1は、測位部21-1と送受信部22-1とを含む。
【0030】
測位部21-1は、位置を測定する。測位部21-1は、QZSS(Quasi-Zenith Satellite System)、およびGPS等のGNSS(Global Navigation Satellite System)における衛星等から信号を受信して測定を行う。測位部21-1は、測定した位置を示す位置情報と位置を測定した日時を示す測位日時情報とを送受信部22-1に出力する。
【0031】
送受信部22-1は、移動体2-1を示す移動体識別情報と位置情報と測位日時情報とを関連付けて情報提供装置3に送信する。移動体識別情報は、移動体2の各々を識別可能な情報である。
【0032】
図3を参照して、本実施形態の情報提供装置3の構成について説明する。情報提供装置3は、取得部31と抽出部32と送信部33とを含む。情報提供装置3は、雪道を通行している移動体2-1~2-nの各々から移動体識別情報と位置情報とを受信する。
【0033】
取得部31は、位置情報と測位日時情報と位置情報を送信した移動体2を示す移動体識別情報とを受信する。取得部31は、位置情報と測位日時情報と位置情報を送信した移動体2の移動体識別情報とを関連付けて記憶部34に記憶させる。また、取得部31は、除雪車が除雪を行った経路を示す除雪済経路情報と、除雪車が除雪する予定の経路を示す除雪予定経路情報とを外部のサーバから取得する。
【0034】
抽出部32は、第一の実施形態における算出部12に対応する。抽出部32は、道路の通行に支障が生じたか否かを判定する。抽出部32は、判定結果に基づいて、直前の単位時間当たりの通行の危険度合いを算出する。抽出部32は、通行の危険度合いがより低い場所、又は通行に支障が生じていない場所を抽出する。抽出部32は、抽出した場所を示す道路情報を送信部33に入力する。なお、例えば、抽出部32により抽出される場所は、移動体2を搭載した自動車が対向車線への侵入等せずに通行することができている道路の場所である。
【0035】
送信部33は、第一の実施形態における提供部13に対応する。送信部33は、除雪済経路情報と除雪予定経路情報と、抽出部32により抽出された場所を示す道路情報とを関連付けて端末4に送信する。本実施形態では、送信部33は、危険度合いの情報として、道路情報を端末4に送信する。
【0036】
記憶部34には、位置情報と測位日時情報と位置情報を送信した移動体2の移動体識別情報とが関連付けられて記憶される。また、記憶部34には、各車線の道路の区画を示す区画情報と、道路を通行する自動車の進行方向を示す方向情報とが関連付けられて予め記憶されている。
【0037】
端末4は、除雪済経路情報と除雪予定経路情報と道路情報とを情報提供装置3から受信する。端末4は、除雪済経路情報と除雪予定経路情報と道路情報とに基づいて道路状態確認画面を表示部(図示せず)に表示させる。
【0038】
図4は、端末4の表示部に表示される道路状態確認画面の一例を示す図である。道路状態確認画面には、情報提供装置3により抽出された道路と抽出された道路以外の道路とが、区別可能に道路状態マップに表されている。
図4には、情報提供装置3により抽出された道路が、「安全」な道路として図示される。また、
図4には、情報提供装置3により抽出された道路以外の道路が、「要注意」な道路として図示される。また、道路状態マップには、除雪済経路情報に示される経路が実線で表され、かつ除雪予定経路情報に示される経路が破線で表されている。
【0039】
このように、情報提供装置3は、通行に支障が生じた道路の移動体の位置を示す位置情報を取得する。情報提供装置3は、取得の結果に基づいて、位置の通行の危険度合いを算出する。情報提供装置3は、算出の結果に基づいて、位置の危険度合いの情報を提供する。これにより、情報提供装置3は、より安全に通行できる雪道の情報を通行人や自動車の運転者に提供することができる。
【0040】
次に、
図5を参照して、本実施形態の情報提供システムの動作例を説明する。
図5は、情報提供システムの動作例を示すシーケンス図である。
【0041】
移動体2は、位置を測定する(ステップS201)。移動体2は、位置情報と測位日時情報と自装置の移動体識別情報とを関連付けて情報提供装置3に送信する(ステップS202)。
【0042】
情報提供装置3の取得部31は、位置情報と測位日時情報と位置情報を送信した移動体2を示す移動体識別情報とを受信することにより取得する。取得部31は、位置情報と測位日時情報と位置情報を送信した移動体2の移動体識別情報とを関連付けて記憶部34に記憶させる(ステップS203)。また、取得部31は、除雪済経路情報と除雪予定経路情報とを外部のサーバから取得する(ステップS204)。
【0043】
抽出部32は、移動体2-1~2-nの各々の位置情報と測位日時情報とを記憶部34から読み出す。抽出部32は、読み出した位置情報と測位日時情報とに基づき道路の通行に支障が生じたか否かを判定する(ステップS205)。抽出部32は、判定結果に基づいて、直前の単位時間当たりの通行の危険度合いを算出する(ステップS206)。抽出部32は、場所を抽出する(ステップS207)。抽出部32は、道路情報を送信部33に出力する。
【0044】
送信部33は、除雪済経路情報と除雪予定経路情報と道路情報とを関連付けて端末4に送信する(ステップS208)。
【0045】
端末4は、除雪済経路情報と除雪予定経路情報と道路情報とを情報提供装置3から受信する。端末4は、道路状態確認画面(本例では、
図4)を表示部に表示させる(ステップS209)。
【0046】
なお、ステップS205において、例えば、抽出部32は、読み出した位置情報と測位日時情報とに基づき移動体2の各々の経路を算出する。算出した経路が移動体2の各々が通行すべき区画内であるか否かを判定する。例えば、移動体2が通行するべき道路の区画とは、抽出部32が移動体2が通行していると特定した道路における移動体2の進行方向の車線の区画である。抽出部32は、移動体2が通行するべき区画内に経路を含む位置において、通行に支障が生じていないと判定する。抽出部32は、移動体2が通行するべき区画の境界線、及び区画外に経路を含む位置において、通行に支障が生じていると判定する。
【0047】
なお、ステップS206において、例えば、抽出部32は、5つ以上の移動体2から取得した位置情報について、道路の通行に支障が生じていることを判定した場合、その場所の危険度を高いとする。また、例えば、抽出部32は、1から4つ以下の移動体2から取得した位置情報について、道路の通行に支障が生じていることを判定した場合、その場所の危険度を低いとする。または、抽出部32は、ある場所を通行した移動体2のうち、道路の通行に支障が生じた移動体2の割合に基づいて、通行の危険度合いを算出してもよい。
【0048】
なお、ステップS207において抽出部32が抽出する場所は、例えば、ステップS206においてより低い危険度合いが算出された場所や、通行に支障が生じたと判定されていない場所等である。具体的には、例えば、移動体2による中央分離帯や対向車線や歩道への進入等がない道路等である。ステップS207において、抽出部32は、移動体2の経路に轍の影響があると推定できる場合、例えば、直線状の道路を通行している移動体2の経路が蛇行している場合、その場所の抽出を停止してもよい。
【0049】
なお、抽出部32は、ステップS207において、除雪済経路情報に更に基づき、場所を抽出してもよい。具体的には、抽出部32は、除雪車が除雪してから経過した時間が所定の時間以内の場所を抽出する。
【0050】
なお、抽出部32は、ステップS207において複数の場所を抽出した場合、抽出した複数の場所のうち互いに接する部分を有する場所を接続した場所を示す情報を道路情報として送信部33に入力してもよい。なお、これらの方法以外にも、安全に通行可能な場所を抽出する方法には、任意の方法を使用することが可能である。
【0051】
以上で説明したように、本発明の第二の実施形態では、情報提供装置3は、通行に支障が生じた道路の移動体2の位置を示す位置情報を取得する。情報提供装置3は、取得の結果に基づいて、位置の通行の危険度合いを算出する。情報提供装置3は、算出の結果に基づいて、位置の危険度合いの情報を提供する。これにより、情報提供装置3は、より安全に通行できる雪道の情報を通行人や自動車の運転者に提供することができる。
【0052】
なお、例えば、移動体2-1の測位部21-1、および送受信部22-1の機能は、自動車のカーナビゲーションシステムや運転者が所持する情報処理端末等によって実現される。
【0053】
また、例えば、端末4は、自動車を運転する運転者の端末、カーナビゲーションシステム、または通行人の端末等である。端末4は、移動体2と一体であってもよい。端末4に道路状態確認画面を表示させることにより、道路状態確認画面を確認した人は、外出する前に道路の状態を把握することができる。また、道路状態確認画面を確認した、道路を通行中の自動車の運転者や通行人等は、リアルタイムに道路の状態を把握することができる。
【0054】
また、例えば、取得部31が、除雪済経路情報と除雪予定経路情報とを取得する外部のサーバは、例えば除雪作業を実施する自治体等が管理するサーバである。送信部33は、安全に通行可能な場所として抽出された道路以外の道路の情報を自治体等に提供してもよい。これにより、自治体等は、轍が多い場所や道路の凍結が多い場所等の除雪をすべき場所を把握することができる。なお、取得部31は、除雪済経路情報を取得する代わりに、除雪車から位置情報を取得して、除雪車から取得した位置情報に基づいて除雪車により除雪済みの経路を求めてもよい。
【0055】
なお、抽出部32は、除雪済経路情報に基づき、除雪済みの道路、除雪済みだが除雪が不十分な道路、および除雪されていない道路を抽出してもよい。送信部33は、除雪済みの道路を示す情報、除雪済みだが除雪が不十分な道路を示す情報、および除雪されていない道路を示す情報を端末4に送信する。また、端末4は、除雪済みの道路、除雪済みだが除雪が不十分な道路、および除雪されていない道路を区別可能に道路状態確認画面に表示させる。例えば、除雪が不十分な道路とは、除雪された道路の幅員が狭いために移動体2の通行が困難な道路である。
【0056】
なお、取得部31が取得する除雪予定経路情報には、現在、除雪作業をしている除雪車が除雪する予定の経路を示す情報と、今後(例えば、翌日以降)の除雪車が除雪する予定の経路を示す情報とが含まれてもよい。また、取得部31は、除雪車のスケジュールを示す情報であるスケジュール情報を取得してもよい。スケジュール情報には、除雪車が除雪を開始する日時を示す情報と、除雪車が除雪を終了する日時を示す情報とが含まれる。送信部33は、除雪済経路情報と除雪予定経路情報と道路情報とスケジュール情報とを端末4に送信する。これにより、端末4は、現在除雪している除雪車の経路の他に、今後の(例えば、翌日)除雪車が除雪する予定の経路と、除雪を開始する日時と、除雪を終了する日時とを道路状態確認画面に表示させることができる。これにより、道路状態確認画面を確認した利用者は、事前に除雪車のスケジュールを把握することができる。
【0057】
また、取得部31が取得するスケジュール情報には、排雪作業のスケジュールを示す情報が含まれてもよい。端末4は、排雪作業のスケジュールを道路状態確認画面に表示させてもよい。これにより、雪を堆積場に運搬する排雪作業のタイミングを把握した利用者は、排雪の前に歩道や車道を除雪することができる。
【0058】
ところで、一般に、高速自動車国道および一般国道の自動車専用道路では、除雪作業のために通行止めが生じる場合がある。または、除雪車等の雪氷作業車の追い越しが推奨されないので、低速で走行している雪氷作業車を追い抜かずに自動車が道路を走行することになる。このため、高速自動車国道および一般国道の自動車専用道路を通行する自動車の運転者が、目的地に到着するまでにかかる時間を予想することができない。しかし、端末4が表示させた道路状態確認画面を確認した運転者は、除雪車が除雪する予定の経路、除雪車が除雪を開始する日時、および除雪車が除雪を終了する日時を把握することができる。これにより、運転者が、目的地への到着日時の見当をつけたり、雪氷作業車を避けたりすることができる。
【0059】
[第三の実施形態]
次に、本発明の第三の実施の形態における情報提供装置6について具体的に説明する。本実施形態の情報提供装置6は、第一の実施形態の情報提供装置1の機能を備える。
【0060】
第三の実施形態の情報提供装置6は、第二の実施形態の情報提供装置3と次の点で異なる。情報提供装置6は、移動体5の撮影部51が撮影した画像と画像を撮影した位置とに基づいて、移動体5が安全に通行可能な道路を抽出する。
【0061】
図6は、第三の実施形態の情報提供システムの構成例を示すブロック図である。
図6に示すように、情報提供システムは、移動体5と情報提供装置6と端末4とを含む。
【0062】
図6を参照して、本実施形態の移動体5の構成について説明する。
【0063】
撮影部51は、道路を撮影可能な位置に設置される。撮影部51は、所定の頻度で撮影を行う。撮影部51は、撮影を行う都度、送受信部53に画像データ及び位置情報の送信を要求する。例えば、移動体5が自動車に搭載されている場合、撮影部51は、自動車の進行方向を撮影する。撮影部51の撮影範囲には、道路が含まれる。
【0064】
測位部52は、移動体5の位置を所定の頻度で測定する。測位部52の構成は、第二の実施形態における測位部21-1の構成と同様であるため、共通する説明を省略する。
【0065】
送受信部53は、撮影部51によって撮影された画像の画像データと、画像を撮影したときの位置を示す位置情報とを情報提供装置6に送信する。
【0066】
図6を参照して、本実施形態の情報提供装置6の構成について説明する。情報提供装置6は、取得部61と抽出部62と送信部63とを含む。
【0067】
取得部61は、画像データと、画像を撮影したときの位置を示す位置情報とを受信する。
【0068】
抽出部62は、第一の実施形態における算出部12に対応する。抽出部62は、通行に支障が生じた道路の場所(例えば、ブラックアイスバーンが生じている場所等)と危険度合いとを画像から求める。抽出部62は、通行の危険度合いがより低い場所(例えば、支障が生じた道路の場所以外の場所等)を抽出する。抽出部62は、抽出した場所を示す道路情報と、道路の通行に支障が生じた場所を示す支障場所情報と、場所の状態を示す状態情報とを関連付けて送信部63に入力する。
【0069】
送信部63は、道路情報と支障場所情報と状態情報とを関連付けて端末4に送信する。
【0070】
端末4は、道路情報と支障場所情報と状態情報とを情報提供装置6から受信する。端末4は、道路情報と支障場所情報と状態情報とに基づいて道路状態確認画面を表示部(図示せず)に表示させる。
【0071】
図7は、端末4の表示部に表示される道路状態確認画面の一例を示す図である。道路状態確認画面には、道路情報に示される道路(
図7の例では、「安全」)と、支障場所情報に応じた場所(
図7の例では「要注意(ブラックアイスバーン)」)とが、区別可能なように道路状態マップに表されている。このように、
図7には、ブラックアイスバーンが生じている場所が図示され、また状態情報に示される路面の状態の名(ブラックアイスバーン)が表示される。また、
図7に例示する道路状態確認画面では、端末4は、移動体5の現在位置を道路状態マップ上に表示させる。なお、端末4は、移動体5における現在位置を示す位置情報を、情報提供装置6を介して取得してもよい。端末4が自動車のカーナビゲーションシステムに含まれている場合、端末4は、カーナビゲーションシステムの測位機能によって現在位置を測定してもよい。
【0072】
このように、情報提供装置6は、通行に支障が生じた道路の移動体の位置を示す位置情報を取得する。情報提供装置6は、取得の結果に基づいて、位置の通行の危険度合いを算出する。情報提供装置6は、算出の結果に基づいて、位置の危険度合いの情報を提供する。これにより、情報提供装置6は、より安全に通行できる雪道の情報を通行人や自動車の運転者に提供することができる。
【0073】
次に、
図8を参照して、本実施形態の情報提供システムの動作例を説明する。
図8は、情報提供システムの動作例を示すシーケンス図である。
【0074】
移動体5の撮影部51は、道路を撮影する(ステップS301)。測位部52は、移動体5の位置を測定する(ステップS302)。送受信部53は、画像データと位置情報とを情報提供装置6に送信する(ステップS303)。
【0075】
情報提供装置6の取得部61は、画像データと位置情報とを受信する。取得部61は、画像データと位置情報とを抽出部62に入力する。
【0076】
抽出部62は、画像認識を行い、通行に支障が生じた道路の場所と通行の危険度合いとを求める(ステップS304)。抽出部62は、通行の危険度合いがより低い場所を抽出する(ステップS305)。抽出部62は、ステップS306において抽出した場所を示す道路情報とステップS304において特定した場所を示す支障場所情報と状態情報とを関連付けて送信部63に入力する。
【0077】
送信部63は、道路情報と支障場所情報と状態情報とを関連付けて端末4に送信する(ステップS306)。
【0078】
端末4は、道路情報と支障場所情報と状態情報とを情報提供装置6から受信する。端末4は、道路状態確認画面(本例では、
図7)を表示部に表示させる(ステップS307)。
【0079】
以上で説明したように、本発明の第三の実施形態では、情報提供装置6は、通行に支障が生じた道路の移動体の位置を示す位置情報を取得する。情報提供装置6は、取得の結果に基づいて、位置の通行の危険度合いを算出する。情報提供装置6は、算出の結果に基づいて、位置の危険度合いの情報を提供する。これにより、情報提供装置6は、より安全に通行できる雪道の情報を通行人や自動車の運転者に提供することができる。
【0080】
ここで、抽出部62による画像認識について具体的に説明する。抽出部62は、学習データを用いて機械学習を行い、情報提供モデルを生成する。情報提供モデルは、画像から運転に支障が生じている道路の場所と危険度合いとを求めるためのモデルである。抽出部62は、地形を示す情報を含む地図情報と、様々な地点において雪道を撮影した画像データ、撮影位置情報、気温情報、経過時間情報、および危険度を示す危険度情報が関連付けられたデータを学習データとして用いる。なお、運転に支障が生じている場所が画像に撮影されている場合、運転に支障が生じている場所を示す情報と、当該場所の状態を示す状態情報とが当該画像の画像データに予め関連付けられている。撮影位置情報には、画像を撮影した撮影装置の位置が示される。気温情報には、画像が撮影されたときの気温が示される。経過時間情報には、画像に撮影された道路において除雪から経過した時間が示される。
【0081】
危険度合いの一例を具体的に説明する。ブラックアイスバーン等の路面が凍結している道路の画像により高い危険度(例えば、「3」)が予め設定されている。また、交差点、市街地、坂道、トンネル、および橋等の運転を注意すべき道路の画像に、高い危険度(例えば、「2」)が予め設定されている。その他の画像には、低い危険度(例えば、「1」)が、また、除雪済みの道路の画像により低い危険度(例えば、「0」)が予め設定されている。
【0082】
運転者による自動車の運転に注意を要する道路の例を示す。ブラックアイスバーンは、運転者には濡れたアスファルト路面のように見える。それにもかかわらず、ブラックアイスバーンが生じている道路では、運転者がブレーキ操作をしても自動車をすぐに停止させることができない。このため、運転者は、ブラックアイスバーンが生じている道路において自動車の運転により一層注意が必要である。また、交差点、市街地、トンネル、および橋等では、路面が凍結していたり、圧雪路面が生じていたりするので自動車がスリップしやすい。このため、交差点、市街地、トンネル、および橋等において、運転者は、自動車の運転に注意が必要である。また、坂道では、上り坂の途中で自動車が坂を登れなくなったり、下り坂で自動車が横滑りしたり、自動車を停車させることができなくなってしまうことがある、このため、運転者は、坂道において自動車の運転に注意が必要である。このように、学習データの画像には、画像に撮影されている、通行に支障が生じた道路の状態において運転者が払うべき注意に応じた危険度合いが予め設定されている。
【0083】
情報提供モデルへの入力は、移動体5から得た画像、および移動体5の位置情報である。情報提供モデルからの出力は、危険度を示す危険度情報と、支障場所情報と、場所の状態を示す状態情報とである。
【0084】
抽出部62は、さらに現在の気温を示す気温情報や、積雪量を示す情報や、除雪情報を情報提供モデルに入力してもよい。この場合、取得部61は、現在の気温を示す気温情報および積雪量を示す情報を気象のデータを提供するサーバ等から取得する。除雪情報は、除雪車の経路を示す除雪済経路情報と除雪車が除雪した日時を示す情報を含む。例えば、取得部61は、除雪作業を実施する自治体等が管理するサーバから除雪情報を取得する。
【0085】
なお、学習データは、記憶部64に予め記憶されていてもよい。または、抽出部62は、新たな学習データの入力を受ける都度、学習データを記憶部64に記憶させてもよい。抽出部62は、新たな学習データを記憶部64に記憶させる都度、新たに機械学習を行い、新たなモデルを生成してもよい。
【0086】
なお、抽出部62は、モデル生成機能を備えなくてもよい。抽出部62は、情報提供装置6とは異なる他の装置が生成した情報提供モデルを取得して用いてもよい。
【0087】
また、抽出部62は、画像認識を行って雪堤がある位置を特定し、特定した位置を端末4に表示させてもよい。これにより、雪堤によって視界不良が生じていることを通行人や運転者は把握することができる。
【0088】
なお、情報提供装置6の取得部61は、除雪車が除雪を行った経路を示す除雪済経路情報と、除雪車が除雪する予定の経路を示す除雪予定経路情報とを外部のサーバから取得してもよい。この場合、送信部63は、道路情報と支障場所情報と状態情報と除雪済経路情報と除雪予定経路情報とを端末4に送信する。端末4は、除雪済経路情報に示される経路と、除雪予定経路情報に示される除雪する予定の経路とを道路状態確認画面に表示させる。
【0089】
本実施形態では、例えば、移動体5が道路を撮影し、移動体5が搭載された自動車の運転者の端末4に安全に通行可能な道路を表示させる。しかし、情報提供システムは、本実施形態で説明した例に限られない。ドローンが道路を撮影して、情報提供装置6の取得部61が、画像と画像が撮影された位置を示す位置情報とをドローンから取得してもよい。また、1または2以上の複数の自動車の撮影部が道路を撮影し、取得部61が、画像と画像が撮影された位置を示す位置情報とを各自動車から取得して、取得した情報を用いて抽出部62が安全に通行可能な道路を抽出してもよい。また、取得部61は、通行人によって撮影された道路の画像と画像が撮影された位置を示す位置情報とを、通行人の端末から取得してもよい。
【0090】
ところで、例えば、移動体5の撮影部51は、ドライブレコーダーのカメラによって実現される。また、測位部52は、ドライブレコーダーの測位機能、またはカーナビゲーションシステムの測位機能によって実現される。
【0091】
[第四の実施形態]
次に、本発明の第四の実施の形態における情報提供装置8について具体的に説明する。本実施形態の情報提供装置8は、第一の実施形態の情報提供装置1の機能を備える。
【0092】
第四の実施形態の情報提供装置8は、第二の実施形態の情報提供装置3および第三の実施形態の情報提供装置6と次の点で異なる。情報提供装置8は、移動体7-1,・・・,7-n(nは1以上の自然数)の各々の検知部により通行に支障が生じたことが検知されたときの各移動体7-1~7-nの位置情報に基づいて危険度合いの情報を提供する。以降、移動体7-1~7-nの各々を、「移動体7」という。
【0093】
図9は、第四の実施形態の情報提供システムの構成例を示すブロック図である。
図9に示すように、情報提供システムは、移動体7と情報提供装置8と端末4とを含む。
【0094】
図9を参照して、本実施形態の移動体7の構成について、移動体7-1を例に説明する。例えば、移動体7は、自動車に搭載される。
【0095】
移動体7-1は、測位部71-1と検知部72-1と送受信部73-1とを含む。
【0096】
測位部71-1は、所定の頻度で位置を測定する。測位部71-1の構成は、第二の実施形態における測位部21-1の構成と同様であるため、共通する説明を省略する。
【0097】
検知部72-1は、自動車に搭載されている安全装置が作動したことを検知する。検知部72-1は、自動車の安全装置の作動を検知する都度、送受信部73-1に位置情報の送信を要求する。
【0098】
送受信部73-1は、自動車の安全装置の作動を検知したときの移動体7-1の位置情報を情報提供装置8に送信する。
【0099】
図9を参照して、本実施形態の情報提供装置8の構成について説明する。情報提供装置8は、取得部81と算出部82と提供部83とを含む。
【0100】
取得部81は、自動車の安全装置の作動が移動体7により検知されたときの移動体7の位置情報を受信する。取得部81は、受信した位置情報を記憶部84に記憶させる。
【0101】
算出部82は、自動車の安全装置の作動が移動体7により検知されたときの位置を示す位置情報に基づき、位置情報に示される位置の通行の危険度合いを算出する。
【0102】
提供部83は、算出の結果に基づいて、危険度合いの情報を提供する。本実施形態では、各危険度の場所を示す情報と、危険度を示す危険度情報とを端末4に送信する。
【0103】
端末4は、危険度合いの情報を情報提供装置8から受信する。端末4は、道路状態確認画面を表示部(図示せず)に表示させる。
【0104】
図10は、端末4の表示部に表示される道路状態確認画面の一例を示す図である。道路状態確認画面には、情報提供装置8により提供された危険度合いの情報に基づき、各危険度の道路の場所が、区別可能なように道路状態マップに表されている。
【0105】
このように、情報提供装置8は、通行に支障が生じた道路の移動体の位置を示す位置情報を取得する。情報提供装置8は、取得の結果に基づいて、位置の通行の危険度合いを算出する。情報提供装置8は、算出の結果に基づいて、位置の危険度合いの情報を提供する。これにより、情報提供装置8は、より安全に通行できる雪道の情報を通行人や自動車の運転者に提供することができる。
【0106】
次に、
図11を参照して、本実施形態の情報提供システムの動作例を説明する。
図11は、情報提供システムの動作例を示すシーケンス図である。
図11を参照して、移動体7-1が位置情報を送信する場合を例に情報提供システムの動作例を説明する。
【0107】
移動体7-1の測位部71-1は、所定の頻度で位置を測定する(ステップS401)。移動体7の検知部72-1は、自動車の安全装置が作動したことを検知する(ステップS402)。移動体7-1の送受信部73-1は、自動車の安全装置が作動したときに、ステップS401の処理で測定した位置情報を情報提供装置8に送信する(ステップS403)。なお、送受信部73-1は、ステップS402の処理で検知部72-1が自動車の安全装置が作動したことを検知した後に(好ましくは直後に)、測位部71-1による測位結果を示す位置情報を情報提供装置8に送信するように構成されていてもよい。
【0108】
情報提供装置8の取得部81は、通行に支障が生じた道路の移動体7の位置を示す位置情報を受信することにより取得する。取得部81は、受信した位置情報を記憶部84に記憶させる(ステップS404)。
【0109】
算出部82は、取得の結果に基づいて、位置の通行の危険度合いを算出する(ステップS405)。
【0110】
提供部83は、算出の結果に基づいて、位置の危険度合いの情報を送信することにより提供する(ステップS406)。
【0111】
端末4は、危険度合いの情報を情報提供装置8から受信する。端末4は、道路状態確認画面(本例では、
図10)を表示部に表示させる(ステップS407)。
【0112】
なお、例えば、ステップS405において、算出部82は、直前の単位時間当たりに、同じ位置(完全同一でなくてもよく、例えば、半径1m以内等の近傍であってもよい)を示す位置情報を取得した数に基づいて危険度合いを算出する。具体的には、例えば、算出部82は、直前の単位時間当たりに、同じ位置を示す位置情報が10個以上取得されている場合、危険度「高」とする。また、算出部82は、直前の単位時間当たりに、同じ位置を示す位置情報が5個以上9個以下取得されている場合、危険度「中」とする。また、算出部82は、直前の単位時間当たりに、同じ位置を示す位置情報が1個以上4個以下取得されている場合、危険度「低」とする。
【0113】
または、例えば、ステップS405において、算出部82は、次の処理を行ってもよい。算出部82は、同じ位置(完全同一でなくてもよく、例えば、半径1m以内等の近傍であってもよい)を示す位置情報を取得した数のうち、通行に支障が生じた道路の移動体7から受信した位置情報の数の割合に基づいて危険度合いを算出してもよい。例えば、算出部82は、通行に支障が生じた道路の移動体7から受信した位置情報の数の割合が30パーセント以上である場合、危険度「高」とする。また、算出部82は、通行に支障が生じた道路の移動体7から受信した位置情報の数の割合が10パーセント以上30パーセント未満である場合、危険度「中」とする。算出部82は、通行に支障が生じた道路の移動体7から受信した位置情報の数の割合が10パーセント未満である場合、危険度「低」とする。なお、この場合、移動体7は、安全装置が作動していない場合にも位置情報を情報提供装置8に送信し、かつ、安全装置の作動を検知したときに、支障が生じたことを示す情報と位置情報とを関連付けて情報提供装置8に送信する。
【0114】
なお、ステップS405において、算出部82は、危険度「低」の場所、または支障が生じた位置以外の場所を示す道路情報を抽出してもよい。また、ステップS405において、算出部82は、直前の単位時間において除雪車による除雪がされた場所について、除雪後に取得された位置情報に基づいて位置の通行の危険度合いを算出してもよい。この場合、取得部81は、算出部82による処理より前に、除雪済経路情報を取得し、除雪済経路情報を算出部82に入力する。
【0115】
以上で説明したように、本発明の第四の実施形態では、情報提供装置8は、通行に支障が生じた道路の移動体の位置を示す位置情報を取得する。情報提供装置8は、取得の結果に基づいて、位置の通行の危険度合いを算出する。情報提供装置8は、算出の結果に基づいて、位置の危険度合いの情報を提供する。これにより、情報提供装置8は、より安全に通行できる雪道の情報を通行人や自動車の運転者に提供することができる。
【0116】
なお、検知部72-1は、例えば、ABS(Anti-lock Braking System)、横滑り防止装置、またはトラクションコントロールシステム等の自動車の安全装置の作動を検知する。または、検知部72-1は、所定の期間において、測位部71-1が測定した移動体7-1の位置に基づく移動量から車輪の回転数の測定結果に基づいて算出した移動量を減算した差の絶対値が所定の閾値以上である場合に、スリップを検知したとみなしてもよい。この場合に、検知部72-1は、通行に支障が生じたと判定し、送受信部73-1は、情報提供装置8に位置情報を送信してもよい。
【0117】
または、移動体7は、マッピングを行って道路の通行に支障が生じたか否かを判定してもよい。移動体7は、道路の通行に支障が生じたと判定した場合、位置情報を情報提供装置8に送信してもよい。マッピングを行って道路の通行に支障が生じたか否かを判定する方法については、第二の実施形態における方法を用いるので、説明を省略する。
【0118】
または、移動体7は、道路を撮影可能な位置に設置された撮影部を備え、通行に支障が生じた道路の場所(例えば、ブラックアイスバーンが生じている場所等)と危険度合いとを画像から求めてもよい。移動体7は、通行に支障が生じた道路の場所が画像から求められた場合に、通行に支障が生じたことを検知し、位置情報と危険度合いとを情報提供装置8に送信してもよい。通行に支障が生じた道路の場所と危険度合いとを画像から求める方法については、第三の実施形態における方法を用いるので、説明を省略する。移動体7は、いずれか1つ以上の方法を用いて通行に支障が生じたことを検知してもよい。
【0119】
また、情報提供装置8の取得部81は、除雪車が除雪を行った経路を示す除雪済経路情報と、除雪車が除雪する予定の経路を示す除雪予定経路情報とを外部のサーバから取得してもよい。この場合、提供部83は、道路情報と除雪済経路情報と除雪予定経路情報とを端末4に送信する。端末4は、除雪済経路情報に示される経路と、除雪予定経路情報に示される除雪する予定の経路とを道路状態確認画面に表示させる。
【0120】
ところで、第四の実施形態において、移動体7は、通行人によって携行される端末であってもよい。移動体7が通行人によって携行されるスマートデバイス等の端末である場合について、詳細に説明する。通行人は、位置を測定することができるスマートウォッチ等の移動体7を携行する。例えば、移動体7には、加速度計とジャイロスコープが内蔵されている。
【0121】
移動体7は、例えば、加速度計とジャイロスコープによる測定結果に基づいて、通行人が転倒したことを検知する。移動体7は、転倒を検知したときの位置情報を情報提供装置8に送信する。情報提供装置8の取得部81は、通行人の転倒を検知したときの通行人の位置情報を移動体7から取得する。算出部82は、転倒を検知したときの位置情報に基づいて危険度合いを算出する。提供部83は、算出部82による算出の結果に基づいて、位置の危険度合いの情報を端末4に送信する。端末4は、道路状態確認画面を表示部に表示させる。
【0122】
[ハードウェア構成例]
上記した各実施形態に示した手順は、情報提供装置として機能する情報処理装置(コンピュータ)に、この装置としての機能を実現させる情報提供プログラムに従って処理を実行させることより実現可能である。情報処理装置は、当該プログラムにより情報提供方法を実行する。以下、上述した本発明の各実施形態における情報提供装置(1、3、6、8)を、一つの情報処理装置(コンピュータ)を用いて実現するハードウェア資源の構成例について説明する。なお、情報提供装置は、物理的または機能的に少なくとも二つの情報処理装置を用いて実現してもよい。また、情報提供装置は、専用の装置として実現してもよい。また、情報提供装置の一部の機能のみを情報処理装置を用いて実現してもよい。
【0123】
図12は、本発明における各実施形態の情報提供装置を実現可能な情報処理装置のハードウェア構成例を概略的に示す図である。情報処理装置9は、通信インタフェース91、入出力インタフェース92、演算装置93、記憶装置94、不揮発性記憶装置95およびドライブ装置96を含む。
【0124】
例えば、
図1の情報提供装置1の取得部11および提供部13は、入出力インタフェース92で実現することが可能である。
図1の情報提供装置1の算出部12は、演算装置93で実現することが可能である。
【0125】
通信インタフェース91は、各実施形態の情報提供装置が、有線あるいは/および無線で外部装置と通信するための通信手段である。なお、情報提供装置を、少なくとも二つの情報処理装置を用いて実現する場合、それらの装置の間を通信インタフェース91経由で相互に通信可能なように接続してもよい。
【0126】
入出力インタフェース92は、入力デバイスの一例であるキーボードや、出力デバイスとしてのディスプレイ等のマンマシンインタフェースである。
【0127】
演算装置93は、汎用のCPU(Central Processing Unit)やマイクロプロセッサ等の演算処理装置や複数の電気回路によって実現される。演算装置93は、例えば、不揮発性記憶装置95に記憶された各種プログラムを記憶装置94に読み出し、読み出したプログラムに従って処理を実行することが可能である。
【0128】
記憶装置94は、演算装置93から参照可能な、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置であり、プログラムや各種データ等を記憶する。記憶装置94は、揮発性のメモリ装置であってもよい。
【0129】
不揮発性記憶装置95は、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の、不揮発性の記憶装置であり、各種プログラムやデータ等を記憶することが可能である。
【0130】
ドライブ装置96は、例えば、後述する記録媒体97に対するデータの読み込みや書き込みを処理する装置である。
【0131】
記録媒体97は、例えば、光ディスク、光磁気ディスク、半導体フラッシュメモリ等、データを記録可能な任意の記録媒体である。
【0132】
本発明の各実施形態は、例えば、
図12に例示した情報処理装置9により情報提供装置を構成してもよい。そして、本発明の各実施形態は、この情報提供装置に対して、上記各実施形態において説明した機能を実現可能なプログラムを供給することにより実現してもよい。
【0133】
この場合、情報提供装置に対して供給したプログラムを、演算装置93が実行することによって、実施形態を実現することが可能である。また、情報提供装置のすべてではなく、一部の機能を情報処理装置9で構成することも可能である。
【0134】
さらに、上記プログラムを記録媒体97に記録しておき、情報提供装置の出荷段階、あるいは運用段階等において、適宜上記プログラムが不揮発性記憶装置95に格納されるように、情報提供装置を構成してもよい。なお、この場合、上記プログラムの供給方法は、出荷前の製造段階、あるいは運用段階等において、適当な治具を利用して情報提供装置の内にインストールする方法を採用してもよい。また、上記プログラムの供給方法は、インターネット等の通信回線を介して外部からダウンロードする方法等の一般的な手順を採用してもよい。
【0135】
なお、上述する各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更実施が可能である。
【符号の説明】
【0136】
1、3、6、8 情報提供装置
11、31、61、81 取得部
12、82 算出部
13、83 提供部
34、64、84 記憶部
32、62 抽出部
33、63 送信部
2、2-1,・・・,2-n 移動体
21-1 測位部
22-1 送受信部
4 端末
5 移動体
51 撮影部
52 測位部
53 送受信部
7、7-1,・・・,7-n 移動体
71-1 測位部
72-1 検知部
73-1 送受信部
9 情報処理装置
91 通信インタフェース
92 入出力インタフェース
93 演算装置
94 記憶装置
95 不揮発性記憶装置
96 ドライブ装置
97 記録媒体