(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178049
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】電池モジュール及びスペーサ
(51)【国際特許分類】
H01M 50/291 20210101AFI20231207BHJP
H01M 50/293 20210101ALI20231207BHJP
H01M 10/6551 20140101ALI20231207BHJP
H01M 10/6555 20140101ALI20231207BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20231207BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20231207BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20231207BHJP
【FI】
H01M50/291
H01M50/293
H01M10/6551
H01M10/6555
H01M10/613
H01M10/647
H01M50/209
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091095
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 恒良
(72)【発明者】
【氏名】中野 和城
(72)【発明者】
【氏名】村石 康輔
【テーマコード(参考)】
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H031AA00
5H031AA02
5H031AA09
5H031EE04
5H031KK01
5H040AA28
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY06
5H040LL06
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】電池セルを適切に冷却する電池モジュール及びスペーサを提供する。
【解決手段】電池モジュールは、複数の電池セル20と、電池セル20同士の間に配置される合成樹脂製のスペーサ13とを交互に積層される。スペーサ13は、電池セル20に沿って互いに間隔を開けて配列された複数のバー部50と、バー部50が配列された配列方向における第1配列方向に対して傾斜して第1電池セル20Aの側に伸びて形成され、第1電池セル20Aの面21に接する第1フィン部56と、第1配列方向と逆の第2配列方向に対して傾斜して第1電池セル20Aとは異なる第2電池セル20Bの側に伸びて形成され、第2電池セル20Bの面21に接する第2フィン部57と、を有する。バー部50の断面形状は、第1フィン部56及び第2フィン部57が電池セル20に押圧されることでバー部50が回転することによって電池セル20と面接触した状態となる形状である。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルと、前記電池セル同士の間に配置される合成樹脂製のスペーサとを交互に積層される電池モジュールであって、
前記スペーサは、
前記電池セルに沿って互いに間隔を開けて配列された複数のバー部と、
前記バー部に設けられ、前記バー部が配列された配列方向における第1配列方向に対して傾斜して一方の前記電池セルの側に伸びて形成され、前記一方の電池セルの面に接する第1フィン部と、
前記バー部に設けられ、前記第1配列方向と逆の第2配列方向に対して傾斜して前記一方の電池セルとは異なる他方の前記電池セルの側に伸びて形成され、前記他方の電池セルの面に接する第2フィン部と、を有し、
前記バー部の断面形状は、前記第1フィン部及び前記第2フィン部が前記電池セルに押圧されたことで前記バー部が回転することによって前記電池セルと面接触した状態となる形状である
電池モジュール。
【請求項2】
複数の電池セルと、前記電池セル同士の間に配置される合成樹脂製のスペーサとを交互に積層される電池モジュールであって、
前記スペーサは、
前記電池セルに沿って互いに間隔を開けて配列された複数のバー部と、
前記バー部に設けられ、前記バー部が配列された配列方向における第1配列方向に対して傾斜して一方の前記電池セルの側に伸びて形成され、前記一方の電池セルの面に接する第1フィン部と、
前記バー部に設けられ、前記第1配列方向と逆の第2配列方向に対して傾斜して前記一方の電池セルとは異なる他方の前記電池セルの側に伸びて形成され、前記他方の電池セルの面に接する第2フィン部と、を有し、
前記バー部の断面形状は、円形である
電池モジュール。
【請求項3】
前記バー部の断面形状は、楕円形であって、
前記バー部は、前記楕円の長軸が前記バー部の配列方向に延出し、前記バー部が回転することによって前記楕円の長軸が前記配列方向から傾斜した状態となる
請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
複数の電池セルと、前記電池セル同士の間に配置される合成樹脂製のスペーサとを交互に積層される電池モジュールであって、
前記スペーサは、
前記電池セルに沿って互いに間隔を開けて配列された複数のバー部と、
前記バー部に設けられ、前記バー部が配列された配列方向における第1配列方向に対して傾斜して一方の前記電池セルの側に伸びて形成され、前記一方の電池セルの面に接する第1フィン部と、
前記バー部に設けられ、前記第1配列方向と逆の第2配列方向に対して傾斜して前記一方の電池セルとは異なる他方の前記電池セルの側に伸びて形成され、前記他方の電池セルの面に接する第2フィン部と、を有し、
前記バー部の断面形状は、互いに対向する二辺を含む形状であって、
前記対向する二辺は、前記第1フィン部及び前記第2フィン部が前記電池セルに押圧されたことで前記バー部が回転することによって前記電池セルの面と平行である
電池モジュール。
【請求項5】
電池モジュールを構成する複数の電池セル同士の間に配置される合成樹脂製のスペーサであって、
互いに間隔を開けて配列された複数のバー部と、
前記バー部に含まれる第1バー部に設けられ、前記バー部が配列された配列方向における第1配列方向に対して傾斜して前記配列方向に直交する第1直交方向に伸びて形成される第1フィン部と、
前記第1バー部に設けられ、前記第1配列方向と逆の第2配列方向に対して傾斜して前記第1直交方向に伸びて形成される第2フィン部と、を有し、
前記バー部の断面形状は、前記第1フィン部及び前記第2フィン部が前記電池セルに押圧されたときに前記バー部が回転することで前記電池セルと面接触する形状である
スペーサ。
【請求項6】
電池モジュールを構成する複数の電池セル同士の間に配置される合成樹脂製のスペーサであって、
互いに間隔を開けて配列された複数のバー部と、
前記バー部に含まれる第1バー部に設けられ、前記バー部が配列された配列方向における第1配列方向に対して傾斜して前記配列方向に直交する第1直交方向に伸びて形成される第1フィン部と、
前記第1バー部に設けられ、前記第1配列方向と逆の第2配列方向に対して傾斜して前記第1直交方向に伸びて形成される第2フィン部と、を有し、
前記バー部の断面形状は、円形である
スペーサ。
【請求項7】
前記バー部の断面形状は、楕円形であって、
前記バー部は、前記楕円の長軸が前記バー部の配列方向に延出し、前記バー部が回転することによって前記楕円の長軸が前記配列方向から傾斜した状態となる
請求項6に記載のスペーサ。
【請求項8】
電池モジュールを構成する複数の電池セル同士の間に配置される合成樹脂製のスペーサであって、
互いに間隔を開けて配列された複数のバー部と、
前記バー部に含まれる第1バー部に設けられ、前記バー部が配列された配列方向における第1配列方向に対して傾斜して前記配列方向に直交する第1直交方向に伸びて形成される第1フィン部と、
前記第1バー部に設けられ、前記第1配列方向と逆の第2配列方向に対して傾斜して前記第1直交方向に伸びて形成される第2フィン部と、を有し、
前記バー部の断面形状は、互いに対向する二辺を含む形状であって、
前記対向する二辺は、前記第1フィン部及び前記第2フィン部が前記電池セルに押圧されたときに前記バー部が回転して前記電池セルの面と平行となる
スペーサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュール及びスペーサに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の電池モジュールでは、電池セル同士の間にスペーサを配置している。スペーサには、両隣の電池セルの主面に挟み込まれる壁部に、壁部を厚み方向に貫通する切り欠き部が形成されている。そして、このようなスペーサを用い、切り欠き部に冷却用気体を通過させることで、スペーサを介して隣接する電池セル同士の温度差が大きくなることが低減されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載のような技術では、スペーサを厚み方向に貫通する冷却用気体の通過経路が、想定よりも狭くなるおそれがある。すなわち、電池モジュールにおける電池セルは、ケース内部で発生したガスによって内部圧力が上昇し、膨張することがあり得る。膨張した電池セルの一部は、スペーサに設けられた冷却用気体の通過経路へと進入する可能性がある。つまり、電池セルに膨張が生じた場合、スペーサに設けられた冷却用気体の通過経路が、電池セルに膨張が生じていない場合よりも狭くなる可能性がある。これにより、電池セルの冷却が適切になされない可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する電池モジュールは、複数の電池セルと、前記電池セル同士の間に配置される合成樹脂製のスペーサとを交互に積層される電池モジュールであって、前記スペーサは、前記電池セルに沿って互いに間隔を開けて配列された複数のバー部と、前記バー部に設けられ、前記バー部が配列された配列方向における第1配列方向に対して傾斜して一方の前記電池セルの側に伸びて形成され、前記一方の電池セルの面に接する第1フィン部と、前記バー部に設けられ、前記第1配列方向と逆の第2配列方向に対して傾斜して前記一方の電池セルとは異なる他方の前記電池セルの側に伸びて形成され、前記他方の電池セルの面に接する第2フィン部と、を有し、前記バー部の断面形状は、前記第1フィン部及び前記第2フィン部が前記電池セルに押圧されたことで前記バー部が回転することによって前記電池セルと面接触した状態となる形状である。
【0006】
上記構成によれば、第1フィン部が一方の電池セルの面と接することで一方の電池セルの面との距離を適切に確保することができ、第2フィン部が他方の電池セルの面と接することで他方の電池セルの面との距離を適切に確保することができる。このため、スペーサによって隣り合う電池セル同士の間の距離を適切に確保することができる。よって、電池セル同士の間の空間への放熱が適切に行われ、電池セルを適切に冷却することができる。また、バー部の断面形状が、バー部が回転することによって電池セルと面接触した状態となる形状である。このため、第1フィン部及び第2フィン部が電池セルに押圧されたことにともない、バー部が回転してバー部の角が電池セルに当たることを抑制することができる。
【0007】
上記課題を解決する電池モジュールは、複数の電池セルと、前記電池セル同士の間に配置される合成樹脂製のスペーサとを交互に積層される電池モジュールであって、前記スペーサは、前記電池セルに沿って互いに間隔を開けて配列された複数のバー部と、前記バー部に設けられ、前記バー部が配列された配列方向における第1配列方向に対して傾斜して一方の前記電池セルの側に伸びて形成され、前記一方の電池セルの面に接する第1フィン部と、前記バー部に設けられ、前記第1配列方向と逆の第2配列方向に対して傾斜して前記一方の電池セルとは異なる他方の前記電池セルの側に伸びて形成され、前記他方の電池セルの面に接する第2フィン部と、を有し、前記バー部の断面形状は、円形である。
【0008】
上記構成によれば、第1フィン部が一方の電池セルの面と接することで一方の電池セルの面との距離を適切に確保することができ、第2フィン部が他方の電池セルの面と接することで他方の電池セルの面との距離を適切に確保することができる。このため、スペーサによって隣り合う電池セル同士の間の距離を適切に確保することができる。よって、電池セル同士の間の空間への放熱が適切に行われ、電池セルを適切に冷却することができる。また、バー部の断面形状が円形である。このため、第1フィン部及び第2フィン部が電池セルに押圧されたことにともないバー部が回転しても、バー部の曲面が電池セルの面と対向するので、バー部による電池セルへの局所荷重の発生を防止することができる。
【0009】
上記電池モジュールについて、前記バー部の断面形状は、楕円形であって、前記バー部は、前記楕円の長軸が前記バー部の配列方向に延出し、前記バー部が回転することによって前記楕円の長軸が前記配列方向から傾斜した状態となることが好ましい。
【0010】
上記構成によれば、バー部の断面形状が楕円形であって、楕円の外周の角度の小さい部分が電池セルと接するので、バー部と電池セルとの接触範囲を円形よりも広くすることができる。
【0011】
上記課題を解決する電池モジュールは、複数の電池セルと、前記電池セル同士の間に配置される合成樹脂製のスペーサとを交互に積層される電池モジュールであって、前記スペーサは、前記電池セルに沿って互いに間隔を開けて配列された複数のバー部と、前記バー部に設けられ、前記バー部が配列された配列方向における第1配列方向に対して傾斜して一方の前記電池セルの側に伸びて形成され、前記一方の電池セルの面に接する第1フィン部と、前記バー部に設けられ、前記第1配列方向と逆の第2配列方向に対して傾斜して前記一方の電池セルとは異なる他方の前記電池セルの側に伸びて形成され、前記他方の電池セルの面に接する第2フィン部と、を有し、前記バー部の断面形状は、互いに対向する二辺を含む形状であって、前記対向する二辺は、前記第1フィン部及び前記第2フィン部が前記電池セルに押圧されたことで前記バー部が回転することによって前記電池セルの面と平行である。
【0012】
上記構成によれば、第1フィン部が一方の電池セルの面と接することで一方の電池セルの面との距離を適切に確保することができ、第2フィン部が他方の電池セルの面と接することで他方の電池セルの面との距離を適切に確保することができる。このため、スペーサによって隣り合う電池セル同士の間の距離を適切に確保することができる。よって、電池セル同士の間の空間への放熱が適切に行われ、電池セルを適切に冷却することができる。また、バー部の対向する二辺が電池セルの面と平行である。このため、第1フィン部及び第2フィン部が電池セルに押圧されたことにともないバー部が回転すると、バー部の面と電池セルの面とが平行となり、バー部の角が電池セルに当たることを抑制することができる。
【0013】
上記課題を解決するスペーサは、電池モジュールを構成する複数の電池セル同士の間に配置される合成樹脂製のスペーサであって、互いに間隔を開けて配列された複数のバー部と、前記バー部に含まれる第1バー部に設けられ、前記バー部が配列された配列方向における第1配列方向に対して傾斜して前記配列方向に直交する第1直交方向に伸びて形成される第1フィン部と、前記第1バー部に設けられ、前記第1配列方向と逆の第2配列方向に対して傾斜して前記第1直交方向に伸びて形成される第2フィン部と、を有し、前記バー部の断面形状は、前記第1フィン部及び前記第2フィン部が前記電池セルに押圧されたときに前記バー部が回転することで前記電池セルと面接触する形状である。
【0014】
上記構成によれば、第1フィン部が一方の電池セルの面と接することで一方の電池セルの面との距離を適切に確保することができ、第2フィン部が他方の電池セルの面と接することで他方の電池セルの面との距離を適切に確保することができる。このため、スペーサによって隣り合う電池セル同士の間の距離を適切に確保することができる。よって、電池セル同士の間の空間への放熱が適切に行われ、電池セルを適切に冷却することができる。また、第1フィン部が一方の電池セルの面と接することで一方の電池セルの面との距離を適切に確保することができ、第2フィン部が他方の電池セルの面と接することで他方の電池セルの面との距離を適切に確保することができる。このため、スペーサによって隣り合う電池セル同士の間の距離を適切に確保することができる。よって、電池セル同士の間の空間への放熱が適切に行われ、電池セルを適切に冷却することができる。また、バー部の断面形状が、バー部が回転することで電池セルと面接触する形状である。このため、第1フィン部及び第2フィン部が電池セルに押圧されることにともない、バー部が回転してバー部の角が電池セルに当たることを抑制することができる。
【0015】
上記課題を解決するスペーサは、電池モジュールを構成する複数の電池セル同士の間に配置される合成樹脂製のスペーサであって、互いに間隔を開けて配列された複数のバー部と、前記バー部に含まれる第1バー部に設けられ、前記バー部が配列された配列方向における第1配列方向に対して傾斜して前記配列方向に直交する第1直交方向に伸びて形成される第1フィン部と、前記第1バー部に設けられ、前記第1配列方向と逆の第2配列方向に対して傾斜して前記第1直交方向に伸びて形成される第2フィン部と、を有し、前記バー部の断面形状は、円形である。
【0016】
上記構成によれば、第1フィン部が一方の電池セルの面と接することで一方の電池セルの面との距離を適切に確保することができ、第2フィン部が他方の電池セルの面と接することで他方の電池セルの面との距離を適切に確保することができる。このため、スペーサによって隣り合う電池セル同士の間の距離を適切に確保することができる。よって、電池セル同士の間の空間への放熱が適切に行われ、電池セルを適切に冷却することができる。また、バー部の断面形状が円形である。このため、第1フィン部及び第2フィン部が電池セルに押圧されることにともないバー部が回転しても、バー部の曲面が電池セルの面と対向するので、バー部による電池セルへの局所荷重の発生を防止することができる。
【0017】
上記スペーサについて、前記バー部の断面形状は、楕円形であって、前記バー部は、前記楕円の長軸が前記バー部の配列方向に延出し、前記バー部が回転することによって前記楕円の長軸が前記配列方向から傾斜した状態となることが好ましい。
【0018】
上記構成によれば、バー部の断面形状が楕円形であって、楕円の外周の角度の小さい部分が電池セルと接するので、バー部と電池セルとの接触範囲を円形よりも広くすることができる。
【0019】
上記課題を解決するスペーサは、電池モジュールを構成する複数の電池セル同士の間に配置される合成樹脂製のスペーサであって、互いに間隔を開けて配列された複数のバー部と、前記バー部に含まれる第1バー部に設けられ、前記バー部が配列された配列方向における第1配列方向に対して傾斜して前記配列方向に直交する第1直交方向に伸びて形成される第1フィン部と、前記第1バー部に設けられ、前記第1配列方向と逆の第2配列方向に対して傾斜して前記第1直交方向に伸びて形成される第2フィン部と、を有し、前記バー部の断面形状は、互いに対向する二辺を含む形状であって、前記対向する二辺は、前記第1フィン部及び前記第2フィン部が前記電池セルに押圧されたときに前記バー部が回転して前記電池セルの面と平行となる。
【0020】
上記構成によれば、第1フィン部が一方の電池セルの面と接することで一方の電池セルの面との距離を適切に確保することができ、第2フィン部が他方の電池セルの面と接することで他方の電池セルの面との距離を適切に確保することができる。このため、スペーサによって隣り合う電池セル同士の間の距離を適切に確保することができる。よって、電池セル同士の間の空間への放熱が適切に行われ、電池セルを適切に冷却することができる。また、バー部の対向する二辺が電池セルの面と平行である。このため、第1フィン部及び第2フィン部が電池セルに押圧されることにともないバー部が回転すると、バー部の面と電池セルの面とが平行となり、バー部の角が電池セルに当たることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、電池セルを適切に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1実施形態に係る電池モジュールの概略構成を示す斜視図である。
【
図2】同実施形態の電池モジュールの
図1の2-2断面図である。
【
図4】同実施形態の非圧縮状態におけるスペーサの空間形成部の断面図である。
【
図5】同実施形態の圧縮状態におけるスペーサの空間形成部の断面図である。
【
図6】第2実施形態の非圧縮状態におけるスペーサの空間形成部の断面図である。
【
図7】同実施形態の圧縮状態におけるスペーサの空間形成部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1実施形態)
以下、
図1~
図5を参照して、電池モジュール及びスペーサの第1実施形態について説明する。
【0024】
(電池モジュール10)
図1に示すように、電池モジュール10は、ロアケース11に複数の電池セル20を収納したものである。ロアケース11は、上面が開口した箱状の部材である。電池セル20の外形は、扁平状の直方体である。複数の電池セル20は、ロアケース11の内部で積層して配置されている。電池セル20は、電池セル20の積層方向であるX方向の面を有している。電池セル20の面21は、外面のうちで最も面積の大きな面である。電池モジュール10は、積層された複数の電池セル20の電池群が2列収納されている。電池セル20の電池群の列が並ぶ方向がY方向である。ロアケース11の上面方向がZ方向である。電池モジュール10は、バスバー、極柱端子、アッパーケース等が実際には取り付けられるが、それらは省略している。
【0025】
図2に示すように、ロアケース11は、フロア部11Aとエンドウォール部11Bとを有している。フロア部11Aは、複数の電池セル20よりも下方に位置するロアケース11の部位である。エンドウォール部11Bは、複数の電池セル20の側方に位置するロアケース11の部位である。ロアケース11に収納されている複数の電池セル20は、スペーサ13と交互に積層されている。つまり、電池セル20同士の間には、スペーサ13が配置されている。両端の電池セル20とエンドウォール部11Bとの間には、エンドプレート14が挟まれている。スペーサ13及びエンドプレート14は、合成樹脂製の部材である。スペーサ13及びエンドプレート14は、絶縁性とある程度の伸縮性とを有している。
【0026】
電池セル20、スペーサ13、及びエンドプレート14は、積層方向(X方向)において両端のエンドウォール部11Bによって拘束されている。このため、電池セル20、スペーサ13、及びエンドプレート14は、積層方向(X方向)において圧縮荷重を受けている。電池モジュール10に収納された圧縮状態の電池セル20、スペーサ13、及びエンドプレート14は、積層方向(X方向)において非圧縮状態のときよりも縮んでいる。
【0027】
(スペーサ13)
図3に示すように、スペーサ13は、空間形成部13Cを有している。空間形成部13Cは、スペーサ13の中央部分に設けられている。空間形成部13Cは、スペーサ13の両隣に位置する電池セル20同士の間に空間を形成する部分である。
【0028】
スペーサ13は、空間形成部13Cに、複数のバー部50を備えている。バー部50は、電池セル20の面21の長手方向(Y方向)に延出している。複数のバー部50は、電池セル20の面21に沿って上下方向(Z方向)に互いに間隔を開けて配列されている。複数のバー部50には、フィン部55が設けられている。空間形成部13Cは、バー部50とフィン部55とによって構成されている。
【0029】
(空間形成部13C)
次に、
図4及び
図5を参照して、空間形成部13Cについて詳細に説明する。
図4及び
図5は、スペーサ13の空間形成部13Cの断面図である。
図4は、非圧縮状態の空間形成部13Cを両隣の電池セル20とともに示している。
図5は、圧縮状態の空間形成部13Cを両隣の電池セル20とともに示している。
【0030】
図4に示すように、バー部50は、上から順に、第3バー部53、第1バー部51、第2バー部52、第4バー部54を有している。これらバー部50の積層方向(X方向)の断面形状は、第1フィン部56及び第2フィン部57が電池セル20に押圧されたことでバー部50が回転することによって電池セル20と面接触した状態となる形状である。具体的には、バー部50の断面形状は、楕円形である。バー部50は、楕円の長軸がバー部50の配列方向に延出し、バー部50が回転することによって楕円の長軸が配列方向(Z方向)から傾斜した状態となる。楕円の長軸は、バー部50が圧縮されていない状態で、配列方向(Z方向)と一致している。なお、バー部50の断面形状は、円形であってもよい。フィン部55は、第1フィン部56、第2フィン部57、第3フィン部58、第4フィン部59を有している。
【0031】
第1バー部51及び第2バー部52には、第1フィン部56と、第2フィン部57と、が設けられている。第1フィン部56は、バー部50が配列された配列方向(Z方向)における第1配列方向(上方向)に対して第1角度θA傾斜して配列方向(Z方向)に直交する第1直交方向(図中右方向)に伸びて形成される。第2フィン部57は、第1配列方向と逆の第2配列方向(下方向)に対して第2角度θB傾斜して第1直交方向と逆の第2直交方向(図中左方向)に伸びて形成される。第1フィン部56は、図中右側の第1電池セル20Aの面21に接する。第2フィン部57は、図中左側の第2電池セル20Bの面21に接する。第1角度θAと第2角度θBとは、同じ角度である。
【0032】
第3バー部53には、第2フィン部57が設けられている。第2フィン部57は、第2配列方向(下方向)に対して第2角度θB傾斜して第2直交方向(図中左方向)に伸びて形成される。第2フィン部57は、左側の第2電池セル20Bの面21に接する。
【0033】
第4バー部54には、第1フィン部56が設けられている。第1フィン部56は、第1配列方向(上方向)に対して第1角度θA傾斜して第1直交方向(図中右方向)に伸びて形成される。第1フィン部56は、右側の第1電池セル20Aの面21に接する。
【0034】
(非圧縮状態)
図4に示すように、非圧縮状態において、第1バー部51に設けられた第1フィン部56の先端は、第1バー部51よりも図中右側の第1電池セル20A側へと突き出ている。非圧縮状態において、第1バー部51に設けられた第2フィン部57の先端は、第1バー部51よりも図中左側の第2電池セル20B側へと突き出ている。非圧縮状態において、第2バー部52に設けられた第1フィン部56の先端は、第2バー部52よりも右側の第1電池セル20A側へと突き出ている。非圧縮状態において、第2バー部52に設けられた第2フィン部57の先端は、第2バー部52よりも左側の第2電池セル20B側へと突き出ている。第3バー部53に設けられた第2フィン部57の先端は、第3バー部53よりも左側の第2電池セル20B側へと突き出ている。第4バー部54に設けられた第1フィン部56の先端は、第4バー部54よりも右側の第1電池セル20A側へと突き出ている。第1バー部51、第2バー部52、第3バー部53、及び第4バー部54は、右側の第1電池セル20Aの面21にも、左側の第2電池セル20Bの面21にも接触していない。
【0035】
第1フィン部56の第1バー部51からの長さである第1フィン長LA、及び、第2フィン部57の第3バー部53からの長さである第2フィン長LBは、いずれも第1バー部51と第3バー部53との間隔Pよりも短い(LA<P、LB<P)。第1フィン長LAと第2フィン長LBとは、同じ長さである(LA=LB)。第1フィン長LAと第2フィン長LBとの合計は、第1バー部51と第3バー部53との間隔Pよりも長い(LA+LB>P)。
【0036】
第2フィン部57の第1バー部51からの長さである第2フィン長LB、及び、第1フィン部56の第2バー部52からの長さである第1フィン長LAは、いずれも第1バー部51と第2バー部52との間隔Pよりも短い(LB<P、LA<P)。第2フィン長LBと第1フィン長LAとは、同じ長さである(LB=LA)。第2フィン長LBと第1フィン長LAとの合計は、第1バー部51と第2バー部52との間隔Pよりも長い(LB+LA>P)。
【0037】
第2フィン部57の第2バー部52からの長さである第2フィン長LB、及び、第1フィン部56の第4バー部54からの長さである第1フィン長LAは、いずれも第2バー部52と第4バー部54との間隔Pよりも短い(LB<P、LA<P)。第2フィン長LBと第1フィン長LAとは、同じ長さである(LB=LA)。第2フィン長LBと第1フィン長LAとの合計は、第2バー部52と第4バー部54との間隔Pよりも長い(LB+LA>P)。
【0038】
第1フィン部56の配列方向(Z方向)の投影長LZA、及び、第2フィン部57の配列方向(Z方向)の投影長LZBの合計は、非圧縮状態において、第1バー部51と第3バー部53との間隔Pよりも短い(LZA+LZB<P)。このため、非圧縮状態において、第1フィン部56と第2フィン部57との先端の間には、配列方向(Z方向)において隙間Gが設けられている。これにより、第1フィン部56と第2フィン部57とが配列方向(Z方向)において重ならないようになっている。このようなスペーサ13は、安価に製造することができる。
【0039】
第2フィン部57の配列方向(Z方向)の投影長LZB、及び、第1フィン部56の配列方向(Z方向)の投影長LZAの合計は、非圧縮状態において、第1バー部51と第2バー部52との間隔Pよりも短い(LZB+LZA<P)。このため、非圧縮状態において、第2フィン部57と第1フィン部56との先端の間には、配列方向(Z方向)において隙間Gが設けられている。これにより、第2フィン部57と第1フィン部56とが配列方向(Z方向)において重ならないようになっている。このようなスペーサ13は、安価に製造することができる。
【0040】
第2フィン部57の配列方向(Z方向)の投影長LZB、及び、第1フィン部56の配列方向(Z方向)の投影長LZAの合計は、非圧縮状態において、第2バー部52と第4バー部54との間隔Pよりも短い(LZB+LZA<P)。このため、非圧縮状態において、第2フィン部57と第1フィン部56との先端の間には、配列方向(Z方向)において隙間Gが設けられている。これにより、第2フィン部57と第1フィン部56とが配列方向(Z方向)において重ならないようになっている。このようなスペーサ13は、安価に製造することができる。
【0041】
(圧縮状態)
図5に示すように、圧縮状態では、バー部50の右側面は、右側の第1電池セル20Aの面21に接触している。バー部50の左側面には、左側の第2電池セル20Bの面21が接触している。つまり、圧縮状態では、バー部50は、第1電池セル20Aの面21と第2電池セル20Bの面21とによって挟み込まれていることで、積層方向(X方向)において圧縮されている。また、バー部50は、その圧縮に対する反力によって第1電池セル20Aの面21と第2電池セル20Bの面21とを互いに遠ざかる方向へ押圧している。これにより、バー部50によって両隣の電池セル20同士の接触が抑制されている。そして、上下に隣り合う2つのバー部50の間には、スペーサ13の両隣の電池セル20の面21同士が離間する空間15が形成されている。
【0042】
第1バー部51の右側面に右側の第1電池セル20Aの面21が接触していることで、第1バー部51に設けられた第1フィン部56は、右側の第1電池セル20Aの面21によって左側へ押圧されている。この押圧により、第1フィン部56は、右側の第1電池セル20Aの面21に沿って、非圧縮状態のときよりも左側へ撓んだ状態となっている。この撓んだ状態の第1フィン部56は、右側の第1電池セル20Aの面21に沿って上方向へ延出している。そして、撓んだ状態の第1フィン部56は、その撓みの反力により、右側の第1電池セル20Aの面21を右側へ押圧している。
【0043】
第1バー部51の左側面に左側の第2電池セル20Bの面21が接触していることで、第1バー部51に設けられた第2フィン部57は、左側の第2電池セル20Bの面21によって右側へ押圧されている。この押圧により、第2フィン部57は、左側の第2電池セル20Bの面21に沿って、非圧縮状態のときよりも右側へ撓んだ状態となっている。この撓んだ状態の第2フィン部57は、左側の第2電池セル20Bの面21に沿って下方向へ延出している。そして、撓んだ状態の第2フィン部57は、その撓みの反力により、左側の第2電池セル20Bの面21を左側へ押圧している。
【0044】
第2バー部52の右側面に右側の第1電池セル20Aの面21が接触していることで、第2バー部52に設けられた第1フィン部56は、右側の第1電池セル20Aの面21によって右側へ押圧されている。この押圧により、第1フィン部56は、右側の第1電池セル20Aの面21に沿って、非圧縮状態のときよりも左側へ撓んだ状態となっている。この撓んだ状態の第1フィン部56は、右側の第1電池セル20Aの面21に沿って上方向へ延出している。そして、撓んだ状態の第1フィン部56は、その撓みの反力により、右側の第1電池セル20Aの面21を右側へ押圧している。
【0045】
第2バー部52の左側面に左側の第2電池セル20Bの面21が接触していることで、第2バー部52に設けられた第2フィン部57は、左側の第2電池セル20Bの面21によって右側へ押圧されている。この押圧により、第2フィン部57は、左側の第2電池セル20Bの面21に沿って、非圧縮状態のときよりも右側へ撓んだ状態となっている。この撓んだ状態の第2フィン部57は、左側の第2電池セル20Bの面21に沿って下方向へ延出している。そして、撓んだ状態の第2フィン部57は、その撓みの反力により、左側の第2電池セル20Bの面21を左側へ押圧している。
【0046】
第3バー部53の左側面に左側の第2電池セル20Bの面21が接触していることで、第3バー部53に設けられた第2フィン部57は、左側の第2電池セル20Bの面21によって右側へ押圧されている。この押圧により、第2フィン部57は、左側の第2電池セル20Bの面21に沿って、非圧縮状態のときよりも右側へ撓んだ状態となっている。この撓んだ状態の第2フィン部57は、左側の第2電池セル20Bの面21に沿って下方向へ延出している。そして、撓んだ状態の第2フィン部57は、その撓みの反力により、左側の第2電池セル20Bの面21を左側へ押圧している。
【0047】
第4バー部54の右側面に右側の第1電池セル20Aの面21が接触していることで、第4バー部54に設けられた第1フィン部56は、右側の第1電池セル20Aの面21によって左側へ押圧されている。この押圧により、第1フィン部56は、右側の第1電池セル20Aの面21に沿って、非圧縮状態のときよりも左側へ撓んだ状態となっている。この撓んだ状態の第1フィン部56は、右側の第1電池セル20Aの面21に沿って上方向へ延出している。そして、撓んだ状態の第1フィン部56は、その撓みの反力により、右側の第1電池セル20Aの面21を右側へ押圧している。
【0048】
ここで、前述したように、第1フィン部56の第1フィン長LA、及び、第2フィン部57の第2フィン長LBは、いずれも第1バー部51と第3バー部53との間隔Pよりも短い。このため、右側の第1電池セル20Aの面21には、第1バー部51と第3バー部53との間隔Pにおいて、第1フィン部56に覆われていない部分がある。また、左側の第2電池セル20Bの面21には、第1バー部51と第3バー部53との間隔Pにおいて、第2フィン部57に覆われていない部分がある。
【0049】
同様に、第2フィン部57の第2フィン長LB、及び、第1フィン部56の第1フィン長LAは、いずれも第1バー部51と第2バー部52との間隔Pよりも短い。このため、右側の第1電池セル20Aの面21には、第1バー部51と第2バー部52との間隔Pにおいて、第2フィン部57に覆われていない部分がある。また、左側の第2電池セル20Bの面21には、第1バー部51と第2バー部52との間隔Pにおいて、第1フィン部56に覆われていない部分がある。
【0050】
同様に、第2フィン部57の第2フィン長LB、及び、第1フィン部56の第1フィン長LAは、いずれも第2バー部52と第4バー部54との間隔Pよりも短い。このため、左側の第2電池セル20Bの面21には、第2バー部52と第4バー部54との間隔Pにおいて、第2フィン部57に覆われていない部分がある。また、右側の第1電池セル20Aの面21には、第2バー部52と第4バー部54との間隔Pにおいて、第1フィン部56に覆われていない部分がある。
【0051】
よって、スペーサ13の両隣の電池セル20の面21は、バー部50同士の間隔Pにおいて、空間15に露出している部分がある。つまり、スペーサ13の両隣の電池セル20は、発熱時には、空間15へと放熱することができる。空間15は、電池モジュール10において、電池セル20の冷却用の気体が流される冷却用気体の通過経路である。これにより、スペーサ13は、両隣の電池セル20を冷却しつつ、両隣の電池セル20同士の温度差が大きくなることを抑制することができる。
【0052】
また、前述したように、第1フィン部56の第1フィン長LAと第2フィン部57の第2フィン長LBとの合計は、第1バー部51と第3バー部53との間隔Pよりも長い。このため、圧縮状態では、第1フィン部56と第2フィン部57とは、配列方向(Z方向)において重なっている。つまり、第1フィン部56の先端と第2フィン部57の先端とは、重なりLが設けられている。よって、第1フィン部56は、右側の第1電池セル20Aのうち、第2フィン部57によって左側の第2電池セル20Bが押圧を受けていない領域と対向する領域を少なくとも押圧している。第2フィン部57は、左側の第2電池セル20Bのうち、第1フィン部56によって右側の第1電池セル20Aが押圧を受けていない領域と対向する領域を少なくとも押圧している。つまり、スペーサ13の両隣の電池セル20は、バー部50同士の間隔Pでは配列方向(Z方向)において隙間がなく、第1フィン部56及び第2フィン部57の少なくともどちらかにより遠ざかる方向へ押圧されている。また、スペーサ13の両隣の電池セル20同士が、第1バー部51と第3バー部53との間で接触することはない。例えば、両隣の電池セル20が膨張してそれぞれ第1フィン部56及び第2フィン部57を撓ませつつ空間15へと進入したとしても、両隣の電池セル20の間には必ず、第1フィン部56及び第2フィン部57の少なくとも一方が存在する。これにより、スペーサ13は、両隣の電池セル20同士の絶縁を確実に維持することができる。
【0053】
同様に、第2フィン部57の第2フィン長LBと第1フィン部56の第1フィン長LAとの合計は、第1バー部51と第2バー部52との間隔Pよりも長い。このため、圧縮状態では、第2フィン部57と第1フィン部56とは、配列方向(Z方向)において重なっている。つまり、第2フィン部57の先端と第1フィン部56の先端とは、重なりLが設けられている。よって、第2フィン部57は、右側の第1電池セル20Aのうち、第1フィン部56によって左側の第2電池セル20Bが押圧を受けていない領域と対向する領域を少なくとも押圧している。第1フィン部56は、左側の第2電池セル20Bのうち、第2フィン部57によって右側の第1電池セル20Aが押圧を受けていない領域と対向する領域を少なくとも押圧している。つまり、スペーサ13の両隣の電池セル20は、バー部50同士の間隔Pでは配列方向(Z方向)において隙間がなく、第2フィン部57及び第1フィン部56の少なくともどちらかにより遠ざかる方向へ押圧されている。また、スペーサ13の両隣の電池セル20同士が、第1バー部51と第2バー部52との間で接触することはない。例えば、両隣の電池セル20が膨張してそれぞれ第2フィン部57及び第1フィン部56を撓ませつつ空間15へと進入したとしても、両隣の電池セル20の間には必ず、第2フィン部57及び第1フィン部56の少なくとも一方が存在する。これにより、スペーサ13は、両隣の電池セル20同士の絶縁を確実に維持することができる。
【0054】
同様に、第2フィン部57の第2フィン長LBと第1フィン部56の第1フィン長LAとの合計は、第2バー部52と第4バー部54との間隔Pよりも長い。このため、圧縮状態では、第2フィン部57と第1フィン部56とは、配列方向(Z方向)において重なっている。つまり、第2フィン部57の先端と第1フィン部56の先端とは、重なりLが設けられている。よって、第1フィン部56は、右側の第1電池セル20Aのうち、第2フィン部57によって左側の第2電池セル20Bが押圧を受けていない領域と対向する領域を少なくとも押圧している。第2フィン部57は、左側の第2電池セル20Bのうち、第1フィン部56によって右側の第1電池セル20Aが押圧を受けていない領域と対向する領域を少なくとも押圧している。つまり、スペーサ13の両隣の電池セル20は、バー部50同士の間隔Pでは配列方向(Z方向)において隙間がなく、第1フィン部56及び第2フィン部57の少なくともどちらかにより遠ざかる方向へ押圧されている。また、スペーサ13の両隣の電池セル20同士が、第2バー部52と第4バー部54との間で接触することはない。例えば、両隣の電池セル20が膨張してそれぞれ第2フィン部57及び第1フィン部56を撓ませつつ空間15へと進入したとしても、両隣の電池セル20の間には必ず、第2フィン部57及び第1フィン部56の少なくとも一方が存在する。これにより、スペーサ13は、両隣の電池セル20同士の絶縁を確実に維持することができる。
【0055】
図5に示すように、両隣の電池セル20の面21によってフィン部55の先端部が押圧されると、フィン部55の基端部が撓むとともに、フィン部55が押圧される反時計周り(図中矢印方向)にバー部50が若干回転する。バー部50の断面形状は楕円形であるため、バー部50が回転しても、バー部50の角が電池セル20に当たることはない。これにより、バー部50が回転して、バー部50による電池セル20への局所荷重の発生を防ぐことができる。
【0056】
スペーサ13は、電池セル20が何らかの要因で膨張した場合にも、第1フィン部56、第2フィン部57による電池セル20の押圧によって、空間15内への電池セル20の進入を抑制することができる。つまり、スペーサ13は、電池セル20が膨張した場合にも、空間15の積層方向(X方向)の長さが狭くなることを抑制して、空間15を適切に確保することができる。このため、スペーサ13は、電池セル20の膨張により、空間15に流れる冷却用気体の流量が少なくなることを抑制することができる。よって、スペーサ13は、空間15を流れる冷却用気体による電池セル20の冷却機能が低下することを抑制できる。
【0057】
次に、第1実施形態の効果について説明する。
(1-1)第1フィン部56が第1電池セル20Aの面21と接することで第1電池セル20Aの面21との距離を適切に確保することができ、第2フィン部57が第2電池セル20Bの面21と接することで第2電池セル20Bの面21との距離を適切に確保することができる。このため、スペーサ13によって隣り合う電池セル20同士の間の距離を適切に確保することができる。よって、電池セル20同士の間の空間へ放熱が適切に行われ、電池セル20を適切に冷却することができる。また、バー部50の断面形状が、バー部50が回転することによって電池セル20と面接触した状態となる形状である。このため、第1フィン部56及び第2フィン部57が電池セル20に押圧されたことにともない、バー部50が回転してバー部50の角が電池セル20に当たることを抑制することができる。
【0058】
(1-2)バー部50の断面形状が円形である。このため、第1フィン部56及び第2フィン部57が電池セル20に押圧されたことにともないバー部50が回転しても、バー部50の曲面が電池セル20の面21と対向するので、バー部50による電池セル20への局所荷重の発生を防止することができる。
【0059】
(1-3)バー部50の断面形状が楕円形であって、楕円の外周の角度の小さい部分が電池セル20と接するので、バー部50と電池セル20との接触範囲を円形よりも広くすることができる。
【0060】
(第2実施形態)
以下、
図6及び
図7を参照して、電池モジュール及びスペーサの第2実施形態について説明する。この実施形態の電池モジュール及びスペーサは、空間形成部が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0061】
(空間形成部13A)
次に、
図6及び
図7を参照して、空間形成部13Aについて詳細に説明する。
図6及び
図7は、スペーサ13の空間形成部13Aの断面図である。
図6は、非圧縮状態の空間形成部13Aを両隣の電池セル20とともに示している。
図7は、圧縮状態の空間形成部13Aを両隣の電池セル20とともに示している。
【0062】
図6に示すように、バー部60は、上から順に、第3バー部63、第1バー部61、第2バー部62、第4バー部64を有している。これらバー部60の積層方向(X方向)の断面形状は、第1フィン部66及び第2フィン部67が電池セル20に押圧されたことでバー部60が回転することによって電池セル20と面接触した状態となる形状である。具体的には、バー部60の断面形状は、互いに対向する二辺を含む形状である。バー部60の断面の対向する二辺は、第1フィン部66及び第2フィン部67が電池セル20に押圧されたことでバー部50が回転することによって電池セル20の面と平行である。フィン部65は、第1フィン部66、第2フィン部67、第3フィン部68、第4フィン部69を有している。
【0063】
第1バー部61には、第1フィン部66と、第2フィン部67と、が設けられている。第1フィン部66は、第1実施形態の第1フィン部56と同様である。第2フィン部67は、第1実施形態の第2フィン部57と同様である。
【0064】
第2バー部62には、第3フィン部68と、第4フィン部69と、が設けられている。第3フィン部68は、第1実施形態の第3フィン部58と同様である。第4フィン部69は、第1実施形態の第4フィン部59と同様である。
【0065】
第3バー部63には、第4フィン部69が設けられている。第4フィン部69は、第1実施形態の第4フィン部59と同様である。
第4バー部64には、第1フィン部66が設けられている。第1フィン部66は、第1実施形態の第1フィン部56と同様である。
【0066】
図7に示すように、両隣の電池セル20の面21によってフィン部65の先端部が押圧されると、フィン部65の基端部が撓むとともに、フィン部65が押圧される反時計周り(図中矢印方向)にバー部60が若干回転する。バー部60の断面形状は互いに対向する二辺を含む形状であるため、バー部60が回転しても、バー部60の角が電池セル20に当たることを抑制することができる。これにより、バー部60が回転して、バー部60の角による電池セル20への局所荷重の発生を抑制することができる。
【0067】
スペーサ13は、電池セル20が何らかの要因で膨張した場合にも、第1フィン部66、第2フィン部67、第3フィン部68、及び第4フィン部69による電池セル20の押圧によって、空間15内への電池セル20の進入を抑制することができる。つまり、スペーサ13は、電池セル20が膨張した場合にも、空間15の積層方向(X方向)の長さが狭くなることを抑制して、空間15を適切に確保することができる。このため、スペーサ13は、電池セル20の膨張により、空間15に流れる冷却用気体の流量が少なくなることを抑制することができる。よって、スペーサ13は、空間15を流れる冷却用気体による電池セル20の冷却機能が低下することを抑制できる。
【0068】
次に、第2実施形態の効果について説明する。
(2-1)第1フィン部66及び第2フィン部67が第1電池セル20Aの面21と接することで第1電池セル20Aの面21との距離を適切に確保することができ、第3フィン部68及び第4フィン部69が第2電池セル20Bの面21と接することで第2電池セル20Bの面21との距離を適切に確保することができる。このため、スペーサ13によって隣り合う電池セル20同士の間の距離を適切に確保することができる。よって、電池セル20同士の間の空間へ放熱が適切に行われ、電池セル20を適切に冷却することができる。また、バー部60の断面形状が、バー部60が回転することによって電池セル20と面接触した状態となる形状である。このため、第1フィン部66及び第2フィン部67が電池セル20に押圧されたことにともない、バー部60が回転してバー部60の角が電池セル20に当たることを抑制することができる。
【0069】
(2-2)バー部60の対向する二辺が電池セル20の面と平行である。このため、第1フィン部66及び第2フィン部67が電池セル20に押圧されることにともないバー部60が回転すると、バー部60の面と電池セル20の面21とが平行となり、バー部60の角が電池セル20に当たることを抑制することができる。
【0070】
(他の実施形態)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0071】
・上記各実施形態では、バー部の配列方向を電池セル20の上下方向(Z方向)とした。しかしながら、バー部の配列方向は、電池セル20の幅方向(Y方向)であってもよい。また、バー部の数は、適宜変更可能である。
【0072】
・上記各実施形態の適用対象は、ニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の電池の種類については特段の限定はない。
【符号の説明】
【0073】
10…電池モジュール
11…ロアケース
11A…フロア部
11B…エンドウォール部
13…スペーサ
13A…空間形成部
13B…空間形成部
13C…空間形成部
14…エンドプレート
15…空間
20…電池セル
20A…第1電池セル
20B…第2電池セル
21…面
50…バー部
51…第1バー部
52…第2バー部
53…第3バー部
54…第4バー部
55…フィン部
56…第1フィン部
57…第2フィン部
60…バー部
61…第1バー部
62…第2バー部
63…第3バー部
64…第4バー部
65…フィン部
66…第1フィン部
67…第2フィン部
LA…第1フィン長
LB…第2フィン長