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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178000
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】ジャケット構造体
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/32 20060101AFI20231207BHJP
   E02D 27/12 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
E02D27/32 Z
E02D27/12 Z
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091008
(22)【出願日】2022-06-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100217249
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221279
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100207686
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 恭宏
(74)【代理人】
【識別番号】100224812
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 翔太
(72)【発明者】
【氏名】片山 能輔
(72)【発明者】
【氏名】中村 直志
(72)【発明者】
【氏名】堀越 健次
(72)【発明者】
【氏名】竹山 雄一郎
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046CA07
(57)【要約】
【課題】長尺な杭を不要として、起重機船での施工を容易にしたジャケット構造体を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の態様1に係るジャケット構造体100は、洋上風車Wのタワーを支持し、且つ、3本以上の第1レグ11を有する第1ジャケット構造体10と、第1ジャケット構造体10を支持し、且つ、3本以上の第2レグ21を有する第2ジャケット構造体20と、を備えるジャケット構造体100であって、3本以上の第1レグ11及び3本以上の第2レグ21の一方は、それぞれの内部に他方のうち対応するものが挿入されることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋上風車のタワーを支持し、且つ、3本以上の第1レグを有する第1ジャケット構造体と、
前記第1ジャケット構造体を支持し、且つ、3本以上の第2レグを有する第2ジャケット構造体と、
を備えるジャケット構造体であって、
前記3本以上の第1レグ及び前記3本以上の第2レグの一方は、それぞれの内部に他方のうち対応するものが挿入される、
ことを特徴とするジャケット構造体。
【請求項2】
前記一方のそれぞれのうち、前記他方のうち対応するものが挿入される部分と、
前記他方のそれぞれのうち、前記一方のうち対応するものに挿入する部分と、
は、グラウトで接合される、
ことを特徴とする請求項1に記載のジャケット構造体。
【請求項3】
前記一方及び前記他方のいずれかのそれぞれのうち、海底地盤に打設される3本以上の鋼管杭のうち対応するものに挿入する部分と、
前記3本以上の鋼管杭のそれぞれのうち、前記いずれかのうち対応するものが挿入される部分と、
は、グラウトで接合され、
前記いずれかのそれぞれの外径は、前記3本以上の鋼管杭のそれぞれの内径より、小さく、
前記一方の内径は、前記他方の外径より、大きい、
ことを特徴とする請求項2に記載のジャケット構造体。
【請求項4】
前記3本以上の鋼管杭のそれぞれの内径と前記いずれかのそれぞれの外径との差は、前記一方のそれぞれの内径と前記他方のそれぞれの外径との差より、大きい、
ことを特徴とする請求項3に記載のジャケット構造体。
【請求項5】
前記一方のうちの1つと、前記一方のうちの前記1つとは異なる1つとを接続する斜めブレース、
を更に備え、
前記斜めブレースは、水平方向に沿って見て、前記他方のうち前記異なる1つに挿入されるもの、と重なる、
ことを特徴とする請求項4に記載のジャケット構造体。
【請求項6】
前記一方のうちの1つと、前記一方のうちの前記1つとは異なる1つとを接続する斜めブレース、
を更に備え、
前記斜めブレースは、水平方向に沿って見て、前記他方のうち前記異なる1つに挿入されるもの、と重ならない、
ことを特徴とする請求項4に記載のジャケット構造体。
【請求項7】
前記一方のそれぞれのうち、前記他方のうち対応するものが挿入される部分は、鉛直方向に沿って伸びる第1鉛直部分であり、
前記他方のそれぞれのうち、前記一方のうち対応するものに挿入する部分は、鉛直方向に沿って伸びる第2鉛直部分であり、
前記いずれかのそれぞれのうち、前記3本以上の鋼管杭のうち対応するものに挿入する部分は、鉛直方向に沿って伸びる第3鉛直部分であり、
前記3本以上の鋼管杭のそれぞれのうち、前記いずれかのうち対応するものが挿入される部分は、鉛直方向に沿って伸びる第4鉛直部分である、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載のジャケット構造体。
【請求項8】
前記第1鉛直部分及び前記第2鉛直部分のどちらかに設けられる第1当接部材と、
前記第3鉛直部分に設けられる第2当接部材と、
を更に備え、
前記第1当接部材は、前記どちらかではないものに当接し、
前記第2当接部材は、前記第4鉛直部分の上端と当接する、
ことを特徴とする請求項7に記載のジャケット構造体。
【請求項9】
前記一方のそれぞれのうち、前記他方のうち対応するものが挿入される部分と異なる部分を第1傾斜部分とし、前記第1傾斜部分は、鉛直方向に沿って見て、前記第1傾斜部分の下端が、前記第1傾斜部分の上端より、前記タワーから遠くなるように傾斜し、
前記他方のそれぞれのうち、前記一方のうち対応するものに挿入する部分と異なる部分を第2傾斜部分とし、前記第2傾斜部分は、鉛直方向に沿って見て、前記第2傾斜部分の下端が、前記第2傾斜部分の上端より、前記タワーから遠くなるように傾斜する、
ことを特徴とする請求項8に記載のジャケット構造体。
【請求項10】
前記一方のうちの1つに対応する前記第1鉛直部分の上端部近傍又は下端部近傍と、前記一方のうちの1つとは異なる1つに対応する第1鉛直部分の上端部近傍又は下端部近傍と、を接続する第1水平材、
又は、
前記他方のうちの1つに対応する前記第2傾斜部分の上端部近傍又は下端部近傍と、前記他方のうちの1つとは異なる1つに対応する前記第2傾斜部分の上端部近傍又は下端部近傍と、を接続する第2水平材、
を更に備えることを特徴とする請求項9に記載のジャケット構造体。
【請求項11】
前記一方は、前記3本以上の第1レグであり、
前記他方は、前記3本以上の第2レグであり、
前記第1傾斜部分の一端から前記第1傾斜部分の他端までの鉛直方向に沿う距離は、前記第1鉛直部分の上端から前記第2鉛直部分の下端までの鉛直方向に沿う距離より、短く、
前記第1鉛直部分の上端から前記第2鉛直部分の下端までの鉛直方向に沿う距離は、前記第2傾斜部分の上端から前記第2傾斜部分の下端までの鉛直方向に沿う距離より、短い、
ことを特徴とする請求項10に記載のジャケット構造体。
【請求項12】
前記3本以上の第1レグのうちの1つに対応する前記第1傾斜部分と、前記3本以上の第1レグのうちの1つとは異なる1つに対応する前記第1傾斜部分と、を接続する斜めブレースが設けられない、
ことを特徴とする請求項11に記載のジャケット構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャケット構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電に用いられる風車等をはじめとする構造物を洋上に配置するために、鋼管を組み合わせたジャケット構造体を用いることがある。
特許文献1では、水底基盤に打設された鋼管杭に複数のジャケットユニットを接合し、楔材によって一体化する構造が開示されている。
特許文献2では、水域に設置された基礎杭に複数のジャケット構造体を挿入し、複数のジャケット構造体同士を溶接した後、充填材を充填してジャケット構造体を接合する構造が開示されている。
特許文献3では、水域に設置された基礎杭に複数のジャケット構造体を挿入し、充填材を充填してジャケット構造体を接合する際、基礎杭に底型枠を設けることで、複数のジャケット構造体同士の溶接を不要とした構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭60-19808号公報
【特許文献2】特開2005-133483号公報
【特許文献3】特開2005-133485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洋上風車の大型化に伴い、ジャケット構造体の大型化が求められている。ジャケット構造体の大型化に伴い、起重機船等の施工船による一括施工が不可能となる場合には、ジャケット構造体を分割して製造し、施工現場において組み合わせて施工する必要がある。ここで、上述の従来技術においては、鉛直方向に打設された杭の1つに対して、前記杭の軸方向に複数段のジャケット構造体のレグが取り付けられる。このため、ジャケット構造体を大型化する際には杭を長尺化する必要がある。よって、杭の製造性及び運搬性に課題がある。また、起重機船の吊能力及び揚程の制約を受ける。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、長尺な杭を不要として、起重機船での施工を容易にしたジャケット構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<1>本発明の態様1に係るジャケット構造体は、洋上風車のタワーを支持し、且つ、3本以上の第1レグを有する第1ジャケット構造体(上部ジャケット)と、前記第1ジャケット構造体を支持し、且つ、3本以上の第2レグを有する第2ジャケット構造体(下部ジャケット)と、を備えるジャケット構造体であって、前記3本以上の第1レグ及び前記3本以上の第2レグの一方は、それぞれの内部に他方のうち対応するものが挿入されることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、3本以上の第1レグ及び3本以上の第2レグの一方は、それぞれの内部に他方のうち対応するものが挿入される。言い換えれば、第1レグの内部に第2レグが挿入される。又は、第2レグの内部に第1レグが挿入される。これにより、第1ジャケット構造体と第2ジャケット構造体とを接合可能な状態とすることができる。したがって、例えば、上述の従来技術に記載されている、鉛直方向に打設された長尺な杭の1つに対して、前記長尺な杭の軸方向に複数のジャケット構造のレグを取り付ける構造と比較して、長尺な杭を不要とすることができる。よって、基礎杭の運搬性を向上させることができる。また、起重機船での施工を容易にすることができる。この態様は、大型のジャケット構造体を施工する場合において、特に顕著な効果をもたらすことができる。
更に、ジャケット構造体を形成する際、第1ジャケット構造体と第2ジャケット構造体とに分割した状態で運搬し、施工現場において接合することで、ジャケット構造体の運搬性及び施工性を向上させることができる。
【0008】
<2>本発明の態様2に係るジャケット構造体は、態様1に係るジャケット構造体において、前記一方のそれぞれのうち、前記他方のうち対応するものが挿入される部分と、前記他方のそれぞれのうち、前記一方のうち対応するものに挿入する部分と、は、グラウトで接合されることを特徴とする。
【0009】
ここで、例えば、第1レグと第2レグとを溶接によって接合する際に要する時間(例えば、2~3日)は、グラウトによって接合する際に要する時間(例えば、1日)と比較して大幅に長い。更に、溶接によって接合する場合は、施工完了から24~48時間後に超音波検査を行う必要がある。また、溶接の場合は、第1ジャケット構造体と第2ジャケット構造体の寸法誤差について高い精度が求められる。
また、水中で溶接することは一般的ではないので、第1レグと第2レグとの接合部を溶接する場合は、その接合部が気中にあることが前提となる。水中溶接を行う場合は、品質管理が難しく、単価も高くなる。
これに対し、一方のそれぞれのうち、他方のうち対応するものが挿入される部分と、他方のそれぞれのうち、一方のうち対応するものに挿入する部分と、は、グラウトで接合される。つまり、第1レグと第2レグとがグラウトによって接合(グラウト接合)される。これにより、第1レグと第2レグとを溶接によって接合する場合と比較して、施工に要する時間を大幅に削減することができる。超音波検査を不要とすることができる。したがって、施工に要する時間を大幅に削減することができる。更に、水中においてグラウト接合を行った場合は、水中溶接と比較して品質確保をしやすくすることができる。また、グラウト接合の場合は、溶接の場合と比較して、第1ジャケット構造体と第2ジャケット構造体の寸法誤差について寛容とすることができる。
【0010】
<3>本発明の態様3に係るジャケット構造体は、態様1又は態様2に係るジャケット構造体において、前記一方及び前記他方のいずれかのそれぞれのうち、海底地盤に打設される3本以上の鋼管杭のうち対応するものに挿入する部分と、前記3本以上の鋼管杭のそれぞれのうち、前記いずれかのうち対応するものが挿入される部分と、は、グラウトで接合され、前記いずれかのそれぞれの外径は、前記3本以上の鋼管杭のそれぞれの内径より、小さく、前記一方の内径は、前記他方の外径より、大きい、ことを特徴とする。
【0011】
ここで、鋼管杭とレグとを水中で溶接することは一般的ではない。このため、鋼管杭とレグとの接合部を溶接する場合は、その接合部が気中にあることが前提となる。更に、水中溶接を行う場合は、品質管理が難しく、単価も高くなる。これに対し、一方及び他方のいずれかのそれぞれのうち、海底地盤に打設される3本以上の鋼管杭のうち対応するものに挿入する部分と、3本以上の鋼管杭のそれぞれのうち、いずれかのうち対応するものが挿入される部分と、は、グラウトで接合される。つまり、第2レグと鋼管杭とがグラウトによって接合される。これにより、溶接によって接合する場合と比較して、施工に要する時間を大幅に削減することができる。
【0012】
また、一方及び他方のいずれかである第2レグのそれぞれの外径は、3本以上の鋼管杭のそれぞれの内径より、小さい。つまり、第2レグの外径は、鋼管杭の内径より小さい。これにより、鋼管杭の内側に第2レグを挿入するようにして、第2ジャケット構造体と鋼管杭とを容易に接合可能な状態とすることができる。
また、第1レグ及び第2レグのうち、一方の内径は、他方の外径より、大きい。これにより、第1レグ及び第2レグのうち、一方の内側に他方を挿入するようにして、第1レグと第2レグとを容易に接合可能な状態とすることができる。
【0013】
<4>本発明の態様4に係るジャケット構造体は、態様3に係るジャケット構造体において、前記3本以上の鋼管杭のそれぞれの内径と前記いずれかのそれぞれの外径との差は、前記一方のそれぞれの内径と前記他方のそれぞれの外径との差より、大きいことを特徴とする。
【0014】
ここで、ジャケット構造体を施工するにあたり、第1ジャケット構造体及び第2ジャケット構造体は、予め工場にて製作され、施工現場において接合される。鋼管杭は、施工現場の海底地盤に打設される。このため、鋼管杭同士の間隔の精度は、第1レグ同士の間隔及び第2レグ同士の間隔の精度よりも低くなる。
【0015】
そこで、3本以上の鋼管杭のそれぞれの内径と、一方及び他方のいずれかのそれぞれの外径との差は、第1レグ及び第2レグの一方のそれぞれの内径と他方のそれぞれの外径との差より、大きい。つまり、鋼管杭と第2レグと、及び第2レグと第1レグと、をそれぞれ接合した状態において、鋼管杭の内面と第2レグの外面との間に生じる隙間の大きさは、第2レグの外面と第1レグの内面(又は、第1レグの外面と第2レグの内面)との間に生じる隙間の大きさよりも大きい。これにより、鋼管杭同士の間隔の精度が低い場合であっても、第2ジャケット構造体と鋼管杭とを接合可能な状態とすることができる。
また、第2レグの外面と第1レグの内面(又は、第1レグの外面と第2レグの内面)との間に生じる隙間を小さくすることで、接合に用いるグラウトの量を必要最小限とすることができる。
【0016】
<5>本発明の態様5に係るジャケット構造体は、態様1から態様4のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記一方のうちの1つと、前記一方のうちの前記1つとは異なる1つとを接続する斜めブレース、を更に備え、前記斜めブレースは、水平方向に沿って見て、前記他方のうち前記異なる1つに挿入されるもの、と重なることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、第1レグ及び第2レグの一方のうちの1つと、一方のうちの1つとは異なる1つとを接続する斜めブレース、を更に備え、斜めブレースは、水平方向に沿って見て、他方のうち異なる1つに挿入されるもの、と重なる。つまり、斜めブレースの端部が、第1レグと第2レグとの接合部に重なる。これにより、ジャケット構造体の剛性を向上させることができる。
【0018】
<6>本発明の態様6に係るジャケット構造体は、態様1から態様4のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記一方のうちの1つと、前記一方のうちの前記1つとは異なる1つとを接続する斜めブレース、を更に備え、前記斜めブレースは、水平方向に沿って見て、前記他方のうち前記異なる1つに挿入されるもの、と重ならないことを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、第1レグ及び第2レグの一方のうちの1つと、一方のうちの1つとは異なる1つとを接続する斜めブレース、を更に備え、斜めブレースは、水平方向に沿って見て、他方のうち異なる1つに挿入されるもの、と重ならない。つまり、斜めブレースの端部が、第1レグと第2レグとの接合部に重ならない。これにより、斜めブレースによって第1レグ又は第2レグを扁平させようとする力(扁平力)が、接合部に加わることを防ぐことができる。このため、扁平力による影響を考慮せずに、接合部の設計検討をすることができる。よって、ジャケット構造体の設計を容易にすることができる。
【0020】
<7>本発明の態様7に係るジャケット構造体は、態様3から態様6のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記一方のそれぞれのうち、前記他方のうち対応するものが挿入される部分は、鉛直方向に沿って伸びる第1鉛直部分であり、前記他方のそれぞれのうち、前記一方のうち対応するものに挿入する部分は、鉛直方向に沿って伸びる第2鉛直部分であり、前記いずれかのそれぞれのうち、前記3本以上の鋼管杭のうち対応するものに挿入する部分は、鉛直方向に沿って伸びる第3鉛直部分であり、前記3本以上の鋼管杭のそれぞれのうち、前記いずれかのうち対応するものが挿入される部分は、鉛直方向に沿って伸びる第4鉛直部分であることを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、第1レグ及び第2レグの一方のそれぞれのうち、他方のうち対応するものが挿入される部分は、鉛直方向に沿って伸びる第1鉛直部分である。第1レグ及び第2レグの他方のそれぞれのうち、一方のうち対応するものに挿入する部分は、鉛直方向に沿って伸びる第2鉛直部分である。一方及び他方のいずれかのそれぞれのうち、3本以上の鋼管杭のうち対応するものに挿入する部分は、鉛直方向に沿って伸びる第3鉛直部分である。3本以上の鋼管杭のそれぞれのうち、一方及び他方のいずれかのうち対応するものが挿入される部分は、鉛直方向に沿って伸びる第4鉛直部分である。
【0022】
つまり、第1レグと第2レグとの接合部及び第2レグと鋼管杭との接合部は、いずれも鉛直方向に沿って伸びる。これにより、第1ジャケット構造体と第2ジャケット構造体とは、第2ジャケット構造体の上方から第1ジャケット構造体を降下させることによって接合可能な状態とすることができる。また、第2ジャケット構造体と鋼管杭とは、鋼管杭の上方から第2ジャケット構造体を降下させることによって接合可能な状態とすることができる。よって、第1ジャケット構造体と第2ジャケット構造体との接合及び第2ジャケット構造体と鋼管杭との接合を、容易且つ確実に行うことができる。
【0023】
<8>本発明の態様8に係るジャケット構造体は、態様7に係るジャケット構造体において、前記第1鉛直部分及び前記第2鉛直部分のどちらかに設けられる第1当接部材と、前記第3鉛直部分に設けられる第2当接部材と、を更に備え、前記第1当接部材は、前記どちらかではないものに当接し、前記第2当接部材は、前記第4鉛直部分の上端と当接することを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、第1鉛直部分及び第2鉛直部分のどちらかに設けられる第1当接部材と、第3鉛直部分に設けられる第2当接部材と、を更に備え、第1当接部材は、第1鉛直部分及び第2鉛直部分のどちらかではないものに当接し、第2当接部材は、第4鉛直部分の上端と当接する。これにより、ジャケット構造体の施工時において、第1ジャケット構造体及び第2ジャケット構造体の自重を仮受けすることができる。また、第1レグと第2レグとの接合部及び第2レグと鋼管杭との接合部において、挿入代を規定することができる。よって、正確な挿入代を、容易且つ確実に確保することができる。
【0025】
<9>本発明の態様9に係るジャケット構造体は、態様1から態様8のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記一方のそれぞれのうち、前記他方のうち対応するものが挿入される部分と異なる部分を第1傾斜部分とし、前記第1傾斜部分は、鉛直方向に沿って見て、前記第1傾斜部分の下端が、前記第1傾斜部分の上端より、前記タワーから遠くなるように傾斜し、前記他方のそれぞれのうち、前記一方のうち対応するものに挿入する部分と異なる部分を第2傾斜部分とし、前記第2傾斜部分は、鉛直方向に沿って見て、前記第2傾斜部分の下端が、前記第2傾斜部分の上端より、前記タワーから遠くなるように傾斜することを特徴とする。
【0026】
この発明によれば、第1傾斜部分は、鉛直方向に沿って見て、第1傾斜部分の下端が、第1傾斜部分の上端より、タワーから遠くなるように傾斜する。第2傾斜部分は、鉛直方向に沿って見て、第2傾斜部分の下端が、第2傾斜部分の上端より、タワーから遠くなるように傾斜する。これにより、第1ジャケット構造体及び第2ジャケット構造体を、上方から下方に向けて大きくなるように形成することができる。よって、ジャケット構造体を洋上風車から伝わる転倒モーメントに対して安定させることができ、基礎杭に生じる軸力も軽減させることができる。
【0027】
<10>本発明の態様10に係るジャケット構造体は、態様7から態様9のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記一方のうちの1つに対応する前記第1鉛直部分の上端部近傍又は下端部近傍と、前記一方のうちの1つとは異なる1つに対応する第1鉛直部分の上端部近傍又は下端部近傍と、を接続する第1水平材、又は、前記他方のうちの1つに対応する前記第2傾斜部分の上端部近傍又は下端部近傍と、前記他方のうちの1つとは異なる1つに対応する前記第2傾斜部分の上端部近傍又は下端部近傍と、を接続する第2水平材、を更に備えることを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、第1レグ及び第2レグの一方のうちの1つに対応する第1鉛直部分の上端部近傍又は下端部近傍と、第1レグ及び第2レグの一方のうちの1つとは異なる1つに対応する第1鉛直部分の上端部近傍又は下端部近傍と、を接続する第1水平材を更に備える。又は、第1レグ及び第2レグの他方のうちの1つに対応する第2傾斜部分の上端部近傍又は下端部近傍と、第1レグ及び第2レグの他方のうちの1つとは異なる1つに対応する第2傾斜部分の上端部近傍又は下端部近傍と、を接続する第2水平材を更に備える。これにより、第1水平材又は第2水平材を設けた箇所の剛性を向上させることができる。
【0029】
<11>本発明の態様11に係るジャケット構造体は、態様7から態様10のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記一方は、前記3本以上の第1レグであり、前記他方は、前記3本以上の第2レグであり、前記第1傾斜部分の一端から前記第1傾斜部分の他端までの鉛直方向に沿う距離は、前記第1鉛直部分の上端から前記第2鉛直部分の下端までの鉛直方向に沿う距離より、短く、前記第1鉛直部分の上端から前記第2鉛直部分の下端までの鉛直方向に沿う距離は、前記第2傾斜部分の上端から前記第2傾斜部分の下端までの鉛直方向に沿う距離より、短いことを特徴とする。
【0030】
この発明によれば、第1レグ及び第2レグの一方は、3本以上の第1レグであり、他方は、3本以上の第2レグである。言い換えれば、一方は3本以上の第1レグから構成され、他方は3本以上の第2レグから構成される。つまり、第1レグの内側に、第2レグが挿入される。第1傾斜部分の一端から第1傾斜部分の他端までの鉛直方向に沿う距離は、第1鉛直部分の上端から第2鉛直部分の下端までの鉛直方向に沿う距離より、短い。第1鉛直部分の上端から第2鉛直部分の下端までの鉛直方向に沿う距離は、第2傾斜部分の上端から第2傾斜部分の下端までの鉛直方向に沿う距離より、短い。これにより、ジャケット構造体を安定した構造とすることができる。
【0031】
<12>本発明の態様12に係るジャケット構造体は、態様9から態様10のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記3本以上の第1レグのうちの1つに対応する前記第1傾斜部分と、前記3本以上の第1レグのうちの1つとは異なる1つに対応する前記第1傾斜部分と、を接続する斜めブレースが設けられないことを特徴とする。
【0032】
この発明によれば、3本以上の第1レグのうちの1つに対応する第1傾斜部分と、3本以上の第1レグのうちの1つとは異なる1つに対応する第1傾斜部分と、を接続する斜めブレースが設けられない。これにより、洋上風車から入力される振動に対し、第1ジャケット構造体を所望の振動数で振動させることができる。したがって、第1ジャケット構造体を、洋上風車からの振動を吸収しやすい構造とすることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、長尺な杭を不要として、起重機船での施工を容易にしたジャケット構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明に係るジャケット構造体の斜視図である。
図2図1に示すジャケット構造体の第1例の正面図である。
図3図1に示すジャケット構造体の第2例の正面図である。
図4】第1レグと第2レグとの接合部の第1例の断面図である。
図5】第1レグと第2レグとの接合部の第2例の断面図である。
図6】第2レグと鋼管杭との接合部の断面図である。
図7図2に示すジャケット構造体の変形例である。
図8図3に示すジャケット構造体の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(ジャケット構造体100の備える各構成について)
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係るジャケット構造体100を説明する。ジャケット構造体100は、例えば、洋上に設置される風車(洋上風車W)を支持するために用いられる。ジャケット構造体100は、海底に打設された鋼管杭Pに接合することによって支持される。
ジャケット構造体100は、図1に示すように、第1ジャケット構造体10(上部ジャケット)と、第2ジャケット構造体20(下部ジャケット)と、を備える。
【0036】
第1ジャケット構造体10は、ジャケット構造体100において上方に設けられる。第1ジャケット構造体10は、洋上風車Wのタワー(脚部)を支持する。第1ジャケット構造体10の上部には、例えば、トランジションピースTPが配置される。洋上風車Wのタワーは、トランジションピースTPに接続される。これにより、第1ジャケット構造体10は、洋上風車Wのタワーを支持する。
【0037】
第1ジャケット構造体10は、複数の第1レグ11と、複数の斜めブレース30と、複数の水平材40(複数の第1水平材41、又は、複数の第2水平材42)と、を有する。第1レグ11は、第1ジャケット構造体10の脚部となる主要な構成である。第1レグ11は、例えば、鋼管により形成される。第1ジャケット構造体10において、第1レグ11は3本以上設けられる。本実施形態において、第1レグ11は4本設けられる。
【0038】
斜めブレース30は、第1ジャケット構造体10において、図2又は図3に示すように、複数の第1レグ11のうちの1つと、前述した第1レグ11のうちの1つとは異なる1つと、を接続する。例えば、斜めブレース30は、鉛直方向を軸とした第1ジャケット構造体10の周方向において、互いに隣り合う第1レグ11同士を接続する。
【0039】
斜めブレース30は、例えば、鋼管によって形成される。斜めブレース30は、第1ジャケット構造体10における複数の第1レグ11同士の間において、斜めに配置される。斜めブレース30は、複数の第1レグ11同士の間において1本のみ配置されてもよい。本実施形態において、斜めブレース30は、複数の第1レグ11同士の間において、X字状に2本配置される。
【0040】
水平材40は、第1水平材41と、第2水平材42と、から構成される。第1ジャケット構造体10において、図2又は図3に示すように、複数の第1レグ11のうちの1つと、前述した第1レグ11のうちの1つとは異なる1つと、を接続する。例えば、水平材40は、鉛直方向を軸とした第1ジャケット構造体10の周方向において、互いに隣り合う第1レグ11同士を接続する。
水平材40(第1水平材41、第2水平材42)は、例えば、鋼管によって形成される。水平材40は、複数の第1レグ11同士の間において、水平に配置される点で、斜めブレース30と相違する。
【0041】
第2ジャケット構造体20は、第1ジャケット構造体10の下に設けられる。第2ジャケット構造体20は、第1ジャケット構造体10を支持する。具体的には、第1ジャケット構造体10の下端と、第2ジャケット構造体20の上端とが接合される。第2ジャケット構造体20の下端は、例えば、鋼管杭Pに接合される。これにより、第2ジャケット構造体20は、第1ジャケット構造体10を支持する。
【0042】
第2ジャケット構造体20は、複数の第2レグ21と、複数の斜めブレース30と、複数の水平材40と、を有する。第2レグ21は、第2ジャケット構造体20の脚部となる主要な構成である。第2レグ21は、例えば、鋼管により形成される。第2ジャケット構造体20において、第2レグ21は3本以上設けられる。本実施形態において、第2レグ21は4本設けられる。
【0043】
第1ジャケット構造体10の第1レグ11と、第2ジャケット構造体20の第2レグ21と、の数は同じである。また、複数の第1レグ11の位置と複数の第2レグ21との位置は、互いに対応するように配置される。
第2ジャケット構造体20の第2レグ21と、鋼管杭Pと、の数は、同じである。つまり、本実施形態において、鋼管杭Pは3本以上設けられる。本実施形態において、鋼管杭Pは4本設けられる。また、複数の第2レグ21と複数の鋼管杭Pとの位置は、互いに対応するように配置される。
【0044】
斜めブレース30は、第2ジャケット構造体20において、図2又は図3に示すように、複数の第2レグ21のうちの1つと、前述した第2レグ21のうちの1つとは異なる1つとを接続する。例えば、斜めブレース30は、鉛直方向を軸とした第2ジャケット構造体20の周方向において、互いに隣り合う第2レグ21同士を接続する。
【0045】
斜めブレース30は、第2ジャケット構造体20における複数の第2レグ21同士の間において、斜めに配置される。斜めブレース30は、複数の第2レグ21同士の間において1本のみ配置されてもよい。本実施形態において、斜めブレース30は、複数の第2レグ21同士の間において、X字状に2本配置される。
【0046】
水平材40は、第2ジャケット構造体20において、図2又は図3に示すように、複数の第2レグ21のうちの1つと、前述した第2レグ21のうちの1つとは異なる1つとを接続してもよい。例えば、水平材40は、鉛直方向を軸とした第2ジャケット構造体20の周方向において、互いに隣り合う第2レグ21同士を接続する。
水平材40は、複数の第2レグ21同士の間において、水平に配置される点で、斜めブレース30と相違する。
【0047】
(第1ジャケット構造体10、第2ジャケット構造体20、及び鋼管杭Pの接合について)
第1ジャケット構造体10と第2ジャケット構造体20とは、第1レグ11と第2レグ21との互いに対応した位置にあるもの同士を接合することによって接合される。
第1レグ11と第2レグ21との接合は、例えば、第1レグ11の内側に第2レグ21の端部を挿入して固定することによってなされる。第1レグ11と第2レグ21との接合は、第2レグ21の内側に第1レグ11の端部を挿入して固定することによってなされてもよい。
【0048】
本実施形態において、第1レグ11及び第2レグ21のうち、内側に相手の部材が挿入されるものを、一方と呼称する。第1レグ11及び第2レグ21のうち、相手の部材に挿入するものを、他方と呼称する。すなわち、第1レグ11及び第2レグ21の一方の内部には、他方のうち対応するもの(第2レグ21又は第1レグ11)が挿入される。
また、本実施形態において、複数設けられた第1レグ11や、複数設けられた第2レグ21について、相手の部材が挿入されるか、相手側の部材に挿入するかという観点でまとめて呼称する際、複数設けられた第1レグ11のそれぞれや、複数設けられた第2レグ21のそれぞれを、「一方のそれぞれ」とか、「他方のそれぞれ」等と呼称することがある。
【0049】
本実施形態において、一方のそれぞれのうち、他方のうち対応するものが挿入される部分と、他方のそれぞれのうち、一方のうち対応するものに挿入する部分と、は、グラウトで接合される。すなわち、第1レグ11と第2レグ21とは、グラウトによって接合される。グラウトとは、接合する部材同士の間に充填され、充填後に硬化することで前記部材同士を接合するものであるグラウトには、例えば、モルタルまたはセメントペーストが用いられる。
【0050】
第2ジャケット構造体20と鋼管杭Pとは、第2レグ21と鋼管杭Pとの互いに対応した位置にあるもの同士を接合することによって接合される。
第2レグ21と鋼管杭Pとの接合は、鋼管杭Pの内側に第2レグ21の端部を挿入して固定することによってなされる。この態様は、第2レグ21が一方である場合及び他方である場合のいずれにおいても同様である。
本実施形態において、一方及び他方のいずれかである第2レグ21のそれぞれのうち、海底地盤に打設される鋼管杭Pのうち対応するものに挿入する部分と、鋼管杭Pのそれぞれのうち、一方及び他方のいずれかである第2レグ21のうち対応するものが挿入される部分と、は、グラウトで接合される。すなわち、第2レグ21と鋼管杭Pとは、グラウトによって接合される。第2レグ21と鋼管杭Pとは、溶接によって接合されてもよい。
【0051】
本実施形態において、一方及び他方のいずれかである第2レグ21のそれぞれの外径は、鋼管杭Pのそれぞれの内径より小さい。第1レグ11及び第2レグ21のうち、一方の内径は、他方の外径より大きい。
また、鋼管杭Pのそれぞれの内径と、一方及び他方のいずれかである第2レグ21のそれぞれの外径との差を第1間隔とする。第1レグ11及び第2レグ21の一方のそれぞれの内径と他方のそれぞれの外径との差を第2間隔とする。このとき、第1間隔は、第2間隔より大きい。
【0052】
(ジャケット構造体100の詳細な構造について)
ジャケット構造体100は、第1鉛直部分V1と、第2鉛直部分V2と、第3鉛直部分V3と、第4鉛直部分V4と、第1傾斜部分S1と、第2傾斜部分S2と、を有する。
第1鉛直部分V1は、第1レグ11及び第2レグ21の一方のそれぞれのうち、他方のうち対応するものが挿入される部分である。第1鉛直部分V1は、鉛直方向に沿って伸びる。すなわち、第1レグ11が一方である場合、図2に示すように、第1鉛直部分V1は、第1レグ11の鉛直に伸びる部位である。第2レグ21が一方である場合、図3に示すように、第1鉛直部分V1は、第2レグ21の鉛直に伸びる部位である。
【0053】
第2鉛直部分V2は、第1レグ11及び第2レグ21の他方のそれぞれのうち、一方のうち対応するものに挿入する部分である。第2鉛直部分V2は、鉛直方向に沿って伸びる。すなわち、第1レグ11が他方である場合、図2に示すように、第2鉛直部分V2は、第1レグ11の鉛直に伸びる部位である。第2レグ21が他方である場合、図3に示すように、第2鉛直部分V2は、第2レグ21の鉛直に伸びる部位である。
【0054】
本実施形態において、図4又は図5に示すように、第1鉛直部分V1及び第2鉛直部分V2のどちらかである第1レグ11には、第1当接部材11Cが設けられる。第1当接部材11Cは、第1鉛直部分V1及び第2鉛直部分V2のどちらかではないものである第2レグ21に当接する。これにより、第1当接部材11Cは、第1レグ11及び第2レグ21の一方と他方との挿入量を規制する。
【0055】
第1当接部材11Cが第1鉛直部分V1に取り付く場合、すなわち、第1レグ11及び第2レグ21の一方である第1レグ11に、他方である第2レグ21が挿入される場合、図4に示すように、第1当接部材11Cは、第1レグ11の内周面に配置される。
第1当接部材11Cが第2鉛直部分V2である場合、すなわち、第1レグ11及び第2レグ21の一方である第2レグ21に、他方である第1レグ11が挿入される場合、図5に示すように、第1当接部材11Cは、第1レグ11の外周面に配置される。
【0056】
第1当接部材11Cは、図4又は図5に示すように、第1フランジ11Cfと、第1リブ11Crと、を備える。第1フランジ11Cfは、第2レグ21の上端に当接する円環状の部材である。第1フランジ11Cfは、例えば、第1レグ11に溶接によって取り付けられる。第1フランジ11Cfは、第1レグ11に溶接されていなくてもよい。第1リブ11Crは、第1フランジ11Cfと、第1レグ11の外周面又は内周面との間に配置される板状の部材である。第1リブ11Crは、第1フランジ11Cfによって補強される。
第1レグ11と第2レグ21とを接合する時は、一方に対して他方を、第1当接部材11Cが第2レグ21に当接するまで挿入する。その後、一方と他方との接合部にグラウトを充填、硬化することで固定する。
【0057】
第3鉛直部分V3は、一方及び他方のいずれかである第2レグ21のそれぞれのうち、鋼管杭Pのうち対応するものに挿入する部分である。第3鉛直部分V3は、鉛直方向に沿って伸びる。すなわち、図2又は図3に示すように、第3鉛直部分V3は、第2レグ21の下端において鉛直方向に沿って伸びる部位である。
第4鉛直部分V4は、鋼管杭Pのそれぞれのうち、一方及び他方のいずれかである第2レグ21のうち対応するものが挿入される部分である。第4鉛直部分V4は、鉛直方向に沿って伸びる。すなわち、図2又は図3に示すように、第4鉛直部分V4は、鋼管杭Pの上端を含む、鋼管杭が鉛直方向に沿って伸びる部位である。
【0058】
第3鉛直部分V3には、図6に示すように、第2当接部材21Cが設けられる。第2当接部材21Cは、第4鉛直部分V4の上端と当接する。これにより、第2当接部材21Cは、第2レグ21と鋼管杭Pとの挿入量を規制する。図6に示すように、第2当接部材21Cは、第2レグ21の外周面に配置される。
【0059】
第2当接部材21Cは、図6に示すように、第2フランジ21Cfと、第2リブ21Crと、を備える。第2フランジ21Cfは、鋼管杭Pの上端に当接する円環状の部材である。第2フランジ21Cfは、例えば、第2レグ21に溶接によって取り付けられる。第2フランジ21Cfは、第2レグ21に溶接されていなくてもよい。第2リブ21Crは、第2フランジ21Cfと、第2レグ21の外周面との間に配置される板状の部材である。第2リブ21Crは、第2フランジ21Cfによって補強される。
第2レグ21と第2レグ21とを接合する時は、一方に対して他方を、第2当接部材21Cが第2レグ21に当接するまで挿入する。その後、一方と他方との接合部にグラウトを充填、硬化することで固定する。
【0060】
第1傾斜部分S1は、第1レグ11及び第2レグ21の一方のそれぞれのうち、他方のうち対応するものが挿入される部分と異なる部分である。すなわち、第1レグ11が一方である場合、図2に示すように、第1傾斜部分S1は、第1レグ11の傾斜した部位である。第2レグ21が一方である場合、図3に示すように、第1傾斜部分S1は、第2レグ21の傾斜した部位である。第1傾斜部分S1は、鉛直方向に沿って見て、第1傾斜部分S1の下端が、第1傾斜部分S1の上端より、タワーから遠くなるように傾斜している。
【0061】
第2傾斜部分S2は、第1レグ11及び第2レグ21の他方のそれぞれのうち、一方のうち対応するものに挿入する部分と異なる部分である。すなわち、第1レグ11が他方である場合、図3に示すように、第2傾斜部分S2は、第1レグ11の傾斜した部位である。第2レグ21が他方である場合、図2に示すように、第2傾斜部分S2は、第2レグ21の傾斜した部位である。第2傾斜部分S2は、鉛直方向に沿って見て、第2傾斜部分S2の下端が、第2傾斜部分S2の上端より、タワーから遠くなるように傾斜している。
このように、第1傾斜部分S1及び第2傾斜部分S2によって、第1ジャケット構造体10及び第2ジャケット構造体20を上方から下方に向けて大きくなるように形成することで、ジャケット構造体100の安定性を向上させることに寄与する。
【0062】
水平材40は、第1水平材41と、第2水平材42と、から構成される。第1水平材41と第2水平材42とは、下記のように配置される位置が異なる。
第1水平材41は、例えば、次のように配置される。すなわち、第1レグ11及び第2レグ21の一方のうちの1つに対応する第1鉛直部分V1の上端部近傍又は下端部近傍と、一方のうちの前記1つとは異なる1つに対応する第1鉛直部分V1の上端部近傍又は下端部近傍と、を接続するように配置される。
【0063】
より具体的には、第1レグ11が一方である場合、第1水平材41は、第1レグ11のうちの1つに対応する第1鉛直部分V1の上端部近傍と、前記1つとは異なる1つに対応する第1鉛直部分V1の上端部近傍と、を接続するように配置される。第2レグ21が一方である場合、第1水平材41は、第2レグ21のうちの1つに対応する第1鉛直部分V1の下端部近傍と、前記1つとは異なる1つに対応する第1鉛直部分V1の下端部近傍と、を接続するように配置される。
【0064】
第2水平材42は、例えば、次のように配置される。すなわち、第1レグ11及び第2レグ21の他方のうちの1つに対応する第2傾斜部分S2の上端部近傍又は下端部近傍と、他方のうちの前記1つとは異なる1つに対応する第2傾斜部分S2の上端部近傍又は下端部近傍と、を接続するように配置される。
【0065】
より具体的には、第1レグ11が他方である場合、第2水平材42は、第1レグ11のうちの1つに対応する第2傾斜部分S2の下端部近傍と、前記1つとは異なる1つに対応する第2傾斜部分S2の下端部近傍と、を接続するように配置される。第2レグ21が他方である場合、第2水平材42は、第2レグ21のうちの1つに対応する第2傾斜部分S2の上端部近傍と、前記1つとは異なる1つに対応する第2傾斜部分S2の上端部近傍と、を接続するように配置される。
【0066】
ジャケット構造体100において、第1水平材41及び第2水平材42は、それらのいずれかのみ設けられてもよいし、いずれとも設けられてもよいし、いずれも設けられなくてもよい。第1水平材41及び第2水平材42のいずれかのみ設ける場合は、第1水平材41のみ設けることが好ましい。第2水平材42を設けないことによって、洋上風車から入力される振動に対し、ジャケット構造体100を所望の振動数で振動させることができる為である。
【0067】
上述したように、斜めブレース30は、複数の第1レグ11のうちの1つと、前述した第1レグ11のうちの1つとは異なる1つと、を接続する。又は、斜めブレース30は、複数の第2レグ21のうちの1つと、前述した第2レグ21のうちの1つとは異なる1つとを接続する。
より具体的には、斜めブレース30は、第1レグ11及び第2レグ21の一方のうちの1つと、一方のうちの1つとは異なる1つとを接続する。
【0068】
このとき、斜めブレース30は、例えば、水平方向に沿って見て、第1レグ11及び第2レグ21の他方のうち異なる1つに挿入されるもの、と重なるように配置される。つまり、斜めブレース30の端部は、第1レグ11及び第2レグ21の一方のうち、他方との接合部に接続される。
斜めブレース30は、図7及び図8に示すように、水平方向に沿って見て、他方のうち異なる1つに挿入されるもの、と重ならないように配置されてもよい。つまり、斜めブレース30の端部は、第1レグ11及び第2レグ21の一方のうち、他方との接合部以外の部位に接続されてもよい。
【0069】
また、第1レグ11のうちの1つに対応する第1傾斜部分S1と、第1レグ11のうちの1つとは異なる1つに対応する第1傾斜部分S1と、を接続する斜めブレース30が設けられなくてもよい。すなわち、第1レグ11が一方であり、第1傾斜部分S1が第1レグ11の傾斜した部分である場合において、第1レグ11同士を接続する斜めブレース30が設けられなくてもよい。これにより、洋上風車から入力される振動に対し、ジャケット構造体100を所望の振動数で振動させることができる為である。
【0070】
また、第1レグ11のうちの1つに対応する第2傾斜部分S2と、第1レグ11のうちの1つとは異なる1つに対応する第2傾斜部分S2と、を接続する斜めブレース30が設けられなくてもよい。すなわち、第1レグ11が他方であり、第2傾斜部分S2が第1レグ11の傾斜した部分である場合において、第1レグ11同士を接続する斜めブレース30が設けられなくてもよい。
【0071】
次に、ジャケット構造体100の備える各構成の、鉛直方向における長さについて、第1レグ11及び第2レグ21の一方が第1レグ11であり、他方が第2レグ21である場合を例に挙げて説明する。
第1傾斜部分S1の一端から第1傾斜部分S1の他端までの鉛直方向に沿う距離は、第1鉛直部分V1の上端から第2鉛直部分V2の下端までの鉛直方向に沿う距離より、短い。また、第1鉛直部分V1の上端から第2鉛直部分V2の下端までの鉛直方向に沿う距離は、第2傾斜部分S2の上端から第2傾斜部分S2の下端までの鉛直方向に沿う距離より、短い。
つまり、本実施形態において、上述した各構成の、鉛直方向の長さは、上に位置するものほど短く、下に位置するものほど長くなるように構成することが好ましい。
また、これに限らず、上述した各構成の鉛直方向の長さは、施工現場の条件等に合わせて任意に決定してもよい。
【0072】
以上説明したように、本実施形態に係るジャケット構造体100によれば、3本以上の第1レグ及び3本以上の第2レグの一方は、それぞれの内部に他方のうち対応するものが挿入される。言い換えれば、第1レグの内部に第2レグが挿入される。又は、第2レグの内部に第1レグが挿入される。これにより、第1ジャケット構造体と第2ジャケット構造体とを接合可能な状態とすることができる。したがって、例えば、上述の従来技術に記載されている、鉛直方向に打設された長尺な杭の1つに対して、前記長尺な杭の軸方向に複数のジャケット構造のレグを取り付ける構造と比較して、長尺な杭を不要とすることができる。よって、基礎杭の運搬性を向上させることができる。また、起重機船での施工を容易にすることができる。この態様は、大型のジャケット構造体を施工する場合において、特に顕著な効果をもたらすことができる。
更に、ジャケット構造体を形成する際、第1ジャケット構造体と第2ジャケット構造体とに分割した状態で運搬し、施工現場において接合することで、ジャケット構造体の運搬性及び施工性を向上させることができる。
【0073】
ここで、例えば、第1レグと第2レグとを溶接によって接合する際に要する時間(例えば、2~3日)は、グラウトによって接合する際に要する時間(例えば、1日)と比較して大幅に長い。更に、溶接によって接合する場合は、施工完了から24~48時間後に超音波検査を行う必要がある。また、溶接の場合は、第1ジャケット構造体と第2ジャケット構造体の寸法誤差について高い精度が求められる。
また、水中で溶接することは一般的ではないので、第1レグと第2レグとの接合部を溶接する場合は、その接合部が気中にあることが前提となる。水中溶接を行う場合は、品質管理が難しく、単価も高くなる。
これに対し、一方のそれぞれのうち、他方のうち対応するものが挿入される部分と、他方のそれぞれのうち、一方のうち対応するものに挿入する部分と、は、グラウトで接合される。つまり、第1レグと第2レグとがグラウトによって接合(グラウト接合)される。これにより、第1レグと第2レグとを溶接によって接合する場合と比較して、施工に要する時間を大幅に削減することができる。超音波検査を不要とすることができる。したがって、施工に要する時間を大幅に削減することができる。更に、水中においてグラウト接合を行った場合は、水中溶接と比較して品質確保をしやすくすることができる。また、グラウト接合の場合は、溶接の場合と比較して、第1ジャケット構造体と第2ジャケット構造体の寸法誤差について寛容とすることができる。
【0074】
ここで、鋼管杭とレグとを水中で溶接することは一般的ではない。このため、鋼管杭とレグとの接合部を溶接する場合は、その接合部が気中にあることが前提となる。更に、水中溶接を行う場合は、品質管理が難しく、単価も高くなる。これに対し、一方及び他方のいずれかのそれぞれのうち、海底地盤に打設される3本以上の鋼管杭のうち対応するものに挿入する部分と、3本以上の鋼管杭のそれぞれのうち、いずれかのうち対応するものが挿入される部分と、は、グラウトで接合される。つまり、第2レグと鋼管杭とがグラウトによって接合される。これにより、溶接によって接合する場合と比較して、施工に要する時間を大幅に削減することができる。
【0075】
また、一方及び他方のいずれかである第2レグのそれぞれの外径は、3本以上の鋼管杭のそれぞれの内径より、小さい。つまり、第2レグの外径は、鋼管杭の内径より小さい。これにより、鋼管杭の内側に第2レグを挿入するようにして、第2ジャケット構造体と鋼管杭とを容易に接合可能な状態とすることができる。
また、第1レグ及び第2レグのうち、一方の内径は、他方の外径より、大きい。これにより、第1レグ及び第2レグのうち、一方の内側に他方を挿入するようにして、第1レグと第2レグとを容易に接合可能な状態とすることができる。
【0076】
ここで、ジャケット構造体を施工するにあたり、第1ジャケット構造体及び第2ジャケット構造体は、予め工場にて製作され、施工現場において接合される。鋼管杭は、施工現場の海底地盤に打設される。このため、鋼管杭同士の間隔の精度は、第1レグ同士の間隔及び第2レグ同士の間隔の精度よりも低くなる。
【0077】
そこで、3本以上の鋼管杭のそれぞれの内径と、一方及び他方のいずれかのそれぞれの外径との差は、第1レグ及び第2レグの一方のそれぞれの内径と他方のそれぞれの外径との差より、大きい。つまり、鋼管杭と第2レグと、及び第2レグと第1レグと、をそれぞれ接合した状態において、鋼管杭の内面と第2レグの外面との間に生じる隙間の大きさは、第2レグの外面と第1レグの内面(又は、第1レグの外面と第2レグの内面)との間に生じる隙間の大きさよりも大きい。これにより、鋼管杭同士の間隔の精度が低い場合であっても、第2ジャケット構造体と鋼管杭とを接合可能な状態とすることができる。
また、第2レグの外面と第1レグの内面(又は、第1レグの外面と第2レグの内面)との間に生じる隙間を小さくすることで、接合に用いるグラウトの量を必要最小限とすることができる。
【0078】
この発明によれば、第1レグ及び第2レグの一方のうちの1つと、一方のうちの1つとは異なる1つとを接続する斜めブレース、を更に備え、斜めブレースは、水平方向に沿って見て、他方のうち異なる1つに挿入されるもの、と重なる。つまり、斜めブレースの端部が、第1レグと第2レグとの接合部に重なる。これにより、ジャケット構造体の剛性を向上させることができる。
【0079】
この発明によれば、第1レグ及び第2レグの一方のうちの1つと、一方のうちの1つとは異なる1つとを接続する斜めブレース、を更に備え、斜めブレースは、水平方向に沿って見て、他方のうち異なる1つに挿入されるもの、と重ならない。つまり、斜めブレースの端部が、第1レグと第2レグとの接合部に重ならない。これにより、斜めブレースによって第1レグ又は第2レグを扁平させようとする力(扁平力)が、接合部に加わることを防ぐことができる。このため、扁平力による影響を考慮せずに、接合部の設計検討をすることができる。よって、ジャケット構造体の設計を容易にすることができる。
【0080】
この発明によれば、第1レグ及び第2レグの一方のそれぞれのうち、他方のうち対応するものが挿入される部分は、鉛直方向に沿って伸びる第1鉛直部分である。第1レグ及び第2レグの他方のそれぞれのうち、一方のうち対応するものに挿入する部分は、鉛直方向に沿って伸びる第2鉛直部分である。一方及び他方のいずれかのそれぞれのうち、3本以上の鋼管杭のうち対応するものに挿入する部分は、鉛直方向に沿って伸びる第3鉛直部分である。3本以上の鋼管杭のそれぞれのうち、一方及び他方のいずれかのうち対応するものが挿入される部分は、鉛直方向に沿って伸びる第4鉛直部分である。
【0081】
つまり、第1レグと第2レグとの接合部及び第2レグと鋼管杭との接合部は、いずれも鉛直方向に沿って伸びる。これにより、第1ジャケット構造体と第2ジャケット構造体とは、第2ジャケット構造体の上方から第1ジャケット構造体を降下させることによって接合可能な状態とすることができる。また、第2ジャケット構造体と鋼管杭とは、鋼管杭の上方から第2ジャケット構造体を降下させることによって接合可能な状態とすることができる。よって、第1ジャケット構造体と第2ジャケット構造体との接合及び第2ジャケット構造体と鋼管杭との接合を、容易且つ確実に行うことができる。
【0082】
この発明によれば、第1鉛直部分及び第2鉛直部分のどちらかに設けられる第1当接部材と、第3鉛直部分に設けられる第2当接部材と、を更に備え、第1当接部材は、第1鉛直部分及び第2鉛直部分のどちらかではないものに当接し、第2当接部材は、第4鉛直部分の上端と当接する。これにより、ジャケット構造体の施工時において、第1ジャケット構造体及び第2ジャケット構造体の自重を仮受けすることができる。また、第1レグと第2レグとの接合部及び第2レグと鋼管杭との接合部において、挿入代を規定することができる。よって、正確な挿入代を、容易且つ確実に確保することができる。
【0083】
この発明によれば、第1傾斜部分は、鉛直方向に沿って見て、第1傾斜部分の下端が、第1傾斜部分の上端より、タワーから遠くなるように傾斜する。第2傾斜部分は、鉛直方向に沿って見て、第2傾斜部分の下端が、第2傾斜部分の上端より、タワーから遠くなるように傾斜する。これにより、第1ジャケット構造体及び第2ジャケット構造体を、上方から下方に向けて大きくなるように形成することができる。よって、ジャケット構造体を洋上風車から伝わる転倒モーメントに対して安定させることができ、基礎杭に生じる軸力も軽減させることができる。
【0084】
この発明によれば、第1レグ及び第2レグの一方のうちの1つに対応する第1鉛直部分の上端部近傍又は下端部近傍と、第1レグ及び第2レグの一方のうちの1つとは異なる1つに対応する第1鉛直部分の上端部近傍又は下端部近傍と、を接続する第1水平材を更に備える。又は、第1レグ及び第2レグの他方のうちの1つに対応する第2傾斜部分の上端部近傍又は下端部近傍と、第1レグ及び第2レグの他方のうちの1つとは異なる1つに対応する第2傾斜部分の上端部近傍又は下端部近傍と、を接続する第2水平材を更に備える。これにより、第1水平材又は第2水平材を設けた箇所の剛性を向上させることができる。
【0085】
この発明によれば、第1レグ及び第2レグの一方は、3本以上の第1レグであり、他方は、3本以上の第2レグである。言い換えれば、一方は3本以上の第1レグから構成され、他方は3本以上の第2レグから構成される。つまり、第1レグの内側に、第2レグが挿入される。第1傾斜部分の一端から第1傾斜部分の他端までの鉛直方向に沿う距離は、第1鉛直部分の上端から第2鉛直部分の下端までの鉛直方向に沿う距離より、短い。第1鉛直部分の上端から第2鉛直部分の下端までの鉛直方向に沿う距離は、第2傾斜部分の上端から第2傾斜部分の下端までの鉛直方向に沿う距離より、短い。これにより、ジャケット構造体を安定した構造とすることができる。
【0086】
この発明によれば、3本以上の第1レグのうちの1つに対応する第1傾斜部分と、3本以上の第1レグのうちの1つとは異なる1つに対応する第1傾斜部分と、を接続する斜めブレースが設けられない。これにより、洋上風車から入力される振動に対し、第1ジャケット構造体を所望の振動数で振動させることができる。したがって、第1ジャケット構造体を、洋上風車からの振動を吸収しやすい構造とすることができる。
【0087】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、第1レグ11が他方であり、第1レグ11の傾斜した部分が第2傾斜部分S2である場合においても、第1レグ11同士を接続する斜めブレース30が設けられてもよい。
また、第1レグ11又は第2レグ21において、斜めブレース30又は水平材40が接続される部位は、その他の部位に対して板厚を大きくしてもよい。
また、第1レグ及び第2レグが4本ずつある場合、すなわち、第1レグと第2レグとの組が4組ある場合において、互いに隣り合う組における一方と他方との関係が異なっていてもよい。例えば、第1レグが一方であり、第2レグが他方である組と、第1レグが他方であり、第2レグが一方である組とが、ジャケット構造体の周方向において交互に位置してもよい。
また、第2レグ21と鋼管杭Pとの接合は、鋼管杭Pの内側に第2レグ21の端部を挿入することによってなされると説明したが、これに限らない。第2レグ21と鋼管杭Pとの接合は、第2レグ21の内側に鋼管杭の端部を挿入して固定することによってなされてもよい。
【0088】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0089】
10 第1ジャケット構造体
11 第1レグ
11C 第1当接部材
20 第2ジャケット構造体
21 第2レグ
21C 第2当接部材
30 斜めブレース
40 水平材
41 第1水平材
42 第2水平材
100 ジャケット構造体
P 鋼管杭
S1 第1傾斜部分
S2 第2傾斜部分
V1 第1鉛直部分
V2 第2鉛直部分
V3 第3鉛直部分
V4 第4鉛直部分
W 洋上風車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8