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特開2023-178144発券装置、発券システム及び発券方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178144
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】発券装置、発券システム及び発券方法
(51)【国際特許分類】
   G07B 1/00 20060101AFI20231207BHJP
   G06Q 20/18 20120101ALI20231207BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20231207BHJP
【FI】
G07B1/00 A
G06Q20/18
G06Q50/30
G07B1/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091234
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】504373093
【氏名又は名称】日立チャネルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】酒井 駿輔
(72)【発明者】
【氏名】清水 邦通
【テーマコード(参考)】
3E026
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
3E026AA02
5L049CC43
5L055AA38
(57)【要約】
【課題】利用者の需要や駅の利用状況に応じて、利便性の高い券売装置を提供する。
【解決手段】混雑度情報に基づいて複数のサービスの中から優先的に処理すべき優先サービスを選択して処理可能なサービスを制限する制御部と、選択された優先サービスを処理する処理部とを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のサービスを処理可能な発券装置であって、
混雑度情報に基づいて、複数の前記サービスの中から優先的に処理すべき優先サービスを選択して処理可能な前記サービスを制限する制御部と、
選択された前記優先サービスを処理する処理部と、
を有することを特徴とする発券装置。
【請求項2】
前記処理部は、
カメラで撮影したカメラ映像を処理するカメラ映像処理部と、
電車の発券業務を処理する発券業務処理部と、
外部サービスを処理する外部サービス処理部と、有し、
前記カメラ映像処理部は、
前記カメラ映像から前記混雑度情報を生成し、
前記制御部は、
前記混雑度情報に基づいて、前記優先サービスとして前記発券業務と前記外部サービスのいずれかを選択し、
前記発券業務処理部は、
前記優先サービスとして選択された前記電車の発券業務を処理し、
前記外部サービス処理部は、
前記優先サービスとして選択された前記外部サービスを処理することを特徴とする請求項1に記載の発券装置。
【請求項3】
前記外部サービス処理部は、
前記外部サービスとして、少なくともコンサートチケットの発券、銀行取引又は行政機関の行政サービスを処理することを特徴とする請求項2に記載の発券装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記混雑度情報を含む前記優先サービスを処理するための適用条件、前記サービスの優先度及び前記サービスを処理する前記発券装置の台数を含むルールテーブルを参照して、複数の前記サービスの中から前記優先サービスを選択することを特徴とする請求項1に記載の発券装置。
【請求項5】
前記優先サービスと前記優先サービスの終了時刻を表示する表示部を更に有することを特徴とする請求項1に記載の発券装置。
【請求項6】
複数のサービスを処理可能な複数台の発券装置と、
複数台の前記発券装置にネットワークを介して接続された上位サーバと、を有する発券システムであって、
前記発券装置は、
混雑度情報に基づいて、複数の前記サービスの中から優先的に処理すべき優先サービスを選択して処理可能な前記サービスを制限する制御部と、
選択された前記優先サービスを処理する処理部と、を有し、
前記上位サーバは、
混雑度処理部とルール記録部を有し
前記混雑度処理部は、
前記発券装置の周辺の混雑度情報を生成し、
前記ルール記録部は、
前記混雑度情報を含む前記優先サービスを処理するための適用条件、前記サービスの優先度及び前記サービスを処理する前記発券装置の台数を含むルールテーブルを格納し、
前記発券装置の前記制御部は、
前記混雑度処理部で生成された前記混雑度情報と前記ルールテーブルを参照して、複数の前記サービスの中から前記優先サービスを選択し、選択された前記優先サービスに割り当てられる前記発券装置の台数を決定し、
前記発券装置の前記処理部は、
割り当てられた前記台数の前記発券装置を利用して前記優先サービスを処理することを特徴とする発券システム。
【請求項7】
前記ネットワークに駅サイネージが更に接続されており、
前記駅サイネージは、
前記発券装置ごとに、処理可能な前記サービスをユーザに案内することを特徴とする請求項6に記載の発券システム。
【請求項8】
前記上位サーバは、
駅構内に配置された駅サーバを含むことを特徴とする請求項6に記載の発券システム。
【請求項9】
前記発券装置は、
前記優先サービスと前記優先サービスの終了時刻を表示することを特徴とする請求項6に記載の発券システム。
【請求項10】
複数のサービスを処理可能な発券装置を用いて発券処理を行う発券方法であって、
混雑度情報に基づいて、複数の前記サービスの中から優先的に処理すべき優先サービスを選択して処理可能な前記サービスを制限するステップと、
選択された前記優先サービスを処理するステップと、
を有することを特徴とする発券方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発券装置、発券システム及び発券方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道などの駅には、電車に乗るための乗車券や特急券などを発券するための鉄道券売機が設置され、乗客は自分の行き先、乗車する電車に応じたチケットを購入することができる。近年、駅に設置される券売機に、鉄道以外のチケットを発券する機能を持たせた技術が出てきている。
【0003】
駅の券売機に、鉄道以外のチケットを発券する機能を有する技術として、特許文献1がある。
特許文献1には「顧客に鉄道・航空など交通機関の乗車券を販売する自動販売装置において、利用者へ割引セット商品を斡旋し、割引セット商品を購入できることを目的する。顧客が選択した(108)降車駅に関連した割引セット商品が存在するか調べ(101)、存在しない時は通常の入力画面を表示し(109)、存在する時割引セット商品の案内を表示し(109)割引セット商品を希望した利用者は端末を操作することで(108)、代金を投入して(104)割引セット商品の発券(105)または割引セット商品の申込書発行(105)を受けることができる。自動機でも割引セット商品の斡旋や販売が可能なため、顧客へのサービスが向上し、同時に売り上げも向上する。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-206493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、鉄道以外のチケットとのセットで乗車券などを発券する技術であるが、券売機の利用状況によっては、電車の到着が迫っており、乗車券や特急券を購入したいのに、鉄道のチケット以外の用途で券売機が占有されてしまうなど、利用者の利便性が低下するケースがあるという課題がある。
【0006】
本発明の目的は、利用者の需要や駅の利用状況に応じて、利便性の高い券売装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の発券装置は、複数のサービスを処理可能な発券装置であって、混雑度情報に基づいて、複数の前記サービスの中から優先的に処理すべき優先サービスを選択して処理可能な前記サービスを制限する制御部と、選択された前記優先サービスを処理する処理部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、利用者の需要や駅の利用状況に応じて、利便性の高い券売装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1における全体構成例を示す図である。
図2】実施例1における駅券売機のハードウェア構成の例を示す図である。
図3】実施例1における駅サーバのハードウェア構成の例を示す図である。
図4】実施例1における選択運転開始条件のルールテーブルの例を示す図である。
図5】実施例1における駅サーバの業務フローの例を示す図である。
図6】実施例1における駅券売機の業務フローの例を示す図である。
図7】実施例1における上位サーバ指示による選択運転フローの例を示す図である。
図8】実施例1における係員端末による選択運転フローの例を示す図である。
図9】実施例1における選択運転時の画面イメージの例を示す図である。
図10】実施例1における実際の駅サイネージの表示例を示す図である。
図11】実施例2における全体構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ユーザは駅構内において、自動発券端末を介して、例えば銀行口座からの現金引き出しなど、様々な鉄道会社以外が提供元となるサービスを受けることが可能である。
【0011】
しかし、すべての発券端末でそうした外部サービスを常時利用可能にすると、混雑を招き、切符の発券端末を利用した発券に支障がでる恐れがある。一方、例えば平日の昼間など、列車の利用者の少ない時間帯については、発券端末の何台かは外部サービス専用とすることで、ユーザは待ち時間なく、外部サービスの利用が可能となる。
【0012】
そこで本発明は、混雑状況などに応じ、発券端末の機能を選択して運転し、駅全体で各機能を利用できる台数を制御することにより、駅利用者の利便性を向上させることができる。
【0013】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例0014】
図1は、本実施例の全体構成例を示す図である。
ユーザ101は、駅券売機102(電車やコンサートなどのチケットを販売可能な発券機能を有する発券装置)を介して、駅サーバ105、ネットワーク103を介して、上位サーバ108、行政サーバ109、コンサートチケットサーバ110等の外部サーバと接続し、特急列車の切符の発券の指示、実行、外部サービスの指示、実行を行う。
【0015】
発券端末102は、駅サーバ105、ネットワーク103を介して、上位サーバ108や外部サーバと接続し、ユーザ101からの入力内容に応じた切符の発券の実行、外部サービスの実行を行う。
【0016】
ネットワーク103は、駅券売機102、駅サーバ105、外部サーバ、上位サーバ108間のデータのやり取りをするための回線である。有線であっても無線であっても良い。
【0017】
駅設置サイネージ104は、駅サーバ105の出す機能選択運転開始、終了時の画面表示の切り替え指示を実行し、駅利用者へ、駅券売機102の機能選択運転の実施内容を案内する。
【0018】
駅サーバ105は、ネットワーク103を介して、上位サーバ108と接続し、駅券売機102と上位サーバ108の間の座席指定情報の送受信を仲介する。
【0019】
さらに、駅サーバ105は、行政サーバ109やコンサートチケットサーバ110等の外部サーバと接続し、駅券売機102からの外部サービスの実行指示を送信し、上位サーバ108からの機能選択運転実施指示を受け取り、駅券売機102に機能選択運転を指示する。
【0020】
さらに、駅サーバ105は、駅係員端末106からの機能選択運転の開始、終了の指示を受け取り、駅券売機102に送信し、駅サイネージ104に機能選択運転の内容の画面表示を指示する。
【0021】
駅係員端末106は、駅サーバ105を介して、駅券売機102に、機能選択運転の開始、終了を指示する。
【0022】
上位サーバ108は、ネットワーク103を介して、駅サーバ105と接続し、ユーザ101が駅券売機102に入力した特急などの座席情報を送信し、必要に応じて、駅サーバ105に機能選択運転の開始、終了の指示を送信する。
【0023】
行政サーバ109、コンサートチケットサーバ110は、外部サーバであり、ネットワーク103を介して、駅サーバ105と接続し、ユーザ101が駅券売機102に入力する外部サービスの実行指示を受け取り、外部サービスを実行する。
【0024】
ここでの外部サービスとは、鉄道会社のサーバが提供するサービス以外のものをいう。例として、行政機関のサーバである行政サーバ109が提供する、住民票複写などの発行サービスや、銀行サーバが提供する銀行口座からの現金引き出しなどがあげられるが、これに限ったものではない。
【0025】
図2は、本実施例1における、発券端末の構成例を示す図である。
通信部201は、ネットワーク103と接続し、上位サーバ108に対して、特急の座席情報を要求し、ユーザ101が、ユーザ入力部205を通して入力した発券情報を上位サーバ108に送信し、発券要求を発券業務処理部209に送る。
【0026】
さらに、通信部201は、外部サーバに対しては、ユーザの入力した認証情報を送信し、前記外部サーバから外部サービスの実施要求を受け取り、外部サービス処理部210に送る。
【0027】
さらに、通信部201は、駅サーバ105に対してはカメラ部206で記録した映像をカメラ映像処理部208で処理したデータを送信する。この際、カメラ映像処理部208で処理したデータについては、映像データであっても、数値などのテキストデータであっても構わない。
【0028】
制御部202は、駅サーバ105から機能選択運転の指示を受け取り、優先機能以外の機能を一定時間制限する。機能選択運転指示の内容は、駅サーバ105、上位サーバ108、駅係員端末106で共通のフォーマットになっており、図5以降で示すいずれの処理フローにおいても、駅サーバ105から駅券売機102に送信される。
【0029】
発券部203は、ユーザ101がユーザ入力部205を通して入力した内容にも基づき、発券業務処理部209または、外部サービス処理部210によって指示された内容のチケットを発券する。
【0030】
画面表示部204は、通常運転時は、ユーザ101に各サービスの利用方法などの情報を提供し、機能選択運転が行われている間は、図9に示すような画面表示が行われ、ユーザ101が現在使用可能な駅券売機102のサービスを確認できる。
【0031】
ユーザ入力部205は、ユーザ101からの入力を受け付け、特急券の発券内容や、外部サービスの利用内容を通信部201に渡す。
【0032】
カメラ部206は、駅券売機102の周辺の映像を撮影し、カメラ映像処理部208に送信する。
【0033】
メモリ207は、カメラ映像処理部208、発券業務処理部209、外部サービス処理部210のそれぞれのプログラムを格納する。
【0034】
カメラ映像処理部208は、カメラ部206が撮影した、駅券売機102周辺の映像を受け取り、映像データを適切な形式に処理し、通信部201を通して駅サーバ105に送信する。
【0035】
発券業務処理部209は、ユーザ入力部205を通して、ユーザ101が入力した内容に基づいて、通信部201を通して上位サーバ108と通信し、発券情報を上位サーバ108に送信し、発券部203に発券指示を行う。
【0036】
外部サービス処理部210は、行政サーバ109やコンサートチケットサーバ110のような外部サーバと、通信部201、駅サーバ105、ネットワーク103を介して通信し、ユーザ101がユーザ入力部205に対して入力した外部サービスの利用内容を処理し、外部サーバからの外部サービス実施指示を受けて、外部サービスを実行する。
【0037】
図3は、本実施例1における、駅サーバ105の構成例を示す図である。
通信部301は、駅サーバ105と同一駅に設置されている駅券売機102と通信する。通信部301は、駅券売機102からカメラ映像処理部208で処理したデータを受け取り、駅券売機102に機能選択運転の指示を出し、駅係員端末106から機能選択運転の指示を受け取り、駅券売機102に送信し、ネットワーク103を経由して上位サーバ108と接続し、上位サーバ108から機能選択運転の指示を受けとる。
【0038】
制御部302は、メモリ305に格納されているプログラムを実行する制御主体である。
【0039】
ルール記録部303は、通信部301を経由し、ネットワーク103経由で上位システムから、定期的に機能制限ルールの配信を受け、受け取った内容を記録する。
【0040】
券売機稼動状況記録部304は、券売機の稼動時間、取引内容などのデータをログデータとして保存し、通信部301を介して上位サーバ108に送信する。
【0041】
メモリ305は、制御部302で実施する以下のプログラムを格納する。
【0042】
混雑度処理部306は、通信部301を通して、駅券売機102より混雑度データを受け取り、機能選択運転を実施するかの判断を行い、混雑度データを混雑度予測部307に送信し、混雑度予測部307から混雑度の予測データを受け取り、受け取った予測データをもとに、機能選択運転の実施を判断する。
【0043】
混雑度予測部307は、通信部301を通して、駅券売機102より受け取った混雑度データを分析し、将来の混雑度予測を実行し、予測データを混雑度処理部306に送信する。
【0044】
券売機稼動状況監視部308は、駅券売機102の稼動状況をモニタリングし、稼働時間、取引内容などのデータをログデータとして、券売機稼動状況記録部304に相違審する。
【0045】
係員端末処理部309は、駅係員端末106の指示を受け取り、機能選択運転の開始、終了を実行する。
【0046】
上位サーバ指示処理部310は、上位サーバ108の指示を受け取り、機能選択運転の開始、終了を実行する。
【0047】
図4は、機能選択運転を実施する際の、特化台数と規定時間を設定するためのルール記録部303の一例である。当該内容は、駅ごとに規定することで、駅ごとの利用状況に応じて適切な処理が可能となる。本実施例1では、駅に5台の駅券売機102が設置されているケースとして説明する。
【0048】
適用条件401は各ルールの適用条件を定義する。排反な条件である必要はない。混雑時、休日朝、休日夕方、給与日などは予め日付や時間、混雑と判断する人数条件を決めておけばよい。また、コンサート情報については、適宜コンサートチケットサーバ110から、該当する駅周辺でのコンサート開催日の情報を取得しておけばよい。
【0049】
優先度402は、ルールの優先度を定義する。本実施例において、優先度は1、2、3、…と、昇順に優先度が高いものとする。優先度の高いルールから順に適用条件401を確認する。優先機能403が同一のルールについては、同時に適用しない。優先機能403が異なるルールについては、優先度の高いものから順に適用する。ただし、1台は必ず全機能を利用できるものが残るように適用する。優先機能403は、そのルールにおいて特化する機能を定義する。
【0050】
特化台数404は、そのルールにおいて、優先機能403を適用する台数を定義する。本実施例では、特化台数404は5台が上限となる。機能制限時間405は、機能選択運転を終了するまでの時間を定義する。
【0051】
継続条件406は、駅券売機102が機能選択運転を開始してから、ルールごとに定められた機能制限時間405の時間が経過して以降も機能選択運転を継続するかを判断するための条件を定める。例えば、混雑時のルールに対しては、混雑と判断する人数条件を定めておき、機能制限時間405経過後も、前記人数条件を満たすことを継続条件406とすればよい。
【0052】
また、例えばコンサート当日や給与日などのルールにおいては、継続条件406をある時刻または日付になるまでの間と設定すればよい。継続条件406を満たすかの判定は、機能選択運転開始から、機能制限時間405が経過するまでの間に、ルールごとに所定のタイミングで判定を行い、決定する。
【0053】
図5は、駅サーバ105の業務フローの例を示す図である。駅券売機102が機能選択運転を実施している間、駅サーバ105に対しても、機能選択運転を実施していると表現する。機能選択運転の開始、終了などについても同様の表現を用いる。
【0054】
駅サーバ105は運転を開始すると、そのまま通常運転を継続する(S501)。
【0055】
その後、定期的に駅券売機102から混雑度の情報を受け取る(S502)。
【0056】
駅サーバ105は、駅係員端末106から機能選択運転の指示を受ける、または上位サーバ108からネットワーク103を経由して機能選択運転の指示を受ける、またはルール記録部303における適用条件401と比較して、適用条件401のいずれかを満たしている場合に、機能選択運転の開始条件を満たしたと判断し、機能選択運転を開始する(S503)。
【0057】
機能選択運転の開始処理には、駅券売機102への機能選択運転開始の指示、駅サイネージ104への機能選択運転内容の画面への表示の指示、駅係員端末106への機能選択運転開始の通知を含む。開始処理の順については、例えば、駅係員端末106への通知、駅サイネージ104への画面表示指示、駅券売機102への機能選択運転開始の指示の順にすればよい。
【0058】
機能選択運転開始の条件を満たした場合、駅サーバ105は機能選択運転を開始する(S504)。
【0059】
駅サーバ105は機能選択運転を開始後、機能選択運転を継続する(S505)。
【0060】
機能選択運転中も、駅サーバ105は定期的に駅券売機102から混雑度の情報を受け取る(S506)。
【0061】
駅サーバ105は、機能選択運転の終了条件を満たした場合、機能選択運転を終了する(S507)。ここで、終了条件を満たすとは、上位サーバ108から機能選択運転の終了指示を受ける、または、駅係員端末106から機能選択運転の終了指示を受ける、または、ルール記録部303において、実行中のルールについて、機能制限時間405が経過し、適用条件406をみたさない場合のいずれかの条件を満たすことをいう。
【0062】
また、選択運転中に、優先度の高い別の適用条件が満たされた場合は、その優先度の高い適用条件に対応する選択運転を開始してもよい。
【0063】
図6は、選択運転に関する券売機の業務フローの例を示す図である。
駅券売機102は運転を開始すると、そのまま通常運転を継続する(S601)。
【0064】
駅券売機102は運転中、カメラ映像処理部209で処理した、駅の混雑度に関するデータを駅サーバ105へ定期的に送信する(S602)。
【0065】
駅サーバ105が、機能選択運転開始の条件のいずれかを満たした場合(S503)、駅券売機102は駅サーバ105から送られてくる機能選択運転開始指示を受け取り、機能選択運転を開始する(S603、S604)。
【0066】
駅券売機102は、機能選択運転開始後、機能選択運転を継続する(S605)。
【0067】
駅券売機102は、機能選択運転中も、駅サーバ105に対し、混雑度に関するデータを定期的に送信する(S606)。
【0068】
駅券売機102は、駅サーバ105が機能選択運転の終了条件のいずれかを満たした場合(S507)、駅サーバ105から送られてくる機能選択運転終了指示を受け取り、通常運転に復帰する(S607)。
【0069】
図7は上位サーバ108が駅サーバ105に指示を出して機能選択運転を開始、終了する際の処理フローの例を示す図である。
何らかの理由により、複数の駅にまたがって機能選択運転を行うことで混雑回避の効果が見込まれる事象(混雑事象と以降呼称する)が発生した場合に、上位サーバ108から対象駅の駅サーバ105に対し、機能選択運転実施の指示を送信する。
【0070】
例えば、他路線や、他の鉄道事業者において人身事故が発生するなどして、駅券売機102で切符の販売や、払い戻し処理を優先して行う場合がある。上位サーバ108は、通常運転を継続する(S701)。混雑事象が発生する(S702)。
【0071】
上位サーバ108は機能選択運転を実施することで、混雑回避効果が見込まれるかを判断し、見込まれる場合には、機能選択運転実施の対象となる駅を決定する(S703)。
【0072】
上位サーバ108は、機能選択運転の実施を判断した場合、対象駅の駅サーバ105に対し、機能選択運転の実施を指示する(S704)。混雑事象が終了する(S705)。
【0073】
上位サーバ108は、対象駅の駅サーバ105に対し、必要であれば、即時終了に限らず、終了時刻を設定して、機能選択運転の終了を指示する(S706)。
【0074】
図8は駅係員端末106からの指示による、機能選択運転の実施、解除フローの例を示す図である。
駅係員端末106からの指示は、駅サーバ105の判断での機能選択運転、上位サーバ108の判断による機能選択運転(図7)よりも優先して処理される。
【0075】
駅係員端末106は、係員の操作により、駅サーバ105に対し、機能選択運転の状況を問い合わせる(S801)。
【0076】
駅サーバ105が機能選択運転中である場合、駅係員端末106からの指示で強制的に終了させることができる(S802)。
【0077】
駅係員端末106は、駅サーバ105の機能選択運転を強制的に終了させる場合、機能選択運転の終了を駅サーバ105に指示する(S803)。
【0078】
駅係員端末106は、機能選択運転の強制終了を実施した場合、上位サーバ108に対して、駅サーバ105の機能選択運転を終了した旨を通知する(S804)。これにより、上位サーバ108は、当該駅の駅サーバ105、および駅券売機102の稼動状況を正確に把握することができる。
【0079】
駅係員端末106は、駅サーバ105が通常運転中の場合、駅サーバ105に機能選択運転を開始させることができる(S805)。
【0080】
駅係員端末106は、駅サーバ105に機能選択運転を開始させる場合には、優先機能403、特化台数404、機能制限時間405などの情報を設定し、駅サーバ105に機能選択運転の開始を指示する(S806)。
【0081】
駅係員端末106は、駅サーバ105に機能選択運転を開始させた場合には、上位サーバ108に、機能選択運転の開始と、優先機能403、特化台数404、機能制限時間405などの実施内容を通知する(S807)。
【0082】
駅係員端末106は、駅サーバ105に機能選択運転を開始させない場合には、通常運転を継続する(S808)。
【0083】
図9は駅券売機102が機能選択運転を実施している間の、券売機ディスプレイ901の画面イメージの例を示した図である。
表示内容902は、ランプ点灯を行う部分であり、色によって、ユーザ101に特有の優先機能を行っている最中であること知らせるものである。例えば、赤色が発券サービス、黄色がコンサートチケット、緑色が銀行取引とすればよい。特有の優先機能ではなく、通常運転中であれば、点灯しない。
【0084】
表示内容903は、優先機能中の場合に、その優先機能であることを報知し、その優先機能の機能選択運転が終了する時刻を示す。
【0085】
表示内容904は、優先機能以外のサービスを利用する場合の利用方法を案内する説明を示すものである。
【0086】
図10は駅券売機102が機能選択運転を実施している間の駅サイネージ104による、駅券売機102の稼動状況に関する案内イメージと、その際のユーザ101による駅券売機102の利用イメージを示した図である。
【0087】
駅サイネージ104を見ることで、ユーザ101は望む取引が確実に実施できる券売機を選択して利用できる。実施例1では駅サイネージ104で案内しているが、媒体をデジタルディスプレイに限る必要はなく、紙などに案内を記載し、掲出しても、ユーザ101所有の携帯電話等に案内を配信しても構わない。
【実施例0088】
図11は、実施例2における全体構成例を示す。
【0089】
駅サーバ105は実施例1では物理的に駅構内にあると想定されていた。実施例2では、ネットワーク103によって駅券売機102、103と接続した上位サーバ108において、駅ごとの券売機稼動管理システムとして稼動している。その他の構成は、図1に示す実施例1における全体構成例と同じなのでその説明は省略する。
【0090】
上記実施例によれば、混雑状況などに応じ、発券端末の機能を選択して運転し、駅全体で各機能を利用できる台数を制御することにより、駅利用者の利便性を向上させることができる。
【0091】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明する為に詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0092】
また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置換することも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。また、各構成を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【符号の説明】
【0093】
101 ユーザ
102 駅券売機
103 ネットワーク
104 駅サイネージ
105 駅サーバ
106 駅係員端末
107 駅構内カメラ
108 上位サーバ
109 行政サーバ
110 コンサートチケットサーバ
208 カメラ映像処理部
209 発券業務処理部
210 外部サービス処理部
303 ルール記録部
306 混雑度処理部
307 混雑度予測部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11