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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177958
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】送風機、送風機付衣服
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/34 20060101AFI20231207BHJP
   F04D 29/64 20060101ALI20231207BHJP
   A41D 13/002 20060101ALI20231207BHJP
   A41D 13/005 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
F04D29/34 N
F04D29/64 C
F04D29/34 J
A41D13/002 105
A41D13/005 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090940
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】516311674
【氏名又は名称】株式会社チロル
(74)【代理人】
【識別番号】100127764
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 泰州
(72)【発明者】
【氏名】穐吉 俊行
【テーマコード(参考)】
3B011
3B211
3H130
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AB01
3B011AC02
3B011AC18
3B211AA01
3B211AB01
3B211AC02
3B211AC18
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC27
3H130CB07
3H130DD03Z
3H130EA04C
3H130EA04D
3H130EA06C
3H130EA06D
3H130EA07C
3H130EA07D
3H130EB01C
3H130EB01D
(57)【要約】
【課題】本発明は、羽根車の安定的な回転を実現し、糸くずなどの巻き付きを防止する新規な送風機、及び前記送風機を備えた送風機付衣服を提供することを目的とする。
【解決手段】 衣服本体(W)内に外気を送り込むための送風機1において、モータ2と羽根車3との連結につき、前記モータ2の回転軸21に取り付けられた筒体5の天井面52と前記羽根車3のボス31の内側の端面とを面接触させた状態で、前記ボス31の端面に設けられた貫通孔33を通じて前記筒体5に設けられた雄ネジ部53又は雌ネジ部54に対するネジ6の螺合によってなす仕組みとする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、前記モータの回転に応じて回転する羽根車と、前記モータ及び前記羽根車の周囲を囲うガードと、を具備してなり、衣服本体に取り付けられて前記衣服本体内に外気を送り込むための送風機であって、
更に、筒状の周壁と前記周壁の上端を閉じる天井面とを具備する筒体が、前記モータに覆い被さるようにして前記モータの回転軸に設けられてなり、
前記モータと前記羽根車との連結につき、前記筒体の天井面と前記羽根車のボス内側の端面とを面接触させた状態で、前記ボスの端面に設けられた貫通孔を通じて前記筒体に設けられた雌ネジ部又は雄ネジ部に対するネジの螺合によってなす仕組みとなされたことを特徴とする送風機。
【請求項2】
請求項1に記載の送風機において、
前記筒体が前記ボス内に嵌合する寸法となされた送風機。
【請求項3】
請求項1に記載の送風機において、
前記モータと前記羽根車との連結時、前記筒体に設けられた突起と前記ボスに設けられた受部とが嵌合する仕組みとなされた送風機。
【請求項4】
請求項1に記載の送風機において、
前記モータがブラシレスモータとなされた送風機。
【請求項5】
請求項1に記載の送風機において、
前記筒体の周壁が前記モータの側壁部を兼ねる送風機。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の送風機が衣服本体に取り付けられたことを特徴とする送風機付衣服。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衣服本体に取り付けられて前記衣服本体内に外気を送り込むための送風機、及び、前記送風機を備えた送風機付衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、作業服等の衣服(以下、「衣服本体」と称する。)内に外気を供給することによって、前記衣服本体内を冷却する送風機付衣服(冷却衣服)が実用化されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019‐214948号公報
【特許文献2】登録実用新案第3228173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の送風機付衣服は、衣服本体の適宜箇所に開けられた穴に送風機を装着し、前記送風機を介して衣服本体内に外気を送り込む仕組みとなされている。そして、前記送風機としては、複数枚の羽根を有する羽根車(ファン)をモータ駆動によって回転させるものが一般的であり、安全のために前記羽根車(及びモータ)の周囲がガードにて囲まれた構造となされている。
【0005】
そして、前記送風機付衣服は、前記羽根車の回転によって発生させた空気の流れを、前記ガードを通じて衣服本体内に供給するものであることから、外気中に含まれる埃を前記ガード内に貯めやすいものであった。そのため、前記送風機付衣服を一定期間使用した後には、前記送風機における前記ガード内の埃を取り除くメンテナンス作業が必要となる。
【0006】
この点につき前記特許文献1に開示された送風機(衣服内冷却用送風機)では、図10に示すように、モータ2の回転軸21に取り付けられた雄部材7と羽根車3のボス31の裏面に設けられた雌部(収容室)35との嵌合、並びに、前記ボス31の中央を貫通する貫通孔33を通じて前記雄部材7と螺合させたネジ6によって前記モータ2と前記羽根車3とが連結される手段を提案している。
【0007】
又、前記特許文献2に開示された送風機(衣服内冷却用送風機)では、図11に示すように、モータ2の回転軸21に取り付けられた雄部材(雄ネジ部)7と羽根車3のボス31の中央部に設けられた雌部(挿通孔)33との嵌合、並びに、前記雄部材7に螺合させたネジ6によって前記モータ2と前記羽根車3とが連結される手段を提案している。
【0008】
即ち、これらの連結手段を採用すれば、羽根車3をモータ2から容易に取り外すことができるようになり、前記羽根車3の羽根32の裏側に付着した埃を取り除くことも容易になる。
【0009】
しかしながら、前記特許文献1や前記特許文献2に開示されたモータ2と羽根車3との連結手段では、いずれもモータ2と羽根車3との接点が小さいため固定強度が弱く、羽根車3の回転が不安定になることがあった。
【0010】
又、糸くずなどが回転軸21や雄部材7に巻き付き易く、羽根車3の回転が阻害される場合もあった。
【0011】
本発明は前記技術的課題に鑑みて開発されたものであり、羽根車の安定的な回転を実現し、糸くずなどの巻き付きを防止する新規な送風機、及び前記送風機を備えた送風機付衣服を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記技術的課題を解決する本発明の送風機は、モータと、前記モータの回転に応じて回転する羽根車と、前記モータ及び前記羽根車の周囲を囲うガードと、を具備してなり、衣服本体に取り付けられて前記衣服本体内に外気を送り込むための送風機であって、更に、筒状の周壁と前記周壁の上端を閉じる天井面とを具備する筒体が、前記モータに覆い被さるようにして前記モータの回転軸に設けられてなり、前記モータと前記羽根車との連結につき、前記筒体の天井面と前記羽根車のボス内側の端面とを面接触させた状態で、前記ボスの端面に設けられた貫通孔を通じて前記筒体に設けられた雌ネジ部又は雄ネジ部に対するネジの螺合によってなす仕組みとなされたことを特徴とする(以下、「本発明送風機」と称する。)。
【0013】
前記本発明送風機においては、前記筒体が前記ボス内に嵌合する寸法となされたものが好ましい態様となる。
【0014】
前記本発明送風機においては、前記モータと前記羽根車との連結時、前記筒体の天井面に設けられた突起と前記ボスの端面に設けられた受部とが嵌合する仕組みとなされたものが好ましい態様となる。
【0015】
前記本発明送風機においては、前記モータがブラシレスモータとなされたものが好ましい態様となる。
【0016】
前記本発明送風機においては、前記筒体の周壁が前記モータの側壁部を兼ねるものが好ましい態様となる。
【0017】
前記技術的課題を解決する本発明の送風機付衣服は、前記本発明送風機が衣服本体に取り付けられたことを特徴とする(以下、「本発明衣服」と称する。)。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、羽根車の安定的な回転を実現し、糸くずなどの巻き付きを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明送風機の一実施形態を示す斜視図(a)と、断面図(b)である。
図2図2は、前記本発明送風機の羽根車を正面側から示す斜視図(a)と、前記羽根車を裏面側から示すと共に一部拡大して示す斜視図(b)である。
図3図3は、前記本発明送風機のモータに設けられた筒体を示す斜視図(a)と、ガード本体に固定された前記モータに設けられた前記筒体を一部拡大して示す断面図である。
図4図4は、前記本発明送風機のネジを正面側から示す斜視図(a)と、前記ネジを裏面側から示す斜視図(b)である。
図5図5は、前記モータと前記羽根車の連結を示す分解斜視図である。
図6図6は、他の実施形態に係る本発明送風機のモータと筒体を示す斜視図(a)と、ガード本体に固定されたモータに設けられた筒体を一部拡大して示す断面図である。
図7図7は、更に他の実施形態に係る本発明送風機のモータと羽根車の連結を示す分解斜視図である。
図8図8は、又更に他の実施形態に係る本発明送風機のモータと羽根車の連結を示す分解斜視図である。
図9図9は、前記本発明送風機が取り付けられた本発明衣服の一実施例を示す正面図である。
図10図10は、従来のモータと羽根車との連結手段を示す分解斜視図である。
図11図11は、従来のモータと羽根車との他の連結手段を一部拡大して示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0021】
<本発明送風機1>
図1に本発明送風機1の一実施形態を示す。前記本発明送風機1は、「モータ(2)」と、前記モータ2の回転軸21に連結された「羽根車(3)」と、前記モータ2及び前記羽根車3の周囲を囲う「ガード(4)」と、を具備する。
【0022】
‐モータ2‐
前記モータ2は、ローレンツ力(磁場と電流の相互作用)によって発生する力を利用して回転運動を出力する機械要素である。本実施形態においては、前記モータ2として、コネクタ(C)に接続されたケーブル(図示せず)を介して供給される電力により回転軸21を回転させる仕組みのもの(市販のブラシレスモータ)を用いた。なお、前記モータ2の回転軸21には、後述する「筒体(5)」が取り付けられている。
【0023】
‐羽根車3‐
前記羽根車3は、ボス31と、前記ボス31の周囲に設けられた複数枚の羽根32と、を具備する。前記ボス31は前記羽根車3の回転中心をなす部材であり、前記羽根32は前記ボス31の回転に伴って回転し、一定方向に向かう空気の流れを発生させる役割を担う。図2に示すように、本実施形態においては前記羽根車3として、中空円筒状のボス31を中心として放射状に配された七枚の烏帽子型の羽根32を具備してなる七枚羽根ロータを用いた。又、前記羽根車3には、前記ボス31の中心部を貫通する貫通孔33が設けられている。
【0024】
‐ガード4‐
前記ガード4は、前記モータ2及び前記羽根車3の周囲を囲うことによって、前記本発明送風機1の使用中の安全性を確保するものである。又、前記ガード4は前記羽根車3の回転によって発生させた空気の流れを通過させ得る構造をなす必要があることから、少なくとも前記羽根車3の羽根32の表裏面に臨む部分には、メッシュ状、網状、或いは格子状などの開き目が設けられる。図1に示すように、本実施形態においては前記ガード4につき、ドーム状のガード本体41、及び、前記ガード本体41の開口部分を覆うガード蓋42の二部材とし、前記ガード本体41と前記ガード蓋42とを螺合させることによって、前記モータ2及び前記羽根車3の周囲を囲う空間が形成される構造とした。なお、前記モータ2は、前記ガード本体41の中央に固定されている。
【0025】
‐筒体5‐
図3に示すように、前記筒体5は筒状の周壁51と前記周壁51の上端を閉じる天井面52とを具備する。又、前記筒体5は前記モータ2に覆い被さるようにして前記モータ2の回転軸21に設けられる。本実施形態においては、前記筒体5として円筒状の周壁51と円盤状の天井面52とを具備してなり、前記天井面52の中心に雄ネジ部53が立設されたものを用いた。なお、前記モータ2に対する前記筒体5の固定は、前記天井面52を通じて前記雄ネジ部53内に達する凹穴に前記モータ2の回転軸21を押し込むことによってなされる。又、前記筒体5は前記筒体5の周壁51は前記モータ2の側壁部を兼ねており、前記モータ2を駆動させると、前記モータ2の側壁部をなす前記筒体5の周壁51が前記モータ2の周囲を周回する。
【0026】
そして、前記本発明送風機1において前記モータ2と前記羽根車3との連結は、前記筒体5の天井面52と前記羽根車3のボス31内側の端面とを面接触させた状態で、前記ボス31の端面に設けられた貫通孔33を通じて前記筒体5に設けられた雄ネジ部53に対する「ネジ(6)」の螺合によってなされる。
【0027】
‐ネジ6‐
前記ネジ6は、前記モータ2と前記羽根車3との連結状態を維持する役割を担う。図4に示すように、本実施形態においては前記ネジ6として、前記雄ネジ部53と螺合し得る雌ネジ部61を有してなる雌ネジを用いた。
【0028】
前記構成を有する本発明送風機1を構築するにあたっては、図5に示すように、前記筒体5を前記羽根車3のボス31内に挿入し、前記筒体5の天井面52と前記ボス31の内側の端面とを面接触させる。この際、前記筒体5に設けられた雄ネジ部53は前記ボス31に設けられた貫通孔33を通じて露出させる。この状態で前記ネジ6を前記雄ネジ部53に締結すれば、前記筒体5の天井面52と前記ボスの内側の端面との面接触状態が維持されて前記モータ2と前記羽根車3とが連結する。最後に、前記モータ2が固定されている前記ガード本体41に前記ガード蓋42を螺合させれば、前記モータ2及び前記羽根車3の周囲を囲う空間が形成され、もって前記本発明送風機1が構築される。
【0029】
そして、前記本発明送風機1では、前記モータ2と前記羽根車3との連結の際、前記モータ2に覆い被さるように設けられた前記筒体5の天井面52と前記ボス31の内側の端面とを広範囲で面接触させているから、前記モータ2と前記羽根車3との連結状態が安定し、もって前記羽根車3の安定的な回転が実現される。特に本実施形態のように、前記筒体5が前記ボス31内に嵌合する寸法となされた場合、即ち、前記筒体5の周壁51と前記ボスの内周壁とが面接触するようになされた場合、前記モータ2と前記羽根車3との連結状態がより一層安定する。
【0030】
又、本実施形態に係る前記本発明送風機1では、前記モータ2の周囲が前記筒体5の周壁51によって覆われているため、糸くずなどが前記モータ2の回転軸21に巻き付くことを防止することができる。
【0031】
ところで、本実施形態では前記モータ2につきブラシレスモータを用いているが、本発明においては前記モータ2の駆動原理は限定されない。前記モータ2の他の例としてはブラシ付きDCモータなどを挙げることができる。
【0032】
又、本実施形態では前記筒体5の周壁51が前記モータ2の側壁部を兼ねる構造を構築しているが、図6に示すように前記筒体5の周壁51と前記モータ2の側壁部とが独立した構造となるようにしても良い。
【0033】
更に、本実施形態では前記筒体5に雄ネジ部53が設けられていたため、前記ネジ6につき雌ネジ部61が設けられたものを用いたが、図7に示すように前記雄部材5に雌ネジ部54を設け、前記ネジ6として雄ネジ部62が設けられたものを用いても良い。
【0034】
加えて、本実施形態では前記ネジ6の締結力にて前記モータ2と前記羽根車3とを固定しているが、図8に示すように前記モータ2と前記羽根車3との連結時、前記筒体5の天井面52に設けられた突起55と前記ボス31の端面に設けられた受部34とが嵌合する仕組みとすれば、前記モータ2と前記羽根車3との連結状態がより一層安定する。
【0035】
<本発明衣服10>
図9に、前記本発明送風機1を備えた本発明衣服10を示す。前記本発明衣服10は、前記本発明送風機1が衣服本体(W)に取り付けられたものである。前記本発明衣服10は、前記本発明送風機1によって前記衣服本体(W)の外部から内部に向かう空気の流れを発生させることによって、外気を前記衣服本体(W)内に送り込み、もって、前記衣服本体(W)内を冷却するものである。本実施形態においては、前記衣服本体(W)の複数個所(二箇所)に穴をあけ、各穴に前記本発明送風機1を取り付けることによって前記本発明衣服10を構築した。なお、各本発明送風機1を駆動させるための電力については、バッテリー(B)に蓄電された電力がケーブル(L)を通じて供給される仕組みとなされている。
【0036】
なお、本発明は、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、外気を衣服本体内に供給することによって、前記衣服本体内を冷却する手段として好適に利用される。
【符号の説明】
【0038】
1 送風機(本発明送風機)
2 モータ
21 回転軸
3 羽根車
31 ボス
32 羽根
33 貫通孔
34 受部
4 ガード
5 筒体
51 周壁
52 天井面
53 雄ネジ部
54 雌ネジ部
55 突起
6 ネジ
61 雌ネジ部
62 雄ネジ
10 本発明衣服
W 衣服本体

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11