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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178099
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21V 31/03 20060101AFI20231207BHJP
   F21S 8/08 20060101ALI20231207BHJP
   F21V 31/00 20060101ALI20231207BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231207BHJP
【FI】
F21V31/03
F21S8/08 121
F21V31/00 100
F21V31/03 100
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091167
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】723014807
【氏名又は名称】岩崎電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三浦 正義
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K014NA09
(57)【要約】
【課題】本発明は、光源を異物から保護でき、且つ、光源と外部とが通気可能な照明器具を提供することを目的とする。
【解決手段】照明器具1は、発光素子15aが内側に配置された内郭30と、内郭30の上面31を覆う外殻11と、を備える照明器具において、内郭30の上面31に形成された通気用の開口部35aと、開口部35aを多重に取り囲むように形成された複数の囲い壁33と、囲い壁33同士を連結する複数の中仕切り壁37と、複数の中仕切り壁37により区分けされた複数の通気路Aと、を有し、複数の囲い壁33には通気路Aに連通される通気口34がそれぞれ形成され、通気口34および通気路Aを介して、開口部35aの内側の空間と囲い壁33の外側の空間とが連通され、通気口34は、開口部35aから見て一直線上に重ならない位置に形成される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子が内側に配置された内郭と、前記内郭の上面を覆う外殻と、を備える照明器具において、
前記内郭の上面に形成された通気用の開口部と、前記開口部を多重に取り囲むように形成された複数の囲い壁と、前記囲い壁同士を連結する複数の中仕切り壁と、複数の前記中仕切り壁により区分けされた複数の通気路と、を有し、
複数の前記囲い壁には前記通気路に連通される通気口がそれぞれ形成され、前記通気口および前記通気路を介して、前記開口部の内側の空間と前記囲い壁の外側の空間とが連通され、前記通気口は、前記開口部から見て一直線上に重ならない位置に形成される、
ことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記開口部には、通気性の通気フィルタが設けられることを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記通気路は、一対の前記中仕切り壁により区分けされ、複数の前記通気口は、一方の前記中仕切り壁の近傍および他方の前記中仕切り壁の近傍に離間して形成されることを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項4】
前記通気口の近傍に、前記通気路内の流動を妨げるじゃま板部が形成されることを特徴とする請求項3に記載の照明器具。
【請求項5】
前記囲い壁は、前記開口部を少なくとも内側、中間、外側の3重に取り囲み、外側の前記囲い壁および内側の前記囲い壁の前記通気口は、前記通気路の一方の側に寄せて配置され、中間の前記囲い壁の前記通気口は、前記通気路の他方の側に寄せて配置されることを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項6】
前記囲い壁の上端が、前記外殻の内面に接触することを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項7】
前記開口部が、前記内郭の上面に前記通気路の底部よりも一段高く形成された丘部に配置されることを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項8】
前記丘部と、最も内側に配置される前記囲い壁とは、間隔を開けて配置されることを特徴とする請求項7に記載の照明器具。
【請求項9】
前記内郭の上面が平坦であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の照明器具。
【請求項10】
前記内郭の上面が前記開口部の位置に向けて上り勾配で傾斜することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明器具には、光源を水滴等の異物から保護するために気密性の高いハウジングに光源を格納していた。このような照明器具においては、ハウジングの内外での通気ができないため、夏季の降雨などでハウジングの内部の空気が急激に冷却されてハウジングの内圧が下がり、ハウジングの継ぎ目等から雨水や波しぶきが内部に吸引されるという課題があった。しかし、近年、通気路としていわゆるラビリンス構造を採用することにより、光源を水滴等の異物から保護し、且つ、光源と外部との通気を可能とする照明器具が提案されている(例えば、特許文献1)。
特許文献1における照明器具は、車両用ライトであり、ハウジングの後面から後方に向けて突出する起立壁によりラビリンス構造を形成する。ラビリンス構造に侵入した水滴等の異物は重力の作用によって移動するため、異物が光源に向かわないように誘導し、異物をラビリンス構造から抜け出させることが容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許6619098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、鉛直下方を照明する照明器具のように、上面においてラビリンス構造を採用する場合、重力の作用によって異物を誘導することが難しくなる。そのため、このような照明器具では、異物がラビリンス構造を抜けださずに通気路を閉塞する、または、異物が光源に向かってしまう、という課題があった。
本発明は、光源を異物から保護でき、且つ、光源と外部とが通気可能な照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一様態は、発光素子が内側に配置された内郭と、前記内郭の上面を覆う外殻と、を備える照明器具において、前記内郭の上面に形成された通気用の開口部と、前記開口部を多重に取り囲むように形成された複数の囲い壁と、前記囲い壁同士を連結する複数の中仕切り壁と、複数の前記中仕切り壁により区分けされた複数の通気路と、を有し、複数の前記囲い壁には前記通気路に連通される通気口がそれぞれ形成され、前記通気口および前記通気路を介して、前記開口部の内側の空間と前記囲い壁の外側の空間とが連通され、前記通気口は、前記開口部から見て一直線上に重ならない位置に形成されることを特徴とする照明器具である。
【0006】
本発明の一様態は、上記照明器具において、前記開口部には、通気性の通気フィルタが設けられることを特徴とする。
【0007】
本発明の一様態は、上記照明器具において、前記通気路は、一対の前記中仕切り壁により区分けされ、複数の前記通気口は、一方の前記中仕切り壁の近傍および他方の前記中仕切り壁の近傍に離間して形成されることを特徴とする。
【0008】
本発明の一様態は、上記照明器具において、前記通気口の近傍に、前記通気路内の流動を妨げるじゃま板部が形成されることを特徴とする。
【0009】
本発明の一様態は、上記照明器具において、前記囲い壁は、前記開口部を少なくとも内側、中間、外側の3重に取り囲み、外側の前記囲い壁および内側の前記囲い壁の前記通気口は、前記通気路の一方の側に寄せて配置され、中間の前記囲い壁の前記通気口は、前記通気路の他方の側に寄せて配置されることを特徴とする。
【0010】
本発明の一様態は、上記照明器具において、前記囲い壁の上端が、前記外殻の内面に接触することを特徴とする。
【0011】
本発明の一様態は、上記照明器具において、前記開口部が、前記内郭の上面に一段高く形成された丘部に配置されることを特徴とする。
【0012】
本発明の一様態は、上記照明器具において、前記丘部と、最も内側に配置される前記囲い壁とは、間隔を開けて配置されることを特徴とする。
【0013】
本発明の一様態は、上記照明器具において、前記内郭の上面が平坦であることを特徴とする。
【0014】
本発明の一様態は、前記内郭の上面が前記開口部の位置に向けて上り勾配で傾斜することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、照明器具の光源を異物から保護し、且つ、光源と外部とが通気可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態1に係る照明器具の側面図。
図2】II-II断面における断面視図。
図3】光源部の断面視図。
図4】内郭の上面の平面図。
図5】内郭の上面の拡大平面図。
図6】変形例における上面の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る照明器具1の側面図である。
【0018】
この照明器具1は、主に公園や広場、歩道等の照明に用いられる街路灯であり、光源部10と、支柱50と、ホルダー部16と、を有する。光源部10は、照明器具1において照明光を出射する部分であり、照明器具1の上端に配置される。光源部10は、外殻11と、底板13とを有し、底板13に形成された開口である出射口13aから下方に向けて照明光を出射する。
【0019】
支柱50は、地面から延びるポール等に対して、下端に取り付けられたホルダー部16介して固定される柱であり、上端に光源部10を保持する。支柱50はアルミ押出材で形成された中空の部材であり、ポール等の内部の配線から供給される電力を、支柱50の内部を通る電源配線を介して光源部10に供給する。ホルダー部16は、下部を中空のポール等に挿入された状態で固定され、支柱50を支持する部材である。ホルダー部16の下端には、下方に延びる板状部材である支持板16aが固定され、支持板16aは電源装置51、および保護装置53をそれぞれ支持する。電源装置51は、ポール等の内部の配線から供給される商用の交流電力を直流電力に変換し、光源部10に供給する。保護装置53はバリスタを備えた装置であり、光源部10をサージ電流等から保護する。
【0020】
図2は、図1に示したII-II断面における断面視図であり、光源部10を下方から見た構成を示す。図3は、図2に示したIII-III断面における断面視図であり、光源部10の内部構成を示す。
【0021】
図2に示すように、平面視において、光源部10は円形状であり、支柱50は略正三角形状であり、三角形の各辺が重心に向かって湾曲した形状となっている。光源部10の底板13には、支柱50の3つの辺に沿うように3つの出射口13aが形成され、それぞれの出射口13aから発光素子15aが見えるように設けられる。発光素子15aは、例えばLED(Light Emitting Diode)であり、電源装置51から供給される電力により照明光を出射する。発光素子15aは、平面視でそれぞれ反射鏡19の内側に配置される。反射鏡19は、内側が鏡面である筒状の部材であり、発光素子15aから出射される照明光を反射して出射口13aに誘導する。3つの出射口13aは透光性のカバー17に覆われ、照明光はカバー17を透過して下方に照射される。カバー17は、中央に開口を有する円形の平板であり、一枚のカバー17によって3つの出射口13aが覆われる。
【0022】
図3に示すように、光源部10は、内郭30を有する。内郭30は、発光素子15aを有する基板15と、反射鏡19とを格納する凹状の部材である。内郭30の下端部38には、内郭30の側面が窪むことにより、フランジ部39が形成されている。内郭30の下端部38は、フランジ部39に螺入されたボルトにより、底板13を挟んで支柱50に対して固定される。これにより、内郭30の内側には内郭30と、底板13と、カバー17と、によって仕切られた空間である光源室S2が形成される。光源室S2は、底板13の中央に設けられた開口である連通孔13bにより、支柱50の内部空間S1と連通され、図示しない電源配線は、連通孔13bを介して支柱50の内部空間S1から光源室S2に引き込まれる。また、詳細は後述するが、光源室S2は、内郭30の上面31に形成された開口部35aにより、通気空間S3と通気可能に構成される。
【0023】
光源室S2を形成する各部材同士の間にはそれぞれ、内周パッキン17a、および、外周パッキン17bが設けられ、各部材同士の継ぎ目が気密性を有するように構成される。そのため、光源室S2は、図3に破線の矢印で示すように、支柱50の内部空間S1、および、通気空間S3のみと通気する。
【0024】
内周パッキン17a、および、外周パッキン17bは、それぞれゴムなどの弾性体によって構成された環状のパッキンである。内周パッキン17aは、カバー17の内周と底板13との間に設けられ、上方から押さえ板14によって底板13に対して押し付けられることで、カバー17と底板13との継ぎ目を閉塞し、カバー17の内周を把持する。押さえ板14は、締結によって底板13に固定される板状部材であり、連通孔13bと上下に重なるように開口する。外周パッキン17bは、カバー17の外周と、内郭30の下端部38と、底板13と、の間に設けられ、それぞれの継ぎ目を閉塞する。また、外周パッキン17bは、内郭30の下端部38と底板13との間に挟まれることにより、カバー17の外周を把持する。
【0025】
また、支柱50と底板13との間には、支柱パッキン12が設けられる。支柱パッキン12は、支柱パッキン12は、例えばゴムなどの弾性体によって形成されたパッキンであり、支柱50と底板13との間の継ぎ目を閉塞する。
【0026】
図3に示すように、内郭30の上面31は略平坦であり、上面31には、共に上方に突出する突起である囲い壁33および中仕切り壁37が形成される。外殻11は、その内側が囲い壁33の上端および中仕切り壁37の上端に接するように内郭30に対して締結され、外殻11と30との間には通気空間S3が形成される。また、外殻11の下端と底板13の外周との間には、全周に渡って隙間Gが形成され、通気空間S3は隙間Gを介して光源部10の外部と連通する。隙間Gは、内郭30の下端部38と略同等の高さに位置し、上面31よりも下方に設けられる。隙間Gの高さ方向の寸法は、フランジ部39の肉厚よりも小さい寸法である。また、隙間Gの高さ方向の寸法は、外殻11の下端の全周の長さとの積によって表される隙間Gの面積が、開口部35aの面積と同等以上となるように設計されている。これにより、後述する光源部10の外部から光源室S2までの空気の経路上において、開口部35aよりも狭い面積となる部分を取り除くことができるため、光源室S2と外部との通気量を必要なだけ確保できる。ただし、上述の具体的な隙間Gの高さ方向の寸法は一例であり、上述の設計条件を重視するあまり隙間Gが大きくなって水が入りやすくなっては意味がないので、上述の設計条件を考慮しつつ、隙間Gから水が入りにくい寸法にする必要がある。
【0027】
図4は、内郭30の平面図であり、外殻11を取り除いた状態において上方から見た内郭30の上面31を示す。図5は、上面31の拡大平面図である。図4及び図5にはそれぞれ、上方からの平面視における、開口部35aを中心とした時計回り方向D1を意味する矢印、および反時計回り方向D2を意味する矢印をそれぞれ示す。また、図4および図5において、囲い壁33および中仕切り壁37は、ハッチングによって強調して示してある。
【0028】
上面31は、通気空間S3に位置している。図4に示すように、上面31の中央には、円形の孔である開口部35aが形成される。開口部35aは、下方から通気フィルタ35bによって塞がれる。通気フィルタ35bは通気性であるため、昆虫や塵芥等が光源室S2に侵入することを防ぐ一方、通気空間S3と光源室S2との間の通気は可能とする。また、開口部35aは、上面31の丘部35に形成される。丘部35は、上面31において、後述する通気路Aの底部よりも一段高く形成された円形の平坦な台である。丘部35の外側には、外側に向けて下方に傾斜した傾斜部35cが形成される。
【0029】
ところで、本発明においては、開口部35aおよび通気フィルタ35bは、照明器具1の最上部に位置する光源部10に設けられている。しかし、本発明とは異なり、例えば、ホルダー部16の下端に開口部35aを設け、開口部35aがポール等の内側に開口するように設計し、光源室S2は支柱50の内部空間S1を介してポール等の内側と通気する構成とすることも考えられる。この場合、開口部35aに対して雨水等が直接的に当たることがなく、後に説明するラビリンス構造は不要となる。ただし、この場合、地面の湿気がポール等の内部に常に供給される状態であるため、通気フィルタ35bが湿気を通す場合には照明器具1の内部に湿気が入り込み、基板15等の故障の原因となることが懸念される。そのため、この場合には、通気フィルタ35bが湿気を通さないフィルタであるか、または、照明器具1が除湿装置を搭載する必要がある。湿気を通さないフィルタとしては、例えば、活性炭を用いた除湿フィルタが挙げられるが、上述のように常に湿気が供給され続ける状況では除湿フィルタは吸湿した水分を放湿できないので、通気フィルタ35bを定期的に交換する必要が生じてしまう。そのため、上述の場合では、照明器具1のメンテナンス性が著しく悪化し、使い勝手が悪くなる。また、照明器具1が除湿装置を搭載する場合は、照明器具1の大きさが大きくなる、および、消費電力が増加する、といった問題があり、外観の意匠性および省エネルギーの観点から現実的な構成ではない。
【0030】
こういった点を加味し、本発明においては、開口部35aおよび通気フィルタ35bを照明器具1の最上部に位置する光源部10に設け、後述するラビリンス構造によって雨水等が開口部35aに到達することを防ぐ構成としている。こちらの構成によれば、通気フィルタ35bの定期交換による照明器具1のメンテナンス性の悪化、および、湿気による基板15等の故障を共に防ぐことができる。
【0031】
図4に示すように、上面31には、中央の開口部35aを4重に取り囲むように4つの囲い壁33が環状に形成されている。以下では、4つの囲い壁33のうち、最も内側に形成された囲い壁33から外側に向けて順に、第1囲い壁33a、第2囲い壁33b、第3囲い壁33c、および第4囲い壁33dとそれぞれ定義する。第1囲い壁33aは、丘部35とは間隔を開けて形成される。丘部35と第1囲い壁33aとは共に後述の通気路Aよりも高く形成されるため、互いの間には、第1囲い壁33aと傾斜部35cとに沿った環状の溝である溝部36が形成される。上述したように、4つの囲い壁33の上端は外殻11の内側に接触するため、4つの囲い壁33は、隙間Gと開口部35aとを分断するように、通気空間S3を区分けする。
【0032】
また、上面31には、中央の開口部35aを中心として放射状に延びて囲い壁33同士を連結する中仕切り壁37が形成される。以下では、中仕切り壁37のうち、第1囲い壁33aと第2囲い壁33bとを連結する3つの中仕切り壁37を第1中仕切り壁37aと定義する。同様に、第2囲い壁33bと第3囲い壁33cとを連結する3つの中仕切り壁37を第2中仕切り壁37bと、第3囲い壁33cと第4囲い壁33dとを連結する3つの中仕切り壁37を第3中仕切り壁37cと、それぞれ定義する。本実施形態において、一組の第1中仕切り壁37a、第2中仕切り壁37b、および第3中仕切り壁37cは、開口部35aの中心を通る一直線上に配置される。
【0033】
第1中仕切り壁37a同士、第2中仕切り壁37b同士、および第3中仕切り壁37c同士は、開口部35aを中心として互いに約120度ずつずれた位置に形成される。これにより、第1囲い壁33aと第2囲い壁33bとの間の空間が第1中仕切り壁37aによって3等分に区分けされ、3つの第1通気路A1が形成される。同様に、第2囲い壁33bと第3囲い壁33cとの間の空間が第2中仕切り壁37bによって3等分に区分けされ、3つの第2通気路A2が形成される。また、第3囲い壁33cと第4囲い壁33dとの間の空間が第3中仕切り壁37cによって3等分に区分けされ、3つの第3通気路A3が形成される。以下、第1通気路A1、第2通気路A2、および第3通気路A3を特に区別しない場合は、まとめて通気路Aと呼称する。
【0034】
さらに、4重の囲い壁33は、開口部35aを中心として約120度ずつずれた位置に形成された3つの切れ目である通気口34をそれぞれ備える。通気口34の内、第1囲い壁33a、第2囲い壁33b、第3囲い壁33c、および第4囲い壁33dに設けられる通気口34を順に、第1通気口34a、第2通気口34b、第3通気口34c、および第4通気口34dと定義する。3つの第1通気口34aは、丘部35と第1囲い壁33aとの間に形成された溝部36を介して接続される。
【0035】
図4に示すように、1つの第1通気路A1と1つの第2通気路A2とは、1つの第2通気口34bによって連通され、1つの第2通気路A2と1つの第3通気路A3は、1つの第3通気口34cによって連通される。さらに、1つの第1通気路A1は、1つの第1通気口34aによって第1囲い壁33aの内側の空間と連通し、1つの第3通気路A3は、1つの第4通気口34dによって第4囲い壁33dの外側の空間と連通する。これにより、開口部35aと第4囲い壁33dの外側の空間とは互いに連通する。このとき、互いに連通する一組の第1通気口34aから第4通気口34dまでの空間を、通気迷路と定義する。通気迷路は、複雑に入り組んだ形状の空間であり、いわゆるラビリンス構造となっている。本実施形態において、通気迷路は3つ形成される。1つの通気迷路は別の通気迷路と交わらず、それぞれの通気迷路は独立に第1囲い壁33aの内側の空間と第4囲い壁33dの外側の空間とを連通する。そのため、いずれかの通気迷路が雨水や塵芥によって閉塞された場合であっても、他の通気迷路によって光源室S2と外部との通気を継続できる。また、2つ以上の通気迷路が設けられることにより、いずれかの通気迷路に侵入した雨水が外部に抜けやすくなる。
【0036】
また、図4に示すように、一つの第1通気路A1と第1囲い壁33aの内側の空間とを連通する第1通気口34aは、その第1通気路A1の時計回り方向D1側を仕切る第1中仕切り壁37aの近傍に形成される。具体的には、第1通気口34aは、近傍にある第1中仕切り壁37aと開口部35aの中心とを結ぶ直線と、第1通気口34aの中心と開口部35aの中心とを結ぶ直線と、のなす角が、30°となる位置に配置される。また、一つの第1通気路A1と一つの第2通気路A2とを連通する第2通気口34bは、その第1通気路A1の反時計回り方向D2側を区切る第1中仕切り壁37aの近傍に形成される。具体的には、第2通気口34bは、近傍にある第1中仕切り壁37aと開口部35aの中心とを結ぶ直線と、第2通気口34bの中心と開口部35aの中心とを結ぶ直線と、のなす角が、20°となる位置に配置される。このように、一つの通気路Aに配置される2つの通気口34は、互いに開口部35aから見て一直線上に重ならず、その通気路Aを仕切る一対の中仕切り壁37の近傍に互いに離間して配置される。
【0037】
さらに、一つの第2通気路A2と一つの第3通気路A3とを連通する第3通気口34cは、その第2通気路A2の時計回り方向D1側を区切る第2中仕切り壁37bの近傍に形成される。具体的には、第3通気口34cは、近傍にある第2中仕切り壁と開口部35aの中心とを結ぶ直線と、第3通気口34cの中心と開口部35aの中心とを結ぶ直線と、のなす角が、20°となる位置に配置される。すなわち、第1囲い壁33a、第2囲い壁33b、および第3囲い壁33cのうち、中間の第2囲い壁33bに設けられる第2通気口34bは、第1通気路A1および第2通気路A2の反時計回り方向D2の側(他方の側)に寄せて形成される。一方、外側の第3囲い壁33cと内側の第1囲い壁33aに設けられる第3通気口34cおよび第1通気口34aは互いに第2通気路A2および第1通気路A1の時計回り方向D1の側(一方の側)に寄せて配置される。これにより、1つの通気迷路において、第1通気口34aから第3通気口34cまでの間の空間は、第2囲い壁33bに沿って折り返された構造となる。
【0038】
これに加え、図5に示すように、一つの第1通気路A1と開口部35aとを連通する第1通気口34aは、その第1通気路A1の時計回り方向D1側を仕切る第1中仕切り壁37aとの間に僅かに間隔を開けて形成される。そのため、第1囲い壁33aは、夫々の第1中仕切り壁37aから反時計回り方向D2に向けて僅かに突出した第1じゃま板部32aを形成する。同様に、第2囲い壁33bは、夫々の第2中仕切り壁37bから時計回り方向D1に向けて僅かに突出した第2じゃま板部32bを形成する。また、第3囲い壁33cは、夫々の第3中仕切り壁37cから反時計回り方向D2に向けて僅かに突出した第3じゃま板部32cを形成する。以下、第1じゃま板部32a、第2じゃま板部32b、および第3じゃま板部32cを合わせて、じゃま板部32と呼称する。
【0039】
以上のように構成された照明器具1について、その作用を説明する。照明器具1は、外部に露出した部分において、光源部10の外殻11と底板13との隙間G以外の継ぎ目は、パッキンによって気密性が保たれている。そのため、光源室S2等の照明器具1の内部と、照明器具1の外部との間では、隙間Gを介して通気される。
【0040】
隙間Gから通気空間S3に流入した空気は、3つの第4通気口34dのうちいずれかから、上述した通気迷路のいずれかに流入し、開口部35aに到達する。開口部35aにおいては、通気フィルタ35bを介して、開口部35aに流入した空気と、光源室S2および支柱50の内部空間S1の空気と、が互いに融通される。さらに、開口部35a付近の空気は、第1通気口34aから再びいずれかの通気迷路に侵入し、通気空間S3、および隙間Gを介して外殻11の外部に流出する。これにより、光源室S2および内部空間S1の内圧は、大気圧と略同等に保たれる。そのため、例えば、直射日光によって照明器具1が暖められた後に、急な降雨などによって照明器具1が冷却されたとしても、光源室S2および内部空間S1の内圧は大気圧と略同等に保たれる。従って、照明器具1において、例え外周パッキン17bと内郭30の下端部38との継ぎ目等から、外部の雨水を光源室S2内に吸引することを抑制できる。
【0041】
隙間Gからは、上述した空気だけでなく雨水等も通気空間S3に侵入し得る。ほとんどの場合、雨水等は内郭30の下端部38の近傍に形成された隙間Gから通気空間S3に侵入したあと、内郭30の上面31に到達することなく、重力の作用によって再び隙間Gから照明器具1の外部に流出する。ただし、例えば台風などの際に生じる強風を伴う大雨等に、照明器具1が晒された場合などには、雨水が上面31に到達し得る。上面31に到達した雨水のほとんどは第4囲い壁33dに遮蔽されるが、例えば第4通気口34dの付近において隙間Gから侵入した雨水等は、第4通気口34dから通気迷路に侵入し得る。
【0042】
図5には、上面31に到達し、第4通気口34dから1つの通気迷路に浸入した雨水の流れを破線の矢印で示す。以下では、雨水が通気迷路を第4通気口34dから第1通気口34aまで通り抜ける場合について説明するが、ほとんどの場合、雨水は、例えば第2通気路A2等の、通気迷路の中途部までしか浸入しないことが、発明者の実験によって確認されている。発明者は、照明器具1に対して、JIS C 0920に規定されたIPX5等級の防水試験を実施したが、水は最大でも第3通気口34c付近までしか浸入せず、照明器具1の動作に悪影響を及ぼさなかった。
【0043】
上述したように、一つの第3通気路A3に配置される第4通気口34dおよび第3通気口34cは、互いに開口部35aから見て一直線上に重ならない。そのため、通気迷路に侵入した雨水は、第3囲い壁33cに衝突して時計回り方向D1または反時計回り方向D2に向けて進行方向を略垂直に曲げられて第3通気路A3を流れる。このとき、雨水の勢いは減衰する。
【0044】
第3通気路A3を流れる雨水は、第3通気口34cを介して第2通気路A2に流入する。第3通気口34cは、第3中仕切り壁37cとの間に第3じゃま板部32cを介して形成される。そのため、第3通気路A3を時計回り方向D1に流れた雨水は、第3中仕切り壁37cに到達した後、第3中仕切り壁37cに沿って直接的に第3通気口34cを通り抜けることができない。本実施形態とは異なり、仮に、第3じゃま板部32cが無い場合には、雨水は第3中仕切り壁37cに沿って、簡単に第3通気口34cを通過してしまうため、雨水は勢いを保ったまま第2通気路A2に流入してしまう。すなわち、本実施形態においては、第3通気路A3内において、第3通気口34cに向かう雨水の流動は第3じゃま板部32cによって妨げられる。その後、雨水は、主に第3じゃま板部32cに沿って反時計回り方向D2に向けて流れたのち、第3通気口34cを通る。このとき、雨水は進行方向を逆方向に曲げられて勢いが大きく減衰し、第2通気路A2に流入する。
【0045】
第2通気路A2に流入した雨水は、第2囲い壁33bに衝突して進行方向を略垂直に曲げられて勢いが減衰し、第2通気路A2を反時計回り方向D2に向けて流れる。第2通気路A2を反時計回り方向D2に向けて流れる雨水は、主に第2中仕切り壁37bおよび第2じゃま板部32bに沿って進行方向を時計回り方向D1に曲げられることで、その勢いが減衰する。その後、雨水は第2通気口34bを通過して第1通気路A1に流入する。
【0046】
上述したように、夫々の第2通気路A2に開口する第2通気口34bおよび第3通気口34cは、その第2通気路A2の反時計回り方向側、および時計回り方向側を仕切る第2中仕切り壁37bの付近にそれぞれ設けられる。そのため、雨水は第2通気路A2を略全長に渡って流れることとなり、摩擦によって雨水の勢いが減衰する。
【0047】
第1通気路A1に流入した雨水は、第1囲い壁33aに衝突して進行方向を略垂直に曲げられて勢いが減衰し、第1通気路A1を時計回り方向D1に向けて流れる。雨水は、第1通気路A1の略全長に渡って流れるため、その勢いを摩擦によって減衰させて第1中仕切り壁37aまで流れる。第1中仕切り壁37aに到達した雨水は、第1中仕切り壁37aおよび第1じゃま板部32aに沿って進行方向を反時計回り方向D2に曲げられ、その勢いが減衰する。その後、雨水は第1通気口34aを通過する。
【0048】
上述したように、雨水は、第2通気路A2の略全長に渡って反時計回り方向D2に向けて流れたのち、第1通気路A1の略全長に渡って時計回り方向D1に向けて流れる。従って、雨水は通気迷路をUターンするように流れることとなり、雨水の勢いが効果的に減衰する。
【0049】
第1通気口34aを通過した雨水は、開口部35aに向けて傾斜部35cを流れる。開口部35aは、第1通気路A1の底部よりも一段高く形成された丘部35に形成され、傾斜部35cは、丘部35に向けて上り勾配である。上述したように、雨水は、通気迷路を通り抜ける過程においてその勢いが減衰するため、雨水は傾斜部35cを丘部35まで上ることなく、傾斜部35cに沿って下方に流れ落ちる。
【0050】
傾斜部35cから流れ落ちた雨水は、溝部36に流入する。傾斜部35cから流れ落ちた雨水は、勢いを失って溝部36に滞留する。また、例えば多量の雨水が1つの第1通気口34aから流入した場合には、溝部36に滞留した雨水は後続の雨水に押し出され、雨水の進入経路となった通気迷路とは異なる二つの通気迷路の第1通気口34aに流れ込む。このように、多量の雨水が通気迷路から第1囲い壁33aの内側に流入した場合であっても、雨水は溝部36を介して流入経路とは別の通気迷路に逃げ、さらに通気迷路の外に排水される。
【0051】
以上説明したように、本実施形態によれば、次の効果を奏する。
【0052】
発光素子15aが内側に配置された内郭30と、内郭30の上面31を覆う外殻11と、を備える照明器具1において、内郭30の上面31に形成された通気用の開口部35aと、開口部35aを多重に取り囲むように形成された複数の囲い壁33と、囲い壁同士を連結する複数の中仕切り壁37と、複数の中仕切り壁37により区分けされた複数の通気路Aと、を有し、複数の囲い壁33には通気路Aに連通される通気口34がそれぞれ形成され、通気口34および通気路Aを介して、開口部35aの内側の空間と囲い壁33の外側の空間とが連通され、通気口34は、開口部35aから見て一直線上に重ならない位置に形成される。
これにより、照明器具1の内郭30の内部は、通気口34および通気路Aを介して囲い壁33の外側の空間との間で通気が可能となる。そのため、内郭30の内圧が大気圧と略同等となり、例えば内郭30の内側の空気が急冷された場合であっても、内郭30は吸水しにくくなる。
また、通気口34が開口部35aから見て一直線上に重ならない位置に形成されるため、囲い壁33の外側の空間から侵入した雨水は、通気路Aを曲がりながら通気口34を通り抜ける。そのため、雨水等の異物の勢いが減衰し、異物は開口部35aに到達し難くなる。従って、発光素子15aは異物から保護される。
【0053】
また、本実施形態によれば、開口部35aには、通気性の通気フィルタ35bが設けられる。
これにより、通気口34を介して昆虫や塵芥等が内郭30の内側に侵入することを抑制できる。従って、発光素子15aは異物から保護される。
【0054】
また、本実施形態によれば、通気路Aは、一対の中仕切り壁37により区分けされ、複数の通気口34は、反時計回り方向D2側の中仕切り壁37の近傍および時計回り方向D1側の中仕切り壁の近傍に離間して形成される。
これにより、雨水等の異物は通気路Aの略全長に渡って流れるため、異物が開口部35aに到達するまでの経路が長くなる。従って、異物が開口部35aに到達し難くなり、発光素子15aは異物から保護される。
【0055】
また、本実施形態によれば、通気口34の近傍に、通気路A内の流動を妨げるじゃま板部32が形成される。
これにより、通気路Aを流れる雨水等の異物は、通気口34に侵入しにくくなる。従って、異物が開口部35aに到達し難くなり、発光素子15aは異物から保護される。
【0056】
また、本実施形態によれば、囲い壁33は、開口部35aを少なくとも内側、中間、外側の3重に取り囲み、外側の第3囲い壁33cおよび内側の第1囲い壁33aの第3通気口34c、第1通気口34aは、第2通気路A2および第1通気路A1の反時計回り方向D2の側に寄せて配置され、中間の第2囲い壁33bの第2通気口34bは、第1通気路A1および第2通気路A2の時計回り方向D1の側に寄せて配置される。
これにより、雨水等の異物は第2通気路A2を時計回り方向D1に向けて流れたのち、第1通気路A1を反時計回り方向D2に向けて流れる。従って、異物がUターンするように流れるようになり、異物の勢いが減衰して開口部35aに到達し難くなる。そのため、発光素子15aは異物から保護される。
【0057】
また、本実施形態によれば、囲い壁33の上端が、外殻11の内面に接触する。
これにより、内郭30の内側に設けられた発光素子15aによって発生する熱が、囲い壁33から外殻11に直接的に伝導される。そのため、発光素子15aを雨水等の異物から保護できるとともに、照明器具1の放熱性能が向上する。
【0058】
開口部35aが、内郭30の上面31に通気路Aの底部よりも一段高く形成された丘部35に配置される。
これにより、雨水等の異物が囲い壁33の内側に到達した場合であっても、通気路Aから丘部35に上ることができない異物は開口部35aに到達しない。そのため、異物が開口部35aに到達しにくくなり、発光素子15aは異物から保護される。
【0059】
丘部35と、最も内側に配置される第1囲い壁33aとは、間隔を開けて配置される。
これにより、丘部35と第1囲い壁33aとの間には、丘部35および第1囲い壁33aよりも低い位置まで窪んだ溝部36が形成される。そのため、一つの通気口34から第1囲い壁33aの内側に雨水等の異物が多く流れ込んだ場合であっても、異物は溝を介して別の通気口34から逃げることができる。従って、異物が開口部35aに到達し難くなり、発光素子15aは異物から保護される。
【0060】
また、本実施形態によれば、内郭30の上面31が平坦である。
これにより、内郭30を形成しやすく、照明器具1の構成を簡素にすることができる。
また、照明器具1の外観をシンプルな意匠とすることができる。
【0061】
(変形例)
なお、上述した第1実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形および応用が可能である。
【0062】
第1実施形態においては、内郭30の一例として上面31が略平坦である内郭30を説明したが、上面31は、略平坦でなくてもよい。例えば、内郭30の上面31が、開口部35aの位置に向けて上り勾配で傾斜する構成としてもよい。これにより、雨水等の異物は開口部35aに到達するまでに、上面31の上り勾配によってその勢いが減衰する。従って、雨水が開口部35aに到達し難くなり、発光素子15aは異物から保護される。
【0063】
第1実施形態においては、第1通気口34aは、第1通気路A1の時計回り方向D1側を仕切る第1中仕切り壁37aの近傍に位置すると説明した。また、第2通気口34bは、第1通気路A1の反時計回り方向D2側を仕切る第1中仕切り壁37aの近傍に位置すると説明した。さらに、第3通気口34cは、第2通気路A2の時計回り方向D1側を仕切る第2中仕切り壁37bの近傍に位置すると説明した。また、第1実施形態においては、通気口34が中仕切り壁37の近傍に位置するときの位置関係を、中仕切り壁37と開口部35aの中心とを結ぶ直線と、通気口34の中心と開口部35aの中心とを結ぶ直線と、のなす角を用いて説明したが、これは一例にすぎない。通気口34が中仕切り壁37の「近傍」に位置するためには、次に説明するように、通気路Aの幅を基準として、通気口34の幅およびじゃま板部32の突出量が設定されていればよい。
【0064】
通気口34の幅は、基準となる通気路Aの幅と同程度となるように設定される。仮に、通気口34の幅が通気路Aの幅よりも小さい場合、通気迷路に浸入した水は、開口部35aまで到達し難いが、通気迷路に浸入した水が抜けにくく、通気迷路が閉塞されやすくなる。また、仮に、通気口34の幅が通気路Aの幅よりも大きい場合、通気迷路に浸入した水は抜けやすいが、開口部35aに到達しやすくなる。
これに加え、じゃま板部32の突出量は、基準となる通気路Aの幅と同等もしくはそれ未満となるように設定される。これにより、通気迷路に浸入した雨水等は通気路Aの略全長に渡って流れるため、雨水等の勢いは効率的に減衰する。なお、じゃま板部32の突出量を通気路Aの幅と同等もしくはそれ未満とした場合であっても、じゃま板部32によって通気路A内の雨水等の流動を妨げることができ、中仕切り壁37に沿って雨水等が通気口34に直接流れ込むことを抑制できる。例えば、第1実施形態においては、じゃま板部32の突出量は通気路Aの幅の半分程度である。
このように、通気口34の幅を通気路Aの幅と略同等とし、且つ、じゃま板部32の突出量を通気路Aの幅と同等かそれ未満とすることで、通気口34が中仕切り壁37の「近傍」に配置されることとなる。
【0065】
なお、上述した通気口34の幅およびじゃま板部32の突出量の基準となる、通気路Aの幅それ自体は、隙間Gの面積、及び、開口部35aの面積から設定される。通気路Aの幅は、通気迷路の本数と1つの通気路Aの断面積との積が、隙間Gの面積よりも大きくなり、且つ、1つの通気路Aの断面積が、開口部35aの面積よりも大きくなるように設定される。これにより、通気迷路が異物によって閉塞されていない場合は、隙間Gと開口部35aとの間の空気の流路において、開口部35aよりも断面積が小さい部分を取り除けるため、光源室S2と通気空間S3との間の通気量を十分に確保できる。また、複数の通気迷路のうち、1つを除く通気迷路が雨水によって閉塞された場合であっても、空気の流路の断面積は開口部35aの面積よりも大きくなるため、閉塞されていない通気迷路から十分な空気が流入できる。これにより、閉塞された通気迷路からの雨水の排水が阻害されにくくなる。
【0066】
また、上面31に形成される囲い壁33、通気口34、中仕切り壁37、および通気路Aの一例として、図4および図5に示される構成を例示したが、上面31の構成はこれに限られない。以下に、上面31の構成の変形例を例示する。
【0067】
図6は、変形例における上面31の模式図であり、平面視における上面31を示す。図6の(A)には、上面31の平面図と模式図の対応を示すために、図4に示した囲い壁33、通気口34、中仕切り壁37、および通気路Aの構成が第1通気口34aから第3通気口34cまで図示されている。なお、説明の都合上、図6において囲い壁33は3重に形成されるものとして記載されているが、囲い壁33は2重以上に形成されていればよい。
【0068】
図6の(B)に示すように、上面31に形成される通気迷路は、3つ以外であってもよい。例えば、図6の(B)は、4つの通気迷路を有する。ただし、通気迷路が2つ以上形成されていない場合、通気迷路に侵入した雨水が外部に抜けにくいため、通気迷路は2つ以上設けられることが望ましい。また、形成される通気迷路の個数が増加することにより、1つの通気迷路あたりの経路の長さが短くなるため、形成される通気迷路は2つ以上、4つ以下であることが望ましい。
【0069】
また、図6の(C)に示すように、第1中仕切り壁37aと第2中仕切り壁37bとは、一直線上に重ならない構成としてもよい。さらに、図6の(D)に示すように、通気迷路において、第1通気口34aは第1通気路A1の時計回り方向D1側に設けられ、第2通気口34bおよび第3通気口34cは第1通気路A1及び第2通気路A2の反時計回り方向D2側に、それぞれ設けられる構成としてもよい。図6の(D)のような構成では、雨水は第1通気路A1および第2通気路A2を共に時計回り方向D1に向けて流れるため、通気迷路において雨水がUターンしない構成である。この構成においても、通気迷路に侵入した雨水の勢いはじゃま板部32によって十分に減衰してから第1通気口34aに流入し、丘部35に形成された開口部35aに到達しない。
【0070】
また、図6の(E)および(F)に示すように、一つの通気迷路が複数の第1通気路A1、および複数の第2通気路A2を含むように構成されていてもよい。この場合、通気迷路はつづら折りに曲折しており、雨水は第1通気路A1と第2通気路A2とを交互に流れることにより、その勢いが減衰する。これら2つの変形例でも、第1通気口34aと第2通気口34bと第3通気口34cとのすべてが開口部35aから見て一直線上に重なる、という構造を有しない。なお、これら2つの変形例では、雨水の勢いが効率良く減衰するが、通気迷路に侵入した雨水が外部に抜けにくい。
【0071】
また、上面31、囲い壁33、丘部35、及び開口部35aは、円形以外の形状であってもよい。例えば、図6の(G)に示すように、上面31、囲い壁33、丘部35、及び開口部35aは平面視で略正方形であってもよい。また、上面31、囲い壁33、丘部35、及び開口部35aの形状は、円形または正方形に限られず、三角形、楕円形、その他の多角形等の任意の形状としてもよい。また、円形の上面31に対して図6の(G)に示すような略正方形の囲い壁33、丘部35、及び開口部35aが形成されていてもよく、各要素の形状は任意に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0072】
1 照明器具
11 外殻
15a 発光素子
30 内郭
31 上面
32 じゃま板部
33 囲い壁
34 通気口
35 丘部
35a 開口部
35b 通気フィルタ
36 溝部
37 中仕切り壁
38 下端部
A 通気路
図1
図2
図3
図4
図5
図6