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特開2023-178100管理方法、情報処理装置、情報管理システムおよび血液分析装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178100
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】管理方法、情報処理装置、情報管理システムおよび血液分析装置
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20231207BHJP
   G01N 35/00 20060101ALI20231207BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20231207BHJP
   G16H 10/40 20180101ALI20231207BHJP
【FI】
G16H20/10
G01N35/00 A
G01N35/02 C
G16H10/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】29
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091168
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】390014960
【氏名又は名称】シスメックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】白上 篤
(72)【発明者】
【氏名】福間 大吾
【テーマコード(参考)】
2G058
5L099
【Fターム(参考)】
2G058GC02
2G058GC05
2G058GD00
5L099AA03
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】血液製剤の測定結果と、測定結果以外の血液製剤に関する他の情報とを一元管理できる管理方法、情報処理装置、情報管理システムおよび血液分析装置を提供する。
【解決手段】血液製剤に関する情報をコンピュータによって管理する方法において、血液製剤から採取された検体の検体識別情報として血液製剤の製剤識別情報を用いて血液分析装置1により測定された検体の測定結果と、検体識別情報とを取得し、血液製剤に関する情報が製剤識別情報に対応付けて記憶されるデータベース2aにおいて、測定結果と、測定結果以外の血液製剤に関する他の情報とを、検体識別情報として用いられた製剤識別情報に基づいて関連付ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液製剤に関する情報をコンピュータによって管理する方法であって、
前記血液製剤から採取された検体の検体識別情報として前記血液製剤の製剤識別情報を用いて血液分析装置により測定された前記検体の測定結果と、前記検体識別情報とを取得し、
前記血液製剤に関する情報が前記製剤識別情報に対応付けて記憶されるデータベースにおいて、前記測定結果と、前記測定結果以外の前記血液製剤に関する他の情報とを、前記検体識別情報として用いられた前記製剤識別情報に基づいて関連付ける、
管理方法。
【請求項2】
前記製剤識別情報は、ドナーから採血された血液を収容する血液バッグに付与される識別情報である、請求項1に記載の管理方法。
【請求項3】
前記製剤識別情報は、前記血液製剤に関する他の情報の少なくとも一部がコード化された番号を含む、請求項1に記載の管理方法。
【請求項4】
前記血液製剤に関する他の情報は、前記血液製剤の性質、前記血液製剤の製造工程および前記血液製剤の測定工程の少なくとも一つに関する情報を含む、請求項1に記載の管理方法。
【請求項5】
前記血液分析装置は、複数の血液分析装置を含み、
前記血液製剤の測定工程に関する情報は、前記検体の測定を行った血液分析装置を特定するための情報を含む、請求項4に記載の管理方法。
【請求項6】
前記血液製剤に関する他の情報に基づいて前記データベースに登録されている複数の血液製剤から少なくとも一つの血液製剤を選択し、選択した前記少なくとも一つの血液製剤から採取された検体の前記測定結果を集約した情報を生成することをさらに備える、請求項1に記載の管理方法。
【請求項7】
前記測定結果および前記血液製剤に関する他の情報に基づいて、前記血液製剤の品質を管理するための品質管理情報を生成することをさらに備える、請求項1に記載の管理方法。
【請求項8】
前記品質管理情報を生成することは、前記血液製剤に関する他の情報に基づいて前記データベースに登録されている複数の血液製剤から少なくとも一つの血液製剤を選択し、選択した前記少なくとも一つの血液製剤から採取された検体の前記測定結果に基づいて前記品質管理情報を生成することを含む、請求項7に記載の管理方法。
【請求項9】
前記品質管理情報を生成することは、複数の血液製剤からなる一群の血液製剤を選択し、選択した前記一群の血液製剤に含まれるそれぞれの血液製剤から採取された検体の前記測定結果に基づく前記品質管理情報を生成することを含む、請求項8に記載の管理方法。
【請求項10】
前記一群の血液製剤を選択することは、同一の製造サイクルで製造された血液製剤を特定するための条件に基づいて、前記一群の血液製剤を選択することを含む、請求項9に記載の管理方法。
【請求項11】
前記一群の血液製剤を選択することは、同一の測定サイクルで前記血液分析装置により測定された検体に対応する血液製剤を特定するための条件に基づいて、前記一群の血液製剤を選択することを含む、請求項9に記載の管理方法。
【請求項12】
前記品質管理情報は、前記一群の血液製剤から採取された検体の測定結果の傾向を評価するための情報を含む、請求項9に記載の管理方法。
【請求項13】
前記品質管理情報は、前記一群の血液製剤から採取された検体の測定結果の統計結果を含む、請求項9に記載の管理方法。
【請求項14】
前記統計結果は、前記血液分析装置による複数の測定パラメータのそれぞれに対応する統計結果を含む、請求項13に記載の管理方法。
【請求項15】
前記血液製剤に関する他の情報は、血液製剤の製造サイクルおよび測定サイクルの少なくとも一方を特定するための情報を含む、請求項8に記載の管理方法。
【請求項16】
前記血液製剤に関する他の情報は、血液製剤の製造または血液製剤から採取された検体の測定が行われた時間に関する情報を含む、請求項15に記載の管理方法。
【請求項17】
前記少なくとも一つの血液製剤を選択することは、一日の一部の時間帯に製造された血液製剤を選択することを含む、請求項16に記載の管理方法。
【請求項18】
前記少なくとも一つの血液製剤を選択するための条件の設定を受け付けることをさらに備える、請求項8に記載の管理方法。
【請求項19】
前記条件は、1または複数の血液製剤からなるバッチを形成するための条件である、請求項18に記載の管理方法。
【請求項20】
前記条件に応じて形成された複数のバッチからいずれかのバッチの指定を受け付けることと、
指定された前記バッチに対応する前記品質管理情報を表示することと、をさらに備える、請求項19に記載の管理方法。
【請求項21】
前記品質管理情報は、前記バッチにおける血液製剤の合格率に関する情報を含む、請求項20に記載の管理方法。
【請求項22】
前記バッチ単位で血液製剤の承認を受け付けることをさらに備える、請求項20に記載の管理方法。
【請求項23】
前記血液分析装置の精度管理に関する情報を取得することと、
前記精度管理に関する情報を、前記検体識別情報として用いられた前記製剤識別情報に基づいて、前記測定結果および前記血液製剤に関する他の情報と関連付けることと、をさらに備える、請求項1に記載の管理方法。
【請求項24】
前記データベースは、
前記製剤識別情報に関連付けて前記測定結果を記憶する第1データベースと、
前記製剤識別情報に関連付けて前記他の情報を記憶する第2データベースと、を含む、請求項1に記載の管理方法。
【請求項25】
前記コンピュータは、前記血液分析装置と通信可能に接続されており、
前記検体の測定結果と前記検体識別情報とを取得することは、前記検体の測定結果と前記検体識別情報とを、前記血液分析装置から取得することを含む、請求項1に記載の管理方法。
【請求項26】
記憶部と、
血液製剤に関する情報を前記記憶部に記憶させる制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記血液製剤から採取された検体の検体識別情報として前記血液製剤の製剤識別情報を用いて測定された前記検体の測定結果と、前記検体識別情報とを、血液分析装置から取得し、
前記血液製剤に関する情報が前記製剤識別情報に対応付けて記憶される前記記憶部上のデータベースにおいて、前記測定結果と、前記測定結果以外の前記血液製剤に関する他の情報とを、前記検体識別情報として用いられた前記製剤識別情報に基づいて関連付ける、
情報処理装置。
【請求項27】
血液製剤から採取された検体の検体識別情報として前記血液製剤の製剤識別情報を用いて前記検体を測定可能な血液分析装置と、
前記血液分析装置と通信可能に接続された情報処理装置と、を備え、
前記情報処理装置は、
記憶部と、
前記血液製剤に関する情報を前記記憶部に記憶させる制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記血液分析装置から、前記検体の測定結果と、前記検体識別情報とを取得し、
前記血液製剤に関する情報が前記製剤識別情報に対応付けて記憶される前記記憶部上のデータベースにおいて、前記測定結果と、前記測定結果以外の前記血液製剤に関する他の情報とを、前記検体識別情報として用いられた前記製剤識別情報に基づいて関連付ける、
情報管理システム。
【請求項28】
血液製剤から採取された検体を測定する血液分析装置と、
前記血液分析装置と通信可能に接続された情報処理装置と、を備え、
前記血液分析装置は、前記血液製剤の製剤識別情報を取得し、前記検体を測定し、前記検体の測定結果と、前記血液製剤の製剤識別情報とを、自動で前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置は、
記憶部と、
前記血液製剤に関する情報を前記記憶部に記憶させる制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記血液分析装置から、前記検体の測定結果と、前記血液製剤の製剤識別情報と、を受信し、
前記血液製剤に関する情報が前記製剤識別情報に対応付けて記憶される前記記憶部上のデータベースにおいて、受信した前記測定結果と、前記測定結果以外の前記血液製剤に関する他の情報とを、受信した前記製剤識別情報に基づいて自動で関連付ける、
情報管理システム。
【請求項29】
血液製剤から採取された検体から所定成分を検出する検出部と、
前記検体の検体識別情報として前記血液製剤の製剤識別情報を読み取る読取部と、
記憶部と、を備え、
前記検出部の検出結果に基づき、前記検体の測定結果を生成し、前記血液製剤に関する情報が前記製剤識別情報に対応付けて記憶される前記記憶部上のデータベースにおいて、前記測定結果と、前記測定結果以外の前記血液製剤に関する他の情報とを、前記検体識別情報として用いられた前記製剤識別情報に基づいて関連付ける、
血液分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液製剤に関する情報を管理する管理方法、情報処理装置、情報管理システムおよび血液分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血液製剤は、血液から分離された特定の成分を有効成分とする医薬品である。献血ルーム、献血車等の採血施設で採取されたドナーの血液は製造所に輸送され、製造所において、白血球、血小板の除去、遠心分離等の処理が行われることにより血液製剤が製造される。製造所において血液製剤が製造されると、品質確認のため血液製剤中の成分量の測定が行われる。このような測定は、例えば、特許文献1に記載された血液分析装置を用いて行うことができる。その後、血液製剤は医療機関に出荷され、外科手術を受ける患者、および、血液疾患やがんに罹患した患者などに輸血される。
【0003】
特許文献2には、製造された血液製剤のドナー情報、製造履歴、流通履歴および保管履歴等の情報を、血液製剤を収容する血液バッグに付された管理用ICタグに記録しておき、血液バッグ内の血液が輸血に用いられる際に、管理用ICタグに記録された情報を読み取って管理サーバに送信して管理サーバで管理することで、血液製剤のトレーサビリティを向上させる情報管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-35620号公報
【特許文献2】特開2004-94621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
製造された血液製剤の成分量の測定結果は、血液製剤の品質を管理するために重要な情報であり、測定結果以外の血液製剤に関する他の情報とともに一元管理することが求められている。上記特許文献1には、血液製剤の成分量を測定することが開示されているが、血液製剤の成分量の測定結果を、測定結果以外の血液製剤に関する他の情報とともに一元管理することについては開示されていない。上記特許文献2には、ドナー情報、製造履歴、流通履歴および保管履歴等の情報を管理サーバで管理することが開示されているが、血液製剤の成分量の測定結果を、測定結果以外の血液製剤に関する他の情報とともに一元管理することについては開示されていない。
【0006】
かかる課題に鑑み、本発明は、血液製剤の測定結果と、測定結果以外の血液製剤に関する他の情報とを一元管理できる管理方法、情報処理装置、情報管理システムおよび血液分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の血液製剤に関する情報をコンピュータ(2)によって管理する方法において、血液製剤から採取された検体の検体識別情報として血液製剤の製剤識別情報を用いて血液分析装置(1、7)により測定された検体の測定結果と、検体識別情報とを取得し(S23)、血液製剤に関する情報が製剤識別情報に対応付けて記憶されるデータベース(2a)において、測定結果と、測定結果以外の血液製剤に関する他の情報とを、検体識別情報として用いられた製剤識別情報に基づいて関連付ける(S24)。
【0008】
本発明の管理方法によれば、血液製剤から採取された検体の検体識別情報として血液製剤の製剤識別情報を用いることにより、検体の検体識別情報と血液分析装置による検体の測定結果とを取得し、取得した測定結果と血液製剤に関する他の情報とを製剤識別情報に対応付けることができる。これにより、血液分析装置による検体の測定結果と血液製剤に関する他の情報とを一元管理できる。
【0009】
本発明の情報処理装置(2)は、記憶部(202)と、血液製剤に関する情報を記憶部(202)に記憶させる制御部(201)と、を備える。制御部(201)は、血液製剤から採取された検体の検体識別情報として血液製剤の製剤識別情報を用いて測定された検体の測定結果と、検体識別情報とを、血液分析装置(1)から取得し、血液製剤に関する情報が製剤識別情報に対応付けて記憶される記憶部(202)上のデータベース(2a)において、測定結果と、測定結果以外の血液製剤に関する他の情報とを、検体識別情報として用いられた製剤識別情報に基づいて関連付ける。
【0010】
本発明の情報処理装置によれば、血液製剤から採取された検体の検体識別情報として血液製剤の製剤識別情報を用いることにより、検体の検体識別情報と血液分析装置による検体の測定結果とを取得し、取得した測定結果と血液製剤に関する他の情報とを製剤識別情報に対応付けることができる。これにより、血液分析装置による検体の測定結果と血液製剤に関する他の情報とを一元管理できる。
【0011】
本発明の情報管理システム(3)は、血液製剤から採取された検体の検体識別情報として血液製剤の製剤識別情報を用いて検体を測定可能な血液分析装置(1)と、血液分析装置(1)と通信可能に接続された情報処理装置(2)と、を備える。情報処理装置(2)は、記憶部(202)と、血液製剤に関する情報を記憶部(202)に記憶させる制御部(201)と、を備える。制御部(201)は、血液分析装置(1)から、検体の測定結果と、検体識別情報とを取得し、血液製剤に関する情報が製剤識別情報に対応付けて記憶される記憶部(202)上のデータベース(2a)において、測定結果と、測定結果以外の血液製剤に関する他の情報とを、検体識別情報として用いられた製剤識別情報に基づいて関連付ける。
【0012】
本発明の情報管理システムによれば、血液製剤から採取された検体の検体識別情報として血液製剤の製剤識別情報を用いることにより、検体の検体識別情報と血液分析装置による検体の測定結果とを取得し、取得した測定結果と血液製剤に関する他の情報とを製剤識別情報に対応付けることができる。これにより、血液分析装置による検体の測定結果と血液製剤に関する他の情報とを一元管理できる。
【0013】
本発明の情報管理システム(3)は、血液製剤から採取された検体を測定する血液分析装置(1)と、血液分析装置(1)と通信可能に接続された情報処理装置(2)と、を備える。血液分析装置(1)は、血液製剤の製剤識別情報を取得し、検体を測定し、検体の測定結果と、血液製剤の製剤識別情報とを、自動で情報処理装置(2)に送信する(S14)。情報処理装置(2)は、記憶部(202)と、血液製剤に関する情報を記憶部(202)に記憶させる制御部(201)と、を備える。制御部(201)は、血液分析装置(1)から、検体の測定結果と、血液製剤の製剤識別情報と、を受信し(S23)、血液製剤に関する情報が製剤識別情報に対応付けて記憶される記憶部(202)上のデータベース(2a)において、受信した測定結果と、測定結果以外の血液製剤に関する他の情報とを、受信した製剤識別情報に基づいて自動で関連付ける(S24)。
【0014】
本発明の情報管理システムによれば、血液分析装置による血液製剤の測定結果と血液製剤に関する他の情報とをデータベースにおいて対応付けて一元管理できる。また、血液分析装置からの測定結果および製剤識別情報の送信、および、データベースにおける血液製剤の測定結果と血液製剤に関する他の情報との対応付けが、自動で行われるため、これら情報の一元管理を容易かつ適正に行うことができる。
【0015】
本発明の血液分析装置(7)は、血液製剤から採取された検体から所定成分を検出する検出部(115)と、検体の検体識別情報として血液製剤の製剤識別情報を読み取る読取部(113)と、記憶部(122)と、を備える。血液分析装置(7)は、検出部(115)の検出結果に基づき、検体の測定結果を生成し、血液製剤に関する情報が製剤識別情報に対応付けて記憶される記憶部(122)上のデータベース(2a)において、測定結果と、測定結果以外の血液製剤に関する他の情報とを、検体識別情報として用いられた製剤識別情報に基づいて関連付ける(S24)。
【0016】
本発明の血液分析装置によれば、血液製剤から採取された検体の検体識別情報として血液製剤の製剤識別情報を用いることにより、検体の検体識別情報を読み取り、検体の測定結果を生成し、生成した測定結果と血液製剤に関する他の情報とを製剤識別情報に対応付けることができる。これにより、検体の測定結果と血液製剤に関する他の情報とを一元管理できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、血液製剤の測定結果と、測定結果以外の血液製剤に関する他の情報とを一元管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施形態1に係る、血液の採取、血液製剤の製造、および検査の一連の流れを模式的に示す図である。
図2図2は、実施形態1に係る、バーコードプリンタによって印刷されるバーコードラベルシートを模式的に示す図である。
図3図3は、実施形態1の変更例に係る、各装置の接続を模式的に示す図である。
図4図4は、実施形態1に係る、データベースに記憶される項目を模式的に示す図である。
図5図5は、実施形態1に係る、血液分析装置の構成を示すブロック図である。
図6図6は、実施形態1に係る、情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図7図7は、実施形態1に係る、血液分析装置が行う処理を示すフローチャートである。
図8図8は、実施形態1に係る、情報処理装置が行う処理を示すフローチャートである。
図9図9は、実施形態1に係る、測定結果が集計された統計結果を時系列で表示する画面を模式的に示す図である。
図10図10は、実施形態1に係る、測定結果が集計された統計結果を時系列で表示する画面を模式的に示す図である。
図11図11は、実施形態1に係る、測定結果が集計された統計結果を期間ごとに表示する画面を模式的に示す図である。
図12図12は、実施形態1に係る、測定結果を抽出して表示させる指示を入力するための画面を模式的に示す図である。
図13図13は、実施形態1の変更例1に係る、血液の採取、血液製剤の製造、および検査の一連の流れを模式的に示す図である。
図14図14は、実施形態1の変更例1に係る、血液分析装置の表示部に表示される測定オーダを入力するための画面を模式的に示す図である。
図15図15は、実施形態1の変更例2に係る、血液の採取、血液製剤の製造、および検査の一連の流れを模式的に示す図である。
図16図16は、実施形態1の変更例2に係る、データベースに記憶される項目を模式的に示す図である。
図17図17は、実施形態2に係る、血液の採取、血液製剤の製造、および検査の一連の流れを模式的に示す図である。
図18図18は、実施形態3に係る、血液の採取、血液製剤の製造、および検査の一連の流れを模式的に示す図である。
図19図19は、実施形態3に係る、各装置の接続を模式的に示す図である。
図20図20は、実施形態3に係る、データベースに記憶される項目を模式的に示す図である。
図21図21は、実施形態3に係る、個別の測定結果を表示する画面を模式的に示す図である。
図22図22は、実施形態3に係る、測定結果が集計された統計結果を時系列で表示する画面を模式的に示す図である。
図23図23は、実施形態4に係る、データベースに記憶される項目を模式的に示す図である。
図24図24は、実施形態4に係る、製造サイクルおよび測定サイクルごとに品質管理が行われる例を模式的に示す図である。
図25図25は、実施形態4に係る、手動でグループを生成するための画面を模式的に示す図である。
図26図26は、実施形態4に係る、情報処理装置によるグルーピング処理を示すフローチャートである。
図27図27は、実施形態4に係る、情報処理装置によるグループごとの表示処理を示すフローチャートである。
図28図28は、実施形態4に係る、グループに含まれる血液製剤の測定結果に基づく品質管理情報を表示する画面を模式的に示す図である。
図29図29は、実施形態4に係る、グループに含まれる血液製剤の測定結果に基づく品質管理情報を表示する画面を模式的に示す図である。
図30図30は、実施形態4に係る、グループに含まれる血液製剤の測定結果に基づく品質管理情報を、装置IDごとに表示する画面を模式的に示す図である。
図31図31は、実施形態4に係る、グループに含まれる血液製剤の測定結果に基づく品質管理情報を、フィルター条件に応じて表示する画面を模式的に示す図である。
図32図32は、実施形態5に係る、精度管理情報が製剤識別情報に対応付けられる例を示す図である。
図33図33は、実施形態5に係る、グループIDが精度管理情報に対応付けられる例を示す図である。
図34図34は、実施形態5に係る、血液製剤に関する情報を表示する画面および血液製剤のグループを表示する画面を模式的に示す図である。
図35図35は、実施形態5に係る、血液分析装置が行う処理を示すフローチャートである。
図36図36は、実施形態5に係る、情報処理装置が行う処理を示すフローチャートである。
図37図37は、実施形態5に係る、精度管理情報の一覧を表示させるための画面を模式的に示す図である。
図38図38は、実施形態5に係る、精度管理情報の詳細を示す画面を模式的に示す図である。
図39図39は、実施形態5に係る、グループIDに対応付けられた承認済みの精度管理情報の数を確認するための画面を模式的に示す図である。
図40図40は、実施形態6に係る、各装置の接続を模式的に示す図である。
図41図41は、実施形態6に係る、中間サーバの構成を示すブロック図である。
図42図42は、実施形態6に係る、データベースに記憶される項目を模式的に示す図である。
図43図43は、実施形態6の変更例に係る、データベースに記憶される項目を模式的に示す図である。
図44図44は、実施形態7に係る、血液分析装置の構成を示すブロック図である。
図45図45は、実施形態7に係る、血液分析装置が行う処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の実施形態は、ドナーの血液から製造された血液製剤に関する情報を管理する管理方法、情報処理装置、情報管理システムおよび血液分析装置に、本発明を適用したものである。実施形態において、血液製剤とは、人の血液から赤血球、血小板または血漿が分離されて調製された成分製剤のことである。
【0020】
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係る、血液の採取、血液製剤の製造、および検査の一連の流れを模式的に示す図である。
【0021】
採血工程において、献血ルーム、献血車等の採血施設でドナーから血液が採取(採血)される。採血には、全血を200mL採血する全血採血と、全血を400mL採血する全血採血と、血小板のみを採血する成分採血の3種類がある。採血対象が全血の場合、採血された全血は、そのまま血液バッグに収容される。採血対象が血小板成分の場合、採血施設においてドナーから成分採血装置を用いて血小板成分のみが取得され、取得された血小板成分が血液保存液とともに血液バッグに収容される。
【0022】
血液バッグには、血液バッグに収容された血液を個別に識別可能となるよう製剤識別情報が付与される。
【0023】
製剤識別情報は、血液センター、採血施設、採血種別および血液型をそれぞれコード化した番号を結合した番号に、通し番号を付与したものである。血液センターをコード化した番号は、例えば日本の場合、全国に複数カ所存在する血液センターを識別するための番号である。血液センターをコード化した番号には、採血施設が属する血液センターの番号が用いられる。採血施設をコード化した番号は、例えば、採血が行われた献血車や献血ルーム等の採血施設を識別するための識別情報である。採血種別をコード化した数字は、採取された血液が200mLの全血、400mLの全血、および血小板成分のいずれかを示す番号である。血液型をコード化した番号は、A型、O型、B型およびAB型のいずれかを示す番号である。通し番号は、製剤識別情報が個別に識別可能となるように、所定の桁数で連続的に付与される番号である。
【0024】
例えば、血液センター、採血施設、採血種別および血液型をコード化した数字が、それぞれ、「37」、「21」、「3」(血小板成分)および「4」(O型)であり、通し番号が「0636」である場合、製剤識別情報は「37-2134-0636」となる。なお、製剤識別情報は、血液センター、採血施設等をコード化した情報である必要はなく、例えば、通し番号のみを製剤識別情報としてもよい。
【0025】
採血施設には、作業端末と、作業端末に接続されたバーコードプリンタが設置されている。採血施設のオペレータは、上記ルールに従って決定した製剤識別情報を作業端末に入力し、バーコードプリンタにバーコードラベルシートの印刷を指示する。
【0026】
図2は、バーコードプリンタによって印刷されるバーコードラベルシート50を模式的に示す図である。
【0027】
バーコードラベルシート50は、裏面全体に粘着剤が塗布されており、オペレータによって剥がすことができるシールである。バーコードラベルシート50は、5枚のバーコードラベル50a、50b、50c、50d、50eを含む。バーコードラベル50a、50b、50c、50d、50eには、いずれも同一の製剤識別情報を示すバーコードが印刷されている。バーコードラベル50a、50b、50c、50d、50eの外周には、切込み51a、51b、51c、51d、51eが設けられており、バーコードラベル50a、50b、50c、50d、50eは、バーコードラベルシート50から分離することができる。
【0028】
図1に戻り、血液バッグに、バーコードラベルシート50が貼り付けられる。その後、血液バッグは製造所に搬送される。
【0029】
製造所では、製造工程および検査工程が行われる。製造工程において血液製剤が製造され、検査工程において製造された血液製剤の検査が行われる。製造所には、血液分析装置1および情報処理装置2が設置されている。血液分析装置1および情報処理装置2は、情報管理システム3を構成する。
【0030】
なお、図1に示す例では、情報管理システム3は、製造所に設置されているが、輸血を行う病院などの医療機関に設置され、輸血前の血液製剤の品質管理に用いられてもよい。
【0031】
製造工程において、血液バッグ内の血液が全血である場合、オペレータは、白血球除去フィルターを用いて血液バッグ内の全血から白血球および血小板を除去する。そして、オペレータは、遠心分離器を用いて、除去作業後の血液中の赤血球および血漿を分離させ、得られた赤血球および血漿をそれぞれ別の血液バッグに血液保存液とともに収納する。オペレータは、全血を収容していた血液バッグから、バーコードラベル50a、50b、50c、50d、50eのうち4枚を剥がし、赤血球製剤の血液バッグおよび血漿製剤の血液バッグの夫々に2枚ずつ貼り付ける。これにより、赤血球が抽出された赤血球製剤と、血漿が抽出された血漿製剤とが製造される。血液バッグ内の血液が血小板成分である場合、血液バッグ内の血小板成分が、血小板製剤となる。
【0032】
また、製造工程において、オペレータは、作業端末を操作して、製剤識別情報に関連付けて、血液製剤に関する他の情報を、情報処理装置2のデータベース2aに記憶させる。血液製剤に関する他の情報は、検査工程で取得される測定結果以外の血液製剤に関する情報であり、例えば、血液センター、採血施設、採血種別、血液型、受入日時、体積、重量、外観検査結果、製剤種別、製造日時、製造所、製造者、製造機器などをそれぞれ示す情報を含む。
【0033】
血液センター、採血施設、採血種別および血液型は、製剤識別情報から取得される。受入日時は、製造所が血液バッグを受け入れた日時である。体積、重量および外観検査結果は、血液バッグの受け入れ時に、オペレータが計測および検査した結果である。製剤種別は、血液製剤の種別であり、赤血球製剤、血漿製剤および血小板製剤のいずれかを示す情報である。製造日時は、血液製剤が製造された日時である。赤血球製剤の場合、製造日時は、製造工程において赤血球製剤が製造された日時である。全血から取得された血漿製剤の場合、製造日時は、製造工程において血漿製剤が製造された日時である。成分採血された血小板成分が血小板製剤とされた場合、製造日時は、採血工程で成分採血が行われた日時となる。製造所を示す情報は、血液製剤が製造された製造所を識別するための製造所IDである。製造者を示す情報は、血液製剤を製造したオペレータを識別するための製造者IDである。製造機器を示す情報は、製造工程で用いられた白血球除去フィルターのロット番号、製造工程で用いられた遠心分離器の識別情報、および、成分採血で用いられた成分採血装置の識別情報などを示す製造機器IDである。
【0034】
なお、製造工程における製剤識別情報および血液製剤に関する他の情報の記憶は、オペレータが作業端末を操作して行われることに限らない。例えば、オペレータは、製剤識別情報および血液製剤に関する他の情報を、情報処理装置2の入力部204(図6参照)を操作してデータベース2aに記憶させてもよい。
【0035】
検査工程では、製造された血液製剤について、全数調査または抜き取り調査が行われる。オペレータは、血液バッグから血液製剤の一部を検体として検体容器に分注する。オペレータは、血液バッグからバーコードラベル50a、50b、50c、50d、50eのいずれかを1枚剥がし、当該検体容器に貼り付ける。検体容器に分注された検体の測定および分析には血液分析装置1が用いられる。血液分析装置1は、血液検体中の血球成分を分析可能な装置であり、例えば、シスメックス株式会社製の多項目自動血球分析装置XNシリーズ Blood Bankモードが使用できる。検査工程では、検体容器に貼り付けられたバーコードラベルが示す製剤識別情報が検体識別情報として使用される。血液分析装置1は、検体容器に付されたバーコードラベルから検体識別情報を読み取って検体容器内の検体を測定し、検体識別情報に対応付けて測定結果を記憶する。測定結果は、例えば、測定項目(赤血球数、白血球数および血小板数など)の値と、正常または異常の判定結果と、を含む。
【0036】
血液分析装置1は、検体識別情報および測定結果を、測定日時および血液分析装置1を識別するための装置IDとともに情報処理装置2に送信する。測定日時および装置IDは、測定結果以外の血液製剤に関する他の情報である。
【0037】
情報処理装置2は、血液製剤に関する情報を製剤識別情報に対応付けて記憶するデータベース2aを備える。データベース2aにおいて、血液分析装置1から受信した測定結果と、測定結果以外の血液製剤に関する他の情報とが、製剤識別情報に基づいて関連付けられる。実施形態1では、上述したように検体識別情報と製剤識別情報は同じであるため、データベース2aにおいて、測定結果と、測定結果以外の血液製剤に関する他の情報とを、製剤識別情報に基づいて関連付けることができる。これにより、血液分析装置1による検体の測定結果と、血液製剤に関する他の情報とを一元管理できる。よって、血液製剤のトレーサビリティを向上させつつ、品質確認のために測定された血液製剤の測定結果を円滑に確認できる。
【0038】
製剤識別情報に関連付けられた血液製剤に関する情報に基づいて、血液製剤が出荷可能か否かの判定、すなわち出荷判定が行われる。血液製剤の出荷が可能と判定されると、当該血液製剤は出荷または出荷に備えて保管される。
【0039】
なお、図1では、製造所に血液分析装置1および情報処理装置2の両方が設置されたが、図3に示すように、複数の製造所4ごとに血液分析装置1が設置され、各製造所の血液分析装置1が、インターネット等のネットワーク5を介して、情報処理装置2に接続されてもよい。各製造所4には、作業端末も設置されている。各作業端末は、インターネット等のネットワーク5を介して情報処理装置2に接続されている。この場合、製造工程における製剤識別情報および他の情報のデータベース2aへの記憶は、製造所4内に設置された作業端末により行われる。
【0040】
また、図1では、情報処理装置2は、血液分析装置1から送信された測定結果および測定結果以外の血液製剤に関する他の情報を、血液分析装置1から直接受信したが、これらの情報を、他の装置を介して受信してもよい。
【0041】
図4は、データベース2aに記憶される項目を模式的に示す図である。
【0042】
データベース2aは、製剤識別情報、血液センター、採血施設、採血種別、血液型、製剤種別、製造所ID、測定結果および測定日時などの項目を含む血液製剤テーブルを備える。血液製剤テーブルにおいて、測定結果と、測定結果以外の血液製剤に関する他の情報とは、製剤識別情報に基づいて関連付けられている。
【0043】
図5は、血液分析装置1の構成を示すブロック図である。
【0044】
血液分析装置1は、測定ユニット110および制御ユニット120を備える。
【0045】
測定ユニット110は、測定制御部111と、記憶部112と、読取部113と、試料調製部114と、検出部115と、信号処理回路116と、を備える。
【0046】
測定制御部111は、例えば、FPGAまたはCPUにより構成される。記憶部112は、例えば、ROM、RAM、SSD、HDDなどにより構成される。測定制御部111は、測定ユニット110の各部が出力する信号を受信し、測定ユニット110の各部を制御する。測定制御部111は、制御ユニット120と通信を行う。測定制御部111は、記憶部112に記憶されたプログラムに基づいて各種の処理を行う。
【0047】
読取部113は、例えば、バーコードリーダにより構成される。読取部113は、血液分析装置1に供給された検体容器に付されたバーコードラベルからバーコードを読み取り、検体識別情報を取得する。検体には検体識別情報に関連付けて予め測定オーダが設定されており、測定オーダは、どの測定項目について測定および分析を行うかを示す情報を含んでいる。例えば、赤血球製剤に対応する測定オーダの場合、測定項目は、赤血球数および残存白血球数などを含み、血漿製剤に対応する測定オーダの場合、測定項目は、残存赤血球数および残存白血球数などを含み、血小板製剤に対応する測定オーダの場合、残存赤血球数、残存白血球数および血小板数などを含む。
【0048】
試料調製部114は、検体容器から検体を吸引し、吸引した検体に試薬を混合して、測定オーダに対応する測定試料を調製する。試料調製部114は、検体に対して所定の試薬を混合することにより、赤血球数/血小板数測定試料、ヘモグロビン測定試料、白血球数測定試料、白血球分類測定試料、および血小板数測定試料を調製する。
【0049】
検出部115は、試料調製部114で調製された測定試料から所定成分を検出する。検出部115は、電気抵抗式検出部115aと、ヘモグロビン検出部115bと、光学式検出部115cと、を備える。電気抵抗式検出部115aは、シースフローDC検出法により血球の測定を行う。ヘモグロビン検出部115bは、SLS-ヘモグロビン法によりヘモグロビンの測定を行う。光学式検出部115cは、フローサイトメトリー法により血球の測定を行う。
【0050】
信号処理回路116は、電気抵抗式検出部115a、ヘモグロビン検出部115b、および光学式検出部115cの夫々から出力された検出信号に対して信号処理を行った結果を測定データとして、測定制御部111に出力する。
【0051】
測定制御部111は、信号処理回路116から出力された測定データを記憶部112に記憶させる。1つの検体の測定が終わると、測定制御部111は、読取部113により読み取られた検体識別情報に対応付けて、記憶部112に記憶した測定データを制御ユニット120に送信する。
【0052】
制御ユニット120は、制御部121と、記憶部122と、表示部123と、入力部124と、通信部125と、を備える。
【0053】
制御部121は、例えば、CPUにより構成される。記憶部122は、例えば、SSDやHDDなどにより構成される。制御部121は、制御ユニット120の各部が出力する信号を受信し、制御ユニット120の各部を制御する。制御部121は、測定ユニット110の測定制御部111と通信を行って、測定制御部111を介して測定ユニット110の各部を制御する。制御部121は、測定ユニット110から受信した測定データを記憶部122に記憶させる。制御部121は、記憶部122に記憶されたプログラムに基づいて、測定データを用いて検体の分析を行い、測定結果を生成する。制御部121は、生成した測定結果を、検体識別情報に関連付けて記憶部122に記憶する。
【0054】
例えば、検体が赤血球製剤である場合、制御部121は、赤血球数/血小板数測定試料および白血球分類測定試料から得られた測定データから、それぞれ、単位体積あたりの赤血球数(RBC)および単位体積あたりの残存白血球数(WBC)を算出する。検体が血漿製剤である場合、制御部121は、白血球分類測定試料および赤血球数/血小板数測定試料から得られた測定データから、それぞれ、単位体積あたりの残存白血球数(WBC)および単位体積あたりの残存赤血球数(RBC)を算出する。検体が血小板製剤である場合、制御部121は、血小板数測定試料、白血球分類測定試料および赤血球数/血小板数測定試料から得られた測定データから、それぞれ、単位体積あたりの血小板数(PLT)、単位体積あたりの残存白血球数(WBC)および単位体積あたりの残存赤血球数(RBC)を算出する。このように、制御部121は、測定結果として、測定項目ごとの値を取得する。
【0055】
また、制御部121は、測定項目の値に基づいて、検体ごとに正常または異常の判定を行う。「検体が正常」とは、血液製剤が製品として合格であることを示し、当該血液製剤が出荷可能な状態であることを示す。「検体が異常」とは、血液製剤が製品として不合格であることを示し、当該血液製剤が出荷不可能な状態であることを示す。赤血球製剤の場合、例えば、赤血球数が正常範囲内であり、残存白血球数が所定値よりも少ない場合に正常と判定される。血漿製剤の場合、例えば、残存白血球数が所定値よりも少なく、残存赤血球数が所定値よりも少ない場合に正常と判定される。血小板製剤の場合、例えば、血小板数が正常範囲内であり、残存白血球数が所定値よりも少なく、残存赤血球数が所定値よりも少ない場合に正常と判定される。
【0056】
表示部123は、例えば、液晶ディスプレイにより構成される。表示部123は、画像により構成された各種の画面を表示する。表示部123には、例えば、検体識別情報ごとの測定結果を示す画面が表示される。入力部124は、例えば、キーボードおよびマウスにより構成される。オペレータは、入力部124を介して、制御ユニット120に指示を入力する。
【0057】
なお、表示部123および入力部124が一体的に構成されてもよい。例えば、制御ユニット120は、表示部123および入力部124として、タッチパネル式のディスプレイを備えてもよい。
【0058】
通信部125は、例えば、イーサネット規格に基づいて情報処理装置2と通信可能な通信インターフェースを備える。制御部121は、通信部125を介して、検体識別情報に関連付けて測定結果および測定日時を情報処理装置2に送信する。
【0059】
なお、測定ユニット110と制御ユニット120は、一体的に構成されてもよい。この場合、例えば、測定制御部111が省略され、制御部121が、血液分析装置1の各部を制御する。血液分析装置1として、例えば、米国特許公開第2019-0049383号公報に記載の装置が使用でき、当該公報は参照により本明細書に組み込まれる(U.S. Patent Publication No. 2019-0049383 is hereby incorporated by reference)。
【0060】
図6は、情報処理装置2の構成を示すブロック図である。
【0061】
情報処理装置2は、制御部201と、記憶部202と、表示部203と、入力部204と、通信部205と、を備える。
【0062】
制御部201は、例えば、CPUにより構成される。制御部201は、情報処理装置2の各部が出力する信号を受信し、情報処理装置2の各部を制御する。記憶部202は、例えば、SSDやHDDなどにより構成される。記憶部202は、データベース2aを記憶している。
【0063】
表示部203は、例えば、液晶ディスプレイにより構成される。表示部203は、画像により構成された各種の画面を表示する。入力部204は、例えば、キーボードおよびマウスにより構成される。
【0064】
なお、表示部203および入力部204が一体的に構成されてもよい。例えば、情報処理装置2は、表示部203および入力部204として、タッチパネル式のディスプレイを備えてもよい。
【0065】
通信部205は、例えば、イーサネット規格に基づいて血液分析装置1および作業端末と通信可能な通信インターフェースを備える。制御部201は、通信部205を介して、製造工程において作業端末に対して入力された製剤識別情報および他の情報を受信し、検査工程において血液分析装置1から検体識別情報(製剤識別情報)、測定結果および他の情報を受信する。制御部201は、受信した血液製剤に関する情報を、製剤識別情報に対応付けてデータベース2aに記憶させる。
【0066】
次に、図7、8を参照して、血液分析装置1および情報処理装置2が行う処理についてフローチャートを参照して説明する。
【0067】
図7は、血液分析装置1が行う処理を示すフローチャートである。
【0068】
ステップS11において、血液分析装置1の制御部121は、血液製剤の製剤識別情報を取得する。上述したように、血液分析装置1に供給される検体容器には、検体識別情報として製剤識別情報を用いたバーコードラベルが付されている。制御部121は、検体容器のバーコードラベルから検体識別情報を読み取るよう測定制御部111に指示し、測定制御部111が読取部113を駆動する。
【0069】
ステップS12において、制御部121は、血液分析装置1で検体を測定するよう測定制御部111に指示する。具体的には、指示を受けた測定制御部111は、検体容器から検体が吸引され、検体から測定試料が調製されるよう、試料調製部114を駆動する。そして、測定制御部111は、測定試料が測定されるよう検出部115を駆動する。信号処理回路116は、検出部115の各部で出力された検出信号に基づいて測定データを生成する。
【0070】
ステップS13において、制御部121は、信号処理回路116が生成した測定データに基づき、検体の測定結果を生成し、生成した測定結果を、ステップS11において取得した検体識別情報(製剤識別情報)と対応付けて記憶部122に記憶する。また、制御部121は、当該検体の測定日時を検体識別情報と対応付けて記憶部122に記憶する。
【0071】
ステップS14において、制御部121は、検体識別情報と対応付けて、測定結果と、測定結果以外の血液製剤に関する他の情報(測定に付随する他の情報)とを情報処理装置2に送信する。上述したように、この場合の測定に付随する他の情報は、測定日時を含む。なお、ステップS14の処理は、ステップS13の処理が完了するたびに、オペレータの指示を介することなく自動で実行されてもよいし、オペレータが入力部124を操作したことに応じて実行されてもよい。
【0072】
図8は、情報処理装置2が行う処理を示すフローチャートである。
【0073】
ステップS21において、情報処理装置2の制御部201は、作業端末から、製造工程において入力された製剤識別情報と、測定結果以外の血液製剤に関する他の情報とを受信する。ステップS22において、制御部201は、ステップS21で受信した製剤識別情報と血液製剤に関する他の情報とを、記憶部202のデータベース2aに記憶させる。
【0074】
ステップS23において、制御部201は、図7のステップS14において血液分析装置1から送信された、検体識別情報と、測定結果と、血液製剤に関する他の情報(測定に付随する他の情報)とを受信する。ステップS24において、制御部201は、自動で、ステップS23で受信した測定結果と血液製剤に関する他の情報(測定に付随する他の情報)とを、製剤識別情報に基づいて関連付けてデータベース2aに記憶させる。これにより、図4に示したように、自動で、測定結果と、ステップS22およびS24で記憶した血液製剤に関する他の情報とが、製剤識別情報に基づいて関連付けられる。上述のとおり、検体識別情報として製剤識別情報が用いられているため、測定結果と血液製剤に関する他の情報とを、製剤識別情報に基づいて関連付けることができる。「自動」とは、オペレータによる操作を介さないことを意味する。なお、ステップS24の処理は、オペレータによる操作を介して実行されてもよい。
【0075】
ステップS25において、制御部201は、複数の検体の測定結果を集計し、統計結果を算出する。なお、ステップS25の処理は省略可能である。
【0076】
次に、図9~12を参照して、情報処理装置2の表示部203に表示される画面の例について説明する。図9~12の各画面は、オペレータが入力部204を操作して入力した表示指示に応じて、制御部201により表示部203に表示される。
【0077】
図9、10は、測定結果が集計された統計結果を時系列で表示する画面を模式的に示す図である。
【0078】
オペレータが、測定項目選択領域301に表示される測定項目を選択すると、グラフ領域302には、選択された測定項目について、所定の測定日時の期間において測定された血液製剤の測定結果を集計した統計結果が、時系列で表示される。
【0079】
図9に示す例では、血小板製剤の測定結果のうち、測定項目IPF(%)(幼弱血小板比率)が選択され、グラフ領域302には、IPF(%)の集計結果を示す箱ひげ図が表示されている。図10に示す例では、血小板製剤の測定結果のうち、測定項目WBC(残存白血球数)が選択され、グラフ領域302には、WBCの集計結果を示す箱ひげ図が表示されている。オペレータは、図9、10に示すような画面を参照することにより、個別の検体(血液製剤)の測定結果だけでなく、測定結果のデータ分布を把握できる。
【0080】
なお、図9、10に示す画面に、血液製剤に関する他の情報(例えば、血液センター、採血施設、採血種別、血液型、製剤種別、製造所ID、製造日時および測定日時など)を受け付けるための操作部(例えば、プルダウンメニュー)が設けられてもよい。この場合、オペレータにより操作部で指定された情報に対応する測定結果が集計されることにより統計結果が生成され、生成された統計結果がグラフ領域302に表示される。これにより、オペレータは、異なる期間、製造所および採血施設について、比較を行うことができる。
【0081】
図11は、測定結果が集計された統計結果を期間ごとに表示する画面を模式的に示す図である。
【0082】
オペレータが、製剤種別選択領域311に表示される製剤種別を選択すると、リスト領域312には、製剤種別選択領域311で選択された製剤種別について、血液製剤の測定結果を集計した統計結果が、期間ごとに表示される。
【0083】
図11に示す例では、製剤種別のうち血小板製剤が選択され、リスト領域312には、血小板製剤について測定日時が属する月ごとに集計された結果が表示されている。リスト領域312は、項目として、月、トータルカウント(全検査数)、ノーマルカウント(正常検体数)、アブノーマルカウント(異常検体数)および合格率(%)を含んでいる。合格率は、正常検体数を全検査数で除算した値である。オペレータは、図11に示すような画面を参照することにより、特定の製剤種別について月ごとの傾向を把握できる。
【0084】
なお、図11に示す画面においても、血液製剤に関する他の情報(例えば、血液センター、採血施設、採血種別、血液型、製造所ID、製造日時および測定日時など)を受け付けるための操作部が設けられてもよい。
【0085】
図12は、測定結果を抽出して表示させる指示を入力するための画面を模式的に示す図である。
【0086】
オペレータは、プルダウンメニュー321~324を操作して、測定結果を抽出するための条件を選択する。オペレータが抽出ボタン325を操作すると、プルダウンメニュー321~324で選択された条件に基づいて測定結果が抽出され、抽出された測定結果の統計結果が表示部203に表示される。図12に示す例では、測定日時の期間を選択するためのプルダウンメニュー321、322と、製造所IDを選択するためのプルダウンメニュー323と、製剤種別を選択するためのプルダウンメニュー324とが画面に配置されている。
【0087】
なお、図12に示す画面に、血液製剤に関する他の情報(例えば、血液センター、採血施設、採血種別、血液型および製造日時など)を選択するための操作部が設けられてもよい。
【0088】
オペレータは、図12に示す画面において適宜条件を組み合わせ、条件に合致する血液製剤の測定結果から算出された統計結果を、表示部203に表示させることができる。これにより、オペレータは、複数の観点から血液製剤の検査結果を評価できる。
【0089】
<実施形態1による管理方法、情報処理装置、および情報管理システムの効果>
情報処理装置2の制御部201は、血液製剤から採取された検体の検体識別情報として血液製剤の製剤識別情報を用いて血液分析装置1により測定された検体の測定結果と、検体識別情報とを取得する(図8のステップS23)。制御部201は、血液製剤に関する情報が製剤識別情報に対応付けて記憶されるデータベース2aにおいて、測定結果と、測定結果以外の血液製剤に関する他の情報とを、検体識別情報として用いられた製剤識別情報に基づいて関連付ける(図8のステップS24)。
【0090】
この処理によれば、血液製剤から採取された検体の検体識別情報として血液製剤の製剤識別情報を用いることにより、検体の検体識別情報と血液分析装置1による検体の測定結果とを取得し、取得した測定結果と血液製剤に関する他の情報とを製剤識別情報に対応付けることができる。これにより、血液分析装置1による検体の測定結果と血液製剤に関する他の情報とを一元管理できる。なお、一元管理とは、必ずしも単一の情報処理装置に測定結果と血液製剤に関する他の情報とが記憶されていることを意味するものではなく、複数の情報処理装置に測定結果と血液製剤に関する他の情報とが分散して記憶されていても、それらを製剤識別情報によって対応付けられる状態であればよい。
【0091】
製剤識別情報は、ドナーから採血された血液を収容する血液バッグに付与される識別情報である。この構成によれば、採血施設で血液バッグに付与された製剤識別情報に基づいて情報の一元管理が行われるため、採血時まで遡って情報を一元管理できる。
【0092】
製剤識別情報は、測定結果以外の血液製剤に関する他の情報の少なくとも一部がコード化された番号を含む。血液製剤に関する他の情報の少なくとも一部は、例えば、血液センター、採血施設、採血種別および血液型である。このような製剤識別情報を血液製剤のバッグなどに貼り付けることにより、血液製剤の取り違いを防ぎ、血液製剤に対応付けられた情報を確実に取得できる。
【0093】
血液製剤に関する他の情報は、血液製剤の性質、血液製剤の製造工程および血液製剤の測定工程の少なくとも一つに関する情報を含む。血液製剤の性質は、例えば、血液型や製剤種別などである。血液製剤の製造工程は、図1に示した採血施設での採血工程と、図1等に示した血液製剤を実際に製造する製造工程とを含む。血液製剤の測定工程は、図1等に示した検査工程を含む。この構成によれば、測定結果と、血液製剤の性質および各工程の情報とを一元管理できる。
【0094】
情報処理装置2の制御部201は、血液製剤に関する他の情報に基づいてデータベース2aに登録されている複数の血液製剤から少なくとも一つの血液製剤を選択し、図9~11に示したように、選択した少なくとも一つの血液製剤から採取された検体の測定結果を集約した情報をさらに生成する(図8のステップS25)。この処理によれば、評価対象としたい1または複数の血液製剤を絞り込んで、それらの測定結果をまとめて確認できる。
【0095】
<実施形態1の変更例1>
実施形態1の検査工程において、オペレータが、血液分析装置1に測定オーダを入力してもよい。
【0096】
図13は、実施形態1の変更例1に係る、血液の採取、血液製剤の製造、および検査の一連の流れを模式的に示す図である。
【0097】
図13では、便宜上、採血工程の図示が省略されている。図13では、図1と比較して、血液製剤に関する他の情報、具体的には製造工程で製造された血液製剤の製剤種別に基づいて、オペレータが、測定オーダを血液分析装置1に入力する。
【0098】
図14は、血液分析装置1の表示部123(図5参照)に表示される、測定オーダを入力するための画面を模式的に示す図である。図14の画面は、オペレータが入力部124を操作して入力した表示指示に応じて、制御部121により表示部123に表示される。
【0099】
オペレータは、入力部124(図5参照)や読取部113(図5参照)を操作して、検体容器に貼り付けられたバーコードラベルが示す検体識別情報をテキストボックス401に入力する。
【0100】
オペレータは、赤血球製剤、血漿製剤および血小板製剤の測定オーダを選択する場合、それぞれ、ラジオボタン411~413を選択する。赤血球製剤の測定オーダが選択されると、血液分析装置1は、赤血球数を測定する。血漿製剤の測定オーダが選択されると、血液分析装置1は、残存白血球数および残存赤血球数を測定する。血小板製剤の測定オーダが選択されると、血液分析装置1は、血小板数を測定する。また、ラジオボタン411、413が選択された場合、それぞれ、チェックボックス411a、413aが有効になる。チェックボックス411aが選択されると、赤血球製剤の測定において、さらに、残存白血球数が測定される。チェックボックス413aが選択されると、血小板製剤の測定において、さらに、残存白血球数および残存赤血球数が測定される。
【0101】
オペレータによりOKボタン402が操作されると、制御部121(図5参照)は、テキストボックス401に入力された検体識別情報に関連付けて、ラジオボタン411、412、413およびチェックボックス411a、413aの選択状態に基づく測定オーダを、記憶部122に記憶させる。
【0102】
その後、血液分析装置1に検体容器が供給され、読取部113により検体容器から検体識別情報が読み取られると、測定制御部111は、読み取った検体識別情報に対応する測定オーダに基づいて測定試料の調製が行われるよう試料調製部114を駆動し、測定試料の測定が行われるよう検出部115を駆動する。
【0103】
本変更例によれば、図14の画面を介して測定オーダの入力が可能になるため、血液製剤から採取された検体の測定を円滑に開始できる。
【0104】
<実施形態1の変更例2>
実施形態1の変更例1では、図14の画面を介して測定オーダの入力が行われたが、情報処理装置2が製剤種別に基づいて測定オーダを決定し、血液分析装置1は情報処理装置2から測定オーダを取得してもよい。
【0105】
図15は、実施形態1の変更例2に係る、血液の採取、血液製剤の製造、および検査の一連の流れを模式的に示す図である。
【0106】
図15では、図13と比較して、オペレータによる測定オーダの入力は行われず、血液分析装置1の問い合わせに応じて、情報処理装置2から血液分析装置1に測定オーダが送信される。
【0107】
情報処理装置2の制御部201は、製造工程において送信された血液製剤に関する他の情報に基づいて測定オーダを生成する。具体的には、制御部201は、製剤種別に基づいて図14に示した例と同様の測定オーダを生成する。ただし、残存血球を測定するか否かの情報(図14のチェックボックス411a、413aに相当する情報)については、予めオペレータが情報処理装置2に対して測定の実行または不実行を設定しておく。本変更例では、図16に示すように、制御部201は、生成した測定オーダを、データベース2aにおいて製剤識別情報に対応付けて記憶させる。
【0108】
血液分析装置1に検体容器が供給され、読取部113により検体容器から検体識別情報が読み取られると、血液分析装置1の制御部121は、検体識別情報に基づいて、情報処理装置2に対して測定オーダの問い合わせを行う。情報処理装置2の制御部201は、受信した問い合わせに含まれる検体識別情報を製剤識別情報に読み替えて、データベース2aから測定オーダを読み出す。制御部201は、読み出した測定オーダを検体識別情報に対応付けて血液分析装置1に送信する。血液分析装置1の制御部121は、受信した測定オーダを検体識別情報に対応付けて記憶し、測定オーダに基づく測定を開始させる。
【0109】
本変更例によれば、製剤種別に応じて測定オーダが自動で作成され、データベース2aに記憶される。そして、血液分析装置1からの測定オーダの問い合わせに応じて、情報処理装置2から血液分析装置1に測定オーダが送信される。これにより、オペレータの手間を省略しつつ、血液製剤から採取された検体の測定を円滑に開始できる。
【0110】
<実施形態1の変更例3>
実施形態1の変更例1では、検体識別情報として製剤識別情報が用いられたが、検査工程において、検体を識別するための検体識別情報が製剤識別情報と無関係に付与されてもよい。
【0111】
この場合、血液分析装置1は、図7のステップS13が完了すると、ステップS14において、自動で、ステップS11で取得した製剤識別情報と対応付けて、測定結果と血液製剤に関する他の情報(測定に付随する他の情報)とを情報処理装置2に送信する。情報処理装置2は、図8のステップS23において、血液分析装置1から、製剤識別情報と、測定結果と血液製剤に関する他の情報(測定に付随する他の情報)とを受信し、ステップS24において、自動で、測定結果と血液製剤に関する他の情報とを、製剤識別情報に基づいて関連付けてデータベース2aに記憶する。
【0112】
<実施形態1の変更例3による管理方法、情報処理装置、および情報管理システムの効果>
本変更例によれば、血液分析装置1による血液製剤の測定結果と血液製剤に関する他の情報とをデータベース2aにおいて対応付けて一元管理できる。また、血液分析装置1からの測定結果および製剤識別情報の送信、および、データベース2aにおける血液製剤の測定結果と血液製剤に関する他の情報との対応付けが、自動で行われるため、これら情報の一元管理を容易かつ適正に行うことができる。
【0113】
<実施形態2>
実施形態1では、製剤識別情報がそのまま検体識別情報として用いられたが、実施形態2では、製剤識別情報に付加情報が追加された情報が、検体識別情報とされる。なお、検体識別情報として製剤識別情報を用いる点で、実施形態1と実施形態2は共通している。
【0114】
図17は、実施形態2に係る、血液の採取、血液製剤の製造、および検査の一連の流れを模式的に示す図である。
【0115】
図17では、図1と比較して、検体識別情報が血液分析装置1に入力される前に、製剤識別情報に付加情報が追加され、血液分析装置1から測定結果が生成された後、データベース2aへの記憶の前に、検体識別情報から付加情報が除去される。
【0116】
例えば、製剤識別情報の末尾に、所定の番号や文字列からなる付加情報が追加され、製剤識別情報および付加情報により構成される情報が、検体識別情報として用いられる。この場合、検体容器に貼られるバーコードラベルには、新たに設定された検体識別情報を示すバーコードが印刷される。そして、情報処理装置2の制御部201は、血液分析装置1から、検体識別情報、測定結果および血液製剤に関する他の情報(測定に付随する他の情報)を受信すると、検体識別情報から付加情報を除去し、除去後の製剤識別情報に関連付けて測定結果および血液製剤に関する他の情報を、データベース2aに記憶させる。
【0117】
なお、製剤識別情報への付加情報の追加および検体識別情報からの付加情報の除去は、血液分析装置1の制御部121により行われてもよい。
【0118】
<実施形態2の変更例>
実施形態2では、付加情報が追加された製剤識別情報が、検体識別情報として用いられたが、これに代えて、製剤識別情報を所定のルールで変換した番号や文字列が、検体識別情報得として用いられてもよい。この場合、測定結果の生成後に、検体識別情報は、所定のルールに基づいて製剤識別情報に戻される。なお、検体識別情報として製剤識別情報を用いる点で、本変更例は、実施形態1および実施形態2と共通している。
【0119】
例えば、血液分析装置1は、製剤識別情報を受け付けると、製剤識別情報の各桁に所定の整数(例えば、1)を加え、その演算結果の下1桁を各桁とする検体識別情報を生成する。情報処理装置2の制御部201は、測定結果等を受信すると、検体識別情報の各桁から当該所定の整数(例えば、1)を減算し、もとの製剤識別情報を得る。具体例を挙げると、製剤識別情報が「37-2134-0639」の場合、各桁に1が加算されることにより、検体識別情報は「48-3245-1740」となる。検体識別情報から製剤識別情報を得る場合には、検体識別情報の各桁から1が減算されることにより元の製剤識別情報が得られる。
【0120】
<実施形態3>
実施形態1では、1つの製造所に1台の血液分析装置1が配置されたが、実施形態3では、1つの製造所に複数の血液分析装置1が配置される。
【0121】
図18は、実施形態3に係る、血液の採取、血液製剤の製造、および検査の一連の流れを模式的に示す図である。
【0122】
図18では、図1と比較して、製造所内に3台の血液分析装置1が配置されている。3台の血液分析装置1と、1台の情報処理装置2は、情報管理システム3を構成している。図19に示すように、3台の血液分析装置1とおよび1台の情報処理装置2は、製造所内のLANに接続されている。このような接続により、3台の血液分析装置1および1台の情報処理装置2は、互いに通信を行うことができる。
【0123】
製造工程では、実施形態1と同様、全ての血液製剤に関して、製剤識別情報と、測定結果以外の血液製剤に関する他の情報とが、データベース2aに記憶される。製造工程で製造された血液製剤は、所定のルールに従って、3台の血液分析装置1に振り分けられる。所定のルールは、例えば、3台の血液分析装置1の処理検体数がほぼ等しくなるように血液製剤を振り分けるためのルールや、3つの時間帯(午前、午後、夜間)に応じて血液製剤を3台の血液分析装置1に振り分けるためのルールである。振り分けられた血液製剤は、血液分析装置1で測定が行われ、検体識別情報に関連付けて、測定結果と、測定結果以外の血液製剤に関する他の情報とがデータベース2aに記憶される。
【0124】
図20は、データベース2aに記憶される項目を模式的に示す図である。
【0125】
実施形態3のデータベース2aは、図4と比較して、血液分析装置1を個別に識別可能な装置IDを含む。図18において、血液分析装置1から情報処理装置2に送信される血液製剤に関する他の情報(測定に付随する他の情報)は、当該血液分析装置1に対応する装置IDを含む。これにより、オペレータは、情報処理装置2に表示される測定結果を参照する際に、当該測定結果がどの血液分析装置1で生成されたかを把握できる。
【0126】
次に、図21、22を参照して、情報処理装置2の表示部203に表示される画面の例について説明する。図21、22の各画面は、オペレータが入力部204を操作して入力した表示指示に応じて、制御部201により表示部203に表示される。
【0127】
図21は、個別の測定結果を表示する画面を模式的に示す図である。
【0128】
オペレータが、プルダウンメニュー501を操作して装置IDを選択し、プルダウンメニュー502を操作して製剤種別を選択すると、血液製剤選択領域503に、該当する血液製剤の一覧が表示される。オペレータは、血液製剤選択領域503を操作して血液製剤を選択すると、選択された血液製剤の測定結果が、測定項目ごとにリスト領域504に表示され、当該測定結果に関連するグラフが、グラフ領域505に表示される。これにより、オペレータは、血液製剤ごとに詳細な測定結果を確認できる。
【0129】
なお、図21に示す画面に、血液製剤に関する他の情報を受け付けるための操作部が設けられてもよい。これにより、表示される測定結果をさらに絞り込むことができる。
【0130】
図22は、測定結果が集計された統計結果を時系列で表示する画面を模式的に示す図である。
【0131】
オペレータが、プルダウンメニュー511を操作して装置IDを選択し、プルダウンメニュー512を操作して製剤種別を選択すると、グラフ領域513には、選択された装置IDの血液分析装置1において取得された測定結果のうち、選択された製剤種別の測定結果が表示される。グラフ領域513には、所定の測定日時の期間において測定された測定結果が集計された統計結果が、時系列で表示される。オペレータは、図22に示す画面を参照することにより、選択した血液分析装置1で行われた測定結果のデータ分布を把握できる。
【0132】
なお、図22に示す画面に、血液製剤に関する他の情報を受け付けるための操作部が設けられてもよい。これにより、表示される測定結果をさらに絞り込むことができる。
【0133】
<実施形態3による管理方法、情報処理装置、および情報管理システムの効果>
図19に示したように、血液分析装置は、複数の血液分析装置1を含み、図20に示したように、血液製剤の測定工程に関する情報は、検体の測定を行った血液分析装置1を特定するための装置IDを含む。この構成によれば、複数の血液分析装置1が設置される施設において、血液分析装置1間の相違を考慮して情報活用を行うことができる。
【0134】
<実施形態4>
実施形態4では、所定の条件に従って血液製剤をグループ化し、グループ化された血液製剤に関する情報が品質管理情報として用いられる。実施形態4における血液の採取、血液製剤の製造、および検査の一連の流れは、図1と同様である。
【0135】
図23は、実施形態4に係る、データベース2aに記憶される項目を模式的に示す図である。
【0136】
実施形態4のデータベース2aは、図4と比較して、血液製剤テーブルに、受入日時、製造機器ID、製造者ID、製造日時、装置IDおよびグループIDの項目を含む。上述したように、受入日時は、製造所が血液バッグを受け入れた日時である。製造機器IDは、製造工程で用いられた白血球除去フィルターのロット番号、製造工程で用いられた遠心分離器の識別情報、および、成分採血で用いられた成分採血装置の識別情報などである。製造者IDは、血液製剤を製造したオペレータを識別するための情報である。製造日時は、血液製剤が製造された日時である。装置IDは、血液分析装置1を識別するための情報である。グループIDは、データベース2aに登録された製剤識別情報をグループ化するためのIDである。
【0137】
グループIDが同じ製剤識別情報のグループが設定されると、そのグループの測定結果を参照して、グループ化された血液製剤の品質評価を行うことができる。
【0138】
図24は、製造サイクルおよび測定サイクルごとに品質管理が行われる例を模式的に示す図である。
【0139】
図24の上段に示すように、一般に、製造所には、午前、午後および夜間の3つの時間帯ごとに、血液バッグがまとまって搬送され、製造工程では、各時間帯において、血液バッグから血液製剤が製造される。1つの時間帯は、1つの製造サイクルに対応する。同一の製造サイクルにおいては、血液製剤が製造された状況(温度、湿度、製造設備の状態など)および製造に関わった製造者の手技などを含む製造プロセスが均一であると想定される。したがって、1つの製造サイクルにおいて製造された血液製剤がグループ化されると、グループ単位ごとに血液製剤の品質を適正に評価できる。
【0140】
図24の下段に示すように、一般に、検査工程では、午前、午後および夜間の3つの時間帯に分けて、血液製剤の測定が行われる。1つの時間帯は、1つの測定サイクルに対応する。同一の測定サイクルにおいては、測定に用いられた血液分析装置1の状態が均一であると想定される。したがって、1つの測定サイクルにおいて測定された血液製剤がグループ化されると、グループ単位ごとに血液製剤の品質を適正に評価できる。
【0141】
通常、同一の製造サイクルで一度に製造された血液製剤は、同一の測定サイクルで測定される。このように、同一の製造サイクルで一度に製造され、且つ、同一の測定サイクルで一度に製造される単位を、「バッチ」という。例えば、各地域の採血施設で採血された血液を定期的(例えば、朝、昼、夕方)に入荷する製造所においては、入荷した単位を「1バッチ」として、血液製剤の製造および測定が定期的(例えば、午前、午後、夜間)に行われる。バッチは1または複数の血液製剤からなり、好ましくは、複数の血液製剤からなる。なお、1つのバッチの測定サイクルで行われる測定は、1つの血液分析装置1で行われてもよく、複数の血液分析装置1で並行して行われてもよい。
【0142】
なお、図24の上段では、「製造日時」が「当日の特定の時間帯」(1つの製造サイクル)に合致する血液製剤がグループ化される例を示し、図24の下段では、「測定日時」が「当日の特定の時間帯」(1つの測定サイクル)に合致する血液製剤がグループ化される例を示したが、品質管理を目的としたグループ化は、これに限らない。
【0143】
例えば、「受入日時」が「当日」に該当する血液製剤が「採血施設」ごとにグループ化されてもよく、「受入日時」が「当日」に該当する血液製剤が「製造者ID」ごとにグループ化されてもよく、「受入日時」が「当日」に該当する血液製剤が「製造所ID」ごとにグループ化されてもよく、「受入日時」が「当日」に該当する血液製剤が「製造機器ID」ごとにグループ化されてもよい。
【0144】
上記のようなグループの生成は、情報処理装置2の制御部201により自動で行われる。この場合、現在時刻が設定時刻(例えば、12時や17時)になると、制御部201は、グループIDに共通の数字や文字列を格納し、血液製剤のグループを自動で生成する。また、オペレータによりグループ生成の指示が情報処理装置2に入力された場合に、制御部201が、血液製剤のグループを自動で生成してもよい。
【0145】
上記のようなグループの生成は、任意のタイミングでオペレータが手動で条件を入力することにより行われてもよい。
【0146】
図25は、手動でグループを生成するための画面を模式的に示す図である。図25の画面は、オペレータが入力部204を操作して入力した表示指示に応じて、制御部201により表示部203に表示される。
【0147】
図25の上段の画面は、製造日時の範囲を入力することにより製造サイクルに対応するグループを生成するための画面であり、図25の下段は、測定日時の範囲を入力することにより測定サイクルに対応するグループを生成するための画面である。
【0148】
図25の上段の画面において、オペレータは、テキストボックス601に任意のグループIDを入力し、プルダウンメニュー602~604を操作して、それぞれ製造日、開始時間および終了時間を選択する。そして、オペレータが生成ボタン605を操作すると、情報処理装置2の制御部201は、テキストボックス601に入力されたグループIDを、対応する製剤識別情報のグループIDの項目に記憶し、グループを生成する。
【0149】
図25の下段の画面において、オペレータは、テキストボックス611に任意のグループIDを入力し、プルダウンメニュー612~614を操作して、それぞれ測定日、開始時間および終了時間を選択する。そして、オペレータが生成ボタン615を操作すると、制御部201は、テキストボックス611に入力されたグループIDを、対応する製剤識別情報のグループIDの項目に記憶し、グループを生成する。
【0150】
なお、図25では、製造日時の範囲および測定日時の範囲に応じて製剤識別情報がグループ化されたが、図25と同様の画面を用いて、製造日時および測定日時以外の血液製剤に関する情報に応じて製剤識別情報がグループ化されてもよい。
【0151】
図26は、情報処理装置2によるグルーピング処理を示すフローチャートである。
【0152】
ステップS31において、情報処理装置2の制御部201は、所定のタイミングで、条件に合致する血液製剤の製剤識別情報を選択する。上記のように、所定のタイミングは、例えば、現在時刻が設定時刻になった場合、オペレータによりグループ生成の指示が入力された場合、および、図25に示したような画面において生成ボタン605、615が操作された場合などである。ステップS32において、制御部201は、ステップS31で選択した製剤識別情報にグループIDを関連付ける。すなわち、制御部201は、選択した製剤識別情報に対応するグループIDの項目に共通の数字や文字列を格納する。
【0153】
図27は、情報処理装置2によるグループごとの表示処理を示すフローチャートである。
【0154】
ステップS41において、制御部201は、グループの指定を受け付けたか否かを判定する。グループの指定は、例えば、図28~31で後述するプルダウンメニューに対するオペレータの操作により実行される。ステップS42において、制御部201は、ステップS41で指定されたグループに含まれる血液製剤の測定結果に基づく品質管理情報を生成する。ステップS43において、制御部201は、ステップS42で生成した品質管理情報を、図28~31で後述するように、表示部203に表示する。
【0155】
次に、図28~31を参照して、情報処理装置2の表示部203に表示される画面の例について説明する。図28~31の各画面は、オペレータが入力部204を操作して入力した表示指示に応じて、制御部201により表示部203に表示される。
【0156】
図28、29は、グループに含まれる血液製剤の測定結果に基づく品質管理情報を表示する画面を模式的に示す図である。
【0157】
オペレータがプルダウンメニュー621を操作してグループID(バッチNo.)を選択すると、プルダウンメニュー621で選択されたグループIDに対応する血液製剤に基づいて、リスト領域622に、測定結果を集計した統計結果が測定項目ごとに表示され、グラフ領域623に、各測定項目の値の分布を示すグラフが表示される。この場合、リスト領域622およびグラフ領域623が、品質管理情報となる。
【0158】
図28に示す例では、リスト領域622には、グループ化された血小板製剤の統計結果が示され、グラフ領域623には、グループ化された血小板製剤の各測定項目の値がヒストグラムで示されている。図29に示す例では、リスト領域622には、グループ化された血小板製剤の統計結果が示され、グラフ領域623には、グループ化された血小板製剤の各測定項目の値が箱ひげ図で示されている。オペレータは、図28、29に示すような画面を参照することにより、指定されたグループに含まれる血液製剤の測定結果に基づく品質管理情報を確認できる。
【0159】
オペレータは、図28、29に示すような画面を参照し、表示された品質管理情報に問題ないと判定すると、バリデートボタン624を操作する。これにより、当該グループに含まれる血液製剤が出荷可能な状態とされる。品質管理情報が表示される画面にバリデートボタン624が配置されることにより、オペレータは、品質管理情報を確認して円滑に血液製剤を出荷可能な状態に設定できる。
【0160】
また、血液製剤は健常人から採取された血液により製造されるため、オペレータは、各測定項目の統計結果を参照することにより、血液分析装置1で用いられた試薬の状態や血液分析装置1の状態も確認できる。この場合、データベース2aが、検査工程において血液分析装置1で使用された試薬のロット番号の項目を含み、図28、29の画面に、使用された試薬のロット番号が表示されてもよい。
【0161】
なお、図28、29の画面において、血液分析装置1の装置IDごとに統計結果を表示するためのプルダウンメニューが配置されてもよい。
【0162】
図30は、グループに含まれる血液製剤の測定結果に基づく品質管理情報を、装置IDごとに表示する画面を模式的に示す図である。
【0163】
オペレータがプルダウンメニュー631を操作してグループIDを選択すると、リスト領域632には、プルダウンメニュー631で選択されたグループIDに対応する血液製剤の品質管理情報が、血液分析装置1の装置IDごとに表示される。図30に示す例では、リスト領域632に、装置ID、製剤種別、測定オーダ、検体数および合格率などの項目が表示される。
【0164】
図31は、グループに含まれる血液製剤の測定結果に基づく品質管理情報を、フィルター条件に応じて表示する画面を模式的に示す図である。
【0165】
オペレータがプルダウンメニュー641を操作してグループIDを選択すると、リスト領域642には、プルダウンメニュー641で選択されたグループIDに対応する血液製剤の測定結果が、血液製剤ごとに表示される。また、オペレータはプルダウンメニュー643を操作して、リスト領域642に表示させる血液製剤を絞り込むことができる。
【0166】
図31に示す例では、プルダウンメニュー643において異常検体(Abnormal)が選択されているため、リスト領域642には、測定結果に異常値を含む血液製剤のみが表示されている。このとき、異常値となった測定項目の値が分かるように、異常値に対して囲みが付される。あるいは、異常値の文字色が、通常の文字色とは異なる文字色(赤色等)に変更されてもよい。
【0167】
<実施形態4による管理方法、情報処理装置、および情報管理システムの効果>
情報処理装置2の制御部201は、測定結果および血液製剤に関する他の情報に基づいて、図28~31に示したように、血液製剤の品質を管理するための品質管理情報をさらに生成する。この処理によれば、血液製剤の測定結果と血液製剤に関する他の情報とを有効活用して血液製剤の品質を評価できる。
【0168】
品質管理情報を生成することは、血液製剤に関する他の情報に基づいてデータベース2aに登録されている複数の血液製剤から少なくとも一つの血液製剤を選択し(図27のステップS41)、選択した少なくとも一つの血液製剤から採取された検体の測定結果に基づいて品質管理情報を生成すること(ステップS42)を含む。この処理によれば、評価対象とする血液製剤を絞り込むことで、品質管理がしやすくなる。
【0169】
品質管理情報を生成することは、複数の血液製剤からなる一群の血液製剤を選択し(図27のステップS41)、選択した一群の血液製剤に含まれるそれぞれの血液製剤から採取された検体の測定結果に基づく品質管理情報を生成すること(ステップS42)を含む。この処理によれば、血液製剤ごとの評価ではなく、選択したひとまとまりの血液製剤を一単位として品質評価を行うことができる。
【0170】
一群の血液製剤を選択すること(図27のステップS41)は、図25の上段に示した画面を介して、同一の製造サイクルで製造された血液製剤を特定するための条件に基づいて、一群の血液製剤を選択することを含む。この処理によれば、同一の製造サイクルで製造された複数の血液製剤を選択して品質管理情報を生成することにより、血液製剤が製造された状況(温度、湿度、製造設備の状態等)および製造に関わった製造者の手技等を含む製造プロセスが均一であると想定される複数の血液製剤を一つの単位としてひとまとめにし、その単位ごとに血液製剤の測定結果を評価することが可能となる。個々の血液製剤の測定結果を評価する場合と異なり、製造プロセスを加味して品質管理を行うことができる。
【0171】
一群の血液製剤を選択すること(図27のステップS41)は、図25の下段に示した画面を介して、同一の測定サイクルで血液分析装置1により測定された検体に対応する血液製剤を特定するための条件に基づいて、一群の血液製剤を選択することを含む。この処理によれば、同一の測定サイクルで測定された複数の血液製剤を選択して品質管理情報を生成することにより、血液製剤の測定に用いられた血液分析装置1の状態が均一であると想定される複数の血液製剤を一つの単位としてひとまとめにし、その単位ごとに血液製剤の測定結果を評価することが可能となる。個々の血液製剤の測定結果を評価する場合と異なり、血液分析装置1の状態を加味して品質管理を行うことができる。
【0172】
図28~30に示したように、品質管理情報は、一群の血液製剤から採取された検体の測定結果の傾向を評価するための情報(例えば、平均、標準偏差、変動係数、最小値、最大値、合格率など)を含む。この構成によれば、血液製剤ごとの評価ではなく、選択したひとまとまりの血液製剤の測定結果の傾向を評価することができるので、血液製剤の製造プロセスや血液分析装置1の状態の傾向を考慮して品質管理を行うことが可能となる。
【0173】
図28、29に示したように、品質管理情報は、一群の血液製剤から採取された検体の測定結果の統計結果(例えば、平均、標準偏差、変動係数など)を含む。この構成によれば、統計結果を用いることで、一群の血液製剤の品質の傾向を定量的に判断できる。
【0174】
図28、29に示したように、統計結果は、血液分析装置1による複数の測定パラメータ(例えば、PLTやMPVなどの測定項目)のそれぞれに対応する統計結果(例えば、平均、標準偏差、変動係数など)を含む。この構成によれば、測定パラメータごとに統計結果を確認することで、血液製剤の品質の傾向を詳細に分析できる。
【0175】
血液製剤に関する他の情報は、血液製剤の製造サイクルおよび測定サイクルの少なくとも一方を特定するための情報を含む。血液製剤の製造サイクルおよび測定サイクルを特定するための情報として、例えば、血液分析装置1による「測定日時」が挙げられる。血液製剤の製造と測定が一体となって行われる製造所においては、血液製剤の測定日時から、血液製剤の製造サイクルを特定することができるため、例えば、午前、午後、夜間などのそれぞれの時間帯を1つの製造サイクルまたは測定サイクルとして複数の血液製剤を一単位とすることができる。同様の理由から、血液製剤の製造サイクルおよび測定サイクルを特定するための情報は、例えば、製造日時や測定オーダが作成された日時でもよい。上記構成によれば、製造サイクルまたは測定サイクルごとにグループ化された血液製剤を、グループ単位で品質管理できる。
【0176】
なお、品質管理を行うために有効なグループ単位は、製造サイクルおよび測定サイクルに限らず、採血施設、製造者、製造所、製造機器などにより規定されてもよい。
【0177】
例えば、採血施設から製造所までの距離に応じて、製造所に血液が入荷されるタイミングが異なり、それぞれのタイミングに応じて血液製剤の製造サイクルの時間帯が異なるような場合には、採血施設に応じて血液製剤のグルーピングを行うことが有効である。例えば、製造所において製造サイクルごとに製造者が変わる場合には、製造者(製造者ID)に応じて血液製剤のグルーピングを行うことが有効である。例えば、複数拠点に分かれて設置された複数の製造所のそれぞれで製造された血液製剤に関する情報をまとめて管理する場合には、製造所(製造所ID)に応じて血液製剤のグルーピングを行うことが有効である。例えば、午前の製造サイクルでは1~3号機の遠心分離器を使って製造し、午後の製造サイクルでは4~6号機の遠心分離器を使って製造するような製造所においては、製造機器である遠心分離器の識別情報に応じて血液製剤のグルーピングを行うことが有効である。製造所の製造機器に限らず、採血施設に設置された機器に応じて血液製剤のグルーピングを行うことも有効である。例えば、ドナーからの採血に用いる採血装置が採血施設内に複数設置され、採血施設内のシフトに応じて異なる採血装置で採血が行われる場合には、採血装置の識別情報に応じて血液製剤のグルーピングを行うことも有効である。
【0178】
血液製剤に関する他の情報は、血液製剤の製造または血液製剤から採取された検体の測定が行われた時間に関する情報を含む。血液製剤の製造が行われた時間は、例えば、受入日時や製造日時などである。血液製剤から採取された検体の測定が行われた時間は、例えば、測定日時である。この構成によれば、時間に基づいて血液製剤をグルーピングできるため、ドナーの血液が製造所に入荷されるタイミングや時間帯ごとに血液製剤を区分けできる。
【0179】
少なくとも一つの血液製剤を選択することは、図25に示した画面を介して、一日の一部の時間帯に製造された血液製剤を選択することを含む。例えば、日単位で品質管理が行われる場合、朝一で入荷した血液バッグに基づく血液製剤の出荷が、1日分の検査が完了する夜まで行われないことになり、迅速な出荷が妨げられる。これに対し、上記の処理によれば、日単位の品質管理と比べて、血液製剤の製造後に迅速に品質管理をして血液製剤を出荷できる。
【0180】
情報処理装置2の制御部201は、図25に示した画面を介して、少なくとも一つの血液製剤を選択するための条件の設定を受け付ける。この処理によれば、製造所の運用に応じた条件で血液製剤を選択できる。
【0181】
少なくとも一つの血液製剤を選択するための条件は、1または複数の血液製剤からなるバッチを形成するための条件である。バッチとは、同一の製造サイクルで一度に製造され、同一の測定サイクルで測定される単位を意味する。この構成によれば、原材料が製品ごとに均質とはいえない血液製剤であっても、製造所に応じたバッチ管理を行うことが可能となる。
【0182】
情報処理装置2の制御部201は、図28~31グループIDに関するプルダウンメニューを介して、少なくとも一つの血液製剤を選択するための条件に応じて形成された複数のバッチからいずれかのバッチの指定を受け付け(図27のステップS41)、図28~31の画面のリスト領域やグラフ領域に示したように、指定されたバッチに対応する品質管理情報を表示する(ステップS43)。この処理によれば、オペレータは、特定のバッチの情報を容易に確認できる。
【0183】
図30のリスト領域632に示したように、品質管理情報は、バッチにおける血液製剤の合格率に関する情報を含む。一つのバッチに含まれる血液製剤のうち品質基準に合格した血液製剤の割合を示す合格率が表示されるので、当該バッチにおいて、どの程度の割合の血液製剤で測定結果の異常が発生したかを判断できる。このため、合格率は、血液製剤の製造プロセスや血液分析装置1の状態に問題があったか否かの判断に有用な指標となる。
【0184】
図28、29のバリデートボタン624を介して、情報処理装置2の制御部201は、バッチ単位で血液製剤の承認を受け付ける。この処理によれば、バッチごとの出荷判定を容易に行うことができる。
【0185】
<実施形態5>
血液製剤の検査精度を担保するために、血液分析装置1では、所定のタイミング(例えば、朝、昼、夕方)で精度管理用検体(以下、「QCサンプル」という)が測定され、QCサンプルの測定結果が生成される。実施形態5では、QCサンプルの1回の測定に基づく測定結果に関連する情報(以下、「精度管理情報」という)が、製剤識別情報またはグループIDに対応付けられる。オペレータは、1つの血液製剤またはグループの血液製剤に対応する精度管理情報を参照して、測定時の血液分析装置1の状態を確認できる。
【0186】
図32は、実施形態5に係る、精度管理情報が製剤識別情報に対応付けられる例を示す図である。
【0187】
図32の上段に示すように、この場合、データベース2aは、上記実施形態と同様、製剤識別情報に関連付けて、測定結果を含む血液製剤に関する情報を記憶するための血液製剤テーブルを備える。また、図32の下段に示すように、データベース2aは、1回のQCサンプルの測定ごとに、ロット番号、レベル、QC測定日時およびQC測定を行った血液分析装置1の装置IDなどを、精度管理情報として記憶するための精度管理情報テーブルをさらに備える。ロット番号は、QCサンプルごとに付与されたIDであり、レベルは、QCサンプルに含まれる成分の濃度である。
【0188】
例えば、オペレータが、対象となる血液製剤に対応する精度管理情報を表示するための指示を入力すると、制御部201は、対象の血液製剤と同じ装置IDを含み、且つ、QC測定日時が対象の血液製剤の測定日時に最も近い精度管理情報を、精度管理情報テーブルから抽出する。図32に示す例では、血液製剤テーブルの1行目の血液製剤が表示対象とされ、この血液製剤の測定日時の直前に行われた精度管理に関する情報として、精度管理情報テーブルの1行目が抽出されている。制御部201は、抽出した精度管理情報を対象の血液製剤の製剤識別情報に対応付けて、血液製剤の情報を表示する。
【0189】
なお、製剤識別情報と精度管理情報との関連付けは、血液製剤の情報の表示時に行われることに限らず、所定のタイミング(例えば、朝、昼、夕方)で制御部201により予め行われてもよい。この場合、製剤識別情報と精度管理情報とを対応付けるための他のテーブルがデータベース2aに別途設けられ、制御部201は、所定のタイミングで、血液製剤を特定する製剤識別情報と、精度管理情報を特定する情報(例えば、ロット番号およびQC測定日時)との関連付けを、他のテーブルに記憶させる。
【0190】
また、同一グループIDの一群の製剤識別情報に対して、精度管理情報が対応付けられてもよい。この場合、たとえば、1つの測定サイクルにより測定が行われた一群の血液製剤の製剤識別情報に共通のグループIDが付される。QCサンプルの測定は、測定サイクルの期間中には行われず、測定サイクルの前後に行われる。測定サイクルの直前および直後に行われたQCサンプルの測定結果が、精度管理情報として、当該測定サイクルに測定された血液製剤の製剤識別情報、すなわち、共通のグループIDが付された一群の製剤識別情報に対応付けられる。
【0191】
図33は、グループIDが精度管理情報に対応付けられる例を示す図である。
【0192】
この場合、データベース2aの血液製剤テーブルは、図32と比較して、さらにグループIDの項目を含む。また、図33に示す例では、装置IDが「A1」である血液分析装置1、すなわち、同じ測定サイクルが適用される血液分析装置1で測定された血液製剤に対して、同じグループID「20220315」が付されている。
【0193】
例えば、オペレータが、対象となる血液製剤のグループに対応する精度管理情報を表示するための指示を入力すると、制御部201は、対象の血液製剤のグループと同じ装置IDを含み、且つ、QC測定日時が当該グループに対する測定の時間帯の直前および直後の精度管理情報を、精度管理情報テーブルから抽出する。図33に示す例では、グループID「20220315」が表示対象とされ、このグループの測定の時間帯の直前および直後に行われた精度管理に関する情報として、精度管理情報テーブルの1、2行目が抽出されている。制御部201は、抽出した精度管理情報に、対象の血液製剤のグループIDを対応付けて、血液製剤のグループの情報を表示する。
【0194】
なお、グループIDと精度管理情報との関連付けは、血液製剤の情報の表示時に行われることに限らず、所定のタイミング(例えば、朝、昼、夕方)で制御部201により予め行われてもよい。この場合、グループIDと精度管理情報とを対応付けるための他のテーブルがデータベース2aに別途設けられ、制御部201は、所定のタイミングで、グループを特定するグループIDと、精度管理情報を特定する情報(例えば、ロット番号およびQC測定日時)との関連付けを、他のテーブルに記憶させる。
【0195】
図34の上段および下段は、それぞれ、血液製剤に関する情報を表示する画面および血液製剤のグループを表示する画面を模式的に示す図である。図34の2つの画面は、オペレータが入力部204を操作して入力した表示指示に応じて、制御部201により表示部203に表示される。
【0196】
図34の上段に示すように、血液製剤に関する情報を表示する画面には、製剤識別情報ごとにリンク項目が付与される。図34の下段に示すように、血液製剤のグループを表示する画面には、グループIDごとにリンク項目が付与される。オペレータがリンク項目内の「表示」をクリックすると、当該血液製剤またはグループに対応する精度管理情報の詳細を表示する画面(例えば、後述する図38と同様の画面)が、表示部203に表示される。複数の精度管理情報がある場合には、これら複数の精度管理情報の表示を選択するための画面が表示される。このように、血液製剤およびグループごとに精度管理情報を表示させるためのリンクが設けられると、精度管理情報の確認を円滑に行うことができる。
【0197】
図35は、血液分析装置1が行う処理を示すフローチャートである。
【0198】
ステップS51において、血液分析装置1の制御部121は、QCサンプルが収容された容器のバーコードから識別情報を読み取るよう測定制御部111に指示し、測定制御部111が読取部113を駆動する。読み取られた識別情報は、容器に収容されたQCサンプルのロット番号およびレベルを含んでいる。ステップS52において、血液分析装置1の制御部121は、血液製剤の場合と同様に、血液分析装置1でQCサンプルを測定し、測定結果を取得する。ステップS53において、制御部121は、ロット番号、レベル、QC測定日時、QC測定結果および装置IDを含む精度管理情報を、情報処理装置2に送信する。
【0199】
図36は、情報処理装置2が行う処理を示すフローチャートである。
【0200】
ステップS61において、情報処理装置2の制御部201は、図35のステップS53で送信された精度管理情報を受信し、受信した精度管理情報をデータベース2aの精度管理情報テーブルに記憶させる。ステップS62において、制御部201は、精度管理情報を、製剤識別情報またはグループIDに基づいて、血液製剤に関する情報(測定結果および血液製剤に関する他の情報)と関連付ける。上記のように、精度管理情報の関連付けは、血液製剤の情報を表示する際に行われてもよく、所定のタイミングで行われてもよい。
【0201】
なお、精度管理情報の対応付けは、上記のように制御部201により自動で行われることに限らず、オペレータにより手動で行われてもよい。
【0202】
図37~39を参照して、オペレータが手動で精度管理情報の対応付けを行う手順について説明する。図37~39の各画面は、オペレータが入力部204を操作して入力した表示指示に応じて、制御部201により表示部203に表示される。
【0203】
以下の例では、測定日時が2021年の3月30日の午後であり、且つ、血液分析装置1の装置IDが「XN1」である血液製剤に、予めグループID「20210330」が設定されている。オペレータは、以下の手順により、2021年の3月30日の午前中に製造され、その午後に測定が行われた血液製剤のグループに、精度管理情報を対応付ける。また、オペレータは、血液製剤のグループの測定サイクルの直前および直後に測定されたQCサンプルの測定結果のうち、適正な測定結果が得られた精度管理情報のみを、当該血液製剤のグループに対応付ける。
【0204】
図37は、精度管理情報の一覧を表示させるための画面を模式的に示す図である。
【0205】
オペレータは、プルダウンメニュー701を操作して血液分析装置1の装置IDを選択し、プルダウンメニュー702を操作してQCサンプルのレベルを選択し、プルダウンメニュー703を操作してQC測定日を選択する。プルダウンメニュー701~703が操作されると、選択された装置ID、レベルおよびQC測定日に基づいて、精度管理情報テーブルから該当する精度管理情報が抽出され、抽出された精度管理情報がリスト領域704に表示される。この例では、オペレータは、2021年の3月30日の午後に測定が行われた血液製剤のグループに対応する精度管理情報得として、リスト領域704の2行目を選択する。オペレータが表示ボタン705を操作すると、図38に示すように、リスト領域704で選択された精度管理情報の詳細が、情報処理装置2の表示部203に表示される。
【0206】
図38は、精度管理情報の詳細を示す画面を模式的に示す図である。
【0207】
リスト領域711、詳細表示領域712およびグラフ領域713には、図37で選択された精度管理情報に関する詳細が表示される。具体的には、リスト領域711には、測定項目ごとの測定結果、フラグおよびコメントが表示される。詳細表示領域712には、当該精度管理情報および過去の精度管理情報を集計した統計情報が、測定項目ごとに表示される。グラフ領域713には、測定結果の時系列の変化が、グラフにより示されている。
【0208】
オペレータは、リスト領域711、詳細表示領域712およびグラフ領域713を参照して、当該精度管理情報が適正であると判断すると、承認ボタン721を操作する。さらに、オペレータは、プルダウンメニュー722を操作してグループIDを選択する。この例では、オペレータは、2021年の3月30日の午後に測定が行われた血液製剤のグループに、図38に表示された精度管理情報得を関連付けるため、グループIDとして「20210330」を選択する。オペレータが関連付けボタン723を操作すると、図38に表示された精度管理情報が、プルダウンメニュー722で選択されたグループIDに対応付けられる。
【0209】
こうして、オペレータは、精度管理情報を承認しつつ、目的のグループIDに対して、承認済みの精度管理情報を対応付ける。情報処理装置2の制御部201は、この対応付けを管理するデータベース2a内のテーブルに、この対応付けを記憶させる。
【0210】
ところで、通常、測定サイクルにおいて行われた一群の血液製剤の測定結果の信頼性を担保するためには、当該測定サイクルの直前および直後の両方の精度管理情報が適正であることが好ましい。このため、1つの血液製剤のグループに対しては、図38の処理により、測定サイクルの直前および直後の両方の精度管理情報が対応付けられるのが好ましい。これにより、対象となるグループ(バッチ)の測定は、高い信頼性で行われたことが確認できる。
【0211】
図39は、グループIDに対応付けられた承認済みの精度管理情報の数を確認するための画面を模式的に示す図である。
【0212】
オペレータがプルダウンメニュー731を操作してグループIDを選択すると、リスト領域732には、血液分析装置1の装置IDごとに、対応付けられた承認済みの精度管理情報の数が表示される。
【0213】
この例では、対象となるグループ(バッチ)の血液製剤が、1つの測定サイクルの中で、装置IDがXN1、XN2、XN3の3台の血液分析装置1によって分散して測定されている。そして、対象となるグループ(バッチ)の精度管理情報への対応付けは、図37、38の画面を介して、血液分析装置1ごとに行われている。したがって、図39には、装置IDがXN1、XN2、XN3の血液分析装置1に対応する承認済みの精度管理情報の数(1、2、0個)が示されている。
【0214】
上述したように、通常、1つの測定サイクルに対して、2つの承認済みの精度管理情報が対応付けられるのが好ましい。したがって、承認済みの精度管理情報の数が2個である血液分析装置1(装置IDがXN2)において行われた測定の信頼性は高いと言える。
【0215】
<実施形態5による管理方法、情報処理装置、および情報管理システムの効果>
情報処理装置2の制御部201は、血液分析装置1の精度管理に関する情報を取得し(図36のステップS61)、精度管理に関する情報を、検体識別情報として用いられた製剤識別情報に基づいて、測定結果および血液製剤に関する他の情報と関連付ける(ステップS62)。この処理によれば、血液製剤の品質などを評価する際に、精度管理に関する情報を併せて活用することで、血液製剤の測定時の血液分析装置1の状態が正常であったか否かを考慮できる。
【0216】
<実施形態6>
上記実施形態では、血液製剤に関する情報が、情報処理装置2のデータベース2aのみに記憶された。これに対し、実施形態6では、血液製剤に関する情報の一部が、中間サーバ6のデータベース6aにも記憶される。
【0217】
図40は、実施形態6に係る、各装置の接続を模式的に示す図である。
【0218】
図40では、図19と比較して、製造所内に1台の中間サーバ6が追加されている。3台の血液分析装置1、1台の情報処理装置2および1台の中間サーバ6は、情報管理システム3を構成している。3台の血液分析装置1、1台の情報処理装置2および1台の中間サーバ6は、製造所内のLANに接続されている。このような接続により、3台の血液分析装置1、情報処理装置2および中間サーバ6は、互いに通信を行うことができる。
【0219】
図41は、中間サーバ6の構成を示すブロック図である。
【0220】
中間サーバ6は、制御部801と、記憶部802と、表示部803と、入力部804と、通信部805と、を備える。記憶部802には、データベース6aが記憶されている。中間サーバ6の制御部801、記憶部802、表示部803、入力部804および通信部805の構成は、それぞれ、情報処理装置2の制御部201、記憶部202、表示部203、入力部204および通信部205と同様の構成である。
【0221】
図42は、データベース6aに記憶される項目を模式的に示す図である。
【0222】
データベース6aは、血液製剤に関する情報のうち、測定に関する情報以外の情報を含む。具体的には、データベース6aは、製剤識別情報、血液センター、採血施設、採血種別、血液型、製剤種別、製造所ID、受入日時、製造機器ID、製造者IDおよび製造日時などの項目を含み、測定オーダ、測定結果、測定日時および装置IDの項目は含まない。
【0223】
オペレータが、製造工程において製剤識別情報および血液製剤に関する他の情報を、作業端末を用いて入力すると、これらの情報は中間サーバ6に送信され、データベース6aに記憶される。検査工程において、中間サーバ6のデータベース6aに記憶された情報が、情報処理装置2に送信され、データベース2aに記憶される。その後、血液分析装置1の測定により得られた測定結果等が、情報処理装置2に送信され、データベース2aに記憶される。これにより、最終的にデータベース2aに記憶される情報は、上記実施形態と同様になる。
【0224】
<実施形態6による管理方法、情報処理装置、および情報管理システムの効果>
図40に示したように、血液製剤に関する情報が製剤識別情報に対応付けて記憶されるデータベースは、製剤識別情報に関連付けて測定結果を記憶するデータベース2a(第1データベース)と、製剤識別情報に関連付けて他の情報を記憶するデータベース6a(第2データベース)と、を含む。この構成によれば、データベースにかかる負荷を分散できる。
【0225】
<実施形態6の変更例>
実施形態6では、中間サーバ6のデータベース6aに記憶された情報は、最終的に全て情報処理装置2のデータベース2aに記憶されたが、必ずしもデータベース6aの情報が全て情報処理装置2に送信されてなくてもよい。例えば、データベース6aの情報は、全て情報処理装置2に送信されなくてもよい。
【0226】
図43は、実施形態6の変更例に係る、データベース2aに記憶される項目を模式的に示す図である。本変更例では、実施形態6と比較して、データベース2aは、測定オーダ、測定結果、測定日時および装置IDなどの、測定に関する項目のみを含む。データベース6aは、図42と同様に構成される。本変更例では、データベース6aの情報は、情報処理装置2に送信されない。
【0227】
この場合、オペレータが、情報処理装置2を操作して表示部203に血液製剤の情報を表示させる指示を入力すると、情報処理装置2の制御部201は、図43に示す項目以外の血液製剤に関する情報を取得するために、中間サーバ6に送信要求を送信する。中間サーバ6の制御部801は、送信要求に基づいて、必要な情報をデータベース6aから取得し、取得した情報を情報処理装置2に送信する。情報処理装置2の制御部201は、データベース2aの情報と、中間サーバ6から受信した情報とに基づいて、上記実施形態と同様、血液製剤に関する情報を表示部203に表示する。
【0228】
<実施形態7>
上記実施形態では、情報処理装置2が血液分析装置1から検体の測定結果を受信した。これに対し、実施形態7では、血液分析装置7が情報処理装置2の機能を備えている。
【0229】
図44は、実施形態7に係る、血液分析装置7の構成を示すブロック図である。
【0230】
図44では、図5と比較して、記憶部122がデータベース2aを記憶している。通信部125は削除されている。
【0231】
図45は、実施形態7に係る、血液分析装置7が行う処理を示すフローチャートである。記憶部122には、図7に示すステップS11~S13の処理を実行するためのプログラムに加え、図8に示すステップS21、S22、S24およびS25の処理を実行するためのプログラムが記憶されており、制御部121が記憶部122に記憶されたプログラムを実行することにより、図45の各処理が実行される。図45では、図7、8と比較して、全ての処理を制御部121が実行する。また、検体識別情報および測定結果の送受信に関するステップS14およびS23は削除されている。
【0232】
<実施形態7による管理方法、および血液分析装置の効果>
血液分析装置7が、情報処理装置2の機能を備えている。これにより、血液分析装置7とは別のコンピュータ、および、血液分析装置7とコンピュータを通信可能に接続する通信インフラを備える必要がなくなり、ハードウェア構成を簡略化することができる。
【0233】
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0234】
1、7 血液分析装置
2 情報処理装置(コンピュータ)
3 情報管理システム
2a データベース(第1データベース)
6a データベース(第2データベース)
201 制御部
202 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45