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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178003
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1335 20060101AFI20231207BHJP
   G02F 1/133 20060101ALN20231207BHJP
【FI】
G02F1/1335 500
G02F1/133 550
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091012
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小糸 健夫
(72)【発明者】
【氏名】林 宗治
【テーマコード(参考)】
2H193
2H291
【Fターム(参考)】
2H193ZA04
2H193ZC08
2H193ZC12
2H291FA02Y
2H291FA14Y
2H291FA17Y
2H291GA01
2H291LA13
2H291LA21
2H291NA52
(57)【要約】
【課題】より容易に液晶層と遮光バリアとの間の距離を任意の厚みとすることができる表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置50は、X方向に並ぶ複数の視点U1,U2,U3に個別の画像を出力可能な表示装置であって、液晶層53を挟んで対向する2つの透光性基板である第1基板51、第2基板52と、第2基板52と液晶層53との間に積層される透光性の樹脂層54と、第2基板52と樹脂層54との間に設けられ、複数の開口部551を有する遮光バリア55と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に並ぶ複数の視点に個別の画像を出力可能な表示装置であって、
液晶層を挟んで対向する2つの透光性基板と、
前記2つの透光性基板のうち、ユーザ側に位置する一方の基板と前記液晶層との間に積層される透光性の樹脂層と、
前記一方の基板と前記樹脂層との間に設けられ、複数の開口部を有する遮光バリアと、
を備える、
表示装置。
【請求項2】
前記樹脂層の厚みは、第一条件及び第二条件に基づき、
前記第一条件は、前記開口部を通過して前記所定方向に隣り合う2つの視点の一方に到達する光の射線と、当該開口部を通過して前記所定方向に隣り合う2つの視点の他方に到達する光の射線と、が形成する角度であり、
前記第二条件は、前記表示装置が有する複数の副画素毎に個別に設けられるカラーフィルタの前記所定方向の配置ピッチである、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記カラーフィルタは、前記液晶層と前記樹脂層との間に配置され、
前記樹脂層の厚みは、前記第一条件及び前記第二条件に基づいて算出された厚みから、前記カラーフィルタの厚みを差し引いた厚みに対応する、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記カラーフィルタは、2つの透光性基板の他方に配置される、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記副画素の種類と、前記視点の数に応じて同時に出力される画像の数と、の公約数が1のみである、
請求項2から4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記所定方向に隣り合う副画素は、それぞれ異なる視点に対する画像の出力に用いられる、
請求項5に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の視点の各々に到達する光の射線を遮光バリアで限定することで、複数の視点に対して個別の画像を出力できる表示装置が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-223100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の視点に個別の画像が出力される場合、表示装置から各視点に到達する光の射線の角度は、それぞれ異なる角度になる。表示装置が有する2枚のガラス基板間に封止されている液晶層と遮光バリアとの間の距離は、所定方向に隣り合う視点間の角度差と、個別の画像の出力に用いられる副画素の所定方向の配置ピッチと、に対応する。ここで、角度差と配置ピッチによっては、特許文献1に記載の構成では、要求される液晶層と遮光バリアとの間の距離を満たすことが非常に困難になる。具体的には、特許文献1に記載の構成では、液晶層と遮光バリアとの間にガラス基板が存在するため、当該ガラス基板を要求される距離未満の厚みにする必要があるが、これは技術的に困難である。近年、表示装置の高精細化の進行に伴い、副画素の配置ピッチがより小さくなっていることから、このような副画素の配置ピッチの傾向に応じて特許文献1のガラス基板の厚みを薄くすることは容易でない。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたもので、より容易に液晶層と遮光バリアとの間の距離を任意の厚みとすることができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による表示装置は、所定方向に並ぶ複数の視点に個別の画像を出力可能な表示装置であって、液晶層を挟んで対向する2つの透光性基板と、前記2つの透光性基板のうち、ユーザ側に位置する一方の基板と前記液晶層との間に積層される透光性の樹脂層と、前記一方の基板と前記樹脂層との間に設けられ、複数の開口部を有する遮光バリアと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、表示装置の主要構成を示す断面図である。
図2図2は、液晶層を封止する構造例を示す模式図である。
図3図3は、液晶層を封止する構造例を示す模式図である。
図4図4は、液晶層を封止する構造例を示す模式図である。
図5図5は、表示装置の製造に係る手順の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、副画素ピッチとバリアピッチとの関係を示す模式図である。
図7図7は、副画素の配置と、各副画素を視認するユーザを示す番号と、の関係を示す図である。
図8図8は、遮光バリアに設けられた開口部の位置の例を示す図である。
図9図9は、U2視点と、U1視点と、U3視点と、の各々で視認可能な副画素で構成される可視領域を示す図である。
図10図10は、画素信号の割り当て例と、遮光パターンと、U2視点での可視領域と、の対応関係を示す図である。
図11図11は、「割り当て例」における「1」、「2」、「3」、「4」の各々の副画素を視認可能な角度範囲の例を示す模式図である。
図12図12は、カラム反転駆動方式が採用された場合の各副画素の極性と、U2視点での可視領域と、の対応関係を示す図である。
図13図13は、2カラム反転駆動方式が採用された場合の各副画素の極性と、U2視点での可視領域と、の対応関係を示す図である。
図14図14は、ドット反転駆動方式が採用された場合の各副画素の極性と、U2視点での可視領域と、の対応関係を示す図である。
図15図15は、変形例1における画素信号の割り当て例と、遮光パターンと、U2視点での可視領域と、の対応関係を示す図である。
図16図16は、U2視点での可視領域における副画素の極性を、カラム反転駆動方式の場合と、2カラム反転駆動方式の場合と、ドット反転駆動方式の場合と、でそれぞれ示す図である。
図17図17は、変形例2における画素信号の割り当て例を示す図である。
図18図18は、変形例3における画素信号の割り当て例を示す図である。
図19図19は、図18を参照して説明した「割り当て例」における「1」、「2」、「3」の各々の副画素を視認可能な角度範囲の例を示す模式図である。
図20図20は、変形例4における画素信号の割り当て例を示す図である。
図21図21は、図20を参照して説明した「5視点画像割り当て例1」及び「5視点画像割り当て例2」における「1」、「2」、「3」、「4」、「5」の各々の副画素を視認可能な角度範囲の例を示す模式図である。
図22図22は、4副画素2視点における画素信号の割り当て例と、2視点のうち一方である第2視点から視認可能な副画素で構成される可視領域を示す図である。
図23図23は、4副画素3視点における画素信号の割り当て例と、3視点のうち一つである第2視点から視認可能な副画素で構成される可視領域を示す図である。
図24図24は、4副画素4視点における画素信号の割り当て例と、4視点のうち一つである第2視点から視認可能な副画素で構成される可視領域を示す図である。
図25図25は、4副画素5視点における画素信号の割り当て例と、5視点のうち一つである第2視点から視認可能な副画素で構成される可視領域を示す図である。
図26図26は、4副画素5視点における画素信号の割り当て例と、5視点のうち一つである第2視点から視認可能な副画素で構成される可視領域を示す図である。
図27図27は、2×2副画素2視点における画素信号の割り当て例と、2視点のうち一方である第2視点から視認可能な副画素で構成される可視領域を示す図である。
図28図28は、2×2副画素3視点における画素信号の割り当て例と、3視点のうち一つである第2視点から視認可能な副画素で構成される可視領域を示す図である。
図29図29は、カラーフィルタ層及びブラックマトリクスが第1基板側に設けられている表示装置の主要構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
図1は、表示装置50の主要構成を示す断面図である。表示装置50は、第1基板51と、第2基板52と、を備える。第1基板51及び第2基板52は、透光性を有する基板である。第1基板51及び第2基板52は、ガラス基板であるが、樹脂基板も採用可能である。第1基板51と、第2基板52と、は、間に液晶層53を挟んで対向する。
【0010】
以下、第1基板51と第2基板52との対向方向をZ方向とする。また、Z方向に直交する平面に沿う2方向の一方をX方向とし、他方をY方向とする。X方向とY方向とは直交する。
【0011】
第1基板51の液晶層53側の面には、回路形成層511が積層されている。回路形成層511は、副画素に個別に設けられる画素電極、複数の副画素で共有される共通電極、画素電極に接続されるスイッチング素子、スイッチング素子と図示しない表示装置50のドライバ回路とを接続する配線(例えば、後述する図6に示す信号線SGL)、これらの間で絶縁されるべき箇所を絶縁する絶縁層等、複数の構成を含む。回路形成層511は、これら複数の構成を形成するために積層された複数の層を有する。副画素とは、例えば後述する第1副画素Rpix、第2副画素Gpix、第3副画素Bpixのいずれかである。特筆せず副画素と記載した場合、これらを包括する。また、変形例では、さらに、第4副画素Wpixが副画素に含まれることもある。また、副画素はこれらの具体的なものに限定されず、カラーフィルタが通す光の色に対応して適宜設けられる。
【0012】
第2基板52の液晶層53側の面には、遮光バリア55、樹脂層54、ブラックマトリクスBM、カラーフィルタ層CF及びOC(OverCoat)層56が積層されている。
【0013】
遮光バリア55は、所定の大きさを有する複数の開口部551がX方向及びY方向に所定間隔で設けられている遮光層である。開口部551は、遮光バリア55をZ方向に貫通する孔である。開口部551は、カラーフィルタ層CFを通過してくる光を通す。開口部551の配置については、後述する。
【0014】
樹脂層54は、透光性を有する樹脂製の層である。具体的には、樹脂層54は、例えば、無色のレジストを塗布することで形成された層であるが、フィルム状のレジストを張り付けて形成されてもよい。また、樹脂層54は、ピンコート・スリット、スピン・スリットコート等の塗布方法を利用して形成されてもよい。樹脂層54の素材として、例えば、アクリル、ポリイミド系などの透光性樹脂が挙げられるが、これに限られるものでなく、同様に機能する他の透光性樹脂であってもよい。
【0015】
カラーフィルタ層CFは、複数種類のカラーフィルタ(例えば、第1カラーフィルタCF1、第2カラーフィルタCF2及び第3カラーフィルタCF3)を含む。第1カラーフィルタCF1は、第1の色(例えば、赤色(R))の波長帯の光を透過させ、他の波長帯の光を遮蔽又は吸収する。第2カラーフィルタCF2は、第2の色(例えば、緑色(G))の波長帯の光を透過させ、他の波長帯の光を遮蔽又は吸収する。第3カラーフィルタCF3は、第3の色(例えば、青色(B))の波長帯の光を透過させ、他の波長帯の光を遮蔽又は吸収する。平面視点で、各カラーフィルタは、格子状のブラックマトリクスBMで区切られている。平面視点とは、Z方向に直交する平面(X-Y平面)を正面視する視点である。ブラックマトリクスBMは、光を遮蔽する。OC層56は、カラーフィルタ層CFと液晶層53との間に介在してカラーフィルタ層CFを保護する透光性の樹脂層である。
【0016】
カラーフィルタ層CFが含む複数種類のカラーフィルタは、第1カラーフィルタCF1、第2カラーフィルタCF2及び第3カラーフィルタCF3のうち一部を含んでいてもよいし、第1カラーフィルタCF1、第2カラーフィルタCF2、第3カラーフィルタCF3とは異なる他のカラーフィルタを含んでいてもよい。また、カラーフィルタ層CFは、無色のフィルタが設けられるか又はフィルタが設けられない光透過部をさらに含んでいてもよい。また、カラーフィルタ層CFは、光を遮る遮光部をさらに含んでいてもよい(図17の「黒色出力割り当て例」参照)。遮光部は、ブラックマトリクスBMが延出することで形成されてもよいし、ブラックマトリクスBMとは別個の部材が設けられていてもよい。
【0017】
表示装置50は、X方向に並ぶ複数の視点で見るとそれぞれが異なる画像となる画像を表示する。図1では、X方向に並ぶ視点U1,U2,U3にそれぞれ異なる画像を表示出力している状態を模式的に示している。射線LL1は、視点U1に視認される画像の光の射線を模式的に示す。射線LL2は、視点U2に視認される画像の光の射線を模式的に示す。射線LL3は、視点U3に視認される画像の光の射線を模式的に示す。
【0018】
複数の視点のうちX方向に隣り合う2つの視点の各々に向かう2つの光の射線の出射角度は、角度θだけ異なる。図1では、射線LL2がZ方向に沿い、射線LL1がZ方向に対してX方向の一方側に角度θ傾き、射線LL3がZ方向に対してX方向の他方側に角度θ傾いている場合を例示している。角度θは、例えば35°であるが、これに限られるものでなく、適宜変更可能である。
【0019】
図示しないが、表示装置50を挟んで視点U1,U2,U3の反対側には、少なくとも表示装置50側に光を照射する光源が設けられる。当該光源は、射線LL1,LL2,LL3で表される光を発する。
【0020】
カラーフィルタ層CFが含む複数種類のカラーフィルタのX方向の配置ピッチは、副画素ピッチpである。また、X方向に隣り合う2つの開口部551のうち一方と、当該2つの開口部551の間に位置する遮光バリア55と、を含む領域のX方向の配置ピッチは、バリアピッチqである。以下、開口部551のピッチと記載した場合、バリアピッチqである当該領域の配置ピッチをさす。また、遮光バリア55が設けられる側の第2基板52の一面と、液晶層53と接するOC層56の一面と、のZ方向の距離は、距離dである。ここでは、一例として、開口部551が樹脂層54で埋まっており、樹脂層54の厚みが遮光バリア55のZ方向の厚みを含んでいるものとする。
【0021】
距離dは、角度θの大きさと、副画素のX方向の配置ピッチ、すなわち、副画素ピッチpと、に対応する。距離dは、以下の式(1)のように表せる。式(1)におけるtanは正接(tangent)を示す。式(1)におけるasinは逆正弦(arcsin)を示す。式(1)におけるsinは正弦(sine)を示す。式(1)におけるnは、表示装置50と、視点(例えば、視点U1,U2,U3)との間に介在する空気と、の光の屈折率差に対応した係数(例えば、1.5)である。式(1)におけるpは、副画素ピッチpの値である。式(1)におけるθは、角度θの角度の値である。
d=p/tan(asin(sinθ/n))…(1)
【0022】
また、副画素ピッチpは、以下の式(2)のように表せる。式(2)におけるppiは、表示装置50の解像度である。解像度とは、画素の数である。mは、1つの画素が含む副画素の数である。例えば、図1に示すように、第1カラーフィルタCF1、第2カラーフィルタCF2、第3カラーフィルタCF3が設けられる表示装置50では、副画素として、第1副画素Rpix、第2副画素Gpix、第3副画素Bpix(図7等参照)が設けられることになる。この場合、m=3である。式(1)で表される距離d及び式(2)で表される副画素ピッチpの単位は、マイクロメートル(μm)である。
p=25.4×1000/ppi×m…(2)
【0023】
上記(1)のように表せる距離dの値(d)で表されるZ方向の厚み(単位:μm)は、角度θの角度の値(θ)と副画素ピッチpの値(p)との組み合わせによっては、100付近又は100未満になる。例えば、ppi=200、m=3の場合、pは、約42.3である。p=42.3かつθ=35である場合、dは、約102.3になる。また、ppi=300、m=3の場合、pは、約28.2である。p=28.2かつθ=35である場合、dは、約68.2になる。また、θがより大きい場合、dの値は、より小さくなる。例えば、個別の画像を視認するユーザの数(視点の数)2視点の場合、θ=70となることもある。
【0024】
仮に、樹脂層54が設けられないとすると、図1において樹脂層54と第2基板52との間に位置する遮光バリア55を、第2基板52上となる視点側の面(表示面)に設けつつ、当該第2基板52、カラーフィルタ層CF及びOC層56を含む積層構造のZ方向の厚みの値を、上述した距離dの値と等しくする必要がある。ここで、カラーフィルタ層CF及びOC層56の厚みは、一般的に1~2μmとすることができる。しかしながら、第2基板52の厚みを100μm前後とすることは技術的に困難である。特に、第2基板52の厚みを100μm未満とすることは非常に困難である。
【0025】
そこで、実施形態では、第2基板52と液晶層53との間に樹脂層54を設け、遮光バリア55を第2基板52と樹脂層54との間に設けるとで、距離dに樹脂層54のZ方向の厚みを加えつつ、第2基板52の厚みが関わらないようにすることができる。これによって、要求される距離dを容易に実現できる。
【0026】
図2は、液晶層53を封止する構造例を示す模式図である。図2等に示すように、表示装置50の端部には、封止部材58が設けられる。封止部材58は、第1基板51に積層された回路形成層511と、第2基板52に積層されたOC層56と、の間に介在する。封止部材58は、平面視点で表示装置50の外周辺に沿って液晶層53を囲うように設けられ、液晶層53を封止する。図2ならびに後述する図3及び図4は、表示装置50の端部のうちX方向の一端を例示しているが、X方向の他端及びY方向の両端も同様の構造である。
【0027】
封止部材58は、非表示領域NAAに設けられる。非表示領域NAAは、平面視点で表示装置50の外周辺に沿って表示領域AAを包囲する領域である。非表示領域NAAは、画像の表示出力に利用されない。表示領域AAは、画像の表示出力に利用される領域である。図2等では、非表示領域NAAと表示領域AAとの境界線BLを破線で示している。
【0028】
また、液晶層53が封止されている回路形成層511とOC層56との間には、図2等に示すように、スペーサ57が点在する。スペーサ57は、回路形成層511とOC層56との間のZ方向の距離(セルギャップ)を予め定められた距離で保持する。
【0029】
液晶層53を封止する構造は、図2を参照して説明したものに限られない。以下、図3及び図4を参照して、液晶層53を封止する他の構造例について説明する。なお、図3の表示装置50A及び図4の表示装置50Bは、液晶層53を封止する構造が図2と異なることを除いて、表示装置50と同様の構成である。
【0030】
図3は、液晶層53を封止する構造例を示す模式図である。図3に示すように、封止部材58が設けられる表示装置50の端部付近には、樹脂層54及びカラーフィルタ層CFが設けられないようにしてもよい。図3では、当該端部付近に樹脂層54及びカラーフィルタ層CFが設けられないことで生じた段差部59を示している。なお、カラーフィルタ層CFの段差部59側の角部は、図3に示すように、OC層56で覆われる。一方、樹脂層54の段差部59側の角部は、図3に示すように、液晶層53と接していてよい。
【0031】
図4は、液晶層53を封止する構造例を示す模式図である。図4に示すように、段差部59aを挟んで封止部材58側に樹脂層54を設けるようにしてもよい。段差部59aには樹脂層54及びカラーフィルタ層CFが設けられず、封止部材58の一部が進入するように延出する。段差部59aよりも表示装置50Bの端部付近で封止部材58が設けられる大部分の範囲には、カラーフィルタ層CFは設けられないが樹脂層54は設けられる。
【0032】
図5は、表示装置50の製造に係る手順の一例を示すフローチャートである。第2基板52に対して、遮光バリア55の形成が行われる(ステップS1)。ステップS1の処理において、遮光バリア55における開口部551の形成も行われる。ステップS1の処理後の第2基板52に対して、樹脂層54の形成が行われる(ステップS2)。ステップS2の処理後の第2基板52に対して、ブラックマトリクスBM及びカラーフィルタ層CFの形成が行われる(ステップS3)。
【0033】
ステップS3の処理後、回路形成層511が形成されている第1基板51と第2基板52との張り合わせ及び液晶層53の封入が行われる(ステップS4)。封止部材58は、ステップS4の処理で表示装置50に設けられる。なお、第1基板51に対する回路形成層511の積層は、ステップS1からステップS3の処理と並行で行われてもよいし、ステップS1からステップS3の処理のいずれかの処理の前又は後に行われてもよい。
【0034】
ステップS4の処理後、第1基板51と第2基板52とが張り合わされて形成された積層基板のエッチング(薄型化)が行われる(ステップS5)。ステップS5の処理後、積層基板に対する偏光層の積層、その他の部品の実装が行われ(ステップS6)、表示装置50の製造が完了する。
【0035】
図6は、副画素ピッチpとバリアピッチqとの関係を示す模式図である。図6等に示す点SPは、表示領域AA(図2等参照)のX方向の中心位置を示す。開口部551のX方向の開口幅は、副画素ピッチpと同一であるか、ほぼ等しい。一方、X方向のバリアピッチqは、副画素ピッチpのk倍未満である。kは、表示装置50が同時に出力する画像の数(種類)であり、基本的にはあらかじめ規定した視点数に等しい。複数の視点(例えば、視点U1,U2,U3)の各々では、k種類の画像のうち1つを視認でき、各視点で視認できる画像は異なる。kは2以上の自然数である。
【0036】
なお、図6では、k=4の場合を例示している。カラーフィルタ層CFの下に付された1,2,3,4の数値は、後述する図7等で副画素に付されている「1」、「2」、「3」、「4」の数値に対応する。また、図6に示す信号線SGLは、回路形成層511に含まれる構成である。図6に示す例では、信号線SGLのX方向の位置は、ブラックマトリクスBMのX方向の位置に対応する。
【0037】
バリアピッチqが副画素ピッチpのk倍未満になるのは、X方向に並ぶカラーフィルタ(副画素)に対し、あらかじめ規定した各視点から開口部551越しにそれぞれ異なる1つのカラーフィルタ(1つの副画素)を視認できるようにするためである。言い換えれば、1つの開口部551を通って各視点に至る光に複数種類のカラーフィルタを通過する光が含まれないようにするためには、バリアピッチqを副画素ピッチpのk倍未満とする必要がある。従って、開口部551のX方向の開口幅が副画素ピッチpと同一であるとすると、1つの遮光バリア55のX方向の幅は、副画素ピッチpの(k-1)倍未満である。
【0038】
以下で、「rつ分相当の副画素が並ぶ領域であって、遮光バリア55で覆われている領域」と記載されている場合、図6を参照して説明したように、バリアピッチqが副画素ピッチpのk倍未満であることによって、遮光バリア55のX方向の幅が、(k-1)倍よりもわずかに小さいことを示している。rは、視点の数(k)から1を差し引いた自然数(r=k-1)である。すなわち、「rつ分相当の副画素が並ぶ領域であって、遮光バリア55で覆われている領域」という記載における「rつ分相当」とは、遮光バリア55のX方向の幅が、厳密には「副画素rつ分」でなく、「副画素rつ分未満である」ことを示す。
【0039】
次に、カラーフィルタ層CFが透過する光の色と、遮光バリア55及び開口部551によって限定される光の通過位置と、の組み合わせによる複数の画像の個別出力の仕組みについて、図7図8及び図9を参照して説明する。
【0040】
図7は、副画素の配置と、各副画素を視認するユーザを示す番号と、の関係を示す図である。第1副画素Rpixは、ユーザ(例えば、視点U1,U2,U3のいずれか)が視認する光の射線に第1カラーフィルタCF1が位置する副画素である。第2副画素Gpixは、ユーザ(例えば、視点U1,U2,U3のいずれか)が視認する光の射線に第2カラーフィルタCF2が位置する副画素である。第3副画素Bpixは、ユーザ(例えば、視点U1,U2,U3のいずれか)が視認する光の射線に第3カラーフィルタCF3が位置する副画素である。図7等、副画素の並び及び各副画素を視認するユーザを示す番号を示す図面では、第1副画素Rpix、第2副画素Gpix、第3副画素Bpixの符号を付されている矩形領域がそれぞれ1つだけであるが、それぞれ同じドットパターンが付された矩形領域は、同じ符号を付すことができる構成である。
【0041】
図7等に示す副画素の行n,(n+1),n+2は、表示装置50に設けられた複数の副画素の行のうち、Y方向に並ぶ3つの副画素の行を抜粋して示したものである。以下、単に行と記載した場合、特筆しない限り、副画素の行をさす。各行には、X方向に沿って、第1副画素Rpix、第2副画素Gpix、第3副画素Bpixが周期的に配置される。図7では、各行のX方向の一方側から他方側に向かって、第2副画素Gpix、第3副画素Bpix、第1副画素Rpixの順に副画素が周期的に並んでいるが、この並び順はあくまで一例であってこれに限られるものでなく、適宜変更可能である。図7等では、Y方向に第2副画素Gpixが並ぶ副画素の列の一方側に「G」を付している。また、Y方向に第3副画素Bpixが並ぶ副画素の列の一方側に「B」を付している。また、Y方向に第1副画素Rpixが並ぶ副画素の列の一方側に「R」を付している。以下、単に列と記載した場合、特筆しない限り、副画素の列をさす。
【0042】
表示装置50に対して外部から入力される画像データに基づいた画素信号が各副画素に与えられ、当該画素信号が示す階調値に応じて各副画素を透過する光の度合いが制御されることで、画像の表示出力が行われる。
【0043】
具体的には、副画素を透過する光の度合いは、液晶層53に含まれる液晶分子の配向に対応する。液晶層53に含まれる液晶分子の配向は、回路形成層511に含まれる画素電極と共通電極との電位差に応じて制御される。画素電極は、副画素毎に個別に設けられる。共通電極は、複数の副画素で共有される。画素信号は、画素電極に個別に与えられ、画素電極の電位を画素信号の強さに応じたものにする。これによって、各副画素の画素電極とカラーフィルタ層CFとの間の液晶分子の配向が制御される。
【0044】
図7等では、視点U1に視認される光の射線(例えば、図1に示す射線LL1)に位置する副画素に「1」を付している。また、視点U2に視認される光の射線(例えば、図1に示す射線LL2上に位置する副画素に「2」を付している。また、視点U3に視認される光の射線(例えば、図1に示す射線LL3)に位置する副画素に「3」を付している。
【0045】
図8は、遮光バリア55に設けられた開口部551の位置の例を示す図である。図8に示す遮光バリア55には、図7に示す副画素の並び数換算で、3つの副画素がX方向に連続して並ぶ領域内に、1つ分の副画素に対応する開口部551が設けられている。言い換えれば、3つの副画素が連続して並ぶ領域のうち、2つ分の副画素に対応する領域の光は遮光バリア55によって遮蔽され、残り1つ分の副画素に対応する光が開口部551を通ってユーザ(例えば、視点U1,U2,U3)に到達する(図1参照)。より具体的には、例えば図1に示す如く視点U2から遮光バリア55付きの表示装置を第2ユーザが視認した場合、当該第2ユーザには、当該遮光バリア55の開口部551を介して図7中「2」と付された副画素が主として視認され、当該「2」と付された副画素群によって一つの画像(視点U2用の画像)が形成される。この時、同時に第1ユーザが図1に示す視点U1から当該遮光バリア55付きの表示装置を視認した場合、当該第1ユーザには、当該遮光バリア55の開口部551を介して図7中「1」と付された副画素が主として視認され、当該「1」と付された副画素群によって一つの画像(視点U1用の画像)が形成される。この時、同時に第3ユーザが図1に示す視点U3から当該遮光バリア55付きの表示装置を視認した場合、当該第3ユーザには、当該遮光バリア55の開口部551を介して図7中「3」と付された副画素が主として視認され、当該「3」と付された副画素群によって一つの画像(視点U3用の画像)が形成される。
【0046】
各行の開口部551の配置は、等間隔である。すなわち、X方向に2つ分相当の副画素が並ぶ領域が遮光バリア55で覆われると共に、X方向に1つ分の副画素が配置される領域が開口部551として形成され、これらが行ごとに交互にX方向に並ぶ。また、nの行に設けられる開口部551の位置と、(n+1)の行に設けられる開口部551の位置と、は、X方向の負方向に副画素1つ分ずれている。また、(n+1)の行に設けられる開口部551の位置と、(n+2)の行に設けられる開口部551の位置と、は、X方向の負方向に副画素1つ分ずれている。また、(n+2)の行に設けられる開口部551の位置と、nの行に設けられる開口部551の位置と、は、X方向の負方向に副画素2つ分ずれている。
【0047】
図9は、U2視点と、U1視点と、U3視点と、の各々で視認可能な副画素で構成される可視領域を示す図である。U2視点とは、図1に示す視点U2から表示装置50を見る視点をさす。U1視点とは、図1に示す視点U1から表示装置50を見る視点をさす。U3視点とは、図1に示す視点U3から表示装置50を見る視点をさす。なお、図9以降で、「可視領域の模式図」又は「可視領域」かつ「模式図」とされている図において「1」、「2」、「3」等の数値又は「+」、「-」等の符号が付されている領域は、開口部551を介してユーザから視認できる副画素を示す。
【0048】
図1に示すように、ユーザ(例えば、視点U1,U2,U3)は、表示装置50の背面側から照射されて、液晶層53及びカラーフィルタ層CFを通った光のうち、開口部551を通る光を視認する。従って、ユーザから見える副画素は、視線において開口部551と重なる副画素に限定される。
【0049】
図9に示すように、U2視点では、図7において「2」を付された副画素を視認できる。一方、U2視点では、図7において「2」以外の値(「1」又は「3」)を付された副画素を視認できない。同様に、U1視点では、図7において「1」を付された副画素を視認できる。またに、U3視点では、図7において「3」を付された副画素を視認できる。従って、「2」を付された副画素に視点U2向けの画像に対応した画素信号を割り当て、「1」を付された副画素に視点U1向けの画像に対応した画素信号を割り当て、「3」を付された副画素に視点U3向けの画像に対応した画素信号を割り当てることで、視点U1,U2,U3に個別の画像を表示出力できる。このような各副画素に対する画素信号の割り当てと、図8を参照して説明したような開口部551の配置と、は対応している。言い換えれば、画素信号の割り当て制御は、開口部551の配置に対応して行われる。
【0050】
ところで、図9に示す例では、どのユーザの視点であっても各行で視認できる副画素の種類が1種類になっている。例えば、図9に示すU2視点では、nの行で第2副画素Gpixが主として視認でき、(n+1)の行で第1副画素Rpixが主として視認でき、(n+2)の行で第3副画素Bpixが主として視認できる状態になっている。このように、各行で視認できる副画素の種類が1種類になると、行単位で色が統一されてしまうことによって、当該行ごとの色分離がユーザに視認され、画像に不測の色づきが発生してしまう、或いは当該色分離に起因するY方向の縞模様がユーザから視認できてしまうことがある。当該縞模様は、出力される画像の表示態様にもともと含まれるものでなく、図7を参照して説明した副画素の種類の数と、副画素の行方向の並び及び画素信号制御と、図8を参照して説明した遮光バリア55及び開口部551の配置と、出力される画像の数(個別に画像を視認するユーザの数)と、の対応関係によって生じるものである。
【0051】
そこで、実施形態では、副画素の種類の数と、出力される画像の数と、を倍数の関係にしない。具体的には、副画素の種類の数と、出力される画像の数、すなわち一つの開口部が提供する視点の数と、の公約数が1のみとなるように、副画素の種類の数及び出力される画像の数が予め決定される。これによって、各行で視認できる副画素の種類が1種類に限定されないようにすることができる。
【0052】
図10は、画素信号の割り当て例と、遮光パターンと、U2視点での可視領域と、の対応関係を示す図である。図10の「割り当て例」で示すように、実施形態では、「1」、「2」、「3」、「4」のうちいずれかが副画素に付されている。これらのうち、「1」、「2」、「3」が付された副画素については、図7を参照して説明したものと同様である。「4」が付された副画素は、U1視点、U2視点及びU3視点のいずれとも異なる他の視点から視認できる副画素である。遮光パターンは、平面視点での開口部551の配置を模式的に示すものであり、遮光バリア55による遮光範囲と、開口部551による非遮光範囲と、を含む。
【0053】
図10の「割り当て例」で示すように、各行においてX方向に並ぶ4つの副画素は、「1」、「2」、「3」、「4」の副画素を1つずつ含む。また、「1」、「2」、「3」、「4」の順に副画素が並ぶ周期が行ごとにX方向の一方側から他方側に向かって繰り返されるパターンが生じている。さらに、各列においてY方向に隣り合う副画素の一方に付された番号と他方に付された番号との差は、2である。すなわち、「1」と「3」とがY方向の一方側から他方側に向かって交互に並ぶ列と、「2」と「4」とがY方向の一方側から他方側に向かって交互に並ぶ列と、がX方向に交互に並ぶ。
【0054】
実施形態の遮光バリア55及び開口部551は、図10の「遮光パターン」で示すように、副画素の並び数換算で、4つの副画素がX方向に連続して並ぶ領域内に、1つ分の副画素に対応する開口部551が設けられている。具体的には、画素行ごとに、X方向に3つ分相当の副画素が並ぶ領域が遮光バリア55で覆われると共に、X方向に1つ分の副画素が配置される領域が開口部551として形成され、これらが交互にX方向に並ぶ。また、Y方向に隣り合う2行(例えばnの行と(n+1)の行)のうち一方の行(nの行)の開口部551の位置と他方の行((n+1)の行)の開口部551の位置とは、X方向の正方向に副画素2つ分ずれている。
【0055】
上述した図10の「割り当て例」と「遮光パターン」との組み合わせによって、「U2視点可視領域」で示すように、視点U2においては、各行に第1副画素Rpix、第2副画素Gpix及び第3副画素Bpixが含まれる出力による画像を視認できる。また、視点U1及び視点U3も、視点U2と同様に、各開口部551を通じて各行に第1副画素Rpix、第2副画素Gpix及び第3副画素Bpixが含まれる出力による画像を視認できることが、図10の「割り当て例」から明らかである。
【0056】
図11は、「割り当て例」における「1」、「2」、「3」、「4」の各々の副画素を視認可能な角度範囲A1,A2,A3,A4の例を示す模式図である。図11に示す角度範囲A1は、「1」の副画素を視認できる視野角範囲を示す。角度範囲A2は、「2」の副画素を視認できる視野角範囲を示す。角度範囲A3は、「3」の副画素を視認できる視野角範囲を示す。角度範囲A4は、「4」の副画素を視認できる視野角範囲を示す。
【0057】
図11に示すように、角度範囲A2は、Z方向を中心としてX方向の両側に広がる。角度範囲A1は、角度範囲A2よりもX方向の一方側に傾いている。角度範囲A3は、角度範囲A2よりもX方向の他方側に傾いている。角度範囲A4は、角度範囲A2,A3よりもX方向のさらに外側に傾いている。
【0058】
図11に示す角度θは、図1を参照して説明した角度θと同様である。すなわち、図11に示す角度範囲A1,A2,A3及び2つの角度範囲A4の各々は、例えば、点SPを中心として35°の範囲である。
【0059】
図10及び図11を参照して説明したように、「1」、「2」、「3」、「4」の各々の副画素を視認可能な角度範囲A1,A2,A3,A4で個別の画像が視認可能となるように遮光パターンを設け、副画素の動作を制御することで、図9を参照して説明したようなY方向の縞模様の発生を抑制できる。
【0060】
また、実施形態では、画素の反転駆動による極性についても各視点で偏りが生じないよう、反転駆動方式等が決定されている。この説明に先立ち、一般的なカラム反転駆動方式について、図12を参照して説明する。
【0061】
図12は、カラム反転駆動方式が採用された場合の各副画素の極性と、U2視点での可視領域と、の対応関係を示す図である。カラム反転駆動方式は、1つの列に含まれる副画素の極性を統一し、かつ、隣り合う列の極性を異ならせる方式である。副画素の極性は、各副画素に設けられる画素電極の電位と、複数の副画素で共有される共通電極の電位と、の電位差に応じる。図12等では、画素電極の電位が共通電極の電位よりも高い副画素に「+」を付している。また、画素電極の電位が共通電極の電位よりも低い副画素に「-」を付している。画素の極性は、周期的に入れ替わる。
【0062】
図12の「カラム反転極性」で示すように、カラム反転駆動方式では、隣り合う2つの列の一方に含まれる副画素の極性が「+」で統一され、他方に含まれる副画素の極性が「-」で統一されている。このような極性が与えられている副画素を、図10を参照して説明したU2視点で見た場合、図12の「U2視点可視領域」で示すように、視認できる全ての副画素の極性が同一になっている。図12の「U2視点可視領域」で示す例では、全ての副画素が「-」であるが、周期的に「+」と「-」とが入れ替わる。また、図10を参照して説明した副画素の制御と遮光パターンとの組み合わせでカラム反転駆動方式が採用された場合、他の視点から見ても、1つの視点から同時に視認できる副画素の極性は、単一の極性に統一される。従って、副画素が反転駆動されることによって極性が反転すると、画像全体の極性が反転することになる。画像全体の極性が周期的に反転すると、表示出力がフリッカを生じているように視認されることがある。
【0063】
そこで、実施形態では、図10を参照して説明した副画素の制御と遮光パターンとの組み合わせが採用される場合、カラム反転駆動方式以外の反転駆動方式が採用される。
【0064】
図13は、2カラム反転駆動方式が採用された場合の各副画素の極性と、U2視点での可視領域と、の対応関係を示す図である。2カラム反転駆動方式は、1つの列に含まれる副画素の極性を統一し、かつ、2列周期で極性を異ならせる方式である。図13の「2カラム反転極性」で示すように、2カラム反転駆動方式では、X方向に連続する4つの列のうち2つの列に含まれる副画素の極性が「+」で統一され、他の2つの列に含まれる副画素の極性が「-」で統一されている。また、ある1つの列に対して隣り合う2つの列の一方に含まれる副画素の極性は、当該1つの列に含まれる副画素の極性と同じである。また、当該1つの列に対して隣り合う2つの列の他方に含まれる副画素の極性は、当該1つの列に含まれる副画素の極性と異なる。このような極性が与えられている副画素を、図10を参照して説明したU2視点で見た場合、図13の「U2視点可視領域」で示すように、視認できる副画素の極性が「+」であるものと「-」であるものとが混在している。
【0065】
図14は、ドット反転駆動方式が採用された場合の各副画素の極性と、U2視点での可視領域と、の対応関係を示す図である。ドット反転駆動方式は、X方向及びY方向に隣り合う副画素の極性を異ならせる方式である。図13の「ドット反転極性」で示すように、ドット反転駆動方式では、1つの列に含まれる副画素であってY方向に隣り合う2つの副画素の極性が異なる。また、ドット反転駆動方式では、1つの行に含まれる副画素であってX方向に隣り合う2つの副画素の極性が異なる。このような極性が与えられている副画素を、図10を参照して説明したU2視点で見た場合、図13の「U2視点可視領域」で示すように、視認できる副画素の極性が「+」であるものと「-」であるものとが混在している。
【0066】
図13及び図14を参照して説明したように、ある反転駆動方式(例えば、カラム反転方式)が採用された場合に1つの視点から同時に視認される副画素の極性が統一されてしまう場合であっても、他の反転駆動方式(例えば、2カラム反転方式又はドット反転方式)を採用することで、1つの視点から同時に視認される副画素の極性が「+」であるものと「-」であるものとが混在するようにできる。
【0067】
(変形例)
以上、図10を参照して説明した構成に基づいて、実施形態について説明したが、本開示による実施形態はこれに限られるものでない。以下、実施形態の変形例について説明する。
【0068】
(変形例1)
図15は、変形例1における画素信号の割り当て例と、遮光パターンと、U2視点での可視領域と、の対応関係を示す図である。図15の「割り当て例」は、各行においてX方向に並ぶ4つの副画素が、「1」、「2」、「3」、「4」の副画素を1つずつ含み、「1」、「2」、「3」、「4」の順に副画素が並ぶ周期がX方向の一方側から他方側に向かって繰り返されるパターンが生じている点で、図10の「割り当て例」と同様である。
【0069】
一方、各列においてY方向に並ぶ副画素のいずれに「1」、「2」、「3」、「4」が与えられるかのパターンについては、図15の「割り当て例」と図10の「割り当て例」とで異なる。
【0070】
具体的には、図15の「割り当て例」では、列の一端(例えば、図15における上側の端)に位置する副画素が「1」の副画素である列には、一端側から他端側に向かって順に、「1」、「2」、「3」、「4」の副画素がY方向に周期的に並ぶ。また、列の一端に位置する副画素が「2」の副画素である場合、一端側から他端側に向かって順に、「2」、「3」、「4」、「1」の副画素がY方向に周期的に並ぶ。また、列の一端に位置する副画素が「3」の副画素である場合、一端側から他端側に向かって順に、「3」、「4」、「1」、「2」の副画素がY方向に周期的に並ぶ。また、列の一端に位置する副画素が「4」の副画素である場合、一端側から他端側に向かって順に、「4」、「1」、「2」、「3」の副画素がY方向に周期的に並ぶ。
【0071】
変形例1の遮光バリア55及び開口部551は、図15の「遮光パターン」で示すように、副画素の並び数換算で、4つの副画素がX方向に連続して並ぶ領域内に、1つ分の副画素に対応する開口部551が設けられている点で、図10の「遮光パターン」と同様である。具体的には、画素行ごとに、X方向に3つ分相当の副画素が並ぶ領域が遮光バリア55で覆われると共に、X方向に1つ分の副画素が配置される領域が開口部551として形成され、これらが交互にX方向に並ぶ。
【0072】
ただし、変形例1の遮光バリア55及び開口部551は、図15の「遮光パターン」で示すように、図10の「遮光パターン」と異なる。具体的には、Y方向に隣り合う3行(例えばnの行から(n+2)の行)のうち、中間位置の行((n+1の行)の開口部551の位置と、当該中間位置の行を挟んでY方向に対向する2行のうち一方の行(nの行)の開口部551の位置とは、X方向の正方向に副画素2つ分ずれている。また、当該中間位置の行((n+1)の行)の開口部551の位置と、当該中間位置の行を挟んでY方向に対向する2行のうち他方の行((n+2)の行)の開口部551の位置とは、X方向の負方向に副画素1つ分ずれている。負方向は、正方向の逆方向である。
【0073】
より具体的な例として、4行×4列の範囲内で行列状に配置された16個の副画素に対応する領域であって、Y方向の一方側かつX方向の一方側に1つの開口部551が位置する領域における開口部551の配置を説明する。当該領域における他の開口部551の位置は、Y方向の一方側から数えて2行目かつX方向の一方側から数えて3列目と、Y方向の一方側から数えて3行目かつX方向の一方側から数えて4列目と、Y方向の一方側から数えて4行目かつX方向の一方側から数えて2列目と、である。図15では、当該4行×4列の範囲に符号FA1を付している。
【0074】
上述した図15の「割り当て例」と「遮光パターン」との組み合わせによって、「U2視点可視領域」で示すように、視点U2は、各行に第1副画素Rpix、第2副画素Gpix及び第3副画素Bpixが含まれる出力による画像を視認できる。また、視点U1及び視点U3も、視点U2と同様に、各行に第1副画素Rpix、第2副画素Gpix及び第3副画素Bpixが含まれる出力による画像を視認できることが、図15の「割り当て例」から明らかである。
【0075】
図15を参照して説明した変形例1の「割り当て例」と「遮光パターン」との組み合わせによれば、カラム反転駆動方式でも、1つの視点から同時に視認できる副画素の極性が単一の極性に統一されることはない。
【0076】
図16は、U2視点での可視領域における副画素の極性を、カラム反転駆動方式の場合と、2カラム反転駆動方式の場合と、ドット反転駆動方式の場合と、でそれぞれ示す図である。なお、カラム反転駆動方式が採用された場合における副画素の極性は、図12の「カラム反転極性」を参照して説明した通りである。また、2カラム反転駆動方式が採用された場合における副画素の極性は、図13の「2カラム反転極性」を参照して説明した通りである。また、ドット反転駆動方式が採用された場合における副画素の極性は、図14の「ドット反転極性」を参照して説明した通りである。
【0077】
図16に示すように、変形例1の「割り当て例」と「遮光パターン」との組み合わせによれば、カラム反転駆動方式、2カラム駆動反転方式及びドット反転駆動方式のいずれであっても、1つの視点から同時に視認される副画素の極性が「+」であるものと「-」であるものとが混在するようにできる。
【0078】
(変形例2)
図17は、変形例2における画素信号の割り当て例を示す図である。変形例2のように、変形例1において「4」が付されていた位置にある副画素の状態を、変形例1とは異なる状態としてもよい。
【0079】
具体的には、例えば図17で示すように、図15の「割り当て例」で「4」が付されていた副画素を、白色又は黒色の出力に割り当てるようにしてもよい。図17の「白色出力割り当て例」では、白色の出力に割り当てられた副画素に「W」を付している。図17の「黒色出力割り当て例」では、黒色の出力に割り当てられた副画素に「b」を付している。白色の出力は、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の光の減色混合による色再現であってもよいし、「W」が付された副画素に設けられるカラーフィルタを無色にするか、カラーフィルタをなくすようにしてもよい。黒色の出力は、副画素が透過させる光の度合いを最低にする、すなわち、最低階調値の画素を与えることによるものであってもよいし、「B」が付された副画素の位置をブラックマトリクスBMで塞ぐ等によって当該副画素の位置を通る光が生じないようにしてもよい。
【0080】
(変形例3)
図18は、変形例3における画素信号の割り当て例を示す図である。変形例3のように、実施形態において「4」が付されていた位置にある副画素を、U3視点(又はU1視点)の画像の出力に割り当てるようにしてもよい。図18では、実施形態において「4」が付されていた位置にある副画素を、U3視点の画像の出力に割り当てるようにした例を示している。すなわち、図10の「割り当て例」において「4」が付されていた位置にある副画素に対して、図18では「3」が付されている。
【0081】
図19は、図18を参照して説明した「割り当て例」における「1」、「2」、「3」の各々の副画素を視認可能な角度範囲A1,A2,A3,A3a,A3bの例を示す模式図である。図19に示す例では、図11における角度範囲A4が、角度範囲A3a,A3bになっている。角度範囲A3a,A3bでは、角度範囲A3と同様、「3」の副画素を視認できる。変形例3によれば、特定のユーザ(例えば、視点U3)が画像を視認可能な範囲をより広くすることができる。
【0082】
なお、図18及び図19を参照して説明した例では、実施形態において「4」が付されていた位置にある副画素を、U3視点の画像の出力に割り当てているが、U1視点の画像の出力に割り当ててもよい。その場合、図19における角度範囲A3a,A3bでは、角度範囲A1と同様、「1」の副画素を視認できる。
【0083】
(変形例4)
図20は、変形例4における画素信号の割り当て例を示す図である。変形例4では、「1」、「2」、「3」、「4」、「5」のうちいずれかが副画素に付されている。これらのうち、「1」、「2」、「3」、「4」が付された副画素については、図7及び図10を参照して説明したものと同様である。「5」が付された副画素は、U1視点、U2視点及びU3視点ならびに「4」が付された副画素を視認できる視点のいずれとも異なる他の視点から視認できる副画素である。すなわち、図20では、5つの視点に対する個別の画像の出力が行われる。
【0084】
図20の「5視点画像割り当て例1」及び「5視点画像割り当て例2」では、各行においてX方向に並ぶ5つの副画素は、「1」、「2」、「3」、「4」、「5」の副画素を1つずつ含む。また、「1」、「2」、「3」、「4」、「5」の順に副画素が並ぶ周期がX方向の一方側から他方側に向かって繰り返されるパターンが生じている。
【0085】
また、図20の「5視点画像割り当て例1」では、列の一端に位置する副画素が「5」の副画素である列には、一端側から他端側に向かって順に、「5」、「2」、「3」、「5」、「1」の副画素がY方向に周期的に並ぶ。また、列の一端に位置する副画素が「1」の副画素である列には、一端側から他端側に向かって順に、「1」、「3」、「4」、「1」、「2」の副画素がY方向に周期的に並ぶ。また、列の一端に位置する副画素が「2」の副画素である列には、一端側から他端側に向かって順に、「2」、「4」、「5」、「2」、「3」の副画素がY方向に周期的に並ぶ。また、列の一端に位置する副画素が「3」の副画素である列には、一端側から他端側に向かって順に、「3」、「5」、「1」、「3」、「4」の副画素がY方向に周期的に並ぶ。また、列の一端に位置する副画素が「4」の副画素である列には、一端側から他端側に向かって順に、「4」、「1」、「2」、「4」、「5」の副画素がY方向に周期的に並ぶ。
【0086】
また、図20の「5視点画像割り当て例2」では、列の一端に位置する副画素が「2」の副画素である列には、一端側から他端側に向かって順に、「2」、「4」、「1」、「3」、「5」の副画素がY方向に周期的に並ぶ。また、列の一端に位置する副画素が「3」の副画素である列には、一端側から他端側に向かって順に、「3」、「5」、「2」、「4」、「1」の副画素がY方向に周期的に並ぶ。また、列の一端に位置する副画素が「4」の副画素である列には、一端側から他端側に向かって順に、「4」、「1」、「3」、「5」、「2」の副画素がY方向に周期的に並ぶ。また、列の一端に位置する副画素が「5」の副画素である列には、一端側から他端側に向かって順に、「5」、「2」、「4」、「1」、「3」の副画素がY方向に周期的に並ぶ。また、列の一端に位置する副画素が「1」の副画素である列には、一端側から他端側に向かって順に、「1」、「3」、「5」、「2」、「4」の副画素がY方向に周期的に並ぶ。
【0087】
図示しないが、変形例4の「遮光パターン」、すなわち、遮光バリア55における開口部551の配置は、画素行ごとに、X方向に4つ分相当の副画素が並ぶ領域が遮光バリア55で覆われると共に、X方向に1つ分の副画素が配置される領域が開口部551として形成され、これらが交互にX方向に並ぶ。また、Y方向に隣り合う3行(例えばnの行から(n+2)の行)のうち、中間位置の行((n+1の行)の開口部551の位置と、当該中間位置の行を挟んでY方向に対向する2行のうち一方の行(nの行)の開口部551の位置とは、X方向の正方向に副画素2つ分ずれている。また、当該中間位置の行((n+1)の行)の開口部551の位置と、当該中間位置の行を挟んでY方向に対向する2行のうち他方の行((n+2)の行)の開口部551の位置とは、X方向の負方向に副画素2つ分ずれている。
【0088】
図20の「5視点画像割り当て例1」で採用される「遮光パターン」として、5行×5列の範囲内で行列状に配置された16個の副画素に対応する領域であって、Y方向の一方側かつX方向の一方側に1つの開口部551が位置する領域における開口部551の配置を説明する。当該領域における他の開口部551の位置は、Y方向の一方側から数えて2行目かつX方向の一方側から数えて4列目と、Y方向の一方側から数えて3行目かつX方向の一方側から数えて3列目と、Y方向の一方側から数えて4行目かつX方向の一方側から数えて1列目と、Y方向の一方側から数えて5行目かつX方向の一方側から数えて5列目と、である。
【0089】
図20の「5視点画像割り当て例2」で採用される「遮光パターン」として、5行×5列の範囲内で行列状に配置された16個の副画素に対応する領域であって、Y方向の一方側かつX方向の一方側に1つの開口部551が位置する領域における開口部551の配置を説明する。当該領域における他の開口部551の位置は、Y方向の一方側から数えて2行目かつX方向の一方側から数えて4列目と、Y方向の一方側から数えて3行目かつX方向の一方側から数えて2列目と、Y方向の一方側から数えて4行目かつX方向の一方側から数えて5列目と、Y方向の一方側から数えて5行目かつX方向の一方側から数えて3列目と、である。
【0090】
図21は、図20を参照して説明した「5視点画像割り当て例1」及び「5視点画像割り当て例2」における「1」、「2」、「3」、「4」、「5」の各々の副画素を視認可能な角度範囲A1,A2,A3,A4,A5の例を示す模式図である。図21に示す例では、図11における角度範囲A4のうち一方が、角度範囲A5になっている。角度範囲A5では、「5」の副画素を視認できる。変形例3によれば、特定のユーザ(例えば、視点U3)が画像を視認可能な範囲をより広くすることができる。
【0091】
なお、変形例4において、「4」の副画素を「1」の副画素としてもよいし、「5」の副画素を「3」の副画素としてもよいし、その両方を行ってもよい。
【0092】
(変形例5)
次に、変形例5について、図23を参照して説明するが、それに先立ち、図22を参照して、副画素の種類が4種類であって、画像を視認する視点として2視点が想定される場合について説明する。以下の説明で、j副画素k視点、と記載した場合、副画素の種類がj種類であって、画像を視認する視点としてk視点を想定する場合をさす。jは2以上の自然数である。
【0093】
図22は、4副画素2視点における画素信号の割り当て例と、2視点のうち一方である第2視点から視認可能な副画素で構成される可視領域を示す図である。図22の「4副画素2視点割り当て例」で示すように、4種類の副画素として、例えば、第1副画素Rpix、第2副画素Gpix及び第3副画素Bpixに加えて、第4副画素Wpixが設けられている。第4副画素Wpixは、カラーフィルタを無色にするか、カラーフィルタをなくすようにして設けられた副画素である。図22等では、Y方向に第4副画素Wpixが並ぶ列の一方側に「W」を付している。図22等に示す例では、X方向の一方側から他方側に向かって、Y方向に第3副画素Bpixが並ぶ列、Y方向に第4副画素Wpixが並ぶ列、Y方向に第1副画素Rpixが並ぶ列、Y方向に第2副画素Gpixが並ぶ列、の順で列が周期的に並んでいる。
【0094】
図22の「4副画素2視点割り当て例」では、各行においてX方向に並ぶ2つの副画素は、「1」、「2」の副画素を1つずつ含む。また、「1」の副画素と「2」の副画素が交互に並ぶ周期がX方向の一方側から他方側に向かって繰り返されるパターンが生じている。また、各列においてY方向に並ぶ2つの副画素は、「1」、「2」の副画素を1つずつ含む。また、「1」の副画素と「2」の副画素が交互に並ぶ周期がY方向の一方側から他方側に向かって繰り返されるパターンが生じている。すなわち、「1」の副画素の配置は、千鳥状である。また、「2」の副画素の配置は、千鳥状である。
【0095】
図22の「4副画素2視点割り当て例」を想定して設けられる遮光バリア55における開口部551の配置は、図22の「第2視点可視領域」で示すように、画素行ごとに、X方向に1つ分相当の副画素が並ぶ領域が遮光バリア55で覆われると共に、X方向に1つ分の副画素が配置される領域が開口部551として形成され、これらが交互にX方向に並ぶ。また、Y方向に隣り合う2行(例えばnの行と(n+1)の行)のうち一方の行(nの行)の開口部551の位置と他方の行((n+1)の行)の開口部551の位置とは、X方向の正方向に副画素1つ分ずれている。すなわち、遮光バリア55の配置は、千鳥状である。また、開口部551の配置は、千鳥状である。
【0096】
このような副画素に対する画素信号の割り当てと、遮光バリア55における開口部551の配置と、の組み合わせでは、図22の「第2視点可視領域」で示すように、第4副画素Wpixと第2副画素Gpixが見える行と、第3副画素Bpixと第1副画素Rpixが見える行と、がY方向に交互に生じる。ここで、第4副画素Wpix及び第2副画素Gpixは、第3副画素Bpix及び第1副画素Rpixに比してより明るく見える。このため、図22を参照して説明した4副画素2視点では、画像にY方向に明暗の縞が生じる。なお、図示しないが、2視点のうち他方である第1視点からの可視領域についても、同様に明暗の縞が生じる。
【0097】
そこで、4副画素2視点が想定される場合、仮想的な3人目を想定して3つの視点に個別の画像を出力するように画素信号を副画素に割り当てることで、上述したY方向の明暗の縞の発生を抑制できる。言い換えると、副画素の種類と、仮想的な視点を含んだ視点の数(視点総数)に応じて同時に出力される画像の数と、の公約数が1のみとなるように、仮想的な視点が予め設定される。
【0098】
図23は、4副画素3視点における画素信号の割り当て例と、3視点のうち一つである第2視点から視認可能な副画素で構成される可視領域を示す図である。図23の「4副画素3視点割り当て例」では、各行においてX方向に並ぶ3つの副画素は、「1」、「2」、「3」の副画素を1つずつ含む。また、「1」、「2」、「3」の順に副画素が並ぶ周期がX方向の一方側から他方側に向かって繰り返されるパターンが生じている。
【0099】
また、図23の「4副画素3視点割り当て例」では、列の一端に位置する副画素が「1」の副画素である列には、「1」の副画素と、「2」の副画素と、がY方向に交互に並ぶ。また、列の一端に位置する副画素が「2」の副画素である列には、「2」の副画素と、「3」の副画素と、がY方向に交互に並ぶ。また、列の一端に位置する副画素が「3」の副画素である列には、「3」の副画素と、「1」の副画素と、がY方向に交互に並ぶ。
【0100】
図23の「4副画素3視点割り当て例」を想定して設けられる遮光バリア55における開口部551の配置は、図23の「第2視点可視領域」で示すように、画素行ごとに、X方向に2つ分相当の副画素が並ぶ領域が遮光バリア55で覆われると共に、X方向に1つ分の副画素が配置される領域が開口部551として形成され、これらが交互にX方向に並ぶ。また、Y方向に隣り合う3行(例えばnの行から(n+2)の行)のうち、中間位置の行((n+1の行)の開口部551の位置と、当該中間位置の行を挟んでY方向に対向する2行のうち一方の行(nの行)の開口部551の位置とは、X方向の正方向に副画素1つ分ずれている。また、当該中間位置の行((n+1)の行)の開口部551の位置と、当該中間位置の行を挟んでY方向に対向する1行のうち他方の行((n+2)の行)の開口部551の位置とは、X方向の正方向に副画素1つ分ずれている。すなわち、ある1行を挟んでY方向に対向する2行の各々における開口部551のX方向の配置は、同じである。
【0101】
このような副画素に対する画素信号の割り当てと、遮光バリア55における開口部551の配置と、の組み合わせでは、図23の「第2視点可視領域」で示すように、各行に、第4副画素Wpix、第2副画素Gpix、第3副画素Bpix及び第1副画素Rpixが含まれる。このように、個別の画像を視認するユーザとして2人が想定される場合であっても、第3視点を想定した画素信号の割り当てをすることで、画像にY方向に明暗の縞が生じることを抑制できる。
【0102】
(変形例6)
次に、変形例6について、図25を参照して説明するが、それに先立ち、図24を参照して、4副画素4視点が想定される場合について説明する。
【0103】
図24は、4副画素4視点における画素信号の割り当て例と、4視点のうち一つである第2視点から視認可能な副画素で構成される可視領域を示す図である。図24の「4副画素2視点割り当て例」では、図22を参照して説明した副画素の配置と同様に、X方向の一方側から他方側に向かって、Y方向に第3副画素Bpixが並ぶ列、Y方向に第4副画素Wpixが並ぶ列、Y方向に第1副画素Rpixが並ぶ列、Y方向に第2副画素Gpixが並ぶ列、の順で列が周期的に並んでいる。
【0104】
図24の「4副画素4視点割り当て例」では、各行においてX方向に並ぶ4つの副画素は、「1」、「2」、「3」、「4」の副画素を1つずつ含む。各行においてX方向に並ぶ4つの副画素は、「1」、「2」、「3」、「4」の副画素を1つずつ含む。また、「1」、「2」、「3」、「4」の順に副画素が並ぶ周期がX方向の一方側から他方側に向かって繰り返されるパターンが生じている。
【0105】
また、図24の「4副画素4視点割り当て例」では、列の一端に位置する副画素が「1」の副画素又は「3」の副画素である列には、「1」の副画素と、「3」の副画素と、がY方向に交互に並ぶ。また、列の一端に位置する副画素が「2」の副画素又は「4」の副画素である列には、「2」の副画素と、「4」の副画素と、がY方向に交互に並ぶ。
【0106】
図24の「4副画素4視点割り当て例」を想定して設けられる遮光バリア55における開口部551の配置は、図24の「第2視点可視領域」で示すように、画素行ごとに、X方向に3つ分相当の副画素が並ぶ領域が遮光バリア55で覆われると共に、X方向に1つ分の副画素が配置される領域が開口部551として形成され、これらが交互にX方向に並ぶ。また、Y方向に隣り合う2行(例えばnの行と(n+1)の行)のうち一方の行(nの行)の開口部551の位置と他方の行((n+1)の行)の開口部551の位置とは、X方向の正方向に副画素2つ分ずれている。
【0107】
このような副画素に対する画素信号の割り当てと、遮光バリア55における開口部551の配置と、の組み合わせでは、図24の「第2視点可視領域」で示すように、第4副画素Wpixが見える行と、第2副画素Gpixが見える行と、がY方向に交互に生じる。図示しないが、4視点のうち他の一つである第4視点から視認可能な副画素で構成される可視領域も、第2視点と同様になる。また、4視点のうち残り2視点である第1視点及び大3視点では、第1副画素Rpixが見える行と、第3副画素Bpixが見える行と、がY方向に交互に生じる。従って、図24を参照して説明した4副画素4視点では、いずれの視点からも、4種類の副画素の色のうち2種類の副画素しか視認できない。
【0108】
そこで、4副画素4視点が想定される場合、仮想的な5人目を想定して5つの視点に個別の画像を出力するように画素信号を副画素に割り当てることで、各視点で全ての副画素を視認可能とすることができる。
【0109】
図25は、4副画素5視点における画素信号の割り当て例と、5視点のうち一つである第2視点から視認可能な副画素で構成される可視領域を示す図である。図25の「4副画素5視点割り当て例」では、各行においてX方向に並ぶ5つの副画素は、「1」、「2」、「3」、「4」、「5」の副画素を1つずつ含む。また、「1」、「2」、「3」、「4」、「5」の順に副画素が並ぶ周期がX方向の一方側から他方側に向かって繰り返されるパターンが生じている。
【0110】
また、図25の「4副画素5視点割り当て例1」では、列の一端に位置する副画素が「1」の副画素である列には、「1」の副画素と、「4」の副画素と、がY方向に交互に並ぶ。また、列の一端に位置する副画素が「2」の副画素である列には、「2」の副画素と、「5」の副画素と、がY方向に交互に並ぶ。また、列の一端に位置する副画素が「3」の副画素である列には、「3」の副画素と、「1」の副画素と、がY方向に交互に並ぶ。また、列の一端に位置する副画素が「4」の副画素である列には、「4」の副画素と、「2」の副画素と、がY方向に交互に並ぶ。また、列の一端に位置する副画素が「5」の副画素である列には、「5」の副画素と、「3」の副画素と、がY方向に交互に並ぶ。
【0111】
図25の「4副画素5視点割り当て例」を想定して設けられる遮光バリア55における開口部551の配置は、図25の「第2視点可視領域」で示すように、画素行ごとに、X方向に4つ分相当の副画素が並ぶ領域が遮光バリア55で覆われると共に、X方向に1つ分の副画素が配置される領域が開口部551として形成され、これらが交互にX方向に並ぶ。また、Y方向に隣り合う3行(例えばnの行から(n+2)の行)のうち、中間位置の行((n+1の行)の開口部551の位置と、当該中間位置の行を挟んでY方向に対向する2行のうち一方の行(nの行)の開口部551の位置とは、X方向の正方向に副画素2つ分ずれている。また、当該中間位置の行((n+1)の行)の開口部551の位置と、当該中間位置の行を挟んでY方向に対向する1行のうち他方の行((n+2)の行)の開口部551の位置とは、X方向の正方向に副画素2つ分ずれている。すなわち、ある1行を挟んでY方向に対向する2行の各々における開口部551のX方向の配置は、同じである。
【0112】
このような副画素に対する画素信号の割り当てと、遮光バリア55における開口部551の配置と、の組み合わせでは、図25の「第2視点可視領域」で示すように、各行に、第4副画素Wpix、第2副画素Gpix、第3副画素Bpix及び第1副画素Rpixが含まれる。このように、個別の画像を視認するユーザとして4人が想定される場合であっても、第5視点を想定した画素信号の割り当てをすることで、各視点で全ての副画素を視認可能とすることができる。
【0113】
なお、4副画素5視点における画素信号の割り当てと、開口部551の配置と、の組み合わせは、図25を参照して説明したものに限られない。
【0114】
図26は、4副画素5視点における画素信号の割り当て例と、5視点のうち一つである第2視点から視認可能な副画素で構成される可視領域を示す図である。図26の「4副画素5視点割り当て例」では、各行においてX方向に並ぶ5つの副画素は、「1」、「2」、「3」、「4」、「5」の副画素を1つずつ含む。
【0115】
また、図26の「4副画素5視点割り当て例2」では、「1」、「2」、「3」、「4」、「5」の順に副画素が並ぶ周期がX方向の一方側から他方側に向かって繰り返されるパターンが生じている。また、「1」、「3」、「5」、「2」、「4」の順に副画素が並ぶ周期がY方向の一方側から他方側に向かって繰り返されるパターンが生じている。
【0116】
図26の「4副画素5視点割り当て例2」を想定して設けられる遮光バリア55における開口部551の配置は、図26の「第2視点可視領域」で示すように、画素行ごとに、X方向に4つ分相当の副画素が並ぶ領域が遮光バリア55で覆われると共に、X方向に1つ分の副画素が配置される領域が開口部551として形成され、これらが交互にX方向に並ぶ。また、Y方向に隣り合う3行(例えばnの行から(n+2)の行)のうち、中間位置の行((n+1の行)の開口部551の位置と、当該中間位置の行を挟んでY方向に対向する2行のうち一方の行(nの行)の開口部551の位置とは、X方向の正方向に副画素2つ分ずれている。また、当該中間位置の行((n+1)の行)の開口部551の位置と、当該中間位置の行を挟んでY方向に対向する1行のうち他方の行((n+2)の行)の開口部551の位置とは、X方向の負方向に副画素2つ分ずれている。図26を参照して説明した画素信号の割り当てと、遮光バリア55における開口部551の配置と、の組み合わせでも、各行に、第4副画素Wpix、第2副画素Gpix、第3副画素Bpix及び第1副画素Rpixが含まれる。
【0117】
(変形例7)
次に、変形例7について、図28を参照して説明するが、それに先立ち、図27を参照して、副画素の種類が4種類であって、X方向に隣り合う2列のうち一方に2種類の副画素が含まれ、他方に他の2種類の副画素が含まれる2×2副画素の配置において、画像を視認する視点として2視点が想定される場合(2×2副画素2視点)について説明する。
【0118】
図27は、2×2副画素2視点における画素信号の割り当て例と、2視点のうち一方である第2視点から視認可能な副画素で構成される可視領域を示す図である。図27の「2×2副画素2視点割り当て例」で示すように、4種類の副画素として、例えば、第1副画素Rpix、第2副画素Gpix及び第3副画素Bpixに加えて、第4副画素Wpixが設けられている。また、Y方向に隣り合う2行のうち一方に、第1副画素Rpixと第2副画素GpixとがX方向に交互に並んでいる。また、Y方向に隣り合う2行のうち他方に、第4副画素Wpixと第3副画素BpixとがX方向に交互に並んでいる。また、X方向に隣り合う2列のうち一方に、第1副画素Rpixと第4副画素WpixとがY方向に交互に並んでいる。また、X方向に隣り合う2列のうち他方に、第2副画素Gpixと第3副画素BpixとがY方向に交互に並んでいる。図27等では、第1副画素Rpixと第4副画素WpixとがY方向に交互に並んでいる列の一方側に「α」を付している。また、第2副画素Gpixと第3副画素BpixとがY方向に交互に並んでいる列の一方側に「β」を付している。
【0119】
図27の「2×2副画素2視点割り当て例」では、各行においてX方向に並ぶ2つの副画素は、「1」、「2」の副画素を1つずつ含む。また、「1」の副画素と「2」の副画素が交互に並ぶ周期がX方向の一方側から他方側に向かって繰り返されるパターンが生じている。また、各列においてY方向に並ぶ2つの副画素は、「1」、「2」の副画素を1つずつ含む。また、「1」の副画素と「2」の副画素が交互に並ぶ周期がY方向の一方側から他方側に向かって繰り返されるパターンが生じている。すなわち、「1」の副画素の配置は、千鳥状である。また、「2」の副画素の配置は、千鳥状である。
【0120】
図27の「2×2副画素2視点割り当て例」を想定して設けられる遮光バリア55における開口部551の配置は、図27の「第2視点可視領域」で示すように、画素行ごとに、X方向に1つ分相当の副画素が並ぶ領域が遮光バリア55で覆われると共に、X方向に1つ分の副画素が配置される領域が開口部551として形成され、これらが交互にX方向に並ぶ。また、Y方向に隣り合う2行(例えばnの行と(n+1)の行)のうち一方の行(nの行)の開口部551の位置と他方の行((n+1)の行)の開口部551の位置とは、X方向の正方向に副画素1つ分ずれている。すなわち、遮光バリア55の配置は、千鳥状である。また、開口部551の配置は、千鳥状である。
【0121】
このような副画素に対する画素信号の割り当てと、第4副画素Wpixが見える行と、第2副画素Gpixが見える行と、がY方向に交互に生じる。図示しないが、2視点のうち他方である第1視点から視認可能な副画素で構成される可視領域では、第1副画素Rpixが見える行と、第3副画素Bpixが見える行と、がY方向に交互に生じる。従って、図27を参照して説明した2×2副画素2視点では、いずれの視点からも、4種類の副画素の色のうち2種類の副画素しか視認できない。
【0122】
そこで、2×2副画素2視点が想定される場合、仮想的な3人目を想定して3つの視点に個別の画像を出力するように画素信号を副画素に割り当てることで、各視点で全ての副画素を視認可能とすることができる。
【0123】
図28は、2×2副画素3視点における画素信号の割り当て例と、3視点のうち一つである第2視点から視認可能な副画素で構成される可視領域を示す図である。図28の「2×2副画素3視点割り当て例」では、各行においてX方向に並ぶ3つの副画素は、「1」、「2」、「3」の副画素を1つずつ含む。また、「1」、「2」、「3」の順に副画素が並ぶ周期がX方向の一方側から他方側に向かって繰り返されるパターンが生じている。
【0124】
また、図28の「2×2副画素3視点割り当て例」では、列の一端に位置する副画素が「1」の副画素である列には、一端側から他端側に向かって順に、「1」、「3」、「2」の副画素がY方向に周期的に並ぶ。また、列の一端に位置する副画素が「2」の副画素である列には、一端側から他端側に向かって順に、「2」、「1」、「3」の副画素がY方向に周期的に並ぶ。また、列の一端に位置する副画素が「3」の副画素である列には、一端側から他端側に向かって順に、「3」、「2」、「1」の副画素がY方向に周期的に並ぶ。
【0125】
図28の「2×2副画素3視点割り当て例」を想定して設けられる遮光バリア55における開口部551の配置は、図27の「第2視点可視領域」で示すように、画素行ごとに、X方向に2つ分相当の副画素が並ぶ領域が遮光バリア55で覆われると共に、X方向に1つ分の副画素が配置される領域が開口部551として形成され、これらが交互にX方向に並ぶ。また、Y方向に隣り合う3行(例えばnの行から(n+2)の行)のうち、中間位置の行((n+1の行)の開口部551の位置と、当該中間位置の行を挟んでY方向に対向する2行のうち一方の行(nの行)の開口部551の位置とは、X方向の正方向に副画素1つ分ずれている。また、当該中間位置の行((n+1)の行)の開口部551の位置と、当該中間位置の行を挟んでY方向に対向する1行のうち他方の行((n+2)の行)の開口部551の位置とは、X方向の負方向に副画素1つ分ずれている。
【0126】
このような副画素に対する画素信号の割り当てと、遮光バリア55における開口部551の配置と、の組み合わせでは、図28の「第2視点可視領域」で示すように、各行に、第4副画素Wpix、第2副画素Gpix、第3副画素Bpix及び第1副画素Rpixが含まれる。このように、個別の画像を視認するユーザとして2人が想定される場合であっても、第3視点を想定した画素信号の割り当てをすることで、各視点で全ての副画素を視認可能とすることができる。
【0127】
なお、図1を参照して説明した各構成の積層順はあくまで一例であってこれに限られるものでなく、例えばカラーフィルタ層CF及びブラックマトリクスBMが第1基板51側に設けられていてもよい。以下、係る構成について、図29を参照して説明する。
【0128】
図29は、カラーフィルタ層CF及びブラックマトリクスBMが第1基板51側に設けられている表示装置50Cの主要構成を示す断面図である。図29に示すように、表示装置50Cでは、第1基板51と液晶層53との間に、第1基板51側から液晶層53側に向かって、OC層56、ブラックマトリクスBM、カラーフィルタ層CFが積層されている。また、表示装置50Cでは、液晶層53と樹脂層54との間に他の構成がない。この場合、距離dは、カラーフィルタ層CFのZ方向の厚みを含まず、実質的に樹脂層54の厚みになる。
【0129】
なお、表示装置50Cの平面視点での端部における液晶層53の封止の構造は、図2から図4を参照して説明したいずれの構造であってもよいし、他の構造であってもよい。表示装置50の平面視点での端部における液晶層53の封止の構造は、図2から図4を参照して説明したものとは異なる他の構造であってもよい。
【0130】
以上説明したように、実施形態及び各変形例によれば、表示装置(例えば、表示装置50,50A,50B,50C)は、所定方向(例えば、X方向)に並ぶ複数の視点(例えば、視点U1,U2,U3)に個別の画像を出力可能な表示装置である。当該表示装置は、液晶層(液晶層53)を挟んで対向する2つの透光性基板(第1基板51、第2基板52)と、当該2つの透光性基板のうち、ユーザ側(例えば、視点U1,U2,U3側)に位置する一方の基板(第2基板52)と当該液晶層との間に積層される透光性の樹脂層(樹脂層54)と、当該一方の基板と当該樹脂層との間に設けられ、複数の開口部(開口部551)を有する遮光バリア(遮光バリア55)と、を備える。これによって、当該遮光バリアと当該液晶層との間に介在する構成の厚みを、当該樹脂層の厚みに応じたものとすることができ、当該構成の厚みに当該2つの透光性基板の厚みが関わらないようにすることができる。従って、より容易に液晶層と遮光バリアとの間の距離を任意の厚みとすることができる。
【0131】
また、樹脂層(樹脂層54)の厚みは、第一条件及び第二条件に基づく。当該第一条件は、開口部(開口部551)を通過して所定方向(X方向)に隣り合う2つの視点の一方に到達する光の射線と、当該開口部を通過して当該所定方向に隣り合う2つの視点の他方に到達する光の射線と、が形成する角度(角度θ)である。当該第二条件は、表示装置が有する複数の副画素毎に個別に設けられるカラーフィルタ(例えば、第1カラーフィルタCF1、第2カラーフィルタCF2、第3カラーフィルタCF3)の当該所定方向の配置ピッチ(副画素ピッチp)である。これによって、当該樹脂層の厚みをより適切に決定できる。
【0132】
また、カラーフィルタ(例えば、第1カラーフィルタCF1、第2カラーフィルタCF2、第3カラーフィルタCF3)が液晶層(液晶層53)と樹脂層(樹脂層54)との間に配置される場合、当該樹脂層の厚みは、上述した第一条件及び第二条件に基づいて算出された厚みから、当該カラーフィルタの厚みを差し引いた厚みに対応する。これによって、当該樹脂層の厚みをより適切に決定できる。
【0133】
また、カラーフィルタ(例えば、第1カラーフィルタCF1、第2カラーフィルタCF2、第3カラーフィルタCF3)は、2つの透光性基板の他方(第1基板51)に配置されてもよい。このように、本開示の構成では、カラーフィルタの配置に自由度を与えられる。
【0134】
また、副画素(例えば、第1副画素Rpix、第2副画素Gpix、第3副画素Bpix、第4副画素Wpixのうち1つ以上)の種類と、視点(例えば、視点U1,U2,U3)の数に応じて同時に出力される画像の数と、の公約数が1のみである。これによって、各視点から全ての種類の副画素が見えるようにしやすくなる。また、各行に全ての種類の副画素が含まれるようにしやすくなる。
【0135】
また、所定方向(X方向)に隣り合う副画素は、それぞれ異なる視点に対する画像の出力に用いられる。これによって、開口部(開口部551)をより高精細に配置できる。
【0136】
なお、実施形態及び各変形例では、あらかじめ、出力される個別の画像の数(実際に画像を視認するユーザの視点の数と、仮想的な視点を含む総視点数)及び各視点間の角度(角度θ)と、副画素のX方向の配置ピッチ(副画素ピッチp)と、は設計の時点で決定されているものであるとする。すなわち、距離dは、設計に応じて予め決定されていてもよい。また、平面視点での遮光バリア55及び開口部551の配置も、設計の時点で決定されている。従って、どの副画素がどの視点への画像の出力に用いられるのか、設計の時点で予め決定されていていてもよい。また、変形例2、変形例3等で例示したように、画像の出力によって視域を変えられる。例えば視点U3が図1で示す例よりもさらに側方から観察する状態、すなわち、角度θがより大きい状態では、変形例3のように角度範囲A3a,A3bを設定する等の対応で視点U3の視域をより広くできる。また、例えば夜間に外部からの光が表示面に映り込み、画像の視認の妨げになる状態では、図17の「黒色出力割り当て例」のように黒色の出力に割り当てられた副画素を生じさせたりしてもよい。このような、状態に応じた出力の変更は、表示装置の周囲の状態を検出可能に設けられた各種のセンサの出力に応じて表示装置の動作を制御することで実現可能である。つまり、「どの副画素がどの視点への画像の出力に用いられるのか」は、必ずしも表示装置の設計時点で決められていなくてもよい。
【0137】
また、上述した表示装置50の共通電極は、回路形成層511に含まれているが、第2基板52側に設けられてもよい。
【0138】
また、実施形態及び各変形例において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本開示によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0139】
50,50A,50B,50C 表示装置
51 第1基板
52 第2基板
53 液晶層
54 樹脂層
55 遮光バリア
551 開口部
Bpix 第3副画素
CF カラーフィルタ層
CF1 第1カラーフィルタ
CF2 第2カラーフィルタ
CF3 第3カラーフィルタ
Gpix 第2副画素
Rpix 第1副画素
Wpix 第4副画素
図1
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