(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178125
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】衛生物品の収容体、及び、衛生物品の収容体群
(51)【国際特許分類】
B65D 71/32 20060101AFI20231207BHJP
B65D 85/07 20170101ALI20231207BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
B65D71/32
B65D85/07
A61F13/15 210
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091208
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 幸博
(72)【発明者】
【氏名】シルフィア アンドリアンティ
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 耕介
【テーマコード(参考)】
3B200
3E067
3E068
【Fターム(参考)】
3B200CA02
3B200DF07
3B200DF08
3E067AA12
3E067AB83
3E067AC03
3E067AC12
3E067AC14
3E067BA06C
3E067BA11B
3E067BB01C
3E067BB14B
3E067BC06C
3E067EC25
3E067EC26
3E067EC33
3E067EE12
3E067EE13
3E067FA04
3E067FB20
3E067FC01
3E067GD10
3E068AA40
3E068AB02
3E068AC07
3E068BB02
3E068BB12
3E068CC22
3E068CE01
3E068CE02
3E068CE03
3E068DD08
3E068DD30
3E068DE11
3E068EE13
3E068EE40
(57)【要約】
【課題】外層の少なくとも一部が紙であり、且つ、ガゼット折り構造を有する収容体において、非接合状態であるガゼット折りの折り込み部分の自由度を抑制しつつ、持ち運び性を向上させた衛生部材の収容体を提供することにある。
【解決手段】衛生物品(20)と収容部材(10)とを備え、収容部材(10)の最外層は少なくとも一部が紙で構成されている衛生物品の収容体(1)であって、収容部材(10)は、上端部(10up)にガゼット折り構造の一対の折り込み部(G1)を有し、当該折り込み部(G1)の一方の左右方向の最内端(G1ma)と、他方の最内端(G1mb)との間に、対向している最内層同士が接合された中央接合部(Ctu)が設けられており、折り込み部(G1)は、対向する最外層同士が接合されていない非接合部(NT)を有し、非接合部(NT)の少なくとも一部を前後方向に互いに貫通する開口部(15)が設けられている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、
衛生物品と、前記衛生物品を収容する収容部材とを備え、
前記収容部材は、最外層及び最内層を有し、前記最外層は少なくとも一部が紙で構成されている、衛生物品の収容体であって、
前記収容部材は、前記最外層同士が前記前後方向に互いに対向するように前記左右方向の両外側から内側に折り込まれたガゼット折り構造を有しており、
前記収容部材の前記上下方向の上端部において、
前記収容部材は、前記ガゼット折り構造の一対の折り込み部を有し、
前記一対の折り込み部の一方の前記左右方向の最内端と、前記一対の折り込み部の他方の前記左右方向の最内端との間に、前記前後方向に互いに対向している前記最内層同士が接合された中央接合部が設けられており、
前記一対の折り込み部は、前記前後方向に互いに対向している前記最外層同士が接合されていない非接合部を有し、
前記非接合部の少なくとも一部を前記前後方向に互いに貫通する開口部が設けられている
ことを特徴とする衛生物品の収容体。
【請求項2】
請求項1に記載の衛生物品の収容体であって、
前記非接合部の前記左右方向の両端部は、前記前後方向に互いに対向している前記最内層同士が接合されている
ことを特徴とする衛生物品の収容体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の衛生物品の収容体であって、
前記開口部に隣接する縁部の少なくとも一部において、前記前後方向に互いに対向している前記最内層同士が接合されている
ことを特徴とする衛生物品の収容体。
【請求項4】
請求項1に記載の衛生物品の収容体であって、
前記収容部材の前記上端部の全域において、前記前後方向に互いに対向している前記最内層同士が接合されている
ことを特徴とする衛生物品の収容体。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の衛生物品の収容体であって、
前記収容部材の前記上下方向に沿った4つの角部は、前記前後方向に互いに対向している前記最内層同士が接合されている
ことを特徴とする衛生物品の収容体。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の衛生物品の収容体であって、
前記収容部材の前記上端部において、前記開口部が前記左右方向の両側に設けられている
ことを特徴とする衛生物品の収容体。
【請求項7】
請求項6に記載の衛生物品の収容体であって、
前記左右方向の両側に設けられている一方側の前記開口部と他方側の前記開口部との間には、別の開口部である中央開口部が設けられており、
前記中央開口部に隣接する縁部の少なくとも一部は、前記中央接合部に設けられている
ことを特徴とする衛生物品の収容体。
【請求項8】
請求項6に記載の衛生物品の収容体であって、
持ち手用の少なくとも1本の紐状部材が、前記左右方向の両側に設けられているそれぞれの前記開口部に挿通されている
ことを特徴とする衛生物品の収容体。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の衛生物品の収容体であって、
前記開口部が設けられている前記収容部材の前記上端部は、印刷が施されていない非印刷領域である
ことを特徴とする衛生物品の収容体。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の衛生物品の収容体であって、
前記収容部材の前記上下方向の下端部において、
前記収容部材は、前記ガゼット折り構造の一対の折り込み部を有し、
前記一対の折り込み部の一方の前記左右方向の最内端と、前記一対の折り込み部の他方の前記左右方向の最内端との間に、前記前後方向に互いに対向している前記最内層同士が接合された下側中央接合部が設けられており、
前記収容部材の前記上下方向の上端から前記中央接合部の下端までの長さは、前記収容部材の前記上下方向の下端から前記下側中央接合部の上端までの長さよりも長い
ことを特徴とする衛生物品の収容体。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の衛生物品の収容体であって、
前記衛生物品は前記収容体内で前記上下方向に二段構造になるように積層されており、
収容状態の前記衛生物品の厚さ方向と平行する方向において、収容されている前記衛生物品のうち最も外側に位置する一方の前記衛生物品の外端から、他方の前記衛生物品の外端までの長さは、
自然状態の前記衛生物品を前記上下方向に二段構造になるように積層させたときに、前記衛生物品の厚さ方向と平行する方向において、積層させた前記衛生物品のうち最も外側に位置する一方の前記衛生物品の外端から、他方の前記衛生物品の外端までの長さよりも短い
ことを特徴とする衛生物品の収容体。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の衛生物品の収容体であって、
前記中央接合部の前記左右方向の長さは、収容状態における前記衛生物品の最大厚みよりも短い
ことを特徴とする衛生物品の収容体。
【請求項13】
請求項1又は2に記載の衛生物品の収容体であって、
前記開口部の前記左右方向の長さは、自然状態における前記衛生物品の最大厚みの半分よりも長い
ことを特徴とする衛生物品の収容体。
【請求項14】
請求項1又は2に記載の衛生物品の収容体であって、
前記開口部の前記左右方向の長さは、自然状態における前記衛生物品の最大厚みよりも長い
ことを特徴とする衛生物品の収容体。
【請求項15】
請求項8に記載の衛生物品の収容体であって、
前記収容部材の前記上端部において、前記左右方向の両側に設けられている前記開口部のそれぞれの前記左右方向の長さは、自然状態における前記衛生物品の最大厚みよりも短い
ことを特徴とする衛生物品の収容体。
【請求項16】
請求項1又は2に記載の衛生物品の収容体であって、
前記衛生物品は、自然状態から圧縮された状態で前記収容部材に収容されており、
前記収容部材の前記前後方向の前側に位置する前面部の前記最外層の表面に、ユーザーが文字を記載する領域を特定するための特定表示が設けられている
ことを特徴とする衛生物品の収容体。
【請求項17】
衛生物品を第1収容部材に複数収容した第1収容体と、前記衛生物品を、前記第1収容部材と異なる第2収容部材に複数収容した第2収容体とを有する衛生物品の収容体群であって、
前記第1収容体及び前記第2収容体は、互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、
前記第1収容部材及び前記第2収容部材は、
それぞれ最外層及び最内層を有し、前記最外層は少なくとも一部が紙で構成されており、
前記最外層同士が前記前後方向に互いに対向するように前記左右方向の両外側から内側に折り込まれたガゼット折り構造を有しており、
前記第1収容部材及び前記第2収容部材のそれぞれの前記上下方向の上端部において、
前記第1収容部材及び前記第2収容部材は、それぞれ前記ガゼット折り構造の一対の折り込み部を有し、
前記一対の折り込み部の一方の前記左右方向の最内端と、前記一対の折り込み部の他方の前記左右方向の最内端との間に、前記前後方向に互いに対向している前記最内層同士が接合された中央接合部が設けられており、
前記一対の折り込み部は、前記前後方向に互いに対向している前記最外層同士が接合されていない非接合部を有し、
前記第1収容部材には、前記非接合部の少なくとも一部を前記前後方向に互いに貫通する開口部が設けられており、且つ、前記開口部には、持ち手用の紐状部材が挿通されておらず、
前記第2収容部材の前記上端部の両側部には、前記非接合部の少なくとも一部を前記前後方向に互いに貫通する側部開口部が設けられており、前記側部開口部には、それぞれ持ち手用の少なくとも1本の紐状部材が挿通されており、
前記第1収容部材の前記開口部の前記左右方向の長さは、前記第2収容部材の前記側部開口部の前記左右方向の長さよりも長く、
前記第1収容部材に収容されている前記衛生物品の数は、前記第2収容部材に収容されている前記衛生物品の数よりも多く、
前記第1収容部材及び前記第2収容部材は、同一のブランド名、及び、同一のサブブランド名を有している、
ことを特徴とする衛生物品の収容体群。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生物品の収容体、及び、衛生物品の収容体群に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品が収容部材の内部に収容された、吸収性物品の収容体が知られている。このような吸収性物品を収容する収容部材においては、近年、環境に配慮し、収容部材の外層の少なくとも一部が紙で構成されている場合もある。例えば、特許文献1には、収容部材が、少なくとも一部分が紙で構成された最外層と、少なくとも一部分が樹脂で構成された最内層とを有し、当該収容部材はガゼット折り構造を備え、収容部材の最外層同士のうち互いに対向している部分が接合されていない非接合部を有する吸収性物品の収容体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の収容部材は、ガゼット折り構造を備えているが、そのようなガゼット折り構造を有し、且つ外層が紙で構成される収容部材の場合、ガゼット折りの折り込み部において、当該折り込み部の互いに対向する外層同士は接合されていない非接合状態であることが多い。そして、そのような非接合である領域は自由に動いてしまい易く、ユーザーが当該非接合である部位を持って収容体の持ち運びを行う場合、持ちにくくなる虞がある。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、外層の少なくとも一部が紙であり、且つ、ガゼット折り構造を有する収容体のガゼット折りの折り込み部の対向する最外層同士が非接合状態であっても、当該非接合部分が自由に動くのを抑制しつつ、持ち運び性を向上させた衛生物品の収容体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、衛生物品と、前記衛生物品を収容する収容部材とを備え、前記収容部材は、最外層及び最内層を有し、前記最外層は少なくとも一部が紙で構成されている、衛生物品の収容体であって、前記収容部材は、前記最外層同士が前記前後方向に互いに対向するように前記左右方向の両外側から内側に折り込まれたガゼット折り構造を有しており、前記収容部材の前記上下方向の上端部において、前記収容部材は、前記ガゼット折り構造の一対の折り込み部を有し、前記一対の折り込み部の一方の前記左右方向の最内端と、前記一対の折り込み部の他方の前記左右方向の最内端との間に、前記前後方向に互いに対向している前記最内層同士が接合された中央接合部が設けられており、前記一対の折り込み部は、前記前後方向に互いに対向している前記最外層同士が接合されていない非接合部を有し、前記非接合部の少なくとも一部を前記前後方向に互いに貫通する開口部が設けられていることを特徴とする衛生物品の収容体である。
【0007】
また、衛生物品を第1収容部材に複数収容した第1収容体と、前記衛生物品を、前記第1収容部材と異なる第2収容部材に複数収容した第2収容体とを有する衛生物品の収容体群であって、前記第1収容体及び前記第2収容体は、互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、前記第1収容部材及び前記第2収容部材は、それぞれ最外層及び最内層を有し、前記最外層は少なくとも一部が紙で構成されており、前記最外層同士が前記前後方向に互いに対向するように前記左右方向の両外側から内側に折り込まれたガゼット折り構造を有しており、前記第1収容部材及び前記第2収容部材のそれぞれの前記上下方向の上端部において、前記第1収容部材及び前記第2収容部材は、それぞれ前記ガゼット折り構造の一対の折り込み部を有し、前記一対の折り込み部の一方の前記左右方向の最内端と、前記一対の折り込み部の他方の前記左右方向の最内端との間に、前記前後方向に互いに対向している前記最内層同士が接合された中央接合部が設けられており、前記一対の折り込み部は、前記前後方向に互いに対向している前記最外層同士が接合されていない非接合部を有し、前記第1収容部材には、前記非接合部の少なくとも一部を前記前後方向に互いに貫通する開口部が設けられており、且つ、前記開口部には、持ち手用の紐状部材が挿通されておらず、前記第2収容部材の前記上端部の両側部には、前記非接合部の少なくとも一部を前記前後方向に互いに貫通する側部開口部が設けられており、前記側部開口部には、それぞれ持ち手用の少なくとも1本の紐状部材が挿通されており、前記第1収容部材の前記開口部の前記左右方向の長さは、前記第2収容部材の前記側部開口部の前記左右方向の長さよりも長く、前記第1収容部材に収容されている前記衛生物品の数は、前記第2収容部材に収容されている前記衛生物品の数よりも多く、前記第1収容部材及び前記第2収容部材は、同一のブランド名、及び、同一のサブブランド名を有している、ことを特徴とする衛生物品の収容体群である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、外層の少なくとも一部が紙であり、且つ、ガゼット折り構造を有する収容体のガゼット折りの折り込み部の対向する最外層同士が非接合状態であっても、当該非接合部分が自由に動くのを抑制しつつ、持ち運び性を向上させた衛生部材の収容体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1Aは、第1実施形態の使い捨ておむつ収容体1の斜視図であり、
図1Bは、
図1Aの収容体1の透視図である。
【
図2】
図2A及び
図2Bは、収容部材10を構成するシート部材10sについて説明する図である。
【
図3】第1実施形態の展開状態の収容部材10である。
【
図4】
図4A~
図4Fは、収容部材10の構造及び製造方法について説明する図である。
【
図5】
図4FのA-A断面について表す断面模式図である。
【
図6】
図4FのB-B断面について表す断面模式図である。
【
図7】収容部材10に収容された状態における衛生物品20を前後方向の前側から見たときの平面図である。
【
図8】衛生物品20を展開かつ伸長させた状態の衛生物品20の平面図及び断面図である。
【
図9】第1実施形態の収容部材10の前面部11A側から見た一部平面図である。
【
図10】第1実施形態の収容体1を前面部11A側から見た平面図である。
【
図11】第2実施形態の使い捨ておむつ収容体1’の斜視図である。
【
図12】第2実施形態の使い捨ておむつ収容体1’の変形例を説明する図である。
【
図13】衛生物品の収容体群1Gを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
態様1は、互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、衛生物品と、前記衛生物品を収容する収容部材とを備え、前記収容部材は、最外層及び最内層を有し、前記最外層は少なくとも一部が紙で構成されている、衛生物品の収容体であって、前記収容部材は、前記最外層同士が前記前後方向に互いに対向するように前記左右方向の両外側から内側に折り込まれたガゼット折り構造を有しており、前記収容部材の前記上下方向の上端部において、前記収容部材は、前記ガゼット折り構造の一対の折り込み部を有し、前記一対の折り込み部の一方の前記左右方向の最内端と、前記一対の折り込み部の他方の前記左右方向の最内端との間に、前記前後方向に互いに対向している前記最内層同士が接合された中央接合部が設けられており、前記一対の折り込み部は、前記前後方向に互いに対向している前記最外層同士が接合されていない非接合部を有し、前記非接合部の少なくとも一部を前記前後方向に互いに貫通する開口部が設けられていることを特徴とする衛生物品の収容体である。
【0011】
態様1のような衛生物品の収容体によれば、折り込み部の非接合部に開口部を設けることで、開口部に指を通して折り込み部を重ねて固定させた状態で持つことが可能になり、非接合部が自由に動いてしまうことを抑制し、持ち運び性が向上する。また、当該開口部に例えば紐状部材を通して折り込み部を重ねて固定させることもでき、それにより収容体を持ち運び易くなる。
【0012】
態様2は、前記非接合部の前記左右方向の両端部は、前記前後方向に互いに対向している前記最内層同士が接合されている態様1に記載の衛生物品の収容体である。
【0013】
態様2のような衛生物品の収容体によれば、非接合部の両端部を接合することで、両端部の剛性が高まり、非接合部が自由に動くことを抑制できる。
【0014】
態様3は、前記開口部に隣接する縁部の少なくとも一部において、前記前後方向に互いに対向している前記最内層同士が接合されている態様1又は2に記載の衛生物品の収容体である。
【0015】
態様3のような衛生物品の収容体によれば、開口部がずれにくくなり、収容体を安定して持ち運びできる。
【0016】
態様4は、前記収容部材の前記上端部の全域において、前記前後方向に互いに対向している前記最内層同士が接合されている態様1に記載の衛生物品の収容体である。
【0017】
態様4のような衛生物品の収容体によれば、収容部材の上端部は、収容体を持ち運ぶ際の持ち手領域(紐状部材を取り付けるときは紐状部材取り付け領域)であり、当該領域全体が接合されていることで、持ち手領域(紐状部材取り付け領域)の剛性が高まり、収容体をより安定して持ち運びやすくなる。
【0018】
態様5は、前記収容部材の前記上下方向に沿った4つの角部は、前記前後方向に互いに対向している前記最内層同士が接合されている態様1から態様4のいずれかに記載の衛生物品の収容体である。
【0019】
態様5のような衛生物品の収容体によれば、4つの角部の剛性が高まることで収容部材の前面部及び後面部に皺が寄りにくくなり、張りのある前面部及び後面部を形成できる。
【0020】
態様6は、前記収容部材の前記上端部において、前記開口部が前記左右方向の両側に設けられている態様1から態様5のいずれかに記載の衛生物品の収容体である。
【0021】
態様6のような衛生物品の収容体によれば、開口部に指を掛けて持つ場合には、隣り合わない指を掛けて持つこともでき、また、紐状部材等を取り付けて持ち手を形成するための開口部としても使用できる。
【0022】
態様7は、前記左右方向の両側に設けられている一方側の前記開口部と他方側の前記開口部との間には、別の開口部である中央開口部が設けられており、前記中央開口部に隣接する縁部の少なくとも一部は、前記中央接合部に設けられている態様6に記載の衛生物品の収容体である。
【0023】
態様7のような衛生物品の収容体によれば、中央接合部は収容部材が前後方向に分かれずに一体化されており、そのような中央接合部に中央開口部に隣接する縁部の少なくとも一部があることで、中央開口部はずれにくく、ユーザーが指を入れやすくなる。その結果、収容体を持ち易くなる。
【0024】
態様8は、持ち手用の少なくとも1本の紐状部材が、前記左右方向の両側に設けられているそれぞれの前記開口部に挿通されている態様6に記載の衛生物品の収容体である。
【0025】
態様8のような衛生物品の収容体によれば、紐状部材を左右方向両側の開口部に通して取り付けることにより収容体の持ち手となり、収容体の持ち運び性がより向上する。
【0026】
態様9は、前記開口部が設けられている前記収容部材の前記上端部は、印刷が施されていない非印刷領域である態様1から態様8のいずれかに記載の衛生物品の収容体である。
【0027】
態様9のような衛生物品の収容体によれば、収容部材の上端部に印刷が施されていないことで、持ち手となる開口部がより分かり易くなる。
【0028】
態様10は、前記収容部材の前記上下方向の下端部において、前記収容部材は、前記ガゼット折り構造の一対の折り込み部を有し、前記一対の折り込み部の一方の前記左右方向の最内端と、前記一対の折り込み部の他方の前記左右方向の最内端との間に、前記前後方向に互いに対向している前記最内層同士が接合された下側中央接合部が設けられており、前記収容部材の前記上下方向の上端から前記中央接合部の下端までの長さは、前記収容部材の前記上下方向の下端から前記下側中央接合部の上端までの長さよりも長い態様1から7及び9のいずれかに記載の衛生物品の収容体である。
【0029】
態様10のような衛生物品の収容体によれば、前記上下方向の上端から中央接合部の下端までは、収容部材の上端部の長さ(所謂、持ち手領域の長さ)であり、収容部材の下端部の長さよりも長くすることで、開口部を設けやすくなる。
【0030】
態様11は、前記衛生物品は前記収容体内で前記上下方向に二段構造になるように積層されており、収容状態の前記衛生物品の厚さ方向と平行する方向において、収容されている前記衛生物品のうち最も外側に位置する一方の前記衛生物品の外端から、他方の前記衛生物品の外端までの長さは、自然状態の前記衛生物品を前記上下方向に二段構造になるように積層させたときに、前記衛生物品の厚さ方向と平行する方向において、積層させた前記衛生物品のうち最も外側に位置する一方の前記衛生物品の外端から、他方の前記衛生物品の外端までの長さよりも短い態様1から7及び9から10のいずれかに記載の衛生物品の収容体である。
【0031】
態様11のような衛生物品の収容体によれば、収容部材に衛生物品を収容する際には、衛生物品の厚さ方向に圧縮しながら衛生物品を収容することにより、収容された衛生物品を動きにくくする。二段構造の上下の境目にはそのような力がかからないため、収容部材の材質によっては(例えば各種フィルムなど)、収容部材の当該境目部分に皺、へこみ、段差等が生じ易いが、最外層が紙で構成されているため、そのような段差を生じにくくすることができる。
【0032】
態様12は、前記中央接合部の前記左右方向の長さは、収容状態における前記衛生物品の最大厚みよりも短い態様1から態様11のいずれかに記載の衛生物品の収容体である。
【0033】
態様12のような衛生物品の収容体によれば、収容体に力が加わって、収容体内部で中央接合部に対して下側から衛生物品が押しつけられたとしても、中央接合部の幅の方が短いため、収容部材を不用意に開封してしまうことを抑制できる。
【0034】
態様13は、前記開口部の前記左右方向の長さは、自然状態における前記衛生物品の最大厚みの半分よりも長い態様1から7及び9から12のいずれかに記載の衛生物品の収容体である。
【0035】
態様13のような衛生物品の収容体によれば、開口部が比較的大きく形成されることで、収容体を持ちやすくなる。
【0036】
態様14は、前記開口部の前記左右方向の長さは、自然状態における前記衛生物品の最大厚みよりも長い態様1から7及び9から13のいずれかに記載の衛生物品の収容体である。
【0037】
態様14のような衛生物品の収容体によれば、開口部をより大きく形成することで、さらに持ちやすくなる。
【0038】
態様15は、前記収容部材の前記上端部において、前記左右方向の両側に設けられている前記開口部のそれぞれの前記左右方向の長さは、自然状態における前記衛生物品の最大厚みよりも短い態様8に記載の衛生物品の収容体である。
【0039】
態様15のような衛生物品の収容体によれば、開口部に紐状部材を通すため、開口部の大きさを小さくすることで、紐状部材を抜けづらくすることができる。
【0040】
態様16は、前記衛生物品は、自然状態から圧縮された状態で前記収容部材に収容されており、前記収容部材の前記前後方向の前側に位置する前面部の前記最外層の表面に、ユーザーが文字を記載する領域を特定するための特定表示が設けられている態様1から態様15のいずれかに記載の衛生物品の収容体である。
【0041】
態様16のような衛生物品の収容体によれば、収容部材の前側表面に、ユーザーが収容体の贈り先の名称やメッセージ等の文字を記載することができる領域が設けられていることで、収容体をギフト用にも利用できる。また、収容部材の外層が紙で構成され、且つ、衛生物品が圧縮して収容されていることで収容部材の外表面は皺等が寄りにくく張りのある状態となるため、ユーザーは文字を書きやすい。
【0042】
態様17は、衛生物品を第1収容部材に複数収容した第1収容体と、前記衛生物品を、前記第1収容部材と異なる第2収容部材に複数収容した第2収容体とを有する衛生物品の収容体群であって、前記第1収容体及び前記第2収容体は、互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、前記第1収容部材及び前記第2収容部材は、それぞれ最外層及び最内層を有し、前記最外層は少なくとも一部が紙で構成されており、前記最外層同士が前記前後方向に互いに対向するように前記左右方向の両外側から内側に折り込まれたガゼット折り構造を有しており、前記第1収容部材及び前記第2収容部材のそれぞれの前記上下方向の上端部において、前記第1収容部材及び前記第2収容部材は、それぞれ前記ガゼット折り構造の一対の折り込み部を有し、前記一対の折り込み部の一方の前記左右方向の最内端と、前記一対の折り込み部の他方の前記左右方向の最内端との間に、前記前後方向に互いに対向している前記最内層同士が接合された中央接合部が設けられており、前記一対の折り込み部は、前記前後方向に互いに対向している前記最外層同士が接合されていない非接合部を有し、前記第1収容部材には、前記非接合部の少なくとも一部を前記前後方向に互いに貫通する開口部が設けられており、且つ、前記開口部には、持ち手用の紐状部材が挿通されておらず、前記第2収容部材の前記上端部の両側部には、前記非接合部の少なくとも一部を前記前後方向に互いに貫通する側部開口部が設けられており、前記側部開口部には、それぞれ持ち手用の少なくとも1本の紐状部材が挿通されており、前記第1収容部材の前記開口部の前記左右方向の長さは、前記第2収容部材の前記側部開口部の前記左右方向の長さよりも長く、前記第1収容部材に収容されている前記衛生物品の数は、前記第2収容部材に収容されている前記衛生物品の数よりも多く、前記第1収容部材及び前記第2収容部材は、同一のブランド名、及び、同一のサブブランド名を有していることを特徴とする衛生物品の収容体群である。
【0043】
態様17のような衛生物品の収容体によれば、同じ商品が収容された2種類の収容形態をユーザーに認識させることができ、枚数が多い第1収容体は通常の購入用に、枚数が少なく紐状部材の持ち手が付いた第2収容体はギフト用に使用することもでき、販売促進効果が期待できる。また、各収容部材が同一のブランド名及びサブブランド名を有することで、ユーザーは小売店等において所望するサブブランドを収容した収容体群を容易に選択できる。
【0044】
===第1実施形態===
<衛生物品の収容体1の基本構成>
以下、本実施形態に係る衛生物品の収容体として、使い捨ておむつを収容する使い捨ておむつ収容体1(以下、単に「収容体1」とも呼ぶ)を例に挙げて実施形態を説明する。但し、収容体1に収容される衛生物品は使い捨ておむつには限られず、生理用ナプキンやパンティーライナー、軽失禁用パッド等、収容部材に収容可能なものであれば良い。
【0045】
図1Aは、第1実施形態の使い捨ておむつ収容体1の斜視図である。
図1Bは、
図1Aの収容体1の透視図である。収容体1は、袋状の部材である収容部材10と、該収容部材10の内部に収容される複数の衛生物品20(使い捨ておむつ)とを有している。また、収容体1(収容部材10)は、互いに交差する上下方向と、左右方向と、前後方向と、を有している。
【0046】
図1A及び
図1Bに示すように、収容部材10に衛生物品20が収容された状態(以下、「収容状態」ともいう。)の収容体1は、複数の面を有する略六面体である。具体的には、収容体1の収容部材10は、上下方向に沿って筒状に形成されたシート部材10s(後述)が、左右方向の両端部にてガゼット折りされ、さらに、上下方向両端部(10up、10dw)が接合部H1、H2(後述の
図4D及び
図4F参照)によって接合された略六面体形状を有する袋部材である。尚、当該六面体形状に限られず、他の多面体であってもよい。収容体1(収容部材10)は、前後方向における前側に位置する前面部11Aを有し、当該前面部11Aがある側を正面側とする。この前面部11Aと前後方向において対向する面が後面部11C(後述の
図3)であり、前後方向において前面部11Aと後面部11Cとの間に一対の側面部11B、11Bが設けられている。また、収容体1において上下方向に対向する二面のうち、上側に位置しているのが上面部11Dであり、下側が底面部11Eである。なお、収容体1を平らな場所に載置した状態においては、底面部11Eはどの角度からも視認できない面となる。
【0047】
収容体1は、
図1Bに示すように、収容空間内に1以上の衛生物品20を収容することが可能である。第1実施形態では、衛生物品20は収容体1内で上下方向に二段構造になるように積層されており、上段に12個及び下段に12個の合計24個の衛生物品20が収容されているが、収容数はこれに限られない。また、ユーザーは、収容部材10の上下方向上側の上端部10upの接合を解いて収容部材10を開封することによって形成された開封口(図示せず)から、衛生物品20を自在に出し入れすることが可能である。
【0048】
(収容部材10)
図2A及び
図2Bは、収容部材10を構成するシート部材10sについて説明する図である。
図3は、第1実施形態の展開状態の収容部材10である。
図3の収容部材10は、収容体1の収容部材10の各接合部(後述するAW,BW、H1等)の接合を剥がし、展開した状態を示している。
図4A~
図4Fは、収容部材10の構造及び製造方法について説明する図である。
図5は、
図4FのA-A断面について表す断面模式図である。
図6は、
図4FのB-B断面について表す断面模式図である。
【0049】
収容部材10は、複数のシート部材が厚さ方向に積層されてなる積層シート部材10s(以下、単にシート部材10sと呼ぶ)によって形成されている。本実施形態において、シート部材10sは、厚さ方向の外側(収容部材10の表面側)に配置された最外層10aと、厚さ方向の内側(収容部材10の裏面側)に配置された最内層10bとが接合された2層構造を有している。但し、シート部材10sが、3層以上の層を有していても良い。
【0050】
収容部材10の最外層10aは、少なくとも一部分が、紙で構成されている。ここで「紙」とは、植物繊維その他を膠着させて製造したものであり、広義には、素材として合成高分子物質を用いて製造した合成紙のほか,繊維状無機材料を配合した紙も含むものとする。収容部材10は、紙以外の材料も用いた複合素材であるが、収容部材10の質量のうち、最外層10aを構成する紙の質量が占める割合が50%を超えることが望ましい。そうすることにより、収容部材10が複合素材から構成されていても、紙の質量が占める割合が50%を超えることで、収容部材10は紙が主たる素材となる。また、最外層10aが紙素材であることを示す図柄18(「Paper package」)が最外層10aの表面側(収容体1の前後方向における前側)の表面に設けられていることで、当該収容体1が、環境に配慮して製造されたものであることをユーザーに認識させることができる。したがって、本実施形態において最外層10aは、パルプ繊維等の植物繊維からなる「紙」によって構成されていることが望ましく、また、最外層10aの全体が紙製であることが望ましい。
【0051】
収容部材10の最内層10bは、少なくとも一部分が、樹脂で構成されている。ここで「樹脂」とは、高分子化合物からなる合成樹脂であり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱可塑性樹脂を使用できる。また、最内層10bは透明な樹脂によって構成されており、少なくとも厚さ方向において一方側(表側)から他方側(裏側)を透かして視認することが可能となっていることが望ましい。
【0052】
このような最外層10aと最内層10bとが
図2Bのように厚さ方向に積層され、接着剤等によって互いに接合されることによって、表面側が紙製で裏面側が樹脂製のシート部材10sが形成される。
【0053】
なお、本実施形態の収容部材10の最内層10bは、少なくとも一部が樹脂で構成されているが、これに限定されず、樹脂によって構成されていなくてもよい。或いは、収容部材10を形成するシート部材10sは最外層10aと最内層10bとが接合された二層構造を有しているが、例えば、シート部材10s自体が紙素材のみによって形成されてもよい。換言すると、収容部材10が紙素材のみによって形成されてもよい。
【0054】
図3は、そのようなシート部材10sから構成される収容部材10の後述する各接合部(AW,BW、H1等)の接合を剥がして展開させた状態を示している。
図1及び
図3に示すように、収容部材10の前面部11A及び一方の側面部11Bの最外層10aの表面側の表面には、ブランド名17やサブブランド名19が設けられている。また、収容部材10の前面部11A,後面部11C、側面部11Bの最外層10aの表面側の表面には、さらに所定の図柄30が設けられていても良い。図柄30は、収容体1(衛生物品20)に関する各種情報を使用者に視認させるために設けられる。本実施形態では、
図1及び
図3に示されるように、衛生物品20をイメージさせるグラフィック(例えば、コットンの絵)が図柄30として設けられているが、当該図柄に限らず、衛生物品20の特徴(使用されている材料等)や、着用対象者のサイズ等に関する情報が図柄30として設けられていても良い。また、図柄30として各種認証マークの表示(不図示)が設けられていても良い。
【0055】
また、ブランド名17、図柄18、サブブランド名19,及び図柄30は、所定の水性インクを用いてグラビア印刷やフレキソ印刷によって最外層10aの表面側に印刷されている。一般に、水性インクは溶剤として水が用いられている場合が多く、有機溶剤等を用いた油性インクと比較して安全であり、且つ臭いも少ないことから、環境に優しいインクである。一方、水性インクは、油性インクと比較して被印刷媒体への固着性が弱いため、市場に流通させる商品には使用し難い場合があった。これに対して、本実施形態では被印刷媒体である最外層10aが紙製であるため、水性インクが固着しやすく、ブランド名17、図柄18、サブブランド名19、及び図柄30を安定して形成することが可能である。したがって、環境配慮の観点からも、本実施形態の収容部材10にブランド名17、図柄18等を印刷するインクとして、水性インクを用いることが好適である。
【0056】
収容部材10を形成する際には、先ず、
図4Aのように最外層10aが表側、最内層10bが裏側になるようにシート部材10sを筒状に丸める。そして、左右方向における一端部と他端部とを厚さ方向(前後方向)に重ね合わせ、重ね合わされた部分を上下方向に沿って接合してシート部材接合部AWを形成する。シート部材10sの一端部と他端部との接合は、例えば熱溶着等の公知の溶着手段を用いて行われる。その際、シート部材10sの一端部と他端部の対向する最内層10b,10bは、いずれも樹脂製のシート部材であり熱可塑性を有していることから、熱溶着等の溶着手段を用いることにより、対向するシート部材同士を十分な強度で接合することができる。
【0057】
次に、
図4Bに示されるように、筒状に形成されたシート部材10sを左右方向の両外側から内側に折り込み、ガゼット折り部である一対の折り込み部G1,G1を形成する。具体的に、折り込み部G1、G1では、上下方向に沿った折り曲げ線F3A、F3B、F3Cにて、シート部材10sが左右方向の一方側から他方側に折り曲げられている。そして、上下方向に沿った折り曲げ線F2A及びF2Bにて、最外層10a同士が互いに対向するように、シート部材10sが再度折り曲げられている。これにより、折り込み部G1のそれぞれが
図4Bのような略M字状に折り曲げられた一対の折り込み部G1、G1が形成される。この折り込み部G1では、
図5に示すように、最外層10aのうちの一方側の面である前側対向面10afと、他方側の面である後側対向面10agとが、前後方向に対向した状態となっている。
【0058】
次に、
図4Cに示されるように、一対の折り込み部G1,G1が形成された後のシート部材10sの前後方向の一方側の面と他方側の面のそれぞれの左右方向端部において、前後方向に互いに対向している最内層10b、10b同士が上下方向に沿って接合された端部接合部BWを形成する。すなわち、当該端部接合部BWは、前後方向の一方側の左右方向の両端部、及び、前後方向他方側の左右方向の両端部の合計4箇所に形成される。これにより、
図6に示すように、収容部材10の上下方向に沿った4つの角部10eeに端部接合部BWが形成される。端部接合部BWの幅は、5mm程度が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0059】
次に、
図4Dに示されるように、上下方向の一端側(
図4Dでは上側)において、前後方向に重ね合わされたシート部材10s同士を接合して接合部H1を形成する。接合部H1では、一対の折り込み部G1,G1を含めて、厚さ方向(前後方向)に対向して配置されている最内層10b同士が、熱溶着等の公知の溶着手段を用いて互いに溶着接合される。上述のシート部材接合部AWで説明したのと同様に、対向する最内層10b,10bは、いずれも樹脂製のシート部材であり熱可塑性を有していることから、熱溶着等の溶着手段を用いることにより、対向するシート部材同士を十分な強度で接合することができる。これにより、
図5において波線で示されるようなシール部SEが形成される。当該シール部SEにより、収容部材10の上下方向の一方側の端において、シート部材10sの最内層10b,10b同士が左右方向に沿って連続的に接合された状態となる。尚、
図1の収容状態における収容体1の収容部材10の上端部10upは当該接合部H1によって接合されている。また、上述の通り、接合部H1は熱溶着等の溶着手段を用いて接合しているが、シート部材10sが紙素材のみで構成される場合は、対向する各最内層10b同士を接着剤等によって接合してもよい。
【0060】
そして、接合部H1を形成したのち、当該接合部H1において前後方向に貫通する開口部15を左右方向に沿って3個形成する。開口部15の詳細については後述する。
【0061】
上下方向の一方側(
図4Dでは上側)の端部が接合部H1によって接合されて、開口部15を設けた後、一対の折り込み部G1、G1を広げて、断面略矩形状の収容空間を形成し、上下方向の他方側(
図4Eでは下側)から、当該収容空間内に衛生物品20を収容する。本実施形態のようなガゼット折り構造を有する収容部材10では、外装を構成するシート部材10sのうちガゼット折りされた部分が、所謂「マチ」として広がるため、
図1Bで示したように内部に広い収容空間を形成することができる。
【0062】
衛生物品20が収容された後、
図4Fのように、上下方向の他端側(
図4Eでは下側)において、前後方向に重ね合わされたシート部材10s同士を接合して接合部H2を形成する。接合部H2の形成方法は、接合部H1の形成方法と同様である。故に、接合部H2は接合部H1と同等の構造を有していることから、
図5の断面構造は、接合部H2の断面構造も表している。
【0063】
このようにして、内部の収容空間に複数の衛生物品20を収容した状態の収容部材10が形成される。
【0064】
(衛生物品20)
図7は、収容部材10に収容された状態における衛生物品20を前後方向の前側から見たときの平面図である。
図8は、衛生物品20を展開かつ伸長させた状態の衛生物品20の平面図及び断面図である。
図7及び
図8において、衛生物品20は、互いに交差する縦方向と、横方向とを有している。縦方向は、伸長状態の吸収性物品の長手方向に相当し、
図1の上下方向に沿った方向である。横方向は、伸長状態の吸収性物品の短手方向に相当し、
図1の前後方向に沿った方向である。
【0065】
図7及び
図8では、収容部材10に収容される衛生物品20の一例として、テープ型の使い捨ておむつについて示されている。衛生物品20は、外装体21と、内装体22と、ファスニングテープ24と、を有している。
【0066】
外装体21は、衛生物品20の最も非肌側に設けられ、内装体22を支持する外装部材である。外装体21としては、例えばSMS(スパンボンドーメルトブローン-スパンボンド)不織布等の適宜な不織布を使用することができる。また、外装体21の非肌側の面(すなわち、衛生物品20の最外面)には、所定の図柄25が設けられていても良い。図柄25は、収容部材10に設けられたブランド名17と同様に、衛生物品20に関する情報を使用者に視認させるために設けられている。図柄25としては、
図7に示されるような衛生物品20の名称(商品名)に限らず、衛生物品20の特徴(使用されている材料)、衛生物品20をイメージさせるグラフィック(例えば、コットンの絵)等に関する情報が設けられていてもよい。また、着用対象者のサイズやその他の情報が表示されていても良い。
【0067】
内装体22は、排泄物を吸収する吸収性本体に相当する部材であり、吸収体22aと、吸収体22aよりも厚さ方向の肌側に配置された肌側シート22bと、吸収体22aよりも厚さ方向の非肌側に配置された非肌側シート22cとを有する。
【0068】
吸収体22aは、尿等の排泄物を吸収して保持する部材であり、液体吸収性素材を含む吸収性コアが、液透過性のコアラップシートに覆われることによって形成されている。吸収性コアを構成する液体吸収性素材としては、例えばパルプ繊維等の液体吸収性繊維や、高吸収性ポリマー(所謂SAP)等の液体吸収性粒状物を使用することができる。またコアラップシートとしては、例えばティッシュペーパーを使用することができる。
【0069】
肌側シート22bは、衛生物品20の着用時において、着用者の肌と当接する部材であり、排泄物を厚さ方向の肌側から非肌側に透過させて吸収体22aへ移動させる、液透過性のシート部材である。肌側シート22bとしては、例えばエアスルー不織布などの柔軟なシート部材を使用することができる。非肌側シート22cは、吸収体22aによって吸収された尿等の液体が非肌側(着用者の着衣の側)に染み出すことを抑制する、液不透過性のシート部材である。非肌側シート22cとしては、例えば、ポリエチレン(PE)の樹脂フィルムなど柔軟なシート部材を使用することができる。
【0070】
ファスニングテープ24は、外装体21の縦方向の背側端部において、横方向の両外側に延出するように一対設けられた係合部材である。ファスニングテープ24には不織布等の繊維と係合するフックを備えた面ファスナーが設けられており、衛生物品20の着用時には、当該面ファスナーの係合力により、一対のファスニングテープ24,24が外装体21(不織布)の腹側領域にそれぞれ係合される。これにより、衛生物品20の胴回り開口及び脚回り開口が形成され、着用者の身体(胴)に対して衛生物品20の位置を固定することができる。
【0071】
衛生物品20を収容部材10に収容する際には、一対のファスニングテープ24,24を横方向の内側に折り畳み、衛生物品20の非肌側面が外側になるようにして縦方向の中央部で二つ折りにする。このように、衛生物品20を
図7のようなコンパクトな形状に折り畳み、収容部材10の上下方向と衛生物品20の縦方向が揃うようにして収容される。本実施形態では、衛生物品20は、衛生物品20の厚さ方向が収容部材10の左右方向に沿うように収容されているが、これに限られず、衛生物品20の厚さ方向が収容部材10の前後方向に沿うように収容されていてもよい。
【0072】
(収容部材10の開口部15)
図9は、第1実施形態の収容部材10の前面部11A側から見た一部平面図である。本実施形態の収容部材10は、最外層10a同士が前後方向に互いに対向するように左右方向の両外側から内側に折り込まれたガゼット折り構造の一対の折り込み部G1,G1(
図5)を有している。そして、収容部材10の上下方向の上端部10upにおいては、
図5に示すように、一対の折り込み部G1,G1の一方(左側)の左右方向の最内端G1maと、一対の折り込み部G1、G1の他方(右側)の左右方向の最内端G1mbとの間に、前後方向に互いに対向している最内層10b同士が接合された中央接合部CTuが設けられている(
図5及び
図9の斜線部分)。具体的には、中央接合部CTuでは、収容部材10の前面部11A側の最内層10bと後面部11C側の最内層10bとが接合されており、中央接合部CTuは、前後方向において、収容部材10が一体化されて固定されている。そして、一対の折り込み部G1、G1は、
図5に示すように、接合部H1の形成時(
図4D)に、前後方向に対向する最内層10b同士、すなわち、前側の上面部11Dと連続する部分の最内層10bと側面部11Bと連続する部分11F(
図3参照)の最内層10b同士、及び、後側の上面部11Dと連続する部分の最内層10bと側面部11Bと連続する部分11Fの最内層10b同士が接合されているが、前後方向に互いに対向している最外層10a同士、すなわち、最外層10aのうちの一方側の面である前側対向面10afと、他方側の面である後側対向面10agと、が接合されていない非接合部NTを有している。
【0073】
従来、そのようなガゼット折り構造を有する衛生物品用の紙パッケージにおいて、ガゼットの折り込み部(本実施形態では折り込み部G1に相当)は、当該折り込み部の対向する外層同士が非接合状態であることが多い。そして、そのような非接合状態の折り込み部は自由に動いてしまい易く、ユーザーが当該折り込み部を手で持とうとした場合、持ちにくくなる虞がある。
【0074】
この点、本実施形態では、収容部材10の上端部10upに前後方向に互いに貫通する開口部15が三つ設けられている。具体的には、
図9に示すように、三つの開口部15のうちの左右方向の両側に設けられている開口部15を、それぞれ一方側(左側)の開口部15s1と、他方側(右側)の開口部15s2とすると、当該開口部15s1、15s2は、一対の折り込み部G1,G1の非接合部NTにおいて折り込み部G1を前後方向に貫通するように設けられている。非接合部NTは、前後方向に対向する最外層10a同士が接合されていないため、折り込み部G1の後側の部分と前側の部分とが別々に動いてしまい易いが、そのような非接合部NTに開口部15(開口部15s1、15s2)を設けることで、開口部15に指を通して折り込み部G1を重ねて固定させた状態で持つことが可能になり、非接合部NTが自由に動いてしまうことを抑制し、持ち運び性が向上する。なお、本実施形態では、開口部15は円形に形成されているが、これに限定されず、指を入れて持ち運ぶことが可能であれば、任意の形状を採用できる。
【0075】
また、本実施形態では、開口部15s1と開口部15s2との間に、別の開口部15である中央開口部15ctが設けられている。当該中央開口部15ctは、少なくとも一部が非接合部NTを貫通するように設けられており、開口部15s1、15s2と同様に、中央開口部15ctに指を通すことで、中央開口部15ctも部分的に折り込み部G1の自由度を抑制する効果を奏する。
【0076】
また、
図9に示すように、中央開口部15ctは、中央開口部15ctに隣接する縁部の少なくとも一部が、中央接合部CTuに設けられている。中央接合部CTuは、収容部材10が前後方向に分かれずに一体化されており、そのような中央接合部CTuに、中央開口部15ctに隣接する縁部の少なくとも一部があることで、中央開口部15ctはずれにくく、指を入れやすくなる。
【0077】
また、収容部材10の上端部10upは、その全域において、上述の通り、接合部H1(
図4D、
図4F)によって、一対の折り込み部G1,G1を含めて、前後方向に互いに対向して配置されている最内層10b同士が接合されている。収容部材10の上端部10upは、開口部15に指を入れて収容体1を持ち運ぶことのできる、所謂持ち手領域に相当し、そのような領域全体の最内層10b同士が接合されていることで、持ち手領域の剛性が高まり、収容体1を安定して持ち運びやすくなる。
【0078】
なお、本実施形態では、収容部材10の上端部10upの全域において前後方向に互いに対向する最内層10b同士が接合されているが、これに限定されず、例えば、少なくとも上端部10upの非接合部NTの左右方向の両端部10upe、10upe(
図9参照)において、前後方向に互いに対向している最内層10b同士が接合されていることが望ましい。非接合部NTの両端部10upe、10upeを接合することで、両端部10upe、10upeの剛性が高まり、非接合部NTが自由に動くことを抑制できる。なお、本実施形態では、両端部10upe、10upeにおける前後方向に互いに対向している最内層10b同士の接合は、
図4Cを参照して説明したように、収容部材10の上下方向に沿った4つの角部10eeに形成された端部接合部BWによって行われている。
【0079】
また、本実施形態の収容部材10の開口部15においては、開口部15に隣接する縁部は前後方向に互いに対向している最内層10b同士が接合されているが、開口部15に隣接する縁部の少なくとも一部において、前後方向に互いに対向している最内層10b同士が接合されていればよい。そのようにすることで、開口部15に指を入れて持った際に開口部15がずれにくくなり、収容体1を安定して持ち運ぶことができる。
【0080】
図4C及び
図6に示すように、収容部材10の上下方向に沿った4つの角部10eeにはそれぞれ端部接合部BWが形成されており、すなわち、4つの角部10eeは、前後方向に互いに対向している最内層10b同士が接合されているが、これにより、収容部材10の上下方向に沿った当該4つの角部は剛性が高まる。その結果、収容部材10の前面部11A及び後面部11Cに皺が寄りにくくなり、張りのある前面部11A及び後面部11Cを形成できる。
【0081】
そして、
図1及び
図3に示すように、開口部15が設けられている収容部材10の上端部10upは、図柄や文字等の印刷が施されていない非印刷領域である。そのように印刷が施されていないことで、持ち手となる開口部15がより分かり易くなる。
【0082】
図10は、収容体1を前面部11A側から見た平面図である。まず、収容部材10は、
図4Fに示すように、上下方向の下端部10dwにおいても、ガゼット折り構造の一対の折り込み部G1、G1を前後方向に重ね合わされたシート部材10s同士を接合して接合部H2が形成されている。そして、収容部材10の下端部10dwでは、上端部10upと同様に、一対の折り込み部G1,G1の一方(左側)の左右方向の最内端と、他方(右側)の左右方向の最内端との間に、前後方向に互いに対向している前記最内層10b同士が接合された下側中央接合部CTdが設けられている。そして、
図10に示す通り、収容部材10の上下方向の上端10epから中央接合部CTuの下端CTueまでの長さL1は、収容部材10の上下方向の下端10edから下側中央接合部CTdの上端CTdeまでの長さL2よりも長くなっている。収容部材10において、上端10epから中央接合部CTuの下端CTueまでの長さL1は、収容部材10の上端部10upの長さであり、当該上端部10upは、所謂、持ち手となる領域であり、そのような上端部10upの長さを下端部10dwの長さL2よりも長くすることで、開口部15を設けやすくなる。
【0083】
また、上述の通り、本実施形態において、衛生物品20は収容体1内で上下方向に二段構造になるように積層されている。通常、収容部材10に衛生物品20を収容する際には、衛生物品20の厚さ方向に力をかけて圧縮しながら収容することで、収容部材10内に隙間無く配置し、収容された衛生物品20を収容部材10内で動きにくくする。その圧縮されている状態は次のようにも説明できる。すなわち、
図6に示すように、収容状態の衛生物品20の厚さ方向と平行する方向(本実施形態では収容部材10の左右方向)において、収容されている衛生物品20のうち最も外側に位置する一方の衛生物品20の外端20seaから、他方の衛生物品20の外端20sebまでの長さW5は、自然状態の衛生物品20を上下方向に二段構造になるように積層させたときに、衛生物品20の厚さ方向と平行する方向において、積層させた衛生物品20のうち最も外側に位置する一方の衛生物品20の外端から、他方の衛生物品20の外端までの長さよりも短い。圧縮された状態で衛生物品20が収容されている場合でも、本実施形態のように二段構造の上下の境目にはそのような力がかからないため、収容部材10の材質が、例えば各種フィルム等である場合、収容部材10の当該境目部分に皺、へこみ、段差等が生じ易くなってしまう。しかしながら、本実施形態では、収容部材10の最外層10aが紙で構成されているため剛性を高めることができ、境目にそのようなへこみや段差を生じにくくすることができる。
【0084】
また、本実施形態において、収容部材10の上端部10upの中央接合部CTuの左右方向の長さ(幅)LCTu(
図9参照)は、収容状態における衛生物品20の最大厚みW1(
図6)よりも短くなっている。それにより、収容体1に外側から力が加わって、収容体1の内部で中央接合部CTuに対して上下方向の下側から衛生物品20が押しつけられたとしても、中央接合部CTuの幅の方が短いため、収容部材10を不用意に開封してしまうことを抑制できる。
【0085】
さらに、収容部材10の開口部15の左右方向の長さ(幅)のL15(
図9参照)は、自然状態における衛生物品20の最大厚みの半分よりも長いことが好ましい。そのようにすることで、開口部15は比較的大きく形成され、ユーザーは、開口部15に指を入れて収容体1を持ちやすくなる。
【0086】
また、より好ましくは、収容部材10の開口部15の左右方向の長さ(幅)L15が、自然状態における衛生物品20の最大厚みよりも長いことである。そのように開口部15をより大きく形成することで、ユーザーは収容体1をさらに持ちやすくなる。
【0087】
===第2実施形態===
<衛生物品の収容体1’の基本構成>
第2実施形態の収容体1’について説明する。
図11は、第2実施形態の使い捨ておむつ収容体1’の斜視図である。収容体1’は、衛生物品20と、衛生物品20を収容する収容部材100とを備えている。ここでは、第1実施形態の構成と共通する部分は符号等を同じとする。また、収容部材100の外観は、第1実施形態の収容部材10の外観とは異なるが、収容部材100を構成する素材やガゼット折りで形成される基本構成は収容部材10の基本構成と同様のため、詳細な説明は省略し、第1実施形態と主に異なる点を説明する。
【0088】
収容体1’においては、第1実施形態の衛生物品20と同じ衛生物品20が、第1実施形態と同様の収容方法によって、一段のみの構成で12個収容されている。よって、収容体1’の上下方向の大きさ(後述の紐状部材160を除いた大きさ)は、第1実施形態の収容体1の上下方向の大きさの略半分である。なお、収容体1’に収容される衛生物品20の数は、上述の個数に何等限定されない。
【0089】
収容体1’の収容部材100の上端部100upにおいては、第1実施形態の開口部15と同様に、一対の折り込み部G1,G1(不図示)の非接合部NT(不図示)において折り込み部G1を前後方向に貫通するように開口部150,150が左右方向の両側に設けられている。そして、当該開口部150,150には、持ち手用の少なくとも1本の紐状部材160が挿通されており、さらに紐状部材160が開口部150から抜け落ちないように結び目を形成して取り付けられている。このように紐状部材160を両側の開口部150,150に通して取り付けることにより紐状部材160の部分が収容体1の持ち手となり、ユーザーがより収容体1’を持ち運びやすくなる。また、当該開口部150,150に紐状部材160を通すことで、自由に動き易い折り込み部G1を前後方向に重ねて固定させることができ、収容体1の持ち運び性を向上させる。なお、紐状部材160の材質は特に限定されず、第2実施形態の収容体1’のように複数の衛生物品20を収容した収容部材100を持ち運べる程度の強度を有するものであればよい。
【0090】
また、
図11に示すように、収容部材100の上端部100upの左右方向の両側に設けられている開口部150,150の左右方向の長さ(幅)L150は、自然状態における衛生物品20の最大厚みよりも短いことが好ましい。開口部150には紐状部材160を挿通させるため、開口部150の大きさを小さくすることで、紐状部材160を抜けづらくすることができる。
【0091】
図12は、第2実施形態の使い捨ておむつ収容体1’の変形例を説明する図である。
図12に示す変形例では、収容体1’の収容部材100の前後方向の前側に位置する前面部110Aの最外層10aの表面に、ユーザーが文字を記載する領域を特定するための特定表示170が設けられている。本実施形態では、特定表示170は、「To」表記の横のアンダーライン部分を意味する。ユーザーは、収容体1’をギフト用としても利用でき、その際には、特定表記170の部分に贈り先の名称(名前)やメッセージ等の文字を自ら記載することができる。また、収容部材100は、前面部110Aの最外層10aの表面に図柄175を有しており、当該図柄175は、ギフト用の趣旨を示す祝福のメッセージや図柄(例えば、「ご誕生おめでとう」の言葉や、プレゼントを意味する図柄等)であることが望ましい。また、第1実施形態と同様に、収容体1’においても、衛生物品20は自然状態から厚さ方向に圧縮された状態で収容部材100に収容されており、且つ、収容部材100の最外層10aの少なくとも一部が紙で構成されていることから、収容部材100の外表面は皺等が寄りにくく張りのある状態となる。それにより、ユーザーが収容部材100の外表面に文字を書き易くなる。
【0092】
===その他の実施形態===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。
【0093】
上述の第1及び第2実施形態では、衛生物品の収容体として収容体1及び収容体1’をそれぞれ挙げたが、単体の収容体のみならず、各収容体を有する収容体群として構成されてもよい。
図13は、衛生物品の収容体群1Gを示す斜視図である。なお、
図13における収容体1及び収容体1’は、それぞれ平らな場所に載置した状態を示している。衛生物品の収容体群1Gは、衛生物品20を収容部材10(以下、「第1収容部材10」ともいう)に複数収容した収容体1(以下、「第1収容体1」ともいう)と、衛生物品20を、第1収容部材10と異なる収容部材100(以下、「第2収容部材100」ともいう)に複数収容した収容体1’(以下、「第2収容体1’」ともいう)と、を有する。
【0094】
第1収容体1の第1収容部材10には、第1実施形態における開口部15が設けられており、且つ、開口部15には、持ち手用の紐状部材が挿通されていない。そして、第2収容部材100の上端部100upの両側部には、開口部150(ここでは、側部開口部150ともいう)が設けられており、開口部(側部開口部)150には、それぞれ持ち手用の少なくとも1本の紐状部材160が挿通されている。また、第1収容部材10の開口部15の左右方向の長さ(幅)は、第2収容部材100の側部開口部150の左右方向の長さ(幅)よりも長くなっている。そして、第1収容部材10に収容されている衛生物品20の数は24個であるに対して、第2収容部材100に収容されている衛生物品20の数は12個であり、第1収容部材10の方がより多くの衛生物品20を収容している。
【0095】
また、第1収容部材10及び第2収容部材100は、同一のブランド名17(ここでは、一例として「Mamy Poko」)、及び、同一のサブブランド名19(ここでは、一例として「Royal Soft」)を有している。一般に、同じ使い捨ておむつに分類される商品には、同一のブランド名が付与され、おむつの機能やデザインに応じて異なるサブブランド名が付される。つまり、同じ機能やデザインを有する使い捨ておむつは、製品形態が異なる場合にも(例えば、テープ型とパンツ型等)、同一のサブブランド名が付与される。
図13に示すように、衛生物品の収容体群G1によって、同じ商品が収容された2種類の収容形態をユーザーに認識させることができ、例えば、枚数が多い第1収容体1は自宅で使用する通常の購入用に、枚数が少なく紐状部材160の持ち手が付いた第2収容体1’はギフト用等に使用することもでき、小売店等において、販売促進効果が期待できる。また、各収容部材10,100が同一のブランド名17及びサブブランド名19を有することで、ユーザーは小売店等において所望するサブブランドを収容した収容体群G1を容易に認識及び選択できる。
【0096】
上述の第1実施形態では、開口部15の一例として、収容部材10の左右方向に沿って所定の間隔を開けて設けられた3つの開口部15を挙げたが、何等これに限られない。
図14A及び
図14Bは、第1実施形態の開口部15の変形例を説明する正面図である。第1実施形態の3つの開口部15は、それぞれ同じ形状を有していたが、これに限らず、例えば、
図14Aに示すように、その内の一つが別の形状であってもよい。また、複数の開口部15がそれぞれ違う形状であってもよい。また、
図14Bに示すように、開口部15の数は3つに限らず、4つ形成されていてもよく、或いは、3つより少ない数であってもよい。開口部15を4つ形成する場合には、上端部10upにおける上下方向の位置が全て同一でなくてもよく、
図14Bの開口部15のように、一つだけ上下方向の位置が異なるように形成されていてもよい。左右方向の外側の開口部15の一方を他の開口部15よりも上側に形成することで、上側に形成した開口部15には、他の指よりも長さの短い小指を挿入しやすくなる。そのような構成により、ユーザーは開口部15により指をかけやすくなり、持ち運び性が向上する。
【符号の説明】
【0097】
1 使い捨ておむつ収容体(衛生物品の収容体、第1収容体)
1’ 使い捨ておむつ収容体(衛生物品の収容体、第2収容体)
1G 衛生物品の収容体群
10 収容部材、第1収容部材
10a 最外層
10af 前側対向面
10ag 後側対向面
10b 最内層
10dw 下端部
10ed 下端
10ee 角部
10ep 上端
10s シート部材
10up 上端部
10upe 端部
11A 前面部
11B 側面部
11C 後面部
11D 上面部
11E 底面部
11F 連続する部分
15 開口部
15ct 中央開口部
15s1 開口部
15s2 開口部
17 ブランド名
18 図柄
19 サブブランド名
20 衛生物品
20sea 外端
20seb 外端
21 外装体
22 内装体
22a 吸収体
22b 肌側シート
22c 非肌側シート
24 ファスニングテープ
25 図柄
30 図柄
100 収容部材、第2収容部材
100up 上端部
150 開口部
160 紐状部材
170 特定表示
175 図柄