(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001781
(43)【公開日】2023-01-06
(54)【発明の名称】熱源機
(51)【国際特許分類】
F23N 1/00 20060101AFI20221226BHJP
【FI】
F23N1/00 102B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021102712
(22)【出願日】2021-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【弁理士】
【氏名又は名称】三林 大介
(72)【発明者】
【氏名】宮島 征樹
【テーマコード(参考)】
3K068
【Fターム(参考)】
3K068FA02
3K068FB13
(57)【要約】
【課題】十分な耐久性を有する熱源機を提供する。
【解決手段】複数のバーナ(11)を複数のバーナグループ(11a~11f)の何れかに分類しておき、燃料ガスを燃焼させる際には、少なくとも1つのバーナグループを選択して燃料ガスを燃焼させる。バーナの合計個数が同じとなる複数のバーナグループの組み合わせである特定グループセット(5a、5b)を、少なくとも1組記憶しておき、選択した複数のバーナグループが特定グループセットに該当していた場合には、所定の切換条件が成立しているか否かを判断して、切換条件が成立していた場合には、選択した特定グループセットを、バーナの合計個数が同じとなる別の特定グループセットに変更する。こうすれば、少なくとも特定グループセット間では、バーナの使用頻度に差ができることが抑制されるので、熱源機としての耐久性を向上させることが可能となる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスを燃焼させる複数のバーナを搭載すると共に、複数の前記バーナが複数のバーナグループの何れかに分類されており、前記燃料ガスを供給する前記バーナを前記バーナグループ単位で切り換えながら、複数の前記バーナで前記燃料ガスを燃焼させる熱源機において、
複数の前記バーナで発生させるべき火力についての火力情報を取得する火力情報取得手段と、
前記火力情報に応じて、複数の前記バーナグループの中から、前記燃料ガスを燃焼させる少なくとも1つの前記バーナグループを選択するバーナグループ選択手段と、
選択した前記バーナグループの前記バーナに前記燃料ガスを供給して、前記バーナで前記燃料ガスを燃焼させる燃焼実行手段と
を備え、
前記バーナグループ選択手段は、
前記バーナの合計個数が同じとなる複数の前記バーナグループの組み合わせである特定グループセットを、少なくとも1組記憶しており、
前記火力情報に応じて選択した前記バーナグループの組が前記特定グループセットに該当していた場合には、所定の切換条件が成立しているか否かを判断し、
前記切換条件が成立していた場合には、前記火力情報に応じて選択した前記特定グループセットを、前記バーナの合計個数が同じとなる他の前記特定グループセットに変更する
ことを特徴とする熱源機。
【請求項2】
請求項1に記載の熱源機において、
前記バーナグループ選択手段は、
前記特定グループセット毎に前記バーナでの前記燃料ガスの燃焼時間を累積しており、
累積した前記燃焼時間が所定の基準時間に達したら、前記切換条件が成立したものと判断して、前記バーナの合計個数が同じとなる他の前記特定グループセットに変更すると共に、前記基準時間に達した前記特定グループセットの累積した前記燃焼時間を初期化して、変更した他の前記特定グループセットの累積した前記燃焼時間が所定の前記基準時間に達するまでの間は、他の前記特定グループセットを選択する
ことを特徴とする熱源機。
【請求項3】
請求項2に記載の熱源機において、
前記バーナグループ選択手段は、
前記特定グループセットの累積した前記燃焼時間が、前記特定グループセット毎に設定されている前記基準時間に達したら、前記切換条件が成立したものと判断する
ことを特徴とする熱源機。
【請求項4】
燃料ガスを燃焼させる複数のバーナを搭載すると共に、複数の前記バーナが複数のバーナグループの何れかに分類されており、前記燃料ガスを供給する前記バーナを前記バーナグループ単位で切り換えながら、複数の前記バーナで前記燃料ガスを燃焼させる熱源機において、
複数の前記バーナで発生させるべき火力についての火力情報を取得する火力情報取得手段と、
前記火力情報に応じて、複数の前記バーナグループの中から、前記燃料ガスを燃焼させる少なくとも1つの前記バーナグループを選択するバーナグループ選択手段と、
選択した前記バーナグループの前記バーナに前記燃料ガスを供給して、前記バーナで前記燃料ガスを燃焼させる燃焼実行手段と
を備え、
前記バーナグループ選択手段は、
前記バーナの合計個数が同じとなる複数の前記バーナグループの組み合わせである特定グループセットを、少なくとも1組記憶しており、
前記特定グループセット毎に前記バーナでの前記燃料ガスの燃焼時間を累積しており、
前記火力情報に応じて前記特定グループセットを選択する場合には、前記燃焼時間が最も短い前記特定グループセットを選択する
ことを特徴とする熱源機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料ガスを燃焼させる複数のバーナを搭載した熱源機に関し、詳しくは、複数のバーナが複数のバーナグループの何れかに分類されており、燃料ガスを供給するバーナをバーナグループ単位で切り換えながら、複数のバーナで燃料ガスを燃焼させる熱源機に関する。
【背景技術】
【0002】
給湯器や暖房装置などには、バーナを用いて燃料ガスを燃焼させることによって火力を発生させる熱源機が搭載されている。熱源機では、単位時間あたりにバーナで燃焼させる燃料ガス量を変更することによって、発生させる火力を調節することができる。単位時間あたりにバーナで燃焼させる燃料ガス量を変更するためには、バーナに供給する燃料ガスのガス流量を変更すればよいが、バーナに供給可能なガス流量には上限がある。更には、バーナに供給するガス流量を小さくし過ぎると燃料ガスを安定して燃焼させることが困難となるので、ガス流量には下限もある。このため、単独のバーナでは広い火力範囲を実現することは難しい。そこで、熱源機には複数のバーナが搭載されており、小さな火力しか必要としない場合は少数のバーナで燃料ガスを燃焼させ、大きな火力が必要な場合は多数のバーナで燃料ガスを燃焼させることによって、広い火力範囲を実現するようになっている。
【0003】
また、複数のバーナを幾つかのバーナグループに分割しておき、燃料ガスを燃焼させるバーナの個数を増減させる際には、バーナグループ単位で燃料ガスの燃焼を開始したり、燃焼を終了したりすることによって、バーナの個数を段階的に増減させる熱源機も周知となっている(特許文献1など)。このような熱源機では、複数のバーナグループ間でバーナの個数を異ならせておき、選択するバーナグループを変更することで、燃料ガスを燃焼させるバーナの個数を、バーナグループの数以上の多段階に切り換えることができる。例えば、熱源機に搭載されたバーナの総数が9個であるとして、それらを、バーナ数が2個のバーナグループAと、バーナ数が3個のバーナグループBと、バーナ数が4個のバーナグループCとに分けたとする。この場合、何れか1つのバーナグループを選択する方法は3通り、何れか2つを選択する方法も3通り、3つを選択する方法は1通り存在するから、全部で7通りの選択方法が存在する。そして、全ての場合でバーナの合計個数が違うから、バーナグループの数は3つであっても、燃料ガスを燃焼させるバーナの合計個数は7段階に切り換えることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来技術の熱源機では、バーナグループ間でバーナの使用頻度に差ができてしまうため、使用頻度が高いバーナグループのバーナは、使用頻度が低いバーナグループのバーナに比べて故障の可能性が高くなり、熱源機としての耐久性を確保することが難しいという問題があった。
【0006】
この発明は、従来の技術が有する上述した課題を解決するためになされたものであり、十分な耐久性を有する熱源機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の熱源機は次の構成を採用した。すなわち、
燃料ガスを燃焼させる複数のバーナを搭載すると共に、複数の前記バーナが複数のバーナグループの何れかに分類されており、前記燃料ガスを供給する前記バーナを前記バーナグループ単位で切り換えながら、複数の前記バーナで前記燃料ガスを燃焼させる熱源機において、
複数の前記バーナで発生させるべき火力についての火力情報を取得する火力情報取得手段と、
前記火力情報に応じて、複数の前記バーナグループの中から、前記燃料ガスを燃焼させる少なくとも1つの前記バーナグループを選択するバーナグループ選択手段と、
選択した前記バーナグループの前記バーナに前記燃料ガスを供給して、前記バーナで前記燃料ガスを燃焼させる燃焼実行手段と
を備え、
前記バーナグループ選択手段は、
前記バーナの合計個数が同じとなる複数の前記バーナグループの組み合わせである特定グループセットを、少なくとも1組記憶しており、
前記火力情報に応じて選択した前記バーナグループの組が前記特定グループセットに該当していた場合には、所定の切換条件が成立しているか否かを判断し、
前記切換条件が成立していた場合には、前記火力情報に応じて選択した前記特定グループセットを、前記バーナの合計個数が同じとなる他の前記特定グループセットに変更する
ことを特徴とする。
【0008】
かかる本発明の熱源機においては、燃料ガスを燃焼させる複数のバーナが搭載されており、これらのバーナは、複数のバーナグループの何れかに分類されている。バーナで燃料ガスを燃焼させる際には、複数のバーナで発生させるべき火力についての火力情報を取得することによって、複数のバーナグループの中から少なくとも1つのバーナグループを選択する。そして、選択したバーナグループのバーナに燃料ガスを供給して、燃料ガスを燃焼させる。また、バーナの合計個数が同じとなる複数のバーナグループの組み合わせである特定グループセットを、少なくとも1組記憶しておく。そして、火力情報に基づいて選択した複数のバーナグループが、特定グループセットに該当するか否かを判断して、特定グループセットに該当していた場合には、所定の切換条件が成立しているか否かを判断する。その結果、切換条件が成立していた場合には、選択した特定グループセットを、バーナの合計個数が同じとなる他の特定グループセットに変更する。
【0009】
こうすれば、少なくとも複数の特定グループセットの間では、バーナの使用頻度に差が生じることを抑制することができるので、熱源機の耐久性を向上させることが可能となる。また、複数の特定グループセットを設定する際には、使用頻度が高いバーナグループを含んだ特定グループセットと、使用頻度が低いバーナグループを含んだ特定グループセットとを設定しておけば、バーナの使用頻度に差ができることをより一層効果的に抑制することができる。その結果、熱源機の耐久性をより一層向上させることが可能となる。
【0010】
また、上述した本発明の熱源機においては、特定グループセット毎にバーナでの燃料ガスの燃焼時間を累積しておき、累積した燃焼時間が所定の基準時間に達したら、切換条件が成立したものと判断して、バーナの合計個数が同じとなる他の特定グループセットに変更しても良い。そして、燃焼時間が基準時間に達した特定グループセットについては、燃焼時間を初期化すると共に、変更した他の特定グループセットの燃焼時間が基準時間に達するまでの間は、他の特定グループセットを選択するようにしてもよい。
【0011】
こうすれば、複数の特定グループセットの間で使用頻度に差が生じることを防止することが可能となる。
【0012】
また、上述した本発明の熱源機においては、特定グループセット毎に基準時間を設定しておき、特定グループセットの累積した燃焼時間が、特定グループセット毎に設定されている基準時間に達したら、切換条件が成立したものと判断して、他の特定グループセットに変更しても良い。
【0013】
特定グループセットを構成する複数のバーナグループの中には、使用頻度が比較的高いバーナグループが含まれることがある。また、別の特定グループセットを構成する複数のバーナグループの中には、使用頻度が比較的低いバーナグループが含まれることがある。そこで、使用頻度が比較的高いバーナグループを含む特定グループセットについては、使用頻度が比較的低いバーナグループを含む特定グループセットよりも、基準時間を短めに設定する。こうすれば、使用頻度の比較的高いバーナグループを含む特定グループセットでの燃焼時間が、使用頻度の比較的低いバーナグループを含む特定グループセットでの燃焼時間よりも短くなるので、使用頻度の高いバーナグループと使用頻度の低いバーナグループとの間での、使用頻度の差を少なくすることができる。その結果、バーナグループ全体での使用頻度の差をより一層抑制することができるので、熱源機の耐久性を向上させることが可能となる。
【0014】
また、本発明の熱源機は、次のような態様で把握することもできる。すなわち、本発明の他の態様の熱源機は、
燃料ガスを燃焼させる複数のバーナを搭載すると共に、複数の前記バーナが複数のバーナグループの何れかに分類されており、前記燃料ガスを供給する前記バーナを前記バーナグループ単位で切り換えながら、複数の前記バーナで前記燃料ガスを燃焼させる熱源機において、
複数の前記バーナで発生させるべき火力についての火力情報を取得する火力情報取得手段と、
前記火力情報に応じて、複数の前記バーナグループの中から、前記燃料ガスを燃焼させる少なくとも1つの前記バーナグループを選択するバーナグループ選択手段と、
選択した前記バーナグループの前記バーナに前記燃料ガスを供給して、前記バーナで前記燃料ガスを燃焼させる燃焼実行手段と
を備え、
前記バーナグループ選択手段は、
前記バーナの合計個数が同じとなる複数の前記バーナグループの組み合わせである特定グループセットを、少なくとも1組記憶しており、
前記特定グループセット毎に前記バーナでの前記燃料ガスの燃焼時間を累積しており、
前記火力情報に応じて前記特定グループセットを選択する場合には、前記燃焼時間が最も短い前記特定グループセットを選択する
ことを特徴とする。
【0015】
このような本発明の熱源機でも、少なくとも複数の特定グループセットの間では、バーナの使用頻度に差ができてしまうことを抑制することができるので、熱源機としての耐久性を向上させることが可能となる。また、複数の特定グループセットの中に、使用頻度が高いバーナグループを含んだ特定グループセットと、使用頻度が低いバーナグループを含んだ特定グループセットとを設定しておけば、バーナの使用頻度に差ができることをより一層効果的に抑制することができるので、熱源機の耐久性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施例の給湯器1を例示した説明図である。
【
図2】バーナグループ11a~11fから構成されるグループセットが火力段階1~6に対して設定されている様子を例示した説明図である。
【
図3】1つの火力段数に対して複数のグループセット(特定グループセット)が設定されている様子を例示した説明図である。
【
図4】本実施例の給湯器1が火力段数を変更する際に、特定グループセットを選択して火移りさせる様子を概念的に示した説明図である。
【
図5】本実施例の給湯器1がグループセットを選択するために実行するグループセット選択処理のフローチャートである。
【
図6】グループセット選択処理の中で特定グループセットを選択するために実行する特定グループセット選択処理のフローチャートである。
【
図7】第1変形例の特定グループセット選択処理のフローチャートである。
【
図8】第2変形例の特定グループセット選択処理のフローチャートである。
【
図9】第3変形例の給湯器1に記憶されている特定グループセットを例示した説明図である。
【
図10】第3変形例の給湯器1が火力段数を変更する際に、火移用グループセットを経由して特定グループセットに火移りさせる様子を概念的に示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
A.本実施例 :
A-1.装置構成 :
図1は、本実施例の給湯器1を例示した説明図である。給湯器1は、燃料ガスを燃焼させることによって高温の燃焼排気を生成し、その燃焼排気を熱交換器20で上水と熱交換させることによって湯を生成するようになっている。尚、本実施例の給湯器1は、本発明における「熱源機」に対応する。
【0018】
給湯器1の燃焼缶10aの中には、燃料ガスを燃焼させる複数のバーナ11が収納されており、これらのバーナ11に燃料ガスを供給するために、以下のような燃料ガスの供給経路が形成されている。先ず初めに、給湯器1の外部からの燃料ガスはガス配管12に供給される。ガス配管12の途中には、元弁13と呼ばれる電磁開閉弁や、ガス流量調節弁14が搭載されており、元弁13およびガス流量調節弁14を開弁させると、外部からの燃料ガスがガス配管12を通過する。ガス配管12は、ガス流量調節弁14の下流で6つの分配配管15a~15fに分岐されており、それぞれの分配配管15a~15fの下端には分配室16a~16fが1つずつ接続されている。また、分配配管15a~15fの途中には、ガス切換弁17a~17fと呼ばれる電磁開閉弁が搭載されている。尚、
図1に示した例では、ガス配管12が6つの分配配管15a~15fに分岐しているが、分岐する数は複数であれば良く、必ずしも6つでなくても構わない。また、ガス配管12が6つ以外の数の分配配管に分岐した場合は、分配室やガス切換弁の数も6つ以外の数となる。
【0019】
燃焼缶10aに収納されている全てのバーナ11は、これら6つの分配配管15a~15fの何れか1つから燃料ガスが供給されるようになっている。すなわち、6つの分配配管15a~15fには少なくとも1つのバーナ11が割り当てられており、それぞれの分配配管15a~15fは、割り当てられているバーナ11に対して燃料ガスを供給する。
図1に示した例では、分配室16aには、2つのバーナ11が割り当てられており、分配室16bおよび分配室16cには、3つずつのバーナ11が割り当てられている。分配室16dには、6つのバーナ11が割り当てられており、分配室16eには、9つのバーナ11が割り当てられ、分配室16fには、8つのバーナ11が割り当てられている。
【0020】
そして、元弁13およびガス流量調節弁14を開弁した状態で、ガス切換弁17aを開弁させると、燃料ガスが分配配管15aを通って分配室16aに流入した後、分配室16aに形成された図示しないノズルから噴射されることによって、分配室16aに割り当てられた2つのバーナ11に燃料ガスが供給される。また、ガス切換弁17aを閉弁すると、これら2つのバーナ11への燃料ガスの供給は停止される。このように、分配室16aに割り当てられた2つのバーナ11は、燃料ガスの供給開始と供給停止とが同時に行われる。そこで以下では、分配室16aに割り当てられた2つのバーナ11を、バーナグループ11aと称することにする。
【0021】
また、元弁13およびガス流量調節弁14を開弁した状態で、ガス切換弁17bを開弁させると、燃料ガスが分配配管15bを通って分配室16bに流入し、分配室16bに形成された図示しないノズルから噴射されて、分配室16bに割り当てられた3つのバーナ11に燃料ガスが供給される。また、ガス切換弁17bを閉弁すると、これら3つのバーナ11への燃料ガスの供給は停止されるので、以下では、分配室16bに割り当てられた3つのバーナ11を、バーナグループ11bと称することにする。
【0022】
分配室16cに割り当てられた3つのバーナ11や、分配室16dに割り当てられた6つのバーナ11や、分配室16eに割り当てられた9つのバーナ11や、分配室16fに割り当てられた8つのバーナ11についても同様に、それぞれバーナグループ11c、バーナグループ11d、バーナグループ11e、バーナグループ11fと称することにする。バーナグループ11cに含まれる3つのバーナ11は、ガス切換弁17cを開弁すると燃料ガスが供給され、ガス切換弁17cを閉弁すると燃料ガスの供給が停止される。同様に、バーナグループ11dに含まれる6つのバーナ11は、ガス切換弁17dの開弁あるいは閉弁に伴って、燃料ガスの供給が開始あるいは停止され、バーナグループ11eに含まれる9つのバーナ11は、ガス切換弁17eの開弁あるいは閉弁に伴って、燃料ガスの供給が開始あるいは停止される。更に、バーナグループ11fに含まれる8つのバーナ11は、ガス切換弁17fの開弁あるいは閉弁に伴って、燃料ガスの供給が開始あるいは停止される。
【0023】
燃焼缶10aの底面には、燃焼缶10a内に燃焼用の空気を供給する燃焼ファン18が搭載されている。また、バーナグループ11bに含まれる3つのバーナ11の上方には、点火プラグ19が搭載されている。更に、バーナグループ11aとバーナグループ11bとの境目の上方の位置には、燃料ガスの燃焼によって生じた炎を検知するフレームロッド51aが搭載されている。また、バーナグループ11dとバーナグループ11eとの境目の上方の位置にも、フレームロッド51bが搭載されている。
【0024】
給湯器1には、制御部50や、ユーザによって操作されるコントローラ51も搭載されている。制御部50は、CPUやメモリやタイマを搭載したマイクロコンピュータによって構成されており、元弁13や、ガス流量調節弁14や、ガス切換弁17a~17fや、燃焼ファン18や、点火プラグ19や、フレームロッド51a、51bや、コントローラ51などに接続されている。ユーザはコントローラ51を操作することによって、出湯温度などを設定することが可能となっている。
【0025】
燃焼缶10aの内部には、複数のバーナ11の上方の位置に熱交換器20が搭載されている。熱交換器20は、銅製で板状の複数の熱交換フィン20aと、銅製の通水管20bとを備えており、通水管20bが蛇行することによって、複数の熱交換フィン20aを何度も貫通する形状となっている。通水管20bには、上水が供給される給水管2と、熱交換器20で生成した湯が出湯する出湯管4とが接続されている。給水管2の途中には、熱交換器20に流入する上水の流量を検出する流量センサ3が搭載されており、流量センサ3は制御部50に接続されている。更に、出湯管4の端部には、出湯カラン5などが接続されている。
【0026】
以上のような給湯器1は、次のように動作する。まず、ユーザが出湯管4に設けられた出湯カラン5などを開くと、給水管2から熱交換器20に上水が供給される。すると、流量センサ3が、この上水の流れを検知すると共に、上水の流量を検出して制御部50に出力する。制御部50は、流量センサ3からの出力に基づいて、上水の流量が所定の流量以上になったと判断すると、以下のようにして、バーナ11での燃料ガスの燃焼を開始する。まず、流量センサ3で検出された上水の流量と、コントローラ51に設定された出湯温度とに基づいて、発生させるべき必要火力を算出する。この時、給水管2に図示しない温度センサを装着しておくことによって上水の温度を検出して、必要火力に反映させても良い。尚、必要火力の算出に用いられる上水の流量や、出湯温度や、上水の温度は、本発明における「火力情報」に対応する。
【0027】
次に、算出した必要火力に基づいて、ガス流量調節弁14の弁開度と、燃焼ファン18の回転速度とを決定する。すなわち、発生させるべき必要火力が決まると、バーナ11に供給するべき燃料ガスのガス流量と、燃焼缶10a内に供給するべき燃焼用の空気の流量とを決めることができる。そして、燃料ガスのガス流量が決まれば、ガス流量調節弁14の弁開度を決めることができ、燃焼用の空気の流量が決まれば、燃焼ファン18の回転速度を決めることができる。
【0028】
また、制御部50は、算出した必要火力に応じて火力段階を決定する。ここで、火力段階とは、給湯器1で発生させることが可能な最小火力から最大火力までの火力範囲を複数段階に分割して得られる小さな火力範囲である。本実施例の給湯器1では、火力範囲が6つの段階に分割されており、最も火力が小さな火力範囲が火力段階1であり、最も火力が大きな火力範囲が火力段階6となっている。そして、その間の火力範囲は、火力が小さなものから順番に、火力段階2、火力段階3、火力段階4、火力段階5となっている。これらの火力段階1~6に対しては、燃料ガスを燃焼させるバーナグループ11a~11fが予め設定されている。
【0029】
図2は、火力段階1~6に対して設定されたバーナグループ11a~11fを例示した説明図である。
図2に示した例では、最も火力が小さな火力段階1に対しては、バーナグループ11bが設定されている。また、次に火力が小さな火力段階2に対しては、2つのバーナグループ11a、11bが設定されている。更に、その次に火力が小さな火力段階3に対しては、3つのバーナグループ11a~11cが設定されている。このように、1つの火力段階に対しては複数のバーナグループが設定されることが通常であるため、火力段階に対して設定された(通常は複数個の)バーナグループの組を、以下では「グループセット」と称することにする。従って、火力段階1に対してはグループセット1が対応付けられており、グループセット1は1つのバーナグループ11bによって構成されていることになる。同様に、火力段階2に対してはグループセット2が対応付けられており、グループセット2は2つのバーナグループ11a,11bによって構成されており、火力段階3に対してはグループセット3が対応付けられており、グループセット3は3つのバーナグループ11a~11cによって構成されている。他の火力段階4~6についても同様に、グループセット4~6が対応付けられている。そして、グループセット4は、4つのバーナグループ11a~11dによって構成されており、グループセット5は、5つのバーナグループ11a~11eによって構成され、グループセット6は、6つのバーナグループ11a~11fによって構成されている。
【0030】
制御部50の図示しないメモリには、
図2に示した火力段階とグループセットとの対応関係、およびグループセットとバーナグループとの対応関係が予め記憶されている。制御部50は、必要火力に応じて火力段階を決定すると、これらの対応関係を参照することによって、火力段階に対応するグループセットを決定する。そして、決定したグループセットを構成するバーナグループには燃料ガスが供給されるが、それ以外のバーナグループには燃料ガスが供給されないように、ガス切換弁17a~17fの開閉状態を切り換える。例えば、火力段階2の場合は、グループセット2を構成するバーナグループはバーナグループ11a,11bであるから、ガス切換弁17a、17bは開弁させ、他のガス切換弁17c~17fは閉弁させる。また、ガス切換弁17a~17fの開閉状態を切り換えることに合わせて、元弁13も開弁させておく。
【0031】
こうして火力段階に応じてガス切換弁17a~17fの開閉状態を切り換えた後、点火プラグ19で火花を飛ばしながら、ガス流量調節弁14の弁開度および燃焼ファン18の回転速度を、予め決定しておいた弁開度および回転速度に制御する。すると、火力段階に応じて決定されたバーナグループで燃料ガスの燃焼が開始される。
図2には、火力段階に応じて、対応するバーナグループで燃料ガスが燃焼する様子が概念的に表示されている。すなわち、
図2中で斜線を付した分配室16a~16fは燃料ガスが供給されている分配室16a~16fを表しており、これらの分配室16a~16fに対応するバーナグループ11a~11fには、燃料ガスを燃焼させたことによる炎が表示されている。
【0032】
図2に示されるように、火力段階1ではバーナグループ11bで燃料ガスが燃焼し、火力段階2ではバーナグループ11a、11bで燃料ガスが燃焼し、火力段階3ではバーナグループ11a~11cで燃焼する。更に、火力段階4ではバーナグループ11a~11dで燃料ガスが燃焼し、火力段階5ではバーナグループ11a~11eが、火力段階6ではバーナグループ11a~11fが燃焼する。その結果、燃料ガスを燃焼させるバーナ11の合計個数は、火力段階が1から6に増加するに従って、合計個数も増加することになり、広い火力範囲を実現することができる。
【0033】
こうしてバーナ11で燃料ガスを燃焼させることによって生じた高温の燃焼排気は、バーナ11の上方に搭載された熱交換フィン20aの間を通過して、燃焼缶10aに形成された排気口10bから排出される。燃焼排気は、熱交換フィン20aの間を通過する際に、通水管20b内を通過する上水と熱交換することによって湯を生成し、出湯管4を通って出湯カラン5から湯が出湯される。また、流量センサ3で検出した上水の流量や、コントローラ51に設定された出湯温度が変更されると、バーナ11で発生させるべき必要火力が変化するので、制御部50は、ガス流量調節弁14の弁開度や燃焼ファン18の回転速度を変化させる。この時、必要火力の変化に対応して火力段数も変化する場合には、制御部50は、ガス切換弁17a~17fの開閉状態を切り換えることによって、燃料ガスを燃焼させるバーナグループも切り換わることになる。
【0034】
以上に説明したように、給湯器1は燃料ガスを燃焼させるバーナ11を、バーナグループ単位で切り換えている。ここで、バーナグループ11fに注目すると、バーナグループ11fのバーナ11は、火力段階6では燃料ガスを燃焼させるが、他の火力段階では燃料ガスを燃焼させていない(
図2参照)。このため、バーナグループ11fのバーナ11は、他のバーナ11に比べて使用頻度が低くなっている。逆に言えば、その分だけ、使用頻度の高いバーナ11が生じていることになる。このように、使用頻度の低いバーナ11と、使用頻度の高いバーナ11とが生じると、使用頻度の高いバーナ11の劣化が進んで給湯器1の寿命を縮める虞があるため望ましいことではない。そこで、本実施例の給湯器1では、複数の火力段数の中の少なくとも1つの火力段数については、バーナ11の合計個数が同じとなる複数のグループセットを設定しておき、それら複数のグループセットを切り換えて使用するようになっている。尚、同じ火力段数に対して設定されて、バーナ11の合計個数が同じとなる複数のグループセットを、以下では「特定グループセット」と称することにする。
【0035】
図3は、火力段数5に対して複数のグループセット(特定グループセット)が設定されている様子を例示した説明図である。尚、本実施例の給湯器1では、火力段数5に対してだけ、特定グループセットが設定されているものとしているが、複数の火力段数に対して特定グループセットが設定されていても構わない。また、本実施例の給湯器1では、1つの火力段数(ここでは火力段数5)に対して設定されている特定グループセットの個数は2つであるものとしているが、1つの火力段数に対して3つ以上の特定グループセットが設定されていても構わない。
【0036】
図3に示されるように、本実施例の給湯器1では、火力段数5に対して、特定グループセット5aと、特定グループセット5bの2つのグループセットが設定されている。また、特定グループセット5aは5つのバーナグループ11a~11eによって構成されており、特定グループセット5bは3つのバーナグループ11d~11fによって構成されているが、バーナ11の合計個数は、特定グループセット5a、5bの何れも23個で同じとなっている。本実施例の給湯器1では、これら2つの特定グループセット5a、5bを切り換えて使用する。
【0037】
例えば、
図4に示したように、給湯器1の火力段数が火力段数4から火力段数5に増加する場合には、火力段数4に対応するグループセット4を、特定グループセット5aまたは特定グループセット5bの何れかに切り換える。特定グループセット5aと特定グループセット5bとはバーナ11の合計個数が同じとなっているので、何れに切り換えた場合でも、発生する火力は同じとなる。また、火力段数が火力段数5から火力段数6に増加する場合には、特定グループセット5aまたは特定グループセット5bの何れからでも、火力段数6に対応するグループセット6に切り換える。一方、給湯器1の火力段数が火力段数6から火力段数5に減少する場合には、火力段数6に対応するグループセット6を、特定グループセット5aまたは特定グループセット5bの何れかに切り換える。また、火力段数が火力段数5から火力段数4に減少する場合には、特定グループセット5aまたは特定グループセット5bの何れからでも、火力段数4に対応するグループセット4に切り換える。
【0038】
図3に示したように、特定グループセット5bにはバーナグループ11fが含まれているので、火力段階が火力段階5に切り換わる場合に、特定グループセット5bに切り換わることがあるようにしておけば、バーナグループ11fの使用頻度を増加させることができる。このため、複数のバーナグループ11a~11f間での使用頻度の差を小さくすることができるので、劣化しやすいバーナグループが生じることを抑制することができ、給湯器1の寿命を増加させることが可能となる。また、特定グループセット5aに切り換える場合と、特定グループセット5bに切り換える場合とで、燃料ガスを燃焼させるバーナ11の合計個数は同じなので、ガス流量調節弁14の制御を変更する必要はない。このため、特定グループセット5aまたは特定グループセット5bの何れに切り換えるかに応じて、ガス切換弁17a~17fの開閉状態は変更すればよいので、給湯器1の制御が複雑になってしまうこともない。
【0039】
また、
図3に示したように、特定グループセット5aと特定グループセット5bとを比べると、特定グループセット5bは、特定グループセット5aに含まれている3つのバーナグループ11a~11cを、特定グループセット5aに含まれていないバーナグループ11fに変更したものとなっている。ここで、バーナグループ11fに置き換えられる3つのバーナグループ11a~11cは、点火プラグ19で点火されるバーナグループ11bと、そのバーナグループ11bに隣接するバーナグループ11a,11cを含んでいる。このような特定グループセット5aおよび特定グループセット5bを設定しておけば、以下の理由から、複数のバーナグループ11a~11f間での使用頻度の差を、より一層効果的に小さくすることができる。
【0040】
図1および
図2を用いて前述したように、給湯器1は、複数のバーナ11で燃料ガスの燃焼を開始する際には、点火プラグ19から火花を飛ばすことによって、先ず初めにバーナグループ11bのバーナ11で燃焼を開始する。そして、隣接するバーナグループ(例えば、バーナグループ11aやバーナグループ11c)に火移りさせていき、目的とする火力段数に対応する全てのバーナグループに火移りさせたら、それ以上には火移りさせずに燃焼を継続する。このようにして燃料ガスを燃焼させる関係上、6つのバーナグループ11a~11fの中で最後に火移りされるバーナグループ11fは、使用頻度が最も小さくなる。また、逆に、点火プラグ19で点火されるバーナグループ11bや、バーナグループ11bに隣接するバーナグループ11a、11cは、使用頻度が高くなる。
【0041】
そこで、本実施例の給湯器1では、
図3に示したように、特定グループセット5aの中で使用頻度が高いバーナグループ11a~11cを、使用頻度が低いバーナグループ11fに変更することによって、特定グループセット5bが形成されている。こうすれば、特定グループセット5aの代わりに特定グループセット5bを選択することで、使用頻度が低いバーナグループ11fの使用頻度を高めると同時に、使用頻度が高いバーナグループ11a~11cの使用頻度を低下させることができる。このため、複数のバーナグループ11a~11f間での使用頻度の差を、より一層効果的に小さくすることが可能となる。
【0042】
A-2.グループセット選択処理 :
以上のような制御は、本実施例の給湯器1に搭載された制御部50が、以下のようなグループセット選択処理を実行することによって実現されている。
図5は、本実施例の給湯器1に搭載された制御部50が実行するグループセット選択処理のフローチャートである。この処理は、制御部50がガス流量調節弁14や燃焼ファン18や点火プラグ19などの動作を制御する処理と並行して実行されている。
【0043】
図5に示されるように、制御部50はグループセット選択処理を開始すると、先ず初めに火力情報を取得する(STEP10)。ここで、火力情報とは、給湯器1で発生させるべき必要火力を決定するための情報であり、本実施例では、流量センサ3で検出した上水の流量や、コントローラ51に設定された出湯温度などが該当する。尚、本実施例では、制御部50が火力情報を取得しているから、制御部50が本発明における「火力情報取得手段」に対応する。
【0044】
続いて、取得した火力情報が、前回に取得した火力情報から変更されたか否かを判断し(STEP11)、火力情報が変更されていない場合は(STEP11:no)、先頭に戻って再び新たな火力情報を取得する(STEP10)。これに対して、火力情報が変更されていた場合は(STEP11:yes)、新たな火力情報に基づいて、給湯器1で発生させるべき火力(すなわち必要火力)を算出した後(STEP12)、新たに算出した必要火力に対応する火力段数を決定する(STEP13)。すなわち、本実施例の給湯器1で実現可能な火力範囲は、火力段数1~火力段数6までの6つの火力段数に分けられているから、算出した必要火力の大きさによって、必要火力が該当する火力段数を容易に決定することができる。
【0045】
その後、火力段数の変更が必要か否かを判断する(STEP14)。すなわち、新たに決定した火力段数と現在の火力段数とを比較して、両者が異なる場合は、火力段数の変更が必要と判断する(STEP14:yes)。これに対して、両者が同じであった場合は、火力段数の変更は不要と判断する(STEP14:yes)。
【0046】
その結果、火力段数の変更は不要と判断した場合は(STEP14:no)、先頭に戻って再び新たな火力情報を取得する(STEP10)。これに対して、火力段数の変更が必要と判断した場合は(STEP14:yes)、今度は、新たな火力段数が、特定グループセットが設定された火力段数か否かを判断する(STEP15)。特定グループセットとは、1つの火力段数に対して設定された複数のグループセットのことであり、同じ火力段数の特定グループセット同士はバーナ11の合計個数が同じとなっている。
図3を用いて前述したように、本実施例の給湯器1では、特定グループセット5a、5bが設定されているのは火力段数5だけであるから、STEP15では、新たな火力段数が、火力段数5か否かを判断することになる。
【0047】
その結果、新たな火力段数が火力段数5ではなかった場合は(STEP15:no)、火力段数に応じたグループセットを選択する(STEP16)。特定グループセットが設定されていない火力段階には、1つのグループセットが設定されているだけなので(
図2参照)、火力段数が決まれば対応するグループセットを選択することができる。
【0048】
これに対して、新たな火力段数が火力段数5であった場合は(STEP15:yes)、複数の特定グループセット(本実施例では2つ特定グループセット5a、5b)が設定されていることになる。そこで、後述する特定グループセット選択処理を実行することによって、複数の特定グループセットの中から1つの特定グループセットを選択する(STEP20)。尚、本実施例では、火力段数に応じたグループセット、あるいは特定グループセット5a、5bを選択する処理は制御部50が実行しており、グループセット、あるいは特定グループセット5a、5bを選択することによって、バーナグループが選択されることになる。従って、本実施例の制御部50は、本発明における「バーナグループ選択手段」に対応する。
【0049】
以上のようにして、火力段数に対応するグループセットあるいは特定グループセットを選択したら(STEP16、STEP20)、選択したグループセットに応じて、ガス切換弁17a~17fの開閉状態を変更する(STEP17)。例えば、選択したグループセットがグループセット2であった場合は、2つのガス切換弁17a、17bは開弁させ、他の5つのガス切換弁17c~17fは閉弁させる。こうすれば、グループセット2を構成する2つのバーナグループ11a、11bのバーナ11で、燃料ガスの燃焼が開始されることになる。尚、燃料ガスを燃焼させる制御は制御部50が実行しているから、本実施例の制御部50は、本発明における「燃焼実行手段」に対応する。
【0050】
その後、選択したグループセットの累積燃焼時間を更新する(STEP18)。更新した累積燃焼時間は、制御部50内の図示しないメモリに記憶される。そして、給湯器1の燃焼運転を終了するか否かを判断し(STEP19)、燃焼運転を終了しない場合は(STEP19:no)、先頭に戻って再び新たな火力情報を取得する(STEP10)。これに対して、燃焼運転を終了する場合は(STEP19:yes)、
図5のグループセット選択処理を終了する。
【0051】
A-3.特定グループセット選択処理 :
図6は、特定グループセットを選択するために実行される特定グループセット選択処理のフローチャートである。この処理は、上述したグループセット選択処理の中で算出した必要火力の火力段数が、特定グループセットが設定されている火力段数であった場合に(
図5のSTEP15:yes)、制御部50によって実行される。
【0052】
図6に示されるように、特定グループセット選択処理では、先ず初めに、前回に選択した特定グループセットを取得する(STEP21)。本実施例の給湯器1では、特定グループセットが設定されているのは火力段数5だけであり、火力段数5に設定されている特定グループセットは、特定グループセット5aおよび特定グループセット5bの2つであるから、前回に選択した特定グループセットは特定グループセット5aまたは特定グループセット5bの何れかとなる。本実施例の制御部50は、特定グループセット5aまたは特定グループセット5bの何れかを選択すると、次回に特定グループセットを選択する場合に備えて、選択した特定グループセットをメモリに記憶するようになっている。そこで、STEP21では、メモリに記憶されている特定グループセットを読み出すことによって、前回の特定グループセットを取得する。
【0053】
尚、特定グループセットが設定されている火力段数が複数存在する場合には、今回の火力段数(すなわち、
図5のSTEP13で決定した火力段数)に対して設定されている複数の特定グループセットの中から、前回に使用された特定グループセットを選択すればよい。
【0054】
続いて、前回に選択した特定グループセットの累積燃焼時間を取得する(STEP22)。本実施例の制御部50は、特定グループセットを選択した場合には、特定グループセット毎に燃焼時間を累積して、得られた累積燃焼時間をメモリに記憶している(
図5のSTEP18参照)。そこで、STEP21で前回の特定グループセットを読み出したら、その特定グループセットに対して記憶されている累積燃焼時間をメモリから読み出す。
【0055】
そして、読み出した累積燃焼時間が所定の基準時間に達したか否かを判断する(STEP23)。その結果、累積燃焼時間が未だ基準時間に達していなかった場合は(STEP23:no)、前回の特定グループセットを今回の特定グループセットとして選択して(STEP24)、選択した特定グループセットをメモリに記憶する(STEP25)。その後、
図6の特定グループセット選択処理を終了して、
図5のグループセット選択処理に復帰する。
【0056】
これに対して、累積燃焼時間が基準時間に達していた場合は(STEP23:yes)、前回の特定グループセットとは別の特定グループセットを、今回の特定グループセットとして選択する(STEP25)。尚、前回の特定グループセットとは別の特定グループセットが複数ある場合は、累積燃焼時間が最も少ない特定グループセットを選択する。そして、選択した特定グループセットをメモリに記憶した後(STEP27)、前回の特定グループセットの累積燃焼時間を初期化する(STEP28)。その後、
図6の特定グループセット選択処理を終了して、
図5のグループセット選択処理に復帰する。
【0057】
本実施例の制御部50は、以上のようにして特定グループセットを選択しているため、特定グループセットの累積燃焼時間が基準時間に達する度に、新たな特定グループセットが選択されるようになる。このため、複数の特定グループセットが万遍なく選択されるので、バーナグループ11a~11fの使用頻度の偏りを抑制することができ、給湯器1の寿命を増加させることが可能となる。
【0058】
B.変形例 :
上述した本実施例の給湯器1には、幾つかの変形例が存在している。以下では、これらの変形例について、本実施例との相違点を中心に説明する。
【0059】
B-1.第1変形例 :
上述した本実施例の特定グループセット選択処理では、前回に選択した特定グループセットと同じ特定グループセットを選択しておき、前回に選択した特定グループセットの累積燃焼時間が基準時間に達した場合には、別の特定グループセットに変更するものとして説明した。従って、累積燃焼時間が基準時間に達したか否かを切換条件として使用することにより、選択した特定グループセットを変更するか否かを判断していることになる。しかし、以下のようにすれば、切換条件を用いることなく、複数の特定グループセットの中から1つの特定グループセットを選択することができる。
【0060】
図7は、第1変形例の特定グループセット選択処理のフローチャートである。この処理は、
図5を用いて前述したグループセット選択処理の中で、
図6の特定グループセット選択処理(STEP20)の代わりに、制御部50によって実行される。
【0061】
図7に示されるように、第1変形例の特定グループセット選択処理(STEP30)では、全ての特定グループセットについての累積燃焼時間を取得する(STEP31)。すなわち、第1変形例でも、制御部50は、特定グループセット毎に燃焼時間を累積して、累積燃焼時間としてメモリに記憶している(
図5のSTEP18参照)。そこで、STEP31では、全ての特定グループセットについて、記憶されている累積燃焼時間をメモリから読み出す。
【0062】
尚、特定グループセットが設定されている火力段数が複数存在する場合には、今回の火力段数(すなわち、
図5のSTEP13で決定した火力段数)に対して設定されている複数の特定グループセットについて、メモリに記憶されている累積燃焼時間を読み出せばよい。
【0063】
そして、累積燃焼時間を読み出した特定グループセットの中で、累積燃焼時間が最小の特定グループセットを選択した後(STEP32)、
図7の特定グループセット選択処理を終了して、
図5のグループセット選択処理に復帰する。こうすれば、複数の特定グループセットの累積燃焼時間が均等化されるように選択されるので、バーナグループ11a~11fの使用頻度の偏りを抑制することができ、給湯器1の寿命を増加させることが可能となる。また、前回の特定グループセットを記憶したり、累積燃焼時間が基準時間に達したか否かを判断したりする処理も不要となるので、制御部50の制御負荷を軽減することも可能となる。
【0064】
B-2.第2変形例 :
上述した本実施例や第1変形例の特定グループセット選択処理では、複数の特定グループセットを万遍なく選択することができる。しかし、複数の特定グループセットの中の一部の特定グループセットが選択され易いようにすれば、バーナグループ11a~11fの使用頻度の偏りを、更に抑制可能な場合も存在する。
【0065】
例えば、
図3に例示した特定グループセット5aおよび特定グループセット5bについて説明すると、特定グループセット5bは、特定グループセット5aの中で使用頻度が高い3つのバーナグループ11a~11cを、使用頻度の低いバーナグループ11fに置き換えたものとなっている。ここで、
図2を用いて前述したように、3つのバーナグループ11a~11cは火力段階2~4でも使用されるのに対して、バーナグループ11fは火力段階5の一部と、火力段階6で使用されるに過ぎない。従って、特定グループセット5aよりも特定グループセット5bの方が高い頻度で選択されるようにしてやれば、3つのバーナグループ11a~11cと、バーナグループ11fとの使用頻度の差を、更に減少させることが可能と考えられる。第2変形例の給湯器1の制御部50は、特定グループセット5aよりも特定グループセット5bを高い頻度で選択するために、以下のような特定グループセット選択処理を実行する。
【0066】
図8は、第2変形例の特定グループセット選択処理のフローチャートである。この処理は、
図5を用いて前述したグループセット選択処理の中で、
図6の特定グループセット選択処理(STEP20)の代わりに実行される。尚、第2変形例の特定グループセット選択処理は、
図6を用いて前述した特定グループセット選択処理に対して、基準時間が特定グループセット毎に設定されている点が異なっている。以下では、かかる相違点を中心として、第2変形例の特定グループセット選択処理について説明する。
【0067】
図8に示されるように、第2変形例の特定グループセット選択処理でも、
図6を用いて前述した特定グループセット選択処理と同様に、前回に選択した特定グループセットを取得して(STEP41)、その特定グループセットの累積燃焼時間を取得する(STEP42)。
【0068】
続いて、第2変形例の特定グループセット選択処理では、前回の特定グループセットに対して設定されている基準時間を取得する(STEP43)。すなわち、第2変形例では、特定グループセット毎に設定された基準時間がメモリに記憶されているので、前回の特定グループセットに対して設定されている基準時間をメモリから読み出す。
【0069】
そして、STEP42で読み出した累積燃焼時間と、STEP43で読み出した基準時間とを比較して、累積燃焼時間が基準時間に達したか否かを判断する(STEP44)。その結果、累積燃焼時間が基準時間に達していなかった場合は(STEP44:no)、前回の特定グループセットを今回の特定グループセットとして選択して(STEP45)、メモリに記憶した後(STEP46)、
図8の特定グループセット選択処理を終了する。これに対して、累積燃焼時間が基準時間に達していた場合は(STEP44:yes)、前回の特定グループセットとは別の特定グループセットを選択して(STEP47)、メモリに記憶した後(STEP48)、前回の特定グループセットの累積燃焼時間を初期化する(STEP49)。その後、
図8の特定グループセット選択処理を終了して、
図5のグループセット選択処理に復帰する。
【0070】
上述した第2変形例の特定グループセット選択処理では、特定グループセット毎の基準時間を適切に設定しておくことで、特定グループセットが選択される頻度を異ならせることができる。例えば、
図3の特定グループセット5bに対する基準時間を、特定グループセット5aに対する基準時間よりも長い時間に設定しておけば、特定グループセット5bが選択される頻度を、特定グループセット5aが選択される頻度よりも多くすることができる。その結果、3つのバーナグループ11a~11cと、バーナグループ11fとの費用頻度の差を、より一層減少させることが可能となる。
【0071】
B-3.第3変形例 :
上述した本実施例は各種の変形例では、特定グループセットは互いに隣接する複数のバーナグループによって構成されているものとして説明した。例えば、
図3に示した特定グループセット5aは互いに隣接する5つのバーナグループ11a~11eによって構成されており、特定グループセット5bは互いに隣接する3つのバーナグループ11d~11fによって構成されているものとして説明した。このように、特定グループセットが、互いに隣接する複数のバーナグループによって構成されている理由は、本実施例の給湯器1では、点火プラグ19を用いて1つのバーナグループ(本実施例ではバーナグループ11b)に点火して、その炎を隣接するバーナグループに火移りさせることによって、各バーナグループでの燃焼を開始しているためである。
【0072】
しかし、同じ火力段数に設定された複数の特定グループセットは、バーナ11の合計個数が同じでなければならないから、その条件に加えて、隣接する複数のバーナグループによって構成されているという条件を加えると、特定グループセットの設定自由度が大きく制限されてしまう。そこで、特定グループセットについては、全てのバーナグループが互いに隣接しなくても良いようにしても構わない。
【0073】
図9は、上述した第3変形例の特定グループセットを例示した説明図である。
図9に示した例では、火力段数4に対して2つの特定グループセット4a、4bが設定されている。このうちの特定グループセット4aは、互いに隣接する4つのバーナグループ11a~11dによって構成されているが、特定グループセット4bは、互いに隣接しない2つのバーナグループ11d、11fによって構成されている。また、特定グループセット4aと特定グループセット4bとを比較すると、特定グループセット4bは、特定グループセット4aの中で使用頻度が高いバーナグループ11a~11cが、使用頻度の低いバーナグループ11fで置き換えられたものとなっている。従って、これらの特定グループセット4a、4bは、複数のバーナグループ11a~11fの使用頻度の差を減少させる観点からは望ましい特定グループセットの組み合わせとなっている。
【0074】
仮に、特定グループセットを構成する複数のバーナグループが互いに隣接していなければならないとすると、火力段数4では、このような望ましい特定グループセットの組み合わせを設定することができなくなる。このことから、特定グループセットについては、全てのバーナグループが互いに隣接しなくても良いようにすることで、望ましい特定グループセットの組み合わせを設定することが可能となり、複数のバーナグループ11a~11fの使用頻度の差をより一層減少させることが可能となる。
【0075】
また、切り換えようとする特定グループセットの中に他のバーナグループとは隣接していないバーナグループ(
図9に示した例では、特定グループセット4bのバーナグループ11f)が含まれていた場合には、そのバーナグループには、以下のような火移用グループセットを経由して火移りさせればよい。
【0076】
図10は、第3変形例の給湯器1が火力段数を変更する際に、火移用グループセット4cを経由して特定グループセットに火移りさせる様子を概念的に示した説明図である。
図10中で斜線を付した矢印は、火力段数3から火力段数4の特定グループセット4bに切り換える場合が示されている。
図10に示されるように、火力段数3で燃料ガスを燃焼させるグループセット3は3つのバーナグループ11a~11cで構成されている。これに対して、特定グループセット4bを構成する2つのバーナグループ11d、11fの中で、バーナグループ11dにはバーナグループ11cから火移りさせることができるが、バーナグループ11fには火移りさせることができない。
【0077】
そこで、
図10に示したように、バーナグループ11d~11fによって構成される火移用グループセット4cを設定しておき、グループセット3から特定グループセット4bに切り換える際には、火移用グループセット4cを経由して特定グループセット4bに切り換える。こうすれば、他のバーナグループに隣接しないバーナグループ11fにも火移りさせることができる。また、火力段数4で特定グループセット4bを選択した状態から、火力段数3でグループセット3を選択した状態に切り換える場合は、火移用グループセット4cを経由させることなく切り換えることができる。
【0078】
以上、本実施例および各種の変形例の給湯器1について説明したが、本発明は上記の実施例や変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【符号の説明】
【0079】
1…給湯器、 2…給水管、 3…流量センサ、
4a、4b…特定グループセット、 4c…火移用グループセット、
5…出湯カラン、 5a、5b…特定グループセット、 10a…燃焼缶、
10b…排気口、 11…バーナ、 11a~11f…バーナグループ、
12…ガス配管、 13…元弁、 14…ガス流量調節弁、
15a~15f…分配配管、 16a~16f…分配室、
17a~17f…ガス切換弁、 18…燃焼ファン、 19…点火プラグ、
20…熱交換器、 20a…熱交換フィン、 20b…通水管、
50…制御部、 51…コントローラ、 51a、51b…フレームロッド。