(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178189
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】固体電池モジュールおよび電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/262 20210101AFI20231207BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20231207BHJP
H01M 50/264 20210101ALI20231207BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20231207BHJP
H01M 50/293 20210101ALI20231207BHJP
【FI】
H01M50/262 Z
H01M10/0562
H01M50/262 S
H01M50/264
H01M50/291
H01M50/293
H01M50/262 E
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022207707
(22)【出願日】2022-12-26
(31)【優先権主張番号】202210625656.7
(32)【優先日】2022-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】張 旭
(72)【発明者】
【氏名】付 方凱
(72)【発明者】
【氏名】何 亞飛
【テーマコード(参考)】
5H029
5H040
【Fターム(参考)】
5H029AJ12
5H029AM11
5H029BJ03
5H029BJ04
5H029CJ05
5H040AA07
5H040AT02
5H040AT03
5H040AT04
5H040AT06
5H040AY04
5H040AY05
5H040AY08
5H040CC15
5H040CC20
5H040CC23
5H040CC36
5H040LL06
(57)【要約】
【目的】電池の技術に属する固体電池モジュールおよび電池パックを提供する。
【解決手段】固体電池モジュールは、筐体と、筐体内に配置されたセルスタックとを含む。筐体は、天板、底板、および2つの側板を含み、2つの側板は、互いに向かい合う。側板の少なくとも1つは、第1方向において天板および底板に相対して移動することができる。本発明が提供する電池パックは、固体電池モジュールの各側板とボックス本体を接続片により接続する。接続片は、セルスタックの積層方向において塑性変形を生じさせることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体および前記筐体内に配置されたセルスタックを含む固体電池モジュールであって、
前記筐体が、
互いに向かい合う天板および底板と、
前記天板と前記底板の間に接続され、互いに向かい合う2つの側板と、
を含み、前記側板の少なくとも1つが、第1方向において前記天板および前記底板に相対して移動することができ、前記第1方向が、前記セルスタックの積層方向である固体電池モジュール。
【請求項2】
前記天板が、前記第1方向に延伸する第1スライドレールを備え、前記側板の少なくとも1つが、前記第1スライドレールに摺動可能に接続され、
前記底板が、前記第1方向に延伸する第2スライドレールを備え、前記側板の少なくとも1つが、前記第2スライドレールに摺動可能に接続された請求項1に記載の固体電池モジュール。
【請求項3】
前記天板が、複数の第1変形部を含み、前記第1変形部が、前記2つの側板の間に配置され、前記第1変形部が、前記第1方向において塑性変形を生じさせることができ、
前記底板が、複数の第2変形部を含み、前記第2変形部が、前記2つの側板の間に配置され、前記第2変形部が、前記第1方向において塑性変形を生じさせることができる請求項1に記載の固体電池モジュール。
【請求項4】
前記第1変形部が、前記天板に配置された第1凸部または第1凹部であり、
前記第2変形部が、前記底板に配置された第2凸部または第2凹部である請求項3に記載の固体電池モジュール。
【請求項5】
前記第1凸部または前記第1凹部が、前記天板の長さ方向に配置され、
前記第2凸部または前記第2凹部が、前記底板の長さ方向に配置された請求項4に記載の固体電池モジュール。
【請求項6】
前記第1凸部の長さまたは前記第1凹部の長さが、前記天板の長さに等しく、
前記第2凸部の長さまたは前記第2凹部の長さが、前記底板の長さに等しい請求項5に記載の固体電池モジュール。
【請求項7】
前記第1凸部または前記第1凹部が、貫通口を備え、前記貫通口の数が、Nであり、Nが、1より大きいか、それに等しい自然数であり、および/または、
前記第2凸部または前記第2凹部が、貫通口を備え、前記貫通口の数が、Nであり、Nが、1より大きいか、それに等しい自然数である請求項5に記載の固体電池モジュール。
【請求項8】
各前記貫通口が、塑性変形を生じさせることのできる第1調整接続片を備え、前記第1調整接続片の両端が、前記第1方向において前記天板または前記底板に固定して接続された請求項7に記載の固体電池モジュール。
【請求項9】
前記側板が、接続部を備え、前記接続部が、電池パックに接続されるよう構成された請求項1に記載の固体電池モジュール。
【請求項10】
ボックス本体と、
前記ボックス本体内に配置された請求項1~9のいずれか1項に記載の前記固体電池モジュールと、
前記固体電池モジュールの1つの側板と前記ボックス本体の間に接続され、前記第1方向において塑性変形を生じさせることのできる接続片と、
を含む電池パック。
【請求項11】
前記接続片が、低炭素鋼、アルミニウム合金、またはプラスチックスチールで作られた請求項10に記載の電池パック。
【請求項12】
前記接続片が、
前記筐体の1つの側板に接続された第1部分と、
前記第1部分の前記側板から離れた側に設置され、前記ボックス本体に固定して接続された第2部分と、
前記第1部分と前記第2部分の間に固定して接続された第3部分と、
を含む請求項10に記載の電池パック。
【請求項13】
前記第3部分が、斜めに配置された請求項12に記載の電池パック。
【請求項14】
前記第3部分が、複数の接続分割部を含み、各前記接続分割部の2つの端部が、前記第1部分および前記第2部分に固定して接続され、
2つの隣接する接続分割部の間に間隙が提供された請求項12に記載の電池パック。
【請求項15】
塑性変形を生じさせることができる第2調整接続片をさらに備え、前記第2調整接続片が、前記第1部分および前記第2部分に固定して接続され、前記間隙内に設置された請求項14に記載の電池パック。
【請求項16】
前記第1部分が、ネジ部品により前記側板の1つに固定して接続され、
前記第2部分およびボックス本体が、ネジ部品により固定して接続された請求項12に記載の電池パック。
【請求項17】
前記第1部分が、前記側板に溶接および固定され、
前記第2部分が、前記ボックス本体に溶接および固定された請求項12に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池の技術に関するものであり、特に、固体電池モジュールおよび電池パックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電池モジュールは、筐体と、筐体内に配置されたセルスタック(cell stack)とを含む。セルスタックを支持し、保護するために、通常、筐体の側板、天板、および底板を固定して接続する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
固体電池モジュールにおいて、セルが大きく膨張する可能性があるため、上述した筐体の使用により、筐体の変形やセルの損傷等の問題が生じることがある。そのため、電池の性能に影響を与え、潜在的な安全上の問題が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するため、以下の技術方案を提供する。
【0005】
本発明は、筐体と、筐体内に配置されたセルスタックとを含む固体電池モジュールを提供する。
【0006】
筐体は、以下を含む。
【0007】
互いに向かい合う天板および底板と、
【0008】
天板と底板の間に接続され、互いに向かい合う2つの側板。
【0009】
側板の少なくとも1つは、第1方向において天板および底板に相対して移動することができ、第1方向は、セルスタックの積層方向である。
【0010】
固体電池モジュールの選択的な方案として、天板は、第1方向に延伸する第1スライドレールを備え、側板の少なくとも1つは、第1スライドレールに摺動可能に接続される。
【0011】
底板は、第1方向に延伸する第2スライドレールを備え、側板の少なくとも1つは、第2スライドレールに摺動可能に接続される。
【0012】
固体電池モジュールの選択的な方案として、天板は、複数の第1変形部を含み、第1変形部は、2つの側板の間に配置され、第1変形部は、第1方向において塑性変形を生じさせることができる。
【0013】
底板は、複数の第2変形部を含み、第2変形部は、2つの側板の間に配置され、第2変形部は、第1方向において塑性変形を生じさせることができる。
【0014】
固体電池モジュールの選択的な方案として、第1変形部は、天板に配置された第1凸部または第1凹部である。
【0015】
第2変形部は、底板に配置された第2凸部または第2凹部である。
【0016】
固体電池モジュールの選択的な方案として、第1凸部または第1凹部は、天板の長さ方向に配置される。
【0017】
第2凸部または第2凹部は、底板の長さ方向に配置される。
【0018】
固体電池モジュールの選択的な方案として、第1凸部の長さまたは第1凹部の長さは、天板の長さに等しい。
【0019】
第2凸部の長さまたは第2凹部の長さは、底板の長さに等しい。
【0020】
固体電池モジュールの選択的な方案として、第1凸部または第1凹部は、貫通口(through slot)を備え、貫通口の数は、Nであり、Nは、1より大きいか、それに等しい自然数である。
【0021】
第2凸部または第2凹部は、貫通口を備え、貫通口の数は、Nであり、Nは、1より大きいか、それに等しい自然数である。
【0022】
固体電池モジュールの選択的な方案として、各貫通口は、塑性変形を生じさせることのできる第1調整接続片を備える。第1調整接続片の両端は、第1方向において天板または底板に固定して接続される。
【0023】
固体電池モジュールの選択的な方案として、側板は、接続部を備え、接続部は、電池パックに接続されるよう構成される。
【0024】
本発明は、さらに、以下を含む電池パックを提供する。
【0025】
ボックス本体と、
【0026】
ボックス本体内に配置された上記の固体電池モジュールと、
【0027】
固体電池モジュールの1つの側板とボックス本体の間に接続され、第1方向において塑性変形を生じさせることのできる接続片。
【0028】
固体電池モジュールの選択的な方案として、接続片は、低炭素鋼、アルミニウム合金、またはプラスチックスチールで作られる。
【0029】
固体電池モジュールの選択的な方案として、接続片は、以下を含む。
【0030】
筐体の1つの側板に接続された第1部分と、
【0031】
第1部分の側板から離れた側に設置され、ボックス本体に固定して接続された第2部分と、
【0032】
第1部分と第2部分の間に固定して接続された第3部分。
【0033】
固体電池モジュールの選択的な方案として、第3部分は、斜めに配置される。
【0034】
固体電池モジュールの選択的な方案として、第3部分は、複数の接続分割部(connecting split part)を含み、各接続分割部の2つの端部は、第1部分および第2部分に固定して接続される。
【0035】
2つの隣接する接続分割部の間に間隙が提供される。
【0036】
固体電池モジュールの選択的な方案として、電池パックは、さらに、塑性変形を生じさせることのできる第2調整接続片を備え、第2調整接続片は、第1部分および第2部分に固定して接続され、間隙内に設置される。
【0037】
固体電池モジュールの選択的な方案として、第1部分および側板は、ネジ部品(threaded fastener)により固定して接続される。
【0038】
第2部分およびボックス本体は、ネジ部品により固定して接続される。
【0039】
固体電池モジュールの選択的な方案として、第1部分は、側板に溶接および固定される。
【0040】
第2部分は、ボックス本体に溶接および固定される。
【発明の効果】
【0041】
関連技術と比較して、本発明の有益な効果は、以下を含む。
【0042】
本発明が提供する固体電池モジュールは、筐体内にセルスタックを配置する。さらに、セルが膨張した時、筐体の側板は、セルスタックの積層方向において天板と底板に相対して移動することができる。こうすることによって、内部セルが側板に過大圧力を印加することによって生じる筐体の変形やセルの損傷等の問題を防ぐことができるため、電池の性能および安全性を向上させることができる。
【0043】
本発明が提供する電池パックは、固体電池モジュールの各側板とボックス本体を接続片により接続する。さらに、接続片は、セルスタックの積層方向において塑性変形を生じさせることができる。セルが膨張した時、接続片は、モジュールの構造を損傷せずに、セルの膨張方向においてモジュールの変形を吸収することができる。こうすることによって、接続片の破損の問題が生じにくくなるため、電池モジュールと電池ボックスの間の接続安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
添付図面は、本発明の原理がさらに理解されるために含まれており、本明細書に組み込まれ、且つその一部を構成するものである。図面は、本発明の実施形態を例示しており、説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たしている。
【0045】
【
図1】本発明の1つの実施形態に係る電池モジュールと電池ボックス本体の間の接続関係の概略図である。
【
図3】本発明の1つの実施形態に係る天板および第1調整接続片の拡大図である。
【
図4】本発明の1つの実施形態に係る接続片および第2調整接続片の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明の実施例の目的、技術方案および利点をさらに明確にするために、添付の図面を例として、本発明の実施形態を明確、且つ完全に、詳しく説明する。当然ながら、下記の実施形態は、本発明の実施形態の一部であるが、全てではない。本明細書の図面において説明および例示される本発明の実施形態中の構成要素は、様々な形状によって配置および設計されてもよい。
【0047】
そのため、添付の図面において提供される本発明の実施形態の下記の詳細な説明は、本発明の範囲を限定する意図はなく、単に本発明の選択された実施形態を示しているだけである。本発明の実施形態に基づき、当業者が創造的労働をしない前提で得られる全ての他の実施形態は、いずれも本発明の保護範囲に含まれる。
【0048】
注意すべきこととして、同様の符号と文字は、以下の図面において同様の項目を表している。そのため、ある項目が1つの図面において定義されると、後の図面においてそれをさらに定義および説明する必要はない。
【0049】
注意すべきこととして、本発明の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内側」、「外側」等の用語は、図面に示す方位または位置関係に基づいた方位または位置関係、あるいは本発明の製品が使用時に正常に配置される方位または位置関係を示すものである。上記の用語は、本発明を便利に、または簡単に説明するために使用されるものであり、指定された装置または素子が特定の方位にあり、特定の方位において構成され、操作されることを指示または暗示するものではないため、本発明に対する限定として理解すべきではない。さらに、「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、単に説明を区分するために使用されるものであり、相対的な重要性を指示または暗示するものではない。本発明の説明において、特に指定されていなければ、「複数」は、2つまたは2つ以上を指す。
【0050】
注意すべきこととして、本発明の説明において、特に明確に規定および定義されていなければ、用語「配置」および「接続」は、広い意味を有するものとして理解されるべきである。例えば、これらは、固定された接続、取り外し可能な接続、一体的な接続、機械的な接続、または電気的な接続であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて、本発明における上記の用語の具体的な意味を定義することができる。
【0051】
本発明において、特に明確に規定および定義されていなければ、第1の特徴が第2の特徴の「上」または「下」に配置されることは、第1の特徴と第2の特徴が直接接触することを含んでもよく、またはこれらが直接接触するのではなく、これらの間に他の特徴を介して接触することを含んでもよい。さらに、第1の特徴が第2の特徴の「上」、「上方」、および「上部」に配置されることは、第1の特徴が第2の特徴の直上および斜め上方に配置されることを含んでもよく、または単に第1の特徴が単に第2の特徴より高いレベルにあることを意味してもよい。第1の特徴が第2の特徴の「下」、「下方」、および「以下」に配置されることは、第1の特徴が第2の特徴の直下および斜め下方に配置されることを含んでもよく、または単に第1の特徴が単に第2の特徴より低いレベルにあることを意味してもよい。
【0052】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。実施形態の例を図面に示すが、明細書全体において、同じ、または類似する参照符号は、同じ、または類似する素子、あるいは同じ、または類似する機能を有する素子を示す。以下、添付の図面を参照しながら説明する実施形態は、単に本発明を説明することを意図したものであり、本発明を限定するものと解釈すべきではない。
【0053】
図1~
図4に示すように、本実施形態は、筐体11と、筐体11内に配置されたセルスタック12とを含む固体電池モジュール1を提供する。セルスタック12は、複数のセル121を順番に配置して積み重ねることによって形成された全体であり、具体的には、セル121の大きな表面が互いに隣接して積み重なったセルの集合である。セル121の大きな表面は、セル121の最も大きな表面を有する表面である。筐体11は、天板111、底板112、および2つの側板113を含み、天板111と底板112は、互いに向かい合う。2つの側板113は、天板111と底板112の間に接続され、2つの側板113は、互いに向かい合う。側板113の少なくとも1つは、第1方向において天板111および底板112に相対して移動することができ、第1方向は、セルスタック12の積層方向である。
【0054】
セルスタック12は、筐体11内に配置され、セルが膨張した時、筐体11の側板113は、セルスタック12の積層方向において天板111および底板112に相対して移動することができる。こうすることによって、内部セル121が側板113に過大圧力を印加することによって生じる筐体11の変形やセルの損傷等の問題を防ぐことができるため、電池の性能および安全性が向上する。
【0055】
注意すべきこととして、天板111および底板112の形状および大きさは、同じである。本実施形態において、
図1に示すように、天板111および底板112は、いずれも矩形であり、天板111および底板112の幅方向Kは、セルスタック12の積層方向である。つまり、天板111および底板112の幅方向は、上述した第1方向であり、天板111および底板112の長さ方向は、第1方向に対して垂直である。
【0056】
1つの実施形態において、天板111は、複数の第1変形部を備える。第1変形部は、2つの側板113の間に配置され、第1変形部は、第1方向において塑性変形を生じさせることができるため、天板111の幅寸法を増やすことができる。つまり、セルが膨張した時、2つの側板113をセルスタック12の積層方向において天板111に相対して移動させることができる。そのため、筐体11の変形やセルの損傷等の問題を防ぐことができる。底板112は、複数の第2変形部を含む、第2変形部は、2つの側板113の間に配置され、第2変形部は、第1方向において塑性変形を生じさせることができるため、底板112の幅寸法を増やすことができる。つまり、セルが膨張した時、2つの側板113をセルスタック12の積層方向において底板112に相対して移動させることができる。そのため、筐体11の変形やセルの損傷等の問題を防ぐことができる。
【0057】
1つの実施形態において、第1変形部は、天板111に配置された第1凸部1111または第1凹部であり、第2変形部は、底板112に配置された第2凸部1121または第2凹部である。注意すべきこととして、凸部または凹部を提供することによって、セルが膨張した時、凸部または凹部は、側板113の引っ張り力を受けて、徐々に天板111または底板112と同じ高さになる傾向があり、凸部または凹部がなくなることもある。こうすることによって、2つの側板113の間の距離を増やし、セルの膨張を補償する。
【0058】
本実施形態において、第1変形部は、天板111に提供された第1凸部1111である。さらに、第1凸部1111は、底板112から離れる方向に突出するため、セルに面する天板111の側面が平坦になり、セルと干渉しない。第2変形部は、底板112に提供された第2凸部1121である。さらに、第2凸部1121は、天板111から離れる方向に突出するため、セルに面する底板112の側面が平坦になり、セルと干渉しない。
【0059】
1つの実施形態において、第1凸部1111または第1凹部は、天板111の長さ方向に延伸し、第2凸部1121または第2凹部は、底板112の長さ方向に延伸する。こうすることによって、第1凸部1111または第1凹部および第2凸部1121または第2凹部は、セルの膨張力の作用の下で、容易に塑性変形を生じさせることができる。
【0060】
1つの実施形態において、第1凸部1111の長さまたは第1凹部の長さは、天板111の長さに等しく、第2凸部1121の長さまたは第2凹部の長さは、底板112の長さに等しい。こうすることによって、天板111の幅および底板112の幅を全体的に増やすことができ、天板111および底板112を膨張したセルに合わせることができるため、セルの性能に影響を与えない。
【0061】
1つの実施形態において、第1凸部1111または第1凹部は、貫通口を備え、および/または第2凸部1121または第2凹部は、貫通口を備え、貫通口の数は、Nであり、Nは、1より大きいか、それに等しい自然数である。貫通口を配置することにより、第1凸部1111または第1凹部および第2凸部1121または第2凹部の変形量および速度をセルの膨張量および速度に上手く合わせるよう調整することができる。
【0062】
本実施形態において、第1凸部1111および第2凸部1121は、いずれも貫通口を備える。説明を便利にするため、第1凸部1111に提供された貫通口を第1貫通口1112で示し、第2凸部1121に提供された貫通口を第2貫通口1122で示す。具体的に説明すると、2つの第1凸部1111を提供し、2つの第1凸部1111は、幅方向において天板111の両端に提供される。各第1凸部1111は、複数の第1貫通口1112を備えるため、セルが膨張した時、側板113は、第1凸部1111を急速に塑性変形させることができる。2つの第2凸部1121を提供し、2つの第2凸部1121は、幅方向において底板112の両端に提供される。各第2凸部1121は、複数の第2貫通口1122を備えるため、セルが膨張した時、側板113は、第2凸部1121を急速に塑性変形させることができる。
【0063】
1つの実施形態において、
図1および
図2と合わせて、
図3に示すように、1つの貫通口に塑性変形させることのできる第1調整接続片114が提供され、第1調整接続片114の両端は、第1方向において天板111または底板112に提供される。第1調整接続片を配置することにより、第1凸部1111または第1凹部および第2凸部1121または第2凹部の強度を向上させることができるため、第1凸部1111または第1凹部および第2凸部1121または第2凹部の変形量および速度を調整することができる。
【0064】
別の実施形態において、天板111は、第1方向に延伸する第1スライドレールを備え、側板113の少なくとも1つは、第1スライドレールに摺動可能に接続される。底板112は、第1方向に延伸する第2スライドレールを備え、側板113の少なくとも1つは、第2スライドレールに摺動可能に接続される。この配置により、側板113をセルスタック12の積層方向において天板111および底板112に相対して移動させる目的を達成することもできる。
【0065】
1つの実施形態において、各側板113は、接続部1131を備える。接続部1131は、電池パックに接続されるよう構成されるため、側板を直接電池パックに接続する形式と比較して、側板113が変形または損傷するのを防ぐことができる。
【0066】
本実施形態は、さらに、電池パックを提供する。
図1~
図2に示すように、電池パックは、上述したように、ボックス本体2、接続片3、および固体電池モジュール1を含み、電池モジュールは、ボックス本体2内に配置される。接続片3は、固体電池モジュール1の1つの側板113とボックス本体2の間に接続され、接続片3は、第1方向において塑性変形を生じさせることができる。
【0067】
固体電池モジュール1の1つの側板113とボックス本体2は、接続片3により接続され、接続片3は、セルスタック12の積層方向において塑性変形を生じさせることができる。セルが膨張した時、接続片3は、モジュールの構造を損傷せずに、セル121の膨張方向において固体電池モジュール1の変形を吸収することができる。こうすることによって、接続片3の破損の問題が生じにくくなるため、電池モジュールと電池ボックス2の間の接続安定性を向上させることができる。
【0068】
1つの実施形態において、接続片3は、低炭素鋼、アルミニウム合金、またはプラスチックスチールで作られる。当然のことながら、接続片3は、より高い可塑性を有する他の鋼材で作られてもよく、より優れた可塑性を有する他の金属または非金属材料を使用してもよいため、ここでは限定しない。
【0069】
本実施形態において、接続片3は、塑性変形の要求を満たすだけでなく、必要な強度も有する低炭素鋼で作られるため、筐体11とボックス本体2の間の接続の安定性が保証される。
【0070】
1つの実施形態において、接続片3は、第1部分31、第2部分32、および第3部分33を含む。第1部分31は、筐体11の1つの側板113に接続される。第2部分32は、第1部分31の側板113から離れた側に設置され、ボックス本体2に固定して接続される。第3部分33は、第1部分31と第2部分32の間に固定して接続される。こうすることによって、第1部分31と第2部分32が互いに相対して移動するため、接続片3は、塑性変形を生じさせる。
【0071】
1つの実施形態において、第3部分は、斜めに配置されるため、第3部分33は、ある程度まで第1部分31および第2部分32を支持することができ、第1部分31と第2部分32の相対移動も容易にすることができる。こうすることによって、接続片3は、塑性変形を生じさせる。
【0072】
1つの実施形態において、第3部分33は、複数の接続分割部331を含み、各接続分割部331の2つの端部は、第1部分31および第2部分32に固定して接続される。2つの隣接する接続分割部331の間に間隙332が提供される。このような配置により、接続片3の変形量および速度をセルの膨張量および速度に合わせるよう調整することができる。
【0073】
1つの実施形態において、
図1および
図2と合わせて、
図4に示すように、電池パックは、さらに、塑性変形を生じさせることのできる第2調整接続片4を備え、第2調整接続片4は、第1部分31および第2部分32に固定して接続され、間隙332内に設置される。第2調整接続片を配置することにより、第3部分33の強度が向上するため、接続片3の変形量および速度を調整することができる。
【0074】
1つの実施形態において、第1部分31および側板113は、ネジ部品により固定して接続される。こうすることによって、分解組立および後続のメンテナンスを便利に行うことができる。第2部分32およびボックス本体2は、ネジ部品により固定して接続される。こうすることによって、分解組立および後続のメンテナンスを便利に行うことができる。
【0075】
本実施形態において、第1部分31および接続部1131は、ボルトにより固定して接続され、第2部分およびボックス本体2の横ビームまたは縦ビーム21は、ボルトにより固定して接続されるため、分解組立を便利に行うことができ、優れた接続安定性が提供される。
【0076】
別の実施形態において、第1部分31および側板113を溶接および固定する配置にして、接続安定性を向上させてもよく、第2部分をボックス本体2に溶接および固定して、接続安定性を向上させてもよい。
【0077】
注意すべきこととして、上記は、本発明の好ましい実施形態および使用された技術的原理の説明に過ぎない。当業者であれば理解できるように、本発明は、上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の保護範囲から逸脱しない範囲で、当業者によって各種明らかな変更、再調整、および置換を行うことができる。そのため、上記の実施形態により本発明を詳細に説明したが、本発明の構想から逸脱しない範囲で、他の同等な実施形態も含むことができる。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を基準として定められるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0078】
セルの膨張によって生じる変形やセルの損傷の問題を解決することのできる固体電池モジュールおよび電池パックを提供する。
【符号の説明】
【0079】
1 固体電池モジュール
11 筐体
111 天板
1111 第1凸部
1112 貫通口
112 底板
1121 第2凸部
1122 貫通口
113 側板
1131 接続部
114 第1調整接続片
12 セルスタック
121 セル
2 ボックス本体
21 縦ビーム
3 接続片
31 第1部分
32 第2部分
33 第3部分
331 接続分割部
332 間隙
4 第2調整接続片
【外国語明細書】