(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178126
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】薬液注入ポンプ用バルブ構造およびそれを備えた薬液注入ポンプ
(51)【国際特許分類】
E02D 3/12 20060101AFI20231207BHJP
F16K 27/02 20060101ALI20231207BHJP
F16K 1/42 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
E02D3/12 101
F16K27/02
F16K1/42 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091216
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】317006339
【氏名又は名称】SOEIホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】516074171
【氏名又は名称】双栄基礎工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(72)【発明者】
【氏名】寺島 昭司
【テーマコード(参考)】
2D040
3H051
3H052
【Fターム(参考)】
2D040AB01
2D040CB03
2D040CD03
3H051AA01
3H051BB03
3H051BB04
3H051CC11
3H052AA01
3H052BA25
3H052BA26
3H052CB11
3H052CC00
(57)【要約】
【課題】 薬液注入ポンプに使用される新たなバルブ構造を提供することにある。
【解決手段】 新たなバルブ構造は、バルブボックス20と、バルブボール40の弁座となるバルブシート30と、をそれぞれ分離可能に構成されている。バルブシート30Aとバルブボール40Aは5~20L吐出用、バルブシート30Bとバルブボール40Bは0.3~12L吐出用(低吐出用)となっており、バルブボックス20は共通して使用できる。また、バルブシート30は、上下対称に形成されたリバーシブルタイプである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液注入ポンプに使用されるバルブ構造であって、
バルブボールの弁座となるバルブシートを支持するバルブボックスと、バルブシートとを分離可能に構成したことを特徴とする薬液注入ポンプ用バルブ構造。
【請求項2】
バルブシートが上下対称に形成されたリバーシブルタイプであることを特徴とする請求項1記載の薬液注入ポンプ用バルブ構造。
【請求項3】
バルブボックスは交換せずに低吐出用のバルブボールに対応したバルブシートを嵌め込むことを特徴とする請求項1又は2記載の薬液注入ポンプ用バルブ構造。
【請求項4】
請求項1又は2記載の薬液注入ポンプ用バルブ構造を備えたことを特徴とする薬液注入ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、薬液注入ポンプに使用されるバルブ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地質改良をするために、薬液注入ポンプを用いることがある(例えば、特許文献1など)。この薬液注入ポンプに使用されるバルブ構造は、これまでバルブボールの弁座となるバルブシートを支持するバルブボックスと、バルブシートとが分離不可能な一体型であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、消耗により、安定した吐出が維持できなくなった場合は、バルブシート部分を旋盤で削り加工しなければならなかった。3~4回程度まで削り落とし再利用することができるが、再生できる高さが無くなったものについては、バルブボックスごと廃棄せざるを得なかった。
【0005】
バルブボックスは高価であり、また、バルブシートの部分以外は問題無くても廃棄するのは明らかに改善すべき課題である。
【0006】
そこで、本願発明者は、上記課題を解決すべく新たなバルブ構造を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、薬液注入ポンプに使用されるバルブ構造であって、バルブボールの弁座となるバルブシートを支持するバルブボックスと、バルブシートとを分離可能に構成したことを特徴とする薬液注入ポンプ用バルブ構造である。
第2の発明は、バルブシートが上下対称に形成されたリバーシブルタイプであることを特徴とする上記第1の発明に係る薬液注入ポンプ用バルブ構造である。
第3の発明は、バルブボックスは交換せずに低吐出用のバルブボールに対応したバルブシートを嵌め込むことを特徴とする上記第1の発明又は第2の発明に係る薬液注入ポンプ用バルブ構造である。
第4の発明は、上記第1の発明から第3の発明のいずれかに係る薬液注入ポンプ用バルブ構造を備えたことを特徴とする薬液注入ポンプである。
【発明の効果】
【0008】
本願発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)バルブボールの弁座となるバルブシートを支持するバルブボックスと、バルブシートとを分離可能に構成したことで、消耗により安定した吐出が維持できなくなった場合は、バルブシートのみを交換すればよく、バルブボックスはそのまま使用できる。コストもバルブボックス・バルブシート一体型のものと比較して、バルブボックス・バルブシート分離型のものであれば、極めて低額に抑えることができる。
(2)バルブシートが上下対称に形成されたリバーシブルタイプであることで、1つのバルブシートで表裏の2回分使用することができる。
(3)バルブボックス・バルブシート分離型にすることで、バルブボックスは交換せずにバルブシートのみを交換するだけで、低吐出用から高吐出用まで自在に変換できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】バルブボックス・バルブシート一体型(従来技術)を示す説明図。
【
図2】バルブボックス・バルブシート分離型(本願発明)を示す説明図(1)。
【
図3】バルブボックス・バルブシート分離型(本願発明)を示す説明図(2)。
【
図4】バルブボックス・バルブシート分離型(本願発明)を示す説明図(3)。
【
図5】バルブボックス・バルブシート分離型(本願発明)を示す説明図(4)。
【
図6】バルブボックス・バルブシート分離型(本願発明)を示す説明図(5)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、
図1は、比較例として、バルブボックスとバルブシートが一体になっている一体型を示す説明図である。
従来のバルブボックス10は、本体の内部にバルブボール(図示省略)の弁座となるバルブシート11が一体的に備えられている。このバルブシート11がバルブボールと当接することで、その当接部位が消耗する。
【0011】
バルブシート11が消耗し、安定した吐出が維持できなくなると、バルブシート11を旋盤で削り加工する。この間、当然にバルブボックス10は使用できない。また、加工による再生回数にも限度があり(通常3~4回程度)、バルブシート11を削り加工で再生できなくなると、他の部分に問題が無いバルブボックス10であっても廃棄処分せざるを得ない。
【0012】
そこで、
図2に図示するバルブボックスとバルブシートを分離可能にした分離型を発明した。
本願発明のバルブ構造は、バルブボックス20と、バルブボール40の弁座となるバルブシート30と、をそれぞれ分離可能に構成されている。
ここで、バルブシート30Aとバルブボール40Aは5~20L吐出用、バルブシート30Bとバルブボール40Bは0.3~12L吐出用(低吐出用)となっており、バルブボックス20は共通して使用できる。
【0013】
図3は、分離型のバルブボックス20とバルブシート30を図示したものである。
図4は、
図3で図示したバルブシート30をバルブボックス20の凹部21へ嵌め込んだ状態を図示している。
【0014】
図5は、バルブシート30にバルブボール40が当接している状態を図示している。
図6は、バルブシート30を正面から図示したものである。
バルブシート30のバルブボール40と当接する部位は消耗する(
図5参照)。一方、バルブシート30は、上下対称に形成されたリバーシブルタイプである(
図6参照)。
【0015】
従って、片方の当接部位が消耗したバルブシート30は、リバースして消耗していないもう片方の当接部位を使用することができる。すなわち、1個のバルブシート30で2回使用することができるのである。
また、両方の当接部位が消耗したバルブシート30は廃棄するだけで、バルブボックス20を廃棄する必要は無い(バルブシート30のみを交換すればよい)。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本願発明は、薬液注入ポンプに使用されるバルブ構造として、幅広く利用できるものである。
【符号の説明】
【0017】
10:バルブボックス(従来例)
11:バルブシート(バルブボックス・シート一体型)(従来例)
20:バルブボックス
21:凹部(バルブシートの嵌め込み部)
30:バルブシート(30A,30B)
31:Oリング
40:バルブボール(40A,40B)