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  • 特開-共鳴トランスポンダー対 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178226
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】共鳴トランスポンダー対
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20231207BHJP
   G06K 19/07 20060101ALI20231207BHJP
   H01Q 9/27 20060101ALI20231207BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20231207BHJP
   H04B 5/02 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
G06K19/077 236
G06K19/077 272
G06K19/07 200
H01Q9/27
H01Q1/22 Z
H04B5/02
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023084289
(22)【出願日】2023-05-23
(31)【優先権主張番号】22177158.7
(32)【優先日】2022-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ゾラン・ランジェロビッチ
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム・マスポリ
【テーマコード(参考)】
5J047
5K012
【Fターム(参考)】
5J047AA03
5J047AA07
5J047AB12
5J047EF02
5K012AC06
5K012AC08
5K012AC10
(57)【要約】
【課題】 アンテナを小さく維持しながら適切な通信距離を確保しつつ、2つの異なる機能を組み合わせることを可能にするトランスポンダー対を提供する。
【解決手段】 本発明は、データの送受信を管理するための第1の電子システム(3)と、第1のアンテナとを備える第1のトランスポンダー(10)を備えるトランスポンダー対(1、20)に関し、第1の電子システム(3)は、第1のアンテナに接続され、トランスポンダー対(1)は、データの送受信を管理するための第2の電子システム(9)と、第2のアンテナとを備える第2のトランスポンダー(12)を備え、第2の電子システム(9)は、第2のアンテナに接続され、第2のアンテナは、第2のトランスポンダー(12)が第1のアンテナの共振回路を形成するように構成しており配置される。本発明は、さらに、このようなトランスポンダー対(20)を備える電子デバイス、特に計時器、に関する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データの送受信を管理するための第1の電子システム(3)と、第1のアンテナとを備える第1のトランスポンダー(10)を備えるトランスポンダー対(1、20)であって、
前記第1の電子システム(3)は、前記第1のアンテナに接続され、
前記トランスポンダー対(1)は、データの送受信を管理するための第2の電子システム(9)と、第2のアンテナとを備える第2のトランスポンダー(12)を備え、
前記第2の電子システム(9)は、前記第2のアンテナに接続され、
前記第2のアンテナは、前記第2のトランスポンダー(12)が前記第1のアンテナの共振回路を形成するように構成しており配置される
ことを特徴とするトランスポンダー対。
【請求項2】
前記第1のアンテナは、前記第1のトランスポンダー(10)が前記第2のアンテナの共振回路を形成するように構成しており配置される
ことを特徴とする請求項1に記載のトランスポンダー対。
【請求項3】
前記第1のアンテナと前記第2のアンテナは、互いに続いて配置される
ことを特徴とする請求項1に記載のトランスポンダー対。
【請求項4】
前記第1のアンテナは、第1の巻きセット(4)を含み、
前記第2のアンテナは、第2の巻きセット(5)を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のトランスポンダー対。
【請求項5】
前記第1の巻きセット(4)と前記第2の巻きセット(5)は、少なくとも部分的に渦巻き(2、22)を形成する
ことを特徴とする請求項4に記載のトランスポンダー対。
【請求項6】
前記第1の巻きセット(4)と前記第2の巻きセット(5)は、前記渦巻き(2)のアンテナが不連続であり、前記第1の巻きセット(4)と前記第2の巻きセット(5)の境界に間隙(8)が位置するように、分離している
ことを特徴とする請求項5に記載のトランスポンダー対。
【請求項7】
前記渦巻き(2)は、前記第2の巻きセット(5)を越えた位置に第3の巻きセット(23)を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のトランスポンダー対。
【請求項8】
内側の前記第3の巻きセット(23)は、接続されていない
ことを特徴とする請求項7に記載のトランスポンダー対。
【請求項9】
前記第2のトランスポンダー(12)は、前記第1のトランスポンダー(10)がアクティブであるときに非アクティブであり、
前記第1のトランスポンダー(10)は、前記第2のトランスポンダー(12)がアクティブであるときに非アクティブである
ことを特徴とする請求項1に記載のトランスポンダー対。
【請求項10】
前記第1の電子システム(3)と前記第2の電子システム(9)はそれぞれ、各共振回路が前記第1の巻きセット(4)又は前記第2の巻きセット(5)と並列に配置されるキャパシターを備えるように、キャパシターを備える
ことを特徴とする請求項1に記載のトランスポンダー対。
【請求項11】
前記第1のトランスポンダー(10)には、支払い機能のような第1の機能があり、
前記第2のトランスポンダー(12)には、前記第1の機能とは異なる、アクセス制御のような第2の機能がある
ことを特徴とする請求項1に記載のトランスポンダー対。
【請求項12】
前記第1のトランスポンダー(10)と前記第2のトランスポンダー(12)は、NFCタイプであり、特に支払い手段としての役割を果たすものである
ことを特徴とする請求項1に記載のトランスポンダー対。
【請求項13】
請求項1に記載のトランスポンダー対(20)を備える
ことを特徴とする電子デバイス。
【請求項14】
携行型時計(30)のような計時器である
ことを特徴とする請求項13に記載の電子デバイス。
【請求項15】
前記渦巻き(22)は、計時器の表盤を形成する
ことを特徴とする請求項14に記載の電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報の伝送及び通信の分野に関し、特に、発信及び/又は受信アンテナを備えるトランスポンダーに関する。
【背景技術】
【0002】
トランスポンダーは、データを送受信するように構成している電子デバイスである。受動RFID(無線周波数識別)トランスポンダーが存在し、これらは、消費者向け製品を符号化し記録するように意図されていることが多い。
【0003】
他の受動トランスポンダーは、例えば、端末や銀行カード、例えば、非接触支払い、において用いられている。これらのトランスポンダーは、一般的には、NFC(近接場通信)タイプであり、短距離でのデータ転送を可能にする。
【0004】
2つの端末の間で通信が確立され、各端末は、データを管理し記録するための電子システムと、他端末との間でデータを送受信するためのアンテナとを備える。
【0005】
端末の間の送信/受信の動作距離が決まるためにアンテナは重要であるが、端末の大きさを抑えるためにアンテナの寸法は非常に小さくなければならない。このために、渦巻き部分がある形のアンテナが存在し、これは、最小限の空間において十分なアンテナ長を有することを可能にする。巻きの数によって、アンテナのインダクタンスが決まる。渦巻き部分の両端、すなわち、渦巻き部分の外端と内端、に電子システムの接続点が配置され、これによって、十分なインダクタンスを有し、最大限の通信距離に到達することができる。
【0006】
これで十分ではない場合、通信距離を大きくするために、第1のアンテナと並列に第2のアンテナを配置する。この第2のアンテナは、両方のアンテナの組の公称周波数が渦巻き部分単独の公称周波数に対して変わらないように、共振回路として動作する。第2のアンテナのおかげで、通信距離が大きくなる。
【0007】
しかし、第2のアンテナは、その役割にのみ役立つ体積を占める。したがって、第2のアンテナには、共振回路を形成するという単一の機能しかない。
【0008】
また、トランスポンダーは、一般的には、単一の機能を行うように構成している。例えば、トランスポンダーには、支払いを可能にする機能か、公共輸送機関における改札口において記録させたり通過させたりする機能がある。
【0009】
したがって、複数の機能を得るためには、複数のトランスポンダーを組み合わせる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述の課題を改善することを目的とし、アンテナを小さく維持しながら適切な通信距離を確保しつつ、2つの異なる機能を組み合わせることを可能にするトランスポンダー対を提供することを目的とする。
【0011】
本トランスポンダー対は、データの送受信を管理するための第1の電子システムと、第1のアンテナとを備える第1のトランスポンダーを備え、前記第1の電子システムは、前記第1のアンテナに接続され、前記トランスポンダー対は、データの送受信を管理するための第2の電子システムと、第2のアンテナとを備える第2のトランスポンダーを備え、前記第2の電子システムは、前記第2のアンテナに接続される。
【0012】
本トランスポンダー対において、前記第2のアンテナは、前記第2のトランスポンダーが前記第1のアンテナの共振回路を形成するように配置され構成しているという点で画期的である。
【0013】
このように、2つのトランスポンダーのおかげで、一方では、2つの異なる機能を同じ電子デバイスにおいて組み合わせることを可能にし、他方では、各トランスポンダーは、通信距離を向上させるために他方のトランスポンダーのための共振回路を形成する。
【0014】
実際に、第2のトランスポンダー、特にそのアンテナ、によって形成される共振回路は、渦巻きアンテナの通信距離を10~20%向上させることを可能にする。このように、本トランスポンダーは、小さな大きさを維持しつつ、特定の動作規格に適合することができる。
【0015】
本発明は、特定の電子デバイス、例えば、NFCタイプのデータ転送用の携行型時計(例、腕時計、懐中時計)タイプの計時器を用いることを可能にし、2つの機能を有する。特に、この携行型時計は、銀行支払いカードとして短距離にて使用可能な支払いシステム及び他の機能を備えることができる。
【0016】
本発明の特定の実施形態において、前記第1のアンテナは、前記第1のトランスポンダーが前記第2のアンテナの共振回路を形成するように構成しており配置される。
【0017】
本発明の特定の実施形態において、前記第1のアンテナと前記第2のアンテナは、互いに続いて配置される。
【0018】
本発明の特定の実施形態において、前記第1のアンテナは、第1の巻きセットを含み、前記第2のアンテナは、第2の巻きセットを含む。
【0019】
本発明の特定の実施形態において、前記第1の巻きセットと前記第2の巻きセットは、少なくとも部分的に渦巻きを形成する。
【0020】
本発明の特定の実施形態において、前記第1の巻きセットと前記第2の巻きセットは、前記渦巻きが不連続であり、前記第1の巻きセットと前記第2の巻きセットの境界に間隙が位置するように、分離している。
【0021】
本発明の特定の実施形態において、前記渦巻きは、前記第1の巻きセットと前記第2の巻きセットを越えた位置に第3の巻きセットを含む。
【0022】
本発明の特定の実施形態において、内側の前記第3の巻きセットは、接続されていない。
【0023】
本発明の特定の実施形態において、前記第2のトランスポンダーは、前記第1のトランスポンダーがアクティブであるときに非アクティブであり、前記第1のトランスポンダーは、前記第2のトランスポンダーがアクティブであるときに非アクティブである。
【0024】
本発明の特定の実施形態において、前記第1の電子システムと前記第2の電子システムはそれぞれ、各共振回路が前記第1の巻きセット又は前記第2の巻きセットと並列に配置されるキャパシターを備えるように、キャパシターを備える。
【0025】
本発明の特定の実施形態において、前記第1のトランスポンダーには、支払い機能のような第1の機能があり、前記第2のトランスポンダーには、前記第1の機能とは異なる、アクセス制御のような第2の機能がある。
【0026】
本発明の特定の実施形態において、前記トランスポンダーは、NFCタイプであり、特に支払い手段としての役割を果たすものである。
【0027】
本発明の特定の実施形態において、前記第1の巻きセット、前記第2の巻きセット及び前記第3の巻きセットは、同じ平面内にて延在している。
【0028】
本発明は、さらに、前記のようなトランスポンダー対を備える電子デバイスに関する。
【0029】
本発明の特定の実施形態において、前記電子デバイスは、携行型時計のような計時器である。
【0030】
本発明の特定の実施形態において、前記渦巻きは、前記計時器の表盤を形成する。
【0031】
添付の図面を参照しながらいくつかの実施形態を読むことによって、本発明の目的、利点及び特徴が明確になる。これらの実施形態は、純粋に例として与えられ、これに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明に係るトランスポンダー対の第1の実施形態を上から見た概略図である。
図2】本発明に係るトランスポンダー対を備える携行型時計を上から見た概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、第1のトランスポンダー10と第2のトランスポンダー12を備えるトランスポンダー対1の一実施形態を示している。
【0034】
通信プロトコルは、例えば、NFC(近接場通信)タイプのものである。この技術は、特に、いわゆる「非接触」端末を用いて遠隔で支払うことができる支払いカードのような支払い手段において用いられている。
【0035】
第1のトランスポンダー10は、データの送受信を管理する第1の電子システム3を備え、第2のトランスポンダー12は、データの送受信を管理する第2の電子システム9を備える。トランスポンダー対1は、さらに、渦巻き2の形状のアンテナを備える。
【0036】
渦巻き2には、同心である複数の巻き11を形成する、巻かれた細長材があり、この巻かれた細長材は、アンテナの厚みを最小にするように実質的に同じ平面内にて延在している。したがって、渦巻き2のすべての巻き11は、同じ平面内にて巻かれている。
【0037】
第1の電子システム3と第2の電子システム9は、例えば、NFCタイプの通信を管理するように構成しているチップを備える集積回路である。
【0038】
各電子システム3、9は、細長材上に位置する2つの接続点6、7、18、19によって渦巻き2に接続されている。
【0039】
第1のワイヤ対25は、2つの接続点6、7を第1の電子システム3に接続する。第2のワイヤ対26は、2つの接続点18、19を第2の電子システム3に接続する。ワイヤ25、26は、例えば、接続点6、7、18、19と集積回路に、はんだ付けされたり、導電性接着剤で接着されたりする。
【0040】
第1のトランスポンダー10の2つの接続点6、7の間の巻き11は、第1の巻きセット4を形成し、したがって、第1のトランスポンダー10の第1のアンテナを形成する。第1の巻きセット4は、渦巻き2の最も中心から遠く曲率半径が最も大きい位置に、隣り合う複数の巻きを含む。図1において、第1の巻きセット4には、完全な1回転分の巻きが2つある。第1の巻きセット4は、当然、これよりも多くの巻きを含むことができ、例えば、3、4、5又はそれよりも多くの巻き、又は単一の巻き、又は巻きの一部を含むことができる。
【0041】
第2のトランスポンダー12の2つの接続点18、19の間の巻き11は、第2の巻きセット5を形成し、したがって、第2のトランスポンダー12の第2のアンテナを形成する。第1の巻きセット4の巻き11に続く第2の巻きセット5は、複数の隣り合う巻きを含む。第2の巻きセット5の巻き11は、第1の巻きセット4の巻き11よりも中心に近い。これらは、第1の巻きセット4の巻きの曲率半径よりも小さい曲率半径を有する。
【0042】
第1の2つの接続点6、7は、好ましくは、外側の第1の巻きセット4の2つの端に位置する。すなわち、2つの接続点6、7はそれぞれ、第1の巻きセット4の最も中心から遠い点及び最も中心に近い点に位置する。
【0043】
第2の2つの接続点18、19は、好ましくは、第2の巻きセット5の2つの端に位置する。したがって、第2の2つの接続点18、19はそれぞれ、第2の巻きセット5の最も中心から遠い点及び最も中心に近い点に位置する。
【0044】
図1に示している実施形態において、第1の巻きセット4と第2の巻きセット5は離れており、渦巻き2が不連続となっている。すなわち、渦巻き2には、第1の巻きセット4と第2の巻きセット5の境界に位置する間隙8によって離間する2つの別個の部分がある。したがって、2組の巻きセット4、5は、互いに直接接続されていない。
【0045】
好ましくは、2つの接続点6、7のうちの最も中心に近い接続点6に続いて、間隙8が形成される。したがって、2つの接続点6、7は、第2の巻きセット5に接続されていない。
【0046】
この実施形態において、渦巻き2には、第1のトランスポンダー10の接続点6、7及び第2のトランスポンダー12から外れて延在している第3の巻きセット23がある。また、第3の巻きセット23は、接続されていない。すなわち、第1の電子システム3又は第2の電子システム9のいずれとも、第3の巻きセット23は接続されていない。渦巻き2の最も中心に近い巻き11は、第3の巻きセット23を形成する。
【0047】
図1において、第3の巻きセット23は、渦巻き2の最も中心に近い接続点18からのすべての内側巻き11を含む。したがって、第3の巻きセット23は、ここでは少なくとも25の巻きを含む。第3の巻きセット23は、当然、これよりも少ない又は多い巻きを含むことができ、例えば、約10、20、30又はそれよりも多くの巻きを含むことができる。
【0048】
第3の巻きセット23のおかげで、前記トランスポンダー10、12と、他のトランスポンダー又は端末の間の遠隔データ伝送範囲を大きくするように向上させることが可能になる。実際に、第3の巻きセット23のおかげで、第1の巻きセット4又は第2の巻きセット5のみの場合よりも多くのエネルギーを蓄えることが可能になる。このように、この追加のエネルギーのおかげで、伝送距離を大きくすることが可能になる。
【0049】
第1の巻きセット4、第2の巻きセット5、及び第3の巻きセット23は、同じ平面内に延在している。
【0050】
この実施形態において、第1のトランスポンダー10は第2のトランスポンダー12の共振回路を形成し、第2のトランスポンダー12は第1のトランスポンダー10の共振回路を形成する。共振回路は、トランスポンダーのアンテナの通信範囲を向上させることを可能にする。
【0051】
好ましくは、第2のトランスポンダー12は、第1のトランスポンダー10がアクティブであるときに非アクティブであり、第1のトランスポンダー10は、第2のトランスポンダー12がアクティブであるときに非アクティブであり、これによって、トランスポンダー10、12の通信どうしの潜在的な干渉を防ぐ。
【0052】
好ましくは、第1の電子システム3と第2の電子システム9はそれぞれ、キャパシターを備える。したがって、各キャパシターは、対応する巻き11のセットと並列に接続される。キャパシターを備える共振回路のおかげで、各トランスポンダー10、12はデータ転送の範囲をさらに30~40%大きくすることができる。
【0053】
また、このトランスポンダー対1のおかげで、2つの異なる機能を組み合わせることが可能になる。したがって、第1のトランスポンダー10には第1の機能があり、第2のトランスポンダー12には第2の機能がある。第2の機能は、好ましくは、第1の機能とは異なる。
【0054】
例えば、第1の機能は、銀行カードと同様の支払い機能であり、第2の機能は、アクセス制御やチケット関連機能である。
【0055】
このようなトランスポンダー対1は、電子製品において用いることができる。電子製品は、例えば、銀行カードのように支払いを行うように構成している計時器である。NFCタイプのトランスポンダーは、例えば、「非接触」と呼ばれる短距離での支払いを可能にする。
【0056】
好ましくは、最も効率的なアンテナを備えるトランスポンダーは、通信距離に要求される規格に関する最も需要が高い機能、例えば、支払い機能、と組み合わされる。
【0057】
第1のアンテナが最良の範囲を有するので、第1のトランスポンダー10が、この需要が高い機能のために選択される。したがって、各種規格に適合しやすくなる。
【0058】
図2は、本発明に係るトランスポンダー対を備える携行型時計30を示している。携行型時計30は、好ましくは電子式ムーブメントである、計時器用ムーブメントを収容するケース31と、時刻を示すための針32とを備える。また、トランスポンダー対1も、ケース31内に配置される。この実施形態において、トランスポンダー対の渦巻き22は、携行型時計30の表盤として用いられる。渦巻き22は、携行型時計30の風防33の下に配置される。針32は渦巻き22の上を動き、渦巻き22はユーザーによって風防33を通して視認される。電子システム3と接点は、渦巻き22の下に配置されて隠される。
【0059】
所望によって、渦巻き22の上面には、例えば、装飾目的のため又は時インデックスを示すために、パターンがある。
【0060】
当然、本発明は、図面を参照しながら説明したトランスポンダーと電子デバイスの実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲から逸脱することなく代替形態を考えることができる。例えば、アンテナの形状とそれらの構成は、他の実施形態においては異なることができる。
【符号の説明】
【0061】
1、20 トランスポンダー対
2、22 渦巻き
3 第1の電子システム
4 第1の巻きセット
5 第2の巻きセット
6、7、18、19 接続点
8 間隙
9 第2の電子システム
10 第1のトランスポンダー
11 巻き
12 第2のトランスポンダー
23 第3の巻きセット
30 携行型時計
31 ケース
32 針
33 風防
図1
図2
【外国語明細書】