(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178123
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】スロットルグリップ装置
(51)【国際特許分類】
B62K 23/04 20060101AFI20231207BHJP
【FI】
B62K23/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091200
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000213954
【氏名又は名称】朝日電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 通之
【テーマコード(参考)】
3D013
【Fターム(参考)】
3D013CH01
(57)【要約】
【課題】回転角度検出手段をケース部材に組付ける際の作業性を向上させることができるスロットルグリップ装置を提供する。
【解決手段】車両のハンドルバーHに取り付けられたスロットルグリップGに連動して回転し得る連動部材2と、ハンドルバーHに固定されるケース部材3と、連動部材2の回転角度に応じた検出信号を生成可能とされた回転角度検出手段6と、回転角度検出手段6で生成された検出信号に基づいて出力可能な出力端子7とを具備したスロットルグリップ装置1であって、ケース部材3は、回転角度検出手段6及び出力端子7が取り付けられたコネクタ部材Bを取り付け可能な取付部3aを有し、取付部3aにコネクタ部材Bが取り付けられた状態で回転角度検出手段6が検出信号を生成するとともに、出力端子7に車両側の接続コネクタFを接続可能とされたものである。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のハンドルバーに取り付けられたスロットルグリップに連動して回転し得る連動部材と、
前記連動部材に取り付けられた磁石と、
前記ハンドルバーにおける前記スロットルグリップの基端側に固定されるケース部材と、
前記連動部材の回転角度に応じて変化する前記磁石からの磁気の変化により検出信号を生成可能とされた回転角度検出手段と、
前記回転角度検出手段で生成された前記検出信号に基づいて出力可能な出力端子と、
を具備し、前記回転角度検出手段から出力される検出信号に基づいて前記スロットルグリップの回転角度を検出することにより車両の駆動源を制御可能とされるスロットルグリップ装置であって、
前記ケース部材は、前記回転角度検出手段及び出力端子が取り付けられたコネクタ部材を取り付け可能な取付部を有し、当該取付部に前記コネクタ部材が取り付けられた状態で前記回転角度検出手段が前記検出信号を生成するとともに、前記出力端子に車両側の接続コネクタを接続可能とされたことを特徴とするスロットルグリップ装置。
【請求項2】
前記取付部は、前記コネクタ部材を収容可能な収容凹部が形成されるとともに、当該収容凹部は、前記接続コネクタが前記出力端子に接続された状態でシールされて密閉状態となることを特徴とする請求項1記載のスロットルグリップ装置。
【請求項3】
前記コネクタ部材は、前記回転角度検出手段が複数取り付けられるとともに、各回転角度検出手段で生成された検出信号を特定の出力特性で前記出力端子から出力可能とされたことを特徴とする請求項1記載のスロットルグリップ装置。
【請求項4】
前記コネクタ部材は、電気コードを介して前記回転角度検出手段及び前記出力端子が接続されるとともに、前記回転角度検出手段が表裏反対に取り付けられてそれぞれの検出信号が出力されることを特徴とする請求項3記載のスロットルグリップ装置。
【請求項5】
前記コネクタ部材は、所定の電気回路を有する基板を介して前記回転角度検出手段及び前記出力端子が接続されるとともに、当該回転角度検出手段の検出信号が前記電気回路を介して出力されることを特徴とする請求項3記載のスロットルグリップ装置。
【請求項6】
前記コネクタ部材は、前記ケース部材に取り付けられた状態で前記回転角度検出手段を覆うとともに外部の磁気を遮蔽する磁気遮蔽部材が取付可能とされたことを特徴とする請求項1記載のスロットルグリップ装置。
【請求項7】
前記連動部材の回転時に摩擦抵抗を生じさせる摩擦抵抗付与手段を具備したことを特徴とする請求項1記載のスロットルグリップ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットルグリップの回転角度を検出することにより車両の駆動源を制御可能とされるスロットルグリップ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時の二輪車においては、スロットルグリップの回転角度をスロットル開度センサにて検出し、その検出値を電気信号として当該二輪車が搭載する電子制御装置等に送るよう構成されたものが普及されるに至っている。そして、かかる検出信号に基づき電子制御装置が所定の演算を行い、その演算結果に基づいてエンジンの点火時期、吸気バルブ若しくはスロットルバルブの開閉が制御されるようになっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、車両のハンドルバーに取り付けられたスロットルグリップに連動して回転し得るリングギア(連動部材)と、リングギアの回転角度に応じた検出信号を生成可能とされた角度センサ(回転角度検出手段)とを具備したスロットルグリップ装置が開示されている。このスロットルグリップ装置は、2つの角度センサが基板に設けられており、それぞれの角度センサからの出力を合成させることにより、故障等の診断や監視が行われるようになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のスロットルグリップ装置においては、回転角度検出手段が形成された基板をケース部材に取り付けた後、出力のための配線を基板に接続する必要があったため、基板の取り付け作業及び配線の接続作業がそれぞれ必要とされて組付け時の作業性に改善の余地があった。なお、このような課題は、回転角度検出手段が複数取り付けられたものに限らず、1つの回転角度検出手段が取り付けられ、その出力に基づいて車両に応じた信号処理を行うものにおいて共通している。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、回転角度検出手段をケース部材に組付ける際の作業性を向上させることができるスロットルグリップ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、車両のハンドルバーに取り付けられたスロットルグリップに連動して回転し得る連動部材と、前記連動部材に取り付けられた磁石と、前記ハンドルバーにおける前記スロットルグリップの基端側に固定されるケース部材と、前記連動部材の回転角度に応じて変化する前記磁石からの磁気の変化により検出信号を生成可能とされた回転角度検出手段と、前記回転角度検出手段で生成された前記検出信号に基づいて出力可能な出力端子とを具備し、前記回転角度検出手段から出力される検出信号に基づいて前記スロットルグリップの回転角度を検出することにより車両の駆動源を制御可能とされるスロットルグリップ装置であって、前記ケース部材は、前記回転角度検出手段及び出力端子が取り付けられたコネクタ部材を取り付け可能な取付部を有し、当該取付部に前記コネクタ部材が取り付けられた状態で前記回転角度検出手段が前記検出信号を生成するとともに、前記出力端子に車両側の接続コネクタを接続可能とされたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のスロットルグリップ装置において、前記取付部は、前記コネクタ部材を収容可能な収容凹部が形成されるとともに、当該収容凹部は、前記接続コネクタが前記出力端子に接続された状態でシールされて密閉状態となることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1記載のスロットルグリップ装置において、前記コネクタ部材は、前記回転角度検出手段が複数取り付けられるとともに、各回転角度検出手段で生成された検出信号を特定の出力特性で前記出力端子から出力可能とされたことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項3記載のスロットルグリップ装置において、前記コネクタ部材は、電気コードを介して前記回転角度検出手段及び前記出力端子が接続されるとともに、前記回転角度検出手段が表裏反対に取り付けられてそれぞれの検出信号が出力されることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項3記載のスロットルグリップ装置において、前記コネクタ部材は、所定の電気回路を有する基板を介して前記回転角度検出手段及び前記出力端子が接続されるとともに、当該回転角度検出手段の検出信号が前記電気回路を介して出力されることを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項1記載のスロットルグリップ装置において、前記コネクタ部材は、前記ケース部材に取り付けられた状態で前記回転角度検出手段を覆うとともに外部の磁気を遮蔽する磁気遮蔽部材が取付可能とされたことを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項1記載のスロットルグリップ装置において、前記連動部材の回転時に摩擦抵抗を生じさせる摩擦抵抗付与手段を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、ケース部材は、回転角度検出手段及び出力端子が取り付けられたコネクタ部材を取り付け可能な取付部を有し、当該取付部にコネクタ部材が取り付けられた状態で回転角度検出手段が検出信号を生成するとともに、出力端子に車両側の接続コネクタを接続可能とされたので、回転角度検出手段をケース部材に組付ける際の作業性を向上させることができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、取付部は、コネクタ部材を収容可能な収容凹部が形成されるとともに、当該収容凹部は、接続コネクタが出力端子に接続された状態でシールされて密閉状態となるので、接続コネクタを接続することによりコネクタ部材を防水することができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、コネクタ部材は、回転角度検出手段が複数取り付けられるとともに、各回転角度検出手段で生成された検出信号を特定の出力特性で出力端子から出力可能とされたので、特定の出力特性によって故障の診断や監視を円滑かつ精度よく行わせることができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、コネクタ部材は、電気コードを介して回転角度検出手段及び出力端子が接続されるとともに、回転角度検出手段が表裏反対に取り付けられてそれぞれの検出信号が出力されるので、スロットルグリップの回転に対して複数の回転角度検出手段が互いに反対傾向で変化する検出信号を生成することができる。
【0018】
請求項5の発明によれば、コネクタ部材は、所定の電気回路を有する基板を介して回転角度検出手段及び出力端子が接続されるとともに、当該回転角度検出手段の検出信号が電気回路を介して出力されるので、基板の電気回路に応じた出力信号を出力させることができる。
【0019】
請求項6の発明によれば、コネクタ部材は、ケース部材に取り付けられた状態で回転角度検出手段を覆うとともに外部の磁気を遮蔽する磁気遮蔽部材が取付可能とされたので、コネクタ部材をケース部材に取り付けることにより磁気遮蔽部材を組付けることができる。
【0020】
請求項7の発明によれば、連動部材の回転時に摩擦抵抗を生じさせる摩擦抵抗付与手段を具備したので、スロットルグリップの操作時に生じる摩擦抵抗によってスロットルグリップの操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係るスロットルグリップ装置を示す斜視図
【
図7】同スロットルグリップ装置の主要部品を示す分解斜視図
【
図8】同スロットルグリップ装置におけるケース部材を示す斜視図
【
図11】同スロットルグリップ装置における摩擦抵抗付与手段を示す斜視図
【
図12】同スロットルグリップ装置に取り付けられるコネクタ部材(コード型コネクタ部材)を示す3面図
【
図13】同コネクタ部材(コード型コネクタ部材)を示す斜視図
【
図14】同コネクタ部材(コード型コネクタ部材)を示す斜視図
【
図15】同スロットルグリップ装置におけるケース部材、コネクタ部材(コード型コネクタ部材)及び接続コネクタを示す斜視図
【
図16】同スロットルグリップ装置における出力端子に接続される接続コネクタを示す斜視図及び正面図
【
図17】同スロットルグリップ装置に取り付けられる他の形態のコネクタ部材(基板型コネクタ部材)を示す3面図
【
図18】同コネクタ部材(基板型コネクタ部材)を示す斜視図
【
図19】同コネクタ部材(基板型コネクタ部材)を示す斜視図
【
図20】同スロットルグリップ装置におけるケース部材、コネクタ部材(基板型コネクタ部材)及び接続コネクタを示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るスロットルグリップ装置1は、二輪車のハンドルバーHに取り付けられたスロットルグリップGの回転角度を検出し、その信号を二輪車が搭載するECU等電子制御装置に送るためのもので、
図1~7に示すように、スロットルグリップGと、連動部材2と、ケース部材3と、回転角度検出手段6と、出力端子7と、磁気遮蔽部材8と、摩擦抵抗付与手段11とを有して構成されている。
【0023】
スロットルグリップGは、車両のハンドルバーの先端部に取り付けられたもので、運転者が把持しつつ回転操作可能とされるとともに、内側に連動部材2(スロットルパイプ)が固定されている。かかる連動部材2は、例えばインサート成形や接着剤等によってスロットルグリップGと一体化されて成るもので、スロットルグリップGに連動して回転し得るようになっている。
【0024】
また、連動部材2は、
図7に示すように、磁石Mを取り付けるための取付部2aと、フランジ面に形成された摺動面2bと、係止溝2cとを有した筒状部材から成るとともに、内部にパイプロック5が係止溝2cにて係止固定されている。これにより、スロットルグリップGを回転操作すると、連動部材2及びパイプロック5が一体的に回転可能とされている。
【0025】
ケース部材3は、ハンドルバーHにおけるスロットルグリップGの基端側に固定されるもので、
図8、9に示すように、外径方向に突出形成された取付部3aと、取付部3aの内部に形成された収容凹部3bと、軸方向に突出形成された突出部3cとを有して構成されている。なお、ケース部材3には、固定リングRが取り付けられており、当該固定リングRをネジ等にて締め上げることによりケース部材3がハンドルバーHに固定可能とされている。
【0026】
また、ケース部材3と連動部材2との間には、捩りコイルばねから成るリターンスプリング4が取り付けられている。かかるリターンスプリング4は、一端がケース部材3に係止されるとともに、他端が連動部材2に係止されて組付けられており、スロットルグリップGを回転操作すると、リターンスプリング4により初期位置に向かって付勢されるようになっている。
【0027】
摩擦抵抗付与手段11は、連動部材2の回転時に摩擦抵抗を生じさせるもので、
図11に示すように、連動部材2に形成された摺動面2b上を摺動可能なフリクション部11aと、フリクション部11aを摺動面2bに向かって付勢するコイルばね11bと、コイルばね11bを挿通して組付けられたネジ部11cと、コイルばね11bの基端側に当接された固定部11dとを有して構成されている。
【0028】
そして、ネジ部11cを回転させて固定部11dを当該ネジ部11cの軸方向に変位させることにより、コイルばね11bの圧縮寸法を任意に調整可能とされており、コイルばね11bによるフリクション部11aに対する付勢力を任意に調整可能とされている。これにより、スロットルグリップGを回転操作する過程において、フリクション部11aが摺動面2b上を摺動して任意の摩擦抵抗力が付与されることとなる。
【0029】
ここで、ケース部材3の取付部3aには、回転角度検出手段6及び出力端子7が取り付けられたコネクタ部材Bが圧入にて固定されている。すなわち、コネクタ部材Bは、取付部3aに形成された収容凹部3bに収容されるとともに圧入固定されており、その固定状態において、
図4に示すように、磁石Mと隣接した位置(磁石Mの磁気の変化を検出し得る領域)に回転角度検出手段6が配置されるようになっている。
【0030】
回転角度検出手段6は、連動部材2の回転角度に応じた検出信号を生成可能とされたもので、本実施形態においては磁石Mの磁気の変化を検出可能な磁気センサから成る。具体的には、回転角度検出手段6は、磁石Mの磁場変化(磁束密度の変化)に応じた出力電圧を得ることができるもので、例えばホール効果を利用した磁気センサであるホール素子(具体的には、磁石Mの磁場(磁束密度)に比例した出力電圧を得ることができるリニアホールIC)等により構成されている。
【0031】
そして、スロットルグリップGが回転操作されるのに伴って連動部材2が同方向に回転すると、当該連動部材2に取り付けられた磁石Mも同方向に同一角度だけ回転する。これにより、その回転角度によって磁場が変化するので、当該回転角度に応じた検出信号(出力電圧)を生成することができ、出力端子7を介して外部に出力可能とされている。このように出力端子7を介して出力された出力信号は、二輪車に搭載されたECU(エンジン・コントロール・ユニット)に送信され、送信された出力信号に応じて車両のエンジン(駆動源)が制御され得るようになっている。
【0032】
本実施形態に係るコネクタ部材Bは、回転角度検出手段6が複数(本実施形態においては2つ)取り付けられるとともに、各回転角度検出手段6で生成された検出信号を特定の出力特性で出力端子7から出力可能とされたもので、
図12~14に示すように、本実施形態においてはコード型コネクタ部材B1とされる。
【0033】
コード型コネクタ部材B1は、
図12~14に示すように、電気コードCを介して2つの回転角度検出手段6及び出力端子7が接続されるとともに、回転角度検出手段6が互いに表裏反対に取り付けられてそれぞれの検出信号が出力されるよう構成されている。より具体的には、コード型コネクタ部材B1は、成形樹脂材等から成る基材9に2つの回転角度検出手段6及び出力端子7が形成された駒状部品から成り、一方の回転角度検出手段6がその表面を外部に臨ませつつ取り付けられるとともに、他方の回転角度検出手段6がその裏面を外部に臨ませつつ取り付けられている。
【0034】
出力端子7は、基材9から延設された銅板等の導電性金属から成り、可撓性の電気コードCを介して各回転角度検出手段6と接続されている。そして、
図15に示すように、取付部3aの収容凹部3bに対して基板型コネクタ部材B2を挿通することにより、コード型コネクタ部材B1が圧入固定されるとともに、出力端子7が収容凹部3bの開口側に延設され、車両側の接続コネクタFと接続可能とされている。
【0035】
これにより、スロットルグリップGが回転操作されるのに伴って連動部材2及び磁石Mが同方向に回転すると、一方の回転角度検出手段6で生成された検出信号(出力電圧)と、他方の回転角度検出手段6で生成された検出信号(出力電圧)とが互いに反対傾向(一方の検出信号が増加すると他方の検出信号が低下し、一方の検出信号が低下すると他方の検出信号が増加する反対傾向)で変化するようになっている。
【0036】
さらに、コード型コネクタ部材B1は、基材9の背面側(回転角度検出手段6の取付面と反対側の面)に磁気遮蔽部材8が取り付けられている。かかる磁気遮蔽部材8は、磁気を遮蔽する材質から成る板状部材で構成されており、
図4、5に示すように、コネクタ部材B(コード型コネクタ部材B1)がケース部材3に取り付けられた状態で回転角度検出手段6を覆うとともに外部の磁気を遮蔽するようになっている。
【0037】
一方、出力端子7に接続される車両側の接続コネクタFは、車両側から延設された接続コードDの先端に形成されたコネクタから成り、
図16に示すように、防水性を有したシール部材Faと、孔状に形成された雌端子Fbとを有して構成されている。そして、
図5に示すように、取付部3aに取り付けられたコネクタ部材B(コード型コネクタ部材B1)の出力端子7を雌端子Fbに挿通させて接続すると、回転角度検出手段6で生成した検出信号が接続コネクタFを介して車両側に送信されるようになっている。
【0038】
さらに、本実施形態においては、接続コネクタFが出力端子7に接続されると、シール部材Faが収容凹部3bの開口側を塞いでシールするよう構成されている。すなわち、ケース部材3の収容凹部3bは、
図10に示すように、ケース部材3における連動部材2及び磁石Mが収容された収容空間Sと画成されており、コネクタ部材Bを挿通するための開口を有した袋状に形成されているので、接続コネクタFが出力端子7に接続された状態において収容凹部3bがシール部材Faにてシールされて密閉状態となるよう構成されている。
【0039】
ケース部材3に取り付けられる他の形態のコネクタ部材Bとして、
図17~19に示すように、基板型コネクタ部材B2であってもよい。かかる基板型コネクタ部材B2は、
図17~19に示すように、所定の電気回路を有する基板Kを介して2つの回転角度検出手段6及び出力端子7が接続されるとともに、当該回転角度検出手段6の検出信号が電気回路を介して出力されるよう構成されている。より具体的には、基板型コネクタ部材B2は、成形樹脂材等から成る基材10に2つの回転角度検出手段6及び出力端子7が形成された駒状部品から成り、2つの回転角度検出手段6が基板K上に隣接して取り付けられている。
【0040】
出力端子7は、基材10から延設された銅板等の導電性金属から成り、基板Kに形成された電気回路を介して各回転角度検出手段6と接続されている。そして、
図20に示すように、取付部3aの収容凹部3bに対して基板型コネクタ部材B2を挿通することにより、基板型コネクタ部材B2が圧入固定されるとともに、出力端子7が収容凹部3bの開口側に延設され、車両側の接続コネクタFと接続可能とされている。
【0041】
これにより、スロットルグリップGが回転操作されるのに伴って連動部材2及び磁石Mが同方向に回転すると、一方の回転角度検出手段6で生成された検出信号(出力電圧)と、他方の回転角度検出手段6で生成された検出信号(出力電圧)とが互いに同一傾向(一方の検出信号が増加すると他方の検出信号も増加し、一方の検出信号が低下すると他方の検出信号も低下する同一傾向)で変化するようになっている。
【0042】
本実施形態に係るスロットルグリップ装置1によれば、ケース部材3は、回転角度検出手段6及び出力端子7が取り付けられたコネクタ部材Bを取り付け可能な取付部3aを有し、当該取付部3aにコネクタ部材Bが取り付けられた状態で回転角度検出手段6が検出信号を生成するとともに、出力端子7に車両側の接続コネクタFを接続可能とされたので、回転角度検出手段6をケース部材3に組付ける際の作業性を向上させることができる。
【0043】
また、取付部3aは、コネクタ部材Bを収容可能な収容凹部3bが形成されるとともに、当該収容凹部3bは、接続コネクタFが出力端子7に接続された状態でシールされて密閉状態となるので、接続コネクタFを接続することによりコネクタ部材Bを防水することができる。さらに、本実施形態に係るコネクタ部材Bは、回転角度検出手段6が複数取り付けられるとともに、各回転角度検出手段6で生成された検出信号を特定の出力特性で出力端子7から出力可能とされたので、特定の出力特性によって故障の診断や監視を円滑かつ精度よく行わせることができる。
【0044】
またさらに、コネクタ部材Bとしてコード型コネクタ部材B1を用いることができ、当該コード型コネクタ部材B1は、電気コードCを介して回転角度検出手段6及び出力端子7が接続されるとともに、回転角度検出手段6が表裏反対に取り付けられてそれぞれの検出信号が出力されるので、スロットルグリップGの回転に対して複数の回転角度検出手段6が互いに反対傾向で変化する検出信号を生成することができる。
【0045】
また、コネクタ部材Bとして基板型コネクタ部材B2を用いることができ、当該基板型コネクタ部材B2は、所定の電気回路を有する基板Kを介して回転角度検出手段6及び出力端子7が接続されるとともに、当該回転角度検出手段6の検出信号が電気回路を介して出力されるので、基板Kの電気回路に応じた出力信号を出力させることができる。
【0046】
加えて、コネクタ部材B(コード型コネクタ部材B1)は、ケース部材3に取り付けられた状態で回転角度検出手段6を覆うとともに外部の磁気を遮蔽する磁気遮蔽部材8が取付可能とされたので、コネクタ部材Bをケース部材3に取り付けることにより磁気遮蔽部材8を組付けることができる。さらに、本実施形態においては、連動部材2の回転時に摩擦抵抗を生じさせる摩擦抵抗付与手段11を具備したので、スロットルグリップGの操作時に生じる摩擦抵抗によってスロットルグリップGの操作性を向上させることができる。
【0047】
しかるに、ケース部材3は、互いに出力特性が異なる複数のコネクタ部材(B1、B2)のうち任意の出力特性のコネクタ部材(B1、B2)を選択的に取り付け可能とされている。これにより、製造コストが嵩んでしまうのを抑制しつつ車両毎に異なる要求に合致した出力を容易に行わせることができる。さらに、本実施形態に係るケース部材3は、コード型コネクタ部材B1又は基板型コネクタ部材B2を任意選択的に取り付け可能とされている。これにより、回転角度検出手段6の種類やコネクタ部材Bに対する回転角度検出手段6の取り付け形態を適切なものに選択することができ、車両側の要求に合致した出力を容易に行わせることができる。
【0048】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば取付部3aに取り付け可能なコネクタ部材Bとして他の出力特性を有したものであってもよい。また、スロットルグリップGが正回転及び逆回転が可能なものに適用してもよく、リターンスプリング4に代えて他の形態の付勢手段を具備するようにしてもよい。なお、適用される車両は、本実施形態の如く二輪車に限定されるものではなく、ハンドルバーHを有した他の車両(例えばATVやスノーモービル等)に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
ケース部材は、回転角度検出手段及び出力端子が取り付けられたコネクタ部材を取り付け可能な取付部を有し、当該取付部にコネクタ部材が取り付けられた状態で回転角度検出手段が検出信号を生成するとともに、出力端子に車両側の接続コネクタを接続可能とされたスロットルグリップ装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 スロットルグリップ装置
2 連動部材(スロットルパイプ)
2a 取付部
2b 摺動面
2c 係止溝
3 ケース部材
3a 取付部
3b 収容凹部
3c 突出部
4 リターンスプリング
5 パイプロック
6 回転角度検出手段
7 出力端子
8 磁気遮蔽部材
9、10 基材
11 摩擦抵抗付与手段
11a フリクション部
11b コイルばね
11c ネジ部
11d 固定部
G スロットルグリップ
M 磁石
H ハンドルバー
R 固定リング
C 電気コード
K 基板
B コネクタ部材
S 収容空間
F 接続コネクタ
Fa シール部材
D 接続コード