(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178150
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】音響効果装置
(51)【国際特許分類】
G10H 1/053 20060101AFI20231207BHJP
G10H 1/32 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
G10H1/053 C
G10H1/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091241
(22)【出願日】2022-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】722003163
【氏名又は名称】冠野 欣也
(72)【発明者】
【氏名】冠野 欣也
【テーマコード(参考)】
5D478
【Fターム(参考)】
5D478CC34
5D478CC36
5D478LL00
(57)【要約】
【課題】音響効果装置は高価なものであり、また、複数の音響効果装置を組み合わせて使用するとなると、大きさや重さが増して運搬が困難になり、また、音響効果装置の組み合わせを変更しようとすると作業が容易ではないという課題がある。
【解決手段】音響効果装置を、筐体や入出力端子などの共有部と、音響効果の実現に寄与する固有部とに分離し、共有部と固有部の接続方法を統一することで、固有部のみを入れ替えることができるようになり、低価格化、小型軽量化、組み換えの容易さを実現することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響効果を付加するための電気回路からなる固有部と、筐体や信号入力端子、信号出力端子、電源端子などからなる共有部と、前記固有部と前記共有部とを接続するコネクタを具備し、前記コネクタは、使用者が容易に抜き差しできるものとし、固有部を別の異なる音響効果を実現する固有部と入れ替えることができることを特徴とする音響効果装置
【請求項2】
1つの共有部に複数の固有部が内蔵できるようになっていることを特徴とする、請求項1に記載の音響効果装置
【請求項3】
共有部を交換することができることを特徴とする請求項1および請求項2のいずれかに記載の音響効果装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響信号に各種の音響効果を付加する音響効果装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子楽器やマイクに接続し、さまざまな音響効果を付加するための音響効果装置は、一般的に「エフェクタ」と呼ばれており、すでに様々な種類のものが商品化されている。演奏者や歌手は、自分の好みの音色を実現するために、複数の音響効果装置を組み合わせて使用している。
【0003】
演奏者は、自分が目指す音色を実現するために、さまざまな音響効果装置を購入し、実際に自分の楽器や他の音響効果装置、アンプなどと組み合わせて、実際の音響効果を試すこととなり、実際に演奏機会で使用する以上の種類の音響効果装置を所持することになるのが一般的である。
【0004】
また、複数の音響効果装置を組み合わせて使用するにあたり、エフェクタボードと呼ばれる板の上に、必要な音響効果装置を並べて固定し、パッチケーブルとよばれる信号線で相互に接続して使用する。音響効果装置には電源も必要であり、各音響効果装置へ電源を供給するための配線も必要である。
【0005】
また、同じ演奏者でも、演奏する機会に応じて使用する音響効果装置を変更する場合があり、その都度エフェクタボード上の音響効果装置の配置や接続順序を変更している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-13178号公報
【特許文献2】特開2007-86306号公報
【特許文献3】特開2002-41044号公報
【特許文献4】特許第4922475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
音響効果装置は、すでに多くの種類が世の中に存在しており、さらに次々と新しいものも開発されている。音響効果装置は、一般的には数万円、高価なものであれば数十万円で販売されており、それらの音響効果装置を多数買いそろえることは非常に困難であるという課題がある。
【0008】
また、複数の音響効果装置をエフェクタボード上に固定し、パッチケーブルで接続すると、音響効果装置の数に応じてエフェクタシステムが大きく、また重くなっていまい、移動の際の運搬や設置が困難になるという課題がある。
【0009】
また、各社から販売されている音響効果装置は、その大きさや入出力端子の位置、電源入力端子の位置が揃ってない。そのため、エフェクタボード上に固定した音響効果装置の一つを、ほかのものに入れ替えたい場合や、接続順序を変更したい場合に、単純に置き換えることができず、パッチケーブルや電源ケーブルの引き回しを変更しなければならい。場合によっては、エフェクタボード内にある、他の音響効果装置の配置を変更しなければ、入れ替えることができない場合があるという課題がある。
【0010】
また、複数の音響効果装置をエフェクタボードに配置する際に、各音響効果装置どうしを直列に接続するのではなく、スイッチャと呼ばれる、信号経路を切り替えるための装置と併用する場合がある。その場合には、さらにパッチケーブルの本数が増加し、またパッチケーブルも長いものが必要になるため、エフェクタシステムがより大きく、重たくなってしまうという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
音響効果装置が高価なため、多数買いそろえることが困難であるという課題を解決するために、請求項1記載の音響効果装置によれば、音響効果装置のうち、音響効果に寄与する部分のみを入れ替えられるような構造に設計することで、安価に提供することができるようにするものである。
【0012】
実際に、音響効果装置の原材料費の内訳を分析すると、その音響効果を実現するための部分よりも、筐体や切り替えスイッチ、入出力端子などの周辺部品に費用がかかっているのが一般的である。それらは音響効果装置に必須の部品であるが、音響効果そのものの実現には寄与しない部品である。音響効果に寄与しない周辺部品は、別の音響効果を実現する場合にも流用できるので、それらを共有部とし、音響効果に寄与する部分と容易に分離できるように設計し、かつ、共有部と音響効果に寄与する固有部の接続方法を統一したものにすることによって、固有部のみを販売し、購入者が自分で音響効果装置の中の固有部をいれかえることで、安価に多数の音響効果装置を買いそろえることができるようになる。
【0013】
また、エフェクタボードに多数の音響効果装置を搭載するとエフェクタシステムが大きく、重たくなって移動の際の運搬や設置が困難になるという課題を解決するために、請求項2記載の音響効果装置によれば、音響効果に寄与する部分、つまり前記の固有部を複数個収納できるような筐体を用意し、統一された接続方法を使って筐体内で接続することで、パッチケーブルが不要になり、エフェクタシステムを小さく、また軽くすることができようになる。
【0014】
また、エフェクタボード上の音響効果装置を別のものに入れ替えたり、接続順序を変更したりしたい場合に、エフェクタボード全体の配置と配線を手直ししなければならないという課題についても、請求項2に記載の音響効果装置によれば、固有部を複数個収納できるような筐体の内部で、入れ替えたい固有部だけを差し替えることができるので、容易に組み換えが可能になる。
【0015】
また、スイッチャを併用した場合に、エフェクタシステムがより大きく、重たくなってしまうという課題を解決するために、請求項3に記載の音響効果装置によれば、固有部をそのままに、スイッチャシステムと併用するときのための共有部に変更することで、スイッチャとの間のパッチケーブルを短くし、また音響効果装置がわに切り替えスイッチが不要になるため、共有部から切り替えスイッチを省いた構造にすることでより小型化、軽量化することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の音響効果装置は、音響効果に寄与する部分だけを入れ替えることができるような構造なので、音響効果に寄与する部分だけを購入することで、費用を抑えることができるという効果がある。
【0017】
また、本発明の音響効果装置は、一つの筐体に複数個の音響効果に寄与する部分を収めることで、小型化および軽量化することができるという効果がある。また音響効果装置の入れ替えや接続順序の変更が容易に行えるという効果がある。
【0018】
また、本発明の音響効果装置は、同じ音響効果の部品を別の筐体に変更することができるので、エフェクタシステムに適した筐体を選択することで、小型軽量化できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の請求項1の音響効果装置の実施例の構成を示した説明図である。
【
図2】本発明の請求項1の音響効果装置の実施例の構造例を示した斜投影図である。
【
図3】
図2の構造例を実際に組み立てた完成状態の外観を示した斜投影図である。
【
図4】本発明の請求項1の音響効果装置の実施例における、固有部を構成する部品の例を示した平面図である。
【
図5】本発明の請求項1の音響効果装置の実施例における、共有部を構成する部品の例を示した平面図である。
【
図6】本発明の請求項1の音響効果装置の実施例における、接続部と音響効果部の構造例を示した斜投影図である。
【
図7】本発明の請求項1の音響効果装置の実施例における、共有部のうちの電子回路の例を示した説明図である。
【
図8】本発明の請求項1の音響効果装置の実施例で、調整部の個数と配置が異なる固有部であっても、入れ替え可能な構造であることを示した斜投影図である。
【
図9】本発明の請求項1の音響効果装置の実施例で、調整部の個数が2の固有部と組み合わせた時の完成状態の外観を示した斜投影図である。
【
図10】本発明の請求項1の音響効果装置の実施例で、調整部の個数が3の固有部と組み合わせた時の完成状態の外観を示した斜投影図である。
【
図11】本発明の請求項1の音響効果装置の実施例で、調整部の個数が4の固有部と組み合わせた時の完成状態の外観を示した斜投影図である。
【
図12】本発明の請求項2の音響効果装置の実施例の構成を示した説明図である。
【
図13】本発明の請求項2の音響効果装置の実施例で1つの共有部に3個の固有部が内蔵できる場合の構造例を示した斜投影図である。
【
図14】
図13の構造例を実際に組み立てた完成状態の外観例を示した斜投影図である。
【
図15】従来の音響効果装置をもちいて、4つの音響効果装置をエフェクタボードに設置し配線した場合の例を示した説明図である。
【
図16】本発明の請求項2の音響効果装置で、4つの音響効果装置を1つの共有部に格納したばあいの配線と設置の例を示した説明図である。
【
図17】本発明の請求項1の音響効果装置で、従来の音響効果装置と同様な端子の配置になるような共有部で構成した場合の内部の構造例を示した説明図である。
【
図18】本発明の請求項1の音響効果装置を、従来の音響効果装置と混在させてエフェクタボード上に配置した例を示した説明図である。
【
図19】本発明の請求項3の音響効果装置で、エフェクタボード上に隙間なく並べられるような共有部を使って完成させたときの外観を示した斜投影図である。
【
図20】
図19の実施例の内部の部品の配置を示した説明図である。
【
図21】本発明の請求項3の音響効果装置で、エフェクタボード上に隙間なく並べられるような共有部を使って効率よくエフェクタボード上に配置した例を示した説明図である。
【
図22】本発明の請求項3の音響効果装置で、スイッチャを併用するのに適した共有部を使って完成させたときの外観を示した斜投影図である。
【
図23】
図22の実施例の内部の部品の配置を示した説明図である。
【
図24】本発明の請求項3の音響効果装置で、スイッチャを併用するのに適した共有部を使って効率よくエフェクタボード上に配置した例を示した説明図である。
【
図25】本発明の請求項3の音響効果装置で、電池を内蔵できるようにした場合の内部の部品の配置を示した説明図である。
【
図26】
図25の音響効果装置の外観を示した斜投影図である。
【
図27】本発明の請求項3の音響効果装置で、左利きの使用者用の共有部を使って完成させたときの外観を示した斜投影図である。
【
図28】
図27の実施例の内部の部品の配置を示した説明図である。
【
図29】従来の音響効果装置を右利きの使用者が使うときの配置を示した説明図である。
【
図30】従来の音響効果装置を左利きの使用者が使うときの配置を示した説明図である。
【
図31】本発明の請求項3の音響効果装置で、左利き用の音響効果装置を左利きの使用者が使うときの配置を示した説明図である。
【
図32】本発明の請求項3の音響効果装置で、複数の音響効果部を格納し、かつスイッチャを併用するのに適した共有部を使った場合の構成を示した説明図である。
【
図33】本発明の請求項3の音響効果装置の実施例で1つの共有部に3個の固有部が内蔵できる場合の構造例を示した斜投影図である。
【
図34】
図33の構造例を実際に組み立てた完成状態の外観例を示した斜投影図である。
【
図35】従来の音響効果装置で、スイッチャと併用したシステムを構成した例を示した説明図である。
【
図36】本発明の請求項3の音響効果装置で、複数の音響効果装置を格納しかつスイッチャを併用するのに適した共有部を使ってスイッチャと併用したシステムを構成した例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0020】
図1は、本発明の請求項1の実施例の構成を説明する図である。101は入力部で、音響信号を入力する。102は切替部で、101の入力部で入力された音響信号を、そのまま107の出力部へ出力するか、あるいは105の音響効果部を通って音響効果の付加された信号を出力するかの切替を、使用者が操作できるようにするものである。103は接続部で、105の音響効果部とそれ以外の部分とを電気的に接続する。具体的には101の入力部からの音響信号を105の音響効果部へ送るための接点と、104の電源部からの電源を供給するための接点と、105の音響効果部からの出力信号を107の出力部へ送るための接点と、グランド電位を共有するための接点を備えているコネクタである。104は電源部で、外部からの電源を入力し、105の音響効果部および、106の表示部へ電源を供給する。105は音響効果部で、入力された音響信号に所望の音響効果を加える。なお105の音響効果部は、103の接続部でとりはずすことができるようになっており、使用者が自分で容易に105の音響効果部を別の音響効果部に交換することができるようになっている。106は表示部で、102の切替部において、出力する信号に、音響効果の付加された信号が選択されているか、入力信号のままが選択されているかの状態を表示する。107は出力部で、102の切替部で選択された音響信号を外部へ出力する。108は筐体部で、101から110の各部品を固定する。109は外装部で、105の音響効果部に実装されている調整ノブの数や位置に合わせた場所にのみ穴を設けることによって、108の筐体部にあけられた穴のうち、使用しない穴をふさぐものである。また、105の音響効果部の種類が判別できるようにするために、音響効果名や、調整ノブの機能や目盛りなどを記載してもよい。110は調整部で、105の音響効果部の効果の調整をするための調整ノブに装着して操作しやすくするためのものである。
【0021】
図2は、本発明の請求項1の実施例の具体的な構造の例を説明する斜投影図である。図中の番号は、
図1のおなじ番号のものに対応している。ただし、101の入力部は、101aの本体部と101bのネジに分けて記載しており、101bのネジを使って筐体108aにあけられた穴に固定する場合の例として記載している。同様に102の切替部も、102aの本体部と、102bのネジに分けて記載しており、筐体108aにあけられた穴に固定する場合の例として記載している。同様に104の電源部も、104aの本体部と、104bのネジに分けて記載しており、筐体108aにあけられた穴に固定する場合の例として記載している。同様に107の出力部も、107aの本体部と、107bのネジに分けて記載しており、筐体108aにあけられた穴に固定する場合の例として記載している。103の接続部は、切り離したときに102aの切替部や104aの電源部とつながる103aと、105の音響効果部の側に残る103bに分けて記載している。108の筐体部は、101から110の部品を固定するための108aと、底板に相当する108bに分かれる場合の例として記載している。
【0022】
図3は、
図2の構造のものを実際に組み立てて完成したときの外観を表した斜投影図である。図中の番号は、すべて
図1および
図2のおなじ番号のものに対応している。
【0023】
図1、および
図2において、105の音響効果部以外の部分は、音響効果そのものには寄与しない部分であり、別の音響効果装置を構成するものと共通に使用できる。ただし109の外装部は、音響効果そのものには寄与しないが、105の音響効果部の効果の種類と、調整つまみの数に応じたものが必要になるため共有では使用できない。このように、共用で使用できない部品群を以下「固有部」と呼ぶことにする。
図4は、本発明の請求項1の音響効果装置の実施例における、固有部を構成する部品の例を示した説明図である。図中の番号は、すべて
図1および
図2のおなじ番号のものに対応している。
【0024】
逆に、他の音響効果装置にたいして共通で使用できる部品群を以下「共有部」と呼ぶことにする。
図5は、本発明の請求項1の音響効果装置の実施例における、共有部を構成する部品の例を示した説明図である。図中の番号は、すべて
図1および
図2のおなじ番号のものに対応している。なお、たとえば104の電源部や106の表示部などの共有部の一部の部品を105の音響効果部に取り込んで、固有部としても構わない。
【0025】
図6は103の接続部の構造の詳細な具体例を示した図である。図中の番号は、すべて
図1および
図2のおなじ番号のものに対応している。なお、接続部を介して105の音響効果部に接続される信号は、入力信号、出力信号、電源、グランドの最低4種類が必要であるが、ここでは、第二の電源電圧も供給する場合の例を示しており、5つの端子をそなえたコネクタで実現した例を記載している。このように接続部は汎用のコネクタをもちいて構成することが可能であり、使用者が特別な道具を用いなくても着脱可能なものである。
【0026】
図7は、本発明の請求項1の音響効果装置の実施例における、共有部の電子回路部分を回路図で示した説明図である。図中の番号は、すべて
図1および
図2のおなじ番号のものに対応している。なお、103aの接続部を介して105の音響効果部に接続される信号は、入力信号、出力信号、電源、グランドの最低4種類が必要であるが、ここでは、第二の電源電圧も供給する場合の例を示しており、5つの端子で接続した例を記載している。
【0027】
図1から
図7にもとづいて、本実施例における動作を説明する。
101の入力部は、ギターやマイク、あるいはその他の電子楽器からの音響信号を入力するものである。また、別の音響効果装置が出力する音響信号を入力することもできる。
図2の101aのように、音響信号を入力するための接続端子を有しており、汎用的な直径6.3mmのフォーンジャックを利用することができる。なお、3端子のステレオフォーンジャックをつかって、電源スイッチの機能を兼ね備えるものであってもよい。
図7では、3端子のステレオフォーンジャックをつかって、電源スイッチの機能を兼ね備えたばあいの回路構成例を示している。
【0028】
図2、
図3、
図4に示されるように、101aの入力部は101bのネジによって108aの筐体部に固定される。
【0029】
102の切替部は、使用者が演奏中に音響効果の入り切りを切り替えることができるように、この実施例では足で操作できるオールタネートなスイッチを利用している。
【0030】
106の表示部は、LEDの点灯と消灯で、音響効果の入り切りを表示するようにしている。
図7のように、2回路3接点のオールタネートなスイッチをもちいてLED用の電源を制御することにより102の切替部と106の表示部を実現した場合の回路例を示している。
【0031】
なお、102の切替部は、オールタネートなスイッチのかわりに、フリップフロップ回路とモーメンタリ―なスイッチとFETによるゲート回路をもちいて構成される電子的なスイッチでもよい。その場合は、102の切替部にも104の電源部から電源供給する必要がある。
【0032】
図2、
図3、
図4に示されるように、102aの切替部は、102bのネジによって108aの筐体部に固定される。
【0033】
103の接続部は、
図2に示されるように、電源、入力信号、出力信号、グラウンド、の4つの信号を105の音響効果装置に接続するためのコネクタであり、102の切替部と104の電源部に接続される雌側コネクタ103aと、105の音響効果部に接続される雄側コネクタの103bに分かれる。この接続部を具備することで、使用者が105の音響効果部を取り外すことができることが、本発明の特徴となっている。
【0034】
図6に、接続部の詳細な構造の例を示しているが、ここに示す形状や端子の配列は、これに限定されるものではないが、105の音響効果部を交換できるようにするために、ある一つの決まった形状と端子の並び順にしておく必要がある。
【0035】
また接続部を構成する部品としては、汎用的なコネクタ部品を用いることができる。また、USB(ユニバーサルシリアルバス)といった、業界で標準的なコネクタをもちいてもよい。
【0036】
104の電源部は、外部から電源の供給を受けるだけではなく電池を含んでもよい。また、電源電圧の安定化のための回路を含んでいてもよい。また、第二の電源電圧を生成し出力する回路を含んでいてもよい。
図7では、抵抗分割によって第二の電源電圧を生成し出力するようにした電源部の回路例を含む回路図を示すものである。
【0037】
また、電源端子にプラグが刺されたときには、内蔵の電池を使用しないように切替えられる回路を含んでいてもよい。
【0038】
図2、
図3、
図4に示されるように、104aの電源部は、104bのネジによって108aの筐体部に固定される。
【0039】
105の音響効果部は、音響効果を付加するためもので、具体的には音を歪ませるためのディストーション、広がりを与えるコーラス、残響を付加するリバーブ、といったような様々な種類の音響効果を電子回路で実現することが可能であり、今後もあたらしい音響効果を実現する回路が開発されるが、103の接続部の仕様と、調整部の位置をそろえておけば、簡単に交換が可能となる。
【0040】
105の音響効果部には、その効果を調整するためのノブを有しており、調整値を使用者が変更できるように、110の調整部に接続する。
【0041】
また、
図2、
図3、
図4に示されるように、110の調整部に含まれるネジで、105の音響効果部は、108aの筐体部に固定される。
【0042】
106の表示部は、102の切替部の状態を使用者に知らしめるためのもので、LEDの点灯、消灯で実現可能である。
【0043】
図2、
図3、
図4で示されるように、106の表示部は、102の切替部に直接接続されたLEDで構成されており、108aの筐体部にあけられた穴から見えるようにしている。この構成例では108aの筐体部と固定する構造を有していないが、ネジで固定できるようにしてもよい。
【0044】
107の出力部は、102の切替部で選択された音響信号を出力し、別の音響効果装置や音響アンプあるいはミキサー等へ接続するためのものである。
図2の107aのように、音響信号を出力するための接続端子を有しており、汎用的な直径6.3mmのフォーンジャックを利用することができる。
【0045】
図2、
図4に示されるように、107aの出力部は107bのネジによって108aの筐体部に固定される。
【0046】
図2、
図3、
図4で示されるように、108の筐体部は、101から110までの各部品を固定するためのものであり、108aの箱型部と108bの底面部から構成されている。また108aと108bはネジで固定される。
【0047】
また、筐体部108aには、各部品を固定するための穴があけられているが、調整部のための穴は、105の音響効果部が有している調整用の回路の個数によって異なっているため、その最小公倍数的な数と位置に穴を設けておく。この実施例では、2行3列の合計6個の穴を調整部のために設けている。こうすることによって、105の音響効果部を入れ替えたときに、調整部の数や配置が異なっても、108aを変更することなく共通に使用することができる。
【0048】
108の筐体部を共通で使用し、105の音響効果部を入れ替えてしまうと、外観だけで音響効果の種類が判別できなくなってしまう。そのために、109の外装部は、105で付加する音響効果に対応した表示をすることで、使用者が外観でその内容を識別できるようにするためのものである。したがって109の外装部は、105の音響効果部とペアで購入し使用するものである。また、同時に、108の筐体部にあけた調整部用の穴のうち、使用しないものをふさぐという効果も持たせることができる。
【0049】
図2、
図3、
図5で示されるように、109の外装部は、108の筐体部の上面とおなじ大きさ、同じ形で、その上面に音響効果名や、調整つまみの目盛り等が印刷されたものを例としているが、必ずしも大きさや印刷の内容や印刷の有無を制限するものではない。またその材質も、強度や導通性にこだわる必要性はないので、金属には限定されず、プラスチックやノリで接着できるビニールシール等であっても構わない。あるいは、透明のアクリル板で、紙や布などの柔らかい素材のものを挟み込んでも構わない。
【0050】
109の外装部は、110の調整部のネジや、102bの切替部のネジで固定できるので、外装部の固定のためだけの専用の固定方法は必要ではないが、あえて設けてもかまわない。
【0051】
以上のように、101の入力部、102の切替部、103aの接続部、104の電源部、106の表示部、108の筐体部、110の調整部は、音響効果の種類に依存しない部品であり、これらをあわせて共有部と呼ぶこととする。
図5に共有部の部品を示す。
【0052】
一方、音響効果に依存する、105の音響効果部とそれに付随する接続部103b、また105の音響効果に対応する109の外装部をあわせて固有部と呼ぶこととする。
図4に固有部の部品を示す。
【0053】
以上のように本実施例では、音響装置を固有部と共有部とに分離できるように、接続部103を設けており、接続部を使用者が容易に着脱可能なコネクタにすることにより、固有部を取り外して、ほかの種類の固有部と交換することができるため、固有部のみを購入することで安価に多数の音響効果を手に入れることができるようになる。
【0054】
ちなみに、音響効果装置における材料費は、一般的におおよそ7割が共有部、おおよそ3割が固有部である。したがって固有部だけを生産、販売することによって、従来の3分の1程度の価格で音響効果装置を提供することができるようになる。
また、コネクタの種類とピンの配置について詳細仕様を公開し、各メーカや個人がこの接続部の仕様に則った音響効果部を作成、販売することで、さまざまな種類の音響効果装置を流通させることができるようになるものである。
【0055】
図8は、本実施例で、調整部の個数が異なる固有部であっても、入れ替え可能な構造であることを示した説明図である。図中の番号は、すべて
図1および
図2のおなじ番号のものに対応している。なお、固有部として105の音響効果部は、105-1、105-2、105-3の3種類を記載しており、それぞれに対応した外装部109-1、109-2、109-3との組み合わせで使用する。それぞれの調整部のノブの数が2個、3個、4個と異なっているが、共有部はそのままで使用できることを示している。つまり、この例では、108aの筐体部には調整部のために6個の穴があいているが、実際に使用する箇所のみ穴があけられた外装部109によって、使用しない穴はふさがれるようにしている。
【0056】
図9は、本実施例で、
図8のうち固有部として105-1の音響効果部と109-1の外装部と組み合わせた場合の完成状態の外観例を示した説明図である。図中の番号は、すべて
図1、
図2、および
図8のおなじ番号のものに対応している。
【0057】
図10は、本実施例で、
図8のうち固有部として105-2の音響効果部と109-2の外装部とくみあわせた場合の完成状態の外観例を示した説明図である。図中の番号は、すべて
図1、
図2、および
図8のおなじ番号のものに対応している。
【0058】
図11は、本実施例で、
図8のうち固有部として105-3の音響効果部と109-3の外装部とくみあわせた場合の完成状態の外観例を示した説明図である。図中の番号は、すべて
図1、
図2、および
図8のおなじ番号のものに対応している。
201は入力部で、音響信号を入力する。202は電源部で、外部からの電源を入力し、204の第一の接続部を介して205の第一の音響効果部および、206の第一の表示部へ電源を供給する。203は第一の切替部で、201の入力部で入力された音響信号を、そのまま209の第二の切替部へ出力するか、あるいは205の第一の音響効果部を通って音響効果が付加された信号を出力するかの切替を、使用者が操作できるようになっている。204は第一の接続部で、205の第一の音響効果部とそれ以外の部分とを電気的に接続する。具体的には201の入力部からの音響信号を205の第一の音響効果部へ送るための接点と、202の電源部からの電源を供給するための接点と、205の第一の音響効果部からの出力信号を203の第一の切替部へ送るための接点を備えている。205は第一の音響効果部で、入力された音響信号に所望の音響効果を加える。なお205の第一の音響効果部は、204の第一の接続部でとりはずすことができるようになっており、使用者が自分で容易に205の第一の音響効果部を別の音響効果部に交換することができるようになっている。206は第一の表示部で、203の第一の切替部において、音響効果が付加された信号が選択されているか、入力信号のままが選択されているかの状態を表示する。207は第一の外装部で、205の第一の音響効果部が備えている調整ノブの数や位置に合わせた場所にのみ穴を設けることによって、222の筐体部にあけられた穴のうち、使用しない穴をふさぐものである。また、205の第一の音響効果部の種類が判別できるようにするために、音響効果名や、調整ノブの機能や目盛りなどを記載してもよい。208は第一の調整部で、205の第一の音響効果部の効果の調整をするための調整ノブに装着して操作しやすくするためのものである。また同時に205の第一の音響効果部を222の筐体部に固定している。
以降も同様に、209の第二の切替部、215の第Nの切替部は、それぞれその前段の切替部からきた音響信号を、そのまま後段へ出力するか、あるいは210の第二の音響効果部、もしくは217の第Nの音響効果部を通って音響効果が付加された信号を出力するかの切替を、使用者が操作できるようになっている。210の第二の接続部、216の第Nの接続部は、それぞれ211の第二の音響効果部、217の第Nの音響効果部と接続しており、音響効果部が取り外せるようになっている。211の第二の音響効果部、217の第Nの音響効果部は、それぞれ入力された音響信号に効果を付加し出力するものである。212の第二の表示部、218の第Nの表示部は、209の第二の切替部、215の第Nの切替部において、音響効果が付加された信号が選択されているか、入力信号のままが選択されているかの状態を表示する。213の第二の外装部、219の第Nの外装部は、211の第二の音響効果部、217の第Nの音響効果部に実装されている調整ノブの数や位置に合わせた場所にのみ穴を設けることによって、222の筐体部にあけられた穴のうち、使用しない穴をふさぐものである。また、211の第二の音響効果部、217の第Nの音響効果部の種類が判別できるようにするために、音響効果名や、調整ノブの機能や目盛りなどを記載してもよい。214は第二の調整部、220は第Nの調整部で、211の第二の音響効果部、217の第Nの音響効果部の効果の調整をするための調整ノブに装着して操作しやすくするためのものである。また同時に211の第二の音響効果部、217の第Nの音響効果部を222の筐体部に固定している。
また、各音響効果部は使用者が入れ替えることができるので、システムの変更も可能であり、その際に、配置の見直しや電源ケーブルやパッチケーブルの再配線も不要である。
このように従来の音響効果装置で構築したエフェクタシステムでは、音響効果装置どうしを接続するパッチケーブルや、電源を分配する装置と電源ケーブルが必要となり、それらの配線のためにシステム全体が大きく、重くなってしまっていた。また各音響効果装置をエフェクタボードに固定するための部材も必要になっていた。また、音響効果装置ごとにその大きさや入力端子、出力端子、電源端子の位置が異なるので、音響効果装置どうしを接続するパッチケーブルは、それぞれの箇所に応じた形状と長さのものを用意する必要があった。同様に電源ケーブルも、それぞれの箇所に応じた長さのものを用意する必要があった。
また、音響効果装置を別のものに置き換えたり、接続順序を変更するためには、音響効果装置の配置の見直しにともなって、固定方法の見直しや、パッチケーブルや電源ケーブルの見直しなど、システム全体の見直しが必要となっていた。
このように、本発明の請求項2の音響効果装置では、音響効果装置どうしを接続するパッチケーブルや、電源分配装置、電源ケーブル、エフェクタボードへの固定方法が不要になるため、小型化、軽量化の効果は明らかである。また音響効果部の置き換えや順序変更も簡単に行うことができる。