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特開2023-178084車両構造体および車両構造体の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178084
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】車両構造体および車両構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20231207BHJP
   H01M 50/242 20210101ALI20231207BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20231207BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20231207BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
H01M50/242
H01M50/249
H01M50/209
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091147
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003001
【氏名又は名称】帝人株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 司
【テーマコード(参考)】
3D235
5H040
【Fターム(参考)】
3D235AA02
3D235BB07
3D235CC15
3D235DD35
3D235EE63
3D235HH26
3D235HH44
3D235HH51
5H040AA14
5H040AA37
5H040AS04
5H040AT06
5H040AY03
5H040AY10
5H040CC05
5H040CC59
5H040JJ05
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】バッテリーを保護するため、バッテリーフレーム内に樹脂成形品を配置させた車両構造体を提供する。
【解決手段】バッテリートレイと、バッテリートレイの上方に配置されるバッテリートップカバーと、バッテリートレイの外側に配置されたバッテリーフレームと、を備えた車両構造体である。前記バッテリーフレームは車両前後方向に延在し、内部に中空領域を有し、前記中空領域に、樹脂製の衝撃吸収部材を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリートレイと、
バッテリートレイの上方に配置されるバッテリートップカバーと、
バッテリートレイの外側に配置されたバッテリーフレームと、
を備えた車両構造体であって、
前記バッテリーフレームは車両前後方向に延在し、内部に中空領域を有し、
前記中空領域に、樹脂製の衝撃吸収部材を備える、
車両構造体。
【請求項2】
前記中空領域に車両前後方向に離間して配置された2個以上の前記樹脂製の衝撃吸収部材を備える、請求項1に記載の車両構造体。
【請求項3】
樹脂製の衝撃吸収部材は、車両前後方向に離間して配置された複数の衝撃吸収部を有する、請求項1又は2に記載の車両構造体。
【請求項4】
前記樹脂製の衝撃吸収部材の車両前後方向に異なる2か所以上の位置における車両前後方向と垂直な断面が、異なる断面形状を備えている、請求項3に記載の車両構造体。
【請求項5】
前記樹脂製の衝撃吸収部材の車両上下方向と垂直な断面が閉断面を有する、請求項3に記載の車両構造体。
【請求項6】
前記閉断面が多角形状、楕円形状、又は円形状である請求項5に記載の車両構造体。
【請求項7】
樹脂製の衝撃吸収部材の車幅方向と垂直な断面が閉断面を有する、請求項3に記載の車両構造体。
【請求項8】
前記閉断面が多角形状、楕円形状、又は円形状である請求項7に記載の車両構造体。
【請求項9】
樹脂製の衝撃吸収部材は強化繊維を含む、請求項1又は2に記載の車両構造体。
【請求項10】
バッテリーフレームとバッテリートレイによって中空領域が形成される、請求項2に記載の車両構造体。
【請求項11】
バッテリーフレームが中空形状を有する、請求項1又は2に記載の車両構造体。
【請求項12】
前記バッテリートレイは、バッテリーを収容する収容部を有する、請求項1又は2に記載の車両構造体。
【請求項13】
前記バッテリートレイおよび前記バッテリーフレームは、バッテリーを収容する収容部を形成する、請求項1又は2に記載の車両構造体。
【請求項14】
請求項5に記載の車両構造体の製造方法であって、
樹脂製の衝撃吸収部材は射出成形品、又は圧縮成型品であり、前記樹脂製の衝撃吸収材料を成形型から抜く方向が、車両上下方向となる、車両構造体の製造方法。
【請求項15】
請求項7に記載の車両構造体の製造方法であって、
樹脂製の衝撃吸収部材は射出成形品、又は圧縮成型品であり、前記樹脂製の衝撃吸収材料を成形型から抜く方向が、車両幅方向となる、車両構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空領域を備えるバッテリーフレームおよび該中空領域に配置された樹脂製の衝撃吸収部材を有する車両構造体および車両構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車では車載バッテリーがかなりの重量および搭載スペースを占めるため、バッテリーフレームの構造について数々の検討がなされている。
【0003】
特許文献1、2では、バッテリーケースを保護するために金属製の衝撃吸収部材をバッテリーフレームの内側に組み込んでいる。
【0004】
特許文献3では、衝突発生時に衝突エネルギーを吸収できるよう、衝撃吸収用部材としての発泡フォームをバッテリーフレーム内に設けている。
【0005】
特許文献4では、構造補強、消音、又は振動減衰の機能を自動車の中空部材に提供するアセンブリが提供されている。このアセンブリは、耐熱性熱可塑性樹脂組成物から構成された射出成形キャリアを含み、キャリアは、グリッドまたは格子を形成していてもよい旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2017/211502
【特許文献2】国際公開第2014/109243
【特許文献3】特開2012-094476号公報
【特許文献4】国際公開第2014/096966
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1、2に記載の衝撃吸収部材には、金属が用いられており、バッテリーフレームを軽量化するには限界がある。さらには、金属として、例えばアルミ押し出しを用いた衝撃吸収部材の場合、車両前後方向から衝撃吸収部材の断面観察をした場合、どの断面も同形状となってしまう。すなわち、衝突エネルギーの吸収力を向上させるためには、車幅方向に構造要素を追加するしかなく、バッテリーフレームの重量が増加してしまう。
【0008】
また、特許文献3、4に記載の衝撃吸収部材では、挿入部材として発泡フォームが用いられている。この場合、挿入されるフレームが曲がっていても(フレームの延在方向に曲がっていても)、発泡素材が柔らかいため、曲がった形状にあわせて挿入部材が変形できる利点があるものの、フレームが直線状(フレームの延在方向が直線状)の場合には利点が少ない。
寧ろ、発泡材を用いてしまうと衝撃吸収部材としての強度に劣る。
【0009】
そこで本発明は従来技術の有する問題点を鑑み、バッテリーを保護するため、バッテリーフレーム内に樹脂製の衝撃吸収部材を配置した車両構造体および車両構造体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは鋭意検討した結果、以下に示す手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
[1]
バッテリートレイと、
バッテリートレイの上方に配置されるバッテリートップカバーと、
バッテリートレイの外側に配置されたバッテリーフレームと、
を備えた車両構造体であって、
前記バッテリーフレームは車両前後方向に延在し、内部に中空領域を有し、
前記中空領域に、樹脂製の衝撃吸収部材を備える、
車両構造体。
[2]
前記中空領域に車両前後方向に離間して配置された2個以上の前記樹脂製の衝撃吸収部材を備える、[1]に記載の車両構造体。
[3]
樹脂製の衝撃吸収部材は、車両前後方向に離間して配置された複数の衝撃吸収部を有する、[1]または[2]に記載の車両構造体。
[4]
前記樹脂製の衝撃吸収部材の車両前後方向に異なる2か所以上の位置における車両前後方向と垂直な断面が、異なる断面形状を備えている、[3]に記載の車両構造体。
[5]
前記樹脂製の衝撃吸収部材の車両上下方向と垂直な断面が閉断面を有する、[3]に記載の車両構造体。
[6]
前記閉断面が多角形状、楕円形状、又は円形状である[5]に記載の車両構造体。
[7]
樹脂製の衝撃吸収部材の車幅方向と垂直な断面が閉断面を有する、[3]に記載の車両構造体。
[8]
前記閉断面が多角形状、楕円形状、又は円形状である[7]に記載の車両構造体。
[9]
樹脂製の衝撃吸収部材は強化繊維を含む、[1]または[2]に記載の車両構造体。
[10]
バッテリーフレームとバッテリートレイによって中空領域が形成される、[1]または[2]に記載の車両構造体。
[11]
バッテリーフレームが中空形状を有する、[1]または[2]に記載の車両構造体。
[12]
前記バッテリートレイは、バッテリーを収容する収容部を有する、[1]又は[2]に記載の車両構造体。
[13]
前記バッテリートレイおよび前記バッテリーフレームは、バッテリーを収容する収容部を形成する、[1]又は[2]に記載の車両構造体。
[14]
[5]に記載の車両構造体の製造方法であって、
樹脂製の衝撃吸収部材は射出成形品、又は圧縮成型品であり、前記樹脂製の衝撃吸収材料を成形型から抜く方向が、車両上下方向となる、車両構造体の製造方法。
[15]
[7]に記載の車両構造体の製造方法であって、
樹脂製の衝撃吸収部材は射出成形品、又は圧縮成型品であり、前記樹脂製の衝撃吸収材料を成形型から抜く方向が、車両幅方向となる、車両構造体の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の車両構造体は、形状自由度が高い樹脂製の衝撃吸収部材をバッテリーフレームによって形成された中空領域に配置することで、バッテリーボックスへの衝撃をより効率的に緩和できる、
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】車両構造体の一例であるバッテリーボックスを示す斜視図である。
図2】バッテリーボックスの分解斜視図である。
図3図1のIII-III矢視断面図である。
図4図3のIV部の拡大図である。
図5】バッテリーフレーム110の斜視図である。
図6】衝撃吸収部材を配置したバッテリーフレームを示す斜視図である。
図7図6の第一縦壁503の一部を取り除き、中空領域502に配置された衝撃吸収部材300を示した斜視図である。
図8A】樹脂製の衝撃吸収部材300を示す斜視図である。
図8B】樹脂製の衝撃吸収部材310を示す斜視図である。
図8C】樹脂製の衝撃吸収部材320を示す斜視図である。
図8D】衝撃吸収部材300を成形型330A、330Bから抜く様子を示す斜視図である。
図9】従来のバッテリーフレームを示す斜視図である。
図10】バッテリーフレーム108と車体600との締結部を示す断面図である。
図11】バッテリートップカバーを示す斜視図である。
図12】バッテリーボックスの斜視図である。
図13図12のXIII-XIII矢視断面図である。
図14】バッテリーボックスの下部に保護壁901を有する車両構造体の鉛直断面図である。
図15】第2実施形態にかかるバッテリーフレーム108Bを示す斜視図である。
図16図15のバッテリーフレーム108Bの一部を取り除き、中空領域502Bに配置された衝撃吸収部材300を示した斜視図である。
図17図15のバッテリーフレーム108Bの一部を取り除き、中空領域502Bに配置された衝撃吸収部材300およびスリーブ1401Bを示した斜視図である。
図18図17のバッテリーフレーム108Bをバッテリートレイ105およびバッテリートップカバー102に取り付けた状態を示す斜視図である。
図19図18のXIX-XIX矢視断面図である。
図20】第3実施形態にかかる、バッテリーフレーム108Bとバッテリートレイ105Bとの接合構造、およびバッテリーフレーム108Bとバッテリートップカバー102との接合構造を示す鉛直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0015】
〔第1実施形態〕
本発明における車両構造体は、収容部106を有するバッテリートレイ105と、
バッテリートレイ105の上方に配置され、前記収容部106を閉じるバッテリートップカバー102と、
バッテリートレイ105の周方向外側に配置されたバッテリーフレーム108~110と、
を備えた車両構造体であって、
前記バッテリーフレーム108~110によって中空領域が形成され、車両前後方向に延在し、
該中空領域には樹脂製の衝撃吸収部材が配置され、該樹脂製の衝撃吸収部材は衝撃吸収部を間欠的に備えている。
【0016】
[全体構成]
本発明の車両構造体の一例として、バッテリーボックス101を図1に、バッテリーボックス101の分解斜視図を図2に示す。バッテリーボックス101は好ましくは車体中央下部に配置されるものであり、バッテリートレイ105とバッテリートップカバー102、及びバッテリーフレーム108~110を備えている。図1図2で示されるバッテリーボックス101は、バッテリートレイ105、バッテリートップカバー102、及びバッテリーフレーム108~110を備えている。
【0017】
バッテリーフレーム108~110は、衝撃エネルギーを吸収するためのものである。バッテリートレイ105は収容部106を備え、収容部106内にバッテリー103を格納することができる。
【0018】
[バッテリーフレーム]
自動車向けバッテリー搭載量の増加により、バッテリーボックス101の大きさは年々大型化している。バッテリーボックス101の車幅方向(図1のY軸方向)の長さは、自動車の幅に対して70%以上の場合が多く、80%以上の場合もある。このため、自動車下部に大型のバッテリーボックス101を搭載した場合、衝突時にバッテリーボックス101には、従来よりも大きな荷重が入力される。したがって、バッテリー103自体を保護するためのエネルギー吸収構造が必要となる。
【0019】
本発明におけるバッテリーフレーム108~110は、バッテリートレイ105の周方向外側に配置されている。
バッテリーフレーム108~110は剛性を担保するための部材であるが、自動車の衝突時にエネルギーを吸収することも可能である。言い換えると、バッテリーフレーム108は、車幅方向のバッテリートレイ105の周壁の外側に配置されているエネルギー吸収部材でもあり、車幅方向からの衝突エネルギーを吸収するために設けられる。
【0020】
[バッテリーフレーム:形状]
1.中空領域
中空領域はバッテリーフレーム108によって形成される。
図3図1のIII-III矢視断面図である。中空領域は、例えば図3の501や502の領域が例示できる。図3に示すように、バッテリーフレーム108とバッテリートレイ105によって前記中空領域501が形成されても良い。また、図3に示すようにバッテリーフレーム108が中空形状であり、バッテリーフレーム108のみによって前記中空領域502が形成されてもよい。樹脂製の衝撃吸収部材はバッテリーフレーム108とバッテリートレイ105によって形成された中空領域501に配置されてもよいし、中空形状のバッテリーフレーム108のみによって形成された中空領域502に配置されてもよい。樹脂製の衝撃吸収部材は両方の中空領域(例えば図3の501及び502)に配置されてもよい。
バッテリーフレーム108によって形成される中空領域501、502のうち、車両の最も外側に存在する中空領域502に樹脂製の衝撃吸収部材を配置すると好ましい。
【0021】
2.閉断面構造
中空とは、バッテリーフレーム108の車両前後方向と垂直な断面が閉断面構造を有するもの、またはバッテリーフレーム108およびバッテリートレイ105の車両前後方向と垂直な断面が閉断面構造を有するものをいう。ここで、車両前後方向をX軸方向、車両幅方向をY軸方向、車両上下方向をZ軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向は互いに垂直)としたとき、「車両前後方向と垂直な断面」とは、YZ平面と平行な断面である。
閉断面構造の形状に特に限定は無く、円状、楕円状、多角形状であってもよいし、例えば図3に示すような複雑な閉断面構造であってもよい。全ての断面において閉断面構造である必要は無く、例えば締結穴などがバッテリーフレーム108に設けられていてもよい。締結穴が設けられた箇所を含むバッテリーフレーム108の断面を観察すると、閉断面構造とはならないが、締結穴が設けられていない箇所の断面を観察した時に閉断面構造となっていれば、本発明でいう中空領域を形成している。例えば、バッテリーフレーム108の上部に車体との締結に用いられる締結穴が設けられていた場合は、締結穴が存在する部分の断面を、車両前後方向から観察しても閉断面構造ではない。
【0022】
3.バッテリーフレームの延在
中空領域を形成するバッテリーフレーム108は車両前後方向に延在する。車両前後方向とは、車両の進行方向であり、例えば図1のX軸方向で示される。
【0023】
[バッテリーフレームの二重構造]
バッテリーフレーム108は、図3に示すように、第一縦壁503と、第一縦壁503の車幅方向の内側にある第二縦壁504とを備える。第一縦壁503と第二縦壁504は、車体前後方向に延在すると好ましい。
【0024】
第二縦壁504の平均厚みよりも、第一縦壁503の平均厚みが薄いことが好ましい。第二縦壁504の平均厚みよりも、第一縦壁503の平均厚みが薄いことにより、車両側面に衝突エネルギーが加わった際、第一縦壁503が壊れることでエネルギーを吸収し、第二縦壁(より内側の壁)504でバッテリー103を保護することができる。
第2縦壁の平均厚みt2aveと、第1縦壁の平均厚みt1aveとの関係は、t2ave×0.9>t1aveを満たすことが好ましく、t2ave×0.8>t1aveを満たすことがより好ましい。
【0025】
[バッテリーフレーム:バッテリートップカバーとの共締め]
バッテリーフレーム108は、バッテリートップカバー102の車幅方向の外側に位置し、バッテリートレイ105と共締めによって締結されていることが好ましい(例えば図3)。バッテリーフレーム108は、バッテリートップカバー102及びバッテリートレイ105と共締めによって締結されていることがより好ましい
このように共締めすることで、車両側面へ衝撃を受けたときには、車体本体に加えて、バッテリートレイ105の構造剛性を利用できる、という効果を奏する。
【0026】
図4図3のIV部の拡大図である。バッテリーフレーム108は、図4に示すように、バッテリートップカバー102と、段付きボルト601によって共締めされることが好ましい。段付きボルト601とは、ボルトのねじを切ってない円筒部602がねじ603の呼び径よりも大きいボルトをいう。バッテリートップカバー102がシートモールディングコンパウンドによって成形された部品の場合、クリープ現象などによりその厚みが経時的に薄くなる(痩せてくる)が、段付きボルト601を使用することで、より安定してバッテリートップカバー102、及びバッテリーフレーム108(又は、後述する車幅方向に延在するバッテリーフレームやコーナー部に存在するバッテリーフレーム)の締結を維持することが可能となる。
【0027】
段付きボルト601を利用し、バッテリーフレーム108及びバッテリートップカバー102を共締めによって締結する場合、図4に示すように、バッテリートップカバー102/バッテリートレイ105/バッテリーフレーム108の順に積層して共締めして締結するか、バッテリーフレーム108/バッテリートップカバー102/バッテリートレイ105の順に積層して共締めして締結することが好ましい。この順に積層することで、シートモールディングコンパウンドによって作成されたバッテリートレイ105又はバッテリートップカバー102の痩せ(クリープ現象などにより厚みが薄くなる現象)が生じても、安定して締結を維持できる。
【0028】
[車幅方向に延在するバッテリーフレーム、コーナー部に存在するバッテリーフレーム]
衝突エネルギーを吸収するバッテリーフレームとして、バッテリートレイ105の外側に沿って、車幅方向に延在するバッテリーフレーム109を更に備えることが好ましい。また、更にバッテリートレイ105のコーナー部の外側にもバッテリーフレーム110を更に備えることが好ましい。車幅方向の外側だけでなく、バッテリートレイの外側全てに衝突エネルギーを吸収するバッテリーフレーム108、109、110を備えることで、あらゆる方向からの衝撃入力に対応できるという効果を奏する。コーナー部に存在するバッテリーフレーム110を、図5に例示する。
【0029】
車幅方向に延在するバッテリーフレーム109、及びコーナー部に存在するバッテリーフレーム110は、バッテリートレイ105、及びバッテリートップカバー102の外側に位置し、バッテリートップカバー102と共締めによって締結していることが好ましい。バッテリーフレーム108、109、110がバッテリートレイの全周を囲むように配置されている場合には、高い衝突強度が確保される。
車幅方向に延在するバッテリーフレーム109、又はコーナー部に存在するバッテリーフレーム110によって中空領域が形成され、該中空領域には樹脂製の衝撃吸収部材が配置され、該樹脂製の衝撃吸収部材は衝撃吸収部を間欠的に備えていてもよい。
【0030】
[樹脂製の衝撃吸収部材]
バッテリーフレームが備える中空領域には樹脂製の衝撃吸収部材が配置されている。
【0031】
[衝撃吸収部材の配置方法(挿入方法)、配置個数]
樹脂製の衝撃吸収部材300をバッテリーフレーム108に配置する際には、図6に示すように、樹脂製の衝撃吸収部材300をバッテリーフレーム108の中空領域502に挿入すればよい。図3の中空領域501に樹脂製の衝撃吸収部材を配置する場合は、予め樹脂製の衝撃吸収部材を中空領域501となる位置に設置してからバッテリーフレーム108をバッテリートレイ105の外側から嵌め込んでもよい。
【0032】
中空領域には車両前後方向に2個以上の樹脂製の衝撃吸収部材300が配置されていることが好ましく、3個以上であるとより好ましい。このとき、必ずしも樹脂製の衝撃吸収部材同士を接合させる必要は無い。
【0033】
図7は、図6の第一縦壁503の一部を取り除き、中空領域502に配置された衝撃吸収部材300を示した斜視図である。例えば、図7に示すように、複数の樹脂製の衝撃吸収部材300が車両前後方向(X軸方向)に間隔を空けて設けられたバッテリーフレーム108では、車両前後方向の位置によって樹脂製の衝撃吸収部材300が存在する位置と存在しない位置がある。すなわち、樹脂製の衝撃吸収部材300が車両前後方向に間欠的に設けられている。このため、車体600とバッテリーフレーム108との取り付けが容易になる。例えば、図7に示すように、バッテリーフレーム108の第一縦壁503にスリーブ1401を設けることができる。
【0034】
また、車幅方向(図6図7のY軸方向)に、別途クロスメンバー111(図2参照)を配置する場合には、クロスメンバー111が側面衝突時の車体保護を担う。このため、クロスメンバー111とバッテリーフレーム108とが接続される領域に樹脂製の衝撃吸収部材を挿入せずに間隙を設けておけば、バッテリーフレーム108の軽量化が可能である。
【0035】
[衝撃吸収部材の構造]
樹脂製の衝撃吸収部材は衝撃吸収部を間欠的に備えている。
1.衝撃吸収部
衝撃吸収部とは、車両の側面が何かに衝突した際に車両構造体が受ける衝撃を吸収する箇所をいう。例えば図8Aに示すように、衝撃吸収部材300は、車幅方向(図8AのY軸方向)に連続して延在する構造を有する。
【0036】
衝撃吸収部が間欠的とは、車両前後方向に向けて、連続して衝撃吸収部が延在していない事を意味する。例えば、図8Aに示すように、樹脂製の衝撃吸収部材300の車両幅方向の端面にスリット301を車両前後方向に間隔を空けて設けてもよい。
【0037】
図9は従来のバッテリーフレームを示す斜視図である。図9に示すように、従来のアルミ押出を利用した金属製のバッテリーフレーム200の場合、衝撃吸収部201は車両前後方向に連続的に形成されている。すなわち、バッテリーフレーム200の車両前後方向と垂直な断面を観察すると、車両前後方向のどの位置の断面であっても、同じ形状が見える。アルミ押出を用いた場合には、衝撃吸収部が車両前後方向に向かって延在するため、バッテリーフレーム200の重量が増加してしまう。
【0038】
なお、図8Bに示すように、車両前後方向と垂直な板状の衝撃吸収板311を複数、車両前後方向に間隔を空けて設けてもよい。ここで、衝撃吸収板311は、車幅方向に延在する衝撃吸収部の一例である。
ここで、車両前後方向をX軸方向、車両幅方向をY軸方向、車両上下方向をZ軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向は互いに垂直)としたとき、「車両前後方向と垂直な板」とは、YZ平面と平行な面を有し、厚さ方向が車両前後方向(X軸方向)となる板である。
【0039】
また、車両上下方向に向けて、連続して衝撃吸収部が延在しない構造を有していてもよい。例えば、図8Aに示すように、円筒形または半円筒形の空隙302を車両上下方向に間隔を空けて設けてもよい。
【0040】
2.断面形状
2.1 車両前後方向と垂直な断面の観察
樹脂製の衝撃吸収部材の衝撃吸収部が、車両前後方向に間欠的に形成されている場合(すなわち、樹脂製の衝撃吸収部材の衝撃吸収部が車両前後方向に連続的に設けられず、樹脂製の衝撃吸収部材の間に間隙がある場合)、樹脂製の衝撃吸収部材は、車両前後方向の2か所で観察した車両前後方向と垂直な断面において、異なる断面形状を備えていることになる。
ここで、車両前後方向をX軸方向、車両幅方向をY軸方向、車両上下方向をZ軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向は互いに垂直)としたとき、「車両前後方向と垂直な断面」とは、YZ平面と平行な断面である。
【0041】
また、例えば、図8A図8Bにおいても、樹脂製の衝撃吸収部材300、310の車両前後方向(図8A図8BのX軸方向)と垂直な断面を観察すると、断面の車両前後方向の位置によって異なる断面形状を備えていることが分かる。具体的には、図8Aの衝撃吸収部材300では、スリット301がある位置とない位置とで異なる断面形状を有する。また、円筒形または半円筒形の空隙302が設けられた部分も、車両前後方向の位置によって異なる断面形状を有する。
衝撃吸収部材300、310がこのような車両前後方向の位置によって異なる断面形状を備えていることで、衝撃からの収容部106内のバッテリー103の保護と、衝撃吸収部材300、310の軽量化を両立させることができる。
【0042】
2.2 車両上下方向からの観察
樹脂製の衝撃吸収部材は、車両上下方向(図8B図8CのZ軸方向)と垂直な断面が、閉断面を形成していてもよい。ここで、車両前後方向をX軸方向、車両幅方向をY軸方向、車両上下方向をZ軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向は互いに垂直)としたとき、「車両上下方向と垂直な断面」とは、XY平面と平行な断面である。
閉断面が多角形状、楕円形状、又は円形状を形成するとより好ましい。例えば図8Bの樹脂製の衝撃吸収部材310では、車両上下方向から断面観察すると、車両前後方向と垂直な板状の衝撃吸収板311と、車両幅方向と垂直な板状の衝撃吸収板312とによる格子状の閉断面を観察できる。ここで、車両前後方向をX軸方向、車両幅方向をY軸方向、車両上下方向をZ軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向は互いに垂直)としたとき、「車両前後方向と垂直な板」とは、YZ平面と平行な面を有し、厚さ方向が車両前後方向(X軸方向)となる板である。また、「車両幅方向と垂直な板」とは、XZ平面と平行な面を有し、厚さ方向が車両幅方向(Y軸方向)となる板である。
さらに、図8Bの樹脂製の衝撃吸収部材310は、車両上下方向と垂直な板状の衝撃吸収板313を備えてもよい。ここで、車両前後方向をX軸方向、車両幅方向をY軸方向、車両上下方向をZ軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向は互いに垂直)としたとき、「車両上下方向と垂直な板」とは、XY平面と平行な面を有し、厚さ方向が上下方向(Z軸方向)となる板である。
【0043】
図8Cの樹脂製の衝撃吸収部材320は、図8Aの樹脂製の衝撃吸収部材300をX軸回りに90°回転させた形状をしている。図8Cに示すように、樹脂製の衝撃吸収部材320には、上端面および下端面にスリット321を設けてもよい。スリット321は車両前後方向に間隔を空けて設けてもよい。
また、車両幅方向に向けて、連続して衝撃吸収部が存在していない構造でもよい。例えば、図8Cに示すように、円筒形または半円筒形の空隙322を車両幅方向に間隔を空けて設けてもよい。樹脂製の衝撃吸収部材320は、車両上下方向と垂直な断面が、円形状の閉断面を有する。ここで、車両前後方向をX軸方向、車両幅方向をY軸方向、車両上下方向をZ軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向は互いに垂直)としたとき、「車両上下方向と垂直な断面」とは、XY平面と平行な断面である。
【0044】
2.3 車両幅方向からの観察
樹脂製の衝撃吸収部材は、車両幅方向(図8AのY軸方向)と垂直な断面が、閉断面を形成していてもよい。閉断面が多角形状、楕円形状、又は円形状を形成するとより好ましい。例えば図8Aの樹脂製の衝撃吸収部材300を車幅方向から断面観察すると、円形状の閉断面を観察できる。ここで、車両前後方向をX軸方向、車両幅方向をY軸方向、車両上下方向をZ軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向は互いに垂直)としたとき、「車両幅方向と垂直な断面」とは、XZ平面と平行な断面である。
【0045】
[樹脂製の衝撃吸収部材とバッテリープレームの締結構造]
樹脂製の衝撃吸収部材300はバッテリーフレーム108と接着、又は締結により接合しておくことが好ましい。更には、樹脂製の衝撃吸収部材300、バッテリーフレーム108、及び車体600を締結してもよい。
【0046】
図10に、バッテリーフレーム108と車体600との締結部を示す断面図を例示する。図10に示すように、バッテリーフレーム108の第一縦壁503にスリーブ1401を設けるとともに、車体600にナット604を設け、ボルト801をスリーブ1401に通した状態でナット604に締結することで、バッテリーフレーム108を車体600に固定することができる。なお、ナット604およびボルト801の代わりに、リベットにより車体600にバッテリーフレーム108を取り付けてもよい。
【0047】
なお、図7に示すように、樹脂製の衝撃吸収部材300とスリーブ1401の位置をずらし、バッテリーフレーム108の中空領域502のスリーブ1401がない位置に、樹脂製の衝撃吸収部材300を配置してもよい。
【0048】
[樹脂製の衝撃吸収部材の製造方法]
樹脂製の衝撃吸収部材は射出成形、又は圧縮成形によって製造された射出成形品、又は圧縮成型品であることが好ましい。図8Dは衝撃吸収部材300を成形型330A、330Bから抜く様子を示す斜視図である。樹脂製の衝撃吸収部材の車両上下方向と垂直な断面が閉断面を形成する場合は、図8Dに示すように、成形型330A、330Bからの抜き方向(図8Dの矢印Aおよび矢印B)が、車両上下方向となることが好ましい。一方、樹脂製の衝撃吸収部材の車両幅方向と垂直な断面が閉断面を形成する場合は、成形型330A、330Bからの抜き方向(図8Dの矢印Aおよび矢印B)が、車両幅方向となることが好ましい。
【0049】
[収容部]
バッテリートレイ105とバッテリートップカバー102によって収容部106が閉じられるため、収容部106はシールされる。特に、バッテリートレイ105が一体成形された繊維強化プラスチックである場合、バッテリートレイ105とバッテリートップカバー102との接合部以外に継ぎ目が設けられない。そのため、バッテリーの収容部に対して、全周の溶接などを要することなく高いシール性を確保できる。
【0050】
[一体成形された繊維強化プラスチック]
バッテリートレイ105、及びバッテリートップカバー102はそれぞれ一体成形された繊維強化プラスチックであることが好ましい。
ここで、一体成形とは、これらが継ぎ目を有さずに連続的に成形されており、別体の部材同士を接合して成形したものではないことをいう。このような一体成形は、一度の成形で繊維強化プラスチックが作成され、好ましくはプレス成形により実現できる。シートモールディングコンパウンド(SMCと呼ぶ場合がある)を用いて一体成形し、繊維強化プラスチックを作成してもよい。バッテリートレイ105及びバッテリートップカバー102が一体成形によって作成されるため、別々の部品を1つの部品として加工することができ、部品単価を引き下げることが可能となる。また、組付け工程数が減少するし、部品数減少により在庫に係る費用の削減も可能である。
【0051】
なお、バッテリートレイ105、及びバッテリートップカバー102はそれぞれ一体成形されたものであって、バッテリートレイ105とバッテリートップカバー102とが一体に成形されているものではない。バッテリートレイ105とバッテリートップカバー102は、それぞれ別体である。
【0052】
[繊維強化プラスチック]
バッテリートレイ105、バッテリートップカバー102、樹脂製の衝撃吸収部材300はそれぞれ強化繊維を含んだプラスチック、すなわち繊維強化プラスチックであることが好ましい。
【0053】
1.強化繊維
繊維強化プラスチックに含まれる強化繊維に特に限定は無いが、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、玄武岩繊維からなる群より選ばれる1つ以上の強化繊維であることが好ましい。強化繊維はガラス繊維であることがより好ましい。強化繊維としてガラス繊維を用いる場合、ガラス繊維の平均繊維直径は、1μm~50μmが好ましく、5μm~20μmがより好ましい。平均繊維径が大きいと樹脂の繊維への含浸性が容易となり、上限以下であれば成形性や加工性が良好となる。
【0054】
2.不連続繊維
強化繊維は不連続繊維を含むことが好ましい。不連続繊維を用いた場合、連続繊維のみを用いた繊維強化プラスチックに比べて賦形性が向上し、複雑な成形体を作成することが容易となる。
【0055】
3.強化繊維の重量平均繊維長
本発明においては繊維長が互いに異なる不連続強化繊維を併用してもよい。換言すると、本発明に用いられる不連続強化繊維は、重量平均繊維長の分布において単一のピークを有するものであってもよく、あるいは複数のピークを有するものであってもよい。
【0056】
3.1 圧縮成形の場合
バッテリートレイ105、バッテリートップカバー102、樹脂製の衝撃吸収部材300はそれぞれ圧縮成形された繊維強化プラスチックであってもよい。バッテリートレイ105、及びバッテリートップカバー102は、とりわけ圧縮成形された繊維強化プラスチックであることが好ましい。
圧縮成形された繊維強化プラスチックの場合、強化繊維の重量平均繊維長は、1mm以上100mm以下であることが好ましい。重量平均繊維長は1mm~70mmがより好ましく、1mm~50mmがさらに好ましい。
【0057】
近年、車載用のバッテリーは大型化し、バッテリーボックスの縦横の寸法が1m×1mや、1.5×1.5mのようなサイズになっている。重量平均繊維長が1mm以上であれば、このような大きなバッテリーボックスを作成する場合であっても、大きなバッテリーを格納するための機械物性を担保しやすい。反対に、強化繊維の重量平均繊維長を100mm以下とすれば、流動性に優れるため好ましい。
【0058】
3.2 射出成形の場合
本発明の樹脂製の衝撃吸収部材は射出成形によって成形された繊維強化プラスチックであることが好ましい。射出成形された繊維強化プラスチックの場合、強化繊維の重量平均繊維長は、0.01mm以上3mm以下であることが好ましい。重量平均繊維長は0.1mm以上1.5mm以下がより好ましく、0.1mm以上1mm以下がさらに好ましく、0.1以上0.3mm以下がより一層好ましい。
【0059】
4.繊維体積割合
強化繊維の繊維体積割合Vfに特に限定は無いが、20~70%が好ましく、25~60%がより好ましく、30~55%が更に好ましい。
なお、繊維体積割合(Vf 単位:体積%)とは、強化繊維とマトリクス樹脂だけではなく、その他の添加剤等も含めた全体の体積に対する強化繊維の体積の割合である。
【0060】
5.樹脂
本発明において樹脂の種類に特に限定は無く、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂が用いられる。熱硬化性樹脂を用いる場合、不飽和ポリエステル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系の樹脂であることが好ましい。樹脂としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。射出成形の場合、好ましくは熱可塑性樹脂が用いられる。
【0061】
6.その他の剤
本発明で用いる繊維強化樹脂中には、本発明の目的を損なわない範囲で、有機繊維または無機繊維の各種繊維状または非繊維状のフィラー、無機充填剤、難燃剤、耐UV剤、安定剤、離型剤、顔料、軟化剤、可塑剤、界面活性剤等の添加剤を含んでいてもよい。
また、熱硬化性樹脂を用いる場合には、増粘剤、硬化剤、重合開始剤、重合禁止剤などを含有してもよい。
添加剤としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0062】
7.シートモールディングコンパウンド
本発明の繊維強化プラスチックは、強化繊維を用いたシートモールディングコンパウンド(SMCと呼ぶ場合がある)を成形したものであると好ましい。シートモールディングコンパウンドはその成形性の高さから、バッテリートレイやバッテリートップカバーのような複雑形状であっても、容易に成形することができる。
【0063】
すなわち、シートモールディングコンパウンドを成形して繊維強化プラスチックを製造し、凹凸形状を有するバッテリートレイを製造することができる。シートモールディングコンパウンドは、流動性や賦形性が連続繊維に比べて高く、容易にリブやボスの作成ができる。
シートモールディングコンパウンド(SMC)を用いた繊維強化プラスチックとしては、Teijin Automotive Technologies社製(TATと略する場合がある)のシートモールディングコンパウンドを利用することができる。なお、一般的にシートモールディングコンパウンドを成形して繊維強化プラスチックを製造する場合は、圧縮成形が用いられる。
【0064】
[バッテリートレイとバッテリートップカバーの最低厚み]
バッテリートレイ105とバッテリートップカバー102が繊維強化プラスチックである場合、バッテリートレイ105とバッテリートップカバー102の最低厚さは1.0mm以上5mm未満であることが好ましく、1.5mm以上5mm未満がより好ましく、2mm以上5mm以下が更に好ましく、3mm以上5mm以下がより一層好ましい。5mm以下であれば、バッテリーボックス101の軽量化の観点で好ましい。繊維強化プラスチックが1.0mm以上であると、バッテリー温度が外気温に影響されにくくなる。
【0065】
バッテリートレイ105の場合、好ましくは繊維強化プラスチックの最低厚さは2mm以上5mm未満であり、より好ましくは3mm以上5mm未満である。
バッテリートップカバー102の場合、好ましくは繊維強化プラスチックの最低厚さは1mm~4mmであり、より好ましくは1mm~3mmである。
【0066】
[バッテリートップカバー]
バッテリートップカバー102は、バッテリートレイ105の上方に配置され、収容部106を閉じる。
【0067】
1.一次モードの固有振動数
図11に示すように、バッテリートップカバー102はリブ701を備え、一次モードの固有振動数が25Hz以上であることが好ましい。固有振動数は30Hz以上がより好ましく、35Hz以上が更に好ましく、40Hz以上がより一層好ましい。バッテリートップカバー102がリブ701を備える場合、バッテリートップカバー102は偏肉構造となる。バッテリートップカバー102に入力される振動は25Hz以下であることが多いため、これとは共振しないようにバッテリートップカバー102を設計するのが好ましい。
リブ701の延在方向と垂直な断面の形状に特に限定はなく、正方形、長方形、逆円錐台形、逆三角形等や、断面半円形、断面半楕円形や、こぶ状、山形状などにすることができる。
なお、図11においては、車両前後方向に延在するリブ701と、車両幅方向に延在するリブ701とが存在する。ここで、車両前後方向をX軸方向、車両幅方向をY軸方向、車両上下方向をZ軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向は互いに垂直)としたとき、車両前後方向(X軸方向)に延在するリブ701について「リブの延在方向と垂直な断面」とは、YZ平面と平行な断面である。また、車両幅方向(Y軸方向)に延在するリブ701について「リブの延在方向と垂直な断面」とは、XZ平面と平行な断面である。
リブ701の配置構造も特に限定はなく、一方向、十字状、斜めのクロス状であってもよい。リブ701の場所についても特に限定は無く、バッテリートップカバー102の外側であっても、内側であってもよい。リブ701が内側にあれば、バッテリーボックス101の設計空間を最大限生かせるため好ましい(例えばリブ701の間に配線を設けることができる)。図11に、バッテリートップカバー102の内側に十字状に設けたリブ701を例示する。図11に示すリブ701の延在方向と垂直な断面の形状は長方形である。
なお、バッテリートレイ102は凹部702を有することで、容易に1次モードの固有振動数を25Hz以上とすることができる。
【0068】
2.バッテリートップカバーと車体との固定点数
バッテリートップカバー102の一次モードの固有振動数が25Hz未満の場合、バッテリートップカバー102へ入力された振動との共振を抑えるため、バッテリートップカバー102を車体600と固定する必要があり、車体600との固定点数が多くなる。言い換えると、一次モードの固有振動数が25Hz以上であれば、バッテリートップカバー102へ入力された振動の共振を抑制できるため、バッテリートップカバー102を車体600と固定するための固定点数を削減できる。一般的に、バッテリートップカバー102は車体600の内部から、締結によって固定される。固定点数を削減できれば、車体600の内部からの締結作業を削減できる。
【0069】
すなわち、本発明の車両構造体(バッテリーボックス101)を車体600に固定して、バッテリー搭載車体となったとき、バッテリーフレーム108と車体600との固定点数n1と、バッテリートップカバー102と車体600との固定点数n2との関係が、n1>n2であることが好ましい。
バッテリーフレーム108と車体600とを締結することで、バッテリートップカバー102を車体に固定(主には締結)させる際の固定点が少なくできる。バッテリーフレーム108を車体に締結する場合は、車体内部から締結する必要性はないため、作業効率が向上する。
具体的な固定点数n2は10個以下であれば好ましく、5個以下であれば更に好ましく、3個以下であればより一層好ましく、0個であれば最も好ましい。
更に、バッテリートップカバー102の固定点が減少すれば、バッテリートップカバー102に締結用の穴を少なくできるため、バッテリーボックス101の気密性を担保しやすくなる。
【0070】
[電磁波遮蔽]
バッテリートレイ105とバッテリートップカバー102が繊維強化プラスチックで構成される場合、バッテリー103から発生する電磁波を遮蔽するために、バッテリートレイ105とバッテリートップカバー102には電磁波遮蔽層が取り付けられることが好ましい。電磁波遮蔽層により、バッテリー103から輻射される電磁波を遮蔽して外部への輻射や漏洩を防止でき、バッテリートレイ105とバッテリートップカバー102に十分な電磁波シールド性を確保することができて、例えば電磁波による車両の制御系や人体への悪影響を抑制することが可能になる。
【0071】
[バッテリートレイ:全般]
本発明のバッテリートレイ105は収容部106を有する。バッテリートレイ105は車両駆動用のバッテリー103を搭載するための、自動車駆動用のものである。
図12はバッテリートレイ105の斜視図であり、図13図12のXII-XIIIの矢視断面図である。図12に示すように、バッテリートレイ105は、第一底面部1103、第一底面部1103の外周に立設された周壁1005、第一底面部1103と接続する第一内部壁1006、第一底面部1103と接続する第二内部壁1007、及び第一内部壁1006と第二内部壁1007との両方に接続して第一底面部から上げ底された第二底面部1101を備える。
【0072】
第一底面部1103、周壁1005、第一内部壁1006、第二内部壁1007、及び第二底面部1101は一体成形された繊維強化プラスチックで構成される。
【0073】
[バッテリートレイ:フランジ]
バッテリートレイ105は、フランジ105Aを備えていてもよい。バッテリートレイ105のフランジ105Aは、バッテリートップカバー102、及びバッテリーフレーム108と共締めする際に利用できる。また、バッテリートレイ105のフランジ105Aを、図4のようにバッテリーフレーム108と接合してもよい。
【0074】
[バッテリートレイ:第一底面部]
第一底面部1103の下面は、バッテリートレイ105の最下面である。第一底面部1003の上面にバッテリー103を載置してもよいし、バッテリー103と第一底面部1003の間に空間を設け、冷却機構104や図示しない換気機構を設けてもよい。また、第一底面部1103は完全な平板形状である必要は無く、コルゲート形状のように波打っていても構わないし、曲面を有していても構わない。
【0075】
[バッテリートレイ:周壁]
周壁1005は、第一底面部1103の外周に立壁されたものであり、第一底面部1103の面と連続して形成されていることが好ましい。
【0076】
[バッテリートレイ:第一内部壁と第二内部壁]
第一内部壁1006は、第一底面部1103と接続されている。バッテリートレイ1を形成する繊維強化プラスチックが第一底面部1103と第一内部壁1006との接続部で屈曲している。第一底面部1103は、連続して第一内部壁1006に接続しており、第一底面部1103と第一内部壁1006とは、継ぎ目が無く一体成形されている。
同様に、第二内部壁1007は、第一底面部1103と接続されている。バッテリートレイ1を形成する繊維強化プラスチックが第一底面部1103と第二内部壁1007との接続部で屈曲している。第一底面部1103は、連続して第二内部壁1007に接続しており、第一底面部1103と第二内部壁1007とは、継ぎ目が無く一体成形されている。繊維強化プラスチックを用いれば、容易に継ぎ目がなく一体成形できる。
【0077】
第一内壁部1006は第一底面部1103と交差する状態で、第一底面部1103と接続していることが好ましい。同様に、第二内部壁1007は、第一底面部1103と交差する状態で、第一底面部1103と接続していることが好ましい。ここで「交差する」とは、図13に示すようにバッテリートレイ105を断面観察する二次元平面において、第一底面部1103が第一内壁部1006、及び第二内壁部1007と交わって観察される状態のことを意味する。
【0078】
[バッテリートレイ:内部分割壁]
第一内部壁1006と第二内部壁1007は、バッテリートレイ105の内部を分割する、図13に示す内部分割壁107を形成する。このような内部分割壁107は、2つ以上あってもよい。図12では、内部分割壁107は、Y軸方向に形成されており、全部で4つ延在している。図12のX軸が車軸方向(車の進行方向)、Y軸が車幅方向であることが好ましい。
【0079】
[バッテリートレイ:第二底面部]
第一内部壁1006と第二内部壁1007は第二底面部1101を介して接続している。第二底面部1101は、第一内部壁1006、及び第二内部壁1007によって第一底面部1103よりも上げ底されていることが好ましい。言い換えると、第一内壁部1006と第二内壁部1007は、内部分割壁107を形成し、第二底面部1101は、内部分割壁107の頂きの底面部である。
【0080】
図13には、第一内部壁1006と第二内部壁1007によって形成された内部分割壁107の頂きの底面部に、第二底面部1101が描かれている。
このように、内部分割壁107を第一内部壁1006と第二内部壁1007で形成するので、内部分割壁107を第一底面部1103から高く形成しても、強化繊維が先端まで含む壁を簡単に製造できる。
第二底面部1101の反対面には、金属カバー1104を被せ、剛性を向上させてもよい。
【0081】
[バッテリートレイ:一体成形]
第一底面部1103、周壁1005、第一内部壁1006、第二内部壁1007、及び第二底面部1101は一体成形された繊維強化プラスチックで構成されると好ましく、バッテリートレイ105のフランジ105Aも第一底面部1103、周壁1005、第一内部壁1006、第二内部壁1007、及び第二底面部1101と一体成形された繊維強化プラスチックで構成されるとより好ましい。
【0082】
[バッテリートレイ:境界領域における不連続繊維の分散]
第一底面部1103と第一内部壁1006の境界領域、第一底面部1103と第二内部壁1007の境界領域、及び第一底面部1103と周壁1005の境界領域において、不連続繊維が連続的に分散していることが好ましい。
【0083】
第一底面部1103、周壁1005、第一内部壁1006、第二内部壁1007は一体成形された繊維強化プラスチックで形成されるため、境界領域において容易に不連続繊維を連続的に分散できる。
【0084】
強化繊維が境界領域において連続して分散しているとは、少なくとも境界領域の一部において連続分散していればよく、境界領域全体において連続して分散している必要はない。
【0085】
「強化繊維が連続的に分散している」とは、複数の強化繊維が繊維強化プラスチックの厚さ方向から見て交差している状態、あるいは複数の強化繊維が重量平均繊維長よりも短い距離で隣接している状態が連続していることをいう。
【0086】
境界領域において、強化繊維が面内方向に連続して分散していると、従来に比べて境界領域の機械物性が向上する。
【0087】
バッテリーボックス101の構成部品を一体成形せずに、第一内壁部1006や第二内壁部1007に相当する隔壁を別部品として取り付けた場合、第一底面部1103と隔壁との締結が必要であった。しかしながら、一体成形せずに内部分割壁を別部品として取り付けた場合、どうしても第一底面部1103との締結力が低くなり、また締結力が不安定になってしまう。
【0088】
[保護壁]
図14は、バッテリーボックスの下部に保護壁901を有する車両構造体の鉛直断面図である。図14に示すように、本発明の車両構造体は、バッテリーボックス101に加えて、バッテリートレイ105の下に保護壁901を備えていてもよい。保護壁901はバッテリートレイ105に、少なくとも1か所が締結棒902によって締結され、バッテリートレイ105には、締結用の挿入穴903が一体成形されていると好ましい。
【0089】
1.締結
締結棒は図14の902、挿入穴は図14の903である。また、図14に示すように、バッテリートレイ105の下面には、保護壁901に向けて突出した挿入台904が設けられ、挿入台904の内部に挿入穴903が配置されていることが好ましい。保護壁901に設けられた締結棒902がバッテリートレイ105の下面に設けられた挿入台904の挿入穴903に挿入されることで、バッテリートレイ105の下に保護壁901が設けられる。なお、図14に示すように、締結部材906により、バッテリーフレーム108と保護壁901とを締結してもよい。
【0090】
2.衝撃緩和材
図14に示すように、バッテリートレイ105と保護壁901の間には、衝撃緩和材905を配置しておくことが好ましい。また、衝撃緩和材905はハニカム構造体であることがより好ましい。このような衝撃緩和材905を備えることで、車両600の下部からの耐衝撃性が向上する。
【0091】
3.整流板
保護壁901は整流板を一体成形によって備えた繊維強化プラスチックであることが好ましい。整流板は保護壁901の下側に備えることが好ましい。整流板を設けることで、空気抵抗が減少し、車両の走行安定性が向上する。
【0092】
4.電磁波遮蔽層
保護壁901とバッテリートレイ105の間に電磁波遮蔽層を設けることが好ましい。より具体的には、保護壁901の上面に電磁波遮蔽層を設けることが好ましい。この場合、衝撃緩和材905は電磁波遮蔽層の上側に配置すると好ましい。
【0093】
5.保護壁の材料
5.1
保護壁901は、強化繊維と熱硬化性樹脂を含むシートモールディングコンパウンドを成形して得られた繊維強化プラスチックあってもよい。
【0094】
5.2
保護壁は、強化繊維と熱可塑性樹脂を含む複合材料を成形して得られた繊維強化プラスチックでもよい。
【0095】
6.保護壁の厚み
保護壁の厚みは、1mm以上であることが好ましく、3mm以上であることがより好ましく、5mm以上であることが更に好ましい。
【0096】
[車両構造体の製造方法]
以下、車両構造体の製造方法の一例について説明する。
まず、バッテリートップカバー102、バッテリートレイ105、バッテリーフレーム108、109、110、保護壁901をそれぞれ成形する。また、樹脂製の衝撃吸収部材300を射出成形また圧縮成形により形成する。衝撃吸収部材300はバッテリーフレーム108の中空領域502に挿入しておく。または、中空領域501となる位置に配置しておく。
次に、バッテリーフレーム108にバッテリーフレーム108、109、110を取り付ける。
【0097】
次に、バッテリートレイ105の収容部106に温度制御システム104、バッテリー103を順に収容する。
次に、図8に示すように、バッテリーフレーム108、バッテリートレイ105の外周部のフランジ105A、およびバッテリートップカバー102のフランジ102Aを締結する。以上によりバッテリーボックス101が完成する。
その後、図8に示すように、バッテリーボックス101を車両600に締結する。
なお、必要に応じて、保護壁901をバッテリートレイ105の下部に取り付けてもよい。
【0098】
〔第2実施形態〕
図15は本発明の第2実施形態にかかるバッテリーフレーム108Bを示す斜視図である。なお、第1実施形態と同様の構成については、同符号を付して説明を割愛する。
本実施形態にかかるバッテリーフレーム108Bは、一体に成形され、中空領域502Bを有する。
本実施形態においても、中空領域502Bに樹脂製の衝撃吸収部材300が挿入される。
【0099】
図16は、図15のバッテリーフレーム108Bの一部を取り除き、中空領域502Bに配置された衝撃吸収部材300を示した斜視図である。図16に示すように、複数の樹脂製の衝撃吸収部材300が車両前後方向(X軸方向)に間隔を空けて設けられたバッテリーフレーム108Bにおいても、車両前後方向の位置によって樹脂製の衝撃吸収部材300が存在する位置と存在しない位置がある。すなわち、樹脂製の衝撃吸収部材300が車両前後方向に間欠的に設けられている。このため、車体600とバッテリーフレーム108との取り付けが容易になる。
【0100】
図17は、図15のバッテリーフレーム108Bの一部を取り除き、中空領域502Bに配置された衝撃吸収部材300およびスリーブ1401Bを示した斜視図である。例えば、図17に示すように、バッテリーフレーム108Bにスリーブ1401Bを設けてもよい。図8に示す第1実施形態と同様に、車体600にナット604を設け、ボルト801をスリーブ1401Bに通した状態でナット604に締結することで、バッテリーフレーム108Bを車体600に固定することができる。なお、リベットにより車体600にバッテリーフレーム108Bを取り付けてもよい。
【0101】
図18は、図17のバッテリーフレーム108Bをバッテリートレイ105およびバッテリートップカバー102に取り付けた状態を示す斜視図であり、図19図18のXIX-XIX矢視断面図である。図19に示すように、バッテリーフレーム108Bの下部から内側(バッテリートレイ105側)に向かって突出する突出部121を設け、突出部121の上面にバッテリートレイ105と接合される接合部122を設けてもよい。
【0102】
また、バッテリーフレーム108Bの上面に、バッテリートレイ105のフランジ105Aと接合される接合部123を設けてもよい。この場合、バッテリートレイ105のフランジ105とバッテリートップカバー102のフランジ102Aとを接合してもよい。
【0103】
〔第3実施形態〕
図20は第3実施形態にかかる、バッテリーフレーム108Bとバッテリートレイ105Bとの接合構造、およびバッテリーフレーム108Bとバッテリートップカバー102との接合構造を示す鉛直断面図である。なお、第2実施形態と同様の構成については、同符号を付して説明を割愛する。
【0104】
本実施形態においては、バッテリートレイ105Bが平板状であり、フランジ105Aを有さない点が第2実施形態とは異なる。
【0105】
本実施形態においても、バッテリーフレーム108Bの下部から内側(バッテリートレイ105B側)に向かって突出する突出部121が設けられ、突出部121の上面にバッテリートレイ105Bと接合される接合部122が設けられている。本実施形態においては、バッテリーフレーム108Bとバッテリートレイ105Bとにより、バッテリーを格納する収容部が形成される。
【0106】
本実施形態においては、バッテリーフレーム108Bの上面に接合部123が設けられ、接合部123にバッテリートップカバー102のフランジ102Aが接合される。接合部123にフランジ102Aが接合されることで、バッテリーフレーム108Bとバッテリートレイ105Bとにより形成される収容部が閉じられる。
【符号の説明】
【0107】
101:バッテリーボックス
102:バッテリートップカバー
103:バッテリー
104:温度制御システム(冷却機構)
105:バッテリートレイ
105A:フランジ
106:収容部
107:第一内部壁と第二内部壁によって形成された内部分割壁
108、109、110:バッテリーフレーム
201:従来のアルミ押出を利用した金属バッテリーフレームの衝撃吸収部。
300、310、320:樹脂製の衝撃吸収部材
301、321:スリット
302、322:空隙
311:車両前後方向と垂直な板状の衝撃吸収板
312:車両幅方向と垂直な板状の衝撃吸収板
313:車両上下方向と垂直な板状の衝撃吸収板
330A、330B:成形型
401、1301:樹脂製の衝撃吸収部材
503:第一縦壁
504:第二縦壁
600:車体
601:段付きボルト
602:円筒部
603:ねじ
604:ナット
701:リブ
702:凹部
801:ボルト
901:保護壁
902:締結棒
903:挿入穴
904:挿入台
905:衝撃緩和材
1001:内部分割壁の頂上部
1005:周壁
1006:第一内部壁
1007:第二内部壁
1008:車幅方向へ延在する凹部
1101:第二底面部
1103:第一底面部
1104:金属カバー
1401:スリーブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20