(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178154
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】動物血管シミュレーター
(51)【国際特許分類】
G09B 23/36 20060101AFI20231207BHJP
【FI】
G09B23/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022099218
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】519389708
【氏名又は名称】株式会社ハンドレッド
(71)【出願人】
【識別番号】520503636
【氏名又は名称】株式会社ナガヨシ
(72)【発明者】
【氏名】村上 誠
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 肇
(72)【発明者】
【氏名】小越 浩史
(72)【発明者】
【氏名】丸本 孝太郎
【テーマコード(参考)】
2C032
【Fターム(参考)】
2C032CB01
(57)【要約】
【課題】本発明は、より動物の生体を再現した、動物血管シミュレーターを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の動物血管シミュレーターは、柔軟性のある樹脂材を円錐状に形成した本体と、前記本体内に柔軟性のある樹脂で形成したチューブを配したこと、また、本体中心部に略硬質の樹脂で形成した疑似骨を設けたこと、及び本体表面に塗装を施したことを特徴としている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性のある樹脂材を円錐状に形成した本体と、前記本体内に柔軟性のある樹脂で形成したチューブを配したことを特徴とする動物血管シミュレーター。
【請求項2】
前記本体中心部に略硬質の樹脂で形成した疑似骨を設けたことを特徴とする請求項1に記載の動物血管シミュレーター。
【請求項3】
前記疑似骨は複数の骨部を連結して構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の動物血管シミュレーター。
【請求項4】
前記本体の表面にシリコーン系塗料を塗布したことを特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載の動物血管シミュレーター。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物実験訓練用の動物血管シミュレーターに関する。
【背景技術】
【0002】
医薬や医療手段の予備検討として、動物による試験検証が行われている。例えば、マウス実験においては、マウスの尾の血管に注射針を差し込むことで採血や投与等を行っている。
【0003】
特許文献1には、犬などの血管が動く動物の血管に注射針もしくは採血針を刺入する手技訓練用動物血管モデルとして、動物の組織及び表皮層に模したゲル状物よりなる部材中の表面近くに模擬血管を封入すると共にゲル状物よりなる部材を動物に装着できるようにしたことを特徴とする技術が公開されているが、動物の実態からは乖離している課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-16342号(段落0008、
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、より動物の実態を再現した、動物血管シミュレーターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の動物血管シミュレーターは、柔軟性のある樹脂材を円錐状に形成した本体と、前記本体内に柔軟性のある樹脂で形成したチューブを配したことを特徴としている。
【0007】
また、本体中心部に略硬質の樹脂で形成した疑似骨を設けたことを特徴とし。更には、本体表面に塗装を施すことで、より動物の生体を再現していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
柔軟性のある本体が動物の皮膚と筋肉を再現し、柔軟性のあるチューブが血管を再現し、略硬質の樹脂で形成した疑似骨を有することで、本体が伸びることを防止すると共に手に触れたときの感触を含め、より動物本来の生体を再現することができ、シミュレーターとしての機能を向上させることが可能となる。
【0009】
本体表面に施す塗装により、動物の皮膚色表現と共に、血管を模しするチューブの視認が困難となることで、訓練の難易度を高くすることが可能となる。
【0010】
動物の尾部のみで形成することで、ハンドリング性が向上し省スペースにも貢献することにつながる。
【0011】
注射及び採血双方のシミュレーションが可能であり、繰り返し使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【発明を実施するための形態】
【実施例0013】
図面を引用して本発明の詳細を説明する。
【0014】
図1は本発明の斜視図で、
図2及び3は本体内部構造を示す断面図である。本体2は柔軟性のある樹脂で円錐状に形成し、動物の尾の形状を模している。柔軟性のある樹脂にはシリコーン、ウレタン、ゴム系の樹脂から選択されるが、望ましくはシリコーンである。
【0015】
本体1の大きさは、例えばマウスであれば、直径5~10mm程度で、長さが10~15cm程度であり、先端に向かい細くなる円錐状の形状となる。マウス以外の動物を選択する場合、その動物の尾の形状と大きさに形成すればよい。
【0016】
チューブ3は、柔軟性のある樹脂で円筒状に形成し、動物の血管を模している。柔軟性のある樹脂にはシリコーン、ウレタン、ゴム系の樹脂から選択されるが、望ましくはシリコーンである。
【0017】
チューブ3の太さは、例えばマウスであれば、直径1~3mm程度で、本体開口部から先端で折り返えされる1本のチューブで形成される。マウス以外の動物を選択する場合、その動物の血管の大きさに形成すればよい。。
【0018】
チューブ3の端部から、透明の液体を流入しておき、着色した注射液を注射器から投入することで、血管内への注射液投入訓練が可能で、チューブ3へ着色した液体を流入しておき、注射器による採血訓練の双方が可能となる。図示しないが、チューブ3の端部にポンプを設け、チューブ内の液体を循環させてもよい。
【0019】
疑似骨4は略硬質の樹脂で複数の骨を連結部5にて連結し、先端に向かい細くなる円錐状の形状としている。硬質の樹脂としては、PP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン)、ABS等から選択でき、望ましくはPPである。疑似骨4を有することで、本体1が伸びることを防止すると共に、手に触れたときの感触を含め、より動物の生体を再現することが可能となる。
【0020】
図4は模擬骨4の連結部の一例を示すもので、本例では連結部5の径を細くすることで間接として湾曲する機能を設けている。関節部から湾曲する機能を有するものであれば、本形状に限定されるものではなく、球体関節や噛み合わせ形状等から選択することができる。
本体1の表面に塗装を施してもよい。動物の皮膚色表現と共に、血管を模しするチューブの視認が困難となることで、訓練の難易度を高くすることが可能となる。例えば、ブラックマウスのように、皮膚色が肌色以外のものを再現するには、塗装を施すことが望ましく、色の濃淡やグラデーションなど、色の選択と様々な色合いに着色することが可能となる。また、チューブ3の表面に塗装を施してもよい。
塗料にはシリコーン系を用いることが望ましい。より本体に密着し一体感を表現することが可能となる。本体1の材質がシリコーン材の場合、シリコーン系塗料を塗布し密着させることは容易ではない。よって、数種の添加剤を加えたシリコーン化合物とすることで、エマルション効果を利用して塗料の密着性を確保している。