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特開2023-177963車両キーシステムおよびそれを用いた車両施錠方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177963
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】車両キーシステムおよびそれを用いた車両施錠方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 25/24 20130101AFI20231207BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20231207BHJP
   B60R 25/34 20130101ALI20231207BHJP
【FI】
B60R25/24
E05B49/00 J
B60R25/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090946
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】須澤 翔太
(72)【発明者】
【氏名】富松 一樹
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250BB08
2E250DD06
2E250FF25
2E250FF27
2E250FF36
2E250HH01
2E250JJ03
2E250JJ05
(57)【要約】
【課題】ユーザの端末が車両に残された場合でも、セキュリティを確保できる車両キーシステムおよびそれを用いた車両施錠方法を提供する。
【解決手段】車両キーシステム10は、ユーザ端末11と車両20との間で行われる通信により、車両20の施錠状態を変更する。ユーザ端末11は、車両20との通信を行う端末通信部111を有する。車両20は、ユーザ端末11との通信を行う車両通信部201と、ドア202Aと、を有する。ユーザ端末11が車両20に配置された状態で、ドア202Aが施錠状態とされたら、端末通信部111と車両通信部201との通信が停止される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末と車両との間で行われる通信により、前記車両の施錠状態を変更する車両キーシステムであり、
前記ユーザ端末は、前記車両との通信を行う端末通信部を有し、
前記車両は、前記ユーザ端末との通信を行う車両通信部と、車両開閉部と、を有し、
前記ユーザ端末が前記車両に配置された状態で、前記車両開閉部を施錠状態とする操作が行われたら、前記端末通信部と前記車両通信部との通信が停止されることを特徴とする車両キーシステム。
【請求項2】
前記ユーザ端末は、更に、ユーザの操作を受ける端末操作部を有し、
前記車両は、更に、前記車両開閉部の状態を変更する施錠状態変更部を有し、
前記ユーザが、前記端末操作部を操作することにより施錠要求操作を行い、且つ、前記施錠状態変更部を操作することで前記車両開閉部を施錠する施錠操作を行えば、前記端末通信部と前記車両通信部との通信を停止することを特徴とする請求項1に記載の車両キーシステム。
【請求項3】
前記車両は、車両演算制御部を更に有し、
前記車両演算制御部は、前記ユーザによる前記施錠状態変更部の操作に基づいて、前記端末通信部と前記車両通信部との通信を停止した後に、前記車両開閉部を施錠することを特徴とする請求項2に記載の車両キーシステム。
【請求項4】
前記車両は、車両演算制御部と、車体に駆動力を与える駆動部と、を更に具備し、
前記車両演算制御部は、前記ユーザの操作により、前記車両開閉部が解錠状態になり、且つ、前記端末通信部と前記車両通信部とが通信可能となれば、前記駆動部の運転を可能とすることを特徴とする請求項2に記載の車両キーシステム。
【請求項5】
ユーザ端末と車両との間で行われる通信により、前記車両の施錠状態を変更する車両施錠方法であり、
前記ユーザ端末は、前記車両との通信を行う端末通信部を有し、
前記車両は、前記ユーザ端末との通信を行う車両通信部と、車両開閉部と、を有し、
前記ユーザ端末が前記車両の内部に配置された状態で、前記車両開閉部を施錠状態とする操作が行われたら、前記端末通信部と前記車両通信部との通信が停止されることを特徴とする車両施錠方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両キーシステムおよびそれを用いた車両施錠方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両キーシステムとして、ユーザが携帯するキー端末と、車載通信装置との間の無線通信により、キー認証を実行して車両を施錠または開錠する電子キーシステムが広まっている。係るシステムは、スマートエントリーシステムなどとも称される。
【0003】
電子キーシステムでは、車載通信装置が、所定の応答要求信号を定期的に送信し、キー端末は、応答要求信号を受信すると、固有の識別情報を含む所定の応答信号を車載通信装置に送信する。車載通信装置は、キー端末からの応答信号を受信すると、予め登録されている識別情報と照合して電子キーの認証を行う。車載通信装置は、電子キーが認証されると、施錠状態にある車両のドアを開錠する。キー端末としては、従来からスマートキーとして知られている小型のデバイスの他に、通話機能を有するスマートフォンなどを用いることが知られている。
【0004】
一方、サーフィンや水泳などのアウトドアを楽しむユーザからは、キー端末を車内に残したまま、車両を施錠したいという要望がある。理由は、キー端末を携行したまま、アウトドアの活動を行うことは、キー端末の破損や盗難の恐れがあるため、簡単では無いからである。しかしながら、電子キーシステムは、施錠を行った後に、ユーザがキー端末を携帯して車外に持ち出すことを前提として設計されている。よって、キー端末が車室内に存在する場合、ユーザが車外からタッチセンサに接触する等の施錠動作を行っても、施錠がされない。そのため、キー端末を車内に残した状態で、暗号的に車両の施錠および解錠を行えるシステムが開発されている。係るシステムは、以下の非特許文献1に記載されている。
【0005】
また、条件に応じてキー端末の通信を一時的に停止する発明が、以下の特許文献1ないし特許文献3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011-231567号公報
【特許文献2】特開2018-178604号公報
【特許文献3】特開2021-167151号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】株式会社SUBARU LEVORG取扱説明書 172頁「暗証コード式キーレスエントリーで解錠する」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前述した各文献に記載された発明では、車両施錠時におけるセキュリティの観点から改善の余地があった。
【0009】
具体的には、ユーザが車室内にキー端末を残したまま車両を施錠して離れた場合、車両を盗難される恐れがある。即ち、第三者が窓ガラスを破壊するなどして車室内に侵入し、エンジン始動スイッチを操作すると、エンジンが始動してしまい、そのまま第三者が車両を運転することにより、車両が盗難されてしまう恐れがある。
【0010】
本発明は、このような問題点を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ユーザの端末が車両に残された場合でも、セキュリティを確保できる車両キーシステムおよびそれを用いた車両施錠方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の車両キーシステムは、ユーザ端末と車両との間で行われる通信により、前記車両の施錠状態を変更する車両キーシステムであり、前記ユーザ端末は、前記車両との通信を行う端末通信部を有し、前記車両は、前記ユーザ端末との通信を行う車両通信部と、車両開閉部と、を有し、前記ユーザ端末が前記車両に配置された状態で、前記車両開閉部を施錠状態とする操作が行われたら、前記端末通信部と前記車両通信部との通信が停止されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の車両キーシステムによれば、ユーザが意図的に車室にユーザ端末を載置して車両を施錠した場合、端末通信部と車両通信部との通信が停止される。よって、施錠時に於いて、車室内に侵入した第三者がユーザ端末を操作しても、車両を始動させることができないので、施錠時に於ける車両のセキュリティを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る車両キーシステムを示す模式図である。
図2】本発明の実施形態に係る車両キーシステムを示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る車両キーシステムを用いた施錠行程を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施形態に係る車両キーシステムを用いた解錠行程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る車両キーシステムおよびそれを用いた車両施錠方法を図面に基づき詳細に説明する。以下の説明では、同一の部材には原則的に同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。
【0015】
図1は、車両キーシステム10を示す模式図である。
【0016】
車両キーシステム10は、ユーザ端末11と車両20との間で行われる通信により、車両20の施錠状態を変更するシステムである。具体的には、車両キーシステム10は、車両20と、ユーザが携帯可能なユーザ端末11との間の近距離無線通信により、電子キー認証を行って車両20の施錠および開錠が可能なシステムである。車両キーシステム10の具体的な構成は、図2を参照して後述する。本実施形態の車両キーシステム10では、後述するように、ユーザ端末11を車室23に配置した状態で、車両20をセキュリティ高く施錠することができる。
【0017】
ユーザ端末11は、例えば、ユーザ12が所有するスマートフォンであり、車両20の施錠および解錠を行う所定のプログラムであるアプリケーションがインストールされている。
【0018】
車両20は、例えば、乗用車等である。車両20は、例えば、エンジン車両、EV(Electrical Vehicle)、HEV(Hybrid Electrical Vehicle)やPHEV(Plug-in Hybrid Electrical Vehicle)である。
【0019】
駆動部21は、車両20が走行する際に、車体22に駆動力を与える。車両20がエンジン車両である場合は、後述する駆動部21として、エンジンが採用される。車両20がEVである場合は、後述する駆動部21としてモータが採用される。車両20が、HEVまたはPHEVである場合は、後述する駆動部21としてモータおよびエンジンが採用される。
【0020】
ドア202Aは、車両開閉部202の一実施例であり、ユーザ12が車両20に乗降する際に開閉される。
【0021】
タッチセンサ205は、ドア202Aまたはその近傍に配置される。ユーザ12がタッチセンサ205に接触することで、ドア202Aの施錠または解錠をする為の操作を行うことができる。
【0022】
図2は、車両キーシステム10を示すブロック図である。前述ように、車両キーシステム10は、ユーザ端末11と車両20との間で行われる通信により、車両20の施錠状態を変更するシステムである。
【0023】
ユーザ端末11は、端末通信部111と、端末操作部112と、端末演算制御部113と、を主要にする。ユーザ端末11は、例えばスマートフォンである。
【0024】
端末通信部111は、車両20との通信を行う。端末通信部111は、具体的には、Bluetooth(登録商標)及びWi-Fiなどの近距離無線通信を実行する部位である。
【0025】
端末操作部112は、ユーザ12の操作を受ける部位であり、例えば、タッチパネルである。
【0026】
端末演算制御部113は、CPU、RAM、ROM等を有し、例えば、マイコンを主体として構成された制御回路である。
【0027】
ユーザ端末11は、音声通信等の一般的なアプリケーションソフトウェアの他に、図示しないサーバ装置からダウンロードすることで取得された、車両20の電子キー機能を備えたアプリケーションソフトウェア(以下、電子キーアプリとも称する)を装備している。電子キーアプリは、ユーザ端末11のハードウェアに含まれるマイクロコンピュータである端末演算制御部113により実行される。電子キーアプリによる設定登録により、ユーザ端末11には車両20の電子キーとして使用される固有の認証IDが付与される。電子キーアプリは、後述する車両通信部201から応答要求信号を受信した際に、車両20のドア202Aを開錠するための開錠指示信号を生成する。開錠指示信号には、例えば、この信号を生成した際の時刻情報と、電子キーの認証ID情報とが含まれている。
【0028】
車両20は、車両通信部201と、施錠状態変更部203と、車両演算制御部204と、タッチセンサ205と、駆動部21を有する。
【0029】
車両通信部201は、ユーザ端末11との通信を行う。前述したように、車両通信部201は、端末通信部111と、近距離無線通信を双方向に行う部位である。
【0030】
施錠状態変更部203は、ドア202Aの施錠状態を、施錠状態から解錠状態に、または、解錠状態から施錠状態に変更する。具体的には、施錠状態変更部203は、ユーザ12が端末操作部112を介してユーザ端末11に与えた指示操作に基づいて、車両20のドア202Aの解錠または施錠を行うアクチュエータである。ここで、施錠状態変更部203は、タッチセンサ205に対する操作、ドア202Aのドアハンドルに対する操作、または、暗証コード式キーレスエントリー機能により、施錠状態を変更する形態も含む。
【0031】
車両演算制御部204は、CPU、RAM、ROM等を有し、例えば、マイコンを主体として構成された制御回路であり、ECUと称されることもある。
【0032】
タッチセンサ205および駆動部21の構成は、前述したとおりである。
【0033】
電子キーは次のように動作する。即ち、車両20とユーザ端末11に固有の認証IDを与え、ユーザ端末11から車両通信部201に送信された認証IDと、車両通信部201に事前登録された認証IDとが一致して認証が成立すると、ユーザ端末11の手動スイッチ操作や機械式キーによる操作を行うことなく、車両20のドア202Aの開錠を実行することができる。また、開錠後、車室内に設置されたエンジンスイッチ等の操作をするのみでエンジンの始動が可能である。
【0034】
ここで、ユーザ端末11は、スマートフォンに限られず、例えば、タブレット端末、ウェアラブル端末、PDA(Personal digital assistant)など、タッチ操作可能な表示部や入力操作部を有する通信装置とすることができる。また、ユーザ端末11は、車両20に対する電子キー機能に特化した所謂スマートキー等であってもよい。
【0035】
図3および図4を参照して、前述した構成を有する車両キーシステム10を用いて車両20の施錠および解錠を行う方法を説明する。本実施形態は、例えば、サーフィン等のアウトドアアクティビティを楽しむユーザ12が、ユーザ端末11を車室23に残して車両20を施錠する場合に、適用できる。
【0036】
図3は、車両キーシステム10を用いた施錠行程を示すブロック図である。
【0037】
ステップS10では、ユーザ12が、ユーザ端末11を操作し、通信停止要求および施錠要求を行う。具体的には、ユーザ12がユーザ端末11を操作することで、ユーザ端末11の電子キーアプリを立ち上げる。その後、ユーザ12が電子キーアプリを操作することで、通信停止要求および施錠要求を行う。これにより、ユーザ端末11の電子キーアプリにおいては、通信停止要求および施錠要求の設定が終了する。通信停止要求および施錠要求を示す電気信号は、車両20の車両演算制御部204に伝送される。
【0038】
ステップS11では、ユーザ12が、ユーザ端末11を車室23に残し、降車する。具体的には、ユーザ12がサーフィン等のアクティビティを行う際に、電子機器であるユーザ端末11を携行すると、ユーザ端末11が故障する恐れがある。また、ユーザ端末11を車両20の近傍に配置すると、第三者がユーザ端末11を用いることにより、車両20が盗難される恐れがある。よって、本実施形態では、ユーザ12は、ユーザ端末11を車室23に残したまま降車する。
【0039】
ステップS12では、ユーザ12は、車両20を、解錠状態から施錠状態にするための施錠要求操作を行う。具体的には、ユーザ12は車外から、タッチセンサ205を接触操作等することで施錠要求操作を行う。施錠要求操作が行われたことを示す信号は、車両演算制御部204に伝送される。ここで、車両20を施錠するための施錠要求操作は、ユーザ端末11により予め施錠要求を行う、タイマーロック機能によるものでも良い。
【0040】
ステップS12で施錠要求操作が行われる理由は、ドア202Aを閉めた直後にドア202Aを施錠すると、ユーザ12が車室23に忘れ物をした場合などに、再度電子キーアプリの操作が必要になるからである。また、このようにすることで、ユーザ12の再度の意思確認を行うこともできる。尚、ステップS12に於いて、ユーザ12は、セキュリティを更に向上するために、ロックする動作を、ユーザ端末11自体または電子キーアプリに対して行うこともできる。ここで、本実施形態では、施錠要求操作が行われてからドア202Aが実際に施錠されるステップS15まで、若干の時間である第1待機時間を持たせている。この第1待機時間は、例えば、数秒である。
【0041】
ステップS13では、ユーザ端末11と車両20との通信を停止する。具体的には、車両演算制御部204は、ユーザ端末11に対して、ユーザ端末11が車室23に存在する状況下において、施錠要求操作が行われたことを示す情報を出力する。その後、第2待機時間をおいて、端末演算制御部113は、ユーザ端末11の端末通信部111と、車両20の車両通信部201との電波通信を停止する。ここで、第2待機時間は、前述した第1待機時間よりも短い時間である。
【0042】
ユーザ12の端末操作部112およびタッチセンサ205の操作に基づいて、端末通信部111と車両通信部201との通信を停止することにより、ユーザ12の意図に基づいて車両20のセキュリティを向上できる。即ち、悪意を持つ第三者が、車両20に侵入してユーザ端末11を解錠操作した場合でも、ユーザ端末11は車両20と電波通信していないことから、車両20の駆動部21を始動させることができず、車両20を盗難することはできない。
【0043】
ステップS14では、車両演算制御部204が、通信が停止されていることを確認する。具体的には、車両演算制御部204は、車両通信部201から、ユーザ端末11の端末通信部111に対して、キー反応要求を発する。前述したように、ユーザ端末11の端末通信部111は、電波通信が停止されている。よって、端末通信部111から車両通信部201への反応応答は無い。車両演算制御部204は、反応応答が無いことにより、ユーザ端末11の端末通信部111が通信停止状態であることを確認する。
【0044】
ここで、本実施形態では、ステップS14を省略することも可能である。具体的には、ステップS13が終了し、前述した第2待機時間が経過した後に、車両20を施錠することにより、ステップS14を省略できる。これにより、車両演算制御部204は、ステップS13からステップS15に移行する。
【0045】
ステップS15では、車両20を施錠する。具体的には、車両演算制御部204の指示に基づいて、施錠状態変更部203がドア202Aを施錠状態にする。また、本ステップに於いて、駆動部21を始動不可能状態にすることもできる。
【0046】
以上が本実施形態の施錠行程に関する説明である。以上の施錠行程を実行することにより、ユーザ12は、車室23にユーザ端末11を残したまま、車両20の盗難を心配することなく、サーフィンなどのアクティビティを存分に楽しむことができる。
【0047】
図4は、車両キーシステム10を用いた解錠行程を示すブロック図である。
【0048】
ステップS20では、アクティビティが終了して車両20に戻ったユーザ12が、車両20を解錠するための操作を実行する。本ステップでは、ユーザ端末11は車室23に存在しており、ユーザ端末11は通信停止状態であるため、ユーザ12はユーザ端末11を用いた解錠はできない。ユーザ12は、例えば、前述した暗証コード式キーレスエントリー等により、車両20のドア202Aの解錠操作を行う。暗証コード式キーレスエントリーのための操作は、前述したタッチセンサ205に対して行っても良いし、リアゲートに設けられたハンドルユニットに対して行うこともできる。更に、暗証コード式キーレスエントリーのための操作は、車両20のBピラーに配設されたキーボードに対して行うこともできる。
【0049】
ステップS21では、車両20において、車両演算制御部204の指示に基づいて、施錠状態変更部203がドア202Aを解錠する。即ち、ドア202Aの施錠状態を、施錠状態から解錠状態に変更する。尚、本ステップにおいては、駆動部21は始動不可能な状態であり、始動スイッチが押下されても、駆動部21は始動しない。
【0050】
ステップS22では、ユーザ12が、車室23の内部において、ユーザ端末11の端末操作部112を操作することで、電子キーアプリのロック解錠動作を実行する。この操作としては、例えば、ユーザ12の顔面認証、指紋認証、パスコード入力等を採用できる。かかるセキュリティを解除するための操作は、ユーザ端末11自体に対して行っても良いし、電子キーアプリに対して行うこともできる。
【0051】
ステップS23では、車両20の車両通信部201と、ユーザ端末11の端末通信部111との電波通信を再開する。具体的には、ユーザ端末11の端末通信部111の機能が復帰することで、車両20とユーザ端末11との電波通信が再開する。
【0052】
ステップS22およびステップS23の処理を実行することにより、ユーザ12を特定することができ、ユーザ12以外の第三者が通信再開することを防止できる。更に、ユーザ12は、電波通信を再開するための操作を、ユーザ端末11の電子キーアプリに対して行う。このようにすることで、ユーザ端末11の端末通信部111から車両20の車両通信部201に対して、電波通信を再開するための信号が伝送され、両者は通信可能となる。また、端末演算制御部113は、端末通信部111および車両通信部201を経由して、ユーザ端末11のセキュリティが解除された旨を示す信号を、車両演算制御部204に伝送する。
【0053】
ステップS24では、車両演算制御部204は、車両20の駆動部21を始動可能とする。よって、アクティビティが終了したユーザ12は、車両20の始動スイッチを押下する等して、駆動部21を始動させ、車両20を運転することができる。
【0054】
以上が本実施形態の解錠行程に関する説明である。本実施形態では、ドア202Aが解錠状態になり、且つ端末通信部111と車両通信部201とが通信可能となった状態で、駆動部21の始動が可能になることから、施錠時に於ける車両20のセキュリティを更に向上できる。
【0055】
ここで、車両20が施錠されている間に、悪意を持つ第三者が車両20に侵入した場合を説明する。このような場合、顔面認証や指紋認証等が行われる前に、車両の鍵が操作されると、車両20の警報装置、例えばアラームが吹鳴する。よって、停車時における車両20のセキュリティを更に向上できる。
【0056】
以上が、本実施形態にかかる車両キーシステムおよびそれを用いた車両施錠方法に関する説明である。
【0057】
以下に、前述した本実施形態から把握できる技術的思想を、その効果と共に記載する。
【0058】
本発明の車両キーシステムは、ユーザ端末と車両との間で行われる通信により、前記車両の施錠状態を変更する車両キーシステムであり、前記ユーザ端末は、前記車両との通信を行う端末通信部を有し、前記車両は、前記ユーザ端末との通信を行う車両通信部と、車両開閉部と、を有し、前記ユーザ端末が前記車両に配置された状態で、前記車両開閉部を施錠状態とする操作が行われたら、前記端末通信部と前記車両通信部との通信が停止されることを特徴とする。本発明の車両キーシステムによれば、ユーザが意図的に車室にユーザ端末を載置して車両を施錠した場合、端末通信部と車両通信部との通信が停止される。よって、施錠時に於いて、車室内に侵入した第三者がユーザ端末を操作しても、車両を始動させることができないので、施錠時に於ける車両のセキュリティを向上できる。
【0059】
また、本発明の車両キーシステムでは、前記ユーザ端末は、更に、ユーザの操作を受ける端末操作部を有し、前記車両は、更に、前記車両開閉部の状態を変更する施錠状態変更部を有し、前記ユーザが、前記端末操作部を操作することにより施錠要求操作を行い、且つ、前記施錠状態変更部を操作することで前記車両開閉部を施錠する施錠操作を行えば、前記端末通信部と前記車両通信部との通信を停止することを特徴とする。本発明の車両キーシステムによれば、ユーザの端末操作部および施錠状態変更部の操作に基づいて、端末通信部と車両通信部との通信を停止することにより、ユーザの意図に基づいて車両のセキュリティを向上できる。
【0060】
また、本発明の車両キーシステムでは、前記車両は、車両演算制御部を更に有し、前記車両演算制御部は、前記ユーザによる前記施錠状態変更部の操作に基づいて、前記端末通信部と前記車両通信部との通信を停止した後に、前記車両開閉部を施錠することを特徴とする。本発明の車両キーシステムによれば、通信を停止した後に、車両開閉部を施錠することから、不用意に端末通信部と車両通信部とが通信している状態で、車両開閉部が施錠されてしまうことを防止できる。
【0061】
また、本発明の車両キーシステムでは、前記車両は、車両演算制御部と、車体に駆動力を与える駆動部と、を更に具備し、前記車両演算制御部は、前記ユーザの操作により、前記車両開閉部が解錠状態になり、且つ、前記端末通信部と前記車両通信部とが通信可能となれば、前記駆動部の運転を可能とすることを特徴とする。本発明の車両キーシステムによれば、車両開閉部が解錠状態になり、且つ端末通信部と前記車両通信部とが通信可能となった状態で、駆動部の始動が可能になることから、施錠時に於ける車両のセキュリティを更に向上できる。
【0062】
また、本発明の車両施錠方法では、ユーザ端末と車両との間で行われる通信により、前記車両の施錠状態を変更する車両施錠方法であり、前記ユーザ端末は、前記車両との通信を行う端末通信部を有し、前記車両は、前記ユーザ端末との通信を行う車両通信部と、車両開閉部と、を有し、前記ユーザ端末が前記車両の内部に配置された状態で、前記車両開閉部を施錠状態とする操作が行われたら、前記端末通信部と前記車両通信部との通信が停止されることを特徴とする。本発明の車両施錠方法によれば、ユーザが意図的に車室にユーザ端末を載置して車両を施錠した場合、端末通信部と車両通信部との通信が停止される。よって、施錠時に於いて、車室内に侵入した第三者がユーザ端末を操作しても、車両を始動させることができないので、施錠時に於ける車両のセキュリティを向上できる。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。また、前述した各形態は相互に組み合わせることが可能である。
【0064】
例えば、図1を参照して、車両開閉部202としてドア202Aを例示したが、車両開閉部として他の車両部位を採用可能である。例えば、車両開閉部202として、窓やハッチ等を採用できる。
【0065】
図3を参照して、ステップS13では、ユーザ端末11の側から通信を停止したが、車両20の車両演算制御部204の指示に基づいて、車両通信部201の側から通信を停止することもできる。
【符号の説明】
【0066】
10 車両キーシステム
11 ユーザ端末
111 端末通信部
112 端末操作部
113 端末演算制御部
12 ユーザ
20 車両
201 車両通信部
202 車両開閉部
202A ドア
203 施錠状態変更部
204 車両演算制御部
205 タッチセンサ
21 駆動部
22 車体
23 車室



図1
図2
図3
図4