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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177981
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】加工管理システム及び加工管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20231207BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20231207BHJP
   B23K 31/00 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
G06Q50/04
G05B19/418 Z
B23K31/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090980
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100136353
【弁理士】
【氏名又は名称】高尾 建吾
(72)【発明者】
【氏名】内藤 紀幸
(72)【発明者】
【氏名】北芝 寿至
(72)【発明者】
【氏名】山崎 雄幹
(72)【発明者】
【氏名】西岡 正行
(72)【発明者】
【氏名】萩原 光信
(72)【発明者】
【氏名】春名 晃宗
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA38
3C100BB03
3C100BB13
3C100BB15
3C100BB17
3C100BB33
3C100CC02
3C100DD05
5L049CC04
(57)【要約】
【課題】加工装置による加工作業に伴う加工情報と、作業者端末に入力される作業情報とを連携して管理することが可能な、加工管理システムを得る。
【解決手段】管理装置は、加工情報を加工情報収集装置から受信し、作業情報を作業者端末から受信する。管理装置が受信する加工情報及び作業情報には、加工装置によって加工作業を行う作業者と、作業者端末に作業情報を入力する作業者とを関連付けるための識別情報が付加されている。管理装置は、加工情報収集装置から受信した加工情報と、作業者端末から受信した作業情報とを、識別情報に基づいて作業者単位で管理する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者によって加工作業が行われる加工装置と、
前記加工作業に伴う加工情報を前記加工装置から収集する加工情報収集装置と、
作業開始情報及び作業終了情報を含む作業情報が作業者によって入力される作業者端末と、
管理装置と、
を備え、
前記管理装置は、
前記加工情報を前記加工情報収集装置から受信し、
前記作業情報を前記作業者端末から受信し、
前記管理装置が受信する前記加工情報及び前記作業情報には、前記加工装置によって前記加工作業を行う作業者と、前記作業者端末に前記作業情報を入力する作業者とを関連付けるための識別情報が付加されており、
前記加工情報収集装置から受信した前記加工情報と、前記作業者端末から受信した前記作業情報とを、前記識別情報に基づいて作業者単位で管理する、加工管理システム。
【請求項2】
前記識別情報は、作業者を識別するための作業者識別情報、前記作業者端末を識別するための端末識別情報、及び、前記加工情報収集装置を識別するための装置識別情報のいずれか一つである、請求項1に記載の加工管理システム。
【請求項3】
前記管理装置は、
前記作業開始情報が前記作業者端末に入力されたことにより、前記識別情報によって当該作業者端末に関連付けられている前記加工装置の運転禁止制御を解除し、
前記作業終了情報が前記作業者端末に入力されたことにより、前記識別情報によって当該作業者端末に関連付けられている前記加工装置の運転禁止制御を開始する、請求項1に記載の加工管理システム。
【請求項4】
前記管理装置は、予め設定された計画情報又は前記作業者端末から受信した制御情報に基づいて、前記識別情報によって当該作業者端末に関連付けられている前記加工情報収集装置の運転モードを制御する、請求項1に記載の加工管理システム。
【請求項5】
前記加工装置は、作業者によって溶接作業が行われる溶接機であり、
前記運転モードは、作業者による前記溶接作業の速度を計測するための溶接速度計測モードである、請求項4に記載の加工管理システム。
【請求項6】
前記管理装置は、前記溶接速度計測モードにおいて前記加工情報収集装置が計測した前記溶接作業の速度を示す計測結果情報を、前記識別情報によって当該加工情報収集装置に関連付けられている前記作業者端末に送信する、請求項5に記載の加工管理システム。
【請求項7】
作業者によって前記加工作業が行われていない期間内に前記加工情報収集装置が前記加工装置から収集した前記加工情報に対して、所定の間引き処理を実行し、当該間引き処理の実行後の前記加工情報を前記管理装置に送信する情報処理装置をさらに備える、請求項1に記載の加工管理システム。
【請求項8】
前記加工装置は、作業者によって溶接作業が行われる溶接機であり、
前記管理装置は、
前記作業者端末から受信した前記作業情報に含まれる前記作業開始情報で示される作業開始時刻から、前記作業者端末から受信した前記作業情報に含まれる前記作業終了情報で示される作業終了時刻までの経過時間に対する、当該経過時間内における前記溶接機の稼働時間の合計時間の割合として、前記溶接機の稼働率を算出する、請求項1に記載の加工管理システム。
【請求項9】
作業者によって加工作業が行われる加工装置と、前記加工作業に伴う加工情報を前記加工装置から収集する加工情報収集装置と、作業者によって作業情報が入力される作業者端末と、管理装置と、を備える加工管理システムにおける、加工管理方法であって、
前記管理装置が、
前記加工情報を前記加工情報収集装置から受信し、
作業開始情報及び作業終了情報を含む前記作業情報を前記作業者端末から受信し、
前記管理装置が受信する前記加工情報及び前記作業情報には、前記加工装置によって前記加工作業を行う作業者と、前記作業者端末に前記作業情報を入力する作業者とを関連付けるための識別情報が付加されており、
前記加工情報収集装置から受信した前記加工情報と、前記作業者端末から受信した前記作業情報とを、前記識別情報に基づいて作業者単位で管理する、加工管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加工管理システム及び加工管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された溶接システムでは、溶接士に対応するIDが、溶接装置及び溶接データ記録装置に付されている。溶接データ記録装置は、溶接士毎の溶接データを収集し、収集した溶接データを溶接データ管理装置に送信する。溶接データ管理装置は、受信した溶接士毎の溶接データを一括管理する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6260937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、溶接データ記録装置から受信した溶接データを、作業者端末から受信した作業情報と連携させることについて、何ら検討されていない。
【0005】
本開示は、加工装置による加工作業に伴う加工情報と、作業者端末に入力される作業情報とを連携して管理することが可能な、加工管理システム及び加工管理方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る加工管理システムは、作業者によって加工作業が行われる加工装置と、前記加工作業に伴う加工情報を前記加工装置から収集する加工情報収集装置と、作業開始情報及び作業終了情報を含む作業情報が作業者によって入力される作業者端末と、管理装置と、を備え、前記管理装置は、前記加工情報を前記加工情報収集装置から受信し、前記作業情報を前記作業者端末から受信し、前記管理装置が受信する前記加工情報及び前記作業情報には、前記加工装置によって前記加工作業を行う作業者と、前記作業者端末に前記作業情報を入力する作業者とを関連付けるための識別情報が付加されており、前記加工情報収集装置から受信した前記加工情報と、前記作業者端末から受信した前記作業情報とを、前記識別情報に基づいて作業者単位で管理する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、管理装置が受信する加工情報及び作業情報には、加工装置によって加工作業を行う作業者と、作業者端末に作業情報を入力する作業者とを関連付けるための識別情報が付加されており、管理装置は、加工情報収集装置から受信した加工情報と、作業者端末から受信した作業情報とを、識別情報に基づいて作業者単位で管理する。これにより、加工情報と作業情報とを識別情報に基づいて連携して管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の第1実施形態に係る加工管理システムの全体構成を簡略化して示す図である。
図2】計画情報の一例を簡略化して示す図である。
図3】データベースの一例を簡略化して示す図である。
図4】実績情報の一例を簡略化して示す図である。
図5】本開示の第2実施形態の第1の例に係る加工管理システムの全体構成を簡略化して示す図である。
図6】本開示の第2実施形態の第2の例に係る加工管理システムの全体構成を簡略化して示す図である。
図7】本開示の第3実施形態に係る加工管理システムの全体構成を簡略化して示す図である。
図8】データベースの一例を簡略化して示す図である。
図9】本開示の第4実施形態に係る加工管理システムの全体構成を簡略化して示す図である。
図10】データベースの一例を簡略化して示す図である。
図11】計画情報の一例を簡略化して示す図である。
図12】溶接速度の計測結果の表示例を示す図である。
図13】本開示の第5実施形態に係る加工管理システムの全体構成を簡略化して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。以下で説明する複数の実施形態は、任意に組み合わせて適用することが可能である。
【0010】
<第1実施形態>
[システム構成]
図1は、本開示の第1実施形態に係る加工管理システム1の全体構成を簡略化して示す図である。加工管理システム1は、加工装置11、加工情報収集装置12、作業者端末13、及び管理装置14を備えている。また、加工管理システム1は、作業者情報収集装置15A及び表示装置16を備えている。加工情報収集装置12、作業者端末13、管理装置14、及び表示装置16は、インターネット又はイントラネット等の任意の通信ネットワーク17に接続されている。
【0011】
加工装置11は、作業者によって加工作業が行われる任意の加工装置であり、以下の例では溶接機である。
【0012】
加工情報収集装置12は、マイクロコントローラ等を備えて構成されている。加工情報収集装置12は、加工作業に伴う加工情報D1を加工装置11から収集する。
【0013】
バーコードリーダ等を備えた作業者情報収集装置15Aは、作業者毎に付与された作業者ID等の作業者識別情報D2Aを、作業者が所持するバーコード等から読み取って加工情報収集装置12に入力する。但し、作業者識別情報D2Aの取得は、バーコードからの読み取りに限らず、QRコード(登録商標)からの読み取り又は手入力による方法であっても良い。後述する他の実施形態についても同様である。
【0014】
加工情報収集装置12は、加工情報D1に作業者識別情報D2Aを付加することによって加工情報D3を生成し、生成した加工情報D3を、通信ネットワーク17を介して管理装置14に送信する。
【0015】
作業者端末13は、作業者が所持するスマートフォン又はタブレット等の携帯機器である。作業者端末13は、液晶ディスプレイ等の表示部41と、タッチパネル等の入力部42と、IP通信モジュール等の通信部43と、半導体メモリ等の記憶部44とを備えている。作業者端末13は、作業開始情報及び作業終了情報を含む作業情報D4を、通信ネットワーク17を介して管理装置14に送信する。作業者は、自身に付与されている作業者ID等の作業者識別情報の入力操作を、入力部42によって行う。記憶部44は、入力された作業者識別情報を保持する。また、作業者は、加工装置11を用いた作業を開始する前に、表示部41に表示された作業開始アイコンをタップする等の入力操作を、入力部42によって行う。通信部43は、作業開始情報及び作業者識別情報を含む作業情報D4を、通信ネットワーク17を介して管理装置14に送信する。作業開始情報は、作業開始時刻を示す時刻情報を含む。さらに、作業者は、加工装置11を用いた作業を終了した後に、表示部41に表示された作業終了アイコンをタップする等の入力操作を、入力部42によって行う。通信部43は、作業終了情報及び作業者識別情報を含む作業情報D4を、通信ネットワーク17を介して管理装置14に送信する。作業終了情報は、作業終了時刻を示す時刻情報を含む。
【0016】
管理装置14は、クラウドサーバ又はオンプレミスサーバ等であり、データ処理部21、記憶部22、及び通信部23を備えている。データ処理部21は、CPU等のプロセッサを備えて構成されている。記憶部22は、HDD、SSD、又は半導体メモリ等を備えて構成されている。通信部23は、IP通信モジュール等を備えて構成されている。記憶部22は、計画情報31、データベース32、及び実績情報33を保持している。
【0017】
通信部23は、加工情報D3を加工情報収集装置12から受信し、作業情報D4を作業者端末13から受信する。通信部23が受信した加工情報D3及び作業情報D4には、作業者ID等の作業者識別情報が付加されている。作業者識別情報は、加工装置11によって加工作業を行う作業者と、作業者端末13に作業情報D4を入力する作業者とを関連付けるための識別情報である。当該識別情報によって、作業者端末13と加工装置11又は加工情報収集装置12とが、作業者を介して関連付けられる。管理装置14は、加工情報収集装置12から受信した加工情報D3と、作業者端末13から受信した作業情報D4とを、作業者識別情報に基づいて作業者単位で管理する。
【0018】
表示装置16は、液晶ディスプレイ等を備えて構成されている。
【0019】
[動作]
管理者等は、加工装置11を用いた例えば1日分の作業の計画情報31を作成し、作業を行う作業者に付与されている作業者ID等の作業者識別情報を計画情報31に付加して、管理装置14に入力する。記憶部22は、入力された計画情報31を保持する。
【0020】
作業者は、加工装置11を用いた作業を開始する前に、自身に付与されている作業者ID等の作業者識別情報の入力操作を、作業者端末13の入力部42によって行う。記憶部44は、入力された作業者識別情報を保持する。
【0021】
次に、作業者端末13の通信部43は、入力された作業者識別情報と同一の作業者識別情報が付加されている計画情報31を、管理装置14から通信ネットワーク17を介して受信する。記憶部44は、受信した計画情報31を保持する。
【0022】
図2は、記憶部22が保持する計画情報31の一例を簡略化して示す図である。計画情報31には、作業を行う作業者の作業者識別情報として、作業者IDが関連付けられている。計画情報31において、時刻T11~T12は溶接前準備作業の実行期間であり、時刻T12~T15,T16~T19は溶接作業の実行期間であり、時刻T15~T16は溶接に関連しない別作業の実行期間である。これらの期間は、作業を行う作業者に割り当てられる。溶接前準備作業には、溶接作業の実行速度を予め計測するための溶接速度の計測作業が含まれる。溶接作業には、溶接電流及び溶接電圧の印加により溶接機を稼働させて対象の継手を溶接する実際の溶接作業と、溶接した継手の溶接状態を確認する作業等の付随作業とが含まれる。また、計画情報31には、実際の溶接作業と付随作業とを区分する時刻(T13),(T14),(T17),(T18)が、参考情報として含まれる。時刻T12~(T13),(T14)~T15,(T17)~(T18)は実際の溶接作業の実行期間であり、時刻(T13)~(T14),T16~(T17),(T18)~T19は付随作業の実行期間である。アーク溶接においては、実際の溶接作業の実行期間はアーク放電期間に相当する。
【0023】
また、作業者は、自身の作業者IDが記録されているバーコードを、作業者情報収集装置15Aのバーコードリーダに読み取らせる。作業者情報収集装置15Aは、読み取った作業者ID等の作業者識別情報D2Aを、加工情報収集装置12に入力する。加工情報収集装置12は、入力された作業者識別情報D2Aを保持する。
【0024】
次に、作業者は、計画情報31に基づいて作業者端末13の表示部41に表示される作業順番に従って、作業を実施する。作業を開始するにあたり、作業者は、作業者端末13の表示部41に作業開始アイコンを表示させ、表示された作業開始アイコンをタップする等の入力操作を、入力部42によって行う。通信部43は、入力された作業開始情報と、記憶部44から読み出した作業者識別情報とを含む作業情報D4を、通信ネットワーク17を介して管理装置14に送信する。作業開始情報は、作業開始時刻を示す時刻情報を含む。作業開始時刻は、作業者によって作業開始アイコンのタップ操作が行われた時刻に相当する。管理装置14の通信部23は、作業情報D4を作業者端末13から受信する。通信部23は、受信した作業情報D4を記憶部22に入力する。記憶部22は、入力された作業情報D4をデータベース32に格納する。
【0025】
加工装置11は、加工作業に伴う加工情報D1を出力する。加工情報D1には、アーク放電のオン又はオフ等の溶接機の状態情報、及び、溶接電流の電流値又は溶接電圧の電圧値等の情報が含まれる。
【0026】
加工情報収集装置12は、加工装置11から入力された加工情報D1に、自身が保持している作業者識別情報D2Aと自身で生成した日時等の時刻情報とを付加することによって、加工情報D3を生成する。加工情報収集装置12は、生成した加工情報D3を、毎秒1回等の一定の時間間隔で、通信ネットワーク17を介して管理装置14に送信する。管理装置14の通信部23は、加工情報D3を加工情報収集装置12から受信する。通信部23は、受信した加工情報D3を記憶部22に入力する。記憶部22は、入力された加工情報D3をデータベース32に格納する。
【0027】
加工装置11を用いた加工作業が終了すると、作業者は、作業者端末13の表示部41に作業終了アイコンを表示させ、表示された作業終了アイコンをタップする等の入力操作を、入力部42によって行う。通信部43は、入力された作業終了情報と、記憶部44から読み出した作業者識別情報とを含む作業情報D4を、通信ネットワーク17を介して管理装置14に送信する。作業終了情報は、作業終了時刻を示す時刻情報を含む。作業終了時刻は、作業者によって作業終了アイコンのタップ操作が行われた時刻に相当する。管理装置14の通信部23は、作業情報D4を作業者端末13から受信する。通信部23は、受信した作業情報D4を記憶部22に入力する。記憶部22は、入力された作業情報D4をデータベース32に格納する。
【0028】
図3は、記憶部22が保持するデータベース32の一例を簡略化して示す図である。データベース32は、作業者ID等の作業者識別情報D2Aによって関連付けられた、加工情報D3と作業情報D4とを含む。加工情報D3には、日時等の時刻情報、アーク放電のオン又はオフ等の溶接機の状態情報、及び、溶接電流の電流値又は溶接電圧の電圧値等の情報が含まれる。作業情報D4には、作業開始時刻、作業終了時刻、製造番号、及び、作業対象の継手番号等の情報が含まれる。
【0029】
データ処理部21は、作業終了後に記憶部22が保持しているデータベース32に基づいて実績情報33を作成し、作成した実績情報33を記憶部22に記憶する。これにより、記憶部22は作業者識別情報に関連付けて実績情報33を保持する。
【0030】
図4は、記憶部22が保持する実績情報33の一例を簡略化して示す図である。実績情報33には、当該実績情報33に対応する作業者の作業者識別情報として、作業者IDが関連付けられている。実績情報33において、時刻T21は溶接前準備作業の作業開始時刻に相当する。時刻T22は、溶接前準備作業の作業終了時刻かつ1回目の溶接作業の作業開始時刻に相当する。時刻T25は1回目の溶接作業の作業終了時刻に相当する。また、時刻T26は2回目の溶接作業の作業開始時刻に相当し、時刻T29は2回目の溶接作業の作業終了時刻に相当する。また、実績情報33において、時刻T23~T24,T26~T27,T28~T29の各期間は、溶接作業に関連する付随作業の実行期間である。付随作業には、溶接した継手の溶接状態を確認する作業等が含まれる。時刻T22~T23,T24~T25,T27~T28の各期間は、溶接電流及び溶接電圧の印加により溶接機を稼働させて対象の継手を溶接する実際の溶接作業の実行期間である。アーク溶接においては、実際の溶接作業の実行期間はアーク放電期間に相当する。このように、実績情報33において、時刻T22~T23,T24~T25,T27~T28に相当する実際の溶接作業の実行期間と、時刻T23~T24,T26~T27,T28~T29に相当する付随作業の実行期間とを、明確に区分できる。時刻T25~T26は、溶接作業に関連しない別作業の実行期間である。
【0031】
また、データ処理部21は、作業開始時刻T22から作業終了時刻T25までの経過時間に対する、当該経過時間内における溶接機の稼働時間の合計時間の割合として、1回目の溶接作業に関する溶接機の稼働率を算出する。アーク溶接において、稼働率はアークタイム率に相当する。1回目の溶接作業における溶接機の稼働時間は、時刻T22から時刻T23までの経過時間と、時刻T24から時刻T25までの経過時間との合計時間である。また、データ処理部21は、作業開始時刻T26から作業終了時刻T29までの経過時間に対する、当該経過時間内における溶接機の稼働時間の合計時間の割合として、2回目の溶接作業に関する溶接機の稼働率を算出する。2回目の溶接作業における溶接機の稼働時間は、時刻T27から時刻T28までの経過時間である。なお、データ処理部21は、複数回の溶接作業をまとめて稼働率を算出しても良い。
【0032】
通信部23は、記憶部22が保持している計画情報31及び実績情報33を、通信ネットワーク17を介して表示装置16に送信する。表示装置16は、受信した計画情報31及び実績情報33を並べて表示する。これにより、管理者等は、計画情報31及び実績情報33を比較することによって、作業効率を向上するための対策を作業者単位で講じることができる。また、通信部23は、データ処理部21が算出した溶接機の稼働率を示す情報を、通信ネットワーク17を介して表示装置16に送信する。表示装置16は、受信した情報で示される溶接機の稼働率を表示する。これにより、管理者等は、溶接機の稼働率を作業者単位で管理することができる。
【0033】
[作用効果]
本実施形態によれば、管理装置14が受信する加工情報D3及び作業情報D4には、加工装置11によって加工作業を行う作業者と、作業者端末13に作業情報を入力する作業者とを関連付けるための作業者ID等の作業者識別情報が付加されている。そして、管理装置14は、加工情報収集装置12から受信した加工情報D3と、作業者端末13から受信した作業情報D4とを、作業者識別情報に基づいて作業者単位で管理する。これにより、加工情報D3と作業情報D4とを作業者識別情報に基づいて連携して管理することができる。
【0034】
また、本実施形態によれば、作業者ID等の作業者識別情報によって、作業者単位での管理が可能となる。
【0035】
また、本実施形態によれば、溶接機の稼働率の算出において、溶接作業に関連しない別作業の実行期間である時刻T25~T26の期間を計算式の分母から除外できるため、溶接機の稼働率を高精度に算出できる。
【0036】
<第2実施形態>
図5は、本開示の第2実施形態の第1の例に係る加工管理システム1の全体構成を簡略化して示す図である。図1に示した作業者情報収集装置15Aに代えて、端末情報収集装置15Bが実装されている。第1実施形態では作業者毎に付与された作業者IDが作業者識別情報として使用されたが、本実施形態の第1の例では作業者端末13毎に付与された端末IDが端末識別情報として使用される。
【0037】
作業者は、加工装置11を用いた作業を開始する前に、自身に付与されている作業者ID等の作業者識別情報の入力操作を、作業者端末13の入力部42によって行う。記憶部44は、入力された作業者IDを保持する。次に、作業者端末13の通信部43は、入力された作業者識別情報と同一の作業者識別情報が付加されている計画情報31を、管理装置14から通信ネットワーク17を介して受信する。記憶部44は、受信した計画情報31を保持する。また、作業者端末13の端末IDは、予め記憶部44に格納されている。作業者端末13は、記憶部44から読み出した端末ID及び作業者IDを含む作業情報D4を、通信ネットワーク17を介して管理装置14に送信する。
【0038】
作業者端末13は、自身の端末IDを記録したバーコードを表示部41に表示することができる。あるいは、作業者端末13の端末IDを記録したバーコードのシールが、作業者端末13の裏面に貼付されている。端末情報収集装置15Bは、作業者端末13毎に付与された端末ID等の端末識別情報D2Bを、これらのバーコードから読み取って加工情報収集装置12に入力する。加工情報収集装置12は、加工情報D1に端末識別情報D2Bと自身で生成した日時等の時刻情報とを付加することによって加工情報D3を生成し、生成した加工情報D3を、通信ネットワーク17を介して管理装置14に送信する。
【0039】
通信部23は、加工情報D3を加工情報収集装置12から受信し、作業情報D4を作業者端末13から受信する。通信部23が受信した加工情報D3には端末IDが付加されており、通信部23が受信した作業情報D4には端末ID及び作業者IDが付加されている。管理装置14は、同一の端末IDが付加されている加工情報D3と作業情報D4とを作業者IDに関連付けることにより、加工情報D3及び作業情報D4を作業者単位で管理する。
【0040】
図6は、本開示の第2実施形態の第2の例に係る加工管理システム1の全体構成を簡略化して示す図である。図1に示した作業者情報収集装置15Aが省略されている。また、作業者端末13はカメラ45を有する。第1実施形態では作業者毎に付与された作業者IDが作業者識別情報として使用されたが、本実施形態の第2の例では加工情報収集装置12毎に付与された装置IDが装置識別情報として使用される。加工情報収集装置12の装置IDを記録したバーコードのシールが、加工情報収集装置12の筐体に貼付されている。
【0041】
作業者は、加工装置11を用いた作業を開始する前に、自身に付与されている作業者ID等の作業者識別情報の入力操作を、作業者端末13の入力部42によって行う。記憶部44は、入力された作業者IDを保持する。次に、作業者端末13の通信部43は、入力された作業者識別情報と同一の作業者識別情報が付加されている計画情報31を、管理装置14から通信ネットワーク17を介して受信する。記憶部44は、受信した計画情報31を保持する。次に、作業者は、加工情報収集装置12に貼付されているバーコードを、作業者端末13のカメラ45によって撮影する。これにより、加工情報収集装置12の装置IDが取得される。記憶部44は、取得された装置IDを保持する。作業者端末13は、記憶部44から読み出した装置ID及び作業者IDを含む作業情報D4を、通信ネットワーク17を介して管理装置14に送信する。
【0042】
加工情報収集装置12は、加工装置11から入力された加工情報D1に自身の装置IDと自身で生成した日時等の時刻情報とを付加して、通信ネットワーク17を介して管理装置14に送信する。
【0043】
通信部23は、加工情報D1を加工情報収集装置12から受信し、作業情報D4を作業者端末13から受信する。通信部23が受信した加工情報D1には装置IDが付加されており、通信部23が受信した作業情報D4には装置ID及び作業者IDが付加されている。管理装置14は、同一の装置IDが付加されている加工情報D1と作業情報D4とを作業者IDに関連付けることにより、加工情報D1及び作業情報D4を作業者単位で管理する。
【0044】
その他の構成及び動作については第1実施形態と同様であるため、重複した説明は省略する。
【0045】
本実施形態によれば、端末ID又は装置ID等の作業者識別情報によって、作業者単位での管理が可能となる。
【0046】
<第3実施形態>
図7は、本開示の第3実施形態に係る加工管理システム1の全体構成を簡略化して示す図である。また、図8は、記憶部22が保持するデータベース32の一例を簡略化して示す図である。本実施形態に係るデータベース32は、加工情報及び作業情報に加えて、連携フラグ情報を含む。連携フラグ情報は、作業者ID等の作業者識別情報によって、加工情報及び作業情報に関連付けられている。
【0047】
連携フラグ情報の値が「0」である場合、作業者IDに関連付けられている加工情報収集装置12は、当該加工情報収集装置12に接続されている加工装置11の運転禁止制御を実行する。加工情報収集装置12が制御信号D5によって加工装置11の運転禁止制御を実行することにより、加工装置11は運転不能の状態となる。つまり、加工装置11のインターロックが設定された状態となる。初期状態では、連携フラグ情報の値は「0」である。
【0048】
一方、連携フラグ情報の値が「1」である場合、作業者IDに関連付けられている加工情報収集装置12は、当該加工情報収集装置12に接続されている加工装置11の運転禁止制御を解除する。加工情報収集装置12が制御信号D5によって加工装置11の運転禁止制御を解除することにより、加工装置11は運転可能の状態となる。つまり、加工装置11のインターロックが解除された状態となる。
【0049】
作業者は、加工装置11を用いた作業を開始する前に、自身に付与されている作業者ID等の作業者識別情報の入力操作を、作業者端末13の入力部42によって行う。記憶部44は、入力された作業者IDを保持する。次に、作業者端末13の通信部43は、入力された作業者識別情報と同一の作業者識別情報が付加されている計画情報31を、管理装置14から通信ネットワーク17を介して受信する。記憶部44は、受信した計画情報31を保持する。次に、作業者は、作業者端末13の表示部41に作業開始アイコンを表示させ、表示された作業開始アイコンをタップする等の入力操作を、入力部42によって行う。通信部43は、入力された作業開始情報と、記憶部44から読み出した作業者識別情報とを含む作業情報D4を、通信ネットワーク17を介して管理装置14に送信する。管理装置14の通信部23は、作業情報D4を作業者端末13から受信する。通信部23は、受信した作業情報D4を記憶部22に入力する。記憶部22は、入力された作業情報D4をデータベース32に格納する。また、データ処理部21は、作業開始情報を含む作業情報D4を通信部23が受信したことにより、データベース32の連携フラグ情報の値を、「0」から「1」に書き換える。
【0050】
加工装置11を用いた加工作業が終了すると、作業者は、作業者端末13の表示部41に作業終了アイコンを表示させ、表示された作業終了アイコンをタップする等の入力操作を、入力部42によって行う。通信部43は、入力された作業終了情報と、記憶部44から読み出した作業者識別情報とを含む作業情報D4を、通信ネットワーク17を介して管理装置14に送信する。管理装置14の通信部23は、作業情報D4を作業者端末13から受信する。通信部23は、受信した作業情報D4を記憶部22に入力する。記憶部22は、入力された作業情報D4をデータベース32に格納する。また、データ処理部21は、作業終了情報を含む作業情報D4を通信部23が受信したことにより、データベース32の連携フラグ情報の値を、「1」から「0」に書き換える。
【0051】
加工情報収集装置12は、毎秒1回等の一定の時間間隔で、加工情報D3を管理装置14に送信する。また、加工情報収集装置12は、ポーリング制御によって規定された毎秒1回等の一定の時間間隔で、データベース32の連携フラグ情報の値を確認する。加工情報収集装置12は、連携フラグ情報の値が「0」である場合は、制御信号D5によって加工装置11の運転禁止制御を実行し、連携フラグ情報の値が「1」である場合は、制御信号D5によって加工装置11の運転禁止制御を解除する。但し、ポーリング制御によって加工情報収集装置12がデータベース32の連携フラグ情報の値を確認する制御に代えて、管理装置14から加工情報収集装置12に加工装置11の制御命令をリアルタイムで送信する制御を行っても良い。
【0052】
その他の構成及び動作については第1実施形態と同様であるため、重複した説明は省略する。
【0053】
本実施形態によれば、作業開始情報が作業者端末13に入力されたことによって、管理装置14は加工情報収集装置12を通じて加工装置11の運転禁止制御を解除し、作業終了情報が作業者端末13に入力されたことによって、管理装置14は加工情報収集装置12を通じて加工装置11の運転禁止制御を開始する。従って、加工装置11の運転禁止制御の解除及び開始を簡易に制御できるとともに、作業者による作業開始情報の入力漏れを防止できる。
【0054】
<第4実施形態>
図9は、本開示の第4実施形態に係る加工管理システム1の全体構成を簡略化して示す図である。また、図10は、記憶部22が保持するデータベース32の一例を簡略化して示す図である。本実施形態に係るデータベース32は、加工情報及び作業情報に加えて、連携フラグ情報を含む。連携フラグ情報は、作業者ID等の作業者識別情報によって、加工情報及び作業情報に関連付けられている。
【0055】
本実施形態では、連携フラグ情報の値を含めて計画情報31が予め設定され、計画情報31に基づいて加工情報収集装置12の運転モードが制御される構成とする。
【0056】
図11は、計画情報31の一例を簡略化して示す図である。計画情報31は、作業者の作業者識別情報として、作業者IDが関連付けられている。計画情報31において、時刻T11~T12は溶接前準備作業の実行期間であり、時刻T12~T15,T16~T19は溶接作業の実行期間であり、時刻T15~T16は溶接に関連しない別作業の実行期間である。溶接前準備作業には、溶接作業の実行速度を予め計測するための溶接速度の計測作業が含まれる。溶接作業には、溶接電流及び溶接電圧の印加により溶接機を稼働させて対象の継手を溶接する実際の溶接作業と、溶接した継手の溶接状態を確認する作業等の付随作業とが含まれる。また、計画情報31には、実際の溶接作業と付随作業とを区分する時刻(T13),(T14),(T17),(T18)が参考情報として含まれる。図11に示した例では、連携フラグ情報の値は、時刻T11~T12の期間に対応して「2」に設定され、時刻T12~T15,T16~T19の期間に対応して「1」に設定され、時刻T15~T16の期間に対応して「0」に設定されている。
【0057】
加工情報収集装置12は、複数の運転モードを有している。本実施形態の例において、複数の運転モードには、加工装置11の運転禁止モード、加工装置11の運転許可モード、溶接速度計測モード、及び温度計測モードが含まれる。加工情報収集装置12の運転モードは、データベース32の連携フラグ情報の値によって制御される。連携フラグ情報の値は、計画情報31に予め設定されている。管理装置14のデータ処理部21は、計画情報31に従ってデータベース32の連携フラグ情報の値を設定し、加工情報収集装置12は、データベース32の連携フラグ情報の値に従って、自身の運転モードを制御する。つまり、管理装置14は、データベース32の連携フラグ情報の値を計画情報31に従って設定することにより、作業者識別情報によって関連付けられている加工情報収集装置12の運転モードを制御する。なお、データベース32の連携フラグ情報の初期値は「0」に設定されている。
【0058】
計画情報31において、加工情報収集装置12の運転モードとして加工装置11の運転禁止モードが設定されている場合は、データ処理部21は、データベース32の連携フラグ情報の値を「0」に設定する。
【0059】
計画情報31において、加工情報収集装置12の運転モードとして加工装置11の運転許可モードが設定されている場合は、データ処理部21は、データベース32の連携フラグ情報の値を「1」に設定する。
【0060】
計画情報31において、加工情報収集装置12の運転モードとして溶接速度計測モードが設定されている場合は、データ処理部21は、データベース32の連携フラグ情報の値を「2」に設定する。溶接速度計測モードは、作業者による溶接作業の速度を予め計測する動作モードである。
【0061】
計画情報31において、加工情報収集装置12の運転モードとして温度計測モードが設定されている場合は、データ処理部21は、データベース32の連携フラグ情報の値を「3」に設定する。温度計測モードは、溶接対象のパス間温度等を計測する動作モードである。
【0062】
なお、連携フラグ情報の値をさらに設定可能とすることにより、加工情報収集装置12は、上記以外の他の動作モードに設定可能であっても良い。
【0063】
加工情報収集装置12は、毎秒1回等の一定の時間間隔で、加工情報D3を管理装置14に送信する。また、加工情報収集装置12は、ポーリング制御によって規定された毎秒1回等の一定の時間間隔で、データベース32の連携フラグ情報の値を確認し、連携フラグ情報の値に応じて自身の運転モードを制御する。なお、ポーリング制御に代えて、管理装置14から加工情報収集装置12に、運転モードを設定するための制御信号D7をリアルタイムで送信する制御を行っても良い。
【0064】
図10に示した例のように連携フラグ情報の値が「2」に設定されている場合には、加工情報収集装置12は運転モードを溶接速度計測モードに設定する。
【0065】
溶接速度計測モードによって作業者の溶接速度が計測されると、加工情報収集装置12は、計測した溶接作業の速度を示す計測結果情報S8を、作業者ID等の作業者識別情報とともに管理装置14に送信する。管理装置14は、受信した計測結果情報S8を、作業者識別情報によって関連付けられている作業者端末13に送信する。計測結果情報S8で示される溶接速度の計測結果は、作業者端末13の表示部41に表示される。
【0066】
図12は、溶接速度の計測結果の表示例を示す図である。この例では、30cm/minなる溶接速度の計測結果が、作業者端末13の表示部41に表示されている。
【0067】
なお、以上の説明では、連携フラグ情報の値を含めて計画情報31が予め設定され、計画情報31に基づいて加工情報収集装置12の運転モードが制御された。この例に限らず、計画情報31と連携せずに加工情報収集装置12の運転モードを制御する構成であっても良い。以下、その一例について説明する。
【0068】
作業者端末13に、「溶接前準備作業」、「溶接作業」、及び「溶接に関連しない別作業」の3つの作業メニューを予め機能として実装しておく。それぞれ連携フラグ情報の設定値を「2」,「1」,「0」とする。設定値「0」は運転禁止モードに対応する。作業者は、自身に付与されている作業者ID等の作業者識別情報の入力操作を、作業者端末13の入力部42によって行う。また、作業者は、作業者端末13の表示部41に3つの作業メニューのアイコンを表示させ、タップ等の操作によって作業を選択する。作業が選択されると、表示部41に作業開始アイコンが表示される。作業者は、表示された作業開始アイコンをタップする等の入力操作を、入力部42によって行う。通信部43は、入力された作業開始情報と、記憶部44から読み出した作業者識別情報とを含む作業情報D4を、通信ネットワーク17を介して管理装置14に送信する。また、通信部43は、3つの作業メニューの中から選択された作業を示す制御情報D6を、通信ネットワーク17を介して管理装置14に送信する。管理装置14は、受信した制御情報D6で設定されている作業に対応させて、データベース32の連携フラグ情報の値を設定する。また、表示部41に表示された作業終了アイコンのタップ等の操作に関しては、運転禁止モードに対応させて、データベース32の連携フラグ情報の値を「0」に設定する。
【0069】
その他の構成及び動作については第1実施形態と同様であるため、重複した説明は省略する。
【0070】
本実施形態によれば、管理装置14は、計画情報31に予め設定されている連携フラグ情報に基づいて、又は、作業者端末13から入力された制御情報D6で示される作業選択情報に基づいて、加工情報収集装置12の運転モードを制御する。これにより、加工情報収集装置12の運転モードの遠隔制御を簡易に実現できる。
【0071】
また、本実施形態によれば、溶接速度計測モードの遠隔制御を簡易に実現できる。
【0072】
また、本実施形態によれば、作業者は、溶接速度計測モードによって計測された溶接速度の計測結果を、作業者端末13の表示部41上で確認できる。
【0073】
<第5実施形態>
図13は、本開示の第5実施形態に係る加工管理システム1の全体構成を簡略化して示す図である。図1に示した加工管理システム1に対して情報処理装置18が追加されている。情報処理装置18は、例えばパーソナルコンピュータ等である。
【0074】
情報処理装置18には、加工情報収集装置12から加工情報D3が入力される。情報処理装置18は、加工装置11によって溶接作業が実行されていない期間内に加工情報収集装置12から入力された加工情報D3に対して、所定のデータ間引き処理を実行する。例えば、毎秒1回のデータ送信による1分間あたり60個の加工情報D3のうち、最初の10個の加工情報D3のみを残し、残りの50個の加工情報D3を削除する間引き処理を実行する。情報処理装置18は、間引き処理の実行後の加工情報D3Sを、通信ネットワーク17を介して管理装置に送信する。
【0075】
一方、情報処理装置18は、加工装置11によって溶接作業が実行されている期間内に加工情報収集装置12から入力された加工情報D3に対しては、上記間引き処理を実行することなく、入力された加工情報D3をそのまま通信ネットワーク17を介して管理装置に送信する。
【0076】
その他の構成及び動作については第1実施形態と同様であるため、重複した説明は省略する。
【0077】
本実施形態によれば、情報処理装置18は間引き処理の実行後の加工情報D3Sを管理装置14に送信するため、加工情報D3の通信及び記憶に伴う管理装置14の負荷を削減できる。
【0078】
<本開示のまとめ>
以上説明した本開示の実施形態をまとめると、以下のとおりである。
【0079】
本開示の第1の態様に係る加工管理システムは、作業者によって加工作業が行われる加工装置と、前記加工作業に伴う加工情報を前記加工装置から収集する加工情報収集装置と、作業開始情報及び作業終了情報を含む作業情報が作業者によって入力される作業者端末と、管理装置と、を備え、前記管理装置は、前記加工情報を前記加工情報収集装置から受信し、前記作業情報を前記作業者端末から受信し、前記管理装置が受信する前記加工情報及び前記作業情報には、前記加工装置によって前記加工作業を行う作業者と、前記作業者端末に前記作業情報を入力する作業者とを関連付けるための識別情報が付加されており、前記加工情報収集装置から受信した前記加工情報と、前記作業者端末から受信した前記作業情報とを、前記識別情報に基づいて作業者単位で管理する。
【0080】
本態様によれば、管理装置が受信する加工情報及び作業情報には、加工装置によって加工作業を行う作業者と、作業者端末に作業情報を入力する作業者とを関連付けるための識別情報が付加されており、管理装置は、加工情報収集装置から受信した加工情報と、作業者端末から受信した作業情報とを、識別情報に基づいて作業者単位で管理する。これにより、加工情報と作業情報とを識別情報に基づいて連携して管理することができる。
【0081】
本開示の第2の態様に係る加工管理システムは、第1の態様に係る加工管理システムにおいて、前記識別情報は、作業者を識別するための作業者識別情報、前記作業者端末を識別するための端末識別情報、及び、前記加工情報収集装置を識別するための装置識別情報のいずれか一つである。
【0082】
本態様によれば、作業者識別情報、端末識別情報、又は装置識別情報によって、作業者単位での管理が可能となる。
【0083】
本開示の第3の態様に係る加工管理システムは、第1又は第2の態様に係る加工管理システムにおいて、前記管理装置は、前記作業開始情報が前記作業者端末に入力されたことにより、前記識別情報によって当該作業者端末に関連付けられている前記加工装置の運転禁止制御を解除し、前記作業終了情報が前記作業者端末に入力されたことにより、前記識別情報によって当該作業者端末に関連付けられている前記加工装置の運転禁止制御を開始する。
【0084】
本態様によれば、作業開始情報が作業者端末に入力されたことによって、管理装置は加工情報収集装置を通じて加工装置の運転禁止制御を解除し、作業終了情報が作業者端末に入力されたことによって、管理装置は加工情報収集装置を通じて加工装置の運転禁止制御を開始する。従って、運転禁止制御の解除及び開始を簡易に制御できるとともに、作業者による作業開始情報の入力漏れを防止できる。
【0085】
本開示の第4の態様に係る加工管理システムは、第1~第3のいずれか一つの態様に係る加工管理システムにおいて、前記管理装置は、予め設定された計画情報又は前記作業者端末から受信した制御情報に基づいて、前記識別情報によって当該作業者端末に関連付けられている前記加工情報収集装置の運転モードを制御する。
【0086】
本態様によれば、管理装置は、予め設定された計画情報又は作業者端末から受信した制御情報に基づいて、識別情報によって当該作業者端末に関連付けられている加工情報収集装置の運転モードを制御する。これにより、加工情報収集装置の運転モードの遠隔制御を簡易に実現できる。
【0087】
本開示の第5の態様に係る加工管理システムは、第4の態様に係る加工管理システムにおいて、前記加工装置は、作業者によって溶接作業が行われる溶接機であり、前記運転モードは、作業者による前記溶接作業の速度を計測するための溶接速度計測モードである。
【0088】
本態様によれば、溶接速度計測モードの遠隔制御を簡易に実現できる。
【0089】
本開示の第6の態様に係る加工管理システムは、第5の態様に係る加工管理システムにおいて、前記管理装置は、前記溶接速度計測モードにおいて前記加工情報収集装置が計測した前記溶接作業の速度を示す計測結果情報を、前記識別情報によって当該加工情報収集装置に関連付けられている前記作業者端末に送信する。
【0090】
本態様によれば、作業者は、溶接速度計測モードによって計測された溶接速度の計測結果を、作業者端末の表示画面上で確認できる。
【0091】
本開示の第7の態様に係る加工管理システムは、第1~第6のいずれか一つの態様に係る加工管理システムにおいて、作業者によって前記加工作業が行われていない期間内に前記加工情報収集装置が前記加工装置から収集した前記加工情報に対して、所定の間引き処理を実行し、当該間引き処理の実行後の前記加工情報を前記管理装置に送信する情報処理装置をさらに備える。
【0092】
本態様によれば、情報処理装置は間引き処理の実行後の加工情報を管理装置に送信するため、加工情報の通信及び記憶に伴う管理装置の負荷を削減できる。
【0093】
本開示の第8の態様に係る加工管理システムは、第1~第7のいずれか一つの態様に係る加工管理システムにおいて、前記加工装置は、作業者によって溶接作業が行われる溶接機であり、前記管理装置は、前記作業者端末から受信した前記作業情報に含まれる前記作業開始情報で示される作業開始時刻から、前記作業者端末から受信した前記作業情報に含まれる前記作業終了情報で示される作業終了時刻までの経過時間に対する、当該経過時間内における前記溶接機の稼働時間の合計時間の割合として、前記溶接機の稼働率を算出する。
【0094】
本態様によれば、溶接機の稼働率を高精度に算出できる。
【0095】
本開示の第9の態様に係る加工管理方法は、作業者によって加工作業が行われる加工装置と、前記加工作業に伴う加工情報を前記加工装置から収集する加工情報収集装置と、作業者によって作業情報が入力される作業者端末と、管理装置と、を備える加工管理システムにおける、加工管理方法であって、前記管理装置が、前記加工情報を前記加工情報収集装置から受信し、作業開始情報及び作業終了情報を含む前記作業情報を前記作業者端末から受信し、前記管理装置が受信する前記加工情報及び前記作業情報には、前記加工装置によって前記加工作業を行う作業者と、前記作業者端末に前記作業情報を入力する作業者とを関連付けるための識別情報が付加されており、前記加工情報収集装置から受信した前記加工情報と、前記作業者端末から受信した前記作業情報とを、前記識別情報に基づいて作業者単位で管理する。
【0096】
本態様によれば、管理装置が受信する加工情報及び作業情報には、加工装置によって加工作業を行う作業者と、作業者端末に作業情報を入力する作業者とを関連付けるための識別情報が付加されており、管理装置は、加工情報収集装置から受信した加工情報と、作業者端末から受信した作業情報とを、識別情報に基づいて作業者単位で管理する。これにより、加工情報と作業情報とを識別情報に基づいて連携して管理することができる。
【符号の説明】
【0097】
1 加工管理システム
11 加工装置
12 加工情報収集装置
13 作業者端末
14 管理装置
15A 作業者情報収集装置
15B 端末情報収集装置
18 情報処理装置
31 計画情報
32 データベース
33 実績情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13