IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社トキワの特許一覧

特開2023-178046棒状描画材の製造方法、及び棒状描画材
<>
  • 特開-棒状描画材の製造方法、及び棒状描画材 図1
  • 特開-棒状描画材の製造方法、及び棒状描画材 図2
  • 特開-棒状描画材の製造方法、及び棒状描画材 図3
  • 特開-棒状描画材の製造方法、及び棒状描画材 図4
  • 特開-棒状描画材の製造方法、及び棒状描画材 図5
  • 特開-棒状描画材の製造方法、及び棒状描画材 図6
  • 特開-棒状描画材の製造方法、及び棒状描画材 図7
  • 特開-棒状描画材の製造方法、及び棒状描画材 図8
  • 特開-棒状描画材の製造方法、及び棒状描画材 図9
  • 特開-棒状描画材の製造方法、及び棒状描画材 図10
  • 特開-棒状描画材の製造方法、及び棒状描画材 図11
  • 特開-棒状描画材の製造方法、及び棒状描画材 図12
  • 特開-棒状描画材の製造方法、及び棒状描画材 図13
  • 特開-棒状描画材の製造方法、及び棒状描画材 図14
  • 特開-棒状描画材の製造方法、及び棒状描画材 図15
  • 特開-棒状描画材の製造方法、及び棒状描画材 図16
  • 特開-棒状描画材の製造方法、及び棒状描画材 図17
  • 特開-棒状描画材の製造方法、及び棒状描画材 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178046
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】棒状描画材の製造方法、及び棒状描画材
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/20 20060101AFI20231207BHJP
   B43K 19/00 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
A45D40/20 A
B43K19/00 D
B43K19/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091089
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】591147339
【氏名又は名称】株式会社トキワ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 潤
(57)【要約】
【課題】描画材が複雑な形状を呈する場合でも、描画材の外周面の形状に沿って筒状体を容易に配置することができ、且つ効率よく製造する。
【解決手段】棒状描画材の製造方法は、ピン92と、可撓性を有する筒状体3と、未固化の描画材と、描画材の射出成形を行う射出成形孔(成形孔)を有する描画材形成治具6とを準備する工程と、筒状体3及びピン92を含む挿入体を作製する工程と、挿入体を射出成形孔に挿入することで、挿入体を挿入する方向である挿入方向に直交する平面で切断したときの筒状体3の断面形状を、射出成形孔の断面形状に追従させる工程と、筒状体3を射出成形孔に配置した状態でピン92を射出成形孔から取り外す工程と、筒状体3内に未固化の描画材を充填する工程と、筒状体3内に充填された描画材を固化させる工程とを備える。
【選択図】図12

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピンと、可撓性を有する筒状体と、未固化の描画材と、前記描画材の成形を行う成形孔を有する描画材形成治具とを準備する工程と、
前記筒状体に前記ピンを挿入することで、前記筒状体及び前記ピンを含む挿入体を作製する工程と、
前記挿入体を前記成形孔に挿入することで、前記挿入体を挿入する方向である挿入方向に直交する平面で切断したときの前記筒状体の断面形状を、前記成形孔の断面形状に追従させる工程と、
前記筒状体を前記成形孔に配置した状態で前記ピンを前記成形孔から取り外す工程と、
前記筒状体内に未固化の前記描画材を充填する工程と、
前記筒状体内に充填された前記描画材を固化させる工程とを備える、
棒状描画材の製造方法。
【請求項2】
前記準備する工程では、前記挿入体が挿入される形状追従孔を有する形状追従治具を準備し、
前記追従させる工程において前記挿入体を前記成形孔に挿入する前に、前記挿入体を前記形状追従治具の前記形状追従孔に挿入することで、前記筒状体の前記断面形状を前記成形孔の前記断面形状に追従させる工程をさらに備える、
請求項1記載の棒状描画材の製造方法。
【請求項3】
前記挿入方向に直交する平面で切断したときの前記ピンの断面形状は、前記成形孔の前記断面形状と相似である、
請求項1又は2記載の棒状描画材の製造方法。
【請求項4】
前記成形孔は、前記描画材形成治具を前記挿入方向の一端から他端まで貫通しており、
前記充填する工程の前に、前記描画材形成治具の前記他端に先端部形成治具を配置する工程をさらに備え、
前記先端部形成治具は、前記成形孔に配置された前記筒状体よりもさらに前記挿入方向に延びる先端部形成穴を有する、
請求項1又は2記載の棒状描画材の製造方法。
【請求項5】
一方向に延びる描画材と、
前記描画材の外周面を覆う筒状体と、を備え、
前記一方向に直交する平面で切断したときの前記描画材の断面形状は、前記描画材の内側に向かって凹む凹部を含む、
棒状描画材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、棒状描画材の製造方法、及び棒状描画材に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2004-141229号公報には、巻紙を巻いて形成される筒状軸と、当該筒状軸の筒内に位置する棒状の芯材とにより構成された巻紙鉛筆型化粧品が記載されている。巻紙は、所定の基準線に対して傾斜した複数の切離線を有し、当該切離線により多数の条片が形成されている。当該条片を剥ぎ取ることにより芯材を巻紙から露出せしめることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-141229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、描画材のデザイン性を向上させる観点から、描画材の形状を多様化することが望まれている。しかし、前述の巻紙鉛筆型化粧品のように、棒状描画材では、芯材の外周面に巻紙を巻き付けることにより筒状軸を形成することがある。この場合、芯材が複雑な形状を呈するときに、芯材の外周面の形状に沿って巻紙等の筒状体を配置することが容易でない可能性がある。したがって、芯材が複雑な形状を呈する場合でも、描画材の外周面の形状に沿って筒状体を容易に配置すると共に、棒状描画材を効率よく製造することが求められる。
【0005】
本開示は、描画材が複雑な形状を呈する場合でも、描画材の外周面の形状に沿って筒状体を容易に配置することができ、且つ効率よく製造できる棒状描画材の製造方法、及び棒状描画材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る棒状描画材の製造方法は、ピンと、可撓性を有する筒状体と、未固化の描画材と、描画材の成形を行う成形孔を有する描画材形成治具とを準備する工程を備える。この製造方法は、筒状体にピンを挿入することで、筒状体及びピンを含む挿入体を作製する工程を備える。この製造方法は、挿入体を成形孔に挿入することで、挿入体を挿入する方向である挿入方向に直交する平面で切断したときの筒状体の断面形状を、成形孔の断面形状に追従させる工程を備える。この製造方法は、筒状体を成形孔に配置した状態でピンを成形孔から取り外す工程と、筒状体内に未固化の描画材を充填する工程と、筒状体内に充填された描画材を固化させる工程とを備える。
【0007】
本開示に係る棒状描画材の製造方法では、筒状体及びピンを含む挿入体を成形孔に挿入することで、筒状体の断面形状を成形孔の断面形状に追従させる。そして、筒状体内に未固化の描画材を充填した上で、筒状体内に充填された描画材を固化させることで、棒状描画材を製造する。このため、成形孔の断面形状を所望の形状とした描画材形成治具を用意して、筒状体の断面形状を当該成形孔の断面形状に追従させ、追従させた断面形状を有する筒状体の内側に描画材を充填することにより、所望の断面形状の棒状描画材を製造できる。したがって、成形孔の断面形状を所望の複雑な形状とした場合でも、筒状体及び描画材の断面形状を成形孔の断面形状に追従させることが可能となる。これにより、成形孔内に配置された筒状体の内側に、筒状体の断面形状に追従させた断面形状を有する描画材が設けられる。よって、描画材が複雑な形状を呈する場合でも、描画材の外周面の形状に沿って筒状体を容易に配置することができる。また、この製造方法では、筒状体を成形孔に配置し、筒状体の内側に描画材を充填して、描画材の成形を行う。すなわち、未固化の描画材が筒状体の内側に充填されることにより、予め描画材の外側に筒状体が配置された状態とすることができる。このため、例えば、固化した後の描画材の外周面に巻紙等を巻き付ける場合と比較して、筒状体内に未固化の描画材を充填した後に当該描画材が固化されるので、固化した描画材に筒状体を巻く手間が省けることとなり、棒状描画材の製造効率が向上する。したがって、描画材が複雑な形状を呈する場合でも、棒状描画材を効率よく製造できる。
【0008】
準備する工程では、挿入体が挿入される形状追従孔を有する形状追従治具を準備してもよい。この製造方法は、追従させる工程において挿入体を成形孔に挿入する前に、挿入体を形状追従治具の形状追従孔に挿入することで、筒状体の断面形状を成形孔の断面形状に追従させる工程をさらに備えてもよい。この場合、挿入体を成形孔に挿入する前に、筒状体の断面形状を成形孔の断面形状に追従させる。成形孔に挿入体を挿入する前に、筒状体の断面形状を形状追従治具で成形孔の断面形状に追従させておくことにより、挿入体をよりスムーズに成形孔に挿入することができる。したがって、一層効率よく棒状描画材を製造することができる。
【0009】
挿入方向に直交する平面で切断したときのピンの断面形状は、成形孔の断面形状と相似であってもよい。この場合、挿入体を作製するに際し、筒状体の断面形状を成形孔の断面形状と相似するピンの断面形状に追従させることで、筒状体の断面形状を成形孔の断面形状と相似となるように変えることができる。筒状体の内側に位置するピンの断面形状が筒状体の外側に位置する成形孔の断面形状と相似であることにより、成形孔に挿入体を挿入するときに、断面形状が互いに相似である成形孔の内面とピンの外面との間に筒状体が挟まれるので、筒状体の断面形状の追従をよりスムーズに行うことができる。したがって、成形孔内において筒状体の断面形状を成形孔の断面形状に一層容易に追従させることができる。
【0010】
成形孔は、描画材形成治具を挿入方向の一端から他端まで貫通していてもよい。棒状描画材の製造方法は、充填する工程の前に、描画材形成治具の他端に先端部形成治具を配置する工程をさらに備えてもよい。先端部形成治具は、成形孔に配置された筒状体よりもさらに挿入方向に延びる先端部形成穴を有してもよい。この場合、成形孔に配置された筒状体内に未固化の描画材を充填したとき、描画材形成治具の他端に配置された先端部形成治具の先端部形成穴にも未固化の描画材が充填される。この状態で描画材を固化させることで、筒状体よりもさらに挿入方向に延びる描画材の先端部を形成することができる。よって、固化した棒状描画材の先端部が筒状体から突出した状態となるので、筒状体を捲らなくても直ぐに棒状描画材を使用できる。
【0011】
本開示に係る棒状描画材は、一方向に延びる描画材と、描画材の外周面を覆い、可撓性を有する筒状体とを備える。一方向に直交する平面で切断したときの描画材の断面形状は、描画材の内側に向かって凹む凹部を含む。
【0012】
本開示に係る棒状描画材では、一方向に直交する平面で切断したときの描画材の断面形状は、描画材の内側に向かって凹む凹部を含む。一方向に直交する平面で切断したときの断面形状が内側に凹む凹部を有する筒状体の内側に、当該断面形状と相似の断面形状を有する描画材が設けられる。したがって、描画材が複雑な形状を有する場合でも、筒状体を描画材の外周面を覆うように配置することができるので、棒状描画材を効率よく製造できる。
【0013】
すなわち、本開示の要旨は以下の[1]~[5]に存する。
[1]ピンと、可撓性を有する筒状体と、未固化の描画材と、描画材の成形を行う成形孔を有する描画材形成治具とを準備する工程と、筒状体にピンを挿入することで、筒状体及びピンを含む挿入体を作製する工程と、挿入体を成形孔に挿入することで、挿入体を挿入する方向である挿入方向に直交する平面で切断したときの筒状体の断面形状を、成形孔の断面形状に追従させる工程と、筒状体を成形孔に配置した状態でピンを成形孔から取り外す工程と、筒状体内に未固化の描画材を充填する工程と、筒状体内に充填された描画材を固化させる工程とを備える、棒状描画材の製造方法。
[2]準備する工程では、挿入体が挿入される形状追従孔を有する形状追従治具を準備し、追従させる工程において挿入体を成形孔に挿入する前に、挿入体を形状追従治具の形状追従孔に挿入することで、筒状体の断面形状を成形孔の断面形状に追従させる工程をさらに備える、[1]記載の棒状描画材の製造方法。
[3]挿入方向に直交する平面で切断したときのピンの断面形状は、成形孔の断面形状と相似である、[1]又は[2]記載の棒状描画材の製造方法。
[4]成形孔は、描画材形成治具を挿入方向の一端から他端まで貫通しており、充填する工程の前に、描画材形成治具の他端に先端部形成治具を配置する工程をさらに備え、先端部形成治具は、成形孔に配置された筒状体よりもさらに挿入方向に延びる先端部形成穴を有する、[1]~[3]のいずれかに記載の棒状描画材の製造方法。
[5]一方向に延びる描画材と、描画材の外周面を覆い、可撓性を有する筒状体と、を備え、一方向に直交する平面で切断したときの描画材の断面形状は、描画材の内側に向かって凹む凹部を含む、棒状描画材。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、描画材が複雑な形状を呈する場合でも、描画材の外周面の形状に沿って筒状体を容易に配置することができ、且つ効率よく製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本実施形態に係る棒状描画材を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示された棒状描画材を示す断面図である。
図3図3は、本実施形態に係る棒状描画材の製造方法に用いられる治具アセンブリを示す斜視図である。
図4図4は、図3に示された治具アセンブリの描画材形成治具を示す分解斜視図である。
図5図5(a)は、図3に示された治具アセンブリの第1追従治具を示す斜視図である。図5(b)は、図3に示された治具アセンブリの第2追従治具を示す斜視図である。
図6図6(a)は、図5(a)に示された第1追従治具を第1方向及び第2方向に延びる平面によって切断したときの断面図である。図6(b)は、図5(a)に示された第1追従治具を第1方向及び第2方向に延びる図6(a)とは別の平面によって切断したときの断面図である。
図7図7(a)は、図5(b)に示された第2追従治具を第1方向及び第2方向に延びる平面によって切断したときの断面図である。図7(b)は、図5(b)に示された第2追従治具を第1方向及び第2方向に延びる図7(a)とは別の平面によって切断したときの断面図である。
図8図8は、図3に示された治具アセンブリの固定治具を示す斜視図である。
図9図9は、図3に示された治具アセンブリの先端部形成治具を示す斜視図である。
図10図10は、本実施形態に係る棒状描画材の製造方法に用いられるピンユニットを示す斜視図である。
図11図11は、本実施形態に係る棒状描画材の製造方法を示すフローチャートである。
図12図12は、本実施形態に係る棒状描画材の製造方法の一工程を示す斜視図である。
図13図13(a)は、図12に示された工程の後の工程を示す図である。図13(b)は、図13(a)に示された工程の後の工程を示す図である。
図14図14(a)は、図13(b)に示された工程の後の工程を示す図である。図14(b)は、図14(a)に示された工程の後の工程を示す図である。
図15図15(a)は、図14(b)に示された工程の後の工程を示す図である。図15(b)は、図15(a)に示された工程の後の工程を示す図である。
図16図16は、図15(b)に示された工程の後の工程を示す図である。
図17図17は、変形例に係る治具アセンブリを示す斜視図である。
図18図18は、変形例に係る形状追従治具を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る棒状描画材の製造方法及び棒状描画材の実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0017】
本開示において、「描画材」は、描画対象である被描画部に線等を描画したり着色したりするものを示している。「描画材」は、例えば、化粧料に用いられる塗布材であってもよく、クレヨン等の筆記用具に用いられる芯材であってもよい。「化粧料」は、例えば、口紅、コンシーラ、又はチークである。「塗布材」は、柔軟性材料(例えば、固形状、半固形状、軟固形状又はこれらを含む練り物等)を含む棒状物であってもよい。本実施形態では、描画材が化粧料に用いられる塗布材である例について説明する。
【0018】
まず、図1及び図2を用いて、本実施形態に係る棒状描画材1について説明する。図1は、本実施形態に係る棒状描画材1を示す斜視図である。棒状描画材1は、例えば、使用者の指で摘ままれて使用される。図1に示されるように、棒状描画材1は、一方向Aに延びる棒状とされている。棒状描画材1は、一方向Aに延びる描画材2と、描画材2の外周面を覆う筒状体3とを備える。
【0019】
図2は、図1に示された棒状描画材1を示す断面図である。図2は、一方向Aと直交する平面で棒状描画材1を切断したときの断面を示している。以下の説明では、一方向Aと直交する平面で棒状描画材1(又は描画材2若しくは筒状体3)を切断したときの断面形状を、単に、棒状描画材1(又は描画材2若しくは筒状体3)の断面形状と称することがある。図1及び図2に示されるように、描画材2の断面形状は、ハート形を呈する。描画材2の断面形状は、描画材2の内側に向かって凹む凹部2aを含む。描画材2は、一方向Aの端部において筒状体3から露出する先端部21を有する。
【0020】
筒状体3は、棒状描画材1の使用者により摘ままれる部分である。筒状体3は、可撓性を有する材料によって構成されている。「可撓性」とは、外力によって撓めることが可能である性状を示している。筒状体3はシート状を呈する。例えば、筒状体3は紙によって構成されている。しかしながら、筒状体3は樹脂フィルムによって構成されていてもよく、筒状体3の材料は特に限定されない。筒状体3は、描画材2の外周面に沿って配置されている。筒状体3の断面形状は、描画材2の断面形状と相似である。筒状体3は、一方向Aに互いに離隔した位置に形成された複数のミシン目3aを有する。複数のミシン目3aは、例えば、互いに平行に形成されている。筒状体3は、一方向Aに互いに離隔した一対のミシン目3aの間の部分である複数の条片4を有する。
【0021】
棒状描画材1の使用者は、筒状体3の外周面を指で摘まむと共に、筒状体3から露出した描画材2の先端部21を被描画部(例えば、使用者の顔面)に当てて塗布(例えば、化粧)を行う。塗布を継続して描画材2の先端部21が短くなったときに、使用者は、ミシン目3aに沿って筒状体3を破ることで、条片4を取り去る。使用者は、条片4を取り去って筒状体3から新たに描画材2を露出させることで、先端部21を長くすることができる。
【0022】
続いて、図3図10を用いて、本実施形態に係る棒状描画材1の製造方法に用いられる治具について説明する。図3は、本実施形態に係る棒状描画材1の製造方法に用いられる治具アセンブリ5を示す斜視図である。治具アセンブリ5は、複数の治具により構成されている。図3に示されるように、治具アセンブリ5は、全体として直方体形状を呈する。
【0023】
本実施形態に係る治具アセンブリ5は、一例として、直線的な製造ラインにおいて棒状描画材1を製造するときに用いられる。例えば、一方向に載置物を搬送可能なベルトコンベア等の搬送機器に複数の治具アセンブリ5が載置された状態で、この搬送装置を駆動させることで治具アセンブリ5を当該一方向に移動させる。この治具アセンブリ5の移動に伴って後述の棒状描画材1の製造方法を実行することにより、棒状描画材1が製造される。
【0024】
以下では、平面視における治具アセンブリ5の長手方向を第1方向D1と称し、平面視における治具アセンブリ5の短手方向を第2方向D2と称する。また、第1方向D1及び第2方向D2に直交する方向を第3方向D3と称する。第3方向D3は、治具アセンブリ5の高さ方向と一致する。以下の説明では、「第1方向D1及び第2方向D2に延びる平面で切断したときの断面(断面形状)」を単に「断面(断面形状)」と称することがある。
【0025】
治具アセンブリ5は、描画材形成治具6と、形状追従治具7と、先端部形成治具8と、を有する。形状追従治具7、描画材形成治具6及び先端部形成治具8は、この順に第3方向D3に配列されることで、治具アセンブリ5を形成する。
【0026】
図4は、図3に示された描画材形成治具6を示す分解斜視図である。図4に示されるように、描画材形成治具6は、第1形成治具61と、第2形成治具62とにより構成されている。第1形成治具61及び第2形成治具62のそれぞれは、直方体形状を呈する。第1形成治具61及び第2形成治具62は、第3方向D3(図4では上下方向)に配列されることで描画材形成治具6を形成する。
【0027】
第1形成治具61は、第1方向D1に配列された複数の第1孔63を有する。一例として、第1孔63の数は5である。第1孔63は、第1形成治具61を第3方向D3の一端61aから他端61bまで貫通している。本実施形態では、第1孔63の断面形状は、ハート形である。
【0028】
第1形成治具61は、形状追従治具7の固定治具73の突出部77(図8参照)が嵌合する嵌合部64aと、後述する固定治具74の突出部が嵌合する嵌合部64bとを有する。一方の嵌合部64aは、第1形成治具61の第1方向D1の一端側に設けられている。他方の嵌合部64bは、第1形成治具61の第1方向D1の他端側に設けられている。嵌合部64a,64bは、第1形成治具61の一端61aから第3方向D3に陥没している。本実施形態では、嵌合部64a,64bの断面形状は、円形状である。
【0029】
第1形成治具61は、突出部65a,65bを有する。突出部65a,65bのそれぞれは、一例として、円柱形状を呈する。突出部65aは、第1形成治具61の第1方向D1の一端側に設けられている。突出部65bは、第1形成治具61の第1方向D1の他端側に設けられている。突出部65a,65bは、第1形成治具61の他端61bから第3方向D3に突出している。
【0030】
第2形成治具62は、第1方向D1に配列された複数の第2孔66を有する。一例として、第2孔66の数は5である。複数の第2孔66のそれぞれが設けられる位置は、複数の第1孔63のそれぞれが設けられる位置に対応している。本実施形態では、第2形成治具62に第1形成治具61が載せられるときに、各第2孔66の直上に各第1孔63が位置する。第2孔66は、第2形成治具62を第3方向D3の一端62aから他端62bまで貫通している。第2孔66の断面形状は、第1孔63の断面形状と同一である。本実施形態では、第2孔66の断面形状は、ハート形である。
【0031】
第2形成治具62は、第1形成治具61の突出部65aが嵌合する嵌合部67aと、第1形成治具61の突出部65bが嵌合する嵌合部67bとを有する。嵌合部67aは、第2形成治具62の第1方向D1の一端側に設けられている。嵌合部67bは、第2形成治具62の第1方向D1の他端側に設けられている。嵌合部67a,67bは、第2形成治具62の一端62aから第3方向D3に陥没している。嵌合部67a,67bの断面形状は、突出部65a,65bの断面形状と対応する。
【0032】
本実施形態では、第2形成治具62に第1形成治具61が載せられるときに、嵌合部67a,67bのそれぞれは、突出部65a,65bのそれぞれが嵌合可能な形状とされている。本実施形態では、嵌合部67a,67bの断面形状は、円形状である。一例として,嵌合部67a,67bと第2形成治具62の一端62a(上面)との間に傾斜面(テーパ面)が形成されていてもよい。この場合、嵌合部67a,67bへの突出部65a,65bの嵌合をよりスムーズに行うことが可能となる。
【0033】
第2形成治具62は、先端部形成治具8の突出部82a(図9参照)が嵌合する嵌合部68aと、先端部形成治具8の突出部82b(図9参照)が嵌合する嵌合部68bとを有する。嵌合部68aは、第2形成治具62の第1方向D1の一端側に設けられている。嵌合部68bは、第2形成治具62の第1方向D1の他端側に設けられている。嵌合部68a,68bは、第2形成治具62の他端62bから第3方向D3に陥没している。本実施形態では、嵌合部68a,68bの断面形状は、円形状である。
【0034】
第1形成治具61の突出部65aが第2形成治具62の嵌合部67aに嵌合すると共に、第1形成治具61の突出部65bが第2形成治具62の嵌合部67bに嵌合することで、描画材形成治具6が形成される。このとき、第1孔63及び第2孔66が互いに連通することにより、描画材2の射出成形を行う射出成形孔(成形孔)51が形成される。射出成形孔51は、描画材形成治具6の第3方向D3の一端(第1形成治具61の一端61a)から他端(第2形成治具62の他端62b)まで貫通している。
【0035】
図3に示されるように、形状追従治具7は、描画材形成治具6の第3方向D3の一端(例えば上面)に配置されている。形状追従治具7は、第1追従治具71と、第2追従治具72と、固定治具73,74とにより構成されている。第1追従治具71は、描画材形成治具6の一端における第2方向D2の一方側(図3では右上側)に配置されている。第2追従治具72は、描画材形成治具6の一端における第2方向D2の他方側(図3では左下側)に配置されている。固定治具73は、描画材形成治具6の一端における第1方向D1の一方側(図3では右下側)に配置されている。固定治具74は、描画材形成治具6の一端における第1方向D1の他方側(図3では左上側)に配置されている。
【0036】
図5(a)は、図3に示された第1追従治具71を示す斜視図である。第1追従治具71は、第1方向D1に配列された複数の第1追従溝部70aを有する。一例として、第1追従溝部70aの数は5である。第1追従溝部70aは、第1追従治具71の第3方向D3の一端71aから他端71bまで至っている。第1方向D1に互いに隣接する2つの第1追従溝部70aの間、及び、複数の第1追従溝部70aの第1方向D1の両端側のそれぞれには、第2追従治具72と当接する第1当接面79が形成されている。複数の第1当接面79のそれぞれは、第1方向D1及び第3方向D3に平行な平面状を呈する。
【0037】
第1追従治具71は、第1方向D1の一端71cに設けられた摺動凸部75と、第1方向D1の他端71dに設けられた摺動凸部76とを有する。摺動凸部75は、第1追従治具71の一端71cから第1方向D1に突出している。摺動凸部76は、第1追従治具71の他端71dから第1方向D1に突出している。摺動凸部75,76は、第2方向D2に延びている。本実施形態では、第2方向D2に直交する平面で切断したときにおける摺動凸部75,76の断面形状は、半円形状を呈する。
【0038】
図6(a)は、第1追従治具71を第1方向D1及び第2方向D2に延びる平面によって切断したときの断面図である。一例として、当該平面は、第1追従治具71の摺動凸部75,76よりも一端71a側(図5(a)では上側)に位置する。図6(b)は、図5(a)に示された第1追従治具71を第1方向D1及び第2方向D2に延びる図6(a)とは別の平面によって切断したときの断面図である。一例として、当該別の平面は、第1追従治具71の摺動凸部75,76よりも他端71b側(図5(a)では下側)に位置する。
【0039】
図6(a)に示されるように、第1追従治具71の摺動凸部75,76よりも第3方向D3の一端71a側において、第1追従溝部70aの断面形状は、半円形状を呈する。また、図6(b)に示されるように、第1追従治具71の摺動凸部75,76よりも第3方向D3の他端71b側において、第1追従溝部70aの断面形状は、ハート形の一部の形状(図2に示されたハート形の下半分の形状)を呈する。第1追従溝部70aの断面形状は、第1追従治具71の一端71aから他端71bに向かうにつれて、半円形状からハート形の一部の形状へと次第に変化する。
【0040】
図5(b)は、図3に示された第2追従治具72を示す斜視図である。第2追従治具72は、第1方向D1に配列された複数の第2追従溝部70bを有する。一例として、第2追従溝部70bの数は5である。第2追従溝部70bは、第2追従治具72の第3方向D3の一端72aから他端72bまで至っている。第1方向D1に互いに隣接する2つの第2追従溝部70bの間、及び、複数の第2追従溝部70bの第1方向D1の両端側のそれぞれには、第1追従治具71と当接する複数の第2当接面89が形成されている。複数の第2当接面89のそれぞれは、第1方向D1及び第3方向D3に平行な平面状を呈する。
【0041】
第2追従治具72は、第1方向D1の一端72cに設けられた摺動凸部85と、第1方向D1の他端72dに設けられた摺動凸部86とを有する。摺動凸部85は、第2追従治具72の一端72cから第1方向D1に突出している。摺動凸部86は、第2追従治具72の他端72dから第1方向D1に突出している。摺動凸部85,86は、第2方向D2に延びている。本実施形態では、第2方向D2に直交する平面によって切断したときにおける摺動凸部85,86の断面形状は、半円形状を呈する。
【0042】
図7(a)は、第2追従治具72を第1方向D1及び第2方向D2に延びる平面によって切断したときの断面図である。一例として、当該平面は、第2追従治具72の摺動凸部85,86よりも一端72a側(図5(b)では上側)に位置する。図7(b)は、第2追従治具72を第1方向D1及び第2方向D2に延びる図7(a)とは別の平面によって切断したときの断面図である。一例として、当該別の平面は、第2追従治具72の摺動凸部85,86よりも他端72b側(図5(b)では下側)に位置する。
【0043】
図7(a)に示されるように、第2追従治具72の摺動凸部85,86よりも第3方向D3の一端72a側において、第2追従溝部70bの断面形状は、半円形状を呈する。また、図7(b)に示されるように、第2追従治具72の摺動凸部85,86よりも第3方向D3の他端72b側において、第2追従溝部70bの断面形状は、前述したハート形の一部以外の形状(図2に示されたハート形の上半分の形状)を呈する。第2追従溝部70bの断面形状は、第2追従治具72の一端72aから他端72bに向かうにつれて、半円形状から当該ハート形の一部以外の形状へと次第に変化する。
【0044】
図8は、図3に示された固定治具73を示す斜視図である。固定治具73は、第1追従治具71及び第2追従治具72を描画材形成治具6の上に固定する。図8に示されるように、固定治具73は、全体として直方体形状を呈する。
【0045】
固定治具73は、突出部77を有する。突出部77は、例えば、円柱形状を呈する。突出部77は、固定治具73の第3方向D3の他端(図8では下側の端部)において第3方向D3に突出している。突出部77は、第1形成治具61の嵌合部64a(図4参照)の形状に対応する形状を呈する。すなわち、突出部77は、嵌合部64aに嵌合可能な形状を呈する。本実施形態では、突出部77の断面形状は、円形状である。
【0046】
固定治具73は、第1方向D1の一端(図8では左下側の端部)に設けられた摺動凹部78を有する。摺動凹部78は、第2方向D2に延びている。摺動凹部78は、摺動凸部75及び摺動凸部86の形状に対応する形状を呈する。すなわち、摺動凹部78は、摺動凸部75及び摺動凸部86が嵌合可能な形状を呈する。本実施形態では、第2方向D2に直交する平面によって切断したときの摺動凹部78の断面形状は、半円形状を呈する。
【0047】
例えば、図3に示される固定治具74の構成及び機能は、固定治具73の構成及び機能と同一である。したがって、以下では、固定治具74の説明において、前述した固定治具73の構成及び機能と重複する説明を適宜省略する。
【0048】
固定治具74は、前述した突出部77と同様の突出部を有する。当該突出部は、固定治具74の第3方向D3の他端において第3方向D3に突出している。固定治具74の突出部は、第1形成治具61の嵌合部64bの形状に対応する形状を呈する。固定治具74は、第1方向D1の一端に設けられた摺動凹部80(図3参照)を有する。摺動凹部80は、摺動凸部76及び摺動凸部85の形状に対応する形状を呈する。
【0049】
形状追従治具7を第1形成治具61の一端61a(描画材形成治具6の一端(図4参照))に配置するに際しては、まず、固定治具73,74を第1形成治具61の一端61aに配置する。より具体的には、固定治具73の突出部77を第1形成治具61の嵌合部64aに嵌合すると共に、固定治具74の突出部を第1形成治具61の嵌合部64bに嵌合する。このとき、固定治具73の摺動凹部78が形成された面、及び固定治具74の摺動凹部80が形成された面を互いに対向させる。
【0050】
続いて、第1追従治具71を第1形成治具61の一端61a(上面)に配置する。このとき、図5(a)及び図8に示されるように、第1追従治具71の摺動凸部75を固定治具73の摺動凹部78に嵌め込む。また、第1追従治具71の摺動凸部76を固定治具74の摺動凹部80に嵌め込む。そして、第1追従治具71を固定治具73,74に対して第2方向D2に沿って摺動させる。
【0051】
続いて、第2追従治具72を第1形成治具61の一端61aに配置する。このとき、第2追従治具72の摺動凸部86を固定治具73の摺動凹部78に嵌め込む。また、第2追従治具72の摺動凸部85を固定治具74の摺動凹部80に嵌め込む。そして、第2追従治具72を固定治具73,74に対して第2方向D2に沿って摺動させる。これにより、第2追従治具72の第2当接面89が第1追従治具71の第1当接面79に当接した状態となる。
【0052】
このとき、第1追従溝部70a及び第2追従溝部70bにより、挿入体93(図13(b)参照)が挿入される形状追従孔70が画成される。形状追従孔70の断面形状は、形状追従治具7の第3方向D3の一端(一端71a及び一端72a)から他端(他端71b及び他端72b)に向かうにつれて、円形状からハート形へと次第に変化する。
【0053】
形状追従治具7の他端(下端)における形状追従孔70の断面形状は、例えば、描画材形成治具6の一端における射出成形孔51の断面形状と同一である。これにより、形状追従治具7を描画材形成治具6の一端に配置した状態において、形状追従孔70及び射出成形孔51は、互いに連通する。
【0054】
図9は、図3に示された先端部形成治具8を示す斜視図である。図9に示されるように、先端部形成治具8は、矩形板状を呈する。先端部形成治具8は、前述した棒状描画材1の先端部21を形成する。
【0055】
先端部形成治具8は、第1方向D1に配列された複数の先端部形成穴81を有する。一例として、先端部形成穴81の数は5である。先端部形成穴81は、先端部形成治具8の第3方向D3の一端(図8では上側の端部)に設けられている。先端部形成穴81は、当該一端から第3方向D3に陥没している。本実施形態では、当該一端における先端部形成穴81の断面形状がハート形を呈する。
【0056】
先端部形成治具8は、第2形成治具62の嵌合部68a(図4参照)に嵌合する突出部82aと、第2形成治具62の嵌合部68bに嵌合する突出部82bとを有する。突出部82aは、先端部形成治具8の第1方向D1の一端側に設けられている。突出部82bは、先端部形成治具8の第1方向D1の他端側に設けられている。突出部82a,82bは、先端部形成治具8の一端から第3方向D3に突出している。本実施形態では、突出部82a,82bの断面形状は、円形状である。
【0057】
先端部形成治具8は、描画材形成治具6の他端(第2形成治具62の他端62b、下端)に配置される。より具体的には、先端部形成治具8の突出部82aが第2形成治具62の嵌合部68aに嵌合すると共に、先端部形成治具8の突出部82bが第2形成治具62の嵌合部68bに嵌合することで、先端部形成治具8が描画材形成治具6の他端に配置される。
【0058】
先端部形成治具8の第3方向D3の一端における先端部形成穴81の断面形状は、例えば、射出成形孔51の断面形状と同一である。先端部形成穴81を描画材形成治具6の他端に配置した状態において、先端部形成穴81及び射出成形孔51は、互いに連通する。
【0059】
図10は、本実施形態に係る棒状描画材1の製造方法に用いられるピンユニット9を示す斜視図である。図10に示されるように、ピンユニット9は、基体部91と、複数のピン92とにより構成されている。
【0060】
基体部91は、ピンユニット9の基体を成す部分である。基体部91は、第1方向D1に延びる長辺を有する直方体形状を呈する。複数のピン92は、第1方向D1に配列されている。一例として、ピン92の数は5である。複数のピン92のそれぞれは、前述した複数の形状追従孔70のそれぞれ、及び、複数の射出成形孔51のそれぞれに対応する。すなわち、各ピン92は、各形状追従孔70及び各射出成形孔51に第3方向に沿って挿入可能とされている。ピン92は、基体部91から第3方向D3に延びる。本実施形態では、ピン92の断面形状は、後述する第2形状(ハート形)である。第3方向D3に直交する平面で切断したときのピン92の断面形状は、射出成形孔51の断面形状と相似である。
【0061】
続いて、図11図16を用いて、本実施形態に係る棒状描画材1の製造方法について説明する。図11は、本実施形態に係る棒状描画材1の製造方法を示すフローチャートである。図12は、本実施形態に係る棒状描画材1の製造方法の一工程を示す図である。
【0062】
図11及び図12に示されるように、まず、ピンユニット9と、筒状体3と、未固化の描画材2A(図15(b)参照)と、治具アセンブリ5とを準備する(工程S1、準備する工程)。「未固化の描画材」とは、固化していない液状の描画材であって、流動性を有する材料を示している。例えば、この時点では、筒状体3の断面形状は第1形状であり、以降の工程を経て筒状体3の断面形状は、第1形状から第2形状に変化する。第2形状は第1形状より複雑な形状である。例えば、「第1形状」とは、内側に向かって凹む凹部を含まない形状であり、「第2形状」とは、内側に向かって凹む凹部を含む形状である。本実施形態では「第1形状」が円形状、「第2形状」がハート形である。工程S1では、筒状体3の断面形状は円形状である。すなわち、筒状体3は、円筒形状を呈する。本実施形態では、複数(一例として5つ)の筒状体3を準備する。
【0063】
続いて、治具アセンブリ5を形成する(工程S2)。工程S2では、形状追従治具7を描画材形成治具6の一端に配置すると共に、先端部形成治具8を描画材形成治具6の他端に配置する(配置する工程)。これにより、形状追従治具7の形状追従孔70、描画材形成治具6の射出成形孔51、及び先端部形成治具8の先端部形成穴81が互いに連通する。
【0064】
続いて、ピン92に筒状体3を挿入することで、筒状体3及びピン92を含む挿入体93(図13(b)参照)を作製する(工程S3、作製する工程)。工程S3では、5つの筒状体3のそれぞれをピン92に挿入する。
【0065】
続いて、図11及び図13(a)に示されるように、形状追従治具7により、筒状体3の断面形状を射出成形孔51の断面形状に追従させる(工程S4、追従させる工程)。工程S4では、挿入体93を挿入する方向である挿入方向に沿って、挿入体93を形状追従治具7の形状追従孔70に挿入する。なお、本実施形態では、挿入方向は、第3方向D3と一致する。
【0066】
例えば、形状追従孔70の断面形状は、形状追従治具7の第3方向D3の一端から他端に向かうにつれて、第1形状(例えば円形状)から第2形状(例えばハート形)へと次第に変化する。これにより、挿入体93を形状追従孔70に挿入することで、筒状体3の断面形状を第1形状から第2形状に変形させることができる。よって、挿入方向に直交する平面で切断したときの筒状体3の断面形状を、射出成形孔51の断面形状(第2形状)に追従させることができる。
【0067】
続いて、ピンユニット9の基体部91が形状追従治具7の第3方向D3の一端(一端71a及び一端72a)に接するまでピンユニット9を挿入方向に沿って押し込む。これにより、挿入体93は、形状追従孔70及び射出成形孔51内に配置された状態となる。
【0068】
続いて、図11及び図13(b)に示されるように、形状追従治具7を取り外す(工程S5)。工程S5では、第1追従治具71の摺動凸部75,76を固定治具73の摺動凹部78及び固定治具74の摺動凹部80に沿って摺動させる。これにより、第1追従治具71を取り外すことができる。また、工程S5では、第2追従治具72の摺動凸部85,86を固定治具73の摺動凹部78及び固定治具74の摺動凹部80に沿って摺動させる。これにより、第2追従治具72を取り外すことができる。
【0069】
続いて、図11及び図14(a)に示されるように、ピン92を挿入方向に沿ってさらに押し込む(工程S6、追従させる工程)。工程S6では、挿入体93をさらに射出成形孔51に挿入する。この工程では、ピンユニット9の基体部91が描画材形成治具6の第3方向D3の一端に接するまでピンユニット9を挿入方向に沿って押し込む。これにより、挿入体93は、射出成形孔51内に配置された状態となる。
【0070】
続いて、図11及び図14(b)に示されるように、筒状体3を射出成形孔51に配置した状態でピン92を射出成形孔51から取り外す(工程S7、取り外す工程)。工程S7では、ピンユニット9を第3方向D3に沿って射出成形孔51から抜き取る。これにより、筒状体3のみが射出成形孔51内に配置された状態となる。
【0071】
このとき、先端部形成治具8の先端部形成穴81は、射出成形孔51に配置された筒状体3よりもさらに挿入方向(下方)に延びている。本実施形態では、筒状体3は、射出成形孔51内にのみ位置しており、先端部形成穴81内に位置していない。しかし、筒状体3の一部が先端部形成穴81内に位置していてもよい。
【0072】
続いて、描画材形成治具6から固定治具73,74を取り外す。より具体的には、固定治具73の突出部77を第1形成治具61の嵌合部64aから抜き取ると共に、固定治具74の突出部を第1形成治具61の嵌合部64bから抜き取る。
【0073】
続いて、図11図15(a)、及び図15(b)に示されるように、筒状体3内に未固化の描画材2Aを充填する(工程S8、充填する工程)。工程S8では、まず、未固化の描画材2Aを充填するためのノズル94を射出成形孔51内に挿入する。そして、ノズル94を介して射出成形孔51内に配置された筒状体3の内部に未固化の描画材2Aを充填する。これにより、筒状体3の内側、及び先端部形成穴81に未固化の描画材2Aが充填される。本実施形態では、未固化の描画材2Aは、描画材形成治具6の第3方向D3の一端に至るまで充填される。
【0074】
続いて、筒状体3内に充填された未固化の描画材2Aを固化させる(工程S9、固化させる工程)。工程S9では、例えば、未固化の描画材2Aを冷却することで固化した描画材2を得る。これにより、射出成形孔51及び先端部形成穴81の内部に、筒状体3の内側で固化された描画材2を有する棒状描画材1が形成される。
【0075】
続いて、図11及び図16に示されるように、棒状描画材1を取り外す(工程S10)。工程S10では、まず、第1形成治具61の突出部65aを第2形成治具62の嵌合部67aから抜き取ると共に、第1形成治具61の突出部65bを第2形成治具62の嵌合部67bから抜き取る。これにより、第1形成治具61を第3方向D3に沿って第2形成治具62から取り外す。このとき、棒状描画材1の一部が第2形成治具62から露出した状態となる。そのまま、棒状描画材1を第2形成治具62の第2孔66から抜き取る。以上の工程を経て、前述した棒状描画材1が製造される。
【0076】
以上、本実施形態に係る棒状描画材1の製造方法について説明した。しかしながら、棒状描画材1の製造方法の各工程の内容及び順序は、前述の実施形態に限られず、適宜変更可能である。
【0077】
続いて、本実施形態に係る棒状描画材1の製造方法及び棒状描画材1の作用効果について説明する。本実施形態に係る棒状描画材1の製造方法では、図12図14に示されるように、筒状体3及びピン92を含む挿入体93を射出成形孔51に挿入することで、筒状体3の断面形状を射出成形孔51の断面形状に追従させる。そして、図15に示されるように、筒状体3内に未固化の描画材2Aを充填した上で、筒状体3内に充填された未固化の描画材2Aを固化させることで、棒状描画材1を製造する。このため、射出成形孔51の断面形状を所望の形状(第2形状、ハート形)とした描画材形成治具6を用意して、筒状体3の断面形状を当該射出成形孔51の断面形状に追従させ、追従させた断面形状を有する筒状体3の内側に未固化の描画材2Aを充填することにより、所望の断面形状の棒状描画材1を製造できる。
【0078】
したがって、射出成形孔51の断面形状を所望の複雑な形状とした場合でも、筒状体3及び描画材2の断面形状を射出成形孔51の断面形状に追従させることが可能となる。これにより、射出成形孔51内に配置された筒状体3の内側に、筒状体3の断面形状に追従させた断面形状を有する描画材2が設けられる。よって、描画材2が複雑な形状を呈する場合でも、描画材2の外周面の形状に沿って筒状体3を容易に配置することができる。
【0079】
また、この製造方法では、筒状体3を射出成形孔51に配置し、筒状体3の内側に未固化の描画材2Aを充填して、描画材2の射出成形を行う。すなわち、未固化の描画材2Aが筒状体3の内側に充填されることにより、予め描画材2の外側に筒状体3が配置された状態とすることができる。このため、例えば、固化した後の描画材2の外周面に巻紙等を巻き付ける場合と比較して、筒状体3内に未固化の描画材2Aを充填した後に未固化の描画材2Aが固化されるので、固化した描画材2に筒状体3を巻く手間が省けることとなり、棒状描画材1の製造効率が向上する。したがって、描画材2が複雑な形状を呈する場合でも、棒状描画材1を効率よく製造できる。
【0080】
さらに、本実施形態では、描画材形成治具6が複数の射出成形孔51を有する。これにより、各射出成形孔51に筒状体3を挿入して各筒状体3に未固化の描画材2Aを充填することで、複数の棒状描画材1を同時に製造することができる。したがって、棒状描画材1を効率よく製造できる。
【0081】
本実施形態において、準備する工程では、挿入体93が挿入される形状追従孔70を有する形状追従治具7を準備する。この製造方法は、図12図13(a)及び図13(b)に示されるように、追従させる工程において挿入体93を射出成形孔51に挿入する前に、挿入体93を形状追従治具7の形状追従孔70に挿入することで、筒状体3の断面形状を射出成形孔51の断面形状に追従させる工程をさらに備える。
【0082】
この場合、挿入体93を射出成形孔51に挿入する前に、筒状体3の断面形状を射出成形孔51の断面形状に追従させる。射出成形孔51に挿入体93を挿入する前に、筒状体3の断面形状を形状追従治具7で射出成形孔51の断面形状に追従させておくことにより、挿入体93をよりスムーズに射出成形孔51に挿入することができる。したがって、一層効率よく棒状描画材1を製造することができる。
【0083】
本実施形態において、挿入方向に直交する平面で切断したときのピン92の断面形状は、射出成形孔51の断面形状(第2形状)と相似である。この場合、挿入体93を作製するに際し、筒状体3の断面形状を射出成形孔51の断面形状と相似するピン92の断面形状に追従させることで、筒状体3の断面形状を射出成形孔51の断面形状と相似となるように変えることができる。
【0084】
筒状体3の内側に位置するピン92の断面形状が筒状体3の外側に位置する射出成形孔51の断面形状と相似であることにより、射出成形孔51に挿入体93を挿入するときに、断面形状が互いに相似である射出成形孔51の内面とピン92の外面との間に筒状体3が挟まれるので、筒状体3の断面形状の追従をよりスムーズに行うことができる。したがって、射出成形孔51内において筒状体3の断面形状を射出成形孔51の断面形状に一層容易に追従させることができる。
【0085】
本実施形態において、射出成形孔51は、描画材形成治具6を挿入方向の一端から他端まで貫通している。棒状描画材1の製造方法は、充填する工程の前に、描画材形成治具6の他端に先端部形成治具8を配置する工程をさらに備える。先端部形成治具8は、射出成形孔51に配置された筒状体3よりもさらに挿入方向に延びる先端部形成穴81を有する。
【0086】
この場合、射出成形孔51に配置された筒状体3内に未固化の描画材2Aを充填したとき、描画材形成治具6の他端に配置された先端部形成治具8の先端部形成穴81にも未固化の描画材2Aが充填される。この状態で未固化の描画材2Aを固化させることで、筒状体3よりもさらに挿入方向に延びる描画材2の先端部21を形成することができる。よって、固化した棒状描画材1の先端部21が筒状体3から突出した状態となるので、筒状体3を捲らなくても直ぐに棒状描画材1を使用できる。
【0087】
本実施形態に係る棒状描画材1では、図1及び図2に示されるように、一方向Aに直交する平面で切断したときの描画材2の断面形状は、描画材2の内側に向かって凹む凹部2aを含む。一方向Aに直交する平面で切断したときの断面形状が内側に凹む凹部2aを有する筒状体3の内側に、当該断面形状と相似の断面形状を有する描画材2が設けられる。したがって、描画材2が複雑な形状を有する場合でも、筒状体3を描画材2の外周面を覆うように配置することができるので、棒状描画材1を効率よく製造できる。
【0088】
以上、本開示に係る棒状描画材の製造方法及び棒状描画材の実施形態について説明した。しかしながら、本開示に係る棒状描画材の製造方法及び棒状描画材は、前述の実施形態に限られず、適宜変更可能である。
【0089】
例えば、前述の実施形態では、形状追従治具7、描画材形成治具6、及び先端部形成治具8がこの順に第3方向D3に沿って配置されることで、治具アセンブリ5が形成される例について説明した。しかし、図17に示されるように、変形例に係る治具アセンブリ5Aは、描画材形成治具6の第3方向D3の一端に配置された成形しろ形成治具10を有してもよい。「成形しろ」とは、予め多めに描画材2を形成しておいて、その後、成形のために除去される描画材2の部分を示している。
【0090】
成形しろ形成治具10は、平面視において長方形状を呈し、描画材形成治具6の形状と一致している。成形しろ形成治具10は、一対の長辺を形成する一対の長壁部11,12と、一対の短辺を形成する一対の短壁部13,14とを有する。
【0091】
成形しろ形成治具10は、第1方向D1の一端側に設けられた張出部15を有する。張出部15は、一方の短壁部13から成形しろ形成治具10の第1方向D1の内側に張り出す。張出部15は、短壁部13の第3方向D3の他端(図17では下側の端部)に設けられている。
【0092】
成形しろ形成治具10は、第1方向D1の他端側に設けられた傾斜部16を有する。傾斜部16は、他方の短壁部14から成形しろ形成治具10の第1方向D1の内側に張り出す。傾斜部16は、成形しろ形成治具10の第3方向D3の一端(図17では上側の端部)から他端に向かって傾斜する傾斜面16aを有する。本変形例では、傾斜面16aは、短壁部14の上端から斜め下方に窪む曲面状を呈する。
【0093】
成形しろ形成治具10は、描画材形成治具6の嵌合部64a(図4参照)に嵌合する一方の突出部(不図示)と、嵌合部64bに嵌合する他方の突出部(不図示)とを有する。当該一方の突出部は、張出部15から第3方向D3(下側)に突出する。当該他方の突出部は、傾斜部16から第3方向D3に突出する。
【0094】
成形しろ形成治具10の当該一方の突出部が嵌合部64aに嵌合すると共に、成形しろ形成治具10の当該他方の突出部が嵌合部64bに嵌合することで、成形しろ形成治具10は、描画材形成治具6の第3方向D3の一端に配置される。平面視において、一対の長壁部11,12、張出部15、及び傾斜部16により囲まれた領域は、開放されている。成形しろ形成治具10が描画材形成治具6の第3方向D3の一端に配置された状態において、5つの射出成形孔51が一対の長壁部11,12、張出部15、及び傾斜部16により囲まれた状態で露出している。
【0095】
続いて、変形例に係る治具アセンブリ5Aを用いた棒状描画材1の製造方法について説明する。以下では、前述した実施形態に係る棒状描画材1の製造方法と重複する説明を適宜省略する。
【0096】
まず、工程S1では、描画材形成治具6、形状追従治具7、先端部形成治具8、及び成形しろ形成治具10を準備する。そして、前述の実施形態と同様に、工程S2~工程S7を実行する。続いて、未固化の描画材2Aを充填する工程S8の前に、描画材形成治具6の第3方向D3の一端から形状追従治具7を取り外すと共に、成形しろ形成治具10を描画材形成治具6の第3方向D3の一端に配置する。
【0097】
続いて、工程S8を実行する。前述の実施形態では、未固化の描画材2Aが描画材形成治具6の第3方向D3の一端に至るまで充填した。しかし、本変形例では、描画材形成治具6の第3方向D3の一端から溢れる程度に未固化の描画材2Aを射出成形孔51内に充填する。換言すれば、本変形例では、射出成形孔51及び先端部形成穴81の容積よりも多い量の未固化の描画材2Aを充填する。射出成形孔51から溢れた未固化の描画材2Aは、成形しろ形成治具10における一対の長壁部11,12及び一対の短壁部13,14により囲まれた領域内に充填される。
【0098】
続いて、工程S9を実行する。工程S9では、成形しろ形成治具10内に充填された未固化の描画材2Aを固化させることで成形しろを形成する。続いて、成形しろ形成治具10内に形成された成形しろを除去する。このとき、例えば、へら等の板状部材を用いて成形しろとしての描画材2を除去する。より具体的には、板状部材を傾斜面16aに沿ってスライドさせ、その後、当該板状部材を描画材形成治具6の第3方向D3の一端に沿って第1方向D1にスライドさせる。この板状部材により、成形しろ形成治具10内の成形しろが削り取られるので、棒状描画材1の後端(図17では上端)に平坦な後端面が形成される。
【0099】
続いて、成形しろ形成治具10を描画材形成治具6の第3方向D3の一端から取り外す。そして、工程S10を実行する。以上の工程を経て、前述した棒状描画材1が製造される。なお、削り取られた描画材2は再び溶融されてもよく、この場合、未固化の描画材2Aとして再び棒状描画材1の製造に用いることが可能である。
【0100】
本変形例に係る棒状描画材1の製造方法では、描画材形成治具6の一端に成形しろ形成治具10を配置する。また、射出成形孔51内及び成形しろ形成治具10内に未固化の描画材2Aを充填する。そして、未固化の描画材2Aを固化させることで成形しろを形成した後、成形しろを除去することで棒状描画材1の後端面を形成する。この場合、成形しろが除去されることで形成された後端面は、描画材形成治具6の第3方向D3の一端と面一の平坦な面となる。
【0101】
仮に、描画材形成治具6の一端に成形しろ形成治具10を配置せず、未固化の描画材2Aを描画材形成治具6の第3方向D3の一端に至るまで充填して棒状描画材1を製造した場合、未固化の描画材2Aを固化させた際に描画材2の後端に収縮した部位が形成されることがある。この場合、棒状描画材1の後端面には、一方向Aに凹む凹部が形成されうる。これに対し、本変形例に係る棒状描画材1の製造方法によれば、棒状描画材1の後端面を成形しろの除去によって平坦な面とすることができる。
【0102】
なお、前述の変形例では、成形しろ形成治具10が張出部15及び傾斜部16を有する例について説明した。しかし、成形しろ形成治具10は、張出部15及び傾斜部16を有していなくてもよい。成形しろ形成治具10の形状及び大きさ等は、適宜変更可能である。
【0103】
また、前述の変形例では、成形しろ形成治具10が第1形成治具61と別体に形成されている例について説明した。しかし、成形しろ形成治具10及び第1形成治具61が一体に形成されていてもよい。
【0104】
前述の実施形態では、形状追従治具7が第1追従治具71と、第2追従治具72と、固定治具73,74とを有し、第1形成治具61が嵌合部64a,64bを有する例について説明した。しかし、図18に示されるように、変形例に係る形状追従治具7Aは、固定治具73,74を有しておらず、第1追従治具71Aと、第2追従治具72Aとを有していてもよい。また、第1形成治具61は、嵌合部64a,64bに代えて、突出部64c,64dを有していてもよい。
【0105】
第1追従治具71Aは、第1方向D1の両端側のそれぞれに嵌合溝77a,77bを有する。嵌合溝77aは、第1追従治具71Aの第1方向D1の一端側(図18では右下側)に設けられている。嵌合溝77bは、第1追従治具71Aの第1方向D1の他端側(図18では左上側)に設けられている。嵌合溝77a,77bは、第3方向D3に延びている。嵌合溝77a,77bは、第1追従治具71Aの第3方向D3の他端71bから陥没している。本変形例では、嵌合溝77a,77bの断面形状は、半円形状を呈する。
【0106】
また、第1追従治具71Aは、第1方向D1の両端側のそれぞれに嵌合部78a,78bを有する。嵌合部78aは、第1追従治具71Aの第1方向D1の一端側に設けられている。嵌合部78aは、嵌合溝77aよりも第3方向D3の一端側(図18では上側)に設けられている。嵌合部78bは、第1追従治具71Aの第1方向D1の他端側に設けられている。嵌合部78bは、嵌合溝77bよりも第3方向D3の一端側に設けられている。嵌合部78a,78bは、第1当接面79から、第2方向D2に陥没している。本変形例では、第2方向D2に直交する平面で切断したときにおける嵌合部78a,78bの断面形状は、円形状を呈する。
【0107】
第2追従治具72Aは、前述した嵌合溝77a,77bと同様、一対の嵌合溝を有する。第2追従治具72Aの一対の嵌合溝のそれぞれは、嵌合溝77a,77bのそれぞれに第2方向D2に沿って対向する。また、第2追従治具72Aは、嵌合部78aに嵌合する突出部88aと、嵌合部78bに嵌合する突出部88bとを有する。突出部88aは、第2追従治具72Aの第1方向D1の一端側(図18では右下側)に設けられている。突出部88aは、嵌合溝77aに対向する第2追従治具72Aの嵌合溝(一方の嵌合溝)よりも第3方向D3の一端側(図18では上側)に設けられている。突出部88bは、第2追従治具72Aの第1方向D1の他端側(図18では左上側)に設けられている。突出部88bは、嵌合溝77bに対向する第2追従治具72Aの嵌合溝(他方の嵌合溝)よりも第3方向D3の一端側に設けられている。
【0108】
突出部88a,88bは、第2当接面89から第2方向D2に突出している。第2方向D2に直交する平面で切断したときにおける突出部88a,88bのそれぞれの断面形状は、前述した嵌合部78a,78bのそれぞれの断面形状と対応する形状である。すなわち、突出部88a,88bは、嵌合部78a,78bに嵌合可能な形状を呈する。本変形例では、突出部88a,88bの当該断面形状は、円形状を呈する。
【0109】
第1形成治具61は、後に詳述する嵌合部77cに嵌合する突出部64cと、嵌合部77dに嵌合する突出部64dとを有する。突出部64cは、第1形成治具61の第1方向D1の一端側に設けられている。突出部64dは、第1形成治具61の第1方向D1の他端側に設けられている。突出部64c,64dは、第1形成治具61の第3方向D3の一端61aから第3方向D3に突出している。本変形例では、突出部64c,64dの断面形状は、円形状を呈する。
【0110】
形状追従治具7Aを第1形成治具61の一端61aに配置するに際しては、まず、第1追従治具71Aの嵌合部78aに第2追従治具72Aの突出部88aが嵌合すると共に、第1追従治具71Aの嵌合部78bに第2追従治具72の突出部88bが嵌合する。この結果、第1追従治具71Aの第1当接面79及び第2追従治具72Aの第2当接面89が互いに当接した状態となる。
【0111】
このとき、第1追従治具71Aの嵌合溝77a及び第2追従治具72Aの一方の嵌合溝により、突出部64cが嵌合する嵌合部77cが画成される。また、第1追従治具71Aの嵌合溝77b及び第2追従治具72Aの他方の嵌合溝により、突出部64dが嵌合する嵌合部77dが画成される。本変形例では、嵌合部77c,77dの断面形状は、円形状を呈する。
【0112】
続いて、形状追従治具7Aの嵌合部77cに第1形成治具61の突出部64cが嵌合すると共に、形状追従治具7Aの嵌合部77dに第1形成治具61の突出部64dが嵌合する。この結果、形状追従治具7Aが第1形成治具61の一端61aに配置される。以上の変形例においても、第1形成治具61の第3方向D3の一端61aに形状追従治具7Aを配置することができる。
【0113】
前述の実施形態では、工程S10において、第1形成治具61を第3方向D3に沿って第2形成治具62から取り外した上で、棒状描画材1を第2形成治具62の第2孔66から抜き取る例について説明した。しかし、工程S10では、エアを用いて棒状描画材1を取り外してもよい。この場合、工程S9を実行した後に、描画材形成治具6の第3方向D3の他端から先端部形成治具8を取り外す。また、第1形成治具61の一端61a側から第1孔63内にエアを注入することで、棒状描画材1を第2形成治具62の他端62b側に押し出してもよい。当該エアは、例えば、バキューム等の負圧源により生じさせてもよい。
【0114】
前述の実施形態では、工程S4において、挿入方向に沿って挿入体93を形状追従孔70に挿入することで、筒状体3の断面形状を射出成形孔51の断面形状に追従させる例について説明した。しかし、負圧源を用いて、筒状体3の断面形状を射出成形孔51の断面形状に追従させてもよい。この場合、ピンユニット9は、基体部91の内部、及びピン92の内部に形成された空気孔を有していてもよい。当該空気孔は、一例として、基体部91の第3方向D3の一端から第3方向D3に延びると共に、ピン92の側面(例えば、第1方向D1又は第2方向D2に向く面)に開口している。
【0115】
この例に係る棒状描画材1の製造方法では、工程S4の後に、負圧源を用いて基体部91に設けられた空気孔からエアを吸入する。この結果、筒状体3の内面とピン92の外面(前述のピン92の側面)との間の空気を減圧して、ピン92の外面に筒状体3の内面を密着させることができるため、筒状体3の断面形状をピン92の断面形状によりスムーズに追従させることができる。ピン92の断面形状は、射出成形孔51の断面形状と相似であるため、筒状体3の断面形状を射出成形孔51の断面形状によりスムーズに追従させることができる。
【0116】
前述の実施形態では、工程S6において、挿入体93を射出成形孔51に挿入することで、筒状体3の断面形状を射出成形孔51の断面形状に追従させる例について説明した。このとき、負圧源を用いて、筒状体3の断面形状を射出成形孔51の断面形状に追従させてもよい。この場合、第1形成治具61及び第2形成治具62の少なくとも一方は、空気孔を有していてもよい。この空気孔は、例えば、描画材形成治具6の第2方向D2を向く端面から射出成形孔51まで延びている。この空気孔は、射出成形孔51及び描画材形成治具6の外部を互いに連通する。
【0117】
この例に係る棒状描画材1の製造方法では、工程S7の後に、描画材形成治具6の第2方向D2を向く端面から空気孔を介してエアを吸入する。この結果、射出成形孔51の内面と筒状体3の外面との間の空気を減圧して、射出成形孔51の内面に筒状体3の外面を密着させることができるため、筒状体3の断面形状を射出成形孔51の断面形状に追従させることができる。なお、負圧源によるエアの吸入は、工程S8の後に実行されてもよい。
【0118】
前述の実施形態では、1つの治具アセンブリ5によって複数(例えば5つ)の棒状描画材1を製造する例について説明した。しかし、治具アセンブリ5は、1つの形状追従孔70、1つの射出成形孔51、及び1つの先端部形成穴81を有していてもよい。この場合、治具アセンブリ5を小型化することができる。この例では、一方向に回転可能なターンテーブルに複数の治具アセンブリ5を載置した状態で、ターンテーブルを回転させることで複数の治具アセンブリ5を一方向に回転させる。この治具アセンブリ5の回転に伴って前述の棒状描画材1の製造方法を実行することにより、棒状描画材1を製造することができる。
【0119】
前述の実施形態では、変形前の筒状体3の断面形状(第1形状)が円形状である例について説明した。しかし、変形前の筒状体3の断面形状は、楕円形状、長円形状、又は、三角形状、四角形状若しくは六角形状等の多角形状であってもよく、適宜変更され得る。前述の実施形態では、射出成形孔51の断面形状(第2形状)がハート形である例について説明した。しかし、射出成形孔51の断面形状は、例えば、星形、又は波形等であってもよく、適宜変更され得る。射出成形孔51の断面形状は、製造する棒状描画材1の形状に応じて適宜変更され得る。
【0120】
前述の実施形態では、射出成形により描画材2の成形を行う例について説明した。しかし、描画材2を成形する方法は射出成形以外の方法であってもよい。例えば、描画材2は、加圧成形により成形されてもよい。また、描画材2は、未固化の描画材2Aを単に射出成形孔51内に充填することで成形されてもよい。
【符号の説明】
【0121】
1…棒状描画材、2…描画材、2A…未固化の描画材、2a…凹部、3…筒状体、4…条片、5,5A…治具アセンブリ、6…描画材形成治具、7,7A…形状追従治具、8…先端部形成治具、9…ピンユニット、10…成形しろ形成治具、11,12…長壁部、13,14…短壁部、15…張出部、16…傾斜部、16a…傾斜面、21…先端部、51…射出成形孔(成形孔)、61…第1形成治具、61a,62a,71a,71c,72a,72c…一端、61b,62b,71b,71d,72b,72d…他端、62…第2形成治具、63…第1孔、64a,64b,67a,67b,68a,68b,77c,77d,78a,78b…嵌合部、64c,64d,65a,65b,77,82a,82b,88a,88b…突出部、66…第2孔、70…形状追従孔、70a…第1追従溝部、70b…第2追従溝部、71,71A…第1追従治具、72,72A…第2追従治具、73,74…固定治具、75,76,85,86…摺動凸部、77a,77b…嵌合溝、78,80…摺動凹部、79…第1当接面、89…第2当接面、91…基体部、92…ピン、93…挿入体、94…ノズル、A…一方向、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18