(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178204
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】基礎用気密粘着テープ
(51)【国際特許分類】
E04B 1/64 20060101AFI20231207BHJP
E04B 1/76 20060101ALI20231207BHJP
C09J 7/26 20180101ALI20231207BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20231207BHJP
C09J 133/00 20060101ALN20231207BHJP
C09J 123/22 20060101ALN20231207BHJP
C09J 153/02 20060101ALN20231207BHJP
【FI】
E04B1/64 A
E04B1/76 500Z
C09J7/26
C09J7/38
C09J133/00
C09J123/22
C09J153/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055278
(22)【出願日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】P 2022091122
(32)【優先日】2022-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122297
【弁理士】
【氏名又は名称】西下 正石
(72)【発明者】
【氏名】立花 瑞希
【テーマコード(参考)】
2E001
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
2E001DD01
2E001DD02
2E001EA09
2E001FA21
2E001GA24
2E001HD11
2E001JD08
2E001LA04
2E001MA02
4J004AA05
4J004AA10
4J004AB01
4J004CA04
4J004CB04
4J004CE03
4J004FA07
4J040DA141
4J040DF001
4J040DM011
4J040JA09
4J040JB09
4J040NA12
(57)【要約】
【課題】土台の側面及び下面における封止性能に優れ、設置位置を簡単に調節することができる基礎用気密部材を提供すること。
【解決手段】表面、裏面、及び対向する2つの側辺部を有する帯状及び気密性の弾性シートと、弾性シートの一方の側辺部から弾性シートの内側方向に離れた、側辺部に平行な、仮想L字折り返し線と、弾性シートの表面の一方の側辺部から仮想L字折り返し線までの領域に形成された、帯状の粘着層とを有し、弾性シートの表面及び裏面のその他の領域には粘着層を有しない、基礎用気密粘着テープ。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面、裏面、及び対向する2つの側辺部を有する帯状及び気密性の弾性シートと、
弾性シートに粘着層を有する部分と有さない部分を有し、
弾性シートの一方の側辺部から他方の側辺部に向かって、一方の側辺部から他方の側辺部までの距離の一部の領域に粘着層を有する基礎用気密粘着テープ。
【請求項2】
一方の側辺部から他方の側辺部までの間で粘着層を有さない部分の距離が、土台の幅と実質的に同一である、請求項1に記載の基礎用気密粘着テープ。
【請求項3】
一方の側辺部から他方の側辺部までの間で粘着層を有さない部分の距離が90mmから410mmである、請求項1に記載の基礎用気密粘着テープ。
【請求項4】
表面、裏面、及び対向する2つの並行な側辺部を有する帯状及び気密性の弾性シートと、
弾性シートの一方の側辺部から弾性シートの内側方向に離れた、側辺部に平行な、仮想L字折り返し線と、
弾性シートの表面の一方の側辺部から仮想L字折り返し線までの領域に形成された、側辺部に平行な、帯状の粘着層とを有し、
弾性シートの表面及び裏面のその他の領域には粘着層を有しない、仮想L字折り返し線に沿ってL字状に折り曲げ可能な基礎用気密粘着テープ。
【請求項5】
弾性シートの粘着層が形成されていない方の側辺部から粘着層までの領域に形成された、規則的な間隔で側辺部と平行に整列した複数のアンカーボルト貫通用の孔の列を有し、該アンカーボルト貫通用の孔はスリットの形状を有する、請求項1又は4に記載の基礎用気密粘着テープ。
【請求項6】
1~5列の前記アンカーボルト貫通用の孔の列を有する、請求項1又は4に記載の基礎用気密粘着テープ。
【請求項7】
前記弾性シートは弾性樹脂発泡体から成るものである、請求項1又は4に記載の基礎用気密粘着テープ。
【請求項8】
前記弾性シートは室温下で、JIS K 6253に準拠して測定された4以上41以下の範囲のデュロメータE硬度を有するものである、請求項1又は4に記載の基礎用気密粘着テープ。
【請求項9】
前記弾性シートは室温下で、JIS Z 0208:1976に準拠して測定された32g/m2・24h以下の透湿度を有するものである、請求項1又は4に記載の基礎用気密粘着テープ。
【請求項10】
前記弾性シートは2mm以上30mm以下の範囲の厚みを有するものである、請求項1又は4に記載の基礎用気密粘着テープ。
【請求項11】
前記弾性樹脂発泡体からなる弾性シートは室温下で、JIS K 6767に準拠して測定された10kPa以上200kPa以下の50%圧縮応力を有するものである、請求項7に記載の基礎用気密粘着テープ。
【請求項12】
前記弾性樹脂はエチレン-プロピレン-ジエンゴム又はポリエチレンを含むものである、請求項7に記載の基礎用気密粘着テープ。
【請求項13】
前記粘着層は、アクリル系又はゴム系粘着剤を含むものである、請求項1又は4に記載の基礎用気密粘着テープ。
【請求項14】
前記粘着層は、5mm以上100mm以下の範囲の幅寸法を有する、請求項1又は4に記載の基礎用気密粘着テープ。
【請求項15】
請求項1又は4に記載の基礎用気密粘着テープの弾性シートを、基礎の上面と土台の下面との間に、弾性シートの表面の粘着層が形成されていない方の側辺部から仮想L字折り返し線までの部分が土台の下面に接するように、配置する工程;
弾性シートの粘着層が形成されている方の側辺部から仮想L字折り返し線までの部分を仮想L字折り返し線に沿って粘着層が内側になる方向に折り返して、土台の側面に粘着層を結合させる工程;及び
土台の側面上に結合された前記基礎用気密粘着テープの弾性シートに接するように、壁部材を設置する工程;
を包含する、木造建築物の気密防湿工法。
【請求項16】
請求項1又は4に記載の基礎用気密粘着テープを用いた建築物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は木造建築物の基礎周りの工事に使用する気密部材に関し、詳しくは、基礎断熱工法における基礎と土台間の隙間を封止する基礎用気密粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、木造建築物の基礎周りを中心にした構造の一例を示す断面図である。
図1から理解される通り、木造建築物は、例えば、地中乃至地面11に、鉄筋コンクリート等で、所定の間隔をもってアンカーボルト14が埋め込まれた、基礎12を形成し、基礎12の上に木材の土台13を積み、土台13は基礎の上に突出しているアンカーボルト14に固定し、土台13の上面に柱15を立て、土台13及び柱15の屋外B側の側面に外壁16を取り付けて、建築される。屋内A側には、床17などが形成される。
【0003】
木造住宅建築において、基礎断熱工法とは、基礎のコンクリート自体を断熱材で覆い、外の熱気・冷気が室内温度に影響するのを防ぐ工法である。基礎断熱の場合、床下空間も室内空間として考えるため、床下空間に外気が入ってしまうと、室内温度に影響する。そこで、外気が屋内に侵入しないように、建築物の基礎と土台間の隙間又は外壁と側面間の隙間を封止して、気密をとる措置が行われる。
【0004】
特許文献1には、基礎の上面と土台の下面の間に挟む粘着剤付き発泡シート105と、粘着剤付き発泡シートの外壁側の側辺部にT字型に結合された粘着剤付き封止シート115とを、有する基礎用気密部材100が記載されている。特許文献1の基礎用気密部材100では、粘着剤付き封止シート115が、基礎と土台との境界部に沿って、両者の側面をまたいで結合することで、基礎と土台の間を封止する(FIG.1、FIG.2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方で、基礎は、上面及び側面に凹凸を有し、ここに前記粘着剤付き発泡シート105及び粘着剤付き封止シート115貼着した場合には、発泡シート105が波打ち、粘着剤付きシート115は歪み、シワが生じる。粘着剤付き封止シート115のシワの部分は被着面である基礎又は土台の側面から浮くので、浮いた部分から建物内に外気が入り、十分に気密をとることが困難という問題がある。
【0007】
また、基礎の上に設置する際に、粘着剤付き発泡シート105は、粘着剤によって基礎の上面に結合することから、一旦設置した基礎用気密部材100は動かしにくく、粘着剤付き発泡シート105にシワが生じないように、粘着剤付き発泡シート105の配置を調節することが困難という問題もある。
【0008】
本発明は上記問題を解決するものであり、その目的とするところは、土台の側面及び下面を同時に封止することができ、設置位置を簡単に調節することができる基礎用気密粘着テープを提供することにある。
【0009】
本発明の更なる目的は、所定の間隔にてアンカーボルトが突出している基礎の上に、優れた位置精度で簡単に設置することができる、基礎用気密粘着テープを提供することにある。
【0010】
本発明の更なる目的は、気密性能に優れた基礎用気密粘着テープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施形態を以下に記載する。
[形態1]
表面、裏面、及び対向する2つの側辺部を有する帯状及び気密性の弾性シートと、弾性シートに粘着層を有する部分と有さない部分を有し、弾性シートの一方の側辺部から他方の側辺部に向かって、一方の側辺部から他方の側辺部までの距離の一部の領域に粘着層を有する基礎用気密粘着テープ。
【0012】
[形態2]
一方の側辺部から他方の側辺部までの間で粘着層を有さない部分の距離が、土台の幅と実質的に同一である、形態1の基礎用気密粘着テープ。
【0013】
[形態3]
一方の側辺部から他方の側辺部までの間で粘着層を有さない部分の距離が90mmから410mmである、形態1又は2の基礎用気密粘着テープ。
【0014】
[形態4]
表面、裏面、及び対向する2つの並行な側辺部を有する帯状及び気密性の弾性シートと、弾性シートの一方の側辺部から弾性シートの内側方向に離れた、側辺部に平行な、仮想L字折り返し線と、弾性シートの表面の一方の側辺部から仮想L字折り返し線までの領域に形成された、側辺部に平行な、帯状の粘着層とを有し、弾性シートの表面及び裏面のその他の領域には粘着層を有しない、基礎用気密粘着テープ。
【0015】
[形態5]
弾性シートの粘着層が形成されていない方の側辺部から粘着層までの領域に形成された、規則的な間隔で側辺部と平行に整列した複数のアンカーボルト貫通用の孔の列を有し、該アンカーボルト貫通用の孔はスリットの形状を有する、形態1~4のいずれか一つの基礎用気密粘着テープ。
【0016】
[形態6]
1~5列の前記アンカーボルト貫通用の孔の列を有する、形態5の基礎用気密粘着テープ。
【0017】
[形態7]
前記弾性シートは弾性樹脂発泡体から成るものである、形態1~6のいずれか一つの基礎用気密粘着テープ。
【0018】
[形態8]
前記弾性シートは室温下で、4以上41以下の範囲のデュロメータE硬度を有するものである、形態1~7のいずれか一つの基礎用気密粘着テープ。
【0019】
[形態9]
前記弾性シートは室温下で、JIS Z 0208:1976に準拠して測定された32g/m2・24h以下の透湿度を有するものである、形態1~8のいずれか一つの基礎用気密粘着テープ。
【0020】
[形態10]
前記弾性シートは2mm以上30mm以下の範囲の厚みを有するものである、形態1~9のいずれか一つの基礎用気密粘着テープ。
【0021】
[形態11]
前記弾性樹脂発泡体から成る弾性シートは室温下で、JIS K 6767に準拠して測定された10kPa以上200kPa以下の50%圧縮応力を有するものである、形態7の基礎用気密粘着テープ。
【0022】
[形態12]
前記弾性樹脂はエチレン-プロピレン-ジエンゴム又はポリエチレンを含むものである、形態7~11のいずれか一つの基礎用気密粘着テープ。
【0023】
[形態13]
前記粘着層は、アクリル系又はゴム系粘着剤を含むものである、形態1~12のいずれか一つの基礎用気密粘着テープ。
【0024】
[形態14]
前記粘着層は、5mm以上100mm以下の範囲の幅寸法を有する、形態1~13のいずれか一つの基礎用気密粘着テープ。
【0025】
[形態15]
形態1~14のいずれか一つの基礎用気密粘着テープの弾性シートを、基礎の上面と土台の下面との間に、弾性シートの表面の粘着層が形成されていない方の側辺部から仮想L字折り返し線までの部分が土台の下面に接するように、配置する工程;
弾性シートの粘着層が形成されている方の側辺部から仮想L字折り返し線までの部分を仮想L字折り返し線に沿って粘着層が内側になる方向に折り返して、土台の側面に粘着層を結合させる工程;及び
土台の側面上に結合された前記基礎用気密粘着テープの弾性シートに接するように、壁部材を設置する工程;
を包含する、木造建築物の気密防湿工法。
[形態16]
形態項1~14のいずれか一つの基礎用気密粘着テープを用いた建築物。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、土台の側面及び下面を同時に封止することができ、設置位置を簡単に調節することができる基礎用気密粘着テープが提供される。更にこの基礎用気密粘着テープを用いた建築物を提供することができる。
【0027】
ある一形態において、本発明の基礎用気密粘着テープは、所定の間隔にてアンカーボルトが突出している基礎の上に、優れた位置精度で簡単に設置することができるものである。
【0028】
ある一形態において、本発明の基礎用気密粘着テープは、気密性能に優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】木造建築物の基礎周りを中心にした構造の一例を示す断面図である。
【
図2】本発明の基礎用気密粘着テープの構成の一例を示す斜視図である。
【
図3】本発明の基礎用気密粘着テープの構成の他の例を示す斜視図である。
【
図4】本発明の基礎用気密粘着テープを使用する木造建築物の気密防湿工法の一例を示す斜視図である。
【
図5A】本発明の基礎用気密粘着テープに使用した樹脂発泡体シートの気密性試験に供する試験体を作成する方法を説明するための平面図と断面図である。(a)は第1の工程を示し、(b)は第2の工程を示す。
【
図5B】本発明の基礎用気密粘着テープに使用した樹脂発泡体シートの気密性試験に供する試験体を作成する方法を説明するための平面図と断面図である。(c)は第3の工程を示し、(d)は第4の工程を示す。
【
図5C】本発明の基礎用気密粘着テープに使用した樹脂発泡体シートの気密性試験に供する試験体を作成する方法を説明するための平面図と断面図である。(e)は第5の工程を示し、(f)は第6の工程を示す。
【
図6】本発明の基礎用気密粘着テープに使用した樹脂発泡体シートの気密性試験の方法を説明するための概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本明細書において、基礎用気密粘着テープとは、外気が屋内に侵入しないように、建築物の基礎と土台間の隙間および又は外壁と側面間の隙間を封止して、気密をとるために使用する粘着テープをいう。本発明の基礎用気密粘着テープは、その設置により、基礎と土台間の隙間、および該隙間の外壁側の端部から垂直に立ち上がる外壁と土台側面間の隙間によって形成されるL字型の隙間を同時に封止できるように、粘着テープの側辺部に平行な所定のラインに沿ってL字型に折り曲げ可能な構成を有しており、粘着層により土台側面にのみ接着固定される。基礎用気密粘着テープの形状は、例えば、平坦なシート状であっても、巻き上げられたロール状でもよい。
【0031】
<基礎用気密粘着テープ>
図2は、本発明の基礎用気密粘着テープの構成の一例を示す斜視図である。
図2の基礎用気密粘着テープ20は、帯状の弾性シート21と、弾性シート21の表面上に形成された帯状の粘着層22と、弾性シートの側辺部に平行な仮想L字折り返し線23とを有する。粘着層22の表面には、粘着層が被着物に結合される時までその表面を保護するための剥離シート(非表示)が積層されている。
図2に示されている基礎用気密粘着テープ20は、巻き上げられたロールからテープの一部が引き出された状態にある。
【0032】
<弾性シート>
弾性シート21は表面、裏面、及び対向する2つの側辺部を有し、粘着層を有する部分と有さない部分を有する。弾性シートの一方の側辺部から他方の側辺部に向かって、一方の側辺部から他方の側辺部までの距離の一部の領域に粘着層を有する。弾性シートの一方の側辺部から他方の側辺部までの間で粘着層を有さない部分の距離は、土台の幅と実質的に同一である。また、一方の側辺部から他方の側辺部までの間で粘着層を有さない部分の距離が90mmから410mmの範囲である。
【0033】
弾性シート21は、表面、裏面及び対向する2つの平行な側辺部を有している。仮想L字折り返し線23は、弾性シートの一方の側辺部から弾性シートの内側方向に離れた位置に存在している。
【0034】
弾性シート21のうち、
図2に示した手前側の側辺部から仮想L字折り返し線23までの部分は、基礎用気密粘着テープ20が使用される際に、基礎の上面と土台の下面の間に挟まれる下敷き部24である。また、仮想L字折り返し線23から
図2に示した向こう側の側辺部までの部分は、折り返して土台の側面に結合される折り返し部25である。
【0035】
下敷き部24の表面及び裏面には粘着層は存在しない。そのことで、基礎用気密粘着テープを基礎の上に設置する際に、弾性シート21は、基礎の上面に結合せず、例えば、気密を最適化できる配置を考慮して、設置位置を簡単に調節することができる。弾性シート21は、仮想L字折り返し線23に沿って、粘着層22が内側になる方向に、略垂直に折り返されて、粘着層22により土台の側面に結合されることにより、L字型の形態となる。折り返し部25の裏面には、通常、粘着層は形成されていないが、必要に応じて、粘着層を形成してもよい。
【0036】
弾性シート21の寸法は、使用される土台の寸法を考慮して、調節される。弾性シート21の寸法は、基礎用気密部材の封止機能が奏される程度に土台の寸法に整合していれば足りる。弾性シート21の幅aは、下敷き部24の幅bと折り返し部25の幅cとの合計である。下敷き部24の幅bは、好ましくは、土台の幅と実質的に同一である。一例として、2×4工法では約90mm、2×6工法では約140mm、2×8工法では約184mmとなる。折り返し部25の幅cは、好ましくは、土台の高さと実質的に同一である。
【0037】
ある一形態において、弾性シート21の幅aは100mm以上500mm以下、好ましくは150mm以上300mm以下、より好ましくは224mm以上250mm以下の範囲である。また、ある一形態において、折り返し部25の幅cは10mm以上90mm以下、好ましくは20mm以上70mm以下、より好ましくは30mm以上50mm以下の範囲である。下敷き部24の幅cは90mm以上410mm以下の範囲である。
【0038】
弾性シート21の厚さは、基礎の上面の凹凸の程度に依存して適宜決定されるが、一般に2mm以上30mm以下、好ましくは3mm以上15mm以下、より好ましくは4mm以上10mm以下の範囲である。弾性シート21の厚さが2mm未満であると基礎の上面の凹凸に対する追随性が不十分になり、30mmを超えると基礎用気密粘着テープの重量が大きくなり好ましくない。また、折り返し部25を折り返すことやロール状に巻きあげることが困難となるおそれがある。
【0039】
図3は、本発明の基礎用気密粘着テープ20の構成の他の例を示す斜視図である。
図3の基礎用気密粘着テープ20は、弾性シート21の下敷き部24にアンカーボルトを貫通させるための孔(以下、「アンカーボルト貫通用の孔」と称する場合がある。)の列26を有する。アンカーボルト貫通用の孔の列26は3本形成されており、側辺部と平行に整列している。アンカーボルト貫通用の孔の列26の間隔は、一般に、規則的である。その他の構成は、
図2に示した基礎用気密粘着テープと同様である。下敷き部24がアンカーボルト貫通用の孔の列26を有することで、施工現場で穴開け加工を行う必要なく、基礎の上面から突出しているアンカーボルトを、貫通させることができる。
【0040】
アンカーボルト貫通用の孔の形状は、好ましくは、スリット状である。そのことで、設置する際に幅方向に横ずれが生じるのを防止することができ、基礎用気密粘着テープの設置位置の精度が向上する。アンカーボルト貫通用の孔の列26の構造は、複数のスリットが、基礎に埋め込まれたアンカーボルトの設置位置に整合する間隔で、直線に沿って配置されたもの、即ち、ミシン目状になる。ある好ましい一形態において、一つのスリットの長さは10mm以上50mm以下、好ましくは20mm以上40mm以下の範囲、より好ましくは30mmである。また、ある好ましい一形態において、隣接するスリットの間隔は3mm以上30mm以下、好ましくは5mm以上15mm以下の範囲、より好ましくは10mmである。
【0041】
アンカーボルト貫通用の孔の列26の本数は、必要に応じて増減することができる。アンカーボルト貫通孔の列26の本数は1本であってよい。しかしながら、アンカーボルト貫通用の孔の列26を複数本形成した場合には、一枚で複数の土台のサイズに対応することができるため、好ましい。アンカーボルト貫通用の孔の列26の本数は、好ましくは2本以上5本以下の範囲、より好ましくは3本である。
【0042】
アンカーボルト貫通用の孔の列26の形成位置は、仮想L字折り返し線13からいずれか列までの距離d、e又はfが、土台の外壁側の側面からアンカーボルトの設置位置までの距離とほぼ同一になる位置である。ある好ましい一形態において、距離dは44.5mmであり、距離eは70mmであり、距離fは92mmであり、距離gは92mmである。このことで、アンカーボルト貫通用の孔の列26は、2×4工法、2×6工法、及び2×8工法のそれぞれの工法に対応して用いられる土台のアンカーボルトの設置位置に整合することができる。
【0043】
弾性シート21は、好ましくは、弾性樹脂発泡体から成るものを使用する。弾性樹脂発泡体シートは軽量であり、基礎の上面の凹凸に対する追随性に優れ、隙間を塞ぐ機能に優れている。弾性樹脂発泡体シートとしては、独立気泡発泡体シート、半連続気泡発泡体シートおよび連続気泡発泡体シートが挙げられるが、好ましくは、独立気泡発泡体シートである。独立気泡発泡体シートは、優れた気密性と防水性を示す。
【0044】
(弾性樹脂発泡体シート)
弾性樹脂発泡体シートは、特に限定されないが、例えば、好ましくは、4以上41以下の範囲のデュロメータE硬度を有する。弾性樹脂発泡体シートのデュロメータ硬度Eが4未満である場合、弾性樹脂発泡体自体の反発弾性力が低すぎて、土台の側面及び下面における封止性が不十分となるおそれがある。一方、デュロメータ硬度Eが41を超える場合、基礎の上面の凹凸に対する追随性が不十分になるおそれがある。すなわち、デュロメータ硬度Eが上記範囲外である場合、木造建築物の気密性・防水性が悪くなるおそれがある。また、樹脂弾性発泡体シートの硬度が高すぎると、折り返し部25を折り返すこと、又はこれを折り返した状態に維持することが困難になる。弾性樹脂発泡体シートのデュロメータ硬度Eは、好ましくは8以上30以下、より好ましくは9以上28以下の範囲である。弾性樹脂発泡体シートのデュロメータ硬度Eは、JIS規格(JIS K 6253)に定められた条件により測定することができる。
【0045】
また、弾性樹脂発泡体シートは、好ましくは、32g/m2・24h以下の透湿度を有する。弾性樹脂発泡体シートの透湿度が32g/m2・24hを超える場合、弾性樹脂発泡体シートの防湿性能が劣るため、経年で基礎から放出される湿気の土台への移行を十分に抑制できず、土台が徐々に腐食される場合がある。その結果、木造建築物の気密性・防水性の悪化に繋がるおそれがある。弾性樹脂発泡体シートの透湿度は、その値が小さければ小さいほど良いが、例えば、好ましく16g/m2・24h以下、より好ましくは3g/m2・24h以下である。弾性樹脂発泡体シートの透湿度は、JIS規格(JIS Z 0208:1976)に定められた条件により測定することができる。
【0046】
弾性樹脂発泡体シート21は、一般に、オレフィン系樹脂やゴム系樹脂を発泡させたものを使用する。具体的には、まず、オレフィン系樹脂やゴム系樹脂と、発泡剤とを混練することにより得られた発泡性樹脂組成物をシート状に成形することにより発泡性樹脂シートを準備し、次いで電離放射線等により架橋した後、加熱炉に通して発泡させる方法により製造した独立気泡発泡体シートを使用することが好ましい。
【0047】
上記弾性シート21に好適に用いられる弾性樹脂発泡体シートとしては、独立気泡率が70%以上(例えば70%以上100%以下)であれば特に制限されないが、気密性・防水性、弾力性および加工性の観点から、ポリオレフィン系樹脂やゴム系樹脂を発泡させた独立気泡発泡体シートであることが好ましく、ポリオレフィン系樹脂を発泡させた独立気泡発泡体シートであることがより好ましい。
【0048】
上記独立気泡率は、弾性樹脂発泡体シート中に存在する全気泡(気泡構造)のうち、独立気泡の割合を表す指標となる値である。「独立気泡」とは壁(弾性樹脂の壁)によって囲まれ、他の気泡とは連結されていない気泡をいう。上記弾性樹脂発泡体シートの独立気泡率の値が大きいほど、弾性樹脂発泡体シート中に存在する気泡の中でも独立気泡の割合が高いことを示し、このような場合、該弾性樹脂発泡体シートには、大気や湿気・水が浸入しにくくなるため、高い気密性・防水性を発揮できる。上記独立気泡率は、好ましくは80%以上100%以下の範囲、より好ましくは90%以上100%以下の範囲である。
【0049】
上記弾性樹脂発泡体シートの独立気泡率は、その測定方法は特に限定されないが、例えば、ASTM D2856(1998)に準拠して測定できる。具体的には、まず、弾性樹脂発泡体シートから一辺が5cmの平面正方形状でかつ一定厚さの試験片を切り出す。そして、上記試験片の厚さを測定して試験片の見掛け体積V1(cm3)を算出するとともに、試験片の重量W1(g)を測定する。次に、上記験片の、気泡が占める見掛け体積V2を下記式に基づいて算出する。なお、上記試験片を構成する樹脂の密度はρ(g/cm3)とする。
【0050】
気泡の占める見掛け体積V2=V1-(W1/ρ)
【0051】
続いて、上記試験片を23℃の蒸留水中に水面から100mmの深さに沈めて、上記試験片に15kPaの圧力を3分間に亘って加える。その後、上記試験片を水中から取り出して試験片の表面に付着した水分を除去して該試験片の重量W2(g)を測定し、下記式に基づいて独立気泡率を算出する。
【0052】
独立気泡率(%)=100-{100×(W2-W1)/V2}
【0053】
また、上記弾性樹脂発泡体シートの50%圧縮応力は、特に限定されないが、例えば、10kPa以上200kPa以下の範囲であることが好ましい。弾性樹脂発泡体シートの50%圧縮応力が10kPa未満である場合、弾性樹脂発泡体自体の反発弾性力が低すぎて、土台の側面及び下面における封止性が不十分となるおそれがある。一方、50%圧縮応力が200kPaを超える場合、基礎の上面の凹凸に対する追随性が不十分になるおそれがある。すなわち、50%圧縮応力が上記範囲外である場合、木造建築物の気密性・防水性が悪くなるおそれがある。また、樹脂弾性発泡体シートの50%圧縮応力が大きすぎると、折り返し部25を折り返すこと、又はこれを折り返した状態に維持することが困難になるおそれがある。弾性樹脂発泡体シートの50%圧縮応力は、好ましくは14kPa以上160kPa以下、より好ましくは40kPa以上120kPa以下の範囲である。弾性樹脂発泡体シートの50%圧縮応力は、JIS規格(JIS K 6767)に定められた条件により測定することができる。
【0054】
上述のポリオレフィン系樹脂を発泡させた独立気泡発泡体シートの原料樹脂となるポリオレフィン系樹脂としては、公知乃至慣用のポリオレフィン系樹脂を用いることができ、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、プロピレン-エチレンブロック共重合体、エチレンを主成分とするエチレン-α-オレフィン共重合体、ポリプロピレン系樹脂、プロピレンを主成分とするプロピレン-α-オレフィン共重合体、プロピレンを主成分とするエチレン-プロピレン-ブテン三元共重合体、ポリブテン及びポリメチルペンテンから選ばれる1種以上が好ましい。これらは、単独でもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、上記ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂が好ましく、防水性の観点から、より好ましくはポリエチレン系樹脂である。
【0055】
上記ポリエチレン系樹脂としては、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレンを主成分とするエチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレンを主成分とするエチレン-エチルアクリレート共重合体等が挙げられる。これらの中でも、防水性を向上させる観点から、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンが好ましく、低密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンを混合して用いることが好ましい。
【0056】
上記エチレン-α-オレフィン共重合体を構成するα-オレフィンとしては、具体的には、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン等が挙げられる。
【0057】
また、上述のゴム系樹脂を発泡させた独立気泡発泡体シートの原料樹脂となるゴム系樹脂としては、公知乃至慣用のゴム系樹脂を用いることができ、特に限定されないが、例えば、クロロプレンゴム(CR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、天然ゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、スチレン-ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、ウレタンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、及びシリコーンゴム等が挙げられる。これらは、単独でもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、耐久性および各物性のバランス性能の観点から、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)が好ましい。
【0058】
上記のポリオレフィン系樹脂やゴム系樹脂を加熱発泡させる際に使用する発泡剤としては、熱により分解してガスを発生する熱分解型発泡剤や揮発性発泡剤等が好適に用いられる。上記熱分解型発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等が挙げられる。上記揮発性発泡剤としてはプロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン等の炭化水素類が挙げられる。これらは、単独でもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0059】
上記発泡剤の配合量は、ポリオレフィン系樹脂やゴム系樹脂等の弾性樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上30質量部以下の範囲、より好ましくは3質量部以上25質量部以下の範囲、さらに好ましくは5質量部以上20質量部以下の範囲である。上記発泡剤の配合量が1質量部未満である場合、発泡倍率が上がらず見掛け密度が大きくなるため、発泡体シートの反発力が高くなるおそれがある。一方、上記発泡剤の配合量が30質量部を超える場合、見掛け密度の低下により圧縮永久歪みが大きくなり、発泡体シートの形状回復性が低下し、結果として長期間にわたる気密性、防水性を維持することが困難となるおそれがある。
【0060】
上記独立気泡発泡体シートは、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、粘着付与樹脂、難燃剤、酸化防止剤、充填剤、着色剤、顔料、防カビ剤、発泡助剤、滑剤、不活性化剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤および界面活性剤等が挙げられる。また、上記独立気泡発泡体を架橋させる場合には、有機過酸化物等の架橋剤や硫黄または硫黄化合物等の加硫剤、加硫促進剤等を含んでいても良い。
【0061】
上記粘着付与樹脂としては、例えば、脂肪族系石油樹脂(C5系石油樹脂)、芳香族系石油樹脂(C9系石油樹脂)、脂肪族・芳香族系石油樹脂(C5/C9共重合系石油樹脂)、クマロン樹脂、クマロン-インデン系樹脂、ピュアモノマー樹脂、ジシクロペンダジエン系石油樹脂、およびこれらの水素化物からなる粘着付与樹脂等が挙げられる。
【0062】
上記難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物の他に、デカブロモジフェニルエーテル等の臭素系難燃剤、ポリリン酸アンモニウム等のリン系難燃剤等が挙げられる。
【0063】
上記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が挙げられる。
【0064】
上記充填剤としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、ベントナイト、カーボンブラック、フュームドシリカ、アルミニウムシリケート、アセチレンブラック、アルミニウム粉等が挙げられる。これらの添加剤は、単独でもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0065】
上記着色剤としては、例えば、カーボンブラック(ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなど)、グラファイト、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、シアニンブラック、活性炭、フェライト(非磁性フェライト、磁性フェライトなど)、マグネタイト、酸化クロム、酸化鉄、二硫化モリブデン、クロム錯体、複合酸化物系黒色色素、アントラキノン系有機黒色色素等の黒色着色剤や、酸化チタン(ルチル型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタン等の二酸化チタン)、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化スズ、酸化バリウム、酸化セシウム,酸化イットリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム等)、炭酸バリウム、炭酸亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、亜鉛華、硫化亜鉛、タルク、シリカ、アルミナ、クレー、カオリン、燐酸チタン、マイカ、石膏、ホワイトカーボン、珪藻土、ベントナイト、リトポン、ゼオライト、セリサイト、加水ハロイサイト等の無機系白色着色剤や、アクリル系樹脂粒子、ポリスチレン系樹脂粒子、ポリウレタン系樹脂粒子、アミド系樹脂粒子、ポリカーボネート系樹脂粒子、シリコーン系樹脂粒子、尿素-ホルマリン系樹脂粒子、メラミン系樹脂粒子等の有機系白色着色剤が挙げられる。
【0066】
本発明の弾性シート21として好適に用いる独立気泡発泡体シートの製造方法は、特に制限はされず、公知乃至慣用の方法により製造することができる。例えば、(1)ポリオレフィン系樹脂やゴム系樹脂の弾性樹脂に所定量の発泡剤および必要に応じて各種添加剤を配合して混練することにより得られた発泡性樹脂組成物をシート状に成形することにより発泡性樹脂シートを準備し、次いで電離性放射線照射による架橋の処理を行った後、加熱炉に通して発泡させる方法、(2)ポリオレフィン系樹脂やゴム系樹脂の弾性樹脂に所定量の発泡剤、架橋剤(有機過酸化物、硫黄又は硫黄化合物等)および必要に応じて各種添加剤を配合して混練することにより得られた発泡性樹脂組成物をシート状に成形することにより発泡性樹脂シートを準備し、次いで、独立気泡の割合が高い構造を有する発泡体が得られるように、架橋と発泡のタイミングを制御しながら、架橋・発泡させる方法、(3)メタロセン化合物を重合触媒として得られた直鎖状低密度ポリエチレンが混合されたポリオレフィン系樹脂やゴム系樹脂の弾性樹脂に所定量の界面活性剤および必要に応じて各種添加剤を配合して押出機に供給し、溶融混練した後、揮発性発泡剤を圧入し、さらに混練して発泡性用樹脂組成物とし、押出機内で発泡可能温度に調整し、環状ダイから大気中に押し出し、大気圧下で発泡させることにより筒状発泡体を形成し、この筒状発泡体をマンドレルで拡径しつつ引き取りながら押出方向に沿って切り開くことによってシート状に成形する方法(無架橋)等が挙げられる。
【0067】
上記発泡性樹脂シートの製造方法としては、例えば、発泡性樹脂組成物をバンバリーミキサーや加圧ニーダー等の混練り機を用いて混練した後、押出機、カレンダー、コンベアベルトキャスティング等により連続的にシート状に押し出すことにより製造する方法が挙げられる。
【0068】
上記発泡性樹脂シートの架橋の方法としては、例えば、電離性放射線による架橋、有機過酸化物による架橋、硫黄又は硫黄化合物による架橋による架橋等が挙げられる。電離性放射線により架橋する場合、電離性放射線としては、例えば、光、γ線、電子線等が挙げられ、電子線が好適に用いられる。電離性放射線の照射量は、特に限定されないが、好ましくは0.5Mrad以上15Mrad以下、より好ましくは0.7Mrad以上10Mrad以下の範囲である。
【0069】
上記有機過酸化物により架橋する場合、有機過酸化物としては、例えば、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーベンゾエート、クミルハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルヘキサン、n-ブチル-4,4-ジ(t-ブチルパーオキシ)バレレート、α,α'-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、t-ブチルパーオキシクメン等が挙げられる。 上記有機過酸化物の配合量は、特に限定されないが、ポリオレフィン系樹脂やゴム系樹脂の弾性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上10質量部以下の範囲、より好ましくは0.1質量部以上7質量部以下の範囲である。
【0070】
上記発泡性樹脂シートを発泡させる方法としては、例えば、オーブンに入れて発泡させるバッチ方式や、発泡性樹脂シートを長尺のシート状とし、連続的に加熱炉内を通して発泡させる連続発泡方式による方法等が挙げられる。上記発泡性樹脂シートを発泡させる際の温度は、使用する発泡剤の種類にもよるが、例えば、好ましくは200℃以上300℃以下の範囲、より好ましくは220℃以上280℃以下の範囲に設定される。
【0071】
上記独立気泡発泡体シートの表面には、後述する粘着層との密着性を向上させるために例えば、下塗り処理、コロナ放電処理、プラズマ処理などの化学的または物理的な表面処理が施されていてもよい。
【0072】
<粘着層>
本発明の基礎用気密粘着テープ20において、粘着層22は、弾性シート21の表面の
図2に示した向こう側の側辺部から仮想L字折り返し線23までの領域に、帯状に形成されている。粘着層22の帯は、好ましくは、弾性シートの側辺部に平行である。粘着層22の帯は、上記領域の幅の一部に形成してよく、複数本形成してよく、上記領域の長さの全部に、又は間欠的に形成してもよい。粘着層22の寸法及び形状、例えば、帯の幅は、弾性シート21の折り返し部25が、土台の側面に結合されてから外壁が施工されるまでの期間固定されるのに十分な接着強度を提供するように、決定される。
【0073】
粘着層22は、弾性シート21の表面の一方の側辺部から他方の側辺部に向かって、一方の側辺部から他方の側辺部までの距離の一部の領域に任意に形成してもよい。この場合粘着層の形状は点状、線状など任意の形状で形成してもよい。
【0074】
ある一形態において、粘着層22の幅は、5mm以上100mm以下、好ましくは10mm以上70mm以下、より好ましくは、20mm以上60mm以下の範囲である。また、ある一形態において、粘着層22の幅は、粘着層折り返し部25の幅cの少なくとも50%、例えば60%以上90%以下の範囲であってよく、100%であってもよい。粘着層22の帯が複数存在する場合は、粘着層の幅は、それらの幅を合計した値である。
【0075】
粘着層の厚さは、0.01mm以上2.0mm以下であり、好ましくは0.03mm以上1.0mm以下、より好ましくは0.05mm以上0.3mm以下の範囲である。厚さが上記範囲内であると結合性能が発揮され、反りが発生しにくくなるため好ましい。
【0076】
粘着層22を形成する粘着剤としては、特に制限されないが、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、フッ素系粘着剤、等の公知の粘着剤が挙げられる。これらの中でも、本発明の粘着層22の粘着剤としては、土台の側面に対する結合性(粘着力)、弾性シート21に対する密着性および気密性・防水性の観点から、アクリル系粘着剤あるいはゴム系粘着剤を好適に用いることができる。また、これらの粘着剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、上記粘着剤は、いずれの形態を有している粘着剤であってもよく、例えば、エマルジョン型粘着剤、溶剤型粘着剤、熱溶融型粘着剤(ホットメルト型粘着剤)等が使用できるが、粘着特性および防水性の観点からは、その形態としては、溶剤型粘着剤あるいは熱溶融型粘着剤が好ましい。
【0077】
(アクリル系粘着剤)
上記アクリル系粘着剤としては、特に限定されないが、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを必須の単量体成分(単量体主成分)とし、必要に応じて、これと共重合可能な共重合性単量体(極性基含有単量体や多官能性単量体等)を重合(または共重合)したアクリル系ポリマーをベースポリマーとする粘着剤を用いることができる。
【0078】
上記アクリル系ポリマーの単量体主成分として用いられる(メタ)アクリル酸アルキルエステル(直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル)としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、メタクリル酸テトラコシル等の炭素数が1~24のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。また、これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0079】
これらの中でも、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、土台の側面に対する結合性(粘着力)および気密性・防水性の観点から、炭素数が1~7のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび炭素数が8~24のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを組み合わせて用いることが好ましい。
【0080】
上記炭素数が1~7のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの中でも、気密性・防水性および汎用性の観点からは、炭素数4~6のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、炭素数4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルがより好ましい。具体的には、(メタ)アクリル酸ブチルを好適に用いることができる。
【0081】
また、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび炭素数が8~24のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの中でも、粘着特性のバランス性能の良さの観点からは、ガラス転移温度が低い炭素数8~12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、炭素数8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルがより好ましい。具体的には、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルを好適に用いることができる。
【0082】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、炭素数が1~7のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび炭素数が8~24のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを組み合わせて用いる場合、炭素数が1~7のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび炭素数が8~24のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの質量比は、(炭素数が1~7のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル)/(炭素数が8~24のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル)=1/99~99/1の範囲であることが好ましく、20/80~80/20の範囲であることがより好ましい。
【0083】
上記(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル系ポリマーの単量体主成分として用いられているので、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合は、例えば、アクリル系ポリマーを調製するための単量体成分全量に対して70質量%以上99.9質量%以下の範囲であることが好ましく、80質量%以上99.8質量%以下の範囲であることがより好ましい。
【0084】
上記アクリルポリマーは、粘着層22の土台の側面に対する粘着力を向上させたり、凝集力を増大させたりすることを目的に、他の単量体成分として、極性基含有単量体を用いて共重合してもよい。これらの極性基含有単量体は、単独で、又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0085】
上記極性基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体又はその無水物(無水マレイン酸等);(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル等の水酸基含有単量体;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチル等のアミノ基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジル等のグリシジル基含有単量体;アクリロニトリルやメタアクリロニトリル等のシアノ基含有単量体;N-ビニル-2-ピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリンの他、N-ビニルピリジン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルピリミジン、N-ビニルピペラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルオキサゾール等の複素環含有ビニル系単量体;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸基含有単量体;2-ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェート等のリン酸基含有単量体;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド等のイミド基含有単量体;2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基含有単量体等が挙げられる。これらの中でも、極性基含有単量体としてはアクリル酸等のカルボキシル基含有単量体又はその無水物やアクリル酸2-ヒドロキシエチル等の水酸基含有単量体が好適である。
【0086】
上記極性基含有単量体の使用量としては、粘着層22の粘着力と凝集力のバランスの観点から、上記アクリル系ポリマーを調整するための単量体成分全量に対して0.1質量%以上15重量%以下の範囲であることが好ましく、0.2質量%以上10質量%以下の範囲であることがより好ましい。
【0087】
上記アクリル系ポリマーを調整するための単量体成分には、上述の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、極性基含有単量体以外の共重合可能な単量体(「その他の共重合性単量体」と称する場合がある)が含まれていてもよい。
【0088】
上記その他の共重合性単量体としては、例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸3-メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-メトキシブチル、(メタ)アクリル酸4-エトキシブチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン等のオレフィン類又はジエン類;ビニルアルキルエーテル等のビニルエーテル類;塩化ビニル等が挙げられる。
【0089】
上記その他の共重合性単量体使用量としては、本発明の効果を妨げない範囲において限定されないが、例えば、上記アクリル系ポリマーを調整するための単量体成分全量に対して0質量%以上15重量%以下の範囲であることが好ましく、0質量%以上10質量%以下の範囲であることがより好ましい。
【0090】
上記粘着層22にアクリル系粘着剤を用いる場合、上記アクリル系ポリマーに、粘着付与樹脂を添加して用いることが好ましい。粘着付与樹脂を添加することにより、粘着層22の土台の側面に対する粘着力をより高めることができる。
【0091】
上記粘着付与樹脂としては、特に限定されないが、例えば、テルペン系粘着付与樹脂、フェノール系粘着付与樹脂、ロジン系粘着付与樹脂、石油系粘着付与樹脂等が挙げられる。なお、粘着付与樹脂は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、気密性・防水性および粘着特性のバランスの観点から、粘着付与樹脂としては、物性のバランスに優れるロジン系粘着布樹脂が好ましい。
【0092】
上記テルペン系粘着付与樹脂としては、例えば、α-ピネン重合体、β-ピネン重合体、ジペンテン重合体などのテルペン系樹脂や、これらのテルペン系樹脂を変性(フェノール変性、芳香族変性、水素添加変性、炭化水素変性等)した変性テルペン系樹脂(例えば、テルペンフェノール系樹脂、スチレン変性テルペン系樹脂、芳香族変性テルペン系樹脂、水素添加テルペン系樹脂等)等が挙げられる。
【0093】
上記フェノール系粘着付与樹脂としては、例えば、各種フェノール類(例えば、フェノール、m-クレゾール、3,5-キシレノール、p-アルキルフェノール、レゾルシンなど)とホルムアルデヒドとの縮合物(例えば、アルキルフェノール系樹脂、キシレンホルムアルデヒド系樹脂等)、上記フェノール類とホルムアルデヒドとをアルカリ触媒で加反応させたレゾールや、上記フェノール類とホルムアルデヒドとを酸触媒で縮合反応させて得られるノボラックの他、ロジン類(未変性ロジン、変性ロジンや、各種ロジン誘導体等)にフェノールを酸触媒で付加させ熱重合することにより得られるロジン変性フェノール樹脂等が挙げられる。
【0094】
上記ロジン系粘着付与樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンなどの未変性ロジンや、これらの未変性ロジンを水添化、不均化、重合等により変性した変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンの他、その他の化学的に修飾されたロジン等)の他、各種のロジン誘導体等が挙げられる。なお、上記ロジン誘導体としては、例えば、未変性ロジンをアルコール類によりエステル化したロジンのエステル化合物や、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン等の変性ロジンをアルコール類によりエステル化した変性ロジンのエステル化合物等のロジンエステル類;未変性ロジンや変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン等)を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジン類;ロジンエステル類を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類;未変性ロジン、変性ロジン、不飽和脂肪酸変性ロジン類や不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類におけるカルボキシル基を還元処理したロジンアルコール類;未変性ロジン、変性ロジンや、各種ロジン誘導体等のロジン類(特に、ロジンエステル類)の金属塩等が挙げられる。
【0095】
上記石油系粘着付与樹脂としては、例えば、芳香族系石油樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂(脂肪族環状石油樹脂)、脂肪族・芳香族系石油樹脂、脂肪族・脂環族系石油樹脂、水素添加石油樹脂、クマロン系樹脂、クマロンインデン系樹脂等の石油樹脂を等が挙げられる。上記芳香族系石油樹脂としては、例えば、炭素数が8~10であるビニル基含有芳香族系炭化水素(スチレン、o-ビニルトルエン、m-ビニルトルエン、p-ビニルトルエン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、インデン、メチルインデン等)が1種のみ又は2種以上用いられた重合体等が挙げられる。中でも、上記芳香族系石油樹脂としては、ビニルトルエンやインデン等の留分から得られる芳香族系石油樹脂(C9系石油樹脂)が好ましい。また、上記脂肪族系石油樹脂としては、例えば、炭素数4~5のオレフィンやジエン[ブテン-1、イソブチレン、ペンテン-1等のオレフィン;ブタジエン、ピペリレン(1,3-ペンタジエン)、イソプレン等のジエンなど]が1種のみ又は2種以上用いられた重合体等が挙げられる。上記脂肪族系石油樹脂としては、ブタジエン、ピペリレンやイソプレン等の留分から得られる脂肪族系石油樹脂(C4系石油樹脂やC5系石油樹脂等)が好ましい。上記脂環族系石油樹脂としては、例えば、上記脂肪族系石油樹脂を環化二量体化した後重合させた脂環式炭化水素系樹脂、環状ジエン化合物(シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、ジペンテン、エチリデンビシクロヘプテン、ビニルシクロヘプテン、テトラヒドロインデン、ビニルシクロヘキセン、リモネンなど)の重合体又はその水素添加物、上記の芳香族系炭化水素樹脂や、下記の脂肪族・芳香族系石油樹脂の芳香環を水素添加した脂環式炭化水素系樹脂等が挙げられる。上記脂肪族・芳香族系石油樹脂としては、スチレン-オレフィン系共重合体窓が挙げられる。上記脂肪族・芳香族系石油樹脂としては、いわゆる「C5/C9共重合系石油樹脂」等が挙げられる。
【0096】
上記粘着付与樹脂の添加量は、特に限定されないが、上記アクリル系ポリマーの全量100質量部に対して、例えば、5質量部以上60質量部以下の範囲が好ましく、より好ましくは10質量部以上50質量部以下の範囲である。上記粘着付与樹脂の添加量が5質量部未満の場合、粘着力向上の効果が認められないおそれがある。一方、上記粘着付与樹脂の添加量が60質量部を超える場合、粘着層22が硬くなり過ぎて、例えば、低温下におけるタックが低下し、土台の側面に対する貼り付き性が悪くなり、作業性が低下したり、経時で粘着テープが剥離したりするおそれがある。
【0097】
また、上記粘着層22にアクリル系粘着剤を用いる場合、上記アクリル系ポリマーに、架橋剤を添加して用いることが好ましい。架橋剤を添加することにより、粘着層22の凝集力を高めることができ、土台の側面に対する保持力を十分なものとすることができる。また、弾性シート21に対する粘着層22の密着性を高めることができる。
【0098】
上記架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤の他、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤等が挙げられる。なお、架橋剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、アクリル系粘着層22の凝集力向上と弾性シート21に対する密着性向上の観点から、架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤(多官能イソシアネート化合物)あるいはエポキシ系架橋剤が好ましい。
【0099】
上記イソシアネート系架橋剤(多官能イソシアネート化合物)としては、特に限定されないが、例えば、1,2-エチレンジイソシアネート、1,4-ブチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート等の低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート類;2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート類等が挙げられる。なお、これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0100】
上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエリスリトール、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、1,3′-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N′,N′-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン等が挙げられる。なお、これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0101】
上記架橋剤の添加量は、特に限定されないが、粘着層22の粘着特性、密着性および耐反発性の観点から、アクリル系ポリマーの全量100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上10質量部以下の範囲が好ましく、より好ましくは0.1質量部以上5質量部以下の範囲である。上記架橋剤の添加量が0.01質量部未満の場合、粘着層22の凝集力(保持力)、弾性シートに対する密着性の向上が不十分となるおそれがある。一方、架橋剤の添加量が10質量部を超える場合、初期粘着力が低下するおそれや耐反発性が低下するおそれがある。
【0102】
さらに、上記粘着層22には、上述のアクリル系ポリマー、粘着付与樹脂および架橋剤の他に、必要に応じて、架橋促進剤、シランカップリング剤、老化防止剤、充填剤、着色剤(顔料や染料等)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤、帯電防止剤等の公知の各種添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で含有させてもよい。
【0103】
(ゴム系粘着剤)
上記ゴム系粘着剤としては、特に限定されず、例えば、天然ゴムをベースポリマーとする天然ゴム系粘着剤、合成ゴムをベースポリマーとする合成ゴム系粘着剤が挙げられるが、合成ゴム系粘着剤が好ましい。このような合成ゴム系粘着剤における合成ゴムとしては、例えば、ブチルゴム、ポリイソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、スチレン-ブタジエン(SB)ゴム、スチレン-イソプレン(SI)ゴム、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)ゴム、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)ゴム、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)ゴム、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS) ゴム、スチレン-エチレン-プロピレンブロック共重合体(SEP)ゴム、再生ゴムや、これらの変性体等が挙げられる。これらの中でも、土台の側面に対する結合性(粘着力)、弾性シート21に対する密着性、気密性・防水性および耐久性の観点から、ブチルゴムが特に好ましい。すなわち、ゴム系粘着剤としては、ブチルゴムをベースポリマーとするブチルゴム系粘着剤を好適に用いることができる。
【0104】
上記ブチルゴムとしては、その種類は特に限定されず、例えば、再生ブチルゴム、合成ブチルゴム等が挙げられる。これらは、同一種類を単独使用または異なる種類を併用することができる。ブチルゴムとしては、加工性の観点から、再生ブチルゴムが特に好ましい。
【0105】
上記ブチルゴムとして、再生ブチルゴムと合成ブチルゴムを混合して用いる場合、再生ブチルゴムと合成ブチルゴムの質量比率は、加工性の観点から、例えば、(再生ブチルゴム)/(合成ブチルゴム)=50/50~99/1の範囲であることが好ましい。
【0106】
上記ブチルゴムは、合成ゴム系粘着剤のベースポリマーである合成ゴムの主成分として用いられるが、ブチルゴムの割合は、合成ゴム全量の100質量部に対して、例えば、60質量%以上100質量%以下の範囲であることが好ましく、70質量%以上100質量%以下の範囲であることがより好ましい。
【0107】
上記合成ゴムとして、上記ブチルゴム以外のゴム成分を含有することができる。そのようなゴム成分としては、室温(23℃)でゴム弾性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、ポリイソブチレン、アクリルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ビニルアルキルエーテルゴム、ポリビニルアルコールゴム、ポリビニルピロリドンゴム、ポリアクリルアミドゴム、セルロースゴム、天然ゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、スチレン-エチレン-ブタジエン・スチレンゴム、スチレン-イソプレン-スチレンゴム、イソプレンゴム、スチレン-ブタジエン-スチレンゴム、エチレン-プロピレンゴム等が挙げられる。ブチルゴム以外のゴム成分として、粘着層22の凝集力向上の観点から、好ましくは、ポリイソブチレンが挙げられる。
【0108】
上記ブチルゴム以外のゴム成分の割合は、合成ゴム全量の100質量部に対して、例えば、1質量部以上40質量部以下の範囲であることが好ましく、5質量部以上30質量部以下の範囲であることがより好ましい。
【0109】
上記粘着層22に合成ゴム系粘着剤を用いる場合、上記合成ゴムに、軟和剤を添加して用いることが好ましい。軟和剤を添加することにより、粘着層22に対して、広い温度範囲において優れた粘着特性を付与することができる。
【0110】
上記軟和剤としては、例えば、パラフィン類、ワックス類、ナフテン類、アロマ類、アスファルト類、乾性油類(例えば、アマニ油等)、動植物油類、石油系オイル類(例えば、プロセスオイル等)、ポリブン、低分子量ポリエチレングリコール、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、ステアリン酸またはそのエステル類、アルキルスルホン酸エステル類等が挙げられる。なお、これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0111】
上記軟和剤の添加量は、特に限定されないが、合成ゴム(および必要により配合されるその他のゴム成分)の全量100質量部に対して、例えば、10質量部以上300質量部以下の範囲が好ましく、20質量部以上200質量部以下の範囲であることがより好ましい。上記軟和剤の添加量が、10質量部未満の場合、低温下での粘着特性が低下するおそれがある。一方、上記軟和剤の添加量が、300質量部を超える場合、土台の側面に対する保持性が低下するおそれがある。
【0112】
また、上記粘着層22に合成ゴム系粘着剤を用いる場合、上記合成ゴムに、粘着付与樹脂を添加して用いることが好ましい。粘着付与樹脂を添加することにより、粘着層22の土台の側面や弾性シート21に対する粘着力をより高めることができる。
【0113】
上記粘着付与樹脂としては、上述のアクリル系粘着剤に添加する粘着付与樹脂として例示したものと同じものを、単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。上記粘着付与樹脂としては、粘着剤層22の保持力と粘着力のバランスの観点およびゴム成分との相溶性の観点から、脂肪族系石油樹脂(C5系石油樹脂)、芳香族系石油樹脂(C9系石油樹脂)および脂肪族・芳香族系石油樹脂(C5/C9共重合系石油樹脂)が好ましく、脂肪族系石油樹脂(C5系石油樹脂)がより好ましい。
【0114】
上記粘着付与樹脂の添加量は、特に限定されないが、上記合成ゴム(および必要により配合されるその他のゴム成分)の全量100質量部に対して、例えば、10質量部以上200質量部以下の範囲が好ましく、より好ましくは30質量部以上150質量部以下の範囲である。上記粘着付与樹脂の添加量が10質量部未満の場合、粘着力向上の効果が認められないおそれがある。一方、上記粘着付与樹脂の添加量が200質量部を超える場合、粘着層22の保持性が低下し、経時で粘着テープが剥離したりするおそれがある。
【0115】
さらに、上記粘着層22に合成ゴム系粘着剤を用いる場合、上記合成ゴムに、上記軟和剤および粘着付与樹脂以外に、架橋剤や充填剤を任意に添加して用いることもできる。
【0116】
上記架橋剤は、合成ゴムに任意に配合され、低温での架橋が可能であり、例えば、架橋速度が比較的速いものが用いられ、具体的には、例えば、キノイド化合物、チウラム化合物、キノンジオキシム化合物、マレイミド化合物等が挙げられる。架橋剤を添加することにより、粘着層22の凝集力を高めることができ、土台の側面に対する保持力をより十分なものとすることができる。
【0117】
上記キノイド化合物としては、例えば、ポリ-p-ジニトロソベンゼン等が挙げられる。上記チウラム化合物としては、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフイド、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等が挙げられる。上記キノンジオキシム化合物としては、例えば、p-キノンジオキシム、p,p′-ジベンゾイルキノンジオキシム等が挙げられる。上記マレイミド化合物としては、例えば、N,N′-m-フェニレンジマレイミド、N,N′-p-フェニレンジマレイミド、N,N′-エチレンジマレイミド等が挙げられる。なお、これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、架橋剤としては、キノイド化合物あるいはキノンジオキシム化合物が好ましい。
【0118】
上記架橋剤の添加量は、特に限定されないが、上記合成ゴム(および必要により配合されるその他のゴム成分)の全量100質量部に対して、例えば、0.05質量部以上10質量部以下の範囲が好ましく、より好ましくは0.06質量部以上1質量部以下の範囲である。上記架橋剤の添加量が上記範囲内であると、粘着層22において、架橋による凝集力向上の効果を十分に図ることができるとともに、凹凸に対する追従性も維持することができる。
【0119】
上記充填剤は、合成ゴムに任意に配合され、例えば、炭酸カルシウム(重質炭酸カルシウムまたは軽質炭酸カルシウム)、タルク、酸化チタン、カーボンブラック、シリカ、酸化マグネシウム等が挙げられる。充填剤を添加することにより、粘着層22を補強することができ、土台の側面に対する保持力をより十分なものとすることができる。なお、これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、充填剤としては、炭酸カルシウムが好ましい。
【0120】
上記充填剤の添加量は、特に限定されないが、上記合成ゴム(および必要により配合されるその他のゴム成分)の全量100質量部に対して、例えば、50質量部以上400質量部以下の範囲が好ましく、より好ましくは150質量部以上300質量部以下の範囲である。上記架橋剤の添加量が上記範囲内であると、粘着層22において、補強効果を十分に図ることができる。
【0121】
またさらに、上記粘着層22に合成ゴム系粘着剤を用いる場合、上記合成ゴムに、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、老化防止剤、難燃剤、架橋助剤、加工助剤、滑剤等の添加剤を含有させることができる。
【0122】
上述のアクリル系粘着剤およびゴム系粘着剤の製造方法は、特に限定されず、公知乃至慣用の方法を用いることができる。例えば、上述のアクリル系粘着剤の場合は、アクリル系ポリマー、粘着付与樹脂、架橋剤、および必要に応じて溶剤やその他の添加剤等を所定の割合で配合し、タンク内で混合して製造する方法等により得ることができ、ゴム系粘着剤の場合は、ゴム系成分、軟和剤、粘着付与樹脂、および必要に応じて架橋剤、充填剤、老化防止剤やその他の添加剤等を所定の割合で配合し、混練機(ニーダー、2軸混練機等)等を用いて、加熱・混練して製造する方法等により得ることができる。
【0123】
<基礎用気密粘着テープの製造方法>
本発明の基礎用気密粘着テープ20は、上述した弾性シート21の表面の
図2に示した向こう側の側辺部から仮想L字折り返し線23までの領域(折り返し部25に相当)に、上述した粘着層22を帯状に形成することにより製造することができる。
【0124】
上記粘着層22を上記弾性シート21の折り返し部25の領域に形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、(1)第1の剥離シートの剥離処理面に上述した粘着剤を公知乃至慣用の方法で塗設して粘着層22を形成し、第1の剥離シートに接する面とは反対側の粘着層22の面に第2の剥離シートの剥離処理面を貼り合わせて「基材の無い両面粘着テープ」を作製・準備し、所定の幅に裁断した後、軽剥離側の剥離シートを剥離し、暴露された粘着層22の面を、上述した弾性シート21の折り返し部25の領域に貼り合わせることにより、粘着層22を上記弾性シート21の折り返し部25の領域に形成する方法、(2)布類(綿、スフ、化繊、不織布等)、紙類(和紙、クラフト紙等)、プラスチック類(セロハン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、アセテート、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル等)、金属箔、あるいはこれらのプラスチックラミネート体等の基材の両面に上述した粘着剤を公知乃至慣用の方法で、それぞれ直写あるいは転写することにより第1の粘着層22および第2の粘着層22’を形成し、粘着層22の表面には両面剥離処理された剥離シートが備えられた「基材のある両面粘着テープ」を作製・準備し、所定の幅に裁断した後、第2の粘着層22’の面を、上述した弾性シート21の折り返し部25の領域に貼り合わせることにより、粘着層22を上記弾性シート21の折り返し部25の領域に形成する方法、(3)上記弾性シート21の折り返し部25の領域に、上述した粘着剤を直接塗設することにより、粘着層22を上記弾性シート21の折り返し部25の領域に形成する方法等が挙げられる。
【0125】
上記粘着層22の帯は、上記折り返し部25の領域の全部に形成されていることが好ましいが、該領域の幅の一部に形成してよく、複数本形成してよく、上記領域の長さの全部に、又は間欠的に形成してもよい。この場合、上記の粘着層22を形成する方法において、最終的に採用する粘着層22の帯状の形態に応じて、両面粘着テープの粘着層22を形成しておけばよい。すなわち、粘着層22を、例えば、ストライプ塗工、間欠塗工等により形成しておけばよい。
【0126】
粘着層22のSPF材に対する粘着力は、23℃で1N/10mm~10N/mmが好ましく、2N/10mm~8N/mmがより好ましい。
【0127】
<木造建築物の気密防湿工法>
本発明の基礎用気密粘着テープ20は、木造建築物の基礎周りの気密防湿工事において、外気が床下空間に侵入しないように、基礎12と土台13間の隙間を封止する措置に、使用される。本発明の基礎用気密粘着テープ20を使用する木造建築物の気密防湿工法について、簡便化された
図4により説明する。まず、
図4(a)に示す様に、気密粘着テープ20の弾性シート21を、基礎12の上面と土台20の下面との間に、弾性シート21の表面の粘着層22が形成されていない方の側辺部から仮想L字折り返し線23までの部分、即ち、下敷き部24の表面が土台13の下面に接し、仮想L字折り返し線23が土台13の外壁側の端部に一致するように、配置する。
【0128】
弾性シート21は基礎12の上面の凹凸に対する追随性に優れ、隙間を封止する機能に優れているので、下面に粘着層を有する必要がなく、また、基礎12の上面にシーリング剤又は接着剤を塗布しておく必要もない。その結果、弾性シート21は基礎12の上面に結合されず、一旦設置した後に、設置位置を簡単に調節することができる。
【0129】
基礎用気密粘着テープ20において、弾性シート21下敷き部24にアンカーボルト貫通用の孔の列26が予め形成されている場合、基礎用気密粘着テープ20を基礎12の上面に基礎12に埋め込まれいるアンカーボルト14に容易に貫通させながら展開、設置することができる。すなわち、作業者が、現場で、アンカーボルトを貫通させるための孔を形成する手間が省け、基礎用気密粘着テープ20の弾性シート21を必要以上に損傷することなく、効率的に基礎用気密粘着テープ21を基礎12の上面に設置することができる。したがって、作業者に依らず、常に安定した状態で、基礎用気密粘着テープ21を基礎12の上面に設置することができる。
【0130】
次いで、
図4(b)に示す様に、基礎12の上面に設置した基礎用気密粘着テープ20の下敷き部24の表面の上に、土台13をアンカーボルト14に貫通させて設置し、ナットで締め上げて固定する。そして、弾性シート21の粘着層22が形成されている方の側辺部から仮想L字折り返し線23までの部分、即ち、折り返し部25を仮想L字折り返し線23に沿って、粘着層22が内側になる方向に折り返して、粘着層22の表面の剥離シートを剥離しながら、土台13の側面に粘着層22を結合させる。弾性シート21の折り返し部分25は、土台13の側面に結合されてから外壁が施工されるまでの期間固定されるので、外壁を施工する作業が簡単になる。
【0131】
基礎用気密粘着テープ20の粘着層22の粘着力および保持力は、土台12の側面に結合された弾性シート21の折り返し部分25が外壁が施工されるまでの期間において剥がれてこない限りにおいては、特に限定されないが、例えば、180°ピール試験(引張速度300mm/分)における対SUS粘着力は4N/10mm以上が好ましく、5N/10mm以上がより好ましい。また。40℃における保持力(静荷重9.8N、貼り付け面積25mm×25mm)は落下時間500分以上であることが好ましく、24時間落下しないことがより好ましい。
【0132】
次いで、
図4(c)に示す様に、土台13の側面上に結合された基礎用気密粘着テープ20の弾性シート21に接するように、外壁16を設置する。土台13側面に結合される部材が厚みのある弾性シート21であり、L字に折り返された構造であるために、シワが形成されにくく、弾性シート21は、被着面である土台13の側面から浮くことがない。その結果、作業者に依らず、土台13と外壁16の間の隙間は、常に高い水準で封止され、優れた気密が提供される。
【0133】
このように、本発明の基礎用気密粘着テープ20を用いた気密防湿工法は、基礎12の上面にシーリング剤、粘着剤、封止テープ等を施工する必要がなく、また、外壁16面と基礎12の側面をまたぐシーリング剤又は封止テープを施工する必要がなく、土台13と基礎12の間と土台13と外壁16の間という2か所の隙間を、少ない工数で、作業者の力量に左右されることなく、常に高い水準で封止することができる。
【0134】
本発明の基礎用気密粘着テープは、例えば、木造建築物の基礎12と土台13の間、及び土台13と外壁16の間に設置して使用される。その結果、建築物の基礎と土台間の隙間及び外壁と側面間の隙間が封止され、外の熱気・冷気が室内に侵入することが防止される。つまり、本発明の基礎用気密粘着テープを使用することで、気密性が高い建築物を実現することができる。
【実施例0135】
[実施形態1~6]
<気密粘着テープの作製>
まず、実施形態1~6の基礎用気密粘着テープ20に用いる弾性シート21として、表1および表2に示す通りの市販されている樹脂発泡体シートA~Fを準備した。尚、表1及び2中、EPDMはエチレン-プロピレン-ジエンゴムを、PEはポリエチレンを、硬度はデュロメータE硬度を意味する。
【0136】
【0137】
【0138】
次いで、上記6種類の樹脂発泡体シートA~Fの折り返し部の領域に、アクリル系、ブチルゴム系およびスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)ゴム系の3種類の粘着剤を用いて、それぞれ粘着層を形成した。粘着層の形成は、以下の粘着剤の種類の異なる3種類の「基材のある両面粘着テープ」を準備し、各樹脂発泡体シートの折り返し部の領域に貼り合わせる方法により行った。
【0139】
(a)マクセル株式会社製 No.5487 紙両面テープ(不織布基材)(商品名)
・粘着剤:アクリル系粘着剤
・基材:レーヨン繊維/木材パルプ系不織布(目付:13g/m2)
・テープ総厚さ:0.12mm(剥離シート除く)
・対SUS粘着力:6.0N/10mm(180°ピール試験)
・保持力:ズレ量0.3mm(40℃、9.8N静荷重)
【0140】
(b)マクセル株式会社製 No.5938 スーパーブチルテープ(両面)(商品名)
・粘着剤:ブチルゴム系粘着剤
・基材:ポリエチレン系不織布[ワリフ(商標)](目付:23g/m2)
・テープ総厚さ:0.50mm(剥離シート除く)
・対SUS粘着力:7.8N/10mm(180°ピール試験)
【0141】
(c)マクセル株式会社製 No.5422 紙両面テープ(不織布基材)(商品名)
・粘着剤:スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)ゴム系粘着剤
・基材:レーヨン繊維/木材パルプ系不織布(目付:13g/m2)
・テープ総厚さ:0.13mm(剥離シート除く)
・対SUS粘着力:16.1N/10mm(180°ピール試験)
・保持力:落下時間600分(40℃、9.8N静荷重)
【0142】
具体的には、まず、上記樹脂発泡体シートを裁断して幅125mm、長さ25mmの試験用弾性シートを得た。次いで、上記の両面粘着テープを裁断し、試験用弾性シートの幅方向の側辺部から40mmまでの領域に、両面粘着テープを貼着して、幅方向長さ85mmの下敷き部と幅方向長さ40mmの折り返し部とからなる粘着剤の種類が異なる実施形態1-(a)、-(b)、-(c)~実施形態6-(a)、-(b)、-(c)の試験用気密粘着テープ20を得た。表3および表4にその構成を示す。
【0143】
【0144】
【0145】
実施形態1~6の気密粘着テープ20について、下記に示す気密性試験およびSPF材に対する剥がれ性試験を行った。
【0146】
<気密性試験>
一般に、基礎12の上面には1~2mmの凹凸が存在する。上記実施形態1~6の気密粘着テープに使用した樹脂発泡体シートA~Fは、以下の気密性試験を行うことで、基礎12の上面の凹凸に起因した、土台の下面との間の隙間を封止可能であることを確認した。
【0147】
(試験体の作成)
気密性試験に供する試験体を以下の方法により作成した。まず、2枚のステンレス板31A(厚さ4mm)、31B(厚さ6mm)を用意した。ステンレス板31Aは、
図5A(a)に示すように、その中央部に直径10mmの中心孔32を始めとする計9個の孔が設けられている。なお、
図5A~
図5Cの上部は真上から見た際の平面図、下部はその断面図を示す。このステンレス板31Aは、
図6に示すように、天面部の無い5面(底面と4つの側面)で形成されたアクリル容器37の上部4辺の上に載置される。ここで、アクリル容器37の上部四辺の上にはシーリング材38が塗布されており、これによりステンレス板31Aとアクリル容器の上部四辺の間で空気が漏れないように封止されている。次いで、
図5A(b)に示すように、ステンレス板31Aの上に、1本の2mm角のアクリル角材33を載置する。なお、
図5A(b)以降の図において、ステンレス板31Aは、実際にはアクリル容器37の上にシール設置されているが、断面図では便宜上、アクリル容器37は表示していない。次いで、
図5B(c)に示すように、そのアクリル角材33を跨ぐように、アクリル角材33の上にロの字型に裁断された樹脂発泡体シート34を載置する。さらに、
図5B(d)に示すように、ステンレス板31Aの四辺周辺にスペーサー(厚さ:樹脂発泡体シートを50%圧縮した時に相当する厚さ、例えば、樹脂発泡体シートの厚さが5mmの場合、スペーサーの厚さは2.5mm)35A、35B、35Cおよび35Dをそれぞれ載置する。次いで、
図5C(e)に示すように、その樹脂発泡体シート34の上に、もう一枚の孔の無いステンレス板31Bを重ねて載置する。最後に、
図5C(f)に示すように2枚のステンレス板31Aと31Bを、4つのクランプ36A、36B、36Cおよび36Dを用いて、その間隔がスペーサーの厚さ(2.5mm)になるまで圧迫し、気密試験に供する試験体30とした。該試験体30は、平面から直角に2mm立ち上がった高さ2mm、幅2mmの凸部(不陸)を有する基礎(アクリル角材32を載置したステンレス板31Aに相当)の上面に、本発明の基礎用気密粘着テープ20の樹脂発泡体シートにおける下敷き部24を載置して、その上に土台13(ステンレス板31Bに相当)を積載してアンカーボルト(クランプ36に相当)により固定された状態を想定した構成となっている。なお、同時に、アクリル角材33を載置しない状態、すなわち不陸の無い基礎の上面を想定した場合の試験体も同様にして作成し、気密性試験に供した。
【0148】
(気密性の評価)
基礎用気密粘着テープ20に使用した樹脂発泡体シート(試験体30ではロの字型に裁断された樹脂発泡体シート34)の気密性試験は、
図6に示すように、アクリル容器37とその上に天板としてシール設置された試験体30とで構成された容積約8リットルの密閉容器(チャンバー)39を用いて行った。なお、密閉容器39には、空気の入口と出口が設けられており、それぞれに入口側流量計FM1と出口側流量計FM2とを備え、さらに密閉容器内の差圧を計測する差圧計Pを備える。気密性試験は、コンプレッサーCPを用いて密閉容器39の入り口から、入口側流量計FM1で制御した一定の流量FR1(例えば100ml/分)の空気を送り込んだ際に、密閉容器39の出口側から排出される空気の流量FR2を出口側流量計FM2により測定し、その比率(FR2/FR1)×100の値(%)を算出することにより行った。すなわち、その比率が高ければ高い程、気密性により優れたものとなる。気密性の値は、特に限定されないが、例えば、樹脂発泡体シートを50%圧縮した状態で測定した際に、88.0%以上であることが好ましく、99.0%以上がより好ましく、99.5%以上が特に好ましい。基礎用気密粘着テープ20の気密性の値が大きいことは、建築物を断熱する性能に優れることを意味する。
【0149】
表5に、実施形態1~6の基礎用気密粘着テープ20に使用した6種類の樹脂発泡体シートA~F(試験体30ではロの字型に裁断された樹脂発泡体シート34)の気密性試験の評価結果を示す。
【0150】
【0151】
表4および表5に示すように、実施形態1~6の基礎用気密粘着テープ20に使用した6種類の樹脂発泡体シートA~F(試験体30ではロの字型に裁断された樹脂発泡体シート34)の気密性は、アクリル角材無し(2mm凸部無し)の場合では96.3%~100.0%、アクリル角材有り(2mm凸部有り)の場合でも88.0~99.9%の範囲の高い値であった。すなわち、アクリル角材で形成された高さ2mmの凸部33を有するステンレス板31A(基礎12の上面を想定)と平面部のみのステンレス板31B(土台13の下面を想定)との間は、本発明の基礎用気密粘着テープ20に使用した樹脂発泡体シートにおける下敷き部24を載置、圧縮することにより、気密性が高い状態で封止されていることが確認できた。また、高さ2mm凸部33の無い場合おいても、同様に、気密性が極めて高い状態で封止されていることが確認できた。これら実施形態の中でも、特に実施形態1~4の基礎用気密粘着テープ20に使用した樹脂発泡体シートA~Dについては、基礎12の上面の不陸の有無に関わらず、気密性が極めて高い状態で封止されていることが確認できた。
【0152】
(SPF材に対する剥がれ性試験)
土台として使用する縦2インチ、横4インチ、長さ30インチのSPF材を2個準備した。2個のSPF材を重ね、それらの間に、下敷き部24が挟まれ、折り返し部25は突出されるように試験用気密粘着テープを配置し、上のSPF材が持ち上がらないように、2kgの重りを2個乗せた。試験用気密粘着テープ20の弾性シート21の折り返し部25を粘着層22が内側になる方向に折り返して、SPF材の側面に貼り、次いで、重さ2kgのローラーを用いて圧着した。
【0153】
0℃、および40℃の環境下において、実施形態1-(a)、-(b)、-(c)~実施形態6-(a)、-(b)、-(c)の試験用気密粘着テープ20の弾性シート21の折り返し部25がSPF材の側面に結合された状態の持続時間を測定した。全ての試験用気密粘着テープ20について、上記結合された状態は、結合が開始されてから、いずれの環境下においても、少なくとも336時間は気密粘着テープ20の折り返し部25がSPF材から剥がれることはなく、維持されることが確認できた。
【0154】
[実施形態7~9]
<気密性試験>
実施形態7~9の気密粘着テープ20の弾性シート21として、表6に示す通りの市販されている樹脂発泡体シートG~Iを準備した。
【0155】
【0156】
表1および表2に示した樹脂発泡体シートA~Fの代わりにこれらを使用すること以外は実施形態1~6と同様にして、気密性の評価を行った。表7に評価結果を示す。
【0157】
【0158】
<気密粘着テープの作製>
表1および表2に示した樹脂発泡体シートA~Fの代わりに表6に示した樹脂発泡体シートG~Iを使用すること以外は実施形態1~6と同様にして、気密粘着テープ20を作製することができる。作製される気密粘着テープ20は、土台13の側面に結合されてから外壁が施工されるまでの期間、結合された状態に維持される。