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特開2023-178075フィルム延伸装置、及びフィルムの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178075
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】フィルム延伸装置、及びフィルムの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 55/06 20060101AFI20231207BHJP
【FI】
B29C55/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091127
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】増田 友昭
【テーマコード(参考)】
4F210
【Fターム(参考)】
4F210AC03
4F210AG01
4F210AJ08
4F210AK01
4F210AK04
4F210AK07
4F210AM26
4F210AR06
4F210AR09
4F210AR12
4F210QA03
4F210QC02
4F210QD31
4F210QD36
4F210QD50
4F210QG01
4F210QG18
4F210QM11
4F210QM20
(57)【要約】
【課題】フィルム延伸装置の生産性を高めつつ、外観不良の発生を抑制すること。
【解決手段】第2搬送ロール(22)は、第1搬送ロール(16)の周速よりも速い周速で回転するように構成され、第1搬送ロール(16)と第2搬送ロール(22)との間に、フィルム(F)を支持する複数のガイドロール(28)が回転可能に設けられ、複数のガイドロール(28)の支持高さ位置は、側面視したときに、上方向に向かって凸となるアーチ状に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂からなるフィルムを搬送方向に搬送しながら延伸するフィルム延伸装置であって、
前記搬送方向の上流側に回転可能に設けられ、前記フィルムを搬送するための第1搬送ロールと、
前記搬送方向の下流側に回転可能に設けられ、前記第1搬送ロールの周速よりも速い周速で回転するように構成され、前記フィルムを搬送するための第2搬送ロールと、
前記第1搬送ロールと前記第2搬送ロールとの間に回転可能に設けられ、前記搬送方向に間隔を置いて配置され、前記フィルムを支持する複数のガイドロールと、
前記複数のガイドロールの配置領域の上方位置に設けられ、赤外線の放射によって前記フィルムを加熱する赤外線ヒータと、を備え、
最上流側のガイドロールに隣接するガイドロールの支持高さ位置は、前記最上流側のガイドロールの支持高さ位置よりも高くなっており、最下流側のガイドロールに隣接するガイドロールの支持高さ位置は、前記最下流側のガイドロールの支持高さ位置よりも高くなっており、
前記複数のガイドロールの支持高さ位置は、側面視したときに、上方向に向かって凸となるアーチ状に配置されている、フィルム延伸装置。
【請求項2】
前記最上流側のガイドロールの支持高さ位置は、前記第1搬送ロールの搬送高さ位置よりも高くなっており、前記最下流側のガイドロールの支持高さ位置は、前記第2搬送ロールの搬送高さ位置よりも高くなっており、
前記第1搬送ロールの搬送高さ位置、前記複数のガイドロールの支持高さ位置、及び前記第2搬送ロールの搬送高さ位置は、側面視したときに、上方向に向かって凸となるアーチ状に配置されている、請求項1に記載のフィルム延伸装置。
【請求項3】
熱可塑性樹脂からなるフィルムを搬送方向に搬送しながら延伸するフィルム延伸装置であって、
前記搬送方向の上流側に回転可能に設けられ、前記フィルムを搬送するための第1搬送ロールと、
前記搬送方向の下流側に回転可能に設けられ、前記第1搬送ロールの周速よりも速い周速で回転するように構成され、前記フィルムを搬送するための第2搬送ロールと、
前記第1搬送ロールと前記第2搬送ロールとの間に回転可能に設けられ、前記搬送方向に間隔を置いて配置され、前記フィルムを支持する複数のガイドロールと、
前記複数のガイドロールの配置領域の下方位置に設けられ、赤外線の放射によって前記フィルムを加熱する赤外線ヒータと、を備え、
最上流側のガイドロールに隣接するガイドロールの支持高さ位置は、前記最上流側のガイドロールの支持高さ位置よりも低くなっており、最下流側のガイドロールに隣接するガイドロールの支持高さ位置は、前記最下流側のガイドロールの支持高さ位置よりも低くなっており、
前記複数のガイドロールの支持高さ位置は、側面視したときに、下方向に向かって凸となるアーチ状に配置されている、フィルム延伸装置。
【請求項4】
前記最上流側のガイドロールの支持高さ位置は、前記第1搬送ロールの搬送高さ位置よりも低くなっており、前記最下流側のガイドロールの支持高さ位置は、前記第2搬送ロールの搬送高さ位置よりも低くなっており、
前記第1搬送ロールの搬送高さ位置、前記複数のガイドロールの支持高さ位置、及び前記第2搬送ロールの搬送高さ位置は、側面視したときに、下方向に向かって凸となるアーチ状に配置されている、請求項3に記載のフィルム延伸装置。
【請求項5】
各ガイドロールの内部に、温調液を流通させるためのジャケットが形成されている、請求項1又は請求項3に記載のフィルム延伸装置。
【請求項6】
各隣接する前記ガイドロールのうち、上流側のガイドロールの周速に対する下流側のガイドロールの周速の比率は、0.1%以上600.0%以下である、請求項1又は請求項3に記載のフィルム延伸装置。
【請求項7】
前記赤外線ヒータは、各隣接する前記ガイドロールの間の上方位置又は下方位置に配置され、各隣接する前記赤外線ヒータのうち、下流側の赤外線ヒータのヒータ温度は、上流側の赤外線ヒータのヒータ温度よりも1.0℃~50.0℃高い、請求項1又は請求項3に記載のフィルム延伸装置。
【請求項8】
前記赤外線ヒータは、遠赤外線の放射によって前記フィルムを加熱する遠赤外線ヒータである、請求項1又は3に記載のフィルム延伸装置。
【請求項9】
請求項1又は2に記載のフィルム延伸装置を用いて、フィルムを延伸する工程を一工程として含む、フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂からなるフィルムを搬送方向に搬送しつつ延伸するフィルム延伸装置、及びそれを用いたフィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルム延伸装置の先行技術として、例えば特許文献1に示すものがあり、その先行技術の構成は、次の通りである。搬送方向の上流側には、フィルムを搬送するための第1搬送ロール(特許文献1では延伸前ロールと称される)が回転可能に設けられている。搬送方向の下流側には、フィルムを搬送するための第2搬送ロール(特許文献1では延伸後ロール)が回転可能に設けられている。第1搬送ロールと第2搬送ロールとの間でフィルムを延伸するため、第2搬送ロールは、第1搬送ロールの周速よりも速い周速で回転するように構成されている。また、第1搬送ロールと第2搬送ロールとの間の上方位置には、赤外線の放射によってフィルムを加熱する赤外線ヒータが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6566728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フィルムを加熱する手段として赤外線ヒータを用いることによってフィルムの表面温度をガラス転移温度(Tg)又はその近傍温度まで短時間で昇温することができ、フィルム延伸装置の生産性の向上に寄与することができる。しかしながら、フィルムの搬送速度を上げて、フィルム延伸装置の生産性の向上を図ろうとすると、第1搬送ロールと第2搬送ロールとの間においてフィルムを十分に張った状態にすることができず、フィルム皺等の外観不良が発生することがある。
【0005】
そこで、本発明の一態様は、フィルム延伸装置の生産性の向上を図りつつ、フィルム皺等の外観不良の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の問題を解決するため、本発明の一態様に係るフィルム延伸装置は、熱可塑性樹脂からなるフィルムを搬送方向に搬送しながら延伸するフィルム延伸装置であって、前記搬送方向の上流側に回転可能に設けられ、前記フィルムを搬送するための第1搬送ロールと、前記搬送方向の下流側に回転可能に設けられ、前記第1搬送ロールの周速よりも速い周速で回転するように構成され、前記フィルムを搬送するための第2搬送ロールと、前記第1搬送ロールと前記第2搬送ロールとの間に回転可能に設けられ、前記搬送方向に間隔を置いて配置され、前記フィルムを支持する複数のガイドロールと、前記複数のガイドロールの配置領域の上方位置に設けられ、赤外線の放射によって前記フィルムを加熱する赤外線ヒータと、を備える。最上流側のガイドロールに隣接するガイドロールの支持高さ位置は、前記最上流側のガイドロールの支持高さ位置よりも高くなっており、最下流側のガイドロールに隣接するガイドロールの支持高さ位置は、前記最下流側のガイドロールの支持高さ位置よりも高くなっており、前記複数のガイドロールの支持高さ位置は、側面視したときに、上方向に向かって凸となるアーチ状に配置されている。
【0007】
また、本発明の一態様に係るフィルム延伸装置は、熱可塑性樹脂からなるフィルムを搬送方向に搬送しながら延伸するフィルム延伸装置であって、前記搬送方向の上流側に回転可能に設けられ、前記フィルムを搬送するための第1搬送ロールと、前記搬送方向の下流側に回転可能に設けられ、前記第1搬送ロールの周速よりも速い周速で回転するように構成され、前記フィルムを搬送するための第2搬送ロールと、前記第1搬送ロールと前記第2搬送ロールとの間に回転可能に設けられ、前記搬送方向に間隔を置いて配置され、前記フィルムを支持する複数のガイドロールと、前記複数のガイドロールの配置領域の下方位置に設けられ、赤外線の放射によって前記フィルムを加熱する赤外線ヒータと、を備える。最上流側のガイドロールに隣接するガイドロールの支持高さ位置は、前記最上流側のガイドロールの支持高さ位置よりも低くなっており、最下流側のガイドロールに隣接するガイドロールの支持高さ位置は、前記最下流側のガイドロールの支持高さ位置よりも低くなっており、前記複数のガイドロールの支持高さ位置は、側面視したときに、下方向に向かって凸となるアーチ状に配置されている。
【0008】
また、本発明の一態様に係るフィルム製造方法は、本発明の一態様に係るフィルム延伸装置を用いて、フィルムを延伸する工程を一工程として含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、フィルム延伸装置の生産性の向上を図りつつ、フィルム皺等の外観不良の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係るフィルム延伸装置の模式的な側面図である。
図2図1に示すフィルム延伸装置の模式的な平面図である。
図3】第1実施形態又は第2実施形態に係るフィルム延伸装置の制御ブロック図である。
図4】第2実施形態に係るフィルム延伸装置の模式的な側面図である。
図5図4に示すフィルム延伸装置の模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔第1実施形態〕
図1から図3を参照して、第1実施形態に係るフィルム延伸装置10について説明する。図1は、第1実施形態に係るフィルム延伸装置10の模式的な側面図である。図2は、図1に示すフィルム延伸装置10の模式的な平面図である。図3は、第1実施形態に係るフィルム延伸装置10の制御ブロック図である。図1及び図2において、「C」は搬送方向、「U」は上方向、「D」は下方向をそれぞれ指している。
【0012】
(フィルム延伸装置10の概要)
図1及び図2に示すように、第1実施形態に係るフィルム延伸装置10は、熱可塑性樹脂からなるフィルムFを搬送方向に搬送しながら延伸する装置である。フィルム延伸装置10は、延伸前のフィルムFを送出する送出ロール(不図示)と、延伸後のフィルムFを巻き取る巻取ロール(不図示)との間に配置されている。延伸前のフィルムFの幅は、特に限定するものではないが、例えば300mm~1500mmである。フィルムFを構成する熱可塑性樹脂としては、例えばポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、及びポリエステルを含む群から選択された少なくとも1つを含むものが挙げられる。
【0013】
フィルム延伸装置10は、ベースフレーム12を備えており、ベースフレーム12の上側には、搬送方向に延びたケース状の上部フレーム14が設けられている。上部フレーム14の一端側には、開口部14aが形成されており、上部フレーム14の他端側には、開口部14bが形成されている。上部フレーム14は、その内側に、フィルムFを加熱するための加熱室14rを有している。上部フレーム14の一端側には、延伸前のフィルムFを加熱室14rに導入するための導入口14iが形成されている。上部フレーム14の他端側には、延伸後のフィルムFを加熱室14rから導出するための導出口14dが形成されている。なお、図1において、上部フレーム14の一部を破断している。
【0014】
(第1搬送ロール16、第1ニップルロール20)
図1及び図2に示すように、ベースフレーム12における搬送方向の上流側には、フィルムFを搬送するための第1搬送ロール16が第1搬送ロール用の支持部材(不図示)を介して回転可能に設けられている。第1搬送ロール16は、搬送方向に直交する水平方向に延びており、第1搬送ロール用の支持部材に回転可能に支持される回転軸16sを有している。第1搬送ロール16の上側の高さ位置は、フィルムFを搬送方向に搬送するための搬送高さ位置(第1搬送ロール16の搬送高さ位置)である。
【0015】
ベースフレーム12における第1搬送ロール16の近傍には、第1搬送ロール16を回転させる第1搬送モータ18が設けられている。第1搬送モータ18の出力軸(不図示)は、第1搬送ロール16の回転軸16sに連動連結している。
【0016】
ベースフレーム12における搬送方向の上流側には、第1搬送ロール16と協働してフィルムFを挟持する第1ニップルロール20が第1ニップルロール用の支持部材(不図示)介して回転可能に設けられている。第1ニップルロール20は、搬送方向に直交する水平方向に延びており、第1ニップルロール用の支持部材に回転可能に支持される回転軸20sを有している。第1ニップルロール用の支持部材は、ベースフレーム12に対して第1揺動シリンダ(不図示)によって揺動可能に設けられている。
【0017】
第1ニップルロール20は、第1ニップルロール用の支持部材の揺動動作によって第1搬送ロール16に接近離反する方向に揺動する。図1において、第1ニップルロール20が第1搬送ロール16に接近して、第1搬送ロール16との協働によりフィルムFを挟持した状態を実線で示している。第1ニップルロール20が第1搬送ロール16に離反した状態を二点鎖線で示している。
【0018】
(第2搬送ロール22、第2ニップルロール26)
図1及び図2に示すように、ベースフレーム12における搬送方向の下流側には、フィルムFを搬送するための第2搬送ロール22が第2搬送ロール用の支持部材(不図示)を介して回転可能に設けられている。第2搬送ロール22は、搬送方向に直交する水平方向に延びており、第2搬送ロール用の支持部材に回転可能に支持される回転軸22sを有している。第1搬送ロール16と第2搬送ロール22との間でフィルムFを延伸するため、後述のように、第2搬送ロール22は、第1搬送ロール16の周速よりも速い周速で回転するように構成されている。第2搬送ロール22の下側の高さ位置は、フィルムFを搬送方向に搬送するための搬送高さ位置(第2搬送ロール22の搬送高さ位置)である。なお、第2搬送ロール22の上側の高さ位置を第2搬送ロール22の搬送高さ位置にしてもよい。
【0019】
ベースフレーム12における第2搬送ロール22の近傍には、第2搬送ロール22を回転させる第2搬送モータ24が設けられている。第2搬送モータ24の出力軸(不図示)は、第2搬送ロール22の回転軸22sに連動連結している。
【0020】
ベースフレーム12における搬送方向の下流側には、第2搬送ロール22と協働してフィルムFを挟持する第2ニップルロール26が第2ニップルロール用の支持部材(不図示)介して回転可能に設けられている。第2ニップルロール26は、搬送方向に直交する水平方向に延びており、第2ニップルロール用の支持部材に回転可能に支持される回転軸26sを有している。第2ニップルロール用の支持部材は、ベースフレーム12に対して第2揺動シリンダ(不図示)によって揺動可能に設けられている。
【0021】
第2ニップルロール26は、第2ニップルロール用の支持部材の揺動動作によって第2搬送ロール22に接近離反する方向に揺動する。図1において、第2ニップルロール26が第2搬送ロール22に接近して、第2搬送ロール22との協働によりフィルムFを挟持した状態を実線で示している。第2ニップルロール26が第2搬送ロール22に離反した状態を二点鎖線で示している。
【0022】
(ガイドロール28)
図1及び図2に示すように、ベースフレーム12における第1搬送ロール16と第2搬送ロール22との間には、フィルムFを支持する複数のガイドロール28がガイドロール用の支持部材(不図示)を介して回転可能に設けられている。複数のガイドロール28は、上部フレーム14内において搬送方向に間隔を置いて配置されている。各ガイドロール28は、フリーロールであり、複数のガイドロール28は、フィルムFを支持した状態で、第1搬送ロール16及び第2搬送ロール22の回転に連動(追従)して回転する。各ガイドロール28は、搬送方向に直交する水平方向に延びており、ガイドロール用の支持部材に回転可能に支持される回転軸28sを有している。各ガイドロール28の上側の高さ位置は、フィルムFを支持するための支持高さ位置(各ガイドロール28の支持高さ位置)である。なお、各ガイドロール28をフリーロールとする代わりに、ガイドロール用のモータの駆動によって回転する駆動ロールとしてもよい。
【0023】
各ガイドロール28の内部には、温調液としての温調水を流通させるためのジャケット(温調流路)28jが形成されている。各ガイドロール28の回転軸28sは、温調水を循環させる循環装置(不図示)に例えばロータリジョイント(不図示)を介して接続されている。
【0024】
(導入ロール30、送出ロール32)
図1に示すように、ベースフレーム12における搬送方向の上流側には、導入ロール30が導入ロール用の支持部材(不図示)を介して回転可能に設けられている。導入ロール30は、送出ロールから送出された延伸前のフィルムFを第1搬送ロール16と第1ニップルロール20との間に導入する。導入ロール30は、搬送方向に直交する水平方向に延びており、導入ロール用の支持部材に回転可能に支持される回転軸30sを有している。
【0025】
ベースフレーム12における搬送方向の下流側には、送出ロール32が送出ロール用の支持部材(不図示)を介して回転可能に設けられている。送出ロール32は、第2搬送ロール22と第2ニップルロール26との間から導出された延伸後のフィルムFを巻取ロール側に送出する。送出ロール32は、搬送方向に直交する水平方向に延びており、送出ロール用の支持部材に回転可能に支持される回転軸30sを有している。
【0026】
(遠赤外線ヒータ34)
図1及び図2に示すように、上部フレーム14の加熱室14rにおける複数のガイドロール28の配置領域の上方位置には、遠赤外線の放射によってフィルムFを加熱する複数の遠赤外線ヒータ34がブラケット(不図示)を介して設けられている。各遠赤外線ヒータ34は、各隣接するガイドロール28の間の上方位置に配置されている。各遠赤外線ヒータ34は、搬送方向に直交する水平方向に延びており、各遠赤外線ヒータ34の有効加熱長さは、延伸前のフィルムFの幅よりも長いことが望ましい。なお、ベースフレーム12における各隣接するガイドロール28の間の下方位置に、フィルムFを透過した遠赤外線を反射する反射板(不図示)が設けられるようにしてもよい。遠赤外線ヒータ34の代わりに、中赤外線ヒータ等の他の赤外線ヒータを用いてもよい。
【0027】
(ガイドロール28の支持高さ位置に関する構成)
図1に示すように、最上流側のガイドロール28Aに隣接するガイドロール28Bの支持高さ位置は、最上流側のガイドロール28Aの支持高さ位置よりも高くなっている。最上流側のガイドロール28Aの支持高さ位置は、第1搬送ロール16の搬送高さ位置よりも高くなっている。また、最下流側のガイドロール28Dに隣接するガイドロール28Cの支持高さ位置は、最下流側のガイドロール28Dの支持高さ位置よりも高くなっている。最下流側のガイドロール28Dの支持高さ位置は、第2搬送ロール22の搬送高さ位置よりも高くなっている。そして、第1搬送ロール16の搬送高さ位置、複数のガイドロール28の支持高さ位置、及び第2搬送ロール22の搬送高さ位置は、側面視したときに、上方向に向かって凸となるアーチ状に配置されている。
【0028】
最上流側のガイドロール28Aの支持高さ位置とガイドロール28Bの支持高さ位置との差は、特に限定するものではないが、フィルムFの幅が例えば300mm~1500mmである場合には、100mm~250mmであることが望ましい。また、最下流側のガイドロール28Dの支持高さ位置とガイドロール28Cの支持高さ位置との差は、特に限定するものではないが、フィルムFの幅が例えば300mm~1500mmである場合には、100mm~250mmであることが望ましい。それらの差を100mm以上としたのは、100m未満であると、第1搬送ロール16と第2搬送ロール22との間においてフィルムFを十分に張った状態にすることが困難になるからである。それらの差を250mm以上としたのは、250mmを超えると、水平方向に対するフィルムFの搬送角度が大きくなり、それに伴い、遠赤外線ヒータ34の設置角度が水平方向に対して斜めになりすぎて、遠赤外線ヒータ34の設置が困難になるからである。
【0029】
(制御部36)
図3に示すように、フィルム延伸装置10は、第1搬送モータ18、第2搬送モータ24、及び複数の遠赤外線ヒータ34等を制御する制御部36を備える。制御部36は、フィルム延伸装置10全体を稼働させるための制御プログラム等を記憶するメモリ(不図示)と、制御プログラムを解釈して実行するマイクロプロセッサ(不図示)とを有している。
【0030】
制御部36は、第2搬送ロール22の周速が第1搬送ロール16の周速よりも速くなるように、第1搬送モータ18及び第2搬送モータ24を制御する。これにより、前述のように、第2搬送ロール22は、第1搬送ロール16の周速よりも速い周速で回転するように構成される。
【0031】
制御部36は、各隣接するガイドロール28のうち、上流側のガイドロール28の周速に対する下流側のガイドロール28の周速の比率が0.1%以上600.0%以下になるように、第1搬送モータ18及び第2搬送モータ24を制御する。上流側のガイドロール28の周速に対する下流側のガイドロール28の周速の比率を0.1%以上になるようにしたのは、0.1%未満であると、第1搬送ロール16と第2搬送ロール22との間においてフィルムFの搬送速度を十分に上げることが困難になるからである。上流側のガイドロール28の周速に対する下流側のガイドロール28の周速の比率を600.0%以下になるようにしたのは、600.0%を超えると、下流側のガイドロール28の周速が上がりすぎて、第1搬送ロール16と第2搬送ロール22との間においてフィルムFの破断のリスクが高くなるからである。
【0032】
制御部36は、上部フレーム14の加熱室14rにおいてフィルムFの表面温度がフィルムFのガラス転移温度(Tg)又はその近傍温度になるように、複数の遠赤外線ヒータ34を制御する。好ましくは、制御部36は、加熱室14rにおいてフィルムFの表面温度がフィルムFのガラス転移温度(Tg)よりも20℃低い温度からフィルムFの軟化点(Tm)よりも20℃高い温度までの範囲内になるように、複数の遠赤外線ヒータ34を制御する。ここで、セイコー電子工業(株)製DMS-200を用い、測定治具間隔20mm、周波数5HzでフィルムFの動的粘弾性を測定し、貯蔵弾性率と測定温度との相関をプロットして、その変曲点の温度をガラス転移温度(Tg)とする。変曲点の貯蔵弾性率から1/1000の貯蔵弾性率になった温度を軟化点(Tm)とする。
【0033】
制御部36は、各隣接する遠赤外線ヒータ34のうち、下流側の遠赤外線ヒータ34のヒータ温度(加熱温度)が上流側の遠赤外線ヒータ34のヒータ温度よりも1.0℃~50.0℃高くなるように、複数の遠赤外線ヒータ34を制御する。下流側の遠赤外線ヒータ34のヒータ温度を上流側の遠赤外線ヒータ34のヒータ温度よりも1.0℃以上高くなるようにしたのは、1.0℃未満であると、フィルムFの表面温度がフィルムFのガラス転移温度(Tg)又はその近傍温度になり難くなるからである。下流側の遠赤外線ヒータ34のヒータ温度を上流側の遠赤外線ヒータ34のヒータ温度よりも50℃を超えて高くならないようにしたのは、50℃を超えると、下流側の遠赤外線ヒータ34が急昇温して、フィルムFの破断のリスクが高くなるからである。
【0034】
続いて、第1実施形態の作用効果について説明する。
【0035】
(フィルム延伸装置10の稼働に関する作用)
送出ロールから送出された延伸前のフィルムFを、第1ニップルロール20と第1搬送ロール16との協働により挟持しかつ第2ニップルロール26と第2搬送ロール2との協働により挟持することにより、延伸前のフィルムFをフィルム延伸装置10にセットする。また、送出ロールから送出された延伸前のフィルムFの先端部を、巻取ロールに取付ける。これにより、フィルム延伸装置10全体を稼働させるための準備が完了する。
【0036】
続いて、制御部36は、加熱室14rにおいてフィルムFの表面温度がフィルムFのガラス転移温度(Tg)又はその近傍温度になるように、複数の遠赤外線ヒータ34を制御する。また、制御部36は、第2搬送ロール22の周速が第1搬送ロール16の周速よりも速くなるように、第1搬送モータ18及び第2搬送モータ24を制御する。すると、フィルムFを搬送方向に搬送しながら、上部フレーム14の加熱室14rにおいて延伸することができる。そして、これらの動作を連続して行うことにより、送出ロールから送出された延伸前のフィルムFを、搬送方向に搬送しながら、上部フレーム14の加熱室14rにおいて連続して延伸することができる。なお、延伸後のフィルムFは、巻取ロール側に送出されて、巻取ロールに巻取られる。
【0037】
(第1実施形態の特有の作用効果)
フィルム延伸装置10においては、前述のように、ガイドロール28Bの支持高さ位置は、最上流側のガイドロール28Aの支持高さ位置よりも高くなっている。ガイドロール28Cの支持高さ位置は、最下流側のガイドロール28Dの支持高さ位置よりも高くなっている。そして、複数のガイドロール28の支持高さ位置は、側面視したときに、上方向に向かって凸となるアーチ状に配置されている。そのため、第1搬送ロール16と第2搬送ロール22との間においてフィルムFを十分に張った状態で、フィルムFの搬送速度を上げることができる。
【0038】
特に、フィルム延伸装置10においては、前述のように、最上流側のガイドロール28Aの支持高さ位置は、第1搬送ロール16の搬送高さ位置よりも高くなっている。最下流側のガイドロール28Dの支持高さ位置は、第2搬送ロール22の搬送高さ位置よりも高くなっている。そして、第1搬送ロール16の搬送高さ位置、複数のガイドロール28の支持高さ位置、及び第2搬送ロール22の搬送高さ位置は、側面視したときに、上方向に向かって凸となるアーチ状に配置されている。また、各隣接するガイドロール28のうち、上流側のガイドロール28の周速に対する下流側のガイドロール28の周速の比率が0.1%以上600.0%以下である。そのため、第1搬送ロール16と第2搬送ロール22との間においてフィルムFの破断のリスクを十分に抑えた状態で、フィルムFの搬送速度を上げることができる。
【0039】
従って、第1実施形態によれば、フィルム延伸装置10の生産性の向上を図りつつ、フィルム皺等の外観不良の発生を抑制することができる。
【0040】
(ジャケット28jに関する作用効果)
また、フィルム延伸装置10においては、前述のように、各ガイドロール28の内部にジャケット28jが形成されている。そのため、フィルム延伸装置10の稼働中に、各ガイドロール28のジャケット28jに温調水を流通させることができる。これにより、第1実施形態によれば、ガイドロール28が過度に高温化すること抑えることができ、ガイドロール28の耐久性を高めることができる。
【0041】
(遠赤外線ヒータ34に関する作用効果)
また、フィルム延伸装置10においては、前述のように、フィルムFを加熱する手段として遠赤外線ヒータ34を用いている。各隣接する遠赤外線ヒータ34のうち、下流側の遠赤外線ヒータ34のヒータ温度が上流側の遠赤外線ヒータ34のヒータ温度よりも1.0℃~50.0℃高くなる。そのため、フィルムFの破断のリスクを十分に抑えた状態で、フィルムFの表面温度をガラス転移温度(Tg)又はその近傍温度までより短時間で安定的に昇温することができる。これにより、第1実施形態によれば、フィルム延伸装置10の生産性の更なる向上に寄与することができる。
【0042】
(第1実施形態の他の態様)
第1実施形態の他の態様に係るフィルム製造方法は、フィルムFを連続して製造する方法である。第1実施形態の他の態様に係るフィルム製造方法は、フィルム延伸装置10を用いて、フィルムFを延伸する工程を一工程として含む。
【0043】
そして、第1実施形態の他の態様に係るフィルム製造方法によれば、第1実施形態の特有の作用効果と同様の作用効果を奏する。
【0044】
〔第2実施形態〕
第2実施形態について図3から図5を参照して説明する。図3は、第2実施形態に係るフィルム延伸装置の制御ブロック図である。図4は、第2実施形態に係るフィルム延伸装置38の模式的な側面図であり、図4において上部フレーム14の一部を破断している。図5は、図4に示すフィルム延伸装置38の模式的な平面図である。図4及び図5において、「C」は搬送方向、「U」は上方向、「D」は下方向をそれぞれ指している。
【0045】
(フィルム延伸装置38の概要)
図3から図5に示すように、第2実施形態に係るフィルム延伸装置38は、熱可塑性樹脂からなるフィルムFを搬送方向に搬送しながら延伸する装置であり、第1実施形態に係るフィルム延伸装置10(図1及び図2参照)と同様の構成を有している。以下、フィルム延伸装置38の構成のうち、フィルム延伸装置10の構成と異なる点について説明する。説明の便宜上、第1実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記する。
【0046】
(フィルム延伸装置38の特有の構成)
図4及び図5に示すように、第1搬送ロール16の下側の高さ位置は、フィルムFを搬送方向に搬送するための搬送高さ位置(第1搬送ロール16の搬送高さ位置)である。各ガイドロール28の下側の高さ位置は、フィルムFを支持するための支持高さ位置(各ガイドロール28の支持高さ位置)である。第2搬送ロール22の下側の高さ位置が第2搬送ロール22の搬送高さ位置であるが、第2搬送ロール22の上側の高さ位置を第2搬送ロール22の搬送高さ位置にしてもよい。
【0047】
図4に示すように、複数の遠赤外線ヒータ34は、ベースフレーム12における複数のガイドロール28の配置領域の下方位置にブラケット(不図示)を介して設けられている。各遠赤外線ヒータ34は、各隣接するガイドロール28の間の下方位置に配置されている。なお、上部フレーム14における各隣接するガイドロール28の間の上方位置に、フィルムFを透過した遠赤外線を反射する反射板(不図示)が設けられるようにしてもよい。遠赤外線ヒータ34の代わりに、中赤外線ヒータ等の他の赤外線ヒータを用いてもよい。
【0048】
図4に示すように、最上流側のガイドロール28Aに隣接するガイドロール28Bの支持高さ位置は、最上流側のガイドロール28Aの支持高さ位置よりも低くなっている。最上流側のガイドロール28Aの支持高さ位置は、第1搬送ロール16の搬送高さ位置よりも低くなっている。また、最下流側のガイドロール28Dに隣接するガイドロール28Cの支持高さ位置は、最下流側のガイドロール28Dの支持高さ位置よりも低くなっている。最下流側のガイドロール28Dの支持高さ位置は、第2搬送ロール22の搬送高さ位置よりも低くなっている。そして、第1搬送ロール16の搬送高さ位置、複数のガイドロール28の支持高さ位置、及び第2搬送ロール22の搬送高さ位置は、側面視したときに、下方向に向かって凸となるアーチ状に配置されている。
【0049】
最上流側のガイドロール28Aの支持高さ位置とガイドロール28Bの支持高さ位置との差は、特に限定するものではないが、フィルムFの幅が例えば300mm~1500mmである場合には、100mm~250mmであることが望ましい。また、最下流側のガイドロール28Dの支持高さ位置とガイドロール28Cの支持高さ位置との差は、特に限定するものではないが、フィルムFの幅が例えば300mm~1500mmである場合には、100mm~250mmであることが望ましい。それらの差を100mm以上としたのは、100m未満であると、第1搬送ロール16と第2搬送ロール22との間においてフィルムFを十分に張った状態にすることが困難になるからである。それらの差を250mm以上としたのは、250mmを超えると、水平方向に対するフィルムFの搬送角度が大きくなり、それに伴い、遠赤外線ヒータ34の設置角度が水平方向に対して斜めになりすぎて、遠赤外線ヒータ34の設置が困難になるからである。
【0050】
続いて、第2実施形態の作用効果について説明する。
【0051】
(第1実施形態と同様の作用効果)
第2実施形態においても、前述のフィルム延伸装置10の稼働に関する作用と同様の作用を奏する。また、第2実施形態においても、前述のジャケット28jに関する作用効果、及び遠赤外線ヒータ34に関する作用効果と同様の作用効果を奏する。
【0052】
(第2実施形態の特有の作用効果)
フィルム延伸装置38においては、前述のように、ガイドロール28Bの支持高さ位置は、最上流側のガイドロール28Aの支持高さ位置よりも低くなっている。ガイドロール28Cの支持高さ位置は、最下流側のガイドロール28Dの支持高さ位置よりも低くなっている。そして、複数のガイドロール28の支持高さ位置は、側面視したときに、下方向に向かって凸となるアーチ状に配置されている。そのため、第1搬送ロール16と第2搬送ロール22との間においてフィルムFを十分に張った状態で、フィルムFの搬送速度を上げることができる。
【0053】
特に、フィルム延伸装置38においては、前述のように、最上流側のガイドロール28Aの支持高さ位置は、第1搬送ロール16の搬送高さ位置よりも低くなっている。最下流側のガイドロール28Dの支持高さ位置は、第2搬送ロール22の搬送高さ位置よりも低くなっている。そして、第1搬送ロール16の搬送高さ位置、複数のガイドロール28の支持高さ位置、及び第2搬送ロール22の搬送高さ位置は、側面視したときに、下方向に向かって凸となるアーチ状に配置されている。また、各隣接するガイドロール28のうち、上流側のガイドロール28の周速に対する下流側のガイドロール28の周速の比率が0.1%以上600.0%以下である。そのため、第1搬送ロール16と第2搬送ロール22との間においてフィルムFの破断のリスクを十分に抑えた状態で、フィルムFの搬送速度を上げることができる。
【0054】
従って、第2実施形態によれば、フィルム延伸装置38の生産性の向上を図りつつ、フィルム皺等の外観不良の発生を抑制することができる。
【0055】
(第2実施形態の他の態様)
第2実施形態の他の態様に係るフィルム製造方法は、フィルムFを連続して製造する方法である。第2実施形態の他の態様に係るフィルム製造方法は、フィルム延伸装置38を用いて、フィルムFを延伸する工程を一工程として含む。
【0056】
そして、第2実施形態の他の態様に係るフィルム製造方法によれば、第2実施形態の特有の作用効果と同様の作用効果を奏する。
【0057】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るフィルム延伸装置は、熱可塑性樹脂からなるフィルムを搬送方向に搬送しながら延伸するフィルム延伸装置であって、前記搬送方向の上流側に回転可能に設けられ、前記フィルムを搬送するための第1搬送ロールと、前記搬送方向の下流側に回転可能に設けられ、前記第1搬送ロールの周速よりも速い周速で回転するように構成され、前記フィルムを搬送するための第2搬送ロールと、前記第1搬送ロールと前記第2搬送ロールとの間に回転可能に設けられ、前記搬送方向に間隔を置いて配置され、前記フィルムを支持する複数のガイドロールと、前記複数のガイドロールの配置領域の上方位置に設けられ、赤外線の放射によって前記フィルムを加熱するヒータと、を備える。最上流側のガイドロールに隣接するガイドロールの支持高さ位置は、前記最上流側のガイドロールの支持高さ位置よりも高くなっており、最下流側のガイドロールに隣接するガイドロールの支持高さ位置は、前記最下流側のガイドロールの支持高さ位置よりも高くなっており、前記複数のガイドロールの支持高さ位置は、側面視したときに、上方向に向かって凸となるアーチ状に配置されている。
【0058】
前記の構成によれば、前述のように、前記複数のガイドロールの支持高さ位置は、側面視したときに、上方向に向かって凸となるアーチ状に配置されている。そのため、前記第1搬送ロールと前記第2搬送ロールとの間において前記フィルムを十分に張った状態で、前記フィルムの搬送速度を上げることができる。これにより、フィルム延伸装置の生産性を高めつつ、フィルム皺等の外観不良の発生を抑制することができる。
【0059】
本発明の態様2に係るフィルム延伸装置は、前記態様1において、前記最上流側のガイドロールの支持高さ位置は、前記第1搬送ロールの搬送高さ位置よりも高くなっており、前記最下流側のガイドロールの支持高さ位置は、前記第2搬送ロールの搬送高さ位置よりも高くなっており、前記第1搬送ロールの搬送高さ位置、前記複数のガイドロールの支持高さ位置、及び前記第2搬送ロールの搬送高さ位置は、側面視したときに、上方向に向かって凸となるアーチ状に配置されてもよい。
【0060】
前記の構成によれば、前記第1搬送ロールと前記第2搬送ロールとの間において前記フィルムをより十分に張った状態で、前記フィルムの搬送速度を上げることができる。
【0061】
本発明の態様3に係るフィルム延伸装置は、熱可塑性樹脂からなるフィルムを搬送方向に搬送しながら延伸するフィルム延伸装置であって、前記搬送方向の上流側に回転可能に設けられ、前記フィルムを搬送するための第1搬送ロールと、前記搬送方向の下流側に回転可能に設けられ、前記第1搬送ロールの周速よりも速い周速で回転するように構成され、前記フィルムを搬送するための第2搬送ロールと、前記第1搬送ロールと前記第2搬送ロールとの間に回転可能に設けられ、前記搬送方向に間隔を置いて配置され、前記フィルムを支持する複数のガイドロールと、前記複数のガイドロールの配置領域の下方位置に設けられ、赤外線の放射によって前記フィルムを加熱する赤外線ヒータと、を備える。最上流側のガイドロールに隣接するガイドロールの支持高さ位置は、前記最上流側のガイドロールの支持高さ位置よりも低くなっており、最下流側のガイドロールに隣接するガイドロールの支持高さ位置は、前記最下流側のガイドロールの支持高さ位置よりも低くなっており、前記複数のガイドロールの支持高さ位置は、側面視したときに、下方向に向かって凸となるアーチ状に配置されている。
【0062】
前記の構成によれば、前述のように、前記複数のガイドロールの支持高さ位置は、側面視したときに、下方向に向かって凸となるアーチ状に配置されている。そのため、前記第1搬送ロールと前記第2搬送ロールとの間において前記フィルムを十分に張った状態で、前記フィルムの搬送速度を上げることができる。これにより、フィルム延伸装置の生産性を高めつつ、フィルム皺等の外観不良の発生を抑制することができる。
【0063】
本発明の態様4に係るフィルム延伸装置は、前記態様3において、前記最上流側のガイドロールの支持高さ位置は、前記第1搬送ロールの搬送高さ位置よりも低くなっており、前記最下流側のガイドロールの支持高さ位置は、前記第2搬送ロールの搬送高さ位置よりも低くなっており、前記第1搬送ロールの搬送高さ位置、前記複数のガイドロールの支持高さ位置、及び前記第2搬送ロールの搬送高さ位置は、側面視したときに、下方向に向かって凸となるアーチ状に配置されてもよい。
【0064】
前記の構成によれば、前記第1搬送ロールと前記第2搬送ロールとの間において前記フィルムをより十分に張った状態で、前記フィルムの搬送速度を上げることができる。
【0065】
本発明の態様5に係るフィルム延伸装置は、前記態様1から4のいずれかにおいて、各ガイドロールの内部に、温調液(冷却液)を流通させるためのジャケットが形成されてもよい。
【0066】
前記の構成によれば、前記フィルム延伸装置の稼働中に、各ガイドロールの前記ジャケットに温調液を流通させることにより、前記ガイドロールが過度に高温化すること抑えることができ、前記ガイドロールの耐久性を高めることができる。
【0067】
本発明の態様6に係るフィルム延伸装置は、前記態様1から5のいずれかにおいて、各隣接する前記ガイドロールのうち、上流側のガイドロールの周速に対する下流側のガイドロールの周速の比率は、0.1%以上600.0%以下であってもよい。
【0068】
前記の構成によれば、前記第1搬送ロールと前記第2搬送ロールとの間において前記フィルムの破断のリスクを十分に抑えた状態で、前記フィルムの搬送速度を十分に上げることができる。
【0069】
本発明の態様7に係るフィルム延伸装置は、前記態様1から6のいずれかにおいて、前記赤外線ヒータは、各隣接する前記ガイドロールの間の上方位置又は下方位置に配置され、各隣接する前記赤外線ヒータのうち、下流側の赤外線ヒータのヒータ温度は、上流側の赤外線ヒータのヒータ温度よりも1℃~50℃高くてもよい。
【0070】
前記の構成によれば、前記フィルムの破断のリスクを十分に抑えた状態で、前記フィルムの表面温度をガラス転移温度(Tg)又はその近傍温度まで短時間で安定的に昇温することができる。
【0071】
本発明の態様8に係るフィルム延伸装置は、前記態様1から7のいずれかにおいて、前記赤外線ヒータは、遠赤外線の放射によって前記フィルムを加熱する遠赤外線ヒータであってもよい。
【0072】
前記の構成によれば、前記フィルムの表面温度をガラス転移温度(Tg)又はその近傍温度までより短時間で昇温することができる。
【0073】
本発明の態様9に係るフィルム製造方法は、前記態様1から8のいずれかのフィルム延伸装置を用いて、フィルムを延伸する工程を一工程として含む。
【0074】
前記の構成によれば、前記第1搬送ロールと前記第2搬送ロールとの間において前記フィルムを十分に張った状態で、前記フィルムの搬送速度を上げることができる。これにより、フィルム延伸装置の生産性を高めつつ、フィルム皺等の外観不良の発生を抑制することができる。
【0075】
〔付記事項〕
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0076】
10 フィルム延伸装置
12 ベースフレーム
14 上部フレーム
14r 加熱室
14i 導入口
14d 導出口
16 第1搬送ロール
16s 回転軸
18 第1搬送モータ
20 第1ニップルロール
20s 回転軸
22 第2搬送ロール
22s 回転軸
24 第2搬送モータ
26 第2ニップルロール
26s 回転軸
28 ガイドロール
28s 回転軸
28A 最上流側のガイドロール
28B 最上流側のガイドロールに隣接するガイドロール
28C 最下流側のガイドロールに隣接するガイドロール
28D 最下流側のガイドロール
30 導入ロール
32 送出ロール
34 遠赤外線ヒータ(赤外線ヒータ)
36 制御部
38 フィルム延伸装置
図1
図2
図3
図4
図5