(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178050
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】電池モジュール及びスペーサ
(51)【国際特許分類】
H01M 50/291 20210101AFI20231207BHJP
H01M 50/293 20210101ALI20231207BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20231207BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20231207BHJP
H01M 10/6555 20140101ALI20231207BHJP
H01M 10/6551 20140101ALI20231207BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20231207BHJP
【FI】
H01M50/291
H01M50/293
H01M10/613
H01M10/647
H01M10/6555
H01M10/6551
H01M50/209
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091096
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】村石 康輔
(72)【発明者】
【氏名】中野 和城
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 恒良
【テーマコード(参考)】
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H031AA00
5H031AA02
5H031AA09
5H031EE04
5H031KK01
5H040AA28
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY06
5H040LL06
5H040NN01
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】電池セルを適切に冷却する電池モジュール及びスペーサを提供する。
【解決手段】電池モジュールは、複数の電池セル20と、電池セル20同士の間に配置される合成樹脂製のスペーサ13とを交互に積層される。スペーサ13は、電池セル20に沿って互いに間隔を開けて配列された複数のバー部50と、バー部50に設けられ、バー部50が配列された配列方向に対して傾斜して第1電池セル20Aの側に伸びて形成され、第1電池セル20Aの面に接するフィン部56,59と、バー部50に設けられ、配列方向に対して傾斜して第2電池セル20Bの側に伸びて形成され、第2電池セル20Bの面に接するフィン部57,58と、を有する。配列方向における中央寄りの第1バー部51と第2バー部52の間隔P1は、中央寄り以外の第1バー部51と第3バー部53との間隔P2及び第2バー部52と第4バー部54との間隔P3よりも広い。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルと、前記電池セル同士の間に配置される合成樹脂製のスペーサとを交互に積層される電池モジュールであって、
前記スペーサは、
前記電池セルに沿って互いに間隔を開けて配列された複数のバー部と、
前記バー部に設けられ、前記バー部が配列された配列方向に対して傾斜して一方の前記電池セルの側に伸びて形成され、前記一方の電池セルの面に接する第1フィン部と、
前記バー部に設けられ、前記配列方向に対して傾斜して前記一方の電池セルとは異なる他方の前記電池セルの側に伸びて形成され、前記他方の電池セルの面に接する第2フィン部と、を有し、
前記配列方向における中央寄りの前記複数のバー部の間隔は、前記中央寄り以外の前記複数のバー部の間隔よりも広い
電池モジュール。
【請求項2】
前記第1フィン部及び前記第2フィン部のそれぞれは、前記バー部の間隔に応じた長さであって、
前記配列方向の中央寄りに位置する前記第1フィン部及び前記第2フィン部の長さは、前記配列方向の中央寄り以外に位置する前記第1フィン部及び前記第2フィン部の長さよりも長い
請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
複数の電池セルと、前記電池セル同士の間に配置される合成樹脂製のスペーサとを交互に積層される電池モジュールであって、
前記スペーサは、
前記電池セルに沿って互いに間隔を開けて配列された複数のバー部と、
前記バー部に設けられ、前記バー部が配列された配列方向に対して傾斜して一方の前記電池セルの側に伸びて形成され、前記一方の電池セルの面に接する第1フィン部と、
前記バー部に設けられ、前記配列方向に対して傾斜して前記一方の電池セルとは異なる他方の前記電池セルの側に伸びて形成され、前記他方の電池セルの面に接する第2フィン部と、を有し、
前記配列方向における底面寄りの前記複数のバー部の間隔は、前記底面寄り以外の前記複数のバー部の間隔よりも広い
電池モジュール。
【請求項4】
前記第1フィン部及び前記第2フィン部のそれぞれは、前記バー部の間隔に応じた長さであって、
前記配列方向の底面寄りに位置する前記第1フィン部及び前記第2フィン部の長さは、前記配列方向の底面寄り以外に位置する前記第1フィン部及び前記第2フィン部の長さよりも長い
請求項3に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記第1フィン部と前記第2フィン部とは、前記複数のバー部のうち同じバー部に設けられる
請求項1~4のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記第1フィン部は、前記配列方向の第1配列方向に対して傾斜し、
前記第2フィン部は、前記第1配列方向と逆の第2配列方向に対して傾斜する
請求項5に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記第1フィン部は、前記複数のバー部のうち第1バー部に設けられ、
前記第2フィン部は、前記複数のバー部のうち前記第1バー部と異なる第2バー部に設けられる
請求項1~4のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記第1フィン部を二つ備え、
前記第1フィン部の一方は、前記配列方向の第1配列方向に対して傾斜し、
前記第1フィン部の他方は、前記第1配列方向と逆の第2配列方向に対して傾斜し、
前記第2フィン部を二つ備え、
前記第2フィン部の一方は、前記第1配列方向に対して傾斜し、
前記第2フィン部の他方は、前記第2配列方向に対して傾斜する
請求項7に記載の電池モジュール。
【請求項9】
前記第1フィン部は、前記配列方向の第1配列方向に対して傾斜し、
前記第2フィン部は、前記第1配列方向に対して傾斜し、
前記第1バー部に前記第1配列方向と逆の第2配列方向に伸びて形成される第1ストッパー部と、
前記第2バー部に前記第2配列方向に伸びて形成される第2ストッパー部と、を備える
請求項7に記載の電池モジュール。
【請求項10】
電池モジュールを構成する複数の電池セル同士の間に配置される合成樹脂製のスペーサであって、
互いに間隔を開けて配列された複数のバー部と、
前記バー部に含まれる第1バー部に設けられ、前記バー部が配列された配列方向における第1配列方向に対して傾斜して前記配列方向に直交する第1直交方向に伸びて形成される第1フィン部と、
前記第1バー部に設けられ、前記第1配列方向と逆の第2配列方向に対して傾斜して前記第1直交方向に伸びて形成される第2フィン部と、を有し、
前記配列方向における中央寄りの前記複数のバー部の間隔は、前記中央寄り以外の前記複数のバー部の間隔よりも広い
スペーサ。
【請求項11】
前記第1フィン部及び前記第2フィン部のそれぞれは、前記バー部の間隔に応じた長さであって、
前記配列方向の中央寄りに位置する前記第1フィン部及び前記第2フィン部の長さは、前記配列方向の中央寄り以外に位置する前記第1フィン部及び前記第2フィン部の長さよりも長い
請求項10に記載のスペーサ。
【請求項12】
電池モジュールを構成する複数の電池セル同士の間に配置される合成樹脂製のスペーサであって、
互いに間隔を開けて配列された複数のバー部と、
前記バー部に含まれる第1バー部に設けられ、前記バー部が配列された配列方向における第1配列方向に対して傾斜して前記配列方向に直交する第1直交方向に伸びて形成される第1フィン部と、
前記第1バー部に設けられ、前記第1配列方向と逆の第2配列方向に対して傾斜して前記第1直交方向に伸びて形成される第2フィン部と、を有し、
前記配列方向における底面寄りの前記複数のバー部の間隔は、前記底面寄り以外の前記複数のバー部の間隔よりも広い
スペーサ。
【請求項13】
前記第1フィン部及び前記第2フィン部のそれぞれは、前記バー部の間隔に応じた長さであって、
前記配列方向の底面寄りに位置する前記第1フィン部及び前記第2フィン部の長さは、前記配列方向の底面寄り以外に位置する前記第1フィン部及び前記第2フィン部の長さよりも長い
請求項12に記載のスペーサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュール及びスペーサに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の電池モジュールでは、電池セル同士の間にスペーサを配置している。スペーサには、両隣の電池セルの主面に挟み込まれる壁部に、壁部を厚み方向に貫通する切り欠き部が形成されている。そして、このようなスペーサを用い、切り欠き部に冷却用気体を通過させることで、スペーサを介して隣接する電池セル同士の温度差が大きくなることが低減されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載のような技術では、スペーサを厚み方向に貫通する冷却用気体の通過経路が、想定よりも狭くなるおそれがある。すなわち、電池モジュールにおける電池セルは、ケース内部で発生したガスによって内部圧力が上昇し、膨張することがあり得る。膨張した電池セルの一部は、スペーサに設けられた冷却用気体の通過経路へと進入する可能性がある。つまり、電池セルに膨張が生じた場合、スペーサに設けられた冷却用気体の通過経路が、電池セルに膨張が生じていない場合よりも狭くなる可能性がある。これにより、電池セルの冷却が適切になされない可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する電池モジュールは、複数の電池セルと、前記電池セル同士の間に配置される合成樹脂製のスペーサとを交互に積層される電池モジュールであって、前記スペーサは、前記電池セルに沿って互いに間隔を開けて配列された複数のバー部と、前記バー部に設けられ、前記バー部が配列された配列方向に対して傾斜して一方の前記電池セルの側に伸びて形成され、前記一方の電池セルの面に接する第1フィン部と、前記バー部に設けられ、前記配列方向に対して傾斜して前記一方の電池セルとは異なる他方の前記電池セルの側に伸びて形成され、前記他方の電池セルの面に接する第2フィン部と、を有し、前記配列方向における中央寄りの前記複数のバー部の間隔は、前記中央寄り以外の前記複数のバー部の間隔よりも広い。
【0006】
上記構成によれば、第1フィン部が一方の電池セルの面と接することで一方の電池セルの面との距離を適切に確保することができ、第2フィン部が他方の電池セルの面と接することで他方の電池セルの面との距離を適切に確保することができる。このため、スペーサによって隣り合う電池セル同士の間の距離を適切に確保することができる。よって、電池セル同士の間の空間への放熱が適切に行われ、電池セルを適切に冷却することができる。また、配列方向における中央寄りの複数のバー部の間隔が中央寄り以外の複数のバー部の間隔よりも広い。このため、電池セル同士の間に配置されたスペーサのバー部によって電池セルが押圧されるときに、バー部による電池セルの中央寄りの押圧が電池セルの中央寄り以外よりも低くなる。これにより、充放電に伴い電池セルが膨張するときに中央寄りに対する押圧を抑制することができる。
【0007】
上記電池モジュールについて、前記第1フィン部及び前記第2フィン部のそれぞれは、前記バー部の間隔に応じた長さであって、前記配列方向の中央寄りに位置する前記第1フィン部及び前記第2フィン部の長さは、前記配列方向の中央寄り以外に位置する前記第1フィン部及び前記第2フィン部の長さよりも長いことが好ましい。
【0008】
上記構成によれば、配列方向の中央寄りのバー部の間隔を広くすることで電池セルの中央寄りの押圧を抑制しつつ、第1フィン部及び第2フィン部が電池セルと接触することで電池セルの過度な変形を抑制することができる。
【0009】
上記課題を解決する電池モジュールは、複数の電池セルと、前記電池セル同士の間に配置される合成樹脂製のスペーサとを交互に積層される電池モジュールであって、前記スペーサは、前記電池セルに沿って互いに間隔を開けて配列された複数のバー部と、前記バー部に設けられ、前記バー部が配列された配列方向に対して傾斜して一方の前記電池セルの側に伸びて形成され、前記一方の電池セルの面に接する第1フィン部と、前記バー部に設けられ、前記配列方向に対して傾斜して前記一方の電池セルとは異なる他方の前記電池セルの側に伸びて形成され、前記他方の電池セルの面に接する第2フィン部と、を有し、前記配列方向における底面寄りの前記複数のバー部の間隔は、前記底面寄り以外の前記複数のバー部の間隔よりも広い。
【0010】
上記構成によれば、第1フィン部が一方の電池セルの面と接することで一方の電池セルの面との距離を適切に確保することができ、第2フィン部が他方の電池セルの面と接することで他方の電池セルの面との距離を適切に確保することができる。このため、スペーサによって隣り合う電池セル同士の間の距離を適切に確保することができる。よって、電池セル同士の間の空間への放熱が適切に行われ、電池セルを適切に冷却することができる。また、配列方向における底面寄りの複数のバー部の間隔が底面寄り以外の複数のバー部の間隔よりも広い。このため、電池セル同士の間に配置されたスペーサのバー部によって電池セルが押圧されるときに、バー部による電池セルの底面寄りの押圧が電池セルの底面寄り以外よりも低くなる。これにより、充放電に伴い電池セルが膨張するときに底面寄りに対する押圧を抑制することができる。
【0011】
上記電池モジュールについて、前記第1フィン部及び前記第2フィン部のそれぞれは、前記バー部の間隔に応じた長さであって、前記配列方向の底面寄りに位置する前記第1フィン部及び前記第2フィン部の長さは、前記配列方向の底面寄り以外に位置する前記第1フィン部及び前記第2フィン部の長さよりも長いことが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、配列方向の寄りのバー部の間隔を広くすることで電池セルの底面寄りの押圧を抑制しつつ、第1フィン部及び第2フィン部が電池セルと接触することで電池セルの過度な変形を抑制することができる。
【0013】
上記電池モジュールについて、前記第1フィン部と前記第2フィン部とは、前記複数のバー部のうち同じバー部に設けられることが好ましい。
上記構成によれば、同じバー部に第1フィン部と第2フィン部とが設けられる。このため、隣り合う両方の電池セルに第1フィン部と第2フィン部とが接することで絶縁を確保することができる。
【0014】
上記電池モジュールについて、前記第1フィン部は、前記配列方向の第1配列方向に対して傾斜し、前記第2フィン部は、前記第1配列方向と逆の第2配列方向に対して傾斜することが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、第1フィン部が第1配列方向に対して傾斜し、第2フィン部が第2配列方向に対して傾斜する。このため、隣り合う両方の電池セルに第1フィン部と第2フィン部とが異なる位置で接することで絶縁を確保することができる。
【0016】
上記電池モジュールについて、前記第1フィン部は、前記複数のバー部のうち第1バー部に設けられ、前記第2フィン部は、前記複数のバー部のうち前記第1バー部と異なる第2バー部に設けられることが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、第1フィン部が第1バー部に設けられ、第2フィン部が第1バー部と異なる第2バー部に設けられる。このため、第1フィンが設けられた第1バー部と第2フィン部が設けられた第2バー部とが隣り合う両方の電池セルに別々に接することで絶縁を確保することができる。
【0018】
上記電池モジュールについて、前記第1フィン部を二つ備え、前記第1フィン部の一方は、前記配列方向の第1配列方向に対して傾斜し、前記第1フィン部の他方は、前記第1配列方向と逆の第2配列方向に対して傾斜し、前記第2フィン部を二つ備え、前記第2フィン部の一方は、前記第1配列方向に対して傾斜し、前記第2フィン部の他方は、前記第2配列方向に対して傾斜することが好ましい。
【0019】
上記構成によれば、第1バー部に第1配列方向に対して傾斜する第1フィン部と第2配列方向に対して傾斜する第2フィン部とを設け、第2バー部に第1配列方向に対して傾斜する第1フィン部と第2配列方向に対して傾斜する第2フィン部とを設ける。このため、各バー部から少なくとも二つのフィン部が電池セルに接する。よって、隣り合う両方の電池セルの絶縁を確保することができる。
【0020】
上記電池モジュールについて、前記第1フィン部は、前記配列方向の第1配列方向に対して傾斜し、前記第2フィン部は、前記第1配列方向に対して傾斜し、前記第1バー部に前記第1配列方向と逆の第2配列方向に伸びて形成される第1ストッパー部と、前記第2バー部に前記第2配列方向に伸びて形成される第2ストッパー部と、を備えることが好ましい。
【0021】
上記構成によれば、第1バー部に第1配列方向に対して傾斜する第1フィン部と第2配列方向に伸びる第1ストッパー部とを設け、第2バー部に第1配列方向に対して傾斜する第1フィン部と第2配列方向に伸びる第2ストッパー部とを設ける。このため、各バー部から少なくともフィン部とストッパー部とが電池セルに接する。よって、隣り合う両方の電池セルの絶縁を確保することができる。
【0022】
上記課題を解決するスペーサは、電池モジュールを構成する複数の電池セル同士の間に配置される合成樹脂製のスペーサであって、互いに間隔を開けて配列された複数のバー部と、前記バー部に含まれる第1バー部に設けられ、前記バー部が配列された配列方向における第1配列方向に対して傾斜して前記配列方向に直交する第1直交方向に伸びて形成される第1フィン部と、前記第1バー部に設けられ、前記第1配列方向と逆の第2配列方向に対して傾斜して前記第1直交方向に伸びて形成される第2フィン部と、を有し、前記配列方向における中央寄りの前記複数のバー部の間隔は、前記中央寄り以外の前記複数のバー部の間隔よりも広い。
【0023】
上記構成によれば、第1フィン部が一方の電池セルの面と接することで一方の電池セルの面との距離を適切に確保することができ、第2フィン部が他方の電池セルの面と接することで他方の電池セルの面との距離を適切に確保することができる。このため、スペーサによって隣り合う電池セル同士の間の距離を適切に確保することができる。よって、電池セル同士の間の空間への放熱が適切に行われ、電池セルを適切に冷却することができる。また、配列方向における中央寄りの複数のバー部の間隔が中央寄り以外の複数のバー部の間隔よりも広い。このため、電池セル同士の間に配置されたスペーサのバー部によって電池セルが押圧されるときに、バー部による電池セルの中央寄りの押圧が電池セルの中央寄り以外よりも低くなる。これにより、充放電に伴い電池セルが膨張するときに中央寄りに対する押圧を抑制することができる。
【0024】
上記スペーサについて、前記第1フィン部及び前記第2フィン部のそれぞれは、前記バー部の間隔に応じた長さであって、前記配列方向の中央寄りに位置する前記第1フィン部及び前記第2フィン部の長さは、前記配列方向の中央寄り以外に位置する前記第1フィン部及び前記第2フィン部の長さよりも長いことが好ましい。
【0025】
上記構成によれば、配列方向の中央寄りのバー部の間隔を広くすることで電池セルの中央寄りの押圧を抑制しつつ、第1フィン部及び第2フィン部が電池セルと接触することで電池セルの過度な変形を抑制することができる。
【0026】
上記課題を解決するスペーサは、電池モジュールを構成する複数の電池セル同士の間に配置される合成樹脂製のスペーサであって、互いに間隔を開けて配列された複数のバー部と、前記バー部に含まれる第1バー部に設けられ、前記バー部が配列された配列方向における第1配列方向に対して傾斜して前記配列方向に直交する第1直交方向に伸びて形成される第1フィン部と、前記第1バー部に設けられ、前記第1配列方向と逆の第2配列方向に対して傾斜して前記第1直交方向に伸びて形成される第2フィン部と、を有し、前記配列方向における底面寄りの前記複数のバー部の間隔は、前記底面寄り以外の前記複数のバー部の間隔よりも広い。
【0027】
上記構成によれば、第1フィン部が一方の電池セルの面と接することで一方の電池セルの面との距離を適切に確保することができ、第2フィン部が他方の電池セルの面と接することで他方の電池セルの面との距離を適切に確保することができる。このため、スペーサによって隣り合う電池セル同士の間の距離を適切に確保することができる。よって、電池セル同士の間の空間への放熱が適切に行われ、電池セルを適切に冷却することができる。また、配列方向における底面寄りの複数のバー部の間隔が底面寄り以外の複数のバー部の間隔よりも広い。このため、電池セル同士の間に配置されたスペーサのバー部によって電池セルが押圧されるときに、バー部による電池セルの底面寄りの押圧が電池セルの底面寄り以外よりも低くなる。これにより、充放電に伴い電池セルが膨張するときに底面寄りに対する押圧を抑制することができる。
【0028】
上記スペーサについて、前記第1フィン部及び前記第2フィン部のそれぞれは、前記バー部の間隔に応じた長さであって、前記配列方向の底面寄りに位置する前記第1フィン部及び前記第2フィン部の長さは、前記配列方向の底面寄り以外に位置する前記第1フィン部及び前記第2フィン部の長さよりも長いことが好ましい。
【0029】
上記構成によれば、配列方向の底面寄りのバー部の間隔を広くすることで電池セルの底面寄りの押圧を抑制しつつ、第1フィン部及び第2フィン部が電池セルと接触することで電池セルの過度な変形を抑制することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、電池セルを適切に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】第1実施形態に係る電池モジュールの概略構成を示す斜視図である。
【
図2】同実施形態の電池モジュールの
図1の2-2断面図である。
【
図4】同実施形態の非圧縮状態におけるスペーサの空間形成部の断面図である。
【
図5】同実施形態の圧縮状態におけるスペーサの空間形成部の断面図である。
【
図6】第2実施形態の非圧縮状態におけるスペーサの空間形成部の断面図である。
【
図7】同実施形態の圧縮状態におけるスペーサの空間形成部の断面図である。
【
図8】第3実施形態の非圧縮状態におけるスペーサの空間形成部の断面図である。
【
図9】同実施形態の圧縮状態におけるスペーサの空間形成部の断面図である。
【
図10】第4実施形態の非圧縮状態におけるスペーサの空間形成部の断面図である。
【
図11】同実施形態の圧縮状態におけるスペーサの空間形成部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(第1実施形態)
以下、
図1~
図5を参照して、電池モジュール及びスペーサの第1実施形態について説明する。
【0033】
(電池モジュール10)
図1に示すように、電池モジュール10は、ロアケース11に複数の電池セル20を収納したものである。ロアケース11は、上面が開口した箱状の部材である。電池セル20の外形は、扁平状の直方体である。複数の電池セル20は、ロアケース11の内部で積層して配置されている。電池セル20は、電池セル20の積層方向であるX方向の面を有している。電池セル20の面21は、外面のうちで最も面積の大きな面である。電池モジュール10は、積層された複数の電池セル20の電池群が2列収納されている。電池セル20の電池群の列が並ぶ方向がY方向である。ロアケース11の上面方向がZ方向である。電池モジュール10は、バスバー、極柱端子、アッパーケース等が実際には取り付けられるが、それらは省略している。
【0034】
図2に示すように、ロアケース11は、フロア部11Aとエンドウォール部11Bとを有している。フロア部11Aは、複数の電池セル20よりも下方に位置するロアケース11の部位である。エンドウォール部11Bは、複数の電池セル20の側方に位置するロアケース11の部位である。ロアケース11に収納されている複数の電池セル20は、スペーサ13と交互に積層されている。つまり、電池セル20同士の間には、スペーサ13が配置されている。両端の電池セル20とエンドウォール部11Bとの間には、エンドプレート14が挟まれている。スペーサ13及びエンドプレート14は、合成樹脂製の部材である。スペーサ13及びエンドプレート14は、絶縁性とある程度の伸縮性とを有している。
【0035】
電池セル20、スペーサ13、及びエンドプレート14は、積層方向(X方向)において両端のエンドウォール部11Bによって拘束されている。このため、電池セル20、スペーサ13、及びエンドプレート14は、積層方向(X方向)において圧縮荷重を受けている。電池モジュール10に収納された圧縮状態の電池セル20、スペーサ13、及びエンドプレート14は、積層方向(X方向)において非圧縮状態のときよりも縮んでいる。
【0036】
(スペーサ13)
図3に示すように、スペーサ13は、空間形成部13Cを有している。空間形成部13Cは、スペーサ13の中央部分に設けられている。空間形成部13Cは、スペーサ13の両隣に位置する電池セル20同士の間に空間を形成する部分である。
【0037】
スペーサ13は、空間形成部13Cに、複数のバー部50を備えている。バー部50は、電池セル20の面21の長手方向(Y方向)に延出している。複数のバー部50は、電池セル20の面21に沿って上下方向(Z方向)に互いに間隔を開けて配列されている。複数のバー部50には、フィン部55が設けられている。空間形成部13Cは、バー部50とフィン部55とによって構成されている。
【0038】
(空間形成部13C)
次に、
図4及び
図5を参照して、空間形成部13Cについて詳細に説明する。
図4及び
図5は、スペーサ13の空間形成部13Cの断面図である。
図4は、非圧縮状態の空間形成部13Cを両隣の電池セル20とともに示している。
図5は、圧縮状態の空間形成部13Cを両隣の電池セル20とともに示している。
【0039】
図4に示すように、バー部50は、上から順に、第3バー部53、第1バー部51、第2バー部52、第4バー部54を有している。配列方向における中央寄りのバー部50の間隔は、中央寄り以外のバー部50の間隔よりも広い。すなわち、第1バー部51と第2バー部52との間隔P1は、第1バー部51と第3バー部53との間隔P2及び第2バー部52と第4バー部54との間隔P3よりも長い(P1>P2,P1>P3)。電池セル20内の電極体の拘束範囲PXは、第3バー部53の上面と第4バー部54の下面までの範囲である。間隔P1は、電池セル20の面21の配列方向において電極体の拘束範囲PXの35~60%であることが好ましい。フィン部55は、第1フィン部56、第2フィン部57、第3フィン部58、第4フィン部59を有している。
【0040】
第1バー部51には、第1フィン部56と、第2フィン部57と、が設けられている。第1フィン部56は、バー部50が配列された配列方向(Z方向)における第1配列方向(上方向)に対して第1角度θA傾斜して配列方向(Z方向)に直交する第1直交方向(図中右方向)に伸びて形成される。第2フィン部57は、第1配列方向と逆の第2配列方向(下方向)に対して第2角度θB傾斜して第1直交方向と逆の第2直交方向(図中左方向)に伸びて形成される。第1フィン部56は、図中右側の第1電池セル20Aの面21に接する。第2フィン部57は、図中左側の第2電池セル20Bの面21に接する。第1角度θAと第2角度θBとは、異なる角度である。第1角度θAは、第2角度θBよりも大きい角度である。
【0041】
第2バー部52には、第3フィン部58と、第4フィン部59と、が設けられている。第3フィン部58は、第2配列方向(下方向)に対して第3角度θC傾斜して配列方向(Z方向)に直交する第2直交方向(図中左方向)に伸びて形成される。第2フィン部57は、第1配列方向(上方向)に対して第4角度θD傾斜して第1直交方向(図中右方向)に伸びて形成される。第3フィン部58は、図中左側の第2電池セル20Bの面21に接する。第4フィン部59は、図中右側の第1電池セル20Aの面21に接する。第3角度θCと第4角度θDとは、異なる角度である。第3角度θCは、第4角度θDよりも大きい角度である。
【0042】
第3バー部53には、第3フィン部58が設けられている。第3フィン部58は、第2配列方向(下方向)に対して第3角度θC傾斜して第2直交方向(図中左方向)に伸びて形成される。第3フィン部58は、左側の第2電池セル20Bの面21に接する。
【0043】
第4バー部54には、第1フィン部56が設けられている。第1フィン部56は、第1配列方向(上方向)に対して第1角度θA傾斜して第1直交方向(図中右方向)に伸びて形成される。第1フィン部56は、右側の第1電池セル20Aの面21に接する。
【0044】
(非圧縮状態)
図4に示すように、非圧縮状態において、第1バー部51に設けられた第1フィン部56の先端は、第1バー部51よりも図中右側の第1電池セル20A側へと突き出ている。非圧縮状態において、第1バー部51に設けられた第2フィン部57の先端は、第1バー部51よりも図中左側の第2電池セル20B側へと突き出ている。非圧縮状態において、第2バー部52に設けられた第3フィン部58の先端は、第2バー部52よりも左側の第2電池セル20B側へと突き出ている。非圧縮状態において、第2バー部52に設けられた第4フィン部59の先端は、第2バー部52よりも右側の第1電池セル20A側へと突き出ている。第3バー部53に設けられた第3フィン部58の先端は、第3バー部53よりも左側の第2電池セル20B側へと突き出ている。第4バー部54に設けられた第1フィン部56の先端は、第4バー部54よりも右側の第1電池セル20A側へと突き出ている。第1バー部51、第2バー部52、第3バー部53、及び第4バー部54は、右側の第1電池セル20Aの面21にも、左側の第2電池セル20Bの面21にも接触していない。
【0045】
第1フィン部56の第1バー部51からの長さである第1フィン長LA、及び、第3フィン部58の第3バー部53からの長さである第3フィン長LCは、いずれも第1バー部51と第3バー部53との間隔P2よりも短い(LA<P2、LC<P2)。第1フィン長LAと第3フィン長LCとは、同じ長さである(LA=LC)。第1フィン長LAと第3フィン長LCとの合計は、第1バー部51と第3バー部53との間隔P2よりも長い(LA+LC>P2)。
【0046】
第2フィン部57の第1バー部51からの長さである第2フィン長LB、及び、第4フィン部59の第2バー部52からの長さである第4フィン長LDは、いずれも第1バー部51と第2バー部52との間隔P1よりも短い(LB<P1、LD<P1)。第2フィン長LBと第4フィン長LDとは、同じ長さである(LB=LD)。第2フィン長LBと第4フィン長LDとの合計は、第1バー部51と第2バー部52との間隔P1よりも長い(LB+LD>P1)。第2フィン部57の第1バー部51からの長さである第2フィン長LBは、第1フィン部56の第1バー部51からの長さである第1フィン長LAよりも長い(LB>LA)。
【0047】
第3フィン部58の第2バー部52からの長さである第3フィン長LC、及び、第1フィン部56の第4バー部54からの長さである第1フィン長LAは、いずれも第2バー部52と第4バー部54との間隔P3よりも短い(LC<P3、LA<P3)。第3フィン長LCと第1フィン長LAとは、同じ長さである(LC=LA)。第3フィン長LCと第1フィン長LAとの合計は、第2バー部52と第4バー部54との間隔P3よりも長い(LC+LA>P3)。第4フィン部59の第2バー部52からの長さである第4フィン長LDは、第3フィン部58の第2バー部52からの長さである第3フィン長LCよりも長い(LD>LC)。
【0048】
第1フィン部56の配列方向(Z方向)の投影長LZA、及び、第3フィン部58の配列方向(Z方向)の投影長LZCの合計は、非圧縮状態において、第1バー部51と第3バー部53との間隔P2よりも短い(LZA+LZC<P2)。このため、非圧縮状態において、第1フィン部56と第3フィン部58との先端の間には、配列方向(Z方向)において隙間G2が設けられている。これにより、第1フィン部56と第3フィン部58とが配列方向(Z方向)において重ならないようになっている。このようなスペーサ13は、安価に製造することができる。
【0049】
第2フィン部57の配列方向(Z方向)の投影長LZB、及び、第4フィン部59の配列方向(Z方向)の投影長LZDの合計は、非圧縮状態において、第1バー部51と第2バー部52との間隔P1よりも短い(LZB+LZD<P1)。このため、非圧縮状態において、第2フィン部57と第4フィン部59との先端の間には、配列方向(Z方向)において隙間G1が設けられている。これにより、第2フィン部57と第4フィン部59とが配列方向(Z方向)において重ならないようになっている。このようなスペーサ13は、安価に製造することができる。
【0050】
第3フィン部58の配列方向(Z方向)の投影長LZC、及び、第1フィン部56の配列方向(Z方向)の投影長LZAの合計は、非圧縮状態において、第2バー部52と第4バー部54との間隔P3よりも短い(LZC+LZA<P3)。このため、非圧縮状態において、第3フィン部58と第1フィン部56との先端の間には、配列方向(Z方向)において隙間G3が設けられている。これにより、第3フィン部58と第1フィン部56とが配列方向(Z方向)において重ならないようになっている。このようなスペーサ13は、安価に製造することができる。
【0051】
(圧縮状態)
図5に示すように、圧縮状態では、バー部50の右側面は、右側の第1電池セル20Aの面21に接触している。バー部50の左側面には、左側の第2電池セル20Bの面21が接触している。つまり、圧縮状態では、バー部50は、第1電池セル20Aの面21と第2電池セル20Bの面21によって挟み込まれていることで、積層方向(X方向)において圧縮されている。また、バー部50は、その圧縮に対する反力によって第1電池セル20Aの面21と第2電池セル20Bの面21を互いに遠ざかる方向へ押圧している。これにより、バー部50によって両隣の電池セル20同士の接触が抑制されている。そして、上下に隣り合う2つのバー部50の間には、スペーサ13の両隣の電池セル20の面21同士が離間する空間15が形成されている。
【0052】
第1バー部51の右側面に右側の第1電池セル20Aの面21が接触していることで、第1バー部51に設けられた第1フィン部56は、右側の第1電池セル20Aの面21によって左側へ押圧されている。この押圧により、第1フィン部56は、右側の第1電池セル20Aの面21に沿って、非圧縮状態のときよりも左側へ撓んだ状態となっている。この撓んだ状態の第1フィン部56は、右側の第1電池セル20Aの面21に沿って上方向へ延出している。そして、撓んだ状態の第1フィン部56は、その撓みの反力により、右側の第1電池セル20Aの面21を右側へ押圧している。
【0053】
第1バー部51の左側面に左側の第2電池セル20Bの面21が接触していることで、第1バー部51に設けられた第2フィン部57は、左側の第2電池セル20Bの面21によって右側へ押圧されている。この押圧により、第2フィン部57は、左側の第2電池セル20Bの面21に沿って、非圧縮状態のときよりも右側へ撓んだ状態となっている。この撓んだ状態の第2フィン部57は、左側の第2電池セル20Bの面21に沿って下方向へ延出している。そして、撓んだ状態の第2フィン部57は、その撓みの反力により、左側の第2電池セル20Bの面21を左側へ押圧している。
【0054】
第2バー部52の右側面に右側の第1電池セル20Aの面21が接触していることで、第2バー部52に設けられた第4フィン部59は、右側の第1電池セル20Aの面21によって左側へ押圧されている。この押圧により、第4フィン部59は、右側の第1電池セル20Aの面21に沿って、非圧縮状態のときよりも左側へ撓んだ状態となっている。この撓んだ状態の第4フィン部59は、右側の第1電池セル20Aの面21に沿って上方向へ延出している。そして、撓んだ状態の第4フィン部59は、その撓みの反力により、右側の第1電池セル20Aの面21を右側へ押圧している。
【0055】
第2バー部52の左側面に左側の第2電池セル20Bの面21が接触していることで、第2バー部52に設けられた第3フィン部58は、左側の第2電池セル20Bの面21によって右側へ押圧されている。この押圧により、第3フィン部58は、左側の第2電池セル20Bの面21に沿って、非圧縮状態のときよりも右側へ撓んだ状態となっている。この撓んだ状態の第2フィン部57は、左側の第2電池セル20Bの面21に沿って下方向へ延出している。そして、撓んだ状態の第3フィン部58は、その撓みの反力により、左側の第2電池セル20Bの面21を左側へ押圧している。
【0056】
第3バー部53の左側面に左側の第2電池セル20Bの面21が接触していることで、第3バー部53に設けられた第3フィン部58は、左側の第2電池セル20Bの面21によって右側へ押圧されている。この押圧により、第3フィン部58は、左側の第2電池セル20Bの面21に沿って、非圧縮状態のときよりも右側へ撓んだ状態となっている。この撓んだ状態の第3フィン部58は、左側の第2電池セル20Bの面21に沿って下方向へ延出している。そして、撓んだ状態の第3フィン部58は、その撓みの反力により、左側の第2電池セル20Bの面21を左側へ押圧している。
【0057】
第4バー部54の右側面に右側の第1電池セル20Aの面21が接触していることで、第4バー部54に設けられた第1フィン部56は、右側の第1電池セル20Aの面21によって左側へ押圧されている。この押圧により、第1フィン部56は、右側の第1電池セル20Aの面21に沿って、非圧縮状態のときよりも左側へ撓んだ状態となっている。この撓んだ状態の第1フィン部56は、右側の第1電池セル20Aの面21に沿って上方向へ延出している。そして、撓んだ状態の第1フィン部56は、その撓みの反力により、右側の第1電池セル20Aの面21を右側へ押圧している。
【0058】
ここで、前述したように、第1フィン部56の第1フィン長LA、及び、第3フィン部58の第3フィン長LCは、いずれも第1バー部51と第3バー部53との間隔P2よりも短い。このため、右側の第1電池セル20Aの面21には、第1バー部51と第3バー部53との間隔P2において、第1フィン部56に覆われていない部分がある。また、左側の第2電池セル20Bの面21には、第1バー部51と第3バー部53との間隔P2において、第3フィン部58に覆われていない部分がある。
【0059】
同様に、第2フィン部57の第2フィン長LB、及び、第4フィン部59の第4フィン長LDは、いずれも第1バー部51と第2バー部52との間隔P1よりも短い。このため、右側の第1電池セル20Aの面21には、第1バー部51と第2バー部52との間隔P1において、第4フィン部59に覆われていない部分がある。また、左側の第2電池セル20Bの面21には、第1バー部51と第2バー部52との間隔P1において、第2フィン部57に覆われていない部分がある。
【0060】
同様に、第3フィン部58の第3フィン長LC、及び、第1フィン部56の第1フィン長LAは、いずれも第2バー部52と第4バー部54との間隔P3よりも短い。このため、左側の第2電池セル20Bの面21には、第2バー部52と第4バー部54との間隔P3において、第3フィン部58に覆われていない部分がある。また、右側の第1電池セル20Aの面21には、第2バー部52と第4バー部54との間隔P3において、第1フィン部56に覆われていない部分がある。
【0061】
よって、スペーサ13の両隣の電池セル20の面21は、バー部50同士の間隔において、空間15に露出している部分がある。つまり、スペーサ13の両隣の電池セル20は、発熱時には、空間15へと放熱することができる。空間15は、電池モジュール10において、電池セル20の冷却用の気体が流される冷却用気体の通過経路である。これにより、スペーサ13は、両隣の電池セル20を冷却しつつ、両隣の電池セル20同士の温度差が大きくなることを抑制することができる。
【0062】
また、前述したように、第1フィン部56の第1フィン長LAと第3フィン部58の第3フィン長LCとの合計は、第1バー部51と第3バー部53との間隔P2よりも長い。このため、圧縮状態では、第1フィン部56と第3フィン部58とは、配列方向(Z方向)において重なっている。つまり、第1フィン部56の先端と第3フィン部58の先端とは、重なりL2が設けられている。よって、第1フィン部56は、右側の第1電池セル20Aのうち、第3フィン部58によって左側の第2電池セル20Bが押圧を受けていない領域と対向する領域を少なくとも押圧している。第3フィン部58は、左側の第2電池セル20Bのうち、第1フィン部56によって右側の第1電池セル20Aが押圧を受けていない領域と対向する領域を少なくとも押圧している。つまり、スペーサ13の両隣の電池セル20は、第1バー部51と第3バー部53との間隔P2では配列方向(Z方向)において隙間がなく、第1フィン部56及び第3フィン部58の少なくともどちらかにより遠ざかる方向へ押圧されている。また、スペーサ13の両隣の電池セル20同士が、第1バー部51と第3バー部53との間で接触することはない。例えば、両隣の電池セル20が膨張してそれぞれ第1フィン部56及び第3フィン部58を撓ませつつ空間15へと進入したとしても、両隣の電池セル20の間には必ず、第1フィン部56及び第3フィン部58の少なくとも一方が存在する。これにより、スペーサ13は、両隣の電池セル20同士の絶縁を確実に維持することができる。
【0063】
同様に、第2フィン部57の第2フィン長LBと第4フィン部59の第4フィン長LDとの合計は、第1バー部51と第2バー部52との間隔P1よりも長い。このため、圧縮状態では、第2フィン部57と第4フィン部59とは、配列方向(Z方向)において重なっている。つまり、第2フィン部57の先端と第4フィン部59の先端とは、重なりL1が設けられている。よって、第2フィン部57は、左側の第2電池セル20Bのうち、第4フィン部59によって右側の第1電池セル20Aが押圧を受けていない領域と対向する領域を少なくとも押圧している。第4フィン部59は、右側の第1電池セル20Aのうち、第2フィン部57によって右側の第1電池セル20Aが押圧を受けていない領域と対向する領域を少なくとも押圧している。つまり、スペーサ13の両隣の電池セル20は、第1バー部51と第2バー部52との間隔P1では配列方向(Z方向)において隙間がなく、第2フィン部57及び第4フィン部59の少なくともどちらかにより遠ざかる方向へ押圧されている。また、スペーサ13の両隣の電池セル20同士が、第1バー部51と第2バー部52との間で接触することはない。例えば、両隣の電池セル20が膨張してそれぞれ第2フィン部57及び第1フィン部56を撓ませつつ空間15へと進入したとしても、両隣の電池セル20の間には必ず、第2フィン部57及び第1フィン部56の少なくとも一方が存在する。これにより、スペーサ13は、両隣の電池セル20同士の絶縁を確実に維持することができる。
【0064】
同様に、第3フィン部58の第3フィン長LCと第1フィン部56の第1フィン長LAとの合計は、第2バー部52と第4バー部54との間隔P3よりも長い。このため、圧縮状態では、第3フィン部58と第1フィン部56とは、配列方向(Z方向)において重なっている。つまり、第3フィン部58の先端と第1フィン部56の先端とは、重なりL3が設けられている。よって、第1フィン部56は、右側の第1電池セル20Aのうち、第3フィン部58によって左側の第2電池セル20Bが押圧を受けていない領域と対向する領域を少なくとも押圧している。第3フィン部58は、左側の第2電池セル20Bのうち、第1フィン部56によって右側の第1電池セル20Aが押圧を受けていない領域と対向する領域を少なくとも押圧している。つまり、スペーサ13の両隣の電池セル20は、第2バー部52と第4バー部54との間隔P3では配列方向(Z方向)において隙間がなく、第1フィン部56及び第3フィン部58の少なくともどちらかにより遠ざかる方向へ押圧されている。また、スペーサ13の両隣の電池セル20同士が、第2バー部52と第4バー部54との間で接触することはない。例えば、両隣の電池セル20が膨張してそれぞれ第3フィン部58及び第1フィン部56を撓ませつつ空間15へと進入したとしても、両隣の電池セル20の間には必ず、第3フィン部58及び第1フィン部56の少なくとも一方が存在する。これにより、スペーサ13は、両隣の電池セル20同士の絶縁を確実に維持することができる。
【0065】
図5に示すように、両隣の電池セル20の面21によってスペーサ13が挟まれると、バー部50によって電池セル20が押圧される。配列方向における中央寄りの第1バー部51と第2バー部52との間隔P1は、中央寄り以外の第1バー部51と第3バー部53との間隔P2及び第2バー部52と第4バー部54との間隔P3よりも広い。このため、バー部50によって電池セル20が押圧されるときに、バー部50による電池セル20の中央寄りの押圧が電池セル20の中央寄り以外よりも低くなる。これにより、充放電に伴い電池セル20が膨張するときに中央寄りに対する押圧を抑制することができる。例えば、電池セル20がリチウムイオン電池である場合に、過度に電池セル20が押圧された状態で膨張と収縮とを繰り返すことで発生するハイレート劣化を抑制することができる。
【0066】
スペーサ13は、電池セル20が何らかの要因で膨張した場合にも、第1フィン部56、第2フィン部57による電池セル20の押圧によって、空間15内への電池セル20の進入を抑制することができる。つまり、スペーサ13は、電池セル20が膨張した場合にも、空間15の積層方向(X方向)の長さが狭くなることを抑制して、空間15を適切に確保することができる。このため、スペーサ13は、電池セル20の膨張により、空間15に流れる冷却用気体の流量が少なくなることを抑制することができる。よって、スペーサ13は、空間15を流れる冷却用気体による電池セル20の冷却機能が低下することを抑制できる。
【0067】
次に、第1実施形態の効果について説明する。
(1-1)第1フィン部56及び第4フィン部59が第1電池セル20Aの面21と接することで第1電池セル20Aの面21との距離を適切に確保することができ、第2フィン部57及び第3フィン部58が第2電池セル20Bの面21と接することで第2電池セル20Bの面21との距離を適切に確保することができる。このため、スペーサ13によって隣り合う電池セル20同士の間の距離を適切に確保することができる。よって、電池セル20同士の間の空間への放熱が適切に行われ、電池セル20を適切に冷却することができる。また、配列方向における中央寄りの第1バー部51と第2バー部52との間隔P1が中央寄り以外の第1バー部51と第3バー部53との間隔P2及び第2バー部52と第4バー部54との間隔P3間隔よりも広い。このため、電池セル20同士の間に配置されたスペーサ13のバー部50によって電池セル20が押圧されるときに、バー部50による電池セル20の中央寄りの押圧が電池セル20の中央寄り以外よりも低くなる。これにより、充放電に伴い電池セル20が膨張するときに中央寄りに対する押圧を抑制することができる。
【0068】
(1-2)配列方向の中央寄りのバー部50の間隔を広くすることで電池セル20の中央寄りの押圧を抑制しつつ、第2フィン部57及び第4フィン部59が電池セル20と接触することで電池セル20の過度な変形を抑制することができる。
【0069】
(1-3)同じバー部50に第1フィン部56と第2フィン部57とが設けられる。このため、隣り合う両方の電池セル20に第1フィン部56と第2フィン部57とが接することで絶縁を確保することができる。
【0070】
(1-4)第1フィン部56が第1配列方向に対して傾斜し、第2フィン部57が第2配列方向に対して傾斜する。このため、隣り合う両方の電池セル20に第1フィン部56と第2フィン部57とが異なる位置で接することで絶縁を確保することができる。
【0071】
(第2実施形態)
以下、
図6及び
図7を参照して、電池モジュール及びスペーサの第2実施形態について説明する。この実施形態の電池モジュール及びスペーサは、空間形成部が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0072】
(空間形成部13A)
次に、
図6及び
図7を参照して、空間形成部13Aについて詳細に説明する。
図6及び
図7は、スペーサ13の空間形成部13Aの断面図である。
図6は、非圧縮状態の空間形成部13Aを両隣の電池セル20とともに示している。
図7は、圧縮状態の空間形成部13Aを両隣の電池セル20とともに示している。
【0073】
図6に示すように、バー部30は、上から順に、第3バー部33、第1バー部31、第2バー部32、第4バー部34を有している。第1バー部31と第2バー部32との間隔P1は、第1バー部31と第3バー部33との間隔P2及び第2バー部32と第4バー部34との間隔P3よりも長い(P1>P2,P1>P3)。電池セル20内の電極体の拘束範囲PXは、第3バー部33の上面と第4バー部34の下面までの範囲である。間隔P1は、電池セル20の面21の配列方向において電極体の拘束範囲PXの35~60%であることが好ましい。フィン部35は、第1フィン部36、第2フィン部37、第3フィン部38、第4フィン部39を有している。
【0074】
第1バー部31には、第1フィン部36と、第2フィン部37と、が設けられている。第1フィン部36は、バー部30が配列された配列方向(Z方向)における第1配列方向(上方向)に対して第1角度θA傾斜して配列方向(Z方向)に直交する第1直交方向(図中右方向)に伸びて形成される。第2フィン部37は、第1配列方向と逆の第2配列方向(下方向)に対して第2角度θB傾斜して第1直交方向(図中右方向)に伸びて形成される。第1フィン部36及び第2フィン部37は、図中右側の第1電池セル20Aの面21に接する。第1角度θAと第2角度θBとは、異なる角度である。第1角度θAは、第2角度θBよりも大きい角度である。
【0075】
第2バー部32には、第3フィン部38と、第4フィン部39と、が設けられている。第3フィン部38は、第2配列方向(下方向)に対して第3角度θC傾斜して第1直交方向(図中右方向)と逆の第2直交方向(図中左方向)に伸びて形成される。第4フィン部39は、第1配列方向(上方向)に対して第4角度θD傾斜して第2直交方向(図中左方向)に伸びて形成される。第3フィン部38及び第4フィン部39は、図中左側の第2電池セル20Bの面21に接する。第3角度θCと第4角度θDとは、異なる角度である。第3角度θCは、第4角度θDよりも大きい角度である。第1角度θAと第3角度θCとは、同じ角度である。第2角度θBと第4角度θDとは、同じ角度である。
【0076】
第3バー部33には、第3フィン部38が設けられている。第3フィン部38は、第2配列方向(下方向)に対して第3角度θC傾斜して第2直交方向(図中左方向)に伸びて形成される。第3フィン部38は、左側の第2電池セル20Bの面21に接する。
【0077】
第4バー部34には、第1フィン部36が設けられている。第1フィン部36は、第1配列方向(上方向)に対して第1角度θA傾斜して第1直交方向(図中右方向)に伸びて形成される。第1フィン部36は、右側の第1電池セル20Aの面21に接する。
【0078】
(非圧縮状態)
図6に示すように、非圧縮状態において、第1バー部31に設けられた第1フィン部36の先端及び第2フィン部37の先端は、第1バー部31よりも図中右側の第1電池セル20A側へ突き出ている。また、非圧縮状態において、第2バー部32に設けられた第3フィン部38の先端及び第4フィン部39の先端は、第2バー部32よりも左側の第2電池セル20B側へと突き出ている。第3バー部33に設けられた第3フィン部38の先端は、第3バー部33よりも左側の第2電池セル20B側へと突き出ている。第4バー部34に設けられた第1フィン部36の先端は、第4バー部34よりも右側の第1電池セル20A側へと突き出ている。第1バー部31、第2バー部32、第3バー部33、及び第4バー部34は、右側の第1電池セル20Aの面21にも、左側の第2電池セル20Bの面21にも接触していない。
【0079】
第1フィン部36の第1バー部31からの長さである第1フィン長LA、及び、第3フィン部38の第3バー部33からの長さである第3フィン長LCは、いずれも第1バー部31と第3バー部33との間隔P2よりも短い(LA<P2、LC<P2)。第1フィン長LAと第3フィン長LCとは、同じ長さである(LA=LC)。第1フィン長LAと第3フィン長LCとの合計は、第1バー部31と第3バー部33との間隔P2よりも長い(LA+LC>P2)。
【0080】
第2フィン部37の第1バー部31からの長さである第2フィン長LB、及び、第4フィン部39の第2バー部32からの長さである第4フィン長LDは、いずれも第1バー部31と第2バー部32との間隔P1よりも短い(LB<P1、LD<P1)。第2フィン長LBと第4フィン長LDとは、同じ長さである(LB=LD)。第2フィン長LBと第4フィン長LDとの合計は、第1バー部31と第2バー部32との間隔P1よりも長い(LB+LD>P1)。第2フィン部37の第1バー部31からの長さである第2フィン長LBは、第1フィン部36の第1バー部31からの長さである第1フィン長LAよりも長い(LB>LA)。
【0081】
第3フィン部38の第2バー部32からの長さである第3フィン長LC、及び、第1フィン部36の第4バー部34からの長さである第1フィン長LAは、いずれも第2バー部32と第4バー部34との間隔P3よりも短い(LC<P3、LA<P3)。第3フィン長LCと第1フィン長LAとは、同じ長さである(LC=LA)。第3フィン長LCと第1フィン長LAとの合計は、第2バー部32と第4バー部34との間隔P3よりも長い(LC+LA>P3)。第4フィン部39の第2バー部32からの長さである第4フィン長LDは、第3フィン部38の第2バー部32からの長さである第3フィン長LCよりも長い(LD>LC)。
【0082】
第1フィン部36の配列方向(Z方向)の投影長LZA、及び、第3フィン部38の配列方向(Z方向)の投影長LZCの合計は、非圧縮状態において、第1バー部31と第3バー部33との間隔P2よりも短い(LZA+LZC<P2)。このため、非圧縮状態において、第1フィン部36と第3フィン部38との先端の間には、配列方向(Z方向)において隙間G2が設けられている。これにより、第1フィン部36と第3フィン部38とが配列方向(Z方向)において重ならないようになっている。このようなスペーサ13は、安価に製造することができる。
【0083】
第2フィン部37の配列方向(Z方向)の投影長LZB、及び、第4フィン部39の配列方向(Z方向)の投影長LZDの合計は、非圧縮状態において、第1バー部31と第2バー部32との間隔P1よりも短い(LZB+LZD<P1)。このため、非圧縮状態において、第2フィン部37と第4フィン部39との先端の間には、配列方向(Z方向)において隙間G1が設けられている。これにより、第2フィン部37と第4フィン部39とが配列方向(Z方向)において重ならないようになっている。このようなスペーサ13は、安価に製造することができる。
【0084】
第3フィン部38の配列方向(Z方向)の投影長LZC、及び、第1フィン部36の配列方向(Z方向)の投影長LZAの合計は、非圧縮状態において、第2バー部32と第4バー部34との間隔P3よりも短い(LZC+LZA<P3)。このため、非圧縮状態において、第3フィン部38と第1フィン部36との先端の間には、配列方向(Z方向)において隙間G3が設けられている。これにより、第3フィン部38と第1フィン部36とが配列方向(Z方向)において重ならないようになっている。このようなスペーサ13は、安価に製造することができる。
【0085】
(圧縮状態)
図7に示すように、圧縮状態では、バー部30の右側面は、右側の第1電池セル20Aの面21に接触している。バー部30の左側面には、左側の第2電池セル20Bの面21が接触している。つまり、圧縮状態では、バー部30は、第1電池セル20Aの面21と第2電池セル20Bの面21とによって挟み込まれていることで、積層方向(X方向)において圧縮されている。また、バー部30は、その圧縮に対する反力によって第1電池セル20Aの面21と第2電池セル20Bの面21とを互いに遠ざかる方向へ押圧している。これにより、バー部30によって両隣の電池セル20同士の接触が抑制されている。そして、上下に隣り合う2つのバー部30の間には、スペーサ13の両隣の電池セル20の面21同士が離間する空間15が形成されている。
【0086】
第1バー部31の右側面に右側の第1電池セル20Aの面21が接触していることで、第1バー部31に設けられた第1フィン部36は、右側の第1電池セル20Aの面21によって左側へ押圧されている。この押圧により、第1フィン部36は、右側の第1電池セル20Aの面21に沿って、非圧縮状態のときよりも左側へ撓んだ状態となっている。この撓んだ状態の第1フィン部36は、右側の第1電池セル20Aの面21に沿って上方向へ延出している。そして、撓んだ状態の第1フィン部36は、その撓みの反力により、右側の第1電池セル20Aの面21を右側へ押圧している。
【0087】
第1バー部31の右側面に右側の第1電池セル20Aの面21が接触していることで、第1バー部31に設けられた第2フィン部37は、右側の第1電池セル20Aの面21によって左側へ押圧されている。この押圧により、第2フィン部37は、右側の第1電池セル20Aの面21に沿って、非圧縮状態のときよりも左側へ撓んだ状態となっている。この撓んだ状態の第2フィン部37は、右側の第1電池セル20Aの面21に沿って下方向へ延出している。そして、撓んだ状態の第2フィン部37は、その撓みの反力により、右側の第1電池セル20Aの面21を右側へ押圧している。
【0088】
第2バー部32の左側面に左側の第2電池セル20Bの面21が接触していることで、第2バー部32に設けられた第3フィン部38は、左側の第2電池セル20Bの面21によって右側へ押圧されている。この押圧により、第3フィン部38は、左側の第2電池セル20Bの面21に沿って、非圧縮状態のときよりも右側へ撓んだ状態となっている。この撓んだ状態の第3フィン部38は、左側の第2電池セル20Bの面21に沿って下方向へ延出している。そして、撓んだ状態の第3フィン部38は、その撓みの反力により、左側の第2電池セル20Bの面21を左側へ押圧している。
【0089】
第2バー部32の左側面に左側の第2電池セル20Bの面21が接触していることで、第2バー部32に設けられた第4フィン部39は、左側の第2電池セル20Bの面21によって右側へ押圧されている。この押圧により、第4フィン部39は、左側の第2電池セル20Bの面21に沿って、非圧縮状態のときよりも右側へ撓んだ状態となっている。この撓んだ状態の第4フィン部39は、左側の第2電池セル20Bの面21に沿って上方向へ延出している。そして、撓んだ状態の第4フィン部39は、その撓みの反力により、左側の第2電池セル20Bの面21を左側へ押圧している。
【0090】
第3バー部33の左側面に左側の第2電池セル20Bの面21が接触していることで、第3バー部33に設けられた第3フィン部38は、左側の第2電池セル20Bの面21によって右側へ押圧されている。この押圧により、第3フィン部38は、左側の第2電池セル20Bの面21に沿って、非圧縮状態のときよりも右側へ撓んだ状態となっている。この撓んだ状態の第3フィン部38は、左側の第2電池セル20Bの面21に沿って下方向へ延出している。そして、撓んだ状態の第3フィン部38は、その撓みの反力により、左側の第2電池セル20Bの面21を左側へ押圧している。
【0091】
第4バー部34の右側面に右側の第1電池セル20Aの面21が接触していることで、第4バー部34に設けられた第1フィン部36は、右側の第1電池セル20Aの面21によって左側へ押圧されている。この押圧により、第1フィン部36は、右側の第1電池セル20Aの面21に沿って、非圧縮状態のときよりも左側へ撓んだ状態となっている。この撓んだ状態の第1フィン部36は、右側の第1電池セル20Aの面21に沿って上方向へ延出している。そして、撓んだ状態の第1フィン部36は、その撓みの反力により、右側の第1電池セル20Aの面21を右側へ押圧している。
【0092】
ここで、前述したように、第1フィン部36の第1フィン長LA、及び、第3フィン部38の第3フィン長LCは、いずれも第1バー部31と第3バー部33との間隔P2よりも短い。このため、右側の第1電池セル20Aの面21には、第1バー部31と第3バー部33との間隔P2において、第1フィン部36に覆われていない部分がある。また、左側の第2電池セル20Bの面21には、第1バー部31と第3バー部33との間隔P3において、第3フィン部38に覆われていない部分がある。
【0093】
同様に、第2フィン部37の第2フィン長LB、及び、第4フィン部39の第4フィン長LDは、いずれも第1バー部31と第2バー部32との間隔P1よりも短い。このため、右側の第1電池セル20Aの面21には、第1バー部31と第2バー部32との間隔P1において、第2フィン部37に覆われていない部分がある。また、左側の第2電池セル20Bの面21には、第1バー部31と第2バー部32との間隔P1において、第4フィン部39に覆われていない部分がある。
【0094】
同様に、第3フィン部38の第3フィン長LC、及び、第1フィン部36の第1フィン長LAは、いずれも第2バー部32と第4バー部34との間隔P3よりも短い。このため、左側の第2電池セル20Bの面21には、第2バー部32と第4バー部34との間隔P3において、第3フィン部38に覆われていない部分がある。また、右側の第1電池セル20Aの面21には、第2バー部32と第4バー部34との間隔P3において、第1フィン部36に覆われていない部分がある。
【0095】
よって、スペーサ13の両隣の電池セル20の面21は、バー部30同士の間隔において、空間15に露出している部分がある。つまり、スペーサ13の両隣の電池セル20は、発熱時には、空間15へと放熱することができる。空間15は、電池モジュール10において、電池セル20の冷却用の気体が流される冷却用気体の通過経路である。これにより、スペーサ13は、両隣の電池セル20を冷却しつつ、両隣の電池セル20同士の温度差が大きくなることを抑制することができる。
【0096】
また、前述したように、第1フィン部36の第1フィン長LAと第3フィン部38の第3フィン長LCとの合計は、第1バー部31と第3バー部33との間隔P2よりも長い。このため、圧縮状態では、第1フィン部36と第3フィン部38とは、配列方向(Z方向)において重なっている。つまり、第1フィン部36の先端と第3フィン部38の先端とは、重なりL2が設けられている。よって、第1フィン部36は、右側の第1電池セル20Aのうち、第3フィン部38によって左側の第2電池セル20Bが押圧を受けていない領域と対向する領域を少なくとも押圧している。第3フィン部38は、左側の第2電池セル20Bのうち、第1フィン部36によって右側の第1電池セル20Aが押圧を受けていない領域と対向する領域を少なくとも押圧している。つまり、スペーサ13の両隣の電池セル20は、第1バー部31と第3バー部33との間隔P2では配列方向(Z方向)において隙間がなく、第1フィン部36及び第3フィン部38の少なくともどちらかにより遠ざかる方向へ押圧されている。また、スペーサ13の両隣の電池セル20同士が、第1バー部31と第3バー部33との間で接触することはない。例えば、両隣の電池セル20が膨張してそれぞれ第1フィン部36及び第3フィン部38を撓ませつつ空間15へと進入したとしても、両隣の電池セル20の間には必ず、第1フィン部36及び第3フィン部38の少なくとも一方が存在する。これにより、スペーサ13は、両隣の電池セル20同士の絶縁を確実に維持することができる。
【0097】
同様に、第2フィン部37の第2フィン長LBと第4フィン部39の第4フィン長LDとの合計は、第1バー部31と第2バー部32との間隔P1よりも長い。このため、圧縮状態では、第2フィン部37と第4フィン部39とは、配列方向(Z方向)において重なっている。つまり、第2フィン部37の先端と第4フィン部39の先端とは、重なりL1が設けられている。よって、第2フィン部37は、右側の第1電池セル20Aのうち、第4フィン部39によって左側の第2電池セル20Bが押圧を受けていない領域と対向する領域を少なくとも押圧している。第4フィン部39は、左側の第2電池セル20Bのうち、第2フィン部37によって右側の第1電池セル20Aが押圧を受けていない領域と対向する領域を少なくとも押圧している。つまり、スペーサ13の両隣の電池セル20は、第1バー部31と第2バー部32との間隔P1では配列方向(Z方向)において隙間がなく、第2フィン部37及び第4フィン部39の少なくともどちらかにより遠ざかる方向へ押圧されている。また、スペーサ13の両隣の電池セル20同士が、第1バー部31と第2バー部32との間で接触することはない。例えば、両隣の電池セル20が膨張してそれぞれ第2フィン部37及び第4フィン部39を撓ませつつ空間15へと進入したとしても、両隣の電池セル20の間には必ず、第2フィン部37及び第4フィン部39の少なくとも一方が存在する。これにより、スペーサ13は、両隣の電池セル20同士の絶縁を確実に維持することができる。
【0098】
同様に、第3フィン部38の第3フィン長LCと第1フィン部36の第1フィン長LAとの合計は、第2バー部32と第4バー部34との間隔P3よりも長い。このため、圧縮状態では、第3フィン部38と第1フィン部36とは、配列方向(Z方向)において重なっている。つまり、第3フィン部38の先端と第1フィン部36の先端とは、重なりL3が設けられている。よって、第1フィン部36は、右側の第1電池セル20Aのうち、第3フィン部38によって左側の第2電池セル20Bが押圧を受けていない領域と対向する領域を少なくとも押圧している。第3フィン部38は、左側の第2電池セル20Bのうち、第1フィン部36によって右側の第1電池セル20Aが押圧を受けていない領域と対向する領域を少なくとも押圧している。つまり、スペーサ13の両隣の電池セル20は、第2バー部32と第4バー部34との間隔P3では配列方向(Z方向)において隙間がなく、第1フィン部36及び第3フィン部38の少なくともどちらかにより遠ざかる方向へ押圧されている。また、スペーサ13の両隣の電池セル20同士が、第2バー部32と第4バー部34との間で接触することはない。例えば、両隣の電池セル20が膨張してそれぞれ第3フィン部38及び第1フィン部36を撓ませつつ空間15へと進入したとしても、両隣の電池セル20の間には必ず、第3フィン部38及び第1フィン部36の少なくとも一方が存在する。これにより、スペーサ13は、両隣の電池セル20同士の絶縁を確実に維持することができる。
【0099】
図7に示すように、両隣の電池セル20の面21によってスペーサ13が挟まれると、バー部30によって電池セル20が押圧される。配列方向における中央寄りの第1バー部31と第2バー部32との間隔P1は、中央寄り以外の第1バー部31と第3バー部33との間隔P2及び第2バー部32と第4バー部34との間隔P3よりも広い。このため、バー部30によって電池セル20が押圧されるときに、バー部30による電池セル20の中央寄りの押圧が電池セル20の中央寄り以外よりも低くなる。これにより、充放電に伴い電池セル20が膨張するときに中央寄りに対する押圧を抑制することができる。例えば、電池セル20がリチウムイオン電池である場合に、過度に電池セル20が押圧された状態で膨張と収縮とを繰り返すことで発生するハイレート劣化を抑制することができる。
【0100】
スペーサ13は、電池セル20が何らかの要因で膨張した場合にも、第1フィン部36、第2フィン部37、第3フィン部38、及び第4フィン部39による電池セル20の押圧によって、空間15内への電池セル20の進入を抑制することができる。つまり、スペーサ13は、電池セル20が膨張した場合にも、空間15の積層方向(X方向)の長さが狭くなることを抑制して、空間15を適切に確保することができる。このため、スペーサ13は、電池セル20の膨張により、空間15に流れる冷却用気体の流量が少なくなることを抑制することができる。よって、スペーサ13は、空間15を流れる冷却用気体による電池セル20の冷却機能が低下することを抑制することができる。
【0101】
次に、第2実施形態の効果について説明する。
(2-1)第1フィン部36及び第2フィン部37が第1電池セル20Aの面21と接することで第1電池セル20Aの面21との距離を適切に確保することができ、第3フィン部38及び第4フィン部39が第2電池セル20Bの面21と接することで第2電池セル20Bの面21との距離を適切に確保することができる。このため、スペーサ13によって隣り合う電池セル20同士の間の距離を適切に確保することができる。よって、電池セル20同士の間の空間への放熱が適切に行われ、電池セル20を適切に冷却することができる。また、配列方向における中央寄りの第1バー部31と第2バー部32との間隔P1が中央寄り以外の第1バー部31と第3バー部33との間隔P2及び第2バー部32と第4バー部34との間隔P3よりも広い。このため、電池セル20同士の間に配置されたスペーサ13のバー部30によって電池セル20が押圧されるときに、バー部30による電池セル20の中央寄りの押圧が電池セル20の中央寄り以外よりも低くなる。これにより、充放電に伴い電池セル20が膨張するときに中央寄りに対する押圧を抑制することができる。
【0102】
(2-2)配列方向の中央寄りのバー部30の間隔を広くすることで電池セル20の中央寄りの押圧を抑制しつつ、第2フィン部37及び第4フィン部39が電池セル20と接触することで電池セル20の過度な変形を抑制することができる。
【0103】
(2-3)第1フィン部36が第1バー部31に設けられ、第2フィン部37が第1バー部31と異なる第2バー部32に設けられる。このため、第1フィン部36が設けられた第1バー部31と第2フィン部37が設けられた第2バー部32とが隣り合う両方の電池セル20に別々に接することで絶縁を確保することができる。
【0104】
(2-4)第1バー部31に第1配列方向に対して傾斜する第1フィン部36と第2配列方向に対して傾斜する第2フィン部37とを設け、第2バー部32に第1配列方向に対して傾斜する第1フィン部36と第2配列方向に対して傾斜する第2フィン部37とを設ける。このため、各バー部30から少なくとも二つのフィン部35が電池セル20に接する。よって、隣り合う両方の電池セル20の絶縁を確保することができる。
【0105】
(第3実施形態)
以下、
図8及び
図9を参照して、電池モジュール及びスペーサの第3実施形態について説明する。この実施形態の電池モジュール及びスペーサは、空間形成部が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0106】
(空間形成部13B)
図8及び
図9は、スペーサ13の空間形成部13Bの断面図である。
図8は、非圧縮状態の空間形成部13Bを両隣の電池セル20とともに示している。
図9は、圧縮状態の空間形成部13Bを両隣の電池セル20とともに示している。
【0107】
図8に示すように、バー部40は、上から順に、第3バー部43、第1バー部41、第2バー部42、第4バー部44を有している。第1バー部41と第2バー部42との間隔P1は、第1バー部41と第3バー部43との間隔P2及び第2バー部42と第4バー部44との間隔P3よりも長い(P1>P2,P1>P3)。電池セル20内の電極体の拘束範囲PXは、第3バー部43の上面と第4バー部44の下面までの範囲である。間隔P1は、電池セル20の面21の配列方向において電極体の拘束範囲PXの35~60%であることが好ましい。フィン部45は、第1フィン部46A、第1ストッパー部46B、第2フィン部47A、第2ストッパー部47B、第3フィン部48、第4フィン部49を有している。
【0108】
第1バー部41には、第1フィン部46Aと、第1ストッパー部46Bと、が設けられている。第1フィン部46Aは、バー部40が配列された配列方向(Z方向)における第1配列方向(下方向)に対して第1角度θA傾斜して配列方向(Z方向)に直交する第1直交方向(図中右方向)に伸びて形成される。第1ストッパー部46Bは、第1配列方向と逆の第2配列方向(上方向)に伸びて形成される。第1フィン部46Aは、図中右側の第1電池セル20Aの面21に接する。第1ストッパー部46Bは圧縮時に変形しないことが望ましいので、第1ストッパー部46Bの厚みは、第1フィン部46Aの厚みよりも大きいのが好ましい。
【0109】
第2バー部42には、第2フィン部47Aと、第2ストッパー部47Bと、が設けられている。第2フィン部47Aは、第1配列方向(下方向)に対して第2角度θB傾斜して第1直交方向(図中右方向)と逆の第2直交方向(図中左方向)に伸びて形成される。第2ストッパー部47Bは、第2配列方向(上方向)に伸びて形成される。第2フィン部47Aは、図中左側の第2電池セル20Bの面21に接する。第1角度θAと第2角度θBとは、同じ角度である。第2ストッパー部47Bは圧縮時に変形しないことが望ましいので、第2ストッパー部47Bの厚みは、第2フィン部47Aの厚みよりも大きいのが好ましい。
【0110】
第3バー部43には、第3フィン部48が設けられている。第3フィン部48は、第1配列方向(下方向)に対して第3角度θC傾斜して第2直交方向(図中左方向)に伸びて形成される。第3フィン部48は、左側の第2電池セル20Bの面21に接する。
【0111】
第4バー部44には、第4フィン部49が設けられている。第4フィン部49は、第2配列方向(上方向)に伸びて形成される。第4フィン部49は、図中右側の第1電池セル20Aの面21に接する。
【0112】
(非圧縮状態)
図8に示すように、非圧縮状態において、第1バー部41に設けられた第1フィン部46Aの先端は、第1バー部41よりも図中右側の第1電池セル20A側へ突き出ている。非圧縮状態において、第2バー部42に設けられた第2フィン部47Aの先端は、第2バー部42よりも左側の第2電池セル20B側へと突き出ている。非圧縮状態において、第3バー部43に設けられた第3フィン部48の先端は、第3バー部43よりも左側の第2電池セル20B側へと突き出ている。非圧縮状態において、第4バー部44に設けられた第4フィン部49の先端は、第4バー部44よりも図中右側の第1電池セル20A側へ突き出ている。第1バー部41、第2バー部42、第3バー部43、及び第4バー部44は、右側の第1電池セル20Aの面21にも、左側の第2電池セル20Bの面21にも接触していない。
【0113】
第1フィン部46Aの第1バー部41からの長さである第1フィン長LA、及び、第2フィン部47Aの第2バー部42からの長さである第2フィン長LBは、いずれも第1バー部41と第2バー部42との間隔P1よりも短い(LA<P1、LB<P1)。第1フィン長LAと第2フィン長LBとの合計は、第1バー部41と第2バー部42との間隔P1よりも長い(LA+LB>P1)。
【0114】
第3フィン部48の第3バー部43からの長さである第3フィン長LC、及び、第1ストッパー部46Bの第1バー部41からの長さである第5フィン長LEは、いずれも第1バー部41と第3バー部43との間隔P2よりも短い(LC<P2、LE<P2)。第3フィン長LCと第5フィン長LEとの合計は、第1バー部41と第3バー部43との間隔P2よりも長い(LC+LE>P2)。
【0115】
第2ストッパー部47Bの第2バー部42からの長さである第6フィン長LF、及び、第4フィン部49の第4バー部44からの長さである第4フィン長LDは、いずれも第2バー部42と第4バー部44との間隔P3よりも短い(LF<P3、LD<P3)。第6フィン長LFと第4フィン長LDとの合計は、第2バー部42と第4バー部44との間隔P3よりも長い(LF+LD>P3)。
【0116】
第1フィン部46Aの配列方向(Z方向)の投影長LZA、及び、第2フィン部47Aの第2フィン長LBの合計は、非圧縮状態において、第1バー部41と第2バー部42との間隔P1よりも短い(LZA+LB<P1)。このため、非圧縮状態において、第1フィン部46Aと第2フィン部47Aとの先端の間には、配列方向(Z方向)において隙間G1が設けられている。これにより、第1フィン部46Aと第2フィン部47Aとが配列方向(Z方向)において重ならないようになっている。このようなスペーサ13は、安価に製造することができる。
【0117】
第3フィン部48の配列方向(Z方向)の投影長LZC、及び、第1ストッパー部46Bの第5フィン長LEの合計は、非圧縮状態において、第1バー部41と第3バー部43との間隔P2よりも短い(LZC+LE<P2)。このため、非圧縮状態において、第3フィン部48と第1ストッパー部46Bとの先端の間には、配列方向(Z方向)において隙間G2が設けられている。これにより、第3フィン部48と第1ストッパー部46Bとが配列方向(Z方向)において重ならないようになっている。このようなスペーサ13は、安価に製造することができる。
【0118】
第4フィン部49の配列方向(Z方向)の投影長LZD、及び、第2ストッパー部47Bの第6フィン長LFの合計は、非圧縮状態において、第2バー部42と第4バー部44との間隔P3よりも短い(LZD+LF<P3)。このため、非圧縮状態において、第4フィン部49と第2ストッパー部47Bとの先端の間には、配列方向(Z方向)において隙間G3が設けられている。これにより、第4フィン部49と第2ストッパー部47Bとが配列方向(Z方向)において重ならないようになっている。このようなスペーサ13は、安価に製造することができる。
【0119】
(圧縮状態)
図9に示すように、圧縮状態では、バー部40の右側面は、右側の第1電池セル20Aの面21に接触している。バー部40の左側面には、左側の第2電池セル20Bの面21が接触している。つまり、圧縮状態では、バー部40は、第1電池セル20Aの面21と第2電池セル20Bの面21によって挟み込まれていることで、積層方向(X方向)において圧縮されている。また、バー部40は、その圧縮に対する反力によって第1電池セル20Aの面21と第2電池セル20Bの面21を互いに遠ざかる方向へ押圧している。これにより、バー部40によって両隣の電池セル20同士の接触が抑制されている。そして、上下に隣り合う2つのバー部40の間には、スペーサ13の両隣の電池セル20の面21同士が離間する空間15が形成されている。
【0120】
第1バー部41の右側面に右側の第1電池セル20Aの面21が接触していることで、第1バー部41に設けられた第1フィン部46Aは、右側の第1電池セル20Aの面21によって左側へ押圧されている。この押圧により、第1フィン部46Aは、右側の第1電池セル20Aの面21に沿って、非圧縮状態のときよりも左側へ撓んだ状態となっている。この撓んだ状態の第1フィン部46Aは、右側の第1電池セル20Aの面21に沿って下方向へ延出している。そして、撓んだ状態の第1フィン部46Aは、その撓みの反力により、右側の第1電池セル20Aの面21を右側へ押圧している。
【0121】
第2バー部42の左側面に左側の第2電池セル20Bの面21が接触していることで、第2バー部42に設けられた第2フィン部47Aは、左側の第2電池セル20Bの面21によって右側へ押圧されている。この押圧により、第2フィン部47Aは、左側の第2電池セル20Bの面21に沿って、非圧縮状態のときよりも右側へ撓んだ状態となっている。この撓んだ状態の第2フィン部47Aは、左側の第2電池セル20Bの面21に沿って下方向へ延出している。そして、撓んだ状態の第2フィン部47Aは、その撓みの反力により、左側の第2電池セル20Bの面21を左側へ押圧している。
【0122】
第3バー部43の左側面に左側の第2電池セル20Bの面21が接触していることで、第3バー部43に設けられた第3フィン部48は、左側の第2電池セル20Bの面21によって右側へ押圧されている。この押圧により、第3フィン部48は、左側の第2電池セル20Bの面21に沿って、非圧縮状態のときよりも右側へ撓んだ状態となっている。この撓んだ状態の第3フィン部48は、左側の第2電池セル20Bの面21に沿って下方向へ延出している。そして、撓んだ状態の第3フィン部48は、その撓みの反力により、左側の第2電池セル20Bの面21を左側へ押圧している。
【0123】
ここで、前述したように、第1フィン部46Aの第1フィン長LA、及び、第2フィン部47Aの第2フィン長LBは、いずれも第1バー部41と第2バー部42との間隔P1よりも短い。このため、右側の第1電池セル20Aの面21には、第1バー部41と第2バー部42との間隔P1において、第1フィン部46Aに覆われていない部分がある。また、左側の第2電池セル20Bの面21には、第1バー部41と第2バー部42との間隔P1において、第2フィン部47Aに覆われていない部分がある。
【0124】
同様に、第3フィン部48の第3フィン長LC、及び、第1ストッパー部46Bの第5フィン長LEは、いずれも第1バー部41と第3バー部43との間隔P2よりも短い。このため、右側の第1電池セル20Aの面21には、第1バー部41と第3バー部43との間隔P2において、第1ストッパー部46Bに覆われていない部分がある。また、左側の第2電池セル20Bの面21には、第1バー部41と第3バー部43との間隔P2において、第3フィン部48に覆われていない部分がある。
【0125】
同様に、第2ストッパー部47Bの第6フィン長LF、及び、第4フィン部49の第4フィン長LDは、いずれも第2バー部42と第4バー部44との間隔P3よりも短い。このため、左側の第2電池セル20Bの面21には、第2バー部42と第4バー部44との間隔P3において、第2ストッパー部47Bに覆われていない部分がある。また、右側の第1電池セル20Aの面21には、第2バー部42と第4バー部44との間隔P3において、第4フィン部49に覆われていない部分がある。
【0126】
よって、スペーサ13の両隣の電池セル20の面21は、バー部40同士の間隔において、空間15に露出している部分がある。つまり、スペーサ13の両隣の電池セル20は、発熱時には、空間15へと放熱することができる。空間15は、電池モジュール10において、電池セル20の冷却用の気体が流される冷却用気体の通過経路である。これにより、スペーサ13は、両隣の電池セル20を冷却しつつ、両隣の電池セル20同士の温度差が大きくなることを抑制することができる。
【0127】
また、前述したように、第1ストッパー部46Bの第5フィン長LEと第3フィン部48の第3フィン長LCとの合計は、第1バー部41と第3バー部43との間隔P2よりも長い。このため、圧縮状態では、第1ストッパー部46Bと第3フィン部48とは、配列方向(Z方向)において重なっている。つまり、第1ストッパー部46Bの先端と第3フィン部48の先端とは、重なりL2が設けられている。よって、第1ストッパー部46Bは、右側の第1電池セル20Aのうち、第3フィン部48によって左側の第2電池セル20Bが押圧を受けていない領域と対向する領域を少なくとも押圧している。第3フィン部48は、左側の第2電池セル20Bのうち、第1ストッパー部46Bによって右側の第1電池セル20Aが押圧を受けていない領域と対向する領域を少なくとも押圧している。つまり、スペーサ13の両隣の電池セル20は、第1バー部41と第3バー部43との間隔P2では配列方向(Z方向)において隙間がなく、第1ストッパー部46B及び第3フィン部48の少なくともどちらかにより遠ざかる方向へ押圧されている。また、スペーサ13の両隣の電池セル20同士が、第1バー部41と第3バー部43との間で接触することはない。例えば、両隣の電池セル20が膨張してそれぞれ第1ストッパー部46B及び第3フィン部48を撓ませつつ空間15へと進入したとしても、両隣の電池セル20の間には必ず、第1ストッパー部46B及び第3フィン部48の少なくとも一方が存在する。これにより、スペーサ13は、両隣の電池セル20同士の絶縁を確実に維持することができる。
【0128】
同様に、第1フィン部46Aの第1フィン長LAと第2フィン部47Aの第3フィン長LCとの合計は、第1バー部41と第2バー部42との間隔P1よりも長い。このため、圧縮状態では、第1フィン部46Aと第2フィン部47Aとは、配列方向(Z方向)において重なっている。つまり、第1フィン部46Aの先端と第2フィン部47Aの先端とは、重なりL1が設けられている。よって、第1フィン部46Aは、右側の第1電池セル20Aのうち、第2フィン部47Aによって左側の第2電池セル20Bが押圧を受けていない領域と対向する領域を少なくとも押圧している。第2フィン部47Aは、左側の第2電池セル20Bのうち、第1フィン部46Aによって右側の第1電池セル20Aが押圧を受けていない領域と対向する領域を少なくとも押圧している。つまり、スペーサ13の両隣の電池セル20は、第1バー部41と第2バー部42との間隔P1では配列方向(Z方向)において隙間がなく、第1フィン部46A及び第2フィン部47Aの少なくともどちらかにより遠ざかる方向へ押圧されている。また、スペーサ13の両隣の電池セル20同士が、第1バー部41と第2バー部42との間で接触することはない。例えば、両隣の電池セル20が膨張してそれぞれ第1フィン部46A及び第2フィン部47Aを撓ませつつ空間15へと進入したとしても、両隣の電池セル20の間には必ず、第1フィン部46A及び第2フィン部47Aの少なくとも一方が存在する。これにより、スペーサ13は、両隣の電池セル20同士の絶縁を確実に維持することができる。
【0129】
同様に、第2ストッパー部47Bの第6フィン長LFと第4フィン部49の第4フィン長LDとの合計は、第2バー部42と第4バー部44との間隔P3よりも長い。このため、圧縮状態では、第2ストッパー部47Bと第4フィン部49とは、配列方向(Z方向)において重なっている。つまり、第2ストッパー部47Bの先端と第4フィン部49の先端とは、重なりL3が設けられている。よって、第2ストッパー部47Bは、右側の第1電池セル20Aのうち、第4フィン部49によって左側の第2電池セル20Bが押圧を受けていない領域と対向する領域を少なくとも押圧している。第4フィン部49は、左側の第2電池セル20Bのうち、第2ストッパー部47Bによって右側の第1電池セル20Aが押圧を受けていない領域と対向する領域を少なくとも押圧している。つまり、スペーサ13の両隣の電池セル20は、第2バー部42と第4バー部44との間隔P3では配列方向(Z方向)において隙間がなく、第2ストッパー部47B及び第4フィン部49の少なくともどちらかにより遠ざかる方向へ押圧されている。また、スペーサ13の両隣の電池セル20同士が、第2バー部42と第4バー部44との間で接触することはない。例えば、両隣の電池セル20が膨張してそれぞれ第2ストッパー部47B及び第4フィン部49を撓ませつつ空間15へと進入したとしても、両隣の電池セル20の間には必ず、第2ストッパー部47B及び第4フィン部49の少なくとも一方が存在する。これにより、スペーサ13は、両隣の電池セル20同士の絶縁を確実に維持することができる。
【0130】
図9に示すように、両隣の電池セル20の面21によってスペーサ13が挟まれると、バー部40によって電池セル20が押圧される。配列方向における中央寄りの第1バー部41と第2バー部42との間隔P1は、中央寄り以外の第1バー部41と第3バー部43との間隔P2及び第2バー部42と第4バー部44との間隔P3よりも広い。このため、バー部40によって電池セル20が押圧されるときに、バー部40による電池セル20の中央寄りの押圧が電池セル20の中央寄り以外よりも低くなる。これにより、充放電に伴い電池セル20が膨張するときに中央寄りに対する押圧を抑制することができる。例えば、電池セル20がリチウムイオン電池である場合に、過度に電池セル20が押圧された状態で膨張と収縮とを繰り返すことで発生するハイレート劣化を抑制することができる。
【0131】
スペーサ13は、電池セル20が何らかの要因で膨張した場合にも、第1フィン部46A、第1ストッパー部46B、第2フィン部47A、第2ストッパー部47B、第3フィン部48、及び第4フィン部49による電池セル20の押圧によって、空間15内への電池セル20の進入を抑制することができる。つまり、スペーサ13は、電池セル20が膨張した場合にも、空間15の積層方向(X方向)の長さが狭くなることを抑制して、空間15を適切に確保することができる。このため、スペーサ13は、電池セル20の膨張により、空間15に流れる冷却用気体の流量が少なくなることを抑制することができる。よって、スペーサ13は、空間15を流れる冷却用気体による電池セル20の冷却機能が低下することを抑制することができる。
【0132】
次に、第3実施形態の効果について説明する。
(3-1)第1フィン部46A及び第1ストッパー部46Bが第1電池セル20Aの面21と接することで第1電池セル20Aの面21との距離を適切に確保することができ、第2フィン部47A及び第2ストッパー部47Bが第2電池セル20Bの面21と接することで第2電池セル20Bの面21との距離を適切に確保することができる。このため、スペーサ13によって隣り合う電池セル20同士の間の距離を適切に確保することができる。よって、電池セル20同士の間の空間15への放熱が適切に行われ、電池セル20を適切に冷却することができる。また、配列方向における中央寄りの第1バー部41と第2バー部42との間隔P1が中央寄り以外の第1バー部41と第3バー部43との間隔P2及び第2バー部42と第4バー部44との間隔P3よりも広い。このため、電池セル20同士の間に配置されたスペーサ13のバー部40によって電池セル20が押圧されるときに、バー部40による電池セル20の中央寄りの押圧が電池セル20の中央寄り以外よりも低くなる。これにより、充放電に伴い電池セル20が膨張するときに中央寄りに対する押圧を抑制することができる。
【0133】
(3-2)配列方向の中央寄りのバー部40の間隔を広くすることで電池セル20の中央寄りの押圧を抑制しつつ、第1フィン部46A及び第2フィン部47Aが電池セル20と接触することで電池セル20の過度な変形を抑制することができる。
【0134】
(3-3)第1フィン部46Aが第1バー部41に設けられ、第2フィン部47Aが第1バー部41と異なる第2バー部42に設けられる。このため、隣り合う両方の電池セル20に第1フィン部46Aが設けられた第1バー部41と第2フィン部47Aが設けられた第2バー部42とが別々に接することで絶縁を確保することができる。
【0135】
(3-4)第1バー部41に第1配列方向に対して傾斜する第1フィン部46Aと第2配列方向に伸びる第1ストッパー部46Bとを設け、第2バー部42に第2配列方向に対して傾斜する第2フィン部47Aと第1配列方向に伸びる第2ストッパー部47Bとを設ける。このため、各バー部40から少なくともフィン部とストッパー部とが電池セル20に接する。よって、隣り合う両方の電池セル20の絶縁を確保することができる。
【0136】
(第4実施形態)
以下、
図10及び
図11を参照して、電池モジュール及びスペーサの第4実施形態について説明する。この実施形態の電池モジュール及びスペーサは、空間形成部が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0137】
(空間形成部13C)
次に、
図10及び
図11を参照して、空間形成部13Cについて詳細に説明する。
図10及び
図11は、スペーサ13の空間形成部13Cの断面図である。
図10は、非圧縮状態の空間形成部13Cを両隣の電池セル20とともに示している。
図11は、圧縮状態の空間形成部13Cを両隣の電池セル20とともに示している。
【0138】
(非圧縮状態)
図10に示すように、バー部50は、上から順に、第3バー部53、第1バー部51、第2バー部52、第4バー部54を有している。配列方向における底面寄りのバー部50の間隔は、底面寄り以外のバー部50の間隔よりも広い。すなわち、第2バー部52と第4バー部54との間隔P6は、第1バー部51と第3バー部53との間隔P5及び第1バー部51と第2バー部52との間隔P4よりも長い(P6>P5,P6>P4)。間隔P6は、電池セル20の面21の配列方向において電極体の拘束範囲PXの35~60%であることが好ましい。フィン部55は、第1フィン部56、第2フィン部57、第3フィン部58、第4フィン部59を有している。
【0139】
第1バー部51には、第1フィン部56と、第3フィン部58と、が設けられている。第1フィン部56は、バー部50が配列された配列方向(Z方向)における第1配列方向(上方向)に対して第1角度θA傾斜して配列方向(Z方向)に直交する第1直交方向(図中右方向)に伸びて形成される。第3フィン部58は、第1配列方向と逆の第2配列方向(下方向)に対して第3角度θC傾斜して第1直交方向と逆の第2直交方向(図中左方向)に伸びて形成される。第1フィン部56は、図中右側の第1電池セル20Aの面21に接する。第3フィン部58は、図中左側の第2電池セル20Bの面21に接する。第1角度θAと第3角度θCとは、同じ角度である。
【0140】
第2バー部52には、第1フィン部56と、第2フィン部57と、が設けられている。第1フィン部56は、第1配列方向(上方向)に対して第1角度θA傾斜して第1直交方向(図中右方向)に伸びて形成される。第2フィン部57は、第2配列方向(下方向)に対して第2角度θB傾斜して配列方向(Z方向)に直交する第2直交方向(図中左方向)に伸びて形成される。第1フィン部56は、図中右側の第1電池セル20Aの面21に接する。第2フィン部57は、図中左側の第2電池セル20Bの面21に接する。第1角度θAと第2角度θBとは、異なる角度である。第1角度θAは、第2角度θBよりも大きい角度である。
【0141】
第3バー部53には、第3フィン部58が設けられている。第3フィン部58は、第2配列方向(下方向)に対して第3角度θC傾斜して第2直交方向(図中左方向)に伸びて形成される。第3フィン部58は、左側の第2電池セル20Bの面21に接する。
【0142】
第4バー部54には、第4フィン部59が設けられている。第4フィン部59は、第1配列方向(上方向)に対して第4角度θD傾斜して第1直交方向(図中右方向)に伸びて形成される。第1フィン部56は、右側の第1電池セル20Aの面21に接する。第2角度θBと第4角度θDとは、同じ角度である。
【0143】
間隔P5において、非圧縮状態において、第1フィン部56と第3フィン部58との先端の間には、配列方向(Z方向)において隙間G5が設けられている。間隔P4において、非圧縮状態において、第1フィン部56と第3フィン部58との先端の間には、配列方向(Z方向)において隙間G4が設けられている。間隔P6において、非圧縮状態において、第2フィン部57と第4フィン部59との先端の間には、配列方向(Z方向)において隙間G6が設けられている。
【0144】
(圧縮状態)
図11に示すように、第2フィン部57の第2バー部52からの長さである第2フィン長LBは、第3フィン部58の第1バー部51又は第3バー部53からの長さである第3フィン長LCよりも長い(LB>LC)。第4フィン部59の第4バー部54からの長さである第4フィン長LDは、第1フィン部56の第1バー部51又は第2バー部52からの長さである第1フィン長LAよりも長い(LB>LA)。
【0145】
間隔P5において、圧縮状態では、第1フィン部56と第3フィン部58とは、配列方向(Z方向)において重なっている。つまり、第1フィン部56の先端と第3フィン部58の先端とは、重なりL5が設けられている。間隔P4において、圧縮状態では、第3フィン部58と第1フィン部56とは、配列方向(Z方向)において重なっている。つまり、第3フィン部58の先端と第1フィン部56の先端とは、重なりL4が設けられている。間隔P6において、圧縮状態では、第2フィン部57と第4フィン部59とは、配列方向(Z方向)において重なっている。つまり、第2フィン部57の先端と第4フィン部59の先端とは、重なりL6が設けられている。
【0146】
図11に示すように、両隣の電池セル20の面21によってスペーサ13が挟まれると、バー部50によって電池セル20が押圧される。配列方向における底面寄りの第2バー部52と第4バー部54との間隔P6は、底面寄り以外の第1バー部51と第3バー部53との間隔P5及び第1バー部51と第2バー部52との間隔P4よりも広い。このため、バー部50によって電池セル20が押圧されるときに、バー部50による電池セル20の底面寄りの押圧が電池セル20の底面寄り以外よりも低くなる。これにより、充放電に伴い電池セル20が膨張するときに底面寄りに対する押圧を抑制することができる。特に、底面寄りに電解液が集まる場合に有効である。例えば、電池セル20がリチウムイオン電池である場合に、過度に電池セル20が押圧された状態で膨張と収縮とを繰り返すことで発生するハイレート劣化を抑制することができる。
【0147】
スペーサ13は、電池セル20が何らかの要因で膨張した場合にも、第1フィン部56、第2フィン部57、第3フィン部58、第4フィン部59による電池セル20の押圧によって、空間15内への電池セル20の進入を抑制することができる。つまり、スペーサ13は、電池セル20が膨張した場合にも、空間15の積層方向(X方向)の長さが狭くなることを抑制して、空間15を適切に確保することができる。このため、スペーサ13は、電池セル20の膨張により、空間15に流れる冷却用気体の流量が少なくなることを抑制することができる。よって、スペーサ13は、空間15を流れる冷却用気体による電池セル20の冷却機能が低下することを抑制できる。
【0148】
次に、第4実施形態の効果について説明する。
(4-1)第1フィン部56及び第4フィン部59が第1電池セル20Aの面21と接することで第1電池セル20Aの面21との距離を適切に確保することができ、第2フィン部57及び第3フィン部58が第2電池セル20Bの面21と接することで第2電池セル20Bの面21との距離を適切に確保することができる。このため、スペーサ13によって隣り合う電池セル20同士の間の距離を適切に確保することができる。よって、電池セル20同士の間の空間へ放熱が適切に行われ、電池セル20を適切に冷却することができる。また、配列方向における底面寄りの第2バー部52と第4バー部54との間隔P6が底面寄り以外の第1バー部51と第3バー部53との間隔P5及び第1バー部51と第2バー部52との間隔P4よりも広い。このため、電池セル20同士の間に配置されたスペーサ13のバー部50によって電池セル20が押圧されるときに、バー部50による電池セル20の底面寄りの押圧が電池セル20の底面寄り以外よりも低くなる。これにより、充放電に伴い電池セル20が膨張するときに底面寄りに対する押圧を抑制することができる。
【0149】
(4-2)配列方向の底面寄りのバー部50の間隔を広くすることで電池セル20の底面寄りの押圧を抑制しつつ、第2フィン部57及び第4フィン部59が電池セル20と接触することで電池セル20の過度な変形を抑制することができる。
【0150】
(4-3)同じバー部50に第1フィン部56と第2フィン部57とが設けられる。このため、隣り合う両方の電池セル20に第1フィン部56と第2フィン部57とが接することで絶縁を確保することができる。
【0151】
(4-4)第1フィン部56が第1配列方向に対して傾斜し、第2フィン部57が第2配列方向に対して傾斜する。このため、隣り合う両方の電池セル20に第1フィン部56と第2フィン部57とが異なる位置で接することで絶縁を確保することができる。
【0152】
(他の実施形態)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0153】
・上記各実施形態では、4本のバー部を備えた。しかしながら、5本以上のバー部を備えてもよい。そして、電池セル20内の電極体の拘束範囲PXの35~60%に間隔を広くしたバー部を設け、その他の部分に間隔が狭いバー部を設けてもよい。
【0154】
・上記第2,3実施形態では、配列方向の中央寄りのバー部の間隔を中央寄り以外のバー部の間隔よりも広くした。しかしながら、第4実施形態のように、配列方向の底面寄りのバー部の間隔を底面寄り以外のバー部の間隔よりも広くしてもよい。
【0155】
・上記各実施形態では、バー部の配列方向を電池セル20の上下方向(Z方向)とした。しかしながら、バー部の配列方向は、電池セル20の幅方向(Y方向)であってもよい。また、バー部の数は、適宜変更可能である。
【0156】
・上記各実施形態の適用対象は、ニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の電池の種類については特段の限定はない。
【符号の説明】
【0157】
10…電池モジュール
11…ロアケース
11A…フロア部
11B…エンドウォール部
13…スペーサ
13A…空間形成部
13B…空間形成部
13C…空間形成部
14…エンドプレート
15…空間
20…電池セル
20A…第1電池セル
20B…第2電池セル
21…面
30…バー部
31…第1バー部
32…第2バー部
33…第3バー部
34…第4バー部
35…フィン部
36…第1フィン部
37…第2フィン部
38…第3フィン部
39…第4フィン部
40…バー部
41…第1バー部
42…第2バー部
43…第3バー部
44…第4バー部
45…フィン部
46A…第1フィン部
46B…第1ストッパー部
47A…第2フィン部
47B…第2ストッパー部
48…第3フィン部
49…第4フィン部
50…バー部
51…第1バー部
52…第2バー部
53…第3バー部
54…第4バー部
55…フィン部
56…第1フィン部
57…第2フィン部
58…第3フィン部
59…第4フィン部
LA…第1フィン長
LB…第2フィン長
LC…第3フィン長
LD…第4フィン長
LE…第5フィン長
LF…第6フィン長
P1,P2,P3,P4,P5,P6…間隔