IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バイオリージェンシー インコーポレイテッドの特許一覧

特開2023-17805神経学的状態検出のためのS100β及びアイソフォーム
<>
  • 特開-神経学的状態検出のためのS100β及びアイソフォーム 図1
  • 特開-神経学的状態検出のためのS100β及びアイソフォーム 図2
  • 特開-神経学的状態検出のためのS100β及びアイソフォーム 図3
  • 特開-神経学的状態検出のためのS100β及びアイソフォーム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023017805
(43)【公開日】2023-02-07
(54)【発明の名称】神経学的状態検出のためのS100β及びアイソフォーム
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/68 20060101AFI20230131BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20230131BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20230131BHJP
   C12Q 1/6813 20180101ALN20230131BHJP
   C12Q 1/6851 20180101ALN20230131BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALN20230131BHJP
【FI】
G01N33/68
C12Q1/02 ZNA
G01N33/53 D
C12Q1/6813 Z
C12Q1/6851 Z
C12Q1/686 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022169855
(22)【出願日】2022-10-24
(62)【分割の表示】P 2019563344の分割
【原出願日】2018-02-07
(31)【優先権主張番号】62/455,787
(32)【優先日】2017-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519285167
【氏名又は名称】バイオリージェンシー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】弁理士法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラーナー,ステファン エフ.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】対象における外傷性脳損傷または脳卒中を生体外で検出する方法を提供する。
【解決手段】外傷性脳損傷または脳卒中に罹患していることが疑われる対象から得られた体液サンプル中の、外傷性脳損傷または脳卒中に関連する1以上のバイオマーカーの量を測定することであって、該バイオマーカーがS100β7又はS100β8である、測定することと、測定したバイオマーカーの量を、健常者における当該バイオマーカー量と比較して、対象の外傷又は状態を決定することを含む、方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号7の核酸配列と50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列を含む組成物。
【請求項2】
配列番号7の核酸配列と50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるペプチドに対して産生された抗体を含む組成物。
【請求項3】
配列番号7の核酸配列と50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列を含む組成物。
【請求項4】
配列番号8の核酸配列と50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるペプチドに対して産生された抗体を含む組成物。
【請求項5】
対象又は対象の細胞から一度目に得られたサンプルの、S100β7、 S100β8及び配列番号7-8の核酸配列と50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるバイオマーカー、並びにこれらの分解物から成る群から選択された1又はそれ以上のバイオマーカーの量を測定することと、
前記バイオマーカーの通常レベルと前記バイオマーカーの量を比較して対象の損傷や状態を決定することとを含む、
対象の損傷や状態を決定する方法。
【請求項6】
前記サンプルが脳脊髄液(CSF)、血液、血漿、血清、唾液又は尿である請求項5の方法。
【請求項7】
二度目に前記バイオマーカーの第二の量を測定して前記バイオマーカーの動力学的プロフィールを得ることをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
(a)対象から単離されたサンプルを保持する基体、
(b)S100β7又は S100β8の核酸配列と50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である単離された核酸及びそれらの分解物並びにそれらに対するその抗体から成る群から選択された1又はそれ以上のバイオマーカーと特異的に相互作用する1又はそれ以上の剤、並びに
(c)対象における神経学的状態を診断するための剤サンプル(agent sample)又はサンプルの一部の反応に関する印刷された説明書、
を含む請求項5に記載の方法を用いるためのキット。
【請求項9】
1又はそれ以上の剤が配列番号7-8の核酸配列と50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるペプチドに対して産生された抗体である、請求項8に記載のキット。
【請求項10】
配列番号7-8のアミノ酸配列と特異的に結合する単離された抗体。
【請求項11】
配列番号7-8の核酸配列と50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるペプチドに対して産生された抗体と前記サンプルを接触させることと、
前記抗体に結合するタンパク質を検出することとを含む、
サンプルにおける神経細胞損傷に起因するタンパク質の存在を検出するための方法。
【請求項12】
対象の体液又は細胞からサンプルを得ることと、
配列番号7-8の核酸配列と50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるペプチドに対して産生された抗体と前記サンプルを接触させることと、
前記抗体と結合している前記サンプルタンパク質を検出することとを含み、前記抗体と結合しているタンパク質の存在が神経細胞損傷を引き起こす病気や損傷を示している、
神経細胞損傷を引き起こす病気や損傷の生体外診断法。
【請求項13】
配列番号7-8の核酸配列と50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である単離された核酸配列を前記サンプルと接触させることと、
前記タンパク質と結合する自己抗体を検出することとを含む、
サンプル内における神経細胞損傷に由来する自己抗体の存在を検出する方法。
【請求項14】
対象から体液又は組織を得ることと、
配列番号7-8のアミノ酸配列を持つタンパク質と前記サンプルを接触させることと、
前記サンプル自己抗体を検出することとを含み、前記タンパク質に結合する自己抗体の存在が、神経細胞の損傷を引き起こす病気又は損傷を示している、
神経細胞損傷を引き起こす病気や損傷の生体外診断法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2017年2月7日に出願された米国仮出願62/455,787からの優先権を主張する。
【0002】
本発明はバイオマーカーの検出のための組成物と抗体に関する。詳細には、本発明はバイオマーカー同定を支援するための方法、プロセス、キット、生体内診断機器に加え、合成組成物を提供する。
【背景技術】
【0003】
S100カルシウム結合タンパク質B(S100β)はS-100タンパク質ファミリータンパク質である。S100タンパク質は幅広い種類の細胞の細胞質基質や核に存在し、細胞周期の進行や分化といった多数の細胞プロセスの制御に関わっている。星状細胞に多く存在することから、S100βは外傷性脳障害、腫瘍、アルツハイマー病、ダウン症症候群、てんかん、筋萎縮性側索硬化症を含む中央神経系(CNS)の損傷や状態の診断や予測のための重要なマーカーとして同定され研究されてきた。しかしながら、S100βは脂肪細胞、骨格筋、心臓、軟骨細胞、表皮細胞を含む複数の非神経組織においても発現するということが分かっている。従って、これらのS100β非神経源は上昇源として除外されることはできず、かくしてあらゆる状態においてS100βの診断アッセイを臨床的に検証することを妨げている。
【0004】
細胞内で細胞学的機能が未だいくらか不明瞭なところがあるものの、S100βは様々な種類の細胞活動と細胞形態制御に関わっている(Goncalvesら,2008,Kleindienst & Bullock 2006)。しかしながら、S100βは細胞外に放出されると濃度に応じて毒性/変性と栄養/修復の役割を担うことが知られている(Goncalvesら、2008)。
【0005】
多くの細胞タイプに豊富に存在することから、特異性が欠如しているため、S100βをあらゆる状況でもバイオマーカーとして用いることは大抵困難である。このため、S100βは歴史的に複数の外傷環境の状況で発生する多くの状態の実行可能なバイオマーカーとしては機能していなかった。例えば、S100βはヒトのメラニン細胞にも存在し、生体細胞内と血清内の双方においてメラノーマ悪性腫瘍の信頼できるマーカーである。また、S100βにより軟部組織損傷、骨損傷、敗血症のような臓器損傷を引き起こす他の病気に加え、肝臓損傷、大腿骨骨折、心筋梗塞といった非神経外傷もさらに予測可能である。したがって、特定の状態の尺度としてのS100βの信頼性は、傷害のタイプとアッセイの特異性に依存する。
【0006】
豊富にあるとはいえ、S100βは非常に繊細なバイオマーカーの傾向があり、多種類の損傷や疾患を診断するための可能性のある候補としてみられている。S100βが診断に役立つことがわかっているこのような損傷の1つは、CNSの損傷である。例えば、S100βレベルの上昇は神経病理的状況であるTBI又は神経変性の病気の存在を反映することがわかっている。その潜在的な臨床使用は、CNS損傷、つまり神経画像処理、脳脊髄液圧、他の脳分子マーカー(NSEとGFAP)の変化の予知の程度のために基準様式によって実証されている。
【0007】
S100βがCNS検出の最も主要な候補であるとする要因は複数ある。はじめに、患者の正常なS100βレベルは主要なCNS病理学を確実に排除するということが分かっている。さらに、脳内圧、神経画像処理、神経学的検査所見の検出可能な変化に先立って、レベルが上昇するということが報告されている。さらに、S100βレベルはてんかんの前に上昇することは、血液脳関門(BBB)の漏出はてんかんの発症の初期の事象である可能性を示唆していることも分かっている。S100βのバイオマーカーとしての重要な用途は、さらなる神経放射性学的評価を必要としない軽度の頭部損傷患者の選別である。CTスキャンとS100βレベルを比較した研究によると、0.12ng/mL未満のS100β値は低リスクの神経放射性学的変化(例えば、頭蓋内出血又は脳腫脹)又は重要な臨床後遺症に関連していることを示している。
【0008】
特定された一つの問題は、S100βが広く存在しているために、S100βの特異性が欠如していることである。もともとはCNS内のアストログリアに特異的に存在すると考えられているが、S100βは脂肪細胞、軟骨細胞、骨髄細胞のような他の脳外細胞に存在する(Donato 2001)。したがって、多くの要因がCNS病理を検出する第一候補であると示唆しているにもかかわらず、S100βはCNSには非特異的であるというのが一般的に受け入れられている理論である。結果として、異なる臓器タイプに特異的であるS100βのアイソフォームが、もし特定されれば、差動的に臓器に特異的な障害を診断するので、非常に特異的なS100βアッセイを提供する。したがって、多発外傷環境においても、特定の臓器損傷に敏感である損傷特異的S100βアッセイは必要だが未対処である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は組成物、抗体及びそれに関連した抗原、方法、キット、及び複数の障害及び/又は疾患単独を被う、又は複数外傷の環境下の患者サンプル内に差次的に存在するタンパク質マーカーを検出するために特異的にデザインされた生体内診断過程を提供する。発明の組成物はSEQ ID NO.7及びSEQ ID NO.8の核酸配列と50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一の単離された核酸配列である。これらの組成物、組成物に対して産生された抗体は、其々の外傷タイプを示唆するバイオマーカーの量を検出し特定することによって、対象や複数外傷環境下に存在する可能性がある無数の外傷や疾患の診断するのを助ける、敏感で特異的、早く、非侵攻性の方法を提供することを補助する。患者サンプル内においてこれらのマーカーを単独又は障害のタイプによって他のマーカーと共に測定することは、診断医が可能性のある障害の範囲の診断と関連付けることを可能にする情報を提供する。
【0010】
本発明はさらに、対象が特定の外傷、バイオマーカーの計測に先立ち多発外傷を患っている場合であっても、外傷と疾患を検出するための生体外診断過程とキットを提供する。
【0011】
本発明の他の態様は以下に記述されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は血清中のS100βのアイソフォームを検出する2Dゲルを示し、それぞれS100βアイソフォーム、S100β7-S100βを表す配列番号7及び配列番号8の核酸配列と50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一の単離された核酸配列の捕捉を示している。
【0013】
図2図2は、配列番号7及び配列番号8の核酸配列と50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%を持つ単離されたS100βcDNAのエキソン2、エキソン3、エキソン4の核酸配列に対応するペプチドに対する抗体を生成する方法を示す。
【0014】
図3図3は配列番号7及び配列番号8の核酸配列形態のエキソン配列を示す。同定されたアイソフォームは、そのアイソフォームのシークエンスをストップコドン(TGA,TAG核酸配列)まで完成するエキソン1、エキソン2及びエキソン3(S100B7)又はエキソン4(S100B8)の一部を含む。
【0015】
図4図4は完全なS100β mRNAの様々なエキソンの位置を示す。エキソンはエキソン1、エキソン2、そしてストップコドンTGAまでのエキソン3又はストップコドンTGA又はTAGまでのエキソン4を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、被験者の損傷又は異常状態の診断及び管理において有用であり、損傷又は状態は単独であるか、又は他の一連の損傷又は障害との組み合わせである。S100β7又はS100β8の核酸配列と50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である、単離された核酸単独、又は互いの組み合わせ又は1又はそれ以上の該技術分野において周知である追加バイオマーカーのような、対象からの生物学的サンプルにおけるバイオマーカーを計測することを通して、患者の外傷又は状態の決定は、複数外傷患者においてさえも、それまでに達成可能だったものよりもより特異的に提供される。本記述はS100β7又はS100β8の核酸配列と50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である、単離された核酸から選択されたS100βの最初のアイソフォームに直接向けられている。驚くべきことに、S100β1からS100β8までの1又はそれ以上のバイオメーカーの検出を組み合わせることで複数の外傷が同時に診断され、他と区別され得る。
【0017】
本明細書で使用される「診断する」という用語は、神経学的又は外傷又は疾患などの他の状態の有無を見分けることを意味する。診断はバイオマーカーの特定の比率又は割合が検出される又は検出されない、アッセイの結果として任意に参照される。
【0018】
本明細書で使用される「比率」は、標的のレベルが第2の試料中の標的よりも大きい、又は同じ標的の既知又は認識されたベースラインレベルに対する正の比率である。負の比率は、ターゲットのレベルが2番目のサンプルのターゲットより低いか、同じターゲットの既知又は認識されているベースラインレベルと比較して低いことを表す。中立の比率とは、標的バイオマーカーにおける変化が見られなかったことを言う。
【0019】
本明細書で使用される外傷とは、細胞又は分子の完全性、活性、レベル、強さ、状態、又は事象に対して追跡可能な他の変異における変異である。外傷の実例としては、物理学的、力学的、化学的、生物学的、機能的、感染性、又は他の細胞又は分子修復的といった特徴を持つ。事象の実例としては、衝撃などの身体的外傷又は血管の閉塞又は漏出に起因する脳卒中のような生物学的異常をいう。事象は感染性病原体により任意に感染することをいう。当業者は外傷又は事象という言葉により含まれる同等の多数の事象を認識する。外傷は任意の衝撃といった物理学的事象をいう。外傷はパーキンソン病、アルツハイマー病、ALSなどのような疾患又は遺伝的異常がさらに含まれる場合がある。
【0020】
値の範囲が記載される場合、範囲は値の範囲の最終値だけではなく、明示的に範囲内に含まれ、範囲の最後の有効数字によって変化する範囲の中間値も含む。例として、1から4の範囲は列挙された1から2、1から3、2から4、3から4、1から4を含むことを意図している。
【0021】
一般事項
本発明は、物質の組成物、抗体及びそれに関連する抗原、方法、キット、及びいくつかの傷害及び/又は障害のうちの1つを単独で患っている、又は複数の外傷環境下の患者のサンプルに、特異的に存在するタンパク質マーカーを検出するために特に使用されるインビトロ診断プロセスを提供する。本発明の組成物は、配列番号の核酸配列 7及び配列番号 8の核酸配列と50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有する単離された核酸配列として同定されたものである。これらの組成物、及びこのような組成物に対して生成された抗体は、複数の外傷環境が発生した場合でも、それぞれの損傷タイプを示すバイオマーカーの量を検出及び決定することで、被験者に存在する可能性のある無数の傷害及び/又は障害の診断を支援するための高感度、特定、迅速、非侵襲的な方法の提供を支援する。患者サンプルにおけるこれらのマーカーを単独、又は傷害タイプによって他のマーカーと組み合わせて測定することで、診断者が傷害の程度の推定診断と相関できる情報が得られる。
【0022】
組成物
バイオマーカー及び特定の損傷又は状態の1つ又はそれ以上の他のバイオマーカーの存在について生物学的サンプルを分析するには、抗体ベースのアッセイが好ましい。適切なウエスタンブロット法は、以下の例のセクションで説明されている。より迅速な分析(緊急医療状況で重要な場合のような)には、免疫吸着アッセイ(ELISAやRIAなど)及び免疫沈降アッセイを使用できる。
【0023】
本明細書に記載の試薬は、対象における自己免疫応答の一部として形成された抗体を検出するためのタンパク質、ペプチド配列又は任意の抗原に対する任意の抗体であり得る。特に、これらの検出方法及びデバイスに使用される抗原の場合、それらは、対象の自身の組織によって、細胞、組織、又は内部で形成される臓器の天然タンパク質に対する自己免疫応答として産生された抗体を検出するために生成されるタンパク質又はペプチドであり得る 。好ましくは、これらの抗原は、抗体が生成される、生成された、又は生成される定義されたアイソフォームのそれぞれについて以下の配列を有するペプチドである。
【0024】
配列番号 1は公的(LOCUS NP_006263 92; CAG46920、aa(分子量約10,713ダルトン)線形、DEFINITIONタンパク質S100β[ホモサピエンス]、ACCESSION NP_006263 VERSION NP_006263.1 GI:5454034又はGI:4957424 DBSOURCE REFSEQ:アクセッション NM_006272.2; emblアクセッションCR542123.1)に認められており、一般的に言及されている、又は現在当技術分野において認められている全S100β研究にリンクされた一般的な配列である。当技術分野でこれまで知られていなかった複数のアイソフォームが最近の発見されたため、科学研究コミュニティ内の慣習に従って、従来の名前S100βを必然的にS100β1に変更する必要がある。このペプチド、又はこのペプチドに対して生じた抗体は、特定の傷害又は障害に特異的ではないと当技術分野で認識されている。この核酸配列は、エキソン1とエキソン2のスプライシングの結果であるように、次のアミノ酸配列を持つことが知られている。MSELEKAMVALIDVFHQYSGREGDKHKLKKSELKELINNELSHFLEEIKEQEVVDKVMETLDNDGDGECDFQEFMAFVAMVTTACHEFFEHE
【0025】
配列番号2は、米国特許出願S / N:14 / 293,758で特定された最初の組成物であり、 エキソン1、エキソン2、新しく発見されたヒト核酸配列のエキソン3の結果として形成され、したがって、核酸配列の翻訳の結果としてのタンパク質はS100β2と名付けられる。タンパク質S100β2は、推定11,295ダルトンの分子量を持つことがわかっており、次のアミノ酸配列を持つことがわかっている。
MSELEKAMVALIDVFHQYSGREGDKHKLKKSELKELINNELSHFLEEIKEQEVVDKVMETLDNDGDGECDFQEFMAFVAMRRSCKKADSKGLQPSRS
【0026】
配列番号3は、ヒト核酸配列のエキソン1(切断された)及びエキソン3の結果として形成され、米国特許出願S / N:14 / 293,758で特定された2番目の組成物であり、核酸配列の翻訳の結果であるタンパク質は S100β3と命名される。 約2,750ダルトンの分子量を持つことがわかっているペプチドS100β3は、次のアミノ酸配列を持つことがわかっている。
MSELEKAMRRSCKKADSKGLQPSRS
【0027】
配列番号4は、ヒト核酸配列のエキソン1(切断)及びエキソン2の結果として形成される、米国特許出願第14 / 293,758号で特定される3番目の組成物であり、したがって 核酸配列の翻訳の結果としてタンパク質はS100β4と命名される。 約5,950ダルトンの分子量を持つことがわかっているペプチドS100β4は、次のアミノ酸配列を持つことがわかっている。
MSELEKAMEIKEQEVVDKVMETLDNDGDGECDFQEFMAFVAMVTTACHEFFEHE
【0028】
配列番号5は、米国特許出願第14 / 293,758号で特定された物質の組成物の4番目であり、エキソン1(切断)、エキソン2(切断#1)及びエキソン3の結果として形成される。 ヒト核酸配列、したがって、核酸配列の翻訳の結果としてのタンパク質は、S100β5と名付けられる。 約6,500ダルトンの分子量を持つことがわかっているペプチドS100β5は、次のアミノ酸配列を持つことがわかっている。MSELEKAMEIKEQEVVDKVMETLDNDGDGECDFQEFMAFVAMRRSCKKADSKGLQPSRS
【0029】
配列番号6:ヒト核酸のエキソン1、エキソン2(切断された#2)及びエキソン3の結果として形成された米国特許出願S / N:14 / 293,758で特定された5番目の組成物であり、したがって、核酸配列の翻訳の結果としてのタンパク質は、S100β6と名付けられる。分子量~7,600ダルトンを持つことがわかっているペプチドS100β6は、次のアミノ酸配列を持つことがわかっている。MSELEKAMVALIDVFHQYSGREGDKHKLKKSELKELINNELSHFLEEIKEQERRSCKKADSKGLQPSRS
【0030】
配列番号7は、ヒト核酸配列のエキソン1、新たに発見されたエキソン2及びエキソン3bの結果として形成されるいくつかの新たに発見された組成物の最初のものであり、したがって、 核酸配列の翻訳の結果であるタンパク質はS100β7と名付けられている。ペプチドS100β7の分子量は約10,342.75ダルトンであることが判明しており、以下の配列又は前記配列と少なくとも10%相同であるか、又は任意の前記配列の一部を持つことが判明している。
MSELEKAMVALIDVFHQYSGREGDKHKLKKSELKELINNELSHFLERWSLPMLPRLVSNFLCSSYPPALASQSAGITGNQRAGGCGQSHGNTGQ
【0031】
配列番号8はヒト核酸配列のエキソン1、新たに発見されたエキソン2及びエキソン4aの結果として形成されたいくつかの新たに発見された5番目の組成物であり、したがって、 核酸配列の翻訳の結果であるタンパク質はS100β8と名付けられている。 10,281.8ダルトン以下の分子量を有することが判明したペプチドS100β8は、以下の配列又は前記配列と少なくとも10%相同であるか、又は任意の前記配列の一部を有することが判明している。MSELEKAMVALIDVFHQYSGREGDKHKLKKSELKELINNELSHFLERWSLPMLPRLVSNFLCSSYPPALASQSAGITETVMQESRQQGLAA
【0032】
上記の配列はヒトポリペプチド配列に見られるS100βアイソフォームだが、同様のアイソフォームはラット、マウス、ウサギ、ウシ、チャイニーズハムスター、アカゲザル、ゼブラフィッシュ、ヤギ、鶏、犬、 飼い猫、ブタ、及びヒトS100βと同様の配列アライメントを持つ他の種においても利用可能である。これらの代替配列は、本明細書に記載の本発明のプロセス、方法、アッセイ、及びインビトロ診断デバイスで置換され得る。さらに、これらのタンパク質の発見は複数外傷患者の傷害の診断における画期的な発見であるが、重要な他の組成物は、配列番号7~8の核酸配列に対して、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一である核酸配列によって表されるペプチド配列のいずれかに対して生じる抗体、又はラット、マウスに対して産生された抗体、ウサギ、ウシ、チャイニーズハムスター、アカゲザル、ゼブラフィッシュ、ヤギ、ニワトリ、イヌ、飼い猫、ブタ、及び同様の配列アラインメントの他の類似種の化合物に対して生じる抗体である。
【0033】
抗体は選択的にラベルされる。当業者は、本明細書で動作可能な多数のラベルを認識する。ラベルとラベリングキットは市販されている。標識には、例示的に、蛍光標識、ビオチン、ペルオキシダーゼ、放射性ヌクレオチド、又は当技術分野で知られている他の標識が含まれる。あるいは、別の抗体又は当該分野で公知の他の化合物の検出種は、抗体が結合するバイオマーカーの形態検出として使用される。抗体が酵素、フルオロフォア、放射性同位体などの検出可能な標識と直接結合している場合、検出可能な標識の基質を調べることにより、標識の存在を任意に検出する。あるいは、マーカー特異的抗体に結合する検出可能に標識された二次抗体が基質に加えられる。
【0034】
新規のエキソン2及び3a及び4aのペプチド配列の抗原性が低いため、抗体を作成するためのマウスの応答を生成するより良い方法が必要であった。その結果、少なくとも1つの実施形態では、修正された新規MAP(多重抗原ペプチド)システムが使用された。そのような実施形態では、 図2は修正MAP法の新規かつ明確な修正の基礎を示している。
【0035】
多重抗原ペプチド(MAP)デンドリマーシステムは、より強い免疫応答の誘導を増加させ、酵素分解を減少させ、抗体生成のための抗原ペプチドに対する分子認識を高める4つのセクションを有する。分岐リジンのコア足場からなるMAPコアは、一端に結合した裸の細胞貫通性ペプチドと、もう一端に結合したペプチドエピトープのいくつかのコピーを持つ。機能性と免疫刺激を高めるために、親油性部分がペプチドエピトープに結合している。MAPシステムは疎水性であり、抗体を生成するために通常使用される動物への投与に生体適合性のあるエマルジョン媒体での製剤が必要である。必要なエマルジョン媒体は、ペプチド配列内のメチオニン、システイン、及びトリプトファンを酸化しないが、それらの疎水特性を処理できるものである。
【0036】
バイオマーカー法
生体試料中のバイオマーカーの単独又は組み合わせの有無を検出するための例示的なプロセスは、ヒトなどの対象から生体試料を得ること、生体試料を検出可能な化合物又は薬剤と接触させること、分析されるマーカーの検出、 例示的に抗体又はアプタマーを含むこと、及び洗浄後のサンプルへの化合物又は薬剤の結合の分析することを含む。化合物又は薬剤に特異的に結合したサンプルは、分析中のマーカーを発現する。
【0037】
本発明はさらに、1又はそれ以上のバイオマーカーの量を非損傷患者の正常レベルと比較して、対象の損傷又は状態を決定するステップを提供する。追加のバイオマーカーを選択することにより、異常な臓器又は身体状態に関係する細胞の種類、ならびに細胞死のタイプを特定できることが理解される。本発明のプロセスの実施は、医師が適切な治療薬を決定し、多外傷シナリオで特定の状態に苦しむ対象の最適な利益のために投与し、他の測定された障害のために他の治療と組み合わせて投与できる治療を選択するのに役立つ試験を提供する。
【0038】
マーカーの検出のための生体外技術には、例示として、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、放射性免疫測定法、放射測定法、ウエスタンブロット、サザンブロット、ノーザンブロット、免疫沈降、免疫蛍光、質量分析、RT-PCR、PCR、液体クロマトグラフィー、 高速液体クロマトグラフィー、酵素活性アッセイ、細胞アッセイ、ポジトロン放出断層撮影、質量分析、それらの組み合わせ、又は当技術分野で知られている他の技術が含まれる。さらに、マーカーを検出するための生体内技術には、マーカーを生物学的サンプル又は被験者に特異的に結合する標識薬剤を導入することが含まれる。
【0039】
これらの基本的な免疫測定法の様々な順序の変更も本発明において有効である。これらの方法には、サンプルが基質に固定されているのとは対照的に、バイオマーカー特異的抗体が含まれ、基質は抗体の標識マーカーへの結合を引き起こす条件下で検出可能な標識と結合したバイオマーカーと接触する。次いで、分析されたマーカーが抗体へ結合することを可能にする条件下で、基質をサンプルと接触させる。洗浄後の基板上の検出可能なラベルの量の減少は、サンプルにマーカーが含まれていることを示している。
【0040】
その広範な特徴のために抗体は本発明での使用に好ましいが、バイオマーカーに特異的に結合する他の適切な薬剤(例えば、ペプチド、アプタマー、又は小さな有機分子)は、上記の免疫測定法において抗体の代わりに任意に使用される。例えば、S100β7及び/又は1又はそれ以上の他のS100βタンパク質アイソフォーム又は同じペプチドに特異的に結合するアプタマーを使用することができる。アプタマーは、特定のリガンドに結合する核酸ベースの分子である。特定の結合特異性を有するアプタマーを作成する方法は、米国特許第5,475,096 、5,670,637、5,696,249、 5,270,163、 5,707,796、5,595,877、 5,660,985、5,567,588、 5,683,867、 5,637,459、及び6,011,020号に詳述されている。
【0041】
キット
さらに別の態様では、本発明は、特定の傷害、傷害の重症度、細胞内局在及び/又は特定の障害の診断を支援するキットを提供し、キットは本発明のマーカーを検出するために使用することができる。例えば、キットは、本明細書に記載の任意の1又はそれ以上のマーカーを検出するために使用でき、これらのマーカーは、患者及び正常な被験者のサンプルそれぞれに存在する。本発明のキットには多くの用途がある。たとえば、キットを使用して、被験者が敗血症、骨の損傷、筋肉又は組織の損傷、又は脳の損傷があるかどうかを区別できる。別の例では、キットを使用して、生体外又は生体内動物モデルで1又はそれ以上のマーカーの発現を調節し、治療の効果を決定する化合物を同定することができる。
【0042】
一実施形態では、キットは、(a)マーカー(捕捉剤)に特異的に結合する抗体、及び (b)マーカーの量を検出するための検出剤を含む。そのようなキットは、上記の材料から調製することができ、材料に関する以前の議論(例えば、抗体、検出試薬、固定化支持体など)は、このセクションに完全に適用可能であり、繰り返さない。必要に応じて、キットはさらに分画前スピンカラムを含んでもよい。 一実施形態では、キットは、ラベル又は別個の挿入物の形態の適切な動作パラメータの説明書をさらに含むことができる。
【0043】
一実施形態では、本発明は、本発明のペプチドの抗原を含む血清のスクリーニングに使用する診断キットを含む。これらの抗原は、配列番号7-8の核酸配列と50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有する核酸分子によって表されるペプチドのいずれかであり得る。診断キットは、ペプチド又はポリヌクレオチド抗原と特異的に免疫反応する実質的に単離された抗体と、ポリヌクレオチド又はペプチド抗原の抗体への結合を検出する手段を含む。一実施形態では、抗体は固体支持体に付着している。本発明のキットで使用される抗体は、配列番号7~8の50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%を有する核酸分子によって表されるペプチドのいずれかに対して生じる抗体である。診断キットは、ペプチド又はポリヌクレオチド抗原と特異的に免疫反応する実質的に単離された抗体と、ポリヌクレオチド又はペプチド抗原の抗体への結合を検出する手段を含む。一実施形態では、抗体は固体支持体に付着している。本発明のキットで使用される抗体は、配列番号7~8の50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98% 又は99%を有する核酸分子によって表されるペプチドのいずれかに対して生じる抗体である。一実施形態では、抗体は、本明細書に記載のS100βのアイソフォームのラット、ウサギ又はヒト品種に対して産生されたモノクローナル又はポリクローナル抗体である。キットの検出手段には、標識された二次モノクローナル又はポリクローナル抗体が含まれる。あるいは、又はそれに加えて、検出手段は、標識された競合抗原を含む。
【0044】
必要に応じて、キットは標準又は制御情報をさらに含み、試験サンプルを制御情報標準と比較して、サンプルで検出されたマーカーの試験量が特定の損傷の診断と一致する診断量 、損傷の重症度、細胞内局在、特定の障害、及び/又は患者に対する治療の作用であるかどうかを判断できるようにすることができる。
【0045】
一実施形態では、キットは(a)配列番号 7又は配列番号 8の50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%を有する核酸分子のバイオマーカーを検出するための少なくとも1つの薬剤及び(b)サンプルを吸着剤と接触させ、マーカー又は生物学的サンプルを検出することにより、マーカーを検出するための指示を含む。いくつかの実施形態では、キットは、溶離液(代替として、又は指示と組み合わせて)又は溶離液を作成するための指示を含むことができ、吸着剤と溶離液の組み合わせは、気相イオン分光法を使用したマーカーの検出を可能にする。そのようなキットは、上記の材料から調製することができ、これらの材料の以前の議論(例えば、プローブ基板、吸着剤、洗浄液など)は、このセクションに完全に適用可能であり、繰り返さない。
【0046】
一実施形態において、キットは、その上に吸着剤(例えば、吸着剤で官能化された粒子)を含む第1基板と、第1基板を配置してガス位相イオン分光計に取り外し可能に挿入可能なプローブを形成できる第2基板とを含む。 あるいは、キットは、基材上に吸着剤を備えた取り外し可能に挿入可能なプローブの形態である単一の基板を含んでもよい。 キットはさらに、分画前スピンカラム(例えば、シバクロンブルーアガロースカラム、抗HSAアガロースカラム、サイズ排除カラム、Q-陰イオン交換スピンカラム、一本鎖DNAカラム、レクチンカラムなど)を含んでもよい。
【0047】
必要に応じて、キットは、ラベル又は別個の挿入物の形態の適切な動作パラメータの指示をさらに含むことができる。 たとえば、キットには、サンプルがプローブに接触した後にプローブを洗浄する方法を消費者に知らせる標準的な指示が含まれている場合がある。 一実施例においては、キットには、サンプルを前分画してサンプル中のタンパク質の複雑さを軽減するための指示書が含まれている場合がある。一実施例においては、キットには分画又は他の方法を自動化するための指示が含まれている場合がある。
【0048】
生体液
本発明の組成物、プロセス、方法、及び生体外診断装置は、損傷後に体内に放出されるタンパク質又は自己抗体のレベルを検出及び監視する能力を提供し、臨床医が(1)複数の障害を持つ患者の障害の重症度を決定し、(2)これらの細胞の変化を誘発する可能性のある障害又は二次損傷の兆候の発展について患者を監視し、(3)血液、血漿、血清、CSF、尿、唾液、汗などの体液中のこれらのタンパク質の検査により損傷の進行と治療の効果を継続的に監視することで診断能力を強化する 。
【0049】
サンプルは、好ましくは生物学的サンプルがよい。 生体サンプルの好ましい例は、細胞、組織、脳脊髄液(CSF)、人工CSF、全血、血清、血漿、細胞質液、尿、糞便、胃液、消化液、唾液、鼻又は他の気道液、膣液、精液、緩衝生理食塩水、生理食塩水、水、又は当技術分野で認識されている他の生体液である。損傷後、任意の筋肉、組織、又は器官の細胞膜が損なわれ、その構成タンパク質が最初に細胞外液又は空間に、最終的には循環血液を含む体内の他の液体に流出する。正常な身体機能(腎臓からの不純物除去など)により、タンパク質は尿、汗、唾液などの他の体液に移行する。したがって、他の適切な生体試料には、これらの細胞又はこれらの細胞から分泌される体液が含まれるが、これらに限定されない。被験者から脳脊髄液、血液、血漿、血清、唾液、尿などの体液を採取することは、一般に、固形組織生検サンプルを採取するよりも侵襲性が低く、外傷性が低いことも理解されたい。したがって、生体液であるサンプルは、本発明での使用に好ましい。
【0050】
CSF、血液、尿、唾液の生物学的サンプルは、通常の収集技術を使用して収集される。たとえば、サンプル収集をここに含まれる手順に限定しないために、CSF腰椎穿刺(LP)20ゲージの導入針を挿入し、一定量のCSFを引き抜く。血液の場合、サンプルはVacutainerチューブの静脈穿刺によって収集され、必要に応じて遠心分離され、血清と血漿に分離される。尿と唾液については、試料への汚染物質の混入を避けてサンプルを収集することが望ましい。 すべての生体サンプルは、後のアッセイのために-80℃でアリコートに保存できる。 固形組織試料を得るための外科的技術は、当該分野で周知である。マーカーを検出するために、被験者から任意の適切な生体サンプルを取得できる。本明細書で使用される方法は、サンプル中のマーカーを検出するために、任意の生体液について同一に再現できることを理解されたい。
【実施例0051】
本発明の様々な態様は、以下の非限定的な実施例により例示される。これらの実施例は、例示を目的とするものであり、本発明の実施を制限するものではない。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、変形及び修正を行うことができることを理解されたい。実施例は一般に哺乳類組織、特にマウス組織の分析に向けられているが、当業者は、同様の技術及び当技術分野で知られている他の技術が実施例をヒトなどの他の哺乳類に容易に翻訳することを認識する。本明細書に示される試薬は一般に哺乳動物種間で交差反応性であるか、類似の特性を有する代替試薬が市販されており、当業者はそのような試薬が入手できる場所を容易に理解する。本発明の概念内の変形は、当業者には明らかである。
【0052】
実施例1
【0053】
mRNAのサイズの増加について3つのクラスターをテストした(RNA配列の酵素的劣化を防ぐために、mRNAはcDNAに変換された)。 クラスター1は、長さが約1,000から2,000塩基である全mRNAのテストと配列決定に焦点を合わせ、数百塩基を与えたり受けたりした(ヒストグラムを参照)。 クラスター2及び3は、それぞれ2,000~3,000塩基及び3,000~6,000塩基だった。
【0054】
クラスター1のレポートには、約25,000から30,000の潜在的に一意のmRNA配列、したがってタンパク質を表す以下のような9,137ページの配列が含まれていた。 以下は、S100β7のmRNA配列である(クラスター1でテスト及び配列決定された13,714番目の配列)。
>c13714/f2p4/850
アイソフォーム=c13714、全長適用範囲=2、非全長適用範囲=4、アイソフォームの長さ=850
CCGCCCAGGACCCGCAGCAGAGACGACGCCTGCAGCAAGGAGACCAGGAAGGGGTGAGAC
AAGGAAGAGGATGTCTGAGCTGGAGAAGGCCATGGTGGCCCTCATCGACGTTTTCCACCA
ATATTCTGGAAGGGAGGGAGACAAGCACAAGCTGAAGAAATCCGAACTCAAGGAGCTCAT
CAACAATGAGCTTTCCCATTTCTTAGAGAGATGGAGTCTCCCTATGTTGCCCAGGCTGGT
CTCAAACTTCCTGTGCTCAAGTTATCCTCCTGCCTTAGCTTCCCAAAGTGCTGGGATTAC
AGGAAATCAAAGAGCAGGAGGTTGTGGACAAAGTCATGGAAACACTGGACAATGATGGAG
ACGGCGAATGTGACTTCCAGGAATTCATGGCCTTTGTTGCCATGGTTACTACTGCCTGCC
ACGAGTTCTTTGAACATGAGTGAGATTAGAAAGCAGCCAAACCTTTCCTGTAACAGAGAC
GGTCATGCAAGAAAGCAGACAGCAAGGGCTTGCAGCCTAGTAGGAGCTGAGCTTTCCAGC
CGTGTTGTAGCTAATTAGGAAGCTTGATTTGCTTTGTGATTGAAAAATTGAAAACCTCTT
TCCAAAGGCTGTTTTAACGGCCTGCATCATTCTTTCTGCTATATTAGGCCTGTGTGTAAG
CTGACTGGCCCCAGGGACTCTTGTTAACAGTAACTTAGGAGTCAGGTCTCAGTGATAAAG
CGTGCACCGTGCAGCCCGCCATGGCCGTGTAGACCCTAACCCGGAGGGAACCCTGACTAC
AGAAATTACCCCGGGGCACCCTTAAAACTTCCACTACCTTTAAAAAACAAAGCCTTATCC
AGCATTATTT
【0055】
実施例2
ELISAアッセイは、2人は神経細胞損傷の病歴が不明であり、6人は神経細胞損傷から生じる傷害又は疾患の1又はそれ以上の臨床症状を呈する(外傷性脳損傷を伴う3人、 脳卒中1人、アルツハイマー病1人)、8人のヒトからの血清である。マイクロプレートを、配列番号7の配列に対して生じた抗体でコーティングした。ウェルを洗浄した。 被験者の血清100μlを各ウェルに加えた。 マイクロプレートを37℃で1時間インキュベートし、その後再び洗浄して、結合していない抗体を除去した。その後、タンパク質-抗体複合体を測定した。ELISA法によって形成されたタンパク質-抗体複合体のレベルを比較すると、神経細胞の損傷に起因する疾患又は損傷の1つ以上の臨床症状を呈する6人の被験者は、ELISA法で形成されたタンパク質-抗体マトリックスの濃度が2人の無傷の患者よりも有意に高いことがわかった 。
【0056】
実施例3
実施例2の試験を、配列番号8の配列に対して生じた抗体で繰り返した。ELISA。 同様に、形成されたタンパク質-抗体複合体のレベルをELISA法によって比較すると、神経細胞損傷に起因する疾患又は損傷の1又はそれ以上の臨床症状を呈する6人の被験者は、ELISA法で形成されたタンパク質抗体マトリックス濃度が2人の負傷していない患者よりも有意に高いことがわかった 。
【0057】
他の実施形態
前述の詳細な説明では少なくとも1つの例示的な実施形態が提示されたが、膨大な数の変形形態が存在する。また、1又は複数の例示的な実施形態は例に過ぎず、説明された実施形態の範囲、適用可能性、又は構成を決して限定するものではない。また、例示的な実施形態は例に過ぎず、説明された実施形態の範囲、適用可能性、又は構成を決して限定するものではないことも理解されたい。むしろ、前述の詳細な説明は、例示的な実施形態を実施するための便利な道筋を当業者に提供するものである。添付の特許請求の範囲及びその法的均等物に記載されている範囲から逸脱することなく、要素の機能及び配置にさまざまな変更を加えることができる。
【0058】
本明細書で言及した特許文書及び刊行物は、本発明が関係する当業者のレベルを示している。これらの文書及び出版物は、各個々の文書又は出版物が参照により具体的かつ個別に本明細書に組み込まれるかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0059】
前述の説明は、本発明の特定の実施形態の例示であるが、その実施に対する制限であることを意味するものではない。そのすべての均等物を含む以下の請求項は、本発明の範囲を定義することを意図している。
配列表
配列番号1:
MSELEKAMVALIDVFHQYSGREGDKHKLKKSELKELINNELSHFLEEIKEQEVVDKVMETLDNDGDGECDFQEFMAFVAMVTTACHEFFEHE
配列番号 2: MSELEKAMVALIDVFHQYSGREGDKHKLKKSELKELINNELSHFLEEIKEQEVVDKVMETLDNDGDGECDFQEFMAFVAMRRSCKKADSKGLQPSRS
配列番号 3:
MSELEKAMRRSCKKADSKGLQPSRS
配列番号 4: MSELEKAMEIKEQEVVDKVMETLDNDGDGECDFQEFMAFVAMVTTACHEFFEHE
配列番号 5: MSELEKAMEIKEQEVVDKVMETLDNDGDGECDFQEFMAFVAMRRSCKKADSKGLQPSRS
配列番号 6: MSELEKAMVALIDVFHQYSGREGDKHKLKKSELKELINNELSHFLEEIKEQERRSCKKADSKGLQPSRS
配列番号 7: MSELEKAMVALIDVFHQYSGREGDKHKLKKSELKELINNELSHFLERWSLPMLPRLVSNFLCSSYPPALASQSAGITGNQRAGGCGQSHGNTGQ
配列番号 8: MSELEKAMVALIDVFHQYSGREGDKHKLKKSELKELINNELSHFLERWSLPMLPRLVSNFLCSSYPPALASQSAGITETVMQESRQQGLAA
図1
図2
図3
図4
【配列表】
2023017805000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2022-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における外傷性脳損傷または脳卒中を生体外で検出する方法であって、
外傷性脳損傷または脳卒中に罹患していることが疑われる対象から得られた体液サンプル中の、外傷性脳損傷または脳卒中に関連する1以上のバイオマーカーの量を測定することであって、該バイオマーカーがS100β7又は S100β8である、測定することと、
測定したバイオマーカーの量を、健常者における当該バイオマーカー量と比較して、対象の外傷又は状態を決定することを含む、方法。
【請求項2】
前記サンプルが脳脊髄液(CSF)、血液、血漿、血清、唾液又は尿である請求項1記載の方法。
【請求項3】
二度目に前記バイオマーカーの第二の量を測定して前記バイオマーカーの動力学的プロフィールを得ることをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項4】
対象における外傷性脳損傷または脳卒中を生体外で検出する方法であって、
外傷性脳損傷または脳卒中に罹患していることが疑われる対象から得られた体液サンプルを、S100β7タンパク質又は S100β8タンパク質と接触させることと、
前記サンプルを分析して前記S100β7タンパク質又はS100β8タンパク質が1以上の抗体と結合したことを調べることを含む、方法。
【外国語明細書】