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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177939
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】ドローン測定装置
(51)【国際特許分類】
   B64C 39/02 20060101AFI20231207BHJP
   G01B 17/02 20060101ALI20231207BHJP
   B64C 27/08 20230101ALI20231207BHJP
【FI】
B64C39/02
G01B17/02 Z
B64C27/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090912
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】592244376
【氏名又は名称】日鉄テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142767
【弁理士】
【氏名又は名称】田ノ上 修二
(72)【発明者】
【氏名】津留 光稔
(72)【発明者】
【氏名】竹下 修司
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】山田 裕久
【テーマコード(参考)】
2F068
【Fターム(参考)】
2F068AA28
2F068BB01
2F068CC11
2F068DD04
2F068TT07
2F068TT21
(57)【要約】
【課題】センサーをアームの先端側で屈曲可能に支持し、ドローン本体とアームの後端側で接続される接続部には、ドローン本体の揺動によるアームへの揺動を緩和する揺動緩和手段を備えるドローン測定装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ドローン本体2と、被測定物に接触してその特性を測定するセンサー3と、センサー3を先端側で屈曲可能に支持し、ドローン本体2と後端側で接続されるアーム4と、を有するドローン測定装置であって、ドローン本体2とアーム4との接続部5にドローン本体2の揺動によるアーム4への揺動を緩和する揺動緩和手段6を備えるドローン測定装置1。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドローン本体と、被測定物に接触してその特性を測定するセンサーと、前記センサーを先端側で屈曲可能に支持し、前記ドローン本体と後端側で接続されるアームと、を有するドローン測定装置であって、前記ドローン本体と前記アームとの接続部に前記ドローン本体の揺動による前記アームへの揺動を緩和する揺動緩和手段を備えるドローン測定装置。
【請求項2】
前記揺動緩和手段が、前記ドローン本体と前記アームとの接続部に弾性体を挟み込み、前記弾性体を介して一軸固定手段で固定することを特徴とする請求項1に記載のドローン測定装置。
【請求項3】
前記弾性体が、ゴム製であることを特徴とする請求項2に記載のドローン測定装置。
【請求項4】
前記揺動緩和手段が、前記ドローン本体に取り付けられる本体側プレートと前記アームを取り付けるアーム側プレートとを備え、前記本体側プレートと前記アーム側プレートとの間に弾性体を挟み込み、前記弾性体を介して一軸固定手段で固定することを特徴とする請求項1又は3に記載のドローン測定装置。
【請求項5】
前記一軸固定手段が、ボルトとナットであることを特徴とする請求項2又は3に記載のドローン測定装置。
【請求項6】
前記一軸固定手段が、ボルトとナットであることを特徴とする請求項4に記載のドローン測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサーを備えたドローンを用いて、構造物の壁面等の特性を測定するドローン測定装置に関し、特に被測定物にセンサーを接触させて特性を測定するドローン測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ドローンを用いて煙突やタンク等の被測定物の特性を測定するには、被測定物の測定ポイントとする壁面にドローンを接近させ、センサー部を壁面に押し当てて、板厚等の特性を測定する必要がある。
【0003】
特許文献1には、構造物の壁面を検査する構造物検査装置であって、無線により操縦される飛行体と、構造物の壁面に近接して壁面の検査をするセンサーを有するセンサー部と、飛行体とセンサー部とを連結する連結部とを備え、連結部は伸縮可能、かつ、伸張方向に付勢されるように設けられ、センサー部は、構造物の壁面に転接する少なくとも3輪の車輪を備えるとともに、連結部に対して2軸方向に揺動可能に設けられていることを特徴とする構造物検査装置が開示されている。
【0004】
これにより、センサー部が2軸方向に揺動可能に設けられていることによって、車輪を測定対象の壁面に適切に押しつけることが可能となり、飛行体の位置や姿勢の自由度を高くして、飛行体の操縦を容易にしたり、計測精度を向上させたりすることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-123182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的にドローンは前進の場合には、後方側のロータの回転数を上げて、10°程度前方が低く傾いた姿勢で進行し、また被測定物の壁面に接触して被測定物の特性を測定するセンサーの場合は、センサーが測定中に壁面から離れないよう常に前方に押圧する必要があり、ドローンは、10°以下の角度で前方が低く傾いた姿勢で測定をすることになる。
【0007】
そのためセンサー部が連結部に対して2軸方向に揺動可能に設けられていることによって、センサーの測定中にドローン本体の傾きや揺れをある程度緩和することができる。
【0008】
しかしながら、ドローン本体は、測定中に風の影響や操縦者の操作によって、上下左右に揺動するため、センサーを支持するアームの先端側の2軸方向の揺動可能だけでなく、ドローン本体とアームの後端側で接続される接続部においてもドローン本体からの上下左右の揺動をできるだけ緩和する方策が望まれていた。
【0009】
本発明は、上記の点に鑑み、センサーをアームの先端側で屈曲可能に支持し、ドローン本体とアームの後端側で接続される接続部には、ドローン本体の揺動によるアームへの揺動を緩和する揺動緩和手段を備えるドローン測定装置を提供することを目的とする。これにより被測定物の特性を測定する際にアームの先端側のセンサーが被測定物の壁面と正対して接触でき、更にアームの後端側のドローン本体との接続部にはアームへのドローン本体からの揺動を緩和する揺動緩和手段を設けるため、ドローン本体からの上下左右の揺動を緩和することができ、測定の際のセンサーの測定精度が向上する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ドローン本体と、被測定物に接触してその特性を測定するセンサーと、前記センサーを先端側で屈曲可能に支持し、前記ドローン本体に後端側で接続されるアームと、を有するドローン測定装置であって、前記ドローン本体と前記アームとの接続部に前記ドローン本体の揺動による前記アームへの揺動を緩和する揺動緩和手段を備えることを特徴とする。
【0011】
このような構成により、被測定物に接触してその特性を測定するセンサーが測定中に、ドローン本体が風などの外因で、上下左右方向に揺動しても、アームへの揺動が緩和され、アームの先端側で屈曲可能に支持されているセンサーへの影響も小さくなる。
【0012】
また、本発明において好ましくは、前記揺動緩和手段が、前記ドローン本体と前記アームとの接続部に弾性体を挟み込み、前記弾性体を介して一軸固定手段で固定することを特徴とする。
【0013】
ドローン本体とアームとの間に弾性体を挟み込み、前記弾性体を介して一軸固定手段で固定するため、弾性体がドローン本体の上下左右方向の揺動を緩和することができる。
【0014】
また、本発明において好ましくは、弾性体が、ゴム製であることを特徴とする。
【0015】
弾性体が、特殊な材質でなく、一般的な材質のゴム製であるので容易に適用が可能である。
【0016】
また、本発明において好ましくは、前記揺動緩和手段が、前記ドローン本体に取り付けられる本体側プレートと前記アームを取り付けるアーム側プレートとを備え、前記本体側プレートと前記アーム側プレートとの間に弾性体を挟み込み、前記弾性体を介して一軸固定手段で固定することを特徴とする。
【0017】
揺動緩和手段が、ドローン本体に取り付けられる本体側プレートとアームを取り付けるアーム側プレートとを備え、本体側プレートとアーム側プレートとの間に弾性体を挟み込み、弾性体を介して一軸固定手段で固定するため、弾性体が、両プレート間に挟まれ、ドローン本体の上下左右の揺動からアームへの揺動を更に緩和する効果を奏する。
【0018】
また、本発明において好ましくは、前記一軸固定手段が、ボルトとナットであることを特徴とする。
【0019】
一軸固定手段が、ボルトとナットであれば、簡易に本構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のドローン測定装置によれば、センサーを支持するアームの先端側が屈曲可能だけでなく、ドローン本体に後端側で接続されるアームの接続部においてもドローン本体からの上下左右の揺動を緩和する緩和手段を備えるため、風の影響や操縦者の操作によって上下左右に揺動するドローン本体からのアームへの揺動を緩和することができ、センサー部を被測定物の壁面に押し当てて、被測定物の板厚等の特性を測定するセンサーの測定精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係るドローン測定装置の平面図である。
図2図2は、本発明の第1の実施形態に係るドローン測定装置の正面図である。
図3図3は、本発明の第1の実施形態に係るドローン測定装置の左側面図である。
図4図4は、本発明のアーム先端側の構造の説明図であり、図4(a)は、アーム先端側の平面図、図4(b)は、図4(a)のA-A線断面図である。
図5図5は、本発明のアーム後端側の揺動緩和手段の説明図であり、図5(a)は、ドローン本体の正面図、図5(b)はドローン本体の底面図、図5(c)は、図5(b)のB-B線断面図である。
図6図6は、揺動緩和手段の第2の実施形態に係る説明図であり、図6(a)は、ドローン本体の正面図、図6(b)はドローン本体の底面図、図6(c)は、図6(b)のC-C線断面図である。
図7図7は、揺動緩和手段の第3の実施形態に係る説明図であり、図7(a)は、ドローン本体の正面図、図7(b)はドローン本体の底面図、図7(c)は、図7(b)のD-D線断面図、図7(d)は、図7(b)のE-E線断面図である。
図8図8は、揺動緩和手段の第4の実施形態に係る説明図であり、図8(a)は、ドローン本体の正面図、図8(b)はドローン本体の底面図である。
図9図9は、揺動緩和手段の第5の実施形態に係るドローン本体の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
【0023】
<第1の実施形態>
図1図2及び図3は、本発明の第1の実施形態に係るドローン測定装置の平面図、正面図及び左側面図である。
【0024】
第1の実施形態では、ドローン測定装置1は、ドローン本体2と、被測定物に接触してその特性を測定するセンサー3と、センサー3を先端側で屈曲可能に支持し、ドローン本体2と後端側で接続されるアーム4と、を有し、ドローン本体2とアーム4との接続部5にドローン本体2の揺動によるアーム4への揺動を緩和する揺動緩和手段6を備えている。
【0025】
本実施形態のドローン本体2は、クワッドX字型のフレーム21に4つのモータ22A、22B、22C、22Dが取り付けられており、それぞれ2枚羽の4つのロータ23A、23B、23C、23Dを回転駆動する。各ロータの回転により揚力を生ずるが、隣り合うロータはお互いに逆回転になるようにして、ドローン本体2に生ずる回転モーメントを打ち消し合うようになっている。また、各ロータが、障害物に直接接触しないように、各ロータ部分を覆って保護するガードワイヤ25が各フレーム21上に設けられたガードワイヤ固定部で固定される。なお、図示はしないが、ドローン本体2には、バッテリ、飛行制御装置、無線送受信装置が組み込まれており、飛行制御装置により、各モータの駆動状態を制御して、ドローンの姿勢や移動方向、移動速度等を制御する。また無線送受信装置により、操縦者の送信機による飛行指示の受信及びモニターへの撮像装置7の画像転送等を行う。
【0026】
ドローン本体2が、前進(撮像装置7のある側)する場合には、前側のモータ22A、22Bの回転数より後側のモータ22C、22Dの回転数を上げて、水平方向の移動速度に対応し、10°程度まで前方が低く傾いた姿勢で水平方向に推力を得て進行する。
【0027】
本実施形態のセンサー3は、被測定物に接触してその特性を評価するセンサーであり、超音波板厚計等である。
【0028】
撮像装置7は、ドローン本体2の前側に取り付けられるFPV(First Person View)の画像を得ることのできるカメラであり、被測定物の壁面の状態の観察や被測定物とセンサー3との接触状態の観察等を行う。
【0029】
距離計測計8は、ドローン本体2の上部に取り付けられ、被測定物までの距離を計測するものであり、超音波センサー、赤外線センサー、レーザーセンサー等からなる。
【0030】
被測定物の壁面に接触して被測定物の特性を測定するセンサー3の場合、センサー3が測定中に壁面から離れないよう常に前方に押圧する必要があり、ドローン本体2は、10°以下の角度で前方が低く傾いた姿勢で測定をすることになる。そのため被測定物の特性を測定するセンサー3を先端側で屈曲可能に支持するアーム4によって、傾きを補償してセンサー3が被測定物の壁面に正対して接触することを可能にする。また、センサー3を先端側で屈曲可能に支持するアーム4は、ドローン本体2の前後の傾きばかりでなく、ドローン本体2の上下左右の傾きも補償してセンサー3が被測定物の壁面に正対して接触することを可能にする。
【0031】
図4は、本発明のアーム先端側の構造の説明図であり、図4(a)は、アーム先端側の平面図、図4(b)は、図4(a)のA-A線断面図である。本発明のアーム4は、ドローン本体2から前方に延び、センサー3を屈曲可能に支持する特徴を有する。本実施形態では、アーム4は、センサー3として超音波板厚計31を保持するセンサーホルダー44を取り付ける前アーム41と一端が前アーム41と屈曲用バネ46で連結され、他端がドローン本体2に取り付けられる後アーム42から構成されている。屈曲用バネ46はバネコイルが密に巻かれているので、前アーム41はこの屈曲用バネ46により屈曲可能に動くことができる。更に、前アーム41には、超音波板厚計31を保護し、被測定物の壁面に正対して接触するセンサーカバー43が取り付けられ、センサーカバー43は、バネコイルが疎に巻かれている前後用バネ45で前側に押されている。なお、アーム4は内部が中空であり、図示していないが、中空部には、センサー3との電気信号配線や、超音波板厚計31の場合は、超音波伝達媒体供給用の配管等も通っている。
【0032】
本実施形態のアーム構成により、アーム4の方向、即ちセンサー3の接触方向が、当初、被測定物の壁面に正対していなくても、被測定物の壁面にセンサー3が近づくと、前アーム41のセンサーカバー43が被測定物の壁面に正対して接触するように屈曲用バネ46が屈曲し、ドローン本体2からの押圧を受けて、その後センサーカバー43は前後用バネ45を押しながら後退して、最終的にはセンサー3が被測定物の壁面に直接正対して接触し、被測定物の特性を測定できるようになる。なお、センサー3の接触面が大きな場合は、センサーカバー43と前後用バネ45が無くても屈曲用バネ46のみで、センサー3は被測定物の壁面に正対して接触することができる。
【0033】
本実施形態では、センサー3を屈曲可能に支持するアーム4の機構として、屈曲用バネ46を用いたが、これに限らず、屈曲用バネ46に代わり、高弾性を示すゴム等を用いても良い。
【0034】
また、前アーム41及び後アーム42には、ドローン本体2の外殻やフレーム21と同様に軽量、かつ強度も要求されるため、炭素繊維強化プラスチック等の素材が好適である。
【0035】
ドローン本体2とアーム4との接続部5に備えられるドローン本体2の揺動によるアーム4への揺動を緩和する揺動緩和手段6について、以下説明する。
【0036】
図5は、本発明のアーム後端側の揺動緩和手段の説明図であり、図5(a)は、ドローン本体の正面図、図5(b)はドローン本体の底面図、図5(c)は、図5(b)のB-B線断面図である。なお、図5(a)、図5(b)では、揺動緩和手段6を説明するために、ドローン本体2からフレーム21と脚部24の図示を省略している。
【0037】
本実施形態では、揺動緩和手段6は、ドローン本体2とアーム4との接続部5に弾性体61を挟み込み、弾性体61を介して一軸固定手段64で固定することを特徴としている。具体的には、ドローン本体2の底部とアーム4の後端側との間に弾性体61であるゴム製の円盤を挟み込み、アーム4を固定するアーム接続部品643の上から、ボルト641がゴム製の円盤を介して、ドローン本体2の底面に設けられたナット642と固定される。アーム接続部品643は、金属又はプラスチックからなり、アーム4をゴム製の円盤上に固定する。
【0038】
本実施形態では、アーム4が直接、弾性体61であるゴム製の円盤に接するため、特に上下方向の揺動を緩和することができる。センサー3が測定中に、ドローン本体2が上方向に揺動するとアーム4のドローン本体2に対する角度は開き気味になり、アーム4が弾性体61の後方を圧縮し、逆の反発力を受け、アーム4はドローン本体2との角度を元に戻すように作用する。逆にドローン本体2が下方向に揺動するとアーム4のドローン本体2に対する角度が閉じ気味になり、アーム4は弾性体61の前方を圧縮し、逆の反発力を受け、アーム4はドローン本体2との角度を元に戻すように作用する。弾性体61の粘弾性効果のエネルギー吸収作用により、ドローン本体2の揺動によるアーム4への揺動を緩和することができる。
【0039】
<第2の実施形態>
図6は、揺動緩和手段の第2の実施形態に係る説明図であり、ドローン本体の正面図を図6(a)に、ドローン本体の底面図を図6(b)に、図6(b)のC-C線断面図を図6(c)に示す。なお、図6(a)、図6(b)では、揺動緩和手段6を説明するために、ドローン本体2からフレーム21と脚部24の図示を省略している。
【0040】
本実施形態では、揺動緩和手段6は、ドローン本体2とアーム接続部品643との間に弾性体61を挟み込み、弾性体61を介して一軸固定手段64で固定することを特徴としている。具体的には、ドローン本体2の底部とアーム接続部品643との間に弾性体61であるゴム製の直方体を挟み込む。アーム4の後端側はアーム接続部品643を貫通して、アーム接続部品643に固定されている。アーム接続部品643の上からボルト641が、弾性体61であるゴム製の直方体を介して、ドローン本体2の底面に設けられたナット642と固定される。アーム接続部品643は、金属又はプラスチックからなる。
【0041】
本実施形態では、アーム接続部品643が直接、弾性体61であるゴム製の直方体に接するため、アーム接続部品643が、弾性体61によるドローン本体2の揺動の緩和を受けるが、間接的にアーム接続部品643に固定されているアーム4も揺動が緩和される。本実施形態の場合は、上下方向の揺動に加え、左右方向のねじれの揺動も緩和することができる。例えば、センサー3が測定中に、ドローン本体2が上方向に揺動するとアーム4のドローン本体2に対する角度は開き気味になり、アーム4を固定しているアーム接続部品643の後方がドローン本体2に近づくように傾き、弾性体61の後方を圧縮し、逆の反発力を受け、アーム接続部品643はドローン本体2との角度を元に戻すように作用して、最終的にはアーム4も揺動が緩和される。逆にドローン本体2が下方向に揺動するとアーム4のドローン本体2に対する角度が閉じ気味になり、アーム4を固定しているアーム接続部品643の前方がドローン本体2に近づくように傾き、弾性体61の前方を圧縮し、逆の反発力を受け、アーム接続部品643はドローン本体2との角度を元に戻すように作用して、最終的にはアーム4への揺動が緩和される。
【0042】
また例えば、センサー3が測定中に、ドローン本体2が右方向のねじれ揺動すると、アーム4を固定しているアーム接続部品643の右側端がドローン本体2に近づくように傾き、弾性体61の右側を圧縮し、逆の反発力を受け、アーム接続部品643はドローン本体2とのねじれの角度を元に戻すように作用して、最終的にはアーム4も右方向のねじれ揺動が緩和される。ドローン本体2が左方向のねじれ揺動する場合も同様であり、本実施形態の場合には、ドローン本体2の上下方向の揺動に加え、左右方向のねじれ揺動に対してアーム4への揺動緩和も可能である。
【0043】
<第3の実施形態>
図7は、揺動緩和手段の第3の実施形態に係る説明図であり、図7(a)は、ドローン本体の正面図、図7(b)はドローン本体の底面図、図7(c)は、図7(b)のD-D線断面図、図7(d)は、図7(b)のE-E線断面図である。なお、図7(a)、図7(b)では、揺動緩和手段6を説明するために、ドローン本体2からフレーム21と脚部24の図示を省略している。
【0044】
第3の実施形態では、揺動緩和手段6が、ドローン本体2に取り付けられる本体側プレート62とアーム4を取り付けるアーム側プレート63とを備え、本体側プレート62とアーム側プレート63との間に弾性体61を挟み込み、弾性体61を介して、一軸固定手段64で固定することを特徴とする。
【0045】
本実施形態では、本体側プレート62は、ドローン本体2の底面の四隅にねじ止めされており、アーム側プレート63との間に4つのゴム製の弾性体61を挟み込んで、一軸固定手段64であるボルト641とナット642で固定されている。アーム4の後端側は、アーム側プレート63にアーム接続部品643により取り付けられている。本実施形態の揺動緩和の効果は、本体側プレート62とアーム側プレート63の間に複数のゴム製の弾性体61を間隔を離して、それぞれを一軸固定手段64で固定しているため、弾性体61によるドローン本体2からの上下方向の揺動に加え、左右方向のねじれの揺動に対してもアーム4への揺動緩和効果が大きい点にある。
【0046】
<第4の実施形態>
図8は、揺動緩和手段の第4の実施形態に係る説明図であり、図8(a)は、ドローン本体の正面図、図8(b)はドローン本体の底面図である。なお、図8(a)、図8(b)では、揺動緩和手段6を説明するために、ドローン本体2からフレーム21と脚部24の図示を省略している。
【0047】
第3の実施形態では、正面視で本体側プレート62とアーム側プレート63は、どちらもドローン本体2の底面に平行な平面形状で、その間に弾性体61を挟み込む形態であったが、第4の実施形態では、本体側プレート62とアーム側プレート63は、どちらもドローン本体2の前方向で、斜め上に持ち上がった形状になっている。本体側プレート62は、ドローン本体2の前側と底面側でドローン本体2にねじ止めされている。アーム側プレート63は、本体側プレート62とドローン本体2の前方向で斜め上に持ち上がった部分とドローン本体2の底面に平行な部分に複数のゴム製の弾性体61を挟み込んで、一軸固定手段64であるボルト641とナット642で固定されている。斜め上に持ち上がった部分の揺動緩和手段6がドローン本体2の前後方向の揺動緩和に、より効果的であるため、本実施形態はドローン本体2の上下方向の揺動に加え、前後方向の揺動に対してもアーム側プレート63にアーム接続部品643により取り付けられているアーム4への揺動緩和効果がある。
【0048】
<第5の実施形態>
図9は、揺動緩和手段の第5の実施形態に係るドローン本体の正面図である。揺動緩和手段6を説明するために、ドローン本体2からフレーム21と脚部24の図示を省略している。
【0049】
第4の実施形態では、正面視で本体側プレート62とアーム側プレート63は、どちらもドローン本体2の前方向で、斜め上に持ち上がった形状であったが、第5の実施形態では、本体側プレート62とアーム側プレート63は、どちらもドローン本体2の前後の両方向で、斜め上に持ち上がった形状になっている。この斜め上に持ち上がった部分にも、複数のゴム製の弾性体61を挟み込んで、それぞれを一軸固定手段64であるボルト641とナット642で固定している。これにより、ドローン本体2の上下方向の揺動に加え、前後方向の揺動に対してもアーム4への揺動緩和効果がある。
【0050】
更に、同じように本体側プレート62とアーム側プレート63を左右方向にも、斜め上に持ち上がった形状にして、この持ち上がった部分にも、複数のゴム製の弾性体61を挟み込んで、それぞれを一軸固定手段64で固定すれば、更にドローン本体2の左右方向の揺動に対してもアーム4への揺動緩和効果がある。
【0051】
本発明のドローン測定装置によれば、センサーを支持するアームの先端側が屈曲可能だけでなく、ドローン本体に後端側で接続されるアームの接続部においてもドローン本体からの上下左右の揺動を緩和する緩和手段を備えるため、風の影響や操縦者の操作によって上下左右に揺動するドローン本体からのアームへの揺動を緩和することができ、センサー部を被測定物の壁面に押し当てて、被測定物の板厚等の特性を測定するセンサーの測定精度が向上する。
【0052】
実施形態として揺動緩和手段について説明したが、弾性体や一軸固定手段については具体的には種々の選択手段があり、上記に記載したものに限られるものではなく、同様の作用効果を奏するものも含まれる。
【0053】
以上、本発明のドローン測定装置について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で、適宜その構成を変更することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 ドローン測定装置
2 ドローン本体
3 センサー
4 アーム
5 接続部
6 揺動緩和手段
7 撮像装置
8 距離計測計
21 フレーム
22A、22B、22C、22D モータ
23A、23B、23C、23D ロータ
24 脚部
25 ガードワイヤ
31 超音波板厚計
41 前アーム
42 後アーム
43 センサーカバー
44 センサーホルダー
45 前後用バネ
46 屈曲用バネ
61 弾性体
62 本体側プレート
63 アーム側プレート
64 一軸固定手段
641 ボルト
642 ナット
643 アーム接続部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9