(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177968
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】部品実装装置および部品実装装置の位置補正方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20231207BHJP
【FI】
H05K13/04 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090956
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】谷口 謙
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353BB09
5E353EE02
5E353EE22
5E353EE71
5E353JJ02
5E353JJ28
5E353JJ44
5E353KK01
5E353KK11
5E353QQ05
5E353QQ12
(57)【要約】
【課題】機械部品の寸法誤差などに起因する部品の実装誤差の位置補正を容易に行うことが可能な部品実装装置を提供する。
【解決手段】この部品実装装置100は、部品Eを吸着して基板に実装するヘッド部31と、第1特徴部11aおよび第2特徴部11bを含み、部品Eとは別個に設けられる位置補正のための治具部品11と、第1特徴部11aおよび第2特徴部11bを下方から撮像する部品撮像部5と、ヘッド部31により治具部品11を吸着した第1状態で部品撮像部5により第1特徴部11aを下方から撮像した第1撮像画像12に基づいて、吸着位置ずれ量を取得した後、第1状態からヘッド部31を下降させた第2状態で部品撮像部5により第2特徴部11bを下方から撮像した第2撮像画像13に基づいて、実装位置ずれ量を取得し、その後吸着位置ずれ量および実装位置ずれ量から位置補正量を取得する制御部7と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を吸着して基板に実装するヘッド部と、
第1特徴部および第2特徴部を含み、前記部品とは別個に設けられる位置補正のための治具部品と、
前記第1特徴部および前記第2特徴部を下方から撮像する撮像部と、
前記ヘッド部により前記治具部品を吸着した第1状態で前記撮像部により前記第1特徴部を下方から撮像した第1撮像画像に基づいて、吸着位置ずれ量を取得した後、前記第1状態から前記ヘッド部を下降させた第2状態で前記撮像部により前記第2特徴部を下方から撮像した第2撮像画像に基づいて、実装位置ずれ量を取得し、その後前記吸着位置ずれ量および前記実装位置ずれ量から位置補正量を取得する制御部と、を備える、部品実装装置。
【請求項2】
前記第1特徴部は、前記第2撮像画像にぼけた状態で写るとともに、前記第1撮像画像に前記第2特徴部よりも明瞭に写るように、前記治具部品に配置されており、
前記第2特徴部は、前記第1撮像画像にぼけた状態で写るとともに、前記第2撮像画像に前記第1特徴部よりも明瞭に写るように、前記治具部品に配置されている、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記第1特徴部および前記第2特徴部は、前記第1撮像画像および前記第2撮像画像において互いに重ならないように、前記治具部品に配置されている、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記第1特徴部および前記第2特徴部は、マークである、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記第2状態は、前記第1状態から前記ヘッド部を下降させて、前記ヘッド部に吸着されている前記治具部品を前記撮像部の上面の近傍に配置した状態である、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項6】
前記治具部品は、前記ヘッド部が前記第2撮像画像に写り込むことを防止するための写り込み防止部をさらに含む、請求項5に記載の部品実装装置。
【請求項7】
前記第2状態は、前記第1状態から前記ヘッド部を下降させて、前記撮像部の上面に前記治具部品を載置した状態である、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項8】
前記治具部品を載置可能でかつ前記撮像部に対して着脱可能な載置部をさらに備え、
前記第2状態は、前記第1状態から前記ヘッド部を下降させて、前記載置部の上面に前記治具部品を載置した状態である、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項9】
前記治具部品は、光を透過する材料により構成された柱形状の本体部をさらに含み、
前記本体部は、前記第1特徴部が設けられている下面と、前記下面とは反対側に設けられ、前記第2特徴部が設けられている上面とを有する、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項10】
前記治具部品は、下方から上方に向かって窪む凹形状の本体部をさらに含み、
前記本体部は、前記第1特徴部が設けられている凹形状の下端面としての第1面と、前記第2特徴部が設けられている凹形状の底面としての第2面とを有する、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項11】
前記治具部品は、前記治具部品が載置された際に滑り動くことを防止する滑り防止部をさらに含む、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項12】
前記治具部品は、前記第2特徴部を前記撮像部の焦点が合う位置に配置するためのミラー部または投影部をさらに含む、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項13】
前記第1特徴部および前記第2特徴部には、製造誤差に起因する固有の補正値が設定されており、
前記制御部は、前記第1特徴部の前記固有の補正値と、前記第2特徴部の前記固有の補正値と、前記吸着位置ずれ量と、前記実装位置ずれ量とに基づいて、前記位置補正量を取得するように構成されている、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項14】
前記治具部品を配置するための配置部をさらに備え、
前記配置部は、前記ヘッド部に装着される吸着ノズルを保管するためのノズル保管部、または、前記撮像部に設けられている、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項15】
部品を吸着して基板に実装するヘッド部を備える部品実装装置の位置補正方法であって、
第1特徴部および第2特徴部を含み、前記部品とは別個に設けられる位置補正のための治具部品を、前記ヘッド部により吸着するステップと、
前記ヘッド部により前記治具部品を吸着した第1状態で前記第1特徴部を下方から撮像した第1撮像画像に基づいて、吸着位置ずれ量を取得するステップと、
前記吸着位置ずれ量を取得した後、前記第1状態から前記ヘッド部を下降させた第2状態で前記第2特徴部を下方から撮像した第2撮像画像に基づいて、実装位置ずれ量を取得するステップと、
前記実装位置ずれ量を取得した後、前記吸着位置ずれ量および前記実装位置ずれ量から位置補正量を取得するステップと、を備える、部品実装装置の位置補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装装置および部品実装装置の位置補正方法に関し、特に、部品を吸着して基板に実装する部品実装装置および部品実装装置の位置補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品を吸着して基板に実装する部品実装装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、部品を吸着して基板に実装する吸着ヘッドと、吸着ヘッドに吸着された部品を撮像するための部品認識カメラと、基板を撮像するための基板認識カメラとを備える電子部品実装装置が開示されている。この電子部品実装装置では、機械部品の寸法誤差などに起因する部品の搭載誤差が存在するため、搭載誤差の補正値が予め取得される。具体的には、まず、吸着ヘッドにより部品(実部品または検査用の部品)が吸着される。そして、部品認識カメラにより吸着ヘッドに吸着された部品が撮像されることにより、吸着位置ずれ量が取得される。そして、取得された吸着位置ずれ量が補正された状態で、部品位置決めマークが設けられた検査用の基準基板に部品が実装される。そして、基板認識カメラにより基準基板に搭載された部品が撮像されることにより、搭載誤差の補正値が取得される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された電子部品実装装置では、搭載誤差の補正値(位置補正量)を取得するために基準基板(治具基板)を用いるため、基準基板の準備に要する手間が掛かるという不都合がある。この場合、機械部品の寸法誤差などに起因する部品の搭載誤差の位置補正を容易に行うことが困難であるという問題点がある。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、本発明の1つの目的は、機械部品の寸法誤差などに起因する部品の実装誤差の位置補正を容易に行うことが可能な部品実装装置および部品実装装置の位置補正方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の局面による部品実装装置は、部品を吸着して基板に実装するヘッド部と、第1特徴部および第2特徴部を含み、部品とは別個に設けられる位置補正のための治具部品と、第1特徴部および第2特徴部を下方から撮像する撮像部と、ヘッド部により治具部品を吸着した第1状態で撮像部により第1特徴部を下方から撮像した第1撮像画像に基づいて、吸着位置ずれ量を取得した後、第1状態からヘッド部を下降させた第2状態で撮像部により第2特徴部を下方から撮像した第2撮像画像に基づいて、実装位置ずれ量を取得し、その後吸着位置ずれ量および実装位置ずれ量から位置補正量を取得する制御部と、を備える。
【0008】
本発明の第1の局面による部品実装装置では、上記のように、ヘッド部により治具部品を吸着した第1状態で撮像部により第1特徴部を下方から撮像した第1撮像画像に基づいて、吸着位置ずれ量を取得した後、第1状態からヘッド部を下降させた第2状態で撮像部により第2特徴部を下方から撮像した第2撮像画像に基づいて、実装位置ずれ量を取得し、その後吸着位置ずれ量および実装位置ずれ量から位置補正量を取得する制御部を設ける。これにより、位置補正量を治具基板を用いることなく治具部品を用いるだけで取得することができる。その結果、治具基板を準備する必要がないので、治具基板の準備に要する手間を省くことができる。これにより、機械部品の寸法誤差などに起因する部品の実装誤差の位置補正を容易に行うことができる。
【0009】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、第1特徴部は、第2撮像画像にぼけた状態で写るとともに、第1撮像画像に第2特徴部よりも明瞭に写るように、治具部品に配置されており、第2特徴部は、第1撮像画像にぼけた状態で写るとともに、第2撮像画像に第1特徴部よりも明瞭に写るように、治具部品に配置されている。このように構成すれば、第1撮像画像において第1特徴部を容易に認識することができるので、吸着位置ずれ量を容易に取得することができる。また、第2撮像画像において第2特徴部を容易に認識することができるので、実装位置ずれ量を容易に取得することができる。
【0010】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、第1特徴部および第2特徴部は、第1撮像画像および第2撮像画像において互いに重ならないように、治具部品に配置されている。このように構成すれば、第1特徴部および第2特徴部が第1撮像画像および第2撮像画像において互いに重なる場合に比べて、第1撮像画像において第1特徴部を容易に認識することができるとともに、第2撮像画像において第2特徴部を容易に認識することができる。
【0011】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、第1特徴部および第2特徴部は、マークである。このように構成すれば、比較的簡素な構成で、第1特徴部および第2特徴部を設けることができる。
【0012】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、第2状態は、第1状態からヘッド部を下降させて、ヘッド部に吸着されている治具部品を撮像部の上面の近傍に配置した状態である。このように構成すれば、撮像部の上面に治具部品を載置する場合と異なり、治具部品と撮像部の上面とが接触しないようにすることができるので、治具部品と撮像部の上面との接触に起因して撮像部の上面に傷が入ることを回避することができる。その結果、撮像部の上面に傷が入った場合に撮像部の上面の傷が撮像に悪影響を及ぼすことを回避することができる。
【0013】
この場合、好ましくは、治具部品は、ヘッド部が第2撮像画像に写り込むことを防止するための写り込み防止部をさらに含む。このように構成すれば、ヘッド部により吸着された状態の治具部品の第2特徴部を撮像する場合にも、写り込み防止部によりヘッド部が第2撮像画像に写り込むことを防止することができるので、ヘッド部が第2撮像画像に写り込むことに起因して実装位置ずれ量を精度よく取得できなくなることを回避することができる。
【0014】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、第2状態は、第1状態からヘッド部を下降させて、撮像部の上面に治具部品を載置した状態である。このように構成すれば、撮像部の上面に治具部品を載置して安定させた状態で、治具部品の第2特徴部を撮像することができるので、第2特徴部の撮像を容易に行うことができる。
【0015】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、治具部品を載置可能でかつ撮像部に対して着脱可能な載置部をさらに備え、第2状態は、第1状態からヘッド部を下降させて、載置部の上面に治具部品を載置した状態である。このように構成すれば、撮像部の上面に治具部品を載置する場合と異なり、治具部品と撮像部の上面とが接触しないようにすることができるので、治具部品と撮像部の上面との接触に起因して撮像部の上面に傷が入ることを回避することができる。その結果、撮像部の上面に傷が入った場合に撮像部の上面の傷が撮像に悪影響を及ぼすことを回避することができる。また、載置部が撮像部に対して着脱可能であることにより、仮に治具部品と載置部の上面との接触に起因して載置部の上面に傷が入ったとしても、傷が入った載置部を傷が入っていない載置部に交換することができる。その結果、載置部の上面に傷が入った場合に載置部の上面の傷が撮像に悪影響を及ぼすことを回避することができる。
【0016】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、治具部品は、光を透過する材料により構成された柱形状の本体部をさらに含み、本体部は、第1特徴部が設けられている下面と、下面とは反対側に設けられ、第2特徴部が設けられている上面とを有する。このように構成すれば、本体部が光を透過する材料により構成されているので、下面に設けられている第1特徴部だけでなく上面に設けられている第2特徴部も、撮像部により下方から明瞭に撮像することができる。
【0017】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、治具部品は、下方から上方に向かって窪む凹形状の本体部をさらに含み、本体部は、第1特徴部が設けられている凹形状の下端面としての第1面と、第2特徴部が設けられている凹形状の底面としての第2面とを有する。このように構成すれば、空間部を介して第2特徴部を撮像することができるので、本体部内に光を透過させて第2特徴部を撮像する場合と異なり、偏光や屈曲が発生することを回避することができる。これにより、偏光や屈曲に起因して第2特徴部が正確に撮像されないことを回避することができる。
【0018】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、治具部品は、治具部品が載置された際に滑り動くことを防止する滑り防止部をさらに含む。このように構成すれば、滑り防止部により治具部品が載置された状態で滑り動くことを防止することができるので、治具部品が滑り動いたことに起因して第1特徴部および第2特徴部が正確に撮像されないことを回避することができる。
【0019】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、治具部品は、第2特徴部を撮像部の焦点が合う位置に配置するためのミラー部または投影部をさらに含む。このように構成すれば、治具部品の厚みを薄くした場合にも、第2特徴部を撮像部の焦点が合う位置に配置することができる。また、治具部品の厚みを薄くした場合、第2特徴部を撮像する際のヘッド部の高さ位置を、実際の部品が実装される際のヘッド部の高さ位置により近づけることができるので、実装位置ずれ量をより精度よく取得することができる。
【0020】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、第1特徴部および第2特徴部には、製造誤差に起因する固有の補正値が設定されており、制御部は、第1特徴部の固有の補正値と、第2特徴部の固有の補正値と、吸着位置ずれ量と、実装位置ずれ量とに基づいて、位置補正量を取得するように構成されている。このように構成すれば、製造誤差に起因する固有の補正値を考慮して位置補正量をより精度よく取得することができる。
【0021】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、治具部品を配置するための配置部をさらに備え、配置部は、ヘッド部に装着される吸着ノズルを保管するためのノズル保管部、または、撮像部に設けられている。このように構成すれば、ノズル保管部または撮像部に設けられている配置部から、治具部品を容易に取り出すことができるので、生産段取りの空き時間などにも、治具部品を用いた位置補正を容易に行うことができる。
【0022】
本発明の第2の局面による部品実装装置の位置補正方法は、部品を吸着して基板に実装するヘッド部を備える部品実装装置の位置補正方法であって、第1特徴部および第2特徴部を含み、部品とは別個に設けられる位置補正のための治具部品を、ヘッド部により吸着するステップと、ヘッド部により治具部品を吸着した第1状態で第1特徴部を下方から撮像した第1撮像画像に基づいて、吸着位置ずれ量を取得するステップと、吸着位置ずれ量を取得した後、第1状態からヘッド部を下降させた第2状態で第2特徴部を下方から撮像した第2撮像画像に基づいて、実装位置ずれ量を取得するステップと、実装位置ずれ量を取得した後、吸着位置ずれ量および実装位置ずれ量から位置補正量を取得するステップと、を備える。
【0023】
本発明の第2の局面による部品実装装置の位置補正方法では、上記のように、ヘッド部により治具部品を吸着した第1状態で第1特徴部を下方から撮像した第1撮像画像に基づいて、吸着位置ずれ量を取得するステップと、吸着位置ずれ量を取得した後、第1状態からヘッド部を下降させた第2状態で第2特徴部を下方から撮像した第2撮像画像に基づいて、実装位置ずれ量を取得するステップと、実装位置ずれ量を取得した後、吸着位置ずれ量および実装位置ずれ量から位置補正量を取得するステップと、を設ける。これにより、位置補正量を治具基板を用いることなく治具部品を用いるだけで取得することができる。その結果、治具基板を準備する必要がないので、治具基板の準備に要する手間を省くことができる。これにより、機械部品の寸法誤差などに起因する部品の実装誤差の位置補正を容易に行うことが可能な部品実装装置の位置補正方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、上記のように、機械部品の寸法誤差などに起因する部品の実装誤差の位置補正を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第1実施形態による部品実装装置を示す模式的な平面図である。
【
図2】第1実施形態による部品実装装置の制御的な構成を示すブロック図である。
【
図3】第1実施形態による部品撮像部を示す模式図である。
【
図4】第1実施形態による治具部品を示す斜視図である。
【
図5】第1実施形態による治具部品の撮像動作を説明するための模式図である。
【
図6】第1実施形態による治具部品の撮像画像を説明するための模式図である。
【
図7】第1実施形態による治具部品の撮像に関する制御処理を説明するためのフローチャートである。
【
図8】第2実施形態による部品撮像部を示す斜視図である。
【
図9】第2実施形態による治具部品を示す斜視図である。
【
図10】第2実施形態による治具部品の撮像動作を説明するための模式図である。
【
図11】第3実施形態による治具部品を示す斜視図である。
【
図12】第3実施形態による治具部品の撮像動作を説明するための模式図である。
【
図13】第4実施形態による治具部品を示す模式図である。
【
図14】第4実施形態による治具部品の撮像時の状態を説明するための模式図である。
【
図15】第4実施形態による治具部品の撮像動作を説明するための模式図である。
【
図16】第1変形例による治具部品を示す模式図である。
【
図17】第2変形例による治具部品を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
[第1実施形態]
図1~
図6を参照して、本発明の第1実施形態による部品実装装置100の構成について説明する。
【0028】
(部品実装装置の構成)
部品実装装置100は、
図1および
図2に示すように、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗などの部品E(電子部品)を、プリント基板などの基板Pに実装する装置である。
【0029】
部品実装装置100は、基台1と、基板搬送部2と、ヘッドユニット3と、ヘッド水平移動機構部4と、部品撮像部5と、基板撮像部6と、制御部7(
図2参照)と、記憶部8(
図2参照)とを備えている。なお、部品撮像部5は、特許請求の範囲の「撮像部」の一例である。
【0030】
基台1は、部品実装装置100において各構成要素を配置する基礎となる台である。基台1上には、基板搬送部2、後述するレール部42および部品撮像部5が設けられている。また、基台1内には、制御部7が設けられている。また、基台1には、Y方向の両側(Y1方向側およびY2方向側)に、複数のフィーダ10が配置されている。フィーダ10は、部品Eを保持する部品供給テープにより部品Eをヘッドユニット3の後述するヘッド部31に供給するテープフィーダである。
【0031】
基板搬送部2は、実装前の基板Pを搬入し、基板搬送方向(X方向)に搬送し、実装後の基板Pを搬出するように構成されている。また、基板搬送部2は、搬入された基板Pを実装停止位置Paまで搬送するとともに、実装停止位置Paにおいてクランプ機構などの基板固定機構(図示せず)により固定するように構成されている。また、基板搬送部2は、一対の搬送ベルト21を含んでいる。基板搬送部2は、一対の搬送ベルト21により、基板Pの幅方向(Y方向)の両端をそれぞれ下側(Z2方向側)から支持した状態で、基板搬送方向に基板Pを搬送するように構成されている。
【0032】
ヘッドユニット3は、部品実装用のヘッドユニットである。ヘッドユニット3は、実装停止位置Paにおいて固定された基板Pに部品Eを実装するように構成されている。具体的には、ヘッドユニット3は、複数(5つ)のヘッド部31を含んでいる。ヘッド部31は、部品Eを吸着して基板Pに実装するように構成されている。ヘッド部31の先端には、部品Eを吸着するための吸着ノズル31a(
図5参照)が取り外し可能に装着されている。ヘッド部31は、負圧供給部(図示せず)から供給された負圧により、吸着ノズル31aに部品Eを吸着するように構成されている。
【0033】
また、部品実装装置100には、ノズル保管部9が設けられている。ノズル保管部9は、ヘッド部31の先端に装着される吸着ノズル31aを保管するように構成されている。ノズル保管部9には、部品Eの種類に応じた複数のノズルが保管されている。これにより、部品Eの種類に応じて、ヘッド部31の先端に装着される吸着ノズル31aを交換可能である。
【0034】
図1および
図2に示すように、ヘッドユニット3は、ヘッド部31の吸着ノズル31aを上下方向(Z方向)に移動させるZ軸モータ32(
図2参照)と、ヘッド部31の吸着ノズル31aを上下方向に延びる回転軸線回りに回転させるR軸モータ33(
図2参照)とを含んでいる。ヘッド部31は、Z軸モータ32により、所定の下降位置と、所定の上昇位置との間で、上下方向に移動可能に構成されている。また、ヘッド部31は、部品Eを保持した状態でR軸モータ33により回転されることにより、吸着している部品Eの向きを調整可能に構成されている。
【0035】
ヘッド水平移動機構部4は、ヘッドユニット3を水平方向(X方向およびY方向)に移動させるように構成されている。ヘッド水平移動機構部4は、ヘッドユニット3を基板搬送方向(X方向)に移動可能に支持する支持部41と、支持部41を基板搬送方向と水平面内で略直交する方向(Y方向)に移動可能に支持するレール部42とを含んでいる。支持部41は、基板搬送方向に延びるボールねじ軸41aと、ボールねじ軸41aを回転させるX軸モータ41bとを有している。ヘッドユニット3には、支持部41のボールねじ軸41aと係合するボールナット(図示せず)が設けられている。ヘッドユニット3は、X軸モータ41bによりボールねじ軸41aが回転されることにより、ボールねじ軸41aと係合するボールナットとともに、支持部41に沿って基板搬送方向に移動可能に構成されている。
【0036】
レール部42は、支持部41のX方向の両端部をY方向に移動可能に支持する一対のガイドレール42aと、Y方向に延びるボールねじ軸42bと、ボールねじ軸42bを回転させるY軸モータ42cとを有している。支持部41には、レール部42のボールねじ軸42bと係合するボールナット(図示せず)が設けられている。支持部41は、Y軸モータ42cによりボールねじ軸42bが回転されることにより、ボールねじ軸42bと係合するボールナットとともに、レール部42の一対のガイドレール42aに沿ってY方向に移動可能に構成されている。
【0037】
ヘッド水平移動機構部4の支持部41およびレール部42により、ヘッドユニット3は、基台1上を水平方向に移動可能に構成されている。これにより、ヘッドユニット3のヘッド部31は、フィーダ10の上方に移動して、フィーダ10から供給される部品Eを吸着可能である。また、ヘッドユニット3のヘッド部31は、実装停止位置Paにおいて固定された基板Pの上方に移動して、吸着された部品Eを基板Pに実装可能である。
【0038】
部品撮像部5は、部品認識用のカメラである。部品撮像部5は、ヘッドユニット3のヘッド部31による部品Eの基板Pへの搬送中に、ヘッド部31の吸着ノズル31aに吸着された部品Eを撮像する。部品撮像部5は、基台1の上面上に固定されており、部品Eの下方(Z2方向側)から、ヘッド部31の吸着ノズル31aに吸着された部品Eを撮像する。部品撮像部5による部品Eの撮像画像に基づいて、制御部7は、部品Eの状態(回転姿勢およびヘッド部31に対する位置)を取得(認識)する。また、部品撮像部5は、後述する治具部品11を下方から撮像する。
【0039】
また、
図3に示すように、部品撮像部5は、照明部51と、撮像素子52と、レンズ部53と、光透過部54とを含んでいる。照明部51と、撮像素子52と、レンズ部53とは、筐体部55の内部に配置されている。光透過部54は、筐体部55の上端部の開口を塞ぐように筐体部55に設けられている。
【0040】
照明部51は、撮像の際に、照明光を照射可能に構成されている。照明部51は、複数のLED(Light Emitting Diode)を配列した構成を有している。撮像素子52は、光透過部54から入ってきた光を撮像するように構成されている。撮像素子52は、固体撮像素子である。レンズ部53は、光軸Oが上下方向(Z方向)に略平行となるように配置されている。レンズ部53は、光を撮像素子52aに結像させるように構成されている。光透過部54は、ガラスなどの光を透過する材料により構成されている。光透過部54は、高透過性の透明な板状の部材である。光透過部54は、照明部51による照明光および撮像素子52により撮像される撮像光を透過させるように構成されている。また、光透過部54は、照明部51、撮像素子52およびレンズ部53などの筐体部55内の構造を保護する機能を有している。
【0041】
図1および
図2に示すように、基板撮像部6は、基板認識用のカメラである。基板撮像部6は、ヘッドユニット3のヘッド部31による基板Pへの部品Eの実装開始前に、実装停止位置Paにおいて固定された基板Pにおいて、基板Pの上面に付された位置認識マークF(フィデューシャルマーク)を撮像する。位置認識マークFは、基板Pの位置を認識するためのマークである。基板撮像部6による位置認識マークFの撮像結果に基づいて、制御部7は、実装停止位置Paにおいて固定された基板Pの正確な位置および姿勢を取得(認識)する。
【0042】
図2に示すように、制御部7は、部品実装装置100の動作を制御する制御回路である。制御部7は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、および、RAM(Random Access Memory)を含んでいる。制御部7は、基板搬送部2、フィーダ10、X軸モータ41bおよびY軸モータ42cなどを生産プログラムに従って制御することにより、ヘッドユニット3により基板Pに部品Eを実装させる制御を行うように構成されている。記憶部8は、ハードディスクドライブなどの不揮発性の記憶媒体であり、情報を記憶可能に構成されている。
【0043】
(治具部品の構成)
部品実装装置100では、機械部品の寸法誤差および駆動誤差などに起因して部品Eの実装誤差(理論的な実装位置に対するずれ量)が発生するとともに、発生した実装誤差に起因して実装精度が低下する。そこで、部品実装装置100は、実装精度を確保するために、基板Pの生産前などに後述する位置補正量を取得して記憶部8に記憶するように構成されている。また、部品実装装置100は、基板Pの生産時に記憶部8から位置補正量を読み出して位置補正を行うように構成されている。このため、
図4に示すように、部品実装装置100は、位置補正量の取得のための治具部品11を備えている。
【0044】
治具部品11は、部品Eとは別個に設けられている。治具部品11は、第1特徴部11aおよび第2特徴部11bを含んでいる。第1特徴部11aおよび第2特徴部11bは、マークである。また、第1特徴部11aおよび第2特徴部11bは、光を透過しないように構成されている。第1特徴部11aおよび第2特徴部11bは、黒色を有している。また、治具部品11は、本体部11cを含んでいる。本体部11cは、ガラスおよび樹脂などの光を透過する材料により構成されている。本体部11cは、高透過性の透明な部材である。また、本体部11cは、柱形状を有している。具体的には、本体部11cは、四角柱形状を有している。
【0045】
また、本体部11cは、第1特徴部11aが設けられている下面11dと、下面11dとは反対側に設けられ、第2特徴部11bが設けられている上面11eとを有している。下面11dには、4つの第1特徴部11aが配置されている。具体的には、下面11dの4つの位置(角部)の各々に、第1特徴部11aが1つずつ配置されている。上面11eには、1つの第2特徴部11bが配置されている。具体的には、上面11eの中心に、第2特徴部11bが1つ配置されている。4つの第1特徴部11aと1つの第2特徴部11bとは、上下方向において、互いに重ならないように配置されている。
【0046】
(位置補正量の取得)
ここで、第1実施形態では、
図5および
図6に示すように、制御部7は、ヘッド部31により治具部品11を吸着した第1状態で部品撮像部5により第1特徴部11aを下方から撮像した第1撮像画像12に基づいて、吸着位置ずれ量を取得した後、第1状態からヘッド部31を下降させた第2状態で部品撮像部5により第2特徴部11bを下方から撮像した第2撮像画像13に基づいて、実装位置ずれ量を取得し、その後吸着位置ずれ量および実装位置ずれ量から位置補正量を取得するように構成されている。
【0047】
具体的には、制御部7は、治具部品11の上面11eを吸着するように、ヘッド部31を制御するように構成されている。そして、制御部7は、治具部品11が部品撮像部5の光軸O(
図3参照)上に配置されるように、ヘッド部31を制御するように構成されている。そして、制御部7は、治具部品11の下面11d(すなわち、第1特徴部11a)が部品撮像部5の焦点が合う高さ位置Hに配置されるように、ヘッド部31を制御するように構成されている。
【0048】
第1状態は、ヘッド部31により治具部品11を吸着した状態で、かつ、治具部品11が光軸O上に配置された状態で、かつ、治具部品11の第1特徴部11aが部品撮像部5の焦点が合う高さ位置Hに配置された状態である。制御部7は、この第1状態で照明部51により照明光を下方から照射しながら第1特徴部11aを下方から撮像するように、部品撮像部5を制御する。そして、制御部7は、部品撮像部5から第1撮像画像12を取得する。第1撮像画像12には、第2特徴部11bよりも明瞭な第1特徴部11aと、ぼけた状態の第2特徴部11bとが写る。第1特徴部11aは部品撮像部5の焦点が合う位置に配置されている一方、第2特徴部11bは部品撮像部5の焦点が合う位置に配置されていないためである。
【0049】
また、制御部7は、第1状態で第1撮像画像12を取得した後、部品撮像部5の光軸Oに沿って下降するように、ヘッド部31を制御する。すなわち、制御部7は、治具部品11を吸着したヘッド部31により、疑似的な実装動作を行う。また、第1実施形態では、制御部7は、ヘッド部31を下降させて部品撮像部5の上面5aに治具部品11を載置するように、ヘッド部31を制御する。なお、部品撮像部5の上面5aとは、光透過部54の上面である。また、部品撮像部5の上面5aに治具部品11を載置した後、ヘッド部31は治具部品11の吸着を解除して上昇することにより退避されている。
【0050】
第1実施形態では、第2状態は、第1状態からヘッド部31を下降させて、部品撮像部5の上面5aに治具部品11を載置した状態である。また、第2状態は、治具部品11の上面11e(すなわち、第2特徴部11b)が部品撮像部5の焦点が合う高さ位置Hに配置された状態である。治具部品11の本体部11cは、部品撮像部5の上面5aから高さ位置Hまでの距離と略同じ厚みを有している。すなわち、治具部品11の下面11dから上面11eまでの距離は、部品撮像部5の上面5aから高さ位置Hまでの距離と略同じである。制御部7は、この第2状態で照明部51により照明光を下方から照射しながら第2特徴部11bを下方から撮像するように、部品撮像部5を制御する。そして、制御部7は、部品撮像部5から第2撮像画像13を取得する。第2撮像画像13には、第1特徴部11aよりも明瞭な第2特徴部11bと、ぼけた状態の第1特徴部11aとが写っている。第2特徴部11bは部品撮像部5の焦点が合う位置に配置されている一方、第1特徴部11aは部品撮像部5の焦点が合う位置に配置されていないためである。
【0051】
また、第1実施形態では、第1特徴部11aは、第2撮像画像13にぼけた状態で映るとともに、第1撮像画像12に第2特徴部11bよりも明瞭に写るように、治具部品11に配置されている。また、第2特徴部11bは、第1撮像画像12にぼけた状態で映るとともに、第2撮像画像13に第1特徴部11aよりも明瞭に写るように、治具部品11に配置されている。治具部品11は、第1特徴部11aおよび第2特徴部11bの両方が同時に部品撮像部5の焦点が合う位置に配置されないように、第1特徴部11aおよび第2特徴部11bが互いに離間して配置されている。また、第1特徴部11aおよび第2特徴部11bは、第1撮像画像12および第2撮像画像13において互いに重ならないように、治具部品11に配置されている。
【0052】
また、制御部7は、第1撮像画像12の第1特徴部11aに基づいて、吸着位置ずれ量を取得する。具体的には、制御部7は、画像認識処理により、第1撮像画像12の第1特徴部11aを認識する。そして、制御部7は、認識した第1特徴部11aに基づいて、治具部品11の中心位置を取得する。たとえば、制御部7は、4つの第1特徴部11aにより規定される矩形形状の中心位置を、治具部品11の中心位置として取得する。そして、制御部7は、取得した治具部品11の中心位置と、既知の吸着ノズル31aの中心位置とに基づいて、吸着ノズル31aの中心位置に対する治具部品11の中心位置のずれ量を表す吸着位置ずれ量を取得する。たとえば、吸着ノズル31aの中心位置が(Xn:0、Yn:0)で、治具部品11の中心位置が(Xp1:+10、Yp1:0)であった場合、吸着位置ずれ量は、(X1:+10、Y1:0)となる。吸着位置ずれ量は、ヘッド部31により部品Eを吸着した際の吸着ノズル31aの中心位置に対する部品Eの中心位置のずれ量として扱うことが可能である。
【0053】
また、制御部7は、第2撮像画像13の第2特徴部11bに基づいて、実装位置ずれ量を取得する。具体的には、制御部7は、画像認識処理により、第2撮像画像13の第2特徴部11bを認識する。そして、制御部7は、認識した第2特徴部11bに基づいて、治具部品11の中心位置を取得する。たとえば、制御部7は、第2特徴部11bの中心位置を、治具部品11の中心位置として取得する。そして、制御部7は、取得した治具部品11の中心位置と、既知の実装位置の中心位置とに基づいて、実装位置の中心位置に対する治具部品11の中心位置のずれ量を表す実装位置ずれ量として取得する。たとえば、実装位置の中心位置が(Xm:0、Ym:0)で、治具部品11の中心位置が(Xp2:+20、Yp2:0)であった場合、実装位置ずれ量は、(X2:+20、Y2:0)となる。実装位置ずれ量は、ヘッド部31により部品Eを実装した際の実装位置の中心位置に対する部品Eの中心位置のずれ量として扱うことが可能である。
【0054】
そして、制御部7は、取得した吸着位置ずれ量および実装位置ずれ量に基づいて、位置補正量を取得する。具体的には、制御部7は、実装位置ずれ量から吸着位置ずれ量を差分(補正)することにより、吸着位置ずれ量を含まない実装位置の中心位置に対する治具部品11の中心位置のずれ量を表す位置補正量を取得する。たとえば、吸着位置ずれ量が(X1:+10、Y1:0)で、実装位置ずれ量が(X2:+20、Y2:0)である場合、位置補正量は、(X:+10、Y:0)となる。なお、X=X2-X1であり、Y=Y2-Y1である。位置補正量は、ヘッド部31により部品Eを実装した際の部品Eの実装誤差として扱うことが可能である。
【0055】
ここで、治具部品11の第1特徴部11aおよび第2特徴部11bは、印刷ずれなどの製造誤差に起因して個体ごとに理想的な位置に対してわずかに位置ずれしており、固有の位置ずれ量を有している。この場合、固有の位置ずれ量を考慮せずに吸着位置ずれ量および実装位置ずれ量に基づいて位置補正量を求めると、位置補正量の取得精度がわずかに悪くなる。そこで、第1実施形態では、第1特徴部11aおよび第2特徴部11bには、製造誤差に起因する固有の補正値が設定されている。具体的には、製造誤差に起因する第1特徴部11aおよび第2特徴部11bの固有の位置ずれ量に対応する固有の補正値が記憶部8に記憶されている。制御部7は、第1特徴部11aの固有の補正値と、第2特徴部11bの固有の補正値と、吸着位置ずれ量と、実装位置ずれ量とに基づいて、位置補正量を取得するように構成されている。
【0056】
具体的には、制御部7は、第1特徴部11aの固有の補正値により、吸着位置ずれ量を補正するとともに、第2特徴部11bの固有の補正値により、実装位置ずれ量を補正する。そして、制御部7は、補正した吸着位置ずれ量、および、補正した実装位置ずれ量に基づいて、位置補正量を取得する。そして、制御部7は、取得した位置補正量を記憶部8に記憶させる。
【0057】
(治具部品の撮像に関する制御処理)
図7を参照して、第1実施形態の部品実装装置100による治具部品11の撮像に関する制御処理を説明する。この制御処理は、部品実装装置100を据え付ける際、部品実装装置100により生産する基板Pの品種を切り替える際、および、実装精度が悪くなった際などに行われる。なお、フローチャートの各処理は、制御部7により実行される。
【0058】
図7に示すように、ステップS1において、ヘッド部31により治具部品11が吸着される。
【0059】
そして、ステップS2において、部品撮像部5により第1状態で治具部品11が撮像される。これにより、第1撮像画像12が取得される。
【0060】
そして、ステップS3において、第1撮像画像12の第1特徴部11aを認識することができたか否かが判断される。第1撮像画像12の第1特徴部11aを認識することができないと判断された場合、ステップS2に戻る。そして、部品撮像部5により治具部品11が再び撮像される。また、第1撮像画像12の第1特徴部11aを認識することができたと判断された場合、ステップS4に進む。
【0061】
そして、ステップS4において、第1撮像画像12に基づいて吸着位置ずれ量が取得される。また、取得された吸着位置ずれ量が記憶部8に記憶される。
【0062】
そして、ステップS5において、治具部品11を吸着したヘッド部31による疑似的な実装動作が行われる。
【0063】
そして、ステップS6において、部品撮像部5により第2状態で治具部品11が撮像される。これにより、第2撮像画像13が取得される。
【0064】
そして、ステップS7において、第2撮像画像13の第2特徴部11bを認識することができたか否かが判断される。第2撮像画像13の第2特徴部11bを認識することができないと判断された場合、ステップS6に戻る。そして、部品撮像部5により治具部品11が再び撮像される。また、第2撮像画像13の第2特徴部11bを認識することができたと判断された場合、ステップS8に進む。
【0065】
そして、ステップS8において、第2撮像画像13に基づいて実装位置ずれ量が取得される。また、取得された実装位置ずれ量が記憶部8に記憶される。
【0066】
そして、ステップS9において、全角度で吸着位置ずれ量および実装位置ずれ量が取得されたか否かが判断される。具体的には、治具部品11の回転角度が0度、90度、180度および270度の4つの条件で、吸着位置ずれ量および実装位置ずれ量が取得されたか否かが判断される。なお、治具部品11を吸着した状態の吸着ノズル31aを回転させることにより、治具部品11の回転角度を4つの回転角度に変化させる。全角度で吸着位置ずれ量および実装位置ずれ量が取得されていないと判断された場合、ステップS1に戻る。そして、吸着ノズル31aの回転角度を変えた状態で、ステップS1~S8の処理が再び行われる。この際、部品撮像部5の位置からヘッド部31を移動させずに部品撮像部5の位置で回転角度を変えたステップS1~S8の処理が行われる。これにより、回転角度ごとの吸着位置ずれ量および実装位置ずれ量の取得を比較的短時間で行うことが可能である。また、全角度で吸着位置ずれ量および実装位置ずれ量が取得されたと判断された場合、ステップS10に進む。
【0067】
そして、ステップS10において、吸着位置ずれ量および実装位置ずれ量に基づいて位置補正量が取得される。また、取得された位置補正量が記憶部8に記憶される。すなわち、回転角度ごとの位置補正量が記憶部8に記憶される。また、ステップS1~S10の処理が、ヘッド部31ごとに行われる。これにより、ヘッド部31ごとの位置補正量が記憶部8に記憶される。そして、制御処理が終了される。また、記憶部8に記憶された位置補正量は、基板Pの生産時の位置補正に用いられる。
【0068】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0069】
第1実施形態では、上記のように、ヘッド部31により治具部品11を吸着した第1状態で部品撮像部5により第1特徴部11aを下方から撮像した第1撮像画像12に基づいて、吸着位置ずれ量を取得した後、第1状態からヘッド部31を下降させた第2状態で部品撮像部5により第2特徴部11bを下方から撮像した第2撮像画像13に基づいて、実装位置ずれ量を取得し、その後吸着位置ずれ量および実装位置ずれ量から位置補正量を取得する制御部7を設ける。これにより、位置補正量を治具基板を用いることなく治具部品11を用いるだけで取得することができる。その結果、治具基板を準備する必要がないので、治具基板の準備に要する手間を省くことができる。これにより、機械部品の寸法誤差などに起因する部品Eの実装誤差の位置補正を容易に行うことができる。
【0070】
また、治具基板を用いる場合と異なり、ヘッド部31を治具基板に向かって移動させる必要がない。その結果、治具基板を用いる場合に比べて少ない動作で吸着位置ずれ量および実装位置ずれ量を取得することができる。これにより、吸着位置ずれ量および実装位置ずれ量を取得するために要する時間を短縮することができる。また、ヘッド部31を治具基板に向かって移動させる必要がないので、ヘッド部31の移動に伴う熱伸びなどの外乱による位置補正の精度への影響を排除することができる。
【0071】
また、吸着位置ずれ量および実装位置ずれ量の両方を1つの部品撮像部5を用いるだけで取得することができるので、吸着位置ずれ量および実装位置ずれ量を部品撮像部5および基板撮像部6の2つの撮像部を用いて取得する場合と異なり、2つの撮像部の機差による影響が位置補正量に含まれないようにすることができる。その結果、撮像部の機差による位置補正の精度への影響を排除することができる。
【0072】
また、第1実施形態では、上記のように、第1特徴部11aは、第2撮像画像13にぼけた状態で映るとともに、第1撮像画像12に第2特徴部11bよりも明瞭に写るように、治具部品11に配置されており、第2特徴部11bは、第1撮像画像12にぼけた状態で映るとともに、第2撮像画像13に第1特徴部11aよりも明瞭に写るように、治具部品11に配置されている。これにより、第1撮像画像12において第1特徴部11aを容易に認識することができるので、吸着位置ずれ量を容易に取得することができる。また、第2撮像画像13において第2特徴部11bを容易に認識することができるので、実装位置ずれ量を容易に取得することができる。
【0073】
また、第1実施形態では、上記のように、第1特徴部11aおよび第2特徴部11bは、第1撮像画像12および第2撮像画像13において互いに重ならないように、治具部品11に配置されている。これにより、第1特徴部11aおよび第2特徴部11bが第1撮像画像12および第2撮像画像13において互いに重なる場合に比べて、第1撮像画像12において第1特徴部11aを容易に認識することができるとともに、第2撮像画像13において第2特徴部11bを容易に認識することができる。
【0074】
また、第1実施形態では、上記のように、第1特徴部11aおよび第2特徴部11bは、マークである。これにより、比較的簡素な構成で、第1特徴部11aおよび第2特徴部11bを設けることができる。
【0075】
また、第1実施形態では、上記のように、第2状態は、第1状態からヘッド部31を下降させて、部品撮像部5の上面5aに治具部品11を載置した状態である。これにより、部品撮像部5の上面5aに治具部品11を載置して安定させた状態で、治具部品11の第2特徴部11bを撮像することができるので、第2特徴部11bの撮像を容易に行うことができる。
【0076】
また、第1実施形態では、上記のように、治具部品11は、光を透過する材料により構成された柱形状の本体部11cをさらに含み、本体部11cは、第1特徴部11aが設けられている下面11dと、下面11dとは反対側に設けられ、第2特徴部11bが設けられている上面11eとを有する。これにより、本体部11cが光を透過する材料により構成されているので、下面11dに設けられている第1特徴部11aだけでなく上面11eに設けられている第2特徴部11bも、部品撮像部5により下方から明瞭に撮像することができる。
【0077】
また、第1実施形態では、上記のように、第1特徴部11aおよび第2特徴部11bには、製造誤差に起因する固有の補正値が設定されており、制御部7は、第1特徴部11aの固有の補正値と、第2特徴部11bの固有の補正値と、吸着位置ずれ量と、実装位置ずれ量とに基づいて、位置補正量を取得するように構成されている。これにより、製造誤差に起因する固有の補正値を考慮して位置補正量をより精度よく取得することができる。
【0078】
[第2実施形態]
次に、
図8~
図10を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、治具部品を部品撮像部の上面に載置した上記第1実施形態とは異なり、治具部品を載置部の上面に載置する例について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0079】
(部品実装装置の構成)
本発明の第2実施形態による部品実装装置200は、
図8に示すように、治具部品211を載置可能でかつ部品撮像部5に対して着脱可能な載置部214をさらに備えている。また、第2実施形態では、部品実装装置200は、治具部品211を配置するための配置部215をさらに備えている。また、第2実施形態では、部品実装装置200は、
図9に示すように、上記第1実施形態の治具部品11に代えて、治具部品211を備えている。
【0080】
図8に示すように、載置部214は、部品撮像部5の光透過部54の上方(Z1方向側)に配置されている。載置部214は、ガラスおよび樹脂などの光を透過する材料により構成されている。載置部214は、高透過性の透明な板状の部材である。また、載置部214は、光透過部54を覆うように配置されている。具体的には、載置部214は、光透過部54よりも大きいサイズを有している。載置部214は、平面視において、光透過部54の全面を覆うように配置されている。これにより、載置部214の縁などが部品撮像部5による撮像画像に写り込まないようにすることが可能である。また、載置部214は、ボルトなどの締結部材214aにより、部品撮像部5の筐体部55に取り外し可能に取り付けられている。
【0081】
配置部215は、ノズル保管部9、または、部品撮像部5に設けられている(
図8では、部品撮像部5に設けられている)。
図8の配置部215は、部品撮像部5の筐体部55の一部として設けられている。
図8の配置部215は、光透過部54の近傍に設けられている。
図8の配置部215は、上方(Z1方向側)から下方(Z2方向側)に向かって窪む凹形状を有している。
図8の配置部215は、凹形状の内部に治具部品211が配置されるように構成されている。また、配置部215がノズル保管部9に設けられる場合には、たとえば、ノズル保管部9の複数のノズル収納凹部のうちの1つが配置部215として設けられる。この場合、既存のノズル収納凹部を有効に利用して配置部215を設けることが可能である。
【0082】
図9に示すように、治具部品211は、上記第1実施形態の本体部11cに代えて、本体部211cを含んでいる。本体部211cは、ガラスおよび樹脂などの光を透過する材料により構成されている。本体部211cは、高透過性の透明な部材である。本体部211cは、円柱形状を有している。また、本体部211cでは、上記第1実施形態の本体部11cと同様に、下面11dに第1特徴部11aが設けられ、上面11eに第2特徴部11bが設けられている。
【0083】
また、第2実施形態では、治具部品211は、治具部品211が載置された際に滑り動くことを防止する滑り防止部211fをさらに含んでいる。滑り防止部211fは、ゴムなどの高摩擦の材料により構成されている。滑り防止部211fは、Oリングにより構成されている。滑り防止部211fは、本体部211cの下端部に配置されている。滑り防止部211fは、治具部品211が載置された状態で載置面との間に摩擦力を発生させることにより、治具部品211が滑り動くことを防止するように構成されている。
【0084】
第2実施形態では、
図10に示すように、制御部7は、第1状態で第1撮像画像12を取得した後、部品撮像部5の光軸Oに沿って下降するように、ヘッド部31を制御する。すなわち、制御部7は、治具部品11を吸着したヘッド部31により、疑似的な実装動作を行う。また、第2実施形態では、制御部7は、ヘッド部31を下降させて載置部214の上面214bに治具部品211を載置するように、ヘッド部31を制御する。また、載置部214の上面214bに治具部品11を載置した後、ヘッド部31は治具部品211の吸着を解除して上昇することにより退避されている。
【0085】
第2実施形態では、第2状態は、第1状態からヘッド部31を下降させて、載置部214の上面214bに治具部品211を載置した状態である。また、第2状態は、治具部品211の上面11e(すなわち、第2特徴部11b)が部品撮像部5の焦点が合う高さ位置Hに配置された状態である。治具部品211の本体部211cは、載置部214の上面214bから高さ位置Hまでの距離と略同じ厚みを有している。すなわち、治具部品211の下面11dから上面11eまでの距離は、載置部214の上面214bから高さ位置Hまでの距離と略同じである。制御部7は、この第2状態で照明部51により照明光を下方から照射しながら第2特徴部11bを下方から撮像するように、部品撮像部5を制御する。
【0086】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0087】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0088】
第2実施形態では、上記のように、部品実装装置200は、治具部品211を載置可能でかつ部品撮像部5に対して着脱可能な載置部214をさらに備え、第2状態は、第1状態からヘッド部31を下降させて、載置部214の上面214bに治具部品211を載置した状態である。これにより、部品撮像部5の上面5aに治具部品211を載置する場合と異なり、治具部品211と部品撮像部5の上面5aとが接触しないようにすることができるので、治具部品211と部品撮像部5の上面5aとの接触に起因して部品撮像部5の上面5aに傷が入ることを回避することができる。その結果、部品撮像部5の上面5aに傷が入った場合に部品撮像部5の上面5aの傷が撮像に悪影響を及ぼすことを回避することができる。また、載置部214が部品撮像部5に対して着脱可能であることにより、仮に治具部品211と載置部214の上面214bとの接触に起因して載置部214の上面214bに傷が入ったとしても、傷が入った載置部214を傷が入っていない載置部214に交換することができる。その結果、載置部214の上面214bに傷が入った場合に載置部214の上面214bの傷が撮像に悪影響を及ぼすことを回避することができる。
【0089】
また、第2実施形態では、上記のように、治具部品211は、治具部品211が載置された際に滑り動くことを防止する滑り防止部211fをさらに含む。これにより、滑り防止部211fにより治具部品211が載置された状態で滑り動くことを防止することができるので、治具部品211が滑り動いたことに起因して第1特徴部11aおよび第2特徴部11bが正確に撮像されないことを回避することができる。
【0090】
また、第2実施形態では、上記のように、部品実装装置200は、治具部品211を配置するための配置部215をさらに備え、配置部215は、ヘッド部31に装着される吸着ノズル31aを保管するためのノズル保管部9、または、部品撮像部5に設けられている。これにより、ノズル保管部9または部品撮像部5に設けられている配置部215から、治具部品211を容易に取り出すことができるので、生産段取りの空き時間などにも、治具部品211を用いた位置補正を容易に行うことができる。
【0091】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0092】
[第3実施形態]
次に、
図11および
図12を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、治具部品を部品撮像部の上面に載置した上記第1実施形態、および、治具部品を載置部の上面に載置した上記第2実施形態とは異なり、治具部品を部品撮像部の上面の近傍に部品撮像部の上面と非接触の状態で配置する例について説明する。なお、上記第1または第2実施形態と同一の構成については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0093】
(部品実装装置の構成)
本発明の第3実施形態による部品実装装置300は、
図11に示すように、上記第1実施形態の治具部品11に代えて、治具部品311を備えている。
【0094】
治具部品311は、上記第1実施形態の本体部11cに代えて、本体部311cを含んでいる。本体部311cは、ガラスおよび樹脂などの光を透過する材料により構成されている。本体部211cは、高透過性の透明な部材である。本体部211cは、円柱形状を有している。また、本体部211cでは、上記第1実施形態の本体部11cと同様に、下面11dに第1特徴部11aが設けられ、上面11eに第2特徴部11bが設けられている。
【0095】
また、第3実施形態では、治具部品311は、ヘッド部31が第2撮像画像13に写り込むことを防止するための写り込み防止部311gをさらに含んでいる。写り込み防止部311gは、上面11eに配置されている。写り込み防止部311gは、上面11eの略全面を覆うように上面11eに配置されている。また、写り込み防止部311gの上面11e側(Z2方向側)の面は、光を反射するように構成されている。写り込み防止部311gは、たとえば、銀色のシールである。また、写り込み防止部311gのZ1方向側の面は、ヘッド部31により吸着されるように構成されている。写り込み防止部311gは、部品撮像部5による照明光をZ2方向側の面により反射することにより、Z1方向側の面を吸着したヘッド部31が第2撮像画像13に写り込むことを防止するように構成されている。
【0096】
第3実施形態では、
図12に示すように、制御部7は、第1状態で第1撮像画像12を取得した後、部品撮像部5の光軸Oに沿って下降するように、ヘッド部31を制御する。すなわち、制御部7は、治具部品11を吸着したヘッド部31により、疑似的な実装動作を行う。また、第3実施形態では、制御部7は、ヘッド部31を下降させて部品撮像部5の上面5aの近傍に部品撮像部5の上面5aと非接触の状態で治具部品311を配置するように、ヘッド部31を制御する。なお、ヘッド部31は治具部品311を吸着した状態である。また、治具部品311の下面11dと部品撮像部5の上面5aとは、わずかな距離だけ互いに離間して非接触の状態で配置されている。
【0097】
第2状態は、第1状態からヘッド部31を下降させて、ヘッド部31に吸着されている治具部品311を部品撮像部5の上面5aの近傍に配置した状態である。また、第2状態は、治具部品311の上面11e(すなわち、第2特徴部11b)が部品撮像部5の焦点が合う高さ位置Hに配置された状態である。治具部品311の本体部311cは、部品撮像部5の上面5aから高さ位置Hまでの距離と略同じ厚みを有している。すなわち、治具部品311の下面11dから上面11eまでの距離は、部品撮像部5の上面5aから高さ位置Hまでの距離と略同じである。制御部7は、この第2状態で照明部51により照明光を下方から照射しながら第2特徴部11bを下方から撮像するように、部品撮像部5を制御する。
【0098】
なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第1または第2実施形態と同様である。
【0099】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0100】
第3実施形態では、上記のように、第2状態は、第1状態からヘッド部31を下降させて、ヘッド部31に吸着されている治具部品311を部品撮像部5の上面5aの近傍に配置した状態である。これにより、部品撮像部5の上面5aに治具部品311を載置する場合と異なり、治具部品311と部品撮像部5の上面5aとが接触しないようにすることができるので、治具部品311と部品撮像部5の上面5aとの接触に起因して部品撮像部5の上面5aに傷が入ることを回避することができる。その結果、部品撮像部5の上面5aに傷が入った場合に部品撮像部5の上面5aの傷が撮像に悪影響を及ぼすことを回避することができる。
【0101】
また、第3実施形態では、上記のように、治具部品311は、ヘッド部31が第2撮像画像13に写り込むことを防止するための写り込み防止部311gをさらに含む。これにより、ヘッド部31により吸着された状態の治具部品311の第2特徴部を撮像する場合にも、写り込み防止部311gによりヘッド部31が第2撮像画像13に写り込むことを防止することができるので、ヘッド部31が第2撮像画像13に写り込むことに起因して実装位置ずれ量を精度よく取得できなくなることを回避することができる。
【0102】
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1または第2実施形態と同様である。
【0103】
[第4実施形態]
次に、
図13~
図15を参照して、第4実施形態について説明する。この第4実施形態では、比較的厚みが大きい治具部品を用いた上記第1~第3実施形態とは異なり、比較的厚みが小さい治具部品を用いる例について説明する。なお、上記第1、第2または第3実施形態と同一の構成については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0104】
(部品実装装置の構成)
本発明の第4実施形態による部品実装装置400は、
図13および
図14に示すように、上記第1実施形態の治具部品11に代えて、治具部品411を備えている。
【0105】
治具部品411は、第1特徴部411aおよび第2特徴部411bを含んでいる。第1特徴部411aおよび第2特徴部411bは、マークである。また、第1特徴部411aおよび第2特徴部411bは、光を透過しないように構成されている。第1特徴部411aおよび第2特徴部411bは、黒色を有している。また、治具部品411は、本体部411cを含んでいる。本体部411cは、薄い四角柱形状を有している。
【0106】
また、本体部411cは、第1特徴部411aが設けられている下面411dと、第2特徴部411bが設けられている側面411eとを有している。下面411dには、1つの第1特徴部411aが配置されている。具体的には、下面411dの中心に、第1特徴部411aが1つ配置されている。側面411eには、4つの第2特徴部411bが配置されている。具体的には、4つの側面411eの各々の中心に、第2特徴部411bが1つずつ配置されている。また、第1特徴部411aおよび第2特徴部411bは、第1撮像画像12および第2撮像画像13において、互いに重ならないように配置されている。また、本体部411cは、部品撮像部5の上面5aから高さ位置Hまでの距離よりも小さい厚みを有している。また、治具部品411は、ヘッド部31が第2撮像画像13に写り込むことを防止するための写り込み防止部411gをさらに含んでいる。なお、写り込み防止部411gの構成は、上記第3実施形態の写り込み防止部311gと同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0107】
また、第4実施形態では、治具部品411は、第2特徴部411bを部品撮像部5の焦点が合う位置に配置するためのミラー部411hをさらに含んでいる。ミラー部411hは、部品撮像部5による下方(Z2方向側)からの照明光を側方(側面411eおよび第2特徴部411b)に向かって反射(屈曲)させるように構成されている。ミラー部411hは、反射により部品撮像部5から第2特徴部411bまでの光路長を伸ばすことにより、第2特徴部411bを部品撮像部5の焦点が合う位置に配置するように構成されている。なお、
図14では、照明光を白抜きの矢印により模式的に示している。
【0108】
また、側面411eとミラー部411hとの間には、空間部411iが設けられている。部品撮像部5からの照明光は、空間部411iを介して、第2特徴部411bに向かっていく。なお、空間部411iに代えて、光を透過する材料により構成された光透過部が設けられてもよい。
【0109】
図12に示すように、第1特徴部411aの撮像は、上記第1実施形態と同様である。すなわち、制御部7は、治具部品411の下面411d(すなわち、第1特徴部411a)が部品撮像部5の焦点が合う高さ位置Hに配置されるように、ヘッド部31を制御する。そして、制御部7は、第1状態で照明部51により照明光を下方から照射しながら第1特徴部411aを下方から撮像するように、部品撮像部5を制御する。
【0110】
また、制御部7は、第1状態で第1撮像画像12を取得した後、部品撮像部5の光軸Oに沿って下降するように、ヘッド部31を制御する。すなわち、制御部7は、治具部品11を吸着したヘッド部31により、疑似的な実装動作を行う。また、第4実施形態では、制御部7は、ヘッド部31を下降させて部品撮像部5の上面5aの近傍に部品撮像部5の上面5aと非接触の状態で治具部品411を配置するように、ヘッド部31を制御する。なお、ヘッド部31は治具部品311を吸着した状態である。また、治具部品411の下面411dと部品撮像部5の上面5aとは、わずかな距離だけ互いに離間して非接触の状態で配置されている。
【0111】
第2状態は、第1状態からヘッド部31を下降させて、ヘッド部31に吸着されている治具部品411を部品撮像部5の上面5aの近傍に配置した状態である。また、第2状態は、ミラー部411hの作用により治具部品411の側面411e(すなわち、第2特徴部411b)が部品撮像部5の焦点が合う位置に配置された状態である。制御部7は、この第2状態で照明部51により照明光を下方から照射しながら第2特徴部11bを下方から撮像するように、部品撮像部5を制御する。
【0112】
なお、第4実施形態のその他の構成は、上記第1、第2または第3実施形態と同様である。
【0113】
(第4実施形態の効果)
第4実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0114】
第4実施形態では、上記のように、治具部品411は、第2特徴部411bを部品撮像部5の焦点が合う位置に配置するためのミラー部411hをさらに含む。これにより、治具部品411の厚みを薄くした場合にも、第2特徴部411bを部品撮像部5の焦点が合う位置に配置することができる。また、治具部品411の厚みを薄くした場合、第2特徴部411bを撮像する際のヘッド部31の高さ位置を、実際の部品Eが実装される際のヘッド部31の高さ位置により近づけることができるので、実装位置ずれ量をより精度よく取得することができる。
【0115】
なお、第4実施形態のその他の効果は、上記第1、第2または第3実施形態と同様である。
【0116】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0117】
たとえば、本発明では、上記第1~第4実施形態に記載された構成のうち、互いに適用可能な構成同士を組み合わせてもよい。たとえば、上記第2実施形態の治具部品の配置部を、第1、第3および第4実施形態の構成に組み合わせてもよい。また、たとえば、上記第2実施形態の滑り防止部を、上記第1実施形態の構成に組み合わせてもよい。
【0118】
また、上記第1~第4実施形態では、第1特徴部および第2特徴部がマークである例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1特徴部および第2特徴部が、角部や辺部などの治具部品の特徴的な形状部分であってもよい。また、第1特徴部および第2特徴部のいずれか一方が、マークであり、いずれか他方が特徴的な形状部分であってもよい。
【0119】
また、上記第1~第3実施形態では、4つの第1特徴部と1つの第2特徴部とを設ける例を示し、上記第4実施形態では、1つの第1特徴部と4つの第2特徴部とを設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、治具部品の中心位置を取得可能であれば、第1特徴部および第2特徴部の数、形状および配置などは、特に限定されない。
【0120】
また、上記第1~第3実施形態では、治具部品の本体部の内部に光を透過させて第2特徴部を撮像する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、
図16に示す第1変形例では、治具部品511は、下方(Z2方向側)から上方(Z1方向側)に向かって窪む凹形状の本体部511cを含んでいる。本体部511cは、有底筒形状を有している。また、本体部511cは、第1特徴部511aが設けられている凹形状の下端面としての第1面511dと、第2特徴部511bが設けられている凹形状の底面としての第2面511eとを有している。これにより、空間部511iを介して第2特徴部511bを撮像することができるので、本体部内に光を透過させて第2特徴部511bを撮像する場合(上記第1~第3実施形態の場合)と異なり、偏光や屈曲が発生することを回避することができる。これにより、偏光や屈曲に起因して第2特徴部511bが正確に撮像されないことを回避することができる。なお、第1変形例では、本体部511cは、高透過性の透明部材であってもよいし、高透過性の透明部材でなくてもよい。
【0121】
また、上記第4実施形態では、治具部品が第2特徴部を部品撮像部の焦点が合う位置に配置するためのミラー部を含んでいる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、
図17に示す第2変形例では、治具部品611が第2特徴部611bを部品撮像部5の焦点が合う位置に配置するための投影部611jを含んでいる。投影部611jは、透明部材611kと、レンズ部611lと、照明部611mとを有している。透明部材611kには、第1特徴部611aが設けられている。レンズ部611lは、第1特徴部611aを第2特徴部611bとして投影するために設けられている。照明部611mは、第1特徴部611aに光を照射するように構成されている。投影部611jは、照明部611mにより光を透明部材611kの第1特徴部611aに照射してレンズ部611lを通過させることにより、治具部品611から離間した所定位置に第2特徴部611bを第1特徴部611aの虚像として投影するように構成されている。投影部611jは、投影により部品撮像部5から第2特徴部611bまでの光路長を伸ばすことにより、第2特徴部611bを部品撮像部5の焦点が合う位置に配置するように構成されている。
【0122】
また、上記第1実施形態では、説明の便宜上、制御部の処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0123】
5 部品撮像部(撮像部)
5a 上面(撮像部の上面)
7 制御部
9 ノズル保管部
11、211、311、411、511、611 治具部品
11a、411a、511a、611a 第1特徴部
11b、411b、511b、611b 第2特徴部
11c、211c、311c、411c、511c 本体部
11d 上面
11e 下面
12 第1撮像画像
13 第2撮像画像
31 実装ヘッド
31a 吸着ノズル
100、200、300、400 部品実装装置
211f 滑り防止部
214 載置部
214b 上面(載置部の上面)
215 配置部
311g、411g 写り込み防止部
411h ミラー部
511d 第1面
511e 第2面
611j 投影部
E 部品
P 基板