(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178111
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】電気機器
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20231207BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091181
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 裕美
(72)【発明者】
【氏名】澤田 大喜
(72)【発明者】
【氏名】上地 辰之
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770BA02
5H770CA01
5H770DA03
5H770DA22
5H770DA30
5H770DA41
5H770PA12
5H770PA42
5H770PA43
5H770PA44
5H770QA06
5H770QA11
5H770QA22
5H770QA25
5H770QA28
(57)【要約】
【課題】電気部品の冷却効率の向上と筐体内における電気部品の配置の自由度の向上が両立可能な電気機器を提供する。
【解決手段】複数の電気部品4、5、7と、上下方向Zに離れた上側底部30と下側底部40、上側底部から起立する側壁60、複数の電気部品を収納する収納空間70、および、上側底部と下側底部の間で冷媒の流れる流路50を有するケース80と、を備え、上側底部は、基部32と、基部から突出して流路の一部を形作る突出部34Bと、を備え、流路は直交方向の長さが上下方向の長さよりも長い第1流路52と、上下方向の長さが第1流路よりも長い第2流路54と、を備え、基部における上下方向で第1流路と重なる部位に、複数の電気部品の1つが対向し、突出部における上下方向に直交する直交方向Yで第2流路と重なる部位に、複数の電気部品の別の1つが対向する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電気部品(4、5、7、10、15、16、18)と、
上下方向(Z)に離れた上側底部(30)と下側底部(40)、前記上側底部から起立する側壁(60)、前記上側底部と前記側壁とによって区画されて複数の前記電気部品を収納する収納空間(70)、および、前記上側底部と前記下側底部とによって区画されて複数の前記電気部品を冷却する冷媒の流れる流路(50)を有するケース(80)と、を備え、
前記上側底部は、前記流路の外郭の一部を形作る基部(32)と、前記上下方向に関して前記下側底部から離れる態様で前記基部から突出して前記流路の外郭の一部を形作る突出部(34B)と、を備え、
前記流路は、前記基部と前記下側底部によって形作られた、前記上下方向に直交する直交方向(Y)の長さ(L1)が前記上下方向の長さ(H1)よりも長い第1流路(52)と、前記基部と前記突出部と前記下側底部によって形作られて、前記上下方向の長さ(H3)が前記第1流路における前記上下方向の長さよりも長い第2流路(54)と、を備え、
前記基部における前記上下方向で前記第1流路と重なる部位に、複数の前記電気部品のうちの少なくとも1つが対向し、
前記突出部における前記直交方向で前記第2流路と重なる部位に、複数の前記電気部品のうちの別の少なくとも1つが対向する電気機器。
【請求項2】
前記第2流路における前記上下方向の長さが、前記第2流路における前記直交方向の長さ(L2)よりも長い請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記第1流路における前記上下方向の長さと前記直交方向の長さの比が、前記第2流路における前記上下方向の長さと前記直交方向の長さの比と異なっている請求項1または2に記載の電気機器。
【請求項4】
前記基部における前記上下方向で前記第1流路と重なる部位に、複数の前記電気部品のうちの少なくとも1つが接触し、
前記突出部における前記直交方向で前記第2流路と重なる部位に、複数の前記電気部品のうちの別の少なくとも1つが接触している請求項1または2に記載の電気機器。
【請求項5】
前記電気部品は、コンデンサ(4)、パワーモジュール(5)、および、リアクトル(7)を備え、
前記ケースは、前記上下方向に関して前記側壁における前記上側底部から離れた端部に設けられて前記収納空間を閉塞する天壁(62)をさらに備え、
前記基部における前記突出部が設けられる部位と前記天壁との間の前記上下方向の長さ(H4)が、前記基部における前記第1流路が設けられる部位と前記天壁との間の前記上下方向の長さ(H5)よりも長く、
前記基部における前記突出部が設けられる部位と前記天壁との間に、前記パワーモジュールと前記コンデンサとが前記上下方向で重複する態様で、前記パワーモジュールと前記コンデンサが設けられ、
前記基部における前記第1流路が設けられる部位と前記天壁との間に前記リアクトルが設けられている請求項1または2に記載の電気機器。
【請求項6】
前記突出部における前記基部との接続部位(34F、34G)と前記基部との間の角度が非垂直である請求項1または2に記載の電気機器。
【請求項7】
前記流路はさらに、前記第1流路と前記第2流路をつなぐ接続流路(53)と、前記冷媒が流入する流入口(51)と、を備え、
前記接続流路は3つに枝分かれしており、
前記接続流路における前記3つに枝分かれした1つに前記流入口が設けられ、別の2つにそれぞれ前記第1流路と前記第2流路が設けられている請求項1または2に記載の電気機器。
【請求項8】
前記流路はさらに、前記第1流路と前記第2流路をつなぐ接続流路(53)と、前記冷媒が流入する流入口(51)と、前記冷媒が流出する流出口(55)と、を備え、
前記第1流路に前記流入口が設けられ、
前記第2流路に前記流出口が設けられ、
前記流路が前記流入口から前記流出口に向かって折り返すように曲がっている請求項1または2に記載の電気機器。
【請求項9】
車両のトランスアクスル(9)に搭載された電気機器(1)であって、
前記電気部品は、前記トランスアクスルの有するモータ(3)と前記モータに電気的に接続される端子台(16)を備え、
前記トランスアクスルと空隙を介して前記上下方向に重複し、
前記空隙に前記端子台の一部が設けられ、
前記車両の進退方向(X)に関して、前記端子台と前記流路とが重複する請求項1または2に記載の電気機器。
【請求項10】
車両のトランスアクスル(9)に搭載された電気機器(1)であって、
前記電気部品は、前記トランスアクスルの有するモータ(3)と前記モータに電気的に接続される端子台(16)を備え、
前記トランスアクスルと空隙を介して前記上下方向に重複し、
前記空隙に前記端子台の一部が設けられ、
前記上側底部は前記流路の内外に渡って延びる複数のフィン(32C)を備え、
前記車両の進退方向(X)に関して、前記端子台が複数の前記フィンと重複する請求項1または2に記載の電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の開示は、流路を備える電気機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の電力変換装置は、電気部品と、筐体と、冷媒流路と、を有する。冷媒流路は、筐体の底壁部と、筐体に固定された流路カバーとの間に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
底壁部の上面に対向する電気部品しか冷却できなかった。上面に非対向の電気部品を積極的に冷却できないため、上面に非対向の電気部品の冷却効率が悪かった。電気部品を積極的に冷却するためには上面に対向させる必要があり、電気部品の配置の自由度が低かった。
【0005】
そこで本開示の目的は、電気部品の冷却効率の向上と筐体内における電気部品の配置の自由度の向上が両立可能な電気機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による電気機器は、
複数の電気部品(4、5、7、10、15、16、18)と、
上下方向(Z)に離れた上側底部(30)と下側底部(40)、上側底部から起立する側壁(60)、上側底部と側壁とによって区画されて複数の電気部品を収納する収納空間(70)、および、上側底部と下側底部とによって区画されて複数の電気部品を冷却する冷媒の流れる流路(50)を有するケース(80)と、を備え、
上側底部は、流路の外郭の一部を形作る基部(32)と、上下方向に関して下側底部から離れる態様で基部から突出して流路の外郭の一部を形作る突出部(34B)と、を備え、
流路は、基部と下側底部によって形作られた、上下方向に直交する直交方向(Y)の長さ(L1)が上下方向の長さ(H1)よりも長い第1流路(52)と、基部と突出部と下側底部によって形作られて、上下方向の長さ(H3)が第1流路における上下方向の長さよりも長い第2流路(54)と、を備え、
基部における上下方向で第1流路と重なる部位に、複数の電気部品のうちの少なくとも1つが対向し、
突出部における直交方向で第2流路と重なる部位に、複数の電気部品のうちの別の少なくとも1つが対向する。
【0007】
基部(32)における上下方向で第1流路(52)と重なる部位と突出部(34B)における上下方向(Z)に直交する直交方向(Y)で第2流路(54)と重なる部位それぞれに、電気部品(4、5、7、10、15、16、18)が少なくとも1つずつ対向するので、収納空間(70)において複数の電気部品の配置の制限が緩和されるとともに、複数の電気部品を効率よく冷却できる。
【0008】
なお、上記の括弧内の参照番号は、後述の実施形態に記載の構成との対応関係を示すものに過ぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】車載システムと電気機器を説明する電気回路図である。
【
図3】電気機器からフロントケースを除いた上面図である。
【
図7】VII-VII線に沿う断面の断面図である。
【
図8】VIII-VIII線に沿う断面の断面図である。
【
図11】第3実施形態のケース本体を説明する断面図である。
【
図12】第4実施形態の流路を説明する底面図である。
【
図13】第5実施形態の流路を説明する底面図である。
【
図14】第6実施形態の流路を説明する底面図である。
【
図15】第4~6実施形態のXV-XV線に沿う断面図である。
【
図16】第4~6実施形態のXVI-XVI線に沿う断面図である。
【
図17】第7実施形態の流路を説明する底面図である。
【
図18】第7実施形態からフロントケースを除いた上面図である。
【
図22】第9実施形態の流路を説明する底面図である。
【
図23】第10実施形態の流路を説明する底面図である。
【
図24】第11実施形態の流路を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。
【0011】
また、各実施形態で組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士、実施形態と変形例、および、変形例同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0012】
(第1実施形態)
<電気機器の電気的構成>
図1に示す電気機器1は、たとえば電気自動車やハイブリッド自動車に搭載される。電気機器1は、バッテリ2と2つのモータジェネレータ3との間で電力変換を行う。電気機器1は、バッテリ2およびモータジェネレータ3とともに、車両の駆動システムを構成する。なお、モータジェネレータ3は、後述のトランスアクスル9に含まれている。実施形態においては電気自動車やハイブリッド自動車に2つのモータジェネレータ3が設けられている形態について主に説明するが、モータジェネレータ3の個数は2つに限定されない。モータジェネレータ3を1つだけ備える形態においても適用可能である。
【0013】
バッテリ2は、リチウムイオン電池やニッケル水素電池などの充放電可能な二次電池である。モータジェネレータ3は、三相交流方式の回転電機である。モータジェネレータ3は、車両の走行駆動源、すなわち電動機として機能する。モータジェネレータ3は、回生時に発電機として機能する。
【0014】
電気機器1は、コンデンサ4と、コンバータ5Aと、インバータ5Bと、物理量センサ18と、を備える。コンデンサ4は、例えばバッテリ2から供給される直流電流を平滑化するコンデンサと、スイッチからのノイズを除去する機能を備えるコンデンサを含む。コンデンサ4の正極側端子が、バッテリ2の高電位側の電極である正極に接続されている。コンデンサ4の負極側端子が、バッテリ2の低電位側の電極である負極に接続されている。
【0015】
コンバータ5Aは、入力された直流電力を昇降圧する、DC-DC変換部である。コンバータ5Aは、バッテリ2から入力される直流電力をモータジェネレータ3の力行に適した電力レベルに昇圧する。インバータ5Bは、供給された直流電力を所定周波数の三相交流に変換する、DC-AC変換部である。インバータ5Bは直流電力から交流電力へ変換した電力を、モータジェネレータ3に出力する。またインバータ5Bは、モータジェネレータ3により発電された交流電力を、直流電力に変換する。コンバータ5Aはインバータ5Bから入力された直流電力をバッテリ2の充電に適して電力レベルに降圧する。
【0016】
コンバータ5Aとインバータ5Bは、上下アーム回路6を備えて構成されている。上下アーム回路6は、レグと称されることがある。各相の上下アーム回路6は、正極側の電源ラインである高電位電源バスバ11と、負極側の電源ラインである低電位電源バスバ12の間で、上アーム6Hと下アーム6Lが直列に接続されてなる。なお、上アーム6Hと下アーム6Lは樹脂部材に被覆されてスイッチモジュールを形成している。
【0017】
コンバータ5Aは一例として1相の上下アーム回路6とリアクトル7を備える。コンバータ5Aの備える上下アーム回路6の、上アーム6Hと下アーム6Lの接続点が、リアクトル7を介して、極側の電源ラインである高電位電源バスバ11に接続されている。
【0018】
インバータ5Bは一例として3相の上下アーム回路6を2組備える。インバータ5Bの備える各相の上下アーム回路6において、上アーム6Hと下アーム6Lの接続点は、モータジェネレータ3への出力ラインである出力バスバ14に接続されている。出力バスバ14には物理量センサ18が設けられている。なお、図面の都合上、物理量センサ18がインバータ5Bを示す枠内に設けられているが、物理量センサ18はインバータ5Bの構成要素に含まれていても含まれていなくてもよい。物理量センサ18は、インバータ5Bとモータジェネレータ3との間を流れる物理量を検出するセンサである。具体的に言えば、物理量センサ18は磁気量からバスバに流れる電流値を検出する。上面図には、高電位電源バスバ11、低電位電源バスバ12、および、出力バスバ14の記載を省略している。
【0019】
本実施形態では、各アームを構成するスイッチング素子として、nチャネル型の絶縁ゲートバイポーラトランジスタ6i(以下、IGBT6iと示す)を採用している。IGBT6iのそれぞれには、還流用のダイオードであるFWD6dが逆並列に接続されている。一相分の上下アーム回路6は、2つのIGBT6iを有している。
【0020】
上アーム6Hにおいて、IGBT6iのコレクタ電極が、高電位電源バスバ11に接続されている。下アーム6Lにおいて、IGBT6iのエミッタ電極が、低電位電源バスバ12に接続されている。そして、上アーム6HにおけるIGBT6iのエミッタ電極と、下アーム6LにおけるIGBT6iのコレクタ電極が相互に接続されている。
【0021】
<電気機器の機械的構成>
電気機器1はこれまでに説明した構成要素の他に、ケース本体80と、放熱部材90と、第1端子台15と、第2端子台16と、冷却器17と、を備える。ケース本体80は、ロアケース30と、ロアカバー40と、フロントケース60を備える。ケース本体80は、アルミなどの金属によって構成されている。ロアケース30とロアカバー40との間に流路50が形成されている。なお、ロアケース30が上側底部に相当する。ロアカバー40が下側底部に相当する。
【0022】
以下、電気機器1に含まれる機械的構成要素を説明するに当たって、ロアケース30とロアカバー40の並ぶ方向をZ方向と称する場合がある。Z方向が上下方向に相当する。ロアケース30とロアカバー40に直交する二方向を、X方向、Y方向と称する場合がある。Y方向が直交方向に相当する。
【0023】
<ロアケース>
ロアケース30は、冷媒の流れる流路50の外郭を形作っている。
図2および
図3に示すように、ロアケース30はZ面視において、略長方形をしている。ロアケース30は、第1基部31と、第2基部32と、フランジ部33と、第1突出部34Aと、第2突出部34Bとを備える。第1基部31と第2基部32はX方向において隣合っている。なお、
図3には、
図4および
図5の理解の助けとして、
図2と同じ箇所に断面線を付している。
【0024】
図4および
図5に示すように、第1基部31と第2基部32はZ方向に関して重力方向の下方に設けられている。第1基部31と第2基部32はZ方向に厚さの薄い扁平形状である。第1基部31の厚さは、第2基部32の厚さよりも厚い。第1基部31と第2基部32は冷媒の流れる流路50の外郭を形作っている。第1基部31と第2基部32とは同一材料によって連続している。なお、流路50については後で説明する。
【0025】
また第1基部31と第2基部32を併せた基部本体35は、第1側面35A、第2側面35B、第3側面35C、第4側面35Dを備える。第1側面35Aと第3側面35CはX方向に離間して並んでいる。第2側面35Bと第4側面35DはY方向に離間して並んでいる。第1側面35A~第4側面35Dは、反時計回りに第1側面35A、第2側面35B、第3側面35C、第4側面35Dの順に並んでいる。第1側面35A~第4側面35Dは反時計回りに同一材料によって連続している。第1基部31は第2基部32よりも第1側面35A側に設けられている。第2基部32は第1基部31よりも第3側面35C側に設けられている。
【0026】
図3および
図5に示すように、フランジ部33はフロントケース60における後述の側壁61に連結される部位である。フランジ部33は第2基部32におけるZ面視で表面にあたる第2表面32Aに設けられている。フランジ部33は第2基部32の縁に沿って第2表面32Aから遠ざかるようにZ方向に起立している。フランジ部33はZ面視において略U字状をしている。フランジ部33は第1壁部33Aと第2壁部33Bと第3壁部33Cを備える。第1壁部33Aは第1側面35Aと同一材料によって連続している。第2壁部33Bは第2側面35Bと同一材料によって連続している。第3壁部33Cは第4側面35Dと同一材料によって連続している。
【0027】
第2壁部33Bと第3壁部33CはY方向に離れて並んでいる。第2壁部33Bと第3壁部33CはX方向に延びている。第2壁部33BはX方向に離れた2つの端部を備える。第3壁部33CはX方向に離れた2つの端部を備える。第2壁部33Bの1つの端部と、第3壁部33Cの1つの端部に、第1壁部33Aが連続して繋がっている。第2壁部33Bの別の1つの端部と、第3壁部33Cの別の1つの端部に、第1基部31が連続して繋がっている。
【0028】
図6および
図7に示すように、第1突出部34Aは、第1基部31におけるZ面視で表面にあたる第1表面31Aに設けられている。第1突出部34Aは、第3側面35Cから第1側面35Aに向かうにつれて、第2側面35Bから第4側面35Dに向かって延びている。第1突出部34Aは第1基部31と同一の材料によって連続している。第1突出部34Aは第1表面31Aから遠ざかるようにZ方向に延びている。第1突出部34Aは第3側面35Cから第1側面35Aに向かうにつれて、第1表面31Aから徐々に遠ざかるようにZ方向に延びている。
【0029】
第1突出部34Aは、Y方向で離れて並ぶ第1突出側壁34Cおよび第2突出側壁34Dと、第1突出側壁34Cと第2突出側壁34Dとをつなぐ第1突出先端壁34Eを備える。第1突出側壁34CがY方向に関して第2側面35B側に設けられている。第2突出側壁34DがY方向に関して第4側面35D側に設けられている。第1突出先端壁34Eとフロントケース60における後述の天壁62とがZ方向で対向している。第1突出部34Aは冷媒の流れる流路50の外郭を形作っている。第1基部31に形成された流路50と、第1突出部34Aに形成された流路50と、が連通して1つの流路50を形作っている。
【0030】
第2突出部34Bは、第2基部32の第2表面32Aに設けられている。第2突出部34Bは第3側面35Cから第1側面35Aに向かってX方向に延びている。第2突出部34Bは第2基部32と同一の材料によって連続している。第2突出部34Bは第2表面32Aから所定距離まで遠ざかるようにZ方向に延びている。
【0031】
第2突出部34Bは、Y方向で離れて並ぶ第3突出側壁34Fおよび第4突出側壁34Gと、第3突出側壁34Fと第4突出側壁34Gとをつなぐ第2突出先端壁34Hを備える。第3突出側壁34FがY方向に関して第2側面35B側に設けられている。第4突出側壁34GがY方向に関して第4側面35D側に設けられている。第2突出先端壁34Hとフロントケース60の天壁62とがZ方向で対向している。また第3突出側壁34Fと第1突出側壁34Cとが同一の材料によって連続している。第4突出側壁34Gと第2突出側壁34Dとが同一の材料によって連続している。第2突出先端壁34Hと第1突出先端壁34Eとが同一の材料によって連続している。
【0032】
第2突出部34Bは、冷媒の流れる流路50の外郭を形作っている。第2基部32に形成された流路50と、第2突出部34Bに形成された流路50と、が連通して1つの流路50を形作っている。第2基部32と第2突出部34Bによって形成された流路50と、第1基部31と第1突出部34Aによって形成された流路50とが連通して1つの流路50を形作っている。
【0033】
なお、
図6に示すように、第3突出側壁34Fと第2壁部33Bとの間のY方向の長さが、第4突出側壁34Gと第3壁部33Cとの間のY方向に長さよりも長い。第3突出側壁34Fと第2壁部33Bとの間のY方向の長さはコンデンサ4を収納可能な程度の長さに設定されている。第4突出側壁34Gと第3壁部33Cとの間のY方向の長さは物理量センサ18を収納可能な程度の長さに設定されている。
【0034】
なお、設計事項として、第3突出側壁34Fと第2壁部33Bとの間のY方向の長さと、第4突出側壁34Gと第3壁部33Cとの間のY方向に長さとの大小関係が逆になっていてもよい。その場合、第4突出側壁34Gと第3壁部33Cとの間のY方向の長さは、コンデンサ4を収納可能な程度の長さに設定されている。第3突出側壁34Fと第2壁部33Bとの間のY方向の長さは、物理量センサ18を収納可能な程度の長さに設定されていてもよい。
【0035】
<ロアカバー>
ロアカバー40はZ方向に関して扁平な板形状である。ロアカバー40はロアケース30の裏面30Bに設けられる。ロアケース30の裏面30Bとは、第1表面31Aと第2表面32Aを併せた表面30Aの反対側の面のことである。ロアカバー40によって流路50が閉塞される。そのためにロアカバー40は流路50の一部を形作っているとも言える。流路50はロアケース30とロアカバー40によって形作られている。
【0036】
<フロントケース>
フロントケース60は、側壁61と天壁62とを備える。側壁61は天壁62の縁に沿って延びる壁である。天壁62はZ方向に厚さの薄い扁平形状を成す壁である。側壁61はZ方向に関して離れた端にそれぞれ端部を備える。側壁61の備える2つの端部のうちの一方の端部に天壁62が設けられる。側壁61と天壁62は別体となっており、ボルトや溶接などによって連結されている。なお、側壁61と天壁62とが同一の材料によって連続して形成されていてもよい。
【0037】
側壁61における天壁62とつながる端部とは反対の端部に、ロアケース30がボルトなどを介して連結される。側壁61における天壁62とつながる端部とは反対の端部と、第1基部31とが機械的に連結される。なお、第1基部31は第1表面31Aから側壁61に向かって延びる縁部を備える。第1基部31の縁部と、側壁61における天壁62とつながる端部とは反対の端部とが機械的に連結される。フランジ部33と、側壁61における天壁62とつながる端部とは反対の端部とが、機械的に連結される。ロアケース30とフロントケース60との間に、これまでに説明した構成要素を収納可能な収納空間70が設けられている。ケース本体80に、これまでに説明した構成要素を収納可能な収納空間70が設けられている。
【0038】
図8に示すように、Z方向における第2基部32と天壁62との間の長さH4は、Z方向における第1基部31と天壁62との間の長さH5よりも長い。Z方向に関して、収納空間70における第2基部32と天壁62との間の領域は、収納空間70における第1基部31と天壁62との間の領域よりも広い。Z方向に関して第2基部32と天壁62との間の距離はコンデンサ4とパワーモジュール5を重ねて配置可能な程度に広く設定されている。
【0039】
<第1端子台>
第1端子台15は、3つの第1導電部材15Aと、3つの第1導電部材15Aを被覆する第1樹脂部材15Bとを備える。第1樹脂部材15Bから、3つの第1導電部材15Aそれぞれの端部が、2つずつ露出されている。3つの第1導電部材15Aにおける第1樹脂部材15Bから露出した端部のそれぞれに、上アーム6Hと下アーム6Lの接続点が接続される。3つの第1導電部材15Aにおける第1樹脂部材15Bから露出した反対側の端部のそれぞれに、1つのモータジェネレータ3の端子が接続される。なお、上面図には第2導電部材15Aの記載を省略している。
【0040】
<第2端子台>
第2端子台16は、3つの第2導電部材16Aと、3つの第2導電部材16Aを被覆する第2樹脂部材16Bとを備える。第2樹脂部材16Bから、3つの第2導電部材16Aそれぞれの端部が、2つずつ露出されている。3つの第2導電部材16Aにおける第2樹脂部材16Bから露出した端部のそれぞれに、上アーム6Hと下アーム6Lの接続点が接続される。3つの第2導電部材16Aにおける第2樹脂部材16Bから露出した反対側の端部のそれぞれに、別の1つのモータジェネレータ3の端子が接続される。なお、上面図には第2導電部材16Aの記載を省略している。
【0041】
<冷却器>
冷却器17は冷媒の供給される供給管17Aと、冷媒の排出される排出管17Bと、供給管17Aと排出管17Bとを中継する複数の中継管とを備える。複数の中継管はスイッチモジュールの厚さ分離れて並んでいる。隣合う中継管同士の間にスイッチモジュールの厚さ分の空隙が設けられている。これまでに説明したスイッチモジュールが1つずつ個別に空隙に設けられている。スイッチモジュールと冷却器17とによってパワーモジュール5が形成されている。
【0042】
<流路>
ロアケース30とロアカバー40によって閉塞された流路50が形作られている。流路50はX方向に延びている。流路50は、第1流路52と接続流路53と第2流路54を備える。第1流路52は、第1基部31とロアカバー40によって形作られている。接続流路53は、第1突出部34Aと第1基部31とロアカバー40によって形作られている。第2流路54は、第2突出部34Bと第2基部32とロアカバー40によって形作られている。第1流路52と第2流路54との間に接続流路53が設けられている。X方向に関して第1流路52と接続流路53と第2流路54とが順に連続している。第1流路52と接続流路53と第2流路54によって連続する1つの流路50が構成されている。
【0043】
また第1流路52に冷媒が流入する流入口51が設けられている。第2流路54に冷媒が流出する流出口55が設けられている。X方向に関して流入口51と第1流路52と接続流路53と第2流路54と流出口55が順に連続している。流入口51と第1流路52と接続流路53と第2流路54と流出口55によって連続する1つの流路50が構成されている。流路50が、流入口51と第1流路52と接続流路53と第2流路54と流出口55を備えるとも言える。
【0044】
なお、流入口51が第1基部31に設けられている。流入口51が第1基部31において、第1流路52よりも第3側面35C側の部位に設けられている。流入口51がX方向に関して、第3側面35Cから遠ざかる態様で、第1基部31から突出している。流出口55が第2基部32において、第2流路54よりも第1側面35A側の部位に設けられている。流出口55がX方向に関して、第1側面35Aから遠ざかる態様で、第2基部32から突出している。
【0045】
Z面視において、第1流路52は第2流路54よりもY方向に関して第2側面35B側に設けられている。第2流路54は第1流路52よりもY方向に関して第4側面35D側に設けられている。接続流路53がY方向に関して第2側面35Bから第4側面35Dに向かって斜めに伸びている。またX方向に関して第1流路52と第2流路54とが非重複である。なお、第1流路52と第2流路54とがX方向に関して重複していてもよい。
【0046】
またZ方向に関して
図7に示すように、流路50は第1流路52から第2流路54に向かって長さが長い。Z方向における接続流路53の長さH2は、Z方向における第1流路52の長さH1よりも長い。Z方向における第2流路54の長さH3は、Z方向における接続流路53の長さH2よりも長い。
【0047】
第1流路52の長さH1は流入口51から接続流路53に向かうどの位置においても一定である。接続流路53の長さH2は第1流路52から第2流路54に向かうに連れて徐々に長い。第2流路54の長さH3は接続流路53から流出口55に向かうどの位置においても一定である。第2流路54の長さH3は、第1流路52の長さH1よりも長い。
【0048】
また第1流路52におけるY方向の長さL1が、第2流路54におけるY方向の長さL2よりも長い。第2流路54におけるY方向の長さL2が、第1流路52におけるY方向の長さL1よりも短い。第1流路52におけるY方向の長さL1が、第1流路52におけるZ方向の長さH1よりも長い。第2流路54におけるZ方向の長さH3が、第2流路54におけるY方向の長さL2よりも長い。第2流路54におけるZ方向の長さH3が、第1流路52におけるZ方向の長さH1よりも長い。第1流路52におけるY方向の長さとZ方向の長さとの比が、第2流路54におけるY方向の長さとZ方向の長さとの比と異なっている。
【0049】
なお、第2流路54におけるZ方向の長さH3が、第1流路52におけるZ方向の長さH1よりも長ければ、第2流路54におけるZ方向の長さH3が、第2流路54におけるY方向の長さL2よりも長くなくても良い。第2流路54におけるZ方向の長さH3が、第2流路54におけるY方向の長さL2と等しくてもよい。第2流路54におけるZ方向の長さH3が、第2流路54におけるY方向の長さL2よりも短くてもよい。
【0050】
<ケース本体への収納形態>
ケース本体80の収納空間70に、コンデンサ4と、パワーモジュール5と、リアクトル7と、第1端子台15と、第2端子台16と、バスバ11、12、14と、物理量センサ18と、が設けられている。
図4に示すように、収納空間70における、第1基部31と天壁62との間の第1領域71に、リアクトル7と第1端子台15が収納されている。
図5に示すように、収納空間70における、第2基部32と天壁62との間の第2領域72に、コンデンサ4と、パワーモジュール5と、第2端子台16と、物理量センサ18とが収納されている。
【0051】
第1領域71における、Z方向で第1流路52と対向する領域にリアクトル7が設けられている。リアクトル7は第1基部31における第1領域71側で第1流路52の一部を形成する部位の第1表面31Aに、放熱部材90を介して設けられている。放熱部材90としては、シリコーンなどを含む放熱シートやゲルなどが挙げられる。なお、リアクトル7と第1表面31Aとの間に放熱部材90が介在されていなくても良い。
【0052】
さらに第1領域71におけるZ方向で第1流路52と非対向の領域に、第1端子台15が設けられている。第1端子台15は第1基部31における第1流路52よりも第4側面35D側の部位に設けられている。第1基部31には、第1端子台15の設けられる部位に、予め第1端子台15を取り付け可能な取付孔が形成されている。取付孔に第1端子台15が挿入される。取付孔の縁に第1端子台15が固定部材などを介して固定されている。
【0053】
また第2領域72におけるY方向で第2突出部34Bよりも第2側面35B側の領域にコンデンサ4とパワーモジュール5が設けられている。第2領域72における第2突出部34BよりもY方向で第4側面35D側の領域に物理量センサ18と第2端子台16が設けられている。
【0054】
コンデンサ4はY方向で、第3突出側壁34Fに放熱部材90を介して設けられている。なお、上記したようにコンデンサ4は、第3突出側壁34Fに放熱部材90を介して設けられていなくてもよい。コンデンサ4は第2流路54とY方向で対向する態様で、第3突出側壁34Fに放熱部材90を介して設けられている。パワーモジュール5は、Z方向に関してコンデンサ4と重複する態様で、コンデンサ4よりも天壁62側に設けられている。なお、パワーモジュール5のすべてがコンデンサ4と重複していなくてもよい。
【0055】
物理量センサ18は第4突出側壁34Gに放熱部材90を介して設けられている。なお、物理量センサ18は第4突出側壁34Gに放熱部材90を介して設けられていなくてもよい。物理量センサ18は第2流路54とY方向で対向する態様で、第4突出側壁34Gに放熱部材90を介して設けられている。また、第2基部32における第2突出部34Bよりも第4側面35D側の部位には、第2端子台16が設けられる部位に、予め第2端子台16を取り付け可能な取付孔が形成されている。取付孔に第2端子台16が挿入される。第2取付孔の縁に、第2端子台16が固定部材などを介して固定されている。
【0056】
出力バスバ14が、パワーモジュール5から物理量センサ18に向かって延びている。出力バスバ14はさらに、物理量センサ18から第2端子台16に向かって延びている。出力バスバ14が第2突出先端壁34HとZ方向で対向している。出力バスバ14が第4突出側壁34GとY方向で対向している。
【0057】
なお、図面における断面図においては、パワーモジュール5の断面としてスイッチモジュールの被覆樹脂を示している。そのためにパワーモジュール5を樹脂でハッチングしている。コンデンサ4の断面を一例として金属ハッチングしているが、コンデンサ4の材質は金属に限定されない。放熱部材90の断面を一例として樹脂ハッチングしているが、放熱部材90の材質は樹脂に限定されない。物理量センサ18の断面として物理量センサ18を被覆する被覆樹脂を示している。そのために物理量センサ18を樹脂でハッチングしている。
【0058】
<作用効果>
流路50は、第1基部31とロアカバー40によって形作られた第1流路52と、第2突出部34Bと第2基部32とロアカバー40によって形作られた第2流路54と、を備える。第2流路54におけるZ方向の長さH3が、第1流路52におけるZ方向の長さH1よりも大きい。リアクトル7が、第1基部31の第1流路52とZ方向で対向する部位に放熱部材90を介して設けられている。コンデンサ4が、第2流路54とY方向で対向する態様で、第3突出側壁34Fに放熱部材90を介して設けられている。これによれば、収納空間70においてコンデンサ4とリアクトル7の配置の制限が緩和されるとともに、コンデンサ4とリアクトル7を効率よく冷却できる。
【0059】
第1流路52におけるY方向の長さL1が、第1流路52におけるZ方向の長さH1よりも大きい。第2流路54におけるZ方向の長さH3が、第2流路54におけるY方向の長さL2よりも大きい。リアクトル7が第1基部31の第1流路52とZ方向で対向する部位に設けられるために、リアクトル7と第1流路52との重複範囲が増大しやすい。そのためにリアクトル7の冷却効率が向上する。コンデンサ4が第2流路54とY方向で対向する態様で第3突出側壁34Fに設けられるために、コンデンサ4と第2流路54との重複範囲が増大しやすい。コンデンサ4の冷却効率が向上する。
【0060】
Z方向における第2基部32と天壁62との間の長さH4は、Z方向における第1基部31と天壁62との間の長さH5よりも長い。第2領域72におけるY方向に関して第2突出部34Bよりも第2側面35B側の領域にコンデンサ4とパワーモジュール5が設けられている。パワーモジュール5とコンデンサ4とが、Z方向で重複する態様で、第2基部32と天壁62の間に設けられている。これによれば、ケース本体80のZ方向の体格を増大させることなく、コンデンサ4とパワーモジュール5とを収納空間70に配置可能になるとともに、コンデンサ4の冷却効率が向上する。
【0061】
第1流路52におけるY方向の長さとZ方向の長さとの比が、第2流路54におけるY方向の長さとZ方向の長さとの比と異なっている。第1流路52におけるY方向の長さL1が、第1流路52におけるZ方向の長さH1よりも長い。第2流路54におけるZ方向の長さH3が、第2流路54におけるY方向の長さL2よりも長い。これによれば、リアクトル7を第1基部31に設け、コンデンサ4を第3突出側壁34Fに設け、物理量センサ18を第4突出側壁34Gに設ける際に、効率的にこれら電気部品を効率的に冷却可能になる。
【0062】
以下、第2実施形態~第12実施形態について説明する。なお、第2実施形態~第11実施形態に次の構成が共通している。そのために、第2実施形態~第11実施形態ではその説明を省略する。共通する構成とは次の構成である。
【0063】
第1流路52におけるY方向の長さL1が、第1流路52におけるZ方向の長さH1よりも長い。第2流路54におけるZ方向の長さH3が、第2流路54におけるY方向の長さL2よりも長い。第2流路54におけるZ方向の長さH3が、第1流路52におけるZ方向の長さH1よりも長い。第1流路52にZ方向で対向する態様で、リアクトル7が第1基部31に設けられている。第2流路54にY方向で対向する態様で、コンデンサ4が第3突出側壁34Fに設けられている。第2流路54にY方向で対向する態様で、コンデンサ4が第4突出側壁34Gに設けられている。
【0064】
(第2実施形態)
図9および
図10に示すように、第2実施形態では、電気機器1が放熱部材90を備えていなくてもよい。第2実施形態では、リアクトル7が第1表面31Aに接触する態様で、第1基部31に設けられる。コンデンサ4が第3突出側壁34Fに接触する態様で、第3突出側壁34Fに設けられる。物理量センサ18が第4突出側壁34Gに接触する態様で第4突出側壁34Gに設けられる。
【0065】
(第3実施形態)
図11に示すように、第3実施形態では、第2突出部34Bが第2基部32の第2表面32Aから非垂直に突出している。第2基部32と第3突出側壁34Fとの間の角度が鋭角である。第2基部32と第4突出側壁34Gとの間の角度が鈍角である。逆に、第2基部32と第3突出側壁34Fとの間の角度が鈍角で、第2基部32と第4突出側壁34Gとの間の角度が鋭角であってもよい。なお、
図11についてはケース本体80のみを抽出して記載している。なお、第3突出側壁34Fおよび第4突出側壁34Gが接続部位に相当する。
【0066】
(第4実施形態)
図12に示すように、第4実施形態では流路50が分岐している。
図12は、ロアケース30を裏面30B側から見たZ面視である。Y方向に関して第1流路52と第2流路54とが並ぶ。第1流路52の一端に流出口55が設けられる。接続流路53が第1枝流路53Aと第2枝流路53Bと第3枝流路53Cを備える。第1枝流路53Aの一端と第2枝流路53Bの一端と第3枝流路53Cの一端が1つにまとまって中心部を形成している。第1枝流路53Aと第2枝流路53Bと第3枝流路53Cが中心部から離れるようにそれぞれ延びている。第1枝流路53Aの他端に第1流路52の他端が設けられる。第2枝流路53Bの他端に第2流路54の一端が設けられる。第3枝流路53Cの他端に流出口55が設けられる。なお、
図15に、第4実施形態から第6実施形態におけるXV-XV断面で切断した断面図を表している。
図16に、第4実施形態から第6実施形態におけるXVI-XVI断面で切断した断面図を表している。
【0067】
(第5実施形態)
図13に示すように、第5実施形態では、流路50が略U字状に折れ曲がっている。
図13は、ロアケース30を裏面30B側から見たZ面視である。Y方向に関して第1流路52と第2流路54とが並ぶ。第1流路52のX方向の一端に流入口51が設けられる。第2流路54のX方向の一端に流出口55が設けられる。第1流路52のX方向の他端と、第2流路54の他端に接続流路53が設けられる。接続流路53はY方向に沿って延びている。
【0068】
(第6実施形態)
図14に示すように、第6実施形態では、流路50が略J字状に折れ曲がっている。
図14は、ロアケース30を裏面30B側から見たZ面視である。Y方向に関して第1流路52と第2流路54とが並ぶ。X方向に関して第1流路52の長さが、X方向に関して第2流路54の長さより短い。第1流路52のY方向の一端に流入口51が設けられる。第2流路54のX方向の一端に流出口55が設けられる。第1流路52のX方向の他端と、第2流路54の他端に接続流路53が設けられる。接続流路53はY方向に沿って延びている。
【0069】
(第7実施形態)
第7実施形態においては、
図17に示すように、第1実施形態の流路50の形態に加えて、第2流路54の一部が第4側面35Dに向かってY方向に突出している。
図17は、ロアケース30を裏面30B側から見たZ面視である。第1端子台15は、第1基部31における第1流路52よりも第4側面35D側の部位に設けられている。第2端子台16は、第2基部32における第2流路54よりも第4側面35D側の部位に設けられている。
【0070】
X方向に関して第1端子台15と第2端子台16の間に、第2流路54におけるY方向に突出する部位が設けられている。第1端子台15と、第2流路54におけるY方向に突出する部位とがX方向に関して重複している。第2端子台16と第2流路54におけるY方向に突出する部位とがX方向に関して重複している。
【0071】
また、第2流路54における第4側面35Dに向かってY方向に突出した部位は、第2基部32と第2突出部34Bとロアカバー40によって形作られている。第2流路54における第4側面35Dに向かってY方向に突出した部位は、第2突出部34Bにおける第4側面35Dに向かってY方向に突出した部位と、第2基部32と、ロアカバー40とによって形成されている。
【0072】
図18に示すように、X方向に関して、第2突出部34Bにおける第4側面35Dに向かってY方向に突出した部位と、第1端子台15とが重複している。X方向に関して、第2突出部34Bにおける第4側面35Dに向かってY方向に突出した部位と、第2端子台16とが重複している。なお、
図18においては、電気機器1からフロントケース60を除いた上面図を示している。
【0073】
また第7実施形態においては、電気機器1が車両のトランスアクスル9に設けられている。電気機器1の第1側面35Aが車両の進行方向に、電気機器1の第3側面35Cが車両の後退方向になるように、電気機器1がトランスアクスル9に設けられている。すなわち車両の進退方向がX方向に相当する。
【0074】
図18および
図19に示すように、電気機器1とトランスアクスル9とがZ方向に関して重複している。トランスアクスル9は本体部9Aと電気機器1に向かって突起する凸部9Bを備える。電気機器1が凸部9Bにボルトなどの締結部材を介して締結される。なお、以下に説明する第8実施形態~第10実施形態においても第7実施形態と同様に、電気機器1がトランスアクスル9に設けられている。
【0075】
図19および
図20に示すように電気機器1と本体部9Aとの間に空隙が設けられている。電気機器1のケース本体80から第1端子台15の一部と第2端子台16の一部が露出されている。図示を省略するが、第2端子台16の第2導電部材16Aとトランスアクスル9に含まれるモータジェネレータ3の端子と電気的に接続される。車両の走行に伴い、車両の前方から後方に向かって、空隙に風が流れる。これによれば、第1端子台15および第2端子台16が積極的に冷却される。
【0076】
第1端子台15についてさらに言えば、第2突出部34BにおけるY方向に突出した部位よりも車両の後方側に設けられている。上記したように、X方向に関して、第1端子台15が第2突出部34BにおけるY方向に突出した部位と重複している。これによれば、車両の前方から後方に向かって流れる風が冷媒によって冷却される。空隙に風が流れた場合に、積極的に第1端子台15が効率的に冷却される。
【0077】
(第8実施形態)
また
図21に示すように、第8実施形態においては、電気機器1はZ方向に関してトランスアクスル9と反対側でDCDCコンバータ10と接続されていてもよい。DCDCコンバータ10は本体部10Aと電気機器1に向かって突起する凸部10Bを備える。電気機器1が凸部10Bにボルトなどの締結部材を介して締結される。電気機器1と本体部10Aとの間に空隙が設けられている。電気機器1のケース本体80からDCDCコンバータ10に接続される端子の一部が露出されている。電気機器1におけるDCDCコンバータ10に接続される端子とDCDCコンバータ10の端子と電気的に接続される。車両の走行に伴い、車両の前方から後方に向かって、空隙に風が流れる。これによれば、第1端子台15と第2端子台16が積極的に冷却される。電気機器1におけるDCDCコンバータ10に接続される端子が積極的に冷却される。
【0078】
(第9実施形態)
図22に示すように、第9実施形態においては、第2流路54がX方向に沿って延びる途中で、Y方向に関して第4側面35D側へ屈曲している。第2流路54におけるY方向に関して第4側面35D側へ屈曲した部位と、第1端子台15および第2端子台16とがX方向に関して重複している。これに伴って、第2突出部34BにおけるY方向に関して第4側面35D側へ屈曲した部位と、第1端子台15および第2端子台16とがX方向に関して重複している。これによれば、車両の前方から後方に向かって流れる風が冷媒によって冷却される。空隙に風が流れた場合に、積極的に第1端子台15と第2端子台16が効率的に冷却される。
【0079】
(第10実施形態)
図23に示すように、第10実施形態においては、第2流路54がX方向に沿って延びている。またZ方向に関して第2流路54を形作るロアケース30の一部が裏面30Bから突出している。そして第2基部32における裏面30Bから突出した部位に、第4側面35Dと第3側面35Cの間に向かう方向と、第1側面35Aと第2側面35Bの間へ向かう方向の両方に延びるフィン32Cが設けられている。フィン32Cにおける第1側面35Aと第2側面35Bの間へ向かう部位は第2流路54の内部に設けられている。そのためフィン32Cにおける第1側面35Aと第2側面35Bの間へ向かう部位は第2流路54に流れる冷媒によって積極的に冷却されている。
【0080】
フィン32Cにおける第4側面35Dと第3側面35Cの間に向かう部位と、フィン32Cにおける第1側面35Aと第2側面35Bの間へ向かう部位とは、同一材料で連続している。フィン32Cにおける第1側面35Aと第2側面35Bの間へ向かう部位が冷媒によって積極的に冷却されることで、フィン32Cにおける第4側面35Dと第3側面35Cの間に向かう部位が積極的に冷却される。
【0081】
X方向に関して、第1端子台15と第2端子台16の間に、フィン32Cにおける第4側面35Dと第3側面35Cの間に向かう部位が設けられる。これによれば、車両の走行に伴い車両の前方から後方に向かって空隙に流れる風が、冷却されやすい。特に、フィン32Cの後方に設けられる第1端子台15が積極的に冷却されやすい。
【0082】
(第11実施形態)
図24に示すように、第11実施形態においては、第2突出部34Bを介してコンデンサ4とパワーモジュール5とがY方向で並ぶ。第2突出部34Bの内部を流れる第2流路54によってコンデンサ4とパワーモジュール5が冷却される。
【0083】
(第12実施形態)
なお、コンデンサ4、物理量センサ18、リアクトル7、バスバ11、12、14、端子台15、16、パワーモジュール5の配置は、第1実施形態~第11実施形態に限定されない。コンデンサ4、物理量センサ18、リアクトル7、バスバ、端子台15、16、パワーモジュール5のうちの少なくとも1つが、第1流路52とZ方向で並ぶ態様で第1基部31に設けられていればよい。コンデンサ4、物理量センサ18、リアクトル7、バスバ、端子台15、16、パワーモジュール5のうちの少なくとも1つが、第2流路54とY方向で並ぶ態様で第2突出部34Bに設けられていればよい。なお、これらの電気部品の他にEMIフィルタやDCDCコンバータ10が同様の配置になっていてもよい。
【0084】
(技術的思想の開示)
この明細書は、以下に列挙する複数の項に記載された複数の技術的思想を開示している。いくつかの項は、後続の項において先行する項を択一的に引用する多項従属形式(a multiple dependent form)により記載されている場合がある。いくつかの項は、他の多項従属形式の項を引用する多項従属形式(a multiple dependent form referring to another multiple dependent form)により記載されている場合がある。これらの多項従属形式で記載された項は、複数の技術的思想を定義している。
【0085】
技術的思想1
複数の電気部品(4、5、7、10、15、16、18)と、
上下方向(Z)に離れた上側底部(30)と下側底部(40)、前記上側底部から起立する側壁(60)、前記上側底部と前記側壁とによって区画されて複数の前記電気部品を収納する収納空間(70)、および、前記上側底部と前記下側底部とによって区画されて複数の前記電気部品を冷却する冷媒の流れる流路(50)を有するケース(80)と、を備え、
前記上側底部は、前記流路の外郭の一部を形作る基部(32)と、前記上下方向に関して前記下側底部から離れる態様で前記基部から突出して前記流路の外郭の一部を形作る突出部(34B)と、を備え、
前記流路は、前記基部と前記下側底部によって形作られた、前記上下方向に直交する直交方向(Y)の長さ(L1)が前記上下方向の長さ(H1)よりも長い第1流路(52)と、前記基部と前記突出部と前記下側底部によって形作られて、前記上下方向の長さ(H3)が前記第1流路における前記上下方向の長さよりも長い第2流路(54)と、を備え、
前記基部における前記上下方向で前記第1流路と重なる部位に、複数の前記電気部品のうちの少なくとも1つが対向し、
前記突出部における前記直交方向で前記第2流路と重なる部位に、複数の前記電気部品のうちの別の少なくとも1つが対向する電気機器
【0086】
技術的思想2
前記第2流路における前記上下方向の長さが、前記第2流路における前記直交方向の長さ(L2)よりも長い技術的思想1に記載の電気機器。
【0087】
技術的思想3
前記第1流路における前記上下方向の長さと前記直交方向の長さの比が、前記第2流路における前記上下方向の長さと前記直交方向の長さの比と異なっている技術的思想1または2に記載の電気機器。
【0088】
技術的思想4
前記基部における前記上下方向で前記第1流路と重なる部位に、複数の前記電気部品のうちの少なくとも1つが接触し、
前記突出部における前記直交方向で前記第2流路と重なる部位に、複数の前記電気部品のうちの別の少なくとも1つが接触している技術的思想1~3のいずれか1項に記載の電気機器。
【0089】
技術的思想5
前記電気部品は、コンデンサ(4)、パワーモジュール(5)、および、リアクトル(7)を備え、
前記ケースは、前記上下方向に関して前記側壁における前記上側底部から離れた端部に設けられて前記収納空間を閉塞する天壁(70)をさらに備え、
前記基部における前記突出部が設けられる部位と前記天壁との間の前記上下方向の長さ(H4)が、前記基部における前記第1流路が設けられる部位と前記天壁との間の前記上下方向の長さ(H5)よりも長く、
前記基部における前記突出部が設けられる部位と前記天壁との間に、前記パワーモジュールと前記コンデンサとが前記上下方向で重複する態様で、前記パワーモジュールと前記コンデンサが設けられ、
前記基部における前記第1流路が設けられる部位と前記天壁との間に前記リアクトルが設けられている技術的思想1~4のいずれか1項に記載の電気機器。
【0090】
技術的思想6
前記突出部における前記基部との接続部位(34F、34G)と前記基部との間の角度が非垂直である技術的思想1~5のいずれか1項に記載の電気機器。
【0091】
技術的思想7
前記流路はさらに、前記第1流路と前記第2流路をつなぐ接続流路(53)と、前記冷媒が流入する流入口(51)と、を備え、
前記接続流路は3つに枝分かれしており、
前記接続流路における前記3つに枝分かれした1つに前記流入口が設けられ、別の2つにそれぞれ前記第1流路と前記第2流路が設けられている技術的思想1~6のいずれか1項に記載の電気機器。
【0092】
技術的思想8
前記流路はさらに、前記第1流路と前記第2流路をつなぐ接続流路(53)と、前記冷媒が流入する流入口(51)と、前記冷媒が流出する流出口(55)と、を備え、
前記第1流路に前記流入口が設けられ、
前記第2流路に前記流出口が設けられ、
前記流路が前記流入口から前記流出口に向かって折り返すように曲がっている技術的思想1~6のいずれか1項に記載の電気機器。
【0093】
技術的思想9
車両のトランスアクスル(9)に搭載された電気機器であって、
前記電気部品は、前記トランスアクスルの有するモータ(3)と前記モータに電気的に接続される端子台(16)を備え、
前記トランスアクスルと空隙(91)を介して前記上下方向に重複し、
前記空隙に前記端子台の一部が設けられ、
前記車両の進退方向(X)に関して、前記端子台と前記流路とが重複する技術的思想1~8のいずれか1項に記載の電気機器。
【0094】
技術的思想10
車両のトランスアクスル(9)に搭載された電気機器であって、
前記電気部品は、前記トランスアクスルの有するモータ(3)と前記モータに電気的に接続される端子台(16)を備え、
前記トランスアクスルと空隙(91)を介して前記上下方向に重複し、
前記空隙に前記端子台の一部が設けられ、
前記上側底部は前記流路の内外に渡って延びる複数のフィン(32C)を備え、
前記車両の進退方向(X)に関して、前記端子台が複数の前記フィンと重複する技術的思想1~8のいずれか1項に記載の電気機器。
【符号の説明】
【0095】
1 電気機器、 10、15、16 電気部品、 16 端子台、 18 電気部品、 3 モータ、 30 上側底部、 32 基部、 32C フィン、 34B 突出部、 34F、34G 接続部位、 4 電気部品、 4 コンデンサ、 40 下側底部、 5 電気部品、 5 パワーモジュール、 50 流路、 51 流入口、 52 第1流路、 53 接続流路、 54 第2流路、 55 流出口、 60 側壁、 62 天壁、 7 電気部品、 7 リアクトル、 70 収納空間、 80 ケース、 9 トランスアクスル、 H1、H3、H4、H5、L1、L2 長さ、 X 進退方向、 Y 直交方向、 Z 上下方向。