(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178089
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】表示パネル、及び、表示パネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20231207BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20231207BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20231207BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20231207BHJP
H05B 33/22 20060101ALI20231207BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20231207BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
G09F9/30 309
G09F9/30 338
G09F9/00 342
G09F9/30 365
H01L27/32
H05B33/14 A
H05B33/22 Z
H05B33/02
H05B33/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091152
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】514188173
【氏名又は名称】株式会社JOLED
(71)【出願人】
【識別番号】515203228
【氏名又は名称】ティーシーエル チャイナスター オプトエレクトロニクス テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TCL China Star Optoelectronics Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.9-2,Tangming Rd,Guangming New District,Shenzhen,Guangdong,China 518132
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】村井 淳人
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC23
3K107CC35
3K107DD39
3K107DD50
3K107DD90
3K107DD97
3K107EE03
3K107FF15
3K107GG07
3K107GG11
5C094AA38
5C094BA03
5C094BA27
5C094DA07
5C094DA13
5C094DA15
5C094DB01
5C094EA10
5C094FB01
5G435BB05
5G435KK05
(57)【要約】
【課題】表示部への水分の浸入を抑制しつつ、コンタクトホールの直径を低減できる表示パネルなどを提供する。
【解決手段】表示パネル10は、表示部11と周縁領域13とを備え、基板20と、第一導電層70と、第一絶縁膜80と、第二導電層90と、有機材料を含む絶縁膜である有機平坦化膜110と、第三導電層120とを備え、有機平坦化膜110は、表示部11に位置するコンタクトホール110hと、表示部11を囲む環状の遮断端110eとを有し、遮断端110eは、有機平坦化膜110が配置されていない環状の遮断領域110sで囲まれており、遮断端110eにおける有機平坦化膜110の厚さは、コンタクトホール110hにおける有機平坦化膜110の厚さより小さい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と前記表示部の周縁に位置する周縁領域とを備える表示パネルであって、
基板と、
前記基板の上方に配置される第一導電層と、
前記第一導電層の上方に配置される第一絶縁膜と、
前記第一絶縁膜の上方に配置される第二導電層と、
前記第二導電層の上方に配置され、有機材料を含む絶縁膜である有機平坦化膜と、
前記有機平坦化膜の上方に配置される第三導電層とを備え、
前記有機平坦化膜は、
前記表示部に位置し、前記第二導電層と前記第三導電層とを接続する貫通孔であるコンタクトホールと、
前記周縁領域に配置される前記有機平坦化膜のうち前記表示部から連続している連続領域の周縁であって、前記表示部を囲む環状の遮断端とを有し、
前記遮断端は、前記有機平坦化膜が配置されていない環状の遮断領域で囲まれており、
前記遮断端における前記有機平坦化膜の厚さは、前記コンタクトホールにおける前記有機平坦化膜の厚さより小さい
表示パネル。
【請求項2】
前記遮断端の下方において、前記第一導電層及び前記第二導電層が重ねて配置される
請求項1に記載の表示パネル。
【請求項3】
前記遮断領域の全周において、前記第一導電層及び前記第二導電層が重ねて配置される
請求項2に記載の表示パネル。
【請求項4】
前記遮断領域の全周において、前記第一導電層、第一絶縁膜、及び前記第二導電層が重ねて配置される
請求項3に記載の表示パネル。
【請求項5】
前記第一導電層及び前記第二導電層の前記遮断領域に位置する部分は、電気的に接続されて、かつ、グランド電位に維持される
請求項2~4のいずれか1項に記載の表示パネル。
【請求項6】
前記表示部は、複数の薄膜トランジスタを有し、
前記複数の薄膜トランジスタの各々のゲート電極は、前記第一導電層に含まれ、
前記複数の薄膜トランジスタの各々のソース・ドレイン電極は、前記第二導電層に含まれる
請求項1~4のいずれか1項に記載の表示パネル。
【請求項7】
前記有機平坦化膜は、ポジ型の感光性有機材料を含む
請求項1~4のいずれか1項に記載の表示パネル。
【請求項8】
表示部と前記表示部の周縁に位置する周縁領域とを備える表示パネルの製造方法であって、
基板を準備する工程と、
前記基板の上方に第一導電層を形成する工程と、
前記第一導電層の上方に第一絶縁膜を形成する工程と、
前記第一絶縁膜の上方に第二導電層を形成する工程と、
前記第二導電層の上方に、有機材料を含む絶縁膜である有機平坦化膜を形成する工程と、
前記有機平坦化膜をパターニングする工程と、
前記有機平坦化膜の上方に第三導電層を形成する工程とを含み、
前記パターニングする工程は、前記表示部に位置する貫通孔であるコンタクトホールと、前記表示部を囲む環状の遮断端とを形成する工程を含み、
前記遮断端は、前記有機平坦化膜が配置されていない環状の遮断領域で囲まれており、
前記遮断端における前記有機平坦化膜の厚さは、前記コンタクトホールにおける前記有機平坦化膜の厚さより小さい
表示パネルの製造方法。
【請求項9】
前記遮断端の下方において、前記第一導電層及び前記第二導電層が重ねて配置される
請求項8に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項10】
前記遮断領域の全周の下方において、前記第一導電層及び前記第二導電層が重ねて配置される
請求項9に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項11】
前記遮断領域の全周の下方において、前記第一導電層、第一絶縁膜、及び前記第二導電層が重ねて配置される
請求項10に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項12】
前記第一導電層及び前記第二導電層の前記遮断領域に位置する部分は、電気的に接続され、かつ、グランド電位に維持される
請求項8~11のいずれか1項に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項13】
前記表示部は、複数の薄膜トランジスタを有し、
前記複数の薄膜トランジスタの各々のゲート電極は、前記第一導電層に含まれ、
前記複数の薄膜トランジスタの各々のソース・ドレイン電極は、前記第二導電層に含まれる
請求項8~11のいずれか1項に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項14】
前記有機平坦化膜は、ポジ型の感光性有機材料を含む
請求項8~11のいずれか1項に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項15】
前記第三導電層を形成する工程の後に、印刷を用いて発光層を形成する工程をさらに含む
請求項8~11のいずれか1項に記載の表示パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示パネル、及び表示パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置に用いられる表示パネルとして、複数の画素がマトリクス状に配置された有機EL(Electro Luminescence)表示パネルが知られている。有機EL素子等の表示素子は、水分の影響を受けて劣化しやすいため、表示部への水分の浸入を抑制する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された発明では、水分の浸入経路となり得る有機絶縁膜に、表示部の周囲を囲む分離溝を設けることで、表示部への水分の浸入を抑制しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の表示装置の大型化、高精細化、及び高速駆動化に伴い、信号遅延(CR時定数の増大)の問題が顕在化している。この問題を解決するために比誘電率が小さい有機絶縁膜の厚膜化が考えられる。しかしながら、厚膜化に伴い、有機絶縁膜に形成された分離溝において、有機絶縁膜の一部が除去されずに残膜として残りやすくなる。また、有機絶縁膜の厚膜化に伴い、分離溝の底に有機絶縁膜のパターニング時などに発生する残渣が残りやすくなる。このような、残膜、残渣などは、表示部への水分の浸入経路となり得るため、分離溝を形成しても、表示部への水分の浸入を抑制できない場合があり得る。
【0005】
これに対して、例えば、有機絶縁膜がポジ型の感光性有機材料を含む場合、有機絶縁膜のパターニング時における露光量を増大することによって、上述した残膜を低減できる。しかしながら、露光量を増大すると、例えば、パターニング時に表示部に形成されるコンタクトホールの直径が必要以上に大きくなるため、表示パネルの高精細化が妨げられ、かつ、レイアウト効率が低下する。また、印刷法により発光層等を形成する、所謂、印刷OLED(印刷有機EL)の場合、有機絶縁膜の開口径の拡大が印刷膜厚バラつきに直結するため、問題はより深刻となる。なお、コンタクトホールに対応する露光用のマスクの直径を小さくすることも考えられるが、マスクの直径は、露光機の解像度の限界より小さくできない。また、マスクの直径を小さくすることで、コンタクトホールの直径のばらつきが生じやすくなる。
【0006】
本開示は、上記の問題を解決するためになされたものであり、表示部への水分の浸入を抑制しつつ、コンタクトホールの直径を低減できる表示パネルなどを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の一態様に係る表示パネルは、表示部と前記表示部の周縁に位置する周縁領域とを備える表示パネルであって、基板と、前記基板の上方に配置される第一導電層と、前記第一導電層の上方に配置される第一絶縁膜と、前記第一絶縁膜の上方に配置される第二導電層と、前記第二導電層の上方に配置され、有機材料を含む絶縁膜である有機平坦化膜と、前記有機平坦化膜の上方に配置される第三導電層とを備え、前記有機平坦化膜は、前記表示部に位置し、前記第二導電層と前記第三導電層とを接続する貫通孔であるコンタクトホールと、前記周縁領域に配置される前記有機平坦化膜のうち前記表示部から連続している連続領域の周縁であって、前記表示部を囲む環状の遮断端とを有し、前記遮断端は、前記有機平坦化膜が配置されていない環状の遮断領域で囲まれており、前記遮断端における前記有機平坦化膜の厚さは、前記コンタクトホールにおける前記有機平坦化膜の厚さより小さい。
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の一態様に係る表示パネルの製造方法は、表示部と前記表示部の周縁に位置する周縁領域とを備える表示パネルの製造方法であって、基板を準備する工程と、前記基板の上方に第一導電層を形成する工程と、前記第一導電層の上方に第一絶縁膜を形成する工程と、前記第一絶縁膜の上方に第二導電層を形成する工程と、前記第二導電層の上方に、有機材料を含む絶縁膜である有機平坦化膜を形成する工程と、前記有機平坦化膜をパターニングする工程と、前記有機平坦化膜の上方に第三導電層を形成する工程とを含み、前記パターニングする工程は、前記表示部に位置する貫通孔であるコンタクトホールと、前記表示部を囲む環状の遮断端とを形成する工程を含み、前記遮断端は、前記有機平坦化膜が配置されていない環状の遮断領域で囲まれており、前記遮断端における前記有機平坦化膜の厚さは、前記コンタクトホールにおける前記有機平坦化膜の厚さより小さい。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、表示部への水分の浸入を抑制しつつ、コンタクトホールの直径を低減できる表示パネルなどを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態に係る表示パネルの構成を示す模式的な平面図
【
図2】実施の形態に係る表示パネルの構成を示す模式的な断面図
【
図3】実施の形態に係る表示パネルの製造方法の第一工程を示す模式的な断面図
【
図4】実施の形態に係る表示パネルの製造方法の第二工程を示す模式的な断面図
【
図5】実施の形態に係る表示パネルの製造方法の第三工程を示す模式的な断面図
【
図6】実施の形態に係る表示パネルの製造方法の第四工程を示す模式的な断面図
【
図7】実施の形態に係る表示パネルの製造方法の第五工程を示す模式的な断面図
【
図8】実施の形態に係る表示パネルの製造方法の第六工程を示す模式的な断面図
【
図9】実施の形態に係る表示パネルの製造方法の第七工程を示す模式的な断面図
【
図10】実施の形態に係る表示パネルの製造方法の第八工程を示す模式的な断面図
【
図11】実施の形態に係る表示パネルの製造方法の第九工程を示す模式的な断面図
【
図12】実施の形態に係る表示パネルの製造方法の第十工程を示す模式的な断面図
【
図13】実施の形態に係る表示パネルの製造方法の第十一工程を示す模式的な断面図
【
図14】比較例1の表示パネルの構成を示す模式的な断面図
【
図15】実施の形態に係る表示パネルの遮断領域の下方における層構成を示す模式的な断面図
【
図16】比較例2の表示パネルの遮断領域の下方における層構成を示す模式的な断面図
【
図17】実施の形態の変形例1に係る表示パネルの構成を示す模式的な断面図
【
図18】実施の形態に変形例2に係る表示パネルの遮断領域の下方における層構成を示す模式的な断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示における一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、工程、並びに、工程の順序などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示における最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、各図において縮尺などは必ずしも一致していない。なお、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0013】
また、本明細書において、「上方」及び「下方」という用語は、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)及び下方向(鉛直下方)を指すものではなく、積層構成における積層順を基に相対的な位置関係により規定される用語として用いる。また、「上方」及び「下方」という用語は、2つの構成要素が互いに間隔をあけて配置されて2つの構成要素の間に別の構成要素が存在する場合のみならず、2つの構成要素が互いに接する状態で配置される場合にも適用される。
【0014】
(実施の形態)
実施の形態に係る表示パネル及びその製造方法について説明する。
【0015】
[1.表示パネルの構成]
本実施の形態に係る表示パネルの構成について
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は、本実施の形態に係る表示パネル10の構成を示す模式的な平面図である。
図2は、本実施の形態に係る表示パネル10の構成を示す模式的な断面図である。
図2には、
図1に示されるII-II線における断面が示されている。
【0016】
図1に示される表示パネル10は、複数の画素12を有する表示部11と、表示部11の周縁に位置する周縁領域13とを備える。表示部11は、信号配線17と、電源配線18とを有する。
【0017】
表示部11は、表示パネル10において画像が表示される部分である。表示部11には、複数の画素12がマトリクス状に配置されている。
【0018】
周縁領域13は、表示部11の周縁に位置する領域である。周縁領域13は、引き出し配線14と、遮断領域110sと、シール形成部180とを有する。
【0019】
複数の画素12は、表示部11に画像を表示するために用いられる。複数の画素12の各々は、
図2に示されるように、一つ以上の薄膜トランジスタ15を有する。一つ以上の薄膜トランジスタ15によって画素回路が形成される。本実施の形態では、複数の画素12の各々は、EL素子16と、保持容量19とをさらに備える。
【0020】
EL素子16は、画素12が備える発光素子である。本実施の形態では、EL素子16は、有機EL素子である。
【0021】
保持容量19は、画素12に供給される画素値に対応する電荷を保持する素子である。
【0022】
図1に示される信号配線17は、複数の画素12の各々に信号を送信するための配線である。本実施の形態では、複数の信号配線17が、表示部11において、複数の画素12の行方向(つまり、
図1の横方向)に延在する。複数の信号配線17の各々が、各行に配置される画素12に信号を送信する。なお、図面が煩雑となることを回避するために図示しないが、複数の信号配線17は、表示部11において、複数の画素12の列方向(つまり、
図1の縦方向)にも延在してもよい。
【0023】
電源配線18は、複数の画素12の各々に電圧を供給するための配線である。本実施の形態では、複数の電源配線18が、表示部11において、複数の画素12の列方向に延在する。複数の電源配線18の各々が、各列に配置される画素12に電圧を供給する。なお、図面が煩雑となることを回避するために図示しないが、複数の電源配線18は、表示部11において、複数の画素12の行方向にも延在してもよい。
【0024】
引き出し配線14は、周縁領域13に配置され、信号配線17及び電源配線18の各々に接続される配線である。複数の引き出し配線14が、それぞれ、複数の信号配線17に接続される。また、他の複数の引き出し配線14が、それぞれ、複数の電源配線18に接続される。
【0025】
遮断領域110sは、表示部11の外部から表示部11へ浸入する水分を遮断するための領域である。遮断領域110sの詳細構成については、後述する。
【0026】
シール形成部180は、表示パネル10の内部を密封するための部分であり、表示パネルの周縁を囲む。シール形成部180の詳細構成については、後述する。
【0027】
続いて、表示パネル10の積層構造について、
図2を用いて説明する。
図2に示されるように、表示パネル10は、基板20と、下部導電層30と、下部絶縁膜40と、半導体層50と、ゲート絶縁膜60と、第一導電層70と、第一絶縁膜80と、第二導電層90と、第二絶縁膜100と、有機平坦化膜110と、第三導電層120と、素子分離膜130と、発光層140と、第四導電層150と、EL保護膜160と、封止樹脂170と、シール形成部180と、光学フィルタ190と、対向基板200とを備える。
【0028】
基板20は、表示パネル10の回路基板の基台となる絶縁性の板状部材である。
【0029】
下部導電層30は、基板20の上方に配置される導電層である。下部導電層30として、任意の導電膜を用いることができる。本実施の形態では、下部導電層30として、MoW膜を用いる。下部導電層30は、
図2に示されるように所定の形状にパターニングされている。
【0030】
下部絶縁膜40は、下部導電層30の上方に配置される絶縁膜である。下部絶縁膜40は、下部導電層30を覆う。下部絶縁膜40として、例えば、SiNx膜及びSiO2膜を含む積層膜を用いることができる。
【0031】
半導体層50は、下部絶縁膜40の上方に配置される半導体層である。本実施の形態では、半導体層50は、酸化物半導体を含む。半導体層50は、例えば、In、Ga、Zn、Sn、Ti、及びNbのうちの少なくとも1種の元素の酸化物を主成分として含む酸化物半導体から構成されている。半導体層50として、例えば、ITZO(酸化インジウムスズ亜鉛)、IGZO(InGaZnO)、ZnO、IZO(酸化インジウム亜鉛)、IGO(酸化インジウムガリウム)、ITO(酸化インジウムスズ)、InOなどを用いることができる。
【0032】
半導体層50には、低抵抗領域が形成されている。低抵抗領域は、例えば、半導体層50上に配置されるゲート絶縁膜60をドライエッチングによって除去する際に、プラズマダメージにより形成された領域であり、実質的に導体として機能する。
【0033】
ゲート絶縁膜60は、半導体層50の上方に配置される絶縁膜である。ゲート絶縁膜60として、例えば、SiO2膜を用いることができる。本実施の形態では、ゲート絶縁膜60は、第一導電層70と同一の形状にパターニングされている。言い換えると、ゲート絶縁膜60の平面視における輪郭が、第一導電層70の平面視における輪郭と同一となる。なお、ここで、同一の形状、又は、同一の輪郭との記載が意味する状態は、形状、又は輪郭が完全に一致する状態だけに限定されず、実質的に一致する状態も含む。同一の形状、又は、同一の輪郭との記載が意味する状態は、例えば、ゲート絶縁膜60の輪郭と、第一導電層70の輪郭のずれの大きさが、第一導電層70の寸法の5%以下である状態も含む。
【0034】
第一導電層70は、基板20の上方に配置される導電層である。本実施の形態では、第一導電層は、ゲート絶縁膜60の上方に配置される。第一導電層70として、例えば、任意の導電膜を用いることができる。本実施の形態では、第一導電層70として、Ti膜、Al膜、及びTi膜からなる積層膜を用いる。
【0035】
第一絶縁膜80は、第一導電層70の上方に配置される絶縁膜である。第一絶縁膜80として、例えば、SiO2膜を用いることができる。第一絶縁膜80として、例えば、SiNx膜、SiON膜、Al2O3膜などの無機絶縁膜、感光性を有するポリイミド、アクリル樹脂などの有機絶縁膜、又は、これらの積層膜を用いてもよい。
【0036】
第二導電層90は、第一絶縁膜80の上方に配置される導電層である。第二導電層90として、例えば、任意の導電膜を用いることができる。第二導電層90として、第一導電層70と同じ構成の導電膜を用いてもよい。本実施の形態では、第二導電層90として、Ti膜、Al膜、及びTi膜からなる積層膜を用いる。
【0037】
薄膜トランジスタ15は、半導体層50、第一導電層70、及び、第二導電層90の各々の一部を含む。薄膜トランジスタ15のゲート電極は、第一導電層70に含まれる。また、薄膜トランジスタ15のソース・ドレイン電極は、第二導電層90に含まれる。薄膜トランジスタ15は、シールド電極として下部導電層30の一部をさらに有してもよい。
【0038】
保持容量19は、下部導電層30の一部と、第二導電層90の一部とを有する。本実施の形態では、下部導電層30の一部と、第二導電層90の一部との間に、下部絶縁膜40と、第一絶縁膜80とが配置される。
【0039】
第二絶縁膜100は、第二導電層90の上方に配置される絶縁膜である。第二絶縁膜100として、例えば、SiO2膜を用いることができる。第二絶縁膜100として、例えば、SiNx膜、SiON膜、Al2O3膜などの無機絶縁膜、又は、これらの積層膜を用いてもよい。
【0040】
有機平坦化膜110は、第二導電層90の上方に配置され、有機材料を含む絶縁膜である。本実施の形態では、有機平坦化膜110は、第二絶縁膜100の上方に配置される。有機平坦化膜110は、表示部11に位置し、第二導電層90と第三導電層120とを接続する貫通孔であるコンタクトホール110hを有する。また、有機平坦化膜110は、周縁領域13に配置される有機平坦化膜110のうち表示部11から連続している連続領域110cの周縁であって、表示部11を囲む(有機平坦化膜110の平面視において)環状の遮断端110eを有する。遮断端110eは、有機平坦化膜110が配置されていない環状の遮断領域110sで囲まれている。遮断端110eにおける有機平坦化膜110の厚さt2は、コンタクトホール110hにおける有機平坦化膜110の厚さt1より小さい。ここで、
図2に示される例のように、遮断端110e近傍において、有機平坦化膜110の側面が傾斜している場合には、有機平坦化膜110の厚さt2は、遮断端110eの下端から有機平坦化膜110の平坦な上面までの厚さ方向における寸法で定義される。また同様に、有機平坦化膜110の厚さt1は、コンタクトホール110hの下端から有機平坦化膜110の平坦な上面までの厚さ方向における寸法で定義される。
【0041】
有機平坦化膜110の遮断端110eの下方、つまり、遮断領域110sには、第一導電層70と第二導電層90とが重ねて配置される。本実施の形態では、遮断領域110sの全周において、第一導電層及び第二導電層が重ねて配置される。有機平坦化膜110の遮断端110eの下方には、下部導電層30と、下部絶縁膜40と、ゲート絶縁膜60と、第一絶縁膜80と、及び第二絶縁膜100とが、さらに重ねて配置される。
【0042】
有機平坦化膜110として、例えば、ポリイミド樹脂,ノボラック樹脂,エポキシ樹脂、アクリル樹脂などのポジ型の感光性有機材料を用いることができる。
【0043】
第三導電層120は、有機平坦化膜110の上方に配置される導電層である。第三導電層120は、EL素子16のアノード電極として機能する。第三導電層120として、例えば、任意の導電膜を用いることができる。本実施の形態では、第三導電層120として、AlNd膜などが用いられる。第三導電層120として、例えばAl、Cr、Au、Pt、Ni、Cu、W、Agなどの金属元素の単体又は合金を含む導電膜を用いてもよい。また、第三導電層120は、これらの金属元素の単体又は合金を含む導電膜と、光透過性を有する透明導電膜との積層膜を含んでいてもよい。透明導電膜としては、例えばITO(酸化インジウム錫)、IZO(酸化インジウム亜鉛)、酸化亜鉛(ZnO)系材料等が挙げられる。酸化亜鉛系材料としては、例えば、Alを添加した酸化亜鉛(AZO)、Gaを添加した酸化亜鉛(GZO)などが挙げられる。
【0044】
素子分離膜130は、第三導電層120の上方に配置される絶縁膜である。素子分離膜130は、第三導電層120に含まれる隣り合う二つの領域の間に配置され、隣り合うEL素子16を分離する機能を有する。素子分離膜130には、各EL素子16に対応する複数の開口が形成されており、複数の開口の各々に、第三導電層120及び発光層140が配置される。当該素子分離膜130は、発光層140がウェットプロセスを用いて形成される場合には、隔壁として機能する。
【0045】
素子分離膜130として、例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂、フッ素系ポリマー、シリコン系ポリマー、ノボラック系樹脂、エポキシ系樹脂、ノルボルネン系樹脂などの感光性樹脂を用いることができる。また、素子分離膜130として、これらの樹脂材料に顔料を分散させたものが用いられてもよい。また、素子分離膜130として、例えばSiO2、SiONなどの無機材料が用いられてもよい。
【0046】
発光層140は、第三導電層120の上方に配置されるEL層である。発光層140は、素子分離膜130の複数の開口の各々に配置される。発光層140は、第三導電層120、及び第四導電層150とともに、EL素子16を構成する。本実施の形態では、発光層140として、有機EL層が用いられる。
【0047】
第四導電層150は、発光層140の上方に配置される導電層である。第四導電層150は、表示部11の全面にわたって配置され、EL素子16のカソード電極として機能する。第四導電層150として、例えば、透明導電膜を用いることができる。透明導電膜としては、例えばITO、IZO、酸化亜鉛系材料等が挙げられる。酸化亜鉛系材料としては、例えば、Alを添加した酸化亜鉛、Gaを添加した酸化亜鉛などが挙げられる。また、第四導電層150として、例えば、MgAg合金が用いられてもよい。
【0048】
EL保護膜160は、第四導電層150の上方に配置される絶縁膜である。EL保護膜160は、第四導電層150を覆う。EL保護膜160は、発光層140などへの水分の浸入を抑制することで、発光層140の発光効率などに代表される特性の変化を抑制する保護膜として機能する。EL保護膜160として、例えば、SiNx膜を用いることができる。
【0049】
封止樹脂170は、EL保護膜160の上方に配置される樹脂膜である。封止樹脂170は、EL保護膜160と、対向基板200(光学フィルタ190)とを接着する。封止樹脂170は、EL素子16を封止する機能も有する。封止樹脂170として、例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂、フッ素系ポリマー、シリコン系ポリマー、ノボラック系樹脂、エポキシ系樹脂、ノルボルネン系樹脂などを用いることができる。また、封止樹脂170として、これらの樹脂材料に顔料を分散させたものが用いられてもよい。
【0050】
シール形成部180は、上述したとおり、表示パネル10の内部を密封するための部分である。本実施の形態では、シール形成部180は、光学フィルタ190と、EL保護膜160との間のうち、光学フィルタ190の周縁に沿って配置され、これらの間を密封する。シール形成部180に用いる材料として、封止樹脂170と同様の樹脂材料を用いることができる。
【0051】
光学フィルタ190は、EL素子16の上方に配置されるフィルタである。光学フィルタ190の構成は、特に限定されない。光学フィルタ190は、例えば、カラーフィルタ、偏光フィルタなどを含んでもよい。
【0052】
カラーフィルタは、例えば、赤色フィルタ,緑色フィルタ、及び青色フィルタを含んでいる。カラーフィルタは、例えば、対向基板200の一方の主面(つまり、封止樹脂170に対向する主面)に配置される。赤色用の画素12のEL素子16に対向する領域に赤色フィルタが、緑色用の画素12のEL素子16に対向する領域に緑色フィルタが、青色用の画素12のEL素子16に対向する領域に青色フィルタが、それぞれ配置されている。赤色フィルタ,緑色フィルタ、及び青色フィルタは、例えば、顔料を混入した樹脂によりそれぞれ構成されている。上記の赤色フィルタ,緑色フィルタ、及び青色フィルタの間の領域(画素12間の領域)にブラックマトリクス層(BM)が配置されてもよい。ブラックマトリクス層は、例えば黒色の着色剤を混入した樹脂膜、又は薄膜の干渉を利用した薄膜フィルタを含む。薄膜フィルタは、例えば、金属,金属窒化物、又は金属酸化物を含む薄膜を1層以上積層し、薄膜の干渉を利用して光を減衰させる。薄膜フィルタとしては、具体的には、CrとCr2O3とを交互に積層した積層フィルタが挙げられる。
【0053】
対向基板200は、基板20に対向して配置される透光性部材であり、封止樹脂170の上方に配置される。対向基板200は、封止樹脂170などとともに、EL素子16を封止する機能を有する。対向基板200として、例えば、EL素子16で発生した光に対して透明なガラス、プラスチックなどの材料を含む。
【0054】
[2.表示パネルの製造方法]
本実施の形態に係る表示パネル10の製造方法について
図2~
図13を用いて説明する。
図3~
図13は、本実施の形態に係る表示パネル10の製造方法の各工程を示す模式的な断面図である。
図3~
図13には、
図2と同様の位置における断面が示されている。
【0055】
まず、
図3に示されるように、絶縁性の基板20を準備する。続いて、基板20の上方に下部導電層30を形成する。本実施の形態では、スパッタ法を用いて、膜厚50nmのMoW膜を基板20上に成膜し、フォトリソグラフィ法、及び、CF系又はSF系のガスを用いたドライエッチングによりパターニングする。
【0056】
続いて、下部導電層30の上方に下部絶縁膜40を形成する。本実施の形態では、基板20上、及び下部導電層30上に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて、膜厚100nmのSiNx膜、及び膜厚200nmのSiO2膜をこの順に成膜する。
【0057】
続いて、下部絶縁膜40の上方に半導体層50を形成する。本実施の形態では、In、Ga、及びZnを含む膜厚30nmの酸化物半導体膜をスパッタ法により成膜し、フォトリソグラフィ法により、所定の形状にパターニングする。この時、酸化物半導体膜のキャリア濃度調整などの目的で、適宜酸素を含む雰囲気などでアニール処理を行ってもよい。
【0058】
続いて、
図4に示されるように、半導体層50の上方にゲート絶縁膜60を形成する。本実施の形態では、下部絶縁膜40上、及び半導体層50上に、CVD法により、膜厚150nmのSiO
2膜を成膜する。
【0059】
続いて、下部導電層30に第一導電層70を接続するためのコンタクトホール61hを、ゲート絶縁膜60、及び下部絶縁膜40に形成する。本実施の形態では、フォトリソグラフィ法、及び、CF系のガスを用いたドライエッチングにより、ゲート絶縁膜60、及び下部絶縁膜40を貫通するコンタクトホール61hを形成する。
【0060】
続いて、
図5に示されるように、ゲート絶縁膜60の上方に第一導電層70を形成する。本実施の形態では、ゲート絶縁膜60上、及びコンタクトホール61hの内部に、スパッタ法により、導電膜として、膜厚50nmのTi膜、膜厚300nmのAl膜、及び、膜厚50nmのTi膜をこの順に成膜する。続いて、フォトリソグラフィ法、及びCl系のガスを用いたドライエッチングにより、第一導電層70を所定の形状にパターニングする。本実施の形態では、第一導電層70は、遮断領域110sに配置される。
【0061】
続いて、ゲート絶縁膜60をパターニングする。本実施の形態では、第一導電層70をマスクとしてゲート絶縁膜60をドライエッチングによってパターニングする。ドライエッチングにおいては、例えば、CF系ガスを用いることができる。これにより、ゲート絶縁膜60は、第一導電層70と同一の形状にパターニングされる。
【0062】
また、ゲート絶縁膜60をドライエッチングによって除去し、半導体層50を露出させることで、露出した領域の半導体層50を、ドライエッチングのプラズマダメージにより低抵抗化することができる。これにより、半導体層50に低抵抗領域51を形成できる。なお、半導体層50のうちプラズマダメージを受けない領域は、低抵抗化されない。
【0063】
続いて、
図6に示されるように、第一導電層70の上方に第一絶縁膜80を形成する。本実施の形態では、第一導電層70上、半導体層50上、及び下部絶縁膜40上に、CVD法により膜厚500nmのSiO
2膜を成膜する。
【0064】
続いて、第一絶縁膜80をパターニングする。本実施の形態では、フォトリソグラフィ法、及び、CF系のガスを用いたドライエッチングにより、第一絶縁膜80にコンタクトホール81h及び82hを形成する。コンタクトホール81hは、半導体層50の低抵抗領域51(
図5参照)に、第二導電層90を接続するための貫通孔である。コンタクトホール82hは、周縁領域13に配置される貫通孔である。
【0065】
続いて、
図7に示されるように、第一絶縁膜80の上方に第二導電層90を形成する。本実施の形態では、第一絶縁膜80上、及びコンタクトホール81hの内部に、スパッタ法により、導電膜として、膜厚50nmのTi膜、膜厚300nmのAl膜、及び、膜厚50nmのTi膜をこの順に成膜する。続いて、フォトリソグラフィ法、及びCl系のガスを用いたドライエッチングにより、第二導電層90を所定の形状にパターニングする。本実施の形態では、第二導電層90は、遮断領域110sに配置される。
【0066】
続いて、
図8に示されるように、第二導電層90の上方に第二絶縁膜100を形成する。本実施の形態では、第二導電層90上、及び第一絶縁膜80上に、CVD法により膜厚500nmのSiO
2膜を成膜する。
【0067】
続いて、第二絶縁膜100をパターニングする。本実施の形態では、フォトリソグラフィ法、及び、CF系のガスを用いたドライエッチングにより、第二絶縁膜100にコンタクトホール101h及び102hを形成する。コンタクトホール101hは、第二導電層90に、第三導電層120を接続するための貫通孔である。コンタクトホール102hは、周縁領域13に配置される貫通孔である。
【0068】
続いて、
図9に示されるように、第二導電層90上に、有機平坦化膜110を形成する。本実施の形態では、第二絶縁膜100の上方に、ポリイミド樹脂,ノボラック樹脂,エポキシ樹脂、アクリル樹脂などのポジ型の感光性有機材料を塗布する。有機平坦化膜110は、塗布した時点では、ほぼ平坦な上面を有する。ここで、遮断領域110sには、第一導電層70、第二導電層90などが重ねて配置されていることで、遮断領域110sにおいて第二絶縁膜100の上面が上方に向かって突出している。このため、遮断領域110sに塗布される有機平坦化膜110は、他の領域より薄い。
【0069】
続いて、
図10に示されるように、有機平坦化膜110をパターニングする。具体的には、露光、現像、及び焼成の工程により、有機平坦化膜110をパターニングする。これにより、コンタクトホール110h、及び遮断領域110sが形成される。この工程において、露光量は、コンタクトホール110hの形成のために最適化されている。これにより、所望の直径のコンタクトホール110hを精度よく形成できる。ここで、遮断端110eにおける有機平坦化膜110の厚さt2は、コンタクトホール110hにおける有機平坦化膜110の厚さt1より小さい。このため、コンタクトホール110hの形成のために最適化された露光量で露光することによって、遮断領域110sの有機平坦化膜110を確実に除去できる。したがって、遮断領域110sに除去されずに残る残膜の発生を抑制できる。これにより、残膜を介して遮断領域110sの外部から連続領域110cへ水分が浸入することを抑制できる。
【0070】
続いて、
図11に示されるように、有機平坦化膜110の上方に第三導電層120を形成する。本実施の形態では、有機平坦化膜110上、及びコンタクトホール110hの内部に、スパッタ法により、導電膜として、膜厚200nmのAlNd膜を成膜する。続いて、フォトリソグラフィ法、及びリン酸-酢酸-硝酸系のエッチャントを用いたエッチングにより、第三導電層120を所定の形状にパターニングする。
【0071】
続いて、第三導電層120の上方に、素子分離膜130を形成する。本実施の形態では、例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂、フッ素系ポリマー、シリコン系ポリマー、ノボラック系樹脂、エポキシ系樹脂、ノルボルネン系樹脂などの感光性樹脂膜を成膜後、露光、及び現像することで、素子分離膜130を形成する。
【0072】
続いて、
図12に示されるように、第三導電層120の上方に、発光層140を形成する。本実施の形態では、発光層140として、有機EL層などを、印刷を用いて形成する。
【0073】
続いて、
図13に示されるように、発光層140の上方に第四導電層150を形成する。本実施の形態では、表示部11の全面にわたって、スパッタ法により、第四導電層150として、ITO、IZOなどの透明導電膜を形成する。第四導電層150の膜厚は、特に限定されず、導電性、及び光透過性を考慮して適宜設定される。
【0074】
続いて、第四導電層150の上方に、EL保護膜160を形成する。本実施の形態では、EL保護膜160として、第四導電層150上、有機平坦化膜110上、遮断領域110s上、及び第二絶縁膜100上に、SiNx膜を形成する。
【0075】
続いて、
図2に示されるように、封止樹脂170、及びシール形成部180を形成する。本実施の形態では、封止樹脂170、及びシール形成部180として、例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂、フッ素系ポリマー、シリコン系ポリマー、ノボラック系樹脂、エポキシ系樹脂、ノルボルネン系樹脂などをEL保護膜160上に塗布する。
【0076】
続いて、光学フィルタ190が配置された対向基板200を、封止樹脂170、及びシール形成部180上に貼り合わせる。
【0077】
以上のように、本実施の形態に係る表示パネル10を製造できる。
【0078】
[3.効果]
本実施の形態に係る表示パネル10及びその製造方法の効果について、比較例と比較しながら、
図14を用いて説明する。
図14は、比較例1の表示パネル1010の構成を示す模式的な断面図である。
【0079】
図14に示される比較例1の表示パネル1010は、主に、有機平坦化膜1110、第一導電層1070、及び第二導電層1090の構成において、本実施の形態に係る表示パネル10と相違する。
【0080】
比較例1の有機平坦化膜1110は、本実施の形態に係る有機平坦化膜110と同様に、コンタクトホール1110h、連続領域1110c、及び遮断端1110eを有する。また、表示パネル1010は、遮断端1110eを囲む遮断領域1110sを有する。
【0081】
比較例1の表示パネル1010では、遮断端1110eの下方に、第一導電層1070、及び第二導電層1090が配置されていない。このため、遮断端1110eにおける有機平坦化膜1110の厚さt2が、コンタクトホール1110hにおける有機平坦化膜1110の厚さt1より大きい。
【0082】
例えば、コンタクトホール1110hを、露光を用いて形成する際に、コンタクトホール1110hの形成のために最適化した露光量で露光する場合、この露光量は、コンタクトホール1110hにおける有機平坦化膜1110より、厚さが大きい遮断領域1110sの有機平坦化膜1110の露光には、不十分な露光量となる。このため、遮断領域1110sに除去されずに残る残膜が発生し得る。このため、この残膜を介して、遮断領域1110sの外部から連続領域1110cへ水分が浸入し得る。
【0083】
一方、露光量を増大すると、コンタクトホール1110hの直径が必要以上に大きくなるため、表示パネル1010の高精細化が妨げられ、かつ、レイアウト効率が低下する。
【0084】
これに対して、本実施の形態に係る表示パネル10においては、有機平坦化膜110の遮断端110eにおける有機平坦化膜110の厚さt2は、コンタクトホール110hにおける有機平坦化膜110の厚さt1より小さい。
【0085】
これにより、有機平坦化膜110を露光によってパターニングする際に、コンタクトホール110hの形成のために最適化した露光量で露光することによって、所望の直径を有するコンタクトホール110hを形成でき、かつ、遮断領域110sにおける有機平坦化膜110を確実に除去することができる。したがって、表示部11への水分の浸入を抑制できる。
【0086】
また、本実施の形態では、遮断端110eの下方において、第一導電層70及び第二導電層90が重ねて配置される。ここで、第一導電層70及び第二導電層90は、それぞれ、表示部11において、薄膜トランジスタ15のゲート電極及びソース・ドレイン電極として用いられる導電層であるため、コンタクトホール110hにおいて、これらの導電層が重ねて配置されることはない。このため、遮断領域110sにおける第二導電層90までの高さを、コンタクトホール110hが形成される領域における第二導電層90までの高さより、高くすることができる。したがって、遮断領域110sにおける有機平坦化膜110の厚さを小さくできる。しかも、この構成によれば、特に、追加的な工程などを要することなく、遮断領域110sにおける有機平坦化膜110の厚さを小さくできる。本実施の形態では、遮断端110eの下方において、ゲート絶縁膜60、第一導電層70、第一絶縁膜80、及び第二導電層90が重ねて配置される。これにより、遮断領域110sにおける第二導電層90までの高さを、より一層高くすることができる。
【0087】
また、本実施の形態では、遮断領域110sの全周において、第一導電層70及び第二導電層90が重ねて配置される。つまり、
図1に示される環状の遮断領域110sのどの部分においても、第一導電層70及び第二導電層90が重ねて配置される。この構成の効果について、比較例と比較しながら、
図15及び
図16を用いて説明する。
図15は、本実施の形態に係る表示パネル10の遮断領域110sの下方における層構成を示す模式的な断面図である。
図16は、比較例2の表示パネルの遮断領域の下方における層構成を示す模式的な断面図である。
図15及び
図16の横方向が、遮断領域の周方向を示す。なお、
図15、及び
図16に示される例では、下部導電層30が、引き出し配線14として、遮断領域110sを横切って配置されている。
【0088】
図16に示されるように、比較例2の表示パネルにおいては、遮断領域の一部の領域において、第一導電層70及び第二導電層90が配置されていない。このため、第一導電層70及び第二導電層90が配置されている領域と、配置されていない領域との境界において、大きい段差が生じる。このため、この段差部に、有機平坦化膜110の形成時に残渣などが残りやすい。このため、この残渣を介して、遮断領域の外部から内部へ水分が浸入し得る。
【0089】
一方、
図15に示されるように本実施の形態に係る表示パネル10では、遮断領域110sの全周にわたって、第一導電層70及び第二導電層90が重ねて配置されている。これにより、最上層の第二絶縁膜100の上面の段差を抑制できる。したがって、有機平坦化膜110の形成時に残渣が残ることを抑制できる。このため、遮断領域110sの外部から内部へ水分が浸入することを抑制できる。
【0090】
本実施の形態では、遮断領域110sの全周において、ゲート絶縁膜60、第一導電層70、第一絶縁膜80、第二導電層90、及び第二絶縁膜100が重ねて配置される。これにより、第二絶縁膜100の上面の段差を抑制しつつ、遮断領域110sにおける第二導電層90までの高さを、より一層高くすることができる。
【0091】
また、本実施の形態に係る表示パネル10の製造方法においては、第三導電層120を形成する工程の後に、印刷を用いて発光層140を形成する工程をさらに含む。
【0092】
このように、印刷を用いて発光層140を形成する場合、有機平坦化膜110のコンタクトホール110hが拡大すると、印刷膜厚のバラつきが増大し得る。しかしながら、本実施の形態では、上述のとおり、所望の直径を有するコンタクトホール110hを形成できるため、印刷膜厚のバラつきを抑制できる。
【0093】
[4.変形例1]
本実施の形態に係る表示パネル及びその製造方法の変形例1について、
図17を用いて説明する。
図17は、本変形例に係る表示パネル10aの構成を示す模式的な断面図である。
図17には、
図2と同様の位置における断面が示されている。
【0094】
図17に示されるように、本変形例に係る表示パネル10aにおいては、遮断領域110sの外側に、有機平坦化膜110が配置されない。
【0095】
このような構成を有する本変形例に係る表示パネル10aも、実施の形態に係る表示パネル10と同様に製造することができ、かつ、同様の効果を奏する。
【0096】
[5.変形例2]
本実施の形態に係る表示パネル及びその製造方法の変形例2について、
図18を用いて説明する。
図18は、本変形例に係る表示パネルの遮断領域の下方における層構成を示す模式的な断面図である。
図18の横方向が、遮断領域の周方向を示す。
【0097】
遮断領域に配置される各導電層は、有機平坦化膜110までの高さを得るために使用され、信号、電力などを供給するためには使用されなくてもよい。このため、各導電層がフローティングの状態となり得る。この場合、各導電層が、ノイズを受信(及び発信)するアンテナとして機能する場合がある。このように各導電層の周囲で電界が集中することに起因して、各導電層に隣接する絶縁膜が絶縁破壊することがあり得る。そこで、本変形例では、
図18に示されるように遮断領域に、第四導電層150が配置され、第一導電層70及び第二導電層90の遮断領域110sに位置する部分は、第一絶縁膜80に形成されたコンタクトホールなどを介して、電気的に接続されている。さらに、第一導電層70及び第二導電層90の遮断領域110sに位置する部分は、第二絶縁膜100に形成されたコンタクトホールなどを介して、第四導電層150と電気的に接続されている。ここで、第四導電層150は、例えば、グランド電位に維持されている。これにより、各導電層をグランド電位に維持することができる。したがって、各導電層がノイズを受信するアンテナとして機能するによって発生する各絶縁膜の絶縁破壊を抑制できる。
【0098】
(その他の実施の形態)
以上、本開示に係る表示パネルなどについて、実施の形態に基づいて説明したが、本開示に係る表示パネルなどは、上記実施の形態に限定されるものではない。実施の形態に対して本開示の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本開示は、特に、有機EL素子を用いる表示パネルを備える表示装置などに有用である。
【符号の説明】
【0100】
10、10a、1010 表示パネル
11 表示部
12 画素
13 周縁領域
14 引き出し配線
15 薄膜トランジスタ
16 EL素子
17 信号配線
18 電源配線
19 保持容量
20 基板
30 下部導電層
40 下部絶縁膜
50 半導体層
51 低抵抗領域
60 ゲート絶縁膜
61h、81h、82h、101h、102h、110h、1110h コンタクトホール
70、1070 第一導電層
80 第一絶縁膜
90、1090 第二導電層
100 第二絶縁膜
110、1110 有機平坦化膜
110c、1110c 連続領域
110e、1110e 遮断端
110s、1110s 遮断領域
120 第三導電層
130 素子分離膜
140 発光層
150 第四導電層
160 EL保護膜
170 封止樹脂
180 シール形成部
190 光学フィルタ
200 対向基板