(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178257
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】接続ユニット
(51)【国際特許分類】
F01N 3/24 20060101AFI20231207BHJP
F23Q 7/22 20060101ALN20231207BHJP
【FI】
F01N3/24 L
F23Q7/22 Z ZAB
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023090682
(22)【出願日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】10 2022 113 905.0
(32)【優先日】2022-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】520050956
【氏名又は名称】プーレム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Purem GmbH
【住所又は居所原語表記】Homburger Strasse 95, 66539 Neunkirchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー ブレンナー
【テーマコード(参考)】
3G091
【Fターム(参考)】
3G091AA02
3G091AB02
3G091AB05
3G091AB13
3G091BA03
3G091BA39
3G091CA03
3G091GB17Z
(57)【要約】 (修正有)
【課題】内燃機関の排ガス装置の排ガスヒータに給電線路を接続するための接続ユニットを提供する。
【解決手段】導電性の接続要素本体を備えた接続要素は、第1の軸線方向端領域に排ガスヒータ接続領域を有し、第2の軸線方向端領域に給電線路接続領域を有する。給電線路接続領域は、接続要素本体の端部と、半径方向突出部とを備える。接続ユニットを排ガス装置構成要素に固定するための支持体要素は、接続要素本体によって支持体要素に対して半径方向間隔を置いて貫通された支持体要素開口を有する。支持ユニットは、支持体要素に第1の軸線方向でかつ半径方向外向きに支持されていて、半径方向突出部を基準として第1の軸線方向とは逆向きの第2の軸線方向で支持された、電気絶縁性の材料から成る第1の支持要素と、支持体要素に第2の軸線方向でかつ半径方向外向きに支持された、電気絶縁性の材料から成る第2の支持要素とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排ガス装置の排ガスヒータに給電線路を接続するための接続ユニットであって、
長手方向軸線(L)の方向に長く延ばされた導電性の接続要素本体(22)を備えた接続要素(20)であって、第1の軸線方向端領域(24)に排ガスヒータ接続領域(26)を有し、第2の軸線方向端領域(32)に給電線路接続領域(34)を有し、前記給電線路接続領域(34)は、前記接続要素本体(22)の端部(38)と、前記接続要素本体(22)の、前記端部(38)に続く半径方向突出部(40)とを備える、接続要素(20)と、
前記接続ユニット(18)を排ガス装置構成要素(12)に固定するための支持体要素(58)であって、前記接続要素本体(22)によって前記支持体要素(58)に対して半径方向間隔を置いて貫通された支持体要素開口(76)を有する、支持体要素(58)と、
前記接続要素(20)を前記支持体要素(58)に軸線方向および半径方向で支持するための支持ユニット(66)であって、前記支持体要素(58)に第1の軸線方向(R1)でかつ半径方向外向きに支持されていて、前記半径方向突出部(40)を基準として前記第1の軸線方向(R1)とは逆向きの第2の軸線方向(R2)で支持された、電気絶縁性の材料から成る第1の支持要素(68)と、前記支持体要素(58)に前記第2の軸線方向(R2)でかつ半径方向外向きに支持された、電気絶縁性の材料から成る第2の支持要素(78)とを備える、支持ユニット(66)と
を備える、接続ユニット。
【請求項2】
前記半径方向突出部(40)は、前記接続要素本体(22)の一体の構成部分を形成しており、かつ/または前記接続要素本体(22)は、実質的に円筒形に形成されていることを特徴とする、請求項1記載の接続ユニット。
【請求項3】
前記半径方向突出部(40)の外周領域に工具作用構成部(50)が形成されていることを特徴とする、請求項1または2記載の接続ユニット。
【請求項4】
前記工具作用構成部(50)は、前記半径方向突出部(40)の外周面(56)の互いに実質的に平行な2つの外周面部分(52,54)を備えることを特徴とする、請求項3記載の接続ユニット。
【請求項5】
前記端部(38)は、実質的に円筒形の外周輪郭を備えて形成されており、かつ/または前記端部(38)に雄ねじ山(46)が形成されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の接続ユニット。
【請求項6】
前記支持体要素(58)の第1の軸線方向側に、前記第1の支持要素(68)を軸線方向および半径方向で支持するための第1の支持構成部(69)が形成されており、前記支持体要素(58)の第2の軸線方向側に、前記第2の支持要素(78)を軸線方向および半径方向で支持するための第2の支持構成部(79)が形成されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の接続ユニット。
【請求項7】
前記第1の支持構成部(69)は、第1の切欠き底(70)によって前記第1の軸線方向(R1)で画定されかつ第1の切欠き壁(72)によって半径方向外向きに画定された第1の支持切欠き(74)を備え、かつ/または前記第2の支持構成部(79)は、第2の切欠き底(80)によって前記第2の軸線方向(R2)で画定されかつ第2の切欠き壁(82)によって半径方向外向きに画定された第2の支持切欠き(84)を備えることを特徴とする、請求項6記載の接続ユニット。
【請求項8】
前記支持体要素(58)は、金属材料を備えて構成されていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の接続ユニット。
【請求項9】
前記第1の支持要素(68)は、セラミック材料を備えて構成されており、かつ/または前記第2の支持要素(78)は、セラミック材料を備えて構成されており、かつ/または前記接続要素(20)は、前記第1の支持要素(68)の第1の支持要素開口(75)を実質的に半径方向運動遊びなしに貫通しており、かつ/または前記第2の支持要素(78)の第2の支持要素開口(86)を実質的に半径方向運動遊びなしに貫通していることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の接続ユニット。
【請求項10】
前記半径方向突出部(40)は、軸線方向弾性の予荷重ユニット(88)を用いて前記第1の支持要素(68)を基準として前記第1の軸線方向(R1)で支持されていることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の接続ユニット。
【請求項11】
前記予荷重ユニット(88)は、少なくとも1つの予荷重ばね、好ましくは皿ばね(90,92)を備えることを特徴とする、請求項10記載の接続ユニット。
【請求項12】
前記少なくとも1つの予荷重ばねは、好ましくは金属材料を備えて構成されたディスク状の第1の伝達要素(94)を用いて前記第1の支持要素(68)に前記第1の軸線方向(R1)で支持されていることを特徴とする、請求項11記載の接続ユニット。
【請求項13】
前記接続要素(20)は、好ましくは金属材料を備えて構成されたディスク状の第2の伝達要素(96)を用いて前記第2の支持要素(78)に前記第2の軸線方向(R2)で支持されていることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の接続ユニット。
【請求項14】
前記第2の伝達要素(96)は、前記接続要素本体に材料接続、好ましくは溶接によって固定されていることを特徴とする、請求項13記載の接続ユニット。
【請求項15】
内燃機関用の排ガス装置であって、排ガス(A)を案内する排ガス装置構成要素(12)と、前記排ガス装置構成要素(12)内に配置された少なくとも1つの排ガスヒータ(16)と、前記少なくとも1つの排ガスヒータ(16)の下流に少なくとも1つの排ガス処理ユニット(14)とを備え、前記排ガス装置構成要素(12)に、前記少なくとも1つの排ガスヒータ(16)に割り当てられて、請求項1から14までのいずれか1項記載の接続ユニット(18)が固定されている、排ガス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排ガス装置の排ガスヒータに給電線路を接続するための接続ユニットに関する。
【0002】
内燃機関の排ガス装置内で流れる排ガスに、特に内燃機関の作動運転の開始段階で、排ガス装置に配置された排ガス処理ユニット、例えば触媒コンバータまたはパティキュレートフィルタをより迅速に加熱することを目的として熱を供給し、ひいては、排ガス処理ユニットをより迅速に運転温度にもたらすために、電気的な励起によって熱を発生させる排ガスヒータを使用することが知られている。熱は、このような排ガスヒータを貫流する排ガスによって吸収され、下流に続く排ガス処理ユニットに運ぶことができる。このような排ガスヒータの電気的な励起のためには、搭載電源網において提供された電圧を、排ガスヒータを有しかつ排ガスを案内する排ガス装置構成要素を電気的に絶縁されて貫いた接続ユニットを用いて排ガスヒータの加熱領域に印加することが必要である。
【0003】
本発明の課題は、単純に構造化されていて、熱による過負荷に対して抵抗性のある構造で大きな電流を受け入れるように構成された、内燃機関の排ガス装置の排ガスヒータに給電線路を接続するための接続ユニットを提供することである。
【0004】
本発明によれば、この課題は、内燃機関の排ガス装置の排ガスヒータに給電線路を接続するための接続ユニットであって、
長手方向軸線の方向に長く延ばされた導電性の接続要素本体を備えた接続要素であって、第1の軸線方向端領域に排ガスヒータ接続領域を有し、第2の軸線方向端領域に給電線路接続領域を有し、給電線路接続領域は、接続要素本体の端部と、接続要素本体の、端部に続く半径方向突出部とを備える、接続要素と、
接続ユニットを排ガス装置構成要素に固定するための支持体要素であって、接続要素本体によって支持体要素に対して半径方向間隔を置いて貫通された支持体要素開口を有する、支持体要素と、
接続要素を支持体要素に軸線方向および半径方向で支持するための支持ユニットであって、支持体要素に第1の軸線方向でかつ半径方向外向きに支持されていて、半径方向突出部を基準として第1の軸線方向とは逆向きの第2の軸線方向で支持された、電気絶縁性の材料から成る第1の支持要素と、支持体要素に第2の軸線方向でかつ半径方向外向きに支持された、電気絶縁性の材料から成る第2の支持要素とを備える、支持ユニットと
を備える、接続ユニットによって解決される。
【0005】
本発明により構成された接続ユニットでは、接続要素本体に設けられた半径方向突出部を、支持体要素に対する接続要素の、ガス密なかつ電気絶縁された支持用の対応受けとして、また、給電線路接続領域では、接続ユニットに接続すべき給電線路用の対応受けとして、二重機能で使用することができる。これによって、単純に構成されているものの、それにもかかわらず、機能確実な構造が得られる。また、この構造では、必要な場合に給電線路を接続ユニットから切り離すという可能性も簡単に与えられている。
【0006】
特に単純で安定した構造のために、半径方向突出部は、接続要素本体の一体の構成部分を形成していてもよい。このことは、半径方向突出部が接続要素本体と一体に、つまり、材料ブロックとして形成されていて、接続要素を提供していることを意味している。
【0007】
熱的にかつ/または機械的に強い負荷が加えられる、接続要素本体における領域が生じることを回避するために、接続要素本体は、実質的に円筒形に形成されていることが提案される。これによって、接続要素本体をその全長にわたって、実質的に一定で大きな直径を備えて形成することができる。このとき、単に半径方向突出部の領域にしか、半径方向寸法の変化部が存在していない。
【0008】
給電線路の取付け時に接続要素の規定の位置決めを保証できるようにするために、半径方向突出部の外周領域に工具作用構成部が形成されていることが提案される。例えば、工具作用構成部は、半径方向突出部の外周面の互いに実質的に平行な2つの外周面部分を備えていてもよく、これによって、給電線路の取付け工程時または取外し工程時に接続要素をペンチまたはスパナによって回動に対して位置固定することができる。
【0009】
例えばナットを用いた給電線路接続領域への給電線路の固定のために、端部は、実質的に円筒形の外周輪郭を備えて形成されており、かつ/または端部に雄ねじ山が形成されていてもよい。
【0010】
支持体要素と支持ユニットの支持要素との規定の支持相互作用のために、支持体要素の第1の軸線方向側に、第1の支持要素を軸線方向および半径方向で支持するための第1の支持構成部が形成されていてもよく、支持体要素の第2の軸線方向側に、第2の支持要素を軸線方向および半径方向で支持するための第2の支持構成部が形成されていてもよい。
【0011】
軸線方向および半径方向での支持要素の規定の位置決めを達成する、特に支持体要素への支持要素のガス密な接続を達成するためにも、第1の支持構成部は、第1の切欠き底によって第1の軸線方向で画定されかつ第1の切欠き壁によって半径方向外向きに画定された第1の支持切欠きを備え、かつ/または第2の支持構成部は、第2の切欠き底によって第2の軸線方向で画定されかつ第2の切欠き壁によって半径方向外向きに画定された第2の支持切欠きを備えることが特定されていてもよい。
【0012】
支持体要素を例えば溶接によって排ガス装置構成要素に固定できるようにするために、支持体要素は、金属材料を備えて構成されていてもよい。
【0013】
接続要素を介して比較的大きな電流が流れる場合でも十分な電気絶縁のために、第1の支持要素は、セラミック材料を備えて構成されており、かつ/または第2の支持要素は、セラミック材料を備えて構成されていることが提案される。
【0014】
支持体要素に対する接続要素の規定の半径方向のセンタリングのために、接続要素は、第1の支持要素の第1の支持要素開口を実質的に半径方向運動遊びなしに貫通しており、かつ/または第2の支持要素の第2の支持要素開口を実質的に半径方向運動遊びなしに貫通していてもよい。
【0015】
特に接続要素の熱による負荷時に過度の機械的な応力が発生することを回避するために、半径方向突出部は、軸線方向弾性の予荷重ユニットを用いて第1の支持要素を基準として第1の軸線方向で支持されていることが提案される。
【0016】
例えば、予荷重ユニットは、少なくとも1つの予荷重ばね、好ましくは皿ばねを備えていてもよい。
【0017】
予荷重ユニットによる第1の支持要素の局所的な機械的な過負荷は、例えば、少なくとも1つの予荷重ばねが、第1のディスク状の伝達要素を用いて第1の支持要素に第1の軸線方向で支持されていることによって回避することができる。この第1のディスク状の伝達要素は、例えば金属材料を備えて構成されていてもよい。
【0018】
接続要素は、例えば金属材料を備えて構成された第2のディスク状の伝達要素を用いて第2の支持要素に第2の軸線方向で支持されていてもよい。
【0019】
このような構成において、不動の結合部を得るために、第2の伝達要素は、接続要素本体に材料接続、好ましくは溶接によって固定されていてもよい。
【0020】
本発明は、さらに、内燃機関用の排ガス装置であって、排ガスを案内する排ガス装置構成要素と、排ガス装置構成要素内に配置された少なくとも1つの排ガスヒータと、少なくとも1つの排ガスヒータの下流に少なくとも1つの排ガス処理ユニットとを備え、排ガス装置構成要素に、少なくとも1つの排ガスヒータに割り当てられて、本発明により構成された少なくとも1つの接続ユニットが固定されている、排ガス装置に関する。
【0021】
以下に、本発明を添付の図面を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】排ガス装置の排ガスヒータに給電線路を接続するための接続ユニットを示す側面図である。
【
図2】
図1に示した視線方向IIで
図1の接続ユニットを見た軸線方向図である。
【
図3】
図2に示した線III-IIIに沿って断面した、接続ユニットの縦断面図である。
【0023】
図1~
図4を参照しながら、排ガス装置の排ガスヒータに給電線路を接続するための接続ユニットの構造について詳細に記載する前に、
図5を参照しながら、例えば自動車における内燃機関のこのような排ガス装置の基本的な構造について記載する。
【0024】
排ガス装置10は、例えば管状にまたはハウジング状に形成された排ガス装置構成要素12を備えていて、この排ガス装置構成要素12内では、内燃機関から排出された排ガスAが流れる。排ガス装置12内には、全体を符号14で示した排ガス処理ユニットが設けられており、この排ガス処理ユニット14は、例えば触媒コンバータとして、例えば酸化触媒コンバータまたはSCR触媒コンバータ、パティキュレートフィルタまたはこれに類するものとして形成されていてもよい。排ガス処理ユニット14の上流には、排ガスヒータ16が配置されている。排ガスヒータ16は、例えば加熱導体を備えて構成された加熱領域を備えていて、この加熱領域は、排ガスAによって貫流される。このとき、排ガスAは熱を吸収し、吸収した熱を、下流に続く排ガス処理ユニット14に運ぶ。これによって、特に、内燃機関から排出された排ガスAがなお比較的低温である運転段階、もしくは排ガス処理ユニット14が触媒反応を実施するための運転温度にまだ達していない運転段階において、排ガス処理ユニット14のより迅速な加熱を保証することができる。
【0025】
排ガスヒータ16に、排ガスヒータ16の加熱領域を加熱するために使用される電圧を印加するためには、搭載電源網の各々の極との接続のために、全体を符号18で示した接続ユニットが使用される。各々の接続ユニット18には搭載電源網の給電線路を接続することができ、これによって、排ガスヒータ16への電圧の印加と、これにより排ガスヒータ16に生じる電流の流れとによって、排ガスAまたは排ガス装置構成要素12を貫いて案内されるその他のガスを加熱することができる。
【0026】
図1~
図4に詳細に示した接続ユニット18は、中央の構成部分として、ピン状に形成された接続要素20を備えている。金属材料を備えて構成された接続要素20は、長手方向軸線Lの方向に長く延ばされた、基本的に円筒形の構造を備えた接続要素本体22を備えており、このことは、接続要素本体22はすべての軸線方向領域で長手方向軸線Lを基準として実質的に等しい半径方向寸法もしくは横断面ジオメトリを有しているということを意味している。
【0027】
排ガス装置構成要素12の内部に位置決めすべき第1の軸線方向端領域24に、接続要素20は排ガスヒータ接続領域26を有しており、この排ガスヒータ接続領域26で接続要素20もしくは接続要素本体22は、例えば溶接部28によって排ガスヒータ16の加熱領域30に導電接続されている。排ガス装置構成要素12の外側に位置決めすべき第2の軸線方向端領域32に、接続要素20は給電線路接続領域34を有しており、この給電線路接続領域34で接続要素20は、あとで記載するように、全体を符号36で示した給電線路に接続されているかもしくは接続されてもよい。
【0028】
給電線路接続領域34は、接続要素本体22の端部38と、端部38に続く、長手方向軸線Lを好ましくは完全に取り囲む半径方向突出部40とを備えている。接続要素本体22と一体に、つまり材料ブロックとして形成された半径方向突出部40は、給電線路36もしくは給電線路36に設けられたケーブルシュー44またはこれに類するもの用の、長手方向軸線Lに対して実質的に直交する平面的な当付け面42を提供している。
【0029】
接続要素本体22の端部38には雄ねじ山46が設けられており、これによって、この端部38にはナット48を螺合させることができるので、給電線路36、例えばケーブルシュー44を、接続要素20の給電線路接続領域34に不動に固定することができる。
【0030】
そのために、
図2で認識できるように、半径方向突出部40は工具作用構成部50を備えており、この工具作用構成部50は、例えば半径方向突出部の、長手方向軸線Lを基準として直径方向で互いに反対側に位置している2つの領域に、半径方向突出部40の外周面56の互いに実質的に平行な外周面部分52,54を備えていてもよい。これによって、給電線路接続領域34への給電線路36の固定時に、ナット48を工具、例えばスパナまたはペンチまたはこれに類するものを使用して螺合させることができ、さらに、半径方向突出部40に工具を作用させることができ、これによって、接続要素20が一緒に回転することを阻止することができ、ひいては、ナット48が規定の締付けトルクで螺合可能であることを保証することができる。
【0031】
したがって、端部38の領域でも接続要素本体22が実質的に円筒の形状を有していることに基づいて、ナット48の取外しによる給電線路36の解離もしくは交換のために、給電線路36もしくは給電線路36のケーブルシュー40を解放し、次いで、ケーブルシュー40を、クランプ力を克服する必要なしに、軸線方向で端部38から引き出す可能性も容易に得られる。このことは、特に車両もしくは排ガス装置10へのアクセスが困難な領域における給電線路36の取付け・取外しを容易にする。同時に半径方向突出部40は、冷却リブの形態の比較的大きな外側表面を提供し、これによって、排ガスヒータ接続領域26の周りで流れる排ガスもしくは接続要素20を通って流れる比較的大きな電流による加熱に基づく局所的な過熱の発生を回避することができる。
【0032】
排ガス装置構成要素12に接続ユニット18を固定するために、接続ユニット18は、環状に形成された金属材料製の支持体要素58を含んでいる。支持体要素58に割り当てられて、排ガス装置構成要素20には、排ガス装置構成要素開口60が形成されており、この排ガス装置構成要素開口60内には支持体要素58を係合するように位置決めすることができる。この目的のために、支持体要素58の外周領域にはセンタリング切欠き62が形成されていてもよい。支持体要素58は、溶接部64、例えば長手方向軸線Lを完全に取り囲む溶接シームによって、排ガス装置構成要素12に固定することができ、これによって、排ガス装置構成要素12との支持体要素58の隣接領域において、ガス密な接続部が得られる。
【0033】
支持体要素58への接続要素20の電気絶縁された規定の保持のために、全体を符号66で示した支持ユニットが設けられている。この支持ユニット66は、環状ディスク状の第1の支持要素68を備えていて、この第1の支持要素68を介して接続要素20は、第1の軸線方向R1で支持体要素58に支持されている。第1の支持要素68に割り当てられて、支持体要素58は、支持体要素58の1つの軸線方向側に、第1の切欠き底70と第1の切欠き壁72とによって第1の軸線方向R1でかつ半径方向外向きに画定された第1の支持切欠き74を備えた第1の支持構成部69を有している。第1の支持切欠き74内で第1の支持要素68は、半径方向でセンタリングされて保持されており、周方向で長手方向軸線Lを好ましくは完全に取り囲んでいる第1の切欠き壁72と、第1の支持要素68との間には、実質的に半径方向運動遊びは存在していない。第1の切欠き底70への第1の支持要素68の実質的に面状の当付けと、第1の切欠き壁72への第1の支持要素68の実質的に半径方向遊びのない隣接とによって、支持体要素58と第1の支持要素68との間におけるラビリンス状のシール相互作用が与えられている。追加的に、例えば第1の支持要素68と第1の切欠き底70との間に、耐熱性の、例えばディスク状のシール要素が配置されていてもよい。
【0034】
第1の支持要素68は、さらに、第1の支持要素開口75を有していて、この第1の支持要素開口75を貫いて接続要素20の接続要素本体22は、実質的に半径方向遊びなしに貫通案内されている。これによって、第1の支持要素68により、支持体要素58に対する接続要素20の規定の半径方向の位置決めが設定されている。これによって、接続要素本体22は、接続要素20と支持体要素58との間における接触が存在しないように、支持体要素58に形成された支持体要素開口76を実質的にセンタリングされて貫通することが保証されている。
【0035】
支持ユニット66は、同様に環状ディスク状に形成された第2の支持要素78を備えている。第2の支持要素78に割り当てられて、支持体要素58の、排ガス装置構成要素12に向けられた他方の軸線方向側には、第2の切欠き底80と第2の切欠き壁82とによって第2の軸線方向R2でかつ長手方向軸線Lを基準として半径方向外向きに画定された支持切欠き84を備えた第2の支持構成部79が設けられている。これによって、第2の支持切欠き84に収容されていて、第2の軸線方向R2で軸線方向に支持されていて、半径方向外向きに実質的に運動遊びなしに第2の切欠き壁82に続く第2の支持要素78は、規定の軸線方向および半径方向の位置で支持体要素58に支持されており、第2の支持要素78の、接続要素本体22によって実質的に運動遊びなしに貫通された第2の支持要素開口86は、支持体要素開口76内への接続要素20の更なる規定の位置決めのために役立つ。さらに、第2の支持要素78と第2の支持切欠き84との相互作用によって、ラビリンス状に作用する別のシール構成部が形成されるので、接続ユニット18へのさらに改善されたガス密な接続が保証されている。また、第2の支持要素78と第2の切欠き底80との間にも、例えばディスク状のシール要素が配置されていてもよい。
【0036】
接続要素20を第1の支持要素68を介して支持体要素58に第1の軸線方向R1において軸線方向で支持するために、支持ユニット66は、さらに、全体を符号88で示した予荷重ユニットを備えている。図示の実施例では、予荷重ユニット88は、互いに逆向きに配置された2つの皿ばね90,92を備えている。皿ばね90は、その外周領域で半径方向突出部40に支持されており、皿ばね92は、その外周領域で環状ディスク状の伝達要素94を介して第1の支持要素68に支持されている。両皿ばね90,92は、その半径方向内側の領域で互いに支持し合っている。
【0037】
接続要素20を第2の軸線方向R2において支持体要素58を基準として軸線方向で支持するために、第2の支持要素78に続いて、第2の環状ディスク状の伝達要素96が設けられており、この第2の環状ディスク状の伝達要素96は、第1の環状ディスク状の伝達要素94と同様に金属材料を備えて構成されていてもよい。第2の環状ディスク状の伝達要素96は、溶接部98によって接続要素本体22に固定されているので、両支持要素68,78と、両皿ばね90,92と、第1の伝達要素94とは、予荷重ユニット88の予荷重作用によって軸線方向で予荷重が加えられて半径方向突出部40と第2の伝達要素96との間で保持されている。この予荷重作用によって、両支持要素68,78もまた、両支持要素68,78に割り当てられた支持切欠き74,84内で不動に保持される。予荷重ユニット88の作用によって接続要素20が支持体要素58内に基本的に軸線方向弾性に取り付けられていることによって、例えば特に接続要素20の、熱に起因する長さ変化によって発生するおそれがある過度の応力の発生が回避される。
【0038】
接続ユニット18の上述した構造には、種々様々な特に有利な態様が互いに組み合わせられる。1つには、給電線路36を簡単にかつ規定の固定モーメントで給電線路接続領域34に固定する可能性、もしくは何らかの摩擦モーメントまたはクランプモーメントを克服する必要なしに給電線路接続領域34から再び取り外す可能性が存在している。接続要素本体22の比較的大きい一定の横断面に基づいて、接続要素本体22は、比較的大きな電流を受け入れるためにも適しており、半径方向突出部40が設けられていることと、半径方向突出部40によって得ることができる冷却作用とに基づいて、排ガスAまたは接続要素20を通して案内される電流による加熱時にも、接続ユニット18の領域における過度の加熱が回避される。そして、熱に起因する長さ変化によって生じる過負荷が回避される。なぜならば、このような長さ変化は予荷重ユニット88において補償することができるからであり、これによってまた、両支持要素68,78が実質的に一定の押付け力で支持体要素58に押し付けられることも保証されている。これによって、接続要素20の長さ変化により影響が与えられないシール相互作用が、支持要素68,78と支持体要素58との間に保証されている。同時に、電気絶縁性の材料、例えばセラミック材料、例えば酸化アルミニウムまたは酸化マグネシウムを備えて構成されたこれらの支持要素68,78は、接続要素20と支持体要素58との間に、大きな電流を考慮しても十分な電気絶縁性を提供する。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排ガス装置の排ガスヒータに給電線路を接続するための接続ユニットであって、
長手方向軸線(L)の方向に長く延ばされた導電性の接続要素本体(22)を備えた接続要素(20)であって、第1の軸線方向端領域(24)に排ガスヒータ接続領域(26)を有し、第2の軸線方向端領域(32)に給電線路接続領域(34)を有し、前記給電線路接続領域(34)は、前記接続要素本体(22)の端部(38)と、前記接続要素本体(22)の、前記端部(38)に続く半径方向突出部(40)とを備える、接続要素(20)と、
前記接続ユニットを排ガス装置構成要素(12)に固定するための支持体要素(58)であって、前記接続要素本体(22)によって前記支持体要素(58)に対して半径方向間隔を置いて貫通された支持体要素開口(76)を有する、支持体要素(58)と、
前記接続要素(20)を前記支持体要素(58)に軸線方向および半径方向で支持するための支持ユニット(66)であって、前記支持体要素(58)に第1の軸線方向(R1)でかつ半径方向外向きに支持されていて、前記半径方向突出部(40)を基準として前記第1の軸線方向(R1)とは逆向きの第2の軸線方向(R2)で支持された、電気絶縁性の材料から成る第1の支持要素(68)と、前記支持体要素(58)に前記第2の軸線方向(R2)でかつ半径方向外向きに支持された、電気絶縁性の材料から成る第2の支持要素(78)とを備える、支持ユニット(66)と
を備える、接続ユニット。
【請求項2】
前記半径方向突出部(40)は、前記接続要素本体(22)の一体の構成部分を形成しており、かつ/または前記接続要素本体(22)は、実質的に円筒形に形成されていることを特徴とする、請求項1記載の接続ユニット。
【請求項3】
前記半径方向突出部(40)の外周領域に工具作用構成部(50)が形成されていることを特徴とする、請求項1または2記載の接続ユニット。
【請求項4】
前記工具作用構成部(50)は、前記半径方向突出部(40)の外周面(56)の互いに実質的に平行な2つの外周面部分(52,54)を備えることを特徴とする、請求項3記載の接続ユニット。
【請求項5】
前記端部(38)は、実質的に円筒形の外周輪郭を備えて形成されており、かつ/または前記端部(38)に雄ねじ山(46)が形成されていることを特徴とする、請求項1または2記載の接続ユニット。
【請求項6】
前記支持体要素(58)の第1の軸線方向側に、前記第1の支持要素(68)を軸線方向および半径方向で支持するための第1の支持構成部(69)が形成されており、前記支持体要素(58)の第2の軸線方向側に、前記第2の支持要素(78)を軸線方向および半径方向で支持するための第2の支持構成部(79)が形成されていることを特徴とする、請求項1または2記載の接続ユニット。
【請求項7】
前記第1の支持構成部(69)は、第1の切欠き底(70)によって前記第1の軸線方向(R1)で画定されかつ第1の切欠き壁(72)によって半径方向外向きに画定された第1の支持切欠き(74)を備え、かつ/または前記第2の支持構成部(79)は、第2の切欠き底(80)によって前記第2の軸線方向(R2)で画定されかつ第2の切欠き壁(82)によって半径方向外向きに画定された第2の支持切欠き(84)を備えることを特徴とする、請求項6記載の接続ユニット。
【請求項8】
前記支持体要素(58)は、金属材料を備えて構成されていることを特徴とする、請求項1または2記載の接続ユニット。
【請求項9】
前記第1の支持要素(68)は、セラミック材料を備えて構成されており、かつ/または前記第2の支持要素(78)は、セラミック材料を備えて構成されており、かつ/または前記接続要素(20)は、前記第1の支持要素(68)の第1の支持要素開口(75)を実質的に半径方向運動遊びなしに貫通しており、かつ/または前記第2の支持要素(78)の第2の支持要素開口(86)を実質的に半径方向運動遊びなしに貫通していることを特徴とする、請求項1または2記載の接続ユニット。
【請求項10】
前記半径方向突出部(40)は、軸線方向弾性の予荷重ユニット(88)を用いて前記第1の支持要素(68)を基準として前記第1の軸線方向(R1)で支持されていることを特徴とする、請求項1または2記載の接続ユニット。
【請求項11】
前記予荷重ユニット(88)は、少なくとも1つの予荷重ばね、好ましくは皿ばね(90,92)を備えることを特徴とする、請求項10記載の接続ユニット。
【請求項12】
前記少なくとも1つの予荷重ばねは、好ましくは金属材料を備えて構成されたディスク状の第1の伝達要素(94)を用いて前記第1の支持要素(68)に前記第1の軸線方向(R1)で支持されていることを特徴とする、請求項11記載の接続ユニット。
【請求項13】
前記接続要素(20)は、好ましくは金属材料を備えて構成されたディスク状の第2の伝達要素(96)を用いて前記第2の支持要素(78)に前記第2の軸線方向(R2)で支持されていることを特徴とする、請求項1または2記載の接続ユニット。
【請求項14】
前記第2の伝達要素(96)は、前記接続要素本体に材料接続、好ましくは溶接によって固定されていることを特徴とする、請求項13記載の接続ユニット。
【請求項15】
内燃機関用の排ガス装置であって、排ガス(A)を案内する排ガス装置構成要素(12)と、前記排ガス装置構成要素(12)内に配置された少なくとも1つの排ガスヒータ(16)と、前記少なくとも1つの排ガスヒータ(16)の下流に少なくとも1つの排ガス処理ユニット(14)とを備え、前記排ガス装置構成要素(12)に、前記少なくとも1つの排ガスヒータ(16)に割り当てられて、請求項1または2記載の接続ユニットが固定されている、排ガス装置。
【外国語明細書】