(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178097
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】表示パネル、及び、表示パネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20231207BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20231207BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20231207BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20231207BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20231207BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20231207BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20231207BHJP
【FI】
G09F9/30 338
G09F9/00 342
H01L29/78 618B
H01L29/78 623A
H01L27/04 H
H01L29/78 612Z
H01L27/32
H05B33/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091163
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】514188173
【氏名又は名称】株式会社JOLED
(71)【出願人】
【識別番号】515203228
【氏名又は名称】ティーシーエル チャイナスター オプトエレクトロニクス テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TCL China Star Optoelectronics Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.9-2,Tangming Rd,Guangming New District,Shenzhen,Guangdong,China 518132
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】村井 淳人
(72)【発明者】
【氏名】林 宏
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5F038
5F110
5G435
【Fターム(参考)】
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5F110NN71
5G435AA16
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5G435KK05
(57)【要約】
【課題】製造工程中の絶縁破壊を抑制できる表示パネルなどを提供する。
【解決手段】表示パネル10は、複数の画素12を有する表示部11と、保護素子15とを備え、絶縁性の基板20と、下部金属層30と、下部金属層30の上方に配置される第一層間絶縁膜40と、第一層間絶縁膜40の上方に配置される半導体層50と、半導体層50の上方に配置されるゲート絶縁膜60と、ゲート絶縁膜60の上方に配置されるゲート金属層70と、ゲート金属層70の上方に配置される第二層間絶縁膜80と、第二層間絶縁膜80の上方に配置されるソース・ドレイン金属層90とを備え、複数の画素12の各々は、半導体層50、ゲート金属層70、及び、ソース・ドレイン金属層90の各々の一部を含む薄膜トランジスタ19を有し、保護素子15は、下部金属層30、半導体層50、及び、ゲート金属層70の各々の他の一部を含む薄膜トランジスタ型ダイオードを有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を有する表示部と、保護素子とを備える表示パネルであって、
絶縁性の基板と、
前記基板の上方に配置される下部金属層と、
前記下部金属層の上方に配置される第一層間絶縁膜と、
前記第一層間絶縁膜の上方に配置される半導体層と、
前記半導体層の上方に配置されるゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜の上方に配置されるゲート金属層と、
前記ゲート金属層の上方に配置される第二層間絶縁膜と、
前記第二層間絶縁膜の上方に配置されるソース・ドレイン金属層とを備え、
前記複数の画素の各々は、前記半導体層、前記ゲート金属層、及び、前記ソース・ドレイン金属層の各々の一部を含む薄膜トランジスタを有し、
前記保護素子は、前記下部金属層、前記半導体層、及び、前記ゲート金属層の各々の他の一部を含む薄膜トランジスタ型ダイオードを有する
表示パネル。
【請求項2】
前記下部金属層は、
第一下部電極と、
前記第一層間絶縁膜を介して前記第一下部電極と隣り合う位置に配置される第二下部電極とを有し、
前記ゲート金属層は、第一ゲート電極、第二ゲート電極、及び第三ゲート電極を有し、
前記第二ゲート電極は、前記第一ゲート電極、及び前記第三ゲート電極の各々と、前記第二層間絶縁膜を介して隣り合う位置に配置され、
前記第一下部電極は、前記第一ゲート電極、及び前記第二ゲート電極の各々に接続され、
前記第二下部電極は、前記第三ゲート電極に接続される
請求項1に記載の表示パネル。
【請求項3】
前記第一ゲート電極は、前記第一下部電極と対向する位置に配置される第一ゲート領域を有し、
前記第二ゲート電極は、前記第一下部電極と対向する位置に配置される第二ゲート領域を有し、
前記第三ゲート電極は、前記第二下部電極と対向する位置に配置される第三ゲート領域を有する
請求項2に記載の表示パネル。
【請求項4】
前記第一ゲート電極は、前記第一ゲート領域において、前記第一下部電極、及び前記半導体層に接続され、
前記第二ゲート電極は、前記第二ゲート領域において、前記第一下部電極、及び前記半導体層に接続され、
前記第三ゲート電極は、前記第三ゲート領域において、前記第二下部電極、及び前記半導体層に接続される
請求項3に記載の表示パネル。
【請求項5】
前記半導体層は、
前記第一ゲート電極の前記第一ゲート領域と前記第一下部電極との間に位置する、高抵抗領域、及び、前記高抵抗領域より抵抗が低い低抵抗領域を有し、
前記低抵抗領域は、前記第一ゲート電極に接続され、
前記高抵抗領域は、前記低抵抗領域に接続され、かつ、前記ゲート絶縁膜の下方に位置する
請求項4に記載の表示パネル。
【請求項6】
前記半導体層は、酸化物半導体を含む
請求項1~5のいずれか1項に記載の表示パネル。
【請求項7】
前記ゲート絶縁膜は、前記ゲート金属層と同一の形状にパターニングされている
請求項6に記載の表示パネル。
【請求項8】
複数の画素を有する表示部と、保護素子とを備える表示パネルの製造方法であって、
絶縁性の基板を準備する工程と、
前記基板の上方に下部金属層を形成する工程と、
前記下部金属層の上方に第一層間絶縁膜を形成する工程と、
前記第一層間絶縁膜の上方に半導体層を形成する工程と、
前記半導体層の上方にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜の上方にゲート金属層を形成する工程と、
前記ゲート金属層の上方に第二層間絶縁膜を形成する工程と、
前記第二層間絶縁膜の上方にソース・ドレイン金属層を形成する工程とを含み、
前記複数の画素の各々は、前記半導体層、前記ゲート金属層、及び、前記ソース・ドレイン金属層の各々の一部を含む薄膜トランジスタを有し、
前記保護素子は、前記下部金属層、前記半導体層、及び、前記ゲート金属層の各々の他の一部を含む薄膜トランジスタ型ダイオードを有する
表示パネルの製造方法。
【請求項9】
前記下部金属層は、
第一下部電極と、
前記第一下部電極と前記第一層間絶縁膜を介して隣り合う位置に配置される第二下部電極とを有し、
前記ゲート金属層は、第一ゲート電極、第二ゲート電極、及び第三ゲート電極を有し、
前記第二ゲート電極は、前記第一ゲート電極、及び前記第三ゲート電極の各々と、前記第二層間絶縁膜を介して隣り合う位置に配置され、
前記第一下部電極は、前記第一ゲート電極、及び前記第二ゲート電極の各々に接続され、
前記第二下部電極は、前記第三ゲート電極に接続される
請求項8に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項10】
前記第一ゲート電極は、前記第一下部電極と対向する位置に配置される第一ゲート領域を有し、
前記第二ゲート電極は、前記第一下部電極と対向する位置に配置される第二ゲート領域を有し、
前記第三ゲート電極は、前記第二下部電極と対向する位置に配置される第三ゲート領域を有する
請求項9に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項11】
前記第一ゲート電極は、前記第一ゲート領域において、前記第一下部電極、及び前記半導体層に接続され、
前記第二ゲート電極は、前記第二ゲート領域において、前記第一下部電極、及び前記半導体層に接続され、
前記第三ゲート電極は、前記第三ゲート領域において、前記第二下部電極、及び前記半導体層に接続される
請求項10に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項12】
前記半導体層は、
前記第一ゲート電極の前記第一ゲート領域と前記第一下部電極との間に位置する、高抵抗領域、及び、前記高抵抗領域より抵抗が低い低抵抗領域を有し、
前記低抵抗領域は、前記第一ゲート電極に接続され、
前記高抵抗領域は、前記低抵抗領域に接続され、かつ、前記ゲート絶縁膜の下方に位置する
請求項11に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項13】
前記半導体層は、酸化物半導体を含む
請求項8~12のいずれか1項に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項14】
前記ゲート絶縁膜は、前記ゲート金属層をマスクとしたドライエッチングによってパターニングされる
請求項13に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項15】
前記保護素子は、前記ソース・ドレイン金属層を形成する工程より前に形成される
請求項8~12のいずれか1項に記載の表示パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示パネル、及び表示パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置に用いられる表示パネルとして、複数の画素がマトリクス状に配置された有機EL(Electro Luminescence)表示パネルが知られている。例えばトップエミッション構造を有する有機EL表示パネルは、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)などを有する回路基板と、回路基板上に設けられたELデバイス層とを備える。薄膜トランジスタは、基板上に複数の絶縁膜、及び複数の配線層などが積層されることで形成される。
【0003】
近年の表示装置の大型化に伴って表示パネルの帯電量が大きくなる。このため、表示パネルの製造工程中に発生する絶縁破壊による歩留り低下が、問題となっている。
【0004】
このような絶縁破壊を抑制するために、表示パネルに帯電した電荷を放電するための薄膜トランジスタ型ダイオードなど保護素子を備える表示パネルが知られている(例えば、特許文献1など)。特許文献1に記載された保護素子は、複数の画素に含まれる薄膜トランジスタと同様の構成を有する薄膜トランジスタのドレインとゲートとを接続することで形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、表示装置の大型化に伴い、表示パネルに含まれる配線長が長くなる。これにより、表示パネルの、保護素子が形成されるより前の製造工程における、各配線と絶縁膜との間に溜まる電荷量が大きくなる。このため、例えば、薄膜トランジスタが形成される基板を移動するために、基板の裏面を金属製の昇降ピンなどで押し上げる際に、基板のうち、昇降ピンの上方に位置する領域に電荷が集中し、絶縁破壊が発生し得る。
【0007】
本開示は、上記の問題を解決するためになされたものであり、製造工程中の絶縁破壊を抑制できる表示パネルなどを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の一態様に係る表示パネルは、複数の画素を有する表示部と、保護素子とを備える表示パネルであって、絶縁性の基板と、前記基板の上方に配置される下部金属層と、前記下部金属層の上方に配置される第一層間絶縁膜と、前記第一層間絶縁膜の上方に配置される半導体層と、前記半導体層の上方に配置されるゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜の上方に配置されるゲート金属層と、前記ゲート金属層の上方に配置される第二層間絶縁膜と、前記第二層間絶縁膜の上方に配置されるソース・ドレイン金属層とを備え、前記複数の画素の各々は、前記半導体層、前記ゲート金属層、及び、前記ソース・ドレイン金属層の各々の一部を含む薄膜トランジスタを有し、前記保護素子は、前記下部金属層、前記半導体層、及び、前記ゲート金属層の各々の他の一部を含む薄膜トランジスタ型ダイオードを有する。
【0009】
上記目的を達成するために、本開示の一態様に係る表示パネルの製造方法は、複数の画素を有する表示部と、保護素子とを備える表示パネルの製造方法であって、絶縁性の基板を準備する工程と、前記基板の上方に下部金属層を形成する工程と、前記下部金属層の上方に第一層間絶縁膜を形成する工程と、前記第一層間絶縁膜の上方に半導体層を形成する工程と、前記半導体層の上方にゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜の上方にゲート金属層を形成する工程と、前記ゲート金属層の上方に第二層間絶縁膜を形成する工程と、前記第二層間絶縁膜の上方にソース・ドレイン金属層を形成する工程とを含み、前記複数の画素の各々は、前記半導体層、前記ゲート金属層、及び、前記ソース・ドレイン金属層の各々の一部を含む薄膜トランジスタを有し、前記保護素子は、前記下部金属層、前記半導体層、及び、前記ゲート金属層の各々の他の一部を含む薄膜トランジスタ型ダイオードを有する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、製造工程中の絶縁破壊を抑制できる表示パネルなどを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態に係る表示パネルの構成を示す模式的な平面図
【
図2】実施の形態に係る保護素子の等価回路を示す回路図
【
図3】実施の形態に係る表示パネルの画素が有する薄膜トランジスタの詳細構成を示す模式的な断面図
【
図4】実施の形態に係る表示パネルの保護素子の詳細構成を示す模式図
【
図5】実施の形態に係る薄膜トランジスタの製造方法の第一工程を示す模式的な断面図
【
図6】実施の形態に係る保護素子の製造方法の第一工程を示す模式図
【
図7】実施の形態に係る薄膜トランジスタの製造方法の第二工程を示す模式的な断面図
【
図8】実施の形態に係る保護素子の製造方法の第二工程を示す模式図
【
図9】実施の形態に係る薄膜トランジスタの製造方法の第三工程を示す模式的な断面図
【
図10】実施の形態に係る保護素子の製造方法の第三工程を示す模式図
【
図11】実施の形態に係る薄膜トランジスタの製造方法の第四工程を示す模式的な断面図
【
図12】実施の形態に係る保護素子の製造方法の第四工程を示す模式図
【
図13】実施の形態に係る保護素子の製造方法の第五工程を示す模式図
【
図14】実施の形態に係る薄膜トランジスタの製造方法の第五工程を示す模式的な断面図
【
図15】実施の形態に係る保護素子の製造方法の第六工程を示す模式図
【
図16】実施の形態に係る薄膜トランジスタの製造方法の第六工程を示す模式的な断面図
【
図17】実施の形態に係る保護素子の製造方法の第七工程を示す模式図
【
図18】実施の形態に係る薄膜トランジスタの製造方法の第七工程を示す模式的な断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示における一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、工程、並びに、工程の順序などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示における最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0013】
また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、各図において縮尺などは必ずしも一致していない。なお、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0014】
また、本明細書において、「上方」及び「下方」という用語は、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)及び下方向(鉛直下方)を指すものではなく、積層構成における積層順を基に相対的な位置関係により規定される用語として用いる。また、「上方」及び「下方」という用語は、2つの構成要素が互いに間隔をあけて配置されて2つの構成要素の間に別の構成要素が存在する場合のみならず、2つの構成要素が互いに接する状態で配置される場合にも適用される。
【0015】
(実施の形態)
実施の形態に係る表示パネル及びその製造方法について説明する。
【0016】
[1.表示パネルの構成]
本実施の形態に係る表示パネルの構成について
図1を用いて説明する。
図1は、本実施の形態に係る表示パネル10の構成を示す模式的な平面図である。
【0017】
図1に示される表示パネル10は、複数の画素12を有する表示部11と、保護素子15とを備える。本実施の形態では、表示パネル10は、周縁領域13と、引き出し配線14と、共通電極16と、信号配線17と、電源配線18とをさらに備える。
【0018】
表示部11は、表示パネル10において画像が表示される部分である。表示部11には、複数の画素12がマトリクス状に配置されている。
【0019】
周縁領域13は、表示部11の周縁に位置する領域であり、引き出し配線14、共通電極16、保護素子15などが配置される。
【0020】
複数の画素12は、表示部11に画像を表示するために用いられる。複数の画素12の各々は、一つ以上の薄膜トランジスタを有する。一つ以上の薄膜トランジスタによって画素回路が形成される。薄膜トランジスタの構成については、後述する。
【0021】
信号配線17は、複数の画素の各々に信号を送信するための配線である。本実施の形態では、複数の信号配線17が、表示部11において、複数の画素12の行方向(つまり、
図1の横方向)に延在する。複数の信号配線17の各々が、各行に配置される画素12に信号を送信する。なお、図面が煩雑となることを回避するために図示しないが、複数の信号配線17は、表示部11において、複数の画素12の列方向(つまり、
図1の縦方向)にも延在してもよい。
【0022】
電源配線18は、複数の画素12の各々に電圧を供給するための配線である。本実施の形態では、複数の電源配線18が、表示部11において、複数の画素12の列方向に延在する。複数の電源配線18の各々が、各列に配置される画素12に電圧を供給する。なお、図面が煩雑となることを回避するために図示しないが、複数の電源配線18は、表示部11において、複数の画素12の行方向にも延在してもよい。
【0023】
引き出し配線14は、周縁領域13に配置され、信号配線17及び電源配線18の各々に接続される配線である。複数の引き出し配線14が、それぞれ、複数の信号配線17に接続される。複数の引き出し配線14が、それぞれ、複数の電源配線18に接続される。
【0024】
共通電極16は、周縁領域13に配置され、静電気を放電するための電極である。本実施の形態では、共通電極16は、表示部11を囲む矩形環状の形状を有する。
【0025】
保護素子15は、表示パネル10における絶縁破壊を抑制するための素子である。保護素子15は、周縁領域13に配置され、共通電極16と、信号配線17又は電源配線18との間に接続される。本実施の形態では、保護素子15は、引き出し配線14を介して信号配線17又は電源配線18に接続される。保護素子15の機能構成について、
図2を用いて説明する。
図2は、本実施の形態に係る保護素子15の等価回路を示す回路図である。
図2に示されるように、保護素子15は、1つ以上のダイオードを有する。本実施の形態では、保護素子15は、薄膜トランジスタ型ダイオードを有する。つまり、保護素子15は、薄膜トランジスタのゲートとドレインとを接続することで形成されたダイオードである。また、本実施の形態では、保護素子15は、直列接続された複数の双方向ダイオードを有する。これにより、共通電極16に対して、信号配線17又は電源配線18が高電位になった場合にも、低電位になった場合にも、保護素子15によって、静電気を放電することができる。
【0026】
続いて、画素12が有する薄膜トランジスタ、及び、保護素子15の詳細構成について、
図3及び
図4を用いて説明する。
図3は、本実施の形態に係る表示パネル10の画素12が有する薄膜トランジスタ19の詳細構成を示す模式的な断面図である。
図4は、本実施の形態に係る表示パネル10の保護素子15の詳細構成を示す模式図である。
図4には、保護素子15の平面図(a)、及び断面図(b)が示されている。
図4の断面図(b)には、
図4の平面図(a)のIV-IV線における断面が示されている。
図4の平面図(a)には、下部金属層30、半導体層50、及びゲート金属層70の輪郭が示されている。
【0027】
図3及び
図4に示されるように、表示パネル10は、基板20と、下部金属層30と、第一層間絶縁膜40と、半導体層50と、ゲート絶縁膜60と、ゲート金属層70と、第二層間絶縁膜80と、ソース・ドレイン金属層90とを備える。
【0028】
基板20は、表示パネル10の回路基板の基台となる絶縁性の板状部材である。例えば、基板20は、石英ガラス、無アルカリガラス又は高耐熱性ガラス等のガラス材料で構成されるガラス基板である。また、基板20は、リジッド基板ではなく、フレキシブルガラス基板又はフレキシブル樹脂基板等のシート状、又はフィルム状の可撓性を有するフレキシブル基板であってもよい。フレキシブル樹脂基板としては、例えば、ポリイミドやポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のフィルム材料の単層又は積層で構成された基板を用いることができる。なお、基板20の表面に絶縁性材料からなるアンダーコート層を形成してもよい。例えば、アンダーコート膜は、基板20に近い位置から順にSiNx膜、及びSiO2膜が積層された積層膜であってもよい。これにより、基板20の上方に、基板20が含有する物質(例えばナトリウムイオン)が移動することを防ぐことができる。
【0029】
下部金属層30は、基板20の上方に配置される導電層である。下部金属層30として、任意の金属膜を用いることができる。本実施の形態では、下部金属層30として、Ti膜、Cu膜、及びCuMn膜からなる積層膜を用いる。下部金属層30として、例えば、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、タングステン(W)、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、銀(Ag)、金(Au)、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)等の金属、又は、これらの中から選ばれる金属の積層膜、又はこれらの中から選ばれる金属の合金を用いてもよい。下部金属層30は、
図3に示されるように下部電極35を有する。また、下部金属層30は、
図4に示されるように、第一下部電極31と、第二下部電極32とを有する。第二下部電極32は、第一層間絶縁膜40を介して第一下部電極31と隣り合う位置に配置される。
【0030】
第一層間絶縁膜40は、下部金属層30の上方に配置される絶縁膜である。第一層間絶縁膜40は、下部金属層30を覆う。本実施の形態では、第一層間絶縁膜40として、SiNx膜、SiO2膜からなる積層膜を用いる。第一層間絶縁膜40として、例えば、SiNx膜、SiO2膜、SiON膜、又はこれらの中から選ばれる絶縁膜の積層膜を用いることができる。
【0031】
半導体層50は、第一層間絶縁膜40の上方に配置される半導体層である。本実施の形態では、半導体層50は、酸化物半導体を含む。半導体層50は、例えば、In、Ga、Zn、Sn、Ti、及びNbのうちの少なくとも1種の元素の酸化物を主成分として含む酸化物半導体から構成されている。半導体層50として、例えば、ITZO(酸化インジウムスズ亜鉛)、IGZO(InGaZnO)、ZnO、IZO(酸化インジウム亜鉛)、IGO(酸化インジウムガリウム)、ITO(酸化インジウムスズ)、InOなどを用いることができる。
【0032】
半導体層50は、
図3に示されるように高抵抗領域55aと、低抵抗領域55bとを有する。また、半導体層50は、
図4に示されるように、高抵抗領域51a、52a、及び53aと、低抵抗領域51b、52b、及び53bとを有する。各低抵抗領域は、例えば、半導体層50上に配置されるゲート絶縁膜60をドライエッチングによって除去する際に、プラズマダメージにより形成された領域であり、実質的に導体として機能する。
【0033】
ゲート絶縁膜60は、半導体層50の上方に配置される絶縁膜である。ゲート絶縁膜60として、例えば、SiO2膜を用いることができる。本実施の形態では、ゲート絶縁膜60は、ゲート金属層70と同一の形状にパターニングされている。言い換えると、ゲート絶縁膜60の平面視における輪郭が、ゲート金属層70の平面視における輪郭と同一となる。なお、ここで、同一の形状、又は、同一の輪郭との記載が意味する状態は、形状、又は輪郭が完全に一致する状態だけに限定されず、実質的に一致する状態も含む。同一の形状、又は、同一の輪郭との記載が意味する状態は、例えば、ゲート絶縁膜60の輪郭と、ゲート金属層70の輪郭のずれの大きさが、ゲート金属層70の寸法の20%以下である状態も含む。
【0034】
ゲート金属層70は、ゲート絶縁膜60の上方に配置される導電層である。ゲート金属層70として、例えば、任意の金属膜を用いることができる。ゲート金属層70として、下部金属層30と同じ構成の金属膜を用いてもよい。本実施の形態では、ゲート金属層70として、Ti膜、Cu膜、及びCuMn膜からなる積層膜を用いる。ゲート金属層70として、例えば、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、タングステン(W)、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、銀(Ag)、金(Au)、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)等の金属、又は、これらの中から選ばれる金属の積層膜、又はこれらの中から選ばれる金属の合金を用いてもよい。ゲート金属層70は、
図3に示されるように、ゲート電極75を有する。また、ゲート金属層70は、
図4に示されるように、第一ゲート電極71、第二ゲート電極72、及び第三ゲート電極73を有する。第二ゲート電極72は、第一ゲート電極71、及び第三ゲート電極73の各々と、第二層間絶縁膜80を介して隣り合う位置に配置される。
【0035】
第一ゲート電極71は、第一下部電極31と対向する位置に配置される第一ゲート領域71aを有する。第二ゲート電極72は、第一下部電極31と対向する位置に配置される第二ゲート領域72aを有する。第三ゲート電極73は、第二下部電極32と対向する位置に配置される第三ゲート領域73aを有する。
【0036】
下部金属層30の第一下部電極31は、第一ゲート電極71、及び第二ゲート電極72の各々にコンタクトホール60hを介して接続される。下部金属層30の第二下部電極32は、第三ゲート電極73にコンタクトホール60hを介して接続される。
【0037】
第一ゲート電極71は、第一ゲート領域71aにおいて、第一下部電極31、及び半導体層50に接続される。第二ゲート電極72は、第二ゲート領域72aにおいて、第一下部電極31、及び半導体層50に接続される。第三ゲート電極73は、第三ゲート領域73aにおいて、第二下部電極32、及び半導体層50に接続される。
【0038】
第二層間絶縁膜80は、ゲート金属層70の上方に配置される絶縁膜である。本実施の形態では、第二層間絶縁膜80として、SiO2膜を用いる。第二層間絶縁膜80として、例えば、SiNx膜、SiON膜、Al2O3膜などの無機絶縁膜、感光性を有するポリイミド、アクリル樹脂などの有機絶縁膜、又は、これらの積層膜を用いてもよい。
【0039】
ソース・ドレイン金属層90は、第二層間絶縁膜80の上方に配置される導電層である。ソース・ドレイン金属層90として、例えば、任意の金属膜を用いることができる。ソース・ドレイン金属層90として、ゲート金属層70と同じ構成の金属膜を用いてもよい。本実施の形態では、ソース・ドレイン金属層90として、Ti膜、Cu膜、及びCuMn膜からなる積層膜を用いる。ソース・ドレイン金属層90として、例えば、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、タングステン(W)、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、銀(Ag)、金(Au)、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)等の金属、又は、これらの中から選ばれる金属の積層膜、又はこれらの中から選ばれる金属の合金を用いてもよい。ソース・ドレイン金属層90は、
図3に示されるように、ソース・ドレイン電極95a、及び95bを有する。ソース・ドレイン電極95a、及び95bは、コンタクトホールを介して半導体層50の低抵抗領域55bに接続される。
【0040】
図3に示されるように、薄膜トランジスタ19は、半導体層50、ゲート金属層70、及び、ソース・ドレイン金属層90の各々の一部を含む。より詳しくは、薄膜トランジスタ19は、半導体層50の高抵抗領域55a、及び低抵抗領域55bと、ゲート金属層70のゲート電極75と、ソース・ドレイン金属層90のソース・ドレイン電極95a、及び95bとを含む。薄膜トランジスタ19は、シールド電極として下部電極35をさらに有してもよい。
【0041】
図4に示されるように、保護素子15は、下部金属層30、半導体層50、及び、ゲート金属層70の各々の他の一部を含む。より詳しくは、保護素子15は、下部金属層30の第一下部電極31、及び第二下部電極32と、半導体層50の高抵抗領域51a、52a、及び53a、並びに、低抵抗領域51b、52b、及び53bと、ゲート金属層70の第一ゲート電極71、第二ゲート電極72、及び第三ゲート電極73とを含む。このように、保護素子15は、ソース・ドレイン金属層90を含まない。
【0042】
図4の断面図(b)に示される保護素子15は、ゲートが第二ゲート電極72であり、ドレインが第一ゲート電極71であり、ソースが第三ゲート電極73である薄膜トランジスタとして機能する。ゲートである第二ゲート電極72は、第一下部電極31によって、ドレインである第一ゲート電極71に接続されている。これにより、保護素子15が薄膜トランジスタ型ダイオードとして機能する。
【0043】
なお、保護素子15は、半導体層50の高抵抗領域51a、及び52aが低抵抗化されることで、トランジスタとして機能する。高抵抗領域51a、及び52aの低抵抗化については、後述する。
【0044】
【0045】
まず、
図5、及び
図6に示されるように、絶縁性の基板20を準備する。続いて、基板20の上方に下部金属層30を形成する。本実施の形態では、スパッタ法を用いて、膜厚30nmのTi膜、膜厚800nmのCu膜、及び膜厚50nmのCuMn膜を、この順で基板20上に成膜する。下部金属層30は、フォトリソグラフィ法、ウェットエッチング、及び、ドライエッチングにより所定形状に加工することができる。具体的には、まず、下部金属層30上にレジストを形成して、所定形状の領域にレジストを残すように当該レジストを加工する。そして、レジストが形成されていない領域における下部金属層30を構成するCu膜、及びCuMn膜をウェットエッチングによって除去する。なお、ウェットエッチング液としては、例えば過酸化水素(H
2O
2)を含む強酸を用いてよい。続けて、レジストが形成されていない領域の下部金属層30を構成するTi膜をドライエッチングによって除去する。なお、ドライエッチングには、Cl系のガスを用いてよい。これにより、下部金属層30を所定形状に加工し、下部電極35、第一下部電極31、及び第二下部電極32を形成する。なお、下部金属層30は、保護素子15と、共通電極16又は引き出し配線14とを接続するための配線として用いられてもよい。
【0046】
続いて、
図7、及び
図8に示されるように、下部金属層30の上方に第一層間絶縁膜40を形成する。本実施の形態では、基板20上、及び下部金属層30上に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて、膜厚100nmのSiN
x膜、及び膜厚200nmのSiO
2膜をこの順に成膜する。具体的には、SiN
x膜を、例えば、シランガス(SiH
4)、アンモニアガス(NH
3)及び窒素ガス(N
2)を導入ガスに用いて、プラズマCVD法によって成膜する。続けて、SiO
2膜を、シランガス(SiH
4)及び亜酸化窒素ガス(N
2O)を導入ガスに用いて、プラズマCVD法によって成膜する。
【0047】
続いて、
図9、及び
図10に示されるように、第一層間絶縁膜40の上方に半導体層50を形成する。本実施の形態では、In、Ga、及びZnを含む膜厚30nmの酸化物半導体膜をスパッタ法により成膜する。具体的には、スパッタリングターゲットとして、In、Ga、及びZnを含む酸化物半導体(In-Ga-Zn-O)を用いて、真空チャンバー内に不活性ガスとしてアルゴン(Ar)ガスを流入するとともに反応性ガスとして酸素(O
2)を含むガスを流入し、所定のパワー密度の電圧をターゲット材に印加しスパッタリングすることで酸化物半導体膜を成膜する。続いて、酸化物半導体膜を、フォトリソグラフィ法、及びウェットエッチングにより、所定の形状にパターニングする。この時、酸化物半導体膜のキャリア濃度調整などの目的で、適宜酸素を含む雰囲気などでアニール処理を行ってもよい。
【0048】
続いて、
図11及び
図12に示されるように、半導体層50の上方にゲート絶縁膜60を形成する。本実施の形態では、第一層間絶縁膜40上、及び半導体層50上に、CVD法により、膜厚200nmのSiO
2膜を成膜する。
【0049】
続いて、
図13に示されるように、保護素子15を形成する領域において、下部金属層30、及び半導体層50に、ゲート金属層70を接続するためのコンタクトホール60hを形成する。本実施の形態では、フォトリソグラフィ法、及び、CF系のガスを用いたドライエッチングにより、ゲート絶縁膜60、半導体層50、及び第一層間絶縁膜40を貫通するコンタクトホール60hを形成する。ここで、コンタクトホール60hの一部は、ゲート絶縁膜60だけが除去された領域を有する。つまり、コンタクトホール60hのうち、一部は、ゲート絶縁膜60の上面から半導体層50の上面までの範囲だけに形成されている。これにより、半導体層50の一部の上面が露出する。このように、ゲート絶縁膜60をCF系のガスを用いてドライエッチングする際に、半導体層50の一部が露出するため、半導体層50の露出した領域がプラズマダメージより低抵抗化される。これにより、
図13に示されるように、半導体層50に、低抵抗領域51b、及び53bが形成される。
【0050】
続いて、
図14、及び
図15に示されるように、ゲート絶縁膜60の上方にゲート金属層70を形成する。本実施の形態では、ゲート絶縁膜60上、及びコンタクトホール60hの内部に、スパッタ法により、金属膜として、膜厚30nmのTi膜、膜厚400nmのCu膜、及び膜厚50nmのCuMn膜をこの順に成膜する。続いて、フォトリソグラフィ法、ゲート金属層70を構成するCu膜とCuMn膜のウェットエッチング、及び、ゲート金属層70を構成するTi膜のドライエッチングにより、ゲート金属層70を所定の形状にパターニングする。これにより、
図14に示されるゲート電極75、及び、
図15に示される第一ゲート電極71、第二ゲート電極72、及び第三ゲート電極73を形成する。ここで、第一ゲート電極71は、半導体層50の低抵抗領域51bに接続され、第三ゲート電極73は、半導体層50の低抵抗領域53bに接続される。
【0051】
続いて、
図16及び
図17に示されるように、ゲート絶縁膜60をパターニングする。本実施の形態では、ゲート金属層70をマスクとしてゲート絶縁膜60をドライエッチングによってパターニングする。ドライエッチングにおいては、例えば、CF系ガスを用いることができる。これにより、ゲート絶縁膜60は、ゲート金属層70と同一の形状にパターニングされる。
【0052】
また、ゲート絶縁膜60をドライエッチングによって除去し、半導体層50を露出させることで、露出した領域の半導体層50を、ドライエッチングのプラズマダメージにより低抵抗化することができる。これにより、
図16に示される低抵抗領域55b、及び、
図17に示される低抵抗領域52bが形成される。なお、半導体層50のうちプラズマダメージを受けない領域(
図16に示される高抵抗領域55a、並びに、
図17に示される高抵抗領域51a、52a、及び53a)は、低抵抗化されない。
【0053】
続いて、
図18、及び
図4に示されるように、ゲート金属層70の上方に第二層間絶縁膜80を形成する。本実施の形態では、ゲート金属層70上、半導体層50上、及び第一層間絶縁膜40上に、CVD法により膜厚500nmのSiO
2膜を成膜する。これにより、
図4に示されるような保護素子15を、ソース・ドレイン金属層90を形成する工程より前に形成することができる。
【0054】
続いて、
図3に示されるように、第二層間絶縁膜80の上方にソース・ドレイン金属層90を形成する。本実施の形態では、第二層間絶縁膜80に半導体層50の低抵抗領域55bまで到達するコンタクトホールを形成した後、第二層間絶縁膜80上、及びコンタクトホールの内部に、スパッタ法により、金属膜として、膜厚30nmのTi膜、膜厚800nmのCu膜、及び、膜厚50nmのCuMn膜をこの順に成膜する。続いて、フォトリソグラフィ法、ソース・ドレイン金属層90を構成するCu膜とCuMn膜のウェットエッチング、及び、ソース・ドレイン金属層90を構成するTi膜のドライエッチングにより、ソース・ドレイン金属層90を所定の形状にパターニングする。これにより、
図3に示されるソース・ドレイン電極95a、及び95bを有するソース・ドレイン金属層90を形成する。なお、ソース・ドレイン金属層90は、保護素子15と、共通電極16又は引き出し配線14とを接続するための配線として用いられてもよい。
【0055】
以上のように、薄膜トランジスタ19、及び保護素子15を備える表示パネル10を製造することができる。
【0056】
[3.効果]
本実施の形態に係る表示パネル10及びその製造方法の効果について説明する。
【0057】
上述したように、本実施の形態に係る表示パネル10は、保護素子15を備える。
図4などに示されるように、保護素子15に含まれる半導体層50は、第一ゲート電極71の第一ゲート領域71aと第一下部電極31との間に位置する、高抵抗領域51a、及び、高抵抗領域51aより抵抗が低い低抵抗領域51bを有する。低抵抗領域51bは、第一ゲート電極71に接続され、高抵抗領域51aは、低抵抗領域51bに接続され、かつ、ゲート絶縁膜60の下方に位置する。
【0058】
また、保護素子15に含まれる半導体層50は、第三ゲート電極73の第三ゲート領域73aと第二下部電極32との間に位置する、高抵抗領域53a、及び、高抵抗領域53aより抵抗が低い低抵抗領域53bを有する。低抵抗領域53bは、第三ゲート電極73に接続され、高抵抗領域53aは、低抵抗領域53bに接続され、かつ、ゲート絶縁膜60の下方に位置する。
【0059】
このように、第一ゲート電極71に接続される低抵抗領域51bと、低抵抗領域52b(
図4参照)との間に、高抵抗領域51aが配置される。また、第三ゲート電極73に接続される低抵抗領域53bと、低抵抗領域52bとの間に、高抵抗領域53aが配置される。このため、このままでは、保護素子15は、トランジスタとして機能しない。しかしながら、本実施の形態に係る保護素子15においては、例えば、第二下部電極32に高電圧が印加された場合に、第二下部電極32によって生成される電界によって、半導体層50の高抵抗領域53aにおいて反転層が形成される。したがって、高抵抗領域53aが低抵抗化される。半導体層50の高抵抗領域51aにおいても同様に反転層が形成される。これにより、保護素子15が、第一ゲート電極71がドレインであり、第二ゲート電極72がゲートであり、第三ゲート電極73がソースである薄膜トランジスタとして機能し得る。また、第一ゲート電極71と第二ゲート電極72とが第一下部電極31によって接続されているため、保護素子15は、薄膜トランジスタ型ダイオードとして機能する。これにより、表示パネル10に帯電した電荷を、保護素子15を介して、共通電極16に放電することができる。よって、表示パネル10の製造工程中の絶縁破壊を抑制できる。
【0060】
また、上述したように、本実施の形態に係る表示パネル10の製造方法においては、保護素子15は、ソース・ドレイン金属層90を形成する工程より前に形成される。したがって、ソース・ドレイン金属層90を形成する工程より前であっても、保護素子15によって、製造途中の表示パネル10における絶縁破壊を抑制できる。
【0061】
例えば、ゲート金属層70、及びゲート絶縁膜60のドライエッチングによる加工の際に、電気的に浮いている(フローティング状態である)ゲート金属層70に電荷が溜まり得る。また、第二層間絶縁膜80の成膜中にも、第二層間絶縁膜80の表面、及びゲート金属層70に電荷が溜まり得る。これらの状況において、本実施の形態に係る保護素子15は、すでに完成されているため、ゲート金属層70から共通電極16へ電荷を放電することができる。このように、本実施の形態に係る保護素子15によれば、ソース・ドレイン金属層90を形成する工程より前であっても、絶縁破壊を抑制できる。
【0062】
さらに、本実施の形態では、保護素子15において、下部金属層30を用いることで、ソース・ドレイン金属層90を用いることなく、薄膜トランジスタ型ダイオードを形成している。つまり、表示パネルにおいて、シールド電極として使用されている金属層を、保護素子15の電極として兼用している。したがって、特に、保護素子15専用の金属層を追加することなく、保護素子15を形成できる。
【0063】
(その他の実施の形態)
以上、本開示に係る表示パネル10などについて、実施の形態に基づいて説明したが、本開示に係る表示パネル10などは、上記実施の形態に限定されるものではない。実施の形態に対して本開示の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本開示は、特に大型の表示パネルを備える表示装置などに有用である。
【符号の説明】
【0065】
10 表示パネル
11 表示部
12 画素
13 周縁領域
14 引き出し配線
15 保護素子
16 共通電極
17 信号配線
18 電源配線
19 薄膜トランジスタ
20 基板
30 下部金属層
31 第一下部電極
32 第二下部電極
35 下部電極
40 第一層間絶縁膜
50 半導体層
51a、52a、53a、55a 高抵抗領域
51b、52b、53b、55b 低抵抗領域
60 ゲート絶縁膜
60h コンタクトホール
70 ゲート金属層
71 第一ゲート電極
71a 第一ゲート領域
72 第二ゲート電極
72a 第二ゲート領域
73 第三ゲート電極
73a 第三ゲート領域
75 ゲート電極
80 第二層間絶縁膜
90 ソース・ドレイン金属層
95a、95b ソース・ドレイン電極