(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178157
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】ワイヤレス補助人工心臓システム
(51)【国際特許分類】
A61M 60/875 20210101AFI20231207BHJP
A61M 60/178 20210101ALI20231207BHJP
A61M 60/232 20210101ALI20231207BHJP
A61M 60/422 20210101ALI20231207BHJP
A61M 60/816 20210101ALI20231207BHJP
A61M 60/419 20210101ALI20231207BHJP
A61M 60/546 20210101ALI20231207BHJP
A61M 60/876 20210101ALI20231207BHJP
【FI】
A61M60/875
A61M60/178
A61M60/232
A61M60/422
A61M60/816
A61M60/419
A61M60/546
A61M60/876
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022099918
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】522247770
【氏名又は名称】堀江 栄之
(72)【発明者】
【氏名】堀江 栄之
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA04
4C077BB10
4C077CC03
4C077DD08
4C077EE01
4C077FF04
4C077HH09
4C077HH19
4C077JJ08
4C077JJ19
4C077KK25
(57)【要約】
【課題】ワイヤレス人工心臓で主流の経皮エネルギー電送システムには、位置ずれやコイル温度上昇、機械故障時の対応の難しさなどの問題点がある。もう一つのワイヤレス人工心臓である磁気駆動ポンプは、体外デバイスが使用者の活動を制限する。これらを解決する人工心臓システムを提供する。
【解決手段】磁力と電力で動く2種類の人工心臓を使用する。磁力式人工心臓は、磁石間に働く吸引力で位置ずれが起きづらく、磁力式人工心臓が駆動している間に体内バッテリーの充電を行えば、低出力の送電でも人工心臓の出力に影響が出ないため、コイルの温度上昇が抑えられる。さらに磁力式人工心臓は電子機器を用いないシンプルな構造のため故障が起きづらい。また体内バッテリーによって電力式人工心臓が駆動している間は、体外デバイスが不要となり、使用者の活動が制限されない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓の活動を補助する補助人工心臓装置において、
心臓と人工血管を介して接続し心臓の活動を補助する電気駆動ポンプと、
前記電気駆動ポンプと人工血管を介して接続し、且つ、大動脈と人工血管を介して接続する磁気駆動ポンプと、
前記磁気駆動ポンプと前記電気駆動ポンプの出力を制御する制御部と、
を有するワイヤレス補助人工心臓装置。
【請求項2】
前記電気駆動ポンプと前記磁気駆動ポンプは、体内に埋め込むポンプであることを特徴とする請求項1に記載のワイヤレス補助人工心臓装置。
【請求項3】
前記電気駆動ポンプは、吸入口と吐出口とを有するハウジングと、
前記ハウジング内に回転可能に収容され、回転した場合にその外周上に交互に異極が現れるように永久磁石を配置したインペラと、
前記ハウジングの回転軸に対して径方向外側に配置された前記インペラを回転させるコイルと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の補助人工心臓装置。
【請求項4】
前記磁気駆動ポンプは、吸入口と吐出口とを有するハウジングと、
前記ハウジング内に回転可能に収容され、磁極が互いに逆向きの一対の永久磁石と結合したインペラと、
前記インペラを回転させる回転駆動機構と、
前記インペラの回転数を検出する回転数検出手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のワイヤレス補助人工心臓装置。
【請求項5】
前記回転数検出手段は、前記磁気駆動ポンプの前記インペラの回転から生じる磁界の変化を検出して交流電流を発生させるコイルを含んでいることを特徴とする請求項4に記載のワイヤレス補助人工心臓装置。
【請求項6】
前記制御部は、発生した前記交流電流の周波数から計算できる前記磁気駆動ポンプの前記インペラの回転数に対し、前記磁気駆動ポンプと前記電気駆動ポンプとの合計の回転数が、所定の範囲内となる駆動信号を前記電気駆動ポンプに送り、前記送られた駆動信号の回転数で前記電気駆動ポンプを駆動させることを特徴とする請求項5に記載のワイヤレス補助人工心臓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の体から経皮的に延びる電力供給ケーブルが不要な、埋め込み型ワイヤレス補助人工心臓システムに関する。
【背景技術】
【0002】
既存の体内埋め込み型の補助人工心臓(例えば、末期心不全患者の治療として用いられる、補助循環装置の一つである、左心補助人工心臓(LVAD)(Left Ventricular Assist Device)。)は、再充電可能に埋め込まれた体内バッテリーまたは体内外部の電源から供給される電流によって駆動される。通常、これらの機器は、患者の体内から経皮的に延びる電力供給ケーブル線を通して、補助人工心臓に体内外部の電源を直接接続することが行われている。
【0003】
しかし、この手法では、ケーブル線等のドライブライン周辺の部位からの細菌感染であるドライブライン感染、及びそれに伴う、敗血症、凝固障害の合併症の恐れがあるため、患者の生活の質を著しく低下させる。
そのため、経皮にケーブル線などのドライブラインを用いない、ワイヤレス補助人工心臓システムが望まれている。
【0004】
ケーブル線等のドライブラインを用いない、ワイヤレス補助人工心臓システムのひとつに、経皮を介して、エネルギーを伝送、伝達して、給電する電磁誘導方式を用いる(経皮エネルギー伝達システム(TETS)ものがある。
この手法には、主に、外部送信機を用いて高周波エネルギーを伝達することで、埋め込まれた装置に給電する手法と、電磁的な送信コイルを使用する手法がある。前者は、エネルギー伝達効率が、経皮を経ることによる損失のため、あまり良くない。後者は、体表に設置した1次コイルと体内に埋め込んだ2次コイル間の電磁誘導作用を利用して、経皮的に電気エネルギーを体内に送ることができるものである。この電気エネルギーを利用して体内バッテリーの充電を行い、また、体内の補助人工心臓を駆動することができる(例えば、特許文献1。)。
【0005】
別の手法のワイヤレス補助人工心臓システムとして、永久磁石と結合したインペラを持つ、埋め込み型補助人工心臓を、体表に設置した回転磁性体によって回転させる磁気駆動ポンプがある(例えば、特許文献2。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2000-505681号公報
【特許文献2】国際公開2012-008383号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
引用文献1等に記載の経皮エネルギー伝達システムは、コイル間に距離があると、電力を供給できない。そのため、表皮近くで用いることになるが、駆動中に給電するため、15W近くの大電力を継続的に補助人工心臓に供給しなくてはいけないため、コイルの位置ずれによる出力低下やコイルの発熱による皮膚の熱傷などの問題点を抱えている。また、埋め込んだ機器の故障が起こりやすく、故障の時には開胸などの侵襲的な処置なしには対応ができない。これらの問題点が経皮エネルギー伝達システムを用いたワイヤレス補助人工心臓の実用化を妨げている。
【0008】
一方、引用文献2等に記載の埋め込み型磁気駆動ポンプは、熱傷などはなく、シンプルな構造のため故障の可能性はするないものの、常に外部から磁界を与える回転磁性体を携帯しなくてはいけないため、スポーツや入浴といった活動が制限され、患者の生活の質を損なってしまう。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するもので、電力で駆動する従来の人工心臓と共に、磁力で駆動する人工心臓も埋め込むことで、経皮エネルギー伝達システムや、磁気駆動ポンプの問題点を克服した新しいワイヤレス補助人工心臓システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のワイヤレス補助人工心臓装置は、心臓と人工血管を介して接続し心臓の活動を補助する電気駆動ポンプと、電気駆動ポンプと人工血管を介して接続し、且つ、大動脈と人工血管を介して接続する磁気駆動ポンプと、磁気駆動ポンプと電気駆動ポンプの出力を制御する制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のワイヤレス補助人工心臓システムは、安全で、患者の生活の質を損なうことないワイヤレス補助人工心臓を患者に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】 本発明の実施例におけるワイヤレス補助人工心臓システム100の構成図である。
【
図2】 本発明の補助人工心臓装置1における磁気駆動ポンプ31と電気駆動ポンプ21の概略図である。
【
図3】 本発明に係るワイヤレス補助人工心臓システム100を実際に患者に接続した際の模式図である。
【
図4】 本発明における磁気駆動ポンプ31のインペラ33、インペラに結合する永久磁石34、ハウジング35、給電制御装置4の一部となる回転磁性体46、回転駆動部47および卓上試験時の磁気駆動ポンプ31周辺の実際の写真である。
【
図5】 本発明における電気駆動ポンプ21のインペラ23、ハウジング24、コイル25、ケーシング28および電気駆動ポンプ21の実際の写真である。
【
図6】 本発明のワイヤレス補助人工心臓システム100を用いた卓上耐久試験時の実際の写真である。
【
図7】 本発明のワイヤレス補助人工心臓システム100を用いた卓上耐久試験の結果をまとめた表である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を説明する。なお、本発明の実施形態は、下記した事項に限られることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲において、発明を適用する場面に応じて適宜変更することができる。
【0014】
〔第1実施形態に係る補助人工心臓システム〕
図1は、本発明に係るワイヤレス補助人工心臓システム100の構成図である。
図1に示すように、ワイヤレス補助人工心臓システム100は、補助人工心臓装置1と、給電制御装置4とから構成される。
【0015】
最初に、補助人工心臓装置1について説明する。
補助人工心臓装置1は、左心補助人工心臓(LVAD)用のものであり、人工血管10と、電気駆動ポンプ21、磁気駆動ポンプ31の2種類のポンプ及び電気駆動ポンプ21、磁気駆動ポンプ31を制御する内部制御部50、体内バッテリー51及び給電制御装置4から伝送されたエネルギーを受け取る内部コイル52とからなる。
【0016】
人工血管10は、電気駆動ポンプ21、磁気駆動ポンプ31を直列に接続する形で接続され、また、電気駆動ポンプ21、磁気駆動ポンプ31に接続されていない一方が、
図3に示すように、心臓近傍の大動脈16に接続され、もう一方が心臓の左心室12に接続される。なお、電気駆動ポンプ21、磁気駆動ポンプ31の接続の順序は逆であってもよい。現在の補助人工心臓を取り付ける際に、電気駆動ポンプ21を左心室12付近に取り付けることが一般に行われており、また、磁気駆動ポンプ31の取り付け位置も考慮すれば、体内のスペースを考慮すると、左心室12、電気駆動ポンプ21、磁気駆動ポンプ31、大動脈16の順序が好適であるが、取り付け位置の問題がなければ、電気駆動ポンプ21、磁気駆動ポンプ31の接続の順序は特に限定されない。
人工血管10の材質としては、安定な生体適合材料である、ポリエステルやテトラフルオロエチレン等が用いられる。
【0017】
図2は、本発明の補助人工心臓装置1における磁気駆動ポンプ31と電気駆動ポンプ21の概略図である。
図2(a)は、磁気駆動ポンプ31の中心軸線での断面図であり、
図2(b)は、電気駆動ポンプ21の中心軸線での断面図である。
図4は、本発明における磁気駆動ポンプ31のインペラ33(
図4A)、インペラに結合する永久磁石34(
図4B)、ハウジング35(正面:
図4C、底面:
図4D)、給電制御装置4の一部となる回転磁性体46(
図4E)、回転駆動部47(
図4F)および卓上試験時の磁気駆動ポンプ31周辺の実際の写真(
図4の右図)である。
図5は、本発明における電気駆動ポンプ21のインペラ23(
図5G)、ハウジング24(正面:
図5H、底面:
図51)、コイル25、ケーシング28(
図5下左図)および電気駆動ポンプ21の実際の写真(
図5下右図)である。
【0018】
電気駆動ポンプ21は、
図2(b)、
図5にも示すように、電気駆動ポンプのインペラ23、電気駆動ポンプのハウジング24、電気駆動ポンプのコイル25と、コイル25を保持するケーシング28からなる。
【0019】
〔電気駆動ポンプ〕
電気駆動ポンプ21は、電気的に駆動する遠心型のポンプである。電力は、体内バッテリー51から供給される。
【0020】
図2(b)、
図5Gに示す、インペラ23は、上部に設けられた複数の永久磁石26を保持する永久磁石保持部27と、下部に設けられた、流路となる間隙の開いた回転軸を中心に、複数の羽が放射的に複数配置された部位とからなる回転子である。永久磁石保持部27は、回転軸を中心に複数の永久磁石26を放射状に保持する複数の部位を有する。永久磁石26は、円周面方向で隣接する保持部毎にS極、N極が、交互に埋め込まれている。永久磁石26は、ケーシング28に設けられた電磁石となるコイル25と、ケーシング28がハウジング24を収容した際に、対向する位置に設けられる。これにより、コイル25に電流を流した時、ブラシレスモーターの原理で、回転力が与えられ、インペラ23は回転する。永久磁石26の数はいくつでも良い。コイル25の数と同じであってもよいし、多くても、少なくてもよく、回転子として作動すれば、数は限られない。
【0021】
インペラ23の羽の形状は、ポンプの役割を果たせるのであればどのような形状であってもよい。インペラ23の材質は好適にはアクリル樹脂が用いられるが、これに限らず、生体適合性の材質であればどのようなものでも用いることができる。
インペラ23は、コイル25に電流を流すことにより、モーターの原理で、電気駆動ポンプのハウジング24内で回転駆動することにより、血液を押し出し、ポンプの役割を果たす。
【0022】
図2(b)、
図5H,Iに示す、ハウジング24は、軸心方向に延びる吸入口と遠心方向に延びる吐出口を備え、電気駆動ポンプ21の外形構成し、インペラ23を内包する。吸入口は、中心軸中央に設けられ、吐出口は、インペラ23の羽の周囲の遠心方向に設けられる。材質は好適にはアクリル樹脂が用いられるが、これに限らず、生体適合性の材質であればどのようなものでも用いることができる。
【0023】
図2(b)、
図5下左図に示す、コイル25は、ケーシング28内に保持されて設けられる。複数の電磁コイル25が、ケーシング28内に設けられる。
コイル25は、鉄心に銅線を巻いて構成される。電磁モーター等用いられているものを用いてもよい。
【0024】
また、
図2(b)に示すように、コイル25の近傍には、インペラ25の回転数を検出する、第一回転数検出手段22が設けられる。第一回転数検出手段22は、ホール素子等、モーターなどの回転数を検出するものであればどのようなものでもよい。第一回転数検出手段22は、内部制御部50に接続され、電気駆動ポンプ21の回転数を内部制御部50に送る。
【0025】
ケーシング28は、
図5下右図に示すように、複数のコイル25を内部に保持するとともに、電気駆動ポンプ21のハウジング24のうち、永久磁石26が保持されたインペラ23の上部を覆う。ケーシング28は、ハウジング24を覆ったときに、インペラ23内の永久磁石26に対向する位置に複数のコイル25が位置するように内包する。ケーシング28内に設けられるコイル25の数はいくつでも良い。永久磁石26の数と同じであってもよいし、多くても、少なくてもよく、インペラ23を回転させることができれば、数は限られない。
【0026】
電気駆動ポンプ21は、コイル25に電流を流せば、既存のブラシレスモーターと同じ原理でインペラ23が回転し、遠心型ポンプとして機能する。左心室12近傍の所定の場所に人工血管を装着し、血液を電気駆動ポンプ21に流すことで人工心臓となる。
【0027】
以上のように、電気駆動ポンプ21について好適な例について説明したが、電気駆動ポンプ21は、この形態に必ずしも限られない。本発明では、遠心型のポンプで説明したが、軸心型のポンプであってもよい。外部からの電力により、回転駆動して補助人工心臓の機能を果たせばどのような電気ポンプでもよい。
【0028】
〔磁気駆動ポンプ〕
磁気駆動ポンプ31は、
図2(a)、
図4にも示すように、磁気駆動ポンプのインペラ33、磁気駆動ポンプの永久磁石34、磁気駆動ポンプのハウジング35とからなる。
磁気駆動ポンプ31は、遠心型のポンプであり、電気的な回路(電気的な駆動力)を必要とせず、永久磁石34を外部から給電制御装置4の回転磁性体46で回転させることで駆動する
また、磁気駆動ポンプ31とは別体であってもよいが、磁気駆動ポンプ31の近傍に配置され、磁気駆動ポンプ31の回転数を検出する第二回転数検出手段32を備える。。
【0029】
図2(a),
図4Aに示す、インペラ33は、上部が流路となる間隙の開いた回転軸に複数の羽が取り付けられ、下部に永久磁石34を保持する部位をもうけた回転子である。羽の形状は特に限定されず、ポンプの機能を果たせるのであればどのような形状であってもよい。羽の材質は好適にはアクリル樹脂が用いられるが、これに限らず、生体適合性の材質であればどのようなものでも用いることができる。
【0030】
図2(a),
図4Bに示す、永久磁石34は、インペラ33を構成する羽部の下部等に一体に接合された部材の内部に設けられる。永久磁石は、磁極が回転面の半分がN極の永久磁石であり、もう半分がS極の永久磁石であり、回転面となる位置の磁極の異なる二つの永久磁石を接合して用いられる。なお、この実施例では2つの永久磁石34を用いているが、二つ以上の永久磁石を用いてもよい。永久磁石34としてはネオジム磁石等の強い磁力を持つものが用いられる。
永久磁石34は、給電制御装置4の回転磁性体46の磁力によって回転駆動される。
【0031】
図2(a),
図4C,Dに示す、ハウジング35は、軸心方向に延びる吸入口と遠心方向に延びる吐出口を備え、磁気駆動ポンプ31の外形構成し、インペラ33等を内包する。吸入口は、中心軸中央に設けられ、吐出口は、インペラ33の羽の周囲の遠心方向に設けられる。材質は好適にはアクリル樹脂が用いられるが、これに限らず、生体適合性の材質であればどのようなものでも用いることができる。
【0032】
図2(a)に示す、磁気駆動ポンプ31の近傍に設けられた、第二回転数検出手段32は、コイルからなり、磁気駆動ポンプ31の永久磁石34の回転によって発生する磁界の変化による誘導起電力により発生する交流電流を検出することで、磁気駆動ポンプ31の回転数を検出する。第二回転数検出手段32は、内部制御部50に接続され、磁気駆動ポンプ31の回転数を内部制御部50に送る。
【0033】
磁気駆動ポンプ31は磁気駆動ポンプの永久磁石34の磁極面が、対外側に向くようにして胸骨の裏側や肋骨間に固定する。皮膚11の外表面に設置した給電制御装置4の回転磁性体46を回転駆動機構45で回転させ、この回転に磁気駆動ポンプ31の永久磁石34を同期させることで磁気駆動ポンプ31のインペラ33が回転し、遠心型ポンプとして機能する。
人工血管を所定の部位に装着し、血液を磁気駆動ポンプ31に流すことで人工心臓となる。
【0034】
以上のように、磁気駆動ポンプ31について好適な例について説明したが、磁気駆動ポンプ31とは、この形態に必ずしも限られない。本発明では、遠心型のポンプで説明したが、軸心型のポンプであってもよい。電力の供給なく、外部からの磁力により、回転駆動して補助人工心臓の機能を果たせばどのような磁気駆動ポンプでもよい。
【0035】
〔内部制御部〕
内部制御部(コントローラー)50は、電気駆動ポンプ21を制御する部位である。内部制御部50はCentral Processing Unit(CPU)等のワンボードマイクロコンピュータで構成される。内部制御部50はCPUに限らず各種、同様の制御ができればどのようなものを用いてもよい。また、内部制御部50は不図示のメモリー等の記憶媒体を備えていてもよい。記憶媒体に、制御プログラムや、電気駆動ポンプ21の制御情報、第一回転数検出手段22からの回転数の情報、第二回転数検出手段32からの回転数の情報などを記憶してもよい。
【0036】
内部制御部50は電気駆動ポンプ21を制御する一方で、電気駆動ポンプ21の回転数を内部制御部50に接続された第一回転数検出手段22から検出する。内部制御部50は、さらに、第二回転数検出手段32に接続され、第二回転数検出手段32から、磁気駆動ポンプ31の回転数を得る。内部制御部50は、補助人工心臓の出力が所定の範囲内になるように、電気駆動ポンプ21の回転数、磁気駆動ポンプ31の回転数の合計が所定の値の範囲になるように、電気駆動ポンプ21を制御する。
内部制御部50は体内バッテリー51を内包し、或いは、接続されており、体内バッテリー51の電気エネルギーで駆動される。
【0037】
内部バッテリー51は、電気駆動ポンプ21及び内部制御部50に電力を供給するもので、また、内部コイル52から電力の供給を受け、充電されるものである。具体的な内部バッテリー51は充放電可能な小型で容量のある二次電池であるのが望ましく、好適にはリチウムイオン二次電池が用いられる。
【0038】
内部コイル52は、体内バッテリー51に接続され、体内バッテリー51を充電する電力を給電制御装置4から受け取るものである。内部コイル52は、給電制御装置4の外部コイル42と間の電磁誘導作用を利用して経皮的にエネルギーを受け取り、給電することができる。
【0039】
〔給電制御装置〕
次に、給電制御装置4について説明する。
給電制御装置4は、外部電源41、内部コイル52に、電気エネルギーを伝送する外部コイル42、回転駆動機構45及び回転磁性体46とからなる。
給電制御装置4は外部コイル42を用いて、内部コイル52を介し、体内バッテリー51を充電し、回転磁性体46を用いて、永久磁石34を回転させることで、磁気駆動ポンプ31を電力なしに駆動するものである。
【0040】
外部電源41は、給電制御装置4の電源であり、電力を供給することができればどのようなものでも良い。ポータブル性を高めるためには、電池等を用いてもよい。
【0041】
外部コイル42は、外部電源41と接続され、体内に埋め込まれた内部コイル52が存在する皮膚11の近傍に接近させ、経皮的に、外部コイル42と内部コイル52と間の電磁誘導作用を利用して電力を伝送するものである。この手法としては現在、経皮エネルギー伝達システム(TETS)で用いられているものを用いればよい。
【0042】
ただし、従来の手法では、15W近くの大電力を継続的に加える必要があった。しかし、本発明では、磁気駆動ポンプ31が設けられているため、電気駆動ポンプ21を停止させても問題ないため、外部コイル42が体温より非常に大きくなることのない、5W以下の低電力で電力を供給し充電することができる。そのため、患者の熱傷の恐れをほとんどなくすことができる。
【0043】
回転駆動機構45は、
図4Eに示されるように、外部電源41からの電力により回転する機構である。回転により回転磁性体46を回転させることができる。回転駆動機構45は、例えば、電動モーター等のもので構成することができる。
【0044】
回転磁性体46は、
図4Eに示されるように、回転駆動機構45により回転する部材である。回転磁性体は、
図4Fに示される永久磁石が、二つ埋め込まれたものである。埋め込まれた二つの永久磁石は、皮膚11に押し当てられる磁石表面の磁場が、S極と、N極というように別の極となるように配置されている。永久磁石は、ネオジム磁石などの強力な磁力を持つものであるのが好ましい。なお、埋め込まれる磁石は二つ以上であってもよい。
回転磁性体46は、体内に埋め込まれた磁気駆動ポンプ31の永久磁石34が存在する皮膚11の近傍に接近させ、経皮的に、磁界を与えることで、永久磁石34と磁気カップリングさせて磁気駆動ポンプ31を駆動するものである。このため、磁気駆動ポンプ31は、電力を必要としない。
【0045】
〔第1実施形態に係る補助人工心臓システムの実際の使用〕
図3は、本発明に係るワイヤレス補助人工心臓システム100を実際に患者に接続した際の模式図である。
【0046】
図3に示す皮膚11は、補助人工心臓装置1が埋め込まれた近傍の皮膚を示し、右側が体内側、左側が対外側を意味する。
図3の12~17は、心臓周辺の模式図であり、左心室12、右心室13、左心房14、右心房15、大動脈16、肺動脈17をあらわす。
【0047】
図3では、本発明の補助人工心臓装置1の人工血管10の電気駆動ポンプ21に接続された逆の端部を左心室12に接続し、磁気駆動ポンプに接続された人工血管10の逆の端部を大動脈16に接続している。
【0048】
図3の例では、電気駆動ポンプ21は、人工血管10を介して左心室12の近傍に接続される。
磁気駆動ポンプ31は、前述のように、永久磁石34の面を胸骨の裏側や肋骨間に固定する。
【0049】
図3において、本発明の補助人工心臓装置1の人工血管10を左心室12と、大動脈16との間に接続することで、人工血管10、電気駆動ポンプ21,磁気駆動ポンプ31に血液が流れる。
この状態で、電気駆動ポンプ21、磁気駆動ポンプ31を前述の手法により駆動することで、それぞれが、遠心型ポンプとなり、補助人工心臓の役割を果たす。
【0050】
このとき、補助人工心臓装置1全体の補助人工心臓のポンプとしての出力が一定になるようにする必要がある。つまり、電気駆動ポンプ21の出力と磁気駆動ポンプ31の出力の合計が一定になる必要がある。
【0051】
一つの手法として、出力は、電気駆動ポンプ21の回転数と磁気駆動ポンプ31の回転数の合計で決定される。磁気駆動ポンプ31が高回転のときは、電気駆動ポンプ21は低回転ないしは無回転であり、磁気駆動ポンプ31が低回転ないしは無回転のときは、電気駆動ポンプ21は高回転となる。
内部制御部50により、電気駆動ポンプ21の回転数と磁気駆動ポンプ31の回転数の合計が一定の範囲内になるように制御される。
【0052】
回転数の制御は、前述のように、内部制御部50により行われる。内部制御部50は、電気駆動ポンプ21の回転数を検出する第一回転数検出手段22と、磁気駆動ポンプ31の回転数を検出する第二回転数検出手段32との情報から、電気駆動ポンプ21と磁気駆動ポンプ31の回転数の合計が、所定の範囲内になるように制御する。
【0053】
第二回転数検出手段32により磁気駆動ポンプ31の回転数の情報を得た内部制御部50は、全体の出力が維持される所定の範囲の回転数に対しての差分を求め、電気駆動ポンプ21を駆動する回転数を決定し、電気駆動ポンプ21を制御するデューティ比の矩形パルス波の信号を送り、矩形パルス波のデューティ比に応じた信号の回転数で電気駆動ポンプ21の回転数を変動させ、電気駆動ポンプ21と、磁気駆動ポンプ31との全体の回転数が所定の範囲になるように制御する。
【0054】
体内バッテリー51への給電は、体内バッテリー51の充電と、電気駆動ポンプ21の駆動に伴う放電を行う場合、大電力が必要となるため、磁気駆動ポンプ31が動いている間に(電気駆動ポンプ21が停止している間に)経皮エネルギー伝送システムによって行われるのが好ましい。
【0055】
〔第2実施形態に係る補助人工心臓システム〕
本発明の第1実施形態に係るワイヤレス補助人工心臓システム100では、補助人工心臓装置1の電気駆動ポンプ21、磁気駆動ポンプ31は、直列で接続した場合について説明した。
【0056】
しかし、補助人工心臓装置1の電気駆動ポンプ21、磁気駆動ポンプ31は直列に限らず、並列に接続しても本発明の課題を可能である。
この場合、人工血管10は、心臓近傍の大動脈16に接続されていない側に分岐部を有し、分岐部から延びる人工血管10のそれぞれに、電気駆動ポンプ21、磁気駆動ポンプ31が接続される。そして、電気駆動ポンプ21、磁気駆動ポンプ31のもう一方の接続部に、それぞれ、人工血管10が接続され、それぞれの人工血管10は、別の分岐部で合流し、分岐部から延びる端部が心臓の左心室12に接続される。なお、それぞれの分岐部には、流路を切り替える弁を設けてもよい。
【0057】
並列に電気駆動ポンプ21、磁気駆動ポンプ31を接続した補助人工心臓装置1は、実施例1と同様、内部制御部50で全体の出力が一定になるように、回転数を制御することで補助人工心臓の役割を果たすことができる。
【0058】
一方で、並列に電気駆動ポンプ21、磁気駆動ポンプ31を接続した補助人工心臓装置1は、完全に一方の駆動ポンプの駆動を停止すると、停止した側を流れる血液が滞留し、凝血する恐れがあるので、完全に停止することなく、流れを作る形で、弱い出力でも駆動させ続ける必要がある。或いは、駆動ポンプの駆動を停止した側に、循環流動機構を備え、血液の滞留を抑制してもよい。
また、分岐部に設けた弁で駆動を停止する駆動ポンプ側の流れを停止し、メンテナンスするようにしてもよい。
【0059】
並列に電気駆動ポンプ21、磁気駆動ポンプ31を接続した補助人工心臓装置1は、実施例1と同様の効果を得ることができる一方で、電気駆動ポンプ21、磁気駆動ポンプ31のどちらかに異常があった場合でも、片方の駆動ポンプを停止させて、メンテナンスを行うことができるため、患者を危険にさらす可能性が低くなる。
【実施例0060】
〔第1実施形態に係る補助人工心臓システムの実施例〕
以下に、本発明の実施例について記載する。なお、実施例に記載のものは本発明を実施する上での好適な例であり、大きさや形状は実施例の記載に限られるものではない。
【0061】
磁気駆動ポンプ31を以下の部材を用いて作成した。
図4Aに示すように、磁気駆動ポンプのインペラ33をアクリル樹脂で作成した。磁気駆動ポンのインペラ33は
図4Aの下部に永久磁石34を収容可能である。また上部にインペラ33の複数の羽を有している。インペラの直径は25.2mm、永久磁石34の収容部からの高さは24.2mmであった。
【0062】
図4Bに示すように、磁気駆動ポンプの永久磁石34は、半円状の二つの永久磁石を接合したものであり、二つの磁極は異なるようにして接合した。永久磁石はネオジム磁石を用いた。
永久磁石34の直径は23.4mm、高さは10.5mmでインペラ33に収容可能に構成した。
【0063】
図4C、Dに示すように、磁気駆動ポンプのハウジング35はインペラ33を収容可能なもので、アクリル樹脂で作成した。ハウジング35の遠心流路部分を含めた直径は45.2mmで、高さは37.4mmであった。
【0064】
磁気駆動ポンプ31は、インペラ31に、永久磁石34を保持したうえで、ハウジング35に収容して作成した。
【0065】
磁気駆動ポンプ31を駆動する駆動機構は以下のように作成した。
図4Eに給電制御装置4の回転駆動部45と、回転磁性体46とを示す。回転駆動部45は市販のモーター(Maxon製)をもちいた。回転磁性体46は回転駆動部45の回転軸に取り付けた。回転磁性体46はナイロンで構成し、永久磁石34と対向する位置になる部位に、磁極が互いに異なるように配置した二つの永久磁石47が埋め込まれている。回転駆動部45と、回転磁性体46とは直径は38.6mm、長さ56.4mmとなった。
図4Fに回転磁性体46に埋め込まれる永久磁石47を示す。永久磁石47はネオジム磁石(表面磁束密度593mT)であり、10mm×20mm×15mmの直方体形状とした。
【0066】
図4の右に、卓上で実施したときの磁気駆動ポンプ31と給電制御装置4との配置を示す。磁気駆動ポンプ31の永久磁石34と、回転磁性体46の永久磁石47とが対向するように配置した。皮膚に見立てた間隙として、磁気駆動ポンプ31の永久磁石34と、回転磁性体46の永久磁石47を20mm離間して設置した。
【0067】
次に、電気駆動ポンプ21を以下の部材を用いて作成した。
図5Gに示すように、電気駆動ポンプのインペラ23は、上部の永久磁石保持部27に、永久磁石26を嵌め込んでいる。永久磁石26は、外周面にS極、N極が交互に現れるように永久磁石保持部27に保持されている。一方、下部には複数の羽を有する。インペラはアクリル樹脂で作成した。インペラ23の高さは27.4mm、外径は22.8mmであった。
【0068】
図5H,Iに電気駆動ポンプのハウジング24を示す。ハウジング24は、アクリル樹脂で作成した。ハウジング24の遠心流路部分を含めた直径は44.8mmで、高さは48.4mmであった。
【0069】
図5の下部に電気駆動ポンプのケーシング28と、ケーシング28に配置された、複数のコイル25を示す。コイル25は鉄心に銅線を巻いて作成した。コイル25はケーシング28で、電気駆動ポンプのハウジング24を覆うように構成される。ケーシング28はハウジング24を内包した際に、コイル25と、インペラ23の永久磁石26が対向する位置になるようコイル25が設けられる。
【0070】
電気駆動ポンプ21は、インペラ23をハウジング24に内包した上で、コイル25を配置したケーシング28で覆うように内包させることで作成した。
【0071】
〔第1実施形態に係る補助人工心臓システムの実施例を用いた実験〕
図6に本発明のワイヤレス補助人工心臓システム100を用いた卓上耐久試験時の実際の写真を示す。
【0072】
図6の手前(下部)に、本発明のワイヤレス補助人工心臓システム100を配置した。電気駆動ポンプ21は、内部制御部50に相当する部位、体内バッテリー51、内部コイル52に接続されており、経皮的な電力供給(経皮エネルギー伝達システム(TETS))を再現する形で、外部コイル42を用いてエネルギーの伝送を行った。
【0073】
補助人工心臓装置1は医療用のチューブで人工血管を模擬したものを、心臓周辺の循環系に見立てた密閉アクリルボックス120に接続した。密閉アクリルボックス120は、心臓や、心臓周辺の循環系の条件を模擬的に再現するように構成されいる。開放アクリルボックス114を左心房に見立てている。開放アクリルボックス114の圧力は、電動駆動ポンプ21の吸入口の圧力が5mmHg~10mmHgになるように、水面の高さを調節した。
また、密閉アクリルボックス120内に水栓バルブ121を設け、体血管抵抗に相当するように制御した。
【0074】
人工血管とした医療用のチューブの部位に、流量計123を設け、医療用のチューブの流量の変化を測定した。
また、密閉アクリルボックス120内の圧力(循環器系内部の圧力に対応)を測定する圧力計122を設けた。
実験では、血液の密度は水とほぼ同じであることから、水を用いて実験を行った。
【0075】
実験では、3時間、電気駆動ポンプ21を駆動させ、残りの21時間、磁気駆動ポンプ31を駆動させた。電気駆動ポンプ21から、磁気駆動ポンプ31への切り替え時には、出力が所定の範囲内に維持されように、電気駆動ポンプ21と、磁気駆動ポンプ31との回転数を制御して切り替えを行った。
【0076】
〔第1実施形態に係る補助人工心臓システムの実施例を用いた実験の結果〕
図7に1週間の耐久テストを行ったワイヤレス補助人工心臓システム100を用いた卓上耐久試験の結果を示す。
【0077】
図7に示す表では横から、流量計123で測定した磁気駆動ポンプ31の流量、圧力計122で測定した磁気駆動ポンプ31の圧較差、電気駆動ポンプ21の流量、電気駆動ポンプ21の圧較差、体内バッテリー51の消費電力、TETSでの供給電力、TETSでの電力供給時間、TETSでの総供給電力、一次コイル(外部コイル42)温度、二次コイル(内部コイル52)温度を示す。
【0078】
耐久テストでは、それぞれの値の変動が経時的にほとんどなかったため、磁気駆動ポンプ31から電気駆動ポンプ21に切り替えてから20~30分前後の時間においての値を1週間の間、記録している。
【0079】
1週間の耐久テスト期間中、電気駆動ポンプと磁気駆動ポンプともにハウジングやインペラに明らかな損傷は見られなかった。また、磁気駆動ポンプ31と電気駆動ポンプ21の切り替え時も、出力を保ったまま安定して切り替えることができた。また
図7に示されるように、1週間の耐久テスト中にポンプの流量、圧力の低下はなく、コイルの温度も体温に近い、40℃以下を保ち充電することができた。経皮エネルギー電送システムによる体内バッテリーへの充電も問題なく行われ、1日のうち3時間は電気駆動ポンプが循環を担った。
【0080】
以上のように本発明のワイヤレス補助人工心臓システム100は、心臓周辺の環境を模擬した状況でも問題なく動作することを確認できた。
【0081】
〔発明の効果〕
本発明において、磁気駆動ポンプ31については、回転磁性体46と磁気駆動ポンプの永久磁石34間に回転中であっても、磁力による吸引力が働くため位置ずれが起きづらくなる。
【0082】
本発明において、経皮エネルギー伝送システムによる体内バッテリー51への充電は磁気駆動ポンプ31の駆動中に行うため、従来の電気駆動ポンプ21を駆動中に行う場合、充電と放電を両方行うために必要であった大電力の供給が必要とならず、低電力で時間をかけて充電できる。そのため、内部コイル52と、外部コイル42の温度上昇が抑えられる。万が一、高温になっても、磁気駆動ポンプ31が血液循環を担うため、従来のシステムとは違って給電を中止することができる。そのため皮膚の熱傷のリスクが小さい。
【0083】
本発明では、磁気駆動ポンプ31については、回転磁性体46を回転駆動体45で回転させ、磁気駆動ポンプ31の永久磁石34と回転磁性体46を同期させて回転させるシンプルな構造のため、機械故障による動作不良が起きづらい。仮に動作不良が起きても、磁石の位置関係が原因なので、切開を伴う侵襲的な処置なしに対応できる可能性が高い。
【0084】
本発明では、電気駆動ポンプ21については、体内バッテリー51が体内に存在するため、電気駆動ポンプ21の駆動中は、給電制御装置4の体外のデバイスが不要になり、使用者の行動が制限されない。