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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023017804
(43)【公開日】2023-02-07
(54)【発明の名称】3次元ビームを形成するX線源
(51)【国際特許分類】
   H01J 35/08 20060101AFI20230131BHJP
   H01J 35/30 20060101ALI20230131BHJP
   H01J 35/14 20060101ALI20230131BHJP
   A61N 5/10 20060101ALI20230131BHJP
   H05G 1/00 20060101ALI20230131BHJP
【FI】
H01J35/08 D
H01J35/30
H01J35/08 Z
H01J35/08 F
H01J35/08 B
H01J35/14
H01J35/08 C
A61N5/10 D
H05G1/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169632
(22)【出願日】2022-10-24
(62)【分割の表示】P 2019554337の分割
【原出願日】2018-03-30
(31)【優先権主張番号】62/479,455
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522399884
【氏名又は名称】エンピリアン メディカル システムズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィッシュマン,カルマン
(72)【発明者】
【氏名】ウィルフレイ,ブライアン,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】エレノル,クリストファー,ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】オルガド,ドナルド
(72)【発明者】
【氏名】ク,シェン-ユアン
(72)【発明者】
【氏名】ファンク,トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァタホフ,ペトレ
(72)【発明者】
【氏名】ミッチェル,クリストファー,アール.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】放射線療法等で使用されるコンパクトなX線源を提供する。
【解決手段】X線源100を形成する3次元ビームは、電子ビームを生成する電子ビーム生成器(EBG)を含む。ターゲット要素は、EBGから所定の距離に配置され、電子ビームを妨害するように配置される。ターゲット要素は、電子ビームに応答してX線を生成する。ビームフォーマーは、ターゲット要素に近接して配置され、X線放射と相互作用してX線ビームを形成する材料を含む。EBG制御システムは、X線放射とビームフォーマー構造との相互作用を決定するために、電子ビームがターゲット要素と交差する位置を選択的に変化させることにより、X線ビームのビームパターンと方向とのうち少なくとも一方を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ビームを生成するステップ;
前記電子ビームの経路に平面ターゲット要素ウエハを配置するステップ;
前記電子ビームと前記ターゲット要素ウエハのターゲット層との相互作用の結果としてX線放射を生成するステップ;
前記X線放射を、前記ターゲット要素ウエハの面から横に延びる複数の壁要素を含むビーム遮蔽と相互作用させるステップ;
前記電子ビームが前記ターゲット層と交差する位置を選択的に制御することにより、前記X線放射のビーム形状およびビーム方向のうち少なくとも1つを可変に制御するステップ;および
前記ターゲット層が配置された基板層を用いて、前記ターゲット層から離散する熱エネルギーの移動を促進するステップ
を含む、X線光子を生成する方法。
【請求項2】
前記基板層は、ダイヤモンドを含むように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板層は、ベリリウム、アルミニウム、およびサファイアからなる群より選ばれる少なくとも1つの材料を含むように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記基板層は、セラミック材料を含むように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ターゲット層は、スパッタ法を用いて前記基板に適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
モリブデン、金、およびタングステンからなる群より選ばれる材料から前記ターゲット層を形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
X線光子を透過する材料から前記基板層を形成することにより、前記平面ターゲット要素ウエハの反対側の主面から離れて延びる方向にX線光子の発光を促進するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
電子ビームを生成するステップ;
前記電子ビームの経路に平面ターゲット要素ウエハを配置するステップ;
前記電子ビームと前記ターゲット要素ウエハのターゲット層との相互作用の結果としてX線光子を生成するステップ;
前記X線光子を、前記ターゲット要素ウエハの面から横に延びる複数の壁要素を含むビーム遮蔽と相互作用させるステップ;
前記電子ビームが前記ターゲット層と交差する位置を選択的に制御することにより、前記X線光子により形成されるビーム形状およびビーム方向のうち少なくとも1つを可変に制御するステップ;および
前記ターゲット層が配置された、ダイヤモンドで形成された基板層を用いて、前記ターゲット層から離散する熱エネルギーの移動を促進するステップ
を含む、X線光子を生成する方法。
【請求項9】
ターゲット層および基板層を含む平面ウエハ;
相対的に高い原子数を持つ元素から構成される前記ターゲット層;
X線光子を透過し、前記ターゲット層を支持するように配置された基板層;および
前記平面ウエハの面から横に延びる複数の壁要素を含むビーム遮蔽
を含み、
前記基板層は、前記ターゲット層から離散する熱エネルギーの移動を促進するための高い熱伝導率を持つ材料から構成され、前記ビーム遮蔽は、複数の異なる場所で前記ターゲット層と交差する電子ビームに応答して、前記X線ターゲットにより生成されたX線ビームの形状および方向のうち少なくとも1つの可変な制御を促進するために配置された、X線ターゲット。
【請求項10】
前記相対的に高い原子数は21以上である、請求項9に記載のX線ターゲット。
【請求項11】
前記ターゲット層は、モリブデン、金、およびタングステンからなる群より選ばれる材料から構成される、請求項10に記載のX線ターゲット。
【請求項12】
前記基板層は、ベリリウム、アルミニウム、サファイア、セラミック、およびダイヤモンドからなる群より選ばれる材料から形成される、請求項9に記載のX線ターゲット。
【請求項13】
前記基板層が約300~500μmの厚さを有する、請求項9に記載のX線ターゲット。
【請求項14】
前記ターゲット層が約2~50μmの厚さを有する、請求項9に記載のX線ターゲット。
【請求項15】
ターゲット層および基板層を含む平面ウエハ;
21より大きい原子数を持つ元素から構成される前記ターゲット層;
ダイヤモンドから構成された前記基板層;および
前記平面ウエハの面から横に延びる複数の壁要素を含むビーム遮蔽
を含み、
前記基板層は、前記ターゲット層を支持し、前記ターゲット層から離散する熱エネルギーの移動を促進するように配置され、前記ビーム遮蔽は、電子ビームが前記ターゲット層と交差する場所に応答する前記X線ターゲットにより生成されたX線ビームの形状および方向のうち少なくとも1つの可変な制御を促進するように配置された、X線ターゲット。
【請求項16】
前記基板層が約300~500μmの厚さを有する、請求項15に記載のターゲット。
【請求項17】
前記ターゲット層が約2~50μmの厚さを有する、請求項16に記載のターゲット。
【請求項18】
前記基板層、前記ターゲット層、および前記ビーム遮蔽は、方向的に制御されたターゲットアセンブリ(DCTA)を構成し、
前記方法は、ドリフトチューブおよび、前記ドリフトチューブの端部に配置されたX線透過キャップの中に前記DCTAを包囲するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記基板層から前記ドリフトチューブおよび前記X線透過キャップへ前記基板層の周縁部を通じて移動する熱エネルギーにより前記DCTAを冷却するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ドリフトチューブと同軸で配置された複数の冷却チャンネルを通じて前記ドリフトチューブの延びる長さに沿って流れるクーラント流体により、前記ドリフトチューブおよび前記X線透過キャップを冷却するステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2017年3月31日に出願された米国仮特許出願第62/479,455号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の技術分野は、X線電磁放射の供給源、特にX線電磁放射のコンパクトな供給源を含む。
【背景技術】
【0003】
X線は、放射線療法など医療分野で様々な目的に広く使用されている。従来のX線源は、陰極および陽極を含む真空管を備えている。50kVから250kVまでの非常に高い電圧が陰極と陽極との間に印加され、比較的低い電圧がフィラメントに印加され陰極を加熱する。フィラメントは(熱電子放出、電界放出、または同様の手段によって)電子を生成し、通常、タングステンまたは、モリブデン、銀、またはカーボンナノチューブなどの幾つかの他の適切な材料で形成される。陰極と陽極との間の高電圧電位は、陰極から陽極に真空を経て非常に高い速度の流れを電子に生じさせる。X線源は、さらに高エネルギー電子によって照射されるターゲット構造を備える。ターゲットを含む材料は、製造される所望のタイプのX線に応じて変化し得る。タングステンと金は、この目的のために使用される。陽極のターゲット材料で電子が減速すると、X線が生成される。
【0004】
放射線療法技術は、放射線外照射療法(EBRT)として知られている技術を用いた外部からの放射線量を伴うことができる。術中放射線療法(IORT)も時々使用される。IORTは、切除手術中にその領域が露出しアクセス可能である間、腫瘍床への放射線の治療レベルの適用を伴う。IORTの利点は、周囲の健康な組織への曝露を最小限に抑えながら、目的の組織深さで、高線量の放射線をターゲット領域に正確に伝達できるということである。IORTの目的で最も一般的に使用されるX線放射の波長は、蛍光X線、特性X線、または制動放射X線と時々称されることもあるX線放射の一種に相当する。
【0005】
小型X線源は、IORTに有効である可能性を持っている。それでも、この目的のために時々使用される非常に小さな従来のX線源は、特定の欠点を抱えることが見出されている。1つの問題は、小型X線源が非常に高価なことである。第2の問題は、それらが非常に限られた有用な動作寿命を持っていることである。この限られた有用な動作寿命は、通常、限られた数の患者に対してIORTを実行するために使用された後、X線源を交換しなければならないことを意味する。この制限により、IORTの手順に関連する費用が増加する。第3の問題は、非常に小さなX線源で利用可能な中程度に高い電圧が、所望の治療効果に最適ではないかもしれないということである。第4の問題は、それらの放射線特性は、それらが原体照射療法にうまく適していないように、IORTのコンテキストで制御することが困難である可能性があることである。
【発明の概要】
【0006】
本文書は、電子ビームを制御する方法とシステムに関する。この方法は、電子ビームを生成し、電子ビームの経路にターゲット要素を配置することを含む。X線放射は、電子ビームとターゲット要素との相互作用の結果として生成される。X線放射は、ターゲット要素に近接して配置されたビームフォーマー構造と相互作用して、X線ビームを形成する。X線ビームのビームパターンと方向とのうち少なくとも一方は、X線放射とビームフォーマー構造との相互作用を決定するために、電子ビームがターゲット要素と交差する位置を選択的に変化させることにより制御される。
【0007】
電子ビームがターゲット要素と交差する位置は、電子ビーム操縦ユニットで電子ビームを操縦することにより制御することができる。一つの側面によれば、操縦された電子ビームは、閉鎖されたドリフトチューブの延設部を通じて案内することができる。ドリフトチューブは、電子ビームの減衰を最小限に抑えるために真空圧で維持される。電子ビームは、ドリフトチューブを通過した後、ターゲット要素と相互作用することができる。
【0008】
一つの側面によれば、X線ビーム制御に関連する特定の操作は、X線放射の一部をビームフォーマー構造で吸収することによって促進される。例えば、電子ビームがターゲット要素と交差する位置は、ビームフォーマーによって吸収されるX線ビームの部分を間接的に制御するために変化させ、または制御することができる。本明細書に開示される幾つかのシナリオでは、ビームフォーマーは、少なくとも1つの遮蔽壁を含むことができる。遮蔽壁は、ターゲット要素を複数のターゲット要素セグメントまたはセクタに少なくとも部分的に分割するために配置することができる。また、1つ以上の遮蔽壁は、複数の遮蔽された区画を形成するために用いることができる。このような遮蔽された区画は、電子ビームが遮蔽された区画と関連付けられたターゲット要素セクタまたはセグメントと交差するときにX線放射が放射される方向の範囲を少なくとも部分的に制限するために配置することができる。
【0009】
前述のことから、この方法は、ターゲット要素セクタのうちの1つ以上においてターゲット要素と選択的に交差するように電子ビームを制御することによりビームの方向および形状を制御することを含むことができると理解される。ビームパターンは、電子ビームがターゲット要素セクタのうち特定の1つの中でターゲット要素と交差する位置を選択的に選ぶことによってさらに制御することができる。さらなる側面によれば、この方法は、電子ビームが1つ以上のターゲット要素セクタと交差するときに使用される、電子ビーム生成器(EBG)の電圧および電子ビーム滞留時間のうち少なくとも一方を選択的に変化させることにより、1つまたは複数の異なる方向にX線ビームによって伝達されるX線量を選択的に制御することを含むことができる。
【0010】
本文書は、X線源にも関する。X線源は、電子ビームを生成するように構成された電子ビーム生成器(EBG)を備える。ターゲット要素は、EBGから所定の距離に配置され、電子ビームを妨害するように配置される。ドリフトチューブは、EBGとターゲット要素との間に配置される。EBGは、真空圧に維持されたドリフトチューブの閉鎖延設部を通じて電子ビームを移動させるように構成される。
【0011】
ターゲット要素は、電子ビームがターゲット要素を捕まえる際にX線放射の生成を促進にするために、電子ビームに応答する材料から形成される。ビームフォーマーは、ターゲット要素に近接して配置され、X線放射と相互作用してX線ビームを形成する材料から形成される。EBG制御システムは、電子ビームがターゲット要素と交差する位置を選択的に変化させることにより、X線ビームのビームパターンと方向とのうち少なくとも一方を制御する。本明細書に開示される幾つかのシナリオでは、EBG制御システムは、電子ビーム操縦ユニットで電子ビームを操縦することにより電子ビームがターゲットを捕まえる位置を選択的に変化させるように構成される。
【0012】
ビームフォーマーは、X線ビームの形成を促進するためにX線放射の一部を吸収するように構成された高Z材料を含む。EBG制御システムは、電子ビームがターゲット要素と交差する位置を選択的に変化させることにより、ビームフォーマーによって吸収されるX線ビームの部分を間接的に制御するように構成される。
【0013】
一つの側面によれば、ビームフォーマーは少なくとも1つの遮蔽壁を備える。1つ以上の遮蔽壁は、ターゲット要素を複数のターゲット要素セクタまたはセグメントに少なくとも部分的に分割するように配置される。このように1つ以上の遮蔽壁は、複数の遮蔽された区画を画定することができる。それぞれの遮蔽された区画は、電子ビームが特定の遮蔽された区画に関連付けられたターゲット要素セクタと交差するときにX線放射が放射され得る方向の範囲を少なくとも部分的に制限するように構成される。
【0014】
本明細書に記載されるX線源を用いて、EBG制御システムは、複数のターゲット要素セクタのうちのどれが電子ビームと交差するかを制御することにより、X線ビームの方向を決定するように構成することができる。EBG制御システムは、電子ビームがターゲット要素と交差する1つ以上のターゲット要素セクタ中の位置を選択的に制御することによりビームパターンを制御するようにさらに構成される。さらなる側面によれば、EBG制御システムは、ターゲット要素セクタによって画定される1つまたは複数の異なる方向にX線ビームによって伝達されるX線量を選択的に制御するようにさらに構成される。この結果は、電子ビームがターゲット要素セクタの1つ以上と交差するときに適用されるEBG電圧および電子ビーム滞留時間のうち少なくとも1つを選択的に変化させることにより達成される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本開示は、全図を通して対応する部分には同一の符号を付した、以下の図面によって補われる。
図1図1は、理解を深めるために部分的に切り欠いた幾つかの構造を持つX線源の斜視図である。
図2図2は、電子ビーム生成器の特定の詳細を示す図1の一部の拡大図である。
図3図3は、電子ビーム生成器の特定の詳細を示す図2の一部の拡大図である。
図4図4は、図1のX線源を理解するのに有用であるX線放射方向制御ターゲットアセンブリ(DCTA)の拡大斜視図である。
図5図5は、図4におけるDCTAの端面図である。
図6図6は、X線ビームの形成操作の理解に有用である、図6におけるDCTAの拡大図である。
図7図7は、図1のX線源におけるX線ビームの形成操作を理解するのに有用な図面である。
図8図8は、本明細書に開示されるX線ターゲットの特定の詳細を示す断面図である。
図9図9図10図11は、第1の代替のX線DCTA構造を理解するのに有用な一連の図面である。
図10図9図10図11は、第1の代替のX線DCTA構造を理解するのに有用な一連の図面である。
図11図9図10図11は、第1の代替のX線DCTA構造を理解するのに有用な一連の図面である。
図12図12は、第2の代替のDCTA構造である。
図13図13は、第3の代替のDCTA構造である。
図14図14は、第4の代替のDCTA構造である。
図15図15は、第5の代替のDCTA構造である。
図16図16A図16Bは、第6の代替のDCTA構造および組み立てプロセスを理解するのに有用な一連の図面である。
図17図17Aおよび図17Bは、第7の代替のDCTA構造および組み立てプロセスを理解するのに有用な一連の図面である。
図18図18は、第8の代替のDCTA構造を理解するのに有用な図面である。
図19図19は、第9の代替のDCTA構造を理解するのに有用な図面である。
図20図20は、図1におけるX線源の制御システムを理解するのに有用なブロック図である。
図21図21A図21Cは、どのようにX線ビームを選択的に制御できるかを理解するのに有用な一連の図面である。
図22図22は、本明細書に記載されたX線源がIORTの手順でどのように使用できるかを理解するのに有用な図面である。
図23図23は、DCTAのための冷却配置を示す断面図である。
図24図24は、図23における線24~24に沿った断面図である。
図25図25A図25Dは、本明細書に記載されたような、DCTAにおけるビーム幅を制御する技術を理解するのに有用な一連の図面である。
図26図26A図26Bは、第6の代替のDCTA構造および関連するビーム操縦方法を示す。
図27図27は、DCTAに近位のドリフトチューブの一部がX線透過性材料からどのように形成されるかを理解するのに有用である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書に記載され、添付図に示される解決が、多種多様な異なる構成で再編成および設計され得ることは直ちに理解される。従って、図に示すように、以下のより詳細な説明は、本開示の範囲を制限するものではなく、様々な異なるシナリオにおける特定の実施を表すに過ぎない。図面には様々な側面が表されるが、特に示されない限り、図面は必ずしも縮尺を合わせたものではない。
【0017】
本明細書に開示される解決は、IORTを含む様々な放射線治療の手順において表面組織構造の治療に使用できるX線源に関する。X線源100を理解するのに有用な図面は、図1図7において提供される。図1図7に示す配置により、X線源を含むビーム方向制御ターゲットアセンブリ(DCTA)106の外縁の付近に複数の異なる方向へX線を選択的に向けることができる。さらに、ビームの形状を定める相対X線強度のパターンは、異なる治療計画を容易にするために制御することができる。例えば、角度範囲にわたる強度を選択して、ビーム幅などのX線ビームパラメータを変化させることができる。
【0018】
ソース100は、電子ビーム生成器(EBG)102、ドリフトチューブ104、DCTA106、ビーム集束ユニット108、およびビーム操縦ユニット110を備える。幾つかのシナリオでは、化粧用カバーまたはハウジング112を使用して、EBG102、ビーム集束ユニット108、およびビーム操縦ユニット110を包囲することができる。
【0019】
DCTA106は、IORTに特に適している、操縦可能なX線エネルギーの小型供給源を容易にすることができる。従って、様々な構成要素の寸法をそれに応じて選択することができる。例えば、ドリフトチューブ104およびDCTA106の直径dを約30mm以下とすることが有利に選択できる。一部のシナリオでは、これらの構成要素の直径は10mm以下にすることができる。例えば、これらの構成要素の直径は、約10mm~25mmの範囲で選択することができる。もちろん、ドリフトチューブおよびDCTA106は、この点で限定されず、他の寸法も可能である。
【0020】
同様に、ドリフトチューブ104は、EBG102からある程度の距離を延びる延設部Lを持つように有利に構成されている。ドリフトチューブの長さは、治療を受けている人体の一部の内部にDCTAを選択的に配置できるように、カバーまたはハウジング112から患者の腫瘍腔に延びるように十分に長くなるように有利に選択される。従って、ドリフトチューブ長Lの例示的な値は10cnmから50cmの範囲にあることができ、18cmから30cmの範囲は、ほとんどの応用に適している。もちろん、本明細書に開示される寸法は、単に幾つかの可能な例として提供されるものであり、限定することは意図されない。
【0021】
電子ビーム生成器は、当該技術分野においてよく知られているので、EBGの構造および動作は詳細には説明しない。しかし、EBG102の様々な側面の簡単な説明は、開示の理解を容易にするために本明細書に提供される。EBG102は、図2および図3を参照して最もよく理解される幾つかの主要な構成要素を含むことができる。これらの構成要素は、真空チャンバ210を包囲する外被202を含むことができる。幾つかのシナリオでは、外被202は、空気漏れの適度な解消を提供するガラス材料、セラミック材料、または金属材料から構成することができる。真空チャンバ内では、排気口216およびゲッター214によって真空が確立され、維持される。
【0022】
陰極306に高い負電圧を供給するために、高電圧コネクタ204が真空チャンバ内に挿入される。本明細書に記載されるX線生成の目的のために陰極に印加される適切な高電圧は、-50kVから-250kVの範囲であろう。フィールドシェーパー206とリペラ208もまた、真空チャンバ内に封入されている。これらの各構成要素の目的は、電子ビーム生成器の技術分野においてよく知られている。しかしながら、本明細書に提示される解決の理解を容易にするために簡単な説明が提供される。陰極306は、加熱すると、陰極306と陽極との間の高電圧電位によって加速される電子の供給源として機能する。図2では、陽極の目的は、外被202、およびリペラ208によって提供され、外被202は接地電圧であり、リペラは接地に対して小さな正の電位にある。
【0023】
リペラ208の機能は、ドリフトチューブ104またはDCTA106で生成するかもしれないどのような正電荷を帯びたイオンも撃退し、損傷を引き起こす可能性のある陰極306の領域にそれらのイオンが侵入するのを防止することである。フィールドシェーパー206の機能は、高電圧によって引き起こされる電界の形状および大きさを制御する滑らかな表面を提供することである。図3のシナリオでは、グリッド310は、陰極306付近の電界に所望の形状を付与し、および陰極306からの電子の放出を遮断する。陰極306は、ヒーター309aおよび309bの脚に固定される。ヒーター309aおよび309bの脚は、通常、高い電気抵抗と熱劣化に対する高い耐性の両方を有する金属材料から作製されており、ヒーターの脚を通じて流れる電流によって陰極306を加熱する高温を発生させる。ヒーターの脚309aおよび309bへの電気的接続は、ヒーターの脚309aおよび309bを高電圧コネクタ204内の接続部に接続するコネクタピン308aおよび308bによって与えられる。絶縁ディスク302は、典型的には、ガラスまたはセラミックなどの絶縁材料で作製されており、コネクタピン308aと308bとの間に電気絶縁を与え、ヒーターの脚309aおよび309bによって発生する熱への耐性もある。
【0024】
本明細書に開示されるシナリオでは、ドリフトチューブ104は、ステンレス鋼などの材料で構成することができる。他のシナリオでは、ドリフトチューブは部分的に炭化ケイ素(SiC)で構成することができる。あるいは、ドリフトチューブ104は、アルミナまたは窒化アルミニウムなどのセラミック材料で構成することができる。ドリフトチューブ構造が導電性材料で形成されていない場合、導電性インナーライニング114を設けることができる。例えば、導電性インナーライニングは、ドリフトチューブの内部表面に施された(例えば、スパッタリング、蒸着、または他のよく知られた手段によって施された)銅、チタン合金、または他の材料で構成することができる。ドリフトチューブの中空の内部部分は真空チャンバ210に開口し、ドリフトチューブ104の内部212も真空圧で維持される。本明細書に記載される解決の目的に適した真空圧は、約10-5Torr未満または、特に約10-9Torrから10-7Torrの間の範囲であり得る。
【0025】
電子ビームを含む電子は、DCTA106に向かってEBG102によって加速される。これらの電子は、ドリフトチューブ104への入口開口部116に到達すると大きな運動量を持つ。ドリフトチューブの内部212は真空に維持され、少なくともチューブの内層114は接地電位に維持される。従って、EBG102によって電子に付与される運動量は、DCTA106に向かって非常に高速で(例えば、光速に近づく速度で)ドリフトチューブ104の長さを下り電子を弾道のように運び続ける。電子がドリフトチューブ104の長さに沿って進むにつれて、それらはもはや静電的に加速されないことが認識される。
【0026】
ビーム集束ユニット108は、ドリフトチューブの長さに沿って移動する電子のビーム渦を集束するように設けられている。例えば、このような集束操作は、DCTA先端における電子の集束点を制御するためにビームを調整することを伴うことができる。このように、ビーム集束ユニット108は、その中に流される電流を選択的に変化させることによって制御される、複数の磁気集束コイル117から構成することができる。流された電流は、複数の磁気集束コイル117のそれぞれに磁界を発生させる。この磁界は、ビーム集束ユニット108に囲まれた領域において実質的に、ドリフトチューブ104に浸透する。貫通磁界の存在によって、当該技術分野で十分に理解される方法で電子ビームを選択的に集束させる。
【0027】
ビーム操縦ユニット110は、複数の選択的に制御可能な磁気操縦コイル118を備える。操縦コイル110は、ドリフトチューブ104内を移動する電子の移動方向を選択的に変化させるように配置されている。磁気操縦コイルは、(電流を通電するときに)磁界を生成することによってこの結果を達成する。磁界は、ドリフトチューブ104内を移動する電子に選択的に力を及ぼし、従って電子ビームの移動する方向を変化させる。このような電子ビームの移動する方向の偏向の結果として、ビームがDCTA106のターゲット要素に衝突する位置を選択的に制御することができる。
【0028】
図4および図5に示すように、DCTA106は、EBG102から遠位である、ドリフトチューブ104の端部に配置される。DCTAは、ターゲット402およびビーム遮蔽404を備える。ターゲット402は、電子ビームの移動する方向を横断するように配置される、円盤状の要素を備える。例えば、円盤状の要素は、電子ビーム移動の方向にほぼ直交する平面に配置することができる。幾つかのシナリオでは、ターゲット402は、ドリフトチューブ内の真空圧の維持を容易にするために、EBGから遠位のドリフトチューブ104の端部を囲むことができる。ターゲット402は、様々な異なる材料を含むことができる。しかし、電子を照射したときに比較的高い効率でのX線の生成を容易にするために、高い原子数を持つモリブデン、金、タングステンなどの材料を有利に含む。ターゲット402の構造は、議論が進むにつれてより詳細に説明される。
【0029】
図4に示すように、ビーム遮蔽404は、ターゲット402の1つの主面に隣接して配置された第1の部分406と、ターゲットの反対側の主面に隣接して配置された第2の部分408を含むことができる。幾つかのシナリオでは、第1の部分406は、真空環境にあるドリフトチューブ104の内部に配置することができ、第2の部分408は、ドリフトチューブの外部に配置することができる。ビーム遮蔽404の一部が図4に示すようにドリフトチューブの外部に配置される場合、次いでドリフトチューブのDCTA外部の部分を囲んで保護するために、ビーム遮蔽の第2の部分408上にX線透過性キャップ部材418を配置することができる。図4においてキャップ部材は、DCTA構造の理解を容易にするために点線のみで示される。しかしながら、キャップ部材418は、DCTAの第1の部分406を囲むようにドリフトチューブ104の端部から延びるであろうことを理解すべきである。
【0030】
ビーム遮蔽404は、複数の壁要素410、412を備える。第1の部分406に関連付けられた壁要素410は、EBG102から離れた方向に面する円盤状ターゲットの第1の主面から延びることができる。第2の部分408に関連付けられた壁形状要素412は、EBG102に向かって面するターゲットの反対側の主面からEBG102に向かって伸びることができる。壁要素410、412はまた、DCTA中心線416から円盤状ターゲット402の周辺に向かって外側へ放射方向に延びる。従って、壁要素は複数の遮蔽された区画420、422を形成する。壁要素410、412は、X線光子と実質的に相互作用する材料から有利に構成することができる。幾つかのシナリオでは、当該材料は、X線光子にそのエネルギーと運動量の相当な部分を失わせるようにX線光子と相互作用するものであり得る。従って、この目的のために適切に相互作用する材料の1つのタイプは、X線エネルギーを減衰または吸収する材料を含むことができる。幾つかのシナリオでは、この目的のために選択された材料には、X線エネルギーの吸収性が高いものを有利に選択することができる。
【0031】
X線放射の吸収性が高い好適な材料がよく知られている。例えば、これらの材料としては、ステンレス鋼、モリブデン(MO)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、または他の高原子数(高Z)材料などの特定の金属を挙げることができる。ここで使用される句の高Z材料としては、一般に、少なくとも21の原子数を有するものが挙げられる。もちろん、X線吸収度が低い幾つかのシナリオもあるかもしれない。このようなシナリオでは、別の材料が適しているかもしれない。従って、遮蔽壁に適した材料は、必ずしも高原子数材料に限定されるものではない。
【0032】
図4に示すシナリオでは、複数の壁要素が中心線416から放射状に外側へ伸びる。しかしながら、ビーム遮蔽の構造はこの点で限定されず、他のビーム遮蔽構造も可能であることを理解すべきである。このような代替構造の幾つかをより詳細に以下で説明する。それぞれの壁要素は、以下に説明するようにビーム形成を容易にするために、丸みを帯びまたは面取りされたコーナー411をさらに含むことができる。これらの丸みを帯びまたは面取りされたたコーナーは、ターゲット402から遠離し、中心線416から離れて間隔をおいた壁要素の一部に配置することができる。
【0033】
図4に示すように、壁要素410は、ターゲット402の反対側に遮蔽された区画420、422の整列したペアを形成するために、壁要素412とに整列させることができる。それぞれのこのような遮蔽された区画は、ターゲット402の片側に一対の壁要素410、およびターゲットの反対側に一対の壁要素412によって境界をつけられた、対応するターゲットセグメント414に関連付けられる。
【0034】
知られているように、X線光子は、電子ビームのターゲット402の主面との衝突経路に対して通常は横断する方向に放出される。ターゲット材料は、ターゲット402を照射する電子がターゲットの両方の主面から離れて伸びる方向にX線を生成するような、ターゲット材料の比較的薄い層を備えている。遮蔽された区画420、422の各整列ペア(壁要素410、412によって形成される)およびそれらの対応するターゲットセグメント414は、ビームフォーマーを備える。高エネルギー電子が特定のターゲットセグメント414と相互作用する際に生成されるX線は、区画410、412を規定する壁要素によってそれらの移動方向に制限される。この概念は図6に示され、電子ビーム602がターゲット402のセグメントを照射し、電子ビームの衝突経路に対して概して横断する方向へ透過および反射X線を生成することを示す。しかし図6では、ビームフォーマーの遮蔽効果により方位角および仰角α、βの制限された範囲でのみ透過X線が透過することが観察できる。どのターゲットセグメント414が電子で照射されるか、および電子ビームが実際にターゲットセグメントに衝突するターゲットセグメント414内の場所を選択的に制御することにより、異なる方向および形状の範囲のX線ビームを必要とされる通りに選択的に形成し彫刻できる。
【0035】
従って、X線ビーム方向(伝送されたX線エネルギーの主軸によって規定される)と、ビームの形状を含む相対X線強度のパターンは、異なる治療計画を容易にするために選択的に変化または制御することができる。図7は、電子ビーム706を選択的に制御することにより、X線ビーム700の最大強度の方向を複数の異なる方向702、704に一直線上に配置できることを示すことにより、この概念を図示している。X線ビーム700の正確な3次元形状または相対強度パターンは、本明細書に記載される幾つかの要因に従って変化する。幾つかのシナリオでは、異なるターゲットセグメントを連続して電子で照射することにより、電子ビームが所定の滞留時間の間に異なるターゲットセグメントと交差するように、電子ビームを素早く操縦することができる。1つを超えるターゲットセグメント414が電子ビームによって照射された場合、関連付けられたビームフォーマーによって規定される選択された方向に複数のビームセグメントを形成することができ、それぞれが異なるビーム形状またはパターンを有することができる。
【0036】
図8を参照すると、ターゲット402は、本明細書に記載される電子ビーム804によって照射され得る、ターゲット材料802の非常に薄い層で形成されていることが観察できる。ターゲット材料は、比較的高い原子数を持つ材料であることが有利に選択される。この目的のために使用できる例示的なターゲット材料としては、モリブデン、タングステンおよび金が挙げられる。ターゲット材料802の薄層は、より厚い基板層806上に有利に配置される。基板層は、加えられた強度に対してより堅牢なターゲットを容易にし、金属層からの熱エネルギー移動を容易にするために提供される。基板層806に使用できる例示的な材料としては、ベリリウム、アルミニウム、サファイア、ダイヤモンド、またはアルミナもしくは窒化ホウ素などのセラミック材料を挙げることができる。これらの中で、ダイヤモンドは、X線を比較的透過し、非毒性で、強度があり、優れた熱伝導性を提供するため、この応用のために特に有利である。
【0037】
基板層804に適したダイヤモンド基板ディスクは、広げられたディスクまたはウエハの形状にダイヤモンドの合成を可能にする化学蒸着技術(CVD)によって形成することができる。幾つかのシナリオでは、これらのディスクは300~500μmの厚さを持つことができる。基板がドリフトチューブ104内に真空を含ませるのに十分な強度を持ち、それを通過するX線を減衰させるほど厚くないならば、他の厚さも可能である。幾つかのシナリオでは、約300μmの厚さを持つCVDダイヤモンドディスクがこの目的のために使用できる。本明細書に記載されるようにCVDダイヤモンドディスクの片側にスパッタされた、ターゲット材料802の薄い層は、2~50μmの厚さを持つことができる。例えば、幾つかのシナリオにおけるターゲット材料は、10μmの厚さを持つことができる。もちろん、他の厚さも可能であり、本明細書に提示される解決は、これらの値によって制限されることを意図していない。
【0038】
図9図10図11は、第1の代替のDCTA構造を理解するのに役立つ一連の図面である。DCTA906はDCTA106に類似しているが、ドリフトチューブ904の端部へのDCTAの取り付けを容易にするためにビーム遮蔽914の周辺に取り付けられた追加のリング要素を含む。より具体的には、ビーム遮蔽914の第1および第2の部分916、918は、それぞれリング908a、908bを含むことができる。ターゲット914は、2つのリング間に配置することができる。図11に示すように、一方または両方のリングは、次にドリフトチューブの端部へ固定することができる(例えば、ろう付けによって固定される)。
【0039】
図12は、第2の代替のDCTA構造を理解するのに有用である。このシナリオでは、図4に示す単一の円盤状X線ターゲット402は、同図に示すように各区画とそれぞれ整列した、複数の独立したより小さいくさび形のターゲット1202に置き換えられる。このようなシナリオでは、2つの部分1216および1218、および中間ベースプレート1220に対応する壁要素1210、1212は、必要に応じて単片の材料から作製することができる。区画されたくさび形状のターゲット1202は、図示されるように壁要素間の中間ベースプレート1220に配置することができ、その後、アセンブリ全体をドリフトチューブの端部に固定することができる。図12ではまた、壁要素1210が図4図6に示す面取りされたコ-ナーではなく、湾曲または丸みを帯びたコーナーを持つことを観察できる。図13は、図12に示す配置に類似した第3の代替DCTA1306であるが、くさび形のターゲット1202の代わりに設けられた複数の別々の円形状または円盤形状のターゲット1302を備える。
【0040】
図14は、ビーム遮蔽1414全体がドリフトチューブの外部に配置される第4の代替DCTA構造1406である。このシナリオのターゲット要素1402は、中空管状台座1420の端面である。壁要素1410は、EBG102から端遠位でドリフトチューブに取り付けるベースプレート1408の面から延びる。ターゲット要素1402によって規定された端面は、壁要素1410が配置されるベースプレートから離れて間隔をおく。幾つかのシナリオでは、管状の台座は図示されるように円柱の幾何学を持つことができる。ただし、他の管状構造も可能である。管状の台座は、DCTAの長さに沿った中間位置にターゲット要素1402を配置するのに十分な長さを有利に持つことができる。このように、ターゲット要素の配置は、ビーム形成操作のために最適に選択できる。台座のそれぞれの中空内部部分は、ドリフトチューブ1404の内部によって規定される真空に開放される。その結果、ターゲット要素1402のうち特定の1つに向けられた電子ビームは、ドリフトチューブを通り、台座1420の内部を通って真空環境を通過し、ターゲット要素1402に衝突する。図15は、図14に示す配置と同様の第5の代替DCTA1506である。ただし、DCTA1506では、図14に示すそれぞれ独立したターゲット要素1402は、複数のより小さいターゲット要素1502に置き換えられる。
【0041】
図16Aおよび図16Bは、6番目の代替DCTA構造および組み立てプロセスを理解するのに有用な一連の図面である。ここでの議論から理解されるように、ビーム遮蔽1600の第1および第2の部分1602、1604の適切な整列は、各X線ビームフォーマーの正しい機能を確保するために重要である。この問題は、ビーム遮蔽の第2の部分1604がドリフトチューブ1614に一度挿入されると組立技術者におそらく見えないために、複合的になる。さらに、第1および第2の部分1602、1604は、組み立て後に整列したままにしておくことが重要である。
【0042】
これらの整列を容易にするために、ポスト1606は、第2の部分1604の中心軸1620に沿って設けられることが重要である。ポスト1606は、ターゲット1612の開口部1616を通じて延長することができる。ポストは、切り込み要素または鍵構造1608を含むことができる。穴1622は、中心軸1620に沿って第1の部分1602内で規定される。当該穴の少なくとも一部は、相補的な切り込み要素または鍵構造1612を持つことができる。この相補的な切り込み要素または鍵構造は、切り込みまたは鍵構造1608の幾何学および形状に対応する。従って、第1および第2の部分1602、1604は図16Bに示す方法でのみ合致することができ、それによって第1の部分1602の壁要素1624は、第2の部分1604の壁要素1626と整列する。
【0043】
図16Aおよび図16Bで説明されているのと同様の配置は、図17Aおよび図17Bに示す7番目の代替DCTA構造におけるプロファイルされたピンによって代わりに達成できる。その中に示すように、ビーム遮蔽1700は、第1および第2の部分1702、1704を含むことができる。第1および第2の部分のそれぞれは、複数のガイド面1722を規定する壁要素1724、1726を含むことができる。これらのガイド面1722は、プロファイルされたピン1706上に形成された複数の対応するピン面1712を係合させることができる。ガイド面とピン面が正しく整列すると、プロファイルされたピンは、中心軸1720に沿って第1および第2の部分を通じて挿入することができる。ピンヘッド1714は、第1および第2の部分へのピンの挿入を制限する。一旦挿入されると、ピン1706は適切な固定装置によって所定の位置に固定することができる。例えば、ピン1706は、ピンを所定の位置に保持するためにねじナット1708を配置できるねじ端部を備えることができる。
【0044】
図18に第8の代替DCTA1800を示す。DCTA1800は、ターゲット1802とビーム遮蔽1804を備える。ビーム遮蔽1804は、ポスト1820を備える構造を有する。幾つかのシナリオでは、ポスト1820は、ターゲット1802およびドリフトチューブ1814の中心線1816と一直線にすることができる。このポストは、ターゲット1802の1つの主面に隣接して(および延長して)配置される第1の部分1806と、ターゲットの反対側の主面に隣接して(および延長して)配置される第2の部分1808を含むことができる。このように、第1の部分1806は、真空環境内のドリフトチューブ104の内部に配置することができ、第2の部分1808は、図示されるようにドリフトチューブの外部に配置することができる。
【0045】
ポスト1820は、図示されるように円筒形のポストで構成できる。しかし、構造の許容し得る構成はこの点に限定されず、ビーム形成操作を容易にするためにポストは異なる断面プロファイルを持つこともできる。例えば、ポストは、正方形、三角形、または長方形の断面プロファイルを持つことができる。幾つかのシナリオでは、断面プロファイルにはN面多角形(N面正多角形など)を選択できる。本明細書に記載されている他の構造の壁要素と同様に、ポスト1820は、X線エネルギーを大きく減衰させる材料を有利に含む。例えば、ポストは、ステンレス鋼、モリブデン、またはタングステン、タンタル、または他の高原子数(高Z)材料などの金属を含むことができる。
【0046】
図19に第9の代替DCTA1900を示す。DCTA1900の構造は、DCTA106のそれと同様にすることができる。このようにDCTAは、ターゲット1902の1つの主面に隣接して配置された第1の部分1906、およびターゲットの反対側の主面に隣接して配置された第2の部分1908を備えるビーム遮蔽1904を含むことができる。幾つかのシナリオでは、第1の部分1906は、ドリフトチューブ104に関連して真空環境に曝されるDCTAの一部の中に配置することができる。第2の部分1908は、図示されるようにドリフトチューブの外部に配置できる。ビーム遮蔽1904は、複数の壁要素1910、1912を備える。第1の部分1906に関連付けられた壁要素1910は、EBG102から離れた方向に面する円盤状ターゲットの第1の主面から延びることができる。第2の部分1908に関連付けられた壁形状要素1912は、反対側の主面(例えば、EBG102に向かって面するターゲット面)から延びることができる。壁要素1910、1912はまた、DCTA中心線1916から円盤状のターゲット1902の周辺に向かって外側へ放射方向に延びる。従って、壁要素は複数の遮蔽された区画を形成する。
【0047】
DCTA1900は、本明細書に開示される他のDCTA構造の多くと類似している。しかしながら、図19では、DCTA1900の壁要素1910、1912がターゲット要素1902の周縁1903まで完全に延びていないことが観察できる。その代わりに、壁要素は、DCTA中心線1916からターゲット要素1902の周縁1903までの半径方向距離の一部にのみ延びる。図19に示す構造は、本明細書に示す他のDCTA構造と比べて異なるビームパターンを容易にするために有用であり得る。
【0048】
図20に目を向けると、図1図7に示すX線源を制御するための例示的な制御システム2000が示されている。制御システムは、高電圧源コントローラ2004、高電圧生成器2006、クーラントシステム2012、集束コイル電流源2024、集束電流制御回路2026、操縦コイル電流源2014、および操縦電流制御回路2016を制御する制御プロセッサ2002を含むことができる。高電圧源コントローラ2004は、高電圧生成器2006の制御を容易にするように設計された制御回路で構成することができる。グリッド制御回路2005およびヒータ制御回路2007は、例示的な制御システムの一部として提供することもできる。
【0049】
高電圧生成器2006は、比較的低電圧のACを高電圧に上げるための高電圧変圧器2008、および高電圧ACを高電圧DCに変換するための整流回路2010で構成することができる。高電圧DCはその後、本明細書に記載するX線源装置における陰極および陽極に印加することができる。
【0050】
クーラントシステム2012は、DCTA106を冷却するための適切な流体を含むクーラント貯蔵器2013を含むことができる。例えば、幾つかのシナリオではこの目的に水を使用できる。あるいは、冷却を容易にするために油または他のタイプのクーラントを使用できる。幾つかのシナリオでは、DCTAを含む特定の金属の構成要素が腐食する可能性を最小限に抑えることができるクーラントを選択できる。ポンプ2015、電子制御バルブ2017、および関連する流体導管は、DCTAを冷却するためのクーラントの流れを容易にするために設けることができる。
【0051】
図1の1つ以上の集束コイル117に関連して、複数の電気的接続(図示せず)を設けることができる。これらの1つ以上の集束コイルは、図20の制御回路を用いて独立して制御することができる。より詳細には、集束コイル電流源2024は、1つ以上の集束コイル117のそれぞれにDC電流を供給可能な電源を備えることができる。この電流源は、制御プロセッサの制御下にある電流制御要素の配列を含む集束コイル制御回路2026に接続することができる。従って、集束電流制御回路2026は、電子ビームの焦点を制御するために1つ以上の集束電流C1、C2、C3、…Cnを1つ以上の集束コイル117に選択的に案内することができる。電子ビームを集束する方法は当該技術分野において公知であるため、ここでは詳しく説明しない。しかし、1つ以上の集束コイルのそれぞれに流される電流の大きさは、ビーム焦点を変化させるために選択的に制御できることが理解されるべきである。
【0052】
同様に、図1における1つ以上の操縦コイル118のそれぞれに関連して、複数の電気接続(図示せず)を設けることができる。これらの操縦コイルは、図20の制御回路を用いて独立に制御することもできる。より具体的には、操縦コイル電流源2014は、複数の操縦コイルのそれぞれにDC電流を供給可能な電源を備えることができる。この電流源は、制御プロセッサの制御下にある電流制御要素の配列を含む操縦コイル制御回路2016に接続することができる。従って、操縦電流制御回路は、電子ビームの方向を制御するために、操縦電流I1、12、13、…Inを1つ以上の操縦コイル118へ選択的に案内することができる。電子ビーム操縦コイルを制御する方法は、当該技術において知られているので、ここでは詳しく説明しない。例えば、電子ビーム操縦は、従来の陰極線管で通常行われている。それでも、各操縦コイルに流される電流の大きさは、電子ビームがターゲットに衝突する位置を変化させるために選択的に制御できることが理解されるべきである。
【0053】
本明細書に記載される電子ビームの磁気偏向に装置が限定されないことが理解されるべきである。電子ビーム操縦の他の方法も可能である。例えば、印加された電界も電子ビームを偏向させるために用いることができることがよく知られている。このようなシナリオでは、操縦コイルの代わりに電子ビームを制御するために高電圧偏向プレートを使用することができ、電流ではなくプレートに印加される電圧が変化するであろう。
【0054】
制御プロセッサ2002は、コンピュータプロセッサ、特定用途向け回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)ロジックデバイス、または本明細書に記載の機能を実行するようにプログラムされた他の回路などの1つ以上のデバイスで構成することができる。このように、コントローラは、デジタルコントローラ、アナログコントローラまたは回路、集積回路(IC)、マイクロコントローラ、または個別部品から形成されたコントローラであってもよい。
【0055】
図21A図21Cは、本明細書に記載されるDCTAの動作を理解するのに有用な一連の図面である。便宜上、本明細書に開示されるDCTAに関しては、図1図8に関して説明を進める。しかし、これらのコンセプトは、本明細書に開示されるDCTA構造の多くまたは全てに同様に適用可能であることが理解されるべきである。
【0056】
図21Aは概念的に、複数の放射状に向けられたビームのビームセグメント2102においてX線が均一に生成されていると理解できる、DCTA中心線416に沿って見た複合X線ビームパターンを示す。このようなビームパターンは、ターゲット402に関連付けられた全てのセグメント414を励起するために電子ビームが拡散または操縦される際に生成し得る。それぞれの放射ビームセグメント2102は、DCTA106の一部を含む、対応するビームフォーマーによって生成される。図21Aに示すシナリオでは、ビーム生成器は、DCTA中心線416に対して異なる方位角方向における処理領域に対して各ビームセグメントが実質的に同じX線吸収量となるように(例えば、制御システム2000で)制御される。また、図21Aでは、X線光子が約360度の円弧においてDCTA106の周りの複数の異なる角度に向けられるようにビームセグメント2102が配置されることを観察することができる。
【0057】
DCTA106などの、DCTAによって生成されるX線放射の全強度は、加速電圧の二乗にほぼ比例する。従って、幾つかのシナリオでは、陽極に対する陰極の電位を制御することによって、生成されるX線ビームの強度をそれぞれ制御することができる。各X線ビームセグメント2102の強度および方向の独立した制御は、図21Bに示されるような複合ビームパターンを達成するために、複合ビームパターンにおける選択的な変化を容易にすることができる。電子ビーム強度および/または滞留時間は、所望の放射線治療計画を容易にするために、ターゲットの異なるセグメントに衝突する際に選択的に変化させることができる。図21Cは、幾つかのシナリオにおいて、特定の半径または方位角方向におけるビーム強度を実質的にゼロに低減できることを示している。言い換えれば、特定の半径または方位角方向におけるX線ビームは、特定の放射線治療計画を容易にするために基本的に不能にすることができる。ビーム生成器の制御は、制御システム(制御システム2000など)によって容易にすることができる。
【0058】
図21A図21Cのビームパターンは、電子ビーム強度および滞留時間をターゲット上の異なる位置で変化させることによりビームパターンを異なる半径方向において制御できる方法の概念的理解を容易にするために2次元で提示される簡略化されたパターンであることに留意すべきである。この技術を用いて生成される実際のビームパターンは相当により複雑であり、図7に概略で示すように、必然的に3次元放射パターンを含むであろう。それでも、より高い電位を使用して生成された電子ビームは、特定の半径または方位角方向におけるX線ビーム強度がより高くなり、低電位を使用して生成された電子ビームは、特定の半径または方位角方向におけるX線ビーム強度がより低くなることが理解される。必然的に、X線ビームが特定の方向に照射される時間の全長は、その方向に伝達される全放射線量に影響する。
【0059】
集束電子ビームによって放出されるX線の強度は、焦点から離れる距離に強く依存する。組織治療体積の距離を制御し、X線ビームの侵入力を変更するために、少なくとも、X線源と創傷空洞との間の間質空間を生理食塩水で満たすことがIORTの場合に有利であり得る。このような配置は、DCTA106が流体ブラダ2202内に配置され得ることを示す図22に示されている。流体ブラダは、X線源と組織壁2208(例えば、腫瘍床を含む組織壁)との間の間質空間2204を満たすために、生理食塩水などの流体2206で膨張する弾性バルーン状部材であり得る。流体導管2210、2212は、流体ブラダの内部への、および内部からの流体の流れを促進することができる。このような配置は、より一貫した放射線被曝を容易にするために、組織壁全体をX線源から均一な距離に配置することによって、腫瘍床の照射の均一性を高めることに役立つことができる。
【0060】
DCTA106でのX線の生成は、相当量の熱を発生し得る。従って、幾つかのシナリオでは、間質空間2204を満たす流体2206に加えて、DCTAに別個のクーラントの流れを設けることができる。このような配置の一例を図23図24に示す。図23は、ドリフトチューブ104の一部およびDCTA106を示す。ドリフトチューブおよびDCTAを囲む冷却ジャケット2300は、複数の同軸冷却管2302、2305を見せるために断面で示されている。図24は、図23に示すアセンブリの断面図であり、線24~24に沿って示される。図23および図24から、複数の同軸冷却管はDCTA(およびドリフトチューブの一部)を取り囲むシースとして構成でき、DCTAから熱を運ぶクーラントの流れを与えることが可能なことが理解できる。
【0061】
より具体的には、外側同軸冷却管2302は、外側シース2301と内側シース2304との間質空間によって規定される。内部同軸冷却管2305は、内側シースおよび、ドリフトチューブ104およびDCTA106の部分を含む外面によって規定される。内部同軸冷却管2305は、突起2306によって部分的に維持される。突起は、内側シース2304と、ドリフトチューブ104およびDCTA106の外面との間の隙間を維持する。X線源が作動しているとき、クーラント2303は、外側同軸冷却管2302を通じてDCTA106に向かって正の圧力下で流される。
【0062】
図23の矢印で示すように、クーラント2303は、ノズル部2308が設けられている冷却ジャケットの端部2307に流れる。幾つかのシナリオでは、ノズル部2308は、図示されるように内側シース2304と一体化することができる。あるいは、ノズル部は別個の要素を備えることができる。ノズル部2308は、クーラント2303が外側同軸冷却管2302から内側同軸冷却管2305に流れ込むように配置された複数のポートを含む。ノズル部分はまた、冷却効果を与えるように、DCTA106の上および周りにクーラントの流れまたはスプレーを案内することに供する。図23の矢印によって示されるこの流れは、クーラントの流れ圧力およびノズル部の精密な構造に依存して、連続的な流れ、スプレー、または滴下作用の形態であり得る。DCTA先端を冷却した後、クーラント2303は、突起2306によって維持される空間内の内部同軸冷却管2305により規定される帰還路に沿って流れる。クーラント2303は、次に排出ポートを通じて内部同軸冷却管を出る(図23には示していない)。
【0063】
本明細書に図示され説明される冷却ジャケット2300は、DCTAの冷却を容易にする1つの可能な構造であることが理解される。この点に関しては、他のタイプの冷却シースも可能であり、制限なく使用できることが理解されるべきである。また、冷却ジャケットが不要になるかもしれないような低減した電圧レベルでX線源を作動させることができる幾つかのシナリオもあり得ることが理解されるべきである。
【0064】
X線放射パターンに対するさらなる制御は、電子ビームが特定のターゲットセグメント414に衝突する場所を選択的に変化させることによって得ることができる。例えば、図25A図25Dでは、各ビームフォーマーによって生成されるX線ビームのビーム幅を、電子ビームが特定のターゲットセグメントに衝突する位置を変化させることで調整できることを観察することができる。電子ビームがビーム遮蔽404の中心線に最も近いターゲットセグメントに衝突すると、ビ-ム形成区画によって比較的狭いビームが生成される。しかし、ビームが図25B図25Dの中心線から放射状に外側へ徐々に移動すると、得られるX線ビームは方位角方向へ徐々に広くなる。従って、得られるX線放射強度パターンの方向および形状を選択的に制御することができる。図25A図25Dにおけるビームパターンは、電子ビームが特定のターゲットセグメントに衝突する位置を変化させることによりビーム幅を制御できる方法の概念的な理解を容易にするために提示される簡素化された2次元パターンであることに留意すべきである。この技術を用いて生成された実際のビームパターンは相当により複雑であり、図7に示すのと同様の3次元放射パターンを必然的に含むであろう。
【0065】
図26A図26Bは、同様のコンセプトを示しているが、異なる構造を持つビーム遮蔽を備えている。図26A図26Bでは、ビ-ム遮蔽2504は、くさび形状ではなくプロファイルにおいて半円形である複数の区画2520を含む。図26Aに示すように、電子ビームがターゲットと交差する位置を選択的に制御することは、ビーム形成区画によって比較的狭いX線ビーム2502が生成されるか、または比較的広いビーム2504が生成されるかを制御するのに役立つことができる。ビームがビーム遮蔽2504の中心線から放射状に外側へ移動するにつれて、より広いビームが生成される。
【0066】
図26Aに示すさらなる効果は、生成されるX線ビームの方向を操縦するさらなる方法を効果的に提供するために、電子ビームが壁要素に関連付けられたターゲットを捕まえる位置を変化させることを伴うことができる。電子ビームが区画の外縁の付近を回転するにつれて、X線ビームの方向が変化する。
【0067】
図27を参照すると、DCTA2700は、ターゲット2702の1つの主面に隣接して配置された第1の部分2706を含むビーム遮蔽2704、およびターゲットの反対側の主面に隣接して配置された第2の部分2708を含むことができる。第1の部分2706は、真空環境にあるドリフトチューブ2714の内部に配置することができ、第2の部分2708は、ドリフトチューブの外部に配置することができる。しかし、幾つかのシナリオでは、ドリフトチューブ2714の主要部2713は、X線を吸収または減衰する材料で構成することができる。このような例では、ドリフトチューブの端部2715を含む材料に、ドリフトチューブの主要部2713と比較してX線放射に対してより透過性の高いものを選択するのが望ましいことがある。このようなシナリオでは、端部2715を含む材料は、X線に対して透明となるように選択することができる。この配置により、ドリフトチューブ2714内で放出されるX線は減衰することなく内部から脱出することができ、それによって所望の治療効果を提供することができる。
【0068】
また、本明細書に開示されるDCTAは、図19に示すDCTA1900と同様の構造を持つように構成することができる。DCTA1900は、管状本体部1920を含む。管状本体部は、第1の端でターゲット1902を、反対側の端で連結リング1922を支持することができる。ビーム遮蔽1904の第1の部分1906は、管状本体部1920内に配置されるようにターゲットの面から延びる。連結リングは、DCTA1900がドリフトチューブの端(例えば、ドリフトチューブ104)に固定されるように構成される。連結リングは、ドリフトチューブの末端との真空シールを容易にすることができる。従って、管状本体部1920の内部は、ドリフトチューブの内部と同じ真空圧で維持することができる。
【0069】
管状本体部1920は、X線透過性材料で構成することができる。その結果、管状本体部の内部に形成されたX線ビーム部は、管状本体部1920の構造によって実質的に吸収または減衰されない。この目的のために使用できるX線透過性材料の例としては、炭化ケイ素(SiC)が挙げられるであろう。この目的のためにSiCを用いる場合、コバール、即ちニッケルコバルト鉄合金などの材料から連結リング1922を形成することが有利であり得る。この目的のためにコバールを使用すると、本体部への連結リングのろう付けを容易にすることができる。もちろん、管状本体部1920の内部で生成するX線ビームの部分を減衰させることが望ましい幾つかのシナリオもあるかもしれない。その場合、管状本体部は、代わりにX線光子に対して吸収性の高い材料で形成することができる。X線光子に対して吸収性の高い材料の例としては、銅(Cu)が挙げられるであろう。
【0070】
1つ以上の実施に関して本発明を説明および記述したが、同等の変更や改変は、この明細書および添付図面の読み込みと理解によって他の当業者に起こるであろう。加えて、本発明の特定の特徴は、幾つかの実施のうちの1つのみに関して開示されたかもしれないが、そのような特徴は、既定または特定の応用のために所望されおよび有利であるかもしれない場合には、他の実施の1つ以上の別の特徴と組み合わせてもよい。
【0071】
本明細書で使用される用語は、本明細書に記載されているシステムおよび方法の特定の側面を記述することを目的とし、開示を制限することを意図しない。本明細書で使用される場合、単数形“a”、“an”および“the”は、文脈が明確にその他を示さない限り、複数形も同時に含むことを意図している。さらに、用語“including”、“includes”、“having”、“has”、“with”、またはこれらの異形が詳細な説明および/または特許請求の範囲のいずれかで使用される範囲内で、そのような用語は、用語“comprising”と同様の方法で包括されることを意図する。
【0072】
特に定義されていない限り、本明細書に使用される全ての用語(技術的および科学的用語を含む)は、この発明が属する当技術分野における通常の知識を有する者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に明示的に定義されていない限り、一般に使用される辞書で定義されているような用語は、関連する技術分野の文脈における意味と一致する意味を持つと解釈されるべきであり、理想化された、または過度に形式的な意味で解釈されないことがさらに理解される。
図1
図2
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図5
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図16A
図16B
図17A
図17B
図18
図19
図20
図21A
図21B
図21C
図22
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図25A
図25B
図25C
図25D
図26A
図26B
図27