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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178043
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】位置決め部材及び配管接続部の構造
(51)【国際特許分類】
   F16L 23/036 20060101AFI20231207BHJP
   F16L 21/08 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
F16L23/036
F16L21/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091086
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000116633
【氏名又は名称】愛知時計電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】木村 隼大
(72)【発明者】
【氏名】堀田 浩之
【テーマコード(参考)】
3H015
3H016
【Fターム(参考)】
3H015EA04
3H016AB02
3H016AC02
3H016AD05
(57)【要約】
【課題】配管に対して流体機器を位置決めする位置決め部材によって、配管のフランジと流体機器との間に装着されるガスケットの位置決めを行う技術を提供する。
【解決手段】本実施形態の位置決め部材50は、配管90のフランジ90Fの1対の貫通孔71に取り付けられ、フランジ90Fから突出する大外径部52に、ハウジング11のスリーブ側フランジ12Fを下方から支持させると共に2点で当接させて、フランジ90Fの中心軸J2とスリーブ側フランジ12Fの中心軸J1とを一致させる。そして、位置決め部材50の切欠部55内に、フランジ90Fとスリーブ側フランジ12Fとの間に配置されるガスケット60を受容させ、切欠部55から露出するボルト70にガスケット60を下方から支持させると共に2点で当接させてガスケット60の中心軸をフランジ90Fの中心軸J2に一致させる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体機器が、配管の途中の1対のフランジの間に1対のガスケットを介して挟まれると共に、複数の締結部材が、前記1対のフランジの複数の貫通孔に通されて前記1対のフランジの間に差し渡される配管接続部に使用される位置決め部材であって、
前記締結部材の外側に通される筒状をなし、各前記フランジの1対ずつの前記貫通孔に一端部を嵌合されて各前記フランジから突出し、前記流体機器の各端部に2点当りして前記配管に対して前記流体機器を位置決めする位置決め部材において、
各前記ガスケットを前記締結部材に2点当りさせて前記配管に対して位置決めするために、前記ガスケット側に前記締結部材を露出させる切欠部を備える位置決め部材。
【請求項2】
前記貫通孔に嵌合される前記一端部に対し、その反対側の他端部側が段付き状に拡径し、軸方向の途中に段差部を有する請求項1に記載の位置決め部材。
【請求項3】
前記軸方向における前記切欠部の途中位置に前記段差部が位置する請求項2に記載の位置決め部材。
【請求項4】
前記切欠部のうち前記段差部から前記他端部側の端面までの距離が、前記ガスケットの厚さより小さい請求項3に記載の位置決め部材。
【請求項5】
前記切欠部のうち前記段差部から前記他端部側の端面までの距離が、前記ガスケットの厚さ以上となっている請求項2に記載の位置決め部材。
【請求項6】
前記一端部側の外面に、前記貫通孔の内面に当接して潰される圧入突部を備える請求項1に記載の位置決め部材。
【請求項7】
配管の途中に設けられ、流体機器を挟んで対向する1対のフランジと、
前記1対のフランジと前記流体機器との間に挟まれる1対のガスケットと、
前記請求項1から6の何れか1の請求項に記載の位置決め部材と、を有する配管接続部の構造。
【請求項8】
前記位置決め部材の前記切欠部のうち前記フランジから離れた側の端面と前記フランジとに前記ガスケットが挟持される請求項7に記載の配管接続部の構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配管の途中の1対のフランジと流体機器との配管接続部に使用されて、配管に対して流体機器を位置決めする位置決め部材及び配管接続部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の位置決め部材として、配管の1対のフランジの間に差し渡される複数の締結部材に取り付けられるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4-50726号公報(第2頁下段左欄第14行目~下段右欄第14行目、第1図及び第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の位置決め部材では、フランジと流体機器との間に装着されるガスケットの位置決めが困難であるという問題があり、その対策が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明は、流体機器が、配管の途中の1対のフランジの間に1対のガスケットを介して挟まれると共に、複数の締結部材が、前記1対のフランジの複数の貫通孔に通されて前記1対のフランジの間に差し渡される配管接続部に使用される位置決め部材であって、前記締結部材の外側に通される筒状をなし、各前記フランジの1対ずつの前記貫通孔に一端部を嵌合されて各前記フランジから突出し、前記流体機器の各端部に2点当りして前記配管に対して前記流体機器を位置決めする位置決め部材において、各前記ガスケットを前記締結部材に2点当りさせて前記配管に対して位置決めするために、前記ガスケット側に前記締結部材を露出させる切欠部を備える位置決め部材である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本開示の一実施形態に係る流量計の正面図
図2図1のハウジングのA-A断面図
図3】配管接続部の分解斜視図
図4】位置決め部材の(A)斜視図、(B)断面図、(C)図4(B)のC-C断面図
図5】配管接続部の図1のB-B断面図
図6】配管接続部の図5のD-D断面図
図7】位置決め部材の切欠部から露出するボルトにガスケットを当接させた図
図8】位置決め部材の大外径部にハウジングを当接させた図
図9】切欠部を備えない位置決め部材にガスケットを装着させた図
図10】(A),(B)他の実施形態に係る位置決め部材
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図1図9を参照して、本開示の配管接続部20を有する流量計10の一実施形態について説明する。本実施形態の流量計10は、フランジ挟み込み式の流量計であって、図1に示すように、配管90の途中に設けられた1対の環状のフランジ90Fの間に設置されるハウジング11を有する。ハウジング11は、例えば鋳造品であって、筒状をなして横方向に延び、その両端面が、1対のガスケット60を介して1対のフランジ90Fに当接し(図1参照)、分断された配管90の間を連絡して配管90を流れる流体(本実施形態では、例えば、水)が、ハウジング11を貫通する計測流路13を流れるようになっている(図2参照)。なお、配管90は、水平配管であって、図1以外の図面において省略されている。
【0008】
また、流量計10は、表示ケース40を備えている(図1参照)。表示ケース40には、図示しない回路基板や表示部等が内蔵されており、回路基板は、流体の流量等を演算し、表示部は、回路基板が演算した流量等を表示して外部から視認できるようになっている。なお、表示ケース40は、ハウジング11と、筒状の中継部材30により接続されている。
【0009】
さて、配管90の1対のフランジ90Fと流量計のハウジング11との接続部である配管接続部20は、位置決め部材50によりハウジング11をフランジ90F(配管90)に対して位置決めする。以下、配管接続部20の構成について説明する。
【0010】
フランジ90Fには、図3に示すように、ボルト70が通される複数の貫通孔71が、フランジ90Fの中心軸と同心の円周上に等間隔に4つ形成されている。そして、1対のフランジ90F間に差し渡された4つのボルト70の内側にハウジング11が配置された状態で、ボルト70に螺入されたナット72により締め付け固定される(図1参照)。以下、フランジ90Fの中心軸(配管90の中心軸)を中心軸J2ということとする。なお、ボルト70には、外周面の全面に、ナット72に螺合する図示しない螺子が切られている。本実施形態のボルト70が、特許請求の範囲の「締結部材」に相当するが、締結部材は、ボルト70に限定されない。
【0011】
ハウジング11の両端面には、計測流路13に連通する円形開口12Kが形成されると共に、スリーブ側フランジ12Fが側方に張り出している(図3参照)。スリーブ側フランジ12Fは、円形開口12Kと同心の環状をなし、1対のフランジ90F間に差し渡された4つのボルト70は、このスリーブ側フランジ12Fの外縁を挟持するようになっている。以下、スリーブ側フランジ12Fの中心軸を、中心軸J1ということとする(図2参照)。
【0012】
スリーブ側フランジ12Fの外径は、フランジ90Fの中心軸J2から、貫通孔71に通されたボルト70までの距離よりも小さくなっている(図6参照)。つまり、スリーブ側フランジ12Fの外径は、1対のフランジ90F間に差し渡された4つのボルト70に内接する円よりも小さくなっている。なお、円形開口12Kは、フランジ90Fの内径よりも小さくなっている。
【0013】
また、スリーブ側フランジ12Fとフランジ90Fとの間には、前述したガスケット60が配置されているが、本実施形態のガスケット60は、その外縁が1対のフランジ90F間に差し渡された4つのボルト70の内側に配置される内ガスケットが用いられる。その外径は、1対のフランジ90F間に差し渡された4つのボルト70に内接する円と略同径であり、内径は、フランジ90Fの内径と略同径か又は僅かに大きくなっている(図6参照)。なお、ガスケット60は、樹脂、ゴム又は金属で構成される。
【0014】
位置決め部材50は、樹脂の射出成型品であって、円筒状をなし、図5に示すように、フランジ90Fの4つの貫通孔71のうち隣接する2つの貫通孔71に取り付けられ、内側にボルト70が挿通される。
【0015】
具体的には、位置決め部材50は、図4(A),(B)に示すように、軸方向の中間部分に外周面の一端側を縮径する段差部53が形成されていて、段差部53より一端側が小外径部51、段差部53より他端側が大外径部52となっている。小外径部51は、その外径が、貫通孔71の内径と略同径か又は僅かに小さくなっていて、貫通孔71の内面に嵌合される(図6参照)。以下、位置決め部材50において、小外径部51が配された側を先端側、大外径部52が配された側を基端側と、適宜、呼ぶことにする。
【0016】
そして、図5に示すように、フランジ90Fから突出する大外径部52がスリーブ側フランジ12Fに2点で当接する。大外径部52の外径は、フランジ90Fの中心軸J2から大外径部52までの距離が、スリーブ側フランジ12Fの外径と略同じになるように設定されている(図6参照)。つまり、スリーブ側フランジ12Fの外径は、フランジ90Fに取り付けられた位置決め部材50の大外径部52に内接する円と略同径となっている。なお、大外径部52の軸方向の長さは、本実施形態では、スリーブ側フランジ12Fの厚さよりも短くなっているが、これに限られず、スリーブ側フランジ12Fの厚さよりも長くなっていてもよい。
【0017】
また、位置決め部材50には、図4(A),(B)に示すように、挿通されたボルト70を露出させる切欠部55が形成されている。切欠部55は、軸方向において段差部53を跨ぐように配置され、周方向において180度に亘って延在している(図4(C)参照)。そして、図6に示すように、ガスケット60を、切欠部55のうち大外径部52に形成された部分に受容させて、切欠部55から露出するボルト70にガスケット60を2点で当接させるようになっている。本実施形態では、切欠部55のうち段差部53から基端側の端面までの距離、つまり、切欠部55のうち大外径部52に形成された部分の軸方向の幅は、ガスケット60の厚さと略同じ又は僅かに大きくなっている。
【0018】
また、小外径部51の外周面には、図4(A),(B)に示すように、段差部53と隣接する位置から先端寄り位置までの間に、軸方向に沿って延在する圧入突部54が突出形成されている。圧入突部54は、図4(C)に示すように、断面半円形をなし、周方向に等間隔に4つ設けられている。圧入突部54のうち軸方向の先端側は、小外径部53の外周面に徐々に接近するように傾斜する傾斜部54Sとなっている(図4(B)参照)。なお、4つの圧入突部54は、小外径部51の周方向における切欠部55が形成された部分と形成されていない部分との境界を結ぶ線に対し、対称な位置をとるように配置されている(図4(C)参照)。
【0019】
本実施形態の構成に関する説明は以上である。次に、配管接続部20の組み付け方法について図7及び図8を参照して説明する。本実施形態では、配管90の1対のフランジ90Fは、例えば、水平な載置面に対して、4つの貫通孔71が上下に1対ずつ水平方向に並ぶように載置される(図7参照)。
【0020】
まず、図7に示すように、各フランジ90Fの貫通孔71のうち下方で水平方向に配置される1対の貫通孔71に位置決め部材50を取り付ける。詳細には、位置決め部材50の段差部53がフランジ90Fに突き当たるまで、小外径部51を貫通孔71内に押し込む(図6参照)。このとき、小外径部51に設けた圧入突部54は、貫通孔71の内面に当接して潰される。取り付けたあと、位置決め部材50の切欠部55がフランジ90Fの中心を向くように位置調整しておく。
【0021】
次に、位置決め部材50が取り付けられた貫通孔71にボルト70を通して、1対のフランジ90F間を差し渡す。
【0022】
続いて、ガスケット60を位置決め部材50の切欠部55内に受容させる。このとき、ガスケット60を、その外縁を切欠部55から露出するボルト70に当接するように配置する。これにより、ガスケット60は、ボルト70に2点で当接すると共に、下方から支持される。
【0023】
そして、図8に示すように、ハウジング11を、接続した表示ケース40が上方に配置された状態で、1対のフランジ90Fの間に設置し、ハウジング11の1対のスリーブ側フランジ12Fを、各位置決め部材50の大外径部52に当接させる。これにより、1対のスリーブ側フランジ12Fは、位置決め部材50に2点で当接すると共に、下方から支持される。
【0024】
そして、フランジ90Fの貫通孔71のうち上方に配置される2つの貫通孔71にボルト70を通す。最後に、各ボルト70の両端部にナット72を螺入して締め付けて、ハウジング11を1対のフランジ90Fの間に固定して、組み付けが完了する(図1参照)。
【0025】
このように、本実施形態の配管接続部20では、流量計10のハウジング11が配管90の1対のフランジ90Fの間に挟まれて、1対のフランジ90F間に差し渡される4つのボルト70により締め付けられて固定される。本実施形態では、水平な載置面に載置されたフランジ90Fの貫通孔71のうち下方に横並びに配置される2つの貫通孔71に位置決め部材50を取り付けて、フランジ90Fから突出する位置決め部材50の大外径部52に、ハウジング11のスリーブ側フランジ12Fを2点で当接させる。これにより、スリーブ側フランジ12Fの外径と、1対のフランジ90F間に差し渡されたボルト70に内接する円との間の間隙が、位置決め部材50の大外径部52の厚さにより埋められ、フランジ90Fの中心軸J2とスリーブ側フランジ12Fの中心軸J1とを一致させて、配管90に対してハウジング11を位置決めすることができる。また、スリーブ側フランジ12Fは大外径部52により下方から支持されるので、安定して組み付けを行うことができる。
【0026】
なお、本実施形態の位置決め部材50によれば、フランジ90Fやスリーブ側フランジ12Fの外径が変更されたとしても、それらの外径に合わせて位置決め部材50の大外径部52の厚さを適宜変更することによってフランジ90Fの中心軸J2とスリーブ側フランジ12Fの中心軸J1とを容易に一致させることができる。
【0027】
さらに、本実施形態では、位置決め部材50に、ガスケット60を受容する切欠部55が設けられていて、1対のフランジ90F間にハウジング11を設置する前に、ガスケット60をフランジ90Fに予め仮固定しておくことができる。これにより、ガスケット60がフランジ90Fに対して位置ずれが生じているか否かを、フランジ90Fとハウジング11とを組み付ける前に確かめることができる。また、本実施形態では、切欠部55のうち段差部53から基端側の端面までの距離、つまり、切欠部55のうち大外径部52に形成された部分の軸方向の幅が、ガスケット60の厚さと略同じ又は僅かに大きくなっている。切欠部55のうち段差部53から基端部側の端面までの距離がガスケット60の厚さより大きくすれば、ガスケット60を切欠部55内に受容させやすくなり、ガスケット60の装着の手間を軽減することができる。また、切欠部55のうち段差部53から基端部側の端面までの距離がガスケット60の厚さと略同じにすれば、ガスケット60が、切欠部55のうち基端側の端面と、フランジ90Fとに挟持されて切欠部55内から脱落しにくくなり、配管90に対するハウジング11の組み付けを容易に行うことができる。
【0028】
さらに、ガスケット60は、切欠部55内から露出するボルト70に、2点で当接する。ここで、内ガスケットであるガスケット60の外径は、1対のフランジ90F間に差し渡された4つのボルト70に内接する円と略同径となっているので、ガスケット60をボルト70に当接させることで、ガスケット60の中心軸をフランジ90Fの中心軸J2に容易に一致させることができる。また、ガスケット60はボルト70により下方から支持されるので、安定して組み付けを行うことができる。
【0029】
ここで、切欠部55が備えられていない位置決め部材80を装着した場合について説明する。この位置決め部材80の場合、ボルト穴があいた全面ガスケットであればフランジ90Fとの位置ずれを起こすことはないが、本実施形態のガスケット60のように、その外縁が1対のフランジ90F間に差し渡されるボルト70の内側に配置される内ガスケットである場合には、図9に示すように、ガスケット60が位置決め部材50の大外径部52に当接することとなり、ガスケット60の中心軸J3がフランジ90Fの中心軸J2からずれてしまう。
【0030】
これに対して、本実施形態の位置決め部材50であれば、前述したように、位置決め部材50の切欠部55により、ガスケット60をボルト70に当接させることができるので、ガスケット60の中心軸をフランジ90Fの中心軸J2に容易に一致させることができる。つまり、配管90に対してハウジング11を位置決めするための位置決め部材50により、ガスケット60の位置決めも容易に行うことができる。
【0031】
また、本実施形態では、位置決め部材50の外周面に段差部53を設けてフランジ90Fの貫通孔71内に嵌合する小外径部51よりも拡径した大外径部52をフランジ90Fから突出させる構成となっているので、位置決め部材50をフランジ90Fに対して挿入方向に位置決めして、フランジ90Fとハウジング11の組み付け作業を容易に行うことができる。
【0032】
また、小外径部51の外面に、貫通孔71の内面に当接して潰される圧入突部54を備えているので、位置決め部材50を貫通孔71内から脱落しにくくすることができ、作業性を向上させることができる。しかも、圧入突部54は、小外径部51の先端寄り位置から基端部に設けられ、圧入突部54の先端部に傾斜部54Sが形成されているので、貫通孔71内への挿入性が向上し、嵌合作業が容易になる。
【0033】
[他の実施形態]
(1)前記実施形態では、切欠部55のうち段差部53から基端側の端面までの距離、つまり、切欠部55のうち大外径部52に形成された部分の軸方向の幅が、ガスケット60の厚さと略同じか僅かに大きくなっていたが、小さくなっていてもよい。この場合には、位置決め部材50の小外径部51をフランジ90Fの貫通孔71内に挿入させる際に、段差部53がフランジ90Fに当接する手前で、切欠部55内にガスケット60を受容させ、その後さらに、小外径部51を貫通孔71内に挿入させることで、ガスケット60を、切欠部55のうち基端側の端面と、フランジ90Fとの間に挟んで固定することができる。これにより、ガスケット60を切欠部55内から脱落しにくくして、配管90に対するハウジング11の組み付けを容易に行うことができる。
【0034】
(2)前記実施形態では、位置決め部材50の切欠部55が、軸方向において段差部53を跨ぐように配置されて小外径部51と大外径部52とに形成されていたが、大外径部52にのみ形成されていてもよい。
【0035】
(3)前記実施形態の位置決め部材50では、フランジ90Fの貫通孔71に嵌合される小外径部51を備えていたが、小外径部51を備えていなくてもよい。
【0036】
(4)前記実施形態では、位置決め部材50の切欠部55は、周方向における幅が180度に亘って延びていたが、切欠部55から露出するボルト70に当接可能な大きさであれば、これに限らない。
【0037】
(5)前記実施形態では、位置決め部材50の圧入突部54が、周方向に等間隔に4つ備えられていたが、4つ以上であってもよいし、4つ未満であってもよい。また、前記実施形態では、圧入突部54は軸方向に延びた形状であったが、これに限らず、例えば、突起状や環状であってもよい。また、圧入突部54が設けられていなくてもよい。
【0038】
(6)前記実施形態では、流量計10の上下流両側に位置決め部材50が装着されていたが、上下流どちらか一方側にのみに装着されていてもよい。
【0039】
(7)前記実施形態では、大外径部52の外周面が全体として平坦な円筒面を有する位置決め部材50を用いていたが、例えば、流量計10に取り付けられた外部部品や、ハウジング11の外面等に大外径部52が干渉して、大外径部52にスリーブ側フランジ12Fを2点で当接させることができない事態を回避するために、例えば、図10(A)に示すような基端側を縮径する段差面56を有する位置決め部材50Vや、図10(B)に示すような外周面の一部が平坦にカットされた平坦面57を有する位置決め部材50Wを用いてもよい。
【0040】
(8)上記実施形態の位置決め部材50は樹脂製であったが、金属製であってもよい。
【0041】
(9)前記実施形態では、貫通孔71が4つ設けられたフランジ90Fであったが、貫通孔71が8つ設けられたものであってもよい。この場合、フランジ90Fを水平面に載置したときに、一番下方に配置される1対の貫通孔71、又は、一番下から二番目に配置される1対の貫通孔71に位置決め部材50を取り付ければよい。
【0042】
(10)前記実施形態では、ボルト70の外周面の全面に螺子が切られていたが、ナット72が螺合される両端部のみに螺子が切られていてもよい。
【0043】
(11)前記実施形態では、流量計10が、流体としての水の流量を計測するものであったが、水以外の液体、又は、気体の流量を計測するものであってもよい。
【0044】
(12)上記実施形態では、ハウジング11が鋳造品であったが、樹脂の射出成型品であってもよい。
【0045】
(13)前記実施形態では、配管90は水平配管であって、水平な載置面に載置されたフランジ90Fとスリーブ側フランジ12Fの配管接続部20に位置決め部材50が用いられた構成であったが、水平配管ではなく、水平方向と交差する方向に延びる配管のフランジ90Fや、垂直配管のフランジ90Fに対して用いてもよい。このような場合、組み付け時にハウジング11のスリーブ側フランジ12Fやガスケット60を下方から支持することはできないが、位置決め部材50の大外径部52にスリーブ側フランジ12Fを2点で当接させると共に、切欠部55から露出するボルト70にガスケット60を2点で当接させることはできるので、フランジ90Fに対してスリーブ側フランジ12Fとガスケット60を位置決めすることが可能である。
【0046】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【0047】
<付記>
以下、上記実施形態から抽出される特徴群について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、以下では、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、これら特徴群は、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0048】
本開示は、配管の途中の1対のフランジと流体機器との配管接続部に使用されて、配管に対して流体機器を位置決めする位置決め部材及び配管接続部の構造に関し、例えば、特開平4-50726号公報(第2頁下段左欄第14行目~下段右欄第14行目、第1図及び第2図)には、配管の1対のフランジの間に差し渡される複数の締結部材に取り付けられる位置決め部材が開示されている。上述した従来の位置決め部材に対し、フランジと流体機器との間に装着されるガスケットの位置決めが困難であるという問題があり、その問題を解決することが可能な技術の開発が求められている。これに対し、本特徴群によれば、配管に対して流体機器を位置決めする位置決め部材により、フランジと流体機器との間に装着されるガスケットを位置決めすることができる。
【0049】
[特徴1]
流体機器(流量計10)が、配管(配管90)の途中の1対のフランジ(フランジ90F)の間に1対のガスケット(ガスケット60)を介して挟まれると共に、複数の締結部材(ボルト70)が、前記1対のフランジの複数の貫通孔(貫通孔71)に通されて前記1対のフランジの間に差し渡される配管接続部に使用される位置決め部材(位置決め部材50)であって、前記締結部材の外側に通される筒状をなし、各前記フランジの1対ずつの前記貫通孔に一端部を嵌合されて各前記フランジから突出し、前記流体機器の各端部に2点当りして前記配管に対して前記流体機器を位置決めする位置決め部材において、各前記ガスケットを前記締結部材に2点当りさせて前記配管に対して位置決めするために、前記ガスケット側に前記締結部材を露出させる切欠部(切欠部55)を備える位置決め部材である。
【0050】
[特徴2]
前記貫通孔に嵌合される前記一端部に対し、その反対側の他端部側が段付き状に拡径し、軸方向の途中に段差部(段差部53)を有する特徴1に記載の位置決め部材である。
【0051】
[特徴3]
前記軸方向における前記切欠部の途中位置に前記段差部が位置する特徴2に記載の位置決め部材である。
【0052】
[特徴4]
前記切欠部のうち前記段差部から前記他端部側の端面までの距離が、前記ガスケットの厚さより小さい特徴3に記載の位置決め部材である。
【0053】
[特徴5]
前記切欠部のうち前記段差部から前記他端部側の端面までの距離が、前記ガスケットの厚さ以上となっている特徴2又は3に記載の位置決め部材である。
【0054】
[特徴6]
前記一端部側の外面に、前記貫通孔の内面に当接して潰される圧入突部(圧入突部54)を備える特徴1から5の何れか1の特徴に記載の位置決め部材である。
【0055】
[特徴7]
配管の途中に設けられ、流体機器を挟んで対向する1対のフランジと、前記1対のフランジと前記流体機器との間に挟まれる1対のガスケットと、前記特徴1から6の何れか1の特徴に記載の位置決め部材と、を有する配管接続部の構造である。
【0056】
[特徴8]
前記位置決め部材の前記切欠部のうち前記フランジから離れた側の端面と前記フランジとに前記ガスケットが挟持される特徴7に記載の配管接続部の構造である。
【0057】
特徴1及び特徴7の位置決め部材によれば、筒状をなして締結部材の外側に通されて、一端部が各フランジの1対ずつの貫通孔に嵌合し、各フランジから突出する他端側が、流体機器の各端部に2点当りすることで、配管に対して流体機器を位置決めすることができる。また、位置決め部材には、切欠部が設けられていて、その切欠部から露出する締結部材にフランジと流体機器との間に配置されるガスケットを2点当りさせることにより、ガスケットを配管に対して位置決めすることができる。つまり、フランジと流体機器とを位置決めする位置決め部材によって、ガスケットの位置決めを行うことができる。また、ガスケットを切欠部に受容させることができるので、フランジと流体機器とを組み付ける前に、位置ずれが生じているか否かを確かめることもできる。
【0058】
特徴2の位置決め部材によれば、フランジの貫通孔に嵌合される一端部に対して、他端部側が段付き状に拡径する段差部が備えられているので、位置決め部材をフランジに対して軸方向に位置決めすることができる。このとき、切欠部は、段差部より他端部側のみに設けられていてもよいし、特徴3のように、切欠部の軸方向の途中位置に段差部が位置するように設けられていてもよい。後者の場合には、切欠部のうち段差部から他端部側の端面までの距離をガスケットの厚さより小さくすれば、位置決め部材の一端部を貫通孔内に挿入させる際に、段差部がフランジに当接する手前で、切欠部内にガスケットを受容させ、その後さらに、位置決め部材を貫通孔内に挿入させることで、ガスケットを、切欠部のうち他端側の端面と、フランジとの間に挟んで固定することができる。これにより、ガスケットを切欠部内から脱落しにくくし、配管に対する流体機器の組み付けを容易に行うことができる(特徴4,8の位置決め部材)。
【0059】
また、切欠部のうち段差部から他端部側の端面までの距離がガスケットの厚さ以上であれば(特徴5の位置決め部材)、位置決め部材の一端部を貫通孔内に挿入完了させた後で、ガスケットを受容させることができる。そして、切欠部のうち段差部から他端部側の端面までの距離がガスケットの厚さより大きい場合は、ガスケットを切欠部内に受容させやすくなり、ガスケットの装着の手間を軽減することができる。また、切欠部のうち段差部から他端部側の端面までの距離がガスケットの厚さと略同じ場合には、ガスケットが、切欠部のうち他端側の端面と、フランジとに挟持されて、切欠部内から脱落しにくくなり、配管に対する流体機器の組み付けを容易に行うことができる。
【0060】
また、特徴6の位置決め部材によれば、一端部側の外面に、貫通孔の内面に当接して潰される圧入突部を備えるので、位置決め部材を貫通孔内から脱落しにくくすることができ、作業性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0061】
10 流量計
20 配管接続部
50,50V,50W 位置決め部材
53 段差部
54 圧入突部
55 切欠部
60 ガスケット
70 ボルト
71 貫通孔
90 配管
90F フランジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10